<第1の実施形態>
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッド2を備える記録装置1の概略の側面図である。図1(b)は、記録装置1の概略の平面図である。なお、一次供給流路22および一次回収流路26の延びる方向を第1方向D1と称し、第1方向にD1に平面視して直交する方向を第2方向D2と称し、二次供給流路20および二次回収流路24の延びる方向を第3方向D3と称する。なお、第2方向D2は、記録媒体の搬送方向となっている。
記録装置1は、記録媒体である印刷用紙Pを搬送ローラ80aから搬送ローラ80bへと搬送することにより、印刷用紙Pを液体吐出ヘッド2に対して第2方向D2に相対的に移動させている。制御部88は、画像や文字のデータに基づいて、液体吐出ヘッド2を制御して、液体吐出ヘッド2から記録媒体Pに向けて液体を吐出させ、印刷用紙Pに液滴を着弾させて、印刷用紙Pに印刷などの記録を行なう。
本実施形態では、液体吐出ヘッド2は記録装置1に対して固定されており、記録装置1はいわゆるライン記録装置となっている。本発明の記録装置の他の実施形態としては、いわゆるシリアル記録装置があげられる。
記録装置1には、印刷用紙Pとほぼ平行するように平板状のフレーム70が固定されている。フレーム70には図示しない20個の孔が設けられており、20個の液体吐出ヘッド2がそれぞれの孔に搭載されている。液体吐出ヘッド2の液体を吐出する部位は、印刷用紙Pに面するようになっている。液体吐出ヘッド2と印刷用紙Pとの間の距離は、例えば0.5〜20mm程度とされる。5つの液体吐出ヘッド2は、1つのヘッド群72を構成しており、記録装置1は、4つのヘッド群72を有している。
液体吐出ヘッド2は、第1方向D1に細長い長尺形状を有している。1つのヘッド群72内において、3つの液体吐出ヘッド2は、第1方向D1に沿って並んでおり、他の2つの液体吐出ヘッド2は、3つの液体吐出ヘッド2と第1方向D1にずれた位置で、3つの液体吐出ヘッド2の間にそれぞれ一つずつ並んでいる。
液体吐出ヘッド2は、各液体吐出ヘッド2で印刷可能な範囲が、第1方向D1に繋がるように、あるいは端が重複するように配置されている。
4つのヘッド群72は、第2方向D2に沿って配置されている。各液体吐出ヘッド2には、図示しない液体タンクから液体(インク)が供給される。1つのヘッド群72に属する液体吐出ヘッド2には、同じ色のインクが供給されるようになっており、4つのヘッド群72で4色のインクが印刷できる。各ヘッド群72から吐出されるインクの色は、例えば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。このようなインクを、制御部88で制御して印刷すれば、カラー画像が印刷できる。
記録装置1に搭載される液体吐出ヘッド2の個数は、単色で、1つの液体吐出ヘッド2で印刷可能な範囲を印刷するのなら1つでもよい。ヘッド群72に含まれる液体吐出ヘッド2の個数、あるいはヘッド群72の個数は、印刷する対象や印刷条件により適宜変更できる。例えば、さらに多色の印刷をするためにヘッド群72の個数を増やしてもよい。また、同色で印刷するヘッド群72を複数配置して、第2方向D2に交互に印刷することで、印刷速度(搬送速度)を速くすることができる。また、同色で印刷するヘッド群72を複数準備して、第2方向D2にずらして配置して、印刷用紙Pの幅方向の解像度を高くしてもよい。
さらに、色の付いたインクを印刷する以外に、印刷用紙Pの表面処理をするために、コーティング剤などの液体を印刷してもよい。
記録装置1は、印刷用紙Pに印刷を行なう。印刷用紙Pは、給紙ローラ80aに巻き取られた状態になっており、2つのガイドローラ82aの間を通った後、フレーム70に搭載されている液体吐出ヘッド2の下側を通り、その後2つの搬送ローラ82bの間を通り、最終的に回収ローラ80bに回収される。印刷する際には、搬送ローラ82bを回転させることで印刷用紙Pは、一定速度で搬送され、液体吐出ヘッド2によって印刷される。回収ローラ80bは、搬送ローラ82bから送り出された印刷用紙Pを巻き取る。搬送速度は、例えば、75m/分とされる。各ローラは、制御部88によって制御されてもよいし、人によって手動で操作されてもよい。
