(第一実施形態)
以下、第一実施形態を説明する。
図1に示すように、逐次比較型のアナログデジタル変換回路(以下、A/D変換回路)10は、アナログ入力信号VINをデジタル出力信号DOUTに変換する。
デジタル出力信号DOUTは、たとえば4ビットのデジタル出力信号D3〜D0である。デジタル出力信号D0は最下位ビット(LSB:Least Significant Bit)、デジタル出力信号D3は最上位ビット(MSB:Most Significant Bit)である。
A/D変換回路10は、デジタルアナログ変換回路(以下、D/A変換回路)11、比較器12、変換制御回路13、測定制御回路14、補正回路15、選択回路16,17を有している。
D/A変換回路11は、アナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、コモン電圧VCM、制御信号CSWに基づいて出力電圧Voを生成する。第1基準電圧VRPと第2基準電圧VRMは、アナログ入力信号VINの全入力電圧範囲(FSR:Full Scale Range)に応じて設定される。コモン電圧VCMの電圧値は、第1基準電圧VRPと第2基準電圧VRMとの間の電圧に設定される。
D/A変換回路11は、電荷再配分型のデジタルアナログ変換回路(CDAC:Capacitive Digital-to-Analog Converter)である。このD/A変換回路11は、判定用の主キャパシタCA4,CA3,CA2,CA1,CA0を有している。それらの主キャパシタCA4,CA3,CA2,CA1,CA0には、主スイッチSA4,SA3,SA2,SA1,SA0によりアナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMが供給される。主キャパシタCA4〜CA0には、リセットスイッチSR0によりコモン電圧VCMが供給される。さらに、D/A変換回路11は、判定用の主キャパシタCA4〜CA0のうち、測定対象とする主キャパシタCA4〜CA2の容量値を測定するための測定キャパシタCM2,CM1,CM0を有している。それら測定キャパシタCM2,CM1,CM0には、測定スイッチSM2,SM1,SM0によりアナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMが供給される。
主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0の第1端子は共通信号線LCに接続されている。共通信号線LCはリセットスイッチSR0の第1端子に接続され、リセットスイッチSR0の第2端子にはコモン電圧VCMが供給される。
主スイッチSA4〜SA0,測定スイッチSM2〜SM0は、主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0の第2端子に対して、制御信号CSWに応じて、アナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMを供給する。制御信号CSWは、主スイッチSA4〜SA0,測定スイッチSM2〜SM0をそれぞれ独立して制御するための複数の信号を含む。また、制御信号CSWは、共通信号線LCに対してコモン電圧VCMを供給するリセットスイッチSR0を制御するための信号を含む。
なお、図1に示す主スイッチSA4は、主キャパシタCA4に対して、アナログ入力信号VIN,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRMを選択的に供給するための一例である。したがって、たとえば4つのスイッチを主キャパシタCA4に接続し、各スイッチを制御して主キャパシタCA4に対して、アナログ入力信号VIN,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRMを供給するようにしてもよい。他の主スイッチSA3〜SA0,測定スイッチSM2〜SM0についても同様である。
なお、アナログ入力信号VINのレベルを判定するとき(判定時)に、アナログ入力信号VINに応じた出力電圧Voを生成し、その出力電圧Voとコモン電圧VCMとを比較して判定信号Kaを生成する。たとえば、主キャパシタCA4に接続された主スイッチSA4に対する制御信号CSWは、デジタル信号Da(Da4)に応じた値を取る。したがって、以下の説明において、主スイッチSA4に対する制御信号として、符号「Da4」を用いることがある。同様に、主キャパシタCA3〜CA0に接続された主スイッチSA3〜SA0に対する制御信号CSWとして、符号「Da3」〜「Da0」を用いることがある。
D/A変換回路11の共通信号線LCは、比較器12に接続されている。比較器12の反転入力端子には、D/A変換回路11からの出力電圧Voが供給される。比較器12の非反転入力端子には、コモン電圧VCMが供給される。比較器12は、出力電圧Voを判定して判定信号Kaを出力する。詳しくは、比較器12は、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較し、その比較結果に応じたレベルの判定信号Kaを出力する。判定信号Kaは、変換制御回路13と測定制御回路14に供給される。
変換制御回路13は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLa,変換制御信号CSa,デジタル信号Daを生成する。変換制御回路13は、判定信号Kaの値を逐次保持するレジスタと、デジタル信号Daと変換制御信号CSaを生成するロジック回路とを有している。また、変換制御回路13は、判定信号Kaを得るためのラッチ信号CLaを出力する。そして、変換制御回路13は、保持した判定信号Kaの値に応じて、デジタル信号Daを出力する。デジタル信号Daは、D/A変換回路11の主キャパシタCA4〜CA0に応じた5ビットの信号である。
測定制御回路14は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLb,測定制御信号CSb,容量値Waを生成する。測定制御回路14は、判定信号Kaに基づいて測定制御信号CSbを生成するロジック回路と、複数の測定制御信号CSbの値を保持するレジスタを有している。測定制御回路14は、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2に対応する測定制御信号CSbの値を保持する。そして、測定制御回路14は、保持した測定制御信号CSbの値に応じた容量値Waを出力する。容量値Waは、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2の容量値を含む。主キャパシタCA4〜CA2の容量値をWa4〜Wa2とする。
本実施形態の測定制御回路14は、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2の容量値を、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2より下位ビットの主キャパシタCA3〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0を用いて測定する。たとえば、測定制御回路14は、主キャパシタCA2の容量値を、主キャパシタCA0,CA1と測定キャパシタCM2〜CM0を用いて測定する。同様に、測定制御回路14は、主キャパシタCA3の容量値を、主キャパシタCA2〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0を用いて測定する。そして、測定制御回路14は、主キャパシタCA4の容量値を、主キャパシタCA3〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0を用いて測定する。
選択回路16には、変換制御回路13からの変換制御信号CSaと、測定制御回路14からの測定制御信号CSbが供給される。さらに、選択回路16には、選択信号SELが供給される。選択信号SELは、A/D変換回路10の動作を選択するための信号である。本実施形態において、A/D変換回路10の動作は、D/A変換回路11の主キャパシタCA4〜CA2の容量値を測定する測定動作と、アナログ入力信号VINをデジタル出力信号DOUTに変換する変換動作である。選択信号SELは、たとえば、CPU等の回路から供給される。第1レベル(たとえばLレベル)の選択信号SELは変換動作を示し、第2レベル(たとえばLレベル)の選択信号SELは測定動作を示す。選択回路16は、第1レベルの選択信号SELに応答して変換制御信号CSaを選択し、その変換制御信号CSaと等しい制御信号CSWを出力する。選択回路16は、第2レベルの選択信号SELに応答して測定制御信号CSbを選択し、その測定制御信号CSbと等しい制御信号CSWを出力する。
同様に、選択回路17には、変換制御回路13からのラッチ信号CLaと、測定制御回路14からのラッチ信号CLbと、選択信号SELが供給される。選択回路17は、第1レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLaを選択し、選択したラッチ信号CLaと等しいラッチ信号CLを出力する。選択回路17は、第2レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLbを選択し、選択したラッチ信号CLbと等しいラッチ信号CLを出力する。したがって、変換処理を行うとき、D/A変換回路11と比較器12は、変換制御回路13により制御される。一方、測定処理を行うとき、D/A変換回路11と比較器12は、測定制御回路14により制御される。
補正回路15は、変換制御回路13から出力されるデジタル信号Daを、測定制御回路14から出力される容量値Waに基づいて補正してデジタル出力信号DOUTを生成する。補正回路15は、測定対象以外の主キャパシタCA1,CA0の容量値を記憶している。補正回路15は、デジタル信号Daの各ビットと、主キャパシタCA4〜CA2の容量値Waと、記憶した主キャパシタCA1,CA0の容量値とに基づいて、アナログ入力信号VINの電圧値を算出する。この算出する電圧値は、D/A変換回路11の主キャパシタCA4〜CA0の設計値に対して、測定制御回路14により測定した主キャパシタCA4〜CA2の容量値に応じて補正した値である。そして、このデジタル値は、アナログ入力信号VINの入力範囲である第1基準電圧VRPと第2基準電圧VRMの間の電位差を、主キャパシタCA4〜CA0の容量値に応じて設定した分解能(ステップ)に基づく値である。したがって、補正回路15は、算出した電圧値を、4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換し、そのデジタル出力信号DOUTを出力する。
ここで、D/A変換回路11に含まれる主キャパシタCA4〜CA0の容量値について説明する。
図2(a)は、設計時における主キャパシタCA4〜CA0の容量値(比)を示す。
主キャパシタCA4〜CA0の容量値は、所定の比率(8:5:3:2:1)で重み付けられる。測定キャパシタCM2〜CM0の容量値は、所定の比率(2:1:1)で重み付けられる。さらに、測定キャパシタCM2〜CM0の容量値は、主キャパシタCA0の容量値に応じて設定される。本実施形態では、測定キャパシタCM2〜CM0の容量値を合計した値が、主キャパシタCA0の容量値と等しく設定される。したがって、測定キャパシタCM2〜CM0と主キャパシタCA4〜CA0の容量値はそれぞれ、8C,5C,3C,2C,1C,0.5C,0.25C,0.25Cとなる。ここで、「C」は単位容量値である。
製造された主キャパシタCA4〜CA0の容量値(製造値)と、設計時の容量値(設計値)との間に差を生じる場合がある。このような容量値の差を容量ミスマッチと呼ぶ。比率が大きなキャパシタ、つまり重み付けの大きなキャパシタにおける容量ミスマッチは、A/D変換回路10の特性(積分非直線性(INL),微分非直線性(DNL))に影響する。
図2(b)は、容量ミスマッチの一例を示す。
主キャパシタCA3の容量値は、設計値「5C」に対して製造値「6.1C」と増加している。主キャパシタCA4の容量値は、設計値「8C」に対して製造値「7.2C」と減少している。なお、この図2(b)において、主キャパシタCA2は容量ミスマッチが発生していない場合を示す。
図1に示す変換制御回路13は、製造値の主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0を用いて、アナログ入力信号VINに応じた5ビットのデジタル信号Daを生成する。測定制御回路14は、主キャパシタCA4〜CA2の製造値を測定する。そして、補正回路15は、測定した主キャパシタCA4〜CA2の容量値(製造値)と、主キャパシタCA1,CA0の容量値(設計値)に基づいて、デジタル信号Daを補正して4ビットのデジタル出力信号DOUTを生成する。
そして、主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0の容量値は、上記の測定を可能とするように設定されている。その設定の条件は、以下の通りである。
・製造ばらつきが生じても、補正対象のビットの容量値が、そのビットより下位のビットの容量値の合計値以下となるように設定する。
・製造ばらつきが生じても、そのキャパシタを用いてアナログ入力信号を変換したデジタル信号のコード幅が、アナログデジタル変換回路の出力するデジタル出力信号のコード幅以上になるように、設定する。
たとえば、図2(a)及び図2(b)に示すように、キャパシタの製造値は、設計値よりも増加する場合がある。たとえば、主キャパシタCA3の製造値は「6.1C」であり、主キャパシタCA3より下位ビットの主キャパシタCA2〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0の製造値の合計は「7C」である。したがって、図2(a)に示す主キャパシタCA3の設計値「5C」は、上記の条件を満足する。
主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0の製造値の合計は「20.3C」であり、デジタル信号Daは10進数にて「0」〜「20」の値となる。これに対し、4ビットのデジタル出力信号DOUTは「0」〜「15」の値となる。したがって、デジタル信号Daのコード幅は、デジタル出力信号DOUTのコード幅より大きく、上記の条件を満足する。
なお、製造によるばらつきは、キャパシタの容量値を設計値に対して増減する。したがって、製造ばらつきが生じていない場合のキャパシタを含むA/D変換回路10は、上記の条件を満足する。つまり、図2(a)に示す設計値の主キャパシタCA4〜CA0は、上記の条件を満足する。したがって、上記の条件は、以下のように表すことができる。
・補正対象のビットの容量値は、そのビットより下位のビットの容量値の合計値以下である。
・キャパシタを用いてアナログ入力信号を変換したデジタル信号のコード幅は、アナログデジタル変換回路の出力するデジタル出力信号のコード幅以上である。
[第1の比較例]
ここで、本実施形態に対する第1の比較例を説明する。
なお、比較例の説明において、図1に示す本実施形態のA/D変換回路10と同様の部材については同じ符号を用いる。
図15に示すように、このA/D変換回路200は、D/A変換回路201、比較器202、変換制御回路203を有している。
D/A変換回路201は、3つのキャパシタCA2〜CA0と1つのダミーキャパシタCADを有している。ダミーキャパシタCADとキャパシタCA2〜CA0の容量値は、バイナリ(binary)の比率で重み付けされ、容量比は(4:2:1:1)である。そして、キャパシタCA2〜CA0とダミーキャパシタCADの容量比の合計値は、変換後のデジタル出力信号DOUTのコード幅と等しい。たとえば、3ビットのデジタル出力信号DOUT(D2〜D0)のコード幅(出力コード幅)は「8」である。
また、D/A変換回路201は、キャパシタCA2〜CA0に対してアナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMを供給するためのスイッチSA2〜SA0と、ダミーキャパシタCADに対してアナログ入力信号VIN、第2基準電圧VRMを供給するためのダミースイッチSADを有している。さらに、D/A変換回路201は、キャパシタCA2〜CA0とダミーキャパシタCADの第1端子が接続された共通信号線LCにコモン電圧VCMを供給するためのリセットスイッチSR0を有している。スイッチSA2〜SA0、ダミースイッチSAD、リセットスイッチSR0は、変換制御回路203により制御される。
比較器202の反転入力端子は共通信号線LCに接続され、比較器202の非反転入力端子にはコモン電圧VCMが供給される。比較器202は、共通信号線LCにおける出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較した結果に応じたレベルの判定信号Kaを出力する。
変換制御回路203は、SARロジック回路であり、判定信号Kaに応じて制御信号CSWを生成する。また、変換制御回路203は、判定信号Kaを逐次保存し、デジタル出力信号DOUTを生成する。
次に、図15に示すA/D変換回路200における処理の概略を説明する。
図16に示すように、ステップ211において、キャパシタCA4〜CA0とダミーキャパシタCADによりアナログ入力信号VINをサンプリングする。
次に、ステップ212において、D/A変換回路201のコードを設定する。変換制御回路203は、D/A変換回路201に対する制御信号CSWを設定する。
