まず図1及び図2を参照して、本発明の一実施の形態における部品実装装置について説明する。部品実装システム1は、基板に部品を実装して実装基板を製造する機能を有する。この部品実装システム1は、複数の実装ライン2(2A,2B,2C)と、複数の実装ライン2を統括して制御する上位システム3と、実装ライン2と上位システム3を通信可能に接続する通信ネットワーク4を含んで構成される。
実装ライン2は工場のフロアFに設置され、基板の搬送方向に連結した複数の部品実装装置M1〜M5を含んで構成される。通信ネットワーク4は、個々の部品実装装置M1〜M5と上位システム3を接続する。上位システム3は、後述するバーコードリーダ20などの携帯型の端末機器から無線送信される入力信号を受信する無線受信装置5を備えている。
次に図2及び図3を参照して、部品実装装置M1〜M5の構成について説明する。以下、基板の搬送方向をX方向、X方向と水平面内において直交する方向をY方向、XY平面と直交する方向をZ方向と定義する。部品実装装置M1〜M5は、以下に説明する各種機構が設けられる基台6を備えている。すなわち、基台6の上面には、X方向に延びた一対の搬送コンベアを備えた基板搬送機構7が設けられている。基板搬送機構7は、基板8を搬送して所定の位置に位置決めする。所定の位置には、基板8に部品9(図4(a))を実装する実装作業位置(図1に示す基板8の位置)が含まれる。
基台6上であって、基板搬送機構7をY方向から挟む両側の位置には、第1の領域10A、第2の領域10Bがそれぞれ設けられている。第1の領域10Aには、複数(2個)のフィーダ配置区画11(1),11(2)がX方向に並列した状態で設定されている。同様に、第2の領域10Bには、複数(2個)のフィーダ配置区画11(3),11(4)がX方向に並列した状態で設定されている。以下、フィーダ配置区画を区別する必要がない場合は、「フィーダ配置区画11」と称する。
フィーダ配置区画11には、複数のテープフィーダ12がX方向に並列した状態で配置される。図4(a)において、テープフィーダ12は、供給リール13に巻回収納されたキャリアテープ14を間欠送りして、キャリアテープ14に保持された部品9を後述する実装ヘッド27による部品取り出し位置まで供給する部品供給部として機能する。
図4(a),(b)において、テープフィーダ12は本体部12aと、本体部12aの下面から下に凸の状態で設けられた装着部12bを含んで構成される。図4(b)において、本体部12aはキャリアテープ14を間欠送りするテープ送り機構を備えたテープ送り部15を内蔵している。テープ送り部15は、キャリアテープ14の走行路の先端部に設けられたスプロケット16と、スプロケット16を回転駆動する駆動モータ17と、駆動モータ17を制御するフィーダ制御部18を備えている。供給リール13から引き出されたキャリアテープ14は、テープ送り部15によって部品取り出し位置まで間欠送りされる。キャリアテープ14は、0402等の微小サイズの複数の部品9を長手方向に所定間隔で保持する。
図4(a)において、供給リール13の側面には、その供給リール13にキャリアテープ14を介して収納された部品9の情報(以下、「部品情報」と称する)を記録した記録媒体としてのバーコード19が設けられている。部品情報としては、例えば、部品9の識別情報である部品ID、キャリアテープ14が保持する部品9の数量がある。また、各実装ライン2は部品情報読み取り部としてのバーコードリーダ20を備えている。オペレータがバーコードリーダ20の読み取り面をバーコード19に相対させることで、バーコードリーダ20は部品情報を読み取る。読み取った部品情報は無線受信装置5に送信される。
図3及び図4(a)において、テープフィーダ12は台車21に装着された状態でフィーダ配置区画11に配置される。図4(a)において、台車21は上部に設けられたフィーダベース22と、オペレータが把持可能なハンドル部23を含んで構成される。なお、図3ではハンドル部23の図示を省略している。フィーダベース22には、テープフィーダ12の装着位置を特定するためのフィーダ番地が設定されており、各フィーダ番地に対応する位置にテープフィーダ12が装着可能となっている。オペレータがハンドル部23を把持して台車21を移動させ、台車21と基台6を結合させることで、テープフィーダ12をフィーダ配置区画11に配置させることができる。このとき、フィーダベース22は第1の領域10A、第2の領域10Bに設けられた状態となる。
