JP6369708B1 - 津波や洪水からの漂着避難装置 - Google Patents
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Abstract
Description
津波や洪水等水害の発生時、安全な避難場所への避難は難しく、また、一旦津波や洪水等水害が引き起こす本水流に呑まれると、水没により、人命が失われ、または、負傷する可能性が高い。内閣府によると、1mの浸水深で、津波に巻き込まれた人の全てが死亡すると見られている。(非特許文献1参照)
津波や洪水等水害の発生時、津波や洪水等水害が引き起こす本水流の動圧による荷重や、漂流物の衝突により、様々な構造物が破壊される。これを防止するには、当該構造物に、津波や洪水等の水害により引き起こされることが予想される水流に対し十分な強度を持たせることの他、水害の発生前に、当該構造物を影響を受けない場所に移動させておく、当該構造物が板状などの場合は倒伏させておく、本水流により大きな荷重を受ける部分を撤去しておく等、人力による事前の作業により対応する方法が考えられるが、水害の発生が予測されてから作業を完了するのに時間が十分あるとは限らず、また、作業に危険を伴う可能性がある。
津波や洪水等水害に関する、防災、避難や救助のための装置は、一般的に、専用の設置スペースが必要となり、さらに、通常時、都市や地域の視界や風景を遮ってしまう。
段状や傾斜面とする場合を含み、津波や洪水等の水害により引き起こされることが予想される水流の方向に上がっていく形状を成す装置で、格子状などとすることにより、本水流を透過させ、本水流に呑まれた水害遭難者は通過させない構造とし、本水流に呑まれ水中にて当該装置に漂着した、または、当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、本水流の動圧による荷重を受け続ける当該水害遭難者の身体に対し、上向きとなる反力を作用させることにより、当該装置の本水流の上流側となる前面に沿って上昇させ、水面に到達させる構造とすることにより、当該水害遭難者を救助または救命する、漂着救助装置を構成できる。
漂着救助装置は、人の身体の上方への移動を補助もしくは促進することができる移動補助装置を付置もしくは組み込み、または、形成することで、本水流による浸水時、当該漂着救助装置に漂着し当該装置の前面に沿って上昇し水面に到達した水害遭難者が、当該移動補助装置を上り、上部の避難スペースや避難通路である、上部避難路に避難したり、本水流による浸水前には、近隣の住民等がアクセスし、当該移動補助装置を上って避難することが可能な初期避難先とすることができる。
さらに、本水流による浸水時、漂着し水面に到達した水害遭難者の転落を防止する転落防止装置を設置すると、当該水害遭難者が当該移動補助装置を自力で上り避難できない場合であっても、安全に待避して救助を待つことができる。
当該構造物の支持構造により、津波や洪水等水害の本水流による浸水時に、支持対象となる部分を回転させ、倒伏させ、または、脱落させて漂流させることにより、当該構造物の損壊を防止することができる。
当該支持対象部分と、これを支持するベースとを、本水流の方向に高くなる傾斜部分を持つスライダーやガイドと、ピンによる、複数個所の接続部分により接続することにより、当該支持対象部分が、通常時は、安定して支持され、本水流による浸水時は、本水流の動圧による荷重を受け、回転、倒伏、または、脱落できるようになる。
当該装置の架構の構造により、通常時は倒伏した状態で格納され、津波や洪水等水害の発生時には起立し機能することが可能となる装置を構成することができる。
当該架構は、起立時に、下端となる部分が、スライダー等に接続され、中間または上部となる部分が、やはり倒伏して格納された控え等に接続され、移動や変形を制限されており、津波や洪水等の水害により引き起こされることが予想される水流の動圧による荷重等により、当該下端となる部分を当該スライダー等に沿って移動させることで起立することができる部材を用いて構成するもので、当該装置は、当該架構により、通常時は倒伏した状態で地表仕上げ面内に格納され、津波や洪水等水害の発生時は、本水流の動圧による荷重等により起立し機能できるものとなる装置を構成することができる。
本開示により、本水流に呑まれた水害遭難者の、救助または救命、及び、その後の避難を可能とし、近隣からの避難先としても機能できる装置や施設を提供することができる。
当該装置や施設は、本開示にて示された実施例のように、多様な方法により実施可能で、単独で設置し、または、他の装置や施設等に組み合わせて設置することにより、津波や洪水等の水害時の避難、及び、救助または救命の用に供する装置や施設を構成することができる。
避難時について、従来、避難の容易さは、避難対象地域の各所の、避難先となる避難施設等への距離や立地が大きく影響していたが、当該開示による漂着避難施設を線状に配置することにより、避難対象地域のどこからでも容易にアクセスできるものとなり、かつ、より安全な場所に段階的に安全度を高めながら避難することが可能な避難路ネットワークを形成することができるものとなる。
津波や洪水等水害の本水流による浸水時、これまで、逃げ遅れて本水流に呑まれると、特に津波の場合、水害遭難者はほとんど助かる見込みがないとされてきたが、流された水害遭難者が水中で当該開示による装置や施設に漂着すると、水面まで上昇することができ、そのまま避難し、または、救助を待つことができるようになる。
また、当該開示による装置や施設は、地域の広域な範囲での配置計画により、逃げ遅れて本水流に呑まれた水害遭難者を、一定距離以内で漂着させ救助または救命することが可能な、セーフティネットを形成することができる。
当該開示による漂着避難施設は、上部避難路をつたって移動することができ、漂着避難装置を成す部分は、基本的に全ての部分が水位に関わらず水上からも上部避難路からもアクセス可能な形状であるため、本水流が落ち着くと、容易にゴムボート等を進水したり着岸することができ、当該施設を線状かつネットワーク状に配置し構成することにより、水害遭難者の救助活動の拠点とすることができる。
これらにより、津波や洪水等水害の発生時の地域住民等の安全な避難を可能とし、水害遭難者の生存の可能性を大きく向上させることができる。
さらに、本開示による階段状の漂着避難装置等は、一般の建築施設やその部分などに適用することで、通常時の利用を兼用することが可能である。
津波や洪水等水害の本水流による浸水時、当該支持構造に支持される当該支持対象部分は、本水流の動圧による荷重を受け、自ら回転、倒伏、または、脱落して漂流することができるため、当該構造物は本水流の動圧や漂流物の衝突等による荷重を受け流すことができる。また、上記のように、人力による事前の作業により対応する場合に対し、危険や労力を省くことができ、急な浸水の場合でも当該構造物の破壊を防止することができる。
通常時は倒伏して地表仕上げ面内に格納されるため、格納された当該装置の上部空間を、有効に活用し、もしくは、別の用途と兼用することができ、都市や地域の視界や風景を遮らないものすることができる。さらに、道路や広場などの路面内や地表仕上げ面内に設置した場合、起立させると線状に長く連続する施設を構成することもできる。
尚、当該「発明を実施するための形態」記載の事項は、請求項記載の事項を限定するものではない。
以下、請求項記載の開示に関することや、本願による開示全体に関する共通事項等について説明する。
津波や洪水等の水害時における救助または救命の用に供する装置であって、前記装置は、津波や洪水等の水害により引き起こされることが予想される水流を透過させるも、本水流に呑まれた水害遭難者の身体は通過させない構造とし、
小構造体を繰り返し連続的に配置することにより構成する場合を含み、本水流の方向に、連続的または断続的に上がっていく形状を成し、かつ、前記装置は、
本水流に呑まれ、水中にて当該装置に漂着し、当該装置の上流側前面に衝突した前記水害遭難者の身体に、本水流の方向の逆となる方向より上向きとなる反力を作用させることにより、当該水害遭難者の身体の運動方向を、上方に変換させ、または、
当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、もしくは、本水流に呑まれて当該装置に漂着し、水中にて当該装置に接触している前記水害遭難者の身体に、本水流の動圧による荷重と、当該装置からの反力による、当該装置上方に向かう合力を作用させる構造とすることにより、
当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、もしくは、本水流に呑まれて当該装置に漂着し、本水流を受け続ける前記水害遭難者の身体を、当該装置の上流側前面に沿って当該装置上方に移動させ、水面に到達させて救助または救命する、漂着救助装置を成す装置。
前記請求項1は、記載の上流側前面が、本水流の方向に高くなる傾斜した面を成すことにより、前記水害遭難者の身体を、当該前面に沿って当該装置上方に移動させる、傾斜前面である装置。
前記請求項2は、記載の傾斜前面が、縦方向の格子状である装置。
前記請求項2は、記載の傾斜前面が、網状である装置。
前記請求項4は、記載の網状の部分のうち、40平方cm以上の網目の面積の割合が、当該網状の部分全体の面積に対し、3割未満となる装置。
前記請求項4は、記載の網状の部分のうち、40平方cm以上の網目には、当該網目の下側の辺となる部分に、当該網目を覆い塞ぐ大きさのカバーを取り付けた装置。
前記請求項2から6までのいずれかに記載の装置は、本水流による浸水時に変形して前記傾斜前面を成す構造とした装置であり、
その可動部が、通常時は、振動、前記漂着救助装置上の歩行、または、風圧力により、有害な変形をせず、本水流による浸水時には、当該可動部が、浮力、重力、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けて、変形することにより、本水流の上流側となる前面が前記傾斜前面を成す構造とした装置。
前記請求項2または7は、前記漂着救助装置が段状であり、各段の、段の先端部または全部が、本水流の方向に押し込まれることができる構造を採っており、かつ、
a)当該段の先端部と、当該段の先端部または全部の下面に面する範囲の、当該段の下段の上面の部分とを、一定のあそびを持たせた長さのコード、または、伸縮性を有するコードで接続し、これを段鼻に平行な方向に一定の間隔で連続的に配置することにより格子状部分を成し、通常時は、これを蹴込とし、本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けて、当該段の先端部または全部が押し込まれ、当該格子状部分が引き伸ばされることにより格子状の前記傾斜前面を形成させる構造、
b)当該段の先端部または全部の下面に面する範囲の、当該段の下段の上面の部分に、本水流の上流側となる前面が本水流の方向に高くなる勾配を持ち、本水流の方向に見た場合に櫛歯状に上部が開放された縦方向の格子状となる、傾斜面を成す格子状部分を有し、または、これに加え、
当該段の先端部または全部の下面に、本水流の上流側となる前面が櫛歯状に下部が開放された縦方向の格子状の面を成す格子状部分を有し、
通常時はこれら格子状部分は蹴込とされているが、本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けて、当該段の先端部または全部が押し込まれ、当該段の下段の上面の部分が有する格子状部分の本水流の上流側となる前面により、格子状の前記傾斜前面を形成させる構造、または、
c)当該段の先端部または全部の下面に面する範囲の、当該段の下段の上面の部分に、本水流の上流側となる前面が凸曲面である横桟を持つ格子状部材を設置し、通常時は、これは蹴込とされているが、本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けて、当該段の先端部または全部が押し込まれ、当該段の先端部と当該格子状部材の横桟の前面を結ぶ面により、格子状の前記傾斜前面を形成させる構造とした装置。
前記請求項1は、本水流の上流側となる前面に、水平面に投影した場合に軌道の方向が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダー、案内面やガイド、回転軸を含む、変形や移動の軌道を制限する機構によって支持された、可動のユニットを有し、本水流による浸水時に、当該可動のユニットの本水流の上流側となる先端部または前面が、前記水害遭難者の身体により本水流の方向に押し込まれると、前記軌道を制限する機構によって、当該先端部または前面が、上方に誘導されることにより、
本水流に呑まれ、水中にて当該装置に漂着し、当該先端部または前面に衝突した前記水害遭難者の身体に、本水流の方向の逆となる方向より上向きとなる反力を作用させ、当該水害遭難者の身体の運動方向を、上方に変換させ、または、
当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、もしくは、本水流に呑まれて当該装置に漂着し、水中にて当該先端部または前面に接触している前記水害遭難者の身体に、本水流の動圧による荷重と、当該先端部または前面からの反力による、当該装置上方に向かう合力を作用させ、
本水流を受け続ける当該水害遭難者の身体を、当該装置の上流側前面に沿って当該装置上方に移動させる構造とした装置。
前記請求項9は、記載の可動のユニットが、本水流と直交する水平方向に配された回転軸を持つ回転体であり、
当該可動のユニットは、通常時の状態において、
本水流の上流側となる前面の、本水流に対し最も上流側に位置する部分が、当該回転軸より上方に位置する形状を持ち、かつ、
当該最も上流側に位置する部分が下方に移動する方向に回転しない構造を持つことにより、
通常時に、当該可動のユニットの上面の、当該回転軸より本水流の上流側となる部分を歩行しても、当該可動のユニットは回転せず、
本水流による浸水時に、当該可動のユニットの、当該最も上流側に位置する部分が、前記水害遭難者の身体により本水流の方向に押し込まれると、当該最も上流側に位置する部分が、上方に誘導されることにより、
本水流に呑まれ、水中にて当該装置に漂着し、当該最も上流側に位置する部分に衝突した前記水害遭難者の身体に、本水流の方向の逆となる方向より上向きとなる反力を作用させ、当該水害遭難者の身体の運動方向を、上方に変換させ、または、
当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、もしくは、本水流に呑まれて当該装置に漂着し、水中にて当該最も上流側に位置する部分に接触している前記水害遭難者の身体に、本水流の動圧による荷重と、当該最も上流側に位置する部分からの反力による、当該装置上方に向かう合力を作用させ、
本水流を受け続ける当該水害遭難者の身体を、当該装置の上流側前面に沿って当該装置上方に移動させる構造とした装置。
前記請求項1から10までのいずれかに記載の装置は、人の身体の上方への移動を補助または促進する移動補助装置を、前記漂着救助装置に付置もしくは組み込み、または、成すことにより、人の身体を上方に移動させる構造を持つ装置。
前記請求項11は、記載の移動補助装置が、通常時は階段状の形状を維持しており、本水流により浸水すると、蹴込部分が、下段側の踏面部材と接続する部分を中心として本水流の下流側に回転して倒伏し、当該倒伏した蹴込部分と当該踏面部材とが連続する水平面を形成する装置。
前記請求項1から12までのいずれかに記載の装置は、転落防止装置を具有し、当該転落防止装置は、本水流による浸水時に、
前記水害遭難者の身体が前記漂着救助装置に沿って水中を上昇することを妨げず、当該漂着救助装置上かつ水面に位置する前記水害遭難者の身体が下方に移動することを防止し、水位低下後に当該水害遭難者の身体を水中または水面に転落させることなく大気中に待避させておくことができる構造を持つ装置。
前記請求項13は、記載の転落防止装置が、本水流による浸水時またはその後の水位低下時に、直接的または間接的に、浮力、重力、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けることにより、前記漂着救助装置から当該水害遭難者の身体の転落防止のための部分を、突出させ、もしくは、起立させ、または、当該部分の角度を当該水害遭難者の身体の転落を防止できる角度に調整する装置。
前記請求項13は、記載の転落防止装置が、本水流による浸水時またはその後の水位低下時に、直接的または間接的に、浮力、重力、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けることにより、前記漂着救助装置上面の部分を、落下させまたは下方に移動させ、当該部分が隣接する、当該漂着救助装置下部側の部分を、当該部分に対し、相対的に高くさせる構造とすることにより、前記転落防止装置とした装置。
前記請求項14は、記載の転落防止装置が、本水流と直交する水平方向に配された回転軸により支持され、その先端に、当該回転軸と平行な回転軸を介して、ねじりばねと回転止めで回転を制御された爪を具有し、当該爪は、
本水流による浸水時、当該ねじりばねにより前記漂着救助装置上流側前面より突出され、水中での前記水害遭難者の身体の当該前面に沿った上昇時には、当該水害遭難者の身体が接触し、当該上昇方向への荷重を作用されることにより、当該前面に押し込まれ、かつ、当該水害遭難者の身体の当該前面に沿った下方への移動時には、当該水害遭難者の身体が接触し、当該下方への移動方向に作用される荷重により当該爪に発生する回転モーメントを、当該爪が接続する回転軸と当該回転止めを介し、当該転落防止装置に伝達させることにより、当該転落防止装置を回転させて当該漂着救助装置から突出させる構造とした装置。
前記請求項1から16までの、いずれか一つまたは複数の請求項に記載の装置を、複数、鉛直方向に、水平面に投影したときに重なる部分を持つように配置した装置。
前記請求項1から17までのいずれかに記載の装置は、
防波堤、防潮堤、または、堤防の、上方、側方、または、上方及び側方を覆うと共に、当該装置上部に、避難スペースや避難通路となる、上部避難路を具有し、当該上部避難路の上面の高さを、当該防波堤、防潮堤、または、堤防を越流する本水流の予想水面より高い位置に設定した装置。
前記請求項1から18までのいずれかに記載の装置は、
建築物を囲む外周の、全部または部分に設置され、当該建築物の外壁面が地面と接する部分より上部にて、当該建築物と接続する構造とされた装置。
津波や洪水等の水害時に、当該水害により引き起こされることが予想される水流の動圧による荷重や漂流物の衝突により、構造物が破壊されることを防止するための、当該構造物における支持構造で、通常時は、支持対象部分の重量により、安定して当該支持対象部分を支持し、本水流による浸水時は、本水流の動圧による荷重を受けて、当該支持対象部分を、本水流の方向に回転、倒伏、または、脱落させることにより、当該構造物が破壊されることを防止する構造であり、
当該支持構造は、当該支持対象部分と、地盤、基礎構造または床面に設置されたベースとを、水平面に投影した場合に軌道部分が本水流の方向と平行となる向きに配され、本水流の方向に上がっていく傾斜を成す軌道部分を含む、スライダーやガイドと、当該スライダーやガイドに接続するピンとからなる、複数組の接続部分により接続されて成り、
各接続部分は、それぞれ、スライダーやガイドと、ピンのうち、一方はベース側に、他方は当該支持対象部分側に具有され、
当該支持対象部分は、当該接続部分の、スライダーやガイドに、それぞれ接続するピンを沿わせて相対的に移動させることにより、動作や姿勢を制御され、
当該支持構造は、少なくとも、当該支持対象部分の回転軸またはピンの軸線方向に重なり合わない2組の接続部分を含み、これら2組の接続部分のうち、いずれか一方となる第一の接続部分は、通常時に、ピンが本水流の方向に上がっていく傾斜を成す軌道部分の端部に位置し、当該端部は、当該軌道部分以外の方向に閉じていることにより当該端部に位置している当該ピンの相対的な移動を制限し、当該ピンと当該端部との間で、通常時の、当該支持対象部分の重量による鉛直荷重、並びに、一定の範囲の方向または当該重量に対し一定の割合以下となる大きさの、当該支持対象部分の重量により生じる転倒モーメントによる荷重並びに当該支持対象部分に作用する衝撃及び風圧による荷重を含む、その他の荷重を伝達し、他方となる第二の接続部分のスライダーやガイドによる軌道の、通常時にピンが位置する部分が、通常時に第一の接続部分のスライダーやガイドの前記端部に位置するピンの芯を中心とした円弧を成さないことにより、通常時に当該支持対象部分を安定して支持し、
本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重を受けて、当該支持対象部分が上昇しながら本水流の方向に移動することにより、全ての接続部分のピンは、それぞれが接続するスライダーやガイドの、本水流の方向に上がっていく傾斜を成す軌道部分を相対的に通過し、このとき、当該支持構造を構成する接続部分のうち、
a)少なくとも1組の接続部分は、スライダーやガイドの、接続するピンが相対的に接近する側の端部を、閉じた形状とすることにより、当該ピンを相対的に当該端部に到達させ、本水流の動圧による荷重を受け続ける当該支持対象部分を、当該端部に相対的に到達した当該ピンを回転軸として、計画した角度まで回転または倒伏させる構造で、かつ、当該接続部分に対し当該支持対象部分の回転軸またはピンの軸線方向に重なり合わない全ての接続部分のスライダーやガイドは、前記により当該支持対象部分が計画した角度まで、または、倒伏するまで回転する間、それぞれ接続するピンの軸部外周が相対的に描く軌跡を、全て包含する、または、当該軌跡のいずれの部分も遮断せず、外部に開放する部分を持つ形状である構造、または、
b)全ての接続部分のスライダーやガイドが、それぞれ接続するピンが相対的に接近する側が、閉じておらず、外部に開放された形状であることにより、当該支持対象部分を脱落させる構造。
