JP6379810B2 - 観察装置 - Google Patents

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Description

本発明は、観察装置に関する。
光学顕微鏡は光をプローブとして標本を観察することから非破壊の観察方法として生物研究において広く使われている。特に蛍光顕微鏡は蛍光染色等を行うことで生物内における目的の分子や構造を選択的に検出できることから生物研究において広く使われている顕微鏡である。
生物研究、特に細胞の機能を研究する分野において、高い分解能を持った生物顕微鏡が望まれてきた。細胞のさまざまな機能を受け持つ細胞内小器官は大きいもので1μm程度、小さいものとなると10nm程度のものもあるからである。
通常の蛍光顕微鏡の分解能はおおよそ0.61光波長/開口数で表される。分解能向上のためには、光波長を短くすることと、開口数を大きくすることが必要である。ところが、近紫外線やそれよりも短い光波長を使うと細胞内小器官が死滅するなどの不都合があり、一方の開口数も細胞質の屈折率が1.35〜1.38程度であることからこれを超えることは困難であり、蛍光顕微鏡の分解能はおおよそ200nm程度が限界であった。
近年この限界を越える顕微鏡法として5IM、SIM、PALM、STORM、STED、RESOLFTなどさまざまなものが提案されている。中でもSTED(Stimulated Emission Depletion)技術は、共焦点蛍光顕微鏡の応用技術のひとつであり、光刺激などの共焦点蛍光顕微鏡におけるさまざまな技術との融合が可能であること、生物の動態観測も可能な程度の速度を持つことから期待が持たれている(例えば、非特許文献1を参照。)。
通常の共焦点蛍光顕微鏡では、励起光を標本上の一点に集光し、その点からの蛍光を共焦点光学系により点検出器に導いて捉えるものである。これにより標本面を一括で照明する落射蛍光顕微鏡に比べて標本面内における分解能が若干向上するだけでなく、光軸方向の分解能が大きく向上することを特徴としている。この共焦点蛍光顕微鏡では分解能を主に決めている因子が励起光の点像強度分布の幅であるから、この励起光の点像強度分布を小さくすることができれば分解能を向上させることができる。
Gerald Donnert, Jan Keller, Rebecca Medda, M. Alexandra Andrei, Silvio O. Rizzoli, Reinhard Lu hrmann, Reinhard Jahn, Christian Eggeling, and Stefan W. Hell,"Macromolecular-scale resolution in biological fluorescence microscopy",Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, (米国),2006,vol.103, No. 31,p.11440-11445
STED顕微鏡はほぼ共焦点蛍光顕微鏡と同じ構成となっている。通常の共焦点蛍光顕微鏡とは、上記の点像強度分布をDepletion光、もしくは、STED光と呼ばれる光により実効的に小さくすることが異なる。通常の共焦点蛍光顕微鏡と同様に励起光を標本上に点状に絞って照射するのに加え、観察する標本の蛍光波長の一部と等しい波長を持つ光(Depletion光)を輪帯状にして照射する。その結果、輪帯状のDepletion光によりその領域の蛍光分子は誘導放出を起こしDepletion光と同一の波長で光を放出して基底状態に戻る。従ってDepletion光と異なる波長の蛍光を観測していれば輪帯状のDepletion光の内側からの蛍光しか検出されないことになる。
実際には励起光の点像強度分布の幅と輪帯状のDepletion光の内側のくぼみの幅はほぼ同じである。むしろ、Depletion光波長が励起光のそれに比べ長い分だけ幅広いため、これだけでは実効的な点像強度分布を狭めることはできない。そこで、STED顕微鏡においては非常に強いDepletion光を照射することで輪帯状の光の最大強度付近において飽和を起こさせる。そして、Depletion光強度分布の裾の部分でも誘導放出を起こさせて中央のくぼみを狭めることで、励起光の実効的な点像強度分布を小さくする(第4図)。
Depletion光は誘導放出をさせるために励起分子の蛍光波長の一部と等しい波長を持つ必要があり、実際、従来技術におけるSTED顕微鏡では一例として励起光波長488nmに対して600nm前後のDepletion光を用いることで誘導放出を行っている。ところが、このDepletion光の波長においても蛍光分子の励起確率は0にはならない。Depletion光波長をあまり離すと誘導放出の確率も落ちてしまうことから、現実的にはDepletion光波長は励起光波長から最大でも200nm程度しか離すことができない。励起確率が最大となる波長からどんなに離れていても蛍光の励起確率は厳密には0にならないことから、強いDepletion光により蛍光分子が励起され実効的な点像強度分布がDepletion光の幅で決まってしまい、解像度が十分に向上しないという課題があった。あるいは、強いDepletion光による励起に対して大きな励起光強度とすることで実効的な点像強度分布を狭くすることもできるが、その場合には強い励起光により蛍光分子の退色が激しいという課題もあった。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、Depletion光の悪影響を低減した観察装置を提供することにある。
