JP6361287B2 - 遠心振子式吸振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動装置からの動力により回転する回転要素に対して当該駆動装置から回転要素に伝達される振動とは逆位相の振動を付与する遠心振子式吸振装置に関する。
従来、この種の遠心振子式吸振装置として、リングギヤと、振子支点周りに揺動する少なくとも2つの振子要素(質量体)を含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この遠心振子式吸振装置では、リングギヤおよび少なくとも2つの振子要素が遊星歯車と同様に配置され、少なくとも1つの振子要素は、リングギヤのギヤ歯上を転動するように当該リングギヤの接触輪郭(contact contour)と接触可能とされる。これにより、振子要素が揺動すると、それに伴ってリングギヤが軸心周りに揺動し、リングギヤから振子要素に慣性モーメント(回転モーメント)が付与される。
国際公開第2012/175213号
上記従来の遠心振子式吸振装置によれば、振子要素(質量体)のイナーシャを実質的に増加させて、遠心振子式吸振装置の振動減衰効果を高めることができる。しかしながら、駆動装置から回転要素に伝達される振動の次数が変化する場合、上述のようにして振子要素のイナーシャを増加させたとしても、駆動装置から回転要素に伝達される振動を良好に減衰し得なくなってしまう。
そこで、本発明は、駆動装置から回転要素に伝達される振動の次数が変化しても、当該回転要素の振動を良好に減衰可能な遠心振子式吸振装置の提供を主目的とする。
本発明による遠心振子式吸振装置は、
駆動装置からの動力により回転する回転要素に対して前記駆動装置から前記回転要素に伝達される振動とは逆位相の振動を付与する遠心振子式吸振装置であって、
それぞれ第1の振子支点周りに揺動するように前記回転要素に連結される複数の第1質量体と、
それぞれ第2の振子支点周りに揺動するように前記回転要素に連結される複数の第2質量体とを備え、
前記第1および第2質量体の少なくとも何れか一方には、前記第1または第2質量体の揺動に伴って前記回転要素の回転中心周りに揺動するように付加質量体が連結され、前記第1質量体は、第1の振動次数を有し、前記第2質量体は、前記第1の振動次数とは異なる第2の振動次数を有することを特徴とする。
この遠心振子式吸振装置は、それぞれ第1の振子支点周りに揺動するように回転要素に連結される複数の第1質量体と、それぞれ第2の振子支点周りに揺動するように回転要素に連結される複数の第2質量体とを備え、第1および第2質量体の少なくとも何れか一方には、第1または第2質量体の揺動に伴って回転要素の回転中心周りに揺動するように付加質量体が連結される。そして、第1質量体は、第1の振動次数を有し、第2質量体は、第1の振動次数とは異なる第2の振動次数を有する。このように構成される遠心振子式吸振装置では、第1または第2質量体の揺動に伴って付加質量体が回転要素の回転中心周りに揺動する際に、第1および第2質量体の少なくとも何れか一方に対して付加質量体から慣性モーメント(回転モーメント)が付与される。これにより、第1および第2質量体の少なくとも何れか一方のイナーシャを増加させて遠心振子式吸振装置の振動減衰効果をより向上させつつ、第1質量体の第1の振動次数と第2質量体の第2の振動次数とを容易に異ならせることができる。従って、この遠心振子式吸振装置によれば、駆動装置から回転要素に伝達される振動の次数が変化しても、第1または第2質量体を回転要素に対して揺動させて駆動装置からの振動とは逆位相の振動を回転要素に付与して当該回転要素の振動を良好に減衰することが可能となる。なお、駆動装置から回転要素に伝達される振動の次数が3段階以上に変化する場合には、第1および第2質量体に加えて更なる質量体を用いると共に複数の質量体の少なくとも何れか1つに付加質量体を連結すればよい。
本発明の一実施形態に係る遠心振子式吸振装置を含む発進装置の概略構成図である。 図1の発進装置を示す部分断面図である。 図2に示す遠心振子式吸振装置の正面図である。 図3に示す遠心振子式吸振装置の拡大断面図である。 図2および図3に示す遠心振子式吸振装置に含まれる第1および第2環状質量体の正面図である。 (a)および(b)は、図2および図3に示す遠心振子式吸振装置の動作を説明するための模式図である。 本発明の他の実施形態に係る遠心振子式吸振装置を示す正面図である。 (a)および(b)は、本発明の更に他の実施形態に係る遠心振子式吸振装置を説明するための模式図である。 (a),(b)および(c)は、本発明による遠心振子式吸振装置の質量体および付加質量体の変形態様を示す模式図である。 (a),(b),(c)および(d)は、本発明による遠心振子式吸振装置の質量体および付加質量体の他の変形態様を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る遠心振子式吸振装置を含む発進装置を示す部分断面図である。 図11に示す遠心振子式吸振装置の正面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る遠心振子式吸振装置を含む発進装置を示す部分断面図である。 図13に示す遠心振子式吸振装置の正面図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の更に他の変形態様を示す概略構成図である。 本発明による遠心振子式吸振装置を含むダンパ装置の他の変形態様を示す概略構成図である。
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る遠心振子式吸振装置20を含む発進装置1の概略構成図であり、図2は、発進装置1を示す部分断面図である。これらの図面に示す発進装置1は、駆動装置としての気筒休止機能を有するエンジン(内燃機関)を備えた車両に搭載されるものであり、遠心振子式吸振装置20に加えて、エンジンのクランクシャフトに連結される入力部材としてのフロントカバー3や、フロントカバー3に固定されて当該フロントカバー3と一体に回転するポンプインペラ(入力側流体伝動要素)4、ポンプインペラ4と同軸に回転可能なタービンランナ(出力側流体伝動要素)5、ダンパ機構10に連結されると共に自動変速機(AT)あるいは無段変速機(CVT)である変速機の入力軸IS(図1参照)に固定される出力部材としてのダンパハブ7、単板油圧式クラッチであるロックアップクラッチ8、ダンパ機構10等を含む。
ポンプインペラ4は、フロントカバー3に密に固定されるポンプシェル40と、ポンプシェル40の内面に配設された複数のポンプブレード41とを有する。タービンランナ5は、タービンシェル50と、タービンシェル50の内面に配設された複数のタービンブレード51とを有する。タービンシェル50の内周部は、複数のリベットを介してダンパハブ7に固定される。ポンプインペラ4とタービンランナ5とは、互いに対向し合い、両者の間には、タービンランナ5からポンプインペラ4への作動油(作動流体)の流れを整流するステータ6が同軸に配置される。ステータ6は、複数のステータブレード60を有し、ステータ6の回転方向は、ワンウェイクラッチ61により一方向のみに設定される。これらのポンプインペラ4、タービンランナ5およびステータ6は、作動油を循環させるトーラス(環状流路)を形成し、トルク増幅機能をもったトルクコンバータ(流体伝動装置)として機能する。なお、発進装置1において、ステータ6やワンウェイクラッチ61を省略し、ポンプインペラ4およびタービンランナ5を流体継手として機能させてもよい。
ロックアップクラッチ8は、ダンパ機構10を介してフロントカバー3とダンパハブ7すなわち入力軸ISとを連結するロックアップを実行すると共に当該ロックアップを解除することができるものであり、フロントカバー3と摩擦係合する環状の摩擦材81を有するロックアップピストン80を含む。ロックアップピストン80は、図2に示すように、フロントカバー3の内部かつ当該フロントカバー3のエンジン側(図2における右側)の内壁面近傍に配置され、ダンパハブ7に対して軸方向に摺動自在に嵌合される。また、摩擦材81は、ロックアップピストン80の外周側かつフロントカバー3側の面に貼着される。