そして、ステップ213において、D/A変換回路201において電圧を発生する。D/A変換回路201は、制御信号CSWに応じて、各キャパシタに対して第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRMを供給する。
次いで、ステップ214において、比較器202において判定する。比較器202は、D/A変換回路201の共通信号線LCにおける出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較し、比較結果に応じたレベルの判定信号Kaを出力する。
次に、ステップ215において、変換制御回路203は、判定信号Kaの値をレジスタに格納する。
そして、ステップ216において、変換終了か否かを判定する。変換制御回路203は、デジタル信号Daのビット数に応じた回数(例えば5回)の判定を終了したか否かを判定する。変換が終了していない場合、ステップ212に移行し、次のコードを設定する。変換終了と判定した場合、処理を終了する。
次に、図17(a)〜(e)にしたがって、図15に示すA/D変換回路200における動作を説明する。なお、図17(a)〜(e)は、変換制御回路203,スイッチSA2〜SA0,ダミースイッチSADが省略されている。
先ず、図17(a)に示すように、キャパシタCA2〜CA0及びダミーキャパシタCADにアナログ入力信号VINを供給し、共通信号線LCにコモン電圧VCMを供給する。これにより、キャパシタCA2〜CA0及びダミーキャパシタCADに、アナログ入力信号VINをサンプリングする。そして、図15に示すリセットスイッチSR0,ダミースイッチSAD,スイッチSA2〜SA0をオフする。これにより、図17(b)に示すように、アナログ入力信号VINとコモン電圧VCMに応じた電荷をキャパシタCA2〜CA0及びダミーキャパシタCADにホールドする。
サンプリング−ホールドにより共通信号線LCに蓄えられる電荷Qは、
Q=(VCM−VIN)・8C
Q=(Vo−CA2)・4C+(Vo−CA1)・2C+(Vo−CA0)・1C+(Vo−CAD)・1C
となる。なお、上記式において、Voは共通信号線LCの電圧、つまり、キャパシタCA2〜CA0及びダミーキャパシタCADの第1端子における電圧を示す。そして、キャパシタCA2〜CA0及びダミーキャパシタCADの第2端子における電圧を、それぞれの符号を用いて示している。キャパシタにおける電圧について、キャパシタの符号を用いることは、以下の説明でも同じである。そして、以下の説明において、各キャパシタの容量値に、容量比の値を用いるものとする。たとえば、キャパシタCA2の容量値を「4」とする。
上記の式により、出力電圧Voは、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−(4・D2+2・D1+1・D0+1・DD))+VCM ・・・(1)
VR=VRP−VRM
VINa=CAL・(VIN−VRM)/VR
Call=8
D2=(CA2−VRM)/VR
D1=(CA1−VRM)/VR
D0=(CA0−VRM)/VR
DD=(CAD−VRM)/VR
となる。なお、VRは基準電圧であり、変換可能なアナログ入力信号VINの電圧範囲を示す。CALは容量値の合計である。VINaは、デジタル出力信号DOUTの1LSBに相当する電圧値を単位としてアナログ入力信号VINを表した値である。アナログ入力信号VINaがとりうる値の範囲をコード範囲(入力コード範囲)という。
したがって、変換可能なアナログ入力信号VIN、VINaの範囲はそれぞれ、
VRM≦VIN≦VRP
0≦VINa≦8
となる。
次に、図17(c)に示すように、1回目の判定のために、キャパシタCA2に第1基準電圧VRPを供給し、他のキャパシタCA1,CA0及びダミーキャパシタCADに第2基準電圧VRMを供給する。このとき、出力電圧Voは、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−4)+VCM
となる。
比較器202は、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較し、判定信号Kaを出力する。この比較は、上記の式により、アナログ入力信号VINaとキャパシタCA2の容量値「4」とを比較することと等しい。つまり、比較器202は、アナログ入力信号VINaの値とキャパシタCA2の容量値「4」を比較した結果に応じたレベルの判定信号Kaを出力する。
判定信号KaがHレベルの場合、デジタル出力信号DOUTのMSBである信号D2は「1」に設定される。そして、2回目の判定のために、図17(d)に示すように、キャパシタCA1に第1基準電圧VRPを供給する。この場合、出力電圧Voは、
Vo=−(VR/8)・(VINa−(4+2))+VCM
となる。これは、アナログ入力信号VINaを、キャパシタCA2,CA1の容量値の合計と比較することに等しい。
一方、判定信号KaがLレベルの場合、信号D2は「0」に設定される。そして、2回目の判定のために、図17(e)に示すように、キャパシタCA2に第2基準電圧VRMを供給し、キャパシタCA1に第1基準電圧VRPを供給する。この場合、出力電圧Voは、
Vo=−(VR/8)・(VINa−2)+VCM
となる。これは、アナログ入力信号VINaを、キャパシタCA1の容量値と比較することに等しい。そして、判定信号Kaに基づいて、信号D1の値を決定する。上記と同様にして、キャパシタCA0に対する基準電圧を設定し、判定信号Kaに基づいて信号D0の値を決定する。
上記のように、A/D変換回路200は、2進探索によって、上記の式(1)における(VINa−(4・D2+2・D1+1・D0+1・DD))を「0」に近づけるように、信号D2〜D0を決定する。この結果、デジタル出力信号DOUTは、
DOUT=4・D2+2・D1+1・D0
となる。
[第2の比較例]
次に、第2の比較例を説明する。
図18に示すように、A/D変換回路230は、D/A変換回路231、比較器232、容量型D/A変換回路(「CDAC」と表記)234を有している。なお、図18では、変換制御回路を省略している。この第2の比較例は、D/A変換回路234により容量ミスマッチを補正する。
D/A変換回路231は、複数(図では4個)のキャパシタCA3〜CA0とダミーキャパシタCADを有している。ダミーキャパシタCADとキャパシタCA3〜CA0の容量値は、バイナリにて重み付けられ、容量比は(8:4:2:1:1)である。図18において、括弧を付して設計時の容量比を示す。設計値の上には、製造後の容量値を示す。
キャパシタCA3〜CA0とダミーキャパシタCADが接続された共通信号線LCは、D/A変換回路234の出力端子に接続されている。D/A変換回路234は、補正値HCに応じた電圧を共通信号線LCに供給する。
次に、A/D変換回路230における処理の概略を説明する。
図19に示すステップ241〜242の動作は、図16に示すステップ211〜212と同様である。ステップ243において、判定に用いるキャパシタにおける容量誤差を合計して補正値を算出し、D/A変換回路234に設定する。ステップ244〜247の動作は、図16に示すステップ213〜216と同様である。
D/A変換回路234に設定する補正値HCは、予め測定されたキャパシタCA3〜CA0の容量値に応じて、判定毎に算出される。
図18は、LSB判定を行う状態を示している。判定結果に応じて、キャパシタCA3,CA1に第1基準電圧VRPが供給され、キャパシタCA2に第2基準電圧VRMが供給される。そして、LSB判定のためにキャパシタCA0に第1基準電圧VRPが供給される。この場合、補正値は、判定に用いるキャパシタCA3,CA1,CA0における誤差値の合計となる。つまり、キャパシタCA3,CA1,CA0それぞれの誤差「−1C」,「+0.3C」,「−0.3C」の合計値「1」(=−(−1+0.3−0.3))を補正値HCとしてD/A変換回路234に設定する。
この補正値HCは、全加算処理であり、ビット数が多くなるほど補正値の算出に要する時間が長くなる。補正値が決定しないと、図19に示すステップ244における電圧発生を行うことができない。したがって、補正値の算出は、A/D変換回路230における変換速度を低下させる。
第2の比較例において、補正値をメモリ等に記憶しておく方法が考えられる。この場合、デジタル出力信号DOUTの各ビットの値に応じた全てのパターンに対応する補正値を記憶する必要がある。高分解能のA/D変換回路では、デジタル出力信号DOUTのビット数が多く、記憶する補正値の数が膨大となる。このため、大容量のメモリが必要となり、A/D変換回路の占める面積が増加する。
次に、本実施形態のA/D変換回路10における処理の概略を説明する。
先ず、図3(b)に示すフローチャートにしたがって測定処理を説明する。
ステップ31において、測定対象のキャパシタにより第1基準電圧VRPをサンプリングする。
次に、ステップ32において、D/A変換回路11のコードを設定する。測定制御回路14は、D/A変換回路11に対する測定制御信号CSbを設定する。
そして、ステップ33において、D/A変換回路11において電圧を発生する。D/A変換回路11は、測定制御信号CSbに応じて、下位ビットのキャパシタに対して第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRMを供給する。
次いで、ステップ34において、比較器12において判定する。比較器12は、D/A変換回路11の共通信号線LCにおける出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較し、比較結果に応じたレベルの判定信号Kaを出力する。
次に、ステップ35において、対象としたキャパシタの測定終了を判定する。測定制御回路14は、判定信号Kaのレベルが前回のレベルに対して変化したか否かを検出し、レベルが変化した場合に測定終了と判定し、次のステップ36へ移行する。一方、レベルが変化していない場合、測定制御回路14は、ステップ32へ移行し、次のコードを設定する。
ステップ36において、測定制御回路14は、D/A変換回路11のコード、即ち測定制御信号CSbの値をレジスタに格納する。
次に、ステップ37において、処理終了か否かを判定する。測定制御回路14は、測定対象とした全てのキャパシタについて測定を終了したかを判定する。測定対象全てのキャパシタの容量値を測定した場合、処理を終了する。一方、測定対象が残っている場合、次のキャパシタを測定対象とし、ステップ31へ移行する。
次に、図3(a)に示すフローチャートにしたがって変換処理を説明する。
ステップ21において、主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0によりアナログ入力信号VINをサンプリングする。
次に、ステップ22において、D/A変換回路11のコードを設定する。変換制御回路13は、D/A変換回路11に対する変換制御信号CSaを設定する。
そして、ステップ23において、D/A変換回路11において電圧を発生する。D/A変換回路11は、変換制御信号CSaに応じて、各キャパシタに対して第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRMを供給する。
次いで、ステップ24において、比較器12において判定する。比較器12は、D/A変換回路11の共通信号線LCにおける出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較し、比較結果に応じたレベルの判定信号Kaを出力する。
次に、ステップ25において、変換制御回路13は、判定信号Kaの値をレジスタに格納する。
そして、ステップ26において、変換終了か否かを判定する。変換制御回路13は、デジタル信号Daのビット数に応じた回数(例えば5回)の判定を終了したか否かを判定する。変換終了と判定した場合、次のステップ27へ移行する。変換が終了していない場合、ステップ22に移行し、次のコードを設定する。
ステップ27において、デジタル補正を行う。変換制御回路13は、レジスタに格納した判定信号Kaの値に応じたデジタル信号Daを出力する。測定制御回路14は、レジスタに格納したコードに応じた容量値Waを出力する。補正回路15は、容量値Waに基づいてデジタル信号Daから10進数の電圧値を算出し、その電圧値を4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換する。
次に、測定処理におけるA/D変換回路10の状態を説明する。なお、以下の説明に用いる図において、主キャパシタCA4〜CA0、測定キャパシタCM2〜CM0と比較器12を示し、他の部材を省略する。
図4(a)〜(d)にしたがって、主キャパシタCA3の容量測定を説明する。
先ず、図4(a)に示すように、測定対象の主キャパシタCA3により第1基準電圧VRPをサンプリングする。詳しくは、主キャパシタCA3に第1基準電圧VRPを供給し、他の主キャパシタCA4,CA2〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に第2基準電圧VRMを供給するとともに、共通信号線LCにコモン電圧VCMを供給する。これにより、測定対象の主キャパシタCA3に、第1基準電圧VRPとコモン電圧VCMの差に応じた電荷を蓄積する。そして、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に接続された主スイッチSA4〜SA0,測定スイッチSM2〜SM0と、共通信号線LCに接続されたリセットスイッチSR0(図1参照)をオフし、電荷を保持(ホールド)する。
次に、図4(b)に示すように、測定対象の主キャパシタCA3及び上位の主キャパシタCA4に第2基準電圧VRMを供給し、主キャパシタCA3より下位の主キャパシタCA2〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に第1基準電圧VRPを供給する。これにより、共通信号線LCにおける出力電圧Voは、測定対象の主キャパシタCA3の容量値と、下位の主キャパシタCA2〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0の容量値の合計値との大小関係に応じて、コモン電圧VCMから変化する。比較器12は、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。たとえば、主キャパシタCA3の容量値が、下位の主キャパシタCA2〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0の容量値の合計より小さい場合、比較器12はHレベルの判定信号Kaを出力する。上記したように、主キャパシタCA3の容量値は「6.1C」であり、下位の主キャパシタCA2〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0の容量値の合計は「7C」である。したがって、比較器12はHレベルの判定信号Kaを出力する。
次に、図4(c)に示すように、コードに応じて、測定キャパシタCM0に対して第2基準電圧VRMを供給する。第2基準電圧VRMが供給されたキャパシタは、判定の対象外となる。つまり、測定キャパシタCM0の容量値だけ、図4(b)における容量値の合計から小さくする。このように、D/A変換回路11に対するコード(測定制御信号CSb)を減少させ、容量値の合計値を小さくする。したがって、共通信号線LCにおける出力電圧Voは、測定対象の主キャパシタCA3の容量値と、下位の主キャパシタCA2〜CA0及び測定キャパシタCM1,CM2の容量値の合計値に応じて変化する。上記したように、主キャパシタCA3の容量値は「6.1C」であり、下位の主キャパシタCA2〜CA0及び測定キャパシタCM1,CM2の容量値の合計は「6.75C」である。したがって、比較器12はHレベルの判定信号Kaを出力する。
同様に、D/A変換回路11に対するコード(測定制御信号CSb)を減少させ、容量値の合計値を小さくする。
そして、図4(d)に示すように、コードに応じて、測定キャパシタCM2〜CM0に第2基準電圧VRMを供給する。このとき、主キャパシタCA3の容量値は「6.1C」であり、下位の主キャパシタCA2〜CA0の容量値の合計は「6C」である。したがって、比較器12はLレベルの判定信号Kaを出力する。図1に示す測定制御回路14は、Lレベルの判定信号Kaに応じて主キャパシタCA3の容量測定を終了し、そのときのコードに応じた容量値Wa3(=6)を記憶する。
次に、図5(a)〜(d)にしたがって、主キャパシタCA4の容量測定を説明する。
先ず、図5(a)に示すように、測定対象の主キャパシタCA4により第1基準電圧VRPをサンプリングする。詳しくは、主キャパシタCA4に第1基準電圧VRPを供給し、他の主キャパシタCA3〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に第2基準電圧VRMを供給するとともに、共通信号線LCにコモン電圧VCMを供給する。これにより、測定対象の主キャパシタCA4に、第1基準電圧VRPとコモン電圧VCMの差に応じた電荷を蓄積する。そして、主スイッチSA4〜SA0,測定スイッチSM2〜SM0,リセットスイッチSR0(図1参照)をオフし、電荷を保持(ホールド)する。
