JP6365369B2 - 高温殺菌対応共押出フィルムおよび深絞り包装体 - Google Patents

高温殺菌対応共押出フィルムおよび深絞り包装体 Download PDF

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Description

本発明は、特に、深絞り成型用底材として好適に使用でき、且つ100℃以上の高温殺菌処理をすることができる共押出フィルムに関する。
従来、高温殺菌後のフランジ部のカールを抑制でき、見栄えが良い深絞り包装体を提供する手段として、主に、ポリプロピレン樹脂層/ポリアミド樹脂層/ポリプロピレン系接着樹脂層/ポリプロピレン樹脂層の共押出フィルムの底材と、ポリプロピレンフィルム/接着剤/ポリプロピレンフィルムの積層フィルムの蓋材が使用されている。
しかし、このような包装体は、外層と内層に硬い性質のポリプロピレンを使用している為に耐ピンホール性に劣り、輸送中の振動や落下等においてピンホールが発生しやすく、特に0℃以下の低温工程において著しく発生し、大きな問題となる。
耐ピンホール性を高める為には、内層にポリエチレン樹脂を使用することが有効である。例えば、特許文献1に記載のポリプロピレン樹脂層/ポリアミド樹脂層/直鎖状低密度ポリエチレン系接着樹脂層/ポリエチレン樹脂層の共押出フィルムの底材と、ポリプロピレンフィルム/接着剤/ポリエチレンフィルムの積層フィルムの蓋材とからなる包装体が挙げられる。
しかしながら、ポリエチレン樹脂の内層では耐熱性が低く、高温殺菌処理により樹脂が内容物側へ溶融することやシール強度が低下すること等の問題が発生する。また直鎖状低密度ポリエチレン系接着樹脂の耐熱性も低い為、高温殺菌処理によりポリアミド樹脂層と接着樹脂層との間でデラミネーションが発生する。
耐熱性を高める為には、高密度ポリエチレンの使用が考えられる。高密度のポリエチレン樹脂層を配した多層フィルムとしては、特許文献2に記載のポリプロピレン樹脂層/ポリアミド樹脂層/高密度ポリエチレン系接着樹脂層/高密度ポリエチレン樹脂層の共押出フィルムの底材と、ポリプロピレンフィルム/接着剤/高密度ポリエチレンフィルムの積層フィルムの蓋材とからなる包装体が挙げられる。
しかしながら、特許文献2の技術では、ピンホールの発生は防ぎ切れておらず、特に低温下での発生防止が喫緊の課題となっている。また、高密度ポリエチレンは透明性が悪く、包装体の見栄えを損ない、引いては内容物の価値を損なうといった問題も抱えている。
透明性を高める方法としては、高密度ポリエチレン層を薄くする方法が考えられる。しかしながら、薄くした高密度ポリエチレン層の代わりに外層ポリプロピレン層を厚くすると耐ピンホール性が劣り、ポリアミド樹脂層を厚くすると製造コストが高くなってしまう。そこで特許文献3には、ポリプロピレン樹脂層/ポリアミド樹脂層/ポリプロピレン系接着樹脂層/ポリプロピレンとポリエチレン系エラストマーとの混合層/高密度ポリエチレン樹脂層の共押出しフィルムが開示されている。しかし、このような技術においても、最外層のポリプロピレン樹脂層の剛性によるピンホールの発生と、高温殺菌中に結晶化の進行による透明性の低下については依然として課題が残っている。
そこで、最外層のポリプロピレン樹脂層の隣接層に低結晶性樹脂を含む熱可塑性エラストマーを添加することで、透明性と耐ピンホール性を更に高める方法が考えられ、特許文献4には、ポリプロピレン樹脂層/熱可塑性エラストマー層/ポリアミド樹脂層/接着樹脂層/ポリエチレン樹脂層の共押出フィルムが開示されている。しかしながら、このようなフィルムでは100℃未満の殺菌処理においては問題が発生しないが、100℃以上の高温殺菌処理においては、内層のポリエチレン樹脂の耐熱性が足りず、樹脂が内容物側へ溶融することやシール強度が低下すること等の問題が発生する。
特開平10−86284号公報 特開2014−128884号公報 特開2014−184651号公報 特開2015−036195号公報
本発明は上記実情に鑑み為されたものであり、その課題は、高温殺菌処理によるフランジ部のカールやフィルム構成樹脂の溶出、シール強度低下を抑制し、低温下での耐ピンホール性が良好であり、且つ透明性が良好である共押出フィルムおよび深絞り包装体を提供することにある。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構成を採用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、最外層にポリプロピレン樹脂層、最外層と隣接する層に融点40℃以上70℃以下の低結晶性樹脂を30重量%以上含有する熱可塑性エラストマー層、中間層にポリアミド樹脂層、ポリプロピレン樹脂を主成分とする接着樹脂からなる接着層、接着層と隣接する層にポリプロピレン樹脂とポリエチレン系エラストマーとの混合層、内層に密度0.925以上かつ融点125℃以上のポリエチレン樹脂層の層順であることを特徴とする共押出フィルムおよび深絞り包装体に存する。
