JP6373738B2 - 熱処理方法および熱処理装置 - Google Patents

熱処理方法および熱処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6373738B2
JP6373738B2 JP2014237292A JP2014237292A JP6373738B2 JP 6373738 B2 JP6373738 B2 JP 6373738B2 JP 2014237292 A JP2014237292 A JP 2014237292A JP 2014237292 A JP2014237292 A JP 2014237292A JP 6373738 B2 JP6373738 B2 JP 6373738B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat treatment
substrate
phase change
base material
change material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014237292A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015180488A (ja
Inventor
藤田 浩
浩 藤田
貴弘 木村
貴弘 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Screen Holdings Co Ltd
Original Assignee
Screen Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Screen Holdings Co Ltd filed Critical Screen Holdings Co Ltd
Priority to JP2014237292A priority Critical patent/JP6373738B2/ja
Priority to CN201510076277.7A priority patent/CN104900517B/zh
Priority to TW104105453A priority patent/TWI608872B/zh
Priority to KR1020150029679A priority patent/KR101717342B1/ko
Publication of JP2015180488A publication Critical patent/JP2015180488A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6373738B2 publication Critical patent/JP6373738B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coating Apparatus (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

本発明は、加熱対象物が形成された樹脂などの耐熱性に乏しい基材に光を照射することによって当該加熱対象物を昇温する熱処理方法および熱処理装置に関する。
基材の表面を極めて短時間で加熱する技術として、フラッシュランプを用いたフラッシュランプアニール(FLA)技術が知られている。フラッシュランプは、発光時間が1秒以下(典型的には、数ミリ秒〜数10ミリ秒)であり、照射時間の極めて短く強度の強いフラッシュ光(閃光)を基材の表面に照射することによって当該表面を瞬間的に昇温させる。
例えば、特許文献1には、薬液および純水による表面洗浄処理が行われた半導体基板にフラッシュランプからフラッシュ光を照射することによって、基板表面に残留している液を沸騰させて蒸発させる乾燥技術が開示されている。また、特許文献2には、基板上のシリコン薄膜にフラッシュランプからフラッシュ光を照射することによって、シリコン薄膜をパルス溶融して多結晶シリコンを形成する技術が開示されている。
一方、近年、電子ペーパーの実用化にともない、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフレキシブルな樹脂フィルム上にTFT素子等の半導体デバイスを形成することが試みられている。このようなフレキシブルな電子機器の製造工程においても、樹脂基材の表面に電極などの機能層を積層した被処理体のアニール処理が必須となる。特許文献3には、PET等の透明基板上に透明導電膜を形成した透明導電性シートにフラッシュ光を照射することによって、透明導電膜のみを選択的に加熱する技術が開示されている。
特開2008−128567号公報 特表2011−515833号公報 特開2010−146757号公報
特許文献3に開示されるフラッシュランプアニールでは、透明導電膜のみを加熱するためにその膜厚等に応じてフラッシュ光の照射時間や照射エネルギー密度などの最適化が必要である。また、特許文献3に開示される技術では透明基板の全面に透明導電膜が形成されているが、実際のプロセスでは透明基板の一部に導電膜が形成されていることが多い。このような場合には、フラッシュ光の照射条件を最適化したとしても、導電膜が形成されていない透明基板の領域ではフラッシュ光に直接曝露されることとなるため、当該領域が過度に昇温して透明基板に熱ダメージを与えるおそれがある。
特に、基材の素材がPETのように耐熱性に乏しい樹脂である場合には、導電膜を所定の目標温度にまで昇温できる程度にフラッシュ光照射を行うと、基材へのダメージが避けられず、逆に基材にダメージを与えない程度のフラッシュ光照射では導電膜を必要な目標温度にまで昇温することができないという問題が生じていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基材にダメージを与えることなく基材に形成された加熱対象物を目標温度にまで昇温することができる熱処理方法および熱処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、加熱対象物が形成された基材に光を照射することによって当該加熱対象物を昇温する熱処理方法において、前記加熱対象物の昇温目標温度よりも低い温度にて相転移する相転移物質を、少なくとも前記基材のうちの昇温の抑制が必要な昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に供給する供給工程と、前記相転移物質が付着した基材に光を照射して前記加熱対象物を加熱するとともに、前記相転移物質を相転移させる加熱工程と、を備え、前記相転移物質の転移温度は、基材に熱損傷が生じる温度よりも低く、前記供給領域は、前記基材上に形成された前記加熱対象物以外の領域であることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項1の発明に係る熱処理方法において、前記加熱工程では、基材にフラッシュ光を照射することを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理方法において、前記供給工程では、前記相転移物質を含む液体を前記基材に供給することを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項3の発明に係る熱処理方法において、前記相転移物質を含む液体に当該液体の粘性を高める増粘剤を添加する工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項3の発明に係る熱処理方法において、前記供給領域に親水化処理を施して親水性を付与する工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項5の発明に係る熱処理方法において、前記供給領域の周囲に撥水化処理を施して前記供給領域を撥水性領域で取り囲む工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項3から請求項6のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記供給工程では、液相の前記相転移物質を含む液体を前記基材に供給することを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項7の発明に係る熱処理方法において、前記基材に供給された液相の前記相転移物質を凝固させる工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項3から請求項6のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記供給工程では、前記相転移物質を溶媒に溶解した溶液を含む液体を前記基材に供給することを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項9の発明に係る熱処理方法において、前記加熱工程より前に、前記基材に供給された溶液から溶媒を除去し、前記相転移物質を前記供給領域に析出させる析出工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項3から請求項10のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記供給工程では、液滴を吐出するノズルから前記供給領域に前記相転移物質を含む液体を吐出することを特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理方法において、前記供給工程では、前記相転移物質を含む固体を前記基材に供給することを特徴とする。
また、請求項13の発明は、請求項12の発明に係る熱処理方法において、前記供給工程では、固相の前記相転移物質を含む固体を前記基材に供給することを特徴とする。
また、請求項14の発明は、請求項12または請求項13の発明に係る熱処理方法において、前記相転移物質を含む固体が融解したときに生じる液体の粘性を高める増粘剤を前記固体に添加する工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項15の発明は、請求項1から請求項14のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記供給工程は、前記供給領域に対応するパターンに選択的に前記相転移物質が付着する刷版に対して前記相転移物質を供給する工程と、前記刷版に付着した前記相転移物質を前記基材の前記供給領域に転写する工程と、を含むことを特徴とする。
また、請求項16の発明は、請求項1から請求項15のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記加熱工程の後に、前記基材に残留している前記相転移物質を除去する除去工程をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項17の発明は、請求項1から請求項16のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記供給工程では、前記加熱対象物が形成された前記基材の第1面とは反対側の第2面に前記相転移物質を供給することを特徴とする。
また、請求項18の発明は、請求項17の発明に係る熱処理方法において、前記供給工程では、前記相転移物質を担持した担持部材を前記第2面に近接させて前記相転移物質を前記供給領域に供給することを特徴とする。
また、請求項19の発明は、請求項1から請求項18のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記相転移物質は水であることを特徴とする。
また、請求項20の発明は、請求項1から請求項19のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記基材は長尺であることを特徴とする。