次に、図5(b)に示すように、測定対象の主キャパシタCA4に第2基準電圧VRMを供給し、主キャパシタCA4より下位の主キャパシタCA3〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に第1基準電圧VRPを供給する。これにより、共通信号線LCにおける出力電圧Voは、測定対象の主キャパシタCA4の容量値と、下位の主キャパシタCA3〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0の容量値の合計値との大小関係に応じて変化する。上記したように、主キャパシタCA4の容量値は「7.2C」であり、下位の主キャパシタCA3〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0の容量値の合計は「13.1C」である。したがって、比較器12はHレベルの判定信号Kaを出力する。
次に、図5(c)に示すように、コードに応じて、測定キャパシタCM0に対して第2基準電圧VRMを供給する。主キャパシタCA4の容量値は「7.2C」であり、下位の主キャパシタCA2〜CA0及び測定キャパシタCM1,CM2の容量値の合計は「12.85C」である。したがって、比較器12はHレベルの判定信号Kaを出力する。
同様に、D/A変換回路11に対するコード(測定制御信号CSb)を減少させ、容量値の合計値を小さくする。
そして、図5(d)に示すように、コードに応じて、測定キャパシタCM2〜CM0に第2基準電圧VRMを供給する。このとき、主キャパシタCA4の容量値は「7.2C」であり、第1基準電圧VRPが供給された下位の主キャパシタCA3,CA0の容量値の合計は「7.1C」である。したがって、比較器12はLレベルの判定信号Kaを出力する。図1に示す測定制御回路14は、Lレベルの判定信号Kaに応じて主キャパシタCA4の容量測定を終了し、そのときのコードに応じた容量値Wa4(=7(=6+1))を記憶する。
次に、変換処理におけるA/D変換回路10の状態を説明する。なお、以下の説明に用いる図において、測定処理と同様に、主キャパシタCA4〜CA0、測定キャパシタCM2〜CM0と比較器12を示し、他の部材を省略する。
先ず、図6(a)に示すように、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0によりアナログ入力信号VINをサンプリングする。詳しくは、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0にアナログ入力信号VINを供給し、共通信号線LCにコモン電圧VCMを供給する。これにより、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に、全ての主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0の容量値の合計と、アナログ入力信号VINに応じた量の電荷を蓄積する。
そして、図6(b)に示すように、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に接続された主スイッチSA4〜SA0,測定スイッチSM2〜SM0と、共通信号線LCに接続されたリセットスイッチSR0(図1参照)をオフし、電荷を保持(ホールド)する。
このサンプリングとホールドによって共通信号線LCに蓄積される電荷Qは、
Q=(VCM−VIN)・(7.2C+6.1C+3C+2C+0.5C+0.25C+0.25C)
Q=(Vo−CA4)・7.2C+(Vo−CA3)・6.1C+(Vo−CA2)・3C+(Vo−CA1)・2C+(Vo−CA0)・1C+(Vo−CM2)・0.5C+(Vo−CM1)・0.25C+(Vo−CM0)・0.25C
となる。したがって、共通信号線LCにおける出力電圧Voは、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−(7.2・Da4+6.1・Da3+3・Da2+2・Da1+1・Da0+0.5・DMa2+0.25・DMa1+0.25・DMa0))+VCM ・・・(2)
となる。ただし、
VR=VRP−VRM
VINa=CAL・(VIN−VRM)/VR
CAL=7.2+6.1+3+2+1+0.5+0.25+0.25=20.3
Da4=(CA4−VRM)/VR
Da3=(CA3−VRM)/VR
Da2=(CA2−VRM)/VR
Da1=(CA1−VRM)/VR
Da0=(CA0−VRM)/VR
DMa2=(CM2−VRM)/VR
DMa1=(CM1−VRM)/VR
DMa0=(CM0−VRM)/VR
である。
次に、図6(c)に示すように、コード(変換制御信号CSa)に応じて、MSBの主キャパシタCA4に第1基準電圧VRPを供給し、下位の主キャパシタCA3〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に第2基準電圧VRMを供給する。図において、括弧を付して各信号Da4〜Da0,DMa2〜DMa0の値(0or1)を示す。したがって、Da4が「1」、Da3〜Da0,DMa2〜DMa0が「0」であるから、上記の式(2)により、出力電圧Voは、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−7.2)+VCM
となる。比較器12は、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。これにより、判定対象の主キャパシタCA4の容量値Wa4と、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0の容量値の合計値に応じた1LSBを単位とするアナログ入力信号VINaに応じたレベルの判定信号Kaが比較器12から出力される。判定信号Kaのレベルに応じて信号Da4の値が決定される。
次に、図6(d)に示すように、上記の判定結果に応じた信号Da4(0or1)に基づいて基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を主キャパシタCA4に供給し、次の判定対象である主キャパシタCA3に対して第1基準電圧VRPを供給する。たとえば、信号Da4が「1」(判定信号Ka=H)の場合、出力電圧Voは、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−(7.2+6.1))+VCM
となる。一方、信号Da4が「0」(判定信号Ka=L)の場合、出力電圧Voは、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−6.1)+VCM
となる。比較器12は、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Da3の値が決定される。
次に、図7(a)に示すように、上記の判定結果に応じた信号Da3(0or1)に基づいて基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を主キャパシタCA3に供給し、次の判定対象である主キャパシタCA2に対して第1基準電圧VRPを供給する。そして、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較した比較器12から出力される判定信号Kaのレベルに応じて信号Da2の値が決定される。
同様に、信号Da2(0or1)に基づいて基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を主キャパシタCA2に供給し、次の判定対象である主キャパシタCA1に対して第1基準電圧VRPを供給する。そして、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較した比較器12から出力される判定信号Kaのレベルに応じて信号Da1の値が決定される。
したがって、図7(b)に示すように、コード(変換制御信号CSa)の信号Da4〜Da1に応じて、主キャパシタCA4〜CA1に対して基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。そして、LSBの主キャパシタCA0に対して第1基準電圧VRPを供給する。そして、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較した比較器12から出力される判定信号Kaのレベルに応じて信号Da0の値が決定される。
上記の処理により、図1に示す変換制御回路13は、値を決定した信号Da4〜Da0を含むデジタル信号Daを出力する。
補正回路15は、変換制御回路13から出力されるデジタル信号Daと、測定制御回路14から出力される容量値Wa(Wa4〜Wa2)とに基づいて、補正した値のデジタル信号DOaを算出する。このデジタル信号DOaは、
DOa=Wa4・Da4+Wa3・Da3+Wa2・Da2+2・Da1+Da0
であり、容量値Waに基づいて、
DOa=7・Da4+6・Da3+3・Da2+2・Da1+Da0
となる。
そして、補正回路15は、このデジタル値DOaを、以下の式にしたがって所望のビット数(例えば4ビット)のデジタル出力信号DOUTに変換する。
DOUT=16・DOa/20
上記の式において、「16」は4ビットのデジタル信号のコード幅、「20」は測定した容量値WaによるD/A変換回路11におけるコード幅(=7+6+3+2+1+0.5+0.25+0.25)である。したがって、デジタル出力信号DOUTは、ビット数をnとし、D/A変換回路11におけるキャパシタの容量値の合計をCALとすると、
DOUT=2^n・DOa/CAL
と表すことができる。
次に、変換処理におけるA/D変換回路10の状態を説明する。
比較器12は、D/A変換回路11の出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。比較器12の動作は、上記の式(1)にしたがって、アナログ入力信号VINaと判定に用いるキャパシタの容量値の合計とを比較することと等しい。したがって、キャパシタの容量値の合計を判定値として、判定値とアナログ入力信号VINaを比較することとして説明する。なお、ここで用いる判定値は、実際の容量値である。
図8に示すように、先ず、アナログ入力信号VINaと判定値「7.2」とを比較する。なお、アナログ入力信号VINaの値を「12.25」とする。この場合、判定信号Kaに基づいて信号Da4を「1」とする。
次に、アナログ入力信号VINaと判定値「13.3」(=7.2+6.1)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da3を「0」とする。
次に、アナログ入力信号VINaと判定値「10.2」(=7.2+3)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da2を「1」とする。
次に、アナログ入力信号VINaと判定値「12.2」(=7.2+3+2)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da1を「1」とする。
そして、アナログ入力信号VINaと判定値「13.2」(=7.2+3+2+1)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da0を「0」とする。
このように、図1に示す変換制御回路13のデジタル信号Daの各ビット値Da4〜Da0が設定される。
図1に示す補正回路15は、このデジタル信号Daと、測定制御回路14から出力される容量値Waに基づいて、デジタル信号DOaを算出する。デジタル信号DOaは、
DOa=7・1+6・0+3・1+2・1+0=12
となる。そして、補正回路15は、デジタル信号DOaを、4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換する。デジタル出力信号DOUTは、
DOUT=16・12/20=10(四捨五入)
となる。
図9は、容量ミスマッチが生じていないA/D変換回路による変換動作を示す。このA/D変換回路は、主キャパシタCA4〜CA0の容量比が(8:5:3:2:1)である。したがって、判定値は、「8」「13」「11」「13」「12」となり、デジタル信号Daの各ビットDa4〜Da0は、「10101」となる。この場合、デジタル信号DOaは、
DOa=8・1+5・0+3・1+2・0+1=12
となる。
図10は、バイナリ(2のべき乗)にて重み付けられたキャパシタを有するD/A変換回路による変換動作を示す。たとえば、図15に示すA/D変換回路200は、主キャパシタCA3〜CA0の容量比が(8:4:2:1)である。このA/D変換回路200の場合、アナログ入力信号VINaの値は「9.8」である。そして、判定値は、「8」「12」「10」「9」であり、デジタル出力信号DOUTの各ビットD3〜D0は「1001」となる。つまり、デジタル出力信号DOUTの値は「9」となる。
図11は、デジタル信号Daに対する補正の有無の状態を示す。図11において、横軸はD/A変換回路11の1LSBに相当する電圧値を単位としてアナログ入力信号VINを表したアナログ入力信号VINaであり、縦軸はデジタル信号Daである。実線は補正あり、つまり容量値Waにより算出したデジタル信号DOaを示す。破線は、補正無し、つまり設計値により算出したデジタル信号DOaを示す。このように、補正によって、変換特性が改善されている。
図12は、補正回路15により変換した4ビットのデジタル出力信号DOUTを示す。図12において、横軸は、アナログ入力信号VINを4ビットのデジタル出力信号DOUTの1LSBに相当する電圧値にて表したアナログ入力信号VINbである。理想的な変換特性に対して誤差を生じている。しかし、デジタル出力信号DOUTのコード幅(16)より大きなコード幅(20)のデジタル信号Daを4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換している。したがって、微分非直線性(DNL)と積分非直線性(INL)は1LSB以内となる。
[冗長範囲の説明]
本実施形態において、D/A変換回路11に含まれる主キャパシタCA4の容量値は、下位の主キャパシタCA3〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0の容量値を合計した値以下に設定される。したがって、主キャパシタCA4により生成した出力電圧Voと同程度の電圧を、下位の主キャパシタCA3〜CA0を用いて共通信号線LCに生成することができる。したがって、主キャパシタCA4を用いた判定と同様の判定を、主キャパシタCA3〜CA0を用いて行うことができる。主キャパシタCA3,CA2についても同様である。
したがって、D/A変換回路11には、冗長範囲が設定されている。冗長範囲は、アナログ入力信号VINaに対する判定ミスを、下位のキャパシタによる判定によって補正することができる範囲を示す。つまり、冗長範囲は、その判定における判定ミスを許容可能な範囲を示す。判定ミスは、たとえばD/A変換器の出力信号に対するノイズ(電源ノイズや熱ノイズ等)の混入や、比較器で発生するノイズ等により生じる。
図13と図14は、D/A変換回路11における冗長範囲の説明図である。なお、図13及び図14において、縦軸はD/A変換回路11におけるコードを示し、横軸は判定回数を示す。縦軸において、三重線にて示した部分は、各判定におけるアナログ入力信号VINaの範囲を示し、矢印は冗長範囲を示す。
図13は、判定ミスのない場合を示す。
アナログ入力信号VINaの値を「8.75」とする。
先ず、アナログ入力信号VINaと判定値「8」とを比較する。そして、判定信号Kaに基づいて信号Da4を「1」とする。
次に、アナログ入力信号VINaと判定値「13」(=8+5)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da3を「0」とする。
次に、アナログ入力信号VINaと判定値「11」(=8+3)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da2を「0」とする。
次に、アナログ入力信号VINaと判定値「10」(=8+2)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da1を「0」とする。
そして、アナログ入力信号VINaと判定値「9」(=8+1)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da0を「0」とする。
この場合、デジタル信号DOaは、
DOa=8・1+5・0+3・0+2・0+0=8
となる。そして、補正回路15は、デジタル信号DOaを、4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換する。デジタル出力信号DOUTは、
DOUT=16・8/20=6(四捨五入)
となる。
たとえば、図14に示すように、1回目の判定における判定ミスにより信号Da4が「0」に設定される。すると、次の判定において判定値が「5」に設定される。そして、アナログ入力信号VINaと判定値「5」とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da3を「1」とする。
次に、アナログ入力信号VINaと判定値「8」(=5+3)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da2を「1」とする。
次に、アナログ入力信号VINaと判定値「10」(=5+3+2)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da1を「0」とする。
そして、アナログ入力信号VINaと判定値「9」(=5+3+1)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da0を「0」とする。
