JP7320982B2 - 農業用ハウス - Google Patents

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Description

本発明は、屋根部及び側壁部を備える農業用ハウスに関する。
農業用ハウスは、農業用ビニルハウスと呼称されることもあり、屋根部及び側壁部を通して採光しながら、種々の作物を生育させるために使用されることになる。
かかる農業用ハウスの内部温度は、春季、夏季、秋季において過度に上昇することがあり、そのため、ヒートポンプ式の空調装置によって農業ハウス内を冷房するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、農業用ハウスの内部温度の上昇を抑制するために、農業用ハウスの屋根部を形成する透光材としての不織布の表面に、光を反射するアルミニウムフィルムを貼着して、屋根部を遮光するように構成されたものがある(例えば、特許文献2参照)。
ちなみに、特許文献2においては、複数のアルミニウムフィルムを適当な間隔を隔てて並ぶ状態に設けて、隣接するアルミニウムフィルムの間を通して、太陽光等の光を透過させるように構成されている。
実開平5-90220号公報 実開平3-6480号公報
特許文献1の農業用ハウスにおいては、農業用ハウスの内部温度を適正な温度に維持できるものであるが、ヒートポンプ式の空調装置を駆動するためのランニングコストが高価となるものであった。
特許文献2の農業用ハウスは、農業用ハウスの屋根部を遮光することによって、農業用ハウスの内部温度の上昇を抑制できるものである。しかしながら、農業用ハウスの屋根部を単に遮光するだけでは、農業用ハウスの内部温度の上昇を十分に抑制することができない不都合があった。
尚、農業用ハウスの内部温度を適正な温度に維持するためには、例えば、農業用ハウスの内部を冷房するヒートポンプ式の空調装置を設けることになるが、この場合において、ヒートポンプ式の空調装置を駆動するためのランニングコストの低下を十分に図ることができないものとなる。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、特別なエネルギーを消費することなく、内部温度の上昇を適切に抑制することができる農業用ハウスを提供することにある。
本発明の農業用ハウスは、屋根部及び側壁部を備えるものであって、その特徴構成は、
放射面から赤外光を放射しかつ前記放射面から入射する太陽光を透過する赤外放射層と、当該赤外放射層における前記放射面の存在側とは反対側に位置させる光反射層とが設けられたフィルム状の放射冷却体が、前記屋根部に設けられている点にある。
すなわち、フィルム状の放射冷却体が屋根部に設けられているから、放射冷却体が農業用ハウス内部を放射冷却する作用を発揮することにより、特別なエネルギーを消費することなく、農業用ハウスの内部温度の上昇を十分に抑制することができる。
ちなみに、放射冷却とは、物質が周囲に赤外線などの電磁波を放射することでその温度が下がる現象のことを言う。この現象を利用すれば、たとえば、電気などのエネルギーを消費せずに物を冷やすことができる。
説明を加えると、赤外放射層の放射面から入射する光(紫外光、可視光、赤外光)は、赤外放射層を透過した後、赤外放射層の放射面の存在側とは反対側にある光反射層で反射され、放射面から系外へ逃がされる。
つまり、光反射層は、赤外放射層を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)を反射して放射面から放射させることにより、赤外放射層を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)が農業用ハウス内に投射されて、農業用ハウスの内部が加温されることを回避することになる。
本明細書の記載において、単に光と称する場合、当該光の概念には紫外光、可視光、赤外光を含む。これらを電磁波としての光の波長で述べると、その波長が10nmから20000nm(0.01μmから20μm)の電磁波を含む。
尚、光反射層は、赤外放射層を透過した光に加えて、赤外放射層から光反射層の存在側に放射される光を赤外放射層に向けて反射する作用も奏することになるが、以下の説明においては、光反射層が赤外放射層を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)を反射するために設けられるものであるとして説明する。
そして、放射冷却体への伝熱(農業用ハウス内部からの伝熱や、大気からの伝熱)が、赤外放射層で赤外線に変換されて、放射面から系外へ逃がされる。
つまり、農業ハウスの内部から放射冷却体に熱が伝えられると、赤外放射層が放射面から赤外光を放射する放射冷却が行われることになり、結果的に、農業ハウスの内部が冷却されることになる。
以上の通り、放射冷却体を屋根部に設けることにより、放射冷却体へ照射される太陽光を反射し、また、農業用ハウス内部から放射冷却体へ伝えられる熱を赤外光として系外へ放射することにより、農業用ハウス内部を冷却して、農業用ハウスの内部温度の上昇を適切に抑制することができる。
要するに、本発明の農業用ハウスの特徴構成によれば、特別なエネルギーを消費することなく、内部温度の上昇を適切に抑制することができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記放射冷却体が、前記光反射層を前記屋根部に対して部分的に位置させる形態で設けられている点にある。
すなわち、光反射層を屋根部に対して部分的に位置させる形態で放射冷却体が設けられているから、赤外放射層を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)のうちの一部の光が、光反射層にて反射されることなく、光反射層を通過して農業用ハウスの内部に投射されることになる。
従って、光反射層を透過して農業用ハウスの内部に投射される光を農業用ハウス内の作物に照射できるから、農業用ハウス内の作物を良好に生育させることができる。
つまり、作物の生育には、光合成を行わせる等のために、光の照射が必要であるが、赤外放射層を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)のうちの一部の光を、光反射層を通過させて、農業用ハウス内の作物に照射することができる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、農業用ハウス内の作物を良好に生育させることができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記放射冷却体を前記屋根部に対して部分的に設けることにより、前記光反射層を前記屋根部に対して部分的に位置させる形態にする点にある。
すなわち、放射冷却体を屋根部に対して部分的に設けることにより、光反射層を屋根部に対して部分的に位置させる形態にする。
つまり、例えば、帯状に形成された放射冷却体を、横幅方向に間隔を隔てて並べて設けるようにする等、放射冷却体を屋根部に対して部分的に設けるようにすることにより、光反射層を屋根部に対して部分的に位置させる形態にする。
このように、放射冷却体を屋根部に対して部分的に設けることにより、光反射層を屋根部に対して部分的に位置させる形態にするものであるから、屋根部に対して放射冷却体を設置する状態の変更設定により、作物に対して光を照射する照射量を変更すべく、光反射層による遮光率、換言すれば、光反射層における光通過率を種々変更できる。
つまり、作物に対して光を照射する照射量は、作物の品種等に応じて異なるものとなるが、農業ハウス内の作物の品種等に応じて、光反射層による遮光率(光反射層における光通過率)を適正な状態に設定することを、屋根部に対して放射冷却体を設置する状態の設定により良好に行うことができる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、光反射層による遮光率を変更設定できる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記放射冷却体が、前記光反射層を前記赤外放射層に対して部分的に位置させる形態に形成されることにより、前記光反射層を前記屋根部に対して部分的に位置させる形態にする点にある。
すなわち、放射冷却体を、光反射層を赤外放射層に対して部分的に位置させる形態に形成して、光反射層を屋根部に対して部分的に位置させる形態にする。
したがって、放射冷却体を屋根部に設置しさえすれば、光反射層を屋根部に対して部分的に位置させる形態にすることができるため、光反射層を屋根部に対して部分的に位置させる形態にする状態に放射冷却体を屋根部に設置する作業の容易化を図ることができる。
ちなみに、放射冷却体が、光反射層を前記赤外放射層に対して部分的に位置させる形態に形成されるものであるから、放射冷却体を屋根部の全体に設置することができ、また、一例として、放射冷却体を、屋根部を形成する透光材として、屋根部に設置することもできる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、放射冷却体を屋根部に設置する作業の容易化を図ることができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記赤外放射層が、吸収した太陽光エネルギーよりも大きな熱輻射エネルギーを波長8μmから波長14μmの帯域で放つ厚みに調整された樹脂材料層である点にある。
すなわち、赤外放射層が、樹脂材料層として構成されることになり、その樹脂材料層が、吸収した太陽光エネルギーよりも大きな熱輻射エネルギーを波長8μmから波長14μmの帯域で放つ厚みに調整されているから、放射冷却体が、日射環境下においても、冷却機能を適切に発揮することができる。
そして、樹脂材料層は、柔軟性の高い樹脂材料にて形成されることになるから、樹脂材料層に柔軟性を持たせることができる。ちなみに、光反射層は、例えば銀の薄膜として構成する等により、柔軟性を備えさせることができる。
したがって、樹脂材料層と光反射層とを備える放射冷却体に柔軟性を持たせて、屋根部に設置する放射冷却体が割れる等の機械的損傷を生じることを抑制することができる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、放射冷却体の機械的損傷を抑制することができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記光反射層は、波長0.4μmから0.5μmの反射率が90%以上、波長0.5μmより長波の反射率が96%以上である点にある。
すなわち、太陽光スペクトルは波長0.3μmから4μmにかけて存在し、そして、波長が0.4μmから大きくなるにつれて強度が大きくなり、特に波長0.5μmから波長2.5μmにかけての強度が大きい。
