JP6375888B2 - 電力変換装置における初期充電完了判定方法、初期充電完了判定回路および電力変換装置 - Google Patents

電力変換装置における初期充電完了判定方法、初期充電完了判定回路および電力変換装置 Download PDF

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Description

本発明は、直流電源とスイッチング素子からなる電力変換部との間に直流中間コンデンサを備え、直流中間コンデンサの初期充電のために、直流中間コンデンサを直流電源に接続する入力スイッチおよび充電抵抗を有する電力変換装置の初期充電完了判定方法および初期充電完了判定回路ならびに電力変換装置に関する。
スイッチング素子で構成される例えばインバータ等の電力変換装置では、その電力変換装置と直流電源との間に直流中間コンデンサが接続され、スイッチング素子を含む電力変換部の始動は、直流電源から入力スイッチおよび充電抵抗を介して直流中間コンデンサの初期充電が完了するのを待って充電抵抗を短絡した後に行われる(例えば、特許文献1参照)。
この種の電力変換装置の初期充電回路において、一般に使用されている従来の初期充電完了判定回路を図3に示す。図示のとおり、直流電源VBとスイッチング素子T1からなる電力変換部との間に直流中間コンデンサCを備えた電力変換装置には、直流中間コンデンサCを直流電源VBに接続する入力スイッチSW1および充電抵抗R1を含む初期充電回路が設けられている。少なくとも1つのスイッチング素子T1を含む電力変換部は、例えば電圧形インバータとして実施することができる。入力スイッチSW1のオンによって直流電源から入力スイッチSW1および充電抵抗R1を介して直流中間コンデンサCの充電が開始される。その際に、電圧検出器1によって直流電源電圧V1が検出され、電圧検出器2によって直流電源電圧V2が検出される。比較器3は、検出された両電圧間の差電圧V3(=V1−V2)と閾値V4とを比較し、差電圧V3が閾値V4以下になると、初期充電が完了したことを示す出力信号V5を発生する。
初期充電完了時に到達される直流中間コンデンサCの電圧値は、充電側インピーダンスと放電側インピーダンスとによる分圧作用の影響によって直流電源電圧よりも低い電圧値となるので、このことを考慮して閾値V4を決定しなければならない。従来の初期充電完了判定回路でも、直流電源電圧が一定であるか、または変動があっても小さい場合、初期充電完了時に到達される直流中間コンデンサCの電圧値は殆ど一定であるので、閾値V4の適切な設定によって最適な時点で初期充電完了を検出することができる。
しかし、直流電源電圧の変動が大きい場合、初期充電完了時に到達される直流中間コンデンサCの電圧値が直流電源電圧に応じて変動するため、一定の閾値V4では常に最適な時点での検出を保証できない。例えば、通常使用する中間レベルの直流電源電圧に対して最適な検出ができるように閾値V4を設定したしたとすると、その中間レベルよりも高い直流電源電圧の場合には、初期充電が完了しているのに何時まで経っても初期充電完了信号を出力できないという事態が起こり得る。従って、閾値V4は、最大レベルの直流電源電圧に対して最適な検出ができるように設定しなければならない。この場合、通常使用する中間レベルの直流電源電圧範囲では、初期充電が完了する以前の早すぎる時点で初期充電完了信号が出力される。つまり、直流電源電圧と直流中間コンデンサ電圧との間の初期充電完了信号発生時点での差電圧が最適な場合に比べて大きくなる。これは、変換部の始動のために図示されていない短絡スイッチにより充電抵抗を短絡した際に、通常使用する中間レベルの直流電源電圧範囲において、最適な場合に比べて大きい短絡電流が流れることを意味する。
特開2000−152643
本発明の課題は、直流電源電圧の変動が大きい場合にも、初期充電完了を判定するための閾値を固定したままでも、常に最適な時点で初期充電完了を検出することを可能にする初期充電完了判定方法、初期充電完了判定回路および電力変換装置を提供することにある。
前記課題は、初期充電完了判定方法の発明に関しては、直流電源とスイッチング素子からなる電力変換部との間に直流中間コンデンサを備え、直流中間コンデンサの初期充電のために、直流中間コンデンサを直流電源に接続する入力スイッチおよび充電抵抗を有する電力変換装置の初期充電完了判定方法において、
