JP6379432B1 - 農業用ハウスの遮熱材、農業用ハウスの遮熱構造、及び農業用ハウス - Google Patents

農業用ハウスの遮熱材、農業用ハウスの遮熱構造、及び農業用ハウス Download PDF

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Abstract

【課題】寒さや暑さから農業用ハウス内の植物を守り、生産性を容易に向上させることのできる農業用ハウスの遮熱材、農業用ハウスの遮熱構造、及び農業用ハウスを提供する。【解決手段】農業用ハウスの遮熱材1は、太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔と、第一接着層と、樹脂フィルムと、第二接着層と、輻射熱に対して高反射率の第二金属箔と、輻射熱に対して高透過率の第二樹脂層とが順次積層された構成をとる。この農業用ハウスの遮熱材1を骨材11の外側や既存のビニールハウスの外側に設けることで、植物の生産性を容易に向上させることのできる農業用ハウスの遮熱構造、及び農業用ハウスを提供できる。【選択図】図2

Description

本発明は、農業用ハウスに使用するビニール等の代替素材として、あるいは既存のビニールハウスの屋外側に取り付ける輻射熱の阻止材として使用することにより、冬場の農業用ハウス内の保温効果を高め、夏は太陽光を反射することにより植物の過乾燥防止や低温の屋内環境を作ることにより、寒さや暑さから植物を守り、生産性を簡単に向上させる農業用ハウスの遮熱材、農業用ハウスの遮熱構造、及び農業用ハウスに関する。
野菜や果物が正常に生育するには、光、温度、水、養分が必要である。これらの栽培にはビニールハウス(農業用ハウス)が多く使用されている。ビニールハウスを使用する目的は、ビニールは太陽光を良く透過するため、植物の光合成が促進されることや、土壌や植物に太陽光が照射されることにより発生する熱を保温でき、作物の栽培期間を長くすることができることにある。
近年、地球温暖化に伴い、夏場のビニールハウス内の温度は大きく上昇し、光合成は十分であるものの野菜や果物が過乾燥状態となり、萎れたり、あるいは生育不足が起こり生産性の低下は否めない。また、冬場や夜間のビニールハウスは太陽光を透過し易いが故に、逆に熱の放射量も多く、保温性能を十分に確保できていない。
太陽から地球に照射されている太陽光、いわゆる放射エネルギーは、その移動形態から伝導熱、対流熱、輻射熱に分類されている。輻射熱は電磁波とも言われ、波長の長さによって、ガンマ線、紫外線、可視光線、赤外線、電波に区分されている。
これらの中で、光合成に寄与しているのが人間の目に見える可視光線であり、温度上昇に寄与しているのが熱量の大きい赤外線、可視光線、紫外線等である。
植物の生産性を向上させるためには、農業用ハウスに最も影響を与える輻射熱を遮蔽したり、あるいは取り込んだりするかが、重要となる。また、輻射熱を阻止するには、輻射熱に対して高反射率の金属箔が良いことが知られている(例えば、特許文献1)。
農業用ハウス(例えば、ビニールハウス)の屋外側に、樹脂の繊維で作られたネットを掛け、ネットで太陽光を遮断する、あるいは吸収することにより、農業用ハウス内への熱の侵入を防止する方法が行われている。
また、農業用ハウスの屋内側に、アルミ箔シートをカーテン状にして壁面側に垂らし、太陽光を遮断することで、夏の暑さ対策に利用しているものがある。
さらに、農業用ハウスの屋内側に、空間を開けて更にビニールシートを全面に貼り、二重構造で、農業用ハウス(ビニールハウス)内の保温性能を向上させているものもある。
特開2017−081161号公報
ビニールハウスの周囲に、樹脂の繊維で作ったネットを掛け、ネットで太陽光を遮断、あるいは吸収し、夏の暑さから植物を守る対策をする場合、樹脂の繊維で作成したネットは、太陽光を充分に阻止できない。