便宜上、第1の領域10Aに設けられるフィーダベース22を第1フィーダベース22Aと称し、第2の領域10Bに設けられるフィーダベース22を第2フィーダベース22Bと称する。第1フィーダベース22Aと第2フィーダベース22Bを区別して説明する必要がない場合は「フィーダベース22」と称する。
図2において、第1フィーダベース22Aと第2フィーダベース22Bは、それぞれ第1の領域10A及び第2の領域10Bに複数設けられる。また、複数の第1フィーダベース22Aは第1の領域10Aに基板搬送機構7による基板8の搬送方向(X方向)に並んでいる。さらに、複数の第2フィーダベース22Bは第2の領域10Bに基板搬送機構7による基板8の搬送方向に並んでいる。
図4(b)において、装着部12bは第1のコネクタ部24を備えている。また、フィーダベース22は第2のコネクタ部25を備えている。テープフィーダ12をフィーダベース22に装着させた状態では、第1のコネクタ部24と第2のコネクタ部25とが嵌合する。そして、この状態で台車21と基台6を結合させることで、フィーダ制御部18と、部品実装装置M1〜M5が備える制御部40は電気的に接続される。これにより、フィーダ制御部18は制御部40からの指令に基づいてテープフィーダ12を制御することが可能となる。
図2において、基台6のX方向における両端部にはY軸ビーム26Yが設けられており、Y軸ビーム26YにはX軸ビーム26XがY方向に移動自在に架設されている。X軸ビーム26Xには実装ヘッド27がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド27は、Y軸ビーム26Y、X軸ビーム26Xの駆動によってX方向及びY方向に移動する。
図4(a),(b)において、実装ヘッド27には、部品9を吸着して保持可能な複数の吸着ノズル28が着脱自在に装着される。吸着ノズル28は、部品取り出し位置に供給された部品9を吸着によって取り出し、基板8の電極部に搭載する。これにより、基板8に部品9が実装される。このように、部品実装装置M1〜M5は実装ヘッド27により部品供給部から供給された部品9を取り出して基板8に実装する。
図2において、実装ヘッド27は撮像視野を下方に向けた基板認識カメラ29を備えている。基板認識カメラ29は、実装作業位置に位置決めされた基板8等を撮像する。第1の領域10Aであって、複数の第1フィーダベース22Aの間には、撮像視野を上方に向けた第1の部品認識カメラ30Aが設けられている。同様に、第2の領域10Bであって、複数の第2フィーダベース22Bの間にも第2の部品認識カメラ30Bが設けられている。第1の部品認識カメラ30A、第2の部品認識カメラ30Bは、その上方を移動する実装ヘッド27に装着された吸着ノズル28によって保持された部品9を下方から撮像する。
複数の第1フィーダベース22Aのうちの何れかの第1フィーダベース22A(図2における紙面右側)と、基板搬送機構7との間には第1のノズルストッカ31Aが設けられている。また、複数の第2フィーダベース22Bの間にも第2のノズルストッカ31Bが設けられている。第1のノズルストッカ31A、第2のノズルストッカ31Bは、実装ヘッド27に装着される交換用の複数の吸着ノズル28を保持する。なお、第1のノズルストッカ31Aは、個々の第1フィーダベース22Aと基板搬送機構7との間にそれぞれ設けてもよい。
図3において、基台6に対する台車21の挿入側(部品実装装置M1〜M5の正面)には、タッチパネル32が設けられている。タッチパネル32は、実装作業や部品照合作業を行うために必要な各種の案内画面等を表示する表示部として機能する。またタッチパネル32は、案内画面上に表示される表示物を介してオペレータが操作・入力を行う操作・入力部として機能する。
