JP6222077B2 - 含油スラッジの処理方法および製鉄原料の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、圧延工程においては、摩擦係数を低減して圧延負荷を軽減したり、圧延機の潤滑性を確保し、損耗等を防止したりするために、種々の圧延潤滑油や作動油、グリース等が使用されている。そのため、この圧延潤滑油などの油分を含む鉄系のスラッジが多量に発生する(以降、このような油分を含むスラッジを、単に「含油スラッジ」ともいう)。
ところが、前述のように、含油スラッジは、多いものでは10質量%以上の油分を含んでいる。そのため、焼結原料中に含まれる油分が気化し、電気集塵機やバグフィルターに付着する。電気集塵機やバグフィルターに付着した油分は、目詰まりや火災などの事故の原因となる。
例えば、特許文献1には、並流式回転キルン型燃焼炉を使用した含油スラッジの処理方法において、燃焼炉の炉内で含油スラッジ中の油分が蒸発する地点に、油分を燃焼するのに必要な空気または酸素を富化した空気を強制的に吹き込むとともに、燃焼炉の出側の排ガス中酸素濃度を0.1〜5体積%に制御し、さらに含油スラッジの投入口の炉内の内壁面温度を400℃以上とした条件下で油分を燃焼除去し、油分の除去されたスラッジを非酸化条件下で冷却することが開示されている。
コスト低減や環境のためにも、含油スラッジの処理では、使用する燃料は削減するのが好ましい。
そのため、燃焼炉から排出された排ガスはサイクロンや電気集塵機等の処理装置で処理されるが、前述のように、排ガス中の油分は、目詰まりや火災などの事故の原因となる。従って、含油スラッジの処理を行う燃焼炉から排出される排ガスには、含有する油分が少ないことが求められる。
また、特許文献2に記載される含油スラッジの処理方法によれば、含油スラッジを小塊状にして分散して燃焼することによって、含油スラッジの燃焼効率を向上し、かつ、LPG等の助燃料の使用量も低減できる。
鉄系の含油スラッジを、ロータリーキルン等の燃焼炉で処理した場合、キルン出口から高温の排ガスが排出される。通常、含油スラッジ処理設備には排ガスに含有されるダスト処理としてサイクロン、電気集塵機等が設置されている。この排ガス中には含油スラッジより揮発した未燃焼の油分が含有され、この油分が排ガス処理設備に供給された場合には、発火等のトラブルを有する。
しかしながら、燃焼炉より排出される排ガスは500℃以上の高温顕熱を有し、かつ、未燃焼油分を含有する。従って、この排ガスの一部を、排ガスの処理経路より分岐し、燃焼炉に供給する燃焼用空気として利用することにより、排ガスが有する顕熱が燃焼に寄与するため、燃料の使用料を削減できる。しかも、排ガスの一部を燃焼用空気として燃焼炉に供給することにより、排ガスが燃焼炉を含む経路を循環する結果となり、排ガス中の油分も低減できる。
また、さらに、前記排ガス処理設備に供給する排ガスに冷却用空気を混合し、前記冷却用空気が混合されていない排ガスを、前記燃焼用空気として用いるのが好ましい。
また、さらに、前記燃焼炉から排出された排ガスを排ガス処理設備によって処理し、かつ、前記排ガス処理設備が、複数の処理装置によって排ガスの処理を行うものであり、最初の前記処理装置によって処理された排ガスを、前記燃焼用空気として用いるのが好ましい。
さらに、前記排ガス処理設備が、最初にサイクロンによって排ガスを処理し、次いで、電気集塵機によって排ガスを処理するものであるのが好ましい。
また、ロータリーキルン10には、含油スラッジと同時に、ブロワ24によって燃焼用空気が供給され、また、図示しない供給装置によって重油等の燃料が供給される。燃焼用空気は、酸素が過剰になるように供給される。
なお、排気管28から分岐して回収槽30に接続する配管36は、排気管28の途中に蓄積したダスト等を抜き出すための配管である。
また、同様の理由で、排ガスには、キルンフード16の下部からも、冷却用空気(冷却用空気1)が混合される。