記録媒体は、印刷用紙P以外に、布、あるいはタイル等の建築材料でもよい。また、記録装置1を、印刷用紙Pの代わりに搬送ベルトを搬送する形態にし、記録媒体は、ロール状のもの以外に、搬送ベルト上に置かれた、枚葉紙や裁断された布、木材、タイルなどにしてもよい。さらに、液体吐出ヘッド2から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。またさらに、液体吐出ヘッド2から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤や化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、反応させるなどして、化学薬品を作製してもよい。
また、記録装置1に、位置センサ、速度センサ、温度センサなどを取り付け、制御部88が、各センサからの情報から分かる記録装置1の各部の状態に応じて、記録装置1の各部を制御してもよい。特に、液体吐出ヘッド2から吐出される液体の吐出特性(吐出量や吐出速度など)が外部の影響を受けるようであれば、液体吐出ヘッド2の温度や液体タンクの液体の温度、液体タンクの液体が液体吐出ヘッド2に加えている圧力に応じて、液体吐出ヘッド2において液体を吐出させる駆動信号を変えるようにしてもよい。
次に、本発明の一実施形態の液体吐出ヘッド2について図2〜8を用いて説明する。なお、図2においては、配線基板94を支える支持板を省略して示している。また、図4では、押圧部材52を簡略化して示している。また、図5では接続領域42を模式的に斑点で示している。
液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体2aと、押圧部材52と、一次流路部材6と、フレキシブル配線基板92と、ドライバIC93と、配線基板94と、固定部材95と、筺体9
1と、放熱板90とを備えている。なお、一次流路部材6、配線基板94、ドライバIC93、筐体91、放熱板90、および固定部材95は、必ずしも設けなくてもよい。
ヘッド本体2aは、二次流路部材4と、二次流路部材4上に設けられた圧電アクチュエータ基板40とを有している。二次流路部材4は、液体を吐出するための吐出孔8(図6
参照)を有しており、第1方向D1に延びるように形成されている。圧電アクチュエータ
基板40は、二次流路部材4上に設けられており、第1方向D1に延びるように設けられている。圧電アクチュエータ基板40にはフレキシブル配線基板92が電気的に接続されている。
ヘッド本体2aの二次流路部材4上には一次流路部材6が配置されており、一次流路部材6がヘッド本体2aに液体を供給している。一次流路部材6の開口6aから、フレキシブル配線基板92が上方へ向けて引き出されており、フレキシブル配線基板92は、配線基板94に電気的に接続されている。そして、フレキシブル配線基板92および配線基板94を覆うように、一次流路部材6上に筐体91が設けられており、筐体91の第2方向D2に面する側面に放熱板90が設けられている。固定部材95は、フレキシブル配線基板92を放熱板90に押し当てるように、一次流路部材6上に設けられている。
一次流路部材6は、開口6a,6bと、一次供給流路22(図4参照)と、一次回収流路26(図4参照)を有している。開口6aは、第1方向D1に沿って延びるように設けられており、一次流路部材6を貫通している。貫通した開口6aにはフレキシブル配線基板92が挿通されている。開口6bは、第1方向D1の両端部に設けられており、外部から液体が開口6bに供給され、一次流路部材6に液体が供給されている。一次流路部材6は、金属あるいは樹脂により形成されている。
一次供給流路22は第1方向D1に延びるように設けられており、二次供給流路20に液体を供給している。一次回収流路26は第1方向D1に延びるように設けられており、二次回収流路24から液体を回収している。これにより、一次流路部材6は、二次流路部材4に液体を供給し、二次流路部材4から吐出されなかった液体を回収している。
ヘッド本体2aの上方には配線基板94が配置されており、ヘッド本体2aから引き出されたフレキシブル配線基板92が配線基板94に電気的に接続されている。配線基板94は、支持板によりヘッド本体2aの上方に配置されており、ドライバIC93に信号を分配する機能を有している。配線基板94は、ヘッド本体2aと離間した状態で配置されている。