前記請求項20は、記載の支持対象部分に浮体部分を具有させ、または記載の支持対象部分を浮体とした構造。
前記請求項20または21は、浸水時以外に、または、地震時に、記載の支持対象部分を、回転、倒伏、または、脱落させない、ロック機構を持つ構造。
前記請求項20から22までのいずれかに記載の構造は、手摺やフェンスの支持構造。
前記請求項20から23までのいずれかに記載の構造は、本水流による浸水時に、本水流の動圧による荷重を受けて、前記支持対象部分を本水流の方向に回転させる構造で、かつ、当該支持対象部分を回転させた際に当該支持対象部分を支持する構造の一部を成す控えを具有し、当該控えは、
当該支持対象部分に、本水流と直交する水平方向に配された回転軸、または、当該回転軸に加えて軌道が鉛直方向成分を含むスライダーを介して接続され、
本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重を受け、開き止めにより回転の角度が制限されるまで、当該回転軸を中心として、本水流の方向に回転して展開し、
当該支持対象部分が、本水流の動圧による荷重を受けて、本水流の方向に回転した際に、当該控えの下端を、地面、基礎構造上面、または、床面に到達させることにより、当該支持対象部分を支持する構造の一部を成す構造。
前記請求項1から3まで、7、9、10、11、または、13から19までのいずれかに記載の装置は、本水流の方向に上がっていく傾斜を成して設置されることにより、または、前記請求項20から24までのいずれかに記載の構造で支持し、本水流による浸水時に、本水流の動圧による荷重を受けて、本水流の方向に一定の角度まで回転させることにより、前記漂着救助装置を成す、ルーバー、手摺やフェンス、または、これらを組み合わせた装置。
津波や洪水等の水害時における、防災、避難や救助のための装置の架構であって、通常時は倒伏した状態であり、動力により、または、津波や洪水等の水害により引き起こされることが予想される水流による浸水時の浮力もしくは本水流の動圧による荷重を受けることにより、起立する架構で、
当該架構は、当該架構の起立中は本水流の方向に上がっていく傾斜を成しながら起立する、第一の部材を有し、
第一の部材は、第一の部材の起立時に下端となる部分が、本水流と直交する水平方向に配された回転軸を介し、地盤もしくは基礎構造に設置された、水平面に投影した場合に軌道部分が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダーやガイドに接続され、
第一の部材は、第一の部材の起立時に上部または中間となる部分に、本水流と直交する水平方向に配された回転軸または方向を問わず回転自在な接続部を介し、第二の部材に接続され、
第二の部材は、第二の部材の起立時に下端となる部分が、本水流と直交する水平方向に配された回転軸または方向を問わず回転自在な接続部を介し、地盤もしくは基礎構造に、または、地盤もしくは基礎構造に設置された、水平面に投影した場合に軌道部分が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダーやガイドに接続され、
当該架構の起立時には、第一の部材と第二の部材が異なる勾配の傾斜を成す構造とすることにより、及び、
第一の部材は、第一の部材の起立時に第二の部材が接続する部分より下部となる部分において、浸水時に本水流を受けるパラシュート状の装置、通常時は倒伏した状態で浸水時は起立し本水流を受ける板状の装置、ウィンチ、または、アクチュエータに接続され、
第一の部材が、接続するウィンチもしくはアクチュエータによる荷重を受け、または、本水流により浸水し、接続する浸水時に本水流を受けるパラシュート状の装置もしくは通常時は倒伏した状態で浸水時は起立し本水流を受ける板状の装置による荷重を受けることにより、起立する架構。
前記請求項26は、記載の第一の部材が、接続する、浸水時に本水流を受けるパラシュート状の装置、通常時は倒伏した状態で浸水時は起立し本水流を受ける板状の装置、ウィンチ、または、アクチュエータによる荷重を受け、即座に起立を開始できるようにする、起立補助機構を持つ架構。
前記請求項27は、記載の起立補助機構が、
第一の部材及びこれに接続された構造部材のうちの、全部または一部となる構造部分が、前記架構の倒伏時に、水平面に投影した場合に軌道の方向が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダーやガイドを含む、変形や移動の軌道を制限する機構のみにより拘束または支持されることにより、当該構造部分が、接続する、ウィンチもしくはアクチュエータにより作用される荷重、または、本水流により浸水し、浸水時に本水流を受けるパラシュート状の装置もしくは通常時は倒伏した状態で浸水時に起立し本水流を受ける板状の装置により作用される荷重を受け、倒伏した状態のまま、本水流の方向に移動できる構造を採り、かつ、当該構造部分と、地盤または基礎構造との間に、
a)当該構造部分の一部を押し上げる摺動部を有し、
当該摺動部は、当該構造部分と、地盤または基礎構造の、双方に対偶を具有させて、当該対偶が互いに摺動し合う機構とすることにより成り、
当該対偶のうち少なくともいずれか一方は本水流の方向に上がっていく傾斜を持つ案内面を含み、倒伏した状態の当該構造部分が本水流の方向に移動すると、当該対偶が互いに摺動し合い、当該構造部分が具有する対偶が上方に誘導されることにより、
b)もしくは、当該構造部分の一部を押し上げる可動体を有し、
当該可動体は、水平面に投影した場合に軌道の方向が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダー、案内面やガイド、回転軸を含む、変形や移動の軌道を制限する機構によって姿勢を制御され、
当該可動体は、倒伏した状態のまま本水流の方向に移動した当該構造部分により接触され、本水流の方向に押し込まれ、
または、ウィンチもしくはアクチュエータに接続され、これらにより作用される荷重、もしくは、前記パラシュート状の装置もしくは前記板状の装置に接続され、本水流により浸水し、これらの装置により作用される荷重を受け、本水流の方向に押し込まれ、
当該可動体の少なくとも一部が上方に誘導されることにより、
c)または、当該摺動部と当該可動体とを併せて有し、
倒伏した状態の当該構造部分が本水流の方向に移動した範囲により、当該構造部分が具有する対偶が上方に誘導され、または、当該可動体の少なくとも一部が上方に誘導されることにより、
倒伏した状態の当該構造部分が本水流の方向に移動した際に、当該構造部分の一部を上方に押し上げ、当該架構の起立を補助する、前記起立補助機構を構成する架構。
前記請求項1から16のいずれかに記載の装置は、前記請求項26から28までのいずれかに記載の架構を持つ装置。
津波や洪水等の水害時の本水流を抑制する装置や防潮堤を成す装置で、前記請求項26から28までのいずれかに記載の架構を持つ装置。
漂流物ガードを成す装置で、前記請求項26から28までのいずれかに記載の架構を持つ装置。
避難施設を成す装置で、前記請求項26から28までのいずれかに記載の架構を持つ装置。
小構造を繰り返すことにより形成する段状や傾斜面とする場合を含み、津波や洪水等の水害により引き起こされることが予想される水流(以下、「本水流」という。また、本水流の来襲側を「上流側」、本水流の抜ける側を「下流側」という)の方向に上がっていく形状を成す装置で、格子(一方向のみの桟による連子等を含む。以下、「格子」という)状としたり、当該装置を貫通する多数の小さな開口や間隙を持たせる等により、本水流は透過させるが、本水流に呑まれて水中または水面を漂流する者(水害発生時において当該傾斜面上にいた者も含む。以下、「水害遭難者」という)の身体は通過させない構造とし、かつ、本水流に呑まれ、水中にて当該装置に漂着し、当該装置の上流側前面に衝突した水害遭難者の身体に、本水流の方向の逆となる方向より上向きとなる反力を作用させることにより、当該水害遭難者の身体の運動方向を、上方に変換させ(当該水害遭難者の身体が当該装置の上流側前面により反発する場合も、本水流の方向の逆となる方向より上向きに反発させることで、本水流を受け続ける当該水害遭難者の身体は、当該装置の上流側前面の、より上方に再度漂着することを繰り返しながら上方に移動することができるようになる)、または、当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、もしくは、本水流に呑まれて当該装置に漂着し、水中にて当該装置に接触している水害遭難者の身体に、本水流の動圧による荷重と、当該装置からの反力による、当該装置上方に向かう合力を作用させる構造とすることにより、または、変形してそのようになる構造とすることにより、本水流による浸水時に、当該装置上に位置していて本水流に呑まれた水害遭難者や、水中で当該装置に漂着し、本水流を受け続ける水害遭難者を、当該装置の上流側前面に沿って上方に押し上げて、水面付近に到達させ、または、その状態を維持することにより、当該水害遭難者を救助または救命することができる装置(以下、「漂着救助装置」という)を提供する。請求項1は、実施例1、5、9、27他にて例示される。
尚、水害遭難者を漂着救助装置の上流側前面に沿って上方に押し上げる構造として、漂着救助装置の上流側前面を、本水流の方向に高くなる傾斜面(以下、「傾斜前面」という)とする方法(請求項2に関連)や、漂着救助装置の上流側前面に、押し込まれると、その前面が上方に誘導される機構を有する可動のユニットを設置する方法(請求項9や10に関連)を後述する。
当該装置の上流側前面を、なめらかな傾斜前面とすると、本水流による浸水時に、水中にて当該傾斜前面に接触している水害遭難者の身体には、本水流の動圧による荷重と、当該傾斜前面からの、法線方向の反力が作用している。これらの合力は、当該傾斜前面に平行な上向きとなり、当該水害遭難者の身体は、当該傾斜前面に沿って上昇することができる。
尚、当該水害遭難者の身体が、当該傾斜前面や漂着救助装置の上流側前面に衝突した際に反発する場合は、当該反力が大きくなるため、当該合力は当該傾斜前面や漂着救助装置の上流側前面から離れた角度となるが、上記のように、当該水害遭難者は本水流を受けて再び当該装置に漂着することを繰り返すため、当該装置上方に誘導される。これは、漂着救助装置の上流側前面に可動のユニットを設置する方法とした場合も同様である。
請求項2は、実施例1、7、11他にて例示される。
傾斜前面は、縦方向の格子状の表面とすることにより、漂着した水害遭難者を滑らかに上方に誘導でき、板状、短冊状、線状等の部材で構成できるため、簡易で合理的な構造とできる。
請求項3は、実施例1、4、26、他にて例示される。
傾斜前面は、一定の条件を満たすことにより、網状の構造とすることができる。
請求項4は、実施例46にて例示される。
傾斜前面を網状とする場合は、水中にて漂着した水害遭難者の頭部や手足が網目に入り込み引掛らないようにするためには、網目を小さくすることが有効であるが、同時に、網状の装置を上って避難できるようにするためには、一定の大きさの足掛りの穴がある程度必要となる。
請求項5は、実施例46にて例示される。
足掛りの穴は、浸水時にめくれあがり、塞ぐことができるカバーを設置することで、大気中では足掛りとしての機能を果たしながら、水中では漂着した水害遭難者の頭部や手足の引掛りを防止することができ、安全性を向上させることができる。
請求項6は、実施例46にて例示される。
漂着救助装置は、浸水時に変形することにより、漂着救助装置として機能する構造とすることができる。この場合、当該装置は、通常時に、当該装置上の歩行や振動、風圧力等により、部材同士が衝突し騒音を発生させる、使用上の支障をきたす、事故を引き起こす、等の問題の原因となる、有害な変形をしない構造とすることが重要となるが、可動部分の形状や支持方法により、または、ロック機構により、通常時に変形せず、安定して形状を保つ構造とすることができる。このうち、傾斜前面を形成する装置は、本水流による浸水時、ロック機構を持つ場合はロックが解除され、浮力、重力、本水流の動圧による荷重、または、漂着した水害遭難者の接触や衝突による荷重を受けて変形し、本水流の上流側となる前面が、傾斜前面を形成する、または、傾斜前面を当該水害遭難者が上昇するのにより適切な勾配となるよう調整する構造とすることができる。
形状や支持方法により通常時に安定する例として、実施例10、12、28、38他がある。実施例28は、可動部分が、通常時は重心と支点の位置関係などにより安定しているが、浸水すると、浮力や本水流の動圧による荷重を受けて変形し、重力を加えたバランスにより、傾斜前面を形成する。水害遭難者が漂着すると、接触や衝突による荷重を受けて、当該傾斜前面が、当該水害遭難者を上方に誘導するのにより適切な角度に変形する。
ロック機構を持つ例として、実施例7や8があるが、後述する転落防止装置等も含めて本水流による浸水時に変形させる可動部については、別途、可動部に、実施例40、41、42に示すようなロック機構を適用することにより、通常時のさらなる安定や安全を図ったり、当該可動部の浸水に先駆けてロック解除できるものとして漂着した水害遭難者に対する安全性を向上することもできる。
漂着救助装置が段状であり、各段の、段の先端部を含む部分または全部が水平方向に押し込まれることができる構造としたもので、本水流による浸水時に、当該段の先端部が、本水流の動圧による荷重や、水中にて漂着した水害遭難者の接触や衝突による荷重を受けて押し込まれることで、当該段の先端部と、その下部に設置した蹴込となる部分により、傾斜前面を形成する装置を提供する。蹴込となる部分は、以下のa〜cの3通りの構造を示している。尚、蹴込となる部分は、通常時は段の先端より飛び出して昇降や歩行の邪魔にならない位置に設置する。
a)段の先端部と、その下部となる下段の上面を、一定のあそびを持たせた長さとした、または伸縮性を有する、ワイヤー、ケーブルやコード等(以下、これらを総称して「コード」という)で接続し、当該コードを段鼻に平行な方向に一定の間隔で連続的に配置することによって、格子状部分を形成させ、本水流による浸水時に段の先端部が押し込まれると、当該格子状部分が引き伸ばされ、格子状の傾斜前面を形成させる構造。
b)段の先端部の下部となる、下段の上面の部分に、本水流の上流側となる前面が本水流の方向に高くなり、本水流の方向に見た場合に櫛歯状に上部が開放された縦方向の格子状の傾斜面を形成する格子状部材を設置し、または、これに加え、この上部となる当該段の先端部の下面に、本水流の上流側となる前面が櫛歯状に下部が開放された縦方向の格子状の面(鉛直面またはこれに近い傾斜面とすることが望ましい)を形成する格子状部材を設置し、本水流による浸水時に段の先端部が押し込まれると、下段の上面の部分に設置した当該格子状部材の本水流の上流側となる前面により、格子状の傾斜前面を形成させる構造。
c)段の先端部の下部となる、下段の上面の部分に、本水流の上流側となる前面が凸曲面である横桟を持つ格子状部材を設置し、本水流による浸水時に段の先端部が押し込まれると、当該段の先端部と、下段の上面の部分に設置した当該格子状部材の横桟の前面を結ぶ面により、格子状の傾斜前面を形成させる構造。
請求項8は、実施例11で例示される。
本水流の上流側となる前面に可動のユニットを持たせて水害遭難者を漂着救助装置に沿って上方に押し上げる構造について説明する。
当該可動のユニットの本水流の上流側となる先端部または前面が、本水流による浸水時に、水中にて当該装置に漂着し接触した水害遭難者の身体により押し込まれると、スライダーやガイド、回転軸等、当該可動のユニットの軌道を制限する機構により当該可動のユニットの本水流の上流側となる先端部または前面が上方に誘導される構造とすることにより、当該部分に対し、本水流の方向に接触または衝突した当該水害遭難者の身体に、上方への反力を作用させることができ、衝突した当該水害遭難者の身体の運動方向を上方に変換させ、または、接触している当該水害遭難者の身体に当該装置上部へ向かう方向への合力を与え当該方向に運動させることができる。
請求項9は、実施例9、10、14にて例示される。
上述の可動のユニットを、水流の方向と直交する水平方向の回転軸を持つ回転体とした場合、水中にて当該装置に漂着した水害遭難者の身体が接触または衝突する、当該可動のユニットの本水流の上流側となる前面の先端となる部分が、当該回転軸より上部に位置する形状とすることにより、当該先端となる部分は、当該水害遭難者の身体により本水流の方向に押し込まれると、当該可動のユニットが回転し、当該先端となる部分が上方に誘導され、接触している当該水害遭難者の身体に、上方への反力を作用させることができ、衝突した当該水害遭難者の身体の運動方向を上方に変換させ、または、接触している当該水害遭難者の身体に当該装置上部へ向かう方向への合力を与え当該方向に運動させることができる。
尚、当該可動のユニットは、回転中全ての時点において、最も先端となる部分が当該回転軸より上方となるようにする必要はなく、当該水害遭難者の身体が上方への運動を開始し、一定量回転した時点で、当該可動のユニットの下部を突出させて傾斜前面を形成させる構造などとすることもできる。このため、少なくとも通常時の状態においては、当該可動のユニットの、最も先端となる部分が、当該回転軸より上方に位置するものとし、当該水害遭難者の身体の接触開始後、一定の回転範囲においては、最も先端となる部分が当該回転軸より上方となるようにするとよい。
また、通常時、当該可動のユニットは、当該先端となる部分が下方に移動する方向に回転しない構造とすることで、その上面を安全に歩行することができ、本水流による浸水時は、当該装置に漂着した水害遭難者の身体が、当該可動のユニットの先端となる部分に、一時的に下方への荷重を作用させても、当該可動のユニットは逆回転せず、当該水害遭難者の身体に対し、確実に上方への反力を作用させることできる。
請求項10は、実施例9、14にて例示される。
漂着救助装置に、スロープ状、階段状、梯子状等の形状を成すことなどにより人の身体の上方への移動を補助もしくは促進する装置(以下、「移動補助装置」という)を付置し、もしくは、組み込み、または、漂着救助装置が移動補助装置を形成することにより、水面に到達した水害遭難者が上方に避難することを可能にする装置(以下、「漂着避難装置」という)を構成することができる。
請求項11は、実施例1、3、5、7、26、他にて例示される。
漂着避難装置は、上部に避難スペースや避難通路(両者を総称して「上部避難路」という)を設けることにより、または、上部を別の避難施設等に接続させることにより、水中を漂流する水害遭難者が漂着して避難できる施設(以下、「漂着避難施設」という)を形成することができる。
漂着避難施設は、地面からアクセス可能なものとすることで、近隣からの避難(以下、「初期避難」という)先となる避難施設として機能できる。また、漂着避難施設は、水平方向に線状に連続させることにより、より広範な地域住民が避難先として利用できる。
さらに、この線状の漂着避難施設をネットワーク状に構成することで、対象地域の各所からの一定範囲内の距離での避難を可能にすると同時に、上部避難路のネットワークにより、段階的に、より安全な避難施設や避難路に避難できる、避難路のネットワーク(以下、「避難路ネットワーク」という)を構成することができる(以下、段階的な避難について、初期避難した漂着避難施設の上部避難路が接続する、より安全な上位の避難施設や避難路への避難を「二次避難」、さらに安全な上位の避難施設等への避難を「三次避難」という)。
また、漂着避難施設をネットワーク状または予想される本水流と直交する方向に連続した(または断続して平行に配置し、互いをオーバーオーバーラップさせた)線状に展開することにより、逃げ遅れて本水流に呑まれた水害遭難者を、一定距離以内で漂着させ救助することが可能な、人命の物理的なセーフティネット(以下、「セーフティネット」という)を形成することができる。
避難路ネットワークやセーフティネットの形成に関しては、実施例2にて詳細を説明する。
階段状の漂着避難装置で、浸水後、漂着して水面に到達した水害遭難者が待避できるスペースを、通常時の踏面寸法以上に拡張できる構造について説明する。
通常時は階段状の形状を維持しており、浸水後、本水流の動圧や漂着した水害遭難者の身体により段鼻部分や蹴込部分が押し込まれると、当該蹴込部分が下段側の踏面部材と接続する部分を中心に回転し当該蹴込部分が傾斜前面を形成し、さらに押し込まれると、当該蹴込部分が倒伏し、当該踏面部材と連続する水平面を形成することができる。
請求項12は、実施例13にて例示される。
漂着救助装置には、水害による水位が最高に達した高度において、水面付近に到達した水害遭難者が重力により下方向に移動することを防止し、水位低下後に当該水害遭難者が水中または水面に転落することなく、大気中に待避しておくことができる装置(以下、「転落防止装置」という)を付加することにより、当該水害遭難者に意識が無い場合や体力が無く自力で避難ができない場合であっても、水面または大気中に留まり救助を待つことが可能となる。
津波等による本水流は乱流となり、局所的な渦の発生などにより水面の高さは細かく変動するものと考えられるが、これにより、既に水面に到達していた水害遭難者は、一時的に上昇した水面に押し上げられ、漂着救助装置に沿って、より高い位置に到達し、転落防止装置に捕捉されるため、平均的な水位が長時間低下しない状況であっても、およそ大気中で待避しておくことができるものとなる。
転落防止装置は、漂着救助装置上に、一定間隔おきに連続的に配置することにより、漂着救助装置全体にわたって当該水害遭難者が安全に待避できる機能を提供することができる。
尚、転落防止装置は、水害遭難者が漂着救助装置に沿って水中を上昇することを妨げない構造とする。
請求項13は、実施例3、10、27他にて例示される。