光反射層が、波長0.4μmから0.5μmにかけて90%以上の反射率を示し、波長0.5μmより長波の反射率が96%以上である反射特性を備えると、光反射層が太陽光エネルギーを5%程度以下しか吸収しなくなる。
その結果、夏場の南中時に、光反射層が吸収する太陽光エネルギーを50W/m程度以下とすることができ、樹脂材料層による放射冷却を良好に行うことができる。
尚、本明細書では、太陽光について、断りのない場合、スペクトルはAM1.5Gの規格とする。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、放射冷却体が、光反射層よる太陽光エネルギーの吸収を抑えて、樹脂材料層による放射冷却を良好に行うことができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記樹脂材料層の膜厚が、
波長0.4μmから0.5μmの光吸収率の波長平均が13%以下であり、波長0.5μmから波長0.8μmの光吸収率の波長平均が4%以下であり、波長0.8μmから波長1.5μmまでの光吸収率の波長平均が1%以内であり、1.5μmから2.5μmまでの光吸収率の波長平均が40%以下となる光吸収特性を備え、且つ、
8μmから14μmの輻射率の波長平均が40%以上となる熱輻射特性を備える状態の厚みに調整されている点にある。
尚、波長0.4μmから0.5μmの光吸収率の波長平均とは、0.4μmから0.5μmの範囲の波長毎の光吸収率の平均値を意味するものであり、輻射率を含む他の同様な記載も同様な平均値を意味するものである。以下、本明細書においては同様である。
すなわち、樹脂材料層は、厚みによって光吸収率や輻射率(光放射率)が変化する。そのため、太陽光をできるだけ吸収せず、いわゆる大気の窓の領域の波長帯域(光の波長8μmから20μmの領域)において大きな熱輻射を発するように樹脂材料層の厚みを調整する必要がある。
具体的には、樹脂材料層における太陽光の光吸収率(光吸収特性)の観点において、波長0.4μmから0.5μmの光吸収率の波長平均が13%以下であり、波長0.5μmから波長0.8μmの光吸収率の波長平均が4%以下であり、波長0.8μmから波長1.5μmまでの光吸収率の波長平均が1%以内であり、1.5μmから2.5μmまでの光吸収率の波長平均が40%以下とする必要がある。尚、2.5μmから4μmまでの光吸収率については、波長平均が100%以下であればよい。
このような光吸収率が分布する場合、太陽光の光吸収率は10%以下となり、エネルギーで言うと100W以下となる。
つまり、太陽光の光吸収率は樹脂材料層の膜厚を厚くすると増加する。樹脂材料層を厚膜にすると、大気の窓の輻射率はほぼ1となり、その際に宇宙に放出する熱輻射は125W/mから160W/mとなる。
上述の如く、光反射層での太陽光吸収は50W/m以下であることが好ましい。
したがって、樹脂材料層と光反射層における太陽光吸収の和が150W/m以下であり、大気の状態がよければ冷却が進む。樹脂材料層は、以上のように太陽光スペクトルのピーク値付近の吸収率が小さなものを用いるのが良い。
また、樹脂材料層の赤外光を放射する輻射率(熱輻射特性)の観点では、波長8μmから14μmの輻射率の波長平均が40%以上となる必要がある。
すなわち、光反射層で吸収される50W/m程度の太陽光の熱輻射を樹脂材料層から宇宙に放出させるには、それ以上の熱輻射を樹脂材料層が出す必要がある。
例えば、外気温が30℃のとき、波長8μmから14μmの大気の窓の熱輻射の最大は200W/mである(輻射率1として計算)。この値が得られるのは、高山など、空気の薄いよく乾燥した環境の快晴時である。低地などでは大気の厚みが高山よりも厚くなるので、大気の窓の波長帯域は狭くなり、透過率は低下する。ちなみに、このことを「大気の窓が狭くなる」と呼ぶ。
また、実際に放射冷却体を使用する環境は多湿であることもあり、その場合も大気の窓は狭くなる。低地で利用する際の大気の窓域で発生する熱輻射は、状態の良いときで30℃において160W/mと見積もられる(輻射率1として計算)。
また、日本ではよくあることであるが、空に靄があるときや、スモッグが存在する場合、大気の窓はさらに狭くなり、宇宙への放射は125W/m程度となる。
かかる事情を鑑みて、波長8μmから14μmの輻射率の波長平均は40%以上(大気の窓帯での熱輻射強度が50W/m以上)ないと中緯度帯の低地で用いることができない。
したがって、樹脂材料層の厚みを、上述した光学的規定の範囲になるように調整することにより、太陽光の光吸収による入熱よりも大気の窓における出熱の方が大きくなり、昼間の日射環境下でも屋外で放射冷却できるようになる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、太陽光の光吸収による入熱よりも大気の窓における出熱の方が大きくなって、農業用ハウスの内部を日射環境下でも放射冷却できる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記樹脂材料層を形成する樹脂材料は、炭素―フッ素結合、シロキサン結合、炭素―塩素結合、炭素―酸素結合、エステル結合、ベンゼン環のいずれかを1つ以上有する樹脂から選択される点にある。
すなわち、樹脂材料層を形成する樹脂材料として、炭素―フッ素結合(C-F)、シロキサン結合(Si-O-Si)、炭素―塩素結合(C-Cl)、エーテル結合(R-COO-R)、エステル結合(C-O-C)、ベンゼン環のいずれかを1つ以上有する無色の樹脂材料を用いることができる。
キルヒホッフの法則により、輻射率(ε)と光吸収率(A)は等しい。光吸収率(A)は吸収係数(α)から下記式1で求めることができる。
A=exp(-αt)・・・(式1) 尚、tは膜厚である。
つまり、樹脂材料層の厚みを厚くすると、吸収係数の大きな波長帯域で大きな熱輻射が得られる。屋外で放射冷却する場合、大気の窓の波長帯域である波長8μmから14μmにおいて吸収係数の大きな材料を用いるとよい。また、太陽光の吸収を抑制するためには、波長0.3μmから4μm、特に0.4μmから2.5μmの範囲で吸収係数を持たない、或いは小さな材料を用いるとよい。上記式1の吸収係数と光吸収率の関係式からわかるように、光吸収率(輻射率)は樹脂材料層の膜厚によって変化する。
日射環境下での放射冷却によって周囲の大気より温度を下げるためには、樹脂材料層を形成する樹脂材料として、大気の窓の波長帯域で大きな吸収係数をもち、太陽光の波長帯域で吸収係数を殆ど持たない材料を選ぶと、樹脂材料層の膜厚の調整によって、太陽光は殆ど吸収しないが、大気の窓の熱輻射を多く出す、つまりは太陽光の入力よりも放射冷却による出力の方が大きな状態を作り出すことができる。
樹脂材料層を形成する樹脂材料の吸収スペクトルについて説明を加える。
炭素―フッ素結合(C-F)に関しては、CHFおよびCFに起因する吸収係数が大気の窓である波長8μmから14μmにかけた広帯域に大きく広がっており、特に8.6μmで吸収係数が大きい。併せて、太陽光の波長帯域に関しては、エネルギーが大きな波長0.3-2.5μmで目立った吸収係数がない。
C-F結合を有する樹脂材料としては、
完全フッ素化樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、
部分フッ素化樹脂であるポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリフッ化ビニル(PVF)、
フッ素化樹脂共重合体であるペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、
四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、
エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、
エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を代表としての基本構造部のC-C結合、C-H結合、C-F結合の結合エネルギーを求めると、4.50eV、4.46eV、5.05eVとなる。それぞれ、波長0.275μm、波長0.278μm、波長0.246μmに対応し、これら波長より短波長側の光を吸収する。
太陽光スペクトルは波長0.300μmより長波しか存在しないため、フッ素樹脂を用いた場合、太陽光の紫外線、可視光線、近赤外線をほとんど吸収しない。
尚、紫外線は波長0.400μmよりも短波長側の範囲とし、可視光線は波長0.400μmから0.800μmの範囲とし、近赤外線は波長0.800μmから3μmの範囲とし、中赤外線は波長3μmから8μmの範囲とし、遠赤外線は波長8μmよりも長波長側の範囲とする。
シロキサン結合(Si-O-Si)をもつ樹脂材料としては、シリコーンゴムおよびシリコーン樹脂が挙げられる。当該樹脂材料は、C-Siの結合の伸縮に起因する大きな吸収係数が波長13.3μmを中心にブロードに表れ、CSiHの対象面外変角(縦揺れ)に起因する吸収係数が波長10μmを中心にブロードに表れ、CSiHの対象面内変角(はさみ)に起因する吸収係数が波長8μm付近に小さく表れる。このように、大気の窓において大きな吸収係数を持つ。
紫外領域に関しては、主鎖のSi-O-Siの結合エネルギーが4.60eVであり、波長0.269μmに対応し、この波長より短波長側の光を吸収する。太陽光スペクトルは波長0.300μmより長波しか存在しないため、シロキサン結合を用いた場合、太陽光の紫外線、可視光線、近赤外線をほとんど吸収しない。
炭素―塩素結合(C-Cl)に関しては、C-Cl伸縮振動による吸収係数が波長12μmを中心に半値幅1μm以上の広帯域に現れる。
また、炭素―塩素結合(C-Cl)を持つ樹脂材料としてはポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられるが、ポリ塩化ビニルの場合、塩素の電子吸引の影響で、主鎖に含まれるアルケンのC―Hの変角振動に由来する吸収係数が波長10μmあたりに現れる。つまり、大気の窓の波長帯域で大きな熱輻射を出すことが可能である。なお、アルケンの炭素と塩素の結合エネルギーは3.28eVであり、その波長は0.378μmに対応し、この波長より短波長側の光を吸収する。つまり、太陽光の紫外線を吸収するが、可視域については吸収をほとんど持たない。
エーテル結合(R-COO-R)、エステル結合(C-O-C)に関しては、波長7.8μmから9.9μmにかけて吸収係数を持つ。また、エステル結合、エーテル結合に含まれる炭素―酸素結合に関しては、波長8μmから10μmの波長帯域にかけて強い吸収係数が現れる。
ベンゼン環を炭化水素樹脂の側鎖に導入すると、ベンゼン環自身の振動や、ベンゼン環の影響による周りの元素の振動によって、波長8.1μmから18μmにかけて広く吸収が現れるようになる。
