以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。本発明は、芳香剤、消臭剤などの揮散性を有するゲル状の薬剤を収容して揮散させる薬剤収容器及び当該薬剤収容器を用いた薬剤揮散器に関するものである。本発明に係る薬剤揮散器は、ゲル状の薬剤を収容した本発明に係る薬剤収容器1(図1に示す)と、薬剤収容器1を取り出し可能に収容する外ケース2(図19〜図28に示す)とを備えている。
まず、ゲル状の薬剤は、揮散性(薬効徐放性)を有し、空気中に徐々に薬剤を揮散することで消臭、芳香、脱臭、虫忌避などの薬効を奏するものである。ゲル状の薬剤は、例えば、水に、ゲル化剤(カラギーナン、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、メタクリル酸重合体など)、界面活性剤、揮散性物質、薬剤成分(消臭・芳香成分、脱臭成分、忌避成分など)などの薬剤成分を溶解又は分散させたゾルを薬剤収容器1内に充填し、その後、冷却してゲル化することで、薬剤収容器1に収容される。消臭・芳香成分としては、任意のものを採用することができ、例えば、天然香料や合成香料、両性界面活性剤系消臭剤、脂肪酸塩系消臭剤、金属系消臭剤、多孔質脱臭剤などを使用することができる。ゲル状の薬剤の露出する一方の端面(表面)は、空気と接触することで薬剤を揮散させる揮散面を構成する。ゲル状の薬剤は、揮散が進むにつれて収縮し、揮散面から他方の端面(裏面)に向かう方向に徐々に減量していくとともに、外周縁部から中心部に向けて全周にわたり徐々に減量していくように収縮する。
次に、薬剤収容器1は、少なくとも一端に端面部10を有するとともに、端面部10の周縁から立ち上がる側面部11を有するものである。この薬剤収容器1は、端面部10を水平方向に対して垂直にして使用される、つまりは、側面部11を水平にして使用される縦置きタイプのものである。本実施形態の薬剤収容器1は、他端にも端面部12を有し、両端面部10,12の間に側面部11を有する。そして、一方の端面部12は、ゲル状の薬剤を内部から外部に揮散させる揮散孔41を少なくとも1つ有している。
また、本実施形態の薬剤収容器1は、全体として直方体形状をなす角型の容器であり、ゲル状の薬剤を収容する容器本体3(図2〜図8に示す)と、容器本体3に着脱自在に取り付けられる蓋4(図9〜図12に示す)とからなる。容器本体3及び蓋4は、弾性を有する透明のプラスチック製である。
容器本体3は、正面視略長方形状の上記端面部10と、端面部10の周縁から立ち上がり端部に開口30を形成する上記側面部11とを有している。また、側面部11の端部にはフランジ部37を有している。側面部11は、上下の上側面部31A及び下側面部31Bと、左右の左側面部31C及び右側面部31Dとからなる。蓋4は、薬剤収容器1の他端の上記端面部12を構成し、容器本体3の開口30と同形状の正面視略長方形状に形成されている。蓋4が容器本体3の開口30に嵌合することにより、開口30が閉塞される。なお、本実施形態では、容器本体3及び蓋4の正面視における四隅の角部は丸みを帯びるように形成されている。また、本説明では、図1のGH方向を上下方向、IJ方向を左右方向とし、GH方向及びIJ方向と直交する方向を前後方向としている。
容器本体3の開口30の周縁には、全周にわたって所定の深さの凹溝32が設けられている。図13に示すように、容器本体3の開口30が蓋4により閉塞される際には、蓋4の外周縁に全周にわたって形成された突壁40が凹溝32に係合する。この凹溝32は、側面部11の端部が、内壁部11A及び内壁部11Aと分岐する外壁部11Bで形成されることで、内壁部11A及び外壁部11Bの間に設けられる。
蓋4には、容器本体3内に空気を導入したり、容器本体3内に収容されたゲル状の薬剤を外部に揮散・放出させるための上記揮散孔41が少なくとも1つ(本実施形態では多数)設けられている。揮散孔41の外形は、円形状に限らず、三角形状や矩形状など種々の形状にすることができる。なお、薬剤収容器1の使用前においては、容器本体3のフランジ部37に蓋4の全面を覆うようにして薄手のフィルムが貼り付けられており、揮散孔41が塞がれている。よって、ゲル状の薬剤が揮散して揮散孔41から外部に放出されることがなく、使用直前にこのフィルムを剥がすことで、揮散孔41を介してゲル状の薬剤の揮散及び外部への放出が可能となる。蓋4の外周縁寄りには、突壁40と同方向に突き出る垂下壁42が設けられている。この垂下壁42は、突壁40より僅かに長く突出しており、蓋4を上下に複数積み重ねる時に、上下の蓋4の間に隙間を作り、蓋4を1個ずつ取り上げやすくするためのスペーサの役割をなすとともに、使用中や輸送中に、薬剤収容器1が転倒し、充填してあるゲル状の薬剤が動いて(ずれて)しまった場合でも、上記垂下壁42によってゲル状の薬剤が蓋4に接触することを防ぐ役割をなす。