この場合、デジタル信号DOaは、
DOa=8・0+5・1+3・1+2・0+0=8
となる。このデジタル信号DOaの値は、図13による結果と等しい。つまり、1回目の判定における判定ミスが補正されている。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1−1)アナログ入力信号VINをデジタル出力信号DOUTに変換するアナログデジタル変換回路10は、容量型のD/A変換回路11、比較器12、変換制御回路13、測定制御回路14、補正回路15を有している。D/A変換回路11は、共通信号線LCに第1端子が接続された複数の主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0を有している。主キャパシタCA4〜CA0の容量値は、それぞれより下位の主キャパシタCA3〜CA0の容量値を合計した値以下である。D/A変換回路11は、共通信号線LCにアナログ入力信号VINと制御信号CSWに応じた出力電圧Voを生成する。比較器12は、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。測定制御回路14は、判定信号Kaに応じて測定制御信号CSbを生成し、デジタル信号Daの上位ビットDa4〜Da2に応じた主キャパシタCA4〜CA2の容量値を下位の主キャパシタCA3〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0を用いて測定する。変換制御回路13は、判定信号Kaに応じて変換制御信号CSaを生成し、アナログ入力信号VINを変換したデジタル信号Daを生成する。補正回路15は、測定制御回路14により測定された容量値Waに基づいてデジタル信号Daを補正してデジタル出力信号DOUTを生成する。
このA/D変換回路10では、測定制御回路14によって、D/A変換回路11に含まれる主キャパシタCA4〜CA2の容量値を測定して容量値Waを出力する。その後、変換制御回路13によって、D/A変換回路11の主キャパシタCA4〜CA0を用いて、電荷再配分によって主キャパシタCA4〜CA0それぞれの容量値に応じた出力電圧Voを判定してアナログ入力信号VINをデジタル信号Daに変換する。そして、補正回路15は、測定された容量値Waに基づいてデジタル信号Daを補正してデジタル出力信号DOUTを生成する。したがって、アナログ入力信号VINに対する判定を行うときには補正を行わない。このため、変換にかかる時間を短縮することができる。
(1−2)補正回路15は、測定制御回路14によって測定された主キャパシタCA4〜CA2の容量値Waを記憶する。したがって、このA/D変換回路10では、図18に示すA/D変換回路230のように膨大なデータを記憶する必要が無いため、データを記憶するメモリの増加を抑え、面積の増大を抑制することができる。
(第二実施形態)
以下、第二実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図20に示すように、逐次比較型のアナログデジタル変換回路(A/D変換回路)50は、アナログ入力信号VINを複数ビット(たとえば3ビット)のデジタル出力信号DOUTに変換する。A/D変換回路50は、デジタルアナログ変換回路(D/A変換回路)51、比較器52、変換制御回路53、測定制御回路54、補正回路55、選択回路56,57を有している。
D/A変換回路51は、電荷再配分型のデジタルアナログ変換回路(CDAC)である。このD/A変換回路51は、判定用の主キャパシタCA3〜CA0と、それらの主キャパシタCA3〜CA0に対してアナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMを供給するための主スイッチSA3〜SA0を有している。主キャパシタCA3〜CA0は、結合キャパシタCc2〜Cc0を介して接続されている。これらの結合キャパシタCc2〜Cc0は、スプリットキャパシタと呼ばれることがある。
詳述すると、主キャパシタCA3の第1端子は結合キャパシタCc2の第1端子に接続され、結合キャパシタCc2の第2端子は主キャパシタCA2の第1端子に接続されている。主キャパシタCA2の第1端子は結合キャパシタCc1の第1端子に接続され、結合キャパシタCc1の第2端子は主キャパシタCA1の第1端子に接続されている。主キャパシタCA1の第1端子は結合キャパシタCc0の第1端子に接続され、結合キャパシタCc0の第2端子は主キャパシタCA0の第1端子に接続されている。主キャパシタCA3〜CA0の第2端子は、主スイッチSA3〜SA0に接続されている。
主キャパシタCA3と結合キャパシタCc2の間の共通信号線LC3はリセットスイッチSR3の第1端子に接続されている。主キャパシタCA2と結合キャパシタCc2,Cc1の間の共通信号線LC2はリセットスイッチSR2の第1端子に接続されている。主キャパシタCA1と結合キャパシタCc1,Cc0の間の共通信号線LC1はリセットスイッチSR1の第1端子に接続されている。主キャパシタCA0と結合キャパシタCc0の間のノードはリセットスイッチSR0の第1端子に接続されている。各リセットスイッチSR3〜SR0の第2端子にはコモン電圧VCMが供給される。
さらに、D/A変換回路51は、主キャパシタCA3〜CA1の容量値を測定するための測定キャパシタCM3〜CM0と、それらの測定キャパシタCM3〜CM0に対してアナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMを供給するための測定スイッチSM3〜SM0を有している。測定キャパシタCM3〜CM0の第1端子は共通信号線LC0に接続され、測定キャパシタCM3〜CM0の第2端子はそれぞれ測定スイッチSM3〜SM0に接続されている。
D/A変換回路51の共通信号線LC3は、比較器52に接続されている。比較器52の反転入力端子には、D/A変換回路51からの出力電圧Voが供給される。比較器52の非反転入力端子には、コモン電圧VCMが供給される。比較器52は、出力電圧Voを判定して判定信号Kaを出力する。詳しくは、比較器52は、出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較し、その比較結果に応じたレベルの判定信号Kaを出力する。判定信号Kaは、変換制御回路53と測定制御回路54に供給される。
変換制御回路53は、比較器52から出力される判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLa,変換制御信号CSa,デジタル信号Daを生成する。変換制御回路53は、判定信号Kaの値を逐次保持するレジスタと、デジタル信号Daと変換制御信号CSaを生成するロジック回路とを有している。また、変換制御回路53は、判定信号Kaを得るためのラッチ信号CLaを出力する。そして、変換制御回路53は、保持した判定信号Kaの値に応じて、デジタル信号Daを出力する。デジタル信号Daは、D/A変換回路51の主キャパシタCA3〜CA0に応じた4ビットの信号である。
測定制御回路54は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLb,測定制御信号CSb,容量値Waを生成する。測定制御回路54は、判定信号Kaに基づいて測定制御信号CSbを生成するロジック回路と、複数の測定制御信号CSbの値を保持するレジスタを有している。測定制御回路54は、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2に対応する測定制御信号CSbの値を保持する。そして、測定制御回路54は、保持した測定制御信号CSbの値に応じた容量値Waを出力する。容量値Waは、測定対象の主キャパシタCA3〜CA1の容量値を含む。主キャパシタCA3〜CA1の容量値をWa3〜Wa1とする。
本実施形態の測定制御回路54は、測定対象の主キャパシタCA3〜CA1の容量値を、下位ビットの主キャパシタCA2〜CA0と測定キャパシタCM3〜CM0を用いて測定する。たとえば、測定制御回路54は、主キャパシタCA3の容量値を、主キャパシタCA2〜CA0と測定キャパシタCM3〜CM0を用いて測定する。同様に、測定制御回路54は、主キャパシタCA2の容量値を、主キャパシタCA1,CA0と測定キャパシタCM3〜CM0を用いて測定する。そして、測定制御回路54は、主キャパシタCA1の容量値を、主キャパシタCA0と測定キャパシタCM3〜CM0を用いて測定する。
選択回路56には、変換制御回路53からの変換制御信号CSaと、測定制御回路54からの測定制御信号CSbが供給される。さらに、選択回路56には、選択信号SELが供給される。選択回路56は、第1レベルの選択信号SELに応答して変換制御信号CSaを選択し、その変換制御信号CSaと等しい制御信号CSWを出力する。選択回路56は、第2レベルの選択信号SELに応答して測定制御信号CSbを選択し、その測定制御信号CSbと等しい制御信号CSWを出力する。
同様に、選択回路57には、変換制御回路53からのラッチ信号CLaと、測定制御回路54からのラッチ信号CLbと、選択信号SELが供給される。選択回路57は、第1レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLaを選択し、選択したラッチ信号CLaと等しいラッチ信号CLを出力する。選択回路57は、第2レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLbを選択し、選択したラッチ信号CLbと等しいラッチ信号CLを出力する。
補正回路55は、変換制御回路53から出力されるデジタル信号Daを、測定制御回路54から出力される容量値Waに基づいて補正してデジタル出力信号DOUTを生成する。補正回路55は、測定対象以外の主キャパシタCA0の容量値を記憶している。補正回路55は、デジタル信号Daの各ビットと、主キャパシタCA3〜CA1の容量値Waと、記憶した主キャパシタCA0の容量値とに基づいて、アナログ入力信号VINの電圧値を算出する。この算出する電圧値は、D/A変換回路51の主キャパシタCA4〜CA0の設計値に対して、測定制御回路54により測定した主キャパシタCA4〜CA2の容量値に応じて補正した値である。そして、このデジタル値は、アナログ入力信号VINの入力範囲である第1基準電圧VRPと第2基準電圧VRMの間の電位差を、主キャパシタCA3〜CA0の容量値に応じて設定した分解能(ステップ)に基づく値である。したがって、補正回路55は、算出した電圧値を、3ビットのデジタル出力信号DOUTに変換し、そのデジタル出力信号DOUTを出力する。
なお、図20に示す主スイッチSA3は、主キャパシタCA3に対して、アナログ入力信号VIN,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRMを選択的に供給するための一例である。したがって、たとえば3つのスイッチを主キャパシタCA3に接続し、各スイッチを制御して主キャパシタCA3に対して、アナログ入力信号VIN,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRMを供給するようにしてもよい。他の主スイッチSA2〜SA0,測定スイッチSM3〜SM0についても同様である。
D/A変換回路51におけるキャパシタの容量値の設定について説明する。
図21(a)に示すように、判定用の主キャパシタCA3〜CA0の容量比は(1:1:1:8)に設定されている。測定キャパシタCM3〜CM0の容量値の合計は判定用の主キャパシタCA0の容量値と等しく、容量比は、(4:2:1:1)に設定されている。
結合キャパシタCc0〜Cc2の容量値をα3・C、α2・C、α1・Cとする。主キャパシタCA3〜CA1の容量値は1・Cである。したがって、α3は、主キャパシタCA1の容量値を基準とした結合キャパシタCc0の容量値の比(容量比)である。同様に、α2は、主キャパシタCA2の容量値を基準とした結合キャパシタCc1の容量値の比(容量比)、α1は、主キャパシタCA3の容量値を基準とした結合キャパシタCc2の容量値の比(容量比)である。
共通信号線LC1から見た下位側の主キャパシタCA0,CM3〜CM0を合成した容量値C(LC1)は、
C(LC1)=(16・α3/(α3+16))・C
となる。この式により、下位側のキャパシタの合成容量値を、結合キャパシタCc0の容量値α3・Cにより設定することが可能である。
主キャパシタCA1の容量値は、主キャパシタCA1より下位側の主キャパシタCA0と測定キャパシタCM4〜CM0と結合キャパシタCc0の容量値の合計値以下に設定される。したがって、
1C≦(16・α3/(α3+16))・C
であり、
α3≧16/15
となる。この容量比α3は、容量ミスマッチを考慮していない値である。したがって、容量ミスマッチを考慮した容量比α3は、16/15より大きな値に設定される。容量比α2,α1についても同様であり、主キャパシタCA2,CA3の容量値は、結合キャパシタCc1,Cc2の容量値に応じて決定される。
図21(b)は、図21(a)の等価回路である。この図21(b)において、主キャパシタCA3〜CA1は図20に示す測定制御回路54によって容量値を測定する対象である。主キャパシタCA3〜CA1に対応して記載した容量値「13C」「25C」「46C」は、測定後の容量値である。つまり、図20に示す測定制御回路54は、主キャパシタCA3〜CA1に対する容量値Waを出力する。
図20において、変換制御回路53は、図21(b)に示す状態で変換処理を行い、デジタル信号Daを出力する。そして、補正回路55は、変換制御回路53から出力されるデジタル信号Daを、測定制御回路54から出力される容量値Waに基づいて補正してデジタル信号DOaを生成する。このデジタル信号DOaは、
DOa==46・Da3+25・Da2+13・Da1+8・Da0
となる。
そして、補正回路55は、このデジタル信号DOaを3ビットのデジタル出力信号DOUTに変換する。したがって、デジタル出力信号DOUTは、
DOUT=8・Da/100=8・(46・Da3+25・Da2+13・Da1+8・Da0)/100
となる。なお、分母の「100」は、デジタル信号DOaのコード幅であり、図21(b)に示す主キャパシタCA3〜CA0と測定キャパシタCM3〜CM0の容量値を合計した値である。
図22,図23は、このA/D変換回路50における特性を示す。
図22は、アナログ入力信号VINaに対するデジタル信号Daを示す。この図22において、横軸のアナログ入力信号VINaは、D/A変換回路51の1LSBに相当する電圧値を単位としてアナログ入力信号VINを表した値である。
図23は、アナログ入力信号VINbに対するデジタル出力信号DOUTを示す。この図23において、横軸のアナログ入力信号VINbは、3ビットのデジタル出力信号DOUTの1LSBに相当する電圧値を単位としてアナログ入力信号VINを表した値である。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(2−1)上記第一実施形態と同様に、測定制御回路54によって測定した主キャパシタCA3〜CA1の容量値Waを用いて、アナログ入力信号VINを変換したデジタル信号Daを補正してデジタル出力信号DOUTを生成することで、変換にかかる時間を短縮することができる。
(2−2)結合キャパシタCc2〜Cc0を用いることで、判定用の主キャパシタCA3〜CA1の容量値を小さくして、主キャパシタCA3〜CA1を小型化できる。
(第三実施形態)
以下、第三実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の全てまたは一部を省略する。
図24に示すように、逐次比較型のアナログデジタル変換回路(A/D変換回路)70は、アナログ入力信号VINを複数ビット(たとえば4ビット)のデジタル出力信号DOUTに変換する。
A/D変換回路70は、デジタルアナログ変換回路(D/A変換回路)71、比較器72、変換制御回路73、測定制御回路74、補正回路75、選択回路76,77を有している。
D/A変換回路71は、アナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、中間電圧VRC、コモン電圧VCM、制御信号CSWに応じて出力電圧Voを生成する。中間電圧VRCの電圧値は、第1基準電圧VRPと第2基準電圧VRMとの中間の電圧(=(VRP+VRM)/2)に設定される。
D/A変換回路71は、電荷再配分型のデジタルアナログ変換回路(CDAC)である。このD/A変換回路71は、判定用の主キャパシタCA4〜CA0と、それらの主キャパシタCA4〜CA0に対してアナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、中間電圧VRCを供給するための主スイッチSA4a〜SA0a、コモン電圧VCMを供給するためのリセットスイッチSR0を有している。さらに、D/A変換回路71は、判定用の主キャパシタCA4〜CA0のうち、測定対象とする主キャパシタCA4〜CA2の容量値を測定するための測定キャパシタCM2〜CM0を有している。それら測定キャパシタCM2〜CM0には、測定スイッチSM2a〜SM0aにより、アナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、中間電圧VRCが供給される。
主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0の第1端子は共通信号線LCに接続されている。その共通信号線LCはリセットスイッチSR0の第1端子に接続され、リセットスイッチSR0の第2端子にはコモン電圧VCMが供給される。