また、農業用ハウスの屋内側に、アルミ箔シートをカーテン状に壁面側に垂らし、太陽光を遮断してハウス内の温度を調節しているものもある。アルミ箔は、輻射熱の反射性能が高いので、ビニールハウスを透過してハウス内に侵入する輻射熱を反射、植物に照射される熱の大半を阻止することができる。しかし、光合成に必要な可視光線をも遮ることになるので、アルミ箔シートを時折開閉する必要が生じる。
また、夏場は太陽の高度が高くなるため、壁面より屋根面からの熱が多く、壁面側に設置したカーテンでは不十分である。一方、冬や夜間は、屋外よりも屋内の温度が高くなるため、屋内の熱はビニール等から屋外に放出される。この場合、アルミ箔シートでハウス内全面を密封されていれば効果はあるが、カーテン状では密封できない。そのため、屋内の熱は屋外に放出され保温性が低下する。
農業用ハウスの屋内側に、空間を開けて更にビニールシートを全面に貼る二重構造の農業用ハウスもある。夏場、ビニールハウスに熱を与えるのは輻射熱が最も多いが、ビニールシートは輻射熱を透過し易く、また、一度ビニールハウス内に侵入した熱は屋内側のビニールシートに吸収され、再び輻射熱として植物や土壌に放射され熱を発生する。
そして、ビニールハウスの屋内に滞留した熱は、そのまま保温されるのでビニールハウスの屋内は、さらに温度が上昇する。このように、ビニールシートの二重構造は、夏場の熱の対策には不向きである。
冬場は、ビニールシートが二重構造になっているので、空気伝導熱に対する保温性は向上するが、ビニールシートの放射率は大きいので、ビニールシート表面から屋外に放出される輻射熱の量は大きく、結果的には満足できる保温性能は望めない。
そこで、本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、寒さや暑さから農業用ハウス内の植物を守り、生産性を容易に向上させることのできる農業用ハウスの遮熱材、農業用ハウスの遮熱構造、及び農業用ハウスを提供することを目的とする。
本発明の農業用ハウスの遮熱材は、農業用ハウスに設けられるものであって、太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔と、第一接着層と、樹脂フィルムとが順次積層されていることを特徴とする。
本発明の農業用ハウスの遮熱材は、樹脂フィルムの地表側に、太陽光の入射側から、第二接着層と、輻射熱に対して高反射率の第二金属箔と、輻射熱に対して高透過率の第二樹脂層とが順次積層されていることを特徴とする。
本発明の農業用ハウスの遮熱構造は、上記の農業用ハウスの遮熱材を、農業用ハウスを構成する骨材の外側に取りつけることを特徴とする。
本発明の農業用ハウスの遮熱構造は、上記の農業用ハウスの遮熱材を、既存の農業用ハウスの外側に取り付けることを特徴とする。
本発明の農業用ハウスの遮熱構造は、上記の農業用ハウスの遮熱材の端部に連結部が設けられ、連結部と既存の農業用ハウスの幅方向の両側の地表に設けられた固定具とを、連結部材によって連結することで、農業用ハウスの遮熱材を農業用ハウスの長手方向における任意の位置に固定できることを特徴とする。
本発明の農業用ハウスは、併設された複数の骨材を、上記の農業用ハウスの遮熱材で被覆することを特徴とする。
本発明の農業用ハウスは、内部に照明器具を備えることを特徴とする。
本発明の農業用ハウスの遮熱材は、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔が屋外側となるように農業用ハウスに設けられる。そうすると、太陽光からの輻射熱を反射し、輻射熱が農業用ハウスの内部に侵入することを効率的に阻止でき、農業用ハウスの屋内の温度が急速に上昇することを防止できる。また、冬場や夜間は、農業用ハウスの屋内の熱は、屋外側に移動する。この場合、内部の熱は、伝導熱として樹脂フィルムに吸収され、第一金属箔へと伝達される。第一金属箔は伝導熱の阻止力が高く、輻射熱に対して高反射率の金属箔の内側に留まり、大気側に放出されるのは極わずかであるため、農業用ハウスを第一金属箔で被覆することで、内部の保温性能は格段に向上させることができる。さらに、本発明の農業用ハウスは、輻射熱の大半を透過させないため、この輻射熱が土壌に照射されると土壌の温度が上昇し、土が過剰に乾燥することを防止でき、植物に供給される水分量を維持できる。