また、本実施形態の薬剤収容器1は、偏平状に形成されている。つまり、上下方向の幅d1(左側面部31C及び右側面部31Dの長さ)及び左右方向の幅d2(上側面部31A及び下側面部31Bの長さ)よりも前後方向の幅d3(各側面部31A〜31Dの奥行き)が小さい、厚みの小さな形状に設計されている。薬剤収容器1の偏平度としては、長さが最も長い上下方向の幅d1(左側面部31C及び右側面部31Dの長さ)の前後方向の幅d3(各側面部31A〜31Dの奥行き)に対する比が、2以上であることが好ましい。なお、上記幅d1及び幅d2を「端面部10の幅」といい、上記幅d3を「側面部11の幅」という。
容器本体3の端面部10と側面部11との間の角部33は滑らかに湾曲する湾曲面に形成されている。また、この湾曲面により容器本体3内のゲル状の薬剤の収容空間の角部も滑らかに湾曲している。これにより、容器本体3内に収容されるゲル状の薬剤は、揮散に伴い、容器本体3の側面部11の内面と接する外周縁部から中心部に向けて全周にわたって収縮する際に、滑らかに収縮するようになっている。
容器本体3の端面部10の内面には、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の支持部材34が一体に設けられている。ゲル状の薬剤は、上述したように、揮散に伴い外周縁部から中心部に向けて全周にわたり徐々に収縮していく。支持部材34は、ゲル状の薬剤が収縮する過程において、ゲル状の薬剤を使用終期まで保持するためのものである。
支持部材34は、端面部10の内面から突き出てゲル状の薬剤に貫入している。支持部材34は、先端部がゲル状の薬剤の揮散面から突き出るようにその長さが設定されているが、支持部材34の先端部は、必ずしもゲル状の薬剤の揮散面から突き出ていなくてもよい。また、支持部材34は、側面部11の内面から離れた位置に配置されている。
支持部材34は、複数の突出片35により構成されている。複数の突出片35は、一端(基端)が接続されかつ他端(先端)が互いに離間するように端面部10の面方向に延びている。そして、複数の突出片35のうち、少なくとも2つの突出片35は、当該2つの突出片35の隣り合う1つの側面35A同士がV字状又はL字状をなし、当該側面35A同士の間に内側に凹む角部35Bを有するように配置されている。
具体的には、支持部材34が、例えば2つの突出片35により構成されている場合には、図14(a)又は(b)に示すように、2つの突出片35は、隣り合う1つの側面35A同士が互いにL字状又はV字状をなすように配置され、支持部材34は全体形状として断面視でL字状又はV字状に形成される。なお、上述したV字状には、2つの突出片35の側面35A同士のなす角度が鋭角の場合も鈍角の場合も含んでいる。また、2つの突出片35の側面35Aの間の角部35Bは、尖っていてもよいし、丸みを帯びていてもよい。
支持部材34が、例えば3つ以上の突出片35により構成されている場合には、図15(a)〜(c)に示すように、全ての突出片35の先端が放射状に延びていることで、全ての突出片35について、隣り合う2つの突出片35の隣り合う側面35A同士が互いにL字状又はV字状をなすように配置されていてもよい。この場合には、支持部材34は全体形状として断面視でY字状や十字状(X字状)、アスタリスク状(*状)などに形成される。一方で、図16(a)及び(b)に示すように、支持部材34が3つ以上の突出片35により構成されている場合には、全ての突出片35について、隣り合う2つの突出片35の隣り合う側面35A同士が互いにL字状又はV字状をなすように配置されている必要はなく、少なくとも2つの突出片35について、隣り合う1つの側面35A同士がV字状又はL字状をなすことで、当該側面35A同士の間に角部35Bを有するように配置されていればよい。例えば、支持部材34が3つの突出片35により構成されている場合には、図16(a)に示すように、2つの突出片35を直線状となるように配置し、残り1つの突出片35を直線状の2つの突出片35に対して角部35Bを有するように配置して、支持部材34の全体形状を断面視でT字状に形成してもよい。また、例えば、支持部材34が4つの突出片35により構成されている場合には、図16(b)に示すように、2つの突出片35を直線状となるように配置し、残り2つの突出片35を直線状の2つの突出片35に対して角部35Bを有するように配置して、支持部材34の全体形状を断面視でK字状に形成してもよい。このように、支持部材34は少なくとも1つの角部35Bを有するように突出片35が配置されていれば、種々の形状とすることができる。
なお、突出片35は、本実施形態では、基端から先端まで厚みの均一な平板状であるが、基端から先端に向けて先の尖った板状であってもよい。この場合、例えば図17(a)や(b)に示すように、支持部材34の全体形状は、断面視で手裏剣状(突出片35が4つ)や星型状(突出片35が5つ)に形成される。また、突出片35は、厚みが薄く形成されていても比較的厚く形成されていても構わない。
