JP6361511B2 - 表面処理剤及び表面処理方法 - Google Patents

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本発明は、表面処理剤及び表面処理方法に関する。より詳しくは、本発明は医療用の金属製器具を表面処理するために用いられる表面処理剤及び医療用の金属製器具の表面処理方法に関する。
従来、メス、鋏及び鉗子等の医療用の金属製器具は、使用後に洗浄・滅菌といった再生処理をして再利用される。これらの金属製器具は、再生処理によって腐食や動作性の鈍化が進行してしまう。
そこで、医療用の金属製器具に対して潤滑性及び防食性を付与して、これらの金属製器具の耐用期間を延ばす表面処理剤が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、医療用の金属製器具を表面処理するために用いられる表面処理剤は、腐食を防止する観点から、金属製器具の表面に接触した後の乾燥性の高さも要求される。
特許第5280814号公報 特表2011−525210号公報 特開平3−12890号公報 特許第2694629号公報
近年、医療用の金属製器具には、従来よりも高いレベルの防食性・潤滑性が求められるようになってきている。しかしながら、このような要求に対して、医療用の金属製器具に十分に満足できる防食性・潤滑性を付与することができる上に乾燥性の十分に高い表面処理剤は見出されていないのが現状である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、医療用の金属製器具に十分な防食性・潤滑性を付与することができる上に十分に乾燥性が高い表面処理剤を提供することを目的とする。
本発明は、医療用の金属製器具を表面処理するために用いられる表面処理剤であって、(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルを10〜30質量%と、(B)グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤を1.0〜5.0質量%と、(C)水と、を含有する表面処理剤に関する。
更に、(D)ソルビタン脂肪酸エステルを1.0〜10.0質量%含有することが好ましい。
また、前記(D)ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンモノラウリン酸エステルであることが好ましい。
また、前記(B)グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンモノカプレートであることが好ましい。
更に、(E)安息香酸又は安息香酸塩を0.1〜2.0質量%含有することが好ましい。
また、本発明は、前記表面処理剤を、水又はエタノールによって100〜1000倍の体積に希釈することにより前記表面処理剤の希釈液を調製する希釈工程と、医療用の金属製器具に前記希釈液を接触させる接触工程と、を備える医療用の金属製器具の表面処理方法に関する。
本発明によれば、医療用の金属製器具に十分な防食性・潤滑性を付与することができる上に十分に乾燥性が高い表面処理剤を提供することができる。
本発明の実施例における各試験片の腐食速度を示すグラフである。 本発明の実施例における各試験片の摩擦係数を示すグラフである。 本発明の実施例における表面処理剤を滴下した各試験片の質量の経時変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る表面処理剤は、医療用の金属製器具を表面処理するために用いられる。本実施形態における医療用の金属製器具は、特に限定されない。本実施形態における医療用の金属製器具としては、金属製のメス、ピンセット、鋏、鉗子、ステント及び注射針等が例示される。
本実施形態における医療用の金属製器具の素材の金属は、特に限定されない。このような金属としては、ステンレス、銅、真鍮、アルミニウム、ジェラルミン等が例示される。本実施形態における医療用の金属製器具の素材の金属としては、真鍮が好ましく用いられる。
本実施形態に係る表面処理剤は、(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルと、(B)界面活性剤と、(C)水と、を含有する。
(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルは、ジエチレングリコールの一方の水酸基とブチル基とがエーテル結合により結合した化合物である。(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルは、後述する(B)成分等の可溶化剤として作用する。