次に図5を参照して、制御系の構成について説明する。制御部40は、通信部41、記憶部42、機構駆動部43、認識処理部44を含んで構成される。また、制御部40は、基板搬送機構7、Y軸ビーム26Y、X軸ビーム26X、実装ヘッド27、基板認識カメラ29、第1の部品認識カメラ30A、第2の部品認識カメラ30B、タッチパネル32と接続されている。フィーダ制御部18は、通信部45、フィーダ記憶部46、モータ駆動部47を含んで構成される。また、フィーダ制御部18は駆動モータ17と接続されている。
通信部41は、上位システム3や他装置との間で通信ネットワーク4を介して信号の授受を行う。また、通信部41はフィーダ制御部18との間で第1のコネクタ部24と第2のコネクタ部25を介して信号の授受を行う。記憶部42は、上位システム3から読み込んだ後述する生産データ52等を記憶する。
機構駆動部43は制御部40に制御されて、基板搬送機構7、Y軸ビーム26Y,X軸ビーム26X、実装ヘッド27を駆動する。これにより、基板8の搬送作業、部品9の実装作業が実行される。認識処理部44は、基板認識カメラ29、第1の部品認識カメラ30A、第2の部品認識カメラ30Bによって撮像した撮像データを認識処理する。これにより、実装作業位置に位置決めされた基板8や、実装ヘッド27に保持された部品9の位置が認識される。実装ヘッド27によって部品9を実装する際には、基板8と部品9の認識結果を加味して実装位置の補正が行われる。
フィーダ制御部18のフィーダ記憶部46は、例えば、フィーダID、テープフィーダ12から供給される部品9の部品ID、数量に加え、後述する照合処理部51によって部品9を照合済みであることを示すフラグ等の各種情報を記憶する。モータ駆動部47は、フィーダ制御部18によって制御されて、駆動モータ17を駆動する。これにより、キャリアテープ14は間欠送りされる。なお、フィーダ制御部18は制御部40からの指令に基づいてモータ駆動部47を制御する。
上位システム3は、通信部48、全体制御部49、記憶部50、照合処理部51を含んで構成される。通信部48は、各実装ライン2を構成する部品実装装置M1〜M5との間で通信ネットワーク4を介して信号の授受を行う。また、通信部48は、部品実装装置M1〜M5においてバーコードリーダ20によって読み取った部品情報を、無線受信装置5を介して受信する。全体制御部49は、記憶部50に記憶された各種のプログラムやデータに基づいて、部品実装システム1の全体の作業を管理する。
記憶部50は、各実装ライン2において実装基板を生産・管理するための各種プログラムやデータを記憶する。この記憶部50に記憶されるデータの中には、生産データ52が含まれる。生産データ52は基板8に部品9が実装された実装基板を生産するために必要なデータであり、基板の品種ごとに準備される。本実施の形態では、第1の基板の品種Aに属する基板8を生産するための生産データ52Aと、第2の基板の品種Bに属する基板8を生産するための生産データ52Bが記憶部50に記憶されている。生産データ52は、個々の部品実装装置M1〜M5の制御部40によって適宜に読み込まれ、記憶部42に記憶される。
生産データ52は、実装データ、部品データ、部品配列データを含んで構成される。実装データは基板8に部品9を実装するために必要なデータであり、例えば、基板8に設定された部品9の実装位置のXY座標や、部品9の実装角度等の情報を含む。部品データは部品9に関するデータであり、例えば、部品ID、サイズ、極性等の情報を含む。
次に図6を参照して、部品配列データ53について説明する。部品配列データ53は、第1の領域10A又は第2の領域10Bにフィーダベース22を設けた状態において、各々のフィーダ番地に対応する位置に装着されたテープフィーダ12から供給されるべき部品9の情報(フィーダベース22における部品9の配列情報)を示すものである。部品配列データ53は「基板の品種」54、「実装ライン」55、「部品実装装置」56、「フィーダ配置区画」57、「フィーダ番地」58、「フィーダID」59、「部品ID」60を含んで構成される。