ゲル状の薬剤の内部に、上記構成の支持部材34が、容器本体3の側面部11の内面から離して設けられていることにより、薬剤収容器1の使用中、ゲル状の薬剤は、揮散に伴い外周縁部から中心部に向けて徐々に収縮する際に、支持部材34の突出片35に引っ掛かって、その一部を突出片35に残存させながら収縮する。よって、薬剤収容器1の使用終期においても、図18に示すように、支持部材34の周囲を取り巻くようにゲル状の薬剤の一部が残存するため、ゲル状の薬剤を保持することができる。その結果、使用中に重力などの影響でゲル状の薬剤の形状が崩れてしまって、ゲル状の薬剤が崩れ落ちてしまうことを抑制できる。
加えて、支持部材34を構成する複数の突出片35のうち、少なくとも2つの突出片35の隣り合う1つの側面35A同士の間に内側に凹む角部35Bを有しており、この角部35Bではゲル状の薬剤の密着性が弱いため、ゲル状の薬剤の収縮時に、ゲル状の薬剤が角部35Bから容易に離れて角部35Bとの間に隙間Sが形成される。この隙間Sは、ゲル状の薬剤の収縮が進行するに連れて徐々に大きくなっていき、使用終期においては、ゲル状の薬剤は、突出片35の側面35Aからほぼ完全に離れて先端部だけで引っ掛かるように収縮して、角部35Bとの間に大きな隙間Sが形成されるようになる。このように、使用済みのゲル状の薬剤は、支持部材34の周囲に隙間Sを介して残存して、支持部材34に密着しないため、支持部材34から使用済みのゲル状の薬剤を容易に取り除くことができる。よって、使用後に薬剤収容器1を廃棄する際に、薬剤収容器1から使用済みのゲル状の薬剤を容易に回収して分別することができる。
上記構成の支持部材34は、先端部、つまりは、容器本体3の端面部10の内面から突き出る方向の端部(開口30側の端部)にいくにしたがって、先細りとなる形状に形成されている。具体的には、各突出片35が裾広がりの台形状や三角形状で形成されていて、支持部材34は断面視の外形が先端に向かうにつれて小さくなっている。このように、支持部材34が先細り形状であると、使用済みのゲル状の薬剤を支持部材34から取り除くのが容易となるので、使用済みのゲル状の薬剤の分別をさらに容易に行うことができる。
上記構成の支持部材34は、端面部10の内面に2つ以上の複数設けられていることが好ましい。これにより、ゲル状の薬剤の収縮時に、支持部材34の間では、ゲル状の薬剤が薄く引き延ばされるから、使用済みのゲル状の薬剤が支持部材34に密着することを防止できる。また、ゲル状の薬剤の収縮力は、支持部材34を互いに引き寄せる力として作用するが、この時、支持部材34が先細り形状であると、ゲル状の薬剤が支持部材34の先端部側に移動しやすくなる。よって、支持部材34から使用済みのゲル状の薬剤をより容易に取り除くことができる。また、支持部材34が複数設けられる場合には、各支持部材34が、容器本体3の左右方向の幅中央位置に、容器本体3の高さ方向の幅を等分割するように一列に配置されるか、端面部10の中心位置の周囲に周方向に沿って均等に配置されているのが好ましい。これにより、各支持部材34が均等に配置されるため、各支持部材34によりゲル状の薬剤をバランスよく保持することができる。
また、支持部材34は、端面部10の中心Oよりも面方向の側方にずれた位置に配置されるとともに、少なくとも1つの突出片35は、その先端が基端よりも当該端面部10の中心Oからずれる方向側(後述する周囲側)に位置するように、向けられていることが好ましい。これにより、支持部材34は、少なくとも1つの角部35Bが端面部10の周囲側を向くように配置される。なお、端面部10の周囲側とは、図2に示すように、支持部材34の各突出片35の基端の接続部分をoとしたときに、この接続部分oを通りかつ支持部材34の端面部10の中心Oからずれる方向とは直交する仮想線lを境界にして、端面部10の中心Oが位置する領域(中心側)とは反対側を指す。例えば、図2に示すように、支持部材34が端面部10の中心Oよりも上方(上側面部31A)側又は下方(下側面部31B)側にずれている場合には、端面部10の中心Oからずれる方向が鉛直方向となるために、仮想線lは各突出片35の接続部分oを通る水平線となり、端面部10の周囲側は、仮想線l(水平線)よりも、端面部10の中心Oから遠ざかる方向、つまりは、上方(上側面部31A)側又は下方(下側面部31B)側となる。そして、上下の周囲側の間が中心側となる。ゲル状の薬剤は、揮散に伴い中心部に向けて徐々に収縮するので、角部35Bが端面部10の周囲側を向いていると、ゲル状の薬剤の収縮時に、支持部材34付近、特に端面部10の周囲側に隙間Sが形成されやすくなる。また、3つ以上の突出片35からなる支持部材34の場合には、少なくとも1つの角部35Bが端面部10の周囲側を向くとともに、他の少なくとも1つの角部35Bが端面部10の中心側を向くように配置されていることが好ましい。これにより、支持部材34付近のうち、端面部10の中心側においても角部35Bとの間に隙間Sが形成されやすくなる。また、端面部10の中心側において形成された隙間Sは、一旦形成されると、ゲル状の薬剤の収縮の進行に伴って大きくなる。よって、支持部材34から使用済みのゲル状の薬剤を取り除くことがさらに容易となるので、使用済みのゲル状の薬剤の分別をさらに容易に行うことができる。なお、角部35Bは、端面部10の周囲側及び中心側のいずれか一方だけを向いている必要はなく、周囲側及び中心側の両領域に跨って位置していてもよい。
