以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は、第1実施形態に係るアンテナ装置1を示す構成図である。本実施形態に係るアンテナ装置1は、図1に示すように、パラボナ反射鏡10と、副鏡20と、アレイアンテナ30とを備える。
パラボナ反射鏡10は、対象物から放射された受信波を、副鏡20に向けて反射する。本実施形態では、パラボナ反射鏡10で反射した受信波を、アレイアンテナ30の各アンテナ素子311〜31n上において収束させるために、後述する方法により、パラボナ反射鏡10の高さ、および、パラボナ反射鏡10の鏡面の補正が行われる。なお、パラボナ反射鏡10を構成する部材は、特に限定されないが、アルミニウムなど、受信波を反射率1に近い反射率で反射することができ、かつ、角度依存性の少ない部材を選択することが好適である。
副鏡20は、平面の鏡面を備え、パラボナ反射鏡10により反射された受信波をアレイアンテナ30に向けて反射する。また、後述するように、副鏡20は、対象物からパラボナ反射鏡10までの受信波の伝搬路の外側に配置される。なお、副鏡20を構成する部材は、特に限定されないが、パラボナ反射鏡10と同様に、アルミニウムなど、受信波を反射率1に近い反射率で反射することができ、かつ、角度依存性の少ない部材を選択することが好適である。
アレイアンテナ30は、たとえば、ホーンアンテナなどの複数のアンテナ素子311〜31nを備え、各アンテナ素子311〜31nにおいて、副鏡20により反射された受信波を受信する。また、アレイアンテナ30は、副鏡20の全体で反射された受信波を、アレイアンテナ30全体で受信できるように、その指向性が設定されている。なお、後述するように、アレイアンテナ30は、副鏡20と同様に、対象物からパラボナ反射鏡10までの受信波の伝搬路の外側に配置される。
また、アレイアンテナ30は、複数のアンテナ素子311〜31nが二次元状に配置されており、これら、アンテナ素子311〜31nにおいて受信波を受信することで、対象物までの距離情報を含むイメージング画像を生成することが可能となっている。また、本実施形態において、アレイアンテナ30は、対象物から到来するミリ波を受信することが可能なように、各アンテナ素子311〜31nの大きさは比較的大きいものとなっている。そのため、二次元状にアンテナ素子311〜31nを配置したアレイアンテナ30の大きさは、パラボナ反射鏡10よりも大きく設計される場合がある。具体的には、アレイアンテナ30の大きさは、検出対象物を検出するために求められる解像度と、検出対象物を検出するために求められる視野角と、検出対象物から放射される受信波の波長とに基づいて決定される。
ここで、図2は、アレイアンテナ30の大きさの設計方法を説明するための図である。たとえば、車両に搭載されたアンテナ装置1において、約50m前方に存在する歩行者を検出するためのアレイアンテナ30は、以下のように設計される。
たとえば、車両に搭載されたアンテナ装置1において、検出対象物を検出ために、アレイアンテナ30の視野角は、少なくとも縦方向に20°、横方向に40°以上あることが好ましい。また、たとえば、検出対象物を歩行者とした場合には、約50m前方において20cm幅の歩行者を、縦方向の10画素程度で検出できることが好ましいため、アレイアンテナ30の視野角の画像を得るためには、縦方向に20画素分、横方向に40画素分の解像度があることが好ましい。さらに、受信する受信波が150GHzのミリ波である場合には、受信アンテナ素子の大きさは4mm程度の大きさが必要となる。そのため、アレイアンテナ30の大きさは、横方向が40画素×4mm=160mm、縦方向が20画素×4mm=80mmに設計される。
このように、アレイアンテナ30の受信面の大きさを設定することで、歩行者などの検出対象物を適切に検出することが可能となる。なお、検出対象物は歩行者に限定されず、たとえば、車両や電柱などの立体物や道路面形状であってもよい。たとえば、本実施形態に係るアンテナ装置1は、道路面に反射した受信波を受信することで、道路面が凹凸であるか、道路がカーブしているかなどの道路面形状を検出対象物として検出することができる。
次に、第1実施形態に係るアンテナ装置1の各構成の配置方法(設計方法)について具体的に説明する。まず、図1に示すように、アレイアンテナ30を、設置面に接した状態で、設置面に対して起立するように配置する。そして、副鏡20を、アレイアンテナ30と対面するように配置する。さらに、パラボナ反射鏡10を、アレイアンテナ30の上方(Z軸方向の正方向)であって、アレイアンテナ30よりもY軸方向の正方向側(受信波が到来する方向側)に配置する。
そして、図1に示すように、水平線に対して、アレイアンテナ30の各アンテナ素子311〜31nに入射する受信波の伝搬路の俯角をθ1とした場合に、最も大きい俯角θ1が得られるアンテナ素子31の受信波の伝搬路に該当する線を、第1ケラレ防止線として設定する。たとえば、図1に示す例では、アンテナ素子311〜31nのうち、アレイアンテナ30の下端(Z軸方向下端)に位置するアンテナ素子が受信する受信波の伝搬路(アレイアンテナ30の下端に位置するアンテナ素子の主軸)に沿った線であり、対象物からパラボナ反射鏡10までの間における線が、第1ケラレ防止線として設定される。
そして、本実施形態では、副鏡20は、第1ケラレ防止線よりも下部(Z軸方向の負方向)に配置される。これにより、副鏡20が、対象物からパラボナ反射鏡10までの受信波の伝搬路の外側に配置されることとなる。
