以下、本発明の実施形態では、遊技機の一例であるパチンコ機Pについて図面を参照しながら具体的に説明する。
図1および図2に示すように、パチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容される遊技盤3(図3参照)と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、本体枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7と、本体枠2の下部に設けられた発射装置9と、を具備している。さらに、ガラス扉4の上部には上部スピーカ11が左右に1個ずつ取り付けられているとともに、ガラス扉4の左下部には下部スピーカ12が1個取り付けられており、遊技に関する様々な楽曲や効果音を出力することが可能となっている。なお、以下では、上部スピーカ11および下部スピーカ12をまとめて、スピーカ11,12と呼称する。
前面ボード6には遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、賞球として払い出された遊技球も収容可能となっている。また、遊技球を遊技領域15(図3参照)に向けて発射するための発射装置9が本体枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。
そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、そのときの回動量に応じた強度で発射装置9が遊技球を遊技領域15へと発射することができるようになっている。
前面ボード6の中央部付近には、遊技者が押下操作および回転操作する演出用タッチボタン60が設けられている。この演出用タッチボタン60は、中央部分が押下式スイッチ(押下操作を検出する)、周縁部が回転型セレクタ(回動操作を検出する)で構成され、発展型の演出(例えば、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展する内容の演出)において用いられたり、大当たり遊技中における演出や楽曲を選択する際に用いられたりする。また、スピーカ11,12の音量調整のためにも用いられる。
図3に示すように、遊技盤3は、その盤面に遊技領域15を有しており、遊技領域15は、本体枠2に装着した後、ガラス板10を介して観察することができる。遊技領域15は、遊技球を滑走させるガイドレール16aと遊技球規制レール16bとによって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域15内を流下する。また、遊技領域15内には、演出表示装置40と、一般入賞口20と、ゲート22と、ステージ50と、第1始動入賞口(始動口)24および第2始動入賞口(始動口)26と、大入賞口28と、アウト口29等が設けられている。また、遊技領域15内には、多数の遊技釘17(図示のように遊技釘17は遊技盤3上に多数設けられている)と、風車14も設けられている。また、遊技盤3右下方の位置には、特別図柄表示装置と、普通図柄表示装置と、特別図柄保留表示器と、普通図柄保留表示器とが設けられている(いずれも図示しない)。
ゲート22は、遊技球が通過可能な構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサが内蔵されている。また、このゲート22を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄(普図)に係る電子抽選が行われる。また、この抽選の結果は普通図柄表示装置において表示される。
第2始動入賞口26は、第1始動入賞口24の右側に離れて設けられているとともに、この第2始動入賞口26はスライド板26bを有しており、このスライド板26bは、通常では、遊技盤3の前面方向に突出した状態に維持されている。これにより、経路26Aを通過した遊技球が第2始動入賞口26へ入賞することが不可能となっている。この場合、遊技球は経路26Cを通り、遊技領域15に排出されることとなる。一方で、普通図柄の抽選に当選となると、図示しない始動入賞口開閉ソレノイドに通電がなされて、スライド板26bが遊技盤3の前面から後方にスライドした状態に維持される。これにより、経路26Aを通過した遊技球が第2始動入賞口26へ入賞することが可能となる。この場合、遊技球は経路26Dを通り、第2始動入賞口26へ入賞することとなる。
アタッカー装置27は、第1始動入賞口24に遊技球が入賞することを契機に行われる第1特図に係る電子抽選の結果、大当たり(特図当たり)となって大当たり遊技に移行した場合、および第2始動入賞口26に遊技球が入賞することを契機に行われる第2特図に係る電子抽選の結果、大当たり(特図当たり)となって大当たり遊技に移行した場合に所定の回数だけ開放される装置である。つまり、アタッカー装置27は、両始動入賞口24,26での抽選結果に応じて作動する。なお、特別図柄の抽選の結果は特別図柄表示装置において表示される。