本発明の一実施形態は、標本に含まれる蛍光分子を励起する第1の光と、励起された前記蛍光分子に誘導放出を生じさせる第2の光とを射出する光源と、前記第1の光と、前記第2の光とをそれぞれ、前記標本上に集光させる光学部材と、前記光源と前記標本との間の前記第2の光の光路上に配置され、前記第2の光を前記標本上で輪帯状の光にする第2の光学部材と、前記標本上の集光位置を可変にする位置可変部と、励起された前記蛍光分子が発する蛍光を検出する検出部と、前記第1の光の波長を所定の変調周波数で変調する変調制御部と、前記所定の変調周波数に基づいて、前記検出部が検出する蛍光から前記第1の光の照射により生じる蛍光を抽出する抽出部とを備える観察装置である。
この発明によれば、Depletion光の悪影響を低減させることができる。
本発明の実施形態に係る観察装置の構成の一例を示す概要図である。 光源の構成の一例を示す概要図である。 ボルテックス位相板による位相遅れの一例を示す概要図である。 標本上での励起光とDepletion光との強度プロファイルの一例を示すグラフである。 標本上での励起効果とDepletion光による誘導放出効果のプロファイルの一例を示すグラフである。 FITCの励起スペクトルと蛍光スペクトルの一例を示すグラフである。
[実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る観察装置1の構成の一例を示す概要図である。本実施形態の観察装置1とは、例えば、生体の細胞などの標本SPを観察する顕微鏡装置である。この標本SPには、励起光が照射された場合に蛍光を発する蛍光分子が含まれている。観察装置1は、標本SPに励起光を照射するとともに、この励起光の照射によって発生した蛍光を検出することにより、標本SPを観察する。また、この観察装置1は、共焦点顕微鏡の原理を応用することにより、解像度(分解能)を向上させる。
[共焦点蛍光顕微鏡技術の概要]
ここで、共焦点蛍光顕微鏡技術の概要について説明する。観察装置1は、標本SPの観察対象の位置に集光するようにして、励起光を照射する。この励起光が照射されることにより、標本SPに含まれる蛍光分子が励起され、蛍光を発する。観察装置1は、この蛍光を光検出器130によって検出することにより、標本SPの構造を観察する。ここで、標本SPは、励起光が集光する位置(集光点)以外の位置からも光を発する。光検出器130が、観察対象の位置以外の位置からの光を検出してしまうと、解像度(分解能)が低下する。
この観察装置1は、標本SPと光検出器130との間の、励起光の集光点と共役である位置に、開口141(ピンホール)を有する遮光板140を備える。この遮光板140は、励起光の集光点から発せられる蛍光以外の光が、光検出器130に入射することを防ぐ。これにより、観察装置1は、遮光板140を備えない場合に比べて、解像度(分解能)を向上させる。
[STED技術の概要]
さらに、この観察装置1は、STED(Stimulated Emission Depletion)技術を採用することにより、解像度(分解能)を向上させる。すなわち、観察装置1は、励起光に加えてSTED光を標本SPに照射することにより、励起光のスポット径を等価的に小さくして、解像度(分解能)を向上させる。なお、以下の説明においては、STED光をDepletion光とも記載する。
より具体的に説明する。観察装置1は、励起光を標本SPに照射することにより標本SPの蛍光分子から発せられる蛍光を観察する。このとき、観察装置1は、励起光のスポット径を小さくして照射することにより、解像度(分解能)を向上させることができる。この励起光のスポット径を小さくするほど、解像度(分解能)を向上させることができる。しかしながら、励起光をスポット状にして照射する光学系には回折限界が存在するため、この回折限界に基づいて決まる最小径よりもスポット径を小さくすることはできない。
そこで、観察装置1は、スポット状に照射した励起光の周囲に、Depletion光をリング状(輪帯状)にして照射する。この標本SPに含まれる蛍光分子は、励起光が照射されて励起状態に遷移する。ここで、励起状態に遷移した蛍光分子に、Depletion光が照射されると、この蛍光分子は、Depletion光と同じ波長の光を放出(誘導放出)して、基底状態に遷移する。すなわち、この蛍光分子は、励起光が照射された位置と、Depletion光が照射された位置とで互いに異なる波長領域の光を放出して基底状態に遷移する。したがって、観察装置1は、入射した光の波長を区別することによって、励起光が照射された位置から発せられた光と、Depletion光が照射された位置から発せられた光とを区別することができる。観察装置1は、Depletion光が照射された位置から発せられた光を除外して、励起光が照射された位置から発せられた光を検出することにより、標本SPの構造を観察する。
このとき、観察装置1は、励起光のスポット径に対して、Depletion光を対物レンズ120の開口数(NA)で決まる最小サイズのリング状にして、励起光とDepletion光とを照射する。これにより、励起光のスポット内においては、Depletion光によって誘導放出される領域が大きくなり、励起光によって蛍光を発する領域が小さくなる。これは、励起光のスポット径を小さくしたことと等価である。すなわち、観察装置1は、励起光のスポット径を回折限界を超えて小さくした場合と同様の効果を得ることができる。これにより、観察装置1は、励起光の回折限界を超えて、解像度(分解能)を向上させることができる。以下、この観察装置1について詳細に説明する。