転落防止装置は、本水流による浸水時やその後の水位低下時に、直接的または間接的に、浮力、重力、本水流の動圧による荷重、または、漂着した水害遭難者の接触や衝突による荷重を受けて、漂着救助装置から水害遭難者の転落防止のためのアーム状などの部分を突出させ、起立させ、または、水害遭難者の身体の転落を防止するために最適な角度に調整される構造とすることができる。
請求項14は、実施例7、10、27、48他にて例示される。
漂着救助装置上面について、本水流による浸水時やその後の水位低下時に、水害遭難者の身体が収まる大きさの部分を一定量落下または下方に移動させる構造とすることにより、当該部分とその周囲を合わせて転落防止装置として機能させることができる。
これは、当該部分を落下または下方に移動させることにより、当該部分の周囲を相対的に高くすることができ、このうち漂着救助装置下部側(上流側)の部分により、当該水害遭難者の転落を防止できるためである。
請求項15は、実施例9にて例示される。
漂着救助装置上に、回転軸で支持され、ねじりばねや同様の機能を持つ機構(以下、「ねじりばね」という)や、浮力や水流の動圧による荷重を受けるなどして回転にモーメントを与える機構と、回転可能な範囲を制限する機構(以下、「回転止め」という)により回転を制御された、アーム状などの部材を設置することにより、回転式の転落防止装置を構成できる。
例えば、アーム状の転落防止部材を、その下部にて回転軸により支持し、これを傾斜前面上に等間隔に配置する。通常時、当該転落防止部材は、当該傾斜前面に対し、限定された角度で開いているものとすることにより、本水流による浸水時に漂着した水害遭難者に対し、当該転落防止部材を軸方向に突きつけて負傷させることを避けつつ(水平に近い角度で開いていると危険となる)、当該水害遭難者の身体が当該転落防止部材の前面を押し込みやすいものとすることができる。当該転落防止部材が押し込まれることで、当該傾斜前面が漂着救助装置の上流側前面に現れ、または、当該転落防止部材の前面が新たな傾斜前面を成し、当該水害遭難者は、この傾斜前面に沿って上方に誘導される。当該水害遭難者が当該部分を通過した後、当該転落防止部材はねじりばね等により一定角度まで開こうとするため、当該水害遭難者が最高位となる水面に到達後、水流の水位が低下したすると、当該水害遭難者は当該転落防止部材に捕捉されるが、当該転落防止部材が開き止めにより回転を制限されるまで大きく開くことができるものとすることにより、当該転落防止部材による、より広い待避のためのスペースを創出することができる。
また、転落防止装置を、上記のような回転式の構造とした場合、その先端に、回転軸を介して、ねじりばねと、回転止めにより、回転を制御された爪を具有させることによって、当該水害遭難者の身体が漂着救助装置前面に沿って下降しようとする際、当該爪に接触させ、当該転落防止装置を引き起こして当該水害遭難者の身体を捕捉させる機構を構成できる。当該爪は、回転して本水流の方向に押し込むことができるため、水中にて漂着救助装置に漂着した水害遭難者の漂着救助装置上方への移動を阻害せず、また、傾斜前面の一部となることもできる。当該水害遭難者が水面付近に到達後、水位の低下により下方に転落しようとすると、当該爪が当該水害遭難者の身体を捕捉して接続する当該転落防止装置を回転し展開させるため、より確実に当該水害遭難者を捉え、待避させることが可能となる。
請求項16は、実施例7にて例示される。
漂着救助装置は、単層による構成が望ましいが、上下に重ねて配置することにより、省スペース化や省コスト化することが可能となる。
階段状の漂着避難装置とする場合であれば、当該階段状の漂着避難装置を上り、連絡通路などにより本水流の前面側に移動する、ということを繰り返し上方に避難できる構成とすると合理的だが、一般の折り返し階段のように、上る方向が交互に逆転する構成とする場合、本水流の方向に対し、当該漂着避難装置が下りとなる側の揚裏に水害遭難者が漂着すると危険となるため、このようにならないよう、水害遭難者を当該漂着避難装置が上りとなる側に誘導するなどの配慮が肝要となる。
また、水害遭難者が、漂着した漂着避難装置上で水面に到達しない場合を想定し、その下流側に別途漂着避難装置を設けたり、なおも水面に到達しない場合を想定し、その上部を開放し、水害遭難者を引き続き漂流させて救助または救命の可能性を残す、といった配慮も肝要である。
請求項17は、実施例21、23、24他にて例示される。
防波堤、防潮堤、もしくは堤防の上方や側方を、当該防潮堤上部の予想越流高さを超える高さまで立ち上げた漂着避難装置と上部避難路で覆うことにより、安全な漂着避難施設とでき、水害遭難者を救助または救命するセーフティーネットとしての機能を発揮できる。また、ゴムボート等の接岸や進水が可能であり、避難路ネットワークの動線としての利用、漂着避難装置や上部避難路の作業スペースとしての利用などにより、浸水後の救助活動を容易にできる。
さらに、当該漂着避難施設上部に避難や救助活動等に利用可能な建築物を設置することにより、水害襲来後の、より強力な救助拠点として機能することができる。
請求項18は、実施例18、19にて例示される。
漂着避難装置を建築物の、本水流の下流側に設置することにより、避難が遅れるなどして当該建築物内で本水流に呑まれ、建築物から、本水流の下流側に流出した水害遭難者を、即座に救助または救命することができる。
また、漂着避難装置を建築物の、本水流の上流側に設置することにより、上流側地域からの水害遭難者を救助または救命することができ、計画によっては、近隣住民等の初期避難先とすることができる。
これらを当該建築物に接続することにより、当該漂着避難装置に漂着した水害遭難者が、当該建築物に避難することができる。
その他、側面の屋外階段に漂着避難装置を適用することもできる。
建築物に漂着避難装置を設置し、または、接続する場合、特に、建築物そのものを漂着避難施設とする場合、敷地や構造等を兼用できるなど利点が多く、合理的である。
請求項19は、実施例34、38、46他にて例示される。
津波や洪水等の水害時、本水流の動圧による荷重や、漂流物の衝突により、様々な構造物が破壊される。これを防止するには、当該構造物に、本水流に対し十分な強度を持たせることの他、当該構造物が設置場所に固定されていない場合や固定を外すことができる場合、水害の発生前に、当該構造物を影響を受けない場所に移動させておく、当該構造物が板状などの場合は倒伏させておく、本水流の動圧により大きな荷重を受ける部分を撤去しておく、といった対応方法が考えられるが、水害の発生が予測されてから対応を完了するのに時間が十分あるとは限らず、また、対応作業に危険を伴う可能性がある。
このため、板状等の構造物に適用可能で、通常時には安定して支持対象部分を支持でき、浸水時には本水流の動圧による荷重を利用して当該支持対象部分を回転もしくは倒伏させ、または、脱落して漂流させることができる支持構造を示す。
当該支持構造は、当該支持対象部分と、これを支持するベースとを、スライダーやガイドと、ピンによる、接続部分により接続することにより構成され、当該支持対象部分が、通常時は、自重により安定して支持され、本水流による浸水時は、本水流の動圧による荷重を受けて、回転、倒伏、または、脱落する構造としたものである。
スライダーやガイドは、支持対象部分、ベースのどちらの側に設置してもよく、もう一方の側にピンを設置し、一組の接続部分を構成する。各スライダーやガイドは本水流の方向に上がっていく傾斜部分を持つ。
支持対象部分が小さい場合は、一箇所のベースにより支持することもできるが、支持対象が水平方向に長い場合などは、複数のベースにより支持するとよりよい。この場合、全てのスライダーやガイドの軌道部分が存する平面は、互いに平行になるよう配置する。尚、ピンの軸線の向きは、これらの平面の法線となる。当該支持対象部分を回転または倒伏させる場合、同一軸線上に配置されたピンが当該支持対象部分の回転軸となり、当該ピンを有する接続部分のスライダーやガイドの軌道部分は、当該回転軸方向またはピンの軸線方向に重なり合う形状とする。
当該支持構造は、少なくとも、当該支持対象部分の回転軸またはピンの軸線の方向に重なり合わない2組の接続部分を持つことにより、当該支持構造は当該支持対象部分を支持し、また、姿勢を制御することが可能となる。通常時には、当該支持対象部分は自重により下方に移動しようとするが、このとき、これら2組の接続部分のうちのいずれか一方となる第一の接続部分について、スライダーやガイドの前記傾斜部分の、ピンが接近しようとする側の端部を閉じたものとすることにより、当該端部で、当該端部に位置するピンを介し、当該支持対象部分の重量による鉛直荷重、並びに、一定の範囲の方向または当該重量に対し一定の割合以下となる大きさの、当該支持対象部分の重量により生じる転倒モーメントによる荷重並びに当該支持対象部分に作用する衝撃及び風圧による荷重を含む、その他の荷重を受けることができる。さらに、このとき、前記の2組の接続部分のうちの他方となる、第二の接続部分の、スライダーやガイドによる軌道の、ピンが位置する部分が、第一の接続部分のピンの芯を中心とした円弧を形成していないことにより、第二の接続部分のピンは第一の接続部分のピンの芯を中心として回転することができないため、当該支持対象部分は、安定して支持された状態を維持できる。
本水流による浸水時には、当該支持対象部分は、当該支持対象部分に作用する本水流の動圧による荷重を受け、各接続部分の、スライダーやガイドの、本水流の方向に上がっていく傾斜部分に、各々接続するピンを沿わせながら上昇する。
尚、これら本水流の方向に上がっていく傾斜部分は、互いに、平行としたり、同一の形状かつ同一の向きや角度とすることにより、ピンが当該傾斜部分に位置する間は、当該支持対象部分を回転させずに支持しておくことができるため、当該支持対象部分に作用する荷重により発生するモーメントの影響を受けて当該支持対象部分を移動させることがなく、通常時、当該支持対象部分を、より安定させることができ、当該構造物のより安全な利用が可能となる。
本水流による浸水時に当該支持対象部分を回転または倒伏させるものとする場合、少なくとも1つの接続部分のスライダーやガイドの、本水流による浸水時にピンが接近する側の端部を閉じた形状とすることにより、当該端部に到達した当該ピンの芯を中心として当該支持対象部分を回転または倒伏させることができる。
当該支持対象部分の回転軸とならない接続部分のスライダーやガイドは、接続する各々のピンの軸部外周が、当該支持対象部分が回転を開始する時の位置から、当該回転軸に対し、計画された角度を回転させた軌跡を含む形状とする。ここで、これらのスライダーやガイドを閉じた形状とせず、当該軌跡やその延長部分が通過する部分にて外部に開放してもよい。この場合、当該支持対象部分を一定の角度まで回転させるものとする場合は、別途、回転する角度を制限する回転止めを設ける。
さらに、すべてのスライダーやガイドの、浸水時にピンが接近する側の端部を外部に開放した形状とすることにより、浸水により、支持対象部分を脱落させ漂流させることができるものとなる。
尚、上記説明でのピンの位置や移動についての既述は、接続するスライダーやガイドに対する相対的な関係を含む。
請求項20は、実施例35他にて例示される。
支持対象部分は、浮体を具備させる、または、浮体とすることにより、浸水時に当該支持対象部分に浮力を作用させ、当該支持対象部分が、当該支持構造の各接続部分のピンをスライダーやガイドに沿わせながら、上昇しやすいものとすることができる。
請求項21は、実施例35他にて例示される。
支持対象部分の通常時の倒伏や回転防止として、当該支持対象部分に一定の重量を持たせることにより、いたずらや衝突等、または、風圧力に対し移動や変形をさせないものとすることができ、地震力に対しては、予想される加速度や振幅に対し、スライダーやガイドの、本水流の方向に上がっていく傾斜部分に、適切な勾配や長さを持たせることにより対策することができるが、実施の際の条件によっては、ロック機構を併用すると、よりよい。
一般的に提案されているような構造を持つ耐震ロック機構を設置した場合、地震時に一定の揺れが発生した時にロックさせることができるが、これに対し、次の実施例のように、通常時はロックしておき、浸水時のみロックが解除されるロック機構を設置することもできる。
実施例36、37は、通常時は支持対象部分を上昇させないようロックしておき、浸水時は浮体を用いたロック機構によりロックを解除し、支持対象部分が上昇し、回転や倒伏が可能となる機構を示している。
実施例40は、簡単に設置できるユニット式のロック機構を、実施例41、42は、支持構造付近の浸水に先行してロックを解除させ、より確実に支持対象部分の移動や変形を可能とするロック機構を示している。
請求項22は、実施例36、37、40、41、42にて例示される。
手摺やフェンスは、本水流による浸水時、回転や倒伏ができるものとすることにより、本水流の動圧による荷重や、漂流物の衝突による破壊を防止でき、漂着避難装置付近に設置されたものである場合、水害遭難者が当該漂着避難装置に漂着することを妨げないものとすることができる。
請求項23は、実施例35、36他にて例示される。
本水流による浸水時に支持対象部分を回転させるものとする場合、支持構造に、通常時は直立し他の部材より大きく突出しないよう格納され、本水流により浸水し当該支持対象部分が回転した際には当該支持対象部分に本水流の動圧や漂流物の衝突等による大きな荷重が加わっても、当該支持構造を一定以上回転させず、または破壊させないための、本水流による浸水時に本水流の下流側に展開して圧縮材として当該支持構造の一部となり当該支持対象部分を補助的に支持する部材(後述する、通常時は倒伏して格納され、本水流による浸水時には起立する架構に適用する場合を含め、起立したまたは起立させる構造体の上部または中間部と地盤や基礎構造とを接続することにより、起立した状態の当該構造体の回転や当該構造体及び当該構造体の支持構造の破壊を防止する部材で、本水流の上流側に配置され引張材とするものや、頬杖、バットレス等を含み、以下、これらを総称して「控え」という)を具有させると、当該支持対象部分の回転時、当該支持構造は、より大きな強度を発揮できるものとなる。
当該控えは、当該支持対象部分に回転軸または回転軸とスライダー(鉛直方向成分を含むことにより、通常時に、当該控えの下端をベース側に接触させておくことができ、当該ベース側の形状により当該控えが振られないものとできる)を介して接続させ、通常時には支持対象部分の一部などとして格納しておくことができるが、浸水時には本水流の動圧による荷重を受けて開き止めにより回転の角度が制限されるまで回転して本水流の下流側に展開し、当該支持対象部分が回転して当該控えの下端が床面や当該支持構造の設置面等に到達すると、当該控えは当該支持構造の一部となり、当該支持構造は大きな強度を発揮できるものとなる。
後述する、本水流による浸水時に回転して漂着救助装置や漂着避難装置を成すルーバー、手摺やフェンス、または、これらを組み合わせた装置などは、支持構造をベースプレートなどでまとめた片持構造とすると簡易に構成できるが、上記の控えを具有させることにより、本水流による浸水時に当該控えが展開し、水害遭難者の漂着時等に当該装置に作用する大きな荷重に備えることができるものとなる。
尚、控えは、支持対象部分の回転に先行して展開させる構造とすることにより、より確実に支持構造を補助することができ、よりよい。
請求項24は、実施例45にて例示される。
ルーバー(羽板状部分を一定間隔で配置し桟状部分などにより支持したもの。以下、「ルーバー」という)、手摺やフェンス、または、これらを組み合わせた装置は、本水流の方向に上がっていく傾斜を成すものとすることにより、または、本水流による浸水時、一定の角度まで回転できる構造とすることにより、当該装置自体を漂着救助装置や漂着避難装置とすることができる。また、当該装置を設置した建築物等は、漂着避難施設とすることができる。
請求項25は、実施例34、38、39他にて例示される。
津波や洪水等の水害時の防災、避難や救助のための装置の架構で、通常時は倒伏した状態で格納されており、上部空間を有効に利用したり、視界を妨げないものとすることができ、水害の襲来時には起立し機能させることができる架構について示す。
当該架構は、起立時に下端となる部分がスライダー等に接続され、中間または上部となる部分がやはり倒伏して格納された控え等に接続され移動や変形を制限された部材を、本水流の動圧による荷重等を利用することなどにより、当該下端となる部分を当該スライダー等に沿って移動させ、起立させるものである。
この構造を応用することにより、通常時は倒伏して格納され、水害の襲来時は起立し機能させる様々な施設を構成することができる。
請求項26は、実施例47にて例示される。
請求項26による格納式の架構を起立させる荷重は、およそ水平方向に作用するため、当該架構を完全に倒伏した状態から起立させるのは難しい。
このため、当該架構を浮体とする、当該架構に浮体を具備させる、当該架構に浸水により動作するインフレーターを備えたエアバッグを具備させる、または、当該架構に部材の移動や変形の方向を変換する機構を持たせる、などにより、前記の、中間または上部となる部分を控え等に接続され移動や変形を制限された部材が、その下端となる部分に、本水流の動圧等による、およそ水平方向となる荷重を受けた際に、即座に起立を開始できるようにする、起立補助の機構(以下、「起立補助機構」という)を当該架構に持たせると、よりよい。
請求項27は、実施例47にて例示される。
第一の部材もしくはこれに接続された部材のうちの、全部または一部となる構造部分が、倒伏時にスライダー等のみにより拘束または支持される構造とすることにより、当該構造部分は倒伏した状態のまま、一定量本水流の方向に移動できるものとなる。
当該構造部分と、地盤または基礎構造との間に、当該構造部分が本水流の方向に移動した際に、当該構造部分の一部を押し上げる機構を設置することにより、当該構造部分が、本水流の動圧による荷重等を受けて本水流の方向に移動すると、そのまま当該架構が起立を開始できるものとなる、起立補助機構を構成することができる。
この起立補助機構の構成の例として、請求項9や10に記載の、可動のユニットにより水中にて漂着した水害遭難者を上方に誘導する機構と同様に、可動体を介することにより、本水流の方向に移動する当該構造部分の一部を上方へ押し上げる機構を構成することができる。
また、当該構造部分と、地盤または基礎構造の双方に、互いに摺動し合う対偶を具備させ、これらのうちの少なくともいずれか一方は本水流の方向に上がっていく傾斜を持つ案内面を含むものとすることで、倒伏した状態の当該構造部分が本水流の方向に移動した際に、当該対偶が互いに摺動し合い、当該構造部分が具有する対偶が上方に誘導されることにより、当該構造部分の一部を上方に押し上げる機構を構成することができる。
さらに、これらの機構を併置し、当該構造部分の移動する範囲や位置により、作用させる起立補助の機構を切り替えることができる。例えば、当該構造部分が移動を開始した直後は、上記摺動部による起立補助機構を作用させ、当初から大きな力で確実に一定の角度まで起立させ、その後は上記可動体による起立補助機構が作用するようにし、大きな角度にわたり起立させるなどとすると、より効果的な起立補助機構を構成することができる。
請求項28は、実施例47にて例示される。
請求項26から28の格納式の架構を用いて、通常時に倒伏して格納可能な、漂着救助装置や漂着避難装置を構成することができる。
請求項29は、実施例47にて例示される。
請求項26から28の格納式の架構を用いて、通常時に倒伏して格納可能な、津波や洪水等の水害時の本水流を抑制する装置や、防潮堤を構成することができる。
請求項30は、実施例47にて例示される。
請求項26から28の格納式の架構を用いて、通常時に倒伏して格納可能な漂流物ガードを構成することができる。
請求項31は、実施例47にて例示される。
請求項26から28の格納式の架構を用いて、通常時に倒伏して格納可能な避難施設を構成することができる。
請求項32は、実施例47にて例示される。
尚、ここでは実施の上で参考となる構造や他の施設等への適用の方法などを例示しているが、当該開示により示される技術や方法などは、これらに限定されるものではない。
図1Aや図1Bに示す様に、支持桁1eoにより支持された横繋ぎ材1epを下地とし、階段状の漂着避難装置1daが設置され、上部は上部避難路1dcに接続する。階段状の漂着避難装置1daは、基本的に避難者1aaが迫り来る本水流を背にして避難方向1cdの方向に上って避難できる向きに配置する。
津波や洪水等の水害からの避難時、当該地域の住民等の避難者1aaは、当該漂着避難施設の階段状の漂着避難装置1daの直近の部分にアクセスして上り(初期避難)、上部避難路1dcに避難する。上部避難路1dcに避難した避難者1aaは、上部避難路1dcが接続する、さらに安全な避難施設や漂着避難施設に避難する(二次避難)。
実施例29に示した小型の漂着避難施設209等、線状の漂着避難施設を、地域の各所から、本水流に対して安全な避難方向(極力本水流と同一の方向)に、短い距離で到達(初期避難)できる、一段階目の避難施設として配置する。これらの一段階目の漂着避難施設は、実施例25に示した高架施設と組み合わせた積層型漂着避難施設207や、実施例18に示した防潮堤の上部を覆う漂着避難施設205といった二段階目の避難施設に接続し、一段階目の漂着避難施設の上部避難路に避難した人が、当該上部避難路が浸水するまでの間に、より安全な二段階目の避難施設に避難(二次避難)できるように構成する。この二段階目の避難施設が漂着避難施設である場合、その上部避難路を、さらに安全な、実施例19に示した港湾の管理施設兼防災拠点施設206、津波避難タワー210、高台の避難場所211、津波避難ビル212など、三段階目の避難施設に接続することで、三次避難ができる。このように構成することで、当該地域の住人や訪問者が、段階的に安全度を高めながら避難できる避難路ネットワークを形成することができ、その後の水害遭難者の救助活動の足がかりとなると共に、逃げ遅れて本水流に呑まれた水害遭難者が漂着して大気中の安全な場所に避難または待避ができるセーフティネット204を形成できる。