そして、このアタッカー装置27は、水平な軸を中心として前後方向に開閉する板状の蓋部材27aを備えており、図示しない大入賞口開閉ソレノイドを駆動することにより蓋部材27aが水平軸回りに回動する構成となっている。そして、蓋部材27aが開いた状態では遊技領域15の下部に設けられた大入賞口28が露呈されることとなり、遊技者は、その大入賞口28に遊技球を入賞させることができる。そして、大入賞口28に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。即ち、遊技者は、大入賞口28に遊技球を入賞させることによって出玉を獲得できるのである。なお、大入賞口28は、横長な長方形の開口であり、アタッカー装置27の蓋部材27aは、この大入賞口28の形状とほぼ同じ形状を成している。
また、一般入賞口20に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に
払い出される。そして、一般入賞口20、第1始動入賞口24、第2始動入賞口26および大入賞口28の何れにも入らなかった遊技球は、アウト口29から回収される。
演出表示装置40は、遊技盤3の略中央部に設けられ、第1始動入賞口24に遊技球が入賞することを契機に行われる第1特図に係る電子抽選の結果、または第2始動入賞口26に遊技球が入賞することを契機に行われる第2特図に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置40には、画面全体に背景画像が表示されるほか、所定の演出態様の一部として、特別図柄表示装置に変動表示される特別図柄と同期をとって演出図柄が変動表示されるようになっている。
また、演出表示装置40は、遊技盤3内に奥行を持って設置されている。すなわち、演出表示装置40の前面側には、所定の空間(領域)が設けられることとなる。このため、この所定の空間を利用して、後述する演出装置200等により、各種演出を行うことが可能となる余地を残している。
演出表示装置40の上方には、パチンコ機Pのロゴを模ったロゴパネル100が設けられている。
また、演出表示装置40の下方には、ステージ50が設けられている、このステージ50は、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージ50を転動した遊技球は一定の割合で第1始動入賞口24へと導かれる。
さらに、演出表示装置40の下方(ステージ側)には、演出装置200が設けられている。この演出装置200についての詳細は後述するが、演出表示装置40の下方から上昇しながら演出表示装置40の前面を覆い隠すように可動することが可能な可動役物装置である。
次に、演出装置200の全体的な構成について、図5〜図8を用いて説明する。
図5および図6は、演出装置200が通常の状態(以下、「非作動状態」という)にあるときの正面図(図5)および背面図(図6)である。
図5に示すように、演出装置200は、役物本体300と、左レール部材110と、右レール部材130と、から構成されている。また、図6は、演出装置200を背面側から見た図であり、左レール部材110のカバー112および右レール部材130のカバー132を取り外した状態を示している。
左レール部材110の内部には、モータ113と、モータ113のシャフトに固定されたモータギア114と、モータギア114と噛合する従動ギア115と、が設けられており、この従動ギア115は、ラックギア118と噛合している。
ラックギア118には、貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔には略円形状のレール119が挿通されたうえで、左レール部材110内部にこのレール119が固定されている。また、この貫通孔は、レール119が挿通されるのに十分な径を有しているため、ラックギア118は、左レール部材110内において固定された、このレール119上において上下動(摺動)することが可能となっている。
また、ラックギア118には、役物本体300(詳細には、ベース本体301)が取り付けられており、モータ113の駆動力は、モータギア114から従動ギア115へと伝達され、従動ギア115からラックギア118へと伝達される。そして、ラックギア118がレール119上を上下動する動作に変換されることになる。このとき、ラックギア118に固定された役物本体300も共に上下動する。
同様に、右レール部材130の内部には、モータ133と、モータ133のシャフトに固定されたモータギア134と、モータギア134と噛合する従動ギア135と、が設けられており、この従動ギア135は、ラックギア138と噛合している。
ラックギア138には、貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔には略円形状のレール139が挿通されたうえで、右レール部材130内部にこのレール139が固定されている。また、この貫通孔は、レール139が挿通されるのに十分な径を有しているため、ラックギア138は、右レール部材130内において固定された、このレール139上において上下動(摺動)することが可能となっている。