以上より、本発明の農業用ハウスの遮熱材を農業用ハウスに適用し、遮熱構造を形成することにより、寒さや暑さから農業用ハウス内の植物を守り、生産性を容易に向上させることができる。
本発明に係る農業用ハウスの遮熱材の断面図である。 本発明の第一実施形態に係る農業用ハウスを示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る農業用ハウスを示す断面図である。(a)夏場の使用例、(b)冬場の使用例 本発明の第二実施形態の変形例に係る農業用ハウスを示す側面図である。
[第一実施形態]
本実施形態に係る農業用ハウスの遮熱材、及びこの農業用ハウスの遮熱材を使用した農業用ハウスの遮熱構造について、図1及び図2を参照し説明する。
本実施形態に係る農業用ハウスの遮熱材(以下、遮熱材とも記す。)は、農業用ハウスを構成する骨材の外側や既存の農業用ハウス(ビニールハウス)の外側に取り付けられる。
本実施形態に係る遮熱材1は、例えば、図1に示すように、2種類のものを使用する。
1つ目の遮熱材1Aは、図1(a)に示すように、太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層2と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔3と、第一接着層4と、樹脂フィルム5とが順次積層されている。
2つ目の遮熱材1Bは、図1(b)に示すように、太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層2と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔3と、第一接着層4と、樹脂フィルム5と、第二接着層6と、輻射熱に対して高反射率の第二金属箔7と、輻射熱に対して高透過率の第二樹脂層8とが順次積層されている。
[第一樹脂層2]
第一樹脂層2は、着色され、輻射熱に対して高透過率を有する樹脂、例えば、着色された塩化ビニルを使用できる。
第一樹脂層2は、例えば、顔料や紫外線吸収剤等を含むことで着色され、この顔料等によって、入射した太陽光は散乱される。
[第一金属箔3]
第一金属箔3には、輻射熱に対する反射率が、高いものを使用する。この反射率が高いほど輻射熱の阻止性能は高くなる。なお、輻射熱に対して高反射率とは、輻射熱に対する反射率が80%以上であることを意味する。
第一金属箔3は、種類は限定されないが、例えば、価格が安く、反射率の高いアルミ二ウム箔を使用できる。このアルミ箔は、約5〜10μmのものを使用される。
[樹脂フィルム5]
樹脂フィルム5は、第一接着層4を介して、第一金属箔3と積層されている。樹脂フィルム5は、第一金属箔3(第二金属箔7)を補強する材料(補強材)として用いる。
この樹脂フィルム5には、例えば、塩化ビニルを使用する。なお、この樹脂フィルム5は、第一金属箔3(第二金属箔7)の補強材であるため、強度等の性能が同じであれば、他の素材を使用することもできる。
また、第一接着層4には、ポリエステルフィルムを使用し、このポリエステルフィルムによって、樹脂フィルム5と第一金属箔3は、熱溶着されている。
[第二金属箔7]
第二金属箔7には、輻射熱に対する反射率が、高いものを使用する。輻射熱に対して高反射率とは、輻射熱に対する反射率が80%以上であることを意味する。