[観察装置1の構成]
この観察装置1は、レーザー光源101、ダイクロイックミラー108、走査ユニット110、走査レンズ104、リレーレンズ105、ミラー106、対物レンズ120、標本ホルダ107、検出器レンズ109、遮光板140、光検出器130、オシレータ170、同期検出器180、およびデータ処理装置160を備えている。このうち、レーザー光源101について、図2を参照して説明する。
図2は、レーザー光源101の構成の一例を示す概要図である。レーザー光源101は、励起レーザー201、音響光学フィルタ210、励起レーザー用ビームエキスパンダ202、ミラー206、Depletion光レーザー203、Depletion光レーザー用ビームエキスパンダ204、ボルテックス位相板207、ダイクロイックミラー205、およびリレー光学系208を備えている。
励起レーザー201は、標本SPに含まれる蛍光分子を励起する励起光を射出する。以下の説明において、この励起レーザー201が射出する励起光を、励起光L1、または第1の光L1とも記載する。射出された励起光L1は、音響光学フィルタ210、励起レーザー用ビームエキスパンダ202、ミラー206、ダイクロイックミラー205、およびリレー光学系208を介して、ダイクロイックミラー108に入射する。
このうち、音響光学フィルタ210は、外部から印加される波長変調用の信号に基づいて、音響光学フィルタ210を通過する光(励起光L1)の波長を変化させる。この音響光学フィルタ210とは、レーザー光源101と標本SPとの間の励起光L1の光路上に配置され、入力される信号に基づいて、励起光L1の波長を変化させるフィルタ部材の一例である。また、この音響光学フィルタ210とは、音響光学素子の一例である。この音響光学フィルタ210が変化させた光の波長の詳細については、後述する。
励起レーザー用ビームエキスパンダ202は、励起光L1を所定の直径まで広げる。ここで、所定の直径とは、標本SP上に照射される励起光L1を形成するために十分な直径であり、対物レンズ120の後ろ側焦点面を十分覆えるような直径である。
ミラー206は、励起レーザー201から射出された励起光L1を反射して、反射した光をダイクロイックミラー205に入射させる。
Depletion光レーザー203は、標本SPに含まれる蛍光分子のうち、励起された蛍光分子に誘導放出を生じさせるDepletion光を射出する。以下の説明において、このDepletion光レーザー203が射出するDepletion光を、Depletion光L2、または第2の光L2とも記載する。射出されたDepletion光L2は、Depletion光レーザー用ビームエキスパンダ204、ボルテックス位相板207、ダイクロイックミラー205、およびリレー光学系208を介して、ダイクロイックミラー108に入射する。
このうち、Depletion光レーザー用ビームエキスパンダ204は、Depletion光L2を所定の直径まで広げる。ここで、所定の直径とは、対物レンズの後ろ側焦点面を十分覆えるような直径である。
ボルテックス位相板207は、入射するDepletion光L2に位相遅れを与える。このボルテックス位相板207がDepletion光L2に与える位相遅れの一例について、図3を参照して説明する。
ボルテックス位相板207は、入射するDepletion光L2に対して、ボルテックス位相板207の中心を原点として時計回りの回転角に比例してDepletion光波長に対して0〜2πの位相遅れを与える。つまり、ボルテックス位相板207は、中心Oに対して回転対称の位置をそれぞれ通過するDepletion光L2に対して、π[rad]の位相差を与える。これにより、このDepletion光L2が標本SP上に照射された場合に、標本SP上の焦点位置において光強度が0になり焦点位置近傍においてリング状の強度分布を有する輪帯状の光が生成される。
これまで、ボルテックス位相板207を、光源(Depletion光レーザー203)と標本SPとの間のDepletion光L2の光路上に配置され、Depletion光L2を標本SP上で輪帯状の光にする光学部材の一例として説明した。
このDepletion光L2を輪帯状の光にする光学部材は、このボルテックス位相板207に限られない。例えば、ボルテックス位相板207に代えて、Depletion光レーザー用ビームエキスパンダ204の中間にある標本共役の位置に、リング状のスリット(遮光部材)を設けることにより、Depletion光L2を輪帯状の光にしてもよい。
図2に戻り、ダイクロイックミラー205は、ミラー206から入射する励起光L1を反射して、反射した励起光L1をリレー光学系208に入射させる。また、ダイクロイックミラー205は、ボルテックス位相板207から入射するDepletion光L2を通過させて、通過させたDepletion光L2をリレー光学系208に入射させる。つまり、ダイクロイックミラー205は、励起光L1とDepletion光L2とを合成して、合成した照明光L3を、リレー光学系208に入射させる。
リレー光学系208は、入射した照明光L3をダイクロイックミラー108に入射させる。
上述した励起レーザー用ビームエキスパンダ202、およびDepletion光レーザー用ビームエキスパンダ204は、照明光L3に含まれる励起光L1の径(太さ)と、Depletion光L2の径(太さ)とが、励起光L1、Depletion光L2ともに対物瞳を十分に覆える程度の太さとなるように調整する。
図1に戻り、レーザー光源101は、照明光L3をダイクロイックミラー108に入射させる。