本実施形態のように、支持部材34が、4つの突出片35を備え、4つの突出片35が十字状をなすように配置され、2つの角部35Bが端面部10の周囲側を、残りの2つの角部35Bが端面部10の中心側を向くように配置されていると、上述した効果を良好に実現することができる。
容器本体3の側面部11の内面には、側面部11の奥行き方向に長く延びるとともに内側に向けて突き出る板状のリブ36が一体に設けられている。一般的に、ゲル状の薬剤は、時間の経過とともに含有する水分が吐き出されて遊離する。ここで、薬剤収容器1が、容器本体3の端面部10を水平方向に対し垂直にした縦置きで使用される場合には、このゲル状の薬剤から遊離した水分が下方に向かって流れ落ち、薬剤収容器1の下部に貯まってしまう。この水分が薬剤収容器1の下部に貯まると、薬剤収容器1から水分が漏れ出してしまうという問題があるとともに、水分が貯まった下部ではゲル状の薬剤の揮散が生じ難く、その結果、収縮に遅れが生じるのに対して、上部においてはゲル状の薬剤の揮散が進んで収縮するため、ゲル状の薬剤が均一に収縮しないという問題がある。このリブ36は、薬剤収容器1を縦置きで使用した場合に、ゲル状の薬剤から遊離した水分が下方に向かって流れ落ちるのを堰き止めるために設けられており、リブ36により、ゲル状の薬剤から遊離した水分が下方に向かって流れ落ちるのが抑制されることで、薬剤収容器1の上部と下部の水分量の差をなくすことができるので、上記した問題を解消することができる。また、ゲル状の薬剤は柔らかく、薬剤収容器1を縦置きで使用した場合、その自重で下方に垂れてくるという問題もあったが、リブ36によってゲル状の薬剤を引っ掛けることができるので、この問題を解消することもできる。
リブ36は、上記問題を解消するために、容器本体3の側面部11の頂部位置及び底部位置以外の少なくとも1箇所に設けられている。頂部位置及び底部位置とは、側面部11の内面の上下方向において最も高さの高い位置及び低い位置を指しており、本実施形態のように、薬剤収容器1を左側面部31C及び右側面部31Dを縦向きにして使用する場合では、平坦な上側面部31A及び下側面部31Bが頂部位置及び底部位置である。よって、本実施形態では、リブ36は、左側面部31C及び/又は右側面部31Dに必ず1つは設けられている。また、リブ36は、容器本体3の端面部10まで到達していることが好ましい。
なお、リブ36は、側面部11の高さ方向の中央位置、本実施形態では、左側面部31C及び右側面部31Dの長さ方向の中央位置に、左右に対をなすように設けられているのが好ましい。これにより、まず、ゲル状の薬剤の上半分で遊離した水分をリブ36により下方に流れ落ちるのを堰き止めることができ、ゲル状の薬剤の下半分が流れ落ちる水分の影響により揮散及び収縮が遅れることを抑制できる。
また、リブ36は、側面部11の高さ方向の複数箇所、本実施形態では、左側面部31C及び右側面部31Dの長さ方向の複数箇所に、左右に対をなすように設けられているのが好ましい。つまり、上述した中央位置のリブ36に加えて、中央位置のリブ36の上方及び下方にリブ36が少なくとも1つずつ設けられるのが好ましい。これにより、ゲル状の薬剤の上半分及び下半分において、それぞれ途中で遊離した水分をリブ36により下方に流れ落ちるのを堰き止めることができる。その結果、ゲル状の薬剤を全体的に均一に揮散及び収縮させることができる。本実施形態では、中央位置のリブ36の上方及び下方にリブ36が1つずつ設けられているが、2つ以上設けられていてもよい。なお、リブ36によりゲル状の薬剤に切れ目が入ることから、多くのリブ36を設けることで、ゲル状の薬剤が収縮する際に歪むのを抑制することができる。
また、側面部11の高さ方向の中央位置のリブ36は、その他のリブ36よりも内側に向けて大きく突き出るように形成されていることが好ましい。これにより、ゲル状の薬剤の上半分で遊離した水分を、中央位置のリブ36により下方に流れ落ちるのを効果的に堰き止めることができる。なお、本実施形態では、上述した中央位置のリブ36は、先端部、つまりは、容器本体3の開口30側の端部にいくにしたがって、先細りとなる形状に形成されている。具体的には、裾広がりの略台形状に形成されている。これにより、ゲル状の薬剤の上半分で遊離した水分を、中央位置のリブ36により下方に流れ落ちるのをより効果的に堰き止めることができる。
また、本実施形態では、容器本体3の下側面部31Bと左側面部31C及び右側面部31Dとの間の2つの隅に、側面部11の奥行き方向に長く延びるとともに内側に向けて突き出る板状のリブ38がさらに設けられている。これにより、ゲル状の薬剤から遊離した水分が下方に流れ落ちて、薬剤収容器1の下部に到達したとしても、この隅のリブ38により下側面部31Bに流れ出るのを堰き止めることができる。その結果、薬剤収容器1の下部に水分が貯まるのを防止できるので、薬剤収容器1から水分が漏れ出ることを防止できる。なお、本実施形態では、容器本体3の上側面部31Aと左側面部31C及び右側面部31Dとの間の2つの隅にも、当該リブ38が設けられている。これにより、薬剤収容器1が使用時に、容器本体3の上側面部31Aと下側面部31Bのどちらを上にして使用されても、上述した効果を実現可能になっている。