(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルの表面処理剤における含有量は、10〜30質量%であり、13.6〜23.6質量%であることが好ましい。(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルの表面処理剤における含有量が、10質量%未満であると表面処理剤が白濁し、30質量%を超えると金属製器具の防食性・潤滑性が低下する。
(B)界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤である。(B)界面活性剤は、金属製器具に防食性・潤滑性を付与する。
グリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とグリセロールの水酸基とがエステル結合により結合した化合物である。
グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されない。グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の炭素数が8〜22の脂肪酸が例示される。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とがエステル結合により結合した化合物である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されない。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の炭素数が8〜22の脂肪酸が例示される。
有機酸モノグリセリドは、有機酸とグリセロールの水酸基とがエステル結合により結合した化合物である。
有機酸モノグリセリドを構成する有機酸は限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
(B)界面活性剤としては、金属製器具の防食性・潤滑性を高める観点から、グリセリン脂肪酸エステルを選択することが好ましく、その中でもグリセリンモノカプレートを用いることがより好ましい。
(B)界面活性剤の表面処理剤における含有量は、1.0〜5.0質量%であり、2.5〜4.5質量%であることが好ましい。表面処理剤における(B)界面活性剤の含有量が、1.0質量%未満の場合又は5.0質量%を超える場合には、表面処理剤は白濁しやすくなる。
(C)水としては、純水を用いることが好ましい。
(C)水の表面処理剤における含有量は、50〜80質量%であることが好ましい。(C)水の表面処理剤における含有量が50質量%未満の場合、表面処理剤が白濁しやすくなる傾向にあり、80質量%を超える場合、金属製器具が十分な防食性・潤滑性を得難くなる傾向にある。
本実施形態に係る表面処理剤は、更に、(D)ソルビタン脂肪酸エステルを含有することが好ましい。
(D)ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンの有する水酸基と脂肪酸とがエステル結合により結合した化合物である。(D)ソルビタン脂肪酸エステルは、金属製器具に防食性・潤滑性を付与する。なお、(D)ソルビタン脂肪酸エステルは、泡立ちが少ないので、(D)成分を含有する表面処理剤の希釈液は噴霧させるのが容易である。
(D)ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されない。(D)ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の炭素数が8〜22の脂肪酸が例示される。(D)ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数が、8未満であると、金属製器具の防食性を十分に高めるのが難しい傾向にあり、22を超えると水への溶解性が低下することにより表面処理剤が白濁しやすくなる傾向にある。(D)ソルビタン脂肪酸エステルは、金属製器具の防食性・潤滑性を高める観点からソルビタンモノラウリン酸エステルであることが好ましい。
(D)ソルビタン脂肪酸エステルの表面処理剤における含有量は、1.0〜10.0質量%であることが好ましく、3.0〜7.0質量%であることがより好ましい。(D)ソルビタン脂肪酸エステルの表面処理剤における含有量が、1.0質量%未満であると特定の種類の金属からなる器具の防食性を十分に高めることができない場合がある。一方、表面処理剤は、(D)ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が10.0質量%を超えると白濁しやすくなる傾向にある。