すなわち、サイクロン12や電気集塵機14等の排ガスの処理設備が十分な耐熱性を有する場合には、冷却用空気1および冷却用空気2の少なくとも一方、あるいは、両方とも、混合しなくてもよい。後述する燃焼用空気として供給する排ガスの温度の点からは、冷却用空気1および冷却用空気2は、少なくとも一方を混合しないのが好ましく、両方とも混合しないのが、より好ましい。
サイクロン12で処理された排ガスは、次いで、電気集塵機14で処理されて、微粉ダストおよび未燃焼油分が、さらに除去される。
サイクロン12および電気集塵機14で回収された微粉ダストは、ブロワ38によって回収管40を輸送され、油分除去スラッジと同様に回収槽30に搬送される。
また、排ガスの処理は、サイクロン12および/または電気集塵機14以外にも、バグフィルタ等、含油スラッジの処理における排ガス処理に用いられる各種の処理手段が利用可能である。
図2に示す含油スラッジの処理設備において、ロータリーキルン10から煙突34に到る排ガスの輸送、および、排ガスへの冷却用空気1および冷却用空気2の混合(排ガスへの冷却用空気の吸引)は、電気集塵機14と煙突34との間に配置されるブロワ32によって行われる。
すなわち、図示例の含油スラッジ処理設備では、ロータリーキルン10から排出された排ガスの一部を分岐して、分岐した排ガスを、燃焼用空気として、ブロワ46によって排ガス供給管42からロータリーキルン10に供給する(排ガスの一部を循環する)。
本発明の含油スラッジの処理方法においては、ロータリーキルン10から排出された排ガスの一部を、燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給することにより、燃料として供給する重油の使用量を削減し、かつ、排ガスに含まれる油分を低減する。
また。ロータリーキルン10から排出される排ガスには、未燃焼油分が数mg/Nm3程度含まれている。排ガスを燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給することにより、この未燃焼油分も燃料として利用できるので、含油スラッジを極めて効率的に処理でき、この点でも、燃料として供給する重油の使用量を削減できる。
さらに、排ガスの一部を分岐して燃焼用空気として燃焼炉に供給することにより、排ガスが燃焼炉を含む経路を循環する結果となり、排ガス中の油分も低減できる。加えて、排ガス中に含まれる油分を低減できるので、排ガスを処理するサイクロン12や電気集塵機14の汚染や、異常高温、発火等のトラブルを回避できる。
また、本発明の製鉄原料の製造方法は、本発明の含油スラッジの処理方法を利用するものであり、本発明の含油スラッジの処理方法と同様の処理を行って、ロータリーキルン10から油分除去スラッジら回収し、かつ、サイクロン12および電気集塵機14から微粉ダストを回収することにより、製鉄原料を製造するものである。従って、本発明の含油スラッジの処理方法および本発明の製鉄原料の製造方法によれば、含油スラッジを極めて効率的に処理できるため、処理した含油スラッジや排ガスから回収した微粉ダストを焼結原料や転炉製鋼原料等の製鉄原料として好適に利用でき、含油スラッジに含まれる鉄分の利用効率を向上できる。
本発明者の検討によれば、排ガスの分岐量は、燃焼用空気(分岐した排ガス(循環ガス)を混合した後の、ロータリーキルン10の入口における燃焼用空気)中の酸素濃度により規定するのが好ましい。
燃焼用空気中の酸素濃度が16%未満となった場合には、重油および含油スラッジ中の油分の燃焼が不安定となる。また、排気管28から分岐する排ガスの量が多くなると、相対的に排ガスの量が増加して、ロータリーキルン10内におけるガス速度が速くなり、気相中での油分の燃焼に必要な滞留時間が確保できなくなる。また、ロータリーキルン10内におけるガス流速が速くなることで、飛散するダスト量も増加する。
そのため、排ガスの分岐量は、キルンフード16の出口における排ガスの10〜30vol%であるのが好ましく、20〜30vol%であるのがより好ましい。
