JP6379432B1 - 農業用ハウスの遮熱材、農業用ハウスの遮熱構造、及び農業用ハウス - Google Patents
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Abstract
Description
これらの中で、光合成に寄与しているのが人間の目に見える可視光線であり、温度上昇に寄与しているのが熱量の大きい赤外線、可視光線、紫外線等である。
また、農業用ハウスの屋内側に、アルミ箔シートをカーテン状にして壁面側に垂らし、太陽光を遮断することで、夏の暑さ対策に利用しているものがある。
さらに、農業用ハウスの屋内側に、空間を開けて更にビニールシートを全面に貼り、二重構造で、農業用ハウス(ビニールハウス)内の保温性能を向上させているものもある。
そして、ビニールハウスの屋内に滞留した熱は、そのまま保温されるのでビニールハウスの屋内は、さらに温度が上昇する。このように、ビニールシートの二重構造は、夏場の熱の対策には不向きである。
冬場は、ビニールシートが二重構造になっているので、空気伝導熱に対する保温性は向上するが、ビニールシートの放射率は大きいので、ビニールシート表面から屋外に放出される輻射熱の量は大きく、結果的には満足できる保温性能は望めない。
以上より、本発明の農業用ハウスの遮熱材を農業用ハウスに適用し、遮熱構造を形成することにより、寒さや暑さから農業用ハウス内の植物を守り、生産性を容易に向上させることができる。
本実施形態に係る農業用ハウスの遮熱材、及びこの農業用ハウスの遮熱材を使用した農業用ハウスの遮熱構造について、図1及び図2を参照し説明する。
本実施形態に係る農業用ハウスの遮熱材(以下、遮熱材とも記す。)は、農業用ハウスを構成する骨材の外側や既存の農業用ハウス(ビニールハウス)の外側に取り付けられる。
1つ目の遮熱材1Aは、図1(a)に示すように、太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層2と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔3と、第一接着層4と、樹脂フィルム5とが順次積層されている。
2つ目の遮熱材1Bは、図1(b)に示すように、太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層2と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔3と、第一接着層4と、樹脂フィルム5と、第二接着層6と、輻射熱に対して高反射率の第二金属箔7と、輻射熱に対して高透過率の第二樹脂層8とが順次積層されている。
第一樹脂層2は、着色され、輻射熱に対して高透過率を有する樹脂、例えば、着色された塩化ビニルを使用できる。
第一樹脂層2は、例えば、顔料や紫外線吸収剤等を含むことで着色され、この顔料等によって、入射した太陽光は散乱される。
第一金属箔3には、輻射熱に対する反射率が、高いものを使用する。この反射率が高いほど輻射熱の阻止性能は高くなる。なお、輻射熱に対して高反射率とは、輻射熱に対する反射率が80%以上であることを意味する。
第一金属箔3は、種類は限定されないが、例えば、価格が安く、反射率の高いアルミ二ウム箔を使用できる。このアルミ箔は、約5〜10μmのものを使用される。
樹脂フィルム5は、第一接着層4を介して、第一金属箔3と積層されている。樹脂フィルム5は、第一金属箔3(第二金属箔7)を補強する材料(補強材)として用いる。
この樹脂フィルム5には、例えば、塩化ビニルを使用する。なお、この樹脂フィルム5は、第一金属箔3(第二金属箔7)の補強材であるため、強度等の性能が同じであれば、他の素材を使用することもできる。
また、第一接着層4には、ポリエステルフィルムを使用し、このポリエステルフィルムによって、樹脂フィルム5と第一金属箔3は、熱溶着されている。
第二金属箔7には、輻射熱に対する反射率が、高いものを使用する。輻射熱に対して高反射率とは、輻射熱に対する反射率が80%以上であることを意味する。
第二金属箔7は、第一金属箔3と同じ素材であるアルミ箔を使用する。なお、第二金属箔7には、第一金属箔3と異なる素材を使用することもできる。