ロックアップピストン80(図2における右側の面)とフロントカバー3との間には、ロックアップ室85が画成される。当該ロックアップ室85には、入力軸ISに形成された図示しない油路等を介して油圧制御装置(図示省略)から作動油が供給され、ロックアップ室85内に供給された作動油は、当該ロックアップ室85からポンプインペラ4およびタービンランナ5等(トーラス)が収容される流体伝動室(液体室)9に流入する。従って、流体伝動室9内とロックアップ室85内とが等圧に保たれれば、ロックアップピストン80は、フロントカバー3側に移動せず、ロックアップピストン80がフロントカバー3と摩擦係合することはない。これに対して、図示しない油圧制御装置によりロックアップ室85内を減圧すれば、ロックアップピストン80は、圧力差によりフロントカバー3に向けて移動してフロントカバー3と摩擦係合する。これにより、フロントカバー3は、ダンパ機構10を介してダンパハブ7に連結される。なお、ロックアップクラッチ8は、多板油圧式クラッチとして構成されてもよい。
ダンパ機構10は、図1および図2に示すように、回転要素として、ロックアップクラッチ8のロックアップピストン80に一体に回転するように連結される環状のドライブ部材(入力要素)11と、変速機の入力軸ISに連結される環状のドリブン部材(出力要素)15とを含むと共に、動力伝達要素として、同心円上に周方向に間隔をおいて配置される複数(例えば、4つ)のスプリング(弾性体)SPを含む。スプリングSPとしては、荷重が加えられてないときに円弧状に延びる軸心を有するように巻かれた金属材からなるアークコイルスプリングや、荷重が加えられてないときに真っ直ぐに延びる軸心を有するように螺旋状に巻かれた金属材からなるストレートコイルスプリングが採用される。また、スプリングSPとしては、図示するような、いわゆる二重バネが採用されてもよい。
ダンパ機構10の入力要素であるドライブ部材11は、ロックアップピストン80(フロントカバー3)に近接するように配置される環状の第1入力プレート部材12と、第1入力プレート部材12よりもロックアップピストン80から離間するようにポンプインペラ4およびタービンランナ5側に配置されると共に複数のリベットを介して第1入力プレート部材12に連結される環状の第2入力プレート部材13とを含む。
第1入力プレート部材12は、図2に示すように、ダンパハブ7により回転自在に支持される。また、第1入力プレート部材12は、それぞれ対応するスプリングSPの外周部をフロントカバー3(エンジン)側から支持(ガイド)する複数(例えば、4つ)のスプリング支持部12aと、それぞれ対応するスプリングSPの内周部をフロントカバー3側から支持(ガイド)する複数(例えば、4つ)のスプリング支持部12bと、周方向に隣り合うスプリング支持部12a,12bの間で径方向に延びる複数(例えば、4つ)のスプリング当接部12cとを有する。更に、第1入力プレート部材12の外周部には、ロックアップピストン80の外周部に形成された複数の係合凸部が嵌合される複数の係合凹部が形成されており、第1入力プレート部材12(ドライブ部材11)は、図示するように、ロックアップピストン80に一体に回転するように嵌合される。
第2入力プレート部材13は、それぞれ対応するスプリングSPの外周部をタービンランナ5(変速機)側から支持(ガイド)する複数(例えば、4つ)のスプリング支持部13aと、それぞれ対応するスプリングSPの内周部をタービンランナ5側から支持(ガイド)する複数(例えば、4つ)のスプリング支持部13bと、周方向に隣り合うスプリング支持部13a,13bの間で径方向に延びる複数(例えば、4つ)のスプリング当接部13cとを有する。
第1および第2入力プレート部材12,13が互いに連結された際、第1入力プレート部材12の各スプリング支持部12aは、第2入力プレート部材13の対応するスプリング支持部13aと対向し、第1入力プレート部材12の各スプリング支持部12bは、第2入力プレート部材13の対応するスプリング支持部13bと対向する。そして、各スプリングSPは、ドライブ部材11を構成する第1および第2入力プレート部材12,13により支持され、タービンシェル50の内周部の近傍で周方向に間隔をおいて(等間隔に)並ぶ。また、ダンパ機構10の取付状態において、第1入力プレート部材12の各スプリング当接部12cと、第2入力プレート部材13の各スプリング当接部13cとは、互いに隣り合うスプリングSPの間で両者の端部と当接する。
ドリブン部材15は、ドライブ部材11の第1入力プレート部材12と第2入力プレート部材13との間に配置されると共に、複数のリベットを介してタービンランナ5のタービンシェル50と共にダンパハブ7に固定される。これにより、ドリブン部材15は、ダンパハブ7を介して変速機の入力軸ISに連結される。また、ドリブン部材15は、それぞれ対応するスプリングSPの端部と当接可能な複数(例えば、4つ)のスプリング当接部15cを有する。ダンパ機構10の取付状態において、各スプリング当接部15cは、互いに隣り合うスプリングSPの間で両者の端部と当接する。
遠心振子式吸振装置20は、上述のように構成されるダンパ機構10のドリブン部材15に連結され、また、遠心振子式吸振装置20は、作動油で満たされる流体伝動室9の内部に配置される。本実施形態において、遠心振子式吸振装置20は、いわゆるバイファイラ(bifilar)式の装置として構成されており、図3に示すように、それぞれ第1の振子支点PF1の周りに揺動するように支持部材としてのドリブン部材15に連結される複数(本実施形態では、3つ)の第1質量体21と、それぞれ第2の振子支点PF2の周りに揺動するようにドリブン部材15に連結される複数(本実施形態では、3つ)の第2質量体22とを含む。複数の第1および第2質量体22は、ダンパ機構10の軸心、すなわちドリブン部材15の回転中心RCの周りに交互に並ぶように等間隔(本実施形態では、60°間隔)に配設され、第2質量体22は、周方向に間隔をおいて隣り合う2つの第1質量体21の間に位置する。なお、遠心振子式吸振装置20は、第1および第2質量体21,22を揺動自在に支持すると共にダンパ機構10のドリブン部材15に連結(固定)される専用の支持部材を有するように構成されてもよい。
図3および図4に示すように、各第1質量体21は、2つの第1錘体210と、複数(本実施形態では、4つ)の第1リンク部材23とを有する。2つの第1錘体210は、それぞれ金属板によりダンパ機構10(ドリブン部材15)の軸方向からみて当該ドリブン部材15の外周に沿うように左右対称の概ね円弧状に形成され、間隔をおいてダンパ機構10の軸方向に対向し合うと共に連結軸を介して互いに連結される。複数の第1リンク部材23は、2つの第1錘体210に各々に対して互いに平行に並ぶように2つずつ設けられ、互いに対をなす2つの第1リンク部材23は、2つの第1錘体210を介してダンパ機構10の軸方向に対向する。
互いに対向する2つの第1リンク部材23の一端(外端)は、ドリブン部材15の回転中心RCおよび第1の振子支点PF1を含む第1質量体21の揺動中心線(振幅の中心線、図3における一点鎖線参照)に関して対称をなすように2つの第1錘体210に形成された連結孔に挿通される支軸としての上記連結軸を介して当該2つの第1錘体210に対して回転自在に連結される。互いに対向する2つの第1リンク部材23の他端(内端)は、第1質量体21の揺動中心線に関して対称をなすようにドリブン部材15に形成された連結孔に挿通される支軸を介してドリブン部材15に対して回転自在に連結される。また、第1質量体21を構成する各第1錘体210には、長手方向が揺動中心線に沿うようにドリブン部材15の径方向に延びる矩形状(長方形状)の第1ガイド開口部(ガイド部)215が形成されている。
更に、各第1質量体21には、付加質量体としての第1環状質量体25が連結される。第1環状質量体25は、金属板により形成され、図3および図5に示すように、ドリブン部材15の外径よりも大きい内径および外径を有する第1環状部250と、当該第1環状部250の内周面から径方向内側に延出された複数(本実施形態では、3つ)の内側突出部251とを有する。複数の内側突出部251は、第1環状部250の軸心の周りに等間隔(本実施形態では、120°間隔)に並ぶように形成され、それぞれ第1環状部250の内周面よりも小径の円弧状に延びる内周面を有する。また、各内側突出部251の表面および裏面には、第1環状部250の軸心と平行に互いに同軸かつ逆方向に延びる第1シャフト部255が形成されている。本実施形態において、各第1シャフト部255は、同径の円形断面を有し、第1環状部250および内側突出部251と一体に成形される。ただし、内側突出部251に対して別体の第1シャフト部255が固定されてもよい。