また、本実施形態に係る表面処理剤は、更に、(E)安息香酸及び安息香酸塩の少なくとも一方を含有することが好ましい。(E)安息香酸及び安息香酸塩の少なくとも一方は、金属製器具に防食性を付与する。
(E)安息香酸及び安息香酸塩の少なくとも一方の表面処理剤における含有量は、0.1〜2.0質量%であることが好ましい。(E)安息香酸及び安息香酸塩の少なくとも一方の表面処理剤における含有量が、0.1質量%未満、或いは2.0質量%を超えると、金属製器具の防食性が低下する傾向にある。
なお、上述した(A)〜(E)の各成分は、食品添加物等として用いられるような安全性の高い化合物であるので、医療用の金属製器具に付着したとしても問題はない。
本実施形態に係る表面処理剤は、上述した(A)〜(E)の各成分以外の成分を含有してもよい。例えば、表面処理剤は、(B)及び(D)成分以外の界面活性剤を含有してもよいし、クエン酸等の(E)成分以外の有機酸やアミノ酸等を防食剤として含有してもよい。
続いて、本実施形態に係る表面処理剤を用いた、医療用の金属製器具の表面処理方法について説明する。
本実施形態に係る表面処理方法は、希釈工程と、接触工程と、を備える。
希釈工程では、上記の表面処理剤を、水又はエタノールによって100〜1000倍の体積に希釈することにより表面処理剤の希釈液を調製する。このように本実施形態に係る表面処理剤は、希釈して用いるタイプの表面処理剤である。表面処理剤を100倍未満の体積に希釈する場合、希釈液を調製するための表面処理剤が多くなることからコストが高くなる傾向にある。また、表面処理剤を1000倍よりも大きい体積に希釈する場合、表面処理剤の含有する成分の濃度が低くなることによって、表面処理される金属製器具の防食性・潤滑性が低下してしまう傾向にある。希釈工程においては、表面処理剤を、水又はエタノールによって150〜300倍の体積に希釈することが好ましい。また、希釈液を調製する際のコストを抑える観点から、水によって表面処理剤を希釈するのが好ましい。
接触工程では、医療用の金属製器具に希釈液を接触させる。
希釈液を金属製器具に接触させる方法は、特に限定されない。希釈液を金属製器具に接触させる方法としては、金属製器具を希釈液に浸漬させる方法や金属製器具に希釈液を噴霧する方法が挙げられる。希釈液を金属製器具に接触させる装置としては、器具除染用洗浄器RQ−50E/S及び器具除染用洗浄器RW5200・5200W(いずれも三浦工業株式会社製)等を挙げることができる。
なお、金属製器具は、洗浄・滅菌といった再生処理を施した後に接触工程に供される。接触工程の前の再生処理の方法については特に限定されない。
また、本実施形態に係る表面処理方法は、接触工程において希釈液に接触した金属製器具を乾燥させる乾燥工程を更に備えることが好ましい。乾燥工程における乾燥方法としては、自然乾燥や、温風や熱風による乾燥方法等が例示される。
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1〜8及び比較例1〜4>
(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DB、大伸化学株式会社製)、(B)グリセリンモノカプレート(ポエムM−200、理研ビタミン株式会社)、(D)ソルビタンモノラウリン酸エステル(ノニオンLP−20R、日油株式会社製)、(E)安息香酸ナトリウム及び(C)水が、それぞれ表1に示す含有量(単位:質量%)となるように混合することで、各実施例及び比較例の表面処理剤を調製した。
<参考例>
スティンミルクS−200(クリーンケミカル株式会社製)を参考例の表面処理剤とした。
以上の実施例、比較例及び参考例の表面処理剤を、下記の調製性、防食性及び乾燥性の各評価に供した。
[調製性]
調製された実施例、比較例及び参考例の表面処理剤の白濁の有無について、目視にて確認をし、次の基準に基づいて評価した。調製された表面処理剤が、成分の分離や白濁を生じていない場合には「A」、白濁や白色沈殿を生じている場合には「B」とした。結果を表1に示す。
[防食性]
実施例、比較例及び参考例の表面処理剤を純水で200倍の体積に希釈して希釈液を調製した。そして、各希釈液を100mLのポリプロピレン製の容器に入れた。続いて、エタノールに10分間浸漬することで脱脂した金属製の試験片を、容器の中に入れて希釈液に浸漬した。
試験片としては以下の3種を用いた(全て、日本タクト株式会社製)。試験片のサイズは、全て15mm×50mm×1.0〜1.2mm(厚さ)である。
SUS−420J2(ステンレス鋼板)
C1220P(りん脱酸銅板)
C2801P(真鍮板)