直流電源の電圧を第1の電圧検出値として検出し、
直流中間コンデンサの電圧を第2の電圧検出値として検出し、
第1の電圧検出値と第2の電圧検出値とを比較し、その差が予め設定された閾値以下になった際に初期充電完了信号を出力し、
充電側インピーダンスと放電側インピーダンスとの分圧比に基づいて予め決定された係数を、前記比較の前に第1の電圧検出値または第2の電圧検出値に乗算することによって解決される。
充電側インピーダンスをZchgと表し、放電側インピーダンスZをdischgと表するならば、第1の実施形態では、充電側インピーダンスZchgと放電側インピーダンスZdischgとの分圧比Zchg:Zdischgに基づいて
Zdischg/(Zchg+Zdischg)
なる係数が決定され、この係数が第1の電圧検出値に乗算される。第2の実施形態では、第1の実施形態の場合の上記係数の逆数に当たる係数が第2の電圧検出値に乗算される。両実施形態は、初期充電完了判定に関して互いに等価な結果をもたらす。
充電側インピーダンスは、充電抵抗のほかに、入力スイッチの抵抗分も含み得る。
これに対して、放電側インピーダンスは、放電抵抗のほかに、直流中間コンデンサのtanδに関係する抵抗分(いわゆるコンデンサ寄生抵抗)、直流中間コンデンサの電圧検出のために設けられる電圧検出器の分圧抵抗、電力変換部のスイッチング素子の漏れインピーダンスを含み得る。
さらに、前記課題は、初期充電完了判定回路の発明に関しては、直流電源と、スイッチング素子からなる電力変換部と、直流電源と電力変換部との間に接続された直流中間コンデンサと、直流中間コンデンサの初期充電のために直流中間コンデンサを直流電源に接続する入力スイッチおよび充電抵抗と、直流中間コンデンサに並列接続された放電抵抗とを含む電力変換装置における直流中間コンデンサの初期充電完了判定回路において、
直流電源の電圧を第1の電圧検出値として検出する第1の電圧検出器と、
直流中間コンデンサの電圧を第2の電圧検出値として検出する第2の電圧検出器と、
第1の電圧検出値と第2の電圧検出値とを比較し、その差が与えられた閾値以下になった際に初期充電完了信号を出力する比較器と、
主として充電抵抗を含む充電側インピーダンスと主として放電抵抗分を含む放電側インピーダンスとの分圧比に基づいて予め決定された係数を、前記比較器の入力側で第1の電圧検出値もしくは第2の電圧検出値に乗じる乗算器と、
を有することによって解決される。
さらに、前記課題は、電力変換装置の発明に関しては、上述の本発明による初期充電完了判定回路を備えた電力変換装置によって解決される。
本発明によれば、直流電源の電圧を第1の電圧検出値として検出し、直流中間コンデンサの電圧を第2の電圧検出値として検出し、第1の電圧検出値と第2の電圧検出値とを比較し、その差が予め設定された閾値以下になった際に初期充電完了信号を出力し、充電側インピーダンスと放電側インピーダンスとの分圧比に基づいて予め決定された係数を、前記比較の前に第1の電圧検出値または第2の電圧検出値に乗算することによって、装置製作上の許容差や温度ドリフトのない理想条件下であれば、前記閾値が殆ど0に近い値であっても、直流電源電圧の変動に関係なく常に、最適な時点で初期充電完了信号を確実に出力することができる。なぜならば、直流中間コンデンサの初期充電回路の平衡状態到達時点、即ち初期充電完了時点においては、そのような理想条件下であれば、第2の電圧検出値(コンデンサ電圧)と、係数を乗じた第1の電圧検出値(係数を乗じた直流電源電圧)とが、丁度一致するからである。従って、前記閾値は、現実に存在する許容差や温度ドリフト等による誤差の影響を回避するに足る小さな一定値ですみ、常に確実にほぼ最適な時点で初期充電完了信号を出力することができる。
以下において、図面に示す実施例を参照しながら、発明をさらに詳細に説明する。
図1は本発明による初期充電完了判定回路の第1の実施例を示す回路図である。 図2は本発明による初期充電完了判定回路の第2の実施例を示す回路図である。 図3は従来の初期充電完了判定回路の実施例を示す回路図である。