さらに、アンテナ素子311〜31nのうち、アレイアンテナ30の上端(Z軸方向上端)に位置するアンテナ素子が受信する受信波の伝搬路(アレイアンテナ30の上端に位置するアンテナ素子の主軸)に沿った線であり、対象物からパラボナ反射鏡10までの間における線が、第2ケラレ防止線として設定される。
そして、本実施形態では、アレイアンテナ30は、第2ケラレ防止線よりも後方(Y軸方向の負方向側)に配置される。これにより、アレイアンテナ30も、対象物からパラボナ反射鏡10までの受信波の伝搬路の外側に配置されることとなる。
次いで、アレイアンテナ30が備えるアンテナ素子311〜31nのうち、最も多くの数のアンテナ素子311〜31nにおいて、パラボナ反射鏡10から各アンテナ素子311〜31nまでの伝搬路の長さが、パラボナ反射鏡10の焦点距離fに近付くように、副鏡20の設置角度θ2と、副鏡20の位置座標と、アレイアンテナ30の位置座標とが定められる。たとえば、副鏡20の設置角度θ2と、副鏡20の位置座標と、アレイアンテナ30の位置座標とを変化させながら、各アンテナ素子311〜31nからパラボナ反射鏡10までの伝搬路の距離と、パラボナ反射鏡10の焦点距離fとを比較することで、全てのアンテナ素子311〜31nが総合的にパラボナ反射鏡10の焦点距離fに最も近づく条件を実験により求めることで、副鏡20の設置角度θ2と、副鏡20の位置座標と、アレイアンテナ30の位置座標とを定めることができる。
そして、副鏡20の設置角度θ2と、副鏡20の位置座標と、アレイアンテナ30の位置座標とを定めた後は、パラボナ反射鏡10の鏡面を補正する。具体的には、下記式(1),(2)に基づいて、パラボナ反射鏡10の鏡面のうち、各アンテナ素子311〜31nに対応する鏡面の位置の高さZが、各アンテナ素子311〜31nに対応する位置ごとに設定される。
なお、上記式(1)において、r(v,h)は、各アンテナ素子311〜31nからパラボナ反射鏡10までの受信波の伝搬路の距離であり、上記式(2)において、xおよびyは、設定対象であるパラボナ反射鏡10の鏡面の各位置のx座標位置およびy座標位置である。
そして、パラボナ反射鏡10の鏡面のうち、各アンテナ素子311〜31nに対応する鏡面の各位置の高さを、上記式(1),(2)の関係を満たすように補正することで、各アンテナ素子311〜31nからパラボナ反射鏡10までの伝搬路の距離が、パラボナ反射鏡10の焦点距離fとほぼ等しくなり、その結果、各アンテナ素子311〜31n上で受信波を収束させることができ、各アンテナ素子311〜31nにおいて、結像歪みのないイメージング画像を撮像することができる。
なお、図3に示すように、副鏡20の設置角度θ2は、各アンテナ素子311〜31nからパラボナ反射鏡10までの伝搬路がなす角度、すなわち、各アンテナ素子311〜31nに対応するパラボナ反射鏡10の鏡面の各位置と副鏡20とを結ぶ線L1と、各アンテナ素子311〜31nと副鏡20とを結ぶ線L2とがなす角度θ2に一致する。そのため、本実施形態では、各アンテナ素子311〜31nからパラボナ反射鏡10までの受信波の伝搬路の距離r(v,h)と、副鏡20で反射され、各アンテナ素子311〜31nで受信される送信波の伝搬路がなす角度θ2とに基づいて、パラボナ反射鏡10の鏡面の形状を設定しているということもできる。
また、本実施形態においては、第1ケラレ防止線および/または第2ケラレ防止線に沿って、電波遮蔽フードを形成することができる。これにより、パラボナ反射鏡10に反射されずに、直接に、アレイアンテナ30に入射する到来波を遮蔽することができる。
ここで、図4は、電波遮蔽フード50を備えたアンテナ装置1の断面図である。また、図5は、電波遮蔽フード50を備えたアンテナ装置1の正面図である。図4および図5に示すように、電波遮蔽フード50は、第1ケラレ防止線および第2ケラレ防止線よりも外側の領域において、アンテナ装置1を覆うように設けられている。言い換えれば、電波遮蔽フード50は、図5に示すように、第1ケラレ防止線および第2ケラレ防止線よりも内側の領域のみが開口するように、アンテナ装置1の外面を形成している。
また、電波遮蔽フード50の表面は、アレイアンテナ30が受信する受信波(たとえばミリ波)に対して、反射率が99%以上となる金属膜で覆われており、第1ケラレ防止線よりも下方側または第2ケラレ防止線よりも上方側から到来する到来波(ミリ波)を反射する。これにより、電波遮蔽フード50は、パラボナ反射鏡10に反射されずに、直接に、アレイアンテナ30に入射しようとする到来波を遮蔽することができる。
さらに、電波遮蔽フード50のうち第2ケラレ防止線よりも上側の先端部には、図4に示すように、曲面状の突出面51が形成されている。また、この突出面51の半径Rは、アレイアンテナ30が受信する受信波の波長よりも長くなるように形成されている。たとえば、アンテナ装置1で受信する受信波が140GHzのミリ波である場合には、突出面51の半径Rは2mm以上となるように形成される。これにより、到来波が突出面51に反射する場合に、到来波の反射方向が不安定となり、到来波がアレイアンテナ30に直接に入射してしまうことを抑制することができる。
以上のように、第1実施形態に係るアンテナ装置では、対象物からパラボナ反射鏡10までの受信波の伝搬路の外側に、副鏡20およびアレイアンテナ30が配置されるため、対象物から放射された受信波が副鏡20またはアレイアンテナ30で遮蔽されずに、対象物から放射された受信波をアレイアンテナ30全体で適切に受信することができる。
また、上述した実施形態では、各アンテナ素子311〜31nからパラボナ反射鏡10までの受信波の伝搬路の距離が、パラボナ反射鏡10の焦点距離fとそれぞれ等しくなるように、パラボナ反射鏡10の鏡面が設定されているため、各アンテナ素子311〜31nにおいて結像歪みを有効に防止することができ、ピントの合ったイメージング画像を撮像することができる。