「基板の品種」54は対象となる基板の品種を示すものであり、図6では第2の基板の品種Bを例示している。「実装ライン」55は、実装ライン2を個々に識別するための情報である。「部品実装装置」56は、特定の実装ライン2に含まれる部品実装装置M1〜M5を個々に識別するための情報である。「フィーダ配置区画」56は、フィーダ配置区画11(1)〜(4)を特定するための情報である。「フィーダ番地」57は、テープフィーダ12が装着されるフィーダ番地を特定するための情報である。「フィーダID」58は、所定のフィーダ番地に対応する位置に装着されるべきテープフィーダ12の識別情報としてのフィーダIDを示す情報である。「部品ID」58は、所定のフィーダ番地に対応する位置に装着されたテープフィーダ12から供給されるべき部品9の部品IDを示す情報である。
例えば、部品IDが「Pa」の部品9は、識別情報が「La」の実装ラインにおいて、識別情報が「Ma」の部品実装装置に設定されたフィーダ配置区画「12(1)」のフィーダ番地「1」に装着されたテープフィーダ12から供給されるものであることが導き出される。このように、部品配列データ53は、所定のフィーダ配置区画11において第1フィーダベース22A又は第2フィーダベース22Bに装着された各々の部品供給部から供給されるべき部品9の情報を示す。
照合処理部51は、特定の部品実装装置M1〜M5において、特定のフィーダ番地に対応する位置に装着されたテープフィーダ12から供給される部品9の部品ID(テープフィーダ12にセットされたキャリアテープ14が保持する部品9の部品ID)と、部品配列データ53を照合する。これにより、照合処理部51は部品IDに対応する部品9が特定のフィーダ番地に装着されたテープフィーダ12から供給されるべき正規の部品9であるか否かを判定する。部品IDは、バーコードリーダ20によって供給リール13のバーコード19から部品情報を読み取ることで取得される。フィーダ番地は、例えば、オペレータがタッチパネル32を通じて所定の入力(どの部品実装装置M1〜M5のどの領域に設けられたフィーダベース22上のどのフィーダ番地であるか)を行うことによって特定される。
このように、照合処理部51は、特定の部品実装装置M1〜M5において、第1フィーダベース22A又は第2フィーダベース22Bに装着された部品供給部から供給される部品9の識別情報を、第1フィーダベース22A又は第2フィーダベース22Bに装着された各々の部品供給部から供給されるべき部品9の情報(部品配列データ49)と照合することにより、照合対象である部品9が当該装着位置に装着された部品供給部から供給されるべき正規の部品9であるか否かを判定する。実装作業は、照合処理部51による部品照合処理を行って、フィーダ配置区画11に配置されるテープフィーダ12に対応する供給リール13のセットミスがないこと、言い換えればテープフィーダ12から供給される部品9に誤りがないことが確認された後に行われる。
本実施の形態における部品実装システム1は以上のように構成される。次に、部品実装装置M1〜M5において実行される部品実装方法について説明する。まず、基板搬送機構7は上流側の装置から搬出された基板8を搬送して実装作業位置に位置決めする(ST1:位置決め工程)。次いで、実装ヘッド27はフィーダ配置区画11に配置された所定のテープフィーダ12から部品9を取り出して基板8に実装する(ST2:実装工程)。次いで、基板搬送機構7は基板8に部品9が実装された実装基板を下流側の装置へ搬出する(ST3:搬出工程)。次いで、制御部40は同一の基板の品種に属する未処理の基板8があるか否かを判断する(ST4:基板有無判断工程)。未処理の基板8がある場合は(ST1)に戻る。また、未処理の基板8がない場合は終了する。
次に図7のフローチャートを参照して、部品照合処理について説明する。部品照合処理は、特定の部品実装装置M1〜M5において、照合対象となる部品9を保持するキャリアテープ14を供給リール13から引き出してテープフィーダ12にセットし、そのテープフィーダ12が装着された台車21を基台6に結合させたうえでなされる。これにより、全体制御部49は特定の部品実装装置M1〜M5における特定のフィーダ配置区画11にテープフィーダ12が配置されたことを検知する。また、全体制御部49は制御部40からの出力信号に基づき、フィーダ記憶部46に記憶された各種情報を取得する。