尚、予想される本水流の進行方向と、地上での初期避難の方向2cdを、極力合致させて漂着避難施設を配置し計画することで、近隣住民等が避難中に本水流に呑まれて水害遭難者となっても、目指していた漂着避難施設の直近の部分に短時間で漂着でき、当該水害遭難者の生存の可能性を大きくすることができる。
こういった建築物は、相互もしくは別の避難場所に空中の渡り廊下などで接続すれば、避難路ネットワークの一部としても機能できるが、共用階段や、下階から操作できるバルコニー床の避難ハッチや避難はしごを用いて上層階に避難することが漂着後の主要な避難動線となるため、当該建築物自体が津波避難ビル等の要件を満たした、避難場所として安全なものであることが望ましい。また、実施例34に示す、漂着避難施設とした建築物であれば、より安全で、初期避難先としても利用できる。
避難時はこの上段への避難通路と階段303を通り、より高所に避難するが、浸水後に漂着した水害遭難者3abは、本水流に押され、誘導格子3ecに沿って上段側に移動することを繰り返し、水位が最高に達した時の水面付近まで到達し、水位の低下や逆流時には誘導格子延長部分3ebに捕捉され、下段側に転落せずに留まることができる。この時、誘導格子延長部分3ebが形成する待避スペース3ddは、漂着物3acの衝突や圧迫から水害遭難者3abを保護する。
尚、上段への避難通路と階段303を千鳥配置とすることにより、本水流の進行方向に対しての見付面は常に誘導格子3ecとなるため、漂着した水害遭難者3abは当該施設の漂着した箇所を問わず水面に向かって押し上げられる。
通常時は転落防止アーム5ebは自重により倒伏した状態なので、浸水前の避難時も避難者5aaがこのスロープ上を歩行し、より高い位置に避難できる。転落防止アーム5ebは、浮体の部分を持っており、浸水すると、浮力により、本水流の動圧による荷重や自重と釣合う位置まで起立する。水害遭難者が漂着すると、転落防止アーム5ebを押し倒しながら本水流に押され、スロープ上面に沿って上方に移動し、水面5baに到達すると、水害遭難者は立ち上がりスロープを上り、より高い位置に避難できる。水面に到達した水害遭難者が自力で動けない場合、水位の低下等により下方に転落しようとすると、一定角度までしか開かない構造の転落防止アーム5ebに押しとどめられ、その位置にて安全に待避しておくことができる。尚、転落防止アーム5ebを千鳥に配置しているのは、水害遭難者が水面から転落しても僅かな距離で押しとどめられ、およそ大気中で待避でき、同時に捕捉した水害遭難者がこの転落防止アーム5ebを乗り越えて転落しないよう部材を十分に長くすることができるためである。
避難時、避難者6aaは、図6Cに示すように、倒伏した状態の転落防止アーム6ebの上面を歩行して避難する。浸水すると、図6Dのように転落防止アーム6ebが起立し、水害遭難者6abが漂着すると、当該水害遭難者6abは、図6Eのように転落防止アーム6ebを押し倒しながら、本水流に押され、スロープ上面に沿って上方に移動し、水面6baに到達し、図6Fのような状態となる。水位が低下し漂着していた水害遭難者6abが下方に転落しようとすると、図6Gのように転落防止アーム6ebに押しとどめられるため、大気中で安全に待避しておくことができる。
この実施例は、図7Aに示すような各段の機構を持ち、蹴込・踏面構成部材7ecを、一定の間隔を空けて連続して配置することで格子状の踏面と蹴込を構成し、階段として利用できるものとし、浸水時には支持回転軸7ewを中心に回転変形させることにより、水中を漂着した水害遭難者を上部に誘導する形状に変形させるものである。
浸水時は、フロートフィン接続アーム709を介して支持回転軸7ewに接続する、フロートとフィンを兼ねたフロートフィン7ehが、本水流の動圧による荷重と浮力を受け、フロートフィン接続アーム709と共に支持回転軸7ewを中心に回転することにより、フロートフィン接続アーム709側面のブラケット状部分のロック解除機構アーム712が上方に持ち上がる。これに下端で接続するロックピンリンク711の上端側に接続するロックピン7eiは、貫通する孔の内面に移動を制限され、押込か引抜となる水平方向にしか移動できないため、ロック解除機構アーム712が上方に持ち上がると、接続するロックピンリンク711はロックピン7eiを支持部材7eqから引き抜き、図7Dの状態となり、階段状の形状を保持するロックが解除される。
これにより、蹴込構成部材8ecは支持回転軸8ewを中心として回転できるようになるが、上端部にて段鼻回転軸8exを介して接続する踏面構成部材8edが持つスライダー8ekのストローク範囲が限定されているため、上段側に高くなるよう傾斜する方向にのみ回転できる。水位が上昇し、蹴込構成部材8ecが接続する支持回転軸8ewより下の部分が受ける本水流の動圧による荷重の合計よりも上の部分が受ける本水流の動圧による荷重の合計が大きくなった時、または蹴込構成部材8ecや段鼻回転軸8exに水害遭難者8abが衝突した時、蹴込構成部材8ecは支持回転軸8ewを中心として回転し、図8Cに示すように、階段上段側に高くなる傾斜面を形成することにより、漂着した水害遭難者8abを上部に誘導できる形状となる。
尚、この転落防止部材8ebは、踏面構成部材8edの下方に、実施例6に示すフロートフィン6eh同様の機構を具備させることで、より確実に起立し水害遭難者の体を補足することができる。
段鼻ユニット9evの前面は、中心点を支持回転軸9ewより上方に持った円弧などの形状とすることにより、回転に伴う段鼻の、当該段の最先端部となる位置を、緩やかに変化させることができ、当該段の先端部が水害遭難者9abの身体に作用させる反力を平準化することにより水害遭難者9abへの負荷を抑えつつ、水害遭難者9abの身体の運動方向を、およそ水平となる本水流の方向から、漂着救助装置上部に向かう方向へと滑らかに変換させることができる。また、段鼻ユニット9ev先端の滑り止め901は、極力段鼻ユニット9evが水害遭難者9abを上向きに押し上げる方向にだけ機能し、また、水害遭難者9abの体に食い込み過ぎて負傷しないような形状や材質とする。
尚、水害遭難者9abが漂着し、衝突した時の衝撃が大きい時は、緩衝機構9elにより衝撃が吸収される。
また、段鼻ユニット9evが回転すると、上段の支持回転軸9ewと、当該段鼻ユニット9ev内部のスリット9ekにピン9eiを乗せ掛けることにより支持されていた踏面構成部材9ed先端のピン9eiが、段鼻ユニット9ev内部のスリット9ekから外れて当該装置の他の部位に当たるまで落下し、図9Hに示す状態となる。水害遭難者9abが通過した後は、図9Eに示すように、自重により段鼻ユニット9evが回転して元の位置に戻るが、踏面構成部材9edは落下したままなので、図9Fや図9Jのように、段鼻ユニット9evと踏面構成部材9edの段差が形成され、水害遭難者9abの転落を防止する、転落防止装置として機能する。
フカシユニット11ed上面と、段鼻ユニット11ev先端部の間に、別途蹴込ユニット11ecを設置する。
構造プレート1102と、段鼻ユニット11ev下面を覆うシールプレート1104の間の空間には、二種類の弾性体が設置される。変形用弾性体11elはヤング率が小さく、ストロークを大きく取ったもので、弱い力で構造プレート1102が押し込まれて、蹴込ユニット11ecが、漂着した水害遭難者を上段側に誘導できる形状に変形できる。それに対し、緩衝用弾性体11emはヤング率が大きく、水害遭難者が漂着し衝突した際の衝撃を吸収する緩衝材として機能する。
尚、段鼻ユニット11ev上の転落防止板11ebの先端部と、フカシユニット11edの先端部は、互いにぶつかると転落防止板11ebが跳ね上がるテーパー形状となっているため、転落防止板11ebが浮力で起立する以前に水面付近を水害遭難者が漂着して段の前面に衝突しても転落防止板11ebは起立を開始し、段鼻ユニット11evの先端はそのまま押し込むことができる。
尚、段板11ea本体を格子状とし、転落防止板11ebも短冊状等の形状として踏面面内に格納する機構とするなどにより、フカシユニット11edは省略することができる。
これらの例では、昇降時に足を下ろす際の障害となり、躓いたり転倒したりすることを防止するため、通常時や避難時は、当該蹴込上部の段鼻先端より蹴込ユニット11ecの部分が飛び出さないものとしている。
段差(蹴上)が大きい場合、複数の横桟が上段に向かって高くなる格子状の斜面を形成するようにすると、水害遭難者を滑らかに押し上げやすい。
尚、蹴込ユニット11ecを横桟にて形成する場合は、水害遭難者の身体の部分が、これら横桟の間隙部分に入り込み引掛り易くなることや、横桟を円筒とすることで、本水流を透過できる間隙部分の面積を圧迫することに注意する。
下段側フィン1107は、正面の蹴込面が、上段側に高くなる勾配を持つ格子状の面を形成し、上段側フィン1108は、正面の蹴込面が、およそ鉛直な格子状の面を形成している。
図11Eのように、上段側の段鼻が押し込まれると、取り付けられた上段側フィン1108も奥に移動するため、下段側フィン1107が単独で前面に残り、上段側に高くなる勾配を持つ格子状の傾斜面を形成するため、漂着した水害遭難者を上段側に誘導することができる。
下段側フィン1107のみでも蹴込ユニット11ecとして機能することは可能だが、およそ鉛直な前面を形成する上段側のフィン1108により、衝突した水害遭難者の身体の部分が段鼻下部に入り込み引掛かることを防止でき、滑らかに上段に誘導することができるため、安全性が向上する。
図11Jは、通常の昇降時や避難時、図11Kは水害遭難者が漂着して最高位の水面まで到達後、水位が下がり、転落防止板11ebにより保護され待避している状態を示す。
図12Bに示すように、階段としての利用時、歩行により段鼻部分にかかる鉛直荷重は、倒伏した状態の転落防止板12ebにより、転落防止板回転軸1203を介し転落防止板回転軸受け1204と、段鼻プレート12evを介し、段板12ea先端付近に伝達される。転落防止板回転軸受け1204に伝わる下向きの鉛直荷重により、段鼻先端部に蹴込上部回転軸12exを介して接続する蹴込上部アーム12ecは、山型ベース上部回転軸12ewを中心として下段方向に回転しようとするが、蹴込上部アーム12ec上部に蹴込上部回転軸12exを介して接続する段鼻プレート12evの段奥側端部はフック形状となっており段板アンカープレート12en上端部のフック部分に嵌合しているため、段鼻プレート12evの引張応力を受け蹴込上部アーム12ecは回転せずに形状や位置を保ち、蹴込上部回転軸12exと山型ベース上部回転軸12ewの間の圧縮応力のみ負担することにより、ロック機構なしで可動部全体が変形せず安定し、階段として機能する。
この時、段鼻プレート12ev段奥側先端の横繋ぎ材1205が、段板側に固定されたガイドスライダー1206に移動を制限されているため、段鼻プレート12evは確実にフカシユニット12ed下部に誘導される。
尚、蹴込上部回転軸12exと段板アンカープレート12enは、段鼻部分が押し込まれた時に圧縮応力を発生する2つの弾性体により接続される。このうち、変形用弾性体12elは、弱い本水流で水害遭難者12abが漂着した場合にも水害遭難者12abが上部に誘導される傾斜面が形成されるヤング率やバネ定数を持つもの、緩衝用弾性体12emは、水害遭難者12abの漂着の衝撃を和らげる適切なヤング率やバネ定数を持つものとする。
歩行時や避難時は、ねじりばね13erが蹴込構成部材13ecを下段側に回転させるモーメントを与え続けることと、踏面構成部材13edのスライダー13ekの段奥側端部上側に設けたポケット部が支持回転軸13ewに載せ掛けられていることにより、当該漂着避難装置は安定して階段状の形状を保ち、歩行時の荷重や振動等により変形せず、安全に昇降できる。
段鼻や蹴込構成部材13ecが水平方向に押し込まれると、蹴込構成部材13ecは下端の支持回転軸13ewを中心として回転し、その上端の押し込まれた段鼻部に接続する踏面構成部材13edは、水平方向に押し込まれながら、スライダー13ekに接続する支持回転軸13ewを中心として回転することにより、蹴込構成部材13ecと踏面構成部材13edそれぞれが段奥側に高くなる格子状の傾斜前面を形成する。この際、蹴込構成部材13ecは、ストッパー13esに突き当たるまで回転し、水平になることが可能だが、この状態でも、これに段鼻回転軸13exで接続する踏面構成部材13edは、段奥側に高くなる傾斜前面を形成しているため、漂着した水害遭難者13abは上段側に誘導される。水害遭難者13abが通過した後の蹴込構成部材13ecと踏面構成部材13edは、ねじりばね13erにより、元の形状に戻る。
また、踏面構成部材13ed先端上部に取り付けられた転落防止板回転軸受け1302に転落防止板回転軸1301を介して支持される転落防止板13ebは、浮体を挟み込むなどしているため(斜線部)、本水流が弱くなると、浮力により転落防止板回転軸1301を中心として回転し起立し、図13Cに示すように、水害遭難者13abの転落を防止する。
これらにより、水害遭難者13abは転落せず、安全に待避しておくことができる。
また、当該施設を、上流となる地域からの初期避難先とすることで、避難中に本水流に呑まれても、そのまま当該階段状の漂着避難装置15daに漂着できるため、生存する可能性を大きくすることができる。このため、津波避難ビルとして避難先に指定されていることが望ましい。水害時、とりわけ津波の襲来時には、近隣の住民や当該地域への訪問者は、即座に避難先を見つけないとならないが、当該実施例による施設は避難先として認識されやすいため、迷わず避難することができる。
階段状の漂着避難装置15daは、建築計画の条件等により、階段状ではなく、スロープ状の漂着避難装置などとしてもよい。
漂着避難装置16daは、設置条件により、スロープ型、階段型、梯子型のいずれとしてもよい。
内部空間1702や上部避難路17dcは、通常時は道路や歩道、鉄道等に利用し、入隅など交通に利用しづらいデッドスペース1706は、その他のインフラのスペースや緑化スペース、防災備蓄倉庫等に利用するとよい(その場合、設置物は本水流の透過に支障が無い大きさとし、これらが流出しても悪影響が及ばないよう配慮する)。
構造計画については、断面全体が台形または三角形となるため、漂着避難装置17daの支持桁17eoに架構全体の梁間方向の水平応力を負担させると、柱1701や梁1703を省略し、または鉛直応力のみの負担として小さな断面とすることが可能で、基礎構造1704や杭1705についても簡易なものとすることができる。
このように、津波が防潮堤を乗り越える想定をして漂着避難施設18dbを設置することは、海岸沿いの地域の避難や救助または救命に効果的と考えられる。
尚、漂流物から、漂着した水害遭難者18abや施設全体を守るため、上流側に、実施例43で示す、鉄筋コンクリート等工作物による漂流物ガード43dfのような、漂流物ガード18dfを設置することが望ましい。また、津波で流されにくい樹種による緑地帯を配置することも漂流物を遮るのに有効と考えられる。
クレーン1903は、クレーン用レール1904が搬出入開口1902を貫通することにより、倉庫から容易に物資を搬出することができ、バルコニー・テラス1905を含む防災拠点施設1901周囲の任意の箇所に対し荷卸し等できるようにすることで、救助活動を容易にする。
バルコニー・テラス1905は、搬出入等の仮置きや作業スペースに活用できる。
屋上にはヘリポート・ラペリングポイント1906を設けることにより、海上や上部避難路19dc以外に、空からの輸送や移動の手段を提供し、救助または救命活動を強力にサポートすることができる。尚、ヘリポート・ラペリングポイント1906は床をグレーチング等として下部に太陽電池パネルを設置し、外部からの電源喪失に備えるとよりよい。
これにより、浸水時に水害遭難者が当該建築物に漂着すると、漂着避難施設となるバルコニー21dbか、漂着避難装置21daに漂着させ、救助または救命することが可能となる。
本水流の方向23caが対応可能範囲2301(寄せ波、引き波共)に示す範囲内である場合に、水害遭難者23abを安全に漂着させる施設として機能できる。
浸水時には、実施例35、実施例36、または、実施例37の機構を用いた、浸水時に倒伏する手摺23dgが本水流に押され下流側に倒伏し、漂流する水害遭難者23abはこの上部を通過し階段室内に進入する。表面を横桟とした格子状の壁状体2302または柱形2303に漂着した場合は、本水流に押され、これらの表面に沿って水平方向に漂流し、倒伏した浸水時に倒伏する手摺23dgの上部に誘導され、ここを通過し、階段室内に進入する。ここで、各階段室の扉2304は、常時閉鎖式などとすることで、水害遭難者23abは扉2304を通過せずに、折り返し階段状の漂着避難装置23daの、本水流の方向に向かって上りとなる側に誘導され、水中でこれに漂着すると、これに沿って上方に持ち上げられる。この時、漂着避難装置23daにより持ち上げられる範囲は、当該漂着避難施設が折り返し階段状であるため、半階分の高さまでとなるが、下流側の傾斜手摺23euは本水流の方向に高くなる傾斜前面を成しているため、漂着した当該漂着避難装置23daの高さの範囲にて水面23baに到達しなかった水害遭難者23abは、傾斜手摺23euに漂着して再び押し上げられる。この傾斜手摺23euを、転落防止装置付きの梯子状の漂着避難装置などとすると、水面23baがこの傾斜手摺23euの高さの範囲にある場合は押し上げられた水害遭難者23abが水面23ba付近で安全に留まり、またはそこから避難することができる。水面23baが傾斜手摺23euより高い位置にある場合、当該施設では水害遭難者23abを救助できないため、水害遭難者23abが傾斜手摺23euを越えて漂流を続けられるよう、傾斜手摺23euの上部は外部に開放されている。尚、傾斜手摺23euの範囲で水面23baに到達した水害遭難者23abは、傾斜手摺23euと壁状体2302の表面の横桟23eeを手がかりや足がかりとして上階に上り、より安全な場所に避難することができる。
また、この形態を、スキップフロアなどの断面構成とした建築物の内部に組み込むと、浸水時に逃げ遅れて室内で本水流に呑まれた居住者が、フロア間を接続する漂着避難装置部分に漂着し水面に上昇でき、生き残る可能性を大きくすることができる。
漂着した漂着避難装置24daの高さの範囲内で水面24baに到達しなかった場合、水害遭難者24abの体は、当該漂着避難施設を透過する本水流24caに押されながら、階段上部の連絡通路2401を越えて、手摺24euに到達し、水面24baに到達するまで、漂着救助装置とした手摺24euに沿って上昇し、手摺24euの高さの範囲内で水面24baに到達しない場合、手摺24euを乗り越え、その奥にあるフェンス2407に到達する。フェンス2407は、やはり漂着救助装置であるため、水害遭難者24abは、フェンス2407に沿ってさらに上昇する。尚、各階の手摺24euとフェンス2407の間は、渡り廊下延長部分2408を除いて吹抜け2409となっているため、水中を漂流する水害遭難者24abはフェンス2407に沿って上階床面に遮られることなく上昇を続けることができる。
浸水すると、転落防止アーム26ebやフロート・ウェイト26egに浮力が作用し、転落防止アーム26ebが縦桟26eyから離れる方向に回転しようとする。本水流が強い間は、転落防止アーム26ebは本水流の動圧に抑えつけられ開かず、漂着した水害遭難者は、縦桟26eyに平行に傾斜面を形成する転落防止アーム26ebの表面に沿って水面26baまで押し上げられるが、本水流が弱まり浮力が支配的になると、転落防止アーム26ebが回転して開き、同時に、水面付近に押し上げられた水害遭難者が水位の低下に伴い降下しだすと、直下の開いた転落防止アーム26ebに体が支えられ、安全に待避できる。
尚、転落防止アーム26ebは、縦桟26eyと横桟26eeの交差する箇所のうち、縦方向、横方向とも一つずつ飛ばしながら配置し、千鳥に並ぶようにすることで、転落防止に有効なアームの長さを確保しつつも、同時に、水害遭難者が到達した最高水位の水面26baから転落防止アーム26ebに保護されるまでの降下する距離を小さくできるため、より早く確実に大気中に待避することが可能となる。
この状態の時、転落防止アーム先端爪2703の前面は、桁や形成する梯子面全体と平行な面を形成し、水中を漂着した水害遭難者を上部に誘導する傾斜前面を成す。
さらに、漂着した水害遭難者27abが転落防止アーム27ebを押し込む荷重により、転落防止アーム27ebが回転変形をするが、図27Dのような状態となり、転落防止アーム中間部表面2704が、さらに押し込まれると、転落防止アーム下部表面2705が、やはり傾斜前面を成し、水中を漂着した水害遭難者27abを上方に誘導することができる。水害遭難者27abが上方に通過し終えた部分の転落防止アーム27ebは、フロートフィン27ehから伝達される回転モーメントにより図27Gの状態に戻る。これにより、水面27ba付近まで押し上げられた水害遭難者27abは、水位の低下により下降しようとすると、図27Gのように開いた下部の転落防止アーム27ebに受け止められる。転落防止アーム27ebは別途、下地構造27eoに取り付けるなどした回転止めによる角度まで回転することができ、図27Eや図27Hのように大きく開き、十分な待避スペースが形成された状態になるが、転落防止アーム先端爪2703が転落防止の働きをするため、水害遭難者27abは安全に待避しておくことができる。
また、転落防止アーム27ebの回転軸である横桟27eeの支持箇所に緩衝機構27elを設けるとよりよい。
図28Aのように、支持桁28eoから緩衝機構付ブラケット28eqにて持ち出した横繋ぎ支持材28epを回転軸として、短冊状や管状などを含む線状の部材により形成する三角形ユニット2801を、通常時にこの図のように逆三角形となる角度に、また、正面から見て千鳥となるよう配置して取り付ける。その前面の先端立ち上がり28eb上部に、これらを水平方向に連続的に接続する梯子状横桟28eeを取り付ける。避難時、避難者28aaは、図28Aに示すように、梯子状横桟28eeを手がかりや足がかりとして上り、上方に避難する。
