JP6370166B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真装置において繰り返し使用される電子写真感光体には、高い耐摩耗性が求められる。
特許文献1には、連鎖重合性官能基を有するトリフェニルアミン化合物を重合させて得られる重合物を電子写真感光体の表面層に含有させて、電子写真感光体の耐摩耗性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献1には、連鎖重合性官能基として、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基が特に好ましい旨記載されている。
一方、電子写真感光体の耐摩耗性が高くなるのに伴い、電子写真感光体の表面がリフレッシュされにくくなるため、放電を伴う帯電プロセスによって発生する電子写真感光体の表面を構成する材料が放電劣化する。その結果、電子写真感光体の表面における分子鎖の開裂や酸化により極性基が増加しやすくなる。極性基が増加した状態で空気中の水分が付着すると、電子写真感光体表面が低抵抗化して電荷が電子写真感光体の最表面を移動しやすくなるため、画出し時に画像流れが発生しやすくなる。
特許文献2にはフッ素原子を含有する置換基を有するトリフェニルアミン化合物を重合させて得られる重合物を電子写真感光体の表面層に含有させることが記載されている。これにより、繰り返し使用をしても電子写真感光体表面が低エネルギー化された状態、すなわち撥水性が維持された状態が保たれていることが記載されている。
特開2000−066425号公報 特開2007−011006号公報
しかし、本発明者らの検討の結果、以下のような課題があることがわかった。フッ素原子を含有する置換基を有するトリフェニルアミン化合物を用いると撥水性を有するため画像流れが発生しにくくなるが、フッ素原子を含有する置換基が電子吸引性であるため、電荷輸送能が十分ではなく、電位安定性が低下しやすい。
本発明の目的は、重合性官能基を有する化合物の重合物を含有する表面層を有する電子写真感光体において、繰り返し使用においても画像流れの抑制と電位の安定性が両立できる、電子写真感光体を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明は、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
該電子写真感光体の表面層が、下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、および下記式(3)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1つの電荷輸送性化合物の重合物を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
Figure 0006370166
(式中、ArおよびArは、下記式(4)で示される1価の基、または下記式(5)で示される1価の基を示す。Arは、無置換もしくは置換のフェニレン基を示す。該置換のフェニレン基の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を示す。ただし、R11〜R15のうち1つまたは2つが、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。)
Figure 0006370166
(式中、Arは、下記式(4)で示される1価の基、または下記式(5)で示される1価の基を示す。ArおよびArは、無置換もしくは置換のフェニレン基を示す。該置換のフェニレン基の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。R21〜R25およびR31〜R35は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を示す。ただし、R21〜R25、およびR31〜R35のうち1つまたは2つが、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。)
Figure 0006370166
(式中、Arは、下記式(4)で示される1価の基、または下記式(5)で示される1価の基を示す。Arは、無置換もしくは置換のフェニレン基を示し、Arは、無置換もしくは置換のフェニル基を示す。該置換のフェニレン基の置換基、該置換のフェニル基の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。R41〜R45はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を示す。ただし、R41〜R45のうち1つまたは2つが、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。)
Figure 0006370166
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、またはアルコキシ基を示す。aおよびcは、0〜5までの整数を示し、bは0〜4までの整数を示す。PおよびPは下記式(6)で示される重合性官能基を示す。pおよびqは、それぞれ独立に、式(1)においては1以上の整数を示し、式(2)および式(3)においては2以上の整数を示す。a+pおよびc+qは、1以上5以下である。)
Figure 0006370166
(式中、Rは水素原子、またはメチル基を示す。Zは無置換もしくは置換のアルキレン基、または無置換もしくは置換のオキシアルキレン基を示す。nは、0または1である。)
また、本発明は、前記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
また、本発明は、前記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置である。
本発明によれば、重合性官能基を有する化合物の重合物を含有する表面層を有する電子写真感光体において、電位安定性に優れ、かつ、画像流れを抑制する電子写真感光体を提供することができる。また、本発明によれば、前記電子写真感光体を有する、プロセスカートリッジ、および電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 本発明の別の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
本発明の電子写真感光体は、上記のとおり、支持体および支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体である。そして、電子写真感光体の表面層が、下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、および下記式(3)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1つの電荷輸送性化合物の重合物を含有することを特徴とする。
Figure 0006370166