この第二金属箔7は、第二接着層6を介して、樹脂フィルム5に熱溶着されている。
この第二接着層6には、ポリエステルフィルムを使用し、このポリエステルフィルムによって、樹脂フィルム5と第二金属箔7は、熱溶着されている。
第二樹脂層8は、輻射熱に対して高透過率を有する樹脂、例えば、塩化ビニルを使用できる。第二樹脂層8は、例えば、第一樹脂層2の着色されていないものを使用する。
この第二樹脂層8は、第二金属箔7の保護する役割を担う。
本実施形態に係る農業用ハウス10は、通常の農業用ハウスに使用されるビニールシートを、本実施形態に係る遮熱材1で代替したものである。
遮熱材1は、第一樹脂層2が屋外側(太陽光の入射側)となるように設けられている。遮熱材1Aを使用する場合は、樹脂フィルム5が屋内側となるように設けられ、遮熱材1Bを使用する場合は、第二樹脂層8が屋内側となるように設けられる。
照明器具には、例えばLEDランプを使用することができ、取り付ける個数は農業用ハウスのサイズに合わせて、適宜決定する。
本実施形態に係る農業用ハウス10は、ビニール等の代替品として遮熱材1Aを、農業用ハウスの骨材11の周囲を包み込むように施工し、太陽光を取り込まなくてもLEDランプや照明等を使用することで植物を生産できる。特に、年間を通して一定温度に保ちたい植物の生産により効果的である。
第一金属箔3を屋外側となるように設けることで、太陽光からの輻射熱を反射させ、輻射熱が農業用ハウス10の内部に侵入することを効率的に阻止し、農業用ハウス10の屋内に侵入する輻射熱を大幅に削減できる。
農業用ハウス10の内部の温度を保つためには、ボイラーやエアコン等により熱の供給が必要であるが、本実施形態の農業用ハウス10では、遮熱材1Aにより、侵入する輻射熱量を削減できるため、ボイラー等により供給される熱は、非常に少なくてすみ、電気の使用量を抑えることができる。
また、大気からの伝導熱はそのまま輻射熱に対して第一金属箔3、樹脂フィルム5を介して、農業用ハウス10の屋内に伝達され、農業用ハウス10の屋内の温度が上昇する要因となる。しかし、大気からの伝導熱は気温以上とはならないため、この熱量はそれほど大きなものではない。したがって、農業用ハウス10の屋内で、冷却装置を使用した場合でも、電気の使用量は非常に少なくできる。
しかし、第一金属箔3は伝導熱の阻止力が高く、第一金属箔3の内側に留まり、大気側に放出されるのは極わずかである。つまり、農業用ハウス10の骨材の外側から第一金属箔3で被覆することで、内部の保温性能は格段に向上する。
さらに、第一金属箔3は、水分を透過させないため、空調設備を使用することで、農業用ハウス10の屋内の湿度を容易に調整することができる。
このように、本実施形態の遮熱材1を使用した農業用ハウス10は、光と熱の調整が容易にでき、この農業用ハウス10を利用することで、植物栽培の新たな方法が開発されることが期待できる。
本実施形態に係る遮熱材1Aは、一番屋外側に第一樹脂層2が配置される。この第一樹脂層2は、着色素材が含有されており、その着色素材により、輻射熱が乱反射する。そのため、この遮熱材1Aは、太陽光の下でも眩しさを感じることなく、かつ人間や動物の目を傷めることを回避できる。
第一金属箔3が金属製であるため酸やアルカリ成分、あるいは水分等で腐食し易いが、第一金属箔3よりも屋外側に第一樹脂層2を設けることにより、第一金属箔3が腐食することを防止できる。
屋外の気温が農業用ハウス10の屋内の温度より低い場合、熱は農業ハウス10の屋内側から屋外側に移動する。
本実施形態に係る遮熱材1Bは、遮熱材1Aの屋内側に、輻射熱に対して高反射率の素材である第二金属箔7が取り付けられているため、熱移動する輻射熱は、第二金属箔7で反射し、農業用ハウス10の屋内側にとどまる。そうすると、屋内側の熱が屋外側に放出されず、農業用ハウス10の屋内の保温性能を高めることができる。
さらに、第二金属箔7が屋内側に配置されていることによって、樹脂フィルム樹脂5に吸収される熱量が少なくなる。そうすると、輻射熱の働きが活発になり、屋内の温度の均一性が高まる。