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るアンテナ装置1aは、図6に示すように、第1実施形態に係る副鏡20に代えて、副鏡20aを備え、また、副鏡20aの鏡面に応じた大きさのアレイアンテナ30aを備えていること以外は、第1実施形態のアンテナ装置1と同様である。以下に、図6を参照して、第2実施形態に係るアンテナ装置1aを説明する。なお、図6は、第2実施形態に係るアンテナ装置1aを示す構成図である。
第2実施形態において、副鏡20aは凹面鏡であり、パラボナ反射鏡10により反射された受信波を、アレイアンテナ30aに向けて反射する。また、副鏡20aの鏡面は、図6に示すように、パラボナ反射鏡10全体で反射された全ての受信波を、副鏡20a全体で反射することができるように設計されている。
次に、第2実施形態に係るアンテナ装置1aの各構成の配置方法(設計方法)について具体的に説明する。図7は、第2実施形態に係るアンテナ装置の各構成の設置方法を説明するための図である。第2実施形態においては、まず、図7に示すように、アレイアンテナ30aを、設置面から離間した状態で、設置面に対して起立するように配置する。また、第1実施形態と同様に、副鏡20aを、アレイアンテナ30aと対面するように配置し、パラボナ反射鏡10を、アレイアンテナ30aの上方(Z軸方向の正方向)であって、アレイアンテナ30aよりもY軸方向の正方向側(受信波が到来する方向側)に配置する。
そして、第2実施形態では、副鏡20aの設置角度が調整される。具体的には、図7に示すように、副鏡20aの鏡面の中心位置における設置角度をθ3とし、副鏡20aの鏡面の中心位置とパラボナ反射鏡10の中心位置とを結ぶ線L3と、副鏡20aの鏡面の中心位置とアレイアンテナ30aの受信面の中心位置とを結ぶ線L4とがなす角度をθ4とした場合に、副鏡20aの鏡面の中心位置における設置角度θ3が、パラボナ反射鏡10と副鏡20aとアレイアンテナ30aとがなす角度θ4と等しくなるように、副鏡20aの設置角度θ3が調整される。
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、図6に示すように、アレイアンテナ30aの各アンテナ素子311〜31nに入射する受信波の伝搬路の俯角のうち、最も大きい俯角θ1が得られるアンテナ素子の受信波の伝搬路に該当する線を、第1ケラレ防止線として設定し、副鏡20aを、この第1ケラレ防止線よりも下部(Z軸方向の負方向)に配置する。なお、第2実施形態では、副鏡20aが凹面鏡であるため、アレイアンテナ30aの上端に位置するアンテナ素子の主軸に沿った線であり、対象物からパラボナ反射鏡10までの間における線が、第1ケラレ防止線として設定され、副鏡20aが、第1ケラレ防止線よりも下部(Z軸方向の負方向)に配置される。
また、副鏡20aは凹面鏡であるために、アレイアンテナ30aの下端に位置するアンテナ素子の主軸に沿った線であり、対象物からパラボナ反射鏡10までの間における線が、第2ケラレ防止線として設定され、アレイアンテナ30aが、第2ケラレ防止線よりも後方(Y軸方向の負方向側)に配置される。
また、第2実施形態では、各アンテナ素子311〜31nから副鏡20aまでの受信波の伝搬路の距離が、副鏡20aの焦点距離fとそれぞれ等しくなるように、アレイアンテナ30aの位置が調整される。
さらに、第2実施形態では、アンテナ素子311〜31nごとに、各アンテナ素子311〜31nから副鏡20aまでの伝搬路の距離が等しくなるように、また、副鏡20aからパラボナ反射鏡10までの距離が等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20aの鏡面の各位置の角度が調整される。たとえば、図6に示す例では、上端部(Z軸方向上端)のアンテナ素子から副鏡20aまでの伝搬路の距離Rt1と、下端部(Z軸方向下端)のアンテナ素子から副鏡20aまでの伝搬路の距離Rb1とがそれぞれ等しくなり、また、上端部のアンテナ素子に対応する副鏡20aの位置からパラボナ反射鏡10までの距離Rt2と、下端部のアンテナ素子に対応する副鏡20aの位置からパラボナ反射鏡10までの距離Rb2とがそれぞれ等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する、副鏡20aの鏡面の各位置の角度が調整される。
さらに、第1実施形態と同様に、パラボナ反射鏡10から各アンテナ素子311〜31nまでの伝搬路の長さが、パラボナ反射鏡10の焦点距離fに近付くように、副鏡20aの設置角度θ3と、副鏡20aの位置座標と、アレイアンテナ30aの位置座標とが定められ、上記式(1)に基づいて、パラボナ反射鏡10の鏡面のうち、各アンテナ素子311〜31nに対応する鏡面の各位置の高さZの補正が行われる。なお、第2実施形態では、上記式(1)において、θ2の代わりに、副鏡20aの鏡面の各位置の角度が用いられる。
そして、第2実施形態においては、副鏡20aの鏡面の断面形状が二次曲線(二次関数)で表される放物線形状となるように、副鏡20aの鏡面の最終的な調整が行われる。
以上のように、第2実施形態では、副鏡20aとして凹面鏡を用いることで、平面パッチアンテナなどの開口径の小さいアンテナ素子を用いて、アレイアンテナ30aを構成することができるため、アンテナ装置1a全体の省スペース化を図ることができる。また、第2実施形態では、各アンテナ素子311〜31nから副鏡20aまでの受信波の伝搬路の距離が、副鏡20aの焦点距離fとそれぞれ等しくなるように、副鏡20aの鏡面が設定されているため、各アンテナ素子311〜31nにおいて結像歪みを有効に防止することができ、ピントの合ったイメージング画像を撮像することができる。
