JP6366214B6 - 血液透析用a剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、酢酸臭を低減でき、更に保存による固化、ブドウ糖を共存させた際のブドウ糖の分解、及び水に溶解した時のpH上昇を抑制でき、保存安定性に優れた固体状の血液透析用A剤を提供することである。
【解決手段】固体状の血液透析用A剤を、塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを実質的に含み、且つ塩化カルシウムを含む造粒物で構成された第1画分と、酢酸及び酢酸塩を含む第2画分とを含むことによって、前記課題を解決できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、酢酸及び酢酸塩を含む血液透析用A剤及びその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、酢酸及び酢酸塩を含み、酢酸臭を低減でき、更に保存による固化、ブドウ糖を共存させた際のブドウ糖の分解、及び水に溶解した時のpH上昇を抑制可能で、保存安定性に優れた固体状の血液透析用A剤及びその製造方法に関する。更に、本発明は、当該血液透析用A剤を用いた血液透析用剤に関する。
腎不全患者を対象とした透析療法は、血中電解質成分濃度の調節、尿毒症性物質の除去、酸塩基平衡の是正等を目的として実施されている。一般的に行われる透析療法には、大別して腹膜透析と血液透析があり、どちらの方法も透析液を使用する。
透析液には複数の成分が含まれているが、製剤安定性を有し、治療の目的に合致し、且つ生体に対する負担の少ない成分が適切な濃度で配合されているべきである。例えば、腹膜透析に使用される透析液には、一般的に、主として乳酸ナトリウムがアルカリ化剤として使用されているが、血液透析に使用する透析液には重炭酸ナトリウムや酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が含まれており、製剤化の難しさ、投与経路、生体適合性の観点から、それぞれの透析方法に合った成分が選定されている。
また、一般的に、腹膜透析は血液透析に比べ透析効率が緩徐であり、心臓や細胞への負担が少なく、且つ腎機能の低下が血液透析よりも緩やかになることが知られている。一方で、血液透析は週に3回程度、1回の透析につき4〜5時間程度行うのが一般的であり、透析処置中に比較的速い速度で除水、体内の老廃物除去が進行するため、不均衡症候群や低血圧を引き起こすことが多い。
このような透析効率の違いからも、腹膜透析と血液透析に使用される透析液には処方上の差異がある。例えば、現在世界で市販されている多くの血液透析用剤にはカリウムが含まれており、国内ではカリウムの含有されていない血液透析用剤は販売されていない。血液透析は時間効率が良く、カリウムが含まれていない場合には急激なカリウムイオンの除去により、低カリウム血症を引き起こす危険があるため、致死的危険域を下回らない濃度の塩化カリウムを含有する必要があるからである。一方で、本来、腎不全患者にとってカリウムは十分に除去すべき電解質であるため、透析進行が緩徐な腹膜透析用剤にカリウムを含まないことは、合理的である。例えば、特許文献1では、浸透圧調整物質としてグルコース、カチオンとしてナトリウムイオン(Na+)、カルシウムイオン(Ca+)、マグネシウムイオン(Mg+)の各濃度が所定の範囲内で、アニオンとしてクロルイオン(Cl-)及び/又は有機酸イオンを含み、その有機酸の種類と濃度を変化させることで除水性能が調節されたことを特徴とする栄養管理及び/又は血糖管理を必要とする腎不全患者用の腹膜透析液が開示されている。
血液透析用剤が液状の場合、その嵩高さ故に輸送コストが高く、またそれに見合った保管スペースも必要なことから、近年国内では固体製剤の使用が主流となっている。固体製剤は、透析処置前に専用の装置等を用いて所定量の水に溶解して透析液を調製することから、大容量の透析液を運ぶ必要がなく、医療従事者の負担を減らすことができる。
固体状の血液透析用剤は、当初は電解質及びpH調節剤を含むA−1剤と、ブドウ糖のみからなるA−2剤、炭酸水素ナトリウムからなるB剤の3剤で構成されていたが、現在国内で流通している多くの透析剤は、A剤とB剤から成る2剤型の固体状の血液透析用剤である。通常、A剤には塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、pH調節剤(酸および任意成分としてのバッファー成分)、及びブドウ糖が含まれており、B剤には炭酸水素ナトリウムが含まれている。また、不溶性塩の析出を防ぐため、B剤には塩化カルシウムや塩化マグネシウムの配合が禁忌とされている。また、例えば特許文献2には、透析処置中に、患者の病態に応じて、重炭酸イオン濃度やナトリウムイオン濃度を変化させることを可能とする、電解質成分(重炭酸ナトリウム及び塩化ナトリウム以外)を主として含むA剤、塩化ナトリウムを主として含むS剤、及び重炭酸ナトリウムを主として含むB剤からなる3剤型の血液透析用剤も提案されている。
今日では、血液透析用剤として使用されている重炭酸透析剤は、臨床において透析液として使用する際に以下の表1に示すような組成及び濃度となるように処方されている。
Figure 0006366214
血液透析用A剤には、通常、pH調節剤として酢酸が含まれている。酢酸は、短時間で代謝されるために生体への蓄積が少なく、血液透析用A剤を溶解した際のpHが、クエン酸や塩酸が含有されているものと比べて大きいことから、皮膚や機械に触れた時の影響が小さい。そのため、固体製剤のみならず、液状製剤にも酢酸を含む血液透析用剤が普及している。
医薬品における一般的な固体製剤は、少なくとも一部分に、必要な成分が必要な量均一に、しかも安定的に維持されていることが条件となり、液状製剤とは異なる特別な製剤化技術を要する。液状であれば、全成分が溶けて均一な状態にあるため、成分含量均一性について問題となることはないが、固体製剤において含量が均一に含まれている状態を作り出すことは容易ではない。
固体状の血液透析用剤の場合、一般的には、含まれる電解質成分の一部、又は全部が混合あるいは造粒された状態に加工することにより、含量均一性の向上は勿論、他の多くの課題を解決している。例えば、特許文献3には、粒状物(造粒物)に含まれる成分量がバラつく不具合を抑えつつ、製造効率の向上を図ることができる透析用剤及びその製造方法が開示されている。また、特許文献4には、造粒により、ある特定の積算細孔容積の比を50%以下にすれば、溶解性や貯蔵時の固化抑制等が優れたA剤用造粒物が得られることが開示されている。
また、近年、透析液中の総酢酸イオン含量が低いほど生理的に望ましく、6mEq/L未満または4mEq/L未満が望ましいとも学会等で報告されており、低い総酢酸イオン含量に設定できる血液透析用剤の開発が益々強く求められている。
固体状の血液透析用A剤にpH調節剤として酢酸を含む場合、しばしば酢酸臭が問題となる。加えて、酢酸は他成分と反応し固化を生じさせることがある。また、酢酸は、血液透析用A剤に広く一般的に含まれているブドウ糖類の分解を促進させる要因ともなる。