水害遭難者28abが三角形ユニット2801に衝突した際の衝撃は、横繋ぎ支持材28epを介して緩衝機構付ブラケット28eqに伝達され、吸収される機構となっているが、三角形ユニット2801が回転変形することによっても、一定の緩衝効果が得られ、また、強い本水流を受けている間の水害遭難者28abの移動を緩やかなものとできるため、水害遭難者28abの負傷の可能性を低減できる。
通常時は上部避難路29dc下部の内部空間2901を水路、歩道や緑地、防災備蓄倉庫等に利用し、上部避難路29dcは歩道等に利用できる。上部へは、実施例30に示すスロープ3001等を用いてアクセスする。
当該漂着避難施設は基本的に、寄せ波の上流側からアクセスして避難することを想定しているが、介助者3104が、被介助者3105と同じ上流側に降りることにより、被介助者3105の状況を確認しながら引上げ作業ができ、また、作業途中で本水流に呑まれても、そのまま当該漂着避難施設に押し上げられ、安全に避難できるものとなる。
尚、ハーネス3103は、極力簡単に着脱可能なものとする。また、滑車3101は、引き上げ作業途中の休憩やミス等での滑落防止のため、逆回転防止機構やブレーキ機構を持つものとすることが望ましい。
手摺兼レール3201は、3本以上の鋼管などを、およそ半円形を描くように並べた断面とすることで、引き上げ対象の被介助者3205が座っても嵌り込んだり転落したりしにくいものとできる。手摺兼レール3201の手摺部分を支柱3204から持ち出して支持する持出支持材3206は、手摺兼レール3201内に飛び出さないよう半円形などの形状とする。手摺兼レール3201最下部については、一定の長さの水平部分3202をとり、引き上げ対象の被介助者3205が座って引き上げられる準備をしやすいようにする。また、この先端部3203は、本水流に呑まれた水害遭難者が漂着して当該部分に衝突した際に上部に持ち上げられるように、また、被介助者3205が水平部分3202上に上がりやすいよう、先端が下向きになるよう傾斜させておくと、よりよい。
尚、設置スペースの都合等、条件によっては、寄せ波側のみに漂着避難装置を設置することにより、より簡易な構造とすることもできる。
この実施例では、近隣住民等に漂着避難施設としての機能を提供すると同時に、当該建築物の屋内で逃げ遅れて本水流に流された住民等が即座に漂着避難装置の部分に漂着し、水面に出て避難することを可能とするものである。
予想される本水流の方向34caに対し、上流側となるバルコニー3402側の、漂着避難装置適用階3412までの部分は、バルコニー3402前面を、漂着避難装置である梯子状ルーバー34daで覆い、外部テラス3406を設けて階毎にセットバックさせている。バルコニー3402と外部テラス3406は、バルコニー3402の突出部である進入・避難用突出部3405の側面に設けた進入・避難用扉3414にて連絡する。梯子状ルーバー34daは、実施例38、実施例39のルーバーのように、水平羽板部分を持った構造とすることで、住戸内の光熱環境やプライバシーの向上に寄与できる。
共用廊下3403の下流側には、吹抜3404を介して梯子状の漂着避難装置であるフェンス3410があり、フェンス連絡ブリッジ3411にて共用廊下3403と接続している。また、共用廊下3403と吹抜3404間には、共用廊下3403側表面を縦格子とした漂着救助装置である共用廊下手摺3409が設置されている。
フェンス3410に接した状態で水面に到達した当該住民等は、そのままフェンス3410の横桟を手がかりや足がかりとして上り、直上階の最寄のフェンス連絡ブリッジ3411上に降り立ち、共用廊下3403から付近の共用階段に回り込み、安全な階まで上って避難する。漂着した住民等の意識が無い場合は、フェンス3410の転落防止装置に保護された状態で救助を待つ。
最上段のフェンス連絡ブリッジ3411床面が最高浸水高さ以上となる場合、このフェンス連絡ブリッジ3411の先端付近に、フェンス際手摺34euを設置すると、水害遭難者は、一旦フェンス連絡ブリッジ3411先端の平場に立ち、安全を確保した状態でフェンス際手摺34euを、その横桟を足がかりにして乗り越え、共用廊下3403側に避難することができる。これにより、フェンス連絡ブリッジ3411の側面の手摺を乗り越えるのに必要な高さまでフェンス3410を立ち上げる必要が無くなる。
尚、必要に応じて、手摺やフェンスは倒伏させることも、一定の角度までの回転とすることもできる。ここでは、手摺とした場合の実施例を示している。
通常時は、手摺の自重により、手摺支柱3501下部の下部ピン3506と上部ピン3507が、下部スライダー3504と上部スライダー3505の最下部に落とし込まれることにより、手摺は安定して使用できる。
手摺は、手摺支柱3501等の中空部に発泡ウレタン等の浮体を充填する、または、キャップや樹脂材料等で当該中空部の気密性を保ち浮体とするなどにより、浮力が得られる構造となっており、浸水を開始すると、一定の水深になった時点で手摺に作用する浮力が手摺の自重を上回り、手摺は上昇を始める。また、下部スライダー3504と上部スライダー3505(最上部を除く)は、本水流の方向に上がっていくよう傾斜した形状であるため、水位が低く、十分な浮力が得られていない場合でも、手摺に作用する本水流の動圧による荷重を受け、手摺を上昇させることができる。
このとき、下部スライダー3504と上部スライダー3505は、上部スライダー3505の上部を除いて平行な形状のため、手摺支柱3501は上部ピン3507が上部スライダー3505の最上部に到達するまで、鉛直方向に直立した姿勢を保ったまま上昇する。上部スライダー3505の最上部は、本水流の下流側に開放する形状(手摺を倒伏させる場合)、または手摺が最高となる高さまで上昇し、下部スライダー3504の最上部に下部ピン3506が位置する時に、この下部ピン3506の芯を中心として当該手摺を本水流の下流側に回転させた場合に上部ピン3507の軸部外周が描く円弧を包含できる形状に切り替わる(回転角度を制限する場合)ようにすることにより、手摺が浮上し下部ピン3506と上部ピン3507が、それぞれ下部スライダー3504と上部スライダー3505の最上部に到達した後、手摺は下部ピン3506を回転中心として、上部ピン3507が上部スライダー3505の最上部から本水流の下流側に向かって回転することができる。
このとき、上部スライダー3505の最上部の形状が、上記後者である場合、包含する円弧の下流側端部の位置により、回転角度を制限できる。
通常時は図36Aに示すように、ロックケーブル3602の一端を、手摺支柱3604の、下部ピン3607などに接続し、反対側はリング状としてロックプレート3603の間に差し入れ、ロックプレート3603ごとロックピン36eiを貫通させて拘束することにより、手摺支柱3604はこのロックケーブル3602が遊びを消化し伸びきる範囲以上は移動や上昇ができない。また、手摺支柱3604が外力によりロックケーブル3602が伸びきるだけ持ち上がっても、下部スライダー3605と上部スライダー3606は、本水流の方向に上がっていく勾配を持つ傾斜した形状であるため、当該外力が消滅すると、手摺の自重により、下部ピン3607と上部ピン3608がそれぞれのスライダーに沿いながら最下部まで落下するように移動し、通常の状態に戻る。
この時、ロックピンフロート36efに取り付けられたロックピン36eiがロックプレート3603の孔から外れることにより、ロックケーブル3602のリング状の部分は自由に移動できるようになる。
また、設置場所が水はけの良い場所であれば、通常時に、上部通水孔3609から浸入した雨水は、下部通水孔3610から排出されるため、雨水が内部に溜まってロック機構が解除されることはない。
この漂着避難施設は、水中を漂流する水害遭難者が当該建築物に漂着した際に、水害遭難者を上方に押し上げ、当該建築物に上陸して避難させることのみならず、水害遭難者が、水没直前のバルコニーのスラブ下や屋内に潜り込んで窒息する可能性を減少させることができるものである。
回転させる手摺またはルーバーは、縦桟38ey等の中空部分に発泡ウレタンを充填したり、キャップや樹脂材料等で当該中空部分の気密性を保ち浮体とするなどにより、本水流による浸水時に浮力を発生させることができる。本水流による浸水時は、浮力や本水流の動圧による荷重を受け、実施例35に示した原理により、手摺またはルーバーが上昇、回転し、漂着避難装置を形成する。当該漂着避難装置の、本水流の上流側となる前面は、縦桟38eyが勝っており、これが傾斜前面として機能する。ルーバー部分については、縦桟38eyによる傾斜前面の代わりに、水平羽板3801に、請求項9や10に記載の、可動のユニットの構造を持たせることによって水害遭難者を上昇させる構造としてもよい。漂着した水害遭難者は、手摺横桟38eeや水平羽板回転軸3802を横桟として手がかりや足がかりにして上り、バルコニー3804に上陸し、または手摺上を、当該階上部のルーバーに掴まるなどしながら水平移動し、上階バルコニー床の避難ハッチ下部に格納された避難はしごを下ろし、これを上って安全な上階に避難する。実施計画にあたっては、このような避難を可能とするため、器具や装置の位置関係等に配慮するものとする。また、当該避難ハッチや避難はしごは、津波からの避難に対応した、下階から操作できるものとする。
これにより、日常の使用時には、光熱環境の向上と共に、視線を遮蔽し、プライバシーを向上できる。
また、浸水時には、水害遭難者が漂着し避難できる範囲を大きくすることができ、上述のように、水害遭難者が、逃げ場の無いバルコニーのスラブ下や屋内に流れ込んで窒息する可能性を減少させることができる。これは、当該ルーバーを設置しない場合、水害遭難者が漂着した位置が、当該階の高い位置であれば、既に水位が天井に迫っており、安全な位置への避難が可能な時間の猶予が少なく、また、必要な足場や手がかりを得にくく梁や垂壁に阻害され水平移動が困難となり、上階のバルコニーの床に設置された避難ハッチを開けて上階に避難したり、住戸を抜けて反対側に避難することが非常に困難となるが、当該ルーバーを下方に長く延長することにより、その範囲において、これを防止できるためである。
但し、当該建築物を、バルコニーを雛壇状に連続的にセットバックさせた構成とする場合は、手摺をルーバー下端より高く立ち上げ、浸水時に手摺が回転すると上部ルーバーに差し掛かり本水流に対しオーバーラップする、または連続する傾斜面を形成するものとすることにより、当該建築物に流れ着いた水害遭難者38abの、バルコニーのスラブ下や屋内への流入を、より確実に防止でき、漂着避難装置に沿った、地表面から当該構成部分の最上部までの範囲にわたる上昇を可能にする。
手摺やルーバーは、縦桟38eyに取り付けられた下部ピン3807と上部ピン3808が、それぞれ、支持プレート3809の下部スライダー3810と上部スライダー3811にセットされていることにより、支持されている。支持プレート3809は、アンカー38enにより、バルコニーのスラブ先端に支持されている。
本水流により浸水した階に漂着した水害遭難者38abは、上階のバルコニー3804床の避難ハッチ3812下部に格納された避難はしごを下ろし、水害遭難者の移動方向38ccのように、当該避難はしごを上り、上階床の避難ハッチ3812を開けて、上階のバルコニー3804に移動することを繰り返し、安全な階に避難する。このとき、実施例39の場合、図39Aに示す状態となっている。
手摺またはルーバーは、本水流38caを受け、機構の変形の方向38cbのように移動する。このとき、実施例39の場合、図39Bに示す状態となる。
手摺とルーバーを一体化したものは、この状態となって、初めて漂着避難装置として機能する。縦桟38eyが回転し、図38Hに示すように、上部ピン3808が、上部スライダー3811の、本水流の下流側となる端部に到達すると、ラッチ38etにロックされるため、水位38baのぶれや変動があっても、また、縦桟38eyの回転軸となる下部ピン3807より下方に位置するルーバー部に水害遭難者38abが漂着し衝突しても、縦桟38eyは回転しないため、当該手摺やルーバーは漂着避難装置としての機能を果たすことができる。
漂着した水害遭難者38abは、水害遭難者の移動方向38ccのように移動し、避難することができる。
このとき、実施例39の場合、図39Cに示す状態となる。
また、ハウジング4007は、雨が降り込むことによる誤動作や、腐食等の劣化を防止するため、通常時の雨仕舞に配慮する。上部通水孔4005は、蓋4009の、ハウジング4007の側面より張り出した部分の下側に設けることにより、極力ハウジング4007内への雨水の浸入を防止でき、浸入した水は底部側面の下部通水孔4006から排水し、これらの開口から通気も行えるため、内部には水が溜まらない。また、フロート40ef下部にはフロート脚4008を取り付けることにより、フロート40efの劣化や菌類の発生等による設置面への固着を防止できる。
ロックユニット4101の構造は、おおむね実施例40に示すものと同様だが、ロックピン4110に伝達ケーブル4106を接続しており、ロックユニット4101とロック解除ユニット4102の高低差分の伝達ケーブル4106の重量に対するカウンターウェイトとして、ウェイト41egを持つ。また、ロック解除ユニット4102の浸水に関わらずロックピン4110がロックピン貫通孔4111から引き抜かれない不具合等あった場合でも、ロックピン4110は、ロックピンフロート4112に取り付けられているため、ロックユニット4101が浸水すれば、実施例40に示すものと同様に、ロックユニット4101のロックピンフロート4112が浮上し、ロックピン4110がロックピン貫通孔4111から引き抜かれ、ロックが解除される。
尚、伝達ケーブル4106はケーブルガイドシース4108の内部を通すことにより、外部環境等の影響を受けず、滑車等を用いる方法に比較して簡単に設置でき、自由なルートで配管できる。但し、ケーブルガイドシース4108は、内面に、フッ素樹脂ライニングを施す等、腐食せず、極力伝達ケーブル4106との間の摩擦が小くなる材質とすることが望ましい。
ロック解除ユニット4202は、ケーブルガイドシース4203の内部を通した伝達ケーブル4201により、ロックプレートレール4204上をスライドできる複数のロックプレート4205に接続する。
ロック解除ユニット4202が浸水すると、ケーブルガイドシース4203の内部の伝達ケーブル4201が引かれ、接続するロックプレート4205がスライドすることにより、ロックが解除された状態となる。このとき、複数のロックプレート4205の間は伝達ケーブルにて、距離がある場合はケーブルガイドシースの内部に通して、接続しており、これら全てが同時にスライドし、ロックが解除された状態になる。また、ロック解除ユニット4202に接続した伝達ケーブル4201の反対側には、ロック解除ユニット4202とロックプレート4205との高低差分の伝達ケーブル4201の重量に対するカウンターウェイトとして、ウェイト42egを接続する。ウェイト42egにより、当該ロック機構全体のバランスをとり正しく機能させると同時に、当該ロック機構の動作試験を行った場合に、ロック解除ユニット4202を通常時の状態に戻すだけで、容易に復旧させることができる。
各々のロック機構は、欠き込み状のロックプレートレール開放部分4206を持つロックプレートレール4204に、欠き込み状のロックプレート開放部分4207を持つロックプレート4205がスライドできるよう保持されており、通常時はロックプレートレール開放部分4206を、ロックプレート4205の欠き込まれていない部分で塞ぐことにより、ロックさせる対象部材の部分がロックプレートレール開放部分4206を通過するのを妨げ、当該対象部材をロックした状態とする。ここでは、図42Bに示すような、回転軸42ewにより支持されるロック対象部材4208が、一定の方向に回転できないようロックする例を示している。ロック対象部材4208は突起部4209を持つが、図42A、図42Bの状態では、ロックプレート4205の欠き込まれていない部分が突起部4209の通過を妨げるため、ロックされた状態となっている。図42C、図42Dの状態では、ロック解除ユニット4202が浸水することにより、伝達ケーブル4201が引かれ、各ロック機構のロックプレート4205がスライドしている。これにより、ロックプレートレール開放部分4206にロックプレート開放部分4207が重なり、ここをロック対象部材4208の突起部4209が通過できるため、ロックが解除された状態となっている。
この時、ロックプレート4205は、ロックプレートレール4204に設けたストッパー42esにより、ロックプレートレール開放部分4206にロックプレート開放部分4207が重なる位置までしか移動できないため、ロック解除ユニット4202からの荷重が加わっている間は、その位置で静止し、確実にロックが解除された状態を保つことができる。
漂着避難装置43daには、トラス構造とすることで大きな強度が発揮できる、構造桁や手摺を兼ねた漂流物ガード43eoを設置すると、漂流物が衝突しても、漂着避難装置43daが破壊されにくく、さらに、この設置間隔を狭めると、漂流車両等4302などの漂流物が、構造桁や手摺を兼ねた漂流物ガード43eoの間に入り込むのを防止でき、漂着避難装置43daに漂着した水害遭難者43abを守ることができる。尚、構造桁や手摺を兼ねた漂流物ガード43eoをトラス構造とした場合など、斜材や上弦材等が形成する鋭角の入隅には、水中を漂着した水害遭難者43abの頭部や肢体が挟まるのを防止するための水害遭難者の挟まり防止材4301を設けることが望ましい。
構造桁や手摺を兼ねた漂流物ガード43eoは、それぞれを船舶や住宅といった大型の漂流物43acの衝突に耐える強度のものとすることが合理的とは限らないので、上流側に津波に強い樹木による緑地43deや、鉄筋コンクリート等工作物による漂流物ガード43dfを配置し、大型の漂流物43acを先んじてフィルタリングする構成とするとよりよい。
漂着避難施設に直接設置してもよいが、初期避難時の安全確保などにも有効と考えられるため、漂着避難施設の上流側の近傍に、一定間隔おきに設置すると、よりよい。通常時は、車両による、当該漂着避難施設への衝突防止や、当該敷地への浸入防止等の効果を発揮できる。
逆U字型部材44dfの脚部は、埋込ボックス型ベース4401の天板に開けられた上流側スリット4402と下流側スリット4403を貫通し、下端にはそれぞれベースプレート4404が取り付けられており、これが埋込ボックス型ベース4401の内側の面により、上下方向の移動を拘束され、支持されている。
逆U字型部材44dfの脚部は上流側スリット4402と下流側スリット4403に沿って移動できるが、逆U字型部材44dfに大きな荷重が加わり変形しても、脚部は各スリットのストロークの範囲を滑らかに移動できるよう、ベースプレート4404の上下の面には、埋込ボックス型ベース4401内を滑りやすくするためのスライディングプレート4405が取り付けられている。
下流側の脚部が下流側スリット4403のストロークを使い切った後は、図44Dに示すように、逆U字型部材44dfは二本の脚部両方を変形させながら逆U字型部材44df全体で水平方向へのせん断変形を開始する。これにより、さらに大きな応力を発揮しながら変形を続けることができる。
このように、逆U字型部材44dfが段階的に応力を増しながら大きく変形できるものとすることにより、当該漂流物ガードは、簡易でありながら、大きなエネルギーを吸収でき、粘り強く漂着物を抑えることができる。
手摺支柱4501には、その高い位置に回転軸4503を介して控え部材4502が接続されており、当該回転軸4503は、手摺支柱4501または控え部材4502に設けられた、これらの材軸方向にのびる短いスライダー4504により一定量の移動が可能となっている。
通常時、控え部材4502の下端はベースプレート4505天端の傾斜面4509と、手摺支柱4501に取り付けられた回転止めブロック4508が成す谷状の部分に落とし込まれており、控え部材4502の下端がこの谷状の部分に接した状態で控え部材4502の上端の回転軸4503はスライダー4504の途中に位置しているため、控え部材4502の重量は当該谷状の部分にて受けることとなり、控え部材4502は振れたりせず安定する。
通常時、控え部材4502に手摺の前後方向の荷重が加わると、控え部材4502の下端が当該谷状の部分に沿って上昇しようとするが、当該谷状の部分の鉛直方向の深さは、控え部材4502の上端の回転軸4503が接続するスライダー4504のストロークより大きいため、控え部材4502に、人体や物品の衝突、風圧力等の、手摺の前後方向の荷重が加わっても、下端が当該谷状の部分を上がりきって外れることはなく、これらの荷重がなくなると、控え部材4502の下端は再び当該谷状の部分の底部に落ち込み、元の状態に戻る。
ベースプレート4505の天端の傾斜面4509の勾配は、ベースプレートのスライダー4506と平行またはより水平に近いものとし、前記谷状部分の底部から傾斜面4509の最上部までの高低差を、ベースプレートのスライダー4506のストロークの長さより小さなものとすることにより、手摺支柱4501のピン4507が、ベースプレートのスライダー4506のストロークのうち一定量を移動し上昇した時点で、控え部材4502下端がベースプレート4505天端の傾斜面4509を上りきり傾斜面4509による拘束を離れ、控え部材4502が水流の動圧による荷重を受けて上端の回転軸4503を中心に回転を開始することができる。このとき、手摺支柱4501のピン4507はベースプレートのスライダー4506を上りきっておらず手摺は回転できないため、控え部材4502を先行して展開させることが可能となる。
尚、控え部材4502は、手摺支柱4501に回転止め4510を設けるか、下端付近をケーブル、スライダーまたはリンク4511により手摺支柱4501下部またはベースプレート4505に接続することにより、一定量しか展開できないものとしている。