ダイクロイックミラー108は、レーザー光源101から出射される照明光L3に含まれる励起光L1の波長、およびDepletion光L2の波長に対しては通過させる特性を有している。また、ダイクロイックミラー108は、標本SPに含まれる蛍光分子から発せられる蛍光L4の波長のうち、Depletion光L2の波長以外の波長に対しては反射させる特性を有している。このため、ダイクロイックミラー108に入射した照明光L3は、ダイクロイックミラー108を通過する。ダイクロイックミラー108を通過した照明光L3は、走査ユニット110に入射する。
走査ユニット110は、X軸走査ミラー111、およびY軸走査ミラー112を備えている。このX軸走査ミラー111、およびY軸走査ミラー112は、照明光L3の集光位置が、標本ホルダ107の測定面107aの上において、直交する2方向(図1に示すX軸方向、およびY軸方向)に移動するように、照明光L3が出射される角度を変更する。すなわち、走査ユニット110は、位置可変部の一例であり、照明光L3を標本SP上でXY方向に走査することにより、焦点が結ばれる標本SP上の位置を可変にする。この走査ユニット110は、走査レンズ104に照明光L3を出射する。
走査ユニット110から出射された照明光L3は、走査レンズ104を介して、入射する照明光L3のうち励起光L1をスポット状に、Depletion光L2をリング状に、一次像面100Aにおいてそれぞれ結像する。また、この照明光L3は、リレーレンズ105、ミラー106を介して対物レンズ120に入射する。
対物レンズ120は、入射した照明光L3を測定面107aに結像させる。これにより、測定面107aに置かれた標本SPの位置において、励起光L1がスポット状に結像し、励起光L1によるスポットを囲むようにしてDepletion光L2がリング状に結像する。(図4、図5参照)このように、照明光L3が標本SPに照射されると、標本SPに含まれる蛍光分子から蛍光L4が生じる。これら走査レンズ104、リレーレンズ105、ミラー106、および対物レンズ120とは、励起光L1と、Depletion光L2とをそれぞれ集光して、標本SP上のある位置に焦点を結ばせる光学部材の一例である。
標本SPから生じた蛍光L4は、再び対物レンズ120で集められ、照射された照明光L3と同じ光路を逆方向に進み、リレーレンズ105によって一次像面100Aで結像され、その後、走査レンズ104、走査ユニット110を経て、ダイクロイックミラー108に入射する。
上述したように、ダイクロイックミラー108は、標本SPに含まれる蛍光分子から発せられる蛍光L4の波長のうち、Depletion光L2の波長以外の波長に対しては反射させる特性を有している。このため、ダイクロイックミラー108は、入射した蛍光L4のうち、Depletion光L2の波長以外の波長の蛍光L5を反射させて、反射させた蛍光L5を検出器レンズ109に入射させる。
検出器レンズ109は、入射する蛍光L5を集光して、集光した蛍光L5を遮光板140に入射させる。
遮光板140は、いわゆるピンホールである開口141を備えている。この遮光板140は、検出器レンズ109から入射する蛍光L5のうち、開口141に入射した蛍光L6を通過させるとともに、開口141に入射しない光を通過させない。つまり、遮光板140は、検出器レンズ109から入射する蛍光L5のうち、開口141に入射した蛍光L6を光検出器130に通過させる。
ここで、標本SPに照明光L3が照射されると、励起光L1が照射される領域(スポット領域)から蛍光が発せられるだけでなく、Depletion光L2の外側に大きく外れた他の領域においても励起光強度が完全になくなるわけではないため、わずかながら蛍光が発せられる。このDepletion光L2の外側に大きく外れた他の領域から発せられた蛍光は、スポット領域から発せられた蛍光とともに、遮光板140に入射する。しかしながら、このDepletion光L2の外側に大きく外れた他の領域から大きく外れた他の領域から発せられた蛍光は、遮光板140上の開口141以外の位置に入射するため、遮光板140を通過しない。すなわち、スポット領域から大きく外れた他の領域から発せられた蛍光は、遮光板140によって遮られる。この結果、観察装置1は、スポット領域から発せられた蛍光を選択して観察することができるため、遮光板140を備えない場合に比べて、解像度(分解能)を向上させることができる。また、上述したスポット領域から大きく外れた他の領域には、標本SPのXY平面上のある領域が含まれる。つまり、観察装置1は、標本SPのXY平面上の領域のうち、Depletion光L2の外側に大きく外れた他の領域から発せられる蛍光を遮断して観察することにより、XY平面上の分解能(横分解能)を向上させることができる。また、上述したDepletion光L2の外側に大きく外れた他の領域には、標本SPのZ軸方向のある領域が含まれる。つまり、観察装置1は、標本SPのZ軸方向の領域のうち、Depletion光L2の外側に大きく外れた他の領域から発せられる蛍光を遮断して観察することにより、Z軸方向の分解能(縦分解能)を向上させることができる。
光検出器130は、遮光板140を通過した蛍光L6を検出し、検出した蛍光L6を示す信号S2を同期検出器180に出力する。すなわち、この光検出器130は、励起された蛍光分子が発する蛍光を検出する検出部の一例である。この光検出器130は、オシレータ170から出力されている波長変調周波数に対して十分な信号帯域を持つホトマルチプライヤやアバランシェフォトダイオード等の光検出素子を備えている。