従来、血液透析用A剤に含まれる酢酸の揮発に起因する酢酸臭を低減させる手法について種々提案されている。例えば、特許文献5には、重炭酸透析液の調製に使用される透析用A剤において、酢酸及び酢酸塩を含有させ、且つ酢酸:酢酸塩のモル比が1:0.5〜2を充足させることによって、総酢酸イオン濃度が2mEq/L以上6mEq/L未満となるように重炭酸透析液を調製可能になり、透析用A剤中の成分の安定性が優れていることに加え、酢酸臭を低減できることが開示されている。また、特許文献6には、重炭酸透析液の調製に使用される固体状の透析用A剤において、ブドウ糖、酢酸及び酢酸塩を含み、酢酸及び酢酸塩の少なくとも一部が二酢酸アルカリ金属塩であり、且つ酢酸:酢酸塩のモル比を1:0.5〜2に設定することによって、総酢酸イオン濃度が2mEq/L以上6mEq/L未満となるような重炭酸透析液が調製可能となり、透析用A剤中の成分の安定性が優れていることに加え、酢酸臭を低減できる。このように、貯蔵時の固化抑制、酢酸臭の低減、ブドウ糖の劣化抑制等の不具合解消を実現できるよう、従来技術では既にいくつかの検討工夫がなされている。しかしながら、従来技術の課題解決手段は、製造方法に依る物性の違いを利用する方法や、含有する成分に制限を設ける等の対処法的な手法に止まり、造粒物とそれ以外の共存する成分について、含有される最適な形態または構成についての理解は未だ十分とは言えず、特に酢酸臭の低減手法については改善の余地がある。
特開2001−190662号公報 特許第5099464号公報 特開2012−105964号公報 特開2016−209485号公報 特許第5376480号公報 特許第5517321号公報
本発明の目的は、酢酸臭を低減でき、更に保存による固化、ブドウ糖を共存させた際のブドウ糖の分解、及び水に溶解した時のpH上昇を抑制でき、保存安定性に優れた固体状の血液透析用A剤を提供することである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、固体状の血液透析用A剤として、塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを実質的に含み、且つ塩化カルシウムを含む造粒物で構成された第1画分と、酢酸及び酢酸塩を含む第2画分とを共存させることによって、酢酸の揮発を抑制し、酢酸臭を低減できることを見出した。更に、前記固体状の血液透析用A剤は、保存による固化の抑制、水に溶解した時のpH上昇の抑制、ブドウ糖と共存させてもブドウ糖の分解や着色の抑制等が可能になっており、優れた保存安定性を有していることをも見出した。特に、前記固体状の血液透析用A剤は、前記第1画分と前記第2画分が均一に分散した状態であっても、酢酸臭の低減、保存による固化の抑制、水に溶解した時のpH上昇の抑制、ブドウ糖と共存させてもブドウ糖の分解や着色の抑制等が可能になっており、優れた保存安定性を有していることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 第1画分と第2画分を含む固体状の血液透析用A剤であって、
前記第1画分が、塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを実質的に含み、且つ塩化カルシウムを含む造粒物であり、
前記第2画分が、酢酸及び酢酸塩を含む、固体状の血液透析用A剤。
項2. 前記第1画分が塩化マグネシウムを含む、項1に記載の固体状の血液透析用A剤。
項3. 前記第1画分が塩化マグネシウムを含み、前記第2画分が塩化カリウムを含む、項1又は2に記載の固体状の血液透析用A剤。
項4. 前記第1画分が塩化カリウムを含み、前記第2画分が塩化マグネシウムを含む、項1に記載の固体状の血液透析用A剤。
項5. 前記酢酸及び酢酸塩として酢酸及び酢酸アルカリ金属塩を含む、項1〜4のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
項6. 前記酢酸及び酢酸塩として二酢酸アルカリ金属塩を含む、項1〜4のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
項7. 前記酢酸及び酢酸塩として高次酢酸塩化合物を含む、項1〜4のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
項8. 前記第1画分及び/又は前記第2画分が塩化ナトリウムを含む、項1〜7のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
項9. 前記第1画分が塩化ナトリウムを含む、項1〜8のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
項10. 前記第1画分及び/又は前記第2画分がブドウ糖を含む、項1〜9のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
項11. 前記第2画分がブドウ糖を含む、項1〜10のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
項12. 項1〜11のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤、及び重炭酸ナトリウムを含む血液透析用B剤を含む、2剤型の血液透析用剤。
項13. 塩化ナトリウムを含まない、項1〜7、10及び11のいずれかに示す固体状の血液透析用A剤と、
塩化ナトリウムを含む血液透析用S剤と、
重炭酸ナトリウムを含む血液透析用B剤と、
を含む、3剤型の血液透析用剤。
項14. 塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを実質的に含み、且つ塩化カルシウムを含む造粒物を調製する第1工程、及び
前記第1工程で得られた造粒物と、酢酸及び酢酸塩とを含む固体状の血液透析用A剤を得る第2工程
を含む、固体状の血液透析用A剤の製造方法。
本発明の血液透析用A剤は、酢酸の揮発を効果的に抑制でき、酢酸臭が低減されている。更に、本発明の血液透析用A剤は、保存による固化、ブドウ糖を共存させた際のブドウ糖の分解、及び水に溶解した時のpH上昇を抑制可能になっており、優れた保存安定性を有している。従って、本発明の血液透析用A剤によれば、血液透析用剤の品質の向上、医療現場での使用環境の改善等を図ることが可能になる。
1.固体状の血液透析用A剤
本発明の血液透析用A剤は、第1画分(第1顆粒組成物)と第2画分(第2組成物)を含む固体状の血液透析用A剤であって、前記第1画分が、塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを実質的に含み、且つ塩化カルシウムを含む造粒物であり、前記第2画分が、酢酸及び酢酸塩を含むことを特徴とする。このように、血液透析用A剤において、特定成分の造粒物で形成された第1画分と、特定成分を含む第2画分とを共存させた状態になるように製剤化することによって、酢酸臭の低減、保存による固化の抑制、ブドウ糖を共存させた際のブドウ糖の分解抑制、及び水に溶解した時のpH上昇の抑制が可能になる。以下、本発明の血液透析用A剤について詳述する。
<第1画分>
本発明の血液透析用A剤に含まれる第1画分は、塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを実質的に含み、且つ塩化カルシウムを含む造粒物である。本発明における「造粒物」とは、各成分粒子を凝集又は反応させ、1粒子中に多成分粒子が混在した状態だけではなく、1粒子同士が結合した凝集塊状態を指す。
