以下、本発明に係る建設機械を実施するための形態を図に基づいて説明する。
[第1実施形態]
本発明に係る建設機械の第1実施形態は、例えば、図1に示す油圧ショベル1から構成されている。この油圧ショベル1は、車体の下部に配置され、左右に無端状に巻き掛けられた履帯2Aが回動することで走行する走行体2と、この走行体2上に旋回フレーム5を介して旋回可能に設けられた旋回体3と、これらの走行体2と旋回体3との間に介在され、旋回体3を旋回させる旋回装置3Aと、旋回体3の前方に取り付けられ、上下方向に回動して掘削等の作業を行う作業装置としてのフロント作業機4とを備えている。
旋回装置3Aは、図2に示すように、旋回体3を駆動する旋回油圧モータ3aと、この旋回油圧モータ3aに設けられ、旋回体3の旋回角を検出する角度センサ3a1と、旋回油圧モータ3aの右旋回圧力を検出する右旋回圧力センサ3a2と、旋回油圧モータ3aの左旋回圧力を検出する左旋回圧力センサ3a3とを有している。
図1において、フロント作業機4は、基端が旋回フレーム5に回動可能に取り付けられ、上下方向に回動するブーム4Aと、このブーム4Aの先端に回動可能に取り付けられたアーム4Bと、このアーム4Bの先端に回動可能に取り付けられたバケット4Cとを有している。また、フロント作業機4は、旋回体3とブーム4Aとを接続し、伸縮することによってブーム4Aを回動させるブームシリンダ4aと、ブーム4Aとアーム4Bとを接続し、伸縮することによってアーム4Bを回動させるアームシリンダ4bと、アーム4Bとバケット4Cとを接続し、伸縮することによってバケット4Cを回動させるバケットシリンダ4cとを有している。
また、図2において、フロント作業機4は、ブームシリンダ4aに設けられ、旋回体3とブーム4Aとの回動角を検出する角度センサ4a1と、ブームシリンダ4aのボトム圧力を検出するボトム圧力センサ4a2と、ブームシリンダ4aのロッド圧力を検出するロッド圧力センサ4a3と、アームシリンダ4bに設けられ、ブーム4Aとアーム4Bとの回動角を検出する角度センサ4b1と、アームシリンダ4bのボトム圧力を検出するボトム圧力センサ4b2と、アームシリンダ4bのロッド圧力を検出するロッド圧力センサ4b3と、バケットシリンダ4cに設けられ、アーム4Bとバケット4Cとの回動角を検出する角度センサ4c1と、バケットシリンダ4cのボトム圧力を検出するボトム圧力センサ4c2と、バケットシリンダ4cのロッド圧力を検出するロッド圧力センサ4c3とを有している。
図1において、旋回体3は、車体の前部に配置され、オペレータが搭乗する運転室(キャビン)7と、車体の後部に配置され、車体の重量のバランスを保つカウンタウェイト8と、これらの運転室7とカウンタウェイト8との間に配置され、後述のエンジン11(図2参照)が内部に搭載されるエンジンルーム9とを備えている。
また、図2において、旋回体3は、駆動源としてのエンジン11と、このエンジン11の燃料噴射量を調整するガバナ12と、エンジン11の回転数を検出する回転数センサ13と、上述した旋回油圧モータ3a、ブームシリンダ4a、アームシリンダ4b、及びバケットシリンダ4c等の油圧アクチュエータ3a,4a〜4cへ供給する圧油の流れを制御する油圧制御弁14とを備えている。
さらに、旋回体3は、エンジン11の駆動力で動作し、油圧を発生する油圧源となる油圧ポンプ15と、この油圧ポンプ15の容量を調整するポンプ容量調節装置16と、旋回体3の内部及び外部の機器との間で種々の信号の送受信を行い、車体の動作を制御する制御装置17と、車体の周囲の環境を認識し、その認識結果を制御装置17へ送信する環境認識装置18とを備えている。
旋回体3の外部の機器として、例えば、車体の動作を遠隔的に指示する遠隔操作装置19が油圧ショベル1から離れた場所に設置されており、遠隔操作装置19及び制御装置17には、無線機(図示せず)が内部にそれぞれ搭載されている。従って、これらの無線機によって遠隔操作装置19と油圧ショベル1との間で信号の送受信が行われるようになっている。
運転室7は、オペレータが着座する運転席7A(図3参照)と、各油圧アクチュエータ3a,4a〜4cの動作を含む車体の動作を指示する操作装置としての4本の操作レバー7a1〜7a4と、油圧ショベル1の動作に関する各種の情報を表示する表示装置7bと、操作レバー7a1〜7a4の操作状態、すなわち操作レバー7a1〜7a4の操作位置に応じた信号を出力する操作レバー状態検出部7cとを含んでおり、これらの操作レバー7a1〜7a4、表示装置7b、及び操作レバー状態検出部7cは制御装置17に接続されている。なお、運転室7には、操作レバー7a1〜7a4、表示装置7b、及び操作レバー状態検出部7cの他に、例えば、エンジン11を停止させるエンジン停止ボタン(図示せず)、及び制御装置17の電源をON状態又はOFF状態に切替える電源スイッチ(図示せず)が設けられている。
図3は運転室7内の操作レバー7a1〜7a4及び表示装置7bの各構成を詳細に示す図である。
図3に示すように、操作レバー7a1〜7a4は、例えば、運転席7Aに着座したオペレータが把持して車体の動作を手動で操作するものであり、これらの各操作レバー7a1〜7a4の操作信号は制御装置17へ送信される。
操作レバー7a1は、運転席7Aの前方左側に配置され、前後方向に操作されることにより、走行体2の左側の履帯2Aを前後方向へ走行させる(左履帯前進/左履帯後退)。操作レバー7a2は、運転席7Aの前方右側に配置され、前後方向に操作されることにより、走行体2の右側の履帯2Aを前後方向へ走行させる(右履帯前進/右履帯後退)。
操作レバー7a3は、運転席7Aの左側方に配置され、前後方向に操作されることにより、旋回装置3Aを左右に旋回させたり(右旋回/左旋回)、左右方向に操作されることにより、アーム4Bを上下方向に回動させる(アーム伸ばし/アーム曲げ)。操作レバー7a4は、運転席7Aの右側方に配置され、前後方向に操作されることにより、ブーム4Aを上下方向に回動させたり(ブーム下げ/ブーム上げ)、左右方向に操作されることにより、バケット4Cを上下方向に回動させる(バケット掘削/バケット開放)。
表示装置7bは、制御装置17から受信した情報を映し出すモニタ7b1と、このモニタ7b1の電源をON状態又はOFF状態に切替える電源スイッチ、及びこの電源スイッチがON状態のときにモニタ7b1に映し出される映像を切替える切替スイッチ等の操作スイッチ7b2とから構成されている。
一方、図2において、遠隔操作装置19は、運転室7の操作レバー7a1〜7a4と同様の操作レバー19a1〜19a4と、油圧ショベル1の動作に関する各種の情報を表示すると共に、環境認識装置18の認識結果を表示して油圧ショベル1の周囲の環境の様子を提示する表示装置19bと、操作レバー19a1〜19a4の操作状態、すなわち操作レバー19a1〜19a4の操作位置に応じた信号を出力する操作レバー状態検出部19cとを含んでおり、これらの操作レバー19a1〜19a4、表示装置19b、及び操作レバー状態検出部19cは制御装置17に無線通信を介して接続されている。なお、遠隔操作装置19には、操作レバー19a1〜19a4、表示装置19b、及び操作レバー状態検出部19cの他に、例えば、非常時にエンジン11を停止させる非常停止ボタン(図示せず)、及びエンジン11の回転数を操作するエンジン操作部(図示せず)が設けられている。また、表示装置19bの基本構成は、上述の運転室7の表示装置7bの構成と同じである。
油圧制御弁14は、油圧ポンプ15及び油圧アクチュエータ3a,4a〜4cとの間で油圧回路を構成し、図示されないが、外殻を形成するハウジング内でストロークすることにより、油圧ポンプ15から吐出された圧油の流量及び方向を調整するスプールと、制御装置17の指令信号の指令値に応じて、スプールのストローク量を変更する電磁比例弁とを有している。
油圧ポンプ15は、可変容量機構として、例えば、斜板(図示せず)を有し、この斜板の傾転角が調整されることにより、吐出する圧油の流量を制御している。さらに、油圧ポンプ15には、図示されないが、吐出された圧油の圧力を測定する吐出圧センサ、吐出された圧油の流量を測定する吐出流量センサ、及び油圧ポンプ15の斜板の傾転角を測定する傾転角センサ等が設けられている。なお、油圧ポンプ15は、可変容量型斜板式油圧ポンプである場合について説明するが、この場合に限らず、吐出する圧油の流量を制御する機能を有するものであれば、斜軸ポンプ等であっても良い。
ポンプ容量調節装置16は、制御装置17から出力される指令信号に基づいて、油圧ポンプ15の容量(押しのけ容積)を調節するものである。具体的には、ポンプ容量調節装置16は、油圧ポンプ15の斜板を傾転可能に支持するレギュレータ16Aと、制御装置17の指令信号の指令値に応じて、レギュレータ16Aに制御圧を加える電磁比例弁16Bとを有している。レギュレータ16Aは、電磁比例弁16Bから制御圧を受けると、この制御圧によって油圧ポンプ15の斜板の傾転角を変更することにより、油圧ポンプ15の容量(押しのけ容積)が調節され、油圧ポンプ15のトルクを制御することができる。
制御装置17は、運転室7、ガバナ12、回転数センサ13、油圧制御弁14、油圧ポンプ15、ポンプ容量調節装置16、環境認識装置18、遠隔操作装置19、各角度センサ3a1,4a1〜4c1、及び各圧力センサ3a2,3a3,4a2,4a3,4b2,4b3,4c2,4c3に接続されている。そして、制御装置17は、ガバナ12を調整してエンジン11の回転数を制御したり、運転室7内の操作レバー7a1〜7a4又は遠隔操作装置19内の操作レバー19a1〜19a4の操作信号を受信することにより、各操作レバー7a1〜7a4又は操作レバー19a1〜19a4の操作信号に対する指令信号を油圧制御弁14の電磁比例弁へ送信する。
