JP6369310B2 - 含油スラッジの処理方法および製鉄原料の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、圧延工程においては、摩擦係数を低減して圧延負荷を軽減したり、圧延機の潤滑性を確保し、損耗等を防止したりするために、種々の圧延潤滑油や作動油、グリース等が使用されている。そのため、この圧延潤滑油などの油分を含む鉄系のスラッジが多量に発生する(以降、このような油分を含むスラッジを、単に「含油スラッジ」ともいう)。
ところが、前述のように、含油スラッジは、多いものでは10質量%以上の油分を含んでいる。そのため、焼結原料中に含まれる油分が気化し、電気集塵機やバグフィルターに付着する。電気集塵機やバグフィルターに付着した油分は、目詰まりや火災などの事故の原因となる。
例えば、特許文献1には、並流式回転キルン型燃焼炉を使用した含油スラッジの処理方法において、燃焼炉の炉内で含油スラッジ中の油分が蒸発する地点に、油分を燃焼するのに必要な空気または酸素を富化した空気を強制的に吹き込むとともに、燃焼炉の出側の排ガス中酸素濃度を0.1〜5体積%に制御し、さらに含油スラッジの投入口の炉内の内壁面温度を400℃以上とした条件下で油分を燃焼除去し、油分の除去されたスラッジを非酸化条件下で冷却することが開示されている。
また、特許文献2に記載される含油スラッジの処理方法によれば、含油スラッジを小塊状にして分散して燃焼することによって、含油スラッジの燃焼効率を向上し、かつ、LPG等の助燃料の使用量も低減できる。
含油スラッジから揮発した油分は、焙焼炉などの燃焼炉内の空間で、過剰の空気により燃焼し、CO2あるいはH2Oとなる。
これらのダストは、サイクロンや電気集塵機等の排ガス処理装置によって排ガスから除去される。除去したダストは、鉄分として利用可能である。しかしながら、このダストには、前述のような、燃焼炉内で揮発して、燃焼されなかった油分が付着しており、しかも、油分濃度が高いことから、焼結原料として使用しづらい。
その結果、含油スラッジの処理で排出される排ガスに含まれる含油ダストを回収し、この含油ダストを含油スラッジおよび/または燃料等に混合して、再度、焙焼炉等の燃焼炉に供給することにより、含油スラッジ中の油分を完全に燃焼することが可能になり、含油スラッジ中の鉄分の焼結原料等への使用量を増加できることを見出し、本発明に至った。
また、前記含油ダストを、前記燃料に混合して燃焼炉に供給するのが好ましい。
また、前記燃焼炉から排出された排ガスを排ガス処理設備によって処理し、前記排ガス処理設備によって回収した含油ダストを、前記燃焼炉に供給するのが好ましい。
また、前記排ガス処理設備が、複数の処理装置によって排ガスの処理を行うものであるのが好ましい。
さらに、前記排ガス処理設備が、最初にサイクロンによって排ガスを処理し、次いで、電気集塵機によって排ガスを処理するものであるのが好ましい。
また、ロータリーキルン10には、含油スラッジと同時に、ブロワ24によって燃焼用空気が供給され、また、図示しない供給装置によって重油等の燃料が供給される。燃焼用空気は、ロータリーキルン10内の酸素が過剰になるように供給される。
ここで、図1および図2に示す例では、含油スラッジは、混合機50において含油ダストと混合された後、供給管50aによってホッパ18に投入される。この点に関しては、後に詳述する。
なお、排気管28から分岐して含油ダスト回収槽52に接続する配管36は、排気管28の途中に蓄積したダスト等を抜き出すための配管である。
また、同様の理由で、排ガスには、キルンフード16の下部からも、冷却用空気(冷却用空気1)が混合される。
冷却用空気は、いずれも、ブロワ32による吸引で吸い込まれる。
すなわち、サイクロン12や電気集塵機14等の排ガスの処理設備が十分な耐熱性を有する場合には、冷却用空気1および冷却用空気2の少なくとも一方、あるいは、両方とも、混合しなくてもよい。
サイクロン12で処理された排ガスは、次いで、電気集塵機14で処理されて、含油ダストが、さらに除去される。
サイクロン12および電気集塵機14で回収された含油ダストは、ブロワ38によって回収管40を輸送され、微粉ダスト回収槽52に搬送される。
また、排ガスの処理は、サイクロン12および/または電気集塵機14以外にも、バグフィルタ等、含油スラッジの処理における排ガス処理に用いられる各種の処理手段が利用可能である。