これらの結合をもつ樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂、エチレンテレフタラート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートがある。例えばメタクリル酸メチルのC-C結合の結合エネルギーは3.93eVであり、波長0.315μmに対応し、この波長より短波長の太陽光を吸収するが、可視域については吸収をほとんど持たない。
樹脂材料層を形成する樹脂材料が、前述の輻射率、吸収率特性を有すれば、樹脂材料層としては、一種類の樹脂材料の単層膜、あるいは、複数種類の樹脂材料の多層膜、複数種類がブレンドされた樹脂材料の単層膜、複数種類がブレンドされた樹脂材料の多層膜でも構わない。なお、ブレンドには、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体といった共重合体や側鎖を置換した変性品も含まれる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、放射冷却体が太陽光の入力よりも放射冷却による出力の方が大きな状態を作り出すことができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記樹脂材料層を形成する樹脂材料の主成分がシロキサンであり、
前記樹脂材料層の厚みが、1μm以上である点にある。
すなわち、上記式1のA=exp(-αt)から分かるように、厚みtによって、光吸収率(輻射率)は変化する。樹脂材料の光吸収率(輻射率)が、大気の窓において大きな吸収係数を持つ厚みが必要である。
シロキサン結合(Si-O-Si)が主たる構成要素の樹脂材料の場合、1μm以上の膜厚があると、大気の窓における輻射強度が大きくなって、太陽光の入力よりも放射冷却による出力の方が大きな状態を作り出すことができる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、放射冷却体が、樹脂材料層を形成する樹脂材料の主成分がシロキサンである場合において、太陽光の入力よりも放射冷却による出力の方が大きな状態を作り出すことができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記樹脂材料層の厚みが、10μm以上である点にある。
すなわち、放射冷却体における樹脂材料層を形成することになる樹脂材料が、炭素―フッ素結合(C-F)、炭素―塩素結合(C-Cl)、エステル結合(R-COO-R)、エーテル結合(C-O-C)、ベンゼン環のいずれかが主たる構成要素の樹脂材料の場合、10μm以上の膜厚があると、大気の窓における輻射強度が大きくなって、放射冷却体が太陽光の入力よりも放射冷却による出力の方が大きな状態を作り出すことができる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、放射冷却体の樹脂材料層を形成する樹脂材料が、炭素―フッ素結合(C-F)、炭素―塩素結合(C-Cl)、エステル結合(R-COO-R)、エーテル結合(C-O-C)、ベンゼン環のいずれかが主たる構成要素の樹脂材料の場合において、放射冷却体が太陽光の入力よりも放射冷却による出力の方が大きな状態を作り出すことができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記樹脂材料層の厚みが、20mm以下である点にある。
すなわち、放射冷却体の樹脂材料層を形成する樹脂材料の大気の窓の熱輻射は材料表面から約100μm程度以内の範囲で生じる。
つまり、樹脂材料の厚みが厚くなっても放射冷却に寄与する厚みは変わらず、残りの厚みは放射冷却後の冷熱を断熱する作用を与える。理想的に太陽光を全く吸収しない樹脂材料層ができたとすると、太陽光は放射冷却体の光反射層でのみ吸収される。
樹脂材料の熱伝導率はおしなべて0.2W/m・K程度であり、この熱伝導性を考慮して計算すると樹脂材料層の厚みが20mmを超えると、冷却面(光反射層における樹脂材料層の存在側とは反対側の面)の温度が上昇する。太陽光をまったく吸収しない理想的な樹脂材料が存在したとしても、樹脂材料の熱伝導率はおしなべて0.2W/m・K程度であるので、20mm以上の厚みにすると、樹脂材料層の熱輻射(放射冷却)によって、上記冷却面にて農業用ハウスの内部を冷却することができないため、20mm以上の膜厚にすることはできない。
要するに、本発明の農業ハウスの更なる特徴構成によれば、農業用ハウスの内部を適切に冷却することができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記樹脂材料が、フッ素樹脂もしくはシリコーンゴムである点にある。
すなわち、炭素―フッ素結合(C-F)が主たる構成要素のフッ素樹脂、つまり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEPP)は、太陽光スペクトルの紫外光域、可視光、近赤外域において殆ど光吸収性を持たない。
また、シロキサン結合(Si-O-Si)を主鎖とし、側鎖の分子量が小さい樹脂、つまり、シリコーンゴムは、フッ素樹脂と同様に、太陽光スペクトルの紫外光域、可視光、近赤外域において殆ど光吸収性を持たない。
フッ素樹脂およびシリコーンゴムの熱伝導率は0.2W/m・Kであり、この点に鑑みると、これら樹脂は厚さ20mmまで厚くしても放射冷却機能を発揮する。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、放射冷却体が、樹脂材料層を形成する樹脂材料がフッ素樹脂あるいはシリコーンゴムである場合において、放射冷却機能を適切に発揮させることができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記赤外放射層が、無アルカリガラス、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラスのうちのいずれかのガラスである点にある。
すなわち、無アルカリガラス、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラスは、比較的に安価でありながらも、太陽光(可視光、紫外光、近赤外光)の透過性が優れた(例えば、80%程度を透過する)ものであるため、太陽光を吸収することがなく、しかも、大気の窓(例えば、波長が8~14μmの赤外光を透過させる窓等)に相当する波長の赤外光を放射する輻射強度が高い性質を有する。
したがって、赤外放射層を、無アルカリガラス、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラスのうちのいずれかのガラスにて構成することにより、全体構成の低廉化を図りながらも、冷却能力の高い放射冷却体を得ることができる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、全体構成の低廉化を図りながらも、放射冷却体の冷却能力の向上を得ることができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記光反射層が、銀または銀合金で構成され、その厚みが50nm以上である点にある。
すなわち、光反射層に上述の反射率特性、つまり、波長0.4μmから0.5μmの反射率が90%以上、波長500nmより長波の反射率が96%以上である反射率特性を持たせるためには、光反射層における放射面側の反射材料としては、銀または銀合金である必要がある。
そして、銀または銀合金のみで前述の反射率特性を持たせた状態で太陽光を反射する場合、厚さが50nm以上必要である。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、放射冷却体が、光反射層よる太陽光エネルギーの吸収を的確に抑えて、樹脂材料層による放射冷却を良好に行うことができる。
本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成は、前記光反射層が、銀または銀合金とアルミまたはアルミ合金の積層構造である点にある。
すなわち、光反射層に前述の反射率特性を持たせるためには、銀または銀合金とアルミまたはアルミ合金を積層させた構造にしてもよい。なお、この場合も放射面側の反射材料は銀または銀合金である必要がある。この場合、銀の厚みは10nm以上必要であり、アルミの厚みは30nm以上必要である。
そして、アルミまたはアルミ合金は、銀または銀合金よりも安価であるから、適切な反射率特性を持たせながらも、光反射層の低廉化を図ることができる。
つまり、高価な銀または銀合金を薄くして、光反射層の低廉化を図るようにしながらも、光反射層を、銀または銀合金とアルミまたはアルミ合金との積層構造にすることにより、適切な反射率特性を持たせながらも、光反射層の低廉化を図ることができる。
要するに、本発明の農業用ハウスの更なる特徴構成によれば、適切な反射率特性を持たせながらも、光反射層の低廉化を図ることができる。
農業用ハウスの斜視図である。 農業用ハウスの側面図である。 別形態の農業用ハウスの斜視図である。 別形態の農業用ハウスの側面図である。 放射冷却体の設置形態を示す概略図である。 放射冷却体の設置形態を示す概略図である。 放射冷却体の設置形態を示す概略図である。 放射冷却体の設置形態を示す概略図である。 放射冷却体の基本構成を説明する図である。 放射冷却体の別構成を説明する図である。 放射冷却体の別構成における光反射層を示す平面図である。 光反射層の別形態を示す平面図である。 光反射層の別形態を示す平面図である。 実験装置の斜視図である。 実験装置の側面図である。 実験結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。 樹脂材料の吸収係数と波長帯域との関係を示す図である。 樹脂材料の光吸収率と波長との関係を示す図である。 シリコーンゴムの輻射率スペクトルを示す図である。 PFAの輻射率スペクトルを示す図である。 塩化ビニル樹脂の輻射率スペクトルを示す図である。 エチレンテレフタラート樹脂の輻射率スペクトルを示す図である。 オレフィン変成材料の輻射率スペクトルを示す図である。 放射面の温度と光反射層の温度との関係を示す図である。 シリコーンゴム及びペルフルオロアルコキシフッ素樹脂の光吸収率スペクトルを示す図である。 エチレンテレフタラート樹脂の光吸収率スペクトルを示す図である。 銀をベースにした光反射層の光反射率スペクトルを示す図である。 フルオロエチレンビニルエーテルの輻射率スペクトルを示す図である。 実験結果を示す表である。 放射冷却体の具体構成を示す図である。 放射冷却体の具体構成を示す図である。 放射冷却体の具体構成を示す図である。 放射冷却体の具体構成を示す図である。 テンパックスの透過率を示すグラフである。 赤外放射層を構成するガラスの種類ごとの輻射率を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔農業用ハウスの基本構成〕