また、各第1錘体210の第1ガイド開口部215内には、略正方形状の断面形状(第1ガイド開口部215の長手方向における長さよりも短い寸法)を有する第1スライダ27が1つずつ当該第1ガイド開口部215の長手方向(延在方向)に沿って移動自在に配置される。各第1スライダ27は、樹脂または金属により形成され、図3および図4に示すように、各第1スライダ27の互いに対向する一対の側面の各々は、第1ガイド開口部215の長手方向に延びる対応する内側面と摺接する。そして、第1環状質量体25の各第1シャフト部255は、対応する第1スライダ27により回転自在に支持され、第1環状部250および内側突出部251は、各第1質量体21の2つの第1錘体210の間に配置される。これにより、第1環状質量体25は、各第1錘体210の第1ガイド開口部215、第1スライダ27および第1環状質量体25の第1シャフト部255により構成される連結機構29を介して各第1質量体21に連結される。なお、遠心振子式吸振装置20の取付状態において、各第1スライダ27は、図3に示すように、対応する第1ガイド開口部215の径方向内側の内壁面と当接し、各第1スライダ27により支持される第1環状質量体25の第1シャフト部255の軸心は、第1質量体21の揺動中心線上に位置する。
図3および図4に示すように、各第2質量体22は、2つの第2錘体220と、複数(本実施形態では、4つ)の第2リンク部材24とを有する。2つの第2錘体220は、それぞれ金属板によりダンパ機構10(ドリブン部材15)の軸方向からみて当該ドリブン部材15の外周に沿うように左右対称の概ね円弧状に形成され、間隔をおいてダンパ機構10の軸方向に対向し合うと共に連結軸を介して互いに連結される。複数の第2リンク部材24は、2つの第2錘体220に各々に対して互いに平行に並ぶように2つずつ設けられ、互いに対をなす2つの第2リンク部材24は、2つの第2錘体220を介してダンパ機構10の軸方向に対向する。
互いに対向する2つの第2リンク部材24の一端(外端)は、ドリブン部材15の回転中心RCおよび第2の振子支点PF2を含む第2質量体22の揺動中心線(振幅の中心線、図3における一点鎖線参照)に関して対称をなすように2つの第2錘体220に形成された連結孔に挿通される支軸としての上記連結軸を介して当該2つの第2錘体220に対して回転自在に連結される。互いに対向する2つの第2リンク部材24の他端(内端)は、第2質量体22の揺動中心線に関して対称をなすようにドリブン部材15に形成された連結孔に挿通される支軸を介してドリブン部材15に対して回転自在に連結される。また、第2質量体22を構成する各第2錘体220には、長手方向が揺動中心線に沿うようにドリブン部材15の径方向に延びる矩形(長方形)状の第2ガイド開口部(ガイド部)225が形成されている。
更に、各第2質量体22には、付加質量体としての第2環状質量体26が連結される。第2環状質量体26は、金属板により形成され、図3および図5に示すように、第1環状質量体25(第1環状部250)の内径よりも小さく、かつドリブン部材15の外径よりも大きい内径および外径を有する第2環状部260と、当該第2環状部260の外周面から径方向外側に延出された複数(本実施形態では、3つ)の拡径部261とを有する。複数の拡径部261は、第2環状部260の軸心の周りに等間隔(本実施形態では、120°間隔)に並ぶように形成され、それぞれ第2環状部260の外周面よりも大径かつ第1環状質量体25の第1環状部250の内周面よりも僅かに小径の円弧状に延びる外周面を有する。また、各拡径部261の表面および裏面には、第2環状部260の軸心と平行に互いに同軸かつ逆方向に延びる第2シャフト部265が形成されている。本実施形態において、各第2シャフト部265は、同径の円形断面を有し、第2環状部260および拡径部261と一体に成形される。ただし、拡径部261に対して別体の第2シャフト部265が固定されてもよい。
また、各第2錘体220の第2ガイド開口部225内には、略正方形状の断面形状(第2ガイド開口部225の長手方向における長さよりも短い寸法)を有する第2スライダ28が1つずつ当該第2ガイド開口部225の長手方向(延在方向)に沿って移動自在に配置される。各第2スライダ28は、樹脂または金属により形成され、図3および図4に示すように、各第2スライダ28の互いに対向する一対の側面の各々は、第2ガイド開口部225の長手方向に延びる対応する内側面と摺接する。そして、第2環状質量体26の各第2シャフト部265は、対応する第2スライダ28により回転自在に支持され、各第2質量体22の2つの第2錘体220の間に配置される。これにより、第2環状質量体26は、各第2錘体220の第2ガイド開口部225、第2スライダ28および第2環状質量体26の第2シャフト部265により構成される連結機構30を介して各第2質量体22に連結される。なお、遠心振子式吸振装置20の取付状態において、各第2スライダ28は、図3に示すように、対応する第2ガイド開口部225の径方向内側の内壁面と当接し、各第2スライダ28により支持される第2環状質量体26の第2シャフト部265の軸心は、第2質量体22の揺動中心線上に位置する。
そして、本実施形態において、第1および第2環状質量体25,26は、図3から図5に示すように、第1環状質量体25の第1環状部250が第2環状質量体26の第2環状部260および拡径部261を囲むように各第1質量体21の2つの第1錘体210の間および各第2質量体22の2つの第2錘体220の間に配置される。また、第1環状部250の内周面は、第2環状質量体26の各拡径部261の外周面と当接(摺接)する。更に、第2環状質量体26の第2環状部260の内周面は、ドリブン部材15の外周部に形成された複数の突出部15pの外周面と当接(摺接)する。これにより、第2環状質量体26は、ダンパハブ7に固定されるドリブン部材15により回転自在に支持され、第1環状質量体25は、第2環状質量体26により回転自在に支持される。
上述のように構成される遠心振子式吸振装置20では、エンジンからの動力によりダンパ機構10のドリブン部材15が回転し、当該ドリブン部材15の回転に伴って第1質量体21が第1の振子支点PF1の周りに揺動する。この際、第1質量体21は、図6(a)および図6(b)に示すように、揺動中心線に沿ってドリブン部材15の回転中心RCに向けて移動すると共に揺動中心線と直交する方向に沿って当該揺動中心線から離間するように並進する。このような第1質量体21の移動(揺動)に伴い、各第1錘体210の第1ガイド開口部215内の第1スライダ27は、第1ガイド開口部215の径方向外側の内壁面に当接するように各第1錘体210(第1質量体21)に対して移動し、第1スライダ27により支持された第1環状質量体25の第1シャフト部255は、第1スライダ27に対して軸心周りに回転する。これにより、各第1質量体21に連結された第1環状質量体25は、図6(b)に示すように、第1質量体21の揺動に伴って回転要素としてのドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動(回動)することになる。
同様に、ドリブン部材15の回転に伴って第2質量体22が第2の振子支点PF2の周りに揺動する際、第2質量体22は、図6(a)および図6(b)に示すように、揺動中心線に沿ってドリブン部材15の回転中心RCに向けて移動すると共に揺動中心線と直交する方向に沿って当該揺動中心線から離間するように並進する。このような第2質量体22の移動(揺動)に伴い、各第2錘体220の第2ガイド開口部225内の第2スライダ28は、第2ガイド開口部225の径方向外側の内壁面に当接するように各第2錘体220(第2質量体22)に対して移動し、第2スライダ28により支持された第2環状質量体26の第2シャフト部265は、第2スライダ28に対して軸心周りに回転する。これにより、各第2質量体22に連結された第2環状質量体26は、図6(b)に示すように、第2質量体22の揺動に伴って回転要素としてのドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動(回動)することになる。