まず、照合処理部51は照合対象となる部品9に対応する生産データ52を特定する(ST11:生産データ特定工程)。すなわち、オペレータはタッチパネル32を通じて、照合対象となる部品9が実装される基板8に対応する生産データ52を指定するための入力を行う。照合処理部51は、オペレータの入力内容に基づいて生産データ52を特定する。
次いで、照合処理部51は、照合対象となる部品9を供給するテープフィーダ12が配置されたフィーダ配置区画11をさらに特定する(ST12:フィーダ配置区画特定工程)。すなわち、オペレータはタッチパネル32を通じて、どの実装ライン2に含まれるどの部品実装装置M1〜M5に設定されたどのフィーダ配置区画11であるかを指定するための入力を行う。なお、タッチパネル32上では、同一の実装ライン2に含まれる全ての部品実装装置M1〜M5のフィーダ配置区画11を指定することもできる。照合処理部51は、オペレータの入力内容に基づいてフィーダ配置区画11を特定する。次いで、照合処理部51は特定したフィーダ配置区画11において、未照合の部品9があるか否かを判断する(ST13:未照合部品有無判断工程)。すなわち、照合処理部51は個々のテープフィーダ12のフィーダ制御部18から出力された各種情報の中に、照合済みのフラグが含まれているか否かに基づいて未照合の部品9の有無を判断する。
(ST13)で未照合の部品9がある場合、照合処理部51はその部品9を保持するキャリアテープ14がセットされたテープフィーダ12のフィーダ番地を特定する(ST14:フィーダ番地特定工程)。すなわち、オペレータはタッチパネル32を通じて、照合対象となる部品9に対応するテープフィーダ12が装着されたフィーダ番地を指定するための入力を行う。照合処理部51は、オペレータによる入力内容に基づいて該当するフィーダ番地を特定する。
次いで、照合処理部51はバーコードリーダ20によって読み取られた部品IDを取得する(ST15:部品ID取得工程)。すなわち、オペレータは未照合の部品9を保持するキャリアテープ14が収納された供給リール13のバーコード19にバーコードリーダ20の読み取り面を相対させる。これにより、部品情報が無線受信装置5を介して上位システム3に送信される。照合処理部51は送信された部品情報から部品IDを抽出する。
次いで、照合処理部51は取得した部品IDと部品配列データ53を照合する(ST16:照合工程)。すなわち、照合処理部51は部品配列データ53を参照して、特定したフィーダ番地に関連付けられた部品IDと、バーコードリーダ20によって読み取られた部品IDを照合する。
次いで、照合処理部51は双方の部品IDが一致するか否かを判定する(ST17:部品ID判定工程)。(ST17)で一致する場合、照合処理部51はそのフィーダ番地に装着されたテープフィーダ12から供給される部品9は正規のものであると判断する。そして、通信部48は該当するテープフィーダ12が配置された部品実装装置M1〜M5に、照合結果と、バーコードリーダ20によって読み取られた部品情報を出力する。出力先である部品実装装置M1〜M5の通信部41は、照合結果と部品情報を該当するテープフィーダ12のフィーダ制御部18に転送する。フィーダ制御部18は、転送された情報に基づいて、フィーダ記憶部46に記憶される情報を更新する(ST18:第1の更新工程)。すなわち、フィーダ制御部18は照合結果(照合OK)と、照合済みであることを示すフラグをフィーダ記憶部46に書き込む。なお、フィーダ制御部18は部品9の数量をフィーダ記憶部46に併せて書き込んでもよい。その後、(ST13)に戻る。