筺体91は、ヘッド本体2a上に配置されている。筐体91は、第1方向D1に長く設けられており、第1開口91aと、第2開口91bと、第3開口91cと、第4開口91dと、断熱部91eとを備えている。筐体91は、第2方向D2に対向する側面に、第1開口91aおよび第2開口91bを有している。また、筐体91は、下面に第3開口91cを有している。また、筐体91は、上面に第4開口91dを有している。第2方向D2に対向する側面から外側へ向けて突出した断熱部91eを有している。
筺体91は、上方からフレキシブル配線基板92および配線基板94を覆うようにヘッド本体2a上に載置されることにより、フレキシブル配線基板92および配線基板94を封止している。筐体91は、フレキシブル配線基板92、ドライバIC93および配線基板94を覆うように配置されている。筺体91は、金属、あるいは樹脂により形成されている。
第1開口91aには一方の放熱板90aが対向するように配置されており、一方の放熱
板90aは、断熱部91e上に配置されている。第2開口91bには他方の放熱板90bが対向するように配置されており、他方の放熱板90bは、断熱部91e上に配置されている。放熱板90は、樹脂等の接着剤、あるいは螺子等により筐体91に固定されている。そのため、放熱板90が固定された筐体91は、第3開口91cが開口した箱形状をなしている。
第3開口91cは、下面に設けられており、一次流路部材6と対向するように設けられている。第4開口91dは、上面に設けられており、配線基板94に設けられたコネクタ(不図示)を挿通するために設けられている。放熱板90は、断熱部91e上に配置されている。
放熱板90は、一方の放熱板90aと他方の放熱板90bとを備えている。放熱板90は、第1方向D1に長く設けられており、放熱性の高い金属あるいは合金により形成されている。放熱板90は、筺体91の第1開口91aおよび第2開口91bを封止するように配置されている。
フレキシブル配線基板92は、一方の放熱板90a側に設けられた一方のフレキシブル配線基板92aと、他方の放熱板90b側に設けられた他方のフレキシブル配線基板92bとを備えている。フレキシブル配線基板92は、外部から送られた信号をヘッド本体2aに伝達可能に構成されている。
フレキシブル配線基板92の一端部は、圧電アクチュエータ基板40の接続領域42(図5参照)と電気的に接続されている。フレキシブル配線基板92の他端部は、一次流路部材6の開口6aを挿通するように上方に引き出されており、配線基板94に電気的に接続されている。それにより、圧電アクチュエータ基板40と外部とが電気的に接続されている。フレキシブル配線基板92としては、FPC(Flexible Printed Circuit)を例示することができる。
フレキシブル配線基板92上にはドライバIC93が設けられている。ドライバIC93は、一方のフレキシブル配線基板92a上に設けられた一方のドライバIC93aと、他方のフレキシブル配線基板92b上に設けられた他方のドライバIC93bとを備えている。ドライバIC93は、外部から送られた信号に基づいて、圧電アクチュエータ基板40を駆動させ、液体吐出ヘッド2を駆動させている。
固定部材95は、弾性部材98およびフレキシブル配線基板92を介して放熱板90にドライバIC93を押圧している。それにより、ドライバIC93が駆動により生じた熱を放熱板90へ効率よく放熱することができる。
固定部材95は、一方の固定部95aと他方の固定部95bとを有している。固定部材95は、一次流路部材6上に設けられており、断面視して、上側が開口したUの字形状をなしている。一方の固定部95aは一方のドライバIC93aを一方の放熱板90aに押圧しており、他方の固定部95bは他方のドライバIC93bを他方の放熱板90bに押圧している。
固定部材95は、弾性変形可能に構成されていることが好ましく、例えば、金属、合金、または樹脂により形成することができる。放熱性を向上させるためにアルマイト処理を行っていてもよい。