主スイッチSA4a〜SA0a,測定スイッチSM0a〜SM2aは、主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0の第2端子に対して、制御信号CSWに応じて、アナログ入力信号VIN、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、中間電圧VRCを供給する。制御信号CSWは、主スイッチSA4a〜SA0a,測定スイッチSM2a〜SM0aをそれぞれ独立して制御するための複数の信号を含む。また、制御信号CSWは、共通信号線LCに対してコモン電圧VCMを供給するリセットスイッチSR0を制御するための信号を含む。
なお、図24に示す主スイッチSA4bは、主キャパシタCA4に対して、アナログ入力信号VIN,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRM,中間電圧VRCを選択的に供給するための一例である。したがって、たとえば4つのスイッチを主キャパシタCA4に接続し、各スイッチを制御して主キャパシタCA4に対して、アナログ入力信号VIN,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRM,中間電圧VRCを供給するようにしてもよい。他の主スイッチSA3b〜SA0b,測定スイッチSM2b〜SM0bについても同様である。
変換制御回路73は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLa,変換制御信号CSa,デジタル信号Dbを生成する。変換制御回路73は、判定信号Kaの値を逐次保持するレジスタと、デジタル信号Dbと変換制御信号CSaを生成するロジック回路とを有している。また、変換制御回路73は、判定信号Kaを得るためのラッチ信号CLaを出力する。そして、変換制御回路73は、保持した判定信号Kaの値に応じて、デジタル信号Dbを出力する。デジタル信号Dbは、D/A変換回路71の主キャパシタCA4〜CA0に応じた5ビットの信号である。
測定制御回路74は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLb,測定制御信号CSb,容量値Waを生成する。そして、変換制御回路73は、測定制御信号CSbの値に応じた容量値Waを出力する。容量値Waは、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2の容量値を含む。主キャパシタCA4〜CA2の容量値をWa4〜Wa2とする。
選択回路76には、変換制御回路73からの変換制御信号CSaと、測定制御回路74からの測定制御信号CSbが供給される。さらに、選択回路76には、選択信号SELが供給される。選択回路76は、第1レベルの選択信号SELに応答して変換制御信号CSaを選択し、その変換制御信号CSaと等しい制御信号CSWを出力する。選択回路76は、第2レベルの選択信号SELに応答して測定制御信号CSbを選択し、その測定制御信号CSbと等しい制御信号CSWを出力する。
同様に、選択回路77には、変換制御回路73からのラッチ信号CLaと、測定制御回路74からのラッチ信号CLbと、選択信号SELが供給される。選択回路77は、第1レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLaを選択し、選択したラッチ信号CLaと等しいラッチ信号CLを出力する。選択回路77は、第2レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLbを選択し、選択したラッチ信号CLbと等しいラッチ信号CLを出力する。
補正回路75は、変換制御回路73から出力されるデジタル信号Dbを、測定制御回路74から出力される容量値Waに基づいて補正してデジタル出力信号DOUTを生成する。補正回路75は、デジタル信号Dbの各ビットと、主キャパシタCA4〜CA2の容量値Waと、記憶した主キャパシタCA1,CA0の容量値とに基づいて、アナログ入力信号VINの電圧値を算出する。そして、補正回路75は、算出した電圧値を変換した4ビットのデジタル出力信号DOUTを出力する。
次に、変換処理におけるA/D変換回路70の状態を説明する。なお、以下の説明に用いる図において、測定処理と同様に、主キャパシタCA4〜CA0、測定キャパシタCM2〜CM0と比較器72を示し、他の部材を省略する。また、説明を簡略化するため、主キャパシタCA4〜CA0,CM2〜CM0の容量値を、設計値を用いて説明する。即ち、主キャパシタCA4〜CA0,CM2〜CM0の容量値を(8C,5C,3C,2C,1C,0.5C,0.25C,0.25C)とする。したがって、測定制御回路74から出力される容量値Wa(Wa4,Wa3,Wa2)は(8,5,3)である。
先ず、図25(a)に示すように、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0によりアナログ入力信号VINをサンプリングする。詳しくは、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0にアナログ入力信号VINを供給し、共通信号線LCにコモン電圧VCMを供給する。これにより、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に、全ての主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0の容量値の合計と、アナログ入力信号VINに応じた量の電荷を蓄積する。
そして、図25(b)に示すように、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に接続された主スイッチSA4〜SA0,測定スイッチSM2〜SM0と、共通信号線LCに接続されたリセットスイッチSR0(図24参照)をオフし、電荷を保持(ホールド)する。
サンプリングとホールドによって共通信号線LCに蓄積される電荷Qは、上記の第一実施形態と同様に、
Q=(VCM−VIN)・(8C+5C+3C+2C+0.5C+0.25C+0.25C)
Q=(Vo−CA4)・8C+(Vo−CA3)・5C+(Vo−CA2)・3C+(Vo−CA1)・2C+(Vo−CA0)・1C+(Vo−CM2)・0.5C+(Vo−CM1)・0.25C+(Vo−CM0)・0.25C
となる。したがって、共通信号線LCにおける出力電圧Voは、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−(8・Da4+5・Da3+3・Da2+2・Da1+1・Da0+0.5・DMa2+0.25・DMa1+0.25・DMa0))+VCM ・・・(3)
となる。ただし、
VR=VRP−VRM
VINa=CAL・(VIN−VRM)/VR
CAL=8+5+3+2+1+0.5+0.25+0.25=20
Da4=(CA4−VRM)/VR
Da3=(CA3−VRM)/VR
Da2=(CA2−VRM)/VR
Da1=(CA1−VRM)/VR
Da0=(CA0−VRM)/VR
DMa2=(CM2−VRM)/VR
DMa1=(CM1−VRM)/VR
DMa0=(CM0−VRM)/VR
である。
上記の式(3)を、中間電圧VRCを用いて変形すると、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−(10+4・Db4+2.5・Db3+1.5・Db2+1・Db1+0.5・Db0+0.25・DMb2+0.125・DMb1+0.125・DMb0))+VCM ・・・(4)
となる。ただし、
VR=VRP−VRM
VINa=CAL・(VIN−VRM)/VR
CAL=8+5+3+2+1+0.5+0.25+0.25=20
Db4=2・(CA4−VRC)/VR
Db3=2・(CA3−VRC)/VR
Db2=2・(CA2−VRC)/VR
Db1=2・(CA1−VRC)/VR
Db0=2・(CA0−VRC)/VR
DMb2=2・(CM2−VRC)/VR
DMb1=2・(CM1−VRC)/VR
DMb0=2・(CM0−VRC)/VR
VRC=(VRP+VRM)/2
である。
次に、図25(c)に示すように、主キャパシタCA4〜CA0及び測定キャパシタCM2〜CM0に中間電圧VRCを供給する。図において、主キャパシタCA4〜CA0,CM2〜CM0に接続された主スイッチSA4a〜SA0a,測定スイッチSM2a〜SM0aに対応する制御信号CSWの値を、括弧を付して示す。
このとき、共通信号線LCにおける出力電圧Voは、上記の式(4)により、信号Db4〜Db0,DMb2〜DMb0が「0」であるから、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−10)+VCM
となる。
そして、共通信号線LCにおける出力電圧Voとコモン電圧VCMとを比較して判定信号Kaが比較器72から出力される。この判定信号Kaのレベル(HレベルまたはLレベル)に応じてデジタル信号DbのMSB(Db4)の値(−1or+1)が決定される。
次に、図25(d)に示すように、上記の判定結果に応じた信号Db4(−1or+1)に基づいて基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を主キャパシタCA4に供給する。たとえば、信号Db4が「+1」(判定信号Ka=H)の場合、出力電圧Voは、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−(10+4))+VCM
となる。一方、信号Db4が「−1」(判定信号Ka=L)の場合、出力電圧Voは、
Vo=−(VR/CAL)・(VINa−(10−4))+VCM
となる。比較器72は、この出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db3の値を決定する。
次に、図26(a)に示すように、上記の判定結果に応じた信号Db3(−1or+1)に基づいて基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を主キャパシタCA3に供給する。比較器72は、この出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db2の値を決定する。
同様に、判定信号Kaに応じて信号Db2(−1or+1)に基づいて基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を主キャパシタCA2に供給する。比較器72は、この出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db1の値を決定する。
したがって、図26(b)に示すように、コード(変換制御信号CSa)の信号Db4〜Db1に応じて、主キャパシタCA4〜CA1に対して基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。比較器72は、この出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db0の値を決定する。
上記の処理により、図24に示す変換制御回路73は、値を決定した信号Db4〜Db0を含むデジタル信号Dbを出力する。
このような判定処理により、変換制御回路73は、上記の式(4)における「VINa−(10+4・Db4+2.5・Db3+1.5・Db2+1・Db1+0.5・Db0+0.25・DMb2+0.125・DMb1+0.125・DMb0)」を「0」に近づけるように動作する。図25(c)〜図26(b)に示すように、主キャパシタCA4〜CA0に対する判定の間、DMb2〜DMb0は「0」であり、測定キャパシタCM2〜CM0に中間電圧VRCを供給する。したがって、変換制御回路73から出力されるデジタル信号Dbは、
Db=10+4・Db4+2.5・Db3+1.5・Db2+1・Db1+0.5・Db0
となる。
補正回路75は、変換制御回路73から出力されるデジタル信号Dbと、測定制御回路74から出力される容量値Wa(Wa4〜Wa2)とに基づいて、補正した値のデジタル信号DObを算出する。このデジタル信号DObを、容量値Wa(Wa4〜Wa2)を用いて表すと、
DOb=10+Wa4/2・Db4+Wa3/2・Db3+Wa2/2・Db2+2/2・Db1+1/2・Db0
となる。
そして、補正回路75は、このデジタル値DObを、以下の式にしたがって所望のビット数(例えば4ビット)のデジタル出力信号DOUTに変換する。
DOUT=16・DOb/20
上記の式において、「16」は4ビットのデジタル信号のコード幅、「20」は測定した容量値WaによるD/A変換回路71におけるコード幅(=8+5+3+2+1+0.5+0.25+0.25)である。したがって、デジタル出力信号DOUTは、ビット数をnとし、D/A変換回路71におけるキャパシタの容量値の合計をCALとすると、
DOUT=2^n・DOb/CAL
と表すことができる。
次に、変換処理におけるA/D変換回路70の状態を説明する。
比較器72は、D/A変換回路71の出力電圧Voとコモン電圧VCMを比較して判定信号Kaを出力する。比較器72の動作は、上記の式(4)にしたがって、D/A変換回路71におけるコード幅の中心値に対して判定結果に応じたキャパシタの容量値の1/2を順次加減算した結果の値とアナログ入力信号VINaの値とを比較することに等しい。中心値または加減算の結果の値を判定値として、判定値とアナログ入力信号VINaを比較することとして説明する。
本実施形態の場合、キャパシタの容量値の合計は「20」である。したがって、D/A変換回路71におけるコード幅は「20」であり、1回目の判定値は「10」となる。
図27に示すように、先ず、アナログ入力信号VINaと判定値「10」とを比較する。なお、アナログ入力信号VINaの値を「12.25」とする。この場合、判定信号Kaに基づいて信号Db4を「+1」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「14」(=10+4(=8/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db3を「−1」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「11.5」(=14−2.5(=5/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db2を「+1」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「13」(=11.5+1.5(=3/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db1を「−1」とする。そして、アナログ入力信号VINaと判定値「12」(=13−1(=2/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db0を「+1」とする。
このように、図24に示す変換制御回路73のデジタル信号Dbの各ビット値Db4〜Db0が設定される。図24に示す補正回路75は、このデジタル信号Dbと、測定制御回路74から出力される容量値Waに基づいて、デジタル信号DOaを算出する。デジタル信号DOaは、
DOa=10+4・(+1)+2.5・(−1)+1.5・(+1)+1・(−1)+0.5・(+1)=12.5
となる。そして、補正回路75は、デジタル信号DOaを、4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換する。デジタル出力信号DOUTは、
DOUT=16・12.5/20=10(四捨五入)
となる。
図27において、縦軸はD/A変換回路71におけるコードを示し、横軸は判定回数を示す。縦軸において、三重線にて示した部分は、各判定におけるアナログ入力信号VINaの範囲を示し、矢印は冗長範囲を示す。
冗長範囲は、アナログ入力信号VINaに対する判定ミスを、下位のキャパシタによる判定によって補正することができる範囲を示す。つまり、冗長範囲は、その判定における判定ミスを許容可能な範囲を示す。
D/A変換回路71に含まれる主キャパシタCA4〜CA0において、主キャパシタCA4の容量値は、下位の主キャパシタCA3〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0の容量値を合計した値以下に設定される。したがって、主キャパシタCA4により生成した出力電圧Voと同程度の電圧を、下位の主キャパシタCA3〜CA0を用いて共通信号線LCに生成することができる。したがって、主キャパシタCA4を用いた判定と同様の判定を、主キャパシタCA3〜CA0を用いて行うことができる。主キャパシタCA3,CA2についても同様である。
本実施形態では、判定値を中心とする冗長範囲が設定される。たとえば、電源ノイズや熱ノイズは、アナログ入力信号VINに対して高電位側と低電位側とにランダムな電圧変動を生じさせる。このように設定される冗長範囲は、アナログ入力信号VINにおけるランダムな電圧変化による判定ミスの補正を可能とする。