図2に示す含油スラッジの処理設備において、ロータリーキルン10から煙突34に到る排ガスの輸送、および、排ガスへの冷却用空気1および冷却用空気2の混合(排ガスへの冷却用空気の吸引)は、電気集塵機14と煙突34との間に配置されるブロワ32によって行われる。
混合機50には、含油スラッジも供給される。混合機50に供給された含油ダストは、混合機50において、含油スラッジと混合されて、供給管50aから、ホッパ18に投入される。ホッパ18に投入された含油ダストは、供給装置20によって、含油スラッジと共に、再度、ロータリーキルン10に供給される。
油分が除去された含油スラッジおよび含油ダストは、油分除去スラッジとして、油分除去スラッジ回収槽30に回収される。
また、本発明の製鉄原料の製造方法は、本発明の含油スラッジの処理方法を利用するものであり、本発明の含油スラッジの処理方法と同様の処理を行って、ロータリーキルン10等の燃焼炉から油分除去スラッジを回収することにより、焼結原料や転炉製鋼原料などの製鉄原料を製造するものである。そのため、本発明の含油スラッジの処理方法および本発明の製鉄原料の製造方法によれば、従来は製鉄原料として利用することが困難であった未揮発油分が付着した含油ダストを、油分除去スラッジとして回収して、焼結原料や転炉製鋼原料などの製鉄原料として利用できるので、含油スラッジに含まれる鉄分の利用効率を向上できる。また、ロータリーキルン10の温度を上昇する必要も無いので、重油等の燃料の使用量が増加することも抑制できる。
さらに、含油ダストをロータリーキルン10で再処理する本発明によれば、含油ダストの排出量も低減できる。
好ましくは、含油ダストが含油スラッジの表面に出ない形態とする。すなわち、電気集塵機14等から回収された含油ダストは、水分が少なく、飛散しやすい。このような含油ダストが含油スラッジの表面に存在した状態でロータリーキルン10に供給した場合、含油ダストが飛散してしまい、油分が燃焼せずに排出されてしまう場合が有る。従って、含油ダストは、含油スラッジの内部に存在するのが好ましい。
含油スラッジと含油ダストとの混合方法としては、具体的には、鉄鋼製造業で用いられている混合用の重機等を用いて混合する方法や、スクリュー混練機等の公知の混練機で混合する方法が例示される。
しかしながら、必要に応じて、回収した含油ダストの一部を、ロータリーキルン10には供給せず、そのまま回収して、別の用途等に利用してもよい。
また、回収される含油ダストの量に応じて、ロータリーキルン10に供給する含油スラッジの量に対する含油ダストの量が、経時で変化してもよい。さらに、ロータリーキルン10に供給する含油スラッジの量に対する含油ダストの量を、調節可能にしてもよい。
含油スラッジの量に対する含油ダストの量の上記質量比とすることにより、含油ダストを油分除去スラッジとして好適に回収できる等の点で好ましい。
なお、含油スラッジの量に対する含油ダストの量の下限は、含油ダストの発生量に応じた量比とすればよい。
図1および図2に示す例では、回収した含油ダストを含油スラッジと混合して、ロータリーキルン10に供給している。
これに対して、図3に示す例では、サイクロン12および電気集塵機14で回収した含油ダストを、混合機60によって重油等の燃料と混合して、スラリーとしてロータリーキルン10に供給する。
なお、重油等の液体燃料の供給量は、基本的に、含油ダストの混合量によらず、一定とすればよい。しかしながら、必要に応じて、液体燃料の供給量を調節してもよい。
また、含油ダストを混合した後の燃料の粘度を下げるために、液体燃料の輸送配管を加温してもよい。
具体的には、インペラー式攪拌機(回転軸にインペラー羽根が付いた攪拌機)を用いる方法や、スタティックミキサー(パイプの内部に仕切りバッフルを設けた攪拌機)を用いる方法等が例示される。
なお、本発明は、以下の実施例に限定されないのは、もちろんである。
図2に示す含油スラッジの処理設備を用いて、含油スラッジの処理を行った。
条件は、以下のとおりである。
ロータリーキルン10への含油スラッジの供給量; 1.75t/h
なお、含油スラッジは、油分濃度が10質量%、水分濃度が30質量%で、残部は鉄と不可避的不純物からなるものである。また、ロータリーキルン10に供給した含油スラッジは、サイクロン12および電気集塵機14で回収した含油ダストと、サイクロン12から回収した保管中の含油ダスト350kg/h(油分濃度;0.96質量%)および電気集塵機14から回収した保管中の含油ダスト50kg/h(油分濃度;1.10質量%)とを含むものである。