オシレータ170は、波長変調用の信号S1を生成し、生成した波長変調用の信号S1をレーザー光源101、および同期検出器180に供給する。レーザー光源101の音響光学フィルタ210は、オシレータ170から供給される波長変調用の信号S1に基づいて、音響光学フィルタ210を通過する光(励起光L1)の波長を変化させる。このように、標本SPに照射される励起光L1の波長が変化するため、励起光L1が照射された標本SPに含まれる蛍光分子から発せられる蛍光L4の波長が、励起光L1の波長の変化に応じて変化する。すなわち、オシレータ170は、励起光L1を所定の変調周波数によって変調する変調制御部の一例である。
同期検出器180は、ロックインアンプ等を備えており、光検出器130が出力する蛍光L6を示す信号S2のうち、オシレータ170から供給される波長変調用の信号S1に同期した信号S3を抽出する。また、同期検出器180は、抽出した信号S3をデータ処理装置160に出力する。すなわち、この同期検出器180は、変調制御部が変調する励起光L1の波長の変化と、検出部が検出する蛍光の波長の変化とに基づいて、検出部が検出する蛍光の成分のうち、励起光L1による成分を抽出する抽出部の一例である。つまり、この同期検出器180は、所定の変調周波数に基づいて、検出部が検出する蛍光の一部を抽出する、抽出部の一例である。換言すれば、同期検出器180は、所定の変調周波数と同じ周波数で強度変化する蛍光を抽出する。
データ処理装置160は、同期検出器180が出力する信号S3と、走査ユニット110の走査状態とに基づいて、標本SPの観察結果を示すデータを生成する。
[標本から発生する蛍光について]
次に、蛍光分子を含む標本SPにおける蛍光の発生について説明する。この標本SPに含まれる蛍光分子は、自然放出によって蛍光を発する。また、この蛍光分子は、ある範囲の波長の光(例えば、励起光L1)が照射されることにより励起された場合に、蛍光を発する。すなわち、励起光L1が標本SPに照射されると、励起光L1の強度プロファイルに依存した蛍光が発生する。また、この蛍光分子は、ある範囲の波長の光(例えば、Depletion光L2)が照射されることにより誘導放出が発生する。すなわち、Depletion光L2が標本SPに照射されると、Depletion光L2の強度プロファイルに依存して誘導放出が発生する。励起された蛍光分子は、この誘導放出が発生すると、Depletion光L2と同一の波長の光を発して基底状態に戻る。この誘導放出によって生じる光の波長は、励起光L1によって生じる蛍光の波長範囲に比べて狭い。したがって、観察装置1は、蛍光分子から発せられる光のうち、Depletion光L2の波長とは異なる波長の光を観測することにより、励起光L1によって生じる蛍光のうち、Depletion光L2によって自然放出が抑えられなかった部分からの蛍光を検出することができる。次に、図4、図5を参照して、励起光L1とDepletion光L2とが標本SPに照射された場合の、標本SPにおける蛍光の発生について説明する。
図4は、標本SP上での励起光L1とDepletion光L2の強度プロファイルの一例を示すグラフである。同図に示すように、観察装置1は、標本SP上の観察対象の位置Q(x,y)において、励起光L1をスポット状に、Depletion光L2をリング状にそれぞれ結像させる。ここで、観察対象の位置Q(x,y)における、励起光L1のY軸方向の強度プロファイルの一例を、波形W1によって示す。また、観察対象の位置Q(x,y)における、Depletion光L2のY軸方向の強度プロファイルの一例を、波形W2によって示す。観察装置1は、位置Q(x,y)を中心にして、励起光L1をスポット状に、Depletion光L2をリング状にそれぞれ結像させる。これにより、励起光L1の周辺部に、励起光L1とDepletion光L2とがいずれも照射される領域(図4の領域A1)が生じる。上述したように、蛍光分子は、励起光L1が照射されることにより励起された場合において、さらにDepletion光L2が照射されると、Depletion光L2と同一の波長の光を発して基底状態に戻る。このとき、Depletion光L2の強度が強い領域では、Depletion光L2の強度が弱い領域に比べて、誘導放出がより生じやすい。一例として、位置Q(x,y)を励起光L1の中央部とし、位置R1(x,y−0.5)、および位置R1’(x,y+0.5)を励起光L1の周辺部とした場合について説明する。この一例の場合、波形W2に示すように、Depletion光L2の強度は、スポット状に結像した励起光L1の中央部において弱く、励起光L1の周辺部において強い。したがって、誘導放出は、スポット状に結像した励起光L1の中央部において生じにくく、励起光L1の周辺部において生じやすい。すなわち、スポット状に結像した励起光L1の周辺部においては、励起光L1が照射されているにも関わらず、励起光L1による蛍光を発しない領域が生じる。このことは、Depletion光L2を照射しない場合に比べて、励起光L1のスポット径が小さくなったことと等価である。すなわち、観察装置1は、Depletion光L2を照射することにより、Depletion光L2を照射しない場合に比べて、解像度を向上させることができる。次に、蛍光分子に照射されるDepletion光L2の強度を十分に強くした場合について、図5を参照して説明する。