また、ラックギア138には、役物本体300(詳細には、ベース本体301)が取り付けられており、モータ133の駆動力は、モータギア134から従動ギア135へと伝達され、従動ギア135からラックギア138へと伝達される。そして、ラックギア138がレール139上を上下動する動作に変換されることになる。このとき、ラックギア138に固定された役物本体300も共に上下動する。
このように、役物本体300は、左レール部材110および右レール部材130により、いわゆる、「両持ち式」に保持され、上下動されるものであって、左レール部材110に設けられたモータ113と、右レール部材130に設けられたモータ133との駆動力により作動するものとしている。すなわち、左レール部材110のレール119と右レール部材のレール139とは、少なくとも平行となる位置関係を保って設けられているため、役物本体300を上下動させることができる。
役物本体300は、ベース本体301と、回転体303と、ベース本体301の前面側(遊技盤の正面方向に向かう側)に設けられたリング可動体310と、から構成されている。なお、役物本体300を構成するベース本体301、回転体303、リング可動体310についての詳細は後述する。
演出装置200が非作動状態にあるときには、役物本体300が、図5および図6においてA−A´で示す位置(以下、「初期位置」という)にて停止した状態が維持される。
図7および図8は、演出装置200が作動状態にあるときの正面図(図7)および背面図(図8)である。なお、図8は、演出装置200を背面側から見た図であり、左レール部材110のカバー112および右レール部材130のカバー132を取り外した状態を示している。
図7および図8に示すように、演出装置200が作動状態となると、左レール部材110のモータ113と、右レール部材130のモータ133とが駆動し、役物本体300が、レール119およびレール139上を上方に移動する。このとき、役物本体300は、図7および図8においてB−B´で示す位置(以下、「最大移動位置」)まで移動した時点で停止した状態となる。そして、役物本体300は、初期位置から最大移動位置に移動するときに、図7および図8に示すように、円形リング状の形態を形成することが可能となっている。
なお、図22および図23には、パチンコ機Pの遊技盤面の外観であり、遊技盤3の前面(ガラス扉4)等に一部装飾部材等が施された外観を示している。図22に示すように、演出装置200が非作動状態にあるときの遊技盤面の外観では、役物本体300の一部しか見えない状態となっている。一方、図23に示すように、演出装置200が作動状態にあるときには、遊技盤面の外観では、回転体303の外形(外郭、輪郭等を含む、以下同様)の成す円形(K1)と、リング可動体310の外形の成す円形(K2)とが同心円状になるように配置されている。また、上記円形(K1)および円形(K2)は、演出表示装置40やガラス扉4に施された装飾部材等を含めた遊技盤面の外形の成す円形(K3、K4、K5)とも同心円状になるように配置されている。このような配置としたことにより、演出装置200が作動状態となり、役物本体300が円形リング状の形態を形成したときには、回転体303からリング可動体310、遊技盤面全体へと、円形状に演出が広がっていくような印象を与えることができ、遊技盤面全体から一体感のある演出を行うことができる。
次に、役物本体300について、図9〜図14を用いて説明する。
図9は、演出装置200が非作動状態にあるときの役物本体300の正面図である。また、図10は、演出装置200が非作動状態にあるときの役物本体300の上面図である。
役物本体300の正面側には、パチンコ機Pの名称やモチーフに因んだアイテムやキャラクタ等を模った形状をなしている装飾部材305が設けられている。この装飾部材305には、図示しないLED基板が内蔵されており、演出装置200の作動状態に合わせて、様々な点灯態様にて発光を行うことが可能となっている。
また、役物本体300には、回転体303が設けられている。この回転体303は、ベース本体301に設けられた回転体用モータ304(図16等参照)のシャフトに固定されており、この回転体用モータ304の駆動によりシャフトの軸回りに回転するものである。なお、この回転体303は、上面側(図10参照)から見ると視認可能だが、正面側(図9参照)から見ると装飾部材305に隠されているため、ほとんど見えない状態になっている。
また、回転体303の前面側には、装飾部材305が位置しており、回転体303と装飾部材305との間の距離K(「R1−R3」で示す長さ)が、回転体303の回転半径R(「R1−R2」で示す長さ)よりも短くなっている(距離K<距離R)。このため、回転体303は、演出装置200が非作動状態にあるときには、回転半径R内に位置する装飾部材305により回転が妨げられるため、回転が不可能となっている(図10)。