弾性部材98は、フレキシブル配線基板92と固定部材95との間に配置されている。弾性部材98を設けることにより、固定部材95がフレキシブル配線基板92を破損させ
る可能性を低減することができる。弾性部材98としては、例えば、発泡体両面テープを例示することができる。なお、弾性部材98は必ずしも設けなくてもよい。
図4に示すように、圧電アクチュエータ基板40は、二次流路部材4の吐出領域32に設けられている。吐出領域32は、吐出孔8(図6参照)が配置されている領域である。圧電アクチュエータ基板40の上面に設けられた接続領域42には、端子46(図8参照)が設けられており、端子46とフレキシブル配線基板92の配線とが電気的に接続されている。
フレキシブル配線基板92は、圧電アクチュエータ基板40の接続領域42から、第2方向D2における外側に延び、上方へ向けて引き出されるように設けられている。フレキシブル配線基板92は、平面視して、二次流路部材4よりも小さい領域で上方に引き出されている。
二次流路部材4は、吐出領域32と、吐出領域32の外側に設けられた第1開口20aと、吐出領域32の外側に設けられた第2開口24aとを有している。第1開口20aは
、第2方向D2の一方側に設けられており、第1方向D1に沿って配列されている。第2開口24aは、第2方向D2の他方側に設けられており、第1方向D1に沿って配列されている。第1開口20aは、一次供給流路22と連通しており、第2開口24aは、一次
回収流路26と連通している。
フレキシブル配線基板92上には、フレキシブル配線基板92を押圧するように押圧部材52が配置されている。図5に示すように、押圧部材52は、平面視して、矩形状をなしており、第1方向D1に長く設けられている。押圧部材52は、基部52aと、突出部54と、空間部52bと、接着部52cとを有している。
基部52aは、第1方向D1に長く形成されており、平板状をなしている。基部52aの上面は平滑に形成されている。基部52aは、突出部54で囲まれた空間に配置されている。
突出部54は、押圧部材52の裏面方向から見て、枠形状をなしており、基部52aから下方に向けて突出している。突出部54は、圧電アクチュエータ基板40の外側に配置されており、平面視して、突出部54の内径が、圧電アクチュエータ基板40の外径よりも大きく形成されている。突出部54の突出高さは、0.15〜0.25mmとすることができる。
空間部52bは、突出部54と基部52aとにより形成されている。すなわち、枠形状に形成された突出部54と基部52aとにより囲まれた領域が、空間部52bとして形成されている。そして、空間部52bに圧電アクチュエータ基板40が配置されている。そのため、押圧部材52の基部52aと、接続領域42上に設けられたフレキシブル配線基板92とが接触しにくい構成となり、接続領域の端子46が変形する可能性を低減することができる。また、空間部52bを有することから、押圧部材52の基部52aと、接続領域42上に設けられたフレキシブル配線基板92とが接触にくい構成となり、圧電アクチュエータ基板40の変位を阻害する可能性を低減することができる。
接着部52cは、第1方向D1における両端部に設けられており、接着部材56を介して二次流路部材4と接着されている。接着部材56としては、両面テープ、あるいは樹脂材料により形成することができる。接着部材56の厚みは0.15〜0.25mmとすることができる。
ここで、液体吐出ヘッドを駆動すると、駆動に伴い生じた熱により液体吐出ヘッドの温度が上昇する場合がある。液体吐出ヘッドの温度が上昇すると、圧電アクチュエータ基板の熱膨張係数と、フレキシブル配線基板の熱膨張係数が異なることにより、接着領域に応力が生じてしまい圧電アクチュエータ基板とフレキシブル配線基板とが剥離するおそれがある。
これに対して、液体吐出ヘッド2は、押圧部材52が、圧電アクチュエータ基板40の外側の領域に下方に向けて突出した突出部54を有しており、突出部54が、フレキシブル配線基板92を二次流路部材4側に向けて押圧している。そのため、フレキシブル配線基板92が、圧電アクチュエータ基板40の外側の領域において、下方へ向けて押圧されることとなる。その結果、フレキシブル配線基板92を上方に引き出した場合においても、接続領域42よりもフレキシブル配線基板92が下方に設けられることとなり、接着領域42に設けられた端子46に応力が生じる可能性を低減することができる。その結果、圧電アクチュエータ基板40と、フレキシブル配線基板92とが剥離する可能性を低減することができる。