また、請求項21の発明は、請求項1から請求項19のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記基材は板状またはシート状であることを特徴とする。
また、請求項22の発明は、加熱対象物が形成された基材に光を照射することによって当該加熱対象物を昇温する熱処理装置において、第1ローラから送り出された基材を第2ローラで巻き取ることによって基材を搬送する搬送部と、前記加熱対象物の昇温目標温度よりも低い温度にて相転移する相転移物質を、少なくとも前記基材のうちの昇温の抑制が必要な昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に供給する供給部と、前記相転移物質が付着した基材に光を照射して前記加熱対象物を加熱するとともに、前記相転移物質を相転移させる加熱部と、を備え、前記相転移物質の転移温度は、基材に熱損傷が生じる温度よりも低く、前記供給領域は、前記基材上に形成された前記加熱対象物以外の領域であることを特徴とする。
また、請求項23の発明は、請求項22の発明に係る熱処理装置において、前記加熱部は、基材にフラッシュ光を照射するフラッシュランプを有することを特徴とする。
また、請求項24の発明は、請求項22または請求項23の発明に係る熱処理装置において、前記供給部は、前記供給領域に前記相転移物質を含む液体の液滴を吐出するノズルを有することを特徴とする。
また、請求項25の発明は、請求項22から請求項24のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記供給部は、前記供給領域に対応するパターンに選択的に前記相転移物質が着した刷版を前記基材に当接させて前記相転移物質を前記供給領域に転写する版胴を有することを特徴とする。
また、請求項26の発明は、請求項22から請求項25のいずれかの発明に係る熱処理装置において、加熱後の前記基材に残留している前記相転移物質を除去する除去部をさらに備えることを特徴とする。
請求項1から請求項21の発明によれば、加熱対象物の昇温目標温度よりも低い温度にて相転移する相転移物質を、少なくとも基材のうちの昇温の抑制が必要な昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に供給し、相転移物質が付着した基材に光を照射して加熱対象物を加熱するとともに、相転移物質を相転移させるため、加熱対象物は昇温目標温度にまで昇温される一方、昇温抑制領域では相転移物質が相転移するときの潜熱を吸収するために昇温が抑制され、基材にダメージを与えることなく基材に形成された加熱対象物を目標温度にまで昇温することができる。また、相転移物質の転移温度は、基材に熱損傷が生じる温度よりも低いため、基材にダメージを与えることを確実に防止することができる。
特に、請求項の発明によれば、相転移物質を含む液体に当該液体の粘性を高める増粘剤を添加するため、供給した液体の流動を抑制することができる。
特に、請求項および請求項の発明によれば、供給領域に親水化処理を施して親水性を付与するため、供給した液体の流動を抑制することができる。
特に、請求項17および請求項18の発明によれば、加熱対象物が形成された基材の第1面とは反対側の第2面に相転移物質を供給するため、相転移物質が加熱対象物に接触するのを防止することができる。
請求項22から請求項26の発明によれば、加熱対象物の昇温目標温度よりも低い温度にて相転移する相転移物質を、少なくとも基材のうちの昇温の抑制が必要な昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に供給し、相転移物質が付着した基材に光を照射して加熱対象物を加熱するとともに、相転移物質を相転移させるため、加熱対象物は昇温目標温度にまで昇温される一方、昇温抑制領域では相転移物質が相転移するときの潜熱を吸収するために昇温が抑制され、基材にダメージを与えることなく基材に形成された加熱対象物を目標温度にまで昇温することができる。また、相転移物質の転移温度は、基材に熱損傷が生じる温度よりも低いため、基材にダメージを与えることを確実に防止することができる。
第1実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 図1の熱処理装置の斜視図である。 基材の構造を示す断面図である。 第2実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 第3実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 親水化処理および撥水化処理が施された基材の平面図である。 第4実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 第5実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 第6実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 第7実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 第8実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 第9実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 第9実施形態にて純水を担持した担持フィルムが基材に貼り合わされた状態を示す図である。 第10実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 第11実施形態の熱処理装置の全体構成を示す図である。 第12実施形態の熱処理装置の全体構成を示す平面図である。 第13実施形態の熱処理装置の外観斜視図である。 図17の吐出ヘッドの底面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の熱処理装置1aの全体構成を示す図である。また、図2は、熱処理装置1aの斜視図である。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
この熱処理装置1aは、基材としての長尺の樹脂フィルムをロールトゥロール(roll-to-roll)方式にて搬送しつつ、フラッシュ光照射によって基材の一方面に形成された電極用材料等の機能層を昇温する装置である。熱処理装置1aは、主たる要素として、基材5を搬送する搬送部10と、基材5に水滴を供給する吐出ヘッド20と、基材5にフラッシュ光を照射する照射部50と、を備える。また、熱処理装置1aは、装置に設けられた各種動作機構を制御して処理を進行させる制御部9を備える。
搬送部10は、送り出しローラ(第1ローラ)11、および、巻き取りローラ(第2ローラ)12を備える。送り出しローラ11および巻き取りローラ12は、図示を省略する回転駆動機構によって、その長手方向に沿った中心軸を回転中心として図1の紙面上で時計回りに回転される。送り出しローラ11に巻き付けられていた基材5は、送り出しローラ11が回転することによって送り出され、巻き取りローラ12によって巻き取られる。送り出しローラ11から送り出された基材5が巻き取りローラ12によって巻き取られることにより、帯状の基材5は吐出ヘッド20から照射部50の順にロールトゥロール方式にて連続して搬送される。処理中においては、基材5は連続または断続的に搬送される。なお、送り出しローラ11から巻き取りローラ12に至る搬送経路に沿って基材5を支持して案内する複数の補助ローラを設置するようにしても良い。
搬送部10によって搬送される基材5の上方に吐出ヘッド20および照射部50が設けられる。吐出ヘッド20は、搬送部10によって搬送される基材5に純水の液滴を吐出する。図2に示すように、吐出ヘッド20は、搬送部10によって搬送される基材5の幅方向全域をカバーするフルラインヘッドである。よって、吐出ヘッド20は、基材5の幅方向に沿って走査されることはなく、固定設置されている。
吐出ヘッド20の底面(基材5と対向する面)には、図示を省略する複数のノズルが形設されている。それら複数のノズルは、例えば吐出ヘッド20の底面に格子状に配置形成されている。複数のノズルが配置される個数および間隔(ピッチ)は、特に限定されるものではなく、適宜のものとすることができる。
吐出ヘッド20のノズルのそれぞれは、いわゆるインクジェットノズルであり、本実施形態では図外の純水供給源から供給された純水の液滴を生成して吐出する。吐出ヘッド20のノズルは、ピエゾ素子(圧電素子)に電圧を加えて変形させて純水の液滴を吐出するピエゾ方式であっても良いし、ヒータに通電して純水を加熱することによって純水の液滴を吐出するサーマル方式であっても良い。また、純水供給源から供給される純水としては、イオン交換樹脂膜によってイオンを取り除いた脱イオン水が望ましい。
吐出ヘッド20は、制御部9の制御下にて複数のノズルのうちの一部から純水の液滴を吐出することにより、所定のパターン形状に従って純水を選択的に供給することができる。その吐出のパターンは制御部9によって適宜に決定される。
照射部50は、搬送部10による基材5の搬送方向に沿って吐出ヘッド20よりも下流側であって、その搬送される基材5の上方に設けられる。照射部50は、複数本(図1,2では図示の便宜上3本としているが、これに限定されるものではない)のフラッシュランプFLと、それら全体の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備える。照射部50は、搬送部10によって搬送される基材5にフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する。
フラッシュランプFLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。本実施形態では、フラッシュランプFLとしてキセノンフラッシュランプを用いている。キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極と、を備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気が両端電極間の放電によってガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリ秒ないし100ミリ秒という極めて短い光パルスに変換されることから、連続点灯のランプに比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を下方に反射するというものである。
制御部9は、熱処理装置1aに設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部9のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部9は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部9のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1aにおける処理が進行する。
上記の構成以外にも熱処理装置1aには、種々の構成要素を適宜に設けるようにしても良い。例えば、照射部50からフラッシュ光が照射される領域に窒素ガス等の不活性ガスを供給する機構を設けるようにしても良い。