本発明の共押出フィルムは、高温殺菌処理によるフランジ部のカールやフィルム構成樹脂の溶出、シール強度低下を抑制でき、また低温での搬送や保管等においてピンホールの発生を大幅に低減できるために内容物の保存性に優れ、且つ透明性が良好である為包装体の見栄えが良く、食品製造業、運輸業、卸売販売業、消費者にとって利便性の高い深絞り包装体を提供することができる。
深絞り包装体の一例、および実施例の評価に用いた深絞り包装体の上面図 高温殺菌処理後の深絞り包装体の形状例、および実施例の評価に用いた深絞り包装体の側面形状図
以下、本発明の共押出フィルムについて詳細に説明するが、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
尚、本明細書において、「主成分として構成される」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の50質量%以上100質量%以下、好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは85質量%以上100質量%以下を占めることを意味する。
<最外層:ポリプロピレン樹脂層>
本発明のフィルムの最外層に、高温殺菌後のフランジ部のカールを抑制する目的でポリプロピレン樹脂(以下、PPと略記することもある)層を少なくとも1層配する。
使用可能なポリプロピレン樹脂としてはホモポリマーやエチレン等とのランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどが挙げられる。高温殺菌後のカール抑制や白化防止の観点からホモポリマーの使用が好ましい。
本発明のフィルムの最外層は、プロピレン樹脂に熱可塑性エラストマーを混合することが出来る。熱可塑性エラストマーの混合により、耐ピンホール性及び高温殺菌後の透明性を向上できる。
熱可塑性エラストマーとしては、後述の最外層の隣接層に用いる熱可塑性エラストマーと同種のものを使用できる。
熱可塑性エラストマーの混合比率は、最外層全体を100質量%として70質量%以下である。混合比率が70質量%よりも多いと、高温殺菌後にフランジ部がカールしてしまい、見栄えが劣ってしまう。
最外層の厚みは10μm以上、好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、上限は150μm以下、好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。最外層の厚みの下限を10μm以上とすることにより、高温殺菌後のフランジ部のカールを抑制することができ、また上限を150μm以下とすることによりフィルムの深絞り成形性を良好に維持することができる。
<最外層の隣接層:熱可塑性エラストマー層>
本発明フィルムの最外層の隣接層には、熱可塑性エラストマー(以下、ELAと略記することがある)層を配する。このことにより、最外層に剛質なポリプロピレン系樹脂層を配しても、耐ピンホール性や高温殺菌後の透明性を向上させることが出来る。
熱可塑性エラストマーは、40℃以上70℃以下の融点を持つ低結晶性の樹脂を含有する。低結晶性の樹脂としては、エチレン共重合比率が50モル%以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体が用いられる。α−オレフィンには、例えばプロプレン、ブテン等が挙げられる。その融点が40℃未満では、常温で結晶化が進んでしまい透明性が損なわれ、また融点が70℃よりも高いと柔軟性が損なわれ、耐ピンホール性が劣ってしまう。
低結晶性の樹脂の含有量は、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ダウケミカル製バーシファイ、インフューズ、アフィニティ、旭化成ケミカルズ製タフテック、三井化学製タフマー、日本ポリプロ製ウェルネックス、三菱化学製ゼラス、カネカ製シブスター、クラレ製ハイブラー等が好適に使用できる。
<中間層:ポリアミド樹脂層>
本発明のフィルムの中間層に、耐ピンホール性と深絞り成形性を付与する目的で少なくとも1層のポリアミド樹脂(以下、PAと略記することもある)層を配する。