さらに、第2実施形態では、凹面鏡である副鏡20aの形状を、各アンテナ素子311〜31nから副鏡20aまでの伝搬路の距離、各アンテナ素子311〜31nからパラボナ反射鏡10までの伝搬路の距離、および、二次曲線(二次関数)を用いて調整することで、いずれのアンテナ素子311〜31nにおいても受信波を適切に受信することが可能となる。特に、副鏡20aの鏡面の断面形状を、二次関数に基づいて、放物線形状に形成することで、アレイアンテナ30aが指向性を備える場合でも、アレイアンテナ30aに受信波を適切に受信させることができる。
《第3実施形態》
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係るアンテナ装置1bは、第1実施形態に係る副鏡20に代えて、図8に示すように、凸面鏡である副鏡20bを備え、また、副鏡20bの鏡面に応じた大きさのアレイアンテナ30bを備えていること以外は、第1実施形態と同様である。以下に、図8を参照して、第3実施形態に係るアンテナ装置1bを説明する。なお、図8は、第3実施形態に係るアンテナ装置1bを示す構成図である。
第3実施形態において、副鏡20bは凸面鏡であり、パラボナ反射鏡10に反射された受信波を、アレイアンテナ30bに向けて反射する。また、副鏡20bの鏡面は、図8に示すように、パラボナ反射鏡10全体で反射された全ての受信波を、副鏡20b全体で反射することができるように設計されている。
次に、第3実施形態に係るアンテナ装置1bの各構成の配置方法(設計方法)について具体的に説明する。図9は、第3実施形態に係るアンテナ装置の各構成の設置方法を説明するための図である。第3実施形態においては、まず、図9に示すように、アレイアンテナ30bを、設置面に接した状態で、設置面に対して起立するように配置する。また、副鏡20bを、アレイアンテナ30bと対面するように配置するとともに、パラボナ反射鏡10を、アレイアンテナ30bよりもY軸方向の正方向側(受信波が到来する方向側)に配置する。
そして、第3実施形態では、副鏡20bの設置角度が調整される。具体的には、図9に示すように、副鏡20bの鏡面の中心位置における設置角度をθ5とし、副鏡20bの鏡面の中心位置とパラボナ反射鏡10の中心位置とを結ぶ線L5と、副鏡20bの鏡面の中心位置とアレイアンテナ30bの受信面の中心位置とを結ぶ線L6とがなす角度をθ6とした場合に、副鏡20bの鏡面の中心位置における設置角度θ5が、パラボナ反射鏡10と副鏡20bとアレイアンテナ30bとがなす角度θ6と等しくなるように、副鏡20bの設置角度θ5が調整される。
また、第1実施形態と同様に、図8に示すように、アレイアンテナ30bの各アンテナ素子311〜31nに入射する受信波の伝搬路の俯角のうち、最も大きい俯角θ1が得られるアンテナ素子の受信波の伝搬路に該当する線を、第1ケラレ防止線として設定し、副鏡20bを、この第1ケラレ防止線よりも下部(Z軸方向の負方向)に配置する。なお、第3実施形態では、副鏡20bが凸面鏡であるため、アレイアンテナ30bの下端に位置するアンテナ素子の主軸に沿った線であり、対象物からパラボナ反射鏡10までの間における線が、第1ケラレ防止線として設定され、副鏡20bが、第1ケラレ防止線よりも下部(Z軸方向の負方向)に配置される。
また、副鏡20bは凸面鏡であるために、アレイアンテナ30bの上端に位置するアンテナ素子の主軸に沿った線であり、対象物からパラボナ反射鏡10までの間における線が、第2ケラレ防止線として設定され、アレイアンテナ30bが、第2ケラレ防止線よりも後方(Y軸方向の負方向側)に配置される。
さらに、第3実施形態では、第2実施形態と同様に、アンテナ素子311〜31nごとに、各アンテナ素子311〜31nから副鏡20bまでの伝搬路の距離が等しくなり、副鏡20bからパラボナ反射鏡10までの距離が等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20bの鏡面の各位置の角度が調整される。たとえば、図8に示す例では、上端部(Z軸方向上端)のアンテナ素子から副鏡20bまでの伝搬路の距離Rt3と、下端部(Z軸方向下端)のアンテナ素子から副鏡20bまでの伝搬路の距離Rb3とがそれぞれ等しくなり、また、上端部のアンテナ素子に対応する副鏡20bの位置からパラボナ反射鏡10までの距離Rt4と、下端部のアンテナ素子に対応する副鏡20bの位置からパラボナ反射鏡10までの距離Rb4とがそれぞれ等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する、副鏡20bの鏡面の各位置の角度が調整される。
さらに、第1実施形態と同様に、パラボナ反射鏡10から各アンテナ素子311〜31nまでの伝搬路の長さが、パラボナ反射鏡10の焦点距離fに近付くように、副鏡20bの設置角度θ5と、副鏡20bの位置座標と、アレイアンテナ30bの位置座標とが定められ、上記式(1)に基づいて、パラボナ反射鏡10の鏡面のうち、各アンテナ素子311〜31nに対応する鏡面の各位置の高さZの補正が行われる。なお、第3実施形態では、上記式(1)において、θ2の代わりに、副鏡20bの鏡面の各位置の角度が用いられる。
また、第3実施形態においては、副鏡20bの鏡面が二次曲線(二次関数)で表される放物線形状となるように、副鏡20bの鏡面の最終的な調整が行われる。
以上のように、第3実施形態では、副鏡20bとして凸面鏡を用いることで、パラボナ反射鏡10および副鏡20bの大きさを一定の大きさとしたままでも、アレイアンテナ30bにおいて、立体ホーンアンテナなどの開口径の大きいアンテナ素子を用いることができる。