式中、ArおよびArは、下記式(4)で示される1価の基、または下記式(5)で示される1価の基を示す。Arは、無置換もしくは置換のフェニレン基を示す。該置換のフェニレン基の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を示す。ただし、R11〜R15のうち1つまたは2つが、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。
Figure 0006370166
式中、Arは、下記式(4)で示される1価の基、または下記式(5)で示される1価の基を示す。ArおよびArは、無置換もしくは置換のフェニレン基を示す。該置換のフェニレン基の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。R21〜R25およびR31〜R35は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を示す。ただし、R21〜R25、およびR31〜R35のうち1つまたは2つが、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。
Figure 0006370166
式中、Arは、下記式(4)で示される1価の基、または下記式(5)で示される1価の基を示す。Arは、無置換もしくは置換のフェニレン基を示し、Arは、無置換もしくは置換のフェニル基を示す。該置換のフェニレン基の置換基、該置換のフェニル基の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。R41〜R45はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を示す。ただし、R41〜R45のうち1つまたは2つが、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。
Figure 0006370166
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、またはアルコキシ基を示す。aおよびcは、0〜5までの整数を示し、bは0〜4までの整数を示す。PおよびPは下記式(6)で示される重合性官能基を示す。pおよびqは、それぞれ独立に、式(1)においては1以上の整数を示し、式(2)および式(3)においては2以上の整数を示す。a+pおよびc+qは、1以上5以下である。
Figure 0006370166
式中、Rは水素原子、またはメチル基を示す。Zは無置換もしくは置換のアルキレン基、または無置換もしくは置換のオキシアルキレン基を示す。nは、0または1である。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基などが挙げられる。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブチルオキシ基などが挙げられる。
前記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキシレン基、などが挙げられる。前記オキシアルキレン基としては、例えば、メトキシレン基、エトキシレン基、プロポキシレン基、ブトキシレン基、ペントキシレン基、ヘキソキシレン基、などが挙げられる。
置換基のアルキレン基、および置換基のオキシアルキレン基の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、画像流れが生じにくく、電位安定性を有している。その理由を、本発明者らは以下のように考察している。
上記式(1)〜(3)で示される化合物はトリフェニルアミンに比べて、共役長が長いため電荷の輸送性に優れていると考えられる。また、電荷輸送性化合物の置換基として、電子吸引性の置換基であるパーフルオロアルキル基の数が3つ以上あると大幅に電荷輸送性が低下するが、上記式(1)〜(3)で示される化合物は、1つまたは2つであるため、電荷の輸送性が大幅に低下することがない。さらに、上記式(1)〜(3)で示される化合物は、アルキル基がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基を有しているため、パーフルオロアルキル基以外のフッ素原子を含有する置換基を有する化合物に比べて撥水性が高い。ゆえに、上記式(1)〜(3)で示される化合物は電荷の移動性が低下することが抑制され、かつ、高い撥水性を有する構造であるため、画像流れが生じにくく、電位安定性を有していると考えている。
電子写真感光体の表面を構成する材料の放電劣化を抑制し、画像流れを抑制する観点から、R12およびR14のうち少なくとも一つ、R22、R24、R32、R34のうち少なくとも一つ、R42およびR44のうち少なくとも一つはパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
また、パーフルオロアルキル基のなかでも、トリフルオロメチル基が好ましい。
また、重合反応の反応性を促進させる点で、前記Zのアルキレン基、およびオキシアルキレン基の炭素数が2〜5であることが好ましい。この範囲であると、電位変動の抑制効果がより良好となる。
電子写真感光体の表面層を形成する際、上記式(1)〜(3)で示される化合物は、1種のみを使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。また、式(1)で示される化合物、式(2)で示される化合物、および式(3)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1つの重合物の含有量が、表面層の全質量に対して50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
本発明に用いる上記式(1)〜(3)で示される化合物は、例えば、特開2000−066425号公報、特開2010−156835号公報に記載されている合成方法を用いて合成することができる。
以下に、上記式(1)〜(3)で示される化合物の具体例(例示化合物)を挙げるが、本発明は、これらに限定されるわけではない。
Figure 0006370166
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これらの中でも、例示化合物(1−1)、(1−4)、(1−11)、(1−12)、(2−2)、(2−12)、(3−2)、(3−10)が好ましい。
本発明の電子写真感光体の表面層は、上記式(1)〜(3)で示される化合物を含有する表面層用塗布液を用いて塗膜を形成し、該塗膜に含有される上記式(1)〜(3)で示される化合物のいずれかを重合させることによって形成することができる。
また、本発明の電子写真感光体の表面層に含有させる上記重合物は、上記式(1)〜(3)で示される化合物のうちいずれか一つと、それ以外の化合物とを共重合させて得られる重合物(共重合物)であってもよい。
本発明の電子写真感光体の表面層には、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの劣化防止剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子やフッ化カーボンなどの潤滑剤、重合反応開始剤や重合反応停止剤などの重合制御剤、シリコーンオイルなどのレベリング剤、界面活性剤などが挙げられる。