塩化マグネシウムは、マグネシウムイオン及び塩化物イオンの供給源となる物質である。第1画分の製造原料として使用される塩化マグネシウムは、水和物又は無水物のいずれを使用してもよいが、塩化マグネシウムの一部又は全てが水和物の形態であることが好ましい。塩化マグネシウムの水和物を使用すると、造粒時の加熱または発熱によって塩化マグネシウムの水和物に含まれる結晶水の少なくとも一部が離脱してバインダーとしての役割を果たし、電解質原料を効率的に造粒させることが可能になる。塩化マグネシウムの水和物としては、具体的には、塩化マグネシウム二水和物、塩化マグネシウム四水和物、塩化マグネシウム六水和物、塩化マグネシウム八水和物、塩化マグネシウム十二水和物等の1〜12水和物が挙げられる。これらの塩化マグネシウムの水和物の中でも、好ましくは塩化マグネシウム六水和物が挙げられる。これらの塩化マグネシウムの水和物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
塩化カリウムは、カリウムイオンの供給源となる物質である。
第1画分では、塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを実質的に含有させる。ここで、「一方のみを実質的に含有させる」とは、塩化カリウム及び塩化マグネシウムの内、一方を含有し、他方は実質的に含有しないことを指す。即ち、塩化マグネシウム及び塩化カリウムが同一画分に実質的に共存しないことである。従って、第1画分は、塩化マグネシウムを含有し、且つ塩化カリウムを実質的に含まない第1態様と、塩化カリウムを含有し、且つ塩化マグネシウムを実質的に含まない第2態様の2つの態様に分けられる。
第1画分が前記第1態様である場合、第1画分における塩化マグネシウムの含有量については、血液透析用A剤によって調製される血液透析液のマグネシウムイオン濃度が0.5〜2.0mEq/L、好ましくは0.75〜1.5mEq/Lとなるように、透析用剤に含まれる他のマグネシウム塩の含有量等を勘案して適宜設定すればよいが、例えば、第1画分の総量100重量部当たり、塩化マグネシウムの無水物重量換算で0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜40重量部、更に好ましくは0.3〜30重量部が挙げられる。本発明において、「塩化マグネシウムの無水物重量換算」とは、塩化マグネシウムが水和物の形態の場合には、結晶水(水和物中の水分子)の重量を除いて、無水物の重量に換算して求められる値である。
第1画分が前記第1態様である場合、第1画分は、塩化カリウムを実質的に含まない。ここで、「塩化カリウムを実質的に含まない」とは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、少量の塩化カリウムを含有することが許容されることを意味し、具体的には、第1画分の総量100重量部当たり、塩化カリウムが1重量部以下、好ましくは0.3重量部未満、更に好ましくは0重量部が挙げられる。
また、第1画分が前記第2態様である場合、第2画分における塩化カリウムの含有量については、血液透析用A剤によって調製される血液透析液のカリウムイオン濃度が0.5〜3mEq/Lとなるように、透析用剤に含まれる他のカリウム塩の含有量等を勘案して適宜設定すればよいが、例えば、第1画分の総量100重量部当たり、塩化カリウムが0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜40重量部、更に好ましくは0.3〜30重量部が挙げられる。
第1画分が前記第2態様である場合、第1画分は、塩化マグネシウムを実質的に含まない。ここで、「塩化マグネシウムを実質的に含まない」とは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、少量の塩化マグネシウムを含有することが許容されることを意味し、具体的には、第1画分の総量100重量部当たり、塩化マグネシウムが無水物重量換算で1重量部以下、好ましくは0.3重量部未満、更に好ましくは0重量部が挙げられる。
塩化カルシウムは、カルシウムイオンの供給源となる物質である。第1画分の製造原料として使用される塩化カルシウムは、水和物又は無水物のいずれを使用してもよいが、塩化カルシウムの一部又は全てが水和物の形態であることが好ましい。塩化カルシウムの水和物を使用すると、造粒時の加熱または発熱条件によっては、塩化カルシウムの水和物に含まれる結晶水の少なくとも一部が離脱してバインダーとしての役割を果たすこともある。塩化カルシウムの水和物としては、具体的には、塩化カルシウム一水和物、塩化カルシウム二水和物、塩化カルシウム四水和物、塩化カルシウム六水和物等の1〜6水和物が挙げられる。これらの塩化カルシウムの水和物の中でも、好ましくは塩化カルシウム二水和物が挙げられる。これらの塩化カルシウムの水和物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1画分における塩化カルシウムの含有量については、血液透析用A剤によって調製される血液透析液のカルシウムイオン濃度が1.5〜4.5mEq/L、好ましくは2.5〜3.5mEq/Lとなるように、透析用剤に含まれる他のカルシウム塩の含有量等を勘案して適宜設定すればよいが、例えば、第1画分の総量100重量部当たり、塩化カルシウムの無水物重量換算で0.1〜70重量部、好ましくは0.1〜60重量部、更に好ましくは0.3〜50重量部が挙げられる。本発明において、「塩化カルシウムの無水物重量換算」とは、塩化カルシウムが水和物の形態の場合には、結晶水(水和物中の水分子)の重量を除いて、無水物の重量に換算して求められる値である。
第1画分は、前記成分が必要に応じて配合される他の成分と共に造粒されて、造粒物の形態になっている。第1画分を構成する造粒物の粒子径については、特に制限されないが、例えば、Tyler標準篩で10メッシュ(目開き1700μm)の篩を通過するが、80メッシュ(目開き180μm)の篩を通過しない粒子の割合が90重量%以上、好ましくは93重量%以上、更に好ましくは95重量%以上が挙げられる。
第1画分の水分含量については、特に制限されないが、例えば、3重量%以下、好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1.5重量%以下が挙げられる。このような水分含量を満たしている場合、酢酸臭、保存による固化、ブドウ糖を共存させた際のブドウ糖の分解、及び水に溶解した時のpH上昇を、より一層効果的に抑制することが可能になる。本発明において、第1画分の水分含量は、カールフィッシャー水分計を用いて測定される値である。
<第2画分>
第2画分は、酢酸及び酢酸塩を含む画分である。本発明の血液透析用A剤において、前記第1画分を構成する造粒物以外の含有成分は全て第2画分の構成成分となる。
第2画分で使用される酢酸は氷酢酸であってもよい。また、第2画分で使用される酢酸塩としては、血液透析液の成分として許容されるものである限り、特に制限されないが、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸アルカリ金属塩;酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等の酢酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。これらの酢酸塩は無水酢酸塩であってもよい。これらの酢酸塩の中でも、長年の使用実績による安全性、コストの観点から、好ましくは酢酸アルカリ金属塩、更に好ましくは酢酸ナトリウムが挙げられる。また、これらの酢酸塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、第2画分に含まれる酢酸及び酢酸塩の少なくとも一部が、二酢酸アルカリ金属塩の形態であってもよい。二酢酸アルカリ金属塩を使用することによって酢酸臭の低減、保存による固化の抑制、ブドウ糖を共存させた際のブドウ糖の分解抑制、及び水に溶解した時のpH上昇の抑制をより一層効果的に図ることが可能になる。二酢酸アルカリ金属塩とは、酢酸アルカリ金属塩1モルと酢酸1モルが複合化した複合体(MH(C2322;Mはアルカリ金属原子を示す)であり、二酢酸アルカリ金属塩1モルからは、酢酸塩(酢酸アルカリ金属塩)1モルと酢酸1モルが供給されることになる。本発明で使用される二酢酸アルカリ金属塩としては、具体的には、二酢酸ナトリウム、二酢酸カリウム等が挙げられる。これらの二酢酸アルカリ金属塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。二酢酸アルカリ金属塩の中でも、好ましくは二酢酸ナトリウムが挙げられる。