従って、運転室7内のオペレータが操作レバー7a1〜7a4を操作したり、あるいは遠隔操作装置19の操作レバー19a1〜19a4を操作すると、制御装置17から各操作レバー7a1〜7a4又は操作レバー19a1〜19a4の操作信号に対する指令信号が油圧制御弁14の電磁比例弁に入力されることにより、油圧制御弁14のスプールの位置が切換えられ、油圧ポンプ15から油圧制御弁14を流通した圧油が油圧アクチュエータ3a,4a〜4cへ供給される。これにより、油圧アクチュエータ3a,4a〜4cが油圧ポンプ15から油圧制御弁14を介して供給された圧油によって駆動する。
環境認識装置18は、油圧ショベル1が掘削する掘削物としての土砂の形状の認識、油圧ショベル1の周囲にある障害物の認識、後述のダンプトラック101(図4参照)の位置の認識、ダンプトラック101の荷台102(図4参照)への放土位置の認識、及び荷台102の積載状態の認識等を行う。また、環境認識装置18は、例えば、車体に設けられ、車体の周囲を撮影する複数のカメラから構成され、これらのカメラで撮影された映像は遠隔操作装置19の表示装置19bに表示される。なお、環境認識装置18は、カメラの代わりに、例えば、レーダ、GPS等から構成されていてもよいし、これらのものと同様の効果が得られるものであれば、他のものであってもよい。また、環境認識装置18は、上述した認識の全てを行わなくてもよく、上述した認識の一部を行うものであってもよい。
ここで、油圧ショベル1によって行われる掘削積込作業について、図4を参照して詳細に説明する。図4は油圧ショベル1が掘削した掘削物をダンプトラック101の荷台102に積載する様子を示す図である。
図4に示すように、掘削積込作業のサイクルとして、油圧ショベル1のバケット4Cで土砂を掘削する掘削動作A、バケット4Cが掘削した土砂を保持した状態で、旋回体3が掘削位置からダンプトラック101の荷台102側へ旋回する運搬動作B、土砂をバケット4Cからダンプトラック101の荷台102へ落とす放土動作C、ダンプトラック101の荷台102側から旋回して掘削位置へ戻るリーチング動作Dがある。
ダンプトラック101は、荷台102の積載量が所定量に到達すると、積載した土砂を集積場所(図示せず)へ輸送する。そして、荷台102に何も積載されていない(空の)別のダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到着し、油圧ショベル1による上述の掘削積込作業が再度行われる。このように、掘削積込作業の一連の動作A〜Dが繰り返して行われるので、掘削積込作業には生産性の向上が求められ、土砂をダンプトラック101の荷台102に効率良く積込む必要があり、オペレータの経験とスキルが要求される。
特に、掘削積込作業の一連の動作A〜Dのうち運搬動作B及びリーチング動作Dは、ダンプトラック101の荷台102や油圧ショベル1の周囲の障害物に接触させないように、オペレータが気を使う作業であるため、オペレータが慎重に操作レバー7a1〜7a4を操作すると、作業に時間を費やして生産性が低下する可能性がある。また、ダンプトラック101の荷台102に油圧ショベル1の旋回体3やフロント作業機4を接触させると、油圧ショベル1及びダンプトラック101が破損する可能性がある。
一方、オペレータが油圧ショベル1から離れた場所で遠隔操作装置19の操作レバー19a1〜19a4を操作して掘削積込作業を行う際に、表示装置19bによって油圧ショベル1の周囲の環境の状況が提示されても、オペレータの操作に必要な情報が不足していたり、あるいは映像や信号の伝送遅れが発生した場合には、作業の効率が低下する可能性がある。
そこで、本発明の第1実施形態では、制御装置17は、図2に示すように、掘削積込作業の一連の動作A〜Dうち運搬動作B及びリーチング動作Dを自動で操作する自動運転を行う自動運転制御部17Aと、運転室7の操作レバー7a1〜7a4又は遠隔操作装置19の操作レバー19a1〜19a4によって手動運転から自動運転(自動運転モード)へ移行するための所定の操作が行われたかどうかを判定する運転移行判定部としてのレバー操作判定部17Bと、手動運転による掘削動作Aが終了したかどうかを判定する掘削終了判定部17Cと、フロント作業機4によって掘削された土砂を放土可能な状況にあるかどうかを判定する後述の放土判定部とを含んでいる。そして、制御装置17は、レバー操作判定部17Bによって上述の所定の操作が行われたと判定されたことを条件として車体の自動運転を実行するための制御を開始するようにしている。
具体的には、制御装置17は、例えば、レバー操作判定部17Bによって上述の所定の操作が行われたと判定され、さらに掘削終了判定部17Cによって手動運転による掘削動作Aが終了していると判定され、かつ放土判定部によって放土可能な状況にあると判定された後、操作レバー7a3又は操作レバー19a3が右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向(前後方向)へ操作されるまで手動運転を継続する。
一方、制御装置17は、例えば、レバー操作判定部17Bによって上述の所定の操作が行われたと判定されても、掘削終了判定部17Cによって手動運転による掘削動作Aが終了していないと判定されたとき、又は放土判定部によって放土可能な状況にないと判定されたとき、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4の操作に拘わらず、手動運転を継続する。
自動運転制御部17Aは、環境認識装置18の認識結果に基づいて、目標とする掘削位置や放土位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道を演算する。そして、自動運転制御部17Aは、各油圧アクチュエータ3a,4a〜4cの角度センサ3a1,4a1〜4c1及び圧力センサ3a2,3a3,4a2,4a3,4b2,4b3,4c2,4c3の検出信号をフィードバックし、油圧ショベル1の旋回体3及びフロント作業機4が演算した掘削位置や放土位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道で動作するように、油圧制御弁14を介して各油圧アクチュエータ3a,4a〜4cを制御する。
レバー操作判定部17Bは、上述の所定の操作として、例えば、操作レバー7a3を右旋回の操作方向(前方向)又は左旋回の操作方向(後ろ方向)へ動かして中立位置に戻す操作を予め設定された短時間で2回繰返す等の繰返し操作に対応する検出信号を運転室7の操作レバー状態検出部7cから受信したとき、自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定する。これにより、車体の自動運転を開始するための装置を新たに設けなくて済むので、運転室7内のオペレータが操作レバー7a3を用いて油圧ショベル1の運転状態を手動運転から自動運転モードへ容易に移行させることができる。なお、レバー操作判定部17Bは、この場合に限らず、例えば、他の操作レバー7a4の操作がない状態で、操作レバー7a3の右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向への操作があったとき、自動運転モードへ移行する操作と判定してもよい。運搬動作B及びリーチング動作Dでは、通常、操作レバー7a3,7a4を用いて旋回体3を右旋回又は左旋回させる操作と、ブーム4Aを上下方向へ回動させる操作等を組み合わせた複合操作が行われる場合が多いので、操作レバー7a3の右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向への操作を自動運転モードへ移行する操作として判断することが可能である。
また、例えば、操作レバー7a3に自動ボタン(図示せず)を設け、オペレータがこの自動ボタンを押下しながら操作レバー7a3を右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向へ操作することにより、レバー操作判定部17Bが、自動ボタンの操作信号を受信すると同時に、操作レバー7a3の操作に対応する検出信号を運転室7の操作レバー状態検出部7cから受信したとき、自動運転モードへ移行する操作と判定してもよい。これらの判定は、遠隔操作装置19の操作レバー19a1〜19a4の操作についても同様である。以上のように、自動運転モードへ移行する所定の操作は、通常の運転では行われない操作レバー7a3の操作であることが望ましいが、操作レバー7a1〜7a4を用いた上記以外の他の操作であってもよい。
掘削終了判定部17Cは、例えば、油圧アクチュエータ3a,4a〜4cの各圧力センサ3a2,3a3,4a2,4a3,4b2,4b3,4c2,4c3によって検出された圧力に基づいて、バケット4Cが掘削した際に地盤等から受ける反力を推定すると共に、油圧アクチュエータ3a,4a〜4cの各角度センサ3a1,4a1〜4c1によって検出された角度に基づいて、バケット4Cの状態を測定する。そして、掘削終了判定部17Cは、例えば、推定した反力が所定値より小さくなり、かつバケット4Cの開口面4C1(図1参照)が水平又は水平近傍(例えば、水平面に対する開口面4C1の傾きθが0度より大きく、かつ30度未満)の状態になった場合に、手動運転による掘削動作Aが終了したと判定する。なお、掘削終了判定部17Cは、この場合に限らず、例えば、推定した反力が所定値より小さくなった場合、及びバケット4Cが水平又は水平近傍の状態になった場合のいずれかの場合に、手動運転による掘削動作Aが終了したと判定してもよいし、同様の作用効果が得られれば、バケット4Cの高さで判定する等の他の構成を用いてもよい。