また、図4に示すように、フレキシブル配線基板92は、接続領域42から、平面方向における外側へ向けて延び、下方へ向けて湾曲した後に、上方へ向けて引き出されている。それにより、フレキシブル配線基板92の湾曲した部位が、変曲点となり、湾曲した部位により応力が緩和されることとなる。その結果、接続領域42に生じる応力を緩和することができ、圧電アクチュエータ基板40と、フレキシブル配線基板92とが剥離する可能性を低減することができる。
また、液体吐出ヘッド2は、平面視して、突出部54が圧電アクチュエータ基板40を取り囲むように配置されている。そのため、圧電アクチュエータ基板40の周囲における、押圧部材52と二次流路部材4との間に、突出部54が配置されることとなる。その結果、突出部54が、押圧部材52と二次流路部材4との隙間を埋めるように機能し、外部からインクミスト、あるいは埃の侵入を抑えることができる。
また、押圧部材52が、平面視して、突出部54で囲まれた空間に基部52aが位置している。言い換えると、基部52aが、第1方向D1に沿った突出部54、および第2方向D2に沿った突出部54を接続している。それゆえ、枠形状に形成された突出部54の剛性を高めることができ、突出部54が変形する可能性を低減することができる。それにより、突出部54が変形することなくフレキシブル配線基板92を押圧することができる。
さらに、基部52aが接続領域42を覆う構造となるため、空間部52bを封止することができ、外部からインクミスト、あるいは埃が接続領域42に侵入することを抑えることができる。
また、フレキシブル配線基板92が、第1方向D1に沿って、圧電アクチュエータ基板40に接続されており、押圧部材52が、第1方向D1における両端部に設けられた接着部材56により二次流路部材4に接着されている。そのため、フレキシブル配線基板92を第2方向D2に引き出すことができ、液体吐出ヘッド2が第1方向D1に大型化することを抑えることができる。
また、図4に示すように、押圧部材52の突出部54の第2方向D2に対向する側面が、フレキシブル配線基板92を一次流路部材6の開口6aに押圧している。そのため、一次流路部材6の開口6aから、インクミスト、あるいは埃が接続領域42に侵入することを抑えることができ、封止性を向上させることができる。
また、押圧部材52の基部52aと、接続領域42上に設けられたフレキシブル配線基板92とが離間している。そのため、押圧部材52を二次流路部材4に接着する際に、押圧部材52の基部52aと、接続領域42上に設けられたフレキシブル配線基板92とが接触する可能性を低減することができ、接続領域42に位置する端子46が破損する可能性を低減することができる。
押圧部材52は、例えば、金属製の板部材をプレスにより打ち抜き加工をして作製することができる。また、金属製の板部材のうち、突出部54が形成される領域をマスキングし、他の部位をエッチングすることにより作製してもよい。また、押圧部材52は、樹脂により形成してもよく、セラミックス等の無機材料により形成してもよい。また、基部52aと突出部54とを別部材により形成し、基部52aと突出部54とを拡散接合により一体化することにより、押圧部材52を形成してもよい。
次に図6〜8を用いて、ヘッド本体2aを構成する各部材について説明する。なお、図7,8(a)においては、わかりやすくするために破線で示すべき線も実線にて示している。
二次流路部材4は、第1方向D1に長く形成されており、金属、合金あるいは樹脂製のプレートを積層して作製することができる。二次流路部材4は、詳細は後述するが、吐出素子30を備えており、液体を吐出するための流路が形成されている。二次流路部材4の表面には第1開口20aと、第2開口24aとが形成されており、第1開口20aおよび第2開口24aが設けられていない領域に、吐出領域32が形成されている。第1開口20aから第3方向D3に延びるように二次供給流路20が形成されており、第2開口24aから第3方向D3に延びるように二次回収流路24が形成されている。二次供給流路20と二次回収流路24とは、第1方向D1に交互に配置されている。