本実施形態の農業用ハウス20(遮熱構造)は、遮熱材1を既存のビニールハウスに取り付ける点で、第一実施形態の農業ハウスとは相違する。使用する遮熱材1の構成は、第一実施形態のものと同様であるため、説明は省略する。
本実施形態に係る農業用ハウス20は、太陽の入射角度を利用し、遮熱材1で太陽光を遮蔽したり、あるいは農業用ハウス20の屋内の熱を保温したりできる。
すなわち、太陽の高度を熱量の大きさと捉える、その太陽の高度に合わせて遮熱材1を設ける位置を決定するエネルギー効率を高めたり、あるいは生産効率を高めたりすることを目的としている。
本実施形態では、遮熱材1を既存のビニールハウスの特定の箇所に設ける例(夏場の使用例、冬場の使用例)について説明する。
夏場の太陽光の高度は約78度であり、夏場は屋根12を中心に遮熱材1を施工することにより、強い太陽光を遮蔽する。また、片側の壁面部は未施工とすることで、この壁面部側から太陽光を取り込み、植物の光合成を可能とすることもできる。
冬場の太陽の高度は約30度といわれており、屋根12の特定部分や北壁面を遮熱することで、南側の壁面部分から太陽光を取り込み、ハウス内の保温性能を高めることができる。
なお、遮熱材1は、ビニールハウス全面に施工することもでき、屋外からの輻射熱の侵入を阻止でき、保温性能は高めることができる。
植物の萎れ等は、高温の太陽光が連続して照射されることに起因すると考えられる。これを防止するには、遮熱材1を施工する面と未施工面を交互に設ける、すなわち、日陰部分と日向部分を交互に作ることが有効である。
本実施形態の変形例では、既存のビニールハウスの屋内の土壌に対し、日陰部分と日向部分とが交互に形成される農業用ハウス30について説明する。
本実施形態の変形例に係る農業用ハウス30に使用する遮熱材1は、両端部に連結部としてのハトメ31が二つ形成されている。また、農業用ハウス30の幅方向Yの両側の地表には、固定具としてのパイプ32が設けられている。
遮熱材1は、ハトメ31とパイプ32とを、連結部材としてのゴム紐33等で連結することによって、ビニールハウスの屋根12に設けられる。この遮熱材1は、長手方向Xに自由に移動させることができ、任意の位置で固定することができる。
そのため、屋内の植物に高温の太陽光が連続して照射されることが回避され、植物の萎れ等を防止することができる。
また、遮熱材1によって、土壌に太陽光が照射されないと、土壌からの水分蒸発量が少なくなり、ハウス内壁の結露も少なくなる。
幅600ミリメートル、高さ500ミリメートルの樹脂製アーチ型ハウス骨材を、200ミリメートルの間隔毎に設置、ハウス骨材の周囲に厚み0.1mmのビニールで覆った長さ1メートルの農業用ハウスを2棟作成した。
そのうち、一棟には、ビニールの外側から更に厚み0.1ミリメートルのアルミニウム箔遮熱材(商品名:THB−WBE1)を全面に覆うように施工した(以下、アルミニウム箔遮熱材で覆った農業用ハウスを遮熱ハウスと呼ぶ。)
温度計には、サーモレコーダーを使用し、地表に一カ所、更にハウスの天端より5センチメートル下側のハウス内部と合計2カ所に設置した。
天候は、晴れたり曇ったり風も時々吹いたが、8時頃から翌日の8時までの24時間測定した。
イ)全体として、昼間はビニールハウス内の温度が遮熱ハウスより明らかに高く、日射しがない夜間は、遮熱ハウスの屋内の温度が高くなった。結果として、遮熱材で遮熱すると屋外からの熱の遮蔽性能と遮熱ハウスの屋内の保温性能が高まることが解る。
ロ)ビニールハウス内では、太陽光が照射されると、土の表面温度が急速に上昇し、土の表面は過乾燥状態となる。土の表面温度は、12時頃から13時30分頃が最も高く、ビニールハウスの屋内は、遮熱ハウスの屋内よりも27℃以上高く、土の表面はサラサラの状態であった。また、ビニールハウスの表面全体には、土から蒸発した水分が付着し、結露していた。
ハ)屋内の屋根側の温度は、昼間では、遮熱ハウスの温度がビニールハウス内の温度と比較して明らかに高いことが解る。また、夜間は、この傾向は逆転し、遮熱ハウスの温度はビニールハウス内の温度と比較し、低くなった。
二)遮熱ハウスの屋内で、植物が光合成を行うことはできないが、ビニールハウスと比較し、昼夜の温度差が小さく、屋内環境を低温化し易い構造と言える。