また、第2画分に含まれる酢酸及び酢酸塩の少なくとも一部が、高次酢酸塩化合物の形態であってもよい。高次酢酸塩化合物とは、酢酸(一次化合物)と酢酸塩(一次化合物)が互いに結合して生成された化合物である。二酢酸アルカリ金属塩を使用することによって、酢酸臭の低減、保存による固化の抑制、ブドウ糖を共存させた際のブドウ糖の分解抑制、及び水に溶解した時のpH上昇の抑制をより一層効果的に図ることが可能になる。
第2画分において、酢酸及び酢酸塩のモル比については、特に制限されず、血液透析液に付与すべきpHの範囲等に基づいて適宜設定すればよいが、例えば、第2画分における酢酸:酢酸塩のモル比として、好ましくは1:0.5〜10、更に好ましくは1:0.5〜3.0、特に好ましくは1:0.7〜2.0が挙げられる。ここで、酢酸及び酢酸塩として二酢酸アルカリ金属塩を含む場合には、二酢酸アルカリ金属塩1モルに由来する酢酸及び酢酸塩は、酢酸1モルと酢酸塩1モルとして前記モル比は算出される。また、酢酸及び酢酸塩として高次酢酸塩化合物を含む場合には、当該高次酢酸塩化合物における酢酸:酢酸塩のモル比が1:Xであれば、当該高次酢酸塩化合物1モルに由来する酢酸及び酢酸塩は、酢酸1モル、酢酸塩Xモルとして前記モル比は算出される。
第2画分における酢酸と酢酸塩の含有量については、血液透析用A剤によって調製される血液透析液の酢酸イオン濃度が0.5〜12mEq/L、好ましくは1.5〜10mEq/L、更に好ましくは2〜6mEq/Lとなるように適宜設定すればよいが、例えば、第2画分の総量100重量部当たり、酢酸と酢酸塩の総量が1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部、更に好ましくは5〜25重量部が挙げられる。
また、前記第1画分が第1態様(即ち、塩化カリウムを実質的に含まない態様)である場合、第2画分には、塩化カリウムが含まれていてもよい。第2画分に塩化カリウムを含有させる場合、その含有量については、血液透析液のカリウムイオン濃度が0.5〜3mEq/Lとなるように、血液透析用剤に含まれる他のカリウム塩の含有量等を勘案して適宜設定すればよい。
また、前記第1画分が第2態様(即ち、塩化マグネシウムを実質的に含まない態様)である場合、第2画分には、塩化マグネシウムが含まれていてもよい。第2画分に塩化マグネシウムを含有させる場合、その含有量については、血液透析液のマグネシウムイオン濃度が0.5〜2.0mEq/L、好ましくは0.75〜1.5mEq/Lとなるように、血液透析用A剤に含まれる他のマグネシウム塩の含有量等を勘案して適宜設定すればよい。
第2画分は、前記成分と必要に応じて配合される他の成分とを含む非造粒物の形態であってもよく、また前記成分が必要に応じて配合される他の成分と共に造粒物の形態になっていてもよい。更に、第2画分は、非造粒物と造粒物との組み合わせであってもよい。
本発明の血液透析用A剤が収容されている容器内で、第2画分は、前記成分と必要に応じて配合される他の成分が均一に分散している状態で存在してもよく、また前記成分と必要に応じて配合される他の成分が不均一に分散又は分布している状態で存在してもよい。
<塩化ナトリウム>
本発明の血液透析用A剤には、ナトリウムイオンの供給源として、塩化ナトリウムを含んでいてもよい。本発明の血液透析用A剤に塩化ナトリウムを含有させる場合、塩化ナトリウムは、第1画分又は第2画分のいずれか一方に含まれていてもよく、また第1画分及び第2画分の双方に含まれていてもよい。
本発明の血液透析用A剤に塩化ナトリウムを含有させる場合、その含有量については、血液透析用A剤によって調製される血液透析液のナトリウムイオン濃度が120〜150mEq/L、好ましくは135〜145mEq/Lとなるように、透析用剤に含まれる他のナトリウム塩の含有量等を勘案して適宜設定すればよい。
<ブドウ糖>
本発明の血液透析用A剤には、患者の血糖値の維持の目的で、ブドウ糖を含んでいてもよい。ブドウ糖は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の電解質との接触によって不安定化される傾向があるが、本発明の血液透析用A剤では、前記第1画分が造粒物の形態で前記第2画分と共存していることにより、ブドウ糖を含有させても、ブドウ糖を安定に維持することができる。
本発明の血液透析用A剤にブドウ糖を含有させる場合、ブドウ糖は、第1画分及び第2画分のいずれかに含まれていてもよく、また第1画分及び第2画分の双方に含まれていてもよいが、ブドウ糖の安定性をより一層向上させるという観点から、第2画分に含まれていることが好ましい。
本発明の血液透析用A剤にブドウ糖を含有させる場合、その含有量については、最終的に調製される血液透析液に備えさせるブドウ糖濃度に応じて適宜設定される。具体的には、血液透析用A剤におけるブドウ糖の含有量は、最終的に調製される透析液におけるブドウ糖濃度が0〜2.5g/L、好ましくは1.0〜2.0g/Lとなるように適宜設定すればよい。
<その他の成分>
本発明の血液透析用A剤には、前述する成分以外に、必要に応じて、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、乳酸イオン、グルコン酸イオン、コハク酸イオン、リンゴ酸イオン等の供給源となる他の有機酸塩及び/又は無機塩が含まれていてもよい。これらの成分を含有させる場合、第1画分及び第2画分のいずれに含まれていてもよく、また第1画分及び第2画分の双方に含まれていてもよい。
カルシウムイオンの供給源となる化合物としては、例えば、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム等の有機酸のカルシウム塩が挙げられる。これらの有機酸のカルシウム塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
マグネシウムイオンの供給源となる化合物としては、例えば、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム等のマグネシウムの有機酸塩が挙げられる。これらのマグネシウムの有機酸塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ナトリウムイオンの供給源となる化合物としては、例えば、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム等のナトリウムの有機酸塩が挙げられる。これらのナトリウムの有機酸塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カリウムイオンの供給源となる化合物としては、例えば、酢酸カリウム、乳酸カリウム、クエン酸カリウム、グルコン酸カリウム、コハク酸カリウム、リンゴ酸カリウム等のカリウムの有機酸塩が挙げられる。これらのカリウムの有機酸塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの有機酸塩及び/又は無機酸塩については、最終的に調製される血液透析液に含有させるべき各種イオンの種類に応じて適宜選択すればよい。