第二金属箔7は、第一金属箔3と同じ素材であるアルミ箔を使用する。なお、第二金属箔7には、第一金属箔3と異なる素材を使用することもできる。
この第二金属箔7は、第二接着層6を介して、樹脂フィルム5に熱溶着されている。
この第二接着層6には、ポリエステルフィルムを使用し、このポリエステルフィルムによって、樹脂フィルム5と第二金属箔7は、熱溶着されている。
[第二樹脂層8]
第二樹脂層8は、輻射熱に対して高透過率を有する樹脂、例えば、塩化ビニルを使用できる。第二樹脂層8は、例えば、第一樹脂層2の着色されていないものを使用する。
この第二樹脂層8は、第二金属箔7の保護する役割を担う。
次に、上述の遮熱材1を適用した農業用ハウス10について説明する。
本実施形態に係る農業用ハウス10は、通常の農業用ハウスに使用されるビニールシートを、本実施形態に係る遮熱材1で代替したものである。
農業用ハウス10(遮熱構造)は、図2に示すように、併設された複数の骨材11と、これらの骨材11の外側から、骨材11全体を覆う遮熱材1と、内側に設けられた照明器具(図示しない)とを備えている。
遮熱材1は、第一樹脂層2が屋外側(太陽光の入射側)となるように設けられている。遮熱材1Aを使用する場合は、樹脂フィルム5が屋内側となるように設けられ、遮熱材1Bを使用する場合は、第二樹脂層8が屋内側となるように設けられる。
照明器具には、例えばLEDランプを使用することができ、取り付ける個数は農業用ハウスのサイズに合わせて、適宜決定する。
次に、本実施形態に係る遮熱材1及びこの遮熱材1が取り付けられた農業用ハウス10の作用効果について説明する。
遮熱材1Aを使用した場合について説明する。
本実施形態に係る農業用ハウス10は、ビニール等の代替品として遮熱材1Aを、農業用ハウスの骨材11の周囲を包み込むように施工し、太陽光を取り込まなくてもLEDランプや照明等を使用することで植物を生産できる。特に、年間を通して一定温度に保ちたい植物の生産により効果的である。
本実施形態に係る農業用ハウスの遮熱構造及び農業ハウス10は、輻射熱に対して高反射率である第一金属箔3が屋外側に配置されるように遮熱材1Aで被覆することに最大の特徴を有する。
第一金属箔3を屋外側となるように設けることで、太陽光からの輻射熱を反射させ、輻射熱が農業用ハウス10の内部に侵入することを効率的に阻止し、農業用ハウス10の屋内に侵入する輻射熱を大幅に削減できる。
農業用ハウス10の内部の温度を保つためには、ボイラーやエアコン等により熱の供給が必要であるが、本実施形態の農業用ハウス10では、遮熱材1Aにより、侵入する輻射熱量を削減できるため、ボイラー等により供給される熱は、非常に少なくてすみ、電気の使用量を抑えることができる。
夏場、農業用ハウス10の屋内へ侵入する熱量の内、最も大きいものは太陽からの輻射熱である。この輻射熱は、遮熱材1Aを構成する第一金属箔3の表面で大半が反射され、そのまま大気に放出される。したがって、輻射熱が農業用ハウス10の屋内(室内)の温度に影響するのは非常に少ないと考えられる。
また、大気からの伝導熱はそのまま輻射熱に対して第一金属箔3、樹脂フィルム5を介して、農業用ハウス10の屋内に伝達され、農業用ハウス10の屋内の温度が上昇する要因となる。しかし、大気からの伝導熱は気温以上とはならないため、この熱量はそれほど大きなものではない。したがって、農業用ハウス10の屋内で、冷却装置を使用した場合でも、電気の使用量は非常に少なくできる。
一方、冬場は農業用ハウス10の屋内の熱は、屋外側に移動する。この場合、内部の熱は、伝導熱として樹脂フィルム5に吸収され、第一金属箔3へと伝達される。
しかし、第一金属箔3は伝導熱の阻止力が高く、第一金属箔3の内側に留まり、大気側に放出されるのは極わずかである。つまり、農業用ハウス10の骨材の外側から第一金属箔3で被覆することで、内部の保温性能は格段に向上する。