次に、上記構成を有する熱処理装置1aにおける処理動作について説明する。送り出しローラ11から送り出された基材5が巻き取りローラ12によって巻き取られることにより、帯状の基材5が搬送される。図3は、基材5の構造を示す断面図である。同図に示すように、基材5の表面の一部には機能層7が積層形成されている。基材5は樹脂フィルムである。基材5の樹脂としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを採用することができる。PEN、PETなどの樹脂材料は柔軟で可撓性を有するため、これを基材5として用いれば、送り出しローラ11から巻き取りローラ12へロールトゥロール方式にて基材5を搬送することができる。第1実施形態では、機能層7が形成された基材5の表面を上側に向けて搬送部10が基材5を搬送している。なお、基材5の「表面」とは、基材5の2つの面のうちの一方面(第1面)であり、「裏面」とはその反対側の他方面(第2面)である。すなわち、基材5の表面および裏面は、基材5の両面を単に識別するための表記であり、いずれか特定の面が表面または裏面に限定されるものではない。
また、機能層7は、例えば電極形成用の銀(Ag)のナノインクの層である。機能層7が形成された基材5が搬送部10によって搬送され、その基材5に照射部50からフラッシュ光が照射されることによって機能層7が加熱される。このナノインクの機能層7が目標処理温度(昇温目標温度)に加熱されることによって基材5上に電極が形成される。すなわち、機能層7は熱処理装置1aにおける加熱対象物である。
機能層7の目標処理温度は、機能層7が銀のナノインクであれば約180℃である。一方、基材5の耐熱温度は、基材5がPENやPETであれば約120℃である。基材5の耐熱温度とは、その温度を超えると基材5に熱損傷が生じる限界温度である。このように、本実施形態においては、機能層7の目標処理温度の方が基材5の耐熱温度よりも高温である。従って、機能層7が目標処理温度に昇温する程度に照射部50からフラッシュ光を照射すると、基材5が耐熱温度を超えて加熱され、基材5に熱損傷が生じることとなる。逆に、基材5に熱損傷が生じない程度に照射部50からフラッシュ光を照射すると、機能層7を目標処理温度にまで昇温することができない。
そこで、本実施形態においては、フラッシュ光照射前に吐出ヘッド20から基材5の一部領域に純水の液滴を供給している。図3に示すように、機能層7は、基材5の表面全面に形成されるものではなく、表面の一部に形成されている。機能層7が形成されている領域(機能層7の表面)は、目標処理温度までの昇温が必要な昇温対象領域である。一方、機能層7が形成されていない基材5の表面領域は、昇温が不要な昇温不要領域である。昇温不要領域には、昇温すると熱損傷が生じるために昇温の抑制が必要な昇温抑制領域と、熱損傷は生じないがプロセス的に昇温が不必要な領域と、が含まれる。例えば、PETの基材5の表面の一部に耐熱性に優れた樹脂フィルムを積層しているような場合には、機能層7が形成されていない基材5の表面領域は昇温抑制領域となり、当該樹脂フィルムの表面領域はプロセス的に昇温が不必要な領域となる。そして、それら双方の領域を含めて昇温不要領域とされる。
吐出ヘッド20は、基材5のうちの少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に純水の液滴を供給する。すなわち、吐出ヘッド20は、プロセス的に昇温が不必要な領域を除く昇温抑制領域のみに純水の液滴を供給するようにしても良いし、昇温抑制領域とプロセス的に昇温が不必要な領域とを含む昇温不要領域の全域に純水の液滴を供給するようにしても良い。但し、機能層7が形成された昇温対象領域に吐出ヘッド20が純水の液滴を供給することは無い。
吐出ヘッド20は、複数のインクジェットノズルを備えており、制御部9の制御によって容易に所定のパターン形状に従って純水の液滴を吐出することができる。よって、吐出ヘッド20は、少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に純水の液滴を供給することができる。また、第1実施形態では、機能層7が形成された基材5の表面を上側に向けて基材5が搬送されており、吐出ヘッド20は基材5の表面の供給領域に純水の液滴を供給する。また、吐出ヘッド20からの純水供給流量は、基材5の供給領域に純水の液滴が付着する程度である。
純水の液滴が付着した基材5は搬送部10によって照射部50の下方に搬送される。そして、照射部50は、基材5に対してフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する。フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光(リフレクタ52によって反射されたフラッシュ光を含む)は、純水の液滴が付着した基材5の表面に照射される。フラッシュランプFLから出射されるフラッシュ光は、予め蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリ秒以上100ミリ秒以下程度の極めて短く強い閃光である。
基材5の表面の一部には機能層7が形成されている。フラッシュランプFLから照射されたフラッシュ光は、基材5の表面全面、すなわち機能層7および昇温不要領域の双方に照射される。フラッシュ光を吸収した機能層7は目標処理温度(本実施形態では約180℃)にまで昇温し、必要な熱処理が実行される。一方、基材5の供給領域(昇温不要領域のうちの少なくとも昇温抑制領域を含む領域)においてもフラッシュ光を吸収して基材5が昇温するのであるが、当該供給領域には純水の液滴が付着しているために100℃を超えての昇温が抑制される。
周知の通り、常圧での水の沸点は約100℃であり、供給領域が100℃に到達すると付着している純水が沸騰(液滴内部からの蒸発)する。純水の液滴が蒸発するときには、基材5の供給領域から蒸発熱を吸収する。このため、基材5の供給領域における昇温が抑制され、純水の液滴が残留している間は供給領域の温度は100℃以上に昇温されにくくなる。フラッシュ光の照射時間(つまり、フラッシュ加熱時間)は100ミリ秒以下の極めて短時間であるため、供給領域に付着している純水の液滴が完全に蒸発しにくく、熱処理中に継続して昇温を抑制することができる。
本実施形態では、基材5の耐熱温度が約120℃であるため、フラッシュ加熱時に基材5の供給領域の温度は耐熱温度以下に抑制されることとなる。その結果、基材5に熱ダメージを与えることは防止される。
フラッシュ光照射の時間は極めて短いため、機能層7も目標処理温度に到達した後短時間で急速に降温する。そして、照射部50を通過した基材5は巻き取りローラ12によって巻き取られる。このようにして、熱処理装置1における処理が完了する。なお、搬送部10によって基材5を一定長さずつステップ送り(搬送と停止を繰り返す)し、照射部50から停止状態の基材5にフラッシュ光を照射するようにしても良い。
第1実施形態においては、加熱対象物である機能層7の昇温目標温度(約180℃)よりも低い温度にて蒸発する水を、少なくとも基材5のうちの昇温の抑制が必要な昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に供給した状態にてフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射して機能層7を加熱している。フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材5の昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材5にダメージを与えることなく基材5に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
水の沸点は、機能層7の昇温目標温度よりも低く、かつ、基材5に熱損傷が生じる温度(約120℃)よりも低い。よって、フラッシュ光照射によって基材5に付着した水が沸点にまで昇温したとしても、基材5の温度がそれ以上に昇温することはなく、基材5にダメージを与えることを確実に防止することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態の熱処理装置1bの全体構成を示す図である。図4において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第2実施形態の熱処理装置1bが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、吐出ヘッド20から供給する純水の粘性を高める増粘剤添加部21を備える点である。
増粘剤添加部21は、図外の純水供給源から吐出ヘッド20に供給する純水に増粘剤を添加する。増粘剤添加部21が添加する増粘剤としては、例えば水の粘性を高めるポリビニルアルコール(PVA)を用いることができる。増粘剤としては、PVAに代えてグリセリンやゲル化剤などの水の粘性を高める薬剤を使用することができる。
吐出ヘッド20は、増粘剤が添加されて粘性の高まった水の液滴を生成して基材5の少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に供給する。第2実施形態では、基材5の供給領域に付着している水の液滴の粘性が高いため、搬送部10によって基材5が搬送されたときにも液滴の流動を防止することができる。よって、流動した液滴が機能層7に接触することによる不具合(例えば、機能層7の処理不良)を未然に防止することができる。
増粘剤を添加することを除く第2実施形態の残余の構成および処理動作については第1実施形態と同様である。第2実施形態のようにしても、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材5の昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材5にダメージが生じるのを防止し、かつ基材5に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
また、第2実施形態においては、増粘剤によって液滴の粘性を高めているため、液滴が流動して機能層7に接触することに起因した不具合を防止することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図5は、第3実施形態の熱処理装置1cの全体構成を示す図である。図5において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第3実施形態の熱処理装置1cが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、親水化処理部22および撥水化処理部23を備える点である。
親水化処理部22および撥水化処理部23は、搬送部10による基材5の搬送方向に沿って吐出ヘッド20よりも上流側に設けられている。親水化処理部22が最も上流側に設けられ、親水化処理部22と吐出ヘッド20との間に撥水化処理部23が設けられている。
親水化処理部22は、基材5に表面改質を行って親水性を付与する。親水化処理部22は、例えばプラズマ処理や紫外線照射によって基材5の表面に親水性を付与する。或いは、親水化処理部22は、コロナ放電処理によって基材5の表面に親水性を付与するようにしても良い。
撥水化処理部23は、基材5の表面に撥水性材料を塗布して撥水性を付与する。撥水化処理部23は、例えばフッ素コート剤を基材5の表面に塗布して撥水性を付与する。撥水性材料としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を使用するようにしても良い。
第3実施形態において処理を行うときには、基材5のうちの少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に親水化処理部22が親水化処理を施して親水性を付与する。具体的には、例えば、基材5の表面のうちの供給領域以外をマスクしてプラズマ処理などを施すことによって当該供給領域を改質して親水性を付与する。
続いて、親水性が付与された供給領域の周囲に撥水化処理部23が撥水化処理を施して当該供給領域を撥水性領域で取り囲む。具体的には、例えば、基材5の表面のうちの供給領域をマスクして撥水性材料の塗布処理を行うことによって当該供給領域を撥水性領域で取り囲む。
