JP2016125128A - 表面処理剤及び表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態に係る表面処理剤は、医療用の金属製器具を表面処理するために用いられる。本実施形態における医療用の金属製器具は、特に限定されない。本実施形態における医療用の金属製器具としては、金属製のメス、ピンセット、鋏、鉗子、ステント及び注射針等が例示される。
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基の炭素数は、8〜16であることが好ましく、9〜11であることがより好ましい。アルキル基の炭素数が8未満であると、金属製器具の防食性を十分に高めるのが難しい傾向にあり、16を超えると水への溶解性が低下するので表面処理剤が白濁しやすくなる傾向にある。また、(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルのポリオキシエチレン鎖におけるオキシエチレン単位の繰り返し数は、4〜10であることが好ましい。オキシエチレン単位の繰り返し数が4未満であると、金属製器具の防食性を十分に高めるのが難しい傾向にあり、10を超えると表面処理剤の粘性が高くなり取扱性が低下する傾向にある。
なお、複数種類のポリオキシエチレンアルキルエーテルが混合している場合には、アルキル基の平均炭素数の及びオキシエチレン単位の平均繰り返し数のが、それぞれ上記範囲に属することが好ましい。
(B)ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されない。(B)ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の炭素数が8〜22の脂肪酸が例示される。(B)ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数が、8未満であると、金属製器具の防食性を十分に高めるのが難しい傾向にあり、22を超えると水への溶解性が低下することにより表面処理剤が白濁しやすくなる傾向にある。(B)ショ糖脂肪酸エステルは、金属製器具の防食性・潤滑性を高める観点からショ糖ラウリン酸エステルであることが好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されない。グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の炭素数が8〜22の脂肪酸が例示される。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されない。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の炭素数が8〜22の脂肪酸が例示される。
有機酸モノグリセリドを構成する有機酸は限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
(D)水の表面処理剤における含有量は、50〜80質量%であることが好ましい。(D)水の表面処理剤における含有量が50質量%未満の場合、表面処理剤が白濁しやすくなる傾向にあり、80質量%を超える場合、金属製器具が十分な防食性・潤滑性を得難くなる傾向にある。
(E)安息香酸及び安息香酸塩の少なくとも一方の表面処理剤における含有量は、0.1〜2.0質量%であることが好ましい。(E)安息香酸及び安息香酸塩の少なくとも一方の表面処理剤における含有量が、0.1質量%未満であると、金属製器具の防食性が低下する傾向にある。一方、表面処理剤は、(E)安息香酸及び安息香酸塩の少なくとも一方の含有量が、2.0質量%を超えると白濁しやすくなる傾向にある。
本実施形態に係る表面処理剤は、上述した(A)〜(E)の各成分以外の成分を含有してもよい。例えば、表面処理剤は、(A)〜(C)成分以外の界面活性剤を含有してもよいし、クエン酸等の(E)成分以外の有機酸やアミノ酸等を防食剤として含有してもよい。
本実施形態に係る表面処理方法は、希釈工程と、接触工程と、を備える。
希釈液を金属製器具に接触させる方法は、特に限定されない。希釈液を金属製器具に接触させる方法としては、金属製器具を希釈液に浸漬させる方法や金属製器具に希釈液を噴霧する方法が挙げられる。希釈液を金属製器具に接触させる装置としては、器具除染用洗浄器RQ−50E/S及び器具除染用洗浄器RW5200・5200W(いずれも三浦工業株式会社製)等を挙げることができる。
また、本実施形態に係る表面処理方法は、接触工程において希釈液に接触した金属製器具を乾燥させる乾燥工程を更に備えることが好ましい。乾燥工程における乾燥方法としては、自然乾燥や、温風や熱風による乾燥方法等が例示される。
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ラオールXA−60−50(構造:C9H19O(C2H4O)6H)、ライオン株式会社製)、(B)ショ糖ラウリン酸エステル(DKエステルS−L18A、第一工業製薬株式会社製)、(C)グリセリンモノカプレート(ポエムM−200、理研ビタミン株式会社)、(E)安息香酸ナトリウム及び(D)水が、それぞれ表1に示す含有量(単位:質量%)となるように混合することで、各実施例及び比較例の表面処理剤を調製した。
スティンミルクS−200(クリーンケミカル株式会社製)を参考例の表面処理剤とした。
以上の実施例、比較例及び参考例の表面処理剤を、下記の調製性及び取扱性、防食性並びに乾燥性の各評価に供した。
調製された実施例、比較例及び参考例の表面処理剤の白濁の有無及び粘度について、目視にて確認をし、次の基準に基づいて評価した。調製された表面処理剤が、成分の分離や白濁を生じておらず且つ取扱いに支障が無い程度の粘度を有する場合には「A」、白濁や白色沈殿を生じている場合には「B」、取扱いに支障がある高い粘度を有する場合には「C」とした。結果を表1に示す。
実施例、比較例及び参考例の表面処理剤を純水で200倍の体積に希釈して希釈液を調製した。そして、各希釈液を100mLのポリプロピレン製の容器に入れた。続いて、エタノールに10分間浸漬することで脱脂した金属製の試験片を、容器の中に入れて希釈液に浸漬した。
試験片としては以下の3種を用いた(全て、日本タクト株式会社製)。試験片のサイズは、全て15mm×50mm×1.0〜1.2mm(厚さ)である。