控え部材4502が回転を開始した後、手摺支柱4501のピン4507はベースプレートのスライダー4506を上りきり、手摺も回転を開始する。手摺が一定量回転すると、先行して展開しきった控え部材4502の下端が地面や床面に突き当たり、回転した手摺支柱4501を支える控えとして機能できるようになる。
尚、ベースプレート4505天端の傾斜面4509は、控え部材4502の下端がベースプレート4505の面外方向に外れないようフック状の部分を持たせるなど、控え部材4502の外れ防止に配慮する。
漂着避難装置は、編み方や支持方法などに関して一定の条件を満たすことにより、網状の構造とすることができる。網状の構造とすることにより、構造全体が簡易なものとでき、通常時は巻き取るなどして格納しておくことができるため、道路上やビルの間、高架施設下部、緑地、公園などに設置することができる。公園等では、通常時に遊具としての利用も可能となる。また、ツタなどを這わせて、「緑のカーテン」とすると、都市の光熱環境向上や省エネルギーに寄与することができる。
図46Aの例は、縦材4601と横材4602からなる縦横の格子状の編み方としており、漂着した水害遭難者が水中を上昇する際に手足が入り込みにくいよう、網目は60mm角程度の大きさとしている。この大きさの網目は、避難時に、手掛りとすることは容易だが、足掛りにすることは困難である。このため、一定の規則により、頭部や手足が入り込み引掛りにくいよう最小限の足掛りとできる足掛りの穴4603を開けている。網の縦材4601は、網全体の縦方向の構造強度を負担するものを一本おきに配し、足掛りの穴4603は隣り合うこれらの材に挟まれており、足掛りとして上りやすいよう千鳥状に配置されている。これに対し、足掛りの穴4603の上下の辺の中央を結ぶ縦材4601に期待する主な機能は、前記のように、水害遭難者の手足が入り込みにくいようにし、かつ、有効な傾斜前面を成して水害遭難者の身体を滑らかに上昇させることであり、網全体の強度を負担する構造部材ではないため、足掛りの穴4603の部分で分断されていても支障がないものとしている。
この場合においても、図46Cに示すように、足掛りの穴4603の直下に、足掛りの穴4603を覆う大きさのカバーシート4604をたらしておくと、水流を受けた際に、カバーシート4604がめくれ上がり、足掛りの穴4603を塞ぐことができ、水害遭難者の手足が入り込むことを防ぐことができる。カバーシート4604は、棒状の浮体を連ねるなどとしたすだれ状とすると、水害遭難者の身体の足掛りの穴4603への入り込みを防止しながらも、しなやかで確実にめくれ上がり易く、カバーシート4604自体が変形して足掛りの穴4603に入り込む可能性も小さい。また、同時に、板状とした場合のように、水害遭難者の身体に突き立てられるような危険も少ない。尚、足掛りの穴4603の周囲は、上る際に足掛りの位置として判り易くするよう目立つ色とするとよりよい。
また、網目の大きさは、小さくしすぎると、水流の透過する抵抗が大きくなるため、手足が入り込み引掛らない程度とすることが望ましい。
斜材4605と横材4602は、網全体の構造強度を負担するものを一本おきに配し、これらに挟まれた足掛りの穴4603を千鳥状に配している。この例では、足掛りの穴4603を除き、網目を一辺が60mm程度の正三角形としている。
吊橋のように、上下のアンカーポイントに掛け渡した縦材4601からハンガーケーブル4606を下げ、踏板4607を吊っている。縦材4601が踏板4607より上部に来ることにより、漂着した水害遭難者は、踏板4607に手足を引掛けず、縦材4601を格子状の傾斜前面として滑らかに上昇することができる。
縦材4601が踏板4607の下部に位置する構造とした場合や、縦材4601同士の間隔が大きくなる場合、水害遭難者の身体は踏板4607に接触し、縦材4601は傾斜前面としての機能を果たさなくなるため、格子状蹴込部材4609を設置し、別途傾斜前面を形成するなどにより、漂着避難装置として機能できるようにする。
当該装置は、剛性のある踏板4607を設置しても、吊構造であるため、歩行時に振動がおきやすく、通常の階段と比較して、歩行しづらいものとなる。階段状の部分を上り易くし避難を容易にするためには、破線で表現された部材を追加し、このうち下弦材4608に張力を加え、当該装置を下方に抑えることにより安定させるとよい。この場合、すくなくとも踏板4607の端部か、踏板4607同士の接続箇所となる部分を通るようこれらの部材を設置するとよい。
この場合、網状部分の上辺には、構造上の一次部材としてメインケーブル4610を配し、これに接続する縦材4601や斜材を二次部材とすると、当該網状部分は、下辺以外は当該メインケーブル4610の両端のアンカーのみにより支持することもできるが、計画した網状部分の勾配が大きい場合や部材の変形量が大きくなる場合、図46Iに示すように、水流の動圧による荷重や接触した水害遭難者46abの身体を介し作用する荷重により、当該漂着避難装置の勾配が部分的に大きくなり、水害遭難者を水面まで上昇させることができなくなる可能性がある。このため、設置条件により、上辺のメインケーブル4610で支持するのではなく、図46Fや図46Hに示す例のように、網の左右の辺をガイドレール4612などにより線状に支持し、漂着避難装置に急勾配となる部分が発生しにくいものとすることが望ましい。尚、この場合、網を展開する際は、通常、図46Gに示すように、網の側端部の上端を引上げることになるが、当該側端部の外れ止め4611がガイドレール4612内を上昇し、当該側端部は外れ止め4611を介し、ガイドレール4612により線状に支持される。
尚、この例のように、漂着避難装置を建築物等に接続する場合は、漂着避難装置上部から当該建築物等に避難できる漂着避難施設とすることが望ましい。
津波や洪水等水害で流されにくい樹木間に網状の漂着避難装置を掛け渡すことで、避難路ネットワークを構成し、または、セーフティネットを構成することができる。
所々、樹上に避難所となるデッキ4613を設置するとよりよい。デッキ4613は、ツリーハウスとしてもよく、網状の部分は遊具として用いるなど、通常時、森に親しむレクリエーション施設とすることができ、日頃親しんでおくことで津波や洪水等水害時にスムーズな避難がしやすくなる。
このように、樹林帯に漂着避難装置や漂着避難施設を設置する場合、森林全体が津波や洪水等水害で流されにくい樹木で構成されることが望ましく、当該漂着避難装置や漂着避難施設の上流側にも一定以上の量の樹木が存在することで、大型の漂流物4614をフィルタリングすることができ、当該漂着避難装置や漂着避難施設、及び、避難者や水害遭難者を保護することができる。
当該実施形態は、基本的に、漂着救助装置またはその下地構造材が起立した状態の時に、下端となる部分に接続された回転軸を、スライダーやガイドにて受け、中間部や上部となる部分はケーブルまたは控え等のリンクを接続し、これらの軸方向の応力にて支持し、通常時は倒伏した状態として格納され、地表仕上げ面から突出して障害物とならないよう構成するものである。
本水流により浸水すると、やはり倒伏するなどして格納されていた、本水流の動圧による荷重を利用し当該漂着救助装置や漂着避難装置を起立させるエネルギーを得るための装置が、起立するなどにより本水流の動圧による荷重を受け、引張材やリンクを介する等により接続する、前記漂着救助装置またはその下地構造材の下端の回転軸に、水平方向の荷重を伝達する。当該回転軸は、スライダーやガイド等に沿って水平方向に移動することができるが、当該漂着救助装置またはその下地構造材の中間部や上部となる部分は、前記ケーブルまたはリンクと接続しており移動が限定されるため、当該漂着救助装置やその下地構造材は、前記水流の動圧を利用する装置から伝達された荷重により、立て起こされる。このとき、当該漂着救助装置またはその下地構造材の立て起こされる角度は、前記回転軸を含む、その下端となる部分が、前記スライダーやガイド、または付置したストッパー等により移動を制限される範囲による。この範囲の限界まで移動した、前記漂着救助装置またはその下地構造材の、下端の回転軸は、地盤または基礎構造などに設置されたラッチにより固定されるため、水流が弱まったり、水流の方向が変化しても、当該漂着救助装置は起立した状態を保つことができる。
尚、当該実施例の図中において、想定した水流の方向や、部材や装置の変形の方向は、それぞれ、水流の方向47ca、変形の方向47cbにて示されている。
ところで、漂着救助装置等は通常時、倒伏した状態であるため、本水流による浸水後、上記本水流の動圧による荷重を利用する装置により水平方向の荷重を受けても、起立を開始しにくい。このため、漂着救助装置またはその下地構造材等を浮体としたり、浮体を具備させる(この場合、漂着救助装置またはその下地構造材等を透過する本水流を極力阻害しないよう計画する)、浸水により動作するインフレーターを備えたエアバッグを具備させる、または、図47Kや図47Lに示す方法のように、部材の移動や変形の方向を変換する構造とすることなどにより、漂着救助装置やその下地構造材が上記水平方向の荷重を受け即座に起立を開始できるようにする、起立補助機構を持たせることが望ましい。
起立補助機構として、インフレーターを備えたエアバッグや大型の浮体を具備させる場合、漂着救助装置/漂着避難装置47daの最上部より下部となる、図示された起立補助装置47efの位置に設置すると、当該位置が水面47baまで浮上しようとするため(エアバッグの場合は膨張しているとして)、漂着救助装置下地構造材47eoは、これらの浮力を利用しながら漂着救助装置/漂着避難装置47daの上部が大気中に突き出し計画された角度まで起立することができ、かつ、当該設置位置は接続する漂着救助装置下地構造材47eoの下端の回転中心となる回転軸からも離れているため、漂着救助装置下地構造材47eoが起立するのを補助するために有効な大きさの回転モーメントを与えることができる。
漂着救助装置/漂着避難装置47daを漂着避難装置とすれば、漂着した水害遭難者が移動して安全な位置に避難できるものとなる。さらに、上部避難路を形成させ、より安全な避難場所に接続させると、二次避難が可能となる。また、当該装置や施設の頂部となる部分の反対側にも漂着救助装置や漂着避難装置を形成させると、引き波にも対応する施設を構成できる。
当該施設は構造上、連続して一体的なものとするのではなく、一定の長さごとに分離して独立する構造としたものを、小さなクリアランスを空けて連続的に配置することにより、障害物等により適切に動作できない部分があった場合に、当該部分の影響を最小限に抑えることができ、フェールセーフを図ることができる。
また、当該実施例に示す構造は、起立して漂着救助装置や漂着避難装置を形成するだけでなく、後述するように、格納式の避難施設、漂流物ガードや防潮堤を形成することもできる。
尚、通常時、大きな部材は倒伏した状態で地表仕上げ面47bb内に、または地表仕上げ面47bbから大きく突出することなく格納されているため、上部を道路や通路、広場等に利用でき、視界を遮ることもない。また、地表仕上げ面より下部に格納されるため、通常時に当該格納部に雨水が溜まると、不必要に起立を開始したり、部材が劣化する等の悪影響が考えられるが、これを防ぐため、当該格納部に浸入した雨水は当該格納部底部の勾配により排水溝に集め、雨水排水管4708から排水できるようにするとよい。
通常時は上述のように、各部材が倒伏して格納されているが、浸水すると、浮体部分を有する水流受板4701が浮力や水流の動圧による荷重を受けて起立する。水流受板4701は、起立時に下部となる部分が回転軸を介してスライダー47ekに接続されており、当該回転軸は、漂着救助装置下地構造材47eoの、同様に起立時に下端となる部分の回転軸に、引張材4705を介して接続されている。水流受板4701は、その上部と引張材4705とを開き止めのケーブルにより接続されており、およそ鉛直となる角度までしか開かないため、水流の動圧による荷重を最大限利用することができる。およそ鉛直に起立した水流受板4701は、さらなる水流の動圧による荷重を受け、スライダー47ekに沿って下流側に移動しようとする。このとき、当該荷重は、引張材4705を介して漂着救助装置下地構造材47eoの下端となる回転軸に伝達される。この漂着救助装置下地構造材47eoの下端となる回転軸は、上記水流受板4701とは別のスライダー47ekにより支持されており、当該スライダー47ekに沿って下流側に移動する。漂着救助装置下地構造材47eoは、その中間部を、ケーブル等の引張材による控え部材4709を介して、上流側に設置した支持回転軸47ew(もしくはアンカー)に接続されているため、図47Bのように、漂着救助装置下地構造材47eoは、その下端が、支持するスライダー47ekの下流側端部まで移動することにより、当該漂着救助装置下地構造材47eoは一定の角度まで起立し、その上流側の表面となる漂着救助装置/漂着避難装置47daは計画した角度の傾斜面を形成することができる。このとき、漂着救助装置下地構造材47eoの下端は、通過したラッチ47etにより逆方向への移動を制限され、形成された傾斜面は安定してその形状を維持できる。さらに、漂着救助装置下地構造材47eoは、起立した状態の時に、当該下端以外の部分と、下端より下流側となる、地盤、もしくは、基礎構造とを、ケーブル、または、やはり下端を回転軸を介しスライダーに接続された、リンク、もしくは、漂着救助装置/漂着避難装置47da(この場合引き波にも対応して漂着させることが可能となる)により、これらが、伸びきった状態となるよう接続すると、水流が逆流しても、漂着救助装置下地構造材47eoや、漂着救助装置下地構造材47eoに設置された漂着救助装置/漂着避難装置47daが反転しない構造とすることができる。
尚、水流受板4701をパラシュートのように捉え、支障なく確実に展開できるよう配慮した設計とすることにより、水流受板4701下部のスライダー47ekは省略することができる。
これらの図の例において、図中に示された引張材である控え部材4709の部分を漂着救助装置/漂着避難装置47daや漂着救助装置下地構造材47eoに置換し、図中に示された漂着救助装置/漂着避難装置47daや漂着救助装置下地構造材47eoの部材は、回転軸で接続された、単なる圧縮支持材とすることもできる。この場合、漂着避難装置には、実施例46に示す網状の装置を適用することもでき、周囲にケーブル等の支持を取るための高さのある構造物等がなくとも浸水時に起立できる、簡単な網状の漂着避難装置を形成することができる。
また、図中で控え部材4709として示される部分の下端部を、ウィンチで巻き取る、または、アクチュエータ等により水流の方向の逆となる方向にスライドさせる構造とすることで、図中で漂着救助装置下地構造材47eoとして示される部分の下端の回転軸が接続するスライダー47ekは省略することができる。
控え部材4709として、図47Aや図47Bの例では、漂着救助装置/漂着避難装置47daが起立した状態で漂着救助装置/漂着避難装置47da下端より上流となる側にケーブル等引張材を設置しているのに対し、図47Cや図47Dの例では、下流となる側に圧縮材を設置している。圧縮材である控え部材4709の下端は、支持回転軸47ewに接続されており、上端も回転軸を介し、漂着救助装置下地構造材47eoの中間部に接続されている。
当該装置が完全に起立すると、当該ラチス部材4710の下端の回転軸は、これが接続するスライダー47ekの下流側端部に到達するが、このとき当該回転軸は、ラッチ47etに移動を拘束されるようになるため、当該ラチス部材4710が、接続する漂着救助装置下地構造材47eoから伝達される荷重は、当該ラチス部材4710下端の回転軸を介して、接続するスライダー47ekや、ラッチ47etに伝達され、さらに、下部の基礎構造や地盤に伝達される。
この例では、浸水後変形時、複数のラチス部材4710下端の回転軸が同一のスライダー47ek上をスライドするが、最終的に、計画した漂着避難施設の形状を形成した時に、当該複数のラチス部材4710下端の回転軸それぞれが、当該スライダー47ek上をスライドできないよう拘束する機構を持つ。これは、漂着避難装置に面外方向の荷重が加わった際、当該漂着避難装置の下地の構造材から、これに接続するラチス部材4710に、軸圧縮力となる荷重が伝達されるが、当該ラチス部材4710またはこれに軸方向に連続して接続するラチス部材4710の、最下端となる回転軸が、接続するスライダー47ekや、当該拘束する機構を介し、当該荷重を基礎構造や地盤に適切に伝達することができるようにするためである。
尚、当該図中の漂着救助装置/漂着避難装置47daや漂着救助装置下地構造材47eoとして示した部分を漂流物ガードとし、その内部側に平行して隣接するラチス部材4710の通りを漂着避難装置や漂着救助装置下地構造材47eoとすると、倒伏して格納される、漂流物ガード付きの漂着避難施設が構成できる。
当該施設は、下流側の漂着救助装置下地構造材47eo下端の回転軸が、接続するスライダー47ekの端部に位置したまま起立を開始し(この回転軸はスライダーではなく、ピン支持としてもよい)、計画した形状の漂着避難施設を形成するが、このとき、当該スライダー47ekに接続する他の回転軸は、それぞれ、ラッチ47etにより、上流側となる方向(戻る方向)に移動できないようになっている。また、これらの回転軸のうち、ラチス部材4710の下部であるものは、それぞれ、接続する2本のラチス部材4710のうちの一方が、当該回転軸を越えて下方に一定量延長させた構造材延長部分4707をもち、これが、当該回転軸の下流側近傍に設置したストッパーブロック47esに接触するため、当該回転軸は、これより下流側に移動できない。これらにより、各回転軸は、所定の位置に到達すると拘束され、下流側となる方向にも、上流側となる方向にも移動できなくなる。
尚、構造材延長部分4707は、装置全体の起立変形中は、ラチス部材4710の傾斜が小さく回転軸より下方への突出も小さいため、基本的にストッパーブロック47esの上部を通過することができるが、所定の位置に近づくと、ラチス部材4710の傾斜が大きくなり回転軸より下方への突出も大きくなっているため、計画した形状の漂着避難施設が形成された後は、構造材延長部分4707は、近傍のストッパーブロック47esを越えることができない。
控え部材4709の、起立時に下端となる部分(この図では右端)の回転軸を、スライダー47ekにより支持することにより、漂着救助装置下地構造材47eoや控え部材4709は、倒伏した状態でも水流の方向47caに荷重を加えられると、移動や変形をすることができるようになる。
漂着救助装置下地構造材47eoの、起立時に上部または中間となる部分に対し、倒伏時に下流側近傍となる、地盤や基礎構造上面の部分に、本水流の方向にせりあがる斜面を上面に持つ起立補助ガイド4713を設置することにより、漂着救助装置下地構造材47eoの、起立時に下端となる部分(この図では左端)の回転軸が本水流の方向に移動しようとすると、漂着救助装置下地構造材47eoの下方への突出部分が、起立補助ガイド4713の上面の斜面に接触し、これに沿って持ち上げられ、漂着救助装置下地構造材47eoは回転を開始することができる。その後、漂着救助装置下地構造材47eoの下端となる部分の回転軸が、さらに本水流の方向に荷重を加えられ移動すると、これに伴い、漂着救助装置下地構造材47eoは傾斜を大きくし、最終的に計画した角度に到達することができる。
尚、起立補助ガイド4713の上面の斜面は、地表仕上げ面から突出するなど通常の利用時に邪魔にならない範囲で、できるだけ大きな高低差を持たせ、当該斜面に接触させる漂着救助装置下地構造材47eoの下方への突出部分は、通常時に、図のように、極力当該斜面の最下部に近い高さに位置させることで、漂着救助装置下地構造材47eoが起立補助ガイド4713により持ち上げられる高さを大きくすることができ、漂着救助装置下地構造材47eoを、より滑らかに起立させることができるようになる。
尚、起立補助圧縮材4712が押し上げる、上部にある構造材の下面の、起立補助圧縮材4712の上端の上流側となる部分に、地盤側突出部4711同様の突出部を、当該断面図において、地盤側突出部4711と点対称となる向きに設け、かつ、当該上部にある構造材が水流を受けるなどして本水流の方向に移動できる構造とすると、当該上部にある構造材が水流方向へ移動しようとした際、当該上部にある構造材の下面の突出部の側面が起立補助圧縮材4712の上端に突き当たり、当該上部にある構造材は、起立補助圧縮材4712上端に対し水平方向に押し込む荷重を作用させることにより起立補助圧縮材4712を起立させ、これにより、当該上部にある構造材自身が起立を開始するものとできる。
通常時は、図47Mに示すように、装置全体が地表仕上げ面47bbより突出しないように格納しておき、本水流による浸水時は、水流受シート浮き4703に作用する浮力や、本水流の動圧による荷重により、水流受けシート4702がパラシュートのように広がり、さらに本水流の動圧による荷重を受けて引張材4705に引張力を伝達させるものである。
尚、浸水時は、水流受シート浮き4703が浮上するが、水流受けシート4702の下部に水流受シート錘4704を取り付けることで、より確実に、水流受けシート4702を展開させることができる。また、ガイド4706により、水流受けシート4702や引張材4705が、構造材等、他の部分に干渉するといった障害を防止でき、さらに、水流受シート浮き4703を大きなものとした場合、本水流の流速が小さい場合でも、水流受シート浮き4703に作用する浮力を利用して引張材4705に引張力を作用させることができる。
漂着救助装置/漂着避難装置47daや、漂着救助装置下地構造材47eoに該当する部分を、漂流物をフィルタリングすることができる強度を持つ、格子状等水流を透過する構造の漂流物フィルター47dfに置換し、これを鉛直となるまで起立させる構造とすることにより、漂流物ガードとして機能させるものである。