この結果、遠心振子式吸振装置20では、複数の第1質量体21の揺動に伴って第1環状質量体25がドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動する際に、各第1質量体21に対して第1環状質量体25から慣性モーメント(回転モーメント)が付与される。また、各第2質量体22の揺動に伴って第2環状質量体26がドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動する際に、各第2質量体22に対して第2環状質量体26から慣性モーメントが付与される。これにより、第1および第2質量体21,22のイナーシャを増加させて遠心振子式吸振装置20の振動減衰効果をより向上させることができる。また、遠心振子式吸振装置20では、第1および第2環状質量体25,26の諸元を調整することで、第1環状質量体25と連結される各第1質量体21の振動次数(第1の振動次数)と、第2環状質量体26と連結される各第2質量体22の振動次数(第2の振動次数)とを容易に異ならせることができる。
ここで、遠心振子式吸振装置20を含む発進装置1が接続されるエンジンは、上述のように気筒休止機能を有するものである。従って、当該エンジンの全筒運転の実行時(気筒休止の非実行時)と、減筒運転(気筒休止)の実行時(例えば3気筒エンジンあるいは4気筒エンジンでは、2気筒運転(1気筒休止あるいは2気筒休止)される際)とでは、エンジンからダンパ機構10のドリブン部材15に伝達される振動の次数が異なる。これを踏まえて、遠心振子式吸振装置20では、第1環状質量体25と連結される各第1質量体21の振動次数(第1の振動次数)が全筒運転の実行時にエンジンからドリブン部材15(ダンパ機構10)に伝達される振動の次数(例えば4気筒エンジンでは2次、3気筒エンジンでは1.5次)に一致するように第1質量体21(第1錘体210、第1リンク部材23および第1スライダ27)と第1環状質量体25との諸元が定められる。また、遠心振子式吸振装置20において、第2質量体22(第2錘体220、第2リンク部材24よび第2スライダ28)と第2環状質量体26との諸元は、第2環状質量体26と連結される各第2質量体22の振動次数(第2の振動次数)が減筒運転の実行時にエンジンからドリブン部材15(ダンパ機構10)に伝達される振動の次数(例えば、1次)に一致するように定められる。なお、第1および第2質量体21,22の振動次数の設定に際しては、エンジンの回転に伴って流体伝動室9内で発生する遠心油圧(遠心液圧)により第1および第2質量体21,22や第1および第2環状質量体25,26に作用する力を考慮すると好ましい。
続いて、上述のように構成される発進装置1の動作について説明する。
発進装置1のロックアップクラッチ8によりロックアップが解除されている際には、図1からわかるように、原動機としてのエンジンからのトルク(動力)が、フロントカバー3、ポンプインペラ4、タービンランナ5、ダンパハブ7という経路を介して変速機の入力軸ISへと伝達される。また、発進装置1のロックアップクラッチ8によりロックアップが実行される際には、図1からわかるように、エンジンからのトルク(動力)が、フロントカバー3、ロックアップクラッチ8(ロックアップピストン80)、ドライブ部材11、スプリングSP、ドリブン部材15、ダンパハブ7という経路を介して変速機の入力軸ISへと伝達される。
ロックアップクラッチ8によりロックアップが実行されている際、エンジンの回転に伴ってロックアップクラッチ8によりフロントカバー3に連結されたドライブ部材11が回転すると、第1入力プレート部材12のスプリング当接部12cや第2入力プレート部材13のスプリング当接部13cが対応するスプリングSPの一端を押圧し、各スプリングSPの他端が対応するドリブン部材15のスプリング当接部15cを押圧する。これにより、フロントカバー3に伝達されるエンジンからのトルクが変速機の入力軸ISへと伝達されると共に、当該エンジンからのトルクの変動が主にダンパ機構10のスプリングSPにより減衰(吸収)される。
更に、発進装置1では、ロックアップに伴ってロックアップクラッチ8によりフロントカバー3に連結されたダンパ機構10がフロントカバー3と共に回転すると、ダンパ機構10のドリブン部材15も発進装置1の軸心周りにフロントカバー3と同方向に回転し、ドリブン部材15の回転に伴って遠心振子式吸振装置20を構成する第1および第2質量体21,22の何れか一方がドリブン部材15に対して同方向に揺動することになる。
すなわち、ロックアップおよびエンジンの全筒運転の実行時には、遠心振子式吸振装置20の各第1質量体21が流体伝動室9内で振子支点PF1の周りに揺動し、それに伴って第1環状質量体25がドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動して各第1質量体21に慣性モーメントを付与する。これにより、全筒運転されるエンジンからドリブン部材15に伝達される振動(共振)とは逆位相の振動を遠心振子式吸振装置20からドリブン部材15に付与し、フロントカバー3とダンパハブ7との間で遠心振子式吸振装置20によっても振動を減衰(吸収)することが可能となる。更に、第1環状質量体25からの慣性モーメントにより各第1質量体21のイナーシャを増加させてエンジンの全筒運転時における遠心振子式吸振装置20の振動減衰効果をより向上させることができる。
また、ロックアップおよびエンジンの減筒運転の実行時には、遠心振子式吸振装置20の各第2質量体22が流体伝動室9内で振子支点PF2の周りに揺動し、それに伴って第2環状質量体26がドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動して各第2質量体22に慣性モーメントを付与する。これにより、減筒運転されるエンジンからドリブン部材15に伝達される振動(共振)とは逆位相の振動を遠心振子式吸振装置20からドリブン部材15に付与し、フロントカバー3とダンパハブ7との間で遠心振子式吸振装置20によっても振動を減衰(吸収)することが可能となる。そして、この場合も、第2環状質量体26からの慣性モーメントにより各第2質量体22のイナーシャを増加させてエンジンの減筒運転時における遠心振子式吸振装置20の振動減衰効果をより向上させることができる。
ここまで説明したように、発進装置1の遠心振子式吸振装置20は、それぞれ第1の振子支点PF1の周りに揺動するようにダンパ機構10の回転要素であるドリブン部材15に連結される複数の第1質量体21と、それぞれ第2の振子支点PF2の周りに揺動するようにドリブン部材15に連結される複数の第2質量体22とを含む。また、複数の第1質量体21には、各第1質量体21の揺動に伴ってドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動するように付加質量体としての第1環状質量体25が連結され、複数の第2質量体22には、各第2質量体22の揺動に伴ってドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動するように付加質量体としての第2環状質量体26が連結される。更に、遠心振子式吸振装置20は、第1環状質量体25と連結される各第1質量体21の振動次数(第1の振動次数)が全筒運転の実行時にエンジンからドリブン部材15に伝達される振動の次数に一致し、かつ第2環状質量体26と連結される各第2質量体22の振動次数(第2の振動次数)が減筒運転の実行時にエンジンからドリブン部材15に伝達される振動の次数に一致するように構成される。すなわち、第1環状質量体25と連結される各第1質量体21と、第2環状質量体26と連結される各第2質量体22とは、互いに異なる振動次数を有する。
このように構成される遠心振子式吸振装置20では、各第1質量体21の揺動に伴って第1環状質量体25がドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動する際に、各第1質量体21に対して第1環状質量体25から慣性モーメントが付与され、各第2質量体22の揺動に伴って第2環状質量体26がドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動する際に、各第2質量体22に対して第2環状質量体26から慣性モーメントが付与される。これにより、第1および第2質量体21,22のイナーシャを増加させて遠心振子式吸振装置20の振動減衰効果をより向上させつつ、第1質量体21の第1の振動次数と第2質量体22の第2の振動次数とを容易に異ならせることができる。