前述の放土判定部は、例えば、環境認識装置18によるダンプトラック101の位置の認識結果に基づいて、放土対象としてのダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達しているかどうかを判定するダンプトラック到達判定部17Dから成っている。このダンプトラック到達判定部17Dは、例えば、環境認識装置18であるカメラの映像から油圧ショベル1とダンプトラック101との距離を演算し、演算した距離が所定の距離未満であるとき、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していると判定し、演算した距離が所定の距離以上であるとき、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していないと判定する。従って、フロント作業機4が土砂を放土する際に、ダンプトラック到達判定部17Dによってダンプトラック101が認識されていないと判定されると、手動運転が実施されるので、ダンプトラック101が認識されるまで放土動作Cを待機させることができる。これにより、土砂を目標とする放土位置へ適切に放土することができる。
このように構成される油圧ショベル1では、上述したように、油圧ショベル1の各油圧アクチュエータ3a,4a〜4cは油圧制御弁14を介して制御装置17によって制御される。この制御装置17から油圧制御弁14へ送信される指令信号は主に3系統あり、運転室7の操作レバー7a1〜7a4、遠隔操作装置19の操作レバー19a1〜19a4、及び自動運転制御部17Aに関するものである。これらの3系統の指令信号のうち、どの信号を用いて制御するかは制御装置17によって選択される。そして、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4の操作信号を受信して油圧ショベル1を操作する場合には手動運転となり、環境認識装置18の認識結果を受信して油圧ショベル1を操作する場合には自動運転となる。
次に、油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われる掘削動作Aの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる運搬動作Bについて、図5を参照して詳細に説明する。
まず、レバー操作判定部17Bは、運転室7の操作レバー7a3又は遠隔操作装置19の操作レバー19a3によって自動運転モードへ移行する操作が行われたかどうかを判定する((ステップ(以下、Sと記す)501)。このとき、オペレータが操作レバー7a3,19a3を右旋回の操作方向及び左旋回の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を行わず、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する操作が行われていないと判定すると(S501/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S501の処理動作が繰り返される。
S501において、オペレータが操作レバー7a3又は操作レバー19a3を右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を短時間で2回繰返すことにより、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定すると(S501/YES)、掘削終了判定部17Cは、手動運転による掘削動作Aが終了したかどうかを判定する(S502)。このとき、地盤からの反力が所定値以上であり、又はバケット4Cの開口面4C1が水平面から大きく傾いている場合には、掘削終了判定部17Cは、掘削動作Aが終了していないと判定し(S502/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S501からの処理動作が繰り返される。
このように、S501においてオペレータが操作レバー7a3又は操作レバー19a3を用いて自動運転モードへ移行させる操作を行っても、掘削終了判定部17Cによって掘削動作Aが終了したと判定されるまで手動運転が実施され、掘削動作Aの途中で油圧ショベル1が自動で動作することがないので、オペレータが作業の状況を判断しながら作業を進めることができ、掘削動作Aが確実に終了してから次のS503の処理動作へ移ることができる。
S502において、地盤からの反力が所定値未満となり、かつバケット4Cの開口面4C1が水平又は水平近傍になった場合には、掘削終了判定部17Cは、掘削動作Aが終了したと判定し(S502/YES)、ダンプトラック到達判定部17Dは、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達しているかどうかを判定する(S503)。このとき、油圧ショベル1とダンプトラック101との距離が所定の距離以上であり、ダンプトラック到達判定部17Dは、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していないと判定すると(S503/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S501からの処理動作が繰り返される。従って、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に停車している場合のみ、運搬動作Bへ移ることができるので、土砂を目標とする放土位置へ適切に放土することができる。なお、ダンプトラック到達判定部17Dによってダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していないと判定された場合には、ダンプトラック101が停車していない旨の情報が表示装置7b又は表示装置19bに表示される。
S503において、油圧ショベル1とダンプトラック101との距離が所定の距離未満であり、ダンプトラック到達判定部17Dは、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していると判定すると(S503/YES)、制御装置17は、油圧ショベル1の運転状態を手動運転から自動運転モードへ移行させる(S504)。そして、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a3又は操作レバー19a3の右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向への操作があるかどうかを判定する(S505)。このとき、制御装置17は、例えば、S504において自動運転モードへ移行してから所定の時間内に、操作レバー7a3,19a3の右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向への操作がないと判定すると(S505/NO)、自動運転を開始させずに手動運転へ移行し(S508)、S501からの処理動作が繰り返される。
S505において、制御装置17は、操作レバー7a3又は操作レバー19a3の右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向への操作があると判定すると(S505/YES)、自動運転制御部17Aは、環境認識装置18の認識結果を受信し、油圧ショベル1の周囲にある障害物の認識、ダンプトラック101の位置の認識、及びダンプトラック101の荷台102への放土位置の認識から目標とする放土位置、及び運搬動作Bにおけるブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道を演算する。
自動運転制御部17Aは、フロント作業機4の動きが目標とする放土位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道と一致するように、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作信号に対応する指令信号を補正する。そして、自動運転制御部17Aは、補正した指令信号を油圧制御弁14へ送信して自動運転を開始することにより、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作を支援しながら旋回体3を旋回させ、掘削した土砂をダンプトラック101の荷台102へ運搬する(S506)。尚、S504において、自動運転モードへ移行した状態では、右若しくは左旋回への操作以外の操作があった場合でも、手動運転に移行する。
これにより、仮にオペレータの作業の経験が浅くても、十分な作業量を確保できるので、運搬動作Bに対して高い効率性を得ることができる。しかも、運搬動作Bにおける自動運転は、オペレータが操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4を操作したときに限り行われるので、オペレータが意図したタイミングで作業を進行させることができ、オペレータに対する利便性を向上させることができる。なお、S506の自動運転制御部17Aによる自動運転では、自動運転が行われている旨の情報が表示装置7b又は表示装置19bに表示される。これにより、オペレータが違和感を覚えることなく、操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4を操作することができる。