キルンフード16から排出される排ガスの温度; 550℃
重油供給速度; 140L(リットル)/h
燃焼用空気の供給速度; 2687Nm3/h
冷却用空気1の供給量(吸い込み量); 950Nm3/h
冷却用空気2の供給量(吸い込み量); 7200Nm3/h
また、電気集塵機14で回収した含油ダストの量は、12kg/hで、回収した含油ダスト中の油分濃度は、0.45質量%であった。
サイクロン12および電気集塵機14で回収した含油ダストは、全て、混合機50に供給して、含油スラッジに混合した。
ロータリーキルン10に供給する含油スラッジに混合する、サイクロン12から回収した保管中の含油ダストの量を100kg/hとし、電気集塵機14から回収した保管中の含油ダストの量を20kg/hとした以外は、実施例1と同様に含油スラッジの処理を行った。
サイクロン12で回収した含油ダストの量は、96kg/hで、回収した含油ダスト中の油分濃度は、0.49質量%であった。
また、電気集塵機14で回収した含油ダストの量は、12kg/hで、回収した含油ダスト中の油分濃度は、0.48質量%であった。
サイクロン12および電気集塵機14で回収した含油ダストを、混合機50に供給しなかった以外は、実施例1と同様にして、含油スラッジの処理を行った。
また、電気集塵機14で回収した含油ダストの量は、12kg/hで、回収した含油ダスト中の油分濃度は、1.10質量%であった。
含油ダスト回収槽52の含油ダストは、経時と共に増加した。
図3に概念的に示す含油スラッジの処理設備を用いて、含油スラッジの処理を行った。
条件は、以下のとおりである。
ロータリーキルン10への含油スラッジの供給量; 1.75t/h
なお、含油スラッジは、油分濃度が10質量%、水分濃度が30質量%で、残部は鉄と不可避的不純物からなるものである。
キルンフード16から排出される排ガスの温度; 550℃
重油供給速度; 140L/h
なお、重油には、サイクロン12および電気集塵機14で回収した含油ダストを混合した。
燃焼用空気の供給速度; 2687Nm3/h
冷却用空気1の供給量(吸い込み量); 950Nm3/h
冷却用空気2の供給量(吸い込み量); 7200Nm3/h
また、電気集塵機14で回収した含油ダストの量は、12kgt/hで、回収した含油ダスト中の油分濃度は、0.41質量%であった。
サイクロン12および電気集塵機14で回収した含油ダストは、全て、ロータリーキルン10に供給する重油に混合した。
12 サイクロン
14 電気集塵機
16 キルンフード
18 ホッパ
20 スクリューフィーダ
24、32、38、46 ブロワ
26 スラッジ搬送コンベア
28 排気管
30 油分除去スラッジ回収槽
34 冷却塔
40 回収管
50 混合機
52 含油ダスト回収槽
54 輸送管
Claims (7)
- 鉄系の含油スラッジを、550℃を超えない温度で運転される燃焼炉によって処理する際に、
前記燃焼炉に、前記鉄系の含油スラッジと、燃料と、前記燃料を燃焼するための燃焼用空気とを供給すると共に、前記燃焼炉から排出された排ガスから回収した含油ダストを、前記含油スラッジと同時に前記燃焼炉に供給することを特徴とする含油スラッジの処理方法。 - 前記含油ダストを、前記含油スラッジに混合して燃焼炉に供給する請求項1に記載の含油スラッジの処理方法。
- 前記含油ダストを、前記燃料に混合して燃焼炉に供給する請求項1または2に記載の含油スラッジの処理方法。
- 前記燃焼炉から排出された排ガスを排ガス処理設備によって処理し、前記排ガス処理設備によって回収した含油ダストを、前記燃焼炉に供給する請求項1〜3のいずれかに記載の含油スラッジの処理方法。
- 前記排ガス処理設備が、複数の処理装置によって排ガスの処理を行うものである請求項4に記載の含油スラッジの処理方法。
- 前記排ガス処理設備が、最初にサイクロンによって排ガスを処理し、次いで、電気集塵機によって排ガスを処理するものである請求項5に記載の含油スラッジの処理方法。
- 鉄系の含油スラッジと、燃料と、前記燃料を燃焼するための燃焼用空気とを550℃を超えない温度で運転される燃焼炉に供給すると共に、前記燃焼炉から排出された排ガスから回収した含油ダストを、前記含油スラッジと同時に前記燃焼炉に供給し、
前記燃焼炉から油分除去スラッジを回収することを特徴とする製鉄原料の製造方法。
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