JP6369839B2 - 植物における組換えタンパク質の過剰発現のための5’(5’−utr)に最適化されたリーダー機能を持つ人工dna配列と植物における組換えタンパク質の産生方法 - Google Patents

植物における組換えタンパク質の過剰発現のための5’(5’−utr)に最適化されたリーダー機能を持つ人工dna配列と植物における組換えタンパク質の産生方法 Download PDF

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Description

本発明は、植物における組換えタンパク質の過剰発現のための5’(5’−UTR)に最適化されたリーダー機能を持つ人工DNA配列と植物における組換えタンパク質の産生方法に関する。
植物における異種遺伝子の発現を改善するために採用し得る多くのアプローチがある。実際には、すべての要素は、転写および/または翻訳プロセスを調節して、遺伝子の発揮、または遺伝子発現の制御機能を発揮する。mRNAの5’末端および3’末端に存在する非翻訳配列は、(5’−UTR、3’−UTRと呼ばれUTRは「非翻訳領域」の略である)この例外ではなく、また実際に、適切な改変の好適な目標と考慮されなければならない、なぜならば、かなりの程度まで、それらは翻訳効率とmRNA自体のターンオーバーを決定するからである。実際、大量の証拠が:
−m7Gppp(5’−cap)5’末端に存在する構造mRNAの末端は、リボソーム40Sサブユニット(Franks and Likke-Andersen, 2008)に結合することができるeIF4F複合体を局在化するために不可欠である;
−そのeIF4G成分を介して、eIF4F複合体は、mRNAの3’末端に存在するポリ(A)テールと、後半部分の循環構造を想定して相互作用する(Franks and Likke-Andersen, 2008);
−ポリ(A)テールとeIF4Fの複合体は、5’−cap構造の酵素加水分解を減少させ、そのためモノ−リン酸5’末端において細胞質エキソヌクレアーゼによるmRNAの急速な分解を防止する(Franks and Likke-Andersen, 2008);
−5’−UTR配列は、5’−cap構造、後半部分とeIF4Eの結合、リボソーム40Sサブユニットの局在化、ポリソームの構成、43S複合体の自発的解離速度、真正翻訳開始AUGコドンの認識に影響を与える要素を含む;
−5’ −UTR配列はまた、特定の転写因子のためのDNAへの結合部位を表す配列を含むため、上流のプロモーターの転写活性を変更することができる;
ことを証明する。
したがって、リーダー領域とも呼ばれる5’−UTRは、組換えタンパク質の発現レベルを増加させるために、特にプラントエンジニアリングプログラムで考慮される必要があることは明らかである。
しかし様々な理由のため、たとえ当業者であっても、高効率のリーダー配列を設計することは、全く容易ではない。第一に、同じゲノムまたは関連するゲノムに属する異なる遺伝子のリーダー領域間で観察される配列の大きな変異性が考慮されなければならない。この変異性は、リーダーに改善された特性を付与することができる潜在的なトラクト(tracts)を同定することを困難にし、5’−UTRトラクトを構成する他の要素または配列との相互作用の可能性を予測することを事実上不可能にする。第二に、リーダー領域の全体の長さは、100〜120塩基対以内、好ましくは80塩基対以内であるので、領域自体から43S複合体の自発的解離の頻度を増加させない。これは、リーダートラクトの構築に実際に使われる要素の厳しい選択を課す。第三に、リーダー領域は、パリンドローム配列やG/Cに富むヌクレオチド組成を含まないため、eIF4Aの介入によって解消しない、転写における二次構造の形成を妨げる。最後に、配列の少数部分(約10%)であるが、場合によっては顕著な部分は、自由に変更することができないが、Inrイニシエータ部位とコザックモチーフまたは等価コザック様モチーフの様な必須機能要素を含む必要がある。
WO2008/080954は、植物における組換えタンパク質の発現を増加させるのに使用できる配列5’−UTR内部反復CT要素と繰り返しCAA要素の組み合わせを記載する。さらに、それはまた、CaMV35Sプロモーターのイニシエータ部位(Inr)を有するポリ(CAA)およびポリ(CT)の共存についても記載する、すなわち、カリフラワーモザイクウイルス(Guilley et al., 1982)および/またはTMVΩリーダー(Gallie and Walbot, 1992)由来のACAATTAC八量体の共存である。実際に、WO2008/080954は、例えば、上記で引用した全ての要素を含むLLTCKと呼ばれるリーダー配列について記載する:
1.効率的なmRNAキャッピングのためのCaMV35S遺伝子のInr部位;
2.TMVΩリーダーの「翻訳エンハンサー」に類似するポリ(CAA)領域(Gallie and Walbot, 1992);
3.いくつかの植物リーダーと類似のCT要素が豊富な配列(Bolle et al., 1996);
4.TMVΩリーダーの八量体。
WO2008/080954のLLTCKリーダーの効果は、比較のために市販のベクターに多数存在するCaMV35S遺伝子のリーダーを使用して、構成型CaMV35Sプロモーターの制御下でuidAレポーター遺伝子(酵素βグルクロニダーゼのコーディング、GUS)の発現レベルを決定することによって、タバコで評価された。LLTCKリーダーは、コントロールリーダーの8〜12倍に相当するGUS酵素の濃度の増加を検出した。
さらに、導入遺伝子、つまり植物の組換えタンパク質の発現のための5’−UTRトラクトの効率を高める必要がある。
特に、従来技術と比較して、植物の導入遺伝子の発現のための5’−UTRトラクトの効率を高めるために、LLTCKが、転写と遺伝情報の翻訳プロセスに効果があることが知られている唯一の合成高効率のリーダーであることを考慮すると、それらを改善するための介入のためのモデルまたは出発点としてこのリーダーを考慮することが有用である。
上述のように、WO2008/080954は、繰り返しCT要素と繰り返しCAA要素の組合せを提供し、より明らかなその組合せの優位性を生み出すことがきる一連の因子を特定する。
選択的な用途(preferential application)は、各因子と関連している。特に重要なのは、TMVΩリーダーが保有する八量体モチーフACAATTACの存在により与えられる、実際には、WO2008/080954によると、効率的なリーダーは繰り返しCTモチーフを有する領域とTMVΩリーダーの領域を接合することからもたらされる。
WO2008/080954で知られるΩリーダーの内部には、異なる種類の反復配列が見られる。そのような配列の一つは、必ずしも隣接しているわけではない11回反復するCAAトリヌクレオチドによって表現され、他の配列は3回反復する八量体ACAATTACモチーフで表現される。
これは、両方の配列は、転写後レベルで作用する、遺伝子発現の大きな増加を引き起こすことができることが実証されている。
その八量体がCAAトリヌクレオチドを含むが、遺伝子発現の増強は、CAA単独ではなく全配列の存在に関連する。
その八量体は、A/Tリッチトラクト、すなわちATTトリプレットを順に含むAATTAを含むことが重要である。
可能な優先的技術解決策として、WO2008/080954の発明者らは、たとえAATTA配列すなわち非標準翻訳開始部位ATTが含まれていたとしても、八量体配列ACAATTACを維持することを示唆する。
明らかに、彼らは、上記の八量体モチーフを含めることは、A/Tリッチ配列及びそれと共に推定上の翻訳開始コドンの導入が必要だとしても、より重要であると信じている。WO2008/080954の配列番号1(LLTCK)において、他のA/Tリッチ配列はそれぞれ:
1.イニシエータ部位(TATTTTTA)のすぐ下流;
2.ポリ(CAA)(AATA)トラクトの内側;
3.八量体(ATTA)を含む部位で、このトラクトの末端;
4.八量体(TATTT)のすぐ下流;
に位置していると強調されている。
4のうち3つの配列は、八量体のようなトリプレットATTを有する。
比較のために、A/Tリッチ領域(下線部)とATTトリプレット(大きな文字)を強調表示している公知のLLTCKリーダー;八量体モチーフに対応する太字のACAATTACトラクトを示す。
Figure 0006369839
我々は、の公知のLLTCK配列は、ポリ(CT)領域を有する任意のポリ(CAA)領域との隣接を提供していないことを強調する。
この場合も、彼らは、A/Tリッチ領域内の非標準翻訳開始部位の存在を認識しているが、WO2008/080954の発明者らは、LLTCK様の効率的なリーダーの構築に使用する領域を提供する。