次に、制御装置17は、環境認識装置18の認識結果を受信し、バケット4Cが目標とする放土位置に到達したかどうかを判定する(S507)。このとき、制御装置17は、バケット4Cが目標とする放土位置に到達していないと判定すると(S507/NO)、S505からの処理動作が繰り返される。S507において、制御装置17は、バケット4Cが目標とする放土位置に到達したと判定すると(S507/YES)、自動運転を停止させて手動運転へ移行し(S508)、S501からの処理動作が繰り返される。
次に、油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われる放土動作Cの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われるリーチング動作Dについて、図6を参照して詳細に説明する。
まず、レバー操作判定部17Bは、操作レバー7a3又は操作レバー19a3によって自動運転モードへ移行する操作が行われたかどうかを判定する(S601)。このとき、オペレータが操作レバー7a3,19a3を右旋回の操作方向及び左旋回の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を行わず、レバー操作判定部17Bが自動運転モードへ移行する操作が行われていないと判定すると(S601/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S601の処理動作が繰り返される。
S601において、オペレータが操作レバー7a3又は操作レバー19a3を右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を短時間で2回繰返すことにより、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定すると(S601/YES)、制御装置17は、油圧ショベル1の運転状態を手動運転から自動運転モードへ移行させる(S602)。そして、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a3又は操作レバー19a3の右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向への操作があるかどうかを判定する(S603)。このとき、制御装置17は、例えば、S602において自動運転モードへ移行してから所定の時間内に、操作レバー7a3,19a3の右旋回の操作方向及び左旋回の操作方向への操作がないと判定すると(S603/NO)、自動運転を開始させずに手動運転へ移行し(S606)、S601からの処理動作が繰り返される。
S602において、制御装置17は、操作レバー7a3又は操作レバー19a3の右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向への操作があると判定すると(S603/YES)、自動運転制御部17Aは、環境認識装置18の認識結果を受信し、土砂の形状の認識、油圧ショベル1の周囲にある障害物の認識、ダンプトラック101の位置の認識から目標とする掘削位置を設定すると共に、運搬動作Bにおけるブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道を演算する。なお、自動運転制御部17Aによって設定された掘削位置は、次回の処理動作において行われる掘削動作Aの掘削推奨位置であり、土砂の形状や油圧ショベル1とダンプトラック101との距離等から設定される。
自動運転制御部17Aは、フロント作業機4の動きが目標とする掘削位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道と一致するように、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作信号に対応する指令信号を補正する。そして、自動運転制御部17Aは、補正した指令信号を油圧制御弁14へ送信することにより、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作を支援しながら旋回体3を旋回させ、バケット4Cを掘削位置へ移動させる(S604)。これにより、上述した運搬動作Bと同様の作用効果を得ることができる。
次に、制御装置17は、環境認識装置18の認識結果を受信し、バケット4Cが目標とする掘削位置に到達したかどうかを判定する(S605)。このとき、制御装置17は、バケット4Cが目標とする掘削位置に到達していないと判定すると(S605/NO)、S603からの処理動作が繰り返される。S605において、制御装置17は、バケット4Cが目標とする掘削位置に到達したと判定すると(S605/YES)、自動運転を停止させて手動運転へ移行し(S606)、S601からの処理動作が繰り返される。
このように構成した本発明の第1実施形態によれば、オペレータが操作レバー7a3又は操作レバー19a3を右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を短時間で2回繰返すことにより、油圧ショベル1の運転状態が手動運転から自動運転モードへ移行した後、操作レバー7a3,19a3の操作の有無によって油圧ショベル1の自動運転を開始させたり、あるいは開始させないようにすることができる。このように、油圧ショベル1の掘削積込作業の運搬動作B及びリーチング動作Dにおいて、車体を動かすための操作レバー7a3又は操作レバー19a3の操作だけで車体の運転状態を容易に切換えることができる。これにより、オペレータの負担を軽減しつつ、掘削積込作業中の運転状態を、手動運転から自動運転又は自動運転から手動運転へ円滑に移行できるので、作業効率を向上させることができる。
そして、本発明の第1実施形態は、油圧ショベル1の掘削積込作業の一連の動作A〜Dを繰り返し行っても、自動運転制御部17Aによる自動運転によってオペレータの疲労を軽減することができる。また、オペレータが油圧ショベル1から離れた場所で操作レバー19a1〜19a4を操作して掘削積込作業の運搬動作B及びリーチング動作Dを行う際に、オペレータの操作に必要な情報が不足していたり、あるいは映像や信号の伝送遅れが発生しても、自動運転制御部17Aによる自動運転によって作業効率を維持することができ、作業の安定した進行を図ることができる。以上より、本発明の第1実施形態は、油圧ショベル1の安定した動作を実現できるので、掘削積込作業の生産性を高めることができる。
なお、本発明の第1実施形態では、制御装置17は、レバー操作判定部17Bによって自動運転モードへ移行する所定の操作が行われたと判定され、さらに掘削終了判定部17Cによって手動運転による掘削動作Aが終了していると判定され、かつダンプトラック到達判定部17Dによってダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していると判定された後、操作レバー7a3又は操作レバー19a3が右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向へ操作されるまで手動運転を継続するようにした場合について説明したが、この場合に限らず、操作レバー7a1〜7a4又は操作レバー19a1〜19a4を用いた他の操作により、自動運転の開始の有無の決定をしてもよい。
例えば、制御装置17は、レバー操作判定部17Bによって上述の所定の操作が行われたと判定され、さらに掘削終了判定部17Cによって手動運転による掘削動作Aが終了していると判定され、かつダンプトラック到達判定部17Dによってダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していると判定された後、操作レバー7a3又は操作レバー19a3が、右旋回の操作方向及び左旋回の操作方向のうち、旋回体3の回転軸の周りにおいてフロント作業機4がダンプトラック101の荷台102がある方向、すなわち放土位置までの旋回体3の旋回距離が近い側に旋回する方向へ操作されると、自動運転を開始し、操作レバー7a3,19a3が当該方向へ操作されなければ、自動運転を開始させずに手動運転へ移行してもよい。これにより、旋回体3が、右旋回の方向及び左旋回の方向のうち、オペレータが意図した方向と反対側の方向へ自動で旋回することを防止できるので、オペレータが違和感を覚えることなく、運搬動作B及びリーチング動作Dを行うことができる。
この際、仮に油圧ショベル1の真後ろにダンプトラック101の荷台102がある場合には、制御装置17は、例えば、操作レバー7a3又は操作レバー19a3が、右旋回の操作方向及び左旋回の操作方向のいずれかの方向へ操作されると、自動運転を開始し、操作レバー7a3,19a3が右旋回の操作方向及び左旋回の操作方向へ操作されなければ、自動運転を開始させずに手動運転へ移行するとよい。
[第2実施形態]
本発明の第1実施形態では、制御装置17は、レバー操作判定部17Bによって自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定されたとき、操作レバー7a3又は操作レバー19a3が右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向へ操作されるまで手動運転を継続する場合について説明した。これに対して、本発明の第2実施形態では、制御装置17は、例えば、レバー操作判定部17Bによって自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定され、自動運転モードに移行した後、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかが操作されると、自動運転を停止させて自動運転から手動運転へ移行し、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4が操作されなければ、自動運転を継続させるようにしている。その他の第2実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じであり、第1実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