中間層で用いられるポリアミド樹脂は特に限定されないが、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、ジアミンとジカルボン酸を50モル%以上用いることが好ましい。
ポリアミド樹脂が共重合体である場合、ポリアミド成分は80モル%以上、好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含まれていることが望ましい。
またポリアミド樹脂がポリマーブレンドである場合には、ポリアミド成分はポリマーブレンド質量全体の70質量%以上、好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上含まれていることが望ましい。
3員環以上のラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドンなどを挙げることができる。
重合可能なω−アミノ酸としては、例えば、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノヘプタン酸、ω−アミノノナン酸、ω−アミノウンドデカン酸、ω−アミノドデカン酸などが挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トチメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トチメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,3/1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス−(4’−アミノシクロヘキシル)プロパンなどの脂環族ジアミン、及びメタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ノナンジオン酸、デカンジオン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環族カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,2−体、1,3−体、1,4−体、1,5−体、1,6−体、1,7−体、1,8−体、2,3−体、2,6−体、2,7−体)、金属−イソフタルスルホン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
ポリアミド樹脂層では、上記3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、ジアミンとジカルボン酸から誘導されるポリアミド樹脂のホモポリマー又はコポリマーを各々単独で若しくは混合物として用いることができる。具体的に例示すると、例えば、4ナイロン、6ナイロン、7ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、46ナイロン、66ナイロン、69ナイロン、610ナイロン、611ナイロン、6Tナイロン、6Iナイロン、MXD6ナイロン、6−66ナイロン、6−610ナイロン、6−611ナイロン、6−12ナイロン、6−612ナイロン、6−6Tナイロン、6−6Iナイロン、6−66−610ナイロン、6−66−12ナイロン、6−66−612ナイロン、66−6Tナイロン、66−6Iナイロン、6T−6Iナイロン、66−6T−6Iナイロン等が挙げられる。
ポリアミド樹脂層は、耐ピンホール性の観点からナイロン系樹脂を用いることが好ましく、中でも6ナイロンや6−66ナイロンを用いることが特に好ましい。
また、ポリアミド樹脂層は2層以上設けることもでき、その場合、各層が異なる種類のナイロン系樹脂で形成されていてもよい。
ポリアミド樹脂層の厚みは10μm以上、好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、上限は150μm以下、好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。ポリアミド樹脂層の厚みの下限を10μm以上とすることにより良好な耐ピンホール性が得られ、また上限を150μm以下とすることによりフィルムのカット性と深絞り成形性を良好に維持することができる。
<中間層:バリア層>
本発明のフィルムの中間層に、酸素バリア性を向上させる目的で、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂(以下、EVOHと略記することがある)層またはMXD−6ナイロン樹脂(以下、MXDと略記することがある)層を有することができる。