実際に、A/Tリッチ配列、上述したように特に1型と4型は、TMVΩリーダーではなく、Ωに代わる翻訳エンハンサーとして一般に使用されるAMVリーダーの核に見いだされる。
以下、比較のために、我々は、TMVΩリーダー(a)とAMVリーダー(b)が強調表示された、A/Tリッチ領域(下線部)とATTトリプレット(大きな文字)の配列を示す。
Figure 0006369839
リーダー内のmRNAの不要なポイントで翻訳プロセスの開始を誘導するのにATTトリプレットの実際の重要性に関して、真正翻訳開始コドン(ATG)があることが、翻訳複合体によってそのように認識される適切なコンテキスト配列を必要とすることに留意する必要がある。適切なコンテキストは、ATTやCTGのような非標準翻訳開始トリプレットの認識のために均等に存在することが必要であることは当業者にとって明らかである。
しかし、トリプレットの認識コンテキストは、現時点では知られていないため、当業者が最先端の技術を評価することによって、仮にどのくらいの特定のトリプレットATT(またはCTG)が、非標準翻訳開始部位を表すか確立することはできない。
Ω、AMV、またはそれらから誘導されるリーダーのいずれを使用するか決定する際に、重要な遺伝子発現のレベルにおけるΩリーダーやAMVリーダーの包含による実験的に証明されたプラスの効果である、この証拠に直面する。
しかしながら当業者は、リーダー内部のATTまたはCGTトリプレットが実際に翻訳開始コドンとして解釈された場合には、プログラムされたタンパク質とは異なるタンパク質が産生され、機能的かつ構造的な生物学的同等性に問題を生ずる可能性があり、特に治療用途が意図されているタンパク質の場合には特に重要であることを知っている。
主に医薬分野で活動するWO2008/080954の発明者らは、この潜在的なリスクを認識しており、全てのATTトリプレットを往復する距離に、それは常に3の倍数である、そしてリーダー配列の末端に向かってそれらに対する読み幅の終始コドン(TAG)を配置することによって、それらの5’−UTR配列を慎重に構築する。さらに巧みに、LLTCK配列末端は、所望のコード配列の5’に非常に有用なクローニング部位を構成するのと同様に、ポリ(CT)領域の形成に寄与する、終止コドン(TAG)を有する、ポリ(CT)領域の形成に寄与する、すぐ下流に位置する真正開始コドンの認識に有益な可能なコンテキストを作るという三重機能を有しているXbaI(TCTAGA)のための制限部位によって代表される。
他の当業者は異なる振る舞いをし、単に相対的にA/Tリッチな配列内のATTトリプレットを残す。
実際には、それも真正読み幅(reading frame)からの発散位置にさえATTトリプレットを有するプログラムされた配列を有する合成リーダーが見いだされることは一般的である。
上記より、先行する他の特許および刊行物のように、WO2008/080954は:
1.5’−UTR配列からA/Tリッチモチーフを除くことを教示していない、
2.オメガ由来またはAMV由来の5’−UTR配列からATTトリプレットを除くことを教示していない、むしろ逆である、
3.ATTトリプレットを有するか否かという、A/Tリッチモチーフの非存在下での遺伝子発現に有利なコンテキストを作成する方法を教示していない、
4.WO2008/080954の実施例で使用しているLLTCKリーダーに、より効率的な変異体を構築する方法を教示していない、
と結論付けることができる。
このすべてを考慮すると、A/Tリッチ配列とATTトリプレットを除く必要性は、全く示唆も推進もされていないし、技術水準により明示的でも暗黙的でもない、したがって、当業者にとって明白なものとは程遠い。
さらに、全てのヌクレオチドの置換、欠失または付加はまた、予期しない動作でリーダーを生成することが潜在的に可能であり、5’−UTR配列の任意の他の操作などのような除去の効果もまた、当業者にとって明白なものとは程遠い。
従って、本発明は、新規かつ進歩性があり、新たな要素または新たな要素の組合せに恵まれた5’−UTR変異体の合成を提案するものであり、そして技術水準を修飾かつ大幅に改善することが可能な有利な技術的解決策を構成する。本出願人は、これらおよびその他の目的および利益を得るために、本発明を考案、試験、及び具体化した。
文中で特に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。本明細書に記載されたものと同様または同等の任意の方法および材料は、本発明の実施または試験において使用することができるが、これら方法および材料を以下に実施例として記載する。紛争の場合は、本出願は、その定義を優先するものとする。材料、方法および実施例は単に例示の目的を持っており、限定的に理解されるものではない。
本発明は、独立請求項に記載され特徴づけられており、従属請求項は本発明又は主要な発明的思想の変形例の他の特徴を示す。
上記目的に応じて、本明細書は、植物のバイオテクノロジー分野に関し、特に、天然に存在しないので、本明細書、人工合成、及び知性の産物により適切に構成される人工リーダーを用いることにより遺伝的に改変された植物における組換えタンパク質の生産レベルの上昇に関する。
ここで説明する実施形態のいくつかの形態は、植物における導入遺伝子の発現のための5’−UTRのリーダー領域の人工DNAに関する。本明細書の態様に係る人工DNAは植物における導入遺伝子の発現を増加させるのに有効であり、5’→3’方向に沿って、Inrイニシエータ部位と5’末端および3’末端にそれぞれ対応するコザックまたはコザック様コンセンサス配列を含む。本明細書の態様による人工DNAはまた、Inrイニシエータ部位とコザックまたはコザック様コンセンサス配列との間に、それぞれ互いに隣接するCAA要素の2つ以上のコピーから構成されるオリゴヌクレオチドによって形成される、複数のポリ(CAA)または(CAA)n領域、及び前記ポリ(CAA)領域と同じ数であり、互いに隣接するCT要素の2つ以上のコピーから構成されるオリゴヌクレオチドによって形成される、複数のポリ(CT)または(CT)m領域を含む、ここで、少なくとも一つ、任意にそれぞれ1つのポリ(CAA)領域は、5’→3’方向でポリ(CT)領域の上流、すなわち5’位にあり、少なくとも一つのポリ(CAA)領域は、5’→3’方向でポリ(CT)領域と隣接している。
いくつかの実施形態では、人工DNAは、A/Tリッチモチーフに関連付けることができない配列の存在を提供し、すなわち、A/Tリッチモチーフの不存在を提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書の人工DNAにおけるA/Tリッチモチーフの不存在は、3より多く、または4より多くの、アデニン(A)および/またはチミン(T)の任意の組合せのヌクレオチドから構成される区域または配列として定義づけられる。
いくつかの実施形態では、人工DNAは、ATTトリヌクレオチド要素に関連付けることができない配列の存在を提供する、すなわちATTトリヌクレオチド要素の不存在を提供する。
いくつかの実施形態では、人工DNAは、CTGトリヌクレオチド要素に関連付けることができない配列の存在を提供する、すなわちCTGトリヌクレオチド要素の不存在を提供する。
いくつかの実施形態では、人工DNAは、ホモポリマートラクト、すなわち3より多く、または4より多くの同一のヌクレオチドから構成される配列の不存在を提供する。
いくつかの実施形態では、nの値は、ポリ(CAA)領域と同一の値を選択可能、または、様々なポリ(CAA)領域のために自主的に選択可能である、すなわち、異なるnの値を、一つ以上の他のポリ(CAA)領域に対する少なくとも一つのポリ(CAA)領域のために選択することが可能である。
いくつかの実施形態では、nは、2以上、3から9の間、4から8の間、または5から7の間の整数である。
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの(CAA)領域において、nは7であり、例えば少なくとも二つのポリ(CAA)領域において、nは7である。
いくつかの実施形態では、mの値は、ポリ(CT)領域と同一の値を選択可能、または、様々なポリ(CT)領域のために自主的に選択可能である、すなわち、異なるmの値を、一つ以上の他のポリ(CT)領域のmの値に対する少なくとも一つのポリ(CT)領域のために選択することが可能である。
いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、mの値は、2以上、または3から5の間の整数である。いくつかの態様によれば、少なくとも一つのポリ(CT)領域において、mは5である。他の態様によれば、少なくとも一つのポリ(CT)領域において、mは3である。可能な実施態様において、少なくとも一つのポリ(CT)領域において、mは5であり、他のポリ(CT)領域においてmは3である。
いくつかの実施形態では、人工DNAは、二つのポリ(CAA)領域と二つのポリ(CT)領域を含み、うち一つのポリ(CAA)領域は、一つのポリ(CT)領域と隣接してよく、他の一つのポリ(CAA)領域は他の一つのポリ(CT)領域と隣接していなくてもよい。
いくつかの実施形態では、第1のポリ(CAA)領域が第1のポリ(CT)領域の上流にあり、第2のポリ(CAA)領域が前記第1のポリ(CT)領域の下流、かつ第2のポリ(CT)領域の上流にある、すなわち第2のポリ(CT)領域は5’位である。
いくつかの実施形態では、第1のポリ(CAA)領域は、第1のポリ(CT)領域に隣接する。
いくつかの実施形態では、第1のポリ(CAA)領域は、第1のポリ(CT)領域に隣接しない。
いくつかの実施形態では、第2のポリ(CAA)領域は、第1のポリ(CT)領域に隣接する。
いくつかの実施形態では、第2のポリ(CAA)領域は、第1のポリ(CT)領域に隣接しない。
いくつかの実施形態では、第2のポリ(CAA)領域は、第2のポリ(CT)領域に隣接する。
いくつかの実施形態では、第2のポリ(CAA)領域は、第2のポリ(CT)領域に隣接しない。
いくつかの実施形態では、第1のポリ(CAA)領域において、nの値は7である、すなわち、7つのCAAトリプレットを含む。
いくつかの実施形態では、第2のポリ(CAA)領域において、nの値は7である、すなわち、7つのCAAトリプレットを含む。
いくつかの実施形態では、第1のポリ(CT)領域において、mの値は5である、すなわち、5つのCTジヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、第2のポリ(CT)領域において、mの値は3である、すなわち、3つのCTジヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、第2のポリ(CAA)領域と第2のポリ(CT)領域の間にAG配列がある。いくつかの実施形態では、第2のポリ(CAA)領域と第2のポリ(CT)領域の間にAG配列のみがある。
いくつかの実施形態では、Inrイニシエータ部位がCaMV35Sの転写開始部位であるか、または、コンセンサス配列5’−YYANWYY−3’をもつInrイニシエータ部位であり、
Y=C、T;
N=A、C、G、T;
W=A、T
である。
いくつかの実施形態では、Inrイニシエータ部位は5’−TCACATC−3’である。
いくつかの実施形態では、Inrイニシエータ部位と第1のポリ(CAA)領域との間に、5’→3’方向に沿って、AAGTTTC配列がある。いくつかの実施形態では、Inrイニシエータ部位と第一のポリ(CAA)領域との間に、5’ →3’方向に沿って、AAGTTTC配列のみがある。
いくつかの実施形態では、人工DNAは、40から150塩基対の間の長さを有する。
いくつかの実施形態では、人工DNAが50%未満のGC含量を有する。
いくつかの実施形態では、人口DNAは配列番号1に示す配列を含み、または、配列番号2に示す配列を含む。いずれの配列も添付の配列表に含まれる。
いくつかの実施形態では、コザックまたはコザック様コンセンサス配列が、転写開始コドンから3つ上流に位置する要素R、3位のプリン、の存在を必要とする配列である。
いくつかの実施形態では、本発明の人工DNAは、ACAATTAC八量体を含まない。
本明細書に記載するいくつかの実施形態は、植物の組換えタンパク質の発現を増加させるのに有効な、5’−UTRリーダー領域の人工DNAを含む発現ベクターに関する、特に例えば、本明細書によるとヒトタンパク質である。
いくつかの実施形態では、発現ベクターは、
i)天然または人工由来の胚乳特異的プロモーター、すなわち、5’位では、タンパク質の成熟型をコードする天然または人工由来のヌクレオチド配列;
ii)ここで説明する、植物における組換えタンパク質の発現を増加させるのに有効な5’−UTリーダー領域の人工DNA;
iii)胚乳の組織を構成するため、その組織の蓄積に有利に働く細胞の、小胞体のルーメン内部の組換えタンパク質を標的とするシグナルペプチドをコードする、天然または人工由来のヌクレオチド配列;
iv)目的のタンパク質の成熟型をコードする天然または人工由来のヌクレオチド配列;
v)天然または人工由来の3’−UTR領域
を含む。
いくつかの実施形態では、プロモーターi)は、イネ(GluB4)のグルテリン4の遺伝子のプロモーターである。
いくつかの実施形態では、要素iii)のヌクレオチド配列は、小胞体内部のグルテリン4の前駆体を搬送するためにイネに用いられるシグナルペプチドをコードするPSGluB4配列である。
いくつかの実施形態では、要素iv)のヌクレオチド配列は、酵素酸ベータグルコシダーゼの成熟ヒト形態をコードする配列である。
いくつかの実施形態では、要素v)の3’−UTR領域は、NOSターミネーターまたはGluB4遺伝子のターミネーターである。
ここで説明するいくつかの実施形態は、ここで記載する人工DNA配列を含むプラスミドを保有する細菌株に関する、特に例えば、大腸菌(Escherichia coli)、 アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)及びアグロバクテリウム・ゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を含む群から選択される種である。
ここで説明するいくつかの実施形態は、宿主生物の種類に関わらず、ここで記載する人工DNA配列を含む組換え細菌株に関する。
ここで説明するいくつかの実施形態は、構成的プロモーター、特に例えば種子特異的な組織特異的プロモーター、誘導性プロモーター、位相依存性転写活性を有するプロモーター、葉緑体において活性なプロモーター、およびミトコンドリア中で活性なプロモーターを含む群から選択されたプロモーターの制御下で、ここで記載する人工DNA配列を含む発現ベクターを有する形質転換植物細胞に関する。
ここで説明するいくつかの実施形態は、そのメッセンジャーRNAが本明細書で説明する人工DNA配列を含むいかなるタンパク質の一過性発現を特徴とする植物に関する。一過性の発現により、我々は、ウイルスベクター、アグロインフィルトレーション、微粒子との衝撃、エレクトロポレーションによる前記タンパク質の産生を意味する。
ここで説明するいくつかの実施形態は、本明細書で説明する人工DNA配列を含む発現ベクターを有する安定的に形質転換された双子葉植物に関する。
実施形態のいくつかの形態では、双子葉植物はナス科、ソラマメ亜科および/またはアブラナ科ファミリーに属する1つまたは複数の種を含む。
ここで説明するいくつかの実施形態は、上記のような双子葉植物の子孫に関する。
ここで説明するいくつかの実施形態は、本明細書で説明する人工DNA配列を含む発現ベクターを有する形質転換された単子葉植物に関する。
いくつかの実施形態では、単子葉植物は、例えば栽培イネ(Oryza sativa L.)、トウモロコシ(Zea mays L.)、大麦(Hordeum vulgare L.)および/または小麦(Triticum spp.)の様なイネ科(Poaceae)ファミリーに属する1種以上を含む。
ここで説明するいくつかの実施形態は、上記のような単子葉植物の子孫に関する。
いくつかの実施形態は、
−分子の生物工学的生産のための使用
−例えば、ウイルス、細菌または真菌病原体に対する耐性を誘導することを意図した、除草剤への耐性を誘導することを意図した、原料および派生製品の脂肪酸で改変された組成物を得るための、原料および派生製品の改変された栄養価を得るための、または燃料、ゴムおよび/またはバイオプラスチックを製造するための組換えタンパク質の合成のための使用
−産業用酵素と商業用タンパク質の合成のための使用
−医薬品用タンパク質の合成のための使用
−ヒトまたは動物用経口投与ワクチン、ヒトまたは動物用の注射可能なワクチン、リンパ管の腫瘍の治療に使用される、好ましくはイディオタイプ特異的な、患者に特異的な注射可能なワクチンからなる群から選択されるワクチンの合成のための使用
−二次代謝産物の生産に関与するタンパク質の合成のための使用
−形質転換された細胞の同定および/または選択における因子として、直接または間接的に使用可能なタンパク質の合成のための使用
からなる群から選択される使用のための、本明細書に記載の実施形態による人工DNA配列に関する。