以下、本発明の第2実施形態に係る油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われる掘削動作Aの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる運搬動作Bについて、図7を参照して詳細に説明する。なお、S701〜S704、S708、S709の処理動作については、上述した図5に示すS501〜S504、S507、S508の処理動作と同じであるので、重複する説明を省略している。
図7に示すように、S704の処理動作が行われると、自動運転制御部17Aは、油圧制御弁14に対して指令信号を送信することにより、バケット4Cが障害物を避けながら旋回体3が旋回し、掘削した土砂をダンプトラック101の荷台102へ自動で運搬する(S705)。
次に、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があるかどうかを判定する(S706)。このとき、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があると判定すると(S706/YES)、S709の処理動作が行われる。これにより、運搬動作Bの自動運転中に作業を手動で行う必要が生じた場合に、オペレータが操作レバー7a1〜7a4又は操作レバー19a1〜19a4を操作して手動で油圧ショベル1を動かすことができるので、作業におけるオペレータの利便性を向上させることができる。
S706において、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4の操作がないと判定すると(S706/NO)、自動運転制御部17Aは、指令信号を油圧制御弁14へ送信し続けて自動運転を継続し(S707)、S708の処理動作が行われる。
次に、本発明の第2実施形態に係る油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われる放土動作Cの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われるリーチング動作Dについて、図8を参照して詳細に説明する。なお、S801、S802、S806、S807の処理動作については、上述した図6に示すS601、S602、S605、S606の処理動作と同じであるので、重複する説明を省略している。
図8に示すように、S802の処理動作が行われると、自動運転制御部17Aは、環境認識装置18の認識結果を受信し、土砂の形状の認識、油圧ショベル1の周囲にある障害物の認識、ダンプトラック101の位置の認識から目標とする掘削位置を設定すると共に、リーチング動作Dにおけるブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道を演算する。なお、自動運転制御部17Aによって設定された掘削位置は、次回の処理動作において行われる掘削動作Aの掘削推奨位置であり、土砂の形状や油圧ショベル1とダンプトラック101との距離等から設定される。
自動運転制御部17Aは、油圧制御弁14に対して指令信号を送信することにより、バケット4Cが障害物を避けながら旋回体3が旋回し、バケット4Cを掘削位置へ移動させる(S803)。なお、S803の自動運転制御部17Aによる自動運転では、自動運転が行われている旨の情報が表示装置7b又は表示装置19bに表示される。これにより、オペレータが違和感を覚えることなく、自動運転が行われている間は操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4を操作しなくて済むので、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4の操作に伴うオペレータの疲労を軽減すると共に、油圧ショベル1の安定した動作を実現することができる。
次に、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があるかどうかを判定する(S804)。このとき、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があると判定すると(S804/YES)、S807の処理動作が行われる。これにより、上述した第2実施形態の運搬動作Bと同様の作用効果を得ることができる。
S804において、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4の操作がないと判定すると(S804/NO)、自動運転制御部17Aは、指令信号を油圧制御弁14へ送信し続けて自動運転を継続し(S805)、S806の処理動作が行われる。このように構成した本発明の第2実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、図5、図6に示すように、油圧ショベル1の掘削積込作業の一連の動作A〜Dのうち運搬動作B及びリーチング動作Dに対して自動運転を行ったのに対して、第3実施形態は、図9に示すように、油圧ショベル1の掘削積込作業の一連の動作A〜Dのうち運搬動作B、放土動作C、及びリーチング動作Dに対して自動運転を行うことである。その他の第3実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じであり、第1実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
次に、本発明の第3実施形態に係る油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われる掘削動作Aの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる運搬動作B、放土動作C、及びリーチング動作Dについて、図9を参照して詳細に説明する。
図9に示すように、まず、制御装置17は、自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる初回の運搬動作B、放土動作C、リーチング動作Dであるかどうかを判定する(S901)。ここで、初回とは、何も積み込まれていない(空の)ダンプトラック101の荷台102に土砂を最初に積み込むことである。制御装置17は、荷台102に何も積み込まれていない(空の)ダンプトラック101に交替する度に、荷台102への積込回数をリセットして初回に設定する。
S901において、制御装置17は、自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる初回の運搬動作B、放土動作C、リーチング動作Dであると判定すると(S901/YES)、レバー操作判定部17Bは、運転室7の操作レバー7a3又は遠隔操作装置19の操作レバー19a3によって自動運転モードへ移行する操作が行われたかどうかを判定する(S902)。このとき、オペレータが操作レバー7a3,19a3を右旋回の操作方向及び左旋回の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を行わず、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する操作が行われていないと判定すると(S902/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S901からの処理動作が繰り返される。
S901において、制御装置17は、自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる初回の運搬動作B、放土動作C、リーチング動作Dでないと判定したり(S901/NO)、あるいはS902において、オペレータが操作レバー7a3又は操作レバー19a3を右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を短時間で2回繰返すことにより、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定すると(S902/YES)、掘削終了判定部17Cは、手動運転による掘削動作Aが終了したかどうかを判定する(S903)。このとき、地盤からの反力が所定値以上であり、又はバケット4Cの開口面4C1が水平面から大きく傾いている場合には、掘削終了判定部17Cは、掘削動作Aが終了していないと判定し(S903/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S901からの処理動作が繰り返される。
このように、S902においてオペレータが操作レバー7a3又は操作レバー19a3を用いて自動運転モードへ移行させる操作を行っても、掘削終了判定部17Cによって掘削動作Aが終了したと判定されるまで手動運転が実施され、掘削動作Aの途中で油圧ショベル1が自動で動作することがないので、オペレータが作業の状況を判断しながら作業を進めることができ、掘削動作Aが確実に終了してから次のS903の処理動作へ移ることができる。
