JP6377455B2 - 配線・配管材の保持部構造、及び配線・配管材保持具 - Google Patents

配線・配管材の保持部構造、及び配線・配管材保持具 Download PDF

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Description

本発明は、保管時(非使用時)の形状に特徴を有する配線・配管材の保持部の構造、及び配線・配管材保持具に関するものである。
従来の配線・配管材保持具としては、例えば特許文献1に開示のものが知られている。電線管51を保持する断面円弧状の基部2の上部に一対の凸部22が対向して形成され、各凸部22の上端部に外方に拡開された形態で接続された部分に、上下2段の突出片が構成された各把持片23,24が所定間隔をおいて対向して設けられている。各把持片23,24は、それぞれ上部突出片25(27)と、下部突出片26(28)で構成されて、一方の把持片23の上部突出片25の下面、及び他方の把持片24の下部突出片28の上面には、互いに係合する係合歯列が形成されている。
上記した保持具で電線管51を保持するには、所定間隔をおいて対向している各把持片23,24を外方に拡げることで形成された管体挿入開口から内部に電線管51を挿入して、前記基部2及び一対の凸部22の部分で電線管51を保持する。その後に、一方の把持片23を構成する上部突出片25及び他方の把持片24を構成する下部突出片28を、それぞれ別の把持片24(23)を構成する上下2段の突出片の間に挿入することで、上部突出片25の下面の係合歯列と下部突出片28の上面の係合歯列とを係合させて、最大に締め込むと、保持具に電線管51が締込み状態で保持される。
電線管51を保持していない保管時における保持具の形態は、当然に電線管51を保持している形態とは異なって、各把持片23,24を所定間隔をおいて片持ち支持状態で対向させた状態にしておく。このため、保持具の保管時において、各把持片23,24の自由端部は、下方に撓むことで本来の形態に対して変形されてしまう。このため、保持具による電線管51の締込み保持時において、一方の把持片23の上部突出片25及び他方の把持片24の下部突出片28を、それぞれ別の把持片24(23)を構成する上下2段の突出片の間に挿入する際に、各把持片23,24の自由端部は、下方に撓むことで本来の形態に対して変形されているため、スムーズに行えないことがあり、配管保持作業に支障を来していた。
また、保持具の保管時においては、対向配置された各把持片23,24は、その先端部の間に隙間が形成される形態であるために、使用時に比較して、全体が幅広となって、保管スペースを増加させたり、隣接する保持具との接触機会が増すことで、保持具の損傷機会が増す問題もあった。
一方、前記保持具により電線管51を保持した状態について把握すると、各把持片23,24は、上下2段の突出片で構成されていて、上記した各係合歯列の係合状態において、計4枚の各突出片は、保持具の幅方向の一部において互いに重合する構造である。最上段及び最下段にそれぞれ配置される上部突出片27及び下部突出片26は、各係合歯列の係合状態を保持するためのみに設けられたものであるため、多数枚の突出片を必要として、全体としての構造が複雑となる問題もあった。
また、各把持片23,34にそれぞれ設けられた係合歯列の係合数の調整により、締め込み位置を調整することで、管体の外径のばらつきを吸収できる利点があるが、何らかの原因で、管体の締め付けを解除する必要が生じた場合には、当該解除は容易ではない。
特開2008−298154号公報
本発明は、保持部に配線・配管材を挿入する挿入開口を閉塞するための閉塞片に外方への弾発力を付与して、管体の保管時における配線・配管材保持具の形状を、当該管体の締込み保持時の形状とほぼ同一とすることで、配線・配管時における管体の締込み保持の操作を迅速に行うと共に、管体の締込み保持状態の解除を容易にすることを課題としている。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、上部に配線・配管材を挿入する挿入開口が形成されると共に、当該挿入開口が閉じられて、配線・配管材の外周方向の全周を取り囲むことで、内側に配置された配線・配管材を保持する保持部の構造であって、