図5は、標本SP上での励起光L1とDepletion光L2との強度プロファイルの他の一例を示すグラフである。同図に示すように、観察装置1は、標本SP上の観察対象の位置Q(x,y)において、励起光L1をスポット状に、Depletion光L2をリング状にそれぞれ結像させる。ここで、観察対象の位置Q(x,y)における、励起光L1のY軸方向の強度プロファイルの一例を、波形W3によって示す。また、観察対象の位置Q(x,y)における、Depletion光L2の強度を十分に強くした場合の、Depletion光L2のY軸方向の強度プロファイルの一例を、波形W4によって示す。観察装置1は、位置Q(x,y)を中心にして、励起光L1をスポット状に、Depletion光L2をリング状にそれぞれ結像させる。これにより、励起光L1の周辺部に、励起光L1とDepletion光L2とがいずれも照射される領域(図4の領域A2)が生じる。
ここでは、一例として、位置Q(x,y)を励起光L1の中央部とし、位置R2(x,y−0.5)、および位置R2’(x,y+0.5)を励起光L1の周辺部とした場合について説明する。また、一例として、位置R3(x,y−0.1)、および位置R3’(x,y+0.1)を励起光L1の中央部の近傍とした場合について説明する。蛍光分子に照射されるDepletion光L2の強度を十分に強くすると、誘導放出に対して飽和が生じる。このため、蛍光分子に照射されるDepletion光L2の強度を十分に強くすると、波形W4に示すように、Depletion光L2の強度が強い領域が、スポット状に結像した励起光L1の中央部の近傍にまで拡大する。つまり、蛍光分子に照射されるDepletion光L2の強度を十分に強くすると、Depletion光L2の強度が十分に強くない場合に比べて、誘導放出が生じる領域が励起光L1の中央部の近傍にまで拡大する。このように誘導放出が生じる領域が励起光L1の中央部の近傍にまで拡大することは、Depletion光L2の強度が十分に強くない場合に比べて、励起光L1のスポット径が小さくなったことと等価である。すなわち、観察装置1は、強度を十分に強いDepletion光L2を照射することにより、Depletion光L2の強度が十分に強くない場合に比べて、解像度をさらに向上させることができる。
[励起光によって生じる蛍光の抽出]
また、蛍光分子に照射されるDepletion光L2の強度を十分に強くすると、Depletion光L2によって蛍光分子が励起され蛍光を発することがある。このように、Depletion光L2によって生じる蛍光は、励起光L1によって生じる蛍光と区別されずに、観察装置1の光検出器130に入射する。つまり、光検出器130が検出する蛍光L6には、励起光L1によって生じる蛍光と、Depletion光L2によって生じる蛍光とが含まれている。上述したように、Depletion光L2は、スポット状に結像した励起光L1に比べて、標本SP上の広い領域に照射される。つまり、Depletion光L2によって蛍光が発生することは、励起光L1のスポット径が大きくなったことと等価である。したがって、データ処理装置160が、励起光L1によって生じる蛍光と、Depletion光L2によって生じる蛍光とが含まれている蛍光L6に基づいて、そのまま標本SPの観察結果を示すデータを生成すると、解像度が低下してしまうことがある。
そこで、本実施形態の観察装置1は、光検出器130が検出した蛍光L6から、励起光L1によって生じる蛍光を抽出することにより、Depletion光L2によって生じる蛍光の影響を低減する。これにより、観察装置1は、解像度が低下する程度を低減する。次に、図6を参照して、この観察装置1による励起光L1によって生じる蛍光の抽出について、具体的に説明する。
図6は、FITCの励起スペクトルと蛍光スペクトルの一例を示すグラフである。ここで、FITC(fluorescein isothiocyanate)とは、標本SPに含まれる蛍光分子の蛍光色素の一例である。この励起スペクトルとは、照射する励起光L1の励起波長に対して得られる蛍光強度をプロットしたものであり、励起効率に比例する。一例として図6に示す蛍光色素は、照射される励起光L1の波長について、400〜530[nm]の範囲に主な励起効率がある。また、この蛍光色素は、照射される励起光L1の波長が400〜490[nm]の範囲においては、波長が長くなるにつれて励起効率が高くなることがわかる。したがって、この400〜490[nm]の範囲において励起光L1の波長が変化すると、発生する蛍光の強度も変化することがわかる。より具体的には、このFITCの一例の場合、450〜485[nm]の波長領域において波長変調を加えた励起光L1を照射すると、最大の励起効率を1としたときの励起効率は0.22程度から0.82程度に変化し、それに比例して蛍光強度も変動する。
ここで、励起光L1の波長変調について具体的に説明する。オシレータ170は、所定の周波数(例えば、1[MHz])の正弦波状の信号を発生させ、発生させた信号を信号S1として出力する。オシレータ170は、この信号S1によって、音響光学フィルタ210を駆動する。これにより、音響光学フィルタ210は、透過する励起光L1の中心波長を、正弦波状に変化させる。すなわち、音響光学フィルタ210は、オシレータ170が出力する信号S1に基づいて、励起光L1に波長変調をかける。この音響光学フィルタ210が備える音響光学素子においては、ブラッグ反射条件近傍では、その媒質中の音速をV、音波の周波数f、光の波長λ、光の入射角度θに対して、次の式(1)に示す関係が成り立つ。
2sinθ=λf/V …(1)
ここで、入射角度θが一定であれば、音響光学素子によって回折される光の波長は、変調周波数に逆比例する。具体的には、振幅Δf、音波の中心周波数f、音波に変調周波数f’で変調を加えた場合には近似的に、次の式(2)が成り立つ。