すなわち、夏冬を通して農業用ハウス10の内外の熱移動が非常に少なく、冷暖房設備を使用した場合でも、電気使用量は一般的なビニールハウスに比べて大きく削減される。
また、一般的に使用されているビニールハウス(農業用ハウス)は、輻射熱の大半を透過するため、この輻射熱が土壌に照射されると土壌の温度が上昇し、土がサラサラに乾燥してしまう。その結果、植物に供給される水分量が減少し、萎れたり、枯れたりする原因となる。
本実施形態の遮熱材1Aの第一金属箔3は、この輻射熱を反射して阻止する。そのため、農業用ハウス10の屋内の土壌には、輻射熱が照射されず、土壌は常に湿気を含んだ状態をとなり、植物の生育に好ましい環境を維持することができる。
さらに、第一金属箔3は、水分を透過させないため、空調設備を使用することで、農業用ハウス10の屋内の湿度を容易に調整することができる。
また、小型のトンネル状に施工された骨材11に遮熱材1Aを適用した農業用ハウス10では、太陽光の出入りを調整できる。具体的には、遮熱材1Aを地面側からまくり上げることで、太陽光は農業用ハウス10の屋内に照射される。太陽光が照射されると、植物は光合成を行う。一方、遮熱材1Aを再度、地面側に下ろすことで、太陽光は遮断され、かつ屋内の熱の屋内側への移動が阻止される。そのため、この農業用ハウス10では、通常のビニールハウス以上の保温効果が得られる。
このように、本実施形態の遮熱材1を使用した農業用ハウス10は、光と熱の調整が容易にでき、この農業用ハウス10を利用することで、植物栽培の新たな方法が開発されることが期待できる。
太陽光等からの熱を阻止する場合、輻射熱に対して高反射率の金属箔を一番屋外側に配置することが望ましい。しかし、輻射熱に対して高反射率の金属箔の反射率は高く、反射光が人間や動物の目を傷めるおそれがある。
本実施形態に係る遮熱材1Aは、一番屋外側に第一樹脂層2が配置される。この第一樹脂層2は、着色素材が含有されており、その着色素材により、輻射熱が乱反射する。そのため、この遮熱材1Aは、太陽光の下でも眩しさを感じることなく、かつ人間や動物の目を傷めることを回避できる。
第一金属箔3が金属製であるため酸やアルカリ成分、あるいは水分等で腐食し易いが、第一金属箔3よりも屋外側に第一樹脂層2を設けることにより、第一金属箔3が腐食することを防止できる。
遮熱材1Bを使用した場合、遮熱材1Aを使用した場合の効果に加え、以下の作用効果も生じさせる。
屋外の気温が農業用ハウス10の屋内の温度より低い場合、熱は農業ハウス10の屋内側から屋外側に移動する。
本実施形態に係る遮熱材1Bは、遮熱材1Aの屋内側に、輻射熱に対して高反射率の素材である第二金属箔7が取り付けられているため、熱移動する輻射熱は、第二金属箔7で反射し、農業用ハウス10の屋内側にとどまる。そうすると、屋内側の熱が屋外側に放出されず、農業用ハウス10の屋内の保温性能を高めることができる。
さらに、第二金属箔7が屋内側に配置されていることによって、樹脂フィルム樹脂5に吸収される熱量が少なくなる。そうすると、輻射熱の働きが活発になり、屋内の温度の均一性が高まる。
金属箔が剥き出した遮熱材を骨材に取り付けると、接続部分に隙間ができ、その隙間に湿気が侵入し、隙間腐食を生じるおそれがある。また、骨材が金属製の場合、金属箔と骨材とが接触する部分において、電食が起こり、腐食するおそれがある。
本実施形態に係る遮熱材1Bは、第二金属箔7の屋内側に、保護層としての役割を担う第二樹脂層8が設けられている。そのため、酸やアルカリ、植物の生育に必要な養分や肥料等から揮発した物質、湿気により第二金属箔7が腐食されることを防止することに加え、電気絶縁性を高めることで第二金属箔7が電食することを防止できる。
本実施形態の農業用ハウスは、内部にLEDランプ等の照明器具が設けられている。そのため、農業用ハウス10全体が、太陽光を反射する、つまり、太陽光が農業用ハウス10の屋内に入射されない場合でも、照明器具を使用して植物の生育を行うことができる。