図11は、演出装置200が作動状態にあるときの役物本体300の正面図である。また、図12は、演出装置200が作動状態にあるときの役物本体300の上面図である。
演出装置200が作動状態になると、リング可動体310が作動し、図11に示す円形リング状の形態が形成される。このとき、回転体303はリング可動体310の円形リング状の中空部分Tに回転体303が露出することとなる。
図13は、演出装置200が作動状態にあるときの役物本体300の正面図であり、回転体303が回転しているときの様子を示している。また、図14は、演出装置200が作動状態にあるときの役物本体300の上面図であり、回転体303が回転しているときの様子を示している。
図11および図12に示したように、リング可動体310において展開形態が形成されたことにより、回転体303が回転可能な状態となる。詳細には、展開形態が形成されたことにより、回転体303の前面にあって、この回転体303の回転を妨げていた装飾部材305が上方に移動し、この回転体303の回転を妨げていた装飾部材305(障害物)がなくなる。これにより、回転体303の回転半径R内には、この回転体303の回転を妨げるものが存在しなくなるため、回転体303は回転が可能となる(図13および図14)。
また、回転体303は、図11〜14に示すように、円板形状を成す表面カバー303Aと裏面カバー303Bとにより所定の厚さを有して形成される。表面カバー303Aおよび裏面カバー303Bの内部には複数の発光源(LED)が配されたLED基板(図示しない)がそれぞれ設けられており、回転体303の表面側および裏面側をそれぞれ発光させることが可能となっている。回転体303を発光させる場合とは、例えば、回転体303が中空部分Tに露出したときや、回転体303の回転時などである。
また、表面カバー303Aの内部に設けられたLED基板と、裏面カバー303Bの内部に設けられたLED基板とにおいては、それぞれLEDを面対称(鏡映対称)となるように配置させている。これにより、回転体303が回転している場合であっても、この回転体303における同じ位置で絶えず発光が行われているように見せることができる。また、上述のとおり、LEDを面対称に配置しているため、双方の個々に対応するLEDにおいて、異なる発光態様となるように制御する(表面と裏面とで発光色を変える、発光パターンを変えるなど)ことにより、回転体303が回転しているときの発光態様のバリエーションを豊富なものとすることができる。
次に、役物本体300を構成するリング可動体310について、図15〜図21を用いて説明する。
図15は、リング可動体310を構成する部材等について説明する図である。また、図16および図17は、リング可動体310を正面側から見た図である。図18および図19は、リング可動体310を背面側から見た図である。また、図20および図21は、リング可動体310の動作について説明する図(リング可動体310を背面側から見た図)である。
演出装置200が非作動状態にあるときには、図16に示すように、上端片320、下端片330、右上片340、右中片350、右下片360、左上片370、左中片380、左下片390からなる8つの片が折り畳まれたような形態(以下、「収納形態」という)にて保持されている。そして、演出装置200が作動状態になると、図17に示すように、上端片320、下端片330、右上片340、右下片360、左上片370、左下片390の6つの片が移動して円形リング状の形態(以下、「展開形態」という)が形成される。なお、右中片350および左中片380は、ベース本体301に固定して取り付けられており、それ自体が可動することはないものとなっている。
リング可動体310は、円形リング状の形態を形成する8つの片(上端片320、下端片330、右上片340、右中片350、右下片360、左上片370、左中片380、左下片390)と、右モータ400と、右モータ400のシャフトに固定された右モータギア401と、右モータギア401と噛合する右従動ギア402と、右従動ギア402が係合する右下連結部材410と、右下連結部材410と係合するとともに、右上片340と右中片350とを連結する右上連結部材420と、左モータ430と、左モータ430のシャフトに固定された左モータギア431と、左モータギア431と噛合する左従動ギア432と、左従動ギア432が係合する左下連結部材440と、左下連結部材440と係合するとともに、左上片370と左中片380とを連結する左上連結部材450と、から構成されている。
まずは、リング可動体310の右側半分(上端片320、右上片340、右中片350、右下片360、下端片330、右モータ400、右モータギア401、右従動ギア402、右下連結部材410、右上連結部材420)を構成する各部材の構造および動作について、図15〜図19および図20を参照しつつ説明する。
右従動ギア402には、略半円周上に右モータギア401と噛合する右ギア部403が設けられているとともに、残りの半円周上に右下連結部材410に設けられた第1長穴411と係合する右下突起部404が設けられている。この右下突起部404は、第1長穴411に摺動可能な状態で係合される。