従って、遠心振子式吸振装置20によれば、全筒運転と減筒運転との切り替えに伴ってエンジンからドリブン部材15に伝達される振動の次数が変化しても、第1または第2質量体21,22をドリブン部材15に対して揺動させてエンジンからの振動とは逆位相の振動をドリブン部材15に付与して当該ドリブン部材15の振動を良好に減衰することが可能となる。この結果、エンジンの全筒運転の実行時(気筒休止の非実行時)および減筒運転(気筒休止)の実行時との双方において、エンジンからドリブン部材15に伝達される振動を良好に減衰することができる。なお、発進装置1に連結される駆動装置から回転要素としてのドリブン部材15に伝達される振動の次数が3段階以上に変化する場合には、第1および第2質量体21,22に加えた更なる質量体を用いると共に、複数の質量体の少なくとも何れか1つに付加質量体を連結すればよい。
また、付加質量体としての第1環状質量体25は、第1質量体21の各々に連結され、付加質量体としての第2環状質量体26は、第2質量体22の各々に連結される。これにより、第1質量体21や第2質量体22が揺動する際に、第1環状質量体25や第2環状質量体26をドリブン部材15の回転中心RCの周りにスムースに揺動させることが可能となる。加えて、環状に形成された第1および第2環状質量体25,26を用いることで、第1および第2環状質量体25,26の回転中心RCの周りの揺動に対する両者に作用する遠心力(遠心油圧)による影響を無くすことができる。
更に、付加質量体として、第1質量体21の各々に連結される第1環状質量体25と、第2質量体22の各々に連結される第2環状質量体26とを用いることで、第1および第2質量体21,22の双方のイナーシャを増加させて遠心振子式吸振装置20の振動減衰効果をより一層向上させると共に、第1質量体21の第1の振動次数と第2質量体22の第2の振動次数とを容易に異ならせることが可能となる。ただし、第1および第2質量体21,22の重量等によっては、第1および第2環状質量体25,26の何れか一方が省略されてもよい。
また、遠心振子式吸振装置20において、第1環状質量体25は、第2環状質量体26の周囲に配置されると共に当該第2環状質量体26により回転自在に支持され、第2環状質量体26は、ドリブン部材15により回転自在に支持される。これにより、第1および第2環状質量体25,26の双方をドリブン部材15の回転中心RCの周りにスムースに揺動させることが可能となる。なお、遠心振子式吸振装置20において、第1環状質量体25の第1環状部250の内周面を第2環状質量体26の各拡径部261の外周面と当接(摺接)させる代わりに、第1環状質量体25が第2環状質量体26により回転自在に支持されるように、第1環状質量体25の各内側突出部251の内周面と第2環状質量体26の第2環状部260の外周面とを当接させてもよい。
更に、遠心振子式吸振装置20において、第2環状質量体26の周囲に配置される第1環状質量体25と連結される第1質量体21の第1の振動次数(例えば、2次または1.5次)は、第2環状質量体26と連結される第2質量体22の第2の振動次数(例えば、1.5次または1次)よりも高くなる。このように、高次側の振動に対応した第1質量体21と連結される第1環状質量体25を低次側の振動に対応した第2質量体22と連結される第2環状質量体26の周囲に配置することで、第1環状質量体25の回転半径、すなわち第1環状質量体25から第1質量体21に付与される慣性モーメントをより大きくすることができる。この結果、第1質量体21のイナーシャを良好に増加させてエンジンからドリブン部材15に伝達される高次側の振動を遠心振子式吸振装置20により極めて良好に減衰することが可能となる。
また、遠心振子式吸振装置20において、各第1質量体21と付加質量体としての第1環状質量体25とを連結する連結機構29は、第1質量体21を構成する各第1錘体210にドリブン部材15の径方向に延びるように形成された第1ガイド開口部(ガイド部)215と、第1環状質量体25から延出されると共に第1スライダ27を介して第1ガイド開口部215により回転自在かつ当該第1ガイド開口部215の延在方向(長手方向)に移動自在にガイドされる第1シャフト部255とを含む。更に、各第2質量体22と付加質量体としての第2環状質量体26とを連結する連結機構30は、第2質量体22を構成する各第2錘体220にドリブン部材15の径方向に延びるように形成された第2ガイド開口部(ガイド部)225と、第2環状質量体26から延出されると共に第2スライダ28を介して第2ガイド開口部225により回転自在かつ当該第2ガイド開口部225の延在方向(長手方向)に移動自在にガイドされる第2シャフト部265とを含む。このような連結機構29,30を用いることで、当該連結機構29,30をコンパクト化しつつ、第1質量体21や第2質量体22が振子支点PF1またはPF2の周りに揺動する際に、第1環状質量体25や第2環状質量体26をドリブン部材15の回転中心RCの周りに揺動させることができる。従って、遠心振子式吸振装置20では、装置全体の重量増や大型化を抑制しつつ、振動減衰効果をより向上させることが可能となる。
更に、第1または第2シャフト部255,265を回転自在に支持すると共に第1または第2ガイド開口部215,225により移動自在にガイドされる第1および第2スライダ27,28を用いることで、第1質量体21や第2質量体22が揺動する際に、第1環状質量体25や第2環状質量体26をドリブン部材15の回転中心RCの周りにスムースに揺動させることができる。加えて、第1スライダ27と第1ガイド開口部215との接触面積や、第2スライダ28と第2ガイド開口部225との接触面積を増加させることができるので、連結機構29,30の耐久性を向上させることが可能となる。ただし、連結機構29から第1スライダ27を省略し、第1環状質量体25の第1シャフト部255が第1質量体21の第1ガイド開口部215により直接支持されるように連結機構29を構成してもよい。また、連結機構30から第2スライダ28を省略し、第2環状質量体26の第2シャフト部265が第2質量体22の第2ガイド開口部225により直接支持されるように連結機構30を構成してもよい。
なお、上述の遠心振子式吸振装置20において、第1および第2環状質量体25,26は、環状を呈する単一の部材として構成されるが、これに限られるものではない。すなわち、第1および第2環状質量体25,26の少なくとも何れか一方は、図7に示すような複数の付加質量体で置き換えられてもよい。図7に示す遠心振子式吸振装置20Bは、上述の遠心振子式吸振装置20の第1環状質量体25を複数の付加質量体25Bで置き換えたものである。各付加質量体25Bは、上述の第1環状質量体25を3等分したものに相当し、それぞれ円弧状に形成される。
図7の例において、各付加質量体25Bの両端部には、内側突出部251が形成され、各内側突出部251の表面および裏面には、第1環状部250の軸心と平行に互いに同軸かつ逆方向に延びる第1シャフト部255が形成される。また、第1質量体21Bを構成する各第1錘体210Bには、2つの矩形状(長方形状)の第1ガイド開口部(ガイド部)215が揺動中心線の両側に互いに平行に並ぶように形成されている。各第1ガイド開口部215は、長手方向が揺動中心線に沿うようにドリブン部材15の径方向に延びる。更に、各第1ガイド開口部215内には、略正方形状の断面形状を有する第1スライダ27が1つずつ当該第1ガイド開口部215の長手方向(延在方向)に沿って移動自在に配置され、付加質量体25Bの各第1シャフト部255は、対応する第1スライダ27により回転自在に支持される。これにより、各付加質量体25Bは、それぞれ周方向に間隔をおいて並ぶ2つの第1質量体21Bに連結機構29を介して連結される。このような構成を採用しても、第1質量体21や第2質量体22が揺動する際に、複数の付加質量体25Bをドリブン部材15の回転中心RCの周りにスムースに揺動させることが可能となる。