周方向の少なくとも一端部を除く残りの大部分は大きく変形しない剛性を有していると共に、周方向の一端部は、大きな外力を加えることで外方に弾性変形可能な第1弾性変形部となっていて、前記配線・配管材の周方向に沿って略半分の部分を保持する保持部と、前記挿入開口を閉塞すべく、前記保持部の前記第1弾性変形部が設けられた端部と反対の端部に連結された閉塞片とを有し、
前記閉塞片は、その先端部が前記第1弾性変形部と前記保持部で保持された配線・配管材との間の閉塞片挿入隙間に挿入されることで、当該配線・配管材の全周を取り囲むと共に、当該閉塞片の先端部の外面には、前記第1弾性変形部の内面に形成された被係合部と係合可能な係合部が形成され、
前記第1弾性変形部の先端部には、配線・配管材の外周面に当接して、前記閉塞片挿入隙間を形成する当接突起が突設され
前記係合部と被係合部との少なくとも一方には、複数の締め込み位置で互いに係合可能なように、周方向に沿って複数の突起部が形成され、
前記閉塞片は、配線・配管材を保持していない状態においても、外側に拡がろうとする弾発力により、その先端部の外面が第1弾性変形部の内面に弾性的に当接して係合を維持できることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、配線・配管材の保管時(非使用時)には、前記閉塞片の外側に拡がろうとする弾発力(弾性付勢力)により、当該閉塞片の先端部の外面が、保持部の第1弾性変形部の内面に弾性的に当接して係合を維持しているので、保管時においては、保持部及び閉塞片の部分は、配線・配管材を締込み保持している形状とほぼ同一形状を維持する。この結果、請求項1の発明の保持部構造を実施した保持具は、配線・配管材の保管時において、嵩張らなくなると共に、閉塞片の先端部が、他の保持具又は周辺の物品に引っ掛かって損傷されることもない。
保管時の状態から、保持部と閉塞片とによって、配線・配管材を締込み保持させるために、保持部の上部に挿入開口を形成するには、閉塞片の先端部の外面の係合部が、保持部の第1弾性変形部の内面の被係合部に係合している位置から、閉塞片の有している保持部外方への弾発力に抗して、当該保持部の内部に向けて所定量だけ移動させて離間させた後に、当該閉塞片の先端部を、保持部の第1弾性変形部の先端側に移動させて開放すると、当該閉塞片の先端部は、前記第1弾性変形部の直下の位置から脱出して、自身の有する弾発力により保持部の外側の原位置まで復帰することで、保持部の上部に挿入開口が形成される。
保持部の上部に挿入開口が形成された状態で、必要に応じて、閉塞片及び保持部の第1弾性変形部を更に外方に弾性変形させることで、挿入開口から保持部の内部に配線・配管材を挿入して保持できる。この状態で、保持部に保持された配線・配管材の外周面と、保持部の第1弾性変形部の内周面との間の閉塞片挿入隙間に閉塞片の先端部を押し込んで挿入すると、閉塞片の先端部の外面の係合部と、保持部の第1弾性変形部の内面の被係合部とが締込み状態で係合することで、保持部に保持された配線・配管材は、当該保持部と閉塞片とによって、当該保持部に締込み状態で保持される。
保持部及び閉塞片の部分に、配線・配管材が締込み状態で保持された状態で、配線・配管材の保持を解除するには、保持部の第1弾性変形部を僅かに外方に弾性変形させることで、前記係合が解除されて、閉塞片の先端部は、当該閉塞片の有する外方への弾発力により、閉塞片挿入隙間から自ら抜け出るようにして移動することで、配線・配管材の締込み保持が解除される。
また、保持部の周方向の一端部に設けられた第1弾性変形部の先端部に、配線・配管材の外周面に当接して、当該外周面と第1弾性変形部の内周面との間で閉塞片挿入隙間を形成する当接突起が突設されているため、当該閉塞片挿入隙間を確実に確保できて、閉塞片の先端部を押し込んで係合させる操作が容易となる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記保持部により配線・配管材が保持された状態で、前記第1弾性変形部を無理に外側に拡げることで、前記係合部と被係合部との係合が解除されて、前記閉塞片の先端部は、自身の有する保持部の外方への弾発力により、前記閉塞片挿入隙間から自ら抜け出るように移動することを特徴としている。