右下連結部材410は、回転軸穴412を通して留め具413により右下片360の固定軸穴361には固定して取り付けられるとともに、右中片350の回転軸穴352には回動可能に取り付けられる。この回転軸穴412および回転軸穴352に留め具413を通して回動可能にされた部分を右下回動部414という。また、右下連結部材410には、上述した第1長穴411の他に第2長穴415が設けられている。
また、第1長穴411において、回転軸穴412に最も近い端側を中央端411A、回転軸穴412から最も遠い位置にある端側を最遠端411Bといい、第2長穴415において、回転軸穴412に最も近い端側を中央端415A、回転軸穴412から最も遠い位置にある端側を最遠端415Bという。
右下片360には、下端片330の右方に設けられた右下長穴331と係合する突起部362が設けられている。この突起部362は、右下長穴331に摺動可能な状態で係合される。また、右下長穴331において、下端片330の中心に最も近い端側を中央端331A、中心から最も遠い位置にある端側を最遠端331Bという。
右上連結部材420は、回転軸穴421を通して留め具422により右上片340の固定軸穴342には固定して取り付けられるとともに、右中片350の回転軸穴351には回動可能に取り付けられる。この回転軸穴421および回転軸穴351に留め具422を通して回動可能にされた部分を右上回動部424という。
また、右上連結部材420には、右下連結部材410の第2長穴415に係合する右上突起部425が設けられている。この右上突起部425は、第2長穴415に摺動可能な状態で係合される。
右中片350は、上述した通り、ベース本体301に固定して取り付けられており、それ自体が可動することはないものとなっている。また、右上片340および右下片360は、ベース本体301には固定されていないため、上述したように、右下回動部414および右上回動部424を中心として回動することが可能となっている。そして、リング可動体310が収納状態から展開状態になるにあたり、右上片340および右下片360が可動する領域は、リング可動体310を正面視したときに、少なくとも右中片350よりも左側方向(円形リング形状の内側)に限定されている。
右上片340には、上端片320の右上長穴321と係合する突起部341が設けられている。この突起部341は、右上長穴321に摺動可能な状態で係合される。また、右上長穴321において、上端片320の中心に最も近い端側を中央端321A、中心から最も遠い位置にある端側を最遠端321Bという。
このように構成したことにより、図20(a)に示すように、右モータ400が駆動すると、右モータギア401の回転が右従動ギア402に伝達され、この右従動ギア402が矢印Aで示す方向(反時計回り方向)に回転することにより、右従動ギア402に設けられた右下突起部404も矢印Aで示す方向に回転する。この右下突起部404は、演出装置200の非作動状態では、第1長穴411の中央端411A側に位置している(図18参照)。そのため、右下突起部404が矢印Aで示す方向に回転することにより、この右下突起部404は、第1長穴411内において、中央端411Aから最遠端411B方向に摺動することになる。これにより、右下連結部材410が、右下回動部414を中心として、矢印Bで示す方向(時計回り方向)に回動する。
また、右下連結部材410の回動に伴い、回動部414に固定されている右下片360および突起部362も矢印Bで示す方向(時計回り方向)に回動する。この突起部362は、演出装置200の非作動状態では、右下長穴331の中央端331A側に位置している(図18参照)。そのため、右下片360が矢印Bで示す方向に回動することにより、この突起部362は、右下長穴331内において、中央端331A側から最遠端331B側に摺動する。これにより、下端片330の右側部分(下端片330の中心から右下長穴331側の部分)が下方に押し下げられることとなる。
また、右下連結部材410の回動に伴い、第2長穴415に係合する右上突起部425には、矢印Cで示す方向へ回動させる力が働くこととなり、右上連結部材420が矢印Cで示す方向に回動することとなる。なお、右上突起部425は、演出装置200の非作動状態では、第2長穴415のやや最遠端側415B側に位置している(図18参照)。そのため、右下連結部材410の回動により、この右上突起部425は、第2長穴415内において、最遠端側415B側から中央端415A側に一旦摺動し、中央端415Aに到達すると、今度は最遠端415B側に摺動する。
そして、右上連結部材420の回動に伴い、回動部424に固定されている右上片340および突起部341も矢印Cで示す方向(反時計回り方向)に回動する。この突起部341は、演出装置200の非作動状態では、右上長穴321の中央端321A側に位置している(図18参照)。そのため、右上片340が矢印Cで示す方向に回動することにより、この突起部341は、右上長穴321内において、中央端321A側から最遠端321B側に摺動する。これにより、上端片320の右側部分(上端片320の中心から右上長穴321側の部分)が上方に押し上げられることとなる。