図1及び図3に示すように、農業用ハウスUが、切妻形式の屋根部Uyと側壁部Usとを備える形態に構成され、且つ、屋根部Uyの大棟を南北方向に沿わせる形態で建てられている。
ちなみに、屋根部Uy及び側壁部Usが、太陽光を透過する透光材にて構成されることになる。尚、透光材としては、例えば、ポリオフィレン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の樹脂材料にて形成されたフィルムや、ガラス材等にて形成された板材が使用される。
ちなみに、図1に示す農業用ハウスUは、大棟の長さが長く形成されているため、図2に示すように、側壁部Usにおける南側を向く部分を通して入射する太陽光Pの到達点が、農業用ハウスUの内部の地面における北側の端部にまで到達しないものとなっている。
これに対して、図3に示す農業用ハウスUは、大棟の長さが短く形成されているため、側壁部Usにおける南側を向く部分を通して入射する太陽光Pの到達点が、農業用ハウスUの内部の地面における北側の端部にまで到達するようになっている。
そして、農業用ハウスUの屋根部Uyに、フィルム状の放射冷却体CPが設けられている。
放射冷却体CPを屋根部Uyに設ける形態としては、図5に示すように、フィルム状の放射冷却体CPを、屋根部Uyを形成する透光材の一部と置換する形態、換言すれば、屋根部Uyの一部をフィルム状の放射冷却体CPにて形成する形態を採用できる。
また、放射冷却体CPを屋根部Uyに設ける別形態としては、図6に示すように、フィルム状の放射冷却体CPを、屋根部Uyを形成する透光材の上側に密着させる状態で設ける形態や、図7に示すように、フィルム状の放射冷却体CPを、屋根部Uyを形成する透光材の下側に密着させる状態で設ける形態を採用できる。
さらに、放射冷却体CPを屋根部Uyに設ける更なる別形態としては、図8に示すように、フィルム状の放射冷却体CPを、屋根部Uyを形成する透光材の下方側に間隔を隔てて設ける形態を採用できる。
ちなみに、図1に示す農業用ハウスUにおいては、屋根部Uyに、帯状に形成されたフィルム状の放射冷却体CPが、南北方向に沿う状態で設けられている。
また、図3に示す農業用ハウスUにおいては、屋根部Uyの全体に、フィルム状の放射冷却体CPが設けられている。
〔放射冷却体の基本構成〕
図9に示すように、放射冷却体CPは、放射面Hから赤外光IRを放射する赤外放射層Aと、当該赤外放射層Aにおける放射面Hの存在側とは反対側に位置させる光反射層Bとを積層状態に備え、且つ、フィルム状に形成されている。
つまり、放射冷却体CPが、放射冷却フィルムとして構成されている。
光反射層Bは、赤外放射層Aを透過した太陽光等の光Lを反射するものであり、その反射特性が、波長400nmから500nmの反射率が90%以上、波長500nmより長波の反射率が96%以上である。
太陽光スペクトルは、図27に示す如く、波長300nmから4000nmにかけて存在し、波長400nmから大きくなるにつれ強度が大きくなり、特に波長500nmから波長1800nmにかけての強度が大きい。
尚、本実施形態において、光Lとは、紫外光、可視光、赤外光を含むものであり、これらを電磁波としての光の波長で述べると、その波長が10nmから20000nm(0.01μmから20μmの電磁波)の電磁波を含む。
光反射層Bが、波長400nmから500nmにかけて90%以上の反射特性を示し、波長500nmより長波の反射率が96%以上反射特性を示すことにより、放射冷却体CP(放射冷却フィルム)が光反射層Bで吸収する太陽光エネルギーを5%以下に抑えることができ、すなわち夏場の南中時に吸収する太陽光エネルギーを50W程度とすることができる。
光反射層Bは、銀あるいは銀合金で構成される、又は、銀または銀合金とアルミまたはアルミ合金の積層構造として構成されて、柔軟性を備えるものであって、その詳細は後述する。
赤外放射層Aは、吸収した太陽光エネルギーよりも大きな熱輻射エネルギーを波長8μmから波長14μmの帯域で放つ厚みに調整された樹脂材料層Jとして構成されるものであって、その詳細は後述する。
従って、放射冷却体CPは、放射冷却体CPに入射した光Lのうちの一部の光を、赤外放射層Aの放射面Hにて反射し、放射冷却体CPに入射した光Lのうちで樹脂材料層Jを透過した光(太陽光等)を、光反射層Bにて反射して、放射面Hから外部へ逃がするように構成され、さらに、当該放射冷却体CPへの伝熱(例えば、大気からの伝熱や農業用ハウスUの内部からの伝熱)を赤外光IRとして外部に放射することにより、冷却作用を発揮するように構成されている。
つまり、放射冷却体CPは、放射面Hを空に向け、当該空に向けた放射面Hから赤外光IR放射する放射冷却を行うことになるものであって、詳しくは、放射冷却体CPは、光反射層Bにおける樹脂材料層Jの存在側とは反対側に位置する冷却対象(農業用ハウスUの内部)からの放射冷却体CPへの入熱を、樹脂材料層Jによって赤外光IRに変換して放射することにより、農業用ハウスUの内部を冷却するように構成されている。
また、放射冷却体CP(放射冷却フィルム)は、樹脂材料層J及び光反射層Bが柔軟性を備えることによって、柔軟性を備えるように構成されている。
〔農業用ハウスの採光構成について〕
図1及び図2に示す農業用ハウスUにおいては、放射冷却体CPが、屋根部Uyに対して部分的に設けられることにより、光反射層Bが、屋根部Uyに対して部分的に位置される形態に構成されている。
つまり、図1及び図2に示す農業用ハウスUにおいては、切妻形式の屋根部Uyの両側の傾斜屋根部分の夫々に、2つ帯状の放射冷却体CPが、1つの放射冷却体CPを大棟に隣接して並ぶ状態に位置させ、かつ、残りの放射冷却体CPを大棟に隣接する放射冷却体CPに対して幅方向に間隔を隔てて並べかつ屋根部Uyの下縁から上方側に間隔を隔てる状態で位置させる形態で設けられている。
したがって、切妻形式の屋根部Uyの両側の傾斜屋根部分の夫々において、一対の放射冷却体CPの間の屋根部分及び下方側の放射冷却体CP下方側の屋根部分には、光反射層Bが存在しないため、それらの屋根部分を通して、農業用ハウスUの内部に採光できるように構成されている。
ちなみに、図3及び図4に示す農業用ハウスUにおいては、上述の如く、屋根部Uyの全体に、フィルム状の放射冷却体CPが設けられているから、屋根部Uyを通した採光はできないものの、側壁部Usにおける南側を向く部分を通して太陽光Pを採光できることになる。
尚、図3及び図4に示す農業用ハウスUにおいても、放射冷却体CPを屋根部Uyに対して部分的に設けて、採光できるように構成してもよい。
ところで、屋根部Uyを通して採光する構成としては、放射冷却体CPを屋根部Uyに対して部分的に設けることに代えて、図10に示す如く、光反射層Bを赤外放射層A(樹脂材料層J)に対して部分的に位置させる形態に形成することにより、光反射層Bを屋根部Uyに対して部分的に位置させる形態にしてもよい。
光反射層Bを赤外放射層A(樹脂材料層J)に対して部分的に位置させる形態としては、図11に示すように、光反射層Bをラインアンドスペース状に位置させる形態、図12に示すように、光反射層Bをドット状に位置させる形態、及び、図13に示すように、光反射層Bを逆ドット状に位置させる形態等、種々の形態を用いることができる。
このように、光反射層Bを赤外放射層A(樹脂材料層J)に対して部分的に位置させる形態に形成した場合においては、放射冷却体CPを屋根部Uyに対して全体的に設けても、屋根部分を通して、農業用ハウスUの内部に採光できることになる。
ちなみに、放射冷却体CPを屋根部Uyに対して部分的に設ける場合においても、光反射層Bを赤外放射層A(樹脂材料層J)に対して部分的に位置させる形態に形成して、採光量を調節するようにしてもよい。
〔農業用ハウスのまとめ〕
以上の通り、農業用ハウスUの屋根部Uyには、フィルム状の放射冷却体CPが設けられているから、放射冷却体CPが農業用ハウス内部を放射冷却する作用を発揮することにより、農業用ハウスUの内部温度の上昇を十分に抑制することができる。
説明を加えると、赤外放射層A(樹脂材料層J)の放射面Hから入射する光(紫外光、可視光、赤外光)は、赤外放射層A(樹脂材料層J)を透過した後、赤外放射層A(樹脂材料層J)の放射面Hの存在側とは反対側にある光反射層Bで反射され、放射面Hから系外へ逃がされる。
つまり、光反射層Bは、赤外放射層A(樹脂材料層J)を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)を反射して放射面Hから放射させて、赤外放射層A(樹脂材料層J)を透過した光(紫外光、可視光、赤外光)が農業用ハウス内に投射されて、農業用ハウスUの内部が加温されることを回避することになる。
そして、放射冷却体CPへの伝熱(農業用ハウス内部からの伝熱や、大気からの伝熱)が、赤外放射層A(樹脂材料層J)で赤外線に変換されて、放射面から系外へ逃がされることになる。
つまり、農業用ハウスUの内部から放射冷却体CPに熱が伝えられると、赤外放射層A(樹脂材料層J)が放射面Hから赤外光IRを放射する放射冷却が行われることになり、結果的に、農業用ハウスUの内部が冷却されることになる。
ちなみに、農業用ハウスUの内部の空気を放射冷却体CPの設置箇所に向けて循環流動させるための送風機等を設けて、放射冷却体CPによる冷却作用を向上させるようにしてもよい。
〔実験結果について〕
図14及び図15は、片流れ屋根形式の実験用のビニルハウスZを示すものであって、この実験用のビニルハウスZを用いた実験結果を例示する。
実験用のビニルハウスZは、側壁部を、一般的な樹脂製フィルム、例えば、エフクリーン(登録商標、以下同じ)を用いて形成し、片流れ屋根部Uyを南方向に向け、且つ、縦長形状にすることによって、太陽光Pの到達点が、実験用のビニルハウスZの内部の地面における北側の端部にまで到達するようになっている。
そして、片流れ屋根部Uyを、エフクリーン、農業用遮光ネット、アルミ遮光板、放射冷却体CPにて形成する場合の夫々について、天井から100mmの地点の1日の温度変化及び地面から250mm地点の1日の温度変化を測定した。ちなみに、温度測定にあたり、温度計には太陽光が直接当たらないようにして計測した。
尚、実験日は、2018年5月21日であり、実験地は、大阪(此花区)である。
図16は、天井から100mmの地点の1日の温度変化を示し、図17は、地面から250mm地点の1日の温度変化を示すが、どちらの地点においても、放射冷却体CPにて片流れ屋根部Uyを形成した場合には、エフクリーン、農業用遮光ネット、又は、アルミ遮光板にて片流れ屋根部Uyを形成する場合よりも、太陽光の強度が大きな日中において、2℃から5℃程度の温度が低下した。
ちなみに、本実験においては、実験用のビニルハウスZの内部の空気を自然対流させながら温度測定を実施したが、実験用のビニルハウスZの内部の空気を強制対流(強制的に循環)させて、放射冷却体CPに対して、ビニルハウスZの内部の暖気を当てるようにすれば、ビニルハウスZの内部の温度をさらに低下させることができる。