S903において、地盤からの反力が所定値未満となり、かつバケット4Cの開口面4C1が水平又は水平近傍になった場合には、掘削終了判定部17Cは、掘削動作Aが終了したと判定し(S903/YES)、ダンプトラック到達判定部17Dは、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達しているかどうかを判定する(S904)。このとき、油圧ショベル1とダンプトラック101との距離が所定の距離以上であり、ダンプトラック到達判定部17Dは、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していないと判定すると(S904/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S901からの処理動作が繰り返される。
従って、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に停車している場合のみ、運搬動作Bへ移ることができるので、掘削物を目標とする放土位置へ適切に放土することができる。なお、ダンプトラック到達判定部17Dによってダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していないと判定された場合には、ダンプトラック101が停車していない旨の情報が表示装置7b又は表示装置19bに表示される。
S904において、油圧ショベル1とダンプトラック101との距離が所定の距離未満であり、ダンプトラック到達判定部17Dは、ダンプトラック101が油圧ショベル1の付近に到達していると判定すると(S904/YES)、制御装置17は、油圧ショベル1の運転状態を手動運転から自動運転モードへ移行させる(S905)。そして、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a3又は操作レバー19a3の右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向への操作があるかどうかを判定する(S906)。このとき、制御装置17は、例えば、S905において自動運転モードへ移行してから所定の時間内に、操作レバー7a3,19a3の右旋回の操作方向及び左旋回の操作方向への操作がないと判定すると(S906/NO)、自動運転を開始させずに手動運転へ移行し(S909)、S901からの処理動作が繰り返される。
S906において、制御装置17は、操作レバー7a3又は操作レバー19a3の右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向への操作があると判定すると(S906/YES)、自動運転制御部17Aは、環境認識装置18の認識結果を受信し、土砂の形状の認識、油圧ショベル1の周囲にある障害物の認識、ダンプトラック101の位置の認識、及びダンプトラック101の荷台102への放土位置の認識から目標とする放土位置と掘削位置、及び運搬動作Bとリーチング動作Dにおけるブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道を演算する。
自動運転制御部17Aは、フロント作業機4の動きが目標とする放土位置と掘削位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道と一致するように、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作信号に対応する指令信号を補正する。そして、自動運転制御部17Aは、補正した指令信号を油圧制御弁14へ送信して自動運転を開始し、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作を支援しながら旋回体3を旋回させることにより、掘削した土砂をダンプトラック101の荷台102へ運搬した後、バケット4Cが目標とする放土位置で土砂を落とし、再び旋回体3を旋回させてバケット4Cを掘削位置へ移動させる(S907)。これにより、上述した第1実施形態の運搬動作Bと同様の作用効果を得ることができる。
次に、制御装置17は、環境認識装置18の認識結果を受信し、バケット4Cが目標とする掘削位置に到達したかどうかを判定する(S908)。このとき、制御装置17は、バケット4Cが目標とする掘削位置に到達していないと判定すると(S908/NO)、S906からの処理動作が繰り返される。S908において、制御装置17は、バケット4Cが目標とする掘削位置に到達したと判定すると(S908/YES)、自動運転を停止させて手動運転へ移行し(S909)、S901からの処理動作が繰り返される。
このように構成した本発明の第3実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、何も積み込まれていない(空の)ダンプトラック101の荷台102へ土砂を積み込む際には、レバー操作判定部17Bによる自動運転モードへ移行する操作の有無の判定が必要となるが、放土動作Cが1度行われた2回目以降の処理動作では、荷台102が土砂で満杯になるまで、レバー操作判定部17Bによる自動運転モードへ移行する操作の判定を行うことなくS903の処理動作を行うだけで済む。これにより、掘削積込作業中の運転状態を、手動運転から自動運転又は自動運転から手動運転へより円滑に移行できるので、掘削積込作業の生産性を十分に高めることができる。
[第4実施形態]
本発明の第3実施形態では、制御装置17は、レバー操作判定部17Bによって自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定された後、操作レバー7a3又は操作レバー19a3が右旋回の操作方向又は左旋回の操作方向へ操作されるまで手動運転を継続する場合について説明した。これに対して、本発明の第4実施形態では、制御装置17は、例えば、レバー操作判定部17Bによって自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定され、自動運転モードへ移行した後、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかが操作されると、自動運転を停止させて自動運転モードから手動運転へ移行し、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4が操作されなければ、自動運転を継続させるようにしている。その他の第4実施形態の構成は、上述した第3実施形態の構成と同じであり、第3実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
以下、本発明の第4実施形態に係る油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われる掘削動作Aの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる運搬動作B、放土動作C、及びリーチング動作Dについて、図10を参照して詳細に説明する。なお、S1001〜S1005、S1009、S1010の処理動作については、上述した図9に示すS901〜S905、S908、S909の処理動作と同じであるので、重複する説明を省略している。
図10に示すように、S1005の処理動作が行われると、自動運転制御部17Aは、油圧制御弁14に対して指令信号を送信することにより、バケット4Cが障害物を避けながら旋回体3が自動で旋回し、掘削した土砂をダンプトラック101の荷台102へ自動で運搬した後、バケット4Cが目標とする放土位置で土砂を自動で落とし、再び旋回体3が自動で旋回してバケット4Cを掘削位置へ移動させる(S1006)。
次に、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があるかどうかを判定する(S1007)。このとき、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があると判定すると(S1007/YES)、S1010の処理動作が行われる。これにより、上述した第2実施形態の運搬動作Bと同様の作用効果を得ることができる。
S1007において、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4の操作がないと判定すると(S1007/NO)、自動運転制御部17Aは、指令信号を油圧制御弁14へ送信し続けて自動運転を継続し(S1008)、S1009の処理動作が行われる。このように構成した本発明の第4実施形態においても、上述した第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、図5、図6に示すように、油圧ショベル1の掘削積込作業の一連の動作A〜Dのうち運搬動作B及びリーチング動作Dに対して自動運転制御部17Aによる自動運転を行ったのに対して、第5実施形態は、図11に示すように、油圧ショベル1の掘削積込作業の一連の動作A〜Dのうち掘削動作Aに対して自動運転制御部17Aによる自動運転を行うことである。
この場合、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する所定の操作として、例えば、操作レバー7a4をバケット掘削の操作方向(左方向)へ動かして中立位置に戻す操作を予め設定された短時間で2回繰返す等の繰返し操作に対応する検出信号を運転室7の操作レバー状態検出部7cから受信したとき、自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定する。なお、レバー操作判定部17Bは、この場合に限らず、例えば、他の操作レバー7a3の操作がない状態で、操作レバー7a4のバケット掘削の操作方向への操作があったとき、自動運転モードへ移行する操作と判定してもよい。