ここで説明するいくつかの実施形態は、ここで説明する実施形態による発現ベクターを含むヒトタンパク質、例えば、特に、ヒトリソソーム酵素の発現のために形質転換された植物の種子に関する。
ここで説明するいくつかの実施形態は治療、例えば特に酵素補充療法、あるいは以下の疾患、ゴーシェ病、II型糖原病またはポンペ病、ファブリー病、B型ニーマン・ピック病、I、II、IV型ムコ多糖症、に使用するための上述の植物の種子に関する。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載する発現ベクターを用いた植物の形質転換を含む、植物における組換えタンパク質の産生方法に関する。
いくつかの実施形態では、植物の形質転換は、胚によって吸収されない胚乳におけるタンパク質の閉じ込めの達成に有効であり、種子の胚乳中の多量なタンパク質の存在が、種子の生存率と発芽速度に負の影響をもたらさないことを許容する。
いくつかの実施形態では、この方法は、胚乳内部に蓄積され、植物の種子の胚乳内部にタンパク質を蓄積することを提供する。特に、例えば、タンパク質は、タンパク質貯蔵液胞(PSV)またはプロテインボディー(PB)内の胚乳内部に蓄積する。
いくつかの実施形態では、発現ベクターは、植物形質転換のために、直接的または間接的に使用される細菌株に導入される、ここで、細胞株は、大腸菌(Escherichia coli)、 アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)及びアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を含む群から選択可能である。
いくつかの実施形態では、形質転換された植物は、穀類である。
いくつかの実施形態では、細菌株は、胚形成イネカルス(Oryza sativa ssp.japonica)の形質転換のために使用されている。
いくつかの実施形態では、組換えタンパク質は、リソソーム酵素、具体的には例えば、ヒト酸性β−グルコシダーゼ、又は例えばヒト酸性α−グルコシダーゼである。
いくつかの実施形態では、方法は、植物の種子の産業的処理を含む。
いくつかの実施形態では、植物の種子の産業的処理は、繊維成分、胚芽、及び糊粉層を含むタンパク質混入物を除去するために、形質転換された穀類植物から採取した成熟種子の殻を剥いて研磨することを提供する。
いくつかの実施形態では、この方法は、得られたタンパク質の精製を含む。
いくつかの実施形態では、精製は、順番に、疎水性相互作用を有するクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、及びゲルろ過を含む。
いくつかの実施形態では、精製は、化学組成および/または構造および/または機能的が類似のクロマトグラフィー樹脂を適用すること、部分的に溶出パラメータを変更すること、及びカラムに溶出した画分を再充電するための通路を複製することを提供する。
本発明のこれらの及び他の特徴は、添付図面を参照しながら、非限定的な例として与えられ、実施形態のいくつかの形態の以下の説明から明らかになるであろう。
図1は、pSTARTとpSTART−STEで形質転換タバコ植物における4−MUGアッセイを用いて得られた値の分布を示す図である。 図2は、LLTCKリーダーとSTEリーダーを有する植物において、GCasiタンパク質含有量、DAS−ELISAアッセイを用いて評価し、米粉のグラムあたりで発現したGCasiのμg、の分布を示す図である。 図3Aは、タバコpSTART−STEでの発現ベクターの図を示し、ここで:RBR:ライトボーダーリピートLBR:レフトボーダーリピート35SCaMV:カリフラワーモザイクウイルスのプロモーター35SGUS:レポータータンパク質NOSter:アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のノパリン合成酵素のターミネーターである。図3Bは、CaMV35Sプロモーター(ScaI部位から)とSTEリーダーの一部を含む人工的合成領域を示す。 図4Aは、イネpCAMBIA1300/PMI/GluB4−LLTCK/STE::GCasi::GluB4terでの発現ベクターの図を示し、ここで、RBR:ライトボーダーリピートLBR:レフトボーダーリピートGluB4−LLTCK:LLTCKリーダーを有するイネのグルテリン4プロモーターGluB4−STE:STEリーダーを有するイネのグルテリン4プロモーターGCasi:ヒト酵素酸性β−グルコシダーゼ(hGCasi)をコードする遺伝子GluB4ter:イネのグルテリン4ターミネーター35Spro:CaMV35SプロモーターPMI:ホスホマンノースイソメラーゼをコードする遺伝子(形質転換植物の選択マーカー)35Ster:CaMVの35Sターミネーターである。図4B、4Cはそれぞれ、GluB4プロモーターの最終部分(BfrI部位から)とLLTCK及びSTEリーダーを含む人工合成領域を示す。
本発明の実施形態の種々の形態を詳細に参照する、その1つ以上の実施例が以下に記載される。各実施例は、本発明の例示として示され、その制限と理解してはならない。実施形態の一部であるという程度まで示され記載される特徴は、別の実施形態を生じさせるための他の複数の実施形態に採用される、または関連する、ことができる。本発明は全てのそのような変更および改変を含むものと理解される。
さらに従来の技術と比較して、植物における導入遺伝子の発現のための5’−UTR領域の効率を高めるための試みでは、WO2008/080954に記載されるように、繰り返しCAAトリヌクレオチド要素と繰り返しCTジヌクレオチド要素を含む人工DNAの配列、以下STE、STE配列またはSTEリーダーという、が考案された、そしてそのSTE配列は、植物における組換えタンパク質の過剰発現のために最適化された。
この新しく独創的なSTE配列は、2つの無関係な植物種で、かつ異なるプロモーター、ターミネーターおよびコード配列に関連して、遺伝子発現の増加をもたらしたことに留意すべきである。
上述のように従来技術から出発して、出願人は、本明細書によるリーダーの新しいタイプ(type)を開発することを目的として他の実験を実施した。
特に、出願人は、植物を攻撃する多くのウイルスは、5’−capのないメッセンジャー、そして多くの場合はポリ(A)テールもないメッセンジャーを産生すると考えた。この証拠により、出願人は、これらのウイルスで、5’(5’−UTR)と3’(3’−UTR)の非翻訳領域は、5’−cap構造とポリ(A)テールをそれぞれ機能的に置き換えることができる配列を有すると仮定した。これらの配列は、ウイルスメッセンジャーに欠かせないが、真核生物遺伝子、特に植物遺伝子のリーダー内部での重要性は低い可能性がある、なぜならそれらが産生するメッセンジャーは常に、5’−capと、稀な例外を除いて、ポリ(A)テールも有するからである。
特に、出願人は、ウイルスのリーダーに必須だが、真核生物遺伝子のリーダーには必須ではない配列は、一以上のA/Tリッチ配列、例えば、番号1−4の内部LLTCKまたはその部分によってあらかじめ示された配列に対応するという仮説を立てた。そこで、A/Tリッチ配列を完全に欠いている、よってΩ八量体領域とATTトリプレットを持たない合成リーダー配列を得ることを意図して、設計活動を開始した。新しいリーダーの形成において、トリヌクレオチドCTGといかなるヌクレオチドの繰り返しによって形成されたホモポリマー領域を除外することもまた決定した。WO2008/080954に対して実質的に変わらないリーダーの長さを保つために、A/Tリッチ領域を繰り返しCAAとCTモチーフに置き換えられた。STEと呼ばれる得られた配列を、様々な状況で、WO2008/080954の配列番号1の配列と比較した。
出願人の仮説に合致していたが当業者に利用可能な技術常識から予測されることとは異なり、得られた結果は、A/Tリッチ要素を排除し、それらを繰り返しCAAとCT要素に置き換えることは、例えこのA/Tリッチ要素が、翻訳エンハンサーとして一般的に使用されるウイルスリーダーの内部に保存されているとしても、リーダー間の比較実験において利用されるレポーター遺伝子の発現の有意な増加を常にもたらすことを確立した。WO2008/080954のLLTCKと比較して、本明細書の5’−UTRの新しいタイプは、産業分野で、効率的な異種タンパク質の生産、抽出、及び精製に関連する問題の解決のために有用なより良い技術的な解決策を表している。
したがって、ここで説明した実施形態は、植物における組換えタンパク質の発現を増加させることに効果的な5’−UTRリーダー領域の人工DNAを提供する、それは5’→3’方向に沿って、複数のポリ(CAA)または(CAA)n領域、およびポリ(CAA)領域と同じ数の複数のポリ(CT)または(CT)m領域を含む。