図6は、親水化処理および撥水化処理が施された基材5の平面図である。基材5の表面の一部には機能層7が形成されている。機能層7が形成されていない基材5の表面領域(昇温不要領域)のうちの一部が供給領域3である。第3実施形態では、親水化処理部22によって供給領域3に親水性が付与され、その周囲に撥水化処理部23が撥水化処理を施して供給領域3を撥水性領域6で取り囲んでいる。
このような供給領域3に、吐出ヘッド20から純水の液滴を供給すると、その液滴は供給領域3に留まって容易には撥水性領域6に流入しない。従って、搬送部10によって基材5が搬送されたときにも液滴の流動を防止することができ、流動した液滴が機能層7に接触することによる不具合を未然に防止することができる。
親水化処理および撥水化処理を除く第3実施形態の残余の構成および処理動作については第1実施形態と同様である。第3実施形態のようにしても、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材5の昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材5にダメージを与えることなく基材5に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
また、第3実施形態においては、表面改質によって液滴が供給領域の外に流れ出ることを防いでいるため、液滴が流動して機能層7に接触することに起因した不具合を防止することができる。なお、第3実施形態では、親水化処理および撥水化処理の双方を行うようにしていたが、いずれか一方の処理のみによっても純水の液滴が供給領域の外に流れ出ることを防止することができる。もっとも、親水化処理および撥水化処理の双方を行った方がより確実に液滴の流動を抑制することが可能となる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図7は、第4実施形態の熱処理装置1dの全体構成を示す図である。図7において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第4実施形態の熱処理装置1dが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、純水の液滴が付着した基材5を冷却する冷却部30を備える点である。
冷却部30は、搬送部10による基材5の搬送方向に沿って吐出ヘッド20と照射部50との間に設けられている。冷却部30は、その内部を通過する基材5を0℃未満(氷点下)にまで冷却する。冷却部30としては、例えばヒートポンプを使用した公知の冷凍機を用いることができる。
第4実施形態においては、吐出ヘッド20から供給された純水の液滴が供給領域に付着した基材5が冷却部30を通過するときに0℃未満にまで冷却され、純水の液滴が凝固する。すなわち、純水の液滴が固相の氷となる。供給領域に氷が付着した基材5にフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射すると、機能層7は目標処理温度にまで昇温する一方、昇温抑制領域を含む供給領域の昇温は著しく抑制される。フラッシュ光照射時に基材5の供給領域においては、まず氷が融解して水になるときの融解熱が吸収され、さらに水が蒸発するときの蒸発熱が吸収される。従って、基材5の供給領域の温度は確実に耐熱温度以下に抑制されることとなる。
冷却部30による液滴の凝固を除く第4実施形態の残余の構成および処理動作については第1実施形態と同様である。第4実施形態のようにしても、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材5の昇温抑制領域では氷が融解するときに融解熱を吸収するために昇温は著しく抑制される。その結果、基材5にダメージを与えることなく基材5に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図8は、第5実施形態の熱処理装置1eの全体構成を示す図である。図8において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第5実施形態の熱処理装置1eが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、液滴が付着した基材5を加熱する加熱部31を備える点である。
第5実施形態では、パラジクロロベンゼンをアルコールに溶解した溶液を含む液体を吐出ヘッド20に供給する。吐出ヘッド20は、その溶液の液滴を生成して基材5の供給領域に供給する。
加熱部31は、搬送部10による基材5の搬送方向に沿って吐出ヘッド20と照射部50との間に設けられている。加熱部31は、その内部を通過する基材5を加熱し、供給領域に付着した溶液の液滴からアルコールを蒸発させて除去する。基材5の供給領域に付着した溶液から溶媒であるアルコールが除去されることによって、供給領域には溶質であるパラジクロロベンゼンが析出することとなる。加熱部31としては、例えば公知の熱風乾燥炉を用いることができる。
第5実施形態においては、吐出ヘッド20から供給された溶液の液滴が供給領域に付着した基材5が加熱部31を通過するときに、溶液から溶媒であるアルコールが除去されて供給領域に溶質であるパラジクロロベンゼンが析出する。パラジクロロベンゼンは常温で昇華性を有する固相の物質である。すなわち、パラジクロロベンゼンの昇華点は、機能層7の昇温目標温度よりも低く、かつ、基材5に熱損傷が生じる温度よりも低い。そして、パラジクロロベンゼンが昇華により固相から直接に気相に相転移するときには基材5の供給領域から昇華熱を吸収する。
供給領域に固相のパラジクロロベンゼンが析出した基材5にフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射すると、機能層7は目標処理温度にまで昇温する一方、昇温抑制領域を含む供給領域ではパラジクロロベンゼンが昇華するときの昇華熱を吸収することによって昇温が抑制される。従って、基材5の供給領域の温度は耐熱温度以下に抑制されることとなる。
吐出ヘッド20から供給する溶液および加熱部31による析出を除く第5実施形態の残余の構成および処理動作については第1実施形態と同様である。第5実施形態のようにしても、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材5の昇温抑制領域ではパラジクロロベンゼンが昇華するときに昇華熱を吸収するために昇温は抑制される。その結果、基材5にダメージを与えることなく基材5に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図9は、第6実施形態の熱処理装置1fの全体構成を示す図である。図9において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第6実施形態の熱処理装置1fが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、吐出ヘッド20に代えて転写部60を備えている点である。
転写部60は、版胴61および供給ローラ62を備える。版胴61は、円筒形状のドラムであり、その軸方向に沿った長さは基材5の幅と略同じである。版胴61は、図示を省略する回転駆動機構によって円筒の中心軸の周りで回転される。版胴61の外周面には刷版63が装着される。刷版63は、例えばアルミニウムの板状部材であり、その表面には基材5の供給領域に対応したパターンが形成されている。刷版63としては、凸版、凹版、孔版、平版のいずれであっても良い。
供給ローラ62は、円筒形状のドラムであり、その軸方向に沿った長さは版胴61と同じである。供給ローラ62の外周面には、図外の純水供給源から純水が均一に供給される。その供給ローラ62が版胴61に装着された刷版63に接触することによって、刷版63のパターンに純水がインクとして選択的に載せられる。そして、版胴61が基材5の搬送と同期して回転しつつ、刷版63を基材5の表面に当接させることによって、刷版63に載せられた純水が基材5の供給領域に転写されることとなる。
基材5への純水供給態様を除く第6実施形態の残余の構成および処理動作については第1実施形態と同様である。第6実施形態では、版胴61および供給ローラ62を用いたいわゆる印刷技術の手法によって基材5の供給領域に純水を選択的に供給している。純水が供給された基材5には照射部50のフラッシュランプFLからフラッシュ光が照射される。第6実施形態のようにしても、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材5の昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材5にダメージが生じるのを防止し、かつ基材5に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について説明する。図10は、第7実施形態の熱処理装置1gの全体構成を示す図である。図10において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第7実施形態の熱処理装置1gが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、エアーナイフ70を備えている点である。
エアーナイフ70は、搬送部10による基材5の搬送方向に沿って照射部50よりも下流側であって、その搬送される基材5の上方に設けられる。エアーナイフ70は、高圧で空気をカーテン状に吐出する。フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によっても基材5の供給領域に付着した純水が完全には蒸発せずに残留することがある。フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射処理の後、エアーナイフ70は、基材5の表面に高圧の空気をカーテン状に吹き付けることによってフラッシュ加熱後にもなお供給領域に残留している水分を吹き飛ばして除去する。
エアーナイフ70を備えてフラッシュ加熱後にも残留している水分を除去することを除く第7実施形態の残余の構成および処理動作については第1実施形態と同様である。第7実施形態のようにしても、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材5の昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材5にダメージが生じるのを防止し、かつ基材5に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
また、第7実施形態においては、エアーナイフ70によってフラッシュ加熱後にも残留している水分を除去しているため、そのような残留水分が機能層7と接触することによる不具合を防止することができる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態について説明する。図11は、第8実施形態の熱処理装置1hの全体構成を示す図である。図11において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第8実施形態の熱処理装置1hが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、吐出ヘッド20と照射部50との配置関係である。
第8実施形態においては、機能層7が形成された基材5の表面を下側に向けて搬送部10が基材5を搬送している。吐出ヘッド20は、第1実施形態と同様に、搬送部10によって搬送される基材5の上方に設けられる。一方、図11に示すように照射部50は、搬送部10による基材5の搬送方向に沿って吐出ヘッド20よりも下流側であって、その搬送される基材5の下方に設けられる。照射部50は、第1実施形態とは上下反転して設けられており、リフレクタ52が複数のフラッシュランプFLの下方を覆うように設けられている。第8実施形態の照射部50は、フラッシュランプFLから上方に向けてフラッシュ光を照射する。