以上の通り、放射冷却体CPを農業用ハウスUの屋根部Uyに設けることにより、放射冷却体CPへ照射される太陽光を反射し、また、農業用ハウス内部から放射冷却体CPへ伝えられる熱を赤外光IRとして系外へ放射することにより、農業用ハウスUの内部を冷却して、農業用ハウスUの内部温度の上昇を適切に抑制することができる。
〔樹脂材料層の概要〕
樹脂材料層Jを形成する樹脂材料は、厚みによって光吸収率や輻射率(光放射率)が変化する。そのため、太陽光をできるだけ吸収せず、いわゆる大気の窓の波長帯域(波長8μmから波長14μmの帯域)において大きな熱輻射を発するように樹脂材料層Jの厚みを調整する必要がある。
具体的には、太陽光の光吸収率の観点で、樹脂材料層Jの厚みを、波長0.4μmから0.5μmの光吸収率の波長平均が13%以下であり、波長0.5μmから波長0.8μmの光吸収率の波長平均が4%以下であり、波長0.8μmから波長1.5μmまでの光吸収率の波長平均が1%以内であり、波長1.5μmから2.5μmまでの光吸収率の波長平均が40%以下であり、波長2.5μmから4μmまでの光吸収率の波長平均が100%以下である状態の厚みに調整する必要がある。
このような吸収率分布の場合、太陽光の光吸収率は10%以下となり、エネルギーで言うと100W以下となる。
後述の如く、樹脂材料の光吸収率は樹脂材料の膜厚を厚くすると増加する。樹脂材料を厚膜にすると、大気の窓の輻射率はほぼ1となり、その際に宇宙に放出する熱輻射は125W/mから160W/mとなる。光反射層Bでの太陽光吸収は50W/m以下である。樹脂材料層Jと光反射層Bにおける太陽光吸収の和が150W/m以下であり、大気の状態がよければ冷却が進む。樹脂材料層Jを形成する樹脂材料は、以上のように太陽光スペクトルのピーク値付近の光吸収率が小さなものを用いるのが良い。
また、樹脂材料層Jの厚みは、赤外放射(熱輻射)の観点では、波長8μmから14μmの輻射率の波長平均が40%以上となる状態の厚みに調整する必要がある。
光反射層Bで吸収される50W/m程度の太陽光の熱エネルギーを、樹脂材料層Jの熱輻射より樹脂材料層Jから宇宙に放出させるには、それ以上の熱輻射を樹脂材料層Jが出す必要がある。
例えば、外気温が30℃のとき、8μmから14μmの大気の窓の熱輻射の最大は200W/mである(輻射率1として計算)。この値が得られるのは、高山など、空気の薄いよく乾燥した環境の快晴時である。低地などでは大気の厚みが高山よりも厚くなるので、大気の窓の波長帯域は狭くなり、透過率は低下する。ちなみに、このことを「大気の窓が狭くなる」と呼ぶ。
また、放射冷却体CP(放射冷却フィルム)を実際に使用する環境は多湿であることもあり、その場合においても大気の窓は狭くなる。低地で利用する際の大気の窓域で発生する熱輻射は、状態の良いときで30℃において160W/mと見積もられる(輻射率1として計算)。また、日本ではよくあることであるが空に靄があるときや、スモッグが存在する場合、大気の窓はさらに狭くなり、宇宙への放射は125W/m程度となる。
かかる事情を鑑みて、波長8μmから14μmの輻射率の波長平均は40%以上(大気の窓帯での熱輻射強度が50W/m)ないと中緯度帯の低地で用いることができない。
したがって、上記事項を鑑みた光学的規定の範囲になるように樹脂材料層Jの厚みを調整すると、太陽光の光吸収による入熱よりも大気の窓における出熱の方が大きくなり、日射環境下でも屋外で放射冷却できるようになる。
〔樹脂材料の詳細〕
樹脂材料には、炭素―フッ素結合(C-F)、シロキサン結合(Si-O-Si)、炭素―塩素結合(C-Cl)、エステル結合(R-COO-R)、エーテル結合(C-O-C結合)、ベンゼン環を含む無色の樹脂材料を用いることができる。
それぞれの樹脂材料について、大気の窓の波長帯域における吸収係数を持つ波長域を図18に示す。
キルヒホッフの法則により、輻射率(ε)と光吸収率(A)は等しい。光吸収率は吸収係数(α)からA=exp(-αt)の関係式(以下、光吸収率関係式と呼ぶ)で求めることができる。尚、tは膜厚である。
つまり、樹脂材料層Jの膜厚を調整すると、吸収係数の大きな波長帯域で大きな熱輻射が得られる。屋外で放射冷却する場合、大気の窓の波長帯域である波長8μmから14μmにおいて吸収係数の大きな材料を用いるとよい。
また、太陽光の吸収を抑制するために波長0.3μmから4μm、特に0.4μmから2.5μmの範囲で吸収係数を持たない、或いは小さな材料を用いるとよい。吸収係数と吸収率の関係式からわかるように、光吸収率(輻射率)は樹脂材料の膜厚によって変化する。
日射環境下での放射冷却によって周囲の大気より温度を下げるためには、大気の窓の波長帯域において大きな吸収係数をもち、太陽光の波長帯域では吸収係数を殆ど持たない材料を選ぶと、膜厚の調整によって太陽光は殆ど吸収しないが、大気の窓の熱輻射を多く出す、つまりは太陽光の入力よりも放射冷却による出力の方が大きな状態を作り出すことができる。
炭素―フッ素結合(C-F)に関しては、CHFおよびCFに起因する吸収係数が大気の窓である波長8μmから14μmにかけた広帯域に大きく広がっており、特に8.6μmで吸収係数が大きい。併せて、太陽光の波長帯域に関しては、エネルギー強度が大きな0.3μmから2.5μmの波長で目立った吸収係数がない。
炭素―フッ素結合(C-F)を有する樹脂材料としては、
完全フッ素化樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、
部分フッ素化樹脂であるポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリフッ化ビニル(PVF)、
フッ素化樹脂共重合体であるペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、
四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、
エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、
エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。
シロキサン結合(Si-O-Si)をもつ樹脂材料としては、シリコーンゴムおよびシリコーン樹脂が挙げられる。
当該樹脂は、C-Siの結合の伸縮に起因する大きな吸収係数が波長13.3μを中心にブロードに表れ、CSiHの対象面外変角(縦揺れ)に起因する吸収係数が波長10μmを中心にブロードに表れ、CSiHの対象面内変角(はさみ)に起因する吸収係数が波長8μm付近に小さく表れる。
炭素―塩素結合(C-Cl)に関しては、C-Cl伸縮振動による吸収係数が波長12μmを中心に半値幅1μm以上の広帯域に現れる。
また、樹脂材料としてはポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられるが、塩化ビニル樹脂の場合、塩素の電子吸引の影響で、主鎖に含まれるアルケンのC―Hの変角振動に由来する吸収係数が波長10μmあたりに現れる。
エステル結合(R-COO-R)、エーテル結合(C-O-C結合)に関しては、波長7.8μmから9.9μmにかけて吸収係数を持つ。また、エステル結合、エーテル結合に含まれる炭素―酸素結合に関しては、波長8μmから10μmの波長帯域にかけて強い吸収係数が現れる。
ベンゼン環を炭化水素樹脂の側鎖に導入すると、ベンゼン環自身の振動や、ベンゼン環の影響による周りの元素の振動によって、波長8.1μmから18μmにかけて広く吸収が現れるようになる。
これらの結合をもつ樹脂としては、メタクリル酸メチル樹脂、エチレンテレフタラート樹脂、トリメチレンテレフタレート樹脂、ブチレンテレフタレート樹脂、エチレンナフタレート樹脂、ブチレンナフタレート樹脂がある。
〔光吸収の考察〕
上記した結合および官能基を持つ樹脂材料の紫外―可視領域における光吸収、つまり、太陽光吸収について考察する。紫外線から可視光の吸収の起源は結合に寄与する電子の遷移である。この波長域の吸収は、結合エネルギーを計算するとわかる。
先ずは、炭素―フッ素結合(C-F)をもった樹脂材料の紫外から可視域に吸収係数が生じる波長について考える。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を代表としての基本構造部のC-C結合、C-H結合、C-F結合の結合エネルギーを求めると、4.50eV、4.46eV、5.05eVとなる。それぞれ、波長0.275μm、波長0.278μm、波長0.246μmに対応し、これら波長の光を吸収する。
太陽光スペクトルは波長0.300μmより長波しか存在しないため、フッ素樹脂を用いた場合、太陽光の紫外線、可視光線、近赤外線をほとんど吸収しない。なお、紫外線の定義は波長0.400μmよりも短波長側、可視光線の定義は波長0.400μmから0.800μm、近赤外線は波長0.800μmから3μmの範囲とし、中赤外線は3μmから8μmの範囲とし、遠赤外線は波長8μmよりも長波とする。
厚さ50μmのPFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)の紫外から可視域の吸収率スペクトルを図19に示すが、殆ど吸収率を持っていないことがわかる。なお、0.4μmよりも短波長側で若干の吸収率スペクトルの増加がみられるが、この増加は測定に用いたサンプルの散乱の影響が表れているだけであり、実際には吸収率は増大していない。
シロキサン結合(Si-O-Si)の紫外領域に関しては、主鎖のSi-O-Siの結合エネルギーが4.60eVであり、波長269nmに対応する。太陽光スペクトルは波長0.300μmより長波しか存在しないため、シロキサン結合が大多数の場合、太陽光の紫外線、可視光線、近赤外線をほとんど吸収しない。
厚さ100μmのシリコーンゴムの紫外から可視域の吸収率スペクトルを図19に示すが、殆ど吸収率を持っていないことがわかる。なお、波長0.4μmよりも短波長側で若干の吸収率スペクトルの増加がみられるが、この増加は測定に用いたサンプルの散乱の影響が表れているだけであり、実際には吸収率は増大していない。
炭素―塩素結合(C-Cl)に関して、アルケンの炭素と塩素の結合エネルギーは3.28eVであり、その波長は0.378μmであるので、太陽光の内紫外線を多く吸収するが、可視域については吸収をほとんど持たない。
厚さ100μmの塩化ビニル樹脂の紫外から可視域の吸収率スペクトルを図19に示すが、波長0.38μmよりも短波長側で光吸収が大きくなる。
エステル結合(R-COO-R)、エーテル結合(C-O-C結合)、ベンゼン環をもつ樹脂としては、メタクリル酸メチル樹脂、エチレンテレフタラート樹脂、トリメチレンテレフタレート樹脂、ブチレンテレフタレート樹脂、エチレンナフタレート樹脂、ブチレンナフタレート樹脂がある。例えばアクリルのC-C結合の結合エネルギーは3.93eVであり、波長0.315μmより短波長の太陽光を吸収するが、可視域については吸収をほとんど持たない。