いくつかの実施形態において、各ポリ(CAA)領域は、互いに隣接するCAA要素の2つ以上のコピーから構成されるオリゴヌクレオチドによって形成される。
いくつかの実施形態において、各ポリ(CT)領域は、互いに隣接するCT要素の2つ以上のコピーから構成されるオリゴヌクレオチドによって形成される。
いくつかの実施形態において、少なくとも一つの、またはそれぞれ一つのポリ(CAA)領域は、5’→3’方向に、ポリ(CT)領域の上流にある、そしてそれは5’位である。
いくつかの実施形態において、少なくとも一つのポリ(CAA)領域は、5’→3’方向で、ポリ(CT)領域に隣接する。
いくつかの実施形態において、nは、ポリ(CAA)領域から選択される同一または異なる、2以上、3から9の間、4から8の間、または5から7の間の整数である。例えば、nの値は、ポリ(CAA)領域と同じにすることができ、例えば7とすることができる。
いくつかの実施形態において、mは、ポリ(CT)領域から選択される同一または異なる、2以上または3から5の間の整数である。例えば、mの値は、ポリ(CT)領域の数と異なってよく、例えば、3または5とすることができる。
一般に、互いに異なるnとmの値を選択することができるが、いくつかの実施形態は、同一のnとmの値が選択されてもよい場合を提供する。
いくつかの実施形態では、二つのポリ(CAA)領域と二つのポリ(CT)領域を提供しても良い。5’→3’方向にそって、第1のポリ(CAA)領域が、前記第1のポリ(CAA)領域に隣接する続く第1のポリ(CT)領域が、前記第1のポリ(CT)領域に隣接する、続く第2のポリ(CAA)領域が、及び前記第2のポリ(CAA)領域に隣接しない連続する第2のポリ(CT)領域が提供されうる。
いくつかの実施形態では、STE配列は、WO2008/080954に比した改善点である側面によって特徴付けることができ、より適合性のあるSTE配列を提供することを意図して以下の特徴の一つ以上に言及されている。真核生物の発現システムは、
1.A/Tリッチモチーフ、すなわち、いかなるコンビネーションにおいても、3つ以上、必要に応じて4つ以上のアデニン(A)及び/又はチミン(T)ヌクレオチドから構成される配列が存在しない。
2.ATTトリヌクレオチド要素が存在しない。
3.CTGトリヌクレオチド要素が存在しない。
4.ホモポリマー領域、すなわち3より多い、または必要に応じて4より多い同一のヌクレオチドの配列が存在しない。
すなわち、本明細書に係る人工DNAは、以下の成分のいずれかが含まれていない:A/Tリッチ要素、ATTトリヌクレオチド要素、CTGトリヌクレオチド要素、及びホモポリマー領域、すなわち、必要に応じて、3つより多い、または4つより多い同一のヌクレオチドから構成される配列。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された人工DNA配列は、Inr部位を含んでもよい。Inr部位が上記ポイント1(A/Tリッチモチーフの欠如)とポイント2(ATTトリヌクレオチド要素の欠如)の制限付きで、5’−YYANWYY−3’配列を有してもよく、ここで、Y=C、T;N=A、C、G、T;W=A、T;あるいは、Inr部位は、5’−ACACG−3’配列(CaMV35Sのためのイニシエータ部位)を有してもよい。
いくつかの実施形態において、3’末端に、リーダー領域はまた、真正のATG翻訳開始コドン(コザックまたはコザック様モチーフまたはコンセンサス配列)の認識に有利なヌクレオチドコンテキストを含んでもよい。コザックまたはコザック様モチーフまたはコンセンサス配列は、真正翻訳開始コドンを認識するための適切なコンテキストを識別するために、翻訳開始コドンの上流の3位にプリン(アデニン「A」またはグアニン「G」)であるR元素の存在を必要とする。開始コドンの上流の3位(または位置−3)によって、我々は、その位置+1に通常割当てられているATGコドンの要素「A」の上流の3位のヌクレオチドを意味する。コザックまたはコザック様配列は、上述のように、例えば第2のポリ(CT)領域に連続して隣接していてもよい。
また、いくつかの実施形態において、ここで説明するSTEリーダー配列は、長さが40から150塩基対の間に含まれ、および必要に応じて50%未満のGC含量を有することがでる。
リーダー配列の一例は、配列番号1と呼ばれ、いくつかの形態によれば、
(1)5’−ACACGAAGTTTCCAACAACAACAACAACAACAACTCTCTCTCTCAACAACAACAACAACAACAAAGCTCTCTAGA−3’である。
リーダー配列の一例は、配列番号2と呼ばれ、いくつかの形態によれば、
(2)5’−CACATCAAGTTTCCAACAACAACAACAACAACAACTCTCTCTCTCAACAACAACAACAACAACAAAGCTCTCTAGA−3’である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、例えば、配列番号1や配列番号2の様なリーダー配列は、例えばCaMVの35S(配列番号1、変異体1)、または真核生物遺伝子の典型的なコンセンサス配列を有するInr部位、5’−YYA+1NWYY−3’、ここでA+1が転写最初のヌクレオチドを表し、Y=C、T;N=A、C、G、T;W=A、T(配列番号2のTCACATC、変異体2)のような、5’末端にInrイニシエータ部位を有することができる。イニシエータ部位の下流に、ポリ(CAA)およびポリ(CT)の拡張および代替ブロックが続き、例えば二回繰り返される。上述のように、さらに、ATG開始コドンの認識を促進するために、コザックまたはコザック様配列は、例えば、3’末端(例えば、TCTAGAに含まれても良い両変異体においてXbaIのための制限部位に対応する)に存在することができる。
WO2008/080954に記載されリーダーのタイプと比較して、ここに記載の人工DNA配列は、人工5’−UTRを製造するための新たな仕様を提供可能である。そのような仕様は、WO2008/080954には記載されておらず、リーダー領域の正確な組成や構造の変更や、新しい優先的な用途に反映させることができる。
変異物は、WO2008/080954に記載されたLLTCK配列と、上記STEリーダーの変異体例を比較することにより、実施例の方法で推定可能である。後者は、A/Tリッチ要素として(AUリッチ要素、AREs)定義可能な配列も、代わりにInr部位の下流のLLTCKの内部及びTMVΩリーダーの八量体の両側に存在するATTトリプレットも有しない。
新しいSTEリーダーのより大きな効率化を実証するために、新しいSTEリーダーとWO2008/080954に記載されたLLTCK配列との比較を、タバコ(Nicotiana tabacum L.)やイネ(Oryza sativa L.)のような無関係の植物種における二つのレポーター遺伝子の発現レベルを分析して行った。
タバコでは、考慮された遺伝子は、uidA遺伝子(GUS)および遺伝的形質転換のために使用した構築物、すなわち、35S−LLTCK::uidA::NOSter(pSTART)と35S−STE::uidA::NOSter(pSTART−STE)を、それぞれLLTCKとSTEによってpBI121(Clontech社製)中に存在するリーダー配列を交換することによって得た(実施例1)。より正確にはそれは、置換され操作された、CaMVの(ACACG)のInr 35S領域の間に含まれる、両方の構築物に共通に保持された、及び制限部位XbaI(TCTAGA)である、配列pBI121であった。レポーター遺伝子の発現レベルは、かなりの感度、精度、速度、および実行の容易さによって特徴付けられる蛍光4−MUGアッセイ(Jefferson et al., 1987)を用いて評価した。具体的には、形質転換された植物におけるGUS遺伝子の発現を定量的評価するために、蛍光アッセイは、3枚の、完全に膨張した若葉をプレスして得られた粗タンパク質抽出物に対して行った。β−グルクロニダーゼ(GUS)の比活性の値は、タンパク質mg当たりに産生される4−MUのミリモルで表され、ブラッドフォードアッセイを用いて算出された総タンパク質濃度に対して標準化した。図1は、降順で、2つの構築物で形質転換された植物上に得られたデータを示す(3枚の葉の抽出物のために記録された平均値)。
図1に示すデータについて統計分析、一元配置分散分析(ANOVA)を行った。結果を下記表1に示す。
表1:コンストラクト35S−LLTCK:::uidA::NOSter及び35S−STE::uidA::NOSterで形質転換された植物で得られた平均データについて実施したANOVA
Figure 0006369839