本発明の血液透析用A剤において、これらの有機酸塩及び/又は無機塩の含有量については、最終的に調製される血液透析液に備えさせる各イオン濃度に応じて適宜設定される。具体的には、本発明の血液透析用A剤に含まれる電解質成分の含有量は、最終的に調製される血液透析液が下記表2に示す各イオン濃度を満たすよう、適宜設定すればよい。
Figure 0006366214
本発明の血液透析用A剤には、第2画分に酢酸及び酢酸塩を含有することにより、調製される血液透析液に適切なpHを備えさせることができているが、本発明の血液透析用A剤には、更に必要に応じて、酢酸及び酢酸塩以外のpH調節剤を含んでいてもよい。本発明の血液透析用A剤に使用可能なpH調節剤としては、透析液の成分として許容されるものである限り、特に制限されないが、例えば、塩酸、乳酸、グルコン酸等の液状の酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、グルコノデルタラクトン等の固形状の酸、及びこれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム塩等が挙げられる。これらのpH調節剤の中でも、有機酸が好適に使用される。pH調節剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の血液透析用A剤に、酢酸及び酢酸塩以外のpH調節剤を含有させる場合、pH調節剤は、第1画分及び第2画分のいずれに含まれていてもよく、また第1画分及び第2画分の双方に含まれていてもよい。
本発明の血液透析用A剤に酢酸及び酢酸塩以外のpH調節剤を含有させる場合、その含有量については、最終的に調製される血液透析液のpHが7.2〜7.6、好ましくは7.2〜7.5となるように適宜設定すればよい。
<第1画分と第2画分の含有態様>
本発明の血液透析用A剤は、第1画分と第2画分が共存した状態で含まれる。本発明の血液透析用A剤は、収容されている容器内で第1画分と第2画分が共存していればよく、例えば、第1画分と第2画分が均一に分散している状態であっても、第1画分と第2画分が不均一に分散又は分布していてもよい。
<血液透析用A剤の水分含量>
本発明の血液透析用A剤の水分含量については、特に制限されず、第1画分と第2画分が有する水分含量によって定まるが、例えば、本発明の血液透析用A剤が塩化ナトリウムを含む場合であれば、当該血液透析用A剤の水分含量として、5.0重量%以下、好ましくは2.0重量%以下、更に好ましくは1.5重量%以下が挙げられる。本発明の血液透析用A剤が、このような水分含量を満たしている場合、酢酸臭、保存による固化、ブドウ糖を共存させた際のブドウ糖の分解、及び水に溶解した時のpH上昇を、より一層効果的に抑制することが可能になる。本発明において、血液透析用A剤の水分含量は、カールフィッシャー水分計を用いて測定される値である。
<製造方法>
本発明の血液透析用A剤は、第1画分を構成する造粒物を調製し、当該造粒物に第2画分に含まれる成分を混合することによって製造される。具体的には、本発明の血液透析用A剤の製造方法としては、下記第1工程及び第2工程を含む方法が挙げられる。
第1工程:塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを実質的に含み、且つ塩化カルシウムを含む造粒物を調製する。
第2工程: 前記第1工程で得られた造粒物と、酢酸及び酢酸塩とを含む固体状の血液透析用A剤を得る。
前記第1工程では、第1画分に含まれる成分を用いて造粒を行えばよい。造粒は、当該技術分野において通常採用されている手法に従って行うことができる。
前記第1工程で得られた造粒物は、必要に応じて、乾燥や冷却、篩過などの後処理に供しても良い。特に乾燥を行う場合、製剤安定性や流動性を考慮して、十分に水分を除去することが好ましい。造粒物中の水分量は、使用する原料の全結晶水量に大きく依存するが、目安として、前記第1工程で水を加えて造粒した場合は、加えた水と同量の水を除去し、更に、使用する原料が元々保持していた全結晶水100重量部当たり、80重量部〜20重量部、更に好ましくは80〜40重量部、特に好ましくは75〜50重量部の結晶水を除去するように乾燥することが好ましい。原料が分解しない温度範囲内で、当該造粒物を十分に乾燥することにより、酢酸臭の低減、固化の抑制、及びブドウ糖が含まれる場合にはその安定性の向上をより一層効果的に図ることが可能になる。
前記第2工程では、第1工程で得られた造粒物(第1画分)と、第2画分を構成する成分とを混合又は添加すればよい。前記第2工程では、第1工程で得られた造粒物(第1画分)に対して、第2画分を構成する成分を別々に添加してもよく、また第2画分を構成する成分を一旦混合した後に当該混合物を添加してもよい。第2画分において、酢酸と酢酸塩を含有させる場合には、前記第2工程において、酢酸と酢酸塩を一旦混合した後に、第1工程で得られた造粒物に添加又は混合することにより、酢酸臭の低減、固化の抑制、及びブドウ糖が含まれる場合にはその安定性の向上をより一層効果的に図ることが可能になる。
<血液透析用A剤の包装態様>
本発明の血液透析用A剤は、包装容器に収容して提供される。血液透析用A剤の包装に使用される包装容器としては、特に制限されないが、例えば、フレキシブルバッグやハードボトル等が挙げられる。当該包装容器として、具体的には、シリカ蒸着ラミネート袋やアルミ蒸着ラミネート袋、酸化アルミ蒸着ラミネート袋、アルミラミネート袋、ポリエチレン製ハードボトル等が挙げられる。とりわけ、アルミニウム箔等の金属箔が用いられている包装袋(アルミラミネート袋等)は、透湿度を低くでき、酢酸が揮発するのをより効果的に抑制できる。また、これらの包装容器の透湿度については、酢酸臭をより一層有効に低減させるという観点から、好ましくは0.5g/m2・24h(40℃、90%RH)以下、更に好ましくは0.2g/m2・24h(40℃、90%RH)以下が挙げられる。当該透湿度は、JISZ0208防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に規定の測定方法に準拠して測定される値である。
更に、本発明の血液透析用A剤を収容する包装容器には、当該血液透析用A剤の水分含量を効果的に低減させるために、更に乾燥剤が含まれていてもよい。乾燥剤としては、特に制限されないが、例えば、ゼオライト、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、シリカゲル、アルミナ等が挙げられる。包装容器に乾燥剤を収容する場合、これら物質が容器を構成するプラスチックの一部(例えば、ポリエチレン層)に配合された容器を用いてもよいし、包装容器内に乾燥剤を収納できるスペース(別室)を設けてもよい。また乾燥剤を不織布等に入れた状態で、血液透析用A剤に混入しないようにして包装容器に収容してもよい。
2.血液透析用剤
本発明の血液透析用剤は、前記血液透析用A剤、及び重炭酸ナトリウムを含む血液透析用B剤を含有する。