第8実施形態では、搬送部10によって搬送される基材5の裏面の供給領域に吐出ヘッド20から純水の液滴を選択的に供給する。すなわち、機能層7が形成された基材5の表面とは反対側の裏面に純水の液滴を供給しているのである。このため、純水が機能層7と接触することによる不具合を確実に防止することができる。
裏面に純水の液滴が付着した基材5に対してフラッシュランプFLからフラッシュ光が照射される。フラッシュ光は基材5の下側から基材5の表面に照射される。基材5の表面に形成された機能層7はフラッシュ光を吸収して目標処理温度にまで昇温する。一方、基材5の供給領域もフラッシュ光を吸収して昇温するのであるが、当該供給領域には純水の液滴が付着しているために100℃を超えての昇温が抑制される。
基材5の裏面に純水の液滴を供給することを除く第8実施形態の残余の構成および処理動作については第1実施形態と同様である。第8実施形態のようにしても、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材5の昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材5にダメージが生じるのを防止し、かつ基材5に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
また、第8実施形態においては、機能層7が形成された基材5の表面とは反対側の裏面に純水の液滴を供給しているため、純水が機能層7と接触することによる不具合を防止することができる。もっとも、フラッシュ光は基材5の表面に照射されるため、第1実施形態のように基材5の表面に直接純水を供給した方が昇温抑制効果は高い。従って、基材5の膜厚が厚く、表面から裏面への熱伝導が生じにくい場合には、第1実施形態のように基材5の表面に直接純水を供給する方が好ましい。
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態について説明する。図12は、第9実施形態の熱処理装置1iの全体構成を示す図である。図12において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第9実施形態においては、純水を基材5とは異なるフィルムに供給し、そのフィルムを基材5の裏面に貼り合わせている。
第1実施形態と同様に、表面に機能層7が形成された基材5が搬送部10によって搬送される。搬送部10は、機能層7が形成された基材5の表面を上側に向けて搬送している。第9実施形態の熱処理装置1iは、フィルム送り出しローラ81および一対の貼り合わせローラ82を備える。フィルム送り出しローラ81は、樹脂の担持フィルム85を送り出す。担持フィルム85は、基材5と同じく、PENやPETなどの樹脂材料の帯状フィルムである。
第9実施形態においては、フィルム送り出しローラ81から送り出された担持フィルム85に吐出ヘッド20から純水の液滴が吐出される。吐出ヘッド20は、基材5の供給領域のパターン形状に従って純水の液滴を吐出する。そして、純水の液滴が付着した担持フィルム85と基材5とが一対の貼り合わせローラ82によって貼り合わせられる。
図13は、純水を担持した担持フィルム85が基材5に貼り合わされた状態を示す図である。一対の貼り合わせローラ82によって基材5の裏面に純水を担持した担持フィルム85を近接させて貼り合わせる。担持フィルム85には基材5の供給領域のパターン形状に従って純水の液滴が吐出されているため、担持フィルム85が基材5の裏面に近接して貼り合わされることによって、基材5の裏面の供給領域に純水88が選択的に接触して供給されることとなる。よって、第8実施形態と同様に、純水が機能層7と接触することによる不具合を防止することができる。
純水を担持した担持フィルム85が貼り合わされた基材5に対してフラッシュランプFLからフラッシュ光が照射される。基材5の表面に形成された機能層7はフラッシュ光を吸収して目標処理温度にまで昇温する。一方、基材5の供給領域もフラッシュ光を吸収して昇温するのであるが、当該供給領域には純水の液滴が接触しているために100℃を超えての昇温が抑制される。
担持フィルム85によって基材5の裏面に純水を供給することを除く第9実施形態の残余の構成および処理動作については第1実施形態と同様である。第9実施形態のようにしても、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材5の昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材5にダメージが生じるのを防止し、かつ基材5に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
また、第9実施形態においては、機能層7が形成された基材5の表面とは反対側の裏面に純水を供給しているため、純水が機能層7と接触することによる不具合を防止することができる。
<第10実施形態>
次に、本発明の第10実施形態について説明する。図14は、第10実施形態の熱処理装置1jの全体構成を示す図である。図14において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第10実施形態の熱処理装置1jが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、基材をロールトゥロール方式ではなく、シートごとに1枚ずつ搬送するいわゆる枚葉方式を採用している点である。
後述するように、第10実施形態では、シート状の基材500がステージ101上に載置され、そのステージ101によって基材500が搬送される。可撓性の高いシート状の基材500については、本実施形態の方式が好適である。
熱処理装置1jは、基材500を移動させる移動機構100、基材500に純水の水滴を供給する吐出ヘッド20、基材500にフラッシュ光を照射する照射部50、移動機構100に基材500を供給する供給部103、および、移動機構100から基材500を受け取る排出部104を備える。また、熱処理装置1jは、装置に設けられた各種動作機構を制御して処理を進行させる制御部9を備える。
移動機構100は、環状のガイド102を図14の紙面上で時計回りに回送させることによって、ガイド102に保持された複数のステージ101を循環搬送する。移動機構100が環状のガイド102を回走させる機構としては、例えばガイド102内に設けられた図示省略のベルトを駆動する公知のベルト駆動機構を用いることができる。複数のステージ101のそれぞれは、1枚のシート状の基材500を吸着保持する。
供給部103は、移動機構100によって搬送されるステージ101に1枚のシート状の基材500を供給する。供給部103からステージ101に渡されたシート状の基材500は、図14の紙面上右方向に吐出ヘッド20から照射部50へと向けて移動される。排出部104は、移動機構100によって搬送されるステージ101から処理後の基材500を受け取る。
基材500は、図3に示したのと同様の断面構造を有するシート状の基材である。すなわち、第10実施形態においても、シート状の基材500の表面の一部には機能層7が形成されるとともに、機能層7が形成されていない基材5の表面領域は、昇温すると熱損傷が生じるために昇温の抑制が必要な昇温抑制領域および熱損傷は生じないがプロセス的に昇温が不必要な領域を含む昇温不要領域とされている。
吐出ヘッド20は、シート状の基材500の少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に純水の微小液滴を供給する。そして、当該供給領域に選択的に水が供給された状態の基材500に対してフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射して機能層7を加熱している。フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材500の昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材500にダメージを与えることなく基材500に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
このように、ロールトゥロール方式ではなく、枚葉方式を採用し、長尺な基材5ではなく、複数枚のシート状の基材500に対しても本発明に係る技術によって熱処理を行うことができる。
<第11実施形態>
次に、本発明の第11実施形態について説明する。図15は、第11実施形態の熱処理装置1kの全体構成を示す図である。図15において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第11実施形態の熱処理装置1kが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、基材をロールトゥロール方式ではなく、シートごとに1枚ずつ搬送するいわゆる枚葉方式を採用している点である。
同じく枚葉方式を採用する第10実施形態ではシート状の基材500をステージ101に載置して搬送していたが、第11実施形態では、基材500の主面に直接当接するローラによってシート状の基材500を搬送している。ガラス基材等、剛性の高いシート状の基材500については、本実施形態の方式が好適である。
熱処理装置1kは、基材500を移動させる移動機構110、基材500に純水の水滴を供給する吐出ヘッド20、基材500にフラッシュ光を照射する照射部50、移動機構100に基材500を供給する供給部112、および、移動機構100から基材500を受け取る排出部113を備える。また、熱処理装置1kは、装置に設けられた各種動作機構を制御して処理を進行させる制御部9を備える。
移動機構110は、水平方向に沿って一列に列設された複数のローラ111およびそれらを回転駆動させる図示省略のローラ回転駆動機構(例えば、モータ)を備える。複数のローラ111のそれぞれは、吐出ヘッド20と対向する基材500の主面とは反対側の主面に当接する。移動機構100は、複数のローラ111を回転させることによって、シート状の基材500を水平方向に沿って搬送する。
供給部112は、移動機構110のローラ111にシート状の基材500を供給する。供給部112から供給されたシート状の基材500は、複数のローラ111の回転によって、図15の紙面上右方向に吐出ヘッド20から照射部50へと向けて移動される。排出部113は、移動機構110によって搬送される処理後の基材500を受け取る。
基材500は、図3に示したのと同様の断面構造を有するシート状の基材である。すなわち、第11実施形態においても、シート状の基材500の表面の一部には機能層7が形成されるとともに、機能層7が形成されていない基材5の表面領域は、昇温すると熱損傷が生じるために昇温の抑制が必要な昇温抑制領域および熱損傷は生じないがプロセス的に昇温が不必要な領域を含む昇温不要領域とされている。
吐出ヘッド20は、シート状の基材500の少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に純水の微小液滴を供給する。そして、当該供給領域に選択的に水が供給された状態の基材500に対してフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射して機能層7を加熱している。フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、基材500の昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材500にダメージを与えることなく基材500に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