《第4実施形態》
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態に係るアンテナ装置1cは、図10に示すように、第3実施形態に係るアレイアンテナ30bに代えて、アレイアンテナ30cを備えること以外は、第3実施形態と同様である。以下に、図10を参照して、第4実施形態に係るアンテナ装置1cを説明する。なお、図10は、第4実施形態に係るアンテナ装置1cを示す構成図である。
第4実施形態に係るアレイアンテナ30cにおいては、アンテナ素子311〜31nのそれぞれが副鏡20bの中心位置に向くように、異なる角度で設置されている。
このように、第4実施形態に係るアンテナ装置1cでは、アンテナ素子311〜31nが受信波を受信する角度が、受信波が到来する方向に合わせた角度とすることができるため、受信波の受信電力の向上を図ることができ、アンテナ装置1c全体の受信感度を高めることができる。
《第5実施形態》
続いて、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態に係るアンテナ装置1dは、図11に示すように、パラボナ反射鏡10と、3つの副鏡20c〜20eと、アレイアンテナ30dと、電波遮蔽体40とを備える。以下に、図11を参照して、第5実施形態に係るアンテナ装置1dを説明する。なお、図11は、第5実施形態に係るアンテナ装置1dの構成を示す配置図である。
図11に示すように、第5実施形態に係るアンテナ装置1dでは、対象物から到来する受信波が、まず、パラボナ反射鏡10により反射された後、3つの副鏡20c,20d,20eにより順次反射され、その後、アレイアンテナ30dにより受信されるように構成されている。なお、副鏡20c,20eは凹面鏡であり、副鏡20dは凸面鏡となっている。
また、第5実施形態に係るアンテナ装置1dには、対象物から到来する受信波がアレイアンテナ30dに直接入射することを防止するために、電波遮蔽体40が備えられている。
電波遮蔽体40は、副鏡20eにより反射された受信波を阻害せず、かつ、アレイアンテナ30dに直接入射する電磁波を遮蔽することができる位置に設けられる。具体的には、図11に示すように、第2ケラレ防止線に対応するアンテナ素子の伝搬路(図11に示す例では伝搬路Rt5,Rt6,Rt7,Rt8)よりも上方であり、かつ、アレイアンテナ30dに直接入射する到来波を遮蔽できる位置に設けられる。
また、図12は、図11のXII−XII線に沿った電波遮蔽体40の断面図である。図12に示すように、電波遮蔽体40の各外面には、散乱壁42が設けられている。散乱壁42は、アルミニウムなどの金属により面状に形成されており、その表面には、エンボス加工により凹凸が形成されている。エンボス加工による金属面の凹凸の大きさは、アレイアンテナ30dが受信する受信波の波長と同程度とすることが好ましく、たとえば本実施形態では1mm程度とすることができる。これにより、散乱壁42で外部からの到来波を遮蔽するとともに、一部の散乱壁42にて反射した到来波については、散乱壁42の凹凸によって散乱させることができるため、仮に散乱壁42に反射された到来波の一部が、アレイアンテナ30dに受信されてしまうような場合でも、このような到来波を散乱壁42で予め散乱させておくことで、このような到来波がノイズとして検出されてしまうことを軽減することができる。
次に、図13を参照して、第5実施形態に係るアンテナ装置1dの各構成の配置方法(設計方法)について具体的に説明する。図13は、第5実施形態に係るアンテナ装置1dの各構成の配置方法を説明するための図である。まず、図13に示すように、アレイアンテナ30dを、設置面に対して対向するように配置する。また、副鏡20eを、アレイアンテナ30dと対面するように配置する。さらに、パラボナ反射鏡10を、アレイアンテナ30dよりもY軸方向の正方向側(受信波が到来する方向側)に配置する。さらに、パラボナ反射鏡10で反射した電磁波がアレイアンテナ30dまで到達できるように、副鏡20c,20dを配置する。
そして、図13に示すように、副鏡20eの鏡面の中心位置における設置角度θ7が、副鏡20eの中心位置とアレイアンテナ30dの中心位置とを結ぶ線L7、および、副鏡20eの中心位置と副鏡20dの中心位置とを結ぶ線L8とがなす角度θ8と等しくなるように、副鏡20eの設置角度θ7が設定される。また同様に、副鏡20cの鏡面の中心位置における設置角度θ9が、副鏡20cの中心位置と副鏡20dの中心位置とを結ぶ線L9、および、副鏡20cの中心位置とパラボナ反射鏡10の中心位置とを結ぶ線L10とがなす角度θ10と等しくなるように、副鏡20eの設置角度θ9が設定される。
さらに、第5実施形態では、アンテナ素子311〜31nごとに、各アンテナ素子311〜31nから副鏡20eまでの伝搬路の距離が等しくなり、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20eの各位置から副鏡20dまでの距離が等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20eの鏡面の各位置の角度が調整される。たとえば、図11に示す例では、上端部のアンテナ素子から副鏡20eまでの伝搬路の距離Rt5と、下端部のアンテナ素子から副鏡20eまでの伝搬路の距離Rb5とがそれぞれ等しくなり、かつ、上端部のアンテナ素子に対応する副鏡20eの位置から副鏡20dまでの距離Rt6と、下端部のアンテナ素子に対応する副鏡20eの位置から副鏡20dまでの距離Rb6とがそれぞれ等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する、副鏡20eの鏡面の各位置の角度が調整される。