請求項2の発明によれば、保持部と閉塞片とによって配線・配管材が締込み保持された状態において、当該配線・配管材の締込み保持の解除が容易となる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記保持部における閉塞片が連結される端部は、大きな外力を加えることで弾性変形可能な第2弾性変形部となっていて、第1弾性変形部は、第2弾性変形部よりも長く形成されて、第2弾性変形部は、第1弾性変形部よりも曲げ強度が大きくて、外側に拡がりにくくなっていることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、保持部における閉塞片が連結される側の端部に第2弾性変形部が設けられているために、閉塞片の基端部は、保持部の第2弾性変形部と一体となって弾性変形可能となって、保持部及び閉塞片の部分に対する配線・配管材の締込み保持の状態が良好となる。
請求項の発明は、請求項1ないしのいずれかの発明において、前記第1弾性変形部の内面に形成された被係合部は、前記閉塞片挿入隙間を形成する部分に設けられていることを特徴としている。
請求項の発明によれば、閉塞片の先端部を閉塞片挿入隙間に押し込んで挿入する当初において、閉塞片の先端部の外面の係合部と、保持部の第1弾性変形部の内面の被係合部との係合が開始され、しかも前記第1弾性変形部は、閉塞片の先端部の押込み力によって外方に弾性変形可能であるので、閉塞片の先端部の挿入操作が容易となる。
請求項の発明は、請求項1ないしのいずれかの発明において、前記保持部で配線・配管材を保持していない状態において、前記閉塞片は、その先端部が第1弾性変形部に係合している位置から、保持部の内部への移動が可能であると共に、当該閉塞片の先端側を弾性変形させて、閉塞片の先端部を当該保持部の外側に引き出すことで、前記挿入開口が形成可能であることを特徴としている。
請求項の発明によれば、保持具の保管状態から、配線・配管材を保持部の内部に挿入する挿入開口が容易に形成できる。
請求項の発明は、配線・配管材を下方から保持し得る剛性を有する保持部と、当該保持部の周方向の一端側から延出されて、先端部が当該保持部の他端側と係合する係合部を有する閉塞片と、構造物等に固定される固定部とを備えた配線・配管材保持具であって、
前記閉塞片の先端部を保持部の他端側から離間させることで、前記保持部に配線・配管材を挿入可能とする挿入開口が、当該保持部に形成され、
前記閉塞片は、前記保持部の他端側に一体に形成された第1弾性変形部の内面と、当該保持部に挿入された配線・配管材の外面との間の閉塞片挿入隙間に、自身の先端部を挿入することで、当該閉塞片の先端部の外面の係合部と、前記保持部の他端側の内面の被係合部とが係合され、
前記第1弾性変形部の先端部には、配線・配管材の外周面に当接して、前記閉塞片挿入隙間を形成する当接突起が突設され
前記閉塞片は、前記保持部に配線・配管材を挿入していない状態で、当該閉塞片の先端部が前記保持部の他端側の内面に当接した状態を維持する外方への弾発力を有していることを特徴としている。
請求項の発明は、請求項1の発明を、構造物などに固定される固定部を備えた「配線・配管材保持具」の観点から把握したものであって、実質的な作用効果は、請求項1の発明と同一である。
請求項の発明は、請求項の発明において、前記閉塞片には、前記保持部で保持された配線・配管材と、前記保持部の他端部の先端部との間にドライバー等の引起し工具の先端部を挿入して、当該保持部の他端部を引き起こす際の回動支点となる突起板部が形成されていることを特徴としている。
請求項の発明によれば、ドライバー等の引起し工具を使用することで、保持部の他端部を容易に引き起こして、当該保持部の他端部と配線・配管材との間の隙間に挿入されている閉塞片の先端部を当該隙間から引き出し易くなる。
本発明は、配線・配管材を保持していない状態においても、外側に拡がろうとする弾発力により、自身の先端部の外面が保持部の第1弾性変形部の内面に弾性的に当接して係合を維持できる閉塞片を備えているので、保管時においては、保持部及び閉塞片の部分は、配線・配管材を締込み保持している形状とほぼ同一形状を維持する。その結果、保持部と閉塞片とによって、配線・配管材を締込み保持させるために、保持部の上部に挿入開口を形成するには、閉塞片の先端部の外面の係合部が、保持部の第1弾性変形部の内面の被係合部に係合している位置から、閉塞片の有している保持部外方への弾発力に抗して、当該保持部の内部に向けて所定量だけ移動させて離間させた後に、当該閉塞片の先端部を、保持部の第1弾性変形部の先端側に移動させて開放すると、当該閉塞片の先端部は、前記第1弾性変形部の直下の位置から脱出して、自身の有する弾発力により原位置まで復帰することで、保持部の上部に挿入開口が形成される。