表面層用塗布液に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル溶剤、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の電子写真感光体は、上記のとおり、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体である。
感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する単層型感光層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層とが挙げられる。本発明においては、積層型感光層が好ましい。また、電荷発生層や電荷輸送層を積層構成とすることもできる。
図1Aおよび1Bは、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。図1Aおよび1B中、101は支持体であり、102は電荷発生層であり、103は電荷輸送層であり、104は保護層(第2の電荷輸送層)である。
また、本発明においては、必要に応じて、支持体と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間に、後述の導電層や下引き層を設けてもよい。
本発明において、電子写真感光体の表面層とは、電子写真感光体が有する各層の中でも最表面に位置する層(支持体から最も離れた層)を意味する。例えば、図1Aに示す層構成の電子写真感光体の場合、電子写真感光体の表面層は電荷輸送層103である。また、図1Bに示す層構成の電子写真感光体の場合、電子写真感光体の表面層は保護層(第2の電荷輸送層)104である。
本発明の電子写真感光体に用いられる支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの金属(合金)製の支持体が挙げられる。アルミニウムまたはアルミニウム合金製の支持体の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨、湿式または乾式ホーニング処理した管を支持体として用いることもできる。また、金属製支持体、樹脂製支持体上にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などの導電材料の薄膜を形成したものも、支持体として用いることができる。
支持体の表面は、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を樹脂などに含浸させてなる支持体や、導電性樹脂製の支持体を用いることもできる。
支持体と感光層または後述の下引き層との間には、導電性粒子および結着樹脂を有する導電層を設けてもよい。
導電層は、導電性粒子を結着樹脂および溶剤とともに分散処理して得られる導電層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥および/または硬化させることによって形成することができる。
導電層に用いられる導電性粒子としては、例えば、カーボンブラックや、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粒子や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、ITOなどの金属酸化物粒子などが挙げられる。また、金属粒子や金属酸化物粒子は、粒子の表面がシランカップリング剤などの表面処理剤で処理されていてもよい。
導電層に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、メラミン樹脂などが挙げられる。
導電層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上40μm以下であることがより好ましい。
支持体または導電層と感光層との間には、下引き層を設けてもよい。
下引き層は、樹脂を含有する下引き層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥または硬化させることによって形成することができる。
下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。
下引き層には、上述の導電性粒子、半導電性粒子、電子輸送物質、電子受容性物質を含有させることもできる。
下引き層に用いられる導電性粒子としては、例えば、カーボンブラックや、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粒子や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、ITOなどの金属酸化物粒子などが挙げられる。また、金属粒子や金属酸化物粒子は、粒子の表面がシランカップリング剤などの表面処理剤で処理されていてもよい。
下引き層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
下引き層の膜厚は、0.05μm以上40μm以下であることが好ましく、0.4μm以上20μm以下であることがより好ましい。
支持体、導電層または下引き層上には、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)が形成される。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、キノシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、ガリウムフタロシアニンが好ましい。さらには、高感度の観点から、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましく、その中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.2°±0.3°にピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ブチラール樹脂が好ましい。これらの樹脂は、1種のみを使用してもよく、混合または共重合体として2種以上を併用してもよい。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散処理して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜であってもよい。
電荷発生層において、電荷発生物質と結着樹脂との割合は、電荷発生物質1質量部に対して、結着樹脂が0.3質量部以上4質量部以下であることが好ましい。
また、分散処理方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましい。
また、電荷発生層には、必要に応じて、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを添加することもできる。
感光層が支持体側から電荷発生層および電荷輸送層のこの順に積層してなる積層型感光層である場合、電荷発生層上には電荷輸送層が形成される。