上記分析は、2つの分析対象集団(pSTARTとpSTART−STE)の間の統計的有意差(P<0.05)の存在を示した。表1及び図1の共同試験より、STEリーダーはuidA遺伝子の発現レベルの非限界的増加を引き起こすことを主張可能である。得られた平均値は、形質転換された植物の2つの集団に考慮される場合には、特に、STEリーダーは、LLTCKに比べ約2.8倍、レポーター遺伝子GUSの発現レベルの増加をもたらす。
タバコ(双子葉植物のクラスのモデル種)に見られた結果の確認として、広く生物工学分野で使用される穀物であるイネで実験を実施した。最初の種と同様に、比較試験は、他の要素と厳密に同様に、2つの発現構築物を用いて行った。特に、以下のベクターを比較した。
pCAMBIA1300/PMI/GluB4−LLTCK::GCasi::GluB4ter;
pCAMBIA1300/PMI/GluB4−STE::GCasi::GluB4ter。
しかし、イネにおいて、異なるタイプのリーダーの効果は、異なる制御要素を用いて、種子特異的発現のコンテキストでアッセイしたことを強調しなければならない。より正確には、イネ(GluB4)のグルテリン4のプロモーター、及び対応するターミネーター(GluB4ter)を使用した。レポーター遺伝子としては、hGCasi、すなわちヒト酵素酸ベータ−グルコシダーゼをコードする配列が選ばれた。組換えタンパク質の検出は、免疫学的アッセイ(DAS−ELISA)を介してかなりの感度と精度で行うことが可能である。リーダー配列に関して、両方のベクターでGluB4のInr部位を使用した、なぜなら、それは真核生物のコンセンサス配列YYANWYY内に入るからである。また、このウイルスは双子葉植物だけを攻撃するので、CaMV35Sプロモーターのイニシエータ部位は、あまり適さない。
各ベクターは、イネ var. CR W3(Hiei et al., 1994)の形質転換のためにエレクトロポレーションを使用して、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に挿入した。トランスジェニック植物の2つの集団は、それぞれ、50個体からなる。各植物の成熟種子を回収し、総タンパク質抽出に使用した。得られたタンパク質抽出物をGCasi含量を評価するためにDAS−ELISAで分析した。図2は、得られたデータの分布を示す。
一元配置分散分析は、イネの2つの集団の間で見つかったレポーター遺伝子の発現の差は統計的に有意である(表2)であることを確立した。
表2:コンストラクトpCAMBIA1300/PMI/GluB4−LLTCK::GCasi::GluB4ter及びpCAMBIA1300/PMI/GluB4−STE::GCasi::GluB4terで形質転換された植物で得られたデータについて実行したANOVA
Figure 0006369839
上記表2と図2のグラフから、STEリーダーはLLTCKリーダーよりも大きな発現レベルを与えることが明らかである。特に、STEリーダーは、LLTCKのそれらの3.5倍のレポーターGCasi遺伝子の発現の増加をもたらす。
(実施例1):タバコpSTART−STEにおける発現ベクターの作製
ベクターpSTART−STEを作製産生するための出発点は、以前の研究(De Amics et al., 2007)で得られた発現ベクターpSTARTであった。この最後のベクターは、オリジナルのベクターpBI121(Clontech社)の改変から得られた順に、LLTCKリーダー、GUSタンパク質をコードするレポーター遺伝子とNOSターミネーターを有するCaMV35Sプロモーターから構成されるなる発現カセットを有する。pSTART−STE(図3A)を取得するために、pSTARTでLLTCKリーダーはSTEリーダーに置き換えられた。この目的のために、STEリーダーの配列が追加された35Sプロモーター(ScaI部位から)の一部に対応する配列を、この場合配列番号1の例の形で人工的に合成した、合成された領域(702bp、図3(b))は、制限酵素ScaIおよびXbaIによる分解、ベクターの回復、及び新しい合成配列のDNAリガーゼによるライゲーションによりpSTARTに置き換えられた。
(実施例2):プロモーターGluB4、リーダーLLTCKとSTEを有する発現ベクターの作製
リーダー配列LLTCKおよびSTEは、人工的に合成した。特に、両方の場合において、合成領域は、イネのグルテリン4プロモータ(GluB4)の末端部分に存在するBfrI部位と、リーダー自身の3’末端(図4Bおよび4C)に存在するXbaI部位との間に含まれる配列に対応した。より正確には、この領域は、LLTCKの328塩基対(図1B)とSTE(図4C)の315塩基対と同等の結果となった。
最終的な発現ベクターを製造するために、発現カセットの最終組立を可能にする二つのリーダーと並行して、一連の中間サブクローニング工程を実施した。最初のステップでは、天然のGluB4プロモーターの下流に存在するリーダーは、合成リーダーLLTCKとSTEで置き換えられた。出発点は、天然のリーダー(GenBank acc.n°AY427571)と融合したグルテリン4のプロモーターを含む、ベクターpGEM−T/GluB4−NATであった。GluB4プロモーターの末端領域(BfrI部位から)と、天然のリーダーは、酵素BfrIおよびXbaIで分解されることにより除去され、新たな合成配列に置き換えられた。このように、二つの中間ベクター、pGEM−T/GluB4−LLTCK及びpGEM−T/GluB4−STEが製造され、続いてPCR分析、酵素消化及び配列決定によって確認された。
最終的な発現カセットは、pUC18/GluB4terベクターからスタートして組立てられた。このベクターは、GluB4−LLTCK(またはGluB4−STE)複合体及びレポーター遺伝子を、それぞれ挿入するための2つの連続したサブクローニング工程により処理した。特に、第1のサブクローニング工程で、pUC18/GluB4terは、pGEM−T/GluB4−LLTCKとpGEM−T/GluB4−STEベクターのそれぞれから抽出されたGluB4−LLTCKとGluB4−STEを連結するために、制限酵素SphIおよびXbaIで分解された。第2のサブクローニング工程で、中間ベクターpUC18/GluB4−LLTCK::GluB4terとpUC18/GluB4−STE::GLUB4terは、同じ酵素を用いてベクターpMS/hGCasiから抽出されたレポーター遺伝子(hGCasi)を挿入するために、XbaIおよびSacIで分解された。このようにして、完全に組立てられた発現カセットを含む2つのpUC18ベクター、すなわち、pUC18/GluB4−LLTCK::GCasi::GluB4terとpUC18/GluB4−STE::GCasi::GluB4terを得た。
最終的なベクターを生成するために、2つの発現カセットGluB4−LLTCK::GCasi::GluB4terとGluB4−STE::GCasi::GluB4terは、例えば、別々のpUC18からEcoRIで二重消化して別々に抽出され、
pCAMBIA1300/PMI/GluB4−LLTCK:GCasi::GluB4ter、及び
pCAMBIAl300/PMI/GluB4−STE:GCasi::GluB4terを構成するように(図4A)、最終的な発現ベクターpCAMBIA1300/PMIでクローン化された。
(実施例3):アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)により媒介されるニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)の遺伝的形質転換
ニコチアナ・タバカム栽培品種Xanthi(Nicotiana tabacum,cv.Xanthi)の遺伝的形質転換のために、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens Horschら(1985)のプロトコルを使用した。私たちは、簡単に全体の手順の主なステップを記述する。
種子の消毒
形質転換に使用するためのタバコの種子の調製のために、次のプロトコルに従い、最初に殺菌が行われた。
無菌の2mLの試験管に少量の種子を入れる。95%エタノール約1mLを加る。2分間保持し激しく撹拌する。ピペットを用いて、エタノールを除去する。2%の塩酸1mLを加える。20分間インキュベートし、攪拌、除去して、1mLの滅菌水を加える。このようにして種子を5回すすぐ。試験管内の最後のすすぎの水を残す。先端を無菌条件下で除去したロッドを使用して、一定量の種子と水を除去し、プレートまたはベビージャー内のMS10基質の上に置く。