また、上記遠心振子式吸振装置20では、第1および第2質量体21,22(第1および第2錘体210,220)に第1または第2ガイド開口部215,225が形成され、第1および第2環状質量体25,26から第1または第2シャフト部255,265が延出されるが、これに限られるものではない。すなわち、図8(a)および図8(b)に示す遠心振子式吸振装置20Cのように、第1および第2環状質量体25C,26C(の少なくとも何れか一方)に第1または第2ガイド開口部257,267が形成されてもよく、第1および第2質量体21C,22C(の少なくとも何れか一方)に第1または第2シャフト部217,227が形成されてもよい。
図8に示す例において、第1環状質量体25Cの第1ガイド開口部257には、第1質量体21Cを構成する第1錘体210Cの一方(または双方)から延出された第1シャフト部217を回転自在に支持する第1スライダ27が摺動自在に配置される。また、第2環状質量体26Cの第2ガイド開口部267には、第2質量体22Cを構成する第2錘体220Cの一方(または双方)から延出された第2シャフト部227を回転自在に支持する第2スライダ28が摺動自在に配置される。遠心振子式吸振装置20Cの取付状態において、第1および第2スライダ27,28は、図8(a)に示すように、対応する第1または第2ガイド開口部257,267の径方向外側の内壁面と当接し、第1または第2スライダ27,28により支持される第1または第2シャフト部217,227の軸心は、第1または第2質量体21,22の揺動中心線上に位置する。
第1質量体21Cおよび第1環状質量体25Cを例にとって遠心振子式吸振装置20Cの動作を説明する。エンジンからの動力によりダンパ機構10の回転要素(例えばドリブン部材15)が回転すると、第1質量体21Cは、図8(a)および図8(b)に示すように、揺動中心線に沿って回転中心RCに向けて移動すると共に揺動中心線と直交する方向に沿って当該揺動中心線から離間するように並進する。このような第1質量体21Cの移動(揺動)に伴い、第1環状質量体25Cの第1ガイド開口部257内の第1スライダ27は、第1ガイド開口部215の径方向内側の内壁面に当接するように第1環状質量体25Cに対して移動し、第1スライダ27により支持された第1質量体21Cの第1シャフト部217は、第1スライダ27に対して軸心周りに回転する。これにより、第1質量体21Cに連結された第1環状質量体25Cは、図8(b)に示すように、第1質量体21の揺動に伴って回転中心RCの周りに揺動(回動)し、第1ガイド開口部257は、第1質量体21Cの揺動中心線に対して傾斜することになる。
更に、遠心振子式吸振装置20において、第1および第2リンク部材23,24は、2つずつ対をなし、互いに対をなす2つの第1および第2リンク部材23,24は、第1または第2質量体21,22の2つの第1または第2錘体210,220を介してダンパ機構10の軸方向に対向する(2つの第1錘体210等を両側から挟み込む)が、これに限られるものではない。すなわち、図9(a)に示すように、第1および第2リンク部材23,24(の少なくとも何れか一方)は、互いに連結される2つの第1または第2錘体210,220の間で第1または第2質量体21,22に対して連結されてもよい。
また、遠心振子式吸振装置20において、第1および第2環状質量体25,26は、第1および第2質量体21,22の錘体210,220の間に一方が他方を囲むように配置されるが、これに限られるものではない。すなわち、図9(b)に示すように、第1および第2環状質量体25,26は、第1および第2質量体21,22の2つの錘体210,220の間に軸方向において互いに隣り合うように配置されてもよい。この場合も、図9(c)に示すように、第1および第2リンク部材23,24(の少なくとも何れか一方)は、互いに連結される2つの第1または第2錘体210,220の間で第1または第2質量体21,22に対して連結されてもよい。
更に、図10(a)および図10(b)に示すように、第1および第2環状質量体25,26は、第1質量体21の2つ若しくは1つの第1錘体210や第2質量体22の2つ若しくは1つの第2錘体220を介して互いに対向するように(第1および第2錘体210,220を両側から挟み込むように)配置されてもよい。この場合も、第1および第2リンク部材23,24(の少なくとも何れか一方)は、第1または第2質量体21,22の第1または第2錘体210,220を介してダンパ機構10の軸方向に対向する(2つの第1錘体210等を両側から挟み込む)ように配置されてもよく、図10(c)に示すように、互いに連結される2つの第1または第2錘体210,220の間で第1または第2質量体21,22に対して連結されてもよい。また、図10(d)に示すように、第1および第2リンク部材23,24(の少なくとも何れか一方)は、第1および第2環状質量体25,26の何れか一方のみと径方向からみて重なるように配置されてもよい。
図11は、本発明の他の実施形態に係る遠心振子式吸振装置20Dを含む発進装置1Dを示す部分断面図であり、図12は、遠心振子式吸振装置20Dの正面図である。なお、発進装置1Dや遠心振子式吸振装置20Dの構成要素のうち、上述の発進装置1や遠心振子式吸振装置20と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図11および図12に示すように、遠心振子式吸振装置20Dは、上述の遠心振子式吸振装置20と同様の構成を有するものであり、発進装置1Dに含まれるダンパ機構10Dの回転要素であるドライブ部材11(入力要素)に連結される。図示するように、発進装置1Dでは、ダンパ機構10のドライブ部材11を構成する第2入力プレート部材13Dが上述の第2入力プレート部材13よりも大きい外径を有する。そして、遠心振子式吸振装置20Dの第1質量体21の第1リンク部材23および第2質量体22の第2リンク部材24は、ダンパ機構10の第2入力プレート部材13の外周部に連結される。
すなわち、互いに対向する2つの第1リンク部材23の内端は、第1質量体21の揺動中心線に関して対称をなすように第2入力プレート部材13Dに形成された連結孔に挿通される支軸としての支軸を介して第2入力プレート部材13Dに対して回転自在に連結される。同様に、互いに対向する2つの第2リンク部材24の内端は、第2質量体22の揺動中心線に関して対称をなすように第2入力プレート部材13Dに形成された連結孔に挿通される支軸を介して第2入力プレート部材13Dに対して回転自在に連結される。そして、第2環状質量体26の第2環状部260の内周面は、第2入力プレート部材13Dの外周部に形成された複数の突出部13pの外周面と当接(摺接)する。これにより、第2環状質量体26は、ダンパハブ7により回転自在に支持されるドライブ部材11により回転自在に支持され、第1環状質量体25は、第2環状質量体26により回転自在に支持される。
このように構成される遠心振子式吸振装置20Dによっても、エンジンの全筒運転の実行時(気筒休止の非実行時)および減筒運転(気筒休止)の実行時との双方において、エンジンからドライブ部材11に伝達される振動を良好に減衰することができる。なお、遠心振子式吸振装置20Dも、第1および第2質量体21,22を揺動自在に支持すると共にダンパ機構10のドライブ部材11に連結(固定)される専用の支持部材を有するように構成されてもよい。
図13は、本発明の更に他の実施形態に係る遠心振子式吸振装置20Eを含む発進装置1Eを示す部分断面図であり、図14は、遠心振子式吸振装置20Eの正面図である。なお、発進装置1Eや遠心振子式吸振装置20Eの構成要素のうち、上述の発進装置1や遠心振子式吸振装置20と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図13に示す発進装置1Eのダンパ機構10Eは、回転要素として、ドライブ部材(入力要素)11およびドリブン部材(出力要素)15Eに加えて、中間部材(中間要素)14を含むと共に、動力伝達要素として、それぞれ複数かつ同数(本実施形態では、3つずつ)の第1スプリング(第1弾性体)SP1および第2スプリング(第2弾性体)SP2を含むものである。そして、遠心振子式吸振装置20Eは、上述の遠心振子式吸振装置20と同様の構成を有するものであり、発進装置1Eに含まれるダンパ機構10Eの回転要素である中間部材14に連結される。