吐出領域32には、圧電アクチュエータ基板40が配置されており、接着剤などにより二次流路部材4と接合されている。圧電アクチュエータ基板40の表面には端子46が設けられており、端子46がフレキシブル配線基板92と電気的に接続されている。端子46は、Ag,Pd,Auなどの金属または合金により形成された半田バンプ、あるいは樹脂バンプによりフレキシブル配線基板92に電気的に接続されている。
二次流路部材4は、キャビティプレート4a、サプライプレート4b、マニホールドプレート4c1〜4c3、流路プレート4d、およびノズルプレート4eを備えている。キャビティプレート4aには加圧室本体10aが形成されている。マニホールドプレート4c1〜4c3には、二次供給流路20および二次回収流路24が形成されている。流路プレート4dには個別回収流路14が形成されている。ノズルプレート4eには吐出孔8が形成されている。そして、キャビティプレート4aの上面が加圧室面4−1を形成しており、ノズルプレート4e下面が吐出孔面4−2を形成している。
吐出素子30は、二次流路部材4の吐出領域32に、第1方向D1および第2方向D2に沿うようにマトリクス状に配置されている。
吐出素子30は、加圧室10と、個別供給流路12と、吐出孔8と、個別回収流路14とを備えている。加圧室10は加圧室本体10aと部分流路10bとを備えている。加圧室本体10aと、部分流路10bと、個別供給流路12と、吐出孔8と、個別回収流路14とは、それぞれ連通しており、流体接続されている。
加圧室10は、加圧室本体10aと、部分流路10bとを備えている。加圧室本体10
aは、加圧室面4−1に面して配置されており、変位素子50からの圧力を受けている。
部分流路10bは、加圧室本体10aの下から吐出孔面4−2に開口している吐出孔8に繋がる中空の領域である。部分流路10bは、直径が加圧室本体10aより小さい直円柱形状であり、平面形状は円形状である。また、部分流路10bは、加圧室面4−1から見たときに、加圧室本体10a内に収容されるように配置されている。
複数ある加圧室10は、第3方向D3に沿った複数の加圧室列11Aを構成しているとともに、第1方向D1に沿った複数の加圧室行11Bを構成している。各吐出孔8は、対応する加圧室本体10aの中心に位置している。複数ある吐出孔8も、加圧室10と同様に、第1方向に沿った複数の吐出孔列9Aを構成しているとともに、第2方向に沿った複数の吐出孔行9Bを構成している。第3方向D3は第2方向D2に対して傾斜しており、第3方向D3と第2方向D2のなす角は45〜90°であることが好ましい。
図7において、吐出孔8を第2方向D2に投影すると、仮想直線Rの範囲に32個の吐出孔8が投影され、仮想直線R内で各吐出孔8は360dpiの間隔に並ぶ。これにより、仮想直線Rに直交する方向に印刷用紙Pを搬送して印刷すれば、360dpiの解像度で印刷できる。
液体吐出ヘッド2における液体の流れについて説明する。外部より供給された液体は、一次流路部材6の開口6bから供給され一次供給流路22を流れる。一次供給流路22を流れる液体は、連通部を介して二次流路部材4の第1開口20aに供給される。そのため、一次供給流路22を流れる液体は、第1開口20aに向けて個別に分流されることとなる。
第1開口20aに供給された液体は、第3方向D3に沿って二次供給流路24を流れる間に、各個別供給流路12に流れることとなる。そのため、二次供給流路24を流れる液体は、各吐出素子30に向けて個別に分流されることとなる。
個別供給流路12に流れた液体は、加圧室本体10aに流れ込み、変位素子50により圧力を加えられ、部分流路12を下方に向けて流れることとなる。そして、部分流路12の先に液体が到達すると、吐出孔8から液体が吐出される。
吐出孔8から吐出されなかった液体は、個別回収流路14を流れて二次回収流路24に回収される。二次回収流路24は第3方向D3に沿って流れる間に各個別回収流路14から液体を回収する。そして、第2開口24aを流れ出た液体は、一次流路部材6の一次回収流路26に回収されることとなる。なお、第2開口24aと一次回収流路26とは、連通部により連通されている。そして、一次回収流路26を第1方向D1に沿って流れながら、各第2開口24aから液体が回収され、回収された液体は、開口6bから外部へ排出される。