さらに、第5実施形態では、副鏡20dの全体で反射した受信波を副鏡20e全体で受けることができるように、副鏡20dの位置が設定される。また、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20eの各位置から副鏡20dまでの伝搬路の距離が等しくなり、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20dの各位置から副鏡20cまでの距離が等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20dの鏡面の各位置の角度が調整される。たとえば、図11に示す例では、上端部のアンテナ素子に対応する副鏡20eの位置から副鏡20dまでの伝搬路の距離Rt6と、下端部のアンテナ素子に対応する副鏡20eの位置から副鏡20dまでの伝搬路の距離Rb6とがそれぞれ等しくなり、かつ、上端部のアンテナ素子に対応する副鏡20dの位置から副鏡20cまでの距離Rt7と、下端部のアンテナ素子に対応する副鏡20dの位置から副鏡20cまでの距離Rb7とがそれぞれ等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する、副鏡20dの鏡面の各位置の角度が調整される。
同様に、第5実施形態では、副鏡20cの全体で反射した受信波が副鏡20d全体で受けることができるように、副鏡20cの位置が設定される。また、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20dの各位置から副鏡20cまでの伝搬路の距離が等しくなり、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20cの各位置からパラボナ反射鏡10までの距離が等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20cの鏡面の各位置の角度が調整される。たとえば、図11に示す例では、上端部のアンテナ素子に対応する副鏡20dの位置から副鏡20cまでの伝搬路の距離Rt7と、下端部のアンテナ素子に対応する副鏡20dの位置から副鏡20cまでの伝搬路の距離Rb7とがそれぞれ等しくなり、かつ、上端部のアンテナ素子に対応する副鏡20cの位置からパラボナ反射鏡10までの距離Rt8と、下端部のアンテナ素子に対応する副鏡20cの位置からパラボナ反射鏡10までの距離Rb8とがそれぞれ等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する、副鏡20cの鏡面の各位置の角度が調整される。
そして、上述した第1〜4実施形態と同様に、パラボナ反射鏡10の鏡面の形状の調整が行われる。なお、パラボナ反射鏡10の鏡面の形状の調整方法は、上述した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
以上のように、第5実施形態に係るアンテナ装置1dでは、2以上の副鏡20c〜20eを備え、対象物から到来した受信波が、まず、パラボナ反射鏡10により反射された後、3つの副鏡20c,20d,20eにより順次反射され、その後、アレイアンテナ30dにより受信される。このように、2以上の副鏡を備えることで、アンテナ装置における各構成のレイアウトをより自由に設定することが可能となる。
また、第5実施形態では、凹面鏡である副鏡20c,20eと、凸面鏡である副鏡20dとを組み合わせることで、パラボナ反射鏡10の焦点距離を調整することができるため、各アンテナ素子311〜31nにおいて、受信波を適切な焦点距離で受信することが可能となる。
《第6実施形態》
続いて、本発明の第6実施形態について説明する。図14は、第6実施形態に係るアンテナ装置1eの構成を示す構成図である。第6実施形態に係るアンテナ装置1eは、図14に示すように、パラボナ反射鏡10と、2つの副鏡20c,20eと、アレイアンテナ30eと、電波遮蔽体40aと、電波遮蔽フード50aと、外部レドームカバー60とを備えている。
また、第6実施形態に係るアンテナ装置1eは、車両に搭載され、車両周囲に存在する対象物から放射された受信波を受信するものである。図15は、アンテナ装置1eの車両での搭載位置の一例を示す図である。アンテナ装置1eは、図15(B)に示すように、ヘッドライトバルブHLを内包した状態で、図15(A),(B)に示すように、ヘッドライトバルブHLを配置するためのスペース70に搭載される。このように、第6実施形態では、アンテナ装置1eをヘッドライトバルブHLと一体に車両に搭載することで、アンテナ装置1eのパラボナ反射鏡10および副鏡20c,20eを、ヘッドライト用の反射鏡としても使用することができる。
なお、詳細は後述するが、第6実施形態では、電波遮蔽体40aおよび外部レドームカバー60が光を通過するように形成されており、ヘッドライトバルブHLから放出されたヘッドライト光は、電波遮蔽体40aを通過して、副鏡20c、パラボナ反射鏡10に順次反射した後に、外部レドームカバー60を通過して、図14および図15(B)に示すように、車両前方に照射される。
一方、車両外部から到来する受信波は、外部レドームカバー60を通過して、パラボナ反射鏡10、副鏡20c、副鏡20eに順次反射された後、アレイアンテナ30eで受信される。以下に、第6実施形態に係るアンテナ装置1eの構成について説明する。