ダンパ機構10Eの第1および第2スプリングSP1,SP2は、ドライブ部材11を構成する第1入力プレート部材12Eのスプリング支持部12a,12bと、第2入力プレート部材13Eのスプリング支持部13a,13bとにより支持され、タービンシェル50の内周部に近接するように同心円上に周方向に間隔をおいて交互に配設される。なお、第1および第2スプリングSP1,SP2は、互いに同一の諸元(剛性すなわちバネ定数等)を有するものであってもよく、互いに異なる諸元を有するものであってもよい。また、ダンパ機構10Eのドライブ部材11を構成する第1入力プレート部材12Eには、それぞれ径方向に延びる複数(本実施形態では、3つ)のスプリング当接部12cが周方向に間隔をおいて(等間隔に)並ぶように形成されている。同様に、ドライブ部材11の第2入力プレート部材13Eにも、それぞれ径方向に延びる複数(本実施形態では、3つ)のスプリング当接部13cが周方向に間隔をおいて(等間隔に)並ぶように形成されている。
中間部材14は、環状の板体として構成されており、その内周部から径方向内側に延出されて周方向に間隔をおいて(等間隔に)並ぶ複数(本実施形態では、3つ)のスプリング当接部14cを有する。更に、ドリブン部材15Eは、径方向外側に延びるように周方向に間隔をおいて形成された複数(本実施形態では、例えば3個)のスプリング当接部15cを有する。中間部材14およびドリブン部材15は、図13に示すように、互いに連結される第1入力プレート部材12と第2入力プレート部材13との間に配置され、中間部材14は、ドリブン部材15の各スプリング当接部15cの外周面により回転自在に支持(調心)される(図14参照)。
第1および第2入力プレート部材12E,13Eが互いに連結された際、第1入力プレート部材12Eの各スプリング当接部12cは、第2入力プレート部材13Eの各スプリング当接部13cと対向する。ダンパ機構10Eの取付状態において、第1入力プレート部材12の各スプリング当接部12cと、第2入力プレート部材13の各スプリング当接部13cとは、対応する第1スプリングSP1のダンパ機構10E(回転要素)の回転方向(以下、単に「回転方向」という)における上流側の端部、および当該第1スプリングSP1の回転方向上流側に配置される第2スプリングSP2の回転方向下流側の端部と当接する。
また、ダンパ機構10の取付状態において、中間部材14の各スプリング当接部14cは、ドライブ部材11のスプリング当接部12cおよびスプリング当接部13cとは異なる位置で、対応する第1スプリングSP1の回転方向下流側の端部、および当該第1スプリングSP1の回転方向下流側に配置される第2スプリングSP2の回転方向上流側の端部と当接する。更に、ドリブン部材15の各スプリング当接部15cは、ダンパ機構10の軸方向からみてドライブ部材11の対応するスプリング当接部12cおよびスプリング当接部13cと重なり合い、対応する第2スプリングSP2の回転方向下流側の端部、および当該第2スプリングSPの回転方向下流側に配置される第1スプリングSP1の回転方向上流の端部と当接する。これにより、ドリブン部材15は、複数の第2スプリングSP2、中間部材14、および複数の第1スプリングSP1を介してドライブ部材11に連結される。そして、ダンパ機構10Eでは、中間部材14のスプリング当接部14cを介して1組の第1および第2スプリングSP1,SP2が直列に連結されることから、ダンパ機構10Eをより低剛性化することが可能となる。
発進装置1Eにおいて、遠心振子式吸振装置20Eの第1質量体21の第1リンク部材23および第2質量体22の第2リンク部材24は、ダンパ機構10の中間部材14の外周部に連結される。すなわち、互いに対向する2つの第1リンク部材23の内端は、第1質量体21の揺動中心線に関して対称をなすように中間部材14に形成された連結孔に挿通される支軸を介して中間部材14に対して回転自在に連結される。同様に、互いに対向する2つの第2リンク部材24の内端は、第2質量体22の揺動中心線に関して対称をなすように中間部材14に形成された連結孔に挿通される支軸を介して中間部材14に対して回転自在に連結される。更に、第2環状質量体26の第2環状部260の内周面は、中間部材14の外周部に形成された複数の突出部14pの外周面と当接(摺接)する。これにより、第2環状質量体26は、ドリブン部材15により回転自在に支持される中間部材14により回転自在に支持され、第1環状質量体25は、第2環状質量体26により回転自在に支持される。
このように構成される遠心振子式吸振装置20Eによっても、エンジンの全筒運転の実行時(気筒休止の非実行時)および減筒運転(気筒休止)の実行時との双方において、エンジンから中間部材14に伝達される振動を良好に減衰することができる。なお、遠心振子式吸振装置20Eも、第1および第2質量体21,22を揺動自在に支持すると共にダンパ機構10の中間部材14に連結(固定)される専用の支持部材を有するように構成されてもよい。
なお、回転要素としてドライブ部材(入力要素)11およびドリブン部材(出力要素)15を含むと共に、トルク伝達要素としてドライブ部材11とドリブン部材15との間に配置されるスプリングSPを含むダンパ装置10Xでは、遠心振子式吸振装置20およびタービンランナ5が図15から図17に示すように回転要素に対して連結されてもよい。また、ダンパ装置10Xのドライブ部材11に遠心振子式吸振装置20およびタービンランナ5が連結される場合、図18に示すように、更にドリブン部材15に遠心振子式吸振装置20Xが連結されてもよい。
更に、回転要素としてドライブ部材(入力要素)11、中間部材(中間要素)14およびドリブン部材(出力要素)15を含むと共に、動力伝達要素としてドライブ部材11と中間部材14との間に配置される第1スプリングSP1および中間部材14とドリブン部材15との間に配置される第2スプリングSP2を含むダンパ装置10Yでは、遠心振子式吸振装置20およびタービンランナ5が図19から図26に示すように回転要素に対して連結されてもよい。そして、ダンパ装置10Yのドライブ部材11に遠心振子式吸振装置20およびタービンランナ5が連結される場合、図27に示すように、更にドリブン部材15に遠心振子式吸振装置20Yが連結されてもよい。
また、回転要素としてドライブ部材(入力要素)11、第1中間部材(第1中間要素)16、第2中間部材(第2中間要素)17、およびドリブン部材(出力要素)15を含むと共に、動力伝達要素としてドライブ部材11と第1中間部材16との間に配置される第1スプリングSP1、第1中間部材16と第2中間部材17との間に配置される第2スプリングSP2および第2中間部材17とドリブン部材15との間に配置される第3スプリングSP3を含むダンパ装置10Zでは、遠心振子式吸振装置20およびタービンランナ5が図28から図43に示すように回転要素に対して連結されてもよい。そして、ダンパ装置10Zのドライブ部材11に遠心振子式吸振装置20およびタービンランナ5が連結される場合、図44に示すように、更にドリブン部材15に遠心振子式吸振装置20Zが連結されてもよい。
以上説明したように、本発明による遠心振子式吸振装置は、駆動装置からの動力により回転する回転要素に対して前記駆動装置から前記回転要素に伝達される振動とは逆位相の振動を付与する遠心振子式吸振装置であって、それぞれ第1の振子支点周りに揺動するように前記回転要素に連結される複数の第1質量体と、それぞれ第2の振子支点周りに揺動するように前記回転要素に連結される複数の第2質量体とを備え、前記第1および第2質量体の少なくとも何れか一方には、前記第1または第2質量体の揺動に伴って前記回転要素の回転中心周りに揺動するように付加質量体が連結され、前記第1質量体は、第1の振動次数を有し、前記第2質量体は、前記第1の振動次数とは異なる第2の振動次数を有することを特徴とする。