たとえば、図28に示すように、アナログ入力信号VINaを冗長範囲内(=8.75)とする。判定ミスのない場合、1回目の判定において、信号Db4は「−1」に設定される。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「6」(=10−4(=8/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db3を「+1」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「8.5」(=6+2.5(=5/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db2を「+1」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「10」(=8.5+1.5(=3/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db1を「−1」とする。そして、アナログ入力信号VINaと判定値「9」(=10−1(=2/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db0を「−1」とする。このように、デジタル信号Dbの各ビット値Db4〜Db0が設定される。したがって、デジタル信号DOaは、
DOa=10+4・(−1)+2.5・(+1)+1.5・(+1)+1・(−1)+0.5・(−1)=8.5
となる。
次に、判定ミスが発生した場合を説明する。
図29に示すように、1回目の判定において、判定ミスにより信号Db4が「+1」に設定される。この場合、次の判定において、アナログ入力信号VINaと判定値「14」(=10+4(=8/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db3を「−1」に設定する。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「11.5」(=14−2.5(=5/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db2を「−1」に設定する。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「10」(=11.5−1.5(=3/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db1を「−1」とする。そして、アナログ入力信号VINaと判定値「9」(=10−1(=2/2))とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Db0を「−1」とする。このように、デジタル信号Dbの各ビット値Db4〜Db0が設定される。したがって、デジタル信号DOaは、
DOa=10+4・(+1)+2.5・(−1)+1.5・(−1)+1・(−1)+0.5・(−1)=8.5
となる。このデジタル信号DOaの値は、図28による結果と等しい。つまり、1回目の判定において、判定値より小さなアナログ入力信号VINaにおける判定ミスが補正されている。
次に、中間電圧VRCを用いないA/D変換回路における動作を説明する。なお、この比較例として、たとえば、図1に示すA/D変換回路70を用いる。なお、以下の説明において、設計値を用いる。
先ず、判定ミスのない場合を説明する。
図30に示すアナログ入力信号VINaの値を「6.75」とする。
先ず、アナログ入力信号VINaと判定値「8」とを比較する。そして、判定信号Kaに基づいて信号Da4を「0」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「5」とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da3を「1」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「8」(=5+3)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da2を「0」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「7」(=5+2)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da1を「0」とする。そして、アナログ入力信号VINaと判定値「6」(=5+1)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da0を「1」とする。この場合、デジタル信号DOaは、
DOa=8・0+5・1+3・0+2・0+1=6
となる。
次に、判定ミスが生じた場合を説明する。
たとえば、図31に示すように、1回目の判定における判定ミスにより信号Da4が「1」に設定される。すると、次の判定において判定値「13」(=8+5)が設定される。そして、アナログ入力信号VINaと判定値「13」とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da3を「0」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「11」(=8+3)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da2を「0」とする。次に、アナログ入力信号VINaと判定値「10」(=8+2)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da1を「0」とする。そして、アナログ入力信号VINaと判定値「9」(=8+1)とを比較し、判定信号Kaに基づいて信号Da0を「0」とする。この場合、デジタル信号DOaは、
DOa=8・1+5・0+3・0+2・0+0=8
となる。このように、中間電圧VRCを用いないA/D変換回路の場合、判定値より小さなアナログ入力信号VINaにおける判定ミスは、補正することができない。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(3−1)上記第一,第二実施形態と同様に、測定制御回路74によって測定した主キャパシタCA4〜CA2の容量値Waを用いて、アナログ入力信号VINを変換したデジタル信号Dbを補正してデジタル出力信号DOUTを生成することで、変換にかかる時間を短縮することができる。
(3−2)主キャパシタCA4〜CA0に中間電圧VRCを供給し、共通信号線LCにおける出力電圧Voを判定してデジタル信号Dbを決定する。そして、判定結果に応じて第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRMを主キャパシタCA4〜CA0に供給する。この処理は、たとえば1回目の判定において、D/A変換回路に含まれる主キャパシタCA4〜CA0と測定キャパシタCM2〜CM0に応じたデジタル信号Dbのコード幅の中間値を判定値としてアナログ入力信号VINを判定することと等価である。1回目の判定結果に基づいて、判定値に対して、下位の主キャパシタに蓄積した電荷の1/2を加算または減算して次の判定値を決定する。したがって、このA/D変換回路70では、判定値を中心とした冗長範囲を設定する。これにより、判定ミスを、下位ビットの判定の際に補正することができ、高い変換精度を得ることができる。
(第四実施形態)
以下、第四実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の一部または全てを省略する。
図32に示すように、逐次比較型のアナログデジタル変換回路(A/D変換回路)100は第三実施形態のA/D変換回路70を全差動化したものであり、差動のアナログ入力信号VIN(=VIp−VIm)を複数ビット(たとえば4ビット)のデジタル出力信号DOUTに変換する。
A/D変換回路100は、デジタルアナログ変換回路(D/A変換回路)101、比較器102、変換制御回路103、測定制御回路104、補正回路105、選択回路106,107を有している。
D/A変換回路101は、差動のアナログ入力信号VINであるアナログ入力信号VIp,VIm、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、コモン電圧VCM、制御信号CSWに基づいて、差動の出力電圧Vop,Vomを生成する。本実施形態におけるコモン電圧VCMの電圧値は、任意の電圧値である。
D/A変換回路101は電荷再配分型のデジタルアナログ変換回路(CDAC)である。D/A変換回路101は、第1変換部111と第2変換部112とを有している。
第1変換部111は、第一実施形態と同様に、所定の比率(8:5:3:2:1)で重み付けされた複数の主キャパシタCA4p,CA3p,CA2p,CA1p,CA0pを有している。図32において、主キャパシタCA4p〜CA0pの容量値をそれぞれ、8C,5C,3C,2C,1Cと表記する。「C」は単位容量値を示す。主キャパシタCA4p〜CA0pの第1端子は共通信号線LCpに接続されている。共通信号線LCpは第1リセットスイッチSR0pの第1端子に接続され、第1リセットスイッチSR0pの第2端子にコモン電圧VCMが供給される。
主キャパシタCA4p,CA3p,CA2p,CA1p,CA0pの第2端子はそれぞれ主スイッチSA4p,SA3p,SA2p,SA1p,SA0pに接続されている。主スイッチSA4pは、主キャパシタCA4pに接続された端子(共通端子)と、アナログ入力信号VIpが供給される端子と、第1基準電圧VRPが供給される端子と、第2基準電圧VRMが供給される端子を有している。主スイッチSA4pは、制御信号CSWpに応答して、アナログ入力信号VIp、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMのいずれかを主キャパシタCA4pに供給する。
同様に、主スイッチSA3p〜SA0pは、制御信号CSWpに応答して、アナログ入力信号VIp、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMのいずれかを主キャパシタCA3p〜CA0pに供給する。制御信号CSWpは、主スイッチSA4p〜SA0p,リセットスイッチSR0pのそれぞれに応じた制御信号を含む。
第2変換部112は、第1変換部111と同様に、所定の比率(8:5:3:2:1)で重み付けされた複数の主キャパシタCA4m,CA3m,CA2m,CA1m,CA0mを有している。図32において、主キャパシタCA4m〜CA0mの容量値をそれぞれ、8C,5C,3C,2C,1Cと表記する。「C」は単位容量値を示す。主キャパシタCA4m〜CA0mの第1端子は共通信号線LCmに接続されている。共通信号線LCmは第2リセットスイッチSR0mの第1端子に接続され、第2リセットスイッチSR0mの第2端子にコモン電圧VCMが供給される。
主キャパシタCA4m,CA3m,CA2m,CA1m,CA0mの第2端子はそれぞれ主スイッチSA4mSA3m,SA2m,SA1m,SA0mに接続されている。主スイッチSA4mは、制御信号CSWmに応答して、アナログ入力信号VIm、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMのいずれかを主キャパシタCA4mに供給する。同様に、主スイッチSA3m〜SA0mは、制御信号CSWmに応答して、アナログ入力信号VIm、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMのいずれかを主キャパシタCA3m〜CA0mに供給する。制御信号CSWmは、主スイッチSA4m〜SA0m,リセットスイッチSR0mのそれぞれに応じた制御信号を含む。
さらに、第1変換部111の主スイッチSA4pは、第2変換部112の主スイッチSA4mに接続された端子を有している。主スイッチSA4p,SA4mは、制御信号CSWp,CSWmに応答して、第1変換部111の主キャパシタCA4pと、第2変換部112の主キャパシタCA4mとを互いに接続する。同様に、第1変換部111の主スイッチSA3p〜SA0pは、第2変換部112の主スイッチSA3p〜SA0pとそれぞれ接続され、第1変換部111の主キャパシタCA3p〜CA0pと、第2変換部112の主キャパシタCA3m〜CA0mとを互いに接続する。
また、第1変換部111は、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2の容量値を測定するための測定キャパシタCM2p,CM1p,CM0pを有している。測定キャパシタCM2p〜CM0pの容量値は、最下位ビットに対応する主キャパシタCA0pの容量値に応じて、所定の比率(0.5:0.25:0.25)で重み付けされている。図32において、測定キャパシタCM2p,CM1p,CM0pの容量値をそれぞれ、0.5C,0.25C,0.25Cと表記する。「C」は単位容量値を示す。測定キャパシタCM2p〜CM0pの第1端子は共通信号線LCpに接続されている。
測定キャパシタCM2p,CM1p,CM0pの第2端子は測定スイッチSM2p,SM1p,SM0pにそれぞれ接続されている。測定スイッチSM2p〜SM0pは、制御信号CSWpに応答して、アナログ入力信号VIp、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMのいずれかを測定キャパシタCM2p〜CM0pに供給する。制御信号CSWpは、測定スイッチSM2p〜SM0pのそれぞれに応じた制御信号を含む。
同様に、第2変換部112は、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2の容量値を測定するための測定キャパシタCM2m,CM1m,CM0mを有している。測定キャパシタCM2m〜CM0mの容量値は、最下位ビットに対応する主キャパシタCA0mの容量値に応じて、所定の比率(0.5:0.25:0.25)で重み付けされている。図32において、測定キャパシタCM2m,CM1m,CM0mの容量値をそれぞれ、0.5C,0.25C,0.25Cと表記する。「C」は単位容量値を示す。測定キャパシタCM2m〜CM0mの第1端子は共通信号線LCmに接続されている。
第2変換部112の測定キャパシタCM2m,CM1m,CM0mの第2端子は測定スイッチSM2m,SM1m,SM0mにそれぞれ接続されている。測定スイッチSM2m〜SM0mは、制御信号CSWmに応答して、アナログ入力信号VIm、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRMのいずれかを測定キャパシタCM2m〜CM0mに供給する。制御信号CSWmは、測定スイッチSM2m〜SM0mのそれぞれに応じた制御信号を含む。
さらに、第1変換部111の測定スイッチSM2pは、第2変換部112の測定スイッチSM2mに接続された端子を有している。測定スイッチSM2p,SM2mは、制御信号CSWp,CSWmに応答して、第1変換部111の測定キャパシタCM2pと、第2変換部112の測定キャパシタCM2mとを互いに接続する。同様に、第1変換部111の測定スイッチSM1p,SM0pは、第2変換部112の測定スイッチSM1m,SM0mとそれぞれ接続され、第1変換部111の測定キャパシタCM1p,CM0pと、第2変換部112の測定キャパシタCM1m,CM0mとを互いに接続する。
なお、図32に示す主スイッチSA4pは、主キャパシタCA4pに対して、アナログ入力信号VIp,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRMの供給と主キャパシタCA4mとの接続を選択的に行うための一例である。したがって、たとえば4つのスイッチを主キャパシタCA4pに接続し、各スイッチを制御して主キャパシタCA4pに対して、アナログ入力信号VIp,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRMの供給と主キャパシタCA4mとの接続を行うようにしてもよい。他の主スイッチSA3p〜SA0p,測定スイッチSM2p〜SM0p,SA4m〜SA0m,測定スイッチSM2m〜SM0mについても同様である。
第1変換部111の共通信号線LCpは比較器102の反転入力端子に接続されている。第2変換部112の共通信号線LCmは比較器102の非反転入力端子に接続されている。第1変換部111は、共通信号線LCpに、アナログ入力信号VIpに基づいた出力電圧Vopを生成する。第2変換部112は、共通信号線LCmに、アナログ入力信号VImに基づいて出力電圧Vomを生成する。比較器102は、D/A変換回路101から出力される出力電圧Vop,Vomを比較し、その比較結果に応じた判定信号Kaを生成する。判定信号Kaは、変換制御回路103と測定制御回路104に供給される。
変換制御回路103は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLa,変換制御信号CSa,デジタル信号Dbを生成する。変換制御回路103は、判定信号Kaの値を逐次保持するレジスタと、デジタル信号Dbと変換制御信号CSaを生成するロジック回路とを有している。また、変換制御回路103は、判定信号Kaを得るためのラッチ信号CLaを出力する。そして、変換制御回路103は、保持した判定信号Kaの値に応じて、デジタル信号Dbを出力する。デジタル信号Dbは、D/A変換回路101の主キャパシタCA4p〜CA0p,CA4m〜CA0mに応じた5ビットの信号である。