前記血液透析用B剤には、必要に応じてブドウ糖が含まれていてもよい。前記血液透析用B剤にブドウ糖を含有させる場合、その含有量は、最終的に調製される血液透析液におけるブドウ糖濃度が0〜2.5g/L、好ましくは1.0〜1.5g/Lとなるように適宜設定すればよい。但し、前記血液透析用B剤は、重炭酸ナトリウム以外の電解質成分が含まれていないことが望ましく、含有成分が実質的に重炭酸ナトリウムからなるものが好適である。前記血液透析用B剤は、輸送や保管の観点から固形状であることが望ましい。また、固形状の血液透析用B剤の形状としては、具体的には粉末剤、顆粒剤等が挙げられる。
前記血液透析用B剤の使用量は、最終的に調製される血液透析液中の重炭酸イオンが20〜40mEq/L、好ましくは25〜35mEq/Lとなるように適宜設定すればよい。
前記血液透析用A剤に塩化ナトリウムが含まれている場合には、本発明の血液透析用剤は、前記血液透析用A剤、及び重炭酸ナトリウムを含む血液透析用B剤からなる2剤型の血液透析用剤として使用される。
また、前記血液透析用A剤に塩化ナトリウムが含まれていない場合には、本発明の血液透析用剤は、前記血液透析用A剤、塩化ナトリウムを含む血液透析用S剤、及び重炭酸ナトリウムを含む血液透析用B剤からなる3剤型の血液透析用剤として使用される。当該3剤型の血液透析用剤は、特許文献2に記載されているように、血液透析時に血液透析用S剤と血液透析用B剤の添加量の比率を調節することによって、患者の病態に応じて、血液透析中でも重炭酸イオン濃度を自在に変化させつつ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の電解質濃度を一定に維持できる血液透析液を調製することが可能になる。
前記血液透析用S剤には、必要に応じてブドウ糖が含まれていてもよい。前記血液透析用S剤にブドウ糖を含有させる場合、その含有量は、最終的に調製される血液透析液におけるブドウ糖濃度が0〜2.5g/L、好ましくは1.0〜1.5g/Lとなるように適宜設定すればよい。但し、前記血液透析用S剤は、塩化ナトリウム以外の電解質成分が含まれていないことが望ましく、含有成分が実質的に塩化ナトリウムからなるものが好適である。前記血液透析用S剤は、輸送や保管の観点から固形状であることが望ましい。また、固形状の血液透析用S剤の形状としては、具体的には粉末剤、顆粒剤等が挙げられる。
前記血液透析用S剤の使用量は、前記血液透析用A剤中のナトリウム塩の量等を勘案し、最終的に調製される血液透析液が前記表1に示すナトリウム濃度を満たすように適宜設定すればよい。
本発明の血液透析用剤は、重炭酸血液透析液を調製するために使用される。具体的には、前記血液透析用A剤、前記血液透析用B剤、及び前記血液透析用A剤に塩化ナトリウムが含まれていない場合には前記血液透析用S剤を、所定量の水(好ましくは精製水)に混合し希釈させることによって、重炭酸血液透析液が調製される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
試験例1
1.固体状の血液透析用A剤の作製
実施例1
塩化ナトリウム928.8g、塩化カルシウム二水和物28.2g、塩化マグネシウム六水和物18.0gをそれぞれ計量し、それぞれを別々のポリ袋に入れ密閉した状態で、送風式棚段乾燥機にて70℃に加温した。加温後、それら原料と、精製水18.0gを一つのポリ袋内に入れ密封し、十分に混合後、再度送風式棚段乾燥機に入れ70℃で20分間静置した。次に、ポリ袋の内容物全てをステンレス製のバットに均一になるよう敷きつめ、130℃の送風式棚段乾燥機に入れ、2時間乾燥した。造粒物が乾燥により固化するため、乾燥中に2度、スプーンで粉砕し、乾燥終了後、目開き2000μmの篩を通過させ、造粒物(第1画分)を作製した。
得られた造粒物(第1画分)118.70g、酢酸:酢酸ナトリウムのモル比が1:1の酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物(第2画分)5.27g、ブドウ糖(第2画分)26.25gを計量し、ポリ袋内で十分に混合した後、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れて密封し、固体状の血液透析用A剤を得た。
実施例2
塩化ナトリウム928.8g、塩化カリウム25.3g、塩化カルシウム二水和物28.2gをそれぞれ計量し、それぞれを別々のポリ袋に入れ密閉した状態で、送風式棚段乾燥機にて70℃に加温した。加温後、それら原料と、精製水18.0gを一つのポリ袋内に入れ密封し、十分に混合後、再度送風式棚段乾燥機に入れ70℃で20分間静置した。次に、ポリ袋の内容物全てをステンレス製のバットに均一になるよう敷きつめ、130℃の送風式棚段乾燥機に入れ、2時間乾燥した。造粒物が乾燥により固化するため、乾燥中に2度、スプーンで粉砕し、乾燥終了後、目開き2000μmの篩を通過させ、造粒物(第1画分)を作製した。
得られた造粒物(第1画分)118.70g、酢酸:酢酸ナトリウムのモル比が1:1の酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物(第2画分)5.27g、ブドウ糖(第2画分)26.25gを計量し、ポリ袋内で十分に混合した後、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れて密封し、固体状の血液透析用A剤を得た。
比較例1
塩化ナトリウム928.8g、塩化カリウム25.3g、塩化マグネシウム六水和物18.0gをそれぞれ計量し、それぞれを別々のポリ袋に入れ密閉した状態で、送風式棚段乾燥機にて70℃に加温した。加温後、それら原料と、精製水18.0gを一つのポリ袋内に入れ密封し、十分に混合後、再度送風式棚段乾燥機に入れ70℃で20分間静置した。次に、ポリ袋の内容物全てをステンレス製のバットに均一になるよう敷きつめ、130℃の送風式棚段乾燥機に入れ、2時間乾燥した。造粒物が乾燥により固化するため、乾燥中に2度、スプーンで粉砕し、乾燥終了後、目開き2000μmの篩を通過させ、造粒物(第1画分)を作製した。
得られた造粒物(第1画分)118.70g、酢酸:酢酸ナトリウムのモル比が1:1の酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物(第2画分)5.27g、ブドウ糖(第2画分)26.25gを計量し、ポリ袋内で十分に混合した後、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れて密封し、固体状の血液透析用A剤を得た。
比較例2
塩化ナトリウム928.8g、塩化カリウム25.3g、塩化カルシウム二水和物28.2g、塩化マグネシウム六水和物18.0gをそれぞれ計量し、それぞれを別々のポリ袋に入れ密閉した状態で、送風式棚段乾燥機にて70℃に加温した。加温後、それら原料と、精製水18.0gを一つのポリ袋内に入れ密封し、十分に混合後、再度送風式棚段乾燥機に入れ70℃で20分間静置した。次に、ポリ袋の内容物全てをステンレス製のバットに均一になるよう敷きつめ、130℃の送風式棚段乾燥機に入れ、2時間乾燥した。造粒物が乾燥により固化するため、乾燥中に2度、スプーンで粉砕し、乾燥終了後、目開き2000μmの篩を通過させ、造粒物(第1画分)を作製した。
得られた造粒物(第1画分)118.70g、酢酸:酢酸ナトリウムのモル比が1:1の酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物(第2画分)5.27g、ブドウ糖(第2画分)26.25gを計量し、ポリ袋内で十分に混合した後、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れて密封し、固体状の血液透析用A剤を得た。