このように、ロールトゥロール方式ではなく、枚葉方式を採用し、長尺な基材5ではなく、複数枚のシート状の基材500に対しても本発明に係る技術によって熱処理を行うことができる。
<第12実施形態>
次に、本発明の第12実施形態について説明する。図16は、第12実施形態の熱処理装置1lの全体構成を示す平面図である。図16において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付している。第12実施形態の熱処理装置1lが第1実施形態の熱処理装置1aと相違するのは、ロールトゥロール方式ではなく、ロボットによって基材を1枚ずつ各処理室に搬送して順次に処理を行うロボット搬送方式を採用している点である。それぞれの処理室では、基材に純水を供給する水供給工程、または、基材にフラッシュ光を照射するフラッシュ加熱工程が実行される。
後述するように、第12実施形態では、ロボットアームによって基材が1枚ずつ処理室に搬送され、各処理室では水供給工程とフラッシュ加熱工程とが個別に独立して行われるため、両工程のタクトタイムが大幅に異なる場合であっても対応可能である。また、ガラス基材等、剛性の高い板状の基材500については、本実施形態の方式が好適である。
熱処理装置1lは、未処理の基材500を供給する供給部122、純水供給処理を行うための水供給処理室123、フラッシュ加熱処理を行うためのフラッシュ加熱処理室124、処理後の基材500を受け取る排出部125およびそれらの各処理室に対して基材500を搬入出するロボットアーム121を備える。また、熱処理装置1lは、装置に設けられた各種動作機構を制御して処理を進行させる制御部9を備える。
供給部122は、複数枚の未処理の基材500を多段に収納する棚を備える。同様に、排出部125は、複数枚の処理後の基材500を多段に収納する棚を備える。
水供給処理室123内には、基材500を載置する載置台(図示省略)と、当該載置台に載置された基材500に純水の水滴を供給する吐出ヘッド20とが設けられている。吐出ヘッド20は、図示省略の移動機構によって図16中の矢印126に示す方向に沿って前後にスライド移動可能とされている。これにより、載置台に載置された基材500の全面に対して吐出ヘッド20から純水の水滴を供給することができる。
フラッシュ加熱処理室124内には、基材500を載置する載置台(図示省略)と、当該載置台に載置された基材500にフラッシュ光を照射する照射部50とが設けられてる。照射部50は、複数本のフラッシュランプFLと、それら全体の上方を覆うように設けられた図示省略のリフレクタと、を備える。
ロボットアーム121は、図16に示すように、供給部122、排出部125、水供給処理室123およびフラッシュ加熱処理室124の中央に配置される。ロボットアーム121は、昇降移動、旋回動作、および、旋回半径方向に沿った進退移動が可能とされており、供給部122、排出部125、水供給処理室123およびフラッシュ加熱処理室124に対して個別に基材500を搬入出する。
基材500は、図3に示したのと同様の断面構造を有するシート状の基材である。すなわち、第12実施形態においても、シート状の基材500の表面の一部には機能層7が形成されるとともに、機能層7が形成されていない基材5の表面領域は、昇温すると熱損傷が生じるために昇温の抑制が必要な昇温抑制領域および熱損傷は生じないがプロセス的に昇温が不必要な領域を含む昇温不要領域とされている。
第12実施形態における処理手順では、まずロボットアーム121が供給部122から未処理の基材500を取り出して水供給処理室123に搬入する。水供給処理室123内の載置台に載置された基材500に対して、吐出ヘッド20が移動しつつ純水の微小液滴を供給する。このとき、吐出ヘッド20は、基材500の少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に純水の微小液滴を供給する。
次に、ロボットアーム121が水供給処理室123から基材500を搬出してフラッシュ加熱処理室124に搬入する。フラッシュ加熱処理室124内の載置台に載置された基材500に対して、フラッシュランプFLからフラッシュ光を照射して機能層7を加熱する。
その後、ロボットアーム121がフラッシュ加熱処理室124から基材500を搬出して排出部125に収納する。以上のようにして、第12実施形態での一連の処理が完了する。
第12実施形態においても、基材500の少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に純水の微小液滴が供給された状態でフラッシュ光が照射されるため、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材500にダメージを与えることなく基材500に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
このように、ロールトゥロール方式ではなく、ロボット搬送方式を採用し、板状の基材500に対しても本発明に係る技術によって熱処理を行うことができる。
<第13実施形態>
次に、本発明の第13実施形態について説明する。図17は、第13実施形態の熱処理装置1mの外観斜視図である。この熱処理装置1mは、板状の基材500上にインクジェット方式にて純水の供給を行い、次いでフラッシュ光による加熱を行うものである。基材500は、可塑性の有無を問わず、板状またはシート状の基材であれば採用可能である。
熱処理装置1mは、本体200および制御部9を備える。本体200は、基材500に平行なY方向(以下、「主走査方向」ともいう)に基材500を移動させる移動機構130、移動される基材500に向けて純水の微小液滴を吐出する吐出ヘッド201、および、吐出ヘッド201にフラッシュ光を導入する光源部202を備える。制御部9は、移動機構130、吐出ヘッド201および光源部202を制御する。
移動機構130は、ステージ133および基台131に収容されたステージ133の駆動機構を備える。ステージ133上には基材500が保持される。移動機構130は、当該駆動機構によってステージ133をY方向に沿って移動させる。基台131に対するステージ133のY方向位置は、基台131上に設置された位置検出モジュール132によって検出される。
吐出ヘッド201も移動機構204により、基材500に平行かつY方向に垂直なX方向(以下、「副走査方向」ともいう)に移動可能とされる。光源部202はフラッシュランプを内蔵する。そのフラッシュランプから放射されたフラッシュ光は、複数の光ファイバーが束ねられた導光線203を介して光源部202から吐出ヘッド201の内部へと導かれる。なお、フラッシュ光照射の形態はこれに限定されるものではなく、例えば吐出ヘッド201自体にフラッシュランプを設け、当該フラッシュランプから直接基材500にフラッシュ光を照射する形態としても良い。
図18は、吐出ヘッド201の底面図である。図18に示すように、吐出ヘッド201の底面には、千鳥状に配置された複数のヘッド211、および、光源部202から導かれたフラッシュ光を基材500に向けて照射する照射部213が設けられる。各ヘッド211には、純水の微小液滴を吐出する複数の吐出口212がX方向に沿って一列に配置される。これにより、吐出ヘッド201全体では副走査方向に複数の吐出口212が一定のピッチで配列されることとなり、基材500上における主走査方向の各位置にて副走査方向の任意の位置に純水の微小液滴を供給することができる。
基材500は、図3に示したのと同様の断面構造を有する板状の基材である。すなわち、第13実施形態においても、基材500の表面の一部には機能層7が形成されるとともに、機能層7が形成されていない基材5の表面領域は、昇温すると熱損傷が生じるために昇温の抑制が必要な昇温抑制領域および熱損傷は生じないがプロセス的に昇温が不必要な領域を含む昇温不要領域とされている。
第13実施形態における処理手順では、吐出ヘッド201に対してステージ133に保持された基材500を主走査方向に沿って(−Y)向きに移動させつつ、吐出口212から純水の微小液滴を基材500の少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に供給し、その後、基材500に対して照射部213からフラッシュ光を照射して機能層7を加熱する。また、基材500の主走査方向に沿った移動が繰り返される毎に吐出ヘッド201が副走査方向に沿って移動する。すなわち、移動機構130および移動機構204は、吐出ヘッド201からの純水の吐出に並行して吐出ヘッド201を基材500に対して相対的に移動させる機構である。
第13実施形態においても、基材500の少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に純水の微小液滴が供給された状態でフラッシュ光が照射されるため、フラッシュ光照射によって機能層7は昇温目標温度にまで昇温される一方、昇温抑制領域では水が蒸発するときに蒸発熱を吸収するために水の沸点を超えての昇温は抑制される。その結果、基材500にダメージを与えることなく基材500に形成された機能層7を目標温度にまで昇温することができる。
<総括>
以上、本発明の第1実施形態から第13実施形態について説明したが、これらを集約すると本発明に係る熱処理技術は、加熱対象物である機能層7の昇温目標温度よりも低い温度にて相転移する相転移物質を、少なくとも基材5のうちの昇温の抑制が必要な昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に供給し、その相転移物質が付着した基材5にフラッシュ光を照射して加熱対象物を加熱するものである。
供給領域に選択的に供給する相転移物質は、液相または固相のものである。本発明に係る技術における「相転移」とは、物質の三態(固相、液相、気相)の間の状態変化であり、相転移物質が液相であれば気相に変化する「蒸発」であり、相転移物質が固相であれば液相に変化する「融解」または気相に変化する「昇華」である。そして、相転移の転移温度(相転移が蒸発であれば沸点、融解であれば融点、昇華であれば昇華点)が加熱対象物の昇温目標温度よりも低い相転移物質を基材5の少なくとも昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に供給する。好ましくは、転移温度が基材5に熱損傷が生じる温度よりも低い相転移物質を供給領域に選択的に供給する。
このような相転移物質を供給領域に選択的に供給した基材5にフラッシュ光を照射して加熱対象物を加熱すると、相転移物質と接触していない加熱対象物は所定の昇温目標温度にまで昇温される。その一方、昇温抑制領域を含む供給領域が昇温しようとすると、供給領域に供給された相転移物質が相転移し、そのときに当該供給領域から潜熱(相転移が蒸発であれば蒸発熱、融解であれば融解熱、昇華であれば昇華熱)を吸収するために、少なくとも相転移物質が残留している間は供給領域は転移温度を超えての昇温が抑制される。その結果、昇温抑制領域を含む供給領域の昇温が抑制され、基材5にダメージが生じるのを防止でき、かつ基材5に形成された加熱対象物を目標温度にまで昇温することができる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。第1実施形態等においては、液相の相転移物質である水に蒸発熱を吸収させて基材5の供給領域の昇温を抑制していたが、水に代えてイソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、アセトン等の液相の相転移物質を使用することができる。液相の相転移物質は、沸点が加熱対象物の昇温目標温度よりも低いものであれば良く、好ましくは基材5に熱損傷が生じる温度よりも低いものである。また、液相の相転移物質としては、基材5や加熱対象物である機能層7に影響を与えにくく、蒸発しても環境に負荷を与えない物質が望ましい。