以上のように、右モータ400の駆動により、右下連結部材410、右下片360、下端片330、右上連結部材420、右上片340、上端片320が可動して、リング可動体310の右側半分において、図20(b)に示す円形リング状の形態の右側半分が形成される。
次に、リング可動体310の左側半分(上端片320、左上片370、左中片380、左下片390、下端片330、左モータ430、左モータギア431、左従動ギア432、左下連結部材440、左上連結部材450)を構成する各部材の構造および動作について、図15〜図19および図21を参照しつつ説明する。なお、リング可動体310の左側半分の構造および動作については、上述した、リング可動体310の右側半分の構造および動作がほぼ左右反対となるだけである。
左従動ギア432には、略半円周上に左モータギア431と噛合する左ギア部433が設けられているとともに、残りの半円周上に左下連結部材440に設けられた第1長穴441と係合する左下突起部434が設けられている。この左下突起部434は、第1長穴441に摺動可能な状態で係合される。
左下連結部材440は、回転軸穴442を通して留め具443により左下片390の固定軸穴391には固定して取り付けられるとともに、左中片380の回転軸穴382には回動可能に取り付けられる。この回転軸穴442および回転軸穴382に留め具443を通して回動可能にされた部分を左下回動部444という。また、左下連結部材440には、上述した第1長穴441の他に第2長穴445が設けられている。
また、第1長穴441において、回転軸穴442に最も近い端側を中央端441A、回転軸穴442から最も遠い位置にある端側を最遠端441Bといい、第2長穴445において、回転軸穴442に最も近い端側を中央端445A、回転軸穴442から最も遠い位置にある端側を最遠端445Bという。
左下片390には、下端片330の左方に設けられた左下長穴332と係合する突起部392が設けられている。この突起部392は、左下長穴332に摺動可能な状態で係合される。
左上連結部材450は、回転軸穴451を通して留め具452により左上片370の固定軸穴372には固定して取り付けられるとともに、左中片380の回転軸穴381には回動可能に取り付けられる。この回転軸穴451および回転軸穴381に留め具452を通して回動可能にされた部分を左上回動部454という。
また、左上連結部材450には、左下連結部材440の第2長穴445に係合する左上突起部455が設けられている。この左上突起部455は、第2長穴445に摺動可能な状態で係合される。
左中片380は、上述した通り、ベース本体301に固定して取り付けられており、それ自体が可動することはないものとなっている。また、左上片370および左下片390は、ベース本体301には固定されていないため、上述したように、左下回動部444および左上回動部454を中心として回動することが可能となっている。そして、リング可動体310が収納状態から展開状態になるにあたり、左上片370および左下片390が可動する領域は、リング可動体310を正面視したときに、少なくとも左中片380よりも右側方向(円形リング形状の内側)に限定されている。
左上片370には、上端片320の左上長穴322と係合する突起部371が設けられている。この突起部371は、左上長穴322に摺動可能な状態で係合される。
このように構成したことにより、図21(a)に示すように、左モータ430が駆動すると、左モータギア431の回転が左従動ギア432に伝達され、この左従動ギア432が矢印Dで示す方向(時計回り方向)に回転することにより、左従動ギア432に設けられた左下突起部434も矢印Dで示す方向に回転する。この左下突起部434は、演出装置200の非作動状態では、第1長穴441の中央端441A側に位置している(図18参照)。そのため、左下突起部434が矢印Dで示す方向に回転することにより、この左下突起部434は、第1長穴441内において、中央端441Aから最遠端441B方向に摺動することになる。これにより、左下連結部材440が、左下回動部444を中心として、矢印Eで示す方向(反時計回り方向)に回動する。
また、左下連結部材440の回動に伴い、回動部444に固定されている左下片390および突起部392も矢印Eで示す方向(反時計回り方向)に回動する。この突起部392は、演出装置200の非作動状態では、左下長穴332の中央端332A側に位置している(図18参照)。そのため、左下片390が矢印Eで示す方向に回動することにより、この突起部392は、左下長穴332内において、中央端332A側から最遠端332B側に摺動する。これにより、下端片330の左側部分(下端片330の中心から左下長穴332側の部分)が下方に押し下げられることとなる。