各希釈液に浸漬した試験片は、50℃の環境下7日間放置した。浸漬した状態で7日間放置された後の各試験片を、酸洗することで試験片表面の腐食物を除去した。各試験片についての酸洗の条件を下に示す。
SUS−420J2:試験片を、濃硝酸(密度1.38g/cm)を2倍の体積に希釈した30質量%硝酸水溶液に、室温で5分間浸漬した。
C1220P及びC2801P:試験片を、47質量%硫酸を4.7倍に希釈した10質量%硫酸水溶液に、室温で5分間浸漬した。
希釈液に浸漬する前から、表面の腐食物を除去した後の、試験片の質量変化(質量の減少分)を求め、その値を試験片の表面積(0.15dm、試験片の厚さは考慮しない)及び希釈液への浸漬時間(7日間)で除することで、腐食速度(mdd、単位:mg・dm−2・day−1)を求めた。腐食速度が遅いほど、耐食性が高い。
図1に実施例1及び2の各試験片についての腐食速度を示す。図1のグラフは、参考例の試験片を基準(100)とした場合の腐食速度の相対値である。なお、SUS−420J2については、いずれの参考例及び実施例1の表面処理剤についての試験においても、腐食は進行しなかった。つまり、これらの試験においては、腐食速度が0であった。実施例2の表面処理剤についてのSUS−420J2を試験片とした試験(図1の「※」)については、腐食が若干進行したが、参考例の表面処理剤による腐食速度が0であったことから、腐食速度の相対値を求めることはできなかった。
また、実施例及び比較例の各試験片(C2801P)について、次の基準に基づいて行った防食性の評価を表1に示す。
「A」:腐食速度が、参考例の試験片の腐食速度の2分の1以下
「B」:腐食速度が、参考例の試験片の腐食速度以下であり、2分の1よりも速い
「C」:腐食速度が、参考例の試験片の腐食速度よりも速い
「−」:表面処理剤が調製できなかったことから評価不能
[潤滑性]
実施例、比較例及び参考例の表面処理剤を純水で200倍の体積に希釈して希釈液を調製した。そして、各希釈液を100mLのポリプロピレン製の容器に入れた。続いて、エタノールに10分間浸漬することで脱脂した金属製の試験片を容器の中に入れて希釈液に浸漬した。各試験片は、1分間希釈液に浸漬した後、乾燥させた。
試験片としては上記の防食性の評価において使用したものと同じ試験片(3種)を用いた。また、各種類について、15mm×50mm×1.0〜1.2mm(小)及び60mm×60mm×0.8〜1.2mm(大)の2種類のサイズの試験片を用意した。
乾燥させた各試験片を、大きい試験片を下、小さい試験片を上にして重ね、試験片を徐々に傾けた。そして、小さい試験片が滑り出した角度(最大静止角度θ)を水準器(デジタルレベルコンパクト、株式会社マイゾックス製)にて測定した。試験片の摩擦係数μは、下記式(1)によって求めることができる。摩擦係数μが低いほど潤滑性は高い。
[数1]
μ=tanθ ・・・(1)
図2に水道水で洗浄した試験片並びに実施例1及び参考例の各試験片の摩擦係数を示す。図2のグラフは、水で洗浄した試験片の摩擦係数を基準(100)とした場合の摩擦係数の相対値である。
また、実施例及び比較例の各試験片(C2801P)について、次の基準に基づいて行った潤滑性の評価を表1に示す。
「A」:摩擦係数が、水道水で洗浄した試験片よりも小さい
「B」:摩擦係数が、水道水で洗浄した試験片以上
「−」:表面処理剤が調製できなかったことから評価不能
[乾燥性]
実施例、比較例及び参考例の表面処理剤を純水で200倍の体積に希釈して希釈液を調製した。一方、試験片(SUS−420J2、日本タクト株式会社製)をエタノールに10分間浸漬して脱脂した。調製したそれぞれの希釈液を、脱脂した試験片の表面に、それぞれ15μL滴下した。表面処理剤を滴下した試験片の質量の経時変化を電子天秤を用いて観測した。
図3に、水道水を15μL滴下した試験片並びに実施例1及び参考例の希釈液を滴下した各試験片の質量の経時変化を示す。図3のグラフは、横軸は時間を示し、縦軸は滴下直後から減少した水道水又は表面処理剤の割合(乾燥率)を示す。
また、実施例及び比較例の表面処理剤について、次の基準に基づいて行った乾燥性の評価を表1に示す。
「A」:参考例の表面処理剤から調製した希釈液に比べて乾燥速度が速い場合
「B」:参考例の表面処理剤から調製した希釈液に比べて乾燥速度が遅い場合
「−」:表面処理剤が調製できなかったことから評価不能
Figure 0006361511
図1のグラフにおける参考例と実施例2との比較から明らかなように、(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルと、(B)界面活性剤としてのグリセリン脂肪酸エステルと、を含有する表面処理剤は、従来公知の表面処理剤(スティンミルクS−200)と比べて、浸漬させた真鍮製の試験片の腐食速度が大幅に低いことが分かった。なお、真鍮は、医療用の金属製器具の素材として特に好ましく用いられる。