測定制御回路104は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLb,測定制御信号CSb,容量値Waを生成する。測定制御回路104は、判定信号Kaに基づいて測定制御信号CSbを生成するロジック回路と、複数の測定制御信号CSbの値を保持するレジスタを有している。測定制御回路104は、測定対象の主キャパシタCA4p,CA4m〜CA2p,CA2mに対応する測定制御信号CSbの値を保持する。そして、測定制御回路104は、保持した測定制御信号CSbの値に応じた容量値Waを出力する。容量値Waは、測定対象の主キャパシタCA4p,CA4m〜CA2p,CA2mの容量値を含む。主キャパシタCA4〜CA2の容量値をWa4〜Wa2とする。
測定制御回路104は、第一実施形態と同様に、主キャパシタCA4p〜CA2p,CA4m〜CA2mの容量値を測定する。たとえば、測定制御回路104は、主キャパシタCA2p,CA2mの容量値を、主キャパシタCA1p,CA1m,CA0p,CA0mと測定キャパシタCM2p,CM2m〜CM0p,CM0mを用いて測定する。同様に、測定制御回路104は、主キャパシタCA3p,CA3mの容量値を、主キャパシタCA2p,CA2m〜CA0p,CC0mと測定キャパシタCM2p,CM2m〜CM0p,CM0mを用いて測定する。そして、測定制御回路104は、主キャパシタCA4p,CA4mの容量値を、主キャパシタCA3p,CA3m〜CA0p,CA0mと測定キャパシタCM2p,CM2m〜CM0p,CM0mを用いて測定する。
選択回路106には、変換制御回路103からの変換制御信号CSaと、測定制御回路104からの測定制御信号CSbが供給される。さらに、選択回路106には、選択信号SELが供給される。選択回路106は、第1レベルの選択信号SELに応答して変換制御信号CSaを選択し、その変換制御信号CSaと等しい制御信号CSWを出力する。選択回路106は、第2レベルの選択信号SELに応答して測定制御信号CSbを選択し、その測定制御信号CSbと等しい制御信号CSWを出力する。制御信号CSWは、第1変換部111の主スイッチSA4p〜SA0pと測定スイッチSM2p〜SM0pを制御する制御信号CSWpと、第2変換部112の主スイッチSA4m〜SA0mと測定スイッチSM2m〜SM0mを制御する制御信号CSWmとを含む。図では省略したが、変換制御信号CSa,測定制御信号CSbは、第1変換部111の主スイッチSA4p〜SA0pと測定スイッチSM2p〜SM0pを制御する制御信号と、第2変換部112の主スイッチSA4m〜SA0mと測定スイッチSM2m〜SM0mを制御する制御信号とを含む。
同様に、選択回路107には、変換制御回路103からのラッチ信号CLaと、測定制御回路104からのラッチ信号CLbと、選択信号SELが供給される。選択回路107は、第1レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLaを選択し、選択したラッチ信号CLaと等しいラッチ信号CLを出力する。選択回路107は、第2レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLbを選択し、選択したラッチ信号CLbと等しいラッチ信号CLを出力する。したがって、変換処理を行うとき、D/A変換回路101と比較器102は、変換制御回路103により制御される。一方、測定処理を行うとき、D/A変換回路101と比較器102は、測定制御回路104により制御される。
補正回路105は、変換制御回路103から出力されるデジタル信号Dbを、測定制御回路104から出力される容量値Waに基づいて補正してデジタル出力信号DOUTを生成する。補正回路105は、デジタル信号Dbと容量値Waとに基づいて、アナログ入力信号VINの電圧値を算出する。そして、補正回路105は、算出した電圧値を、4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換し、そのデジタル出力信号DOUTを出力する。
補正回路105は、変換制御回路103から出力されるデジタル信号Dbを、測定制御回路104から出力される容量値Waに基づいて補正してデジタル出力信号DOUTを生成する。補正回路105は、測定対象以外の主キャパシタCA1p,CA1mの容量値と、主キャパシタCA0p,CA0mの容量値とを記憶している。補正回路105は、デジタル信号Dbの各ビットと、主キャパシタCA4p,CA4m〜CA2p,CA2mの容量値Waと、記憶した主キャパシタCA1p,CA1m,CA0p,CA0mの容量値とに基づいて、アナログ入力信号VINの電圧値を算出する。この算出する電圧値は、D/A変換回路101の主キャパシタCA4p,CA4m〜CA0p,CA0mの設計値に対して、測定制御回路104により測定した主キャパシタCA4p,CA4m〜CA2p,AC2mの容量値に応じて補正した値である。そして、このデジタル値は、アナログ入力信号VINの入力範囲である第1基準電圧VRPと第2基準電圧VRMの間の電位差を、主キャパシタCA4p,CA4m〜CA0p,CA0mの容量値に応じて設定した分解能(ステップ)に基づく値である。したがって、補正回路105は、算出した電圧値を、4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換し、そのデジタル出力信号DOUTを出力する。
次に、判定処理におけるA/D変換回路100の動作を説明する。なお、以下の説明に用いる図において、上記実施形態と同様に、主キャパシタCA4p〜CA0p,CA4m〜CA0m、測定キャパシタCM2p〜CM0p,CM2m〜CM0m、及び比較器102を示し、他の部材を省略する。
先ず、図33(a)に示すように、アナログ入力信号VIp,VImをサンプリングする。詳しくは、第1変換部111において、主キャパシタCA4p〜CA0p及び測定キャパシタCM2p〜CM0pの第2端子にアナログ入力信号VIpを供給し、共通信号線LCpにコモン電圧VCMを供給する。同様に、第2変換部112において、主キャパシタCA4m〜CA0m及び測定キャパシタCM2m〜CM0mの第2端子にアナログ入力信号VImを供給し、共通信号線LCmにコモン電圧VCMを供給する。
そして、図33(b)に示すように、第1変換部111の主スイッチSA4p〜SA0p,測定スイッチSM2p〜SM0p,リセットスイッチSR0p(図32参照)をオフする。同様に、第2変換部112の主スイッチSA4m〜SA0m,2m〜SM0m,リセットスイッチSR0m(図32参照)をオフする。これにより、電荷を保持(ホールド)する。
このとき、出力電圧Vop,Vomは、
Vop=−(VR/CAL)・(VIpa−(8・D4p+5・D3p+3・D2p+2・D1p+1・D0p+0.5・DM2p+0.25・DM1p+0.25・DM0p))+VCM ・・・(5)
Vom=−(VR/CAL)・(VIma−(8・D4m+5・D3m+3・D2m+2・D1m+1・D0m+0.5・DM2m+0.25・DM1m+0.25・DM0m))+VCM ・・・(6)
となる。ただし、
VR=VRP−VRM
VIpa=CAL・(VIp−VRM)/VR
VIma=CAL・(VIm−VRM)/VR
CAL=8+5+3+2+1+0.5+0.25+0.25=20
D4p=(CA4p−VRM)/VR
D3p=(CA3p−VRM)/VR
D2p=(CA2p−VRM)/VR
D1p=(CA1p−VRM)/VR
D0p=(CA0p−VRM)/VR
DM2p=(CM2p−VRM)/VR
DM1p=(CM1p−VRM)/VR
DM0p=(CM0p−VRM)/VR
D4m=(CA4m−VRM)/VR
D3m=(CA3m−VRM)/VR
D2m=(CA2m−VRM)/VR
D1m=(CA1m−VRM)/VR
D0m=(CA0m−VRM)/VR
DM2m=(CM2m−VRM)/VR
DM1m=(CM1m−VRM)/VR
DM0m=(CM0m−VRM)/VR
である。
図32に示す比較器102は、差動の出力電圧Vop,Vomを比較するため、上記の式(5),(6)により、
Vop−Vom=−(VR/CAL)・(VIpa−VIma−(8・Db4+5・Db3+3・Db2+2・Db1+1・Db0+0.5・DMb2+0.25・DMb1+0.25・DMb0))
Db4=(CA4p−CA4m)/VR
Db3=(CA3p−CA3m)/VR
Db2=(CA2p−CA2m)/VR
Db1=(CA1p−CA1m)/VR
Db0=(CA0p−CA0m)/VR
DMb2=(CM2p−CM2m)/VR
DMb1=(CM1p−CM1m)/VR
DMb0=(CM0p−CM0m)/VR
となる。VINaは、1LSBに相当する電圧値を単位としてアナログ入力信号VINを表した値である。そして、VIpa,VImaはそれぞれ、1LSBに相当する電圧値を単位としてアナログ入力信号VIp,VImを表した値である。この式は、そして、第三実施形態と同様に、
Vop−Vom=−(2・VR/CAL)・(VINa−(10+4・Db4+2.5・Db3+1.5・Db2+1・Db1+0.5・Db0+0.25・DMb2+0.125・DMb1+0.125・DMb0)) ・・・(7)
VINa=(VIpa−VIma+20)/2=(CAL・(VIp−VIm)+20)/(2・VR)=(CAL・VIN+20)/(2・VR)
とすることができる。
この実施形態において、変換可能なアナログ入力信号VIp、VImの範囲はそれぞれ、
VRM≦VIp≦VRP
VRM≦VIm≦VRP
となり、アナログ入力信号VINaの範囲は、
0≦VINa≦20
となる。
次に、図33(c)に示すように、第1変換部111と第2変換部112において、差動関係にあるキャパシタを互いに接続する。たとえば、主キャパシタCA4pの第2端子と主キャパシタCA4mの第2端子を互いに接続する。なお、図33(c)において括弧を付して示した値(=0)は、図32に示す主スイッチSA4p〜SA0p,SA4m〜SA0mと測定スイッチSM2p〜SM0p,SM2m〜SM0mに対する制御信号CSWp,CSWmを示す。これにより、両主キャパシタCA4p、CA4mの第2端子における電圧は互いに等しくなる。そして、共通信号線LCpの出力電圧Vopと共通信号線LCmの出力電圧Vomを比較した結果に応じた判定信号Kaが比較器102から出力される。
第1変換部111の主キャパシタCA4p〜CA0p及び測定キャパシタCM2m〜CM0mと、第2変換部112の主キャパシタCA4m〜CA0m及び測定キャパシタCM2m〜CM0mの第2端子における電圧が等しいため、上記の式(7)は、
Vop−Vom=−(2・VR/CAL)・(VINa−10)
となる。
この判定信号Kaのレベル(HレベルまたはLレベル)に応じて、デジタル信号DbのMSB(Db4)の値(−1or+1)を決定する。たとえば、判定信号KaがHレベルのとき、信号Db4に「−1」を設定し、判定信号KaがLレベルのとき、信号Db4に「+1」を設定する。
次に、図34(a)に示すように、上記の判定により決定された信号Db4(−1or+1)に基づいて差動関係にある主キャパシタCA4p,CA4mに対して、相補的に基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。たとえば、信号Db4が「−1」の場合、主キャパシタCA4pに第1基準電圧VRPを供給し、主キャパシタCA4mに第2基準電圧VRMを供給する。したがって、
Vop−Vom=−(2・VR/CAL)・(VINa−(10+4))
となる。
一方、信号Db4が「+1」の場合、主キャパシタCA4pに第2基準電圧VRMを供給し、主キャパシタCA4mに第1基準電圧VRPを供給する。したがって、
Vop−Vom=−(2・VR/CAL)・(VINa−(10−4))
となる。
このように、出力電圧Vop,Vomは、主キャパシタCA4p,CA4mに供給される基準電圧VRP,VRMに応じて変化する。比較器102は、これらの出力電圧Vop,Vomを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db3の値を決定する。
次に、図34(b)に示すように、上記の判定により決定された信号Db3(−1or+1)に基づいて差動関係にある主キャパシタCA3p,CA3mに対して、相補的に基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。これにより、出力電圧Vop,Vomは、主キャパシタCA3p,CA3mに供給される基準電圧VRP,VRMに応じて変化する。比較器102は、これらの出力電圧Vop,Vomを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db2の値を決定する。
そして、図34(c)に示すように、信号Db2に基づいて差動関係にある主キャパシタCA2p,CA2mに対して、相補的に基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。さらに、信号Db1に基づいて差動関係にある主キャパシタCA1p,CA1mに対して、相補的に基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。これにより、出力電圧Vop,Vomは、主キャパシタCA4p〜CA1p,CA4m〜CA1mに供給される基準電圧VRP,VRMに応じた電位となる。比較器102は、これらの出力電圧Vop,Vomを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db0の値を決定する。
上記の処理により、図32に示す変換制御回路103は、値を決定した信号Db4〜Db0を含むデジタル信号Dbを出力する。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(4−1)上記第一〜第三実施形態と同様に、測定制御回路104によって測定した主キャパシタCA4p〜CA2p,CA4m〜CM2mの容量値Waを用いて、アナログ入力信号VIp,VImを変換したデジタル信号Dbを補正してデジタル出力信号DOUTを生成することで、変換にかかる時間を短縮することができる。
(4−2)A/D変換回路100は、アナログ入力信号VIp,VImをデジタル出力信号DOUTに変換する。そして、このA/D変換回路100は、上記の第三実施形態と同様に、判定値を中心とする冗長範囲を設定する。判定ミスを、下位ビットの判定の際に補正することができ、高い変換精度を得ることができる。
(4−3)A/D変換回路100は全差動型であるため、D/A変換回路101の出力電圧Vop,Vomの差電圧が同相ノイズの影響を受けなくなり、同相ノイズによる誤判定を低減することができる。
(第五実施形態)
以下、第五実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図35に示すように、逐次比較型のアナログデジタル変換回路(A/D変換回路)120は第四実施形態と同様に第三実施形態のA/D変換回路70を全差動化したものであり、差動のアナログ入力信号VIN(=VIp−VIm)を複数ビット(たとえば4ビット)のデジタル出力信号DOUTに変換する。
A/D変換回路120は、デジタルアナログ変換回路(D/A変換回路)121、比較器122、変換制御回路123、測定制御回路124、補正回路125、選択回路126,127を有している。
D/A変換回路121は、差動のアナログ入力信号VINであるアナログ入力信号VIp,VIm、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、第1コモン電圧VC1、第2コモン電圧VC2、制御信号CSWに基づいて出力電圧Vop,Vomを生成する。第1コモン電圧VC1及び第2コモン電圧VC2の電圧値は、任意の電圧値である。
D/A変換回路121は電荷再配分型のデジタルアナログ変換回路(CDAC)である。D/A変換回路121は、第1変換部131と第2変換部132とを有している。
第1変換部131は、第一実施形態と同様に、所定の比率(8:5:3:2:1)で重み付けされた複数の主キャパシタCA4p,CA3p,CA2p,CA1p,CA0pを有している。図35において、主キャパシタCA4p〜CA0pの容量値をそれぞれ、8C,5C,3C,2C,1Cと表記する。「C」は単位容量値を示す。主キャパシタCA4p〜CA0pの第1端子は共通信号線LCpに接続されている。主キャパシタCA4p,CA3p,CA2p,CA1p,CA0pの第2端子はそれぞれ主スイッチSA4p,SA3p,SA2p,SA1p,SA0pに接続されている。
主スイッチSA4pは、主キャパシタCA4pに接続された端子(共通端子)と、アナログ入力信号VIpが供給される端子と、第1基準電圧VRPが供給される端子と、第2基準電圧VRMが供給される端子と、第2コモン電圧VC2が供給される端子を有している。主スイッチSA4pは、制御信号CSWpに応答して、アナログ入力信号VIp、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、第2コモン電圧VC2のいずれかを主キャパシタCA4pに供給する。主スイッチSA3p〜SA0pは、主スイッチSA4pと同様に各端子を有している。したがって、主スイッチSA3p〜SA0pは、制御信号CSWpに応答して、アナログ入力信号VIp、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、第2コモン電圧VC2のいずれかを主キャパシタCA3p〜CA0pに供給する。共通信号線LCpは第1リセットスイッチSR0pの第1端子に接続され、第1リセットスイッチSR0pの第2端子に第1コモン電圧VC1が供給される。制御信号CSWpは、主スイッチSA4p〜SA0p,リセットスイッチSR0pのそれぞれに応じた制御信号を含む。