SUS−420J2(ステンレス鋼板)
C1220P(りん脱酸銅板)
C2801P(真鍮板)
SUS−420J2:試験片を、濃硝酸(密度1.38g/cm3)を2倍の体積に希釈した30質量%硝酸水溶液に、室温で5分間浸漬した。
C1220P及びC2801P:試験片を、47質量%硫酸を4.7倍に希釈した10質量%硫酸水溶液に、室温で5分間浸漬した。
図1に実施例1並びに比較例1及び2の各試験片についての腐食速度を示す。図1のグラフは、参考例の試験片を基準(100)とした場合の腐食速度の相対値である。なお、SUS−420J2については、いずれの表面処理剤についての試験においても、腐食は進行しなかった。つまり腐食速度が0であった。
「A」:腐食速度が、参考例の試験片の腐食速度の2分の1以下
「B」:腐食速度が、参考例の試験片の腐食速度以下であり、2分の1よりも速い
「C」:腐食速度が、参考例の試験片の腐食速度よりも速い
「−」:表面処理剤が調製できなかった又は取扱いが困難であったことから評価不能
実施例、比較例及び参考例の表面処理剤を純水で200倍の体積に希釈して希釈液を調製した。そして、各希釈液を100mLのポリプロピレン製の容器に入れた。続いて、エタノールに10分間浸漬することで脱脂した金属製の試験片を容器の中に入れて希釈液に浸漬した。各試験片は、1分間希釈液に浸漬した後、乾燥させた。
試験片としては上記の防食性の評価において使用したものと同じ試験片(3種)を用いた。また、各種類について、15mm×50mm×1.0〜1.2mm(小)及び60mm×60mm×0.8〜1.2mm(大)の2種類のサイズの試験片を用意した。
[数1]
μ=tanθ ・・・(1)
また、実施例及び比較例の各試験片(C2801P)について、次の基準に基づいて行った潤滑性の評価を表1に示す。
「A」:摩擦係数が、水道水で洗浄した試験片よりも小さい
「B」:摩擦係数が、水道水で洗浄した試験片以上
「−」:表面処理剤が調製できなかった又は取扱いが困難であったことから評価不能
実施例、比較例及び参考例の表面処理剤を純水で200倍の体積に希釈して希釈液を調製した。一方、試験片(SUS−420J2、日本タクト株式会社製)をエタノールに10分間浸漬して脱脂した。調製したそれぞれの希釈液を、脱脂した試験片の表面に、それぞれ15μL滴下した。表面処理剤を滴下した試験片の質量の経時変化を電子天秤を用いて観測した。
また、実施例及び比較例の表面処理剤について、次の基準に基づいて行った乾燥性の評価を表1に示す。
「A」:参考例の表面処理剤から調製した希釈液に比べて乾燥速度が速い場合
「B」:参考例の表面処理剤から調製した希釈液に比べて乾燥速度が遅い場合
「−」:表面処理剤が調製できなかった又は取扱いが困難であったことから評価不能
また、図2のグラフにおける参考例と実施例1との比較から明らかなように、(A)、(B)及び(C)の3成分を含有する実施例1の表面処理剤は、水道水や従来公知の表面処理剤と比べて、表面処理を施した試験片の摩擦係数が低いことが分かった。
更には、図3のグラフにおける参考例と実施例1との比較から明らかなように、(A)、(B)及び(C)の3成分を含有する実施例1の表面処理剤は、水道水や従来公知の表面処理剤と比べて、試験片に滴下された後の希釈液の乾燥速度が速いことが分かった。
また、実施例3と比較例6との比較から、表面処理剤における(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量が20質量%未満になると、白濁してしまうことが分かった。
これらの結果から、(B)成分の表面処理剤における含有量は、1.0〜5.0質量%の範囲に属する必要があることが確認された。
これらの結果から、(C)成分の表面処理剤における含有量は、1.0〜5.0質量%の範囲に属する必要があることが確認された。
Claims (6)
- 医療用の金属製器具を表面処理するために用いられる表面処理剤であって、
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルを20〜40質量%と、
(B)ショ糖脂肪酸エステルを1.0〜5.0質量%と、
(C)グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセリドからなる群より選択される少なくとも一種の界面活性剤を1.0〜5.0質量%と、
(D)水と、を含有する表面処理剤。 - 前記(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル基の炭素数が8〜16であり且つオキシエチレン単位の繰り返し数が4〜10である請求項1記載の表面処理剤。
- 前記(C)界面活性剤は、グリセリンモノカプレートである請求項1又は2記載の表面処理剤。
- 前記(B)ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステルである請求項1から3いずれか記載の表面処理剤。
- 更に、(E)安息香酸及び安息香酸塩の少なくとも一方を0.1〜2.0質量%含有する請求項1から4いずれか記載の表面処理剤。
- 請求項1から5いずれか記載の表面処理剤を、水又はエタノールによって100〜1000倍の体積に希釈することにより前記表面処理剤の希釈液を調製する希釈工程と、
医療用の金属製器具に前記希釈液を接触させる接触工程と、を備える医療用の金属製器具の表面処理方法。
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JPH07100355A (ja) * | 1993-09-30 | 1995-04-18 | Taiyo Kagaku Co Ltd | 界面活性剤 |
JP2009004759A (ja) * | 2007-05-18 | 2009-01-08 | Mitsubishi Chemicals Corp | 半導体デバイス用基板洗浄液、半導体デバイス用基板の洗浄方法及び半導体デバイス用基板の製造方法 |
JP2010126754A (ja) * | 2008-11-26 | 2010-06-10 | Clean Chemical Kk | 洗浄医療器具の乾燥前処理剤と使用済み医療器具の再生方法 |
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