バリア層の厚みは5μm以上、好ましくは7μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、上限は50μm以下、好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。バリア層の厚みの下限を5μm以上とすることにより良好な酸素バリア性を得ることができ、また上限を50μm以下とすることによりフィルムの深絞り成形性を良好に維持することができる。
<接着層>
本発明のフィルムは、中間層と内層との間に接着層として、ポリプロピレン樹脂を主成分とする接着樹脂(以下、ADと略記することがある)からなる層を少なくとも1層配する。
接着層に用いるポリプロピレン樹脂は、密度0.890以上で、且つ融点130℃以上である。これは高温殺菌処理においても、中間層との十分な密着を図る為の条件である。
接着層の厚みは5μm以上、好ましくは8μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、また上限は特に制限はないが、25μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらに好ましい。
接着層の厚みが5μm以上であれば、層間剥離強度を向上させることができる。また接着層が厚すぎると、フィルムの総厚みが厚くなってしまうほか、製造コストも嵩む為上限は25μm以下であることが望ましい。
<接着層の隣接層:ポリプロピレン樹脂とポリエチレン系エラストマーとの混合層>
本発明のフィルムは、接着層と隣接してその内側に、ポリプロピレン樹脂を主成分とする接着層と、ポリエチレン樹脂から成る内層との接着を高める目的で、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン系エラストマーとの混合層を少なくとも1層配する。
混合層のポリプロピレン樹脂は、ホモポリマー、エチレン等とのランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどが挙げられる。
また、混合層のポリエチレン系エラストマーは、エチレンを主成分としてブテン等を共重合させた樹脂を好ましく用いることができ、その密度は0.900以下、且つ融点は80℃以下である。より好ましくは、密度0.890以下、且つ融点75℃以下である。これは優れた耐ピンホール性を発現する為の条件である。
混合層の厚みは5μm以上、好ましくは8μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、また上限は特に制限はないが、25μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらに好ましい。
混合層の厚みが5μm以上であれば、接着層と内層との接着性を向上させることができる。また混合層が厚すぎると、フィルムの総厚みが厚くなってしまうほか、製造コストも嵩む為上限は25μm以下であることが望ましい。
<内層:ポリエチレン樹脂層>
本発明のフィルムは、内層に密度0.925以上且つ融点125℃以上であるポリエチレン樹脂(以下、PEと略記することがある)層を少なくとも1層配する。より好ましくは、密度0.930以上、融点130℃以上である。これは高温殺菌処理において、樹脂が溶融せず、内容物への析出を防止する為に必要な条件である。
ポリエチレン樹脂は特に限定されないが、耐熱性の観点から高密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
ポリエチレン樹脂層の厚みは10μm以上、好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、上限は150μm以下、好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。ヒートシール層の厚みの下限を10μm以上とすることにより良好なシール性と耐ピンホール性が得られ、また上限を150μm以下とすることによりフィルムの透明性とカット性を良好に維持することができる。
<最内層:イージーピール層>
本発明のフィルムの内層に隣接した最内層に、包装体の開封性を向上させる目的で、凝集破壊性を有するイージーピール(以下、EPと略記することがある)層を配することができる。ここで、凝集破壊性を有するとは、包装体を開封する際に、イージーピール層自身が破壊することにより剥離すること意味し、破壊後のイージーピール層はその上下の層の双方に残る。