図2は、電力変換装置における初期充電完了判定回路の本発明による第1の実施例を示す。この実施例においては、図3の従来例と同様に、直流電源VBと、スイッチング素子T1からなる電力変換部との間に電圧平滑のための直流中間コンデンサCが接続され、中間回路コンデンサCの初期充電が入力スイッチSW1および充電抵抗R1を介して行われる。中間回路コンデンサCには放電抵抗R2が並列接続されている。さらに、同様に、直流電源VBの電圧V1を検出するために、直流電源端子間に第1の電圧検出器1が接続され、直流中間コンデンサCの電圧V2を検出するために、コンデンサ端子間に第2の電圧検出器2が接続されている。さらに、同様に、差電圧V3と閾値V4とを比較し、その比較結果が予め設定された条件を満たしたときに、初期充電完了を通報する出力信号V5を発生する比較器3が設けられている。図3の従来例と相違する点は、第1の電圧検出器1の出力側に乗算器4と、係数設定要素5とが追加されていることにある。これにともない、比較器3における閾値V4の設定範囲も相違する。
本発明の動作原理を説明するために、図1に示すように、充電側インピーダンスをZchgとし、放電側インピーダンスをZdischgとする。充電側インピーダンスZchgは、充電抵抗R1のほかに、入力スイッチSW1の抵抗分も含み得る。入力スイッチSW1の抵抗分の考慮によって、例えば接点の荒れに起因する直流電源電圧の変動の影響を除去することができる。放電側インピーダンスZdischgは、直流中間コンデンサCに並列接続された放電抵抗R2のほかに、直流中間コンデンサ自身のtanδに関係する抵抗分(いわゆるコンデンサ寄生抵抗)、直流中間コンデンサCの電圧検出のために設けられる電圧検出器に使用される分圧抵抗、電力変換部のスイッチング素子T1のオフ状態での漏れインピーダンスを含み得る。
初期充電中に直流電源VBが充電側インピーダンスZchgを介して直流中間コンデンサCに供給する電流をi1とし、直流中間コンデンサCが放電側インピーダンスZdischgに放電する電流をi2とすると、直流中間コンデンサCには電流ic=i1−i2が流れる。電流ic=0、即ちi1=i2なる平衡状態に達した時点で初期充電が完了する。この初期充電完了時点での直流中間コンデンサCの電圧値V2*は、直流電源電圧V1を充電側インピーダンスZchgと放電側インピーダンスZdischgとで分圧した電圧値であり、即ち、
V2*={Zdischg/(Zchg+Zdischg)}V1=K・V1 (1)
で表される。ただし、
K=Zdischg/(Zchg+Zdischg) (2)
である。
そこで、乗算器4において、電圧検出器1の電圧検出値(直流電源電圧)V1が上記式(3)による係数Kと乗算されて、比較器3の入力側で、電圧検出器2からの電圧検出値(直流中間コンデンサ電圧)V2と突き合わされ、
V3=K・V1−V2 (3)
なる差電圧V3が形成される。比較器3は、その差電圧V3と閾値V4とを比較することにより、
K・V1−V2≦V4 (4)
なる判定条件に基づいて、初期充電完了を通報する信号V5を出力する。
式(4)の左辺第1項は、先の式(1)で示す初期充電完了時点での中間コンデンサCの電圧値V2*に相当する。充電側および放電側インピーダンスZchgおよびZdischgを決める回路構成部品が有する許容差や温度ドリフト等による誤差を無視した理想条件を仮定すると、初期充電完了時点での直流中間コンデンサCの電圧V2は、上記式(1)で算定される電圧値V2*に一致するので、殆ど0近傍に固定設定された閾値V4により、直流電源電圧V1の変動に関係なく、常に最適な状態で確実に初期充電完了を検出することができる。実際上は、算定される電圧値V2*にはある程度の誤差が含まれ得るが、その誤差による影響は回避するに足る程度の小さな一定の閾値を設定しておくだけで、直流電源電圧V1の変動に関係なく、常に最適な状態で確実に初期充電完了を検出することができる。
図2は、電力変換装置における初期充電完了判定回路の本発明による第2の実施例を示す。これが第1の実施例と相違する点は、乗算器4が第2の電圧検出器2の出力側に設けられていることと、係数要素5から乗算器4に与えられる係数が、先に示した式(2)による係数の逆数1/Kであることである。従って、比較器3の入力側の突合せ点で形成される差電圧は、V3=V1−(1/K)・V2である。従って、比較器3は、
V1−(1/K)・V2≦V4 (5)
成る判定条件に基づいて初期充電完了を通報する信号V5を出力する。両辺にKを乗算すれば、
K・V1−V2≦K・V4
が得られるので、予め決定された係数Kに応じて換算された閾値を選ぶだけで、図1の実施例における先の式(4)と等価な初期充電完了判定条件を実現することができる。