保持部の上部の挿入開口から内部に配線・配管材を挿入した状態で、閉塞片の弾発力に抗して、その先端部を、配線・配管材の外周面と保持部の第1弾性変形部との間に形成された閉塞片挿入隙間に押し込むと、閉塞片の先端部の外面の係合部と、第1弾性変形部の内面の被係合部とが締込み状態で係合することで、当該配線・配管材は、当該保持部と閉塞片とによって、締込み状態で保持される。配線・配管材の保持を解除するには、保持部の第1弾性変形部を僅かに外方に弾性変形させることで、前記係合が解除されて、閉塞片の先端部は、当該閉塞片の有する外方への弾発力により、前記閉塞片挿入隙間から自ら抜け出るように移動することで、配線・配管材の保持が解除される。また、保持部の周方向の一端部に設けられた第1弾性変形部の先端部に、配線・配管材の外周面に当接して、当該外周面と第1弾性変形部の内周面との間で閉塞片挿入隙間を形成する当接突起が突設されているため、当該閉塞片挿入隙間を確実に確保できて、閉塞片の先端部を押し込んで係合させる操作が容易となる。
本発明に係る管体保持体Aの管体Pを保持していない状態の斜視図である。 管体Pを保持している状態の管体保持体Aの正面図である。 管体保持体Aを下方から見た斜視図である。 管体保持体Aの両側の取着部5が一対のボルト軸22に保持された状態の縦断面図である。 管体保持体Aの保管時の正面図である。 管体保持体Aの第1弾性変形部3に対する閉塞片Bの先端部の係合を解除して、弾発力により閉塞片Bが保持部Sの外部に配置された状態を示す正面図である。 保持部Sの外部に配置された閉塞片Bを引き起こすことで、当該保持部Sの上部に管体Pの挿入開口1が形成された状態を示す正面図である。 挿入開口1から保持部Sの内部に管体Pを挿入している状態を示す正面図である。 管体Pの外周面と保持部Sの第1弾性変形部3の内面との間に形成される閉塞片挿入隙間11を示す図である。 保持部Sに管体Pが保持された状態で、閉塞片Bの先端部を閉塞片挿入隙間11に押し込むことで、管体Pを締め込んで保持した状態の正面図である。 管体Pの締込み保持を解除している状態の正面図である。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、管体Pを保持する管体保持体Aの構造に特徴を有する。管体保持体Aは、上部に管体Pの挿入開口1を有する保持部Sと、当該保持部Sの周方向の一端部に連結されて、当該保持部Sの挿入開口1を閉塞する閉塞片Bとから成る。前記保持部Sは、中心角がほぼ180°であって、殆ど変形しない剛性を有する保持本体部2と、当該保持本体部2の周方向の両端部に一体に接続された第1及び第2の各弾性変形部3,4とから成る。保持本体部2の外側の相対向する部分には、ベース板21に立設された一対のボルト軸22に着脱可能に取着される一対の取着部5が一体に設けられ、保持本体部2の外側に一対の取着部5が一体に設けられる構造によっても、保持本体部2の剛性は高められている。保持本体部2の外面における一対の取着部5の間には、剛性を高めるためのリブ6が周方向に沿って連続して設けられ、片持ち状の第1弾性変形部3の基端部を除く残りの部分には、前記閉塞片Bの先端部を挿入可能とする閉塞片挿入隙間11(図9参照)を内側に形成するために半径方向に沿った寸法が、前記保持部S及び第2弾性変形部4の各内周面の半径方向に沿った寸法よりも僅かに大きくなっている。第1弾性変形部3には、その基端部のみの外側に周方向に沿って補強用のリブ7が形成され、第2弾性変形部4には、先端部を除く残りの部分に周方向に沿って補強用のリブ8が形成されることで、管体Pの保持のために、弾性変形可能な範囲で曲げ強度は高められている。第2弾性変形部4は、その曲げ強度が第1弾性変形部3の曲げ強度よりも大きくなっていて、相対的に第1弾性変形部3よりも曲げにくくなっている。
第2弾性変形部4には、保持部Sの上部に形成された管体Pの挿入開口1を閉塞するための管体Pの外径に倣った円弧短帯状をした閉塞片Bが一体に連結されている。閉塞片Bの先端部の外面には、周方向に沿って係合部9が形成されていると共に、第1弾性変形部3の内面には、閉塞片Bの係合部9に対応する被係合部10が周方向に沿って形成されている。係合部9及び被係合部10は、いずれも縦断面が鋸刃状に形成されていて、管体Pの外径のばらつきを吸収可能とすべく、周方向に沿って異なる締め込み位置で互いに係合可能となっている。