λ=λ+2sinθ(V/f )Δfcos(2πf’t) …(2)
すなわち、この式(2)により、音響光学フィルタ210を通過する波長に変調が加わることがわかる。ただし、λは透過光の中心波長であり、式(1)が成り立つから、
λ=2sinθ(V/f) …(3)
となる。
この式(3)によると式(2)は、式(4)とも表すことができる。
λ=λ(1+Δf/f)cos(2πf’t) …(4)
励起レーザー201は、例えば、白色レーザーなどの発振波長幅の広いレーザーである。この励起レーザー201が出射する励起レーザーは、上述のように変調の加えられた音響光学フィルタ210を通過することにより、その広い発振波長幅のうち一部の波長の光が切り取られて励起光L1として出射される。この発振波長幅の広いレーザーとしては、近赤外領域においてはタイサファイヤレーザー、近紫外〜可視領域であればそのタイサファイヤレーザーの第二高調波を使うことができる。あるいは、100[fsec]程度以下のパルス幅を持つ超短パルスレーザーを非線形光ファイバに通すことで自己位相変調により波長幅を広げたレーザーや自由電子レーザー等も利用可能である。
また、観察装置1は、波長600[nm]の単色光をDepletion光L2として標本SPに照射する。ここで、Depletion光L2は波長変調されていないため、Depletion光L2によって標本SPに含まれる蛍光分子が励起された場合に生じる蛍光には、強度変化が生じない。このため、同期検出器180は、波長変調された励起光L1に対応して強度が変化する蛍光を抽出して、抽出した蛍光を示す信号を信号S3として出力する。すなわち、同期検出器180は、光検出器130が検出した蛍光L6のうち、Depletion光L2によって生じる蛍光を除去する。これにより観察装置1は、強度が十分に強いDepletion光L2によって生じる蛍光の影響を低減することができるため、解像度が低下する程度を軽減することができる。つまり、観察装置1は、強度が十分に強いDepletion光L2を照射することにより、Depletion光L2の強度が十分に強くない場合に比べて、解像度をさらに向上させることができる。
[変形例]
なお、同期検出器180は、光検出器130が出力する蛍光L6を示す信号S2のうち、オシレータ170から供給される波長変調用の信号S1に同期した信号S3を抽出する。つまり、波長を周波数Fで変調した場合、周波数Fに同期した信号S3を抽出する。このときに、同期検出器180は、周波数Fの整数倍である高次変調成分の蛍光を信号S3として抽出してもよい。この同期検出器180が、高次変調成分に基づいて、信号S3を抽出する一例について説明する。
図6に示したように、励起スペクトルは、450〜485[nm]の波長領域において波長変調を加えた励起光L1を照射すると、最大の励起効率を1としたときの励起効率は0.22程度から0.82程度に変化し、それに比例して蛍光強度も変動する。このとき、波長の変化に対する励起効率の変化は、非線形である。したがって、波長を周波数Fで変調した場合、変調された蛍光強度は、高調波成分(2F成分等)を有する。同期検出器180は、2次高調波成分(2F成分)の蛍光を信号S3として抽出する。このように、高次変調成分に基づいて信号S3を抽出することにより、基本変調成分に基づいて信号S3を抽出する場合に比べて、信号S2に含まれる雑音を低減して、信号S3を抽出することもできる。
すなわち、これまで同期検出器180は、所定の変調周波数と同じ周波数で強度変化する蛍光を抽出するとして説明したが、これに限らない。すなわち、同期検出器180は、が抽出する蛍光の強度変化の周波数は、所定の変調周波数と同じ周波数に限らない。光検出器130は、所定の変調周波数のN倍(Nは2以上の整数)で強度変化する蛍光を抽出するよう構成されてもよい。
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
なお、オシレータ170から出力する信号S1としては上述のような正弦波のほか、パルスであってもかまわない。その場合でも上記の構成はそのまま利用することができる。
また、本実施形態においては、一光子励起を例として説明したが、多光子励起の顕微鏡にも応用できる。その場合、レーザー光源101内における励起レーザー201を多光子励起のためのレーザー、例えば、タイサファイヤレーザーにすればよい。
また、励起レーザー201は、白色レーザーなどの発振波長幅の広い単一のレーザーであるとして説明したが、これに限られない。例えば、励起レーザー201は、発振波長幅の狭いレーザーを複数組み合わせることによって、発振波長幅を広くしてもよい。
また、本実施形態においては、ボルテックス位相板207によってDepletion光L2をリング状(輪帯状)に結像させる具体例について説明したが、これに限られない。例えば、観察装置1は、ボルテックス位相板207に代えて、輪帯状の遮光板を標本共役の位置に備えていてもよい。
また、本実施形態においては、励起レーザー201は、発振波長のスペクトルが固定されており、音響光学フィルタ210が波長を変化させることで、励起光L1の波長を変調する例を説明したが、これに限られない。例えば、励起レーザー201とは、入力される信号に基づいて、射出する励起光L1の波長を変化可能な波長可変レーザーであってもよい。すなわち、光源(レーザー光源101)は、入力される信号に基づいて、射出する励起光L1の波長を変化可能な波長可変レーザーを備えていてもよい。また、この場合、変調制御部(オシレータ170)は、励起レーザー201に変調信号を出力する。このように構成しても、励起光L1の波長を変調することができる。