また、(ST17)で部品IDが一致しない場合、照合処理部51はそのフィーダ番地に装着されたテープフィーダ12から供給される部品9は正規のものでないと判断する。通信部48は該当するテープフィーダ12が配置された部品実装装置M1〜M5に照合結果を出力する。出力先である部品実装装置M1〜M5の通信部41は、照合結果を該当するテープフィーダ12のフィーダ制御部18に転送する。フィーダ制御部18は、転送された情報に基づいてフィーダ記憶部46に記憶される情報を更新する(ST20:第2の更新工程)。すなわち、フィーダ制御部18は照合結果(照合NG)と、照合済みであることを示すフラグをフィーダ記憶部46に書き込む。その後、(ST13)に戻る。なお、制御部40は照合結果をフィーダ制御部18に出力せず、タッチパネル32を通じてオペレータに照合NGの報知を行ってもよい。報知後は(ST13)に戻る。
また、(ST13)で未照合の部品9がない場合、通信部48は部品照合処理の対象となった部品実装装置M1〜M5に信号を出力する。出力先である部品実装装置M1〜M5の制御部40は、当該信号に基づいてタッチパネル32等を通じてオペレータに報知する(ST21:報知工程)。以上の工程を経て、部品照合処理は終了する。
このように、部品照合処理は特定の部品実装装置M1〜M5における特定のフィーダ配置区画11にテープフィーダ12を配置させ、そのテープフィーダ12に照合対象となる部品9を保持したキャリアテープ14をセットさせたうえでなされる。ところで、基板8に実装される部品9の数は基板の品種に応じて様々である。したがって、特定の実装ライン2に含まれる複数の部品実装装置M1〜M5によって特定の基板の品種の生産を行う場合、基板の品種によっては使用されない空き状態のフィーダ配置区画11が存在するケースもある。本実施の形態では、特定の実装ライン2において、特定の基板の品種の生産に使用されないフィーダ配置区画11が存在する場合、そのフィーダ配置区画11を利用して、その実装ライン2において次回以降に生産予定であるその他の基板の品種に属する基板8に実装される部品9の照合を行うことができるようになっている。
次に図8及び図9を参照して、前述した部品照合処理を適用して、一つの実装ライン2において複数の基板の品種を生産する際の運用方法について説明する。以下、特定の基板の品種を第1の基板の品種A(「品種A」と称する)、その他の基板の品種を第2の基板の品種B(「品種B」と称する)と仮定する。本例では、実装ライン2Aを使用して品種A、品種Bの順で生産を行うこととする。また図9に示すように、品種Aの生産には部品実装装置M3のフィーダ配置区画11(4)以外のフィーダ配置区画11に配置されたテープフィーダ12Aが使用され、フィーダ配置区画11(4)にはテープフィーダ12Aが配置されないこととする。また、品種Aに属する基板8に実装される部品9を対象とした照合作業は予め完了していることとする。
まず、部品実装装置M1〜M5の各制御部40は、オペレータによる入力内容に基づいて、品種Aに対応する生産データ52Aを上位システム3から読み込む(ST31:読み込み工程)。次いで図9に示すように、オペレータは品種Aの生産(現生産)で使用されるテープフィーダ12Aがフィーダベース22に装着された台車21を、部品実装装置M3のフィーダ配置区画11(4)以外のフィーダ配置区画11に挿入する(図9)。このとき、オペレータは台車21を基台6に結合させる。これにより、現生産で使用されるテープフィーダ12Aが所定のフィーダ配置区画11に配置される(ST32:第1のフィーダ配置工程)。次いで、オペレータによる入力を起点として、品種Aを対象とした生産が開始される。すなわち、部品実装装置M1〜M5により前述した(ST1)〜(ST4)が実行される。
品種Aの生産が行われている間、オペレータは部品実装装置M3のタッチパネル32を通じて、照合対象となる部品9が実装される基板8(品種B)の生産データ52Bを入力により指定する(ST33:生産データ指定工程)。これにより、照合処理部51は部品照合処理の対象となる生産データ52Bを特定することができる。