これら結合および官能基を持つ樹脂材の一例として、厚さ5mmのメタクリル酸メチル樹脂の紫外から可視域の吸収率スペクトルを図19に示す。
5mmと厚板であるために、吸収係数の小さな波長も大きくなり、波長0.315よりも長波の0.38μmよりも短波側で光吸収が大きくなる。
これら結合および官能基を持つ樹脂材の一例として厚さ40μmのエチレンテレフタラート樹脂の紫外から可視域の吸収率スペクトルを図19に示す。
図示のように、波長0.315μmに近づくほどに吸収率が大きくなり、波長0.315μmで急激に吸収率が大きくなる。なお、エチレンテレフタラート樹脂も、厚みを増していくと、波長0.315μmより少し長波側において、C-C結合由来の吸収端による吸収率が大きくなり、メタクリル酸メチル樹脂同様に紫外線における吸収率が増大する。
樹脂材料層Jは、前述の輻射率(光放射率)、光吸収率の特性を有する樹脂材料を用いるものであれば、一種類の樹脂材料の単層膜、複数種類の樹脂材料の多層膜、複数種類の樹脂材料がブレンドされた樹脂材料の単層膜、複数種類の樹脂材料がブレンドされた樹脂材料の多層膜でも構わない。
なお、ブレンドには、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体といった共重合体や側鎖を置換した変性品も含まれる。
〔シリコーンゴムの輻射率〕
図20に、シロキサン結合をもつシリコーンゴムの大気の窓における輻射率スペクトルを示す。
シリコーンゴムからは、C-Siの結合の伸縮に起因する大きな吸収係数が波長13.3μを中心にブロードに表れ、CSiHの対象面外変角(縦揺れ)に起因する吸収係数が波長10μmを中心にブロードに表れ、CSiHの対象面内変角(はさみ)に起因する吸収係数が波長8μm付近に小さく表れる。
この影響で、厚さ1μmの輻射率の波長平均は、波長8μmから14μmにおいて80%であり、波長平均40%以上という規定の中に入る。図示の通り、膜厚が厚くなると大気の窓領域における輻射率は増大する。
ちなみに、図20には、無機材料である厚み1μmの石英が銀上に存在するときの放射スペクトルを併せて示す。石英は厚み1μmのとき、波長8μmから14μmの間で狭帯域な輻射ピークしか持たない。
この熱輻射を波長8μmから14μmの波長域で波長平均をすると、波長8μmから14μmの輻射率は32%となり、放射冷却性能を示すことが難しい。
樹脂材料層Jを用いた本発明の放射冷却体CP(放射冷却フィルム)は、光反射層Bとして無機材料を用いる従来技術よりも薄い赤外放射層Aでも放射冷却性能が得られる。つまり、無機材料である石英やテンパックスガラスにて赤外放射層Aを形成する場合には、赤外放射層Aが膜厚1μmでは放射冷却性能が得られないが、樹脂材料層Jを用いた本発明の放射冷却体CPでは、樹脂材料層Jが膜厚1μmでも放射冷却性能を示す。
〔PFAの輻射率〕
図21に、炭素―フッ素結合を持つ樹脂の代表例として、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)の大気の窓における輻射率を示す。CHFおよびCFに起因する吸収係数が大気の窓である波長8μmから14μmにかけた広帯域に大きく広がっており、特に8.6μmで吸収係数が大きい。
この影響で、厚さ10μmの輻射率の波長平均は、波長8μmから14μmにおいて45%であり、波長平均40%以上という規定の中に入る。図示の通り、膜厚が厚くなると大気の窓領域における輻射率は増大する。
〔塩化ビニル樹脂の輻射率〕
図22に、炭素―塩素結合をもつ樹脂の代表例として、塩化ビニル樹脂(PVC)の大気の窓における輻射率を示す。
炭素―塩素結合に関しては、C-Cl伸縮振動による吸収係数が波長12μmを中心に半値幅1μm以上の広帯域に現れる。
また、塩化ビニル樹脂の場合、塩素の電子吸引の影響で、主鎖に含まれるアルケンのC―Hの変角振動に由来する吸収係数が波長10μmあたりに現れる。
これらの影響で、厚さ10μmの輻射率の波長平均は、波長8μmから14μmにおいて43%であり、波長平均40%以上という規定の中に入る。図示の通り、膜厚が厚くなると大気の窓領域における輻射率は増大する。
〔エチレンテレフタラート樹脂〕
図23に、エステル結合やベンゼン環をもつ樹脂の代表例として、エチレンテレフタラート樹脂の大気の窓における輻射率を示す。
エステル結合に関しては、波長7.8μmから9.9μmにかけて吸収係数を持つ。また、エステル結合に含まれる炭素―酸素結合に関しては、波長8μmから10μmの波長帯域にかけて強い吸収係数が現れる。ベンゼン環を炭化水素樹脂の側鎖に導入すると、ベンゼン環自身の振動や、ベンゼン環の影響による周りの元素の振動によって、波長8.1μmから18μmにかけて広く吸収が現れる。
これらの影響で、厚さ10μmの輻射率の波長平均は、波長8μmから14μmにおいて71%であり、波長平均40%以上という規定の中に入る。図示の通り、膜厚が厚くなると大気の窓領域における輻射率は増大する。
〔オレフィン変成材料の輻射率〕
図24には、炭素―フッ素結合(C-F)、炭素―塩素結合(C-Cl)、エステル結合(R-COO-R)、エーテル結合(C-O-C結合)、ベンゼン環を含まない、主成分がオレフィンである、オレフィン変性材料の輻射率スペクトルを示す。サンプルは、蒸着した銀上にオレフィン樹脂をバーコーターで塗布し乾燥させることによって作製した。
図示の通り、大気の窓領域での輻射率は小さく、この影響で、厚さ10μmの輻射率の波長平均は、波長8μmから14μmにおいて27%であり、波長平均40%以上という規定の中に入らない。
図示の輻射率はバーコーターとして塗布するために変性されたオレフィン樹脂のものであり、純粋なオレフィン樹脂の場合には、更に、大気の窓領域における輻射率は小さい。
このように、炭素―フッ素結合(C-F)、炭素―塩素結合(C-Cl)、エステル結合(R-COO-R)、エーテル結合(C-O-C結合)、ベンゼン環を含まないと放射冷却できない。
〔光反射層および樹脂材料層の表面の温度〕
樹脂材料層Jの大気の窓の熱輻射は樹脂材料の表面近傍で発生する。
図20より、シリコーンゴムの場合は10μmより厚いと大気の窓領域における熱輻射は増大しない。つまり、シリコーンゴムの場合、大気の窓における熱輻射の大部分は表面から深さ約10μm以内の部分で生じており、より深い部分の輻射は外に出てこない。
図21より、フッ素樹脂の場合は100μmより厚くなっても大気の窓領域における熱輻射の増大は殆どなくなる。つまり、フッ素樹脂場合、大気の窓における熱輻射は表面から深さ約100μm以内の部分で生じており、より深い部分の輻射は外に出てこない。
図22より、塩化ビニル樹脂の場合は100μmより厚くなっても大気の窓領域における熱輻射の増大は殆どなくなる。つまり、塩化ビニル樹脂場合、大気の窓における熱輻射は表面から深さ約100μm以内の部分で生じており、より深い部分の輻射は外に出てこない。
図23より、エチレンテレフタラート樹脂の場合は125μmより厚くなっても大気の窓領域における熱輻射の増大は殆どなくなる。つまり、エチレンテレフタラート樹脂の場合、大気の窓における熱輻射は表面から深さ約100μmの部分で生じており、より深い部分の輻射は外に出てこない。
以上のように、樹脂材料表面から発生する大気の窓領域の熱輻射は、表面からの深さが概ね100μm以内の部分で生じており、それ以上に樹脂の厚みが増していくと、熱輻射に寄与しない樹脂材料によって、放射冷却体の放射冷却した冷熱が断熱される。
理想的に太陽光を全く吸収しない樹脂材料層Jを光反射層Bの上に作製することを考える。この場合、太陽光は放射冷却体CPの光反射層Bでのみ吸収される。
樹脂材料の熱伝導率はおしなべて0.2W/m/K程度であり、この熱伝導性を考慮して計算すると、樹脂材料層Jの厚みが20mmを超えると、冷却面(光反射層Bにおける樹脂材料層Jの存在側とは反対側の面)の温度が上昇する。
太陽光をまったく吸収しない理想的な樹脂材料が存在したとしても、樹脂材料の熱伝導率はおしなべて0.2W/m/K程度であるので、図25のように20mmを超えると光反射層Bが日射を受けて加熱されてしまい、光反射層側に設置された冷却対象物Eは加熱される。つまり、放射冷却体CPの樹脂材料の厚みは20mm以下にする必要がある。
なお、図25は、真夏の西日本の良く晴れた日の南中を想定して計算した放射冷却体(放射冷却フィルム)の放射面Hの表面温度と光反射層Bの温度のプロットである。太陽光はAM1.5とし、1000W/mのエネルギー密度としている。外気温は30℃であり、放射エネルギーは温度によって変わるが30℃において100Wである。樹脂材料層で太陽光の吸収はないものとしての計算である。無風状態を仮定し、対流熱伝達率は5W/m/Kとしている。
〔シリコーンゴム等の光吸収率について〕
図26に、側鎖がCHであるシリコーンゴムの厚さが100μmのときの太陽光スペクトルに対する光吸収率、及び、厚さ100μmのペルフルオロアルコキシフッ素樹脂の太陽光スペクトルに対する光吸収率スペクトルを示す。先に述べた通り、両樹脂ともに紫外域においては光吸収率を殆ど持たないことがわかる。
シリコーンゴムに関して、近赤外域においては、光吸収率が波長2.35μmより長波側の域で増加する。但し、この波長域における太陽光スペクトルの強度は弱いため、波長2.35μmより長波側の光吸収率が100%となっても吸収される太陽光エネルギーは20W/mである。
ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂に関しては、波長0.3μmから2.5μmの波長範囲では光吸収率を殆ど持たず、波長2.5μmより長波長側で光吸収を持つ。但し、当該樹脂の膜厚を厚くし、波長2.5μmより長波長側の光吸収率が100%になったとしても、吸収される太陽光エネルギーは7W程度である。
尚、樹脂材料層Jの厚さ(膜厚)を厚くしていくと、大気の窓領域の輻射率はほぼ1となる。つまり、厚膜の場合、低地で利用する際の大気の窓域で宇宙に放射する熱輻射は、30℃において160W/mから125W/m程度となる。光反射層Bにおける光吸収は、上述の規定の如く、50W/m程度であり、光反射層Bの光吸収とシリコーンゴム又はペルフルオロアルコキシフッ素樹脂を厚膜にした際の太陽光吸収を足しても宇宙に放射する熱輻射より小さい。
以上より、シリコーンゴム及びペルフルオロアルコキシフッ素樹脂の最大の膜厚は、熱伝導性の観点から20mmとなる。
〔炭化水素系樹脂の光吸収について〕
樹脂材料層Jを形成する樹脂材料が、炭素―塩素結合、エステル結合、エーテル結合、ベンゼン環を1つ以上有する炭化水素を主鎖とする樹脂であった場合、或いは、シリコーン樹脂であり側鎖の炭化水素の炭素数が2個以上の場合、先述の共有結合電子による紫外線吸収以外に、近赤外域に結合の変角や伸縮などの振動に基づく吸収が観測される。