アレイアンテナ30eは、副鏡20e全体で反射された受信波をアレイアンテナ30e全体で受信できるように、水平方向に対して傾いた状態で配置される。また、パラボナ反射鏡10で反射された受信波をアレイアンテナ30eが受信できる位置に、副鏡20c,20eが配置されている。
副鏡20eは、各アンテナ素子311〜31nから副鏡20eまでの伝搬路の距離が等しくなるとともに、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20eの各位置から副鏡20cまでの伝搬路の距離が等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20eの鏡面の各位置の角度が調整されている。さらに、副鏡20cは、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20eの各位置から副鏡20cまでの各伝搬路の距離が等しくなるとともに、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20cの各位置からパラボナ反射鏡10までの各伝搬路の距離が等しくなるように、各アンテナ素子311〜31nに対応する副鏡20cの鏡面の各位置の角度が調整されている。
電波遮蔽体40aは、図14に示すように、第2ケラレ防止線に対応するアンテナ素子の伝搬路よりも上方であり、かつ、アレイアンテナ30eに直接入射する到来波を遮蔽できる位置に設置される。
ここで、図16Aは、第6実施形態に係る左側ヘッドライトに搭載される電波遮蔽体40aの構成を示す図であり、図14に示すA-A線に沿うXY断面図である(すなわち、図14に示す電波遮蔽体40aを上から見た断面図である)。また、図16Bは、図16AのB−B線に沿うYZ断面図であり、図14に示す電波遮蔽体40aをX軸方向から見た図である。さらに、図16Cは、図16Aに示す第1遮蔽壁41の正面図である。なお、図16Aおよび図16Bにおいては、各断面のハッチングを省略している。
図16Aに示すように、電波遮蔽体40aは、ヘッドライトバルブHLを囲う正面(受信波が到来する方向の面)側および、車両右側に向いた側面、底面に、第1遮蔽壁41を有している。第1遮蔽壁41は、タングステンワイヤーなどの金属製のワイヤーがメッシュ状(グリッド状)に編み込まれたメッシュ構造(グリッド構造)を有しており、ヘッドライトバルブHLから放射される電磁波を反射することで、電波遮蔽体40aの内側から外部へ放射される電磁波を遮蔽する。なお、第1遮蔽壁41を形成するワイヤーの半径は、アレイアンテナ30eが受信する受信波の波長の1/10程度とすることが好ましく、本実施形態ではたとえば0.1mm程度とすることができる。また、第1遮蔽壁41を形成するワイヤー同士のピッチ(間隔)(たとえば、図16Cに示す“d”)は、アレイアンテナ30eが受信する受信波の波長の1/20程度とすることが好ましい。
また、電波遮蔽体40aは、正面(受信波が到来する方向の面)側、車両右側に向いた側面、および底面に、それぞれ内部レドームカバー62,64,66を有している。内部レドームカバー62,64,66は、後述する外部レドームカバー60と同様に、光を通過するように形成されている。
また、第6実施形態では、第1遮蔽壁41を設けることで、以下のような効果を奏することができる。すなわち、ヘッドライトバルブHLは、発熱などにより電磁波を発生する場合があり、ヘッドライトバルブHLから出力された電磁波がアレイアンテナ30eで受信されてしまうと、ヘッドライトバルブHLから出力された電磁波がノイズとして検出されてしまうこととなる。これに対して、本実施形態では、第1遮蔽壁41を設けることで、ヘッドライトバルブHLから出力された電磁波が、電波遮蔽体40aの外側に放出され、アレイアンテナ30eに受信されてしまうことをより有効に防止することができる。
また、第6実施形態では、第1遮蔽壁41をメッシュ構造とすることで、電波遮蔽体40aの内側に格納されたヘッドライトバルブHLから放射されるヘッドライト光に、第1遮蔽壁41を通過させることができる。これにより、ヘッドライトバルブHLから放射されるヘッドライト光は、内部レドームカバー62,64,66を通過して、副鏡20cおよびパラボナ反射鏡10に順次反射し、その後、外部レドームカバー60を通過して、アンテナ装置1eの外側(車両前方)に放射されることとなる。
また、電波遮蔽体40aの背面(受信波の到来方向と反対方向の面)、並びに、車両左側に向いた側面および上面には、第5実施形態と同様に、散乱壁42が設けられている。散乱壁42は、第5実施形態と同様に、アルミニウムなどの金属により形成されており、その表面には、エンボス加工が施されている。これにより、電波遮蔽体40aは、エンボス加工による表面の凹凸により電磁波を散乱させることができるため、仮に散乱壁42に反射した電磁波の一部が、アレイアンテナ30eに受信されてしまうような場合でも、散乱壁42でこのような電磁波を散乱させることで、このような電磁波がノイズとして検出されてしまうことを軽減することができる。
また、アンテナ装置1eには、図14に示すように、電波遮蔽フード50aが設けられる。電波遮蔽フード50aは、第1実施形態に係る電波遮蔽フード50と同様に、第1ケラレ防止線および第2ケラレ防止線よりも外側において、アンテナ装置1dを覆うように設けられている。
さらに、第6実施形態では、第1ケラレ防止線および第2ケラレ防止線よりも内側の開口部分に、外部レドームカバー60が設けられている。ここで、図17(A)は、外部レドームカバー60の正面図であり、図17(B)は、外部レドームカバー60の上面図である。外部レドームカバー60は、プラスチックやガラスにより形成されており、プラスチックまたはガラスの内部に、複数の金属製のスリット61が埋め込まれている。具体的には、図14および図17(A)に示すように、複数のスリット61は、Z軸方向に一定間隔ごとに配置されており、隣り合うスリット61の間を、Y軸方向から到来する受信波が通過することが可能となっている。