液相の相転移物質は、供給領域のパターン形状が複雑であってもインクジェットによる塗布(第1実施形態)や印刷技術(第6実施形態)によって容易に基材5の供給領域に供給することができる。また、液相の相転移物質は、供給領域との密着性が良好であり、比較的潜熱も大きいため、昇温抑制領域を含む供給領域の昇温を抑制する物質として好適である。
第4実施形態においては、相転移物質を含む液体を基材5の供給領域に供給し、その相転移物質を凝固させることによって最終的には固相の相転移物質を供給領域に付着させている。第4実施形態においても、水に代えて冷却によって凝固する相転移物質を用いるようにしても良い。
第5実施形態においては、相転移物質を溶媒に溶解した溶液を含む液体を基材5の供給領域に供給し、その液体を加熱することによって溶質である固相の相転移物質を供給領域に析出させている。第5実施形態では、パラジクロロベンゼンをアルコールに溶解した溶液を用いていたが、これに代えてナフタレンをアルコールに溶解した溶液を用いるようにしても良い。ナフタレンも昇華性を有する固相の相転移物質であるため、パラジクロロベンゼンと同様に固相から気相に相転移するときに基材5の供給領域から昇華熱を吸収する。
また、第6実施形態においては、刷版63を使用した印刷技術によって液相の相転移物質である水を基材5の供給領域に転写していたが、第6実施形態のような印刷技術を用いれば、固相の相転移物質を固体の状態で基材5の供給領域に供給することもできる。例えば、パラジクロロベンゼンの粉体を刷版63のパターンに付着させ、その刷版63を版胴61が基材5の表面に当接させることによって固相の相転移物質であるパラジクロロベンゼンを基材5の供給領域に転写する。このようにしても、第5実施形態にてパラジクロロベンゼンを供給領域に析出させたのと同様に、フラッシュ光照射時にパラジクロロベンゼンが供給領域から昇華熱を吸収することによって当該供給領域の昇温を抑制することができる。
相転移物質を含む固体を基材5の供給領域に供給する手法は第6実施形態のような印刷技術に限定されるものではなく、他の手法であっても良い。また、固相の相転移物質としては、パラジクロロベンゼンに代えてナフタレン、氷、ドライアイス等を使用することができる。昇華性を有するナフタレン、ドライアイスは、フラッシュ光照射時に基材5の供給領域から昇華熱を吸収する。氷は、フラッシュ光照射時に融解して水になり、基材5の供給領域から融解熱を吸収する。さらに、相転移物質を含む固体は粉体での供給に限定されるものではなく、有形の固形物として供給しても良い。
固相の相転移物質として氷を使用する場合には、氷が融解して水になったときの流動を防止するために、水の粘性を高める増粘剤を氷に添加することが好ましい。このような増粘剤としては、第2実施形態と同じく、ポリビニルアルコール(PVA)、グリセリン、ゲル化剤などを用いることができる。
また、インクジェットによる塗布と印刷技術とを併用するようにしても良い。すなわち、刷版63によって所定パターンの相転移物質を基材5の供給領域に転写した後、吐出ヘッド20からの相転移物質の吐出供給によって供給領域の形状を微調整するようにしても良い。
また、第7実施形態においては、エアーナイフ70からの空気吹き付けによってフラッシュ加熱後にも供給領域に残留している水分を除去するようにしていたが、残留している相転移物質の除去は空気吹き付けに限定されるものはなく他の手法によっても良い。例えば、相転移物質が水、アルコール、ドライアイスのように加熱することによって蒸発または昇華するものであれば、フラッシュ光照射後に加熱工程を設けて相転移物質を除去するようにしても良い。或いは、基材5の供給領域に付着している相転移物質が空気吹き付けだけでは除去できないような場合(例えば、第2実施形態のように増粘剤を添加している場合)には、フラッシュ光照射後に洗浄工程を設け、洗浄処理によって供給領域に付着している相転移物質を除去するようにしても良い。
また、上記各実施形態においては、PENまたはPETの基材5に銀のナノインクの機能層7を形成したものにフラッシュ光を照射していたが、これに限定されるものではなく、種々のバリエーションが可能である。例えば、基材5としては、ポリイミドやポリカーボネートなどの他の樹脂材料を用いるようにしても良い。これらの樹脂材料も柔軟であるため、送り出しローラ11から巻き取りローラ12へロールトゥロール方式にて基材5を搬送することができる。
また、基材5は、樹脂材料に限定されるものではなく、金属箔であっても良い。金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔、ステンレススチールの箔などを用いることができる。一般に、金属材料は樹脂材料に比較すると柔軟性に欠けるが、厚さが十分に薄い箔であれば、送り出しローラ11および巻き取りローラ12に巻き取ることが可能であり、ロールトゥロール方式にて搬送することができる。さらに、基材5は、柔軟性を有するガラス基板(いわゆるフレキシブルガラス)であっても良い。このようなフレキシブルガラスは、ローラ径などの条件によっては、ロールトゥロール方式で搬送することができる。
また、基材5に形成する機能層7も銀のナノインクに限定されるものではなく、銅などの他の金属のナノインク(またはナノワイヤ)であっても良い。或いは、機能層7は、アモルファスシリコン、IGZO(酸化物半導体)、ITO(酸化インジウムスズ)などであっても良い。
また、第10実施形態から第13実施形態は、第1実施形態における純水供給およびフラッシュ加熱を第1実施形態とは異なる搬送方式で実現する形態を示している。しかし、第10実施形態から第13実施形態の搬送方式は、第1実施形態の吐出ヘッドを用いた純水供給に限定されるものではなく、吐出ヘッドに代えて、例えば第6実施形態のような版胴を用いた転写に適用することもできる。また、第10実施形態から第13実施形態においても、冷却部(第4実施形態)を設けて供給した液体を凝固させるようにしても良いし、増粘剤添加部(第2実施形態)や、親水化処理部、撥水化処理部(第3実施形態)を設けても良い。
また、上記各実施形態において、フラッシュランプFLは、キセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。さらに、照射部50は、フラッシュランプFLに代えてハロゲンランプから基材5に光を照射して機能層7を加熱するようにしても良い。
本発明に係る熱処理装置および熱処理方法は、耐熱性に乏しい基材上に加熱対象物を形成した種々の被処理体に適用することができ、特に電子ペーパーなどに用いられるフレキシブルデバイス、フレキシブルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ(FPD)、電子機器、太陽電池、燃料電池、半導体デバイスなどに好適に利用することができる。
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,1l,1m 熱処理装置
3 供給領域
5,500 基材
6 撥水性領域
7 機能層
9 制御部
10 搬送部
11 送り出しローラ
12 巻き取りローラ
20,201 吐出ヘッド
21 増粘剤添加部
22 親水化処理部
23 撥水化処理部
30 冷却部
31 加熱部
50 照射部
52 リフレクタ
60 転写部
61 版胴
62 供給ローラ
63 刷版
70 エアーナイフ
85 担持フィルム
100,110,130 移動機構
103,112,122 供給部
104,113,125 排出部
121 ロボットアーム
123 水供給処理室
124 フラッシュ加熱処理室
202 光源部
FL フラッシュランプ

Claims (26)

  1. 加熱対象物が形成された基材に光を照射することによって当該加熱対象物を昇温する熱処理方法であって、
    前記加熱対象物の昇温目標温度よりも低い温度にて相転移する相転移物質を、少なくとも前記基材のうちの昇温の抑制が必要な昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に供給する供給工程と、
    前記相転移物質が付着した基材に光を照射して前記加熱対象物を加熱するとともに、前記相転移物質を相転移させる加熱工程と、
    を備え
    前記相転移物質の転移温度は、基材に熱損傷が生じる温度よりも低く、
    前記供給領域は、前記基材上に形成された前記加熱対象物以外の領域であることを特徴とする熱処理方法。
  2. 請求項1記載の熱処理方法において、
    前記加熱工程では、基材にフラッシュ光を照射することを特徴とする熱処理方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の熱処理方法において、
    前記供給工程では、前記相転移物質を含む液体を前記基材に供給することを特徴とする熱処理方法。
  4. 請求項3記載の熱処理方法において、
    前記相転移物質を含む液体に当該液体の粘性を高める増粘剤を添加する工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  5. 請求項3記載の熱処理方法において、
    前記供給領域に親水化処理を施して親水性を付与する工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  6. 請求項5記載の熱処理方法において、
    前記供給領域の周囲に撥水化処理を施して前記供給領域を撥水性領域で取り囲む工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  7. 請求項3から請求項6のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記供給工程では、液相の前記相転移物質を含む液体を前記基材に供給することを特徴とする熱処理方法。
  8. 請求項7記載の熱処理方法において、
    前記基材に供給された液相の前記相転移物質を凝固させる工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  9. 請求項3から請求項6のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記供給工程では、前記相転移物質を溶媒に溶解した溶液を含む液体を前記基材に供給することを特徴とする熱処理方法。
  10. 請求項9記載の熱処理方法において、
    前記加熱工程より前に、前記基材に供給された溶液から溶媒を除去し、前記相転移物質を前記供給領域に析出させる析出工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  11. 請求項3から請求項10のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記供給工程では、液滴を吐出するノズルから前記供給領域に前記相転移物質を含む液体を吐出することを特徴とする熱処理方法。
  12. 請求項1または請求項2に記載の熱処理方法において、
    前記供給工程では、前記相転移物質を含む固体を前記基材に供給することを特徴とする熱処理方法。
  13. 請求項12記載の熱処理方法において、
    前記供給工程では、固相の前記相転移物質を含む固体を前記基材に供給することを特徴とする熱処理方法。
  14. 請求項12または請求項13に記載の熱処理方法において、
    前記相転移物質を含む固体が融解したときに生じる液体の粘性を高める増粘剤を前記固体に添加する工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  15. 請求項1から請求項14のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記供給工程は、
    前記供給領域に対応するパターンに選択的に前記相転移物質が付着する刷版に対して前記相転移物質を供給する工程と、
    前記刷版に付着した前記相転移物質を前記基材の前記供給領域に転写する工程と、
    を含むことを特徴とする熱処理方法。