具体的には、CH、CH、CHの第一励起状態への遷移の基準音による吸収がそれぞれ波長1.6μmから1.7μm、波長1.65μmから1.75μm、波長1.7μmに現れる。さらに、CH、CH、CHの結合音の基準音による吸収がそれぞれ波長1.35μm、波長1.38μm、波長1.43μmに現れる。さらに、CH、CHの第二励起状態への遷移の倍音がそれぞれ波長1.24μmあたりに現れる。C-H結合の変角や伸縮の基準音は波長2μmから2.5μmにかけて広帯域に分布している。
また、エステル結合(R-COO-R)、エーテル結合(C-O-C)を有する場合、波長1.9μmあたりに大きな光吸収が存在する。
これらに起因する光吸収率は、上述の光吸収率関係式より、樹脂材料の膜厚が薄いと小さくなり目立たなくなるが、膜厚が厚いと大きくなる。
図27には、エステル結合とベンゼン環を持つエチレンテレフタラート樹脂の膜厚を変化させた場合における光吸収率と太陽光のスペクトルとの関係を記す。
図示の如く、膜厚が25μm、125μm、500μmと大きくなるごとに、それぞれの振動に起因する波長1.5μmよりも長波域の光吸収が増加する。
また、長波長側だけでなく、紫外線領域から可視領域にかけての光吸収も増加する。これは、化学結合に起因する光の吸収端に広がりがあることに起因している。
膜厚が薄い時は最も大きな吸収係数を持つ波長で光吸収率が大きくなるが、膜厚が厚くなると、上述の光吸収率関係式より、広がりを持った吸収端の弱い吸収係数が吸収率となり出現する。このことにより、膜厚が厚くなると紫外線領域から可視領域にかけての光吸収が増加する。
厚さが25μmのときの太陽光スペクトルの吸収は15W/m、厚さが125μmのとき太陽光スペクトルの吸収は41W/m、厚さが500μmの時の太陽光スペクトルの吸収は88W/mである。
光反射層Bの光吸収は、上述の規定により50W/mであるから、膜厚が500μmある場合、エチレンテレフタラート樹脂の太陽光吸収と光反射層Bの太陽光吸収の和が138W/mとなる。日本の低地の夏場における、大気の窓の波長帯域の赤外放射の最大値は先述の通り30℃において大気の状態の良い日で160W程度、通常は125W程度である。
以上より、エチレンテレフタラート樹脂の膜厚が500μm以上では、放射冷却性能を発揮しなくなる。
1.5μmから4μmの波長帯域の吸収スペクトルの起源は、官能基でなく主鎖の炭化水素の振動であり、炭化水素系樹脂であればエチレンテレフタラート樹脂と同様の挙動を示す。また、炭化水素系樹脂は紫外域に化学結合に起因する光吸収を有しており、紫外から可視についてもエチレンテレフタラート樹脂と同様の挙動を示す。
つまり、炭化水素樹脂であれば波長0.3μmから4μmまでエチレンテレフタラート樹脂と同様の挙動をとる。以上から、炭化水素系の樹脂の膜厚は500μmよりも薄い必要がある。
〔ブレンド樹脂の光吸収について〕
樹脂材料が、炭素―フッ素結合或いはシロキサン結合を主鎖とする樹脂と、炭化水素を主鎖とする樹脂とをブレンドした樹脂材料である場合には、ブレンドされた炭化水素を主鎖とする樹脂の割合に応じてCH、CH、CHなどに起因する近赤外域の光吸収が現れる。
炭素―フッ素結合或いはシロキサン結合が主成分の場合、炭化水素に起因する近赤外域の光吸収は小さくなるので、熱伝導性の観点での上限の20mmまで厚くすることができる。しかし、ブレンドされる炭化水素樹脂が主成分となる場合は厚さを500μm以下にする必要がある。
フッ素樹脂或いはシリコーンゴムと炭化水素とのブレンドには、フッ素樹脂或いはシリコーンゴムの側鎖を炭化水素に置換したものや、フッ素モノマーおよびシリコーンモノマーと炭化水素モノマーの交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体も含まれる。なお、フッ素モノマーと炭化水素モノマーの交互共重合体としては、フルオロエチレン・ビニルエステル(FEVE)、フルオロオレフィンーアクリル酸エステル共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。
置換する炭化水素側鎖の分子量および割合に応じてCH、CH、CHなどに起因する近赤外域の光吸収が現れる。側鎖や共重合として導入されるモノマーが低分子であるとき、あるいは、導入されるモノマーの密度が小さいときには、炭化水素に起因する近赤外域の光吸収は小さくなるので、熱伝導性の観点での限界の20mmまで厚くすることができる。
フッ素樹脂或いはシリコーンゴムの側鎖や共重合されるモノマーとして高分子の炭化水素を導入する場合、樹脂の厚みを500μm以下にする必要がある。
〔樹脂材料層の厚みについて〕
放射冷却体CPの実用の観点では、樹脂材料層Jの厚みは薄い方がよい。樹脂材料の熱伝導率は、金属やガラスなどよりも一般に低い。冷却対象物Eを効果的に冷却するには、樹脂材料層Jの膜厚は必要最低限であるのがよい。樹脂材料層Jの膜厚を厚くするほどに大気の窓の熱輻射は大きくなり、ある膜厚を超えると大気の窓における熱輻射エネルギーは飽和する。
飽和する膜厚は樹脂材料にもよるが、フッ素樹脂の場合は概ね300μmもあれば十分に飽和する。したがって、熱伝導度の観点で500μmよりも300μm以下に膜厚を抑えるのが望ましい。さらに、熱輻射は飽和していないが、厚みが100μm程度であっても大気の窓領域において十分な熱輻射を得ることができる。厚さが薄い方が、熱貫流率が高まり被冷却物の温度をより効果的に下げられるので、フッ素樹脂の場合、100μm程度以下の厚さにするのがよい。
C-F結合に起因する吸収係数よりも炭素―ケイ素結合、炭素―塩素結合、炭素―酸素結合、エステル結合、エーテル結合に由来する吸収係数の方が大きい。当然、熱伝導度の観点で500μmよりも300μm以下に膜厚を抑えるのが望ましいが、更に膜厚を薄くして熱伝導性を上げるとさらに大きな放射冷却効果が期待できる。
炭素―塩素結合、炭素―酸素結合、エステル結合、エーテル結合、ベンゼン環を含む樹脂の場合、厚みが100μmであっても飽和しており、厚さ50μmでも大気の窓領域において十分な熱輻射が得られる。樹脂材料の厚さが薄い方が、熱貫流率が高まり被冷却物の温度をより効果的に下げられるので、炭素―塩素結合、炭素―酸素結合、エステル結合、エーテル結合、ベンゼン環を含む樹脂の場合、50μm以下の厚さにすると断熱性が小さくなり冷却対象物Eを効果的に冷却することができる。
薄くする効用は断熱性を下げて冷熱を伝えやすくすること以外にもある。それは、炭素―塩素結合、炭素―酸素結合、エステル結合、エーテル結合を含む樹脂が呈する、近赤外域でのCH、CH、CH由来の近赤外域の光吸収の抑制である。薄くすると、これらによる太陽光吸収を小さくすることができるので、放射冷却体CPの冷却能力が高まることになる。
以上の観点から、炭素―塩素結合、炭素―酸素結合、エステル結合、エーテル結合、ベンゼン環を含む樹脂の場合、50μm以下の厚さにするとより効果的に日照下において放射冷却効果を出すことができる。
炭素―ケイ素結合の場合、厚さ50μmでも大気の窓領域において熱輻射が飽和しきっており、厚さ10μmでも大気の窓領域において十分な熱輻射が得られる。樹脂材料層Jの厚さが薄い方が、熱貫流率が高まり冷却対象物Eの温度をより効果的に下げられるので、炭素―ケイ素結合を含む樹脂の場合、10μm以下の厚さにすると断熱性が小さくなり冷却対象物Eを効果的に冷却することができる。薄くすると、太陽光吸収を小さくすることができるので、放射冷却体CPの冷却能力が高まる。
以上の観点から、炭素―ケイ素結合を含む樹脂の場合、10μm以下の厚さにするとより効果的に日照下において放射冷却効果を出すことができる。
〔光反射層の詳細〕
光反射層Bに上述の反射率特性を持たせるためには、放射面Hの存在側(樹脂材料層Jの存在側)の反射材料は銀または銀合金である必要がある。
図28に示す通り、銀をベースとして光反射層Bを構成すれば、光反射層Bに求められる反射率が得られる。
銀または銀合金のみで太陽光を前記の反射率特性を持たせた状態で反射する場合、厚さが50nm以上必要である。
但し、光反射層Bに柔軟性を備えさせるためには、厚さを100μm以下にする必要がある。これ以上厚いと曲げにくくなる。
ちなみに、「銀合金」としては、銀に、銅、パラジウム、金、亜鉛、スズ、マグネシウム、ニッケル、チタンのいずれかを、例えば、0.4~4.5質量%程度添加した合金を用いることができる。具体例としては、銀に銅とパラジウムを添加して作成した銀合金である「APC-TR(フルヤ金属製)」を用いることができる。
光反射層Bに上述の反射率特性を持たせるためには、銀または銀合金とアルミまたはアルミ合金を積層させた構造にしてもよい。尚、この場合においても、放射面Hの存在側(樹脂材料層Jの存在側)の反射材料は銀または銀合金である必要がある。
銀(銀合金)とアルミ(アルミ合金)の2層で構成する場合、銀の厚みは10nm以上必要であり、アルミの厚みは30nm以上必要である。
但し、光反射層Bに柔軟性を備えさせるためには、銀の厚さとアルミの厚さとの合計を100μm以下にする必要がある。これ以上厚いと曲げにくくなる。
ちなみに、「アルミ合金」としては、アルミに、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、機械構造用炭素鋼、イットリウム、ランタン、ガドリニウム、テルビウムを添加した合金を用いることができる。
銀および銀合金は風雨や湿度に弱くそれらから保護をする必要がある。そのために、図31~図34に示す如く、銀や銀合金に隣接させる形態で、銀の保護層Dが必要である。
銀の保護層Dは、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、酸化膜(SiO、Al)などを用いることができる。厚みは無機材料の場合、0.02μm以上、有機材料の場合、0.5μm以上が望ましい。無機材料の方が酸素の透過率が低いために、薄膜でも銀の保護として機能する。
〔実験結果について〕
ガラス基板上に銀を300nmの厚さで形成し、その上に、シロキサン結合を有するシリコーンゴム、炭素―フッ素結合を有するフルオロエチレンビニルエーテル、オレフィン変性体(オレフィン変成材料)をバーコーターで膜厚制御しつつ塗布し、放射冷却性能を測定した。
放射冷却性能の評価は外気温35℃の6月下旬の屋外の南中後3時間で実施し、基板を断熱性高く保持したうえで、基板裏面の温度を測定した。冶具に設置後5分後の温度が外気温より低いか、或いは高いかで放射冷却効果があるか否かを評価した。
放射冷却試験の結果を、図30の表1に示す。
ちなみに、フルオロエチレンビニルエーテルの大気の窓領域の輻射率は、図29に示す通りである。尚、シリコーンゴムの輻射率は、図20に示す通りであり、オレフィン変性体(オレフィン変成材料)の輻射率は、図24に示す通りである。
シロキサン結合を有するシリコーンゴムの場合、理論から予想された通り1μm以上の厚みで放射冷却能力を発揮することがわかった。