イージーピール層は、融点125℃以上であるポリエチレン樹脂と、融点125℃以上であるポリプロピレン樹脂との混合で構成することが望ましい。
イージーピール層に用いるポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂の融点が共に125℃以上であることにより、高温殺菌中に樹脂が溶融せず、内容物への析出や開封きっかけ部の底材と蓋材の融着を防止することができる。
イージーピール層のポリエチレン樹脂の混合比率は、イージーピール層全体を100質量%として、50質量%以上90質量%以下である。
ポリエチレン樹脂の混合比率が50質量%以上であれば、シール層がポリエチレン樹脂である蓋材と良好なヒートシール性を維持でき、混合比率が90質量%以上では、イージーピール層の凝集力が強すぎて良好な易剥離性が得られない。
イージーピール強度は、1.96N/15mm幅(200gf/15mm幅)以上11.8N/15mm幅(1200gf/15mm幅)以下の範囲であり、かつ外層、中間層及び内層の層間剥離強度より小さい数値であることが望ましい。
イージーピール強度の下限は、好ましくは2.94N/15mm幅以上、より好ましくは3.92N/15mm幅以上、さらに好ましくは4N/15mm幅以上である。一方、イージーピール強度の上限は、好ましくは9.8N/15mm幅以下、さらに好ましくは7.84N/15mm幅以下である。
イージーピール強度が1.96N/15mm幅(200gf/15mm幅)以上あれば、高温殺菌処理時に包装体が破袋してしまう危険性がなく、また11.8N/15mm幅(1200gf/15mm幅)以下であれば、包装体の良好な開封性を維持できる。
イージーピール層の厚みの下限は、3μm以上、好ましくは4μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、上限は15μm以下、好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
イージーピール層の厚みを3μm以上とすることにより、安定したフィルム製膜性が得られる。一方、イージーピール層の厚みを15μm以下とすることにより、包装体の開封時に毛羽立ちの発生を抑えることができ、かつ良好な剥離外観が得られる。
毛羽立ちは、剥離時にイージーピール層内で凝集破壊が起きないと発生する。イージーピール層厚の増大や、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂の混合比率の不適合により、層の凝集力が強くなって破壊しにくくなり、毛羽立ちが発生しやすくなる。
<フィルム全体>
本発明のフィルムの総厚みの上限は、300μm以下、好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下とし、下限は70μm以上、好ましくは80μm以上、さらに好ましくは90μm以上とすることが望ましい。
総厚みの上限が300μm以下であれば、良好な深絞り成形性を維持できると共に、成形加熱工程の加熱時間が比較的短くて済み、かつ易開封性を維持できる。一方、総厚みの下限が70μm以上であれば、良好な耐ピンホール性が得られる。
本発明のフィルムの層構成として、例えば次の例が挙げられる。ここにおいて、PP層(A)、ELA層(B)、PPとELAの混合層(C)、EVOH層(D)、MXD6(E)、PA層(F)、接着樹脂層(G)、PPとPE系ELAの混合層(H)、PE層(I)、EP層(J)と表記する。
好ましい層構成は、(1)、(3)、(5)、(6)である。
(1)A/B/F/G/H/I
(2)C/B/F/G/H/I
(3)A/B/F/G/H/I/J
(4)A/B/D/F/G/H/I
(5)A/B/E/F/G/H/I
(6)A/B/E/F/G/H/I/J
以下、本発明のフィルムの実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例のフィルムの各層には、次に示す樹脂原料を用いた。
尚、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂の密度はJIS K 7112法、融点はJIS K 7121法に準じて測定したものである。
PP1; ホモポリプロピレン樹脂
ELA; 融点60℃の低結晶性樹脂を80質量%含有するポリエチレン系熱可塑性エラストマー
[PP+ELA]1; プロピレン−エチレンランダム共重合体+ELA、混合重量比50:50
[PP+ELA]2; プロピレン−エチレンランダム共重合体+ELA、混合重量比20:80