二次流路部材4の上面には、変位素子50を含む圧電アクチュエータ基板40が接合されており、各変位素子50が加圧室10上に位置するように配置されている。圧電アクチュエータ基板40は、吐出素子30が配置された吐出領域32と略同一の形状の領域を占有している。また、各加圧室本体10aの開口は、流路部材4の加圧室面4−1に圧電アクチュエータ基板40が接合されることで閉塞される。
圧電アクチュエータ基板40は、第1方向D1に長い長方形状をなしている。圧電アクチュエータ基板40は、圧電セラミックス層40a,40bと、共通電極42と、個別電極44と、端子46とを有している。圧電アクチュエータ基板40は、圧電セラミックス
層40bと、共通電極42と、圧電セラミックス層40aと、個別電極44とが積層されて構成されており、圧電セラミックス層40aを介して共通電極42と個別電極44とが対向する領域が変位素子50として機能する。
共通電極42は、圧電セラミックス層40a,40bの間に設けられており、圧電セラミックス層40a、40bの全域にわたって設けられている。個別電極44は、個別電極本体44aと引出電極44bとを有している。個別電極本体44aは加圧室10上に配置されており、加圧室10に対応して設けられている。引出電極44bは、個別電極本体44aから加圧室10より外側まで引き出されている。
引出電極44b上の加圧室10と対向する領域外に引き出された部分には、端子46が形成されている。
次に、液体吐出ヘッド2の製造方法について説明する。
まず、二次流路部材4に圧電アクチュエータ基板40を接合し、ドライバIC93が搭載されたフレキシブル配線基板92の一端部を、圧電アクチュエータ基板40に電気的に接続する。そして、フレキシブル配線基板92の他端部を一次流路部材6の開口6aを挿通させた状態で、一次流路部材6と二次流路部材4とを接合する。
次いで、一次流路部材6上に固定部材95を接合し、支持部(不図示)上に配線基板94を載置し、フレキシブル配線基板92の他端部を配線基板94に設けられたコネクタ(不図示)に嵌合させる。
次いで、上方からヘッド本体2a上に筐体91を載置する。その際に、筐体91の下面に設けられた第3開口91cに、フレキシブル配線基板92および配線基板94が配置されるように筐体91をヘッド本体2a上に載置する。
次いで、筐体91の第1開口91aおよび第2開口91bに対向するように放熱板90を配置し、断熱部91e上に放熱板90を配置する。そして、放熱板90を筐体91に螺子止めして、放熱板90を筐体91に固定し、ドライバIC93を、固定部材95によって放熱板90に向けて押圧して液体吐出ヘッド2を作製することができる。
<第2の実施形態>
図9を用いて液体吐出ヘッド102について説明する。なお、液体吐出ヘッド2と同一の部材については同一の符号を付し、以下同様とする。
液体吐出ヘッド102は、二次流路部材4と、圧電アクチュエータ基板40と、フレキシブル配線基板92と、押圧部材52と、接着部材56とを有している。二次流路部材4は導電性を有しており、圧電アクチュエータ基板40とフレキシブル配線基板92とは、接続領域42にて端子46を介して接続されている。
端子46は、個別電極(不図示)に接続された端子46aと、共通電極(不図示)に接続された端子46bとを有している。端子46aは、接続領域42にマトリクス状に配置されている。端子46bは、第1方向D1における両端部に設けられている。なお、端子46bは、共通電極と電気的に接続され、圧電アクチュエータ基板40の表面に引き出された表面電極(不図示)に電気的に接続されている。そして、端子46bは、表面電極から二次流路部材4の上面にわたって設けられており、表面電極と二次流路部材4とを電気的に接続している。
押圧部材52は、下方に向けて突出した突出部54を有しており、突出部54がフレキシブル配線基板92を二次流路部材4側に向けて押圧している。そのため、フレキシブル配線基板92は、接続領域42から平面方向における外側へ向けて延びた後に、下方へ向けて湾曲しており、下方へ向けて湾曲した湾曲部92cを有している。そして、湾曲部92cが、二次流路部材4と接触している。