第1弾性変形部3の下面の幅方向の両端部には、保持部Sに保持された管体Pの外周面に当接することで、当該第1弾性変形部3の下面との間で閉塞片挿入隙間11(図9参照)を形成するための一対の当接突起12,13が形成されている。各当接突起12,13は、前記閉塞片挿入隙間11に閉塞片Bの先端部B1 を挿入し易くするために、周方向(長手方向)に沿ってずれて形成されている。第1弾性変形部3の外面の先端部B1 、及び閉塞片Bの外面の係合部9の後方の部分には、それぞれ全幅に亘って背丈の低い板状の突起板部14,15が設けられている。各突起板部14,15は、保持部Sに管体Pが保持された状態で、前記閉塞片挿入隙間11に閉塞片Bの先端部B1 を挿入して、前記係合部9と被係合部10とを係合させることで、当該閉塞片Bを締め込む際に、ペンチ91の両先端部91aを引っ掛けて(図10参照)、締込み力を発生させたり、或いは前記係合部9と被係合部10との係合を解除させて、保持部Sから管体Pを取り出す際に、ドライバー92の先端部を押し当てると共に、当該ドライバー92の引起こし回動の支点とする(図11参照)ことで、第1弾性変形部3を引き起こし易くするためのものである。更に、各突起板部14,15の上端の両端部には、幅方向に突出した引掛け部14a,15aがそれぞれ設けられ、管体Pが締込み保持された状態において、各突起板部14,15の引掛け部14a,15aを番線で結ぶことで、管体Pの締め込みの緩みを防止できる構造になっている。
図5に示されるように、保持部Sの第2弾性変形部4に連結された閉塞片Bの先端部B1 を第1弾性変形部3の下方に配置させて、当該閉塞片Bの外面の係合部9と第1弾性変形部3の内面の被係合部10と係合して、互いに一部が重なりあった状態(一部重合状態)において、当該閉塞片Bは、自身の有する外方への弾発力により、当該「一部重合状態」を維持する構成となっている。即ち、図1、図3及び図6に示されるように、上記した「一部重合状態」が解除され、閉塞片Bの先端部B1 が保持部Sの外部に配置された状態において、当該閉塞片Bは、弾発力を消失している。このような弾発力を閉塞片Bに付与するには、例えば、閉塞片Bの先端部B1 が第2弾性変形部4の先端部に対して外側に所定間隔をおいて配置されるように、管体保持体Aを射出成形し、しかも当該閉塞片Bと第2弾性変形部4との連結部を、他の部分よりも薄肉の第1撓み連結部16とすることで実現できる。
閉塞片Bは、保持部Sの挿入開口1から内部に管体Pを挿入する際に、当該閉塞片Bを大きく回動させることなく、当該管体Pとの干渉を回避するために、長手方向に沿った途中に薄肉の別の第2撓み連結部17が設けられている。これにより、図7に示されるように、閉塞片Bは、第1及び第2の各撓み連結部16,17の部分で屈曲させて変形することができて、わん曲形状の閉塞片Bをほぼ直線状に伸ばすことができ、この結果、ボルト軸22に対して閉塞片Bが干渉することなく、保持部Sの上部に管体Pの挿入開口1を形成できる。
管体保持体Aは、保持部Sの外側に対向して設けられた一対の取着部5を介してベース板21に所定間隔をおいて立設された一対のボルト軸22に解除可能に取着されるが、当該管体保持体Aの取着構造は、当該管体保持体Aを構造物等に取着する構造の単なる一例であって、取着構造自体は、本発明を構成していないので、簡単に説明する。
各取着部5のフランジ板部23の外側には、断面割円状の一対の突出部24が外方に突設され、一対の突出部24の外側には、雄螺子25が形成され、各突出部24の間の空間は、後述の係合体31の移動空間26を構成している。各取着部5における前記フランジ板部23の内側(保持部Sの配置側)には、前記ボルト軸22を挿通するためのボルト軸挿通孔27が上下に貫通して形成されている。有底円筒状の螺着体28の内周面には、前記一対の突出部24の外周面の雄螺子25に螺合される雌螺子29(図4参照)が形成され、係合体31の一部が前記螺着体28の内部に収容されて、当該係合体31は、背面側の連結部31aを介して螺着体28の底板部28aに空回り可能に連結されている。
係合体31は、正面視で縦長の長方形状をなしていて、その前面の横断面が半円弧状の凹部には、前記ボルト軸22の雄螺子溝22aに係合する部分雌螺子31bが形成されている。一対の突出部24の外周面の雄螺子25に対して螺着体28を螺着させて正逆両方向に回動させると、螺着体28に空回り可能に連結された係合体31は、一対の突出部24の内側の相対向する各案内面24aに案内されることで、回動されることなく起立姿勢を維持したままで、前進・後退する。螺着体28の螺回動の最終部において、当該螺着体28を押圧状態で螺回動させることで、係合体31の部分雌螺子31bがボルト軸22の外周面の雄螺子溝22aに押圧状態で係合されて、管体保持体Aは、左右一対の取着部5を介して一対のボルト軸22に取着される。当該取着の解除は、螺着体28を上記と逆方向に回動させて行う。なお、図2に示されるように、左右一対の螺着体28の螺回動軸心C1 は、同一直線上に存在しており、保持部Sで保持された管体Pの軸心C0 よりも下方に配置されている。