また、本実施形態では、容器本体3の下側面部31Bには、長さ方向の中央位置を挟んで対向するように、側面部11の奥行き方向に長く延びるとともに内側に向けて突き出る板状のリブ39がさらに設けられている。これにより、容器本体3の下側面部31Bに、ゲル状の薬剤から遊離した水分が流れ出たとしても、下側面部31Bの長さ中央位置にこの水分が集まることをリブ39により堰き止めることができる。よって、薬剤収容器1から水分が漏れ出ることをより効果的に防止できる。なお、本実施形態では、容器本体3の上側面部31Aにも、長さ方向の中央位置を挟んで対向するように、当該リブ39が設けられている。これにより、同様に、薬剤収容器1が使用時に、容器本体3の上側面部31Aと下側面部31Bのどちらを上にして使用されても、上述した効果を実現可能になっている。
なお、本実施形態では、容器本体3の側面部11の高さ方向の中央位置のリブ36以外は、側面部11の内面から突き出る長さが基端部から先端部まで均一な長方形状に形成されているが、側面部11の高さ方向の中央位置のリブ36と同様に、裾広がりの略台形状に形成されていて、内側に向けて大きく突き出るように形成されていてもよい。
次に、図19〜図28に示すように、外ケース2は、プラスチックなどの弾性を有する材料で形成されており、薬剤収容器1を収容可能なケース本体5(図29〜図33に示す)と、ケース本体5に対してスライド移動可能に取り付けられるカバー6(図34〜図38に示す)と、取り付けられたカバー6をケース本体5に固定するロック手段7と、を備えている。外ケース2は、薬剤収容器1を棚や机などの台上に据え置いて使用する際に台上に安定して載置するために用いられるものであり、また、使用時に薬剤収容器1が露出していると商品としての美観を損ねてしまうので、商品としての美観を向上させるために用いられるものである。なお、本説明では、図19のST方向を上下方向、UV方向を前後方向、XY方向を左右方向としている。
ケース本体5は、本実施形態では薬剤収容器1の形状と対応して全体として直方体形状をなす角型の容器状であり、後板部51と、上下の上板部52及び下板部53と、左右一対の側板部54とを備えており、上板部52、下板部53及び両側板部54が後板部51の周縁から立ち上がるように一体に設けられている。各板部51〜54で囲まれた空間が薬剤収容器1の収容空間であり、薬剤収容器1は、ケース本体5の前面側の開口部50からケース本体5内に収容可能である。
上板部52及び下板部53の内面には、それぞれ、垂直方向下方及び上方に突き出る板状の突片55が一体に設けられている。突片55は、断面視略L字形状をなしており、横向きの一方の板状部が上板部52及び下板部53の内面に、縦向きの他方の板状部が後板部51の内面に、それぞれ一体に設けられている。突片55は、ケース本体5に収容される薬剤収容器1(容器本体3)の端面部10と上側面部31A及び下側面部31Bとを支持して位置決めするよう、端面部10と上側面部31A及び下側面部31Bとの角部33の形状に沿う形状に形成されている。この突片55は、2つ1組で、上板部52及び下板部53にそれぞれ4箇所ずつ(合計8つ)設けられている。また、左右の側板部54の内面にも、それぞれ、水平方向に突き出る板状の突片56が一体に設けられている。突片56の先端部により、ケース本体5に収容される薬剤収容器1(容器本体3)の左右の側面部31C,31Dの位置決めがなされる。この突片56は、左右の側板部54にそれぞれ2つずつ設けられている。
下板部53の開口部50側の端部(前端部)の長さ中央位置には、指1本入る程度にU字形状に切り欠かれた切欠部57が形成されている。この切欠部57を介して指先で薬剤収容器1を引っ掛けて持ち上げることで、薬剤収容器1をケース本体5の開口部50から容易に取り出すことができる。また、両側板部54の開口部50側の端部(前端部)の長さ中央位置には、指数本入る程度に台形状に切り欠かれた切欠部58が形成されている。両切欠部58を介して薬剤収容器1を両サイドから掴んで持ち上げることで、薬剤収容器1をケース本体5の開口部50から容易に取り出すこともできる。
また、両側板部54の外面は段になっており、外面の高さが低く位置する段差部分54Aが、側板部54の全幅にわたって、側板部54の下板部53側から所定の長さにかけて形成されている。両側板部54の段差部分54Aと、段差部分54A以外の肉厚部分54Bとの段差は、後述するカバー6の側板部64の厚みとほぼ同じであり、カバー6をケース本体5に対してスライド移動させた際に、カバー6の両側板部64が、ケース本体5の両側板部54の段差部分54A上を摺動して段部54Cに突き当たるようになっている。また、後板部51の外面も段になっており、外面の高さが低く位置する段差部分51Aが両側板部54の段差部分54Aと連続するように形成されている。この後板部51の段差部分51Aは、カバー6の後板部63と形状が略一致しており、後板部51の両側板部54及び下板部52側から所定の長さにかけて平面視コ字状(略U字状)に形成されている。後板部51の段差部分51Aと、段差部分51A以外の肉厚部分51Bとの段差は、カバー6の後板部63の厚みとほぼ同じであり、カバー6をケース本体5に対してスライド移動させた際には、カバー6の後板部63が、ケース本体5の後板部51の段差部分51A上を摺動して段部51Cに突き当たるようになっている。