次いで図9に示すように、オペレータは品種Bの生産で使用され、照合対象となる部品9を供給するテープフィーダ12Bが第2フィーダベース22Bに装着された台車21を部品実装装置M3のフィーダ配置区画11(4)に挿入する(矢印a)。これにより、現生産で使用されないテープフィーダ12B(不使用部品供給部)がフィーダ配置区画11(4)に配置される(ST34:第2のフィーダ配置工程)。なお、オペレータは、照合対象となる部品9を保持するキャリアテープ14を供給リール13から引き出してテープフィーダ12Bに予めセットしておく。また、第1の領域10Aに設定されたフィーダ配置区画11が空いている場合、オペレータは第1のフィーダベース22Aにテープフィーダ12Bが装着された台車21を所定のフィーダ配置区画11に挿入する。このように、本実施の形態では、現生産で使用する使用部品供給部としてのテープフィーダ12Aと、現生産で使用しない不使用部品供給部としてのテープフィーダ12Bのそれぞれを、第1フィーダベース22Aと第2フィーダベース22Bの何れかに装着する。
その後、品種Bに属する基板8に実装される部品9の部品照合処理が実行される(ST35:部品照合処理工程)。この工程の具体的な内容は前述した(ST11)〜(ST20)のとおりである。(ST35)が実行された後、オペレータは未照合の部品9に対応するテープフィーダ12が装着された台車21が他にあるか否かを判断する(ST36:台車有無判断工程)。この工程では、オペレータは部品実装装置M3のフィーダ配置区画11に挿入される台車21のみならず、同一の実装ライン2Aに含まれる他の部品実装装置M1,M2,M4,M5のフィーダ配置区画11に挿入される台車21も含めて判断する。(ST36)で他の台車21がある場合、オペレータは部品照合作業を終えた台車21をフィーダ配置区画11(4)から抜き取る(ST37:抜き取り工程)。その後、(ST34)に戻り、オペレータは他の台車21を部品実装装置M3のフィーダ配置区画11(4)に挿入する。オペレータは、未照合の部品9に対応するテープフィーダ12が装着された他の台車21がなくなるまで(ST34)〜(ST37)を繰り返す。
すなわち、部品実装装置M3では、当該装置で使用する部品9の照合だけでなく、同一の実装ライン2に含まれる他の部品実装装置M1,M2,M4,M5で使用する部品9の照合も行われる。また、本例では品種Aの生産中に、品種Bに属する基板8に実装される全ての部品9を対象とした部品照合処理を行うようにしている。
また、(ST36)で他の台車21がない場合、言い換えれば品種Bに属する基板8に実装される全ての部品9を対象とした部品照合処理が完了した場合、オペレータは実装ライン2Aで生産予定であって、部品照合処理を行いたいその他の基板の品種があるか否かを判断する(ST38:基板の品種有無判断工程)。(ST38)でその他の基板の品種がある場合、オペレータは当該基板の品種に対応する生産データ52を指定する(ST33)。また、(ST38)でその他の基板の品種がない場合、オペレータは作業を終了する。
その後、品種Aの生産が終了したならば、品種Bの生産に移行するための段取り替え作業が行われる。このとき、実装ライン2Aを構成する部品実装装置M1〜M5のフィーダ配置区画11には、部品実装装置M3のフィーダ配置区画11(4)を利用して部品照合処理を終えた部品9を供給するテープフィーダ12Bが配置される。すなわち、一部の不使用部品供給部(テープフィーダ12B)は、第2の基板の品種Bの生産時に特定の部品実装装置M3ではない他の部品実装装置M1,M2,M4,M5に備えられた第1フィーダベース22A又は第2フィーダベース22Bに装着される。その後、品種Bの生産が開始される。
以上説明したように、実装ライン2Aでは、使用部品供給部(テープフィーダ12A)から供給される部品9を対象とした第1の基板の品種Aの生産が行われている間に、第2の基板の品種Bの生産で用いられる不使用部品供給部(テープフィーダ12B)から供給される部品9の照合を行うようにしている。
これにより、生産対象を第1の基板の品種Aから第2の基板の品種Bに切り替える際、第2の基板の品種Bの生産で使用される不使用部品供給部から供給される部品9の照合は全部又は一部が既に終了しているため、品種切り替えの作業時間を大幅に短縮することができる。また、部品照合用の装置(外段取り装置)を別途設ける必要がなく、装置コストを削減することができる。さらに、部品照合作業を行うために台車21を一時的に設置するスペースを工場のフロアFに確保する必要がなく、工場のスペースを節約することができる。