図1Aに示すように電荷輸送層が表面層である場合、電荷輸送層は、まず、上記式(1)〜(3)で示される化合物を含有する電荷輸送層用塗布液(表面層用塗布液)を用いて塗膜を形成する。そして、塗膜に含有される上記式(1)〜(3)で示される化合物を重合(連鎖重合)させることによって電荷輸送物質を形成することができる。
図1Bに示すように保護層(第2の電荷輸送層)が表面層である場合、表面層でない電荷輸送層(第1の電荷輸送層)は、まず、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布して塗膜を形成する。そして、得られた塗膜を乾燥させることによって電荷輸送物質を形成することができる。
表面層でない層(電荷輸送層)に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。
表面層でない電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アガロース樹脂、セルロース樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。これらの樹脂は、1種のみを使用してもよく、混合または共重合体として2種以上を併用してもよい。
表面層でない電荷輸送層において、電荷輸送物質の割合は、電荷輸送層の全質量に対して、電荷輸送物質が30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
表面層でない電荷輸送層を形成するための電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
表面層でない電荷輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましい。
本発明において、電子写真感光体の表面層となる保護層(第2の電荷輸送層)を設ける場合、保護層は、上記式(1)〜(3)で示される化合物を溶剤に溶解させることによって得られる保護層用塗布液を用いて塗膜を形成する。そして、塗膜に含有される上記式(1)〜(3)で示される化合物を重合(連鎖重合)させることによって形成することができる。
保護層の膜厚は、2μm以上20μm以下であることが好ましい。
上記各層の塗布液を塗布する際は、浸漬塗布法(ディッピング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
本発明の電子写真感光体の各層の表面には、研磨シート、形状転写型部材、ガラスビーズ、ジルコニアビーズなど用いて表面加工を施してもよい。また、各層の塗布液中の構成材料を利用して表面に凹凸を形成させてもよい。
本発明において、上記式(1)、(2)および(3)で示される化合物の重合は、熱、光(紫外線など)、または、放射線(電子線など)を用いて行うことができる。これらの中でも、放射線を用いた重合が好ましく、放射線の中でも電子線を用いた重合がより好ましい。
電子線を用いて重合させると、非常に緻密(高密度)な3次元網目構造が得られ、耐摩耗性が向上するため好ましい。また、短時間でかつ効率的な重合反応となるため、生産性も高くなる。電子線を照射する場合、加速器としては、例えば、スキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型、ラミナー型などが挙げられる。
また、電子線を用いて上記式(1)、(2)および(3)で示される化合物を重合させる場合、酸素による重合阻害作用を抑制する目的で、不活性ガス雰囲気で電子線を照射した後、不活性ガス雰囲気で加熱することが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。
図2に、本発明の一態様に係る電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図2において、1は円筒状(ドラム状)の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段)3により、その表面(周面)が正または負に帯電される。次いで、電子写真感光体1の表面には、露光手段(像露光手段)(不図示)から出力される露光光(像露光光)4が照射される。露光光4は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調される。露光手段としては、スリット露光やレーザービーム走査露光などが挙げられる。こうして電子写真感光体1の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、トナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により転写材7に転写される。ここで、転写材7が紙である場合、給紙部(不図示)から電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に給送される。また、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写手段は、一次転写部材、中間転写体および二次転写部材を有する中間転写方式の転写手段であってもよい。
トナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離され、定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によってクリーニングされ、転写残トナーなどの付着物が除去される。転写残トナーは、現像手段などで回収することもできる。さらに、必要に応じて、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10の照射により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。
本発明においては、電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9などから選択される構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとしてもよい。また、プロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在とする構成であってもよい。例えば、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
〈実施例1〉
直径30mm、長さ357.5mm、肉厚1mmのアルミニウムシリンダーを支持体(導電性支持体)とした。