一方、スリット61は、図17(B)に示すように、X軸方向に伸長しており、これにより、Z軸方向(上方向)から到来する受信波は、スリット61に反射して、アンテナ装置1e内部に通過できないようになっている。このように、外部レドームカバー60がスリット61を有することで、検出対象が存在するY軸方向から到来する受信波はアンテナ装置1eの内部に通過することができ、検出対象が存在しないZ軸方向から到来する受信波はアンテナ装置1eの外部で遮蔽される。
また、図16Bに示すように、電波遮蔽体40aの正面側に設置されている内部レドームカバー62は、外部レドームカバー60と同様に、内部に、複数の金属製のスリット63が埋め込まれている。図16Bに示すように、スリット63は、Z軸方向に一定間隔ごとに配置されており、Y軸方向の車両前方の下向き45度で設けられている。これによって、ヘッドライトバルブHLから放射されるヘッドライト光は、スリット63に遮蔽されず、副鏡20cおよびパラボナ反射鏡10に順次反射し、外部レドームカバー60を通過して、アンテナ装置1eの外側(車両前方)に放射されることとなる。同時に、パラボナ反射鏡10を伝搬することなく、外部レドームカバー60を通過した直接到来した電波を遮蔽することができる。
さらに、電波遮蔽体40aの車両右側に向いた側面に設置されている内部レドームカバー64は、外部レドームカバー60と同様に、内部に、複数の金属製のスリット65が埋め込まれている。スリット65は、Z軸方向に一定間隔ごとに配置されており、X軸方向の車両右方向の下向き45度で設けられている。また、内部レドームカバー62と同様に、ヘッドライト光は遮蔽せず、外部レドームカバー60から通過した直接到来した電波を遮蔽することができる。
さらに、電波遮蔽体40aの底面に設置されている内部レドームカバー66は、外部レドームカバー60と同様に、内部に、複数の金属製のスリット67が埋め込まれている。図16Bに示すように、スリット67は、Z軸方向に一定間隔ごとに配置されており、Y軸方向の車両後方の下向き45度で設けられている。レドームカバー62と同様に、ヘッドライト光は遮蔽せず、レドームカバー60から通過した直接到来した電波を遮蔽することができる。
以上のように、第6実施形態に係るアンテナ装置1eは、図15(A),(B)に示すように、車両に搭載され、車両周囲の対象物から受信波を受信する。そして、この受信結果を用いることで、車両周囲の対象物を検出することができる。特に、本実施形態では、アンテナ装置1eを、ヘッドライトバルブHLを内包した状態で、ヘッドライトバルブHLを格納するためのスペース70に搭載することで、ヘッドライト用の反射鏡とパラボナ反射鏡10、副鏡20c,20eとを兼用することができ、車両におけるアンテナ装置1eの省スペース化を図ることができる。
また、第6実施形態では、ヘッドライトバルブHLを、タングステンワイヤーなどによるメッシュ構造を有する電波遮蔽体40aの内側に格納することで、ヘッドライトバルブHLから出力された電磁波が、電波遮蔽体40aから外側に放出され、アレイアンテナ30eに受信されてしまうことを有効に防止することができるとともに、ヘッドライトバルブHLから放出されたヘッドライト光を車両外部に適切に照射することができる。
さらに、第6実施形態に係るアンテナ装置1eでは、第1ケラレ防止線および第2ケラレ防止線よりも内側の開口部分に、スリット61を埋設した外部レドームカバー60を備えることで、対象物が存在するY軸方向から到来する受信波をアンテナ装置1eの内部に通過させるとともに、対象物が存在しないZ軸方向から到来する受信波をアンテナ装置1eの外部で遮蔽することができ、アンテナ装置1eによる対象物の検出精度を高めることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態に係るアンテナ装置を、車両のヘッドライト装置の内部に設置する構成としてもよい。この場合、ヘッドライトミラーを、パラボナ反射鏡10として使用する構成とすることができる。また、ヘッドライトのハイビームおよびロービームの切り替えに応じて、パラボナ反射鏡10を可動させることで、ヘッドライトが照射する範囲から到来する受信波を適切に受信することができ、ヘッドライトの照射範囲のイメージング画像を生成することができる。
また、上述した第5実施形態の構成に代えて、副鏡20eの位置にアレイアンテナ30dを配置する構成としてもよい。すなわち、凸面鏡である副鏡20dで反射した受信波を、アレイアンテナ30dで受信させることで、アレイアンテナ30dの受信面が大きい場合でも、受信波を適切に受信することができる。
さらに、上述した第2〜6実施形態では、副鏡20a〜20eの鏡面の断面形状を、放物線形状に形成する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、副鏡20a〜20eの鏡面の断面形状を、双曲線形状に形成する構成としてもよい。この場合も、アレイアンテナ30の受光面の大きさを自由に調整することが可能となる。
なお、上述した実施形態のパラボナ反射鏡10は本発明の第1反射鏡に、副鏡20,20a〜20eは本発明の第2反射鏡に、アレイアンテナ30,30a〜30dは本発明のアレイアンテナに、アンテナ素子301〜30nは本発明のアンテナ素子に、ヘッドライトバルブHLは本発明の光源に、それぞれ相当する。