2.血液透析用A剤の評価
各血液透析用A剤を、40℃/75%RHで保存した際の開始時及び保存1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、5ヵ月後の揮発酢酸濃度の測定、固化と着色の確認、35倍濃縮A液とした時のpH及び5−HMF量の測定を、以下に示す方法で行った。また、各血液透析用A剤の原料として使用した造粒物(第1画分)、及び各血液透析用A剤の水分含量を以下に示す方法で測定した。
(1)揮発酢酸濃度の測定
各血液透析用A剤を収容した袋内に検知管をセットし、一定量の試料気体を酢酸測定用の検知管に通気させて、検知管式気体測定器(製造元:GASTEC、型番:GV−100S)で揮発酢酸濃度を測定した。
(2)固化と着色の確認
各血液透析用A剤を収容した袋内を目視で確認し、固化と着色の有無を確認した。固化とは、内容物の変化により、流動性が失われ湿気を帯びたような状態のことを指す。
(3)pH及び5−HMFの測定
各血液透析用A剤を精製水に溶解し、最終的に調製される透析液中の各成分濃度の35倍に濃縮した水溶液の状態にして、35倍濃縮A液を調製した。具体的には、各血液透析用A剤全量を、精製水に溶かし、500mLとすることにより、35倍濃縮A液を調製した。各35倍濃縮A液について、pHはpHメーター(製造元:堀場製作所、型番:F−73)を用いて液温25℃で測定した。ブドウ糖の分解物である5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下5−HMFと記載)量は、0.2μmフィルターでろ過した液について分光光度計を用いて、5−HMFの吸収波長(波長284nm)の吸光度(Abs)を測定した。
(4)水分含量の測定
各血液透析用A剤の原料として使用した造粒物(第1画分)、及び製造直後の各血液透析用A剤について、カールフィッシャー水分計(製造元:平沼産業、型番:AQV−2200)を用いて水分含量を測定した。
結果を表3〜8に示す。この結果、塩化マグネシウム及び塩化カリウムを含む造粒物(第1画分)と、酢酸及び酢酸塩(第2画分)とを混合した場合(比較例1及び2)では、保存期間の経過に伴って、揮発酢酸濃度の上昇、固化、着色、ブドウ糖の分解が顕著になっていた。これに対して、塩化マグネシウム又は塩化カリウムの一方のみと塩化カルシウムを含む造粒物(第1画分)と、酢酸及び酢酸塩(第2画分)とを混合した場合(実施例1及び2)では、保存5カ月後でも、揮発酢酸濃度の上昇を十分に抑制できており、更に、固化、着色、水に溶解した際のpHの上昇、ブドウ糖の分解も十分に抑制できていた。なお、いずれの実施例及び比較例でも、血液透析用A剤の原料として使用した造粒物(第1画分)、及び血液透析用A剤の水分含量は、十分に低い値になっていた。
Figure 0006366214
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試験例2
1.固体状の血液透析用A剤の作製
実施例3
塩化ナトリウム1000kg、塩化カルシウム二水和物33.4kg、塩化マグネシウム六水和物22.3kg、及び精製水適量をナウタミキサ(製造元:ホソカワミクロン株式会社、型番:DBX−5000RW)に入れ30分混合し、造粒物を得た。次いで、その造粒物を振動篩に連続的に供給し、排出された造粒物を連続的に移送した。乾燥温度155℃の条件で連続乾燥後、冷却し、造粒物(第1画分)を作製した。
得られた造粒物(第1画分)115.70g、酢酸:酢酸ナトリウムのモル比1:1の酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物(第2画分)5.27g、塩化カリウム(第2画分)3.0gを計量し、ポリ袋内で十分に混合した後、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れて密封し、固体状の血液透析用A剤を得た。
比較例3
塩化ナトリウム1000kg、塩化カリウム28.9kg、塩化カルシウム二水和物33.4kg、塩化マグネシウム六水和物22.3kg、及び精製水適量をナウタミキサ(製造元:ホソカワミクロン株式会社、型番:DBX−5000RW)に入れ30分混合し、造粒物を得た。次いで、その造粒物を振動篩に連続的に供給し、排出された造粒物を連続的に乾燥機に移送した。乾燥温度155℃の条件で連続乾燥後、冷却し、造粒物(第1画分)を作製した。
得られた造粒物(第1画分)118.70g、酢酸:酢酸ナトリウムのモル比が1:1の酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物(第2画分)5.27gを計量し、ポリ袋内で混合した後、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れて密封し、固体状の血液透析用A剤を得た。
2.血液透析用A剤の評価
(1)造粒物(第1画分)の含量測定
実施例3と比較例3で使用した造粒物(第1画分)を、それぞれ115.72g、118.72g計量し、水で溶解して全量を500mLとし、それぞれの造粒物濃縮液を得た。これら造粒物濃縮液について液体イオンクロマトグラフィーにて各主要成分の含量測定を行った。
結果を表9に示す。この結果、実施例3と比較例3で作製した造粒物(第1画分)には、意図していた通りの電解質含量であることが確認された。
Figure 0006366214
(2)揮発酢酸濃度の測定、固化と着色の確認、pH、及び水分含量の測定
実施例3及び比較例3の血液透析用A剤それぞれについて、40℃/75%RHで保存した際の開始時及び保存1ヵ月の測定結果と、50℃(湿度管理なし)で5日保存後の揮発酢酸濃度の測定、固化と着色の確認、35倍濃縮A液とした時のpH及び5−HMF量の測定を行った。また、各血液透析用A剤の原料として使用した造粒物(第1画分)、及び製造直後の各血液透析用A剤の水分含量の測定を行った。具体的な測定条件は、前記試験例1と同様である。
結果を表10〜13に示す。この結果、塩化マグネシウム、塩化カリウム及び塩化カルシウムを含む造粒物(第1画分)と、酢酸及び酢酸塩(第2画分)を混合した場合(比較例3)では、保存後に、揮発酢酸濃度の上昇、固化、着色が顕著になっていた。これに対して、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムを含む造粒物(第1画分)と、塩化カリウム、酢酸及び酢酸塩(第2画分)とを混合した場合(実施例3)では、保存後でも、揮発酢酸濃度の上昇を十分に抑制できており、更に、固化、着色、水に溶解した際のpHの上昇も十分に抑制できていた。また、実施例3及び比較例4のいずれでも、血液透析用A剤の原料として使用した造粒物(第1画分)、及び血液透析用A剤の水分含量は、十分に低い値になっていた。
Figure 0006366214
Figure 0006366214
Figure 0006366214
Figure 0006366214
試験例3
1.固体状の血液透析用A剤の作製
実施例4