この遠心振子式吸振装置は、それぞれ第1の振子支点周りに揺動するように回転要素に連結される複数の第1質量体と、それぞれ第2の振子支点周りに揺動するように回転要素に連結される複数の第2質量体とを備え、第1および第2質量体の少なくとも何れか一方には、第1または第2質量体の揺動に伴って回転要素の回転中心周りに揺動するように付加質量体が連結される。そして、第1質量体は、第1の振動次数を有し、第2質量体は、第1の振動次数とは異なる第2の振動次数を有する。このように構成される遠心振子式吸振装置では、第1または第2質量体の揺動に伴って付加質量体が回転要素の回転中心周りに揺動する際に、第1および第2質量体の少なくとも何れか一方に対して付加質量体から慣性モーメント(回転モーメント)が付与される。これにより、第1および第2質量体の少なくとも何れか一方のイナーシャを増加させて遠心振子式吸振装置の振動減衰効果をより向上させつつ、第1質量体の第1の振動次数と第2質量体の第2の振動次数とを容易に異ならせることができる。従って、この遠心振子式吸振装置によれば、駆動装置から回転要素に伝達される振動の次数が変化しても、第1または第2質量体を回転要素に対して揺動させて駆動装置からの振動とは逆位相の振動を回転要素に付与して当該回転要素の振動を良好に減衰することが可能となる。なお、駆動装置から回転要素に伝達される振動の次数が3段階以上に変化する場合には、第1および第2質量体に加えて更なる質量体を用いると共に複数の質量体の少なくとも何れか1つに付加質量体を連結すればよい。
また、前記付加質量体は、環状に形成されると共に、前記第1または第2質量体の各々に連結されてもよい。これにより、第1質量体や第2質量体が揺動する際に、付加質量体を回転要素の回転中心周りにスムースに揺動させることが可能となる。加えて、付加質量体を環状に形成することで、付加質量体の揺動に対する当該付加質量体に作用する遠心力(遠心液圧)による影響を無くすことができる。
更に、前記遠心振子式吸振装置は、前記付加質量体を複数備えてもよく、前記付加質量体の各々は、周方向に間隔をおいて並ぶ2つの前記第1または第2質量体に連結されてもよい。このような構成を採用しても、第1質量体や第2質量体が揺動する際に、付加質量体を回転要素の回転中心周りにスムースに揺動させることが可能となる。
また、前記付加質量体は、前記第1質量体の各々に連結される第1環状質量体と、前記第2質量体の各々に連結される第2環状質量体とを含んでもよい。これにより、第1および第2質量体の双方のイナーシャを増加させて遠心振子式吸振装置の振動減衰効果をより一層向上させると共に、第1質量体の第1の振動次数と第2質量体の第2の振動次数とを容易に異ならせることが可能となる。
更に、前記第1および第2環状質量体のうちの一方は、他方の周囲に配置されると共に前記他方により回転自在に支持されてもよい。これにより、第1および第2環状質量体のうちの一方を回転要素の回転中心周りにスムースに揺動させることが可能となる。
また、前記第1および第2環状質量体のうちの前記他方は、前記回転要素により回転自在に支持されてもよい。これにより、第1および第2環状質量体のうちの他方を回転要素の回転中心周りにスムースに揺動させることが可能となる。
更に、前記第1環状質量体は、前記第2環状質量体の周囲に配置されてもよく、前記第1の振動次数は、前記第2の振動次数よりも高くてもよい。このように、高次側の振動に対応した第1質量体と連結される第1環状質量体を低次側の振動に対応した第2質量体と連結される第2環状質量体の周囲に配置することで、第1質量体のイナーシャを良好に増加させて駆動装置から回転要素に伝達される高次側の振動を遠心振子式吸振装置により極めて良好に減衰することが可能となる。
また、前記駆動装置は、気筒休止機能を有する内燃機関であってもよく、前記遠心振子式吸振装置は、前記第1の振動次数が全筒運転の実行時に前記内燃機関から前記回転要素に伝達される振動の次数に一致し、前記第2の振動次数が減筒運転の実行時に前記内燃機関から前記回転要素に伝達される振動の次数に一致するように構成されてもよい。これにより、全筒運転の実行時(気筒休止の非実行時)および減筒運転(気筒休止)の実行時との双方において、駆動装置から回転要素に伝達される振動を良好に減衰することが可能となる。
そして、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本発明は、遠心振子式吸振装置の製造分野等において利用可能である。
1,1D,1E 発進装置、3 フロントカバー、4 ポンプインペラ、5 タービンランナ、6 ステータ、7 ダンパハブ、8 ロックアップクラッチ、9 流体伝動室、10,10D,10E ダンパ機構、11 ドライブ部材、12,12E 第1入力プレート部材、12a,12b,13a,13b スプリング支持部、12c,13c,14c,15c スプリング当接部、13,13D,13E,13H 第2入力プレート部材、13p,14p,15p 突出部、13s 質量体支持部、14 中間部材、15,15E ドリブン部材、159 第1ガイド切欠部、159H ガイド穴、20,20B,20C,20D,20E 遠心振子式吸振装置、21,21B,21C 第1質量体、22,22C 第2質量体、23 第1リンク部材、24 第2リンク部材、25,25C 第1環状質量体、25B 付加質量体、26,26C 第2環状質量体、27 第1スライダ、28 第2スライダ、29,29H,30 連結機構、31 ガイドローラ、311 小径ローラ、312 大径ローラ、40 ポンプシェル、41 ポンプブレード、50 タービンシェル、51 タービンブレード、60 ステータブレード、61 ワンウェイクラッチ、80 ロックアップピストン、81 摩擦材、85 ロックアップ室、210,210B,210C 第1錘体、211 支軸、212 締結部材、215,257 第1ガイド開口部、217 第1シャフト部、219 第2ガイド切欠部、220,220C 第2錘体、225,267 第2ガイド開口部、227、265 第2シャフト部、230 連結軸、250 第1環状部、251 内側突出部、255 第1シャフト部、260 第2環状部、261 拡径部、SP スプリング、SP1 第1スプリング、SP2 第2スプリング。

Claims (6)

  1. 駆動装置からの動力により回転する回転要素に対して前記駆動装置から前記回転要素に伝達される振動とは逆位相の振動を付与する遠心振子式吸振装置であって、
    それぞれ第1の振子支点周りに揺動するように前記回転要素に連結される複数の第1質量体と、
    それぞれ第2の振子支点周りに揺動するように前記回転要素に連結される複数の第2質量体とを備え、
    前記回転要素の回転中心から前記第1質量体の最外周部までの距離と、前記回転中心から前記第2質量体の最外周部までの距離とは互いに同一であり、
    前記第1質量体には、前記第1質量体の揺動に伴って前記回転中心周りに揺動するように第1の付加質量体が連結され、
    前記第2質量体には、前記第2質量体の揺動に伴って前記回転中心周りに揺動するように第2の付加質量体が連結され、
    前記第1の付加質量体は、前記第2の付加質量体の径方向外側に配置され、
    前記第1の付加質量体と連結される前記第1質量体の振動次数は、前記第2の付加質量体と連結される前記第2質量体の振動次数よりも高いことを特徴とする遠心振子式吸振装置。
  2. 請求項1に記載の遠心振子式吸振装置において、
    前記第1および第2の付加質量体は、環状に形成されことを特徴とする遠心振子式吸振装置。
  3. 請求項1または2に記載の遠心振子式吸振装置において、
    前記第1および第2質量体は、周方向に間隔をおいて交互に並ぶことを特徴とする遠心振子式吸振装置。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の遠心振子式吸振装置において、
    前記第1の付加質量体は、前記第2の付加質量体により回転自在に支持されることを特徴とする遠心振子式吸振装置。
  5. 請求項に記載の遠心振子式吸振装置において、
    前記第2の付加質量体は、前記回転要素により回転自在に支持されることを特徴とする遠心振子式吸振装置。
  6. 請求項1からの何れか一項に記載の遠心振子式吸振装置において、
    前記駆動装置は、気筒休止機能を有する内燃機関であり、
    前記第1の付加質量体と連結される前記第1質量体の振動次数が全筒運転の実行時に前記内燃機関から前記回転要素に伝達される振動の次数に一致し、前記第2の付加質量体と連結される前記第2質量体の振動次数が減筒運転の実行時に前記内燃機関から前記回転要素に伝達される振動の次数に一致するように構成されることを特徴とする遠心振子式吸振装置。
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