図47Oでの漂流物フィルター47dfに相当する部分を、防潮板4715とし、これを起立させて防潮堤として機能させるものである。
防潮堤は、水流をせき止めることが目的であるため、本水流から起立に必要な動力を得るための水流受板4701は、防潮板4715より上流側に設置され、その起立時に下端となる部分は、回転軸を介して、防潮板4715と同一のスライダー47ekにより支持されており、防潮板4715下端の回転軸と、圧縮力を伝達可能な水流受板リンク4714により接続されている。水流受板リンク4714の上部には水流受板4701の回転止めとなるストッパーがあり、本水流による浸水後、水流受板4701が起立すると、これに突き当たるため、水流受板4701は鉛直となる角度までしか回転できず、本水流の動圧による荷重を最大限利用することができる。当該荷重は、水流受板リンク4714を介して防潮板4715下部の回転軸に伝達され、防潮板4715を起立させることができる。この図の例では、図47Kの例で説明した起立補助ガイド4713を設置しており、津波の急な襲来による荷重に対し、装置が破壊されることなく防潮板4715が確実に起立できるものとしている。
尚、この例による格納式防潮堤は、起立した状態で控え部材4709の下端となる回転軸が防潮板4715から離れたものとする程、基礎構造に発生する上向きの引抜応力が小さくなるため、地盤の性状によっては、杭工事を含め、基礎構造を、より簡易なものとすることができる。
また、同様の構造により、格納式の、津波や洪水等水害による水流を抑制する装置を形成することもできる。この場合は、当該実施例の他の図の例のように、本水流から起立に必要な動力を得るための装置は、下流側に設置することができる。
図47Qや図47Rは、簡易な構造で上部避難路を大きくとれる漂着避難施設を構成でき、また、後述するように、アクチュエーターやウィンチ等で能動的に起立させることにより、専用の避難施設なども構成することができる架構の例である。
前記長方形断面を形成する架構の下部は、地盤や基礎構造からのピン支持としている。漂着救助装置/漂着避難装置47daは前記構造部材となる斜材を兼用しており、上端は前記長方形断面を形成する架構の上端のヒンジに、下端は地盤や基礎構造に設置したスライダーに接続させ、さらに本水流を受ける装置やウインチ等に接続させることで、起立中は下端が変形の方向47cbに移動し、架構全体を起立させる圧縮材として機能し、起立完了後は架構全体の水平応力を負担する構造部材となる斜材として機能することができる。専用の避難施設などとした場合は、構造部材となる斜材として、図中の漂着救助装置/漂着避難装置47daの位置に代えて、破線の位置に、階段やはしご等の昇降装置が形成されるものとすると、倒伏し格納した通常時の状態での省スペース化が図れる。
図47Sや図47Tは、構造部材となる斜材下端をスライダーにより移動できるものとした図47Qや図47Rの例に対し、前記長方形断面を形成する架構本体の下端を地盤や基礎構造に設置したスライダーにより支持させるものとし、本水流から起立に必要な動力を得るための装置やウインチ等に接続させ、構造部材となる斜材は、スライダーを介さないピン接合により、上端は前記長方形断面を形成する架構の上端のヒンジに、下端は地盤や基礎構造に接続し、架構全体を立て起こす引張材として機能させるものとしている。省スペース上、より有利な構成となるが、長方形断面を形成する架構本体の下端がスライダーにより支持されるため、当該スライダーには大きな強度や信頼性が求められる。
受動的に起立する構造と能動的に起立する構造を併用することにより、本水流による浸水前の起立中に電力等の動力を喪失しても、本水流により浸水すれば、浮力や本水流の動圧による荷重により、起立を再開することができるものとなる。
転落防止装置を線状または格子状等の部材とすることにより、通常時は漂着救助装置や漂着避難装置本体同様、倒伏した状態で格納しておくことが可能となる。
転落防止材48ebは、転落防止材回転軸4816により漂着救助装置/漂着避難装置48daに接続されており、倒伏した状態で転落防止材回転軸4816より上流側となる部分の長さを下流側となる部分の長さより長くすることにより、重心が転落防止材回転軸4816より上流側となるため、転落防止材48ebの密度を水または海水より大きなものとすれば、漂着救助装置/漂着避難装置48daが本水流により浸水し、起立を開始すると、転落防止材48ebは重力により上流側の部分が下方に下がる方向に回転し、さらに、当該部分が水流48caから受ける動圧による荷重は、転落防止材回転軸4816を挟んだ反対側の部分が受ける同荷重よりも大きくなるため、前記方向への回転力を得られる。これらにより、転落防止材48ebは、上部回転止め4818に接触するまで回転し、転落防止装置として機能できるようになる。この状態で、転落防止材48ebが漂着救助装置/漂着避難装置48daの前面に突出した部分は、水流48caの方向には押し込んで回転させることができるため、漂着救助装置/漂着避難装置48daに沿って上昇する水害遭難者の上昇を妨げない。上部回転止め4818の代わりに、転落防止材48eb下部と漂着救助装置/漂着避難装置48daを、ケーブル、スライダーまたはリンク4819により接続してもよい。
尚、漂着救助装置/漂着避難装置48daが起立を開始した時に、水流48caの動圧による荷重を受けて、倒伏した状態で転落防止材48ebの上流側にあった部分が上昇する方向に回転しないよう、漂着救助装置/漂着避難装置48daには下部回転止め4817が取り付けられている。
通常時倒伏して格納される漂着救助装置や漂着避難装置の場合、転落防止材も倒伏して格納されているため、通常時にこれを特別に安定させる機構は不要となるが、手摺やフェンスの場合、通常時に直立した姿勢であるため、回転して漂着救助装置/漂着避難装置48daを形成する支柱や縦桟部分に、転落防止材回転軸4816の他に、通常時に転落防止材48ebを支持する部分を持たせている。転落防止材回転軸4816は、接続する支柱や縦桟部分または転落防止材48ebに、短いストロークのスライダー48ekを介して接続されている。転落防止材48ebの下端部は、水流48caの方向に高くなる傾斜面を持ち、通常時、これが支柱や縦桟に取り付けられた下部回転止め4817と、転落防止材受4820の間に落とし込まれており、この時、転落防止材回転軸4816はスライダー48ekのストロークの途中の部分にあるため、転落防止材48ebに作用する重力は全て下部の転落防止材受4820に伝達される。転落防止材48ebの下端部は、下部回転止め4817と、転落防止材受4820に密着しているため、通常時、振れたりせず安定している。尚、転落防止材48ebは、風圧力により煽られて転落防止材受4820を乗り越えない重量を持つものとする。
本水流により浸水すると、転落防止材48ebが水流48caの動圧による荷重を受けることにより、または、支柱や縦桟部分が回転して漂着救助装置/漂着避難装置48daを形成し、転落防止材受4820に伝達される転落防止材48ebの重量による荷重の方向が相対的に変化することにより、転落防止材48ebは、転落防止材回転軸4816をスライダー48ek上方にスライドさせながら移動し、転落防止材48ebの下端部の傾斜面が転落防止材受4820を乗り越えると、転落防止材48ebは、転落防止材回転軸4816より下側の部分が上側の部分より長く、本水流の動圧により受ける荷重も下側のほうが大きくなるため、回転し、転落防止装置として機能できるようになる。
手摺やフェンスに転落防止装置を設置する場合、当該構造を適用することで、簡単に転落防止装置を構成することができ、同時に、通常時の状態で手摺やフェンスからの突出がないため、手摺やフェンスとしての利用に支障をきたさないものとすることができる。
この例では、図48Cや図48Dの例と異なり、漂着救助装置/漂着避難装置48daが固定されているため、転落防止材48ebの下端が転落防止材受4820を乗り越えるのに、自重は利用できず、浮力と水流48caの動圧による荷重のみ利用できる。しかし、ここで自重を利用しないことにより、転落防止材48ebの下端部は、傾斜面とした場合より、通常時に安定する形状とすることができる。当該下端部は突出部を持ち、下部回転止め4817と、転落防止材受4820の間に挿入され、当該突出部の側面と、当該下端部の突出していない部分が形成する谷状の面が転落防止材受4820に載せ掛けられることにより、転落防止材48ebの重量が転落防止材受4820に伝達され、転落防止材48ebは風圧力等の荷重を受けても振られず安定する。
本水流により浸水すると、転落防止材48ebに取り付けられた水流受4821に水流48caの動圧による荷重が作用し、転落防止材48ebは転落防止材回転軸4816をスライダー48ekに沿わせて上昇し、下端部の突出部が転落防止材受4820を乗り越えると、転落防止材48ebは、転落防止材回転軸4816より下側の部分が上側の部分より長く、本水流の動圧により受ける荷重も下側のほうが大きくなるため、回転する。
当該構造を用いることで、簡易で、通常時や浸水前の避難時に邪魔になりにくい転落防止装置を形成できる。
この場合、水害遭難者の身体にかかる漂着時の衝撃を抑えるため、一つのユニットの重量が大きくなり過ぎないようにしたり、小さなユニットとして、弾性素材などにより相互に接続させ、互いに連動して緩やかに変形させ合うものとすると、よりよい。
1cd:避難方向 1da:漂着避難装置 1dc:上部避難路 1dd:待避スペース 1eb:転落防止の立ち上がり 1ec:前面傾斜部分 1eo:支持桁 1ep:横繋ぎ材 2cd:初期避難の方向 2ce:二次避難の方向 2de:津波に強い樹木による緑地 201:三次避難の方向 202:双方向避難 204:セーフティネット
205:防潮堤の上部を覆う漂着避難施設 206:港湾の管理施設兼防災拠点施設 207:高架施設と組み合わせた積層型漂着避難施設 208:漂着避難装置を持つ建築物等 209:小型の漂着避難施設 210:津波避難タワー 211:高台の避難場所
212:津波避難ビル 3ab:水害遭難者 3ac:漂流物 3dd:待避スペース
3ea:板状の平場 3eb:誘導格子延長部分 3ec:誘導格子 303:上段への避難通路と階段 5aa:避難者 5ba:水面 5eb:転落防止アーム 5eo:格子状下地材 5ew:支持回転軸 6aa:避難者 6ab:水害遭難者 6ba:水面 6eb:転落防止アーム 6eh:フロートフィン 6eo:格子状下地材 6ew:支持回転軸 603:アーム 7ab:水害遭難者 7ec:蹴込・踏面構成部材 7ed:固定踏面構成部材 7eh:フロートフィン 7ei:ロックピン 7eq:支持部材 7es:蹴込・踏面構成部材回転エンドストッパー 7et:戻り止めラッチ 7ew:支持回転軸 702:爪 709:フロートフィン接続アーム 711:ロックピンリンク 712:ロック解除機構アーム 713:蹴込・踏面構成部材押上用突起 717:フック 8aa:避難者 8ab:水害遭難者 8eb:転落防止部材 8ec:蹴込構成部材 8ed:踏面構成部材 8ef:フロート兼ウェイト 8ei:ピン 8ek:スライダー 8el:緩衝機構 8eo:支持桁 8ep:横繋ぎ支持材 8eq:支持ブラケット 8ew:支持回転軸 8ex:段鼻回転軸 801:持出し材 802:回転ロックユニット 803:ロックユニット回転軸 804:フック 9aa:避難者 9ab:水害遭難者 9ec:誘導斜面形成部分 9ed:踏面構成部材 9ei:ピン 9ek:スリット 9el:緩衝機構 9eo:支持桁 9eq:支持材 9es:ストッパー 9ev:段鼻ユニット 9ew:支持回転軸 901:滑り止め 902:フック10ab:水害遭難者 10ba:水面 10ec:蹴込構成部材 10ed:踏面構成部材 10ef:フロート 10ei:姿勢制御ピン 10ek:スライダー
10el:緩衝機構 10em:先端クッション 10eq:受け材 10es:ストッパー 10et:ラッチ 10ev:段鼻ユニット 10ew:支持軸 10ex:回転軸ピン 1001:段鼻ユニット姿勢制御ガイド 11ea:段板 11eb:転落防止板 11ec:蹴込ユニット 11ed:フカシユニット 11ek:スライダー 11el:変形用弾性体 11em:緩衝用弾性体 11en:アンカー 11es:突起
11ev:段鼻ユニット 11ex:回転軸 1101:下地プレート 1102:構造プレート 1103:回転軸受け 1104:シールプレート
11ee:横桟 1105:ベース 1106:傾斜面 1107:下段側フィン 1108:上段側フィン 1109:クッション 1110:ネット 1111:上部接着ライン 1112:下部接着ライン 1113:フラップ状折り返し 1114:クッション下部折り返し 12ab:水害遭難者 12ea:段板 12eb:転落防止板 12ec:蹴込上部アーム 12ed:フカシユニット 12el:変形用弾性体 12em:緩衝用弾性体 12en:段板アンカープレート 12ev:段鼻プレート 12ew:山型ベース上部回転軸 12ex:蹴込上部回転軸 1201:山型ベース 1203:転落防止板回転軸 1204:転落防止板回転軸受け 1205:横繋ぎ材 1206:ガイドスライダー 13ab:水害遭難者 13ba:水面 13eb:転落防止板 13ec:蹴込構成部材 13ed:踏面構成部材 13ef:フロート 13ek:スライダー 13eo:支持桁 13eq:支持材 13er:ねじりばね 13es:ストッパー 13ew:支持回転軸 13ex:段鼻回転軸 1301:転落防止板回転軸
1302:転落防止板回転軸受け 14ab:水害遭難者 14ea:段板 14et:突出部 14ev:段鼻ユニット 14ex:段鼻回転軸 1401:持出し実部材 15ca:本水流の方向 15da:階段状の漂着避難装置 1501:ビル 1502:広場 16da:漂着避難装置 16df:漂流物ガード 1601:フロート避難施設 17da:漂着避難装置 17dc:上部避難路 17eo:支持桁 1701:柱
1702:内部空間 1703:梁 1704:基礎構造 1705:杭 1706:デッドスペース 18aa:避難者 18ab:水害遭難者 18ba:水面 18da:漂着避難装置 18db:漂着避難施設 18dc:上部避難路 18df:漂流物ガード 18eu:手摺 1801:防潮堤 19da:漂着避難装置 19dc:上部避難路 1901:防災拠点施設 1902:搬出入開口 1903:クレーン 1904:クレーン用レール 1905:バルコニー・テラス 1906:ヘリポート・ラペリングポイント 1907:レスキュー隊等 21ca:本水流の方向 21da:漂着避難装置 21db:漂着避難施設となるバルコニー 21dg:浸水時に倒伏する手摺 21eu:格子状の手摺またはフェンス 2101:平場 2102:別棟 2103:フェンス 22ca:本水流の方向 22da:漂着避難装置 23ab:水害遭難者 23ba:水面 23ca:本水流の方向 23da:漂着避難装置 23dg:浸水時に倒伏する手摺 23ee:横桟 23eu:傾斜手摺 2301:対応可能範囲 2302:壁状体 2303:柱形 2304:扉 24ab:水害遭難者 24ba:水面 24ca:本水流 24cc:水害遭難者の移動の軌跡 24cd:避難の動線 24da:漂着避難装置 24dg:浸水時に倒伏する手摺 24eu:手摺 2401:連絡通路 2403:渡り廊下 2404:前面側連絡通路 2405:格子状の壁 2406:誘導板 2407:フェンス 2408:渡り廊下延長部分 2409:吹抜け 2410:水平面 25db:漂着避難施設 2501:高架施設 2502:連絡階段 26aa:避難者 26ba:水面 26eb:転落防止アーム 26ee:横桟 26eg:フロート・ウェイト 26ey:縦桟 27ab:水害遭難者 27ba:水面 27eb:転落防止アーム 27ee:横桟 27eg:ウェイト 27eh:フロートフィン 27ei:ピン 27el:緩衝機構 27eo:下地構造 2701:アーム
2702:フック 2703:転落防止アーム先端爪 2704:転落防止アーム中間部表面 2705:転落防止アーム下部表面 28aa:避難者 28ab:水害遭難者
28ba:水面 28eb:先端立ち上がり 28ee:梯子状横桟 28eh:フロートフィン 28eo:支持桁 28ep:横繋ぎ支持材 28eq:緩衝機構付きブラケット 2801:三角形ユニット 29da:漂着避難装置 29dc:上部避難路 2901:内部空間 3001:スロープ 31da:漂着避難装置 31dc:上部避難路 3101:滑車 3102:ロープ 3103:ハーネス 3104:介助者 3105:被介助者 32da:漂着避難装置 3201:手摺兼レール 3202:水平部分 3203:先端部 3204:支柱 3205:被介助者 3206:持出支持材
33ab:水害遭難者 33da:漂着避難装置 33eb:転落防止アーム 3301:フレーム 3302:スリット 3303:内部空間 3304:階段 3305:救助者 3306:開放面 3307:物品スペース 34ca:本水流の方向 34da:梯子状ルーバー 34eu:フェンス際手摺 3401:住戸 3402:バルコニー 3403:共用廊下 3404:吹抜 3405:進入・避難用突出部 3406:外部テラス 3407:バルコニー側外壁 3408:共用廊下側外壁 3409:共用廊下手摺 3410:フェンス 3411:フェンス連絡ブリッジ 3412:漂着避難装置適用階 3413:漂着避難装置不適用階 3414:進入・避難用扉 3501:手摺支柱 3503:ベースプレート 3504:下部スライダー 3505:上部スライダー 3506:下部ピン 3507:上部ピン 36ef:ロックピンフロート 36ei:ロックピン 3601:ハウジング 3602:ロックケーブル 3603:ロックプレート 3604:手摺支柱 3605:下部スライダー 3606:上部スライダー 3607:下部ピン 3608:上部ピン 3609:上部通水孔 3610:下部通水孔 37bc:設置面 37efロックピンフロート 3701:ハウジング 3702:蓋 3703:上部通水孔 3704:下部通水孔 3705:蝶番 3706:ロックケーブル 3707:ケーブルガイド 3708:ベースプレート 3709:フロート脚 3710:ロックプレート 38ab:水害遭難者 38ba:水位 38ca:本水流 38cb:機構の変形の方向 38cc:水害遭難者の移動方向 38ee:手摺横桟 38en:アンカー 38et:ラッチ 38ey:縦桟 3801:水平羽板 3802:水平羽板回転軸 3803:手摺内側縦桟 3804:バルコニー 3805:反射・拡散光 3806:壁面緑化 3807:下部ピン 3808:上部ピン 3809:支持プレート 3810:下部スライダー 3811:上部スライダー 3812:避難ハッチ 3813:危険な位置に潜り込んだ水害遭難者 3814:冬の日射 3815:夏の日射 3816:視線 40dg:浸水時に回転または倒伏する手摺 40ef:フロート 4001:ロック対象部材(外側) 4002:ロック対象部材(内側) 4003:ロックピン貫通孔 4004:ロックピン 4005:上部通水孔 4006:下部通水孔 4007:ハウジング 4008:フロート脚 4009:蓋 4010:位置調整ノッチ 41ef:フロート 41eg:ウェイト 4101:ロックユニット 4102:ロック解除ユニット 4103:フロートアーム 4104:支点板 4105:フロートアームノッチ 4106:伝達ケーブル 4108:ケーブルガイドシース 4109:蓋 4110:ロックピン 4111:ロックピン貫通孔
4112:ロックピンフロート 42eg:ウェイト 42es:ストッパー 42ew:回転軸 4201:伝達ケーブル 4202:ロック解除ユニット 4203:ケーブルガイドシース 4204:ロックプレートレール 4205:ロックプレート 4206:ロックプレートレール開放部分 4207:ロックプレート開放部分 4208:ロック対象部材 4209:突起部 43ab:水害遭難者 43ac:大型の漂流物 43da:漂着避難装置 43de:津波に強い樹木による緑地 43df:鉄筋コンクリート等工作物による漂流物ガード 43eo:構造桁や手摺を兼ねた漂流物ガード 4301:水害遭難者の挟まり防止材 4302:漂流車両等 44ac:漂流物 44df:逆U字型部材 44em:緩衝材 44en:アンカーボルト 4401:埋込ボックス型ベース 4402:上流側スリット 4403:下流側スリット 4404:ベースプレート 4405:スライディングプレート 4501:手摺支柱 4502:控え部材 4503:回転軸 4504:スライダー 4505:ベースプレート 4506:ベースプレートのスライダー 4507:ピン 4508:回転止めブロック 4509:傾斜面 4510:回転止め 4511:ケーブル、スライダーまたはリンク46ab:水害遭難者 4601:縦材 4602:横材 4603:足掛りの穴 4604:カバーシート 4605:斜材 4606:ハンガーケーブル 4607:踏板 4608:下弦材 4609:格子状蹴込部材 4610:メインケーブル 4611:外れ止め 4612:ガイドレール 4613:デッキ 4614:大型の漂流物 47ba:水面 47bb:地表仕上げ面 47ca:水流の方向 47cb:変形の方向 47da:漂着救助装置/漂着避難装置 47dc:上部避難路 47df:漂流物フィルター
47ef:起立補助装置 47ek:スライダー 47eo:漂着救助装置下地構造材
47es:ストッパーブロック 47et:ラッチ 47ew:支持回転軸 4701:水流受板 4702:水流受シート 4703:水流受シート浮き 4704:水流受シート錘 4705:引張材 4706:ガイド 4707:構造材延長部分 4708:雨水排水管 4709:控え部材 4710:ラチス部材 4711:地盤側突出部 4712:起立補助圧縮材 4713:起立補助ガイド 4714:水流受板リンク 4715:防潮板 48ca:水流 48da:漂着救助装置/漂着避難装置 48eb:転落防止材 48ek:スライダー 4816:転落防止材回転軸 4817:下部回転止め 4818:上部回転止め 4819:ケーブル、スライダーまたはリンク 4820:転落防止材受 4821:水流受