そして、管体保持体Aの保管時には、図5に示されるように、閉塞片Bの先端部B1 を保持部Sの第1弾性変形部3の内側に配置させて「一部重合状態」にしておく。上記したように、閉塞片Bは、外方への弾発力を有していて、その先端部B1 が保持部Sの外側に配置された状態で、当該弾発力が消失される構造となっているので、上記した「一部重合状態」では、閉塞片Bの先端部B1 は、保持部Sの第1弾性変形部3の先端部の内側に配置されて、閉塞片Bの有する外方への弾発力Fにより、閉塞片Bの先端部B1 は、当該第1弾性変形部3の先端部を内側から押圧している状態となって、閉塞片Bの先端部B1 の外面の係合部9と第1弾性変形部3の内面の被係合部10は、互いに係合している。
このように、管体保持体Aの保管時の形状は、当該管体保持体Aを構成する保持部Sと閉塞片Bとで、管体Pを締付け保持している形状と同一又はほぼ同一となっていて、閉塞片Bの有する外方への弾発力Fにより、当該閉塞片Bの先端部B1 が垂れ下がることで、保持部Sの第1弾性変形部3に対して離間することはない。このため、管体保持体Aの保管時の形状が最少形状となって、嵩張らないと共に、閉塞片Bの先端部B1 が保持部Sの外部に配置されて露出状態となっていないために、保管時において、別の管体保持体A又は周辺の物品と接触しないために、保管時における不意の損傷がなくなる。
管体保持体Aを用いて管体Pを保持するには、図6及び図7に示されるように、保持部Sの両側の各突出部24の外周の雄螺子25に螺着された左右一対の螺着体28を緩めた状態で、当該各取着部5に形成されたボルト軸挿通孔27に、ベース板21に立設された一対のボルト軸22を挿通して、各螺着体28を押圧状態で螺着することで、一対のボルト軸22に対して管体保持体Aを一体に取着させる。この際、管体保持体Aの保持部Sの配置高さは、管体Pの配管高さに合致させておく。なお、図6〜図8、図10及び図11において、Kは、ベース板21が固定される床面を示す。
一対のボルト軸22に取着された管体保持体Aは、保管時のままであって、保持部Sの上部の管体Pの挿入開口1は、閉塞片Bで閉塞されたままである。このため、図6に示されるように、閉塞片Bの有する外方への弾発力に抗して、当該閉塞片Bの先端部B1 を保持部Sの内部の側に移動させることで、保持部Sの第1弾性変形部3から内方に向けて離間させた後に、閉塞片Bの先端部B1 を保持部Sの内部から引き出すように変形させて開放させると、図6で実線で示されるように、閉塞片Bの先端部B1 は、自身の有する弾発力により保持部Sの内部から外部に脱出して、閉塞片Bの有する弾発力が消失されることで、閉塞片Bの全体が保持部Sの外部に配置される。
次に、図7に示されるように、保持部Sの外側に配置された閉塞片Bの第1及び第2の各撓み連結部16,17の部分を外側に撓ませることで、わん曲状態の閉塞片Bは、保持部Sの第2弾性変形部4の先端部にほぼ直線状の起立状態に配置されて、保持部Sの上部に管体Pの挿入開口1が形成される。
図8に示されるように、保持部Sの上部に管体Pの挿入開口1が形成されて、ほぼ直線状に伸ばされた閉塞片Bが起立した状態において、当該挿入開口1に管体Pを挿入すると、挿入途中において、管体Pの外周面が保持部Sの第1及び第2の各弾性変形部3,4の先端部内側に当接することで、当該各弾性変形部3,4は、いずれも外側に弾性変形され、管体Pの通過後において、原形状に復元することで、保持部Sに管体Pが保持される。
外側に弾性変形されていた第1及び第2の各弾性変形部3,4が原形状に復元して、保持部Sに管体Pが保持された状態では、図9に示されるように、第1弾性変形部3の先端部の幅方向の両端部に、内側に向けて設けられた各当接突起12,13が管体Pの外周面に当接することで、第1弾性変形部3の先端部の内面と管体Pの外周面との間には、閉塞片Bの先端部B1 の挿入を確実にするための閉塞片挿入隙間11が形成される。