炭素―フッ素結合を有するフルオロエチレンビニルエーテルは、理論で予測される10μmよりも薄い5μmの膜厚で放射冷却能力を発揮することがわかった。この原因は、炭素―フッ素結合による大気の窓の光吸収のみならず、ビニルエーテルのエーテル結合による光吸収が加わり、それぞれ単独のときよりも大気の窓の光吸収率が増えたためである。
オレフィン変性体(オレフィン変成材料)は、大気の窓領域の熱輻射が殆どでないため放射冷却能力を持たない。
(放射冷却体の具体構成)
本発明の放射冷却体CPは、図31~図34に示すように、フィルム構造にすることができる。樹脂材料層Jを形成する樹脂材料はもとより柔軟であるために、光反射層Bを薄膜にすると、光反射層Bにも柔軟性を備えさせることができ、その結果、放射冷却体CPを柔軟性を備えるフィルム(放射冷却フィルム)とすることができる。
放射冷却体CPをフィルム状に作製するには、種々の形態が考えられる。例えば、フィルム状に作製された光反射層Bに樹脂材料層Jを塗布して作ることが考えられる。あるいは、フィルム状に作製された光反射層Bに樹脂材料層Jを貼り付けて作ることが考えられる。或いは、フィルム状に作製された樹脂材料層Jの上に、蒸着・スパッタリング・イオンプレーティング・銀鏡反応などによって光反射層Bを作製することが考えられる。
尚、光反射層Bを樹脂材料層Jに対して部分的に位置させる形態に形成するには、マスク処理等を行うことになるが、以下においては、光反射層Bを樹脂材料層Jに対して部分的に位置させる形態に形成することの説明を省略する。
具体的に説明すると、図31の放射冷却体CP(放射冷却フィルム)は、光反射層Bを、銀又は銀合金の一層として形成する場合や、銀(銀合金)とアルミ(アルミ合金)の2層で構成する場合において、当該光反射層Bの両側に、保護層Dを形成し、上側の保護層Dの上部に、樹脂材料層Jを形成したものである。
図31の放射冷却体CP(放射冷却フィルム)の作成方法としては、フィルム状の樹脂材料層Jの上に、銀の保護層D、光反射層B、銀の保護層D、樹脂材料層Jを順次塗布して、一体的に成形する方法を採用することができる。
図32の放射冷却体CP(放射冷却フィルム)は、光反射層Bを、アルミ(アルミ合金)として機能するアルミ箔にて形成されたアルミ層B1と、銀又は銀合金からなる銀層B2とから構成し、当該光反射層Bの上側に、保護層Dを形成し、保護層Dの上部に、樹脂材料層Jを形成したものである。
図32の放射冷却体CP(放射冷却フィルム)の作成方法としては、アルミ箔にて構成されるアルミ層B1の上に、銀層B2、保護層D、樹脂材料層Jを順次塗布して、一体的に成形する方法を採用することができる。
尚、別の作成方法として、樹脂材料層Jをフィルム状に形成して、当該フィルム状の樹脂材料層Jの上に、保護層D、銀層B2を順次塗布し、アルミ層B1を銀層B2に貼り付ける方法を採用することができる。
図33の放射冷却体CP(放射冷却フィルム)は、光反射層Bを、銀又は銀合金の一層として形成する場合や、銀(銀合金)とアルミ(アルミ合金)の2層で構成する場合において、当該光反射層Bの上側に、保護層Dを形成し、保護層Dの上部に、樹脂材料層Jを形成し、光反射層Bの下側に、PET等のフィルム層Fを形成したものである。
図33の放射冷却体CP(放射冷却フィルム)の作成方法としては、PET(ポリエチレンテレフタラート)等にてフィルム状に形成されたフィルム層Fの上に、光反射層B、保護層Dを順次塗布して、一体的に成形し、保護層Dに対して、別途形成したフィルム状の樹脂材料層Jをのり層Nにて接着する方法を採用することができる。
のり層Nにて使用する接着剤は、例えば、アクリル系粘着剤、フッ素系粘着剤、シリコーン系粘着剤があり、太陽光に対して高い透明性を持つものが望ましい。なお接着剤としてよく用いられるウレタン系接着剤は紫外線劣化しやすいので適さない。
図34の放射冷却体CP(放射冷却フィルム)は、光反射層Bを、アルミ(アルミ合金)として機能するアルミ層B1と、銀又は銀合金(代替銀)からなる銀層B2とから構成し、アルミ層B1を、PET(ポリエチレンテレフタラート)等にてフィルム状に形成されたフィルム層Fの上部に形成し、銀層B2の上側に、保護層Dを形成し、保護層Dの上側に、樹脂材料層Jを形成したものである。
図34の放射冷却体CP(放射冷却フィルム)の作成方法としては、フィルム層Fの上に、アルミ層B1を塗布して、フィルム層Fとアルミ層B1とを一体的に成形し、別途、フィルム状の樹脂材料層Jの上に、保護層D、銀層B2を塗布して、樹脂材料層J、保護層D、銀層B2を一体形成し、アルミ層B1と銀層B2とをのり層Nにて接着する方法を採用することができる。
のり層Nにて使用する接着剤は、例えば、アクリル系粘着剤、フッ素系粘着剤、シリコーン系粘着剤があり、太陽光に対して高い透明性を持つものが望ましい。なお接着剤としてよく用いられるウレタン系接着剤は紫外線劣化しやすいので適さない。
〔赤外放射層の別形態〕
上記実施形態では、赤外放射層Aが樹脂材料層Jにて構成される場合について説明したが、赤外放射層Aを、無アルカリガラス、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラスのうちのいずれかのガラス(白板ガラス)にて構成してもよい。
ちなみに、無アルカリガラスとしては、例えば、OA10G(日本電気硝子製)を用いることができ、クラウンガラスとしては、例えば、B270(登録商標、以下同じ)を用いることができ、ホウケイ酸ガラスとしては、例えば、テンパックス(登録商標、以下同じ)を用いることができる。
「OA10G」、「B270」及び「テンパックス」は、図35に示すように、太陽光に対応する波長の光に対する透過率が高く、また、図36に示すように、大気の透過率が高い波長域(いわゆる、大気の窓)に相当する波長の輻射率が高い。
ちなみに、図35は「テンパックス」を代表として例示するが、白板ガラスの「OA10G」、「B270」なども同様である。
ちなみに、赤外放射層Aを構成するテンパックスの厚さは、10μm以上で10cm以下である必要があり、好ましくは、20μm以上で10cm以下、より好ましくは、100μm以上で1cm以下が良い。
つまり、赤外放射層Aを、波長8μm以上14μm以下の赤外域で大きな熱輻射を示し、当該熱輻射が、赤外放射層A及び光反射層Bの夫々にて吸収されるAM1.5Gの太陽光及び大気の熱輻射よりも大きくなるようにすることにより、昼夜を問わず周囲の大気よりも温度が低下する放射冷却作用を発揮する放射冷却体CPを構成することができる。
そして、そのようにするにあたり、赤外放射層Aをテンパックスにて構成する場合には、厚さを10μm以上で10cm以下にする必要があり、好ましくは、20μm以上で10cm以下、より好ましくは、100μm以上で1cm以下が良い。
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、樹脂材料層Jと光反射層Bとを全面的に密着させる場合を例示したが、樹脂材料層Jと光反射層Bとを部分的に接合させて、樹脂材料層Jと光反射層Bとの間に、伝熱可能な隙間を部分的に存在させてもよい。
ちなみに、赤外放射層Aをガラス(白板ガラス)にて構成する場合も同様である。
(2)上記実施形態では、農業用ハウスUの屋根部Uyが、切妻形式の場合を例示したが、屋根部Uyの形態としては、片流れ形式や逆U字状形式等、種々の形態の場合においても本発明は適用できる。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
A 赤外放射層
B 光反射層
H 放射面
J 樹脂材料層
Uy 屋根部
Us 側壁部

Claims (15)

  1. 屋根部及び側壁部を備える農業用ハウスであって、
    放射面から赤外光を放射しかつ前記放射面から入射する太陽光を透過する赤外放射層と、当該赤外放射層における前記放射面の存在側とは反対側に位置させる光反射層とが設けられたフィルム状の放射冷却体が、前記屋根部に設けられている農業用ハウス。
  2. 前記放射冷却体が、前記光反射層を前記屋根部に対して部分的に位置させる形態で設けられている請求項1に記載の農業用ハウス。
  3. 前記放射冷却体を前記屋根部に対して部分的に設けることにより、前記光反射層を前記屋根部に対して部分的に位置させる形態にする請求項2に記載の農業用ハウス。
  4. 前記放射冷却体が、前記光反射層を前記赤外放射層に対して部分的に位置させる形態に形成されることにより、前記光反射層を前記屋根部に対して部分的に位置させる形態にする請求項2に記載の農業用ハウス。
  5. 前記赤外放射層が、吸収した太陽光エネルギーよりも大きな熱輻射エネルギーを波長8μmから波長14μmの帯域で放つ厚みに調整された樹脂材料層である請求項1~4のいずれか1項に記載の農業用ハウス。
  6. 前記光反射層は、波長0.4μmから0.5μmの反射率が90%以上、波長500nmより長波の反射率が96%以上である請求項5に記載の農業用ハウス。
  7. 前記樹脂材料層の膜厚が、
    波長0.4μmから0.5μmの光吸収率の波長平均が13%以下であり、波長0.5μmから波長0.8μmの光吸収率の波長平均が4%以下であり、波長0.8μmから波長1.5μmまでの光吸収率の波長平均が1%以内であり、1.5μmから2.5μmまでの光吸収率の波長平均が40%以下となる光吸収特性を備え、且つ、
    8μmから14μmの輻射率の波長平均が40%以上となる熱輻射特性を備える厚みに調整されている請求項5又は6に記載の農業用ハウス。
  8. 前記樹脂材料層を形成する樹脂材料は、炭素―フッ素結合、シロキサン結合、炭素―塩素結合、炭素―酸素結合、エステル結合、ベンゼン環のいずれかを1つ以上有する樹脂材料から選択される請求項5~7のいずれか1項に記載の農業用ハウス。
  9. 前記樹脂材料層を形成する樹脂材料の主成分がシロキサンであり、
    前記樹脂材料層の厚みが、1μm以上である請求項5~7のいずれか1項に記載の農業用ハウス。
  10. 前記樹脂材料層の厚みが、10μm以上である請求項8に記載の農業用ハウス。
  11. 前記樹脂材料層の厚みが、20mm以下である請求項5~10のいずれか1項に農業用ハウス。
  12. 前記樹脂材料が、フッ素樹脂もしくはシリコーンゴムである請求項11に記載の農業用ハウス。
  13. 前記赤外放射層が、無アルカリガラス、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラスのうちのいずれかのガラスである請求項1~4のいずれか1項に記載の農業用ハウス。
  14. 前記光反射層が、銀または銀合金で構成され、その厚みが50nm以上である請求項1~13のいずれか1項に記載の農業用ハウス。
  15. 前記光反射層が、銀または銀合金とアルミまたはアルミ合金の積層構造である請求項1~13のいずれか1項に記載の農業用ハウス。
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