排ガスの分岐量を、キルンフード16の出口における排ガスの10〜30vol%とすることにより、排ガスをロータリーキルン10に供給する効果を十分に得て、使用する燃料をより削減できる。
この場合には、一例として、含油スラッジの含油量、含油スラッジの処理量等に応じて、排ガスの分岐量を調節すればよい。
さらに、含油スラッジの供給量も、ロータリーキルン10大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
また、燃焼用空気として供給する排ガスは、可能な限り可能な限りロータリーキルン10(キルンフード16の出口)に近い排ガスであるのが好ましい。すなわち、燃焼用空気として供給する排ガスは、設備の設計上、可能な限りロータリーキルン10の排ガス排出口に近い位置から分岐するのが好ましい。これにより、同様に、より高温の排ガスをロータリーキルン10に供給できる。
例えば、排気管28で排ガスを輸送するブロワ32による送風量を制御することによって、排気管28から分岐する排ガス供給管42から、ロータリーキルン10に排ガスを供給してもよい。
図1および図2に示す例では、ロータリーキルン10とサイクロン12との間(かつ、冷却用空気2の導入部の上流)から分岐して、排ガスを燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給している。
これに対して、図3に示す例は、サイクロン12と電気集塵機14との間で分岐して、燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給する。すなわち、排ガスを最初に処理するサイクロン12によって処理した排ガスを、燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給する。サイクロン12で処理した排ガスも、ある程度の高温である。従って、この排ガスを燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給することにより、排ガスの顕熱分が重油等の燃料の削減に寄与する。
サイクロン12で処理した排ガスや、電気集塵機14によって処理した排ガスを、燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給する場合において、排ガスの分岐量は、キルンフード16から排出される排ガスの分岐量と同様に、各処理機からの排ガスの排出量の10〜30vol%とするのが好ましく、20〜30vol%とするのがより好ましい。ただし、図示例のように、冷却用空気2を供給する場合には、上記分岐量では、ロータリーキルン10に供給する排ガスの量が多くなってしまう傾向に有るので、注意を要する。
しかしながら、燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給する排ガスの温度を考慮すれば、できるだけロータリーキルン10に近い位置(できるだけ上流側)で分岐して、排ガスをロータリーキルン10に供給するのが好ましい。
従って、本発明においては、図1および図2に示す例のように、最初の処理装置であるサイクロン12で処理される前の排ガス、すなわち、サイクロン12よりも上流で分岐して、排ガスを燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給するのが好ましい。
しかしながら、ブロワ24によって供給する燃焼用空気燃の制御性や、燃焼用空気として供給する排ガスの制御性等を考慮すると、燃焼用空気としてロータリーキルン10に供給する排ガスは、1箇所から分岐した排ガスのみとするのが好ましい。
なお、本発明は、以下の実施例に限定されないのは、もちろんである。
図2に示す含油スラッジの処理設備を用いて、含油スラッジの処理を行った。
条件は、以下のとおりである。
ロータリーキルン10への含油スラッジの供給量; 1.75t/h
なお、含油スラッジは、油分濃度が10質量%、水分濃度が30%で、残部は鉄と不可避的不純物からなるものである。
重油供給速度; 106L(リットル)/h