また、後板部51には、略中央部分に窓孔59が形成されている。この窓孔59から、外ケース2内に収容された薬剤収容器1の一部分を視認可能である。ここで、薬剤収容器1において、支持部材34は、薬剤収容器1が外ケース2内に収容された際に窓孔59内に納まるように、容器本体3の端面部10に配置されているのが好ましい。上述したように、薬剤収容器1内のゲル状の薬剤は、揮散に伴い、支持部材34に保持された状態で、外周縁部から中心部に向けて全周にわたり徐々に収縮する。よって、使用終期においては、支持部材34の周囲を取り巻くようにしてゲル状の薬剤の一部が残存する。そのため、窓孔59を介して薬剤収容器1の内部を覗くと、ゲル状の薬剤の状態を目視にて容易に把握することができ、使用者は、薬剤収容器1の使用終期を確認することができる。その結果、薬剤収容器1を、ゲル状の薬剤の薬効が残っているにもかかわらず廃棄してしまったり、薬効が得られない状態で使用し続けたりすることを防止できる。なお、窓孔59の外形は、本実施形態では長方形状であるが、必ずしもこれに限られるものではなく、円形状、楕円形状、三角形状など、種々の形状であって構わない。
カバー6は、ケース本体5に対してスライド移動することで、ケース本体5の開口部50を開閉可能である。カバー6により開口部50が閉塞されることで、薬剤収容器1が外ケース2内に収容されて外ケース2から取り出されることが防止され、薬剤収容器1を外部から見えないように隠すことができる。
カバー6は、本実施形態ではケース本体5の形状と対応して全体として直方体形状をなす角型の容器状であり、下板部61と、前後の前板部62及び後板部63と、左右一対の側板部64とを備えており、前板部62、後板部63及び両側板部64が下板部61の周縁から立ち上がるように一体に設けられている。各板部61〜64で囲まれた空間にケース本体5を挿入可能であり、カバー6の上部はケース本体5を挿入するための開口部60となっている。
下板部61の外面には、四隅に半球状の小突起65が一体に設けられている。外ケース2は、カバー6の下板部61を下方にして使用され、下板部61はケース本体5を支持して台上に載置される載置面となる。各小突起65が下板部61の外面に形成されていることにより、外ケース2を安定して台上に載置できる。
後板部63は、開口部60側の端部(上端部)の長さ中央位置が矩形状に大きく切り欠かれていることで、外形がコ字状(略U字状)に形成されている。この後板部63の外形は、ケース本体5の後板部51の段差部分51Aの外形と略一致しており、カバー6をケース本体5に対してスライド移動により取り付けた際には、カバー6の後板部63がケース本体5の後板部51の段差部分51A上に位置する。すなわち、ケース本体5の後板部51の段差部分51A以外の肉厚部分51Bが、カバー6の後板部63の切欠部63Aに嵌り込む。
前板部62は、後板部63及び両側板部64よりもその長さが長く形成されており、前板部62の開口部60側の端部(上端部)は後板部63及び両側板部64の開口部60側の端部(上端部)よりも突き出ている。前板部62は、カバー6がケース本体5に取り付けられた際に、この開口部60側の端部(上端部)がケース本体5から上方に飛び出すように、その長さが設定されている。この前板部62の開口部60側の端部(上端部)のように、カバー6の開口部60側の端部の少なくとも一部がケース本体5から上方に飛び出していることで、使用者は、外ケース2を台上に載置する際に置く向きを間違えることなく、カバー6の下板部61が下方にして載置されるよう促すことができる。
また、前板部62には、スリット状の放出孔66が設けられており、放出孔66を通して薬剤収容器1から揮散した薬剤が外ケース2の外部に効果的に放出される。なお、放出孔66は、複数設けられていることが好ましいが、少なくとも1つ設けられていればよい。また、放出孔66の形状もスリット状である必要はなく、円形状など種々の形状とすることができる。
ロック手段7は、ケース本体5又はカバー6の一方に設けられる係合孔8と、ケース本体5又はカバー6の他方に設けられる係合片9とを備えている。ケース本体5に対するカバー6のスライド移動に従い係合片9が係合孔8に係合することで、カバー6を、ケース本体5の開口部50を閉塞する閉塞位置でケース本体5に固定することができる。本実施形態では、カバー6に係合孔8が設けられ、ケース本体5に係合片9が設けられている。