また、表1に示すように、(A)及び(B)成分を含有する表面処理剤は、表面処理を施した試験片の摩擦係数が、少なくとも水道水で洗浄した試験片と比べて低いことが分かった。
更には、表1に示すように、(A)及び(B)成分を含有する実施例2の表面処理剤は、従来公知の表面処理剤と比べて、試験片に滴下された後の乾燥速度が速いことが分かった。
これらの結果から、(A)及び(B)成分を含有する表面処理剤によれば、最低限、真鍮製の器具に十分な防食性・潤滑性を付与することができる上に十分に乾燥性が高い希釈液を調製できることが確認された。
図1のグラフにおける参考例と実施例1と実施例2との比較から明らかなように、実施例1の表面処理剤は、従来公知の表面処理剤(スティンミルクS−200)と比べて、浸漬させた真鍮以外の金属からなる試験片の腐食速度も低いことが分かった。
また、図2のグラフから明らかなように、(A)、(B)及び(C)の3成分を含有する実施例1の表面処理剤は、水道水に比べて表面処理をした試験片の摩擦係数が低いことが分かった。
更に、図3のグラフにおける参考例と実施例1との比較から明らかなように、(A)、(B)及び(C)の3成分を含有する請求項1表面処理剤は、水道水や従来公知の表面処理剤と比べて、試験片に滴下された後の希釈液の乾燥速度が速いことが分かった。
このことから、(A)及び(B)に加えて(C)ソルビタン脂肪酸エステルを含有する表面処理剤によって、真鍮以外からなる金属製器具にも十分な防食性・潤滑性を付与することができる上に十分に乾燥性が高い希釈液を調製できることが確認された。
実施例4と比較例2との比較から、表面処理剤における(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルの含有量が30質量%を超えると、試験片の防食性・潤滑性が低下することが分かった。
また、実施例3と比較例1との比較から、表面処理剤は、(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルの含有量が10質量%未満になると、白濁してしまうことが分かった。
これらの結果から、(A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルの含有量を10〜30質量%とすることで、白濁が生じず、表面処理後の試験片の防食性・潤滑性にも問題のない表面処理剤が調製可能であることが確認された。
また、実施例5及び6の結果から、表面処理剤は、(B)成分の含有量が1.0質量%又は5.0質量%であっても、実施例1及び2の表面処理剤と同程度に、金属製器具に十分な防食性・潤滑性を付与できる上に十分に乾燥性が高い希釈液を調製可能であることが分かった。一方、比較例3及び4の結果から、(B)成分の含有量を0又は7.0質量%とすると、表面処理剤が白濁してしまうことが分かった。
これらの結果から、(B)成分の表面処理剤における含有量は、1.0〜5.0質量%の範囲に属する必要があることが確認された。

Claims (6)

  1. 医療用の金属製器具を表面処理するために用いられる表面処理剤であって、
    (A)ジエチレングリコールモノブチルエーテルを10〜30質量%と、
    (B)グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤を1.0〜5.0質量%と、
    (C)水と、を含有する表面処理剤。
  2. 更に、(D)ソルビタン脂肪酸エステルを1.0〜10.0質量%含有する請求項1記載の表面処理剤。
  3. 前記(D)ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンモノラウリン酸エステルである請求項2記載の表面処理剤。
  4. 前記(B)グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンモノカプレートである請求項1から3いずれか記載の表面処理剤。
  5. 更に、(E)安息香酸又は安息香酸塩を0.1〜2.0質量%含有する請求項1から4いずれか記載の表面処理剤。
  6. 請求項1から5いずれか記載の表面処理剤を、水又はエタノールによって100〜1000倍の体積に希釈することにより前記表面処理剤の希釈液を調製する希釈工程と、
    医療用の金属製器具に前記希釈液を接触させる接触工程と、を備える医療用の金属製器具の表面処理方法。
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