細菌学的ループまたはL字型に曲げたパスツールピペットを使用して、微妙種子を配布する。
28℃の気候室の内部に光の中にプレートを設置して発芽させた。
A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)の形質転換
A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)を用いたN.タバカム(N.tabacum)の葉材料の形質転換は、以下の手順で行った。
・フードの下で、4−5×2mLの試験管に1.8mLの滅菌LBブロスを満たす。滅菌した爪楊枝で、プレート上で増殖させた小さいが可視量の細菌コロニーを拾って、A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)を接種する、続いて、試験管内でそれを希釈し、激しく撹拌する。
・無菌のパンチを使用してタバコの葉(約1ヶ月齢の植物から)を取り、葉身から直径7mmのディスクを作成する。ペンチを使って葉のディスクをMS10基質プレートに、プレート一枚当たり30ディスクのせる。各細菌株あたり、少なくとも合計200ディスクとする。決して感染させないディスク、及び常にMS10培地上にあるディスクをのせるための2つの対照プレートを準備する。
・ディスクを含むプレート上に、直前に細菌を植菌した試験管の内容物を注ぎ、A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)のディスクを感染させる。全てのディスクが濡れるように回転運動で軽くかき混ぜ、その後ピペットで余分な液体を除去する。ペンチを使用して、定期的にディスクを配置する。
・成長室で、28℃の温度で、プレートを一晩、一定の光の中でインキュベートする。
・MS10セフォタキシム500mg/Lの基質の上に葉のディスクを移す。
・一定の光の中で、24℃の温度で6日間インキュベートする。
・形質転換開始8日後、形質転換されたカルスの選択のためにMS10セフォタキシム500mg/L−カナマイシン200mgの/Lの基質上に葉のディスクを移す。上記と同じ条件下で14日間インキュベートする。
・キメラでない正常な外観の、少なくとも2枚の葉からなるシュートを切り取る。それらを、定着のための基質(MS0、セフォタキシム500mg/L−カナマイシン200mg/L−IBA2mg/L)上に移す。
・水で根についた基質を優しく洗い流し、根付いた植物を成長させるため、鉢植え泥炭や水耕栽培システムに移植する。植物を、16時間の採光と8時間の闇の光周期で26〜30℃の温度を維持した気候室に配置する。
(実施例4):アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)により媒介されるオリザ・サティバ(Oryza sativa)の遺伝的形質転換
CR W3種のイネの形質転換のために、形質転換カルスが得られるまで、Hoge(イネ研究グループ、植物科学研究所、ライデン大学)とGuiderdoni(Biotropプログラム、CIRAD、モンペリエ、フランス)によって修正されつつHieiら(1994)のプロトコルが使用された。その後の選択工程のためにDattaとDatta(2006)のプロトコルが使用された。私たちは今、簡単に全体の手順の主なステップを記述する。
イネの胚盤からの胚形成カルスの調製と開発
イネの形質転換は、胚盤由来の胚形成カルスを用いて行った。
胚盤組織からカルスの増殖を誘導するために、以下の操作手順を使用した。
・イネの種子を剥いた(包頴の排除)
・潜在的な汚染物質病原体及びカルスの生成を妨げる腐生菌除去を除去するため、包頴無しの穀果を消毒した
a.最初の消毒処理において、剥いた種子を70%エタノール溶液中で2分間放置した
b.エタノール処理後、種子を、Tween20洗浄剤を2滴加えた5%ナトリウム塩酸塩の溶液に移し、30分間ゆっくり攪拌しながら保持した
c.胚盤中のカルスの誘導を阻害し得るナトリウム塩酸塩の全ての痕跡を除去するために、それぞれ15分間滅菌水で一連の洗浄が行われた
・最後の洗浄の後、種子を滅菌吸収紙の上で乾燥させた
・プレート当たり12個の種子を、カルス(CIM、カルス誘導培地)を誘導するために使用される基質の表面上に配置し、ペトリ皿(直径90mm)中に25mLの容量で希釈した
・得られたプレートを暗所で、21日間温度28℃でインキュベートし、1週間インキュベーションした後、胚乳および細根が胚盤からカルスの発展を促進するために除去された(胚盤は少量で、一部が胚乳に含まれ、黄色であった)
・3週間インキュベーションした後、カルスは新鮮なCIMの基質上に転写した、続いてカルス塊はメスを使わずに砕かれ、カルス上に自然なヒビができた
・継代培養をさらに10日間続け胚形成カルスを成長させ、形質転換に適するようにした
カルスとA.ツメファシエンス(A.tumefaciens)EHA105の共培養
1.形質転換に十分な量のA.ツメファシエンス(A.tumefaciens)を得るために、上記のプラスミドベクター(実施例2)を有する株をLB寒天培地で30℃で3日間インキュベートした。
2.アグロバクテリウムが成長したときに、細菌細胞層をこすり落として、3−5・109細胞/mLに対応する約1.0のOD600が得られるまで、共培養培地液(CCML)に懸濁した
3.最高のカルス、すなわち、直径が約2mmで、小さく白っぽい色のものを、35mLの細菌懸濁液を含むペトリ皿に移して、15分間液に浸し、攪拌した
4.その後、カルスを、滅菌吸収紙を使用して乾燥した
5.最大20カルスを、共培養のための半固体基質(CCMS:co-cultivation medium solidified)を含有するハイエッジペトリ皿(Sarstedt社)に移した
6.カルスは、次いで、3日間25℃の温度で、暗い環境でインキュベートした
PMIマーカーシステムに基づいたカルスの選択
アグロバクテリウムとの胚形成イネカルスの共培養後、選択マーカーとしてPMI(ホスホイソメラーゼ)に基づく選択システムを用い、選択剤としてマンノースを使用して、形質転換された組織を選択した。この方法は、マンノースの濃度が増加しスクロースの濃度が減少することを含む培養基質を使用することを提供する。
手順は次の通り:
・A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)との共培養から、マンノースを含まず3%のスクロースとを含むPSM(事前選択培地)基質上にカルスを移動し、28℃の温度で暗所で1週間インキュベーションする。
・2%スクロースおよび1.5%のマンノースを含むSMI(選択培地I)基質上へカルスを移動し、28℃の温度で暗所で2週間インキュベーションする。
・1%スクロースおよび2%マンノースを含むSMII(選択培地II)基質上へカルスを移動し、28℃の温度で暗所で2週間インキュベーションする。
・再生が続く。
形質転換されたカルスからのイネ植物の再生
想定される形質転換された植物の再生は、ここで報告された手順に従って、形質転換カルスの適切なホルモン刺激により起きた。
1.選択した胚発生イネカルスを、0.5%スクロースおよび2.5%のマンノースを含むPRM基質(プレ再生培地)の入った高エッジペトリ皿上に移し、暗所で28℃で2週間インキュベーションした。
2.PRM基質上を通過した後、カルスはマンノースを含まないRM基質(再生培地)上に移した、高エッジペトリ皿当たり最大で8−10単位とした。植物は、3〜4週間、28℃で、光で増殖させた。
3.植物がカルスから分離されるのに十分に増殖させ(高さ3cm以上)、それらを発根培地25ml(rm)を含む培養チューブに移した。
4.チューブ内側の二次培養は、約3週間常に約28℃で光の中で続けた。
5.再生処理の終了時に、植物は、泥炭に移し温室条件下で成長させた。
(実施例5):4−MUGアッセイにより形質転換されたタバコの葉組織からの全タンパク質の抽出
今説明した手順は、長時間GUSタンパク質の酵素活性を保持し、タバコの葉抽出物を生成し保持することができる。
・1.5mLの試験管に、15mgPVP(ポリビニルピロリドン、MW>40000g/mol)を秤量し、抽出緩衝液(表3を参照)200μLを加えてボルテックス撹拌し、4℃で少なくとも30分間インキュベーションした
・Meku Pollahneプレスを用いて葉汁を抽出
・葉汁100μLを除去し、氷中ですべてを維持しながら、バッファーPVPの混合物に加えた
・4℃で11500回転で15分間遠心分離
・上清(〜200μL)を除去し、新しい試験管に即座に移動する
・すぐに液体窒素を用いて凍結し、−80℃で保存する
Figure 0006369839