係合片9は、ケース本体5の後板部51(肉厚部分51B)に弾性変形可能に支持されている。後板部51には、下板部53側の端部(下端部)から上方の肉厚部分51Bに向けて延びる一対の切り欠き92が間隔をあけて設けられ、両切り欠き92の間に係合片9が設けられている。両切り欠き92は、その途中で一部が互いに近接する方向に向けて折れ曲がっている。これにより、係合片9は、肉厚部分51Bから延びる平面視長方形状のヒンジ部90と、ヒンジ部90の先端に連続して設けられた外形が略五角形状(ホームベース状)の係合部91とで構成され、係合部91は、ヒンジ部90を中心に回動して内外に変位可能になっている。また、ケース本体5の下板部53の後板部51側の端部の長さ中央位置には、矩形状に切り欠かれた切欠部95が形成されている。この切欠部95は後板部51にまでわたっており、両切り欠き92と連続している。
係合部91は、ヒンジ部90よりも厚みが大きく形成されている。また、係合部91は、先端側に向けて厚みが薄くなるように、外側の面、具体的には、カバー6をケース本体5に取り付けた際にカバー6の係合孔8と対向する側の面が傾斜面に形成されている。一方、係合片9(係合部91及びヒンジ部90)の内側の面、具体的には、カバー6をケース本体5に取り付けた際に後述するカバー6の規制片93と対向する側の面(カバー6の係合孔8と対向しない側の面)には、突起94が少なくとも1つ(本実施形態では4つ)設けられている。突起94は、本実施形態では、係合片9の先端側から他端側に向けて延びる直線状に形成されている。突起94はロック手段7を構成している。
係合孔8は、カバー6の後板部63に設けられている。係合孔8の外形は、係合片9の係合部91の外形と対応するよう略五角形状に形成されており、係合部91が難なく嵌まるように、外形が係合部91よりも僅かに大きく形成されている。また、係合孔8の近傍には、係合孔8の少なくとも一部を覆うように係合孔8から間隔をあけて板状の規制片93が配置されている。この規制片93は、ロック手段7を構成しており、カバー6の下板部61の内面に弾性変形可能に設けられている。規制片93は、カバー6をケース本体5に取り付ける際に、ケース本体5の下板部53の切欠部95を通って、係合片9に対し係合孔8とは反対側に位置するようになっている。
上記構成の外ケース2において、カバー6をケース本体5へ取り付ける際には、カバー6の開口部60からケース本体5を挿入した後、ケース本体5に対してカバー6を開口部50を閉塞する閉塞位置までスライド移動させる。このカバー6の閉塞位置までのスライド移動に伴い、係合片9がカバー6の後板部63の内側に入り込むと、係合片9はカバー6の後板部63により押されて係合孔8とは反対側の内側に弾性変形する。その後、カバー6が閉塞位置までスライド移動して、係合部91が係合孔8と重なると、係合片9が弾性力により元の状態に復帰動作することで、係合部91が係合孔8側に自然に変位して係合孔8に係合する。これにより、カバー6がケース本体5に固定されるので、薬剤収容器1の使用時において、薬剤収容器1が外ケース2から取り出されることが防止される。なお、このカバー6の固定時においては、係合部91が先端側に向けて厚みが薄くなっていることで、係合部91がカバー6の後板部63の内側に入り込みやすくなっている。また、係合片9が突起94を介して規制片93に突き当たることで、係合部91が係合孔8とは反対側の内側に容易に変位することが規制されている。よって、係合片9が係合孔8から容易に抜け出ることが防止されている。
一方、カバー6をケース本体5から取り外す際には、係合片9の係合部91を指先で押圧して係合孔8とは反対側の内側に変位させる。これにより、係合部91と係合孔8との係合が外れるので、指先でそのまま係合部91を係合孔8から押してケース本体5をカバー6から飛び出す方向に押し出すことで、片手で容易にカバー6の固定を解除することができ、カバー6をケース本体5から取り外すことができる。ここで、係合部91は、先端側に向けて厚みが薄くなるように、カバー6をケース本体5に取り付けた際にカバー6の係合孔8と対向する側の面が傾斜面に形成されていることから、係合部91を指先で押圧すると、前記傾斜面に沿って、厚みが薄くなった先端側に指先が入り込み、指先が入り込んだ後、次いで、他端側に向けて前記傾斜面を押しやすくなっている。なお、このカバー6の固定解除時においては、係合片9が突起94を介して規制片93に突き当たることで、係合部91が強い力で押圧されても、規制片93により係合部91が係合孔8とは反対側の内側に大きく変位することが規制されている。よって、係合片9が過度に弾性変形することがないので、係合片9が破損することが防止されている。また、係合部91が先端側に向けて厚みが薄くなっていることで、係合部91を指先で押圧して係合孔8から押し出しやすくなっており、より容易にカバー6の固定を解除することができる。
また、上記構成の外ケース2によれば、薬剤収容器1を収容するケース本体5に対してカバー6をスライド移動可能に取り付け、カバー6の閉塞位置へのスライド移動に従い係合片9が係合孔8に自然に係合することで、カバー6がケース本体5に固定される。よって、薬剤収容器1の使用時において、薬剤収容器1が外ケース2から取り出されることを防止できる。