また、左下連結部材440の回動に伴い、第2長穴445に係合する左上突起部455には、矢印Fで示す方向へ回動させる力が働くこととなり、左上連結部材450が矢印Fで示す方向に回動することとなる。なお、左上突起部455は、演出装置200の非作動状態では、第2長穴445のやや最遠端側445Bに位置している(図18参照)。そのため、左下連結部材440の回動により、この左上突起部455は、第2長穴445内において、最遠端側445B側から中央端445A側に一旦摺動し、中央端445Aに到達すると、今度は最遠端445B側に摺動する。
そして、左上連結部材450の回動に伴い、回動部454に固定されている左上片370および突起部371も矢印Fで示す方向(時計回り方向)に回動する。この突起部371は、演出装置200の非作動状態では、左上長穴322の中央端322A側に位置している(図18参照)。そのため、左上片370が矢印Fで示す方向に回動することにより、この突起部371は、左上長穴322内において、中央端322A側から最遠端322B側に摺動する。これにより、上端片320の左側部分(上端片320の中心から左上長穴322側の部分)が上方に押し上げられることとなる。
以上のように、左モータ430の駆動により、左下連結部材440、左下片390、下端片330、左上連結部材450、左上片370、上端片320が可動して、リング可動体310の左側半分において、図21(b)に示す円形リング状の形態の左側半分が形成される。
このように、リング可動体310は、それぞれ、右モータ400、左モータ430を有しているため、この両モータ400,430を駆動させることにより、円形リング状の形態を形成できることはもちろん、右モータ400のみを駆動させて、右側半分の片、部材(右上片340、右下片360)を可動させた形態を形成したり、左モータ430のみを駆動させて、左側半分の片(左上片370、左下片390)を可動させた形態を形成したりすることも可能である。
また、演出装置200が初期位置にあるときに、右モータ400や左モータ430を少しだけ駆動させて、リング可動体310の上端片320、右上片340および左上片370が「カタカタ」と動くような作動を行わせることも可能である。
このように、本実施形態によれば、上記8つの片や連結部材等を、このリング可動体310の展開形態である円形リング形状の直径幅内に収納することが可能な構成とした。これにより、演出装置200が非作動状態にあるときに、リング可動体310を収納するスペースを極力小さくすることができる。したがって、演出装置200を設ける領域が限られているような場合であっても、演出装置200(リング可動体310)による演出効果を十分に発揮することができる。
また、本実施形態によれば、演出装置200が非作動状態にあるときに、モータ304を駆動源として軸回りに回転動作する回転体303の回転半径の内側に装飾部材305を位置させることにより、回転体303の回転が装飾部材305によって妨げられるようになっているため、回転体303を回転が不可能な状態で装飾部材305の後方に収納することができる。
また、本実施形態によれば、演出装置200が非作動状態にあるときに、回転体303の円板面(主面)が遊技盤正面方向となるように収納すると共に、装飾部材305を回転体303の回転半径の内側に位置させることにより、障害物である装飾部材305が回転体303の回転を妨げるようにしている。これにより、回転体303が装飾部材305の後方に隠されて正面側から見えない状態になっている非作動状態では、回転体303を回転させるために必要な広いスペースを確保しなくて済み、収納時における奥行方向のスペースを極力小さくすることができる。しかも、回転体303の円板面を大きくする(回転半径Rを大きくする)ことができ、回転体303が回転したときに、遊技者に与えるインパクトを増大させることができる。
また、本実施形態によれば、役物本体300(リング可動体310、回転体303)が収納された場所から、演出表示装置40の前面に移動させて、この役物本体300を作動させることとしたため、演出表示装置40の前面における空間を有効に活用することができる。
また、本実施形態によれば、左レール部材110および右レール部材130に挟まれた領域内において、役物本体300を移動させるものとしている。そして、リング可動体310については、右中片350および左中片380を固定し、リング可動体310の左右方向の可動範囲が、この右中片350と左中片380に挟まれた領域内に収まるようにしている。すなわち、左レール部材110および右レール部材130に挟まれた領域内において、リング可動体310が収納形態および展開形態を形成することができるものとしている。したがって、演出装置200を設ける領域が限られている場合であっても、演出装置200による演出効果を十分に発揮することができる。
また、本実施形態によれば、演出装置200の非作動状態においては、リング可動体310の一部分しか視認することができないが、この時点では、リング可動体310が円形リング状に変形する可動体であることを遊技者に想像させることも不可能な形態にて収納されるようにしている。このため、リング可動体310が展開形態となったときに、決して丸くない物体から丸い物体が出来上がった、といった強烈なインパクトを遊技者に与えることができる。