また、例えば、操作レバー7a4に自動ボタン(図示せず)を設け、オペレータがこの自動ボタンを押下しながら操作レバー7a4をバケット掘削の操作方向へ操作することにより、レバー操作判定部17Bが、自動ボタンの操作信号を受信すると同時に、操作レバー7a4の操作に対応する検出信号を運転室7の操作レバー状態検出部7cから受信したとき、自動運転モードへ移行する操作と判定してもよい。これらの判定は、遠隔操作装置19の操作レバー19a1〜19a4の操作についても同様である。以上のように、自動運転モードへ移行する所定の操作は、通常の運転では行われない操作レバー7a3,7a4の操作であることが望ましいが、操作レバー7a1〜7a4を用いた上記以外の他の操作であってもよい。その他の第5実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じであり、第1実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
次に、本発明の第5実施形態に係る油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われるリーチング動作Dの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる掘削動作Aについて、図11を参照して詳細に説明する。
図11に示すように、まず、レバー操作判定部17Bは、運転室7の操作レバー7a4又は遠隔操作装置19の操作レバー19a4によって自動運転モードへ移行する操作が行われたかどうかを判定する(S1101)。このとき、オペレータが操作レバー7a4,19a4をバケット掘削の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を行わず、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する操作が行われていないと判定すると(S1101/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S1101の処理動作が繰り返される。
S1101において、オペレータが操作レバー7a4又は操作レバー19a4をバケット掘削の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を短時間で2回繰返すことにより、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定すると(S1101/YES)、制御装置17は、環境認識装置18の認識結果を受信し、土砂の形状の認識に基づいて、掘削動作Aの開始を許可するかどうか、すなわち掘削しても大丈夫であるかどうかを判定する(S1102)。このとき、制御装置17は、掘削動作Aの開始を許可しない、すなわち掘削しても大丈夫でないと判定すると(1102/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S1101の処理動作が繰り返される。
S1102において、制御装置17は、掘削動作Aの開始を許可する、すなわち掘削しても大丈夫であると判定すると(S1102/YES)、制御装置17は、油圧ショベル1の運転状態を手動運転から自動運転モードへ移行させる(S1103)。そして、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a4又は操作レバー19a4のバケット掘削の操作方向への操作があるかどうかを判定する(S1104)。このとき、制御装置17は、例えば、S1103において自動運転モードへの移行が行われてから所定の時間内に、操作レバー7a4,19a4のバケット掘削の操作方向への操作がないと判定すると(S1104/NO)、自動運転を開始させずに手動運転へ移行し(S1107)、S1101からの処理動作が繰り返される。
S1104において、制御装置17は、操作レバー7a4又は操作レバー19a4のバケット掘削の操作方向への操作があると判定すると(S1104/YES)、自動運転制御部17Aは、環境認識装置18の認識結果を受信し、土砂の形状の認識から目標とする掘削位置、及び掘削動作Aにおけるブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道を演算する。自動運転制御部17Aは、フロント作業機4の動きが目標とする掘削位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道と一致するように、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作信号に対応する指令信号を補正する。
そして、自動運転制御部17Aは、補正した指令信号を油圧制御弁14へ送信して自動運転を開始することにより、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作を支援しながら土砂をバケット4Cで掘削する(S1105)。これにより、上述した第1実施形態の運搬動作Bと同様の作用効果を得ることができる。
次に、掘削終了判定部17Cは、掘削動作Aが終了したかどうかを判定する(S1106)。このとき、掘削終了判定部17Cは、掘削動作Aが終了していないと判定すると(S1106/NO)、S1104からの処理動作が繰り返される。S1106において、掘削終了判定部17Cは、掘削動作Aが終了したと判定すると(S1106/YES)、自動運転を停止させて手動運転へ移行し(S1107)、S1101からの処理動作が繰り返される。このように構成した本発明の第5実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第6実施形態]
本発明の第5実施形態では、制御装置17は、レバー操作判定部17Bによって自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定された後、操作レバー7a4又は操作レバー19a4がバケット掘削の操作方向へ操作されるまで手動運転を継続する場合について説明した。これに対して、本発明の第6実施形態では、制御装置17は、例えば、レバー操作判定部17Bによって自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定され、自動運転モードに移行した後、操作レバー7a3,7a4,19a3,19a4のいずれかが操作されると、自動運転を停止させて自動運転モードから手動運転へ移行し、操作レバー7a3,7a4,19a3,19a4が操作されなければ、自動運転を継続させるようにしている。その他の第6実施形態の構成は、上述した第5実施形態の構成と同じであり、第5実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
以下、本発明の第6実施形態に係る油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われるリーチング動作Dの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる掘削動作Aについて、図12を参照して詳細に説明する。なお、S1201〜S1203、S1207、S1208の処理動作については、上述した図11に示すS1101〜S1103、S1106、S1107の処理動作と同じであるので、重複する説明を省略している。
図12に示すように、S1203の処理動作が行われると、自動運転制御部17Aは、油圧制御弁14に対して指令信号を送信することにより、ブーム4A、アーム4B、及びバケット4Cが目標軌道に沿って動作し、土砂をバケット4Cによって自動で掘削する(S1204)。
次に、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があるかどうかを判定する(S1205)。このとき、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があると判定すると(S1205/YES)、S1208の処理動作が行われる。これにより、上述した第2実施形態の運搬動作Bと同様の作用効果を得ることができる。
S1205において、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4の操作がないと判定すると(S1205/NO)、自動運転制御部17Aは、指令信号を油圧制御弁14へ送信し続けて自動運転を継続し(S1206)、S1207の処理動作が行われる。このように構成した本発明の第6実施形態においても、上述した第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は、図5、図6に示すように、油圧ショベル1の掘削積込作業の一連の動作A〜Dのうち運搬動作B及びリーチング動作Dに対して自動運転制御部17Aによる自動運転を行ったのに対して、第7実施形態は、図13に示すように、油圧ショベル1の掘削積込作業の一連の動作A〜Dのうち放土動作Cに対して自動運転制御部17Aによる自動運転を行うことである。