加えて、カバー6をスライド移動させてケース本体5の開口部50をオープンにするだけで薬剤収容器1の取り出し又は収容が可能になっており、カバー6のスライド移動に際しては、係合片9を押圧するだけでカバー6の固定が解除されてスライド移動が可能になっているので、薬剤収容器1の交換作業を簡単に行うことができる。
加えて、ケース本体5の後板部51に窓孔59が設けられており、窓孔59を介して外ケース2内に収容された薬剤収容器1の一部を外部から視認できるので、薬剤収容器1内のゲルの薬剤の状態を経時的に目視により把握することができる。また、薬剤収容器1の支持部材34が窓孔59内に納まるように配置されていると、薬剤収容器1の使用終期においては、支持部材34の周囲を取り巻くようにしてゲル状の薬剤の一部が残存するため、窓孔59を介して薬剤収容器1の内部を覗いてゲル状の薬剤の状態を目視にて確認すれば、使用者は、薬剤収容器1の使用終期を把握することができる。その結果、薬剤収容器1を、ゲル状の薬剤の薬効が残っているにもかかわらず廃棄してしまったり、薬効が得られない状態で使用し続けたりすることを防止できる。
加えて、カバー6の開口部60側の端部の少なくとも一部(本実施形態では、前板部62の開口部60側の端部)がケース本体5から上方に飛び出しているので、使用者は、外ケース2を台上に載置する際に置く向きを間違えることがなく、カバー6の下板部61を下方にして載置されるよう促すことができる。
以上のように、本発明の薬剤収容器1及び薬剤揮散器によれば、薬剤収容器1の使用中において、ゲル状の薬剤は、支持部材34の周囲を取り巻くように収縮するため、ゲル状の薬剤の外形を保持することができる。その結果、使用中に重力などの影響でゲル状の薬剤の形状が崩れてしまって、ゲル状の薬剤が崩れ落ちてしまうことを抑制できる。
その上で、支持部材34が複数の突出片35で構成され、少なくとも2つの突出片35の隣り合う1つの側面35A同士の間に内側に凹む角部35Bが設けられているので、ゲル状の薬剤の収縮時においては、ゲル状の薬剤が角部35Bから容易に離れて角部35Bとの間に隙間Sが形成される。この隙間Sは、ゲル状の薬剤の収縮が進行するに連れて徐々に大きくなる。よって、使用終期においては、ゲル状の薬剤は、支持部材34の周囲に隙間Sを介して残存しており、支持部材34に密着しないため、支持部材34から使用済みのゲル状の薬剤を容易に取り除くことができる。よって、使用後に薬剤収容器1を廃棄する際に、薬剤収容器1から使用済みのゲル状の薬剤を容易に回収して分別することができる。
加えて、支持部材34は、先端部にいくにしたがって、先細りとなる形状に形成されているので、使用済みのゲル状の薬剤を支持部材34から取り除くのがさらに容易となる。
加えて、支持部材34が2つ以上設けられているので、ゲル状の薬剤の収縮時においては、支持部材34の間では、ゲル状の薬剤が薄く引き延ばされる。よって、使用済みのゲル状の薬剤が支持部材34に密着することをさらに効果的に防止できる。また、ゲル状の薬剤の収縮力は、支持部材34を互いに引き寄せる力として作用するが、この時、支持部材34が先細り形状であると、ゲル状の薬剤が支持部材34の先端部側に移動しやすくなる。よって、支持部材34から使用済みのゲル状の薬剤をさらに容易に取り除くことができる。
加えて、支持部材34の少なくとも1つの角部35Bが端面部10の周囲側を向いているので、ゲル状の薬剤の収縮時においては、支持部材34付近、特に端面部10の周囲側に上記隙間Sが形成されやすくなる。また、支持部材34の他の角部35Bが端面部10の中心側を向いていると、端面部10の中心側において形成された隙間Sは、一旦形成されると、ゲル状の薬剤の収縮の進行に伴って大きくなる。よって、支持部材34から使用済みのゲル状の薬剤を取り除くことをさらに容易にすることができる。なお、角部35Bは、端面部10の周囲側及び中心側のいずれか一方だけを向いている必要はなく、周囲側及び中心側の両領域に跨って位置していてもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明に係る薬剤収容器1及び薬剤揮散器の具体的な態様は上記した実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、薬剤収容器1は、容器本体3と蓋4とが別部材で構成されているが、容器本体3と蓋4とが一体の構成のものであってもよい。また、薬剤収容器1及び外ケース2は角型の容器状に形成されているが、これに限定される必要はなく、種々の形状に形成してもよい。
また、本実施形態では、薬剤収容器1を外ケース2内に収容して使用することで、机や棚、台などの平坦な載置面上に薬剤収容器1を縦置きして使用する据え置き型を開示しているが、単に薬剤収容器1を縦向きに吊り下げて使用することもできる。ただし、薬剤収容器1を縦向きに吊り下げて使用する場合には、薬剤収容器1の端面部10が水平方向に対し完全には垂直とならず、若干傾く場合も想定されるが、この薬剤収容器1の端面部10が傾く場合も水平方向に対し垂直にするとの概念に含まれる。