幅600ミリメートル、高さ500ミリメートルの樹脂製アーチ型ハウス骨材を200ミリメートルの間隔毎に設置、ハウス骨材の周囲に厚み0.1ミリメートルのビニールで覆った長さ1メートルの農業用ハウスを2棟作成した。
そのうち、一棟には、ビニールの外側から更に0.1ミリメートルの遮熱材THB−WBE1を全面に覆う様に施工した遮熱ハウスとした。ただし、遮熱試験2では、遮熱ハウスの両側面を地表から約10センチ切断し、屋外の光の侵入ができるようにした。
温度計は、サーモレコーダーを使用し、地表に一カ所、更にハウスの天端より5センチメートル下側のハウス内部と合計二カ所に設置した。午前中は晴れ、午後は曇りの天候下、9時頃から翌日の9時までの24時間測定した。
イ)昼間、地表面温度は12時頃が最高となり、ビニールハウスの屋内の温度が71.7℃に対し、遮熱ハウスの屋内の温度は34.8℃となり、遮熱ハウスの方が36.3℃も低いことが解る。つまり、遮熱材にて輻射熱を遮断すると、地表面の温度を大幅に低下することができ、土の湿度を保つことができる。
ロ)夜間は、地表面の温度は、昼間と逆転し、遮熱ハウスの屋内の方が高くなる。
ハ)屋内上部の温度は、実施例1と同様、ビニールハウスの方が昼間は高く、夜は低くなる傾向であった。
2 第一樹脂層(着色した高透過樹脂層)
3 第一金属箔(輻射熱に対して高反射率の金属箔)
4 第一接着層(ポリエステル等接着層)
5 樹脂フィルム
6 第二接着層(ポリエステル等接着層)
7 第二金属箔(輻射熱に対して高反射率の金属箔)
8 第二樹脂層(高透過樹脂層)
10,20,30 農業用ハウス
11 骨材
13 ビニールシート
31 ハトメ(連結部)
32 パイプ(固定具)
33 ゴム紐等(連結部剤)
X 長手方向
Y 幅方向
Claims (6)
- 農業用ハウスに設けられる農業用ハウスの遮熱材であって、
太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔と、第一接着層と、補強材としての塩化ビニル樹脂フィルムと、第二接着層と、輻射熱に対して高反射率の第二金属箔と、輻射熱に対して高透過率の第二樹脂層とが順次積層され、
前記農業用ハウスを構成する骨材の外側に取り付けられ、前記太陽光からの輻射熱を前記第一金属箔で反射させ、前記農業用ハウス内部からの輻射熱を前記第二金属箔で反射させることで、前記農業用ハウスの内部の保温性を向上させる、
ことを特徴とする農業用ハウスの遮熱材。 - 農業用ハウスに設けられる農業用ハウスの遮熱材であって、
太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔と、第一接着層と、補強材としての塩化ビニル樹脂フィルムと、第二接着層と、輻射熱に対して高反射率の第二金属箔と、輻射熱に対して高透過率の第二樹脂層とが順次積層され、
既存の前記農業用ハウスの外側に取り付けられ、前記太陽光からの輻射熱を前記第一金属箔で反射させ、前記農業用ハウス内部からの輻射熱を前記第二金属箔で反射させることで、前記農業用ハウスの内部の保温性を向上させる、
ことを特徴とする農業用ハウスの遮熱材。 - 請求項1又は請求項2に記載の農業用ハウスの遮熱材が、農業用ハウスの外側の長手方向に間隔をあけて、複数取りつけられた、
ことを特徴とする農業用ハウスの遮熱構造。 - 前記農業用ハウスの遮熱材の端部に連結部が設けられ、前記連結部と前記既存の農業用ハウスの幅方向の両側の地表に設けられた固定具とを、連結部材によって連結することで、前記農業用ハウスの遮熱材を前記農業用ハウスの長手方向における任意の位置に固定できる、
ことを特徴とする請求項3に記載の農業用ハウスの遮熱構造。 - 併設された複数の骨材を、請求項1又は請求項2に記載の農業用ハウスの遮熱材で被覆する、
ことを特徴とする農業用ハウス。 - 内部に、照明器具を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の農業用ハウス。
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