液体吐出ヘッド102は、フレキシブル配線基板92が、圧電アクチュエータ基板40よりも外側で二次流路部材4と接触する構成を有している。そのため、フレキブル配線基板92の湾曲部92cと二次流路部材4とにより、接続領域42が封止されることとなり、接続領域42に外部からインクミスト、あるいは埃の侵入を抑えることができる。その結果、接続領域42における封止性を向上させることができる。
また、湾曲部92cが二次流路部材4に接触していることから、湾曲部92cのうち二次流路部材4に接触している部位を起点として、フレキシブル配線基板92が変形することとなる。すなわち、湾曲部92cが、摩擦力により二次流路部材4上に固定されることとなり、湾曲部92cのうち二次流路部材4に接触している部位が変形の起点となる。その結果、接続領域42に生じる応力を緩和することができ、圧電アクチュエータ基板40と、フレキシブル配線基板92とが剥離する可能性を低減することができる。
<第3の実施形態>
図10,11を用いて液体吐出ヘッド202について説明する。液体吐出ヘッド202は、押圧部材252の構成が液体吐出ヘッド102と異なっている。
押圧部材252は、基部252aと、接着部252cと、開口部252dとを有している。基部252aの第1方向D1および第2方向D2における中央部に開口部252dが形成されている。そのため、押圧部材252は、中央に貫通孔が設けられた構造を有している。
端子46は、個別電極(不図示)に接続された端子46aと、共通電極(不図示)に接続された端子46bとを有している。端子46bは、共通電極が圧電アクチュエータ基板40の表面に引き出された表面電極から、二次流路部材4にわたって設けられており、端子46b上に半田258が形成されている。それにより、共通電極と二次流路部材4との電気的な接続信頼性を高めることができる。
押圧部材252は、基部252aの中央部に開口部252dが設けられている。そのため、押圧部材252を二次流路部材4に接合した後に、端子46bが二次流路部材4上にまで設けられているか、開口部252dから目視により確認することができる。端子46bが二次流路部材4上にまで設けられていない場合、半田258を二次流路部材4上にまで設けることにより、共通電極と二次流路部材4との電気的な接続を確保することができる。
また、押圧部材252は、第2方向D2に沿った突出部254を有している。それにより、突出部254が、端子46bと半田258とを保護することから、共通電極と二次流路部材4との電気的な接続信頼性を高めることができる。
以上、第1〜3実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、加圧部として、加圧室10を圧電アクチュエータの圧電変形によりを加圧する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、加圧室10ごとに発熱部を設け
、発熱部の熱により加圧室10の内部の液体を加熱し、液体の熱膨張により加圧する加圧部としてもよい。
また、接着部材56を、弾性を有する弾性部材により形成してもよい。それにより、押圧部材52を二次流路部材4に押圧力を与えて接着した場合においても、押圧力を弾性部材により吸収することができ、二次流路部材4に形成された各種流路が破損する可能性を低減することができる。なお、弾性部材としては、内部に球形のスペーサを有する樹脂部材、発泡体両面テープ、あるいは両面テープ等を例示することができる。
また、押圧部材52の突出部54が、平面視して、圧電アクチュエータ基板40を取り囲む構成を示したがこれに限定されるものではない。例えば、突出部54が、基部52aの第1方向D1に沿って延びる側面にのみ設けてもよい。この場合においても、突出部54は、フレキシブル配線基板92を押圧することができ、圧電アクチュエータ基板40とフレキシブル配線基板92とが剥離する可能性を低減することができる。
また、一次供給流路22に外部から液体を供給し、一次回収流路26から液体を外部に回収する例を示したがこれに限定されるものではない。一次回収流路26に外部から液体を供給し、一次供給流路22から液体を外部に回収するようにしてもよい。また、ヘッド本体2aの内部を液体が循環しない構造としてもよい。