  16. 請求項1から請求項15のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記加熱工程の後に、前記基材に残留している前記相転移物質を除去する除去工程をさらに備えることを特徴とする熱処理方法。
  17. 請求項1から請求項16のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記供給工程では、前記加熱対象物が形成された前記基材の第1面とは反対側の第2面に前記相転移物質を供給することを特徴とする熱処理方法。
  18. 請求項17記載の熱処理方法において、
    前記供給工程では、前記相転移物質を担持した担持部材を前記第2面に近接させて前記相転移物質を前記供給領域に供給することを特徴とする熱処理方法。
  19. 請求項1から請求項18のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記相転移物質は水であることを特徴とする熱処理方法。
  20. 請求項1から請求項19のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記基材は長尺であることを特徴とする熱処理方法。
  21. 請求項1から請求項19のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記基材は板状またはシート状であることを特徴とする熱処理方法。
  22. 加熱対象物が形成された基材に光を照射することによって当該加熱対象物を昇温する熱処理装置であって、
    第1ローラから送り出された基材を第2ローラで巻き取ることによって基材を搬送する搬送部と、
    前記加熱対象物の昇温目標温度よりも低い温度にて相転移する相転移物質を、少なくとも前記基材のうちの昇温の抑制が必要な昇温抑制領域を含む供給領域に選択的に供給する供給部と、
    前記相転移物質が付着した基材に光を照射して前記加熱対象物を加熱するとともに、前記相転移物質を相転移させる加熱部と、
    を備え
    前記相転移物質の転移温度は、基材に熱損傷が生じる温度よりも低く、
    前記供給領域は、前記基材上に形成された前記加熱対象物以外の領域であることを特徴とする熱処理装置。
  23. 請求項22記載の熱処理装置において、
    前記加熱部は、基材にフラッシュ光を照射するフラッシュランプを有することを特徴とする熱処理装置。
  24. 請求項22または請求項23に記載の熱処理装置において、
    前記供給部は、前記供給領域に前記相転移物質を含む液体の液滴を吐出するノズルを有することを特徴とする熱処理装置。
  25. 請求項22から請求項24のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記供給部は、前記供給領域に対応するパターンに選択的に前記相転移物質が着した刷版を前記基材に当接させて前記相転移物質を前記供給領域に転写する版胴を有することを特徴とする熱処理装置。
  26. 請求項22から請求項25のいずれかに記載の熱処理装置において、
    加熱後の前記基材に残留している前記相転移物質を除去する除去部をさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
JP2014237292A 2014-03-04 2014-11-25 熱処理方法および熱処理装置 Active JP6373738B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014237292A JP6373738B2 (ja) 2014-03-04 2014-11-25 熱処理方法および熱処理装置
CN201510076277.7A CN104900517B (zh) 2014-03-04 2015-02-12 热处理方法及热处理装置
TW104105453A TWI608872B (zh) 2014-03-04 2015-02-17 熱處理方法及熱處理裝置
KR1020150029679A KR101717342B1 (ko) 2014-03-04 2015-03-03 열 처리 방법 및 열 처리 장치

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014041468 2014-03-04
JP2014041468 2014-03-04
JP2014237292A JP6373738B2 (ja) 2014-03-04 2014-11-25 熱処理方法および熱処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015180488A JP2015180488A (ja) 2015-10-15
JP6373738B2 true JP6373738B2 (ja) 2018-08-15

Family

ID=54329022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014237292A Active JP6373738B2 (ja) 2014-03-04 2014-11-25 熱処理方法および熱処理装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6373738B2 (ja)
TW (1) TWI608872B (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6963536B2 (ja) * 2018-06-20 2021-11-10 株式会社Screenホールディングス 熱処理装置および熱処理装置の雰囲気置換方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3625707B2 (ja) * 1999-08-06 2005-03-02 大日本スクリーン製造株式会社 基板現像装置および基板現像方法
JP2011515833A (ja) * 2008-02-29 2011-05-19 ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク 薄膜のためのフラッシュ光アニーリング
JP2010146757A (ja) * 2008-12-16 2010-07-01 Hitachi Maxell Ltd 透明導電性シートの製造方法
JP4983811B2 (ja) * 2009-01-09 2012-07-25 日立電線株式会社 導電性回路形成方法および導電回路装置
US8850492B2 (en) * 2011-07-15 2014-09-30 Blackberry Limited Method, system and apparatus for delivering data to a mobile electronic device
JP5951209B2 (ja) * 2011-09-26 2016-07-13 株式会社Screenホールディングス 熱処理方法
US9073300B2 (en) * 2012-05-21 2015-07-07 Xerox Corporation Imaging apparatus, systems, and methods useful in ink-based digital printing
JP2014027252A (ja) * 2012-06-19 2014-02-06 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 熱処理装置および熱処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
TW201535526A (zh) 2015-09-16
JP2015180488A (ja) 2015-10-15
TWI608872B (zh) 2017-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1633518A (zh) 电路制作用的孔眼掩模
US20120260947A1 (en) Substrate cleaning apparatus, substrate cleaning method, and computer-readable recording medium having substrate cleaning program recorded therein
JP6761860B2 (ja) 塗布処理装置、塗布処理方法及びコンピュータ記憶媒体
TWI494174B (zh) 基板表面處理設備
JP2018098318A (ja) ウェーハの加工方法
US7399688B2 (en) Identification code drawing method, substrate, display module, and electronic apparatus
US20040082183A1 (en) Pattern forming method and apparatus, and device fabrication method and device
Lesyuk et al. Low-energy pulsed laser treatment of silver nanoparticles for interconnects fabrication by ink-jet method
US20130084404A1 (en) Apparatuses and methods for treating substrate
JPWO2019082354A1 (ja) フレキシブルoledデバイスの製造方法および製造装置
JP6373738B2 (ja) 熱処理方法および熱処理装置
ES2939243T3 (es) Procedimiento y dispositivo para producir un contacto eléctricamente conductor asistido por láser de la superficie de un objeto
JP2010010549A (ja) 薄膜トランジスタの製造方法及び薄膜トランジスタ
JP2009071037A (ja) 導電膜パターンの形成方法
JP2011190318A (ja) 表面処理方法
KR20130035841A (ko) 기판처리장치 및 기판처리방법
KR20170058182A (ko) 연기 제거를 위한 경사 이송부를 구비한 광 소결장치
KR101717342B1 (ko) 열 처리 방법 및 열 처리 장치
JP4273871B2 (ja) 配線パターンの形成方法、半導体装置の製造方法、電気光学装置及び電子機器
JP2007208009A (ja) 有機薄膜トランジスタの製造方法および製造装置
JP6119762B2 (ja) 薄膜形成装置及び薄膜形成方法
JP2006066373A (ja) 有機電界発光表示装置及びドナー基板の製造方法
JP3998974B2 (ja) 回路基板のパターニング方法
JP2010043795A (ja) 連続雰囲気炉
CN110192073B (zh) 薄片状非渗透性基材的表面干燥装置和印刷装置及印刷方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170626

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180328

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180530

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180710

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6373738

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250