Claims (32)
- 津波や洪水等の水害時における救助または救命の用に供する装置であって、前記装置は、津波や洪水等の水害により引き起こされることが予想される水流を透過させるも、本水流に呑まれた水害遭難者の身体は通過させない構造とし、
小構造体を繰り返し連続的に配置することにより構成する場合を含み、本水流の方向に、連続的または断続的に上がっていく形状を成し、かつ、前記装置は、
本水流に呑まれ、水中にて当該装置に漂着し、当該装置の上流側前面に衝突した前記水害遭難者の身体に、本水流の方向の逆となる方向より上向きとなる反力を作用させることにより、当該水害遭難者の身体の運動方向を、上方に変換させ、または、
当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、もしくは、本水流に呑まれて当該装置に漂着し、水中にて当該装置に接触している前記水害遭難者の身体に、本水流の動圧による荷重と、当該装置からの反力による、当該装置上方に向かう合力を作用させる構造とすることにより、
当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、もしくは、本水流に呑まれて当該装置に漂着し、本水流を受け続ける前記水害遭難者の身体を、当該装置の上流側前面に沿って当該装置上方に移動させ、水面に到達させて救助または救命する、漂着救助装置を成す装置。 - 前記請求項1は、記載の上流側前面が、本水流の方向に高くなる傾斜した面を成すことにより、前記水害遭難者の身体を、当該前面に沿って当該装置上方に移動させる、傾斜前面である装置。
- 前記請求項2は、記載の傾斜前面が、縦方向の格子状である装置。
- 前記請求項2は、記載の傾斜前面が、網状である装置。
- 前記請求項4は、記載の網状の部分のうち、40平方cm以上の網目の面積の割合が、当該網状の部分全体の面積に対し、3割未満となる装置。
- 前記請求項4は、記載の網状の部分のうち、40平方cm以上の網目には、当該網目の下側の辺となる部分に、当該網目を覆い塞ぐ大きさのカバーを取り付けた装置。
- 前記請求項2から6までのいずれかに記載の装置は、本水流による浸水時に変形して前記傾斜前面を成す構造とした装置であり、
その可動部が、通常時は、振動、前記漂着救助装置上の歩行、または、風圧力により、有害な変形をせず、本水流による浸水時には、当該可動部が、浮力、重力、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けて、変形することにより、本水流の上流側となる前面が前記傾斜前面を成す構造とした装置。 - 前記請求項2または7は、前記漂着救助装置が段状であり、各段の、段の先端部または全部が、本水流の方向に押し込まれることができる構造を採っており、かつ、
a)当該段の先端部と、当該段の先端部または全部の下面に面する範囲の、当該段の下段の上面の部分とを、一定のあそびを持たせた長さのコード、または、伸縮性を有するコードで接続し、これを段鼻に平行な方向に一定の間隔で連続的に配置することにより格子状部分を成し、通常時は、これを蹴込とし、本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けて、当該段の先端部または全部が押し込まれ、当該格子状部分が引き伸ばされることにより格子状の前記傾斜前面を形成させる構造、
b)当該段の先端部または全部の下面に面する範囲の、当該段の下段の上面の部分に、本水流の上流側となる前面が本水流の方向に高くなる勾配を持ち、本水流の方向に見た場合に櫛歯状に上部が開放された縦方向の格子状となる、傾斜面を成す格子状部分を有し、または、これに加え、
当該段の先端部または全部の下面に、本水流の上流側となる前面が櫛歯状に下部が開放された縦方向の格子状の面を成す格子状部分を有し、
通常時はこれら格子状部分は蹴込とされているが、本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けて、当該段の先端部または全部が押し込まれ、当該段の下段の上面の部分が有する格子状部分の本水流の上流側となる前面により、格子状の前記傾斜前面を形成させる構造、または、
c)当該段の先端部または全部の下面に面する範囲の、当該段の下段の上面の部分に、本水流の上流側となる前面が凸曲面である横桟を持つ格子状部材を設置し、通常時は、これは蹴込とされているが、本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けて、当該段の先端部または全部が押し込まれ、当該段の先端部と当該格子状部材の横桟の前面を結ぶ面により、格子状の前記傾斜前面を形成させる構造とした装置。 - 前記請求項1は、本水流の上流側となる前面に、水平面に投影した場合に軌道の方向が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダー、案内面やガイド、回転軸を含む、変形や移動の軌道を制限する機構によって支持された、可動のユニットを有し、本水流による浸水時に、当該可動のユニットの本水流の上流側となる先端部または前面が、前記水害遭難者の身体により本水流の方向に押し込まれると、前記軌道を制限する機構によって、当該先端部または前面が、上方に誘導されることにより、
本水流に呑まれ、水中にて当該装置に漂着し、当該先端部または前面に衝突した前記水害遭難者の身体に、本水流の方向の逆となる方向より上向きとなる反力を作用させ、当該水害遭難者の身体の運動方向を、上方に変換させ、または、
当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、もしくは、本水流に呑まれて当該装置に漂着し、水中にて当該先端部または前面に接触している前記水害遭難者の身体に、本水流の動圧による荷重と、当該先端部または前面からの反力による、当該装置上方に向かう合力を作用させ、
本水流を受け続ける当該水害遭難者の身体を、当該装置の上流側前面に沿って当該装置上方に移動させる構造とした装置。 - 前記請求項9は、記載の可動のユニットが、本水流と直交する水平方向に配された回転軸を持つ回転体であり、
当該可動のユニットは、通常時の状態において、
本水流の上流側となる前面の、本水流に対し最も上流側に位置する部分が、当該回転軸より上方に位置する形状を持ち、かつ、
当該最も上流側に位置する部分が下方に移動する方向に回転しない構造を持つことにより、
通常時に、当該可動のユニットの上面の、当該回転軸より本水流の上流側となる部分を歩行しても、当該可動のユニットは回転せず、
本水流による浸水時に、当該可動のユニットの、当該最も上流側に位置する部分が、前記水害遭難者の身体により本水流の方向に押し込まれると、当該最も上流側に位置する部分が、上方に誘導されることにより、
本水流に呑まれ、水中にて当該装置に漂着し、当該最も上流側に位置する部分に衝突した前記水害遭難者の身体に、本水流の方向の逆となる方向より上向きとなる反力を作用させ、当該水害遭難者の身体の運動方向を、上方に変換させ、または、
当該装置上に位置していて本水流に呑まれ、もしくは、本水流に呑まれて当該装置に漂着し、水中にて当該最も上流側に位置する部分に接触している前記水害遭難者の身体に、本水流の動圧による荷重と、当該最も上流側に位置する部分からの反力による、当該装置上方に向かう合力を作用させ、
本水流を受け続ける当該水害遭難者の身体を、当該装置の上流側前面に沿って当該装置上方に移動させる構造とした装置。 - 前記請求項1から10までのいずれかに記載の装置は、人の身体の上方への移動を補助または促進する移動補助装置を、前記漂着救助装置に付置もしくは組み込み、または、成すことにより、人の身体を上方に移動させる構造を持つ装置。
- 前記請求項11は、記載の移動補助装置が、通常時は階段状の形状を維持しており、本水流により浸水すると、蹴込部分が、下段側の踏面部材と接続する部分を中心として本水流の下流側に回転して倒伏し、当該倒伏した蹴込部分と当該踏面部材とが連続する水平面を形成する装置。
- 前記請求項1から12までのいずれかに記載の装置は、転落防止装置を具有し、当該転落防止装置は、本水流による浸水時に、
前記水害遭難者の身体が前記漂着救助装置に沿って水中を上昇することを妨げず、当該漂着救助装置上かつ水面に位置する前記水害遭難者の身体が下方に移動することを防止し、水位低下後に当該水害遭難者の身体を水中または水面に転落させることなく大気中に待避させておくことができる構造を持つ装置。 - 前記請求項13は、記載の転落防止装置が、本水流による浸水時またはその後の水位低下時に、直接的または間接的に、浮力、重力、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けることにより、前記漂着救助装置から当該水害遭難者の身体の転落防止のための部分を、突出させ、もしくは、起立させ、または、当該部分の角度を当該水害遭難者の身体の転落を防止できる角度に調整する装置。
- 前記請求項13は、記載の転落防止装置が、本水流による浸水時またはその後の水位低下時に、直接的または間接的に、浮力、重力、本水流の動圧による荷重、または、前記水害遭難者の身体の接触や衝突による荷重を受けることにより、前記漂着救助装置上面の部分を、落下させまたは下方に移動させ、当該部分が隣接する、当該漂着救助装置下部側の部分を、当該部分に対し、相対的に高くさせる構造とすることにより、前記転落防止装置とした装置。
- 前記請求項14は、記載の転落防止装置が、本水流と直交する水平方向に配された回転軸により支持され、その先端に、当該回転軸と平行な回転軸を介して、ねじりばねと回転止めで回転を制御された爪を具有し、当該爪は、
本水流による浸水時、当該ねじりばねにより前記漂着救助装置上流側前面より突出され、水中での前記水害遭難者の身体の当該前面に沿った上昇時には、当該水害遭難者の身体が接触し、当該上昇方向への荷重を作用されることにより、当該前面に押し込まれ、かつ、当該水害遭難者の身体の当該前面に沿った下方への移動時には、当該水害遭難者の身体が接触し、当該下方への移動方向に作用される荷重により当該爪に発生する回転モーメントを、当該爪が接続する回転軸と当該回転止めを介し、当該転落防止装置に伝達させることにより、当該転落防止装置を回転させて当該漂着救助装置から突出させる構造とした装置。 - 前記請求項1から16までの、いずれか一つまたは複数の請求項に記載の装置を、複数、鉛直方向に、水平面に投影したときに重なる部分を持つように配置した装置。
- 前記請求項1から17までのいずれかに記載の装置は、
防波堤、防潮堤、または、堤防の、上方、側方、または、上方及び側方を覆うと共に、当該装置上部に、避難スペースや避難通路となる、上部避難路を具有し、当該上部避難路の上面の高さを、当該防波堤、防潮堤、または、堤防を越流する本水流の予想水面より高い位置に設定した装置。 - 前記請求項1から18までのいずれかに記載の装置は、
建築物を囲む外周の、全部または部分に設置され、当該建築物の外壁面が地面と接する部分より上部にて、当該建築物と接続する構造とされた装置。 - 津波や洪水等の水害時に、当該水害により引き起こされることが予想される水流の動圧による荷重や漂流物の衝突により、構造物が破壊されることを防止するための、当該構造物における支持構造で、通常時は、支持対象部分の重量により、安定して当該支持対象部分を支持し、本水流による浸水時は、本水流の動圧による荷重を受けて、当該支持対象部分を、本水流の方向に回転、倒伏、または、脱落させることにより、当該構造物が破壊されることを防止する構造であり、
当該支持構造は、当該支持対象部分と、地盤、基礎構造または床面に設置されたベースとを、水平面に投影した場合に軌道部分が本水流の方向と平行となる向きに配され、本水流の方向に上がっていく傾斜を成す軌道部分を含む、スライダーやガイドと、当該スライダーやガイドに接続するピンとからなる、複数組の接続部分により接続されて成り、
各接続部分は、それぞれ、スライダーやガイドと、ピンのうち、一方はベース側に、他方は当該支持対象部分側に具有され、
当該支持対象部分は、当該接続部分の、スライダーやガイドに、それぞれ接続するピンを沿わせて相対的に移動させることにより、動作や姿勢を制御され、
当該支持構造は、少なくとも、当該支持対象部分の回転軸またはピンの軸線方向に重なり合わない2組の接続部分を含み、これら2組の接続部分のうち、いずれか一方となる第一の接続部分は、通常時に、ピンが本水流の方向に上がっていく傾斜を成す軌道部分の端部に位置し、当該端部は、当該軌道部分以外の方向に閉じていることにより当該端部に位置している当該ピンの相対的な移動を制限し、当該ピンと当該端部との間で、通常時の、当該支持対象部分の重量による鉛直荷重、並びに、一定の範囲の方向または当該重量に対し一定の割合以下となる大きさの、当該支持対象部分の重量により生じる転倒モーメントによる荷重並びに当該支持対象部分に作用する衝撃及び風圧による荷重を含む、その他の荷重を伝達し、他方となる第二の接続部分のスライダーやガイドによる軌道の、通常時にピンが位置する部分が、通常時に第一の接続部分のスライダーやガイドの前記端部に位置するピンの芯を中心とした円弧を成さないことにより、通常時に当該支持対象部分を安定して支持し、
本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重を受けて、当該支持対象部分が上昇しながら本水流の方向に移動することにより、全ての接続部分のピンは、それぞれが接続するスライダーやガイドの、本水流の方向に上がっていく傾斜を成す軌道部分を相対的に通過し、このとき、当該支持構造を構成する接続部分のうち、
a)少なくとも1組の接続部分は、スライダーやガイドの、接続するピンが相対的に接近する側の端部を、閉じた形状とすることにより、当該ピンを相対的に当該端部に到達させ、本水流の動圧による荷重を受け続ける当該支持対象部分を、当該端部に相対的に到達した当該ピンを回転軸として、計画した角度まで回転または倒伏させる構造で、かつ、当該接続部分に対し当該支持対象部分の回転軸またはピンの軸線方向に重なり合わない全ての接続部分のスライダーやガイドは、前記により当該支持対象部分が計画した角度まで、または、倒伏するまで回転する間、それぞれ接続するピンの軸部外周が相対的に描く軌跡を、全て包含する、または、当該軌跡のいずれの部分も遮断せず、外部に開放する部分を持つ形状である構造、または、
b)全ての接続部分のスライダーやガイドが、それぞれ接続するピンが相対的に接近する側が、閉じておらず、外部に開放された形状であることにより、当該支持対象部分を脱落させる構造。 - 前記請求項20は、記載の支持対象部分に浮体部分を具有させ、または記載の支持対象部分を浮体とした構造。
- 前記請求項20または21は、浸水時以外に、または、地震時に、記載の支持対象部分を、回転、倒伏、または、脱落させない、ロック機構を持つ構造。
- 前記請求項20から22までのいずれかに記載の構造は、手摺やフェンスの支持構造。
- 前記請求項20から23までのいずれかに記載の構造は、本水流による浸水時に、本水流の動圧による荷重を受けて、前記支持対象部分を本水流の方向に回転させる構造で、かつ、当該支持対象部分を回転させた際に当該支持対象部分を支持する構造の一部を成す控えを具有し、当該控えは、
当該支持対象部分に、本水流と直交する水平方向に配された回転軸、または、当該回転軸に加えて軌道が鉛直方向成分を含むスライダーを介して接続され、
本水流による浸水時には、本水流の動圧による荷重を受け、開き止めにより回転の角度が制限されるまで、当該回転軸を中心として、本水流の方向に回転して展開し、
当該支持対象部分が、本水流の動圧による荷重を受けて、本水流の方向に回転した際に、当該控えの下端を、地面、基礎構造上面、または、床面に到達させることにより、当該支持対象部分を支持する構造の一部を成す構造。 - 前記請求項1から3まで、7、9、10、11、または、13から19までのいずれかに記載の装置は、本水流の方向に上がっていく傾斜を成して設置されることにより、または、前記請求項20から24までのいずれかに記載の構造で支持し、本水流による浸水時に、本水流の動圧による荷重を受けて、本水流の方向に一定の角度まで回転させることにより、前記漂着救助装置を成す、ルーバー、手摺やフェンス、または、これらを組み合わせた装置。
- 津波や洪水等の水害時における、防災、避難や救助のための装置の架構であって、通常時は倒伏した状態であり、動力により、または、津波や洪水等の水害により引き起こされることが予想される水流による浸水時の浮力もしくは本水流の動圧による荷重を受けることにより、起立する架構で、
当該架構は、当該架構の起立中は本水流の方向に上がっていく傾斜を成しながら起立する、第一の部材を有し、
第一の部材は、第一の部材の起立時に下端となる部分が、本水流と直交する水平方向に配された回転軸を介し、地盤もしくは基礎構造に設置された、水平面に投影した場合に軌道部分が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダーやガイドに接続され、
第一の部材は、第一の部材の起立時に上部または中間となる部分に、本水流と直交する水平方向に配された回転軸または方向を問わず回転自在な接続部を介し、第二の部材に接続され、
第二の部材は、第二の部材の起立時に下端となる部分が、本水流と直交する水平方向に配された回転軸または方向を問わず回転自在な接続部を介し、地盤もしくは基礎構造に、または、地盤もしくは基礎構造に設置された、水平面に投影した場合に軌道部分が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダーやガイドに接続され、
当該架構の起立時には、第一の部材と第二の部材が異なる勾配の傾斜を成す構造とすることにより、及び、
第一の部材は、第一の部材の起立時に第二の部材が接続する部分より下部となる部分において、浸水時に本水流を受けるパラシュート状の装置、通常時は倒伏した状態で浸水時は起立し本水流を受ける板状の装置、ウィンチ、または、アクチュエータに接続され、
第一の部材が、接続するウィンチもしくはアクチュエータによる荷重を受け、または、本水流により浸水し、接続する浸水時に本水流を受けるパラシュート状の装置もしくは通常時は倒伏した状態で浸水時は起立し本水流を受ける板状の装置による荷重を受けることにより、起立する架構。 - 前記請求項26は、記載の第一の部材が、接続する、浸水時に本水流を受けるパラシュート状の装置、通常時は倒伏した状態で浸水時は起立し本水流を受ける板状の装置、ウィンチ、または、アクチュエータによる荷重を受け、即座に起立を開始できるようにする、起立補助機構を持つ架構。
- 前記請求項27は、記載の起立補助機構が、
第一の部材及びこれに接続された構造部材のうちの、全部または一部となる構造部分が、前記架構の倒伏時に、水平面に投影した場合に軌道の方向が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダーやガイドを含む、変形や移動の軌道を制限する機構のみにより拘束または支持されることにより、当該構造部分が、接続する、ウィンチもしくはアクチュエータにより作用される荷重、または、本水流により浸水し、浸水時に本水流を受けるパラシュート状の装置もしくは通常時は倒伏した状態で浸水時に起立し本水流を受ける板状の装置により作用される荷重を受け、倒伏した状態のまま、本水流の方向に移動できる構造を採り、かつ、当該構造部分と、地盤または基礎構造との間に、
a)当該構造部分の一部を押し上げる摺動部を有し、
当該摺動部は、当該構造部分と、地盤または基礎構造の、双方に対偶を具有させて、当該対偶が互いに摺動し合う機構とすることにより成り、
当該対偶のうち少なくともいずれか一方は本水流の方向に上がっていく傾斜を持つ案内面を含み、倒伏した状態の当該構造部分が本水流の方向に移動すると、当該対偶が互いに摺動し合い、当該構造部分が具有する対偶が上方に誘導されることにより、
b)もしくは、当該構造部分の一部を押し上げる可動体を有し、
当該可動体は、水平面に投影した場合に軌道の方向が本水流の方向と平行となる向きに配された、スライダー、案内面やガイド、回転軸を含む、変形や移動の軌道を制限する機構によって姿勢を制御され、
当該可動体は、倒伏した状態のまま本水流の方向に移動した当該構造部分により接触され、本水流の方向に押し込まれ、
または、ウィンチもしくはアクチュエータに接続され、これらにより作用される荷重、もしくは、前記パラシュート状の装置もしくは前記板状の装置に接続され、本水流により浸水し、これらの装置により作用される荷重を受け、本水流の方向に押し込まれ、
当該可動体の少なくとも一部が上方に誘導されることにより、
c)または、当該摺動部と当該可動体とを併せて有し、
倒伏した状態の当該構造部分が本水流の方向に移動した範囲により、当該構造部分が具有する対偶が上方に誘導され、または、当該可動体の少なくとも一部が上方に誘導されることにより、
倒伏した状態の当該構造部分が本水流の方向に移動した際に、当該構造部分の一部を上方に押し上げ、当該架構の起立を補助する、前記起立補助機構を構成する架構。 - 前記請求項1から16のいずれかに記載の装置は、前記請求項26から28までのいずれかに記載の架構を持つ装置。
- 津波や洪水等の水害時の本水流を抑制する装置や防潮堤を成す装置で、前記請求項26から28までのいずれかに記載の架構を持つ装置。
- 漂流物ガードを成す装置で、前記請求項26から28までのいずれかに記載の架構を持つ装置。
- 避難施設を成す装置で、前記請求項26から28までのいずれかに記載の架構を持つ装置。
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