次に、金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)15部をメチルエチルケトン73.5部と1−ブタノール73.5部の混合溶液に溶解させた。この溶液に表面処理された酸化亜鉛粒子80.8部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)0.81部を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)社製、平均一次粒径3.0μm)を5.6部加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間160℃で乾燥させて、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.1°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)4部、および下記式(A)で示される化合物0.04部を、シクロヘキサノン100部にポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部を溶解させた液に加えた。その後、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置にて23±3℃の雰囲気下で1時間分散処理し、分散処理後、酢酸エチル100部を加えて、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を上記下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間90℃で乾燥させることによって、膜厚が0.21μmの電荷発生層を形成した。
Figure 0006370166
次に、下記式(B)で示される化合物30部(電荷輸送物質)、下記式(C)で示される化合物60部(電荷輸送物質)、下記式(D)で示される化合物10部、
ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部、下記式(E)で示されるポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.02部を、
混合キシレン600部およびジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0006370166
Figure 0006370166
次に、前記式(1−1)で示される化合物100部を、n−プロピルアルコール100部に溶解させ、さらに1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)100部を加えることによって、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、吸収線量5000Gyの条件で1.6秒間、シリンダーを回転させながら電子線を塗膜に照射し、塗膜を硬化させた。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜が130℃になる条件で25秒間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から25秒間の加熱処理までの酸素濃度は18ppmであった。次に、大気中において、塗膜が110℃になる条件で15分間加熱処理を行い、膜厚が5μmである保護層を形成した。
このようにして、支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層をこの順に有する電子写真感光体を製造した。
〈実施例2〜41〉
実施例1において、前記式(1−1)で示される化合物を下記表1に示す例示化合物に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
〈比較例1〉
実施例1において、前記式(1−1)で示される化合物を下記式(F)で示される化合物に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した
Figure 0006370166
〈比較例2〉
実施例1において、前記式(1−1)で示される化合物を下記式(G)で示される化合物に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
Figure 0006370166
〈比較例3〉
実施例1において、前記式(1−1)で示される化合物を下記式(H)で示される化合物に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
Figure 0006370166
〈比較例4〉
実施例1において、前記式(1−1)で示される化合物を下記式(I)で示される化合物に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
Figure 0006370166
〈比較例5〉
実施例1において、前記式(1−1)で示される化合物を下記式(J)で示される化合物に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
Figure 0006370166
〈比較例6〉
実施例1において、前記式(1−1)で示される化合物を下記式(K)で示される化合物に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。
Figure 0006370166
(評価方法)
実施例1〜41、比較例1〜6の電子写真感光体の評価方法については、以下のとおりである。
(感光体の繰り返し使用後の画像品位)
評価装置として、電子写真装置である複写機(商品名:GP−405、キヤノン(株)製)の改造機を用いた。改造点としては、当該複写機用のプロセスカートリッジの帯電ローラーをコロナ帯電器(キヤノン(株)製の複写機GP−55(商品名)用のコロナ帯電器)に変更し、さらに複写機の外部からコロナ帯電器に電力が供給できるように改造した。さらにGP−405のドラムカートリッジをコロナ帯電器が装着できるように改造し、コロナ帯電器として電子写真複写機GP−55(キヤノン(株)製)用の帯電器を装着した。
コロナ帯電器用の電力を複写機の外部から供給するための電源としては、高圧電源コントロールシステム(Model615−3、トレック社製)を用いた。そして、コロナ帯電器のコロナワイヤーを流れる電流量が500μAになるように調整した。さらに、電子写真感光体の初期暗部電位(Vd)が約−750[V]、初期明部電位(Vl)が約−200[V]になるように、定電流制御スコロトロングリッド印加電圧と、露光装置の露光光量の条件を設定した。
各例で製造した電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、これを上記評価装置に装着した後、温度35℃、湿度85%RHの環境下、画像印字比率3%の画像をA4縦サイズ紙にて5000枚出力した。その後、評価装置への給電を停止し、3日間休止させた。
3日間休止後に再び評価装置に給電を開始し、A4縦サイズ紙にて、格子画像およびアルファベットのEの文字(フォント種:Times,フォントサイズ6ポイント)が繰り返された文字画像(E文字画像)を出力した。さらに画像印字比率3%の画像をA4縦サイズ紙にて15000枚出力した後(合計枚数20000枚通紙)、前述と同様にして格子画像およびE文字画像を出力した。その後、同様の評価を合計枚数50000枚通紙時、および合計枚数100000枚通紙時に行った。なお、電子写真感光体用のヒーター(ドラムヒーター(カセットヒーター))は評価中常時OFFにした。
得られた画像について、以下の評価のランクに従って、画像欠陥を抑制する効果を評価した。ランクの数字が大きいほど良好であり、ランク5、4および3は、本発明の画像欠陥の抑制効果が得られているレベルであると判断した。一方、ランク1および2は、本発明の画像欠陥の抑制効果が得られていないレベルと判断した。