EVOH; エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、高耐熱グレード
MXD ; MXD−6ナイロン
PA ; 6ナイロン
ADPE1; ポリエチレン系接着樹脂(密度0.940、融点131℃)
ADPE2; ポリエチレン系接着樹脂(密度0.912、融点120℃)
ADPP ; ポリプロピレン系接着樹脂
[PP+PE系ELA];プロピレン−エチレンランダム共重合体+エチレン−ブテン共重合体エラストマー、混合重量比80:20
PE1 ; 直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.938、融点126℃)
PE2 ; 直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.920、融点120℃)
PP2 ; エチレン−ポリプロピレンランダム共重合体
EP1 ; 高密度ポリエチレン(融点136℃)+ポリプロピレン(融点141℃)、混合質量比7:3
EP2 ; 低密度ポリエチレン(融点115℃)+ポリプロピレン(融点141℃)、混合質量比7:3
CPP ; 無延伸ポリプロピレンフィルム
ONy ; 二軸延伸ナイロン6フィルム
LL ; 直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(高耐熱グレード)
実施例及び比較例のフィルム層構成を次に示す。層構成の表記のうち、「/」は共押出法、「//」はドライラミネート法でそれぞれ作製したことを示す。
底材に、各例に示す層構成の共押出多層フィルムを用いた。
蓋材には、実施例1〜5、比較例2〜6では、CPP//ONy//LLの積層フィルムを用い、比較例1では、CPP//ONy//CPPの積層フィルムを用いた。
フィルム層構成と試験評価結果を表1にまとめて示す。尚、フィルム層構成に関する表中数字は、各層厚み(μm)である。
<実施例1>
PP1/ELA/PA/ADPP/[PP+PE系ELA]/PE1
<実施例2> 最外層にELAを混合した。
[PP+ELA]1/ELA/PA/ADPP/[PP+PE系ELA]/PE1
<実施例3> 実施例2の最外層のELA混合比率を80質量%に変更した。
[PP+ELA]2/ELA/PA/ADPP/[PP+PE系ELA]/PE1
<実施例4> 実施例1の中間層にEVOH層を配した。
PP1/ELA/EVOH/PA/ADPP/[PP+PE系ELA]/PE1
<実施例5> 実施例1の中間層にMXD層を配した。
PP1/ELA/MXD/PA/ADPP/[PP+PE系ELA]/PE1
<実施例6> 実施例1の内層にイージーピール層を配した。
PP1/ELA/PA/ADPP/[PP+PE系ELA]/PE1/EP1
<比較例1> 実施例1からELA層と[PP+PE系ELA]層を除き、内層をPPに変更した。
PP1/PA/ADPP/PP2
<比較例2> 実施例1からELA層と[PP+PE系ELA]層を除き、接着層及び内層を密度0.920以下のPE系樹脂に変更した。
PP1/PA/ADPE2/PE2
<比較例3> 実施例1からELA層と[PP+PE系ELA]層を除き、接着層及び内層を密度0.925以上のPE系樹脂に変更した。
PP1/PA/ADPE1/PE1
<比較例4> 実施例1からELA層を除いた。
PP1/PA/ADPP/[PP+PE系ELA]/PE1
<比較例5> 実施例1から[PP+PE系ELA]層を除き、接着層及び内層を密度0.925以上のPE系樹脂に変更した。
PP1/ELA/PA/ADPE1/PE1
<比較例6> 実施例5のイージーピール層を融点125℃以下のPEに変更した。
PP1/ELA/PA/ADPP/[PP+PE系ELA]/PE1/EP2
<評価方法>
(1)深絞り包装体の作製
実施例で作製したフィルムを深絞り包装機(大森機械工業社製FV6300)を用いて図1に示すような包装体に作製し、121℃、30分間の条件で高温殺菌処理した後、評価試験(2)〜(6)に供した。
図1において、網掛け表記部は、内容物としてハンバーグを含んだ深絞り成形部1であり、内容物の周縁部は、底材と蓋材とのヒートシール部2である。角部はヒートシールしていない開封きっかけ部3である。包装体の長辺は140mm、短辺は120mm、開封きっかけ部は縦横30mmである。
(2)フランジ部のカール
図2に示すように、包装体の底材4を上側に、蓋材5を下側にして置いた場合の水平面6に対するフランジ部のカールを評価した。カール高さ7が最も高い箇所で3mm未満であるものを◎、3mm以上5mm未満であるものを○、5mm以上であるものを×として評価した。