また、第1変換部131は、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2の容量値を測定するための測定キャパシタCM2p,CM1p,CM0pを有している。測定キャパシタCM2p〜CM0pの容量値は、最下位ビットに対応する主キャパシタCA0pの容量値に応じて、所定の比率(0.5:0.25:0.25)で重み付けされている。図35において、測定キャパシタCM2p,CM1p,CM0pの容量値をそれぞれ、0.5C,0.25C,0.25Cと表記する。「C」は単位容量値を示す。測定キャパシタCM2p〜CM0pの第1端子は共通信号線LCpに接続されている。測定キャパシタCM2p,CM1p,CM0pの第2端子は測定スイッチSM2p,SM1p,SM0pにそれぞれ接続されている。測定スイッチSM2p〜SM0pは、主スイッチSA4pと同様に各端子を有している。したがって、測定スイッチSM2p〜SM0pは、制御信号CSWpに応答して、アナログ入力信号VIp、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、第2コモン電圧VC2のいずれかを測定キャパシタCM2p〜CM0pに供給する。制御信号CSWpは、測定スイッチSM2p〜SM0pのそれぞれに応じた制御信号を含む。
第2変換部132は、第一実施形態と同様に、所定の比率(8:5:3:2:1)で重み付けされた複数の主キャパシタCA4m,CA3m,CA2m,CA1m,CA0mを有している。図35において、主キャパシタCA4m〜CA0mの容量値をそれぞれ、8C,5C,3C,2C,1Cと表記する。「C」は単位容量値を示す。主キャパシタCA4m〜CA0mの第1端子は共通信号線LCmに接続されている。主キャパシタCA4m,CA3m,CA2m,CA1m,CA0mの第2端子はそれぞれ主スイッチSA4m,SA3m,SA2m,SA1m,SA0mに接続されている。
主スイッチSA4mは、主キャパシタCA4mに接続された端子(共通端子)と、アナログ入力信号VImが供給される端子と、第1基準電圧VRPが供給される端子と、第2基準電圧VRMが供給される端子と、第2コモン電圧VC2が供給される端子を有している。主スイッチSA4mは、制御信号CSWmに応答して、アナログ入力信号VIm、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、第2コモン電圧VC2のいずれかを主キャパシタCA4mに供給する。主スイッチSA3m〜SA0mは、主スイッチSA4mと同様に各端子を有している。したがって、主スイッチSA3m〜SA0mは、制御信号CSWmに応答して、アナログ入力信号VIm、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、第2コモン電圧VC2のいずれかを主キャパシタCA3m〜CA0mに供給する。共通信号線LCmは第2リセットスイッチSR0mの第1端子に接続され、第2リセットスイッチSR0mの第2端子に第1コモン電圧VC1が供給される。制御信号CSWmは、主スイッチSA4m〜SA0m,リセットスイッチSR0mのそれぞれに応じた制御信号を含む。
また、第2変換部132は、測定対象の主キャパシタCA4〜CA2の容量値を測定するための測定キャパシタCM2m〜CM0mを有している。測定キャパシタCM2m〜CM0mの容量値は、最下位ビットに対応する主キャパシタCA0mの容量値に応じて、所定の比率(0.5:0.25:0.25)で重み付けされている。図35において、測定キャパシタCM2m,CM1m,CM0mの容量値をそれぞれ、0.5C,0.25C,0.25Cと表記する。「C」は単位容量値を示す。測定キャパシタCM2m〜CM0mの第1端子は共通信号線LCmに接続されている。測定キャパシタCM2m〜CM0mの第2端子は測定スイッチSM2m〜SM0mにそれぞれ接続されている。測定スイッチSM2m〜SM0mは、制御信号CSWmに応答して、アナログ入力信号VIm、第1基準電圧VRP、第2基準電圧VRM、第2コモン電圧VC2のいずれかを測定キャパシタCM2m〜CM0mに供給する。制御信号CSWmは、測定スイッチSM2m〜SM0mのそれぞれに応じた制御信号を含む。
なお、図35に示す主スイッチSA4pは、主キャパシタCA4pに対して、アナログ入力信号VIp,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRM,第2コモン電圧VC2を選択的に供給するための一例である。したがって、たとえば4つのスイッチを主キャパシタCA4pに接続し、各スイッチを制御してアナログ入力信号VIp,第1基準電圧VRP,第2基準電圧VRM,第2コモン電圧VC2を主キャパシタCA4pに供給するようにしてもよい。他の主スイッチSA3p〜SA0p,測定スイッチSM2p〜SM0p,SA4m〜SA0m,測定スイッチSM2m〜SM0mについても同様である。
第1変換部131の共通信号線LCpは比較器122の反転入力端子に接続されている。第2変換部132の共通信号線LCmは比較器122の非反転入力端子に接続されている。第1変換部131は、共通信号線LCpに、アナログ入力信号VIpに基づいた出力電圧Vopを生成する。第2変換部132は、共通信号線LCmに、アナログ入力信号VImに基づいて出力電圧Vomを生成する。比較器122は、D/A変換回路121から出力される出力電圧Vop,Vomを比較し、その比較結果に応じた判定信号Kaを生成する。
変換制御回路123は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLa,変換制御信号CSa,デジタル信号Dbを生成する。変換制御回路123は、判定信号Kaの値を逐次保持するレジスタと、デジタル信号Dbと変換制御信号CSaを生成するロジック回路とを有している。また、変換制御回路123は、判定信号Kaを得るためのラッチ信号CLaを出力する。そして、変換制御回路123は、保持した判定信号Kaの値に応じて、デジタル信号Dbを出力する。デジタル信号Dbは、D/A変換回路121の主キャパシタCA4p,CA4m〜CA0p,CA0mに応じた5ビットの信号である。
測定制御回路124は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLb,測定制御信号CSb,容量値Waを生成する。測定制御回路124は、判定信号Kaに基づいて測定制御信号CSbを生成するロジック回路と、複数の測定制御信号CSbの値を保持するレジスタを有している。変換制御回路123は、測定対象の主キャパシタCA4p,CA4m〜CA2p,CA2mに対応する測定制御信号CSbの値を保持する。そして、変換制御回路123は、保持した測定制御信号CSbの値に応じた容量値Waを出力する。容量値Waは、測定対象の主キャパシタCA4p,CA4m〜CA2p,CA2mの容量値を含む。主キャパシタCA4p,CA4m〜CA2p,CA2mの容量値をWa4〜Wa2とする。
測定制御回路124は、判定信号Kaに基づいて、ラッチ信号CLb,測定制御信号CSb,容量値Waを生成する。測定制御回路124は、判定信号Kaに基づいて測定制御信号CSbを生成するロジック回路と、複数の測定制御信号CSbの値を保持するレジスタを有している。測定制御回路124は、測定対象の主キャパシタCA4p,CA4m〜CA2p,CA2mに対応する測定制御信号CSbの値を保持する。そして、測定制御回路124は、保持した測定制御信号CSbの値に応じた容量値Waを出力する。容量値Waは、測定対象の主キャパシタCA4p,CA4m〜CA2p,CA2mの容量値を含む。主キャパシタCA4〜CA2の容量値をWa4〜Wa2とする。
測定制御回路124は、第四実施形態と同様に、主キャパシタCA4p〜CA2p,CA4m〜CA2mの容量値を測定する。たとえば、測定制御回路124は、主キャパシタCA2p,CA2mの容量値を、主キャパシタCA1p,CA1m,CA0p,CA0mと測定キャパシタCM2p,CM2m〜CM0p,CM0mを用いて測定する。同様に、測定制御回路124は、主キャパシタCA3p,CA3mの容量値を、主キャパシタCA2p,CA2m〜CA0p,CA0mと測定キャパシタCM2p,CM2m〜CM0p,CM0mを用いて測定する。そして、測定制御回路124は、主キャパシタCA4p,CA4mの容量値を、主キャパシタCA3p,CA3m〜CA0p,CA0mと測定キャパシタCM2p,CM2m〜CM0p,CM0mを用いて測定する。
選択回路126には、変換制御回路123からの変換制御信号CSaと、測定制御回路124からの測定制御信号CSbが供給される。さらに、選択回路126には、選択信号SELが供給される。選択回路126は、第1レベルの選択信号SELに応答して変換制御信号CSaを選択し、その変換制御信号CSaと等しい制御信号CSWを出力する。選択回路126は、第2レベルの選択信号SELに応答して測定制御信号CSbを選択し、その測定制御信号CSbと等しい制御信号CSWを出力する。制御信号CSWは、第1変換部131の主スイッチSA4p〜SA0pと測定スイッチSM2p〜SM0pを制御する制御信号CSWpと、第2変換部132の主スイッチSA4m〜SA0mと測定スイッチSM2m〜SM0mを制御する制御信号CSWmとを含む。図では省略したが、変換制御信号CSa,測定制御信号CSbは、第1変換部131の主スイッチSA4p〜SA0pと測定スイッチSM2p〜SM0pを制御する制御信号と、第2変換部132の主スイッチSA4m〜SA0mと測定スイッチSM2m〜SM0mを制御する制御信号とを含む。
同様に、選択回路127には、変換制御回路123からのラッチ信号CLaと、測定制御回路124からのラッチ信号CLbと、選択信号SELが供給される。選択回路127は、第1レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLaを選択し、選択したラッチ信号CLaと等しいラッチ信号CLを出力する。選択回路127は、第2レベルの選択信号SELに基づいて、ラッチ信号CLbを選択し、選択したラッチ信号CLbと等しいラッチ信号CLを出力する。したがって、変換処理を行うとき、D/A変換回路121と比較器122は、変換制御回路123により制御される。一方、測定処理を行うとき、D/A変換回路121と比較器122は、測定制御回路124により制御される。
補正回路125は、変換制御回路123から出力されるデジタル信号Dbを、測定制御回路124から出力される容量値Waに基づいて補正してデジタル出力信号DOUTを生成する。補正回路125は、デジタル信号Dbと容量値Waとに基づいて、アナログ入力信号VINの電圧値を算出する。そして、補正回路125は、算出した電圧値を、4ビットのデジタル出力信号DOUTに変換し、そのデジタル出力信号DOUTを出力する。
次に、判定処理におけるA/D変換回路120の動作を説明する。なお、以下の説明に用いる図において、上記実施形態と同様に、主キャパシタCA4p〜CA0p,CA4m〜CA0m、測定キャパシタCM2p〜CM0p,CM2m〜CM0m、及び比較器122を示し、他の部材を省略する。
先ず、図36(a)に示すように、アナログ入力信号VIp,VImをサンプリングする。詳しくは、第1変換部131において、主キャパシタCA4p〜CA0p及び測定キャパシタCM2p〜CM0pの第2端子にアナログ入力信号VIpを供給し、共通信号線LCpに第1コモン電圧VC1を供給する。同様に、第2変換部132において、主キャパシタCA4m〜CA0m及び測定キャパシタCM2m〜CM0mの第2端子にアナログ入力信号VImを供給し、共通信号線LCmに第1コモン電圧VC1を供給する。
そして、図36(b)に示すように、第1変換部131の主スイッチSA4p〜SA0p,測定スイッチSM2p〜SM0p,リセットスイッチSR0p(図35参照)をオフする。同様に、第2変換部132の主スイッチSA4m〜SA0m,測定スイッチSM2m〜SM0m,リセットスイッチSR0m(図35参照)をオフする。これにより、電荷を保持(ホールド)する。
次に、図36(c)に示すように、第1変換部131において、主キャパシタCA4p〜CA0p及び測定キャパシタCM2p〜CM0pの第2端子に第2コモン電圧VC2を供給する。同様に、第2変換部132において、主キャパシタCA4m〜CA0m及び測定キャパシタCM2m〜CM0mの第2端子に第2コモン電圧VC2を供給する。なお、図36(c)において括弧を付して示した値(=0)は、図35に示す主スイッチSA4p〜SA0p,SA4m〜SA0mと測定スイッチSM2p〜SM0p,SM2m〜SM0mに対応する制御信号CSWp,CSWmを示す。
そして、共通信号線LCpの出力電圧Vopと共通信号線LCmの出力電圧Vomを比較した結果に応じた判定信号Kaが比較器122から出力される。この判定信号Kaのレベル(HレベルまたはLレベル)に応じて、デジタル信号DbのMSB(Db4)の値(−1or+1)を決定する。たとえば、判定信号KaがHレベルのとき、信号Db4に「−1」を設定し、判定信号KaがLレベルのとき、信号Db4に「+1」を設定する。
次に、図37(a)に示すように、上記の判定により決定された信号Db4(−1or+1)に基づいて差動関係にある主キャパシタCA4p,CA4mに対して、相補的に基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。たとえば、信号Db4が「−1」の場合、主キャパシタCA4pに第1基準電圧VRPを供給し、主キャパシタCA4mに第2基準電圧VRMを供給する。信号Db4が「+1」の場合、主キャパシタCA4pに第2基準電圧VRMを供給し、主キャパシタCA4mに第1基準電圧VRPを供給する。これにより、出力電圧Vop,Vomは、主キャパシタCA4p,CA4mに供給される基準電圧VRP,VRMに応じて変化する。比較器122は、これらの出力電圧Vop,Vomを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db3の値を決定する。
次に、図37(b)に示すように、上記の判定により決定された信号Db3(−1or+1)に基づいて差動関係にある主キャパシタCA3p,CA3mに対して、相補的に基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。これにより、出力電圧Vop,Vomは、主キャパシタCA3p,CA3mに供給される基準電圧VRP,VRMに応じて変化する。比較器122は、これらの出力電圧Vop,Vomを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db2の値を決定する。
そして、図37(c)に示すように、信号Db2に基づいて差動関係にある主キャパシタCA2p,CA2mに対して、相補的に基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。さらに、信号Db1に基づいて差動関係にある主キャパシタCA1p,CA1mに対して、相補的に基準電圧VRx(第1基準電圧VRPまたは第2基準電圧VRM)を供給する。これにより、出力電圧Vop,Vomは、主キャパシタCA4p〜CA1p,CA4m〜CA1mに供給される基準電圧VRP,VRMに応じた電位となる。比較器122は、これらの出力電圧Vop,Vomを比較して判定信号Kaを出力する。そして、判定信号Kaのレベルに応じて信号Db0の値を決定する。
上記の処理により、図35に示す変換制御回路123は、値を決定した信号Db4〜Db0を含むデジタル信号Dbを出力する。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(5−1)上記の第一〜第四実施形態と同様に、測定制御回路124によって測定した主キャパシタCA4p〜CA2p,CA4m〜CM2mの容量値Waを用いて、アナログ入力信号VIp,VImを変換したデジタル信号Dbを補正してデジタル出力信号DOUTを生成することで、変換にかかる時間を短縮することができる。
(5−2)A/D変換回路120は、アナログ入力信号VIp,VImをデジタル出力信号DOUTに変換する。そして、このA/D変換回路120は、上記の第三,第四実施形態と同様に、判定値を中心とする冗長範囲を設定することで判定ミスを下位ビットの判定の際に補正し、高い変換精度を得ることができる。
(5−3)A/D変換回路100は全差動型であるため、D/A変換回路101の出力電圧Vop,Vomの差電圧が同相ノイズの影響を受けなくなり、同相ノイズによる誤判定を低減することができる。
(5−4)主キャパシタCA4p〜CA0p,CA4m〜CA0mと測定キャパシタCM2p〜CM0p,CM2m〜CM0mの第2端子に第2コモン電圧VC2を供給する。これにより、共通信号線LCp,LCmの電位変動を抑制する。つまり、共通信号線LCp,LCmにおける出力電圧Vop,Vomの直流的な電位(DC電位)を安定化することができる。
(別の実施形態)
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記第一実施形態において、補正回路15は、5ビットのデジタル出力信号DOUTを出力するようにしてもよい。変換制御回路13は、5ビットのデジタル信号Daを出力する。このデジタル信号Daの各ビットは、D/A変換回路11に含まれる主キャパシタCA4〜CA0の容量比に応じた重み付けされ、非バイナリである。補正回路15は、非バイナリのデジタル信号Daをバイナリに変換してデジタル出力信号DOUTを生成する。第二〜第五実施形態においても同様とする。
・上記各実施形態において、補正回路15において、小数点以下の値を丸め込むときに、四捨五入によって行う(実施例)。小数点以下の値を切り上げまたは切り捨てしてデジタル出力信号DOUTを生成してもよい。
・第三実施形態に対する第四,第五実施形態と同様に、上記の第一,第二実施形態を差動型のA/D変換回路としてもよい。