この場合、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する所定の操作として、例えば、操作レバー7a4をバケット開放の操作方向(右方向)へ動かして中立位置に戻す操作を予め設定された短時間で2回繰返す等の繰返し操作に対応する検出信号を運転室7の操作レバー状態検出部7cから受信したとき、自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定する。なお、レバー操作判定部17Bは、この場合に限らず、例えば、他の操作レバー7a3の操作がない状態で、操作レバー7a4のバケット開放の操作方向への操作があったとき、自動運転モードへ移行する操作と判定してもよい。
また、例えば、操作レバー7a4に自動ボタン(図示せず)を設け、オペレータがこの自動ボタンを押下しながら操作レバー7a4をバケット開放の操作方向へ操作することにより、レバー操作判定部17Bが、自動ボタンの操作信号を受信すると同時に、操作レバー7a4の操作に対応する検出信号を操作レバー7a4の操作レバー状態検出部7cから受信したとき、自動運転モードへ移行する操作と判定してもよい。これらの判定は、遠隔操作装置19の操作レバー19a1〜19a4の操作についても同様である。以上のように、自動運転モードへ移行する所定の操作は、通常の運転では行われない操作レバー7a3,7a4の操作であることが望ましいが、操作レバー7a1〜7a4を用いた上記以外の他の操作であってもよい。その他の第7実施形態の構成は、上述した第1実施形態の構成と同じであり、第1実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
次に、本発明の第7実施形態に係る油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われる運搬動作Bの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる放土動作Cについて、図13を参照して詳細に説明する。
図13に示すように、まず、レバー操作判定部17Bは、運転室7の操作レバー7a4又は遠隔操作装置19の操作レバー19a4によって自動運転モードへ移行する操作が行われたかどうかを判定する(S1301)。このとき、オペレータが操作レバー7a4,19a4をバケット開放の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を行わず、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する操作が行われていないと判定すると(S1301/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S1301の処理動作が繰り返される。
S1301において、オペレータが操作レバー7a4又は操作レバー19a4をバケット開放の操作方向へ動かして中立位置に戻す操作を短時間で2回繰返すことにより、レバー操作判定部17Bは、自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定すると(S1301/YES)、制御装置17は、環境認識装置18の認識結果を受信し、ダンプトラック101の荷台102の位置の認識に基づいて、放土動作Cの開始を許可するかどうか、すなわち放土しても大丈夫であるかどうかを判定する(S1302)。このとき、制御装置17は、放土動作Cの開始を許可しない、すなわち放土しても大丈夫でないと判定すると(1302/NO)、自動運転モードへ移行せずに手動運転の状態を保ち、S1301からの処理動作が繰り返される。
S1302において、制御装置17は、放土動作Cの開始を許可する、すなわち放土しても大丈夫であると判定すると(S1302/YES)、制御装置17は、油圧ショベル1の運転状態を手動運転から自動運転モードへ移行させる(S1303)。そして、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a4又は操作レバー19a4のバケット開放の操作方向への操作があるかどうかを判定する(S1304)。このとき、制御装置17は、例えば、S1303において自動運転モードへの移行が行われてから所定の時間内に、操作レバー7a4,19a4のバケット開放の操作方向への操作がないと判定すると(S1304/NO)、自動運転を開始させずに手動運転へ移行し(S1307)、S1301からの処理動作が繰り返される。
S1304において、制御装置17は、操作レバー7a4又は操作レバー19a4のバケット開放の操作方向への操作があると判定すると(S1304/YES)、自動運転制御部17Aは、環境認識装置18の認識結果を受信し、ダンプトラック101の荷台102の位置の認識から目標とする放土位置、及び放土動作Cにおけるブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道を演算する。自動運転制御部17Aは、フロント作業機4の動きが目標とする放土位置、及びブーム4A、アーム4B、バケット4Cの目標軌道と一致するように、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作信号に対応する指令信号を補正する。
そして、自動運転制御部17Aは、補正した指令信号を油圧制御弁14へ送信して自動運転を開始することにより、オペレータの操作レバー7a3,7a4又は操作レバー19a3,19a4の操作を支援しながら土砂をバケット4Cからダンプトラック101の荷台102へ落とす(S1305)。これにより、上述した第1実施形態の運搬動作Bと同様の作用効果を得ることができる。
次に、制御装置17は、環境認識装置18の認識結果を受信し、ダンプトラック101の荷台102の積載状態の認識から放土動作Cが終了したかどうかを判定する(S1306)。このとき、制御装置17は、放土動作Cが終了していないと判定すると(S1306/NO)、S1304からの処理動作が繰り返される。S1306において、制御装置17は、放土動作Cが終了したと判定すると(S1306/YES)、自動運転を停止させて手動運転へ移行し(S1307)、S1301からの処理動作が繰り返される。このように構成した本発明の第7実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第8実施形態]
本発明の第7実施形態では、制御装置17は、レバー操作判定部17Bによって自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定された後、操作レバー7a4又は操作レバー19a4がバケット開放の操作方向へ操作されるまで手動運転を継続する場合について説明した。これに対して、本発明の第8実施形態では、制御装置17は、例えば、レバー操作判定部17Bによって自動運転モードへ移行する操作が行われたと判定され、自動運転モードに移行した後、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかが操作されると、自動運転を停止させて自動運転モードから手動運転へ移行し、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4が操作されなければ、自動運転を継続させるようにしている。その他の第8実施形態の構成は、上述した第7実施形態の構成と同じであり、第7実施形態の構成と同一の又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
以下、本発明の第8実施形態に係る油圧ショベル1の掘削積込作業のうち、手動運転が行われる運搬動作Bの後に自動運転制御部17Aによる自動運転が行われる放土動作Cについて、図14を参照して詳細に説明する。なお、S1401〜S1403、S1407、S1408の処理動作については、上述した図13に示すS1301〜S1303、S1306、S1307の処理動作と同じであるので、重複する説明を省略している。
図14に示すように、S1403の処理動作が行われると、制御装置17の自動運転制御部17Aは、油圧制御弁14に対して指令信号を送信することにより、ブーム4A、アーム4B、及びバケット4Cが目標軌道に沿って動作し、土砂をバケット4Cからダンプトラック101の荷台102へ自動で落とす(S1404)。
次に、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4からの操作信号の受信の有無を確認し、オペレータによる操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があるかどうかを判定する(S1405)。このとき、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4のいずれかの操作があると判定すると(S1405/YES)、S1408の処理動作が行われる。これにより、上述した第2実施形態の運搬動作Bと同様の作用効果を得ることができる。
S1405において、制御装置17は、操作レバー7a1〜7a4,19a1〜19a4の操作がないと判定すると(S1405/NO)、自動運転制御部17Aは、指令信号を油圧制御弁14へ送信し続けて自動運転を継続し(S1406)、S1407の処理動作が行われる。このように構成した本発明の第8実施形態においても、上述した第7実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上述した本実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
また、本発明の第1〜第8実施形態では、掘削積込作業において、油圧ショベル1は、放土対象としてダンプトラック101の荷台102へ土砂を落とした場合について説明したが、この場合に限らず、放土対象として、例えば、予め定められた土砂の積載場等のダンプトラック101の荷台102以外の場所へ土砂を落としてもよい。