保持部Sに管体Pが保持された状態で、図10に示されるように、ほぼ直線状となって起立している閉塞片Bの先端部B1 を前記閉塞片挿入隙間11に強く押し込むと、当該閉塞片Bは、第1及び第2の各撓み連結部16,17の部分が管体Pの外周面に沿うように撓み変形されることで、当該閉塞片Bの先端部B1 は管体Pの外周面を滑って、当該閉塞片Bの先端部B1 の外面の係合部9と、保持部Sの第1弾性変形部3の内面の被係合部10とが係合される。これにより、保持部Sに保持された管体Pは、閉塞片Bにより締め込まれて、管体Pは、保持部Sに締込み保持される。保持部Sに対する管体Pの締込み保持は、ペンチ91の各先端部91aを、閉塞片B及び保持部Sの第1弾性変形部3の各外面に設けられた各突起板部14,15に引っ掛けて、互いに近接させることで、容易に行える。なお、閉塞片挿入隙間11に閉塞片Bの先端部B1 を押し込むことで、保持部Sの第1弾性変形部3は、僅かに外方に弾性変形されて、当該第1弾性変形部3に設けられている各当接突起12,13は、管体Pの外周面に対して僅かに離間する。
なお、管体Pが、外周面が平滑な硬質管である場合には、閉塞片Bの先端部B1 を管体Pの外周面に沿って滑らせて、前記閉塞片挿入隙間11に挿入する際において、管体Pの外周面に対する閉塞片Bの先端部B1 の滑りが確実となるので、閉塞片Bによる管体Pの締込み保持を一層確実に行える利点がある。
また、保持部Sに対して閉塞片Bにより締付け保持されている管体Pを当該保持部Sから取り出すには、図11に示されるように、閉塞片Bの先端部B1 の突起板部14と保持部Sの第1弾性変形部3との隙間にドライバー92の先端部を挿入して、その先端部を第1弾性変形部3の先端部の下方に挿入した状態で、前記突起板部14を回動支点として、前記ドライバー92を上方に引き起こす。これにより、閉塞片Bの係合部9と第1弾性変形部3の被係合部10との係合が解除された状態で、閉塞片Bの突起板部14に対するドライバー92の押付け力の管体Pの接線方向に沿った分力が、閉塞片Bの先端部B1 を第1弾性変形部3の下方から引き抜くように作用することで、当該閉塞片Bの先端部B1 が前記閉塞片挿入隙間11から自ら抜け出るように移動して、第1弾性変形部3の下方から閉塞片Bの先端部B1 が引き抜かれる。この結果、保持部Sの上部に挿入開口1が形成され、当該挿入開口1から管体Pを保持部Sの外部に取り出すことができる。
ここで、「閉塞片Bの先端部B1 が閉塞片挿入隙間11から自ら抜け出るように移動する」とは、上記形態の他に、手で第1弾性変形部3の突起板部15を摘んで引き上げることで、閉塞片Bの有する外側に拡がろうとする弾発力により、当該閉塞片Bを第1弾性変形部3の下方から抜け出させてもよい。この際に、第1弾性変形部3を引き上げる操作は、一回のみではなくて、数回の操作により、閉塞片Bを徐々に引き出して、最後の操作で、完全に引き出してもよい。また、閉塞片Bの外方への弾発力は、係合部9が完全に抜け出る程の大きさである必要はなく、最後は手で引き出せばよいので、完全に抜け出ることのできない大きさの弾発力であってもよい。
更に、第1弾性変形部3を引き上げて、閉塞片Bの先端部B1 が完全に抜けでなくても、当該先端部B1 が締付け状態に比較して僅かでも抜け出れば、管体Pの締付け状態は緩められるため、管体Pを長手方向にずらせたり、或いは配管勾配の確保のために、一対のボルト軸22に対する保持部Sの高さ方向の配置位置を調整し易くなる利点もある。
上記実施例においては、保持部Sを構造物等に固定するための固定部は、当該保持部Sの外側に一体に設けられて、所定間隔をおいた一対のボルト軸22に取着される左右一対の取着部5で構成されているが、前記固定部は、1本のボルト軸に取着可能なように、保持部Sの一方の側のみに設けられた一つの取着部で構成することも可能であり、更に、釘類やビス類によって、壁面等に対して保持部を片持ち状態で固定可能にする構造であってもよく、構造物等に対して保持部を固定する固定部には、種々のものがある。
上記実施例では、保持部Sは、一対のボルト軸22を介して床面Kに固定される構造であるが、保持部Sは、一対のボルト軸22又は1本のボルト軸22を介して天井面に固定される構造であってもよい。
A:管体保持体
B:閉塞片
1 :閉塞片の先端部
F:閉塞片の弾発力
P:管体(配線・配管材)
S:保持部
1:管体の挿入開口
2:保持本体部
3:第1弾性変形部
4:第2弾性変形部
9:係合部
10:被係合部
12,13:当接突起
14,15:突起板部
92:ドライバー(引起し工具)

Claims (7)