[第二実施形態]
本実施形態の農業用ハウス20(遮熱構造)は、遮熱材1を既存のビニールハウスに取り付ける点で、第一実施形態の農業ハウスとは相違する。使用する遮熱材1の構成は、第一実施形態のものと同様であるため、説明は省略する。
本実施形態に係る農業用ハウス20は、図3に示すように、骨材11がビニールシート13によって覆われている既存のビニールハウスと、このビニールシート13の外側に設けられた遮熱材1と、内側に設けられた照明器具(図示しない)を備えている。
遮熱材1は、既存のビニールハウス全体あるいは、特定の箇所に設けることができる。
本実施形態に係る農業用ハウス20は、太陽の入射角度を利用し、遮熱材1で太陽光を遮蔽したり、あるいは農業用ハウス20の屋内の熱を保温したりできる。
すなわち、太陽の高度を熱量の大きさと捉える、その太陽の高度に合わせて遮熱材1を設ける位置を決定するエネルギー効率を高めたり、あるいは生産効率を高めたりすることを目的としている。
本実施形態では、遮熱材1を既存のビニールハウスの特定の箇所に設ける例(夏場の使用例、冬場の使用例)について説明する。
図3(a)は、夏場の使用例を示している。遮熱材1は、ビニールハウスの屋根12全体を被覆するように設けられ、片側の壁面部分には、遮熱材1は設けない。
夏場の太陽光の高度は約78度であり、夏場は屋根12を中心に遮熱材1を施工することにより、強い太陽光を遮蔽する。また、片側の壁面部は未施工とすることで、この壁面部側から太陽光を取り込み、植物の光合成を可能とすることもできる。
図3(b)は、冬場の使用例を示している。遮熱材1は、ビニールハウスの屋根12の特定部分(半分)を被覆するように設けられ、片側の壁面部分(例えば、北側の壁面部分)には、遮熱材を設ける。
冬場の太陽の高度は約30度といわれており、屋根12の特定部分や北壁面を遮熱することで、南側の壁面部分から太陽光を取り込み、ハウス内の保温性能を高めることができる。
本実施形態の農業用ハウス20は、既存のビニールハウスのビニールの外側に施工するので、遮熱材1の施工面積を増減させ、あるいは位置を変更することが容易であり、熱の遮蔽や保温を比較的簡単にできる。
なお、遮熱材1は、ビニールハウス全面に施工することもでき、屋外からの輻射熱の侵入を阻止でき、保温性能は高めることができる。
[変形例]
植物の萎れ等は、高温の太陽光が連続して照射されることに起因すると考えられる。これを防止するには、遮熱材1を施工する面と未施工面を交互に設ける、すなわち、日陰部分と日向部分を交互に作ることが有効である。
本実施形態の変形例では、既存のビニールハウスの屋内の土壌に対し、日陰部分と日向部分とが交互に形成される農業用ハウス30について説明する。
農業用ハウス30(遮熱構造)には、図4に示すように、遮熱材1がビニールハウスの屋根12の長手方向Xに所定の間隔をあけて、複数設けられ、側面側から見た場合、遮熱材1が施工されている面と未施工面が交互に配置される。
本実施形態の変形例に係る農業用ハウス30に使用する遮熱材1は、両端部に連結部としてのハトメ31が二つ形成されている。また、農業用ハウス30の幅方向Yの両側の地表には、固定具としてのパイプ32が設けられている。
遮熱材1は、ハトメ31とパイプ32とを、連結部材としてのゴム紐33等で連結することによって、ビニールハウスの屋根12に設けられる。この遮熱材1は、長手方向Xに自由に移動させることができ、任意の位置で固定することができる。
本実施形態の変形例に係る農業用ハウス30は、太陽光が照射された場合、遮熱材1に照射した太陽光は反射され、遮熱材1が設けられていない部分は、太陽光が透過する。そうすると、農業用ハウス30の屋内土壌は、日陰部分と日向部分が交互に形成される。そして、時間とともに太陽の高度が変化することにより、日陰部分と日向部分が変化する。