次に図10を参照して、応用例について説明する。この応用例では、部品9の照合を、その部品9が使用される実装ライン2ではない他の実装ライン2で行うようにしている。図10において、実装ライン2Aでは品種Aの生産が行われているが、部品実装装置M3のフィーダ配置区画11(4)は空き状態となっている。また、実装ライン2B,2Cでは全てのフィーダ配置区画11にテープフィーダ12Cを配置して品種Cの生産が行われている。実装ライン2Bでは品種Cの生産が完了した後、品種Bの生産が行われることとする。
このような場合、実装ライン2Aの部品実装装置M3に設定されたフィーダ配置区画11(4)を利用して、品種Bに属する基板8に実装される部品9を対象とした部品照合処理が行われる。すなわち、前述した(ST33)において、オペレータは実装ライン2Aの部品実装装置M3に設けられたタッチパネル32を通じて、実装ライン2Bで生産予定である品種Bの生産データ52Bを入力により指定する。次いで(ST34)において、オペレータは品種Bの生産で使用されるテープフィーダ12Bがフィーダベース22(本例では第2フィーダベース22B)に装着された台車21を、部品実装装置M3のフィーダ配置区画11(4)に挿入する(図10において示す矢印b)。なお、第1の領域10A側のフィーダ配置区画11が空いている場合は、第1フィーダベース22Aにテープフィーダ12Bを装着する。すなわち、特定の実装ライン2Aに含まれる特定の部品実装装置M3に現生産で使用する使用部品供給部(テープフィーダ12A)と現生産で使用しない不使用部品供給部(テープフィーダ12B)のそれぞれを第1フィーダベース22Aと第2フィーダベース22Bの何れかに装着する。
次いで(ST35)において、品種Bに属する基板8に実装される部品9を対象とした部品照合処理が実行される。すなわち、使用部品供給部(テープフィーダ12A)から供給される部品9を対象とした第1の基板の品種Aの生産が行われている間に、第2の基板の品種Bの生産で用いられる不使用部品供給部から供給される部品の照合を行う。オペレータは、未照合の部品9に対応するテープフィーダ12Bが装着された台車21がなくなるまで(ST34)〜(ST37)を繰り返す。
その後、実装ライン2Bにおいて品種Cの生産が終了したならば、品種Bの生産に移行するための段取り替え作業が行われる。このとき、実装ライン2Bに含まれる部品実装装置M1〜M5の各フィーダ配置区画11には、実装ライン2Aの部品実装装置M3に設けられたフィーダ配置区画11(4)を利用して部品照合処理が完了した部品9を供給するテープフィーダ12が装着された台車21が挿入される。すなわち、不使用部品供給部(テープフィーダ12B)は、第2の基板の品種Bの生産時に特定の実装ライン2Aではない他の実装ライン2Bに含まれる部品実装装置M1〜M5に備えられた第1フィーダベース22A又は第2フィーダベース22Bに装着される。その後、実装ライン2Bでは、テープフィーダ12Bから供給される部品9を基板8に実装する作業(品種Bの生産)が行われる。
以上説明したように、この変形例では、特定の実装ライン2Aにおいて、他の実装ライン2Bに含まれる部品実装装置M1〜M5で使用する部品9を対象とした照合処理を行っている。これにより、他の実装ライン2Bにおいて、生産対象となる基板の品種を切り替える際の作業時間を大幅に短縮することができる。
本発明はこれまで説明した実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更してもよい。例えば、実装ライン2は印刷装置やリフロー装置等、実装基板を製造するために必要な各種の装置を含んでもよい。また、それぞれの領域10A,10Bに設けられるフィーダベース22の数は1個でもよい。この場合、フィーダ配置区画11の数もそれぞれの領域で1つとなる。また、フィーダベース22はフィーダ配置区画11に固定させた状態で設けてもよい。また、オペレータはタッチパネル32と同じ機能(表示機能、操作・入力機能)を備えた携帯型端末を介して生産データ52の指定等を行うようにしてもよい。さらに、この携帯型端末に部品IDの読み取り機能を組み込んでもよい。