燃焼用空気の供給量(排ガスを除く); 2687Nm3/h
冷却用空気1の供給量(吸い込み量); 950Nm3/h
冷却用空気2の供給量(吸い込み量); 7200Nm3/h
また、サイクロン12から排出された排ガスは、排ガス量が11640Nm3/hで、油分濃度が7mg/Nm3、ダスト濃度が0.960g/Nm3であった。
燃焼用空気として供給する排ガスの分岐位置を、冷却用空気2の混合位置の上流から図3に示すサイクロン12と電気集塵機14との間に変更した以外は、図2に示す含油スラッジの処理設備を用いて、実施例1と同様に含油スラッジを処理した。
なお、排ガスの分岐位置の変更に伴い、重油供給速度のみ、109L/hに変更した。
サイクロン12から排出される排ガスは、排ガス量が13377Nm3/hで、その内から、1747Nm3/h(分岐量13vol%)を分岐して、燃焼用空気(温度190℃)としてロータリーキルン10に供給した。また、サイクロン12から排出された排ガスは、油分濃度が7mg/Nm3、ダスト濃度が0.86g/Nm3であった。
分岐した排ガスを燃焼用空気としてロータリーキルンに供給しなかった以外は、図2に示す含油スラッジの処理設備を用いて、実施例1と同様に含油スラッジを処理した。
なお、排ガスを燃焼用空気として供給しなかったことに伴い、重油供給速度のみ、120L/hに変更した。
また、サイクロン12から排出された排ガスは、排ガス量が11650Nm3/hで、油分濃度が9mg/Nm3、ダスト濃度が0.984g/Nm3であった。
特に、ロータリーキルン10から排出した排ガスを、冷却用空気2と混合する前に分岐した実施例1では、サイクロン12の下流で排ガスを分岐した実施例2に比して、良好な燃料削減効果が得られている。
12 サイクロン
14 電気集塵機
16 キルンフード
18 ホッパ
20 スクリューフィーダ
24、32、38、46 ブロワ
26 スラッジ搬送コンベア
28 排気管
30 回収槽
34 煙突
40 回収管
42 排ガス供給管
Claims (6)
- 鉄系の含油スラッジを燃焼炉によって処理する際に、
前記燃焼炉に、燃料と、前記燃料を燃焼するための燃焼用空気とを供給すると共に、前記燃焼炉から排出された排ガスの一部を、前記燃焼用空気の少なくとも一部として使用し、
前記燃焼用空気の少なくとも一部として用いられる排ガスは、前記燃焼炉から排気管へ排出される前記燃焼炉の出口における排ガスの10〜30vol%であることを特徴とする含油スラッジの処理方法。 - さらに、前記燃焼炉から排出された排ガスを排ガス処理設備によって処理し、
前記排ガス処理設備で処理されていない排ガスを、前記燃焼用空気として用いる請求項1に記載の含油スラッジの処理方法。 - さらに、前記排ガス処理設備に供給する排ガスに冷却用空気を混合し、
前記冷却用空気が混合されていない排ガスを、前記燃焼用空気として用いる請求項2に記載の含油スラッジの処理方法。 - さらに、前記燃焼炉から排出された排ガスを排ガス処理設備によって処理し、かつ、前記排ガス処理設備が、複数の処理装置によって排ガスの処理を行うものであり、
最初の前記処理装置によって処理された排ガスを、前記燃焼用空気として用いる請求項1に記載の含油スラッジの処理方法。 - 前記排ガス処理設備が、最初にサイクロンによって排ガスを処理し、次いで、電気集塵機によって排ガスを処理するものである請求項2〜4のいずれかに記載の含油スラッジの処理方法。
- 鉄系の含油スラッジと、燃料と、前記燃料を燃焼するための燃焼用空気とを燃焼炉に供給すると共に、前記燃焼炉から排出された排ガスの一部、前記燃焼用空気の少なくとも一部として使用し、
前記燃焼用空気の少なくとも一部として用いられる排ガスは、前記燃焼炉から排気管へ排出される前記燃焼炉の出口における排ガスの10〜30vol%であり、
前記燃焼炉より油分除去スラッジを、前記燃焼炉から排出された排ガスより微粉ダストを、それぞれ、回収することを特徴とする製鉄原料の製造方法。
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