以上のように、本発明は、直流電源(VB)の電圧を第1の電圧検出値(V1)として検出し、直流中間コンデンサ(C)の電圧を第2の電圧検出値(V2)として検出し、第1の電圧検出値と第2の電圧検出値とを比較し、その差(V3)が予め設定された閾値(V4)以下になった際に初期充電完了信号(V5)を出力し、充電側インピーダンス(Zchg)と放電側インピーダンス(Zdischg)との分圧比に基づいて予め決定された係数(Zdischg/(Zchg+Zdischg)または(Zchg+Zdischg)/Zdischg)を、前記比較の前に第1の電圧検出値(V1)または第2の電圧検出値(V2)に乗算することを特徴とする初期充電完了判定方法、この方法に対応して構成された初期充電完了判定回路、ならびにその初期充電完了判定回路を備えた電力変換装置によって、直流電源電圧の変動が大きい場合にも、初期充電完了を判定するための閾値を固定したままで、常に最適な時点で初期充電完了を検出することを可能にするという課題を解決する。
1 第1の電圧検出器
2 第2の電圧検出器
3 比較器
4 乗算器
5 係数要素
C 直流中間コンデンサ
R1 充電抵抗
R2 放電抵抗
SW1 入力スイッチ
T1 スイッチング素子
VB 直流電源
V1 直流電源電圧(第1の電圧検出値)
V2 直流中間コンデンサ電圧(第2の電圧検出値)
V3 差電圧
V4 閾値
V5 充電完了出力信号
Zchg 充電側インピーダンス
Zdischg 放電側インピーダンス

Claims (7)

  1. 直流電源とスイッチング素子からなる電力変換部との間に直流中間コンデンサを備え、直流中間コンデンサの初期充電のために、直流中間コンデンサを直流電源に接続する入力スイッチおよび充電抵抗を有する電力変換装置の初期充電完了判定方法において、
    直流電源の電圧を第1の電圧検出値として検出し、
    直流中間コンデンサの電圧を第2の電圧検出値として検出し、
    第1の電圧検出値と第2の電圧検出値とを比較し、その差が予め設定された閾値以下になった際に初期充電完了信号を出力し、
    充電側インピーダンスと放電側インピーダンスとの分圧比に基づいて予め決定された係数またはその逆数を、前記比較の前に第1の電圧検出値または第2の電圧検出値に乗算することを特徴とする初期充電完了判定方法。
  2. 充電側インピーダンスは、充電抵抗のほかに、入力スイッチの抵抗分も含み得ることを特徴とする請求項1記載の初期充電完了判定方法。
  3. 放電側インピーダンスは、放電抵抗のほかに、直流中間コンデンサのtanδに関係する抵抗分、直流中間コンデンサの電圧検出のために設けられる電圧検出器の分圧抵抗、電力変換部のスイッチング素子の漏れインピーダンスを含み得ることを特徴とする請求項1又は2記載の初期充電完了判定方法。
  4. 直流電源とスイッチング素子からなる電力変換部との間に直流中間コンデンサを備え、直流中間コンデンサの初期充電のために、直流中間コンデンサを直流電源に接続する入力スイッチおよび充電抵抗を含む電力変換装置の初期充電完了判定回路において、
    直流電源の電圧を第1の電圧検出値として検出する第1の電圧検出器と、
    直流中間コンデンサの電圧を第2の電圧検出値として検出する第2の電圧検出器と、
    第1の電圧検出値と第2の電圧検出値とを比較し、その差が予め設定された閾値以下になった際に初期充電完了信号を出力する比較器と、
    充電側インピーダンスと放電側インピーダンスとの分圧比に基づいて予め決定された係数またはその逆数を、前記比較器の入力側で第1の電圧検出値もしくは第2の電圧検出値に乗算する乗算器と、
    を有することを特徴とする初期充電完了判定回路。
  5. 充電側インピーダンスは、充電抵抗のほかに、入力スイッチの抵抗分も含み得ることを特徴とする請求項4記載の初期充電完了判定回路。
  6. 放電側インピーダンスは、放電抵抗のほかに、直流中間コンデンサのtanδに関係する抵抗分、直流中間コンデンサの電圧検出のために設けられる電圧検出器の分圧抵抗、電力変換部のスイッチング素子の漏れインピーダンスを含み得ることを特徴とする請求項4又は5記載の初期充電完了判定回路。
  7. 請求項4乃至6の1つに記載の初期充電完了判定回路を備えた電力変換装置。
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