実施例3で使用した造粒物(第1画分)486kg、塩化カリウム12.4kg、酢酸:酢酸ナトリウムのモル比が1:1の酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物21.5kg、及びブドウ糖106.4kgをナウタミキサ(製造元:ホソカワミクロン株式会社、型番:DBX−5000RW)に入れ60分混合後、排出し、150.2gを計量し、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れ密封し、血液透析用A剤を得た。
比較例4
比較例3で使用した造粒物(第1画分)581kg、酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物25.7kg、及びブドウ糖127.2kgをナウタミキサ(製造元:ホソカワミクロン株式会社、型番:DBX−5000RW)に入れ60分混合後し排出後、150.2gを計量し、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れ密封し、血液透析用A剤を得た。
2.血液透析用A剤の評価
実施例4及び比較例4の血液透析用A剤それぞれについて、40℃/75%RHで保存した際の開始時及び保存1ヵ月の測定結果と、50℃(湿度管理なし)で5日保存後の揮発酢酸濃度の測定、固化と着色の確認、35倍濃縮A液とした時のpH及び5−HMF量の測定を行った。具体的な測定条件は、前記試験例1と同様である。
結果を表14〜16に示す。この結果、塩化マグネシウム、塩化カリウム及び塩化カルシウムを含む造粒物(第1画分)と、酢酸及び酢酸塩(第2画分)を混合した場合(比較例4)では、保存後に、揮発酢酸濃度の上昇、固化、着色、水に溶解した際のpHの上昇、ブドウ糖の分解が顕著になっていた。これに対して、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムを含む造粒物(第1画分)と、塩化カリウム、酢酸、及び酢酸塩(第2画分)とを混合した場合(実施例4)では、保存後でも、揮発酢酸濃度の上昇を十分に抑制できており、更に、固化、着色、水に溶解した際のpHの上昇、及びブドウ糖の分解も十分に抑制できていた。
Figure 0006366214
Figure 0006366214
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製造例
1.固体状の血液透析用A剤の作製
実施例5
塩化ナトリウム928.8g、塩化カルシウム二水和物32.5g、及び塩化マグネシウム六水和物22.5gをそれぞれ計量し、それぞれを別々のポリ袋に入れ密閉した状態で、送風式棚段乾燥機にて70℃に加温した。加温後、それら原料と、精製水18.0gを一つのポリ袋内に入れ密封し、十分に混合後、再度送風式棚段乾燥機に入れ70℃で20分間静置した。次に、ポリ袋の内容物全てをステンレス製のバットに均一になるよう敷きつめ、130℃の送風式棚段乾燥機に入れ、2時間乾燥した。造粒物が乾燥により固化するため、乾燥中に2度、スプーンで粉砕し、乾燥終了後、目開き2000μmの篩を通過させ、造粒物(第1画分)を作製した。
得られた造粒物(第1画分)118.70g、塩化カリウム27.5g、酢酸:酢酸ナトリウムのモル比が1:1の酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物(第2画分)5.27g、及びブドウ糖(第2画分)26.25gを計量し、ポリ袋内で十分に混合した後、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れて密封し、固体状の血液透析用A剤を得た。
実施例6
塩化ナトリウム928.8g、塩化カルシウム二水和物37.9g、及び塩化マグネシウム六水和物30.0gをそれぞれ計量し、それぞれを別々のポリ袋に入れ密閉した状態で、送風式棚段乾燥機にて70℃に加温した。加温後、それら原料と、精製水18.0gを一つのポリ袋内に入れ密封し、十分に混合後、再度送風式棚段乾燥機に入れ70℃で20分間静置した。次に、ポリ袋の内容物全てをステンレス製のバットに均一になるよう敷きつめ、130℃の送風式棚段乾燥機に入れ、2時間乾燥した。造粒物が乾燥により固化するため、乾燥中に2度、スプーンで粉砕し、乾燥終了後、目開き2000μmの篩を通過させ、造粒物(第1画分)を作製した。
得られた造粒物(第1画分)118.70g、塩化カリウム33.0g、酢酸:酢酸ナトリウムのモル比が1:1の酢酸と酢酸ナトリウムの固体状混合物(第2画分)5.27g、及びブドウ糖(第2画分)26.25gを計量し、ポリ袋内で十分に混合した後、アルミラミネート層を含む遮湿性包材に入れて密封し、固体状の血液透析用A剤を得た。

Claims (14)

  1. 第1画分と第2画分を含む固体状の血液透析用A剤であって、
    前記第1画分が、塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを含み、他方は含まず、塩化カルシウムを含み、且つ酢酸及び酢酸塩のいずれも含まない造粒物であり、
    前記第2画分が、酢酸及び酢酸塩を含む、固体状の血液透析用A剤。
  2. 前記第1画分が塩化マグネシウムを含む、請求項1に記載の固体状の血液透析用A剤。
  3. 前記第1画分が塩化マグネシウムを含み、前記第2画分が塩化カリウムを含む、請求項1又は2に記載の固体状の血液透析用A剤。
  4. 前記第1画分が塩化カリウムを含み、前記第2画分が塩化マグネシウムを含む、請求項1に記載の固体状の血液透析用A剤。
  5. 前記第2画分において、前記酢酸及び酢酸塩として酢酸及び酢酸アルカリ金属塩を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
  6. 前記第2画分において、前記酢酸及び酢酸塩として二酢酸アルカリ金属塩を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
  7. 前記第2画分において、前記酢酸及び酢酸塩として高次酢酸塩化合物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
  8. 前記第1画分及び/又は前記第2画分が塩化ナトリウムを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
  9. 前記第1画分が塩化ナトリウムを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
  10. 前記第1画分及び/又は前記第2画分がブドウ糖を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
  11. 前記第2画分がブドウ糖を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の固体状の血液透析用A剤、及び重炭酸ナトリウムを含む血液透析用B剤を含む、2剤型の血液透析用剤。
  13. 塩化ナトリウムを含まない、請求項1〜7、10及び11のいずれかに示す固体状の血液透析用A剤と、
    塩化ナトリウムを含む血液透析用S剤と、
    重炭酸ナトリウムを含む血液透析用B剤と、
    を含む、3剤型の血液透析用剤。
  14. 塩化マグネシウム及び塩化カリウムの一方のみを含み、他方は含まず、塩化カルシウムを含み、且つ酢酸及び酢酸塩のいずれも含まない造粒物を調製する第1工程、及び
    前記第1工程で得られた造粒物と、酢酸及び酢酸塩とを含む固体状の血液透析用A剤を得る第2工程
    を含む、固体状の血液透析用A剤の製造方法。
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