ランク5:格子画像、E文字画像、共に画像欠陥はみられない
ランク4:格子画像が一部かすんでいるが、E文字画像の画像欠陥はみられない
ランク3:格子画像が一部かすんでおり、E文字画像が一部薄くなる
ランク2:格子画像が部分的に消失しており、E文字画像が全面薄くなる
ランク1:格子画像が全面消失しており、E文字画像が全面薄くなる
(表面電位の評価)
評価装置として、上述の画像品位を評価した、複写機(商品名:GP−405、キヤノン(株)製)の改造機を用いた。さらにプロセススピードは350mm/secになるように改造した。
コロナ帯電器用の電力を複写機の外部から供給するための電源としては、高圧電源コントロールシステム(Model615−3、トレック社製)を用いた。そして、コロナ帯電器のコロナワイヤーを流れる電流量が500μAになるように調整した。さらに、電子写真感光体の初期暗部電位(Vd)が約−750[V]、初期明部電位(Vl)が約−200[V]になるように、定電流制御スコロトロングリッド印加電圧と、露光装置の露光光量の条件を設定した。
電子写真感光体の表面電位は、評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位プローブ(商品名:model6000B−8、トレック社製)を固定し、表面電位計(model344:トレック社製)を使用して測定した。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の軸方向の中央、電子写真感光体の表面からのギャップを3mmとした。
次に、評価について説明する。なお、各電子写真感光体において初期に設定した帯電条件および露光条件のもとで評価を行い、電子写真感光体用のヒーター(ドラムヒーター(カセットヒーター))は評価中常時OFFにした。
得られた電子写真感光体を温度35℃、湿度85%RHの環境下で24時間放置した。電子写真感光体を装着した現像用カートリッジを上記評価装置に取り付け、1000枚の通紙による感光体の繰り返し使用を行った。通紙後、5分間放置し、現像用カートリッジを電位測定装置に付け替え、繰り返し使用後における明部電位(Vlb)を測定した。そして、繰り返し使用時の明部電位の変動量(ΔVl=|Vlb|−|Vla|)を算出した。Vlaは繰り返し使用前の初期明部電位である。また、|Vlb|および|Vla|は、それぞれVlbおよびVlaの絶対値を表す。
Figure 0006370166
101 支持体
102 電荷発生層
103 電荷輸送層
104 保護層
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (7)

  1. 支持体および該支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
    該電子写真感光体の表面層が、下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、および下記式(3)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1つの電荷輸送性化合物の重合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006370166
    (式中、ArおよびArは、下記式(4)で示される1価の基、または下記式(5)で示される1価の基を示す。Arは、無置換もしくは置換のフェニレン基を示す。該置換のフェニレン基の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、または炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を示す。ただし、R11〜R15のうち1つまたは2つが、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。)
    Figure 0006370166
    (式中、Arは、下記式(4)で示される1価の基、または下記式(5)で示される1価の基を示す。ArおよびArは、無置換もしくは置換のフェニレン基を示す。該置換のフェニレン基の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。R21〜R25およびR31〜R35は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を示す。ただし、R21〜R25、およびR31〜R35のうち1つまたは2つが、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。)
    Figure 0006370166
    (式中、Arは、下記式(4)で示される1価の基、または下記式(5)で示される1価の基を示す。Arは、無置換もしくは置換のフェニレン基を示し、Arは、無置換もしくは置換のフェニル基を示す。該置換のフェニレン基の置換基、該置換のフェニル基の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。R41〜R45はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基を示す。ただし、R41〜R45のうち1つまたは2つが、炭素数1〜7のパーフルオロアルキル基である。)
    Figure 0006370166
    (式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、またはアルコキシ基を示す。aおよびcは、0〜5までの整数を示し、bは0〜4までの整数を示す。PおよびPは下記式(6)で示される重合性官能基を示す。pおよびqは、それぞれ独立に、式(1)においては1以上の整数を示し、式(2)および式(3)においては2以上の整数を示す。a+pおよびc+qは、1以上5以下である。)
    Figure 0006370166
    (式中、Rは水素原子、またはメチル基を示す。Zは無置換もしくは置換のアルキレン基、または無置換もしくは置換のオキシアルキレン基を示す。nは、0または1である。)
  2. 前記R12およびR14のうち少なくとも一つ、R22、R24、R32、R34のうち少なくとも一つ、R42およびR44のうち少なくとも一つはパーフルオロアルキル基である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記パーフルオロアルキル基がトリフルオロメチル基である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記Zのアルキレン基、およびオキシアルキレン基の炭素数が2〜5である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記重合物が、表面層の全質量に対して50質量%以上100質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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