  1. 上部に配線・配管材を挿入する挿入開口が形成されると共に、当該挿入開口が閉じられて、配線・配管材の外周方向の全周を取り囲むことで、内側に配置された配線・配管材を保持する保持部の構造であって、
    周方向の少なくとも一端部を除く残りの大部分は大きく変形しない剛性を有していると共に、周方向の一端部は、大きな外力を加えることで外方に弾性変形可能な第1弾性変形部となっていて、前記配線・配管材の周方向に沿って略半分の部分を保持する保持部と、前記挿入開口を閉塞すべく、前記保持部の前記第1弾性変形部が設けられた端部と反対の端部に連結された閉塞片とを有し、
    前記閉塞片は、その先端部が前記第1弾性変形部と前記保持部で保持された配線・配管材との間の閉塞片挿入隙間に挿入されることで、当該配線・配管材の全周を取り囲むと共に、当該閉塞片の先端部の外面には、前記第1弾性変形部の内面に形成された被係合部と係合可能な係合部が形成され、
    前記第1弾性変形部の先端部には、配線・配管材の外周面に当接して、前記閉塞片挿入隙間を形成する当接突起が突設され
    前記係合部と被係合部との少なくとも一方には、複数の締め込み位置で互いに係合可能なように、周方向に沿って複数の突起部が形成され、
    前記閉塞片は、配線・配管材を保持していない状態においても、外側に拡がろうとする弾発力により、その先端部の外面が第1弾性変形部の内面に弾性的に当接して係合を維持できることを特徴とする配線・配管材の保持部構造。
  2. 前記保持部により配線・配管材が保持された状態で、前記第1弾性変形部を無理に外側に拡げることで、前記係合部と被係合部との係合が解除されて、前記閉塞片の先端部は、自身の有する保持部の外方への弾発力により、前記閉塞片挿入隙間から自ら抜け出るように移動することを特徴とする請求項1に記載の配線・配管材の保持部構造。
  3. 前記保持部における閉塞片が連結される端部は、大きな外力を加えることで弾性変形可能な第2弾性変形部となっていて、第1弾性変形部は、第2弾性変形部よりも長く形成されて、第2弾性変形部は、第1弾性変形部よりも曲げ強度が大きくて、外側に拡がりにくくなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線・配管材の保持部構造。
  4. 前記第1弾性変形部の内面に形成された被係合部は、前記閉塞片挿入隙間を形成する部分に設けられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の配線・配管材の保持部構造。
  5. 前記保持部で配線・配管材を保持していない状態において、前記閉塞片は、その先端部が第1弾性変形部に係合している位置から、保持部の内部への移動が可能であると共に、当該閉塞片の先端側を弾性変形させて、閉塞片の先端部を当該保持部の外側に引き出すことで、前記挿入開口が形成可能であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の配線・配管材の保持部構造。
  6. 配線・配管材を下方から保持し得る剛性を有する保持部と、当該保持部の周方向の一端側から延出されて、先端部が当該保持部の他端側と係合する係合部を有する閉塞片と、構造物等に固定される固定部とを備えた配線・配管材保持具であって、
    前記閉塞片の先端部を保持部の他端側から離間させることで、前記保持部に配線・配管材を挿入可能とする挿入開口が、当該保持部に形成され、
    前記閉塞片は、前記保持部の他端側に一体に形成された第1弾性変形部の内面と、当該保持部に挿入された配線・配管材の外面との間の閉塞片挿入隙間に、自身の先端部を挿入することで、当該閉塞片の先端部の外面の係合部と、前記保持部の他端側の内面の被係合部とが係合され、
    前記第1弾性変形部の先端部には、配線・配管材の外周面に当接して、前記閉塞片挿入隙間を形成する当接突起が突設され
    前記閉塞片は、前記保持部に配線・配管材を挿入していない状態で、当該閉塞片の先端部が前記保持部の他端側の内面に当接した状態を維持する外方への弾発力を有していることを特徴とする配線・配管材保持具。
  7. 前記閉塞片には、前記保持部で保持された配線・配管材と、前記保持部の他端部の先端部との間にドライバー等の引起し工具の先端部を挿入して、当該保持部の先端部を引き起こす際の回動支点となる突起板部が形成されていることを特徴とする請求項に記載の配線・配管材保持具。
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