そのため、屋内の植物に高温の太陽光が連続して照射されることが回避され、植物の萎れ等を防止することができる。
また、遮熱材1によって、農業用ハウス30の内部の温度や湿度を調節できるため、遮熱材1を長手方向Xに自由に移動可能とすることで、誰でも簡単に農業用ハウス30の屋内の温度と湿度の調整ができる。このように、農業用ハウス30の屋外で遮熱材1を設ける位置を調整することで、農業用ハウス30の屋内の環境をコントロールする技術は、今までになかった新規なものである。
なお、遮熱材1は、接着剤や両面テープを用いて既存のビニールハウスの周囲に固定することも可能である。
以上、第1実施形態及び第2実施形態で説明したように、遮熱材1を骨材11の外側や既存のビニールハウスの外側に設けることで、トンネル型の小さなビニールハウスから大型の植物ハウスまで、日射量の調整や温度のコントロール等広範に対応できるようになる。
また、遮熱材1によって、土壌に太陽光が照射されないと、土壌からの水分蒸発量が少なくなり、ハウス内壁の結露も少なくなる。
次に、上述の遮熱材1を使用した遮熱試験について説明する。
[実施例1](遮熱試験1)
幅600ミリメートル、高さ500ミリメートルの樹脂製アーチ型ハウス骨材を、200ミリメートルの間隔毎に設置、ハウス骨材の周囲に厚み0.1mmのビニールで覆った長さ1メートルの農業用ハウスを2棟作成した。
そのうち、一棟には、ビニールの外側から更に厚み0.1ミリメートルのアルミニウム箔遮熱材(商品名:THB−WBE1)を全面に覆うように施工した(以下、アルミニウム箔遮熱材で覆った農業用ハウスを遮熱ハウスと呼ぶ。)
温度計には、サーモレコーダーを使用し、地表に一カ所、更にハウスの天端より5センチメートル下側のハウス内部と合計2カ所に設置した。
天候は、晴れたり曇ったり風も時々吹いたが、8時頃から翌日の8時までの24時間測定した。
[結果1]

[考察1]
イ)全体として、昼間はビニールハウス内の温度が遮熱ハウスより明らかに高く、日射しがない夜間は、遮熱ハウスの屋内の温度が高くなった。結果として、遮熱材で遮熱すると屋外からの熱の遮蔽性能と遮熱ハウスの屋内の保温性能が高まることが解る。
ロ)ビニールハウス内では、太陽光が照射されると、土の表面温度が急速に上昇し、土の表面は過乾燥状態となる。土の表面温度は、12時頃から13時30分頃が最も高く、ビニールハウスの屋内は、遮熱ハウスの屋内よりも27℃以上高く、土の表面はサラサラの状態であった。また、ビニールハウスの表面全体には、土から蒸発した水分が付着し、結露していた。
ハ)屋内の屋根側の温度は、昼間では、遮熱ハウスの温度がビニールハウス内の温度と比較して明らかに高いことが解る。また、夜間は、この傾向は逆転し、遮熱ハウスの温度はビニールハウス内の温度と比較し、低くなった。
二)遮熱ハウスの屋内で、植物が光合成を行うことはできないが、ビニールハウスと比較し、昼夜の温度差が小さく、屋内環境を低温化し易い構造と言える。
[実施例2](遮熱試験2)
幅600ミリメートル、高さ500ミリメートルの樹脂製アーチ型ハウス骨材を200ミリメートルの間隔毎に設置、ハウス骨材の周囲に厚み0.1ミリメートルのビニールで覆った長さ1メートルの農業用ハウスを2棟作成した。
そのうち、一棟には、ビニールの外側から更に0.1ミリメートルの遮熱材THB−WBE1を全面に覆う様に施工した遮熱ハウスとした。ただし、遮熱試験2では、遮熱ハウスの両側面を地表から約10センチ切断し、屋外の光の侵入ができるようにした。
温度計は、サーモレコーダーを使用し、地表に一カ所、更にハウスの天端より5センチメートル下側のハウス内部と合計二カ所に設置した。午前中は晴れ、午後は曇りの天候下、9時頃から翌日の9時までの24時間測定した。
[結果2]
[考察2]