手順は、蛍光分析にかけ、全てのサンプルに区別なく適用した。各形質転換植物は、植物の先端部に存在する3葉(高度な拡張期)から採取した抽出物を使用して、3回分析した。
(実施例6):蛍光4−MUGアッセイ
形質転換された植物から得られたタンパク質の葉抽出物中のGUS酵素の含有量を評価するために、特定の蛍光アッセイを行った。使用される基質は、GUS酵素の存在下で、蛍光化合物4−メチルウンベリフェロン(4−MU)を生成する、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド(MUG)であった。以下のプロトコルは、Jefferson(1987)によって示された標準的な手順から派生し、そしてプレートでアッセイを実行するように適合された。
・96ウェルプレート(低結合、Sarstedt社)で、MUG溶液(表4)130μLに葉抽出物10μLを加えた
・37℃で1時間インキュベーション
・反応液20μLを除去し、96ウェル(サンプル当たりに少なくとも2回繰り返し)の不透明なプレートのNa2C030.2M(停止液)230μLに迅速に加える
・不透明なプレートで4-MUで検量線を引く(1mM、と連続する希釈液1:2、計4〜5点に対して)
・プレート蛍光光度計を使用して値を読む
・カーブフィッティングデータ解析(Promega社)ソフトウェアを使用して結果を処理する。
Figure 0006369839

(実施例7):形質転換イネの種子からの総タンパク質の抽出
DAS−ELISAを用いてアッセイされる総タンパク質の抽出物を得るために、以下のステップを含む抽出プロトコルを開発した。
・稲穂を各個体から採取する
・種の相対湿度が14%になるまで、稲穂を約3日間乾燥した風通しのよい場所で乾燥した
・各ラインの種子40個をランダムにサンプリング
・種子は、手動の脱穀機で剥いた
・サンプルを、MM2(Retsch社)振動マイクロミルで、20ヘルツの速度で2分間粉砕し、得られた小麦粉70mgを除去した
・小麦粉を抽出緩衝液(トリス塩酸50mM、塩化ナトリウム0.5M、pH7.0)1mLで乳鉢でホモジナイズした
・続いて、別途7mLの同じ緩衝液で希釈
・連続して攪拌しながら4℃で1時間インキュベーション
・1mLを除去し、4℃で、20000回転で40分間遠心分離した
・タンパク質を含む液相を回収し、−20℃で保存した
(実施例8):DAS−ELISAアッセイ
DAS−ELISAアッセイは、二重免疫学的認識に基づいて、個々のタンパク質抽出物のGCasi含量を評価するために使用された。分析のため、サンプルを1:30に希釈した。アッセイの主なステップを報告する。
・各ウェルに、2ng/μLに希釈した抗GCasi非結合ポリクローナル抗体(PBSをアジ化ナトリウム(0.01%)で1:5に希釈)100μLを分配する
・プレートを4℃で一晩インキュベートする
・抗体を除去する
・各ウェルに、250〜300μLのブロッキング溶液(PBS+BSA 2.5%+アジ化ナトリウム0.01%)を分配する
・プレートを25℃で20分間インキュベートする
・ブロッキング溶液を除去する
・50μL/ウェルの標準の希釈液(200、100、50、25pg/μL 市販のイミグルセラーゼ;サノフィ−ジェンザイム社製)、分析用サンプル、及び希釈液(PBS+Tween20 0.1%+1%BSA)からなるコントロールサンプルを分配する
・プレートを攪拌しながら37℃で30分間インキュベートする
・300μL/ウェル(PBS+0.1% Tween20)でウェルを3回洗浄する;
・配布50μL/ウェル ポリクローナル抗体抗GCasiの0.4ngの/μL希釈液で希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲート;
・攪拌しながら37℃で30分間、プレートをインキュベートし;
・300μL/ウェル(PBS+0.1%のTween20)の洗浄液でウェルを3回洗浄する
・TMB溶液100μL/ウェルを分配する
・プレートを25℃で約10分間インキュベートする
・100μL/ウェルの停止液(塩酸1M)で反応を停止する
・プレートリーダーモジュラスII(Promega社)を用いて450nmでプレートを読む
・標準の公知の濃度値を割り当てるカーブフィッティングデータ解析ソフトウェア(Promega社)を用いてデータを処理する。試料の濃度値は、抽出物の実際の濃度を得るために採用した希釈係数を考慮しながら、4つのパラメータで線形曲線を用いて得た。
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Claims (12)

  1. 5’−UTRのリーダー領域の人工DNAであって、
    前記人工DNAは、植物における組換えタンパク質の発現を増加させるのに有効であり、
    前記人工DNAは、5’→3’方向に沿って、Inrイニシエータ部位とコザックまたはコザック様コンセンサス配列を含み、
    前記人工DNAは、さらにInrイニシエータ部位と、コザックまたはコザック様コンセンサス配列との間に、それぞれ、互いに隣接するCAA要素の2つ以上のコピーから構成されるオリゴヌクレオチドによって形成される、複数のポリ(CAA)または(CAA)n領域、及び前記ポリ(CAA)領域と同じ数であり、互いに隣接するCT要素の2つ以上のコピーから構成されるオリゴヌクレオチドによって形成される、複数のポリ(CT)または(CT)m領域を含み、ここで
    少なくとも一つ、任意にそれぞれ1つのポリ(CAA)領域は、5’→3’方向でポリ(CT)領域と少なくとも一つのポリ(CAA)領域の上流にあり、5’→3’方向でポリ(CT)領域と隣接しており、
    ただし、前記人工DNAは、A/Tリッチモチーフ、ATTトリヌクレオチド要素、CTGトリヌクレオチド要素、及びホモポリマー領域、すなわち3より多く、または4より多くの同一のヌクレオチドから構成される配列、を含まないことを特徴とする人工DNA。
  2. nが整数であり、同一の又は異なるポリ(CAA)領域から選ばれ、2以上、3から9の間、4から8の間、または5から7の間である請求項1に記載の人工DNA。
  3. mが整数であり、同一の又は異なるポリ(CT)領域から選ばれ、2以上、または3から5の間である請求項1または2に記載の人工DNA。
  4. 2つのポリ(CAA)領域と2つのポリ(CT)領域を含み、第1のポリ(CAA)領域が第1のポリ(CT)領域の上流にあり、第2のポリ(CAA)領域が前記第1のポリ(CT)領域の下流、かつ第2のポリ(CT)領域の上流にある請求項1〜3のいずれか一項に記載の人工DNA。
  5. Inrイニシエータ部位がCaMV35Sの転写開始部位5’−ACACG−3’であるか、または、コンセンサス配列5’−YYANWYY−3’をもつInrイニシエータ部位であり、ここで
    Y=C、T;
    N=A、C、G、T;
    W=A、T
    である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の人工DNA。
  6. 配列番号1に示される配列を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の人工DNA。
  7. 配列番号2に示される配列を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の人工DNA。
  8. コザックまたはコザック様コンセンサス配列が、翻訳開始コドンから3つ上流に位置する要素Rの存在を必要とする配列である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の人工DNA。
  9. A/Tリッチモチーフが、3より多く、または4より多くの、アデニン(A)および/またはチミン(T)の任意の組合せのヌクレオチドから構成される領域または配列として定義づけられる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の人工DNA。
  10. 前記人工DNAが、ACAATTAC八量体を含まない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の人工DNA。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の植物における組換えタンパク質の発現を増加させるのに有効な5’−UTRリーダー領域の人工DNAを含む発現ベクター。
  12. 請求項11に記載の発現ベクターを用いて植物を形質転換することを含む、植物における組換えタンパク質の製造方法。
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