また、本実施形態においては、フィルタ部材が音響光学フィルタ210である例について説明したが、これに限られない。フィルタ部材は、光の入射角度に応じて透過する光の波長が変化する干渉フィルタであってもよい。この場合、観察装置1は、入力される信号に基づいて、干渉フィルタに励起光L1が入射する角度を可変にする不図示の角度可変部をさらに備える。また、この場合、変調制御部(オシレータ170)は、角度可変部に変調信号を出力する。このように構成しても、励起光L1の波長を変調することができる。
また、この場合、観察装置1は、角度可変部に代えて、または角度可変部に追加して、不図示の励起光入射位置可変部を備えていてもよい。この励起光入射位置可変部は、入力される信号に基づいて、フィルタ部材に励起光L1が入射する位置を可変にする。この場合、変調制御部(オシレータ170)は、この励起光入射位置可変部に変調信号を出力する。このように構成しても、励起光L1の波長を変調することができる。
また、X軸走査ミラー111、およびY軸走査ミラー112を備える走査ユニット110を、位置可変部の一例として説明したが、これに限られない。例えば、位置可変部は、標本ホルダ107を、図1に示すX軸方向、およびY軸方向に駆動するXYステージであってもよい。このように構成しても、位置可変部は、照明光L3の焦点が結ばれる標本SP上の位置を可変にすることができる。
なお、上述した各実施形態の観察装置1が備えるデータ処理装置160、および同期検出器180(以下、これらを総称して、各制御部と記載する。)は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
なお、観察装置1が備える各制御部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、表示装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
また、観察装置1が備える各制御部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部が備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ウェブページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
1…観察装置、
101…レーザー光源、110…走査ユニット、130…光検出器、140…遮光板、170…オシレータ、180…同期検出器、160…データ処理装置、201…励起レーザー、203…Depletion光レーザー、207…ボルテックス位相板、210…音響光学フィルタ

Claims (8)

  1. 標本に含まれる蛍光分子を励起する第1の光と、励起された前記蛍光分子に誘導放出を生じさせる第2の光とを射出する光源と、
    前記第1の光と、前記第2の光とをそれぞれ、前記標本上に集光させる光学部材と、
    前記光源と前記標本との間の前記第2の光の光路上に配置され、前記第2の光を前記標本上で輪帯状の光にする第2の光学部材と、
    前記標本上の集光位置を可変にする位置可変部と、
    励起された前記蛍光分子が発する蛍光を検出する検出部と、
    前記第1の光の波長を所定の変調周波数で変調する変調制御部と、
    前記所定の変調周波数に基づいて、前記検出部が検出する蛍光から前記第1の光の照射により生じる蛍光を抽出する抽出部と
    備える観察装置。
  2. 前記抽出部は、
    前記所定の変調周波数と同じ周波数で強度変化する蛍光を抽出する
    求項1に記載の観察装置。
  3. 前記抽出部は、
    前記所定の変調周波数のN倍(Nは2以上の整数)で強度変化する蛍光を抽出する
    求項1または請求項2に記載の観察装置。
  4. 前記光源は、
    入力される信号に基づいて、射出する前記第1の光の波長を変化可能な波長可変レーザーを備え、
    前記変調制御部は、
    前記光源に変調信号を出力する
    求項1から請求項3のいずれか一項に記載の観察装置。
  5. 前記光源と前記標本との間の前記第1の光の光路上に配置され、入力される信号に基づいて、前記第1の光の波長を変化させるフィルタ部材
    をさらに備え、
    前記光源は、
    白色光を前記第1の光として射出し、
    前記変調制御部は、
    前記フィルタ部材に変調信号を出力する
    求項1から請求項4のいずれか一項に記載の観察装置。
  6. 前記フィルタ部材とは、音響光学素子である、
    求項5に記載の観察装置。
  7. 前記フィルタ部材とは、光の入射角度に応じて透過する光の波長が変化する干渉フィルタであり、
    入力される信号に基づいて、前記干渉フィルタに前記第1の光が入射する角度を可変にする角度可変部
    をさらに備え、
    前記変調制御部は、
    前記角度可変部に変調信号を出力する
    求項5に記載の観察装置。
  8. 前記フィルタ部材とは、光の入射位置に応じて透過する光の波長が変化する干渉フィルタであり、
    入力される信号に基づいて、前記フィルタ部材に前記第1の光が入射する位置を可変にする位置可変部
    をさらに備え、
    前記変調制御部は、
    前記位置可変部に変調信号を出力する
    求項5に記載の観察装置。
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