イ)昼間、地表面温度は12時頃が最高となり、ビニールハウスの屋内の温度が71.7℃に対し、遮熱ハウスの屋内の温度は34.8℃となり、遮熱ハウスの方が36.3℃も低いことが解る。つまり、遮熱材にて輻射熱を遮断すると、地表面の温度を大幅に低下することができ、土の湿度を保つことができる。
ロ)夜間は、地表面の温度は、昼間と逆転し、遮熱ハウスの屋内の方が高くなる。
ハ)屋内上部の温度は、実施例1と同様、ビニールハウスの方が昼間は高く、夜は低くなる傾向であった。
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態では、農業用ハウスに使用する遮熱材1について説明したが、屋外のテントハウスの暑さ対策や屋外で保管している種々材料の温度低下等多くの分野で利用することができる。
1 農業用ハウスの遮熱材(遮熱材)
2 第一樹脂層(着色した高透過樹脂層)
3 第一金属箔(輻射熱に対して高反射率の金属箔)
4 第一接着層(ポリエステル等接着層)
5 樹脂フィルム
6 第二接着層(ポリエステル等接着層)
7 第二金属箔(輻射熱に対して高反射率の金属箔)
8 第二樹脂層(高透過樹脂層)
10,20,30 農業用ハウス
11 骨材
13 ビニールシート
31 ハトメ(連結部)
32 パイプ(固定具)
33 ゴム紐等(連結部剤)
X 長手方向
Y 幅方向

Claims (6)

  1. 農業用ハウスに設けられる農業用ハウスの遮熱材であって、
    太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔と、第一接着層と、補強材としての塩化ビニル樹脂フィルムと、第二接着層と、輻射熱に対して高反射率の第二金属箔と、輻射熱に対して高透過率の第二樹脂層とが順次積層され、
    前記農業用ハウスを構成する骨材の外側に取り付けられ、前記太陽光からの輻射熱を前記第一金属箔で反射させ、前記農業用ハウス内部からの輻射熱を前記第二金属箔で反射させることで、前記農業用ハウスの内部の保温性を向上させる、
    ことを特徴とする農業用ハウスの遮熱材。
  2. 農業用ハウスに設けられる農業用ハウスの遮熱材であって、
    太陽光の入射側から、着色され、輻射熱に対して高透過率の第一樹脂層と、輻射熱に対して高反射率の第一金属箔と、第一接着層と、補強材としての塩化ビニル樹脂フィルムと、第二接着層と、輻射熱に対して高反射率の第二金属箔と、輻射熱に対して高透過率の第二樹脂層とが順次積層され、
    既存の前記農業用ハウスの外側に取り付けられ、前記太陽光からの輻射熱を前記第一金属箔で反射させ、前記農業用ハウス内部からの輻射熱を前記第二金属箔で反射させることで、前記農業用ハウスの内部の保温性を向上させる、
    ことを特徴とする農業用ハウスの遮熱材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の農業用ハウスの遮熱材が、農業用ハウスの外側の長手方向に間隔をあけて、複数取りつけられた、
    ことを特徴とする農業用ハウスの遮熱構造。
  4. 前記農業用ハウスの遮熱材の端部に連結部が設けられ、前記連結部と前記既存の農業用ハウスの幅方向の両側の地表に設けられた固定具とを、連結部材によって連結することで、前記農業用ハウスの遮熱材を前記農業用ハウスの長手方向における任意の位置に固定できる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の農業用ハウスの遮熱構造。
  5. 併設された複数の骨材を、請求項1又は請求項2に記載の農業用ハウスの遮熱材で被覆する、
    ことを特徴とする農業用ハウス。
  6. 内部に、照明器具を備える、
    ことを特徴とする請求項5に記載の農業用ハウス。
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