(3)デラミネーション
底材のデラミネーション(層間剥離)の有無を評価した。デラミネーションが発生しなかったものを○、発生したものを×として評価した。
(4)溶融及び開封きっかけ部の融着
フィルム構成樹脂の内容物側への溶け出し、及び開封きっかけ部における底材と蓋材の融着の有無を評価した。樹脂溶融及び融着が発生しなかったものを○、発生したものを×として評価した。
(5)冷凍落下試験
深絞り包装体を−20℃、24時間冷凍した後、ダンボール箱に入れて50cmの高さよりコンクリート面に垂直落下させ、包装体の割れやピンホールの不良の発生有無を評価した。
割れやピンホールが1つも発生しなかったものを○、割れやピンホールが何れか1つ以上発生したものを×として評価した。
(6)低温衝撃強度
底材フィルムを100mm×100mmに切断して試験片とし、衝撃強度試験機を用い、温度−20℃、ストライカの針径0.5インチ、打ち抜き速度3m/secの条件で、衝撃強度を測定した。
50kgf・mm以上のものを◎、30kgf・mm以上50kgf・mm未満のものを○、30kgf・mm未満のものを×として評価した。
(7)ヘーズ測定
高温殺菌処理前と処理後のフィルムをJIS K 7105に基づき23℃以下でのヘーズを測定した。10%未満のものを○、10%以上のものを×として評価した。
Figure 0006365369
表1の包装材層構成に関する表中数字は、各層厚み(μm)である。
表1より、実施例1,2,4,5,6は、高温殺菌処理後におけるフランジ部のカールが小さく、デラミネーションや溶融、開封きっかけ部の融着は発生しなかった。また、低温下での落下試験において割れやピンホールは発生せず、衝撃強度も高い値であった。さらに、ヘーズの値が低く、透明性が良好であった。
実施例3は、最外層に熱可塑性エラストマーが70質量%より多く含まれている為、フランジ部がカールした。
これに対し比較例1は、外層と内層に硬いポリプロピレン樹脂層のみを用いている為、耐ピンホール性に劣っていた。
比較例2〜4は内層にポリエチレン樹脂を用いているが、外層がポリプロピレン樹脂層のみであるため、耐ピンホール性が不十分であった。
比較例2は、接着樹脂層に低融点のポリエチレン樹脂を用いているため耐熱性に劣り、底材のデラミネーションが発生した。
比較例2と6は、内層に低融点のポリエチレン樹脂を用いている為、内容物への溶融や開封きっかけ部の融着が発生した。
比較例3と5は、接着樹脂に高密度ポリエチレンを使用しており、内層の高密度ポリエチレンも厚い為、透明性が悪かった。
比較例1〜4は、最外層の隣接層に低結晶性樹脂を含む熱可塑性エラストマーを用いていない為、高温殺菌処理による結晶化により透明性が悪化した。
本発明の共押出フィルムは、高温殺菌工程を経てもフランジ部のカールやフィルム構成樹脂の溶出、シール強度低下が抑制され、低温下の耐ピンホール性が高く、且つ透明性が良好である為包装体の見栄えが良いと云う特性から、内容物の包装、高温処理、低温保管、搬送等の各工程で良好な包装体を維持することができ、食品等の安全衛生や包装形態に関する損失がなく、且つ使い易い高温殺菌対応共押出フィルムおよび深絞り包装体として利用することができる。
1 深絞り成形部
2 ヒートシール部
3 開封きっかけ部
4 底材
5 蓋材
6 水平面
7 カール高さ

Claims (4)

  1. 最外層にポリプロピレン樹脂層、最外層と隣接する層に融点40℃以上70℃以下の低結晶性樹脂を30質量%以上含有する熱可塑性エラストマー層、中間層にポリアミド樹脂層、ポリプロピレン樹脂を主成分とする接着樹脂からなる接着層、接着層と隣接する層にポリプロピレン樹脂とポリエチレン系エラストマーとの混合層、内層に密度0.925以上かつ融点125℃以上のポリエチレン樹脂層の層順であることを特徴とする共押出フィルム。
  2. 最外層中に、融点40〜70℃の低結晶性樹脂を30質量%以上含有する記熱可塑性エラストマーを、最外層全体を100重量%として70質量%以下の範囲で混合した請求項1に記載の共押出フィルム。
  3. 内層に隣接した最内層に、融点125℃以上のポリエチレン樹脂と融点125℃以上のポリプロピレン樹脂との混合で構成したイージーピール層を配する請求項1または2に記載の共押出フィルム。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の共押出しフィルムを用いて成形した深絞り包装体。
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