また、本実施形態によれば、リング可動体310を構成する各部材(片、連結部材等)はすべて連結された1つの可動体(可動役物)となっており、この1つの可動体が「収納形態」と「展開形態」という、少なくとも2つの形態に変形することが可能である。このため、従来の遊技機等にみられる、複数の可動体や役物を設けて、これらを合体させて複合的な動作をする可動体を完成させるといったことが必要なくなり、部品点数の削減や収納スペースのコンパクト化を図ることができる。また、複数の可動体を合体させる際に生じる不具合等についても考慮する必要がなくなる。
なお、演出装置200を作動させるタイミングとしては、例えば、演出表示装置40において演出図柄が変動表示されているときから停止表示するまでの任意のタイミングで作動させることや大当たり遊技において作動させることが考えられる。すなわち、大当たりの抽選結果として大当たりとなる可能性が高い場合に行われる演出図柄等による演出(リーチ演出)が実行されるときに演出装置200を作動させるものとする。図24は、リーチ演出において演出装置200が作動するタイミングの一例を示したタイミングチャートである。
例えば、図24(a)に示すパターン1のように、リーチ演出が開始されてから、このリーチ演出において発展的な演出(いわゆる、スーパーリーチ演出(SPリーチ演出))が実行されるときに、演出装置200を作動させて、「リング可動体310を展開形態にする→回転体303を回転させる」という動作を連続的に行わせるものとしてもよい。このように、リーチ演出において演出装置200を作動させることにより、リーチ演出における演出装置200の作動による演出効果を高めることができる。
また、図24(b)に示すパターン2のように、リーチ演出の開始時には、リング可動体310を展開形態にするのみで一旦は演出装置200を非作動状態にして、SPリーチに発展するときに、再びリング可動体310を展開形態として、さらに回転体303を回転させるものとしてもよい。このようにすると、リング可動体310と回転体303との組み合わせにより、演出の期待度(大当たりとなる可能性の高低)に幅を持たせることができ、演出装置200の作動による演出効果を高めることができる。
また、当該リーチ演出が大当たりとなるものである場合には上記した通り、回転体303の回転を行うが、当該リーチ演出が大当たりとならないものである場合には、回転体303の回転を行わないようにしてもよい。このようにすると、リーチ演出においてリング可動体310が展開形態となり、さらに回転体303が回転した場合には、大当たりが確定するプレミアム的な演出となり、演出装置200の作動による演出効果を高めることができる。
また、図24(c)に示すパターン3のように、いわゆる疑似連演出(ここでは、疑似連1回目〜4回目まで行われる場合を例にとって説明する)が実行されるときに、疑似連演出の1回目から4回目までは最大移動位置まで役物本体300を移動させずに、初期位置から最大移動位置までの間において役物本体300を上下動させたり、初期位置にてリング可動体310の上端片320や右上片340および左上片370を作動させて「カタカタ」動作させたりすることのみを行い、疑似連演出4回目の終了後からリーチ演出に発展するときに、役物本体300を最大移動位置に移動させて、リング可動体310を展開形態とするものとしてもよい。なお、当該疑似連演出が大当たりとなる場合には上記した通り、回転体303もさらに回転させるが、当該疑似連演出が大当たりとならない場合には、回転体303の回転は行わないようにしてもよい。このように、疑似連演出において演出装置200を作動させることにより、いわゆる、疑似連煽りとしての演出効果を高めることができる。
また、図24(d)に示すパターン4のように、大当たり遊技が開始されてから、所定のラウンド遊技(この場合は、8R(ラウンド)目のラウンド遊技)が実行されるときに演出装置200を作動させて、例えば、当該大当たりの種類が、いわゆる確変大当たりの場合には、「リング可動体310を展開形態にする→回転体303を回転させる」という動作を続けて行うものとしてもよい。また、当該大当たりが、いわゆる通常大当たりの場合には、「リング可動体310を展開形態にする」動作のみ行うものとしてもよいし、「リング可動体310を展開形態にする」動作も行われないものとしてもよい。このように、大当たり遊技において演出装置200を作動させることにより、大当たり遊技中の演出における演出効果を高めることができる。
演出装置200を作動させる条件や、タイミングは、上記したものに限られることはなく、種々の条件やタイミングを設定することにより、演出装置200の作動による演出のバリエーションを豊富にすることが可能である。
(その他の実施形態についての言及)
上記実施形態は、本発明のパチンコ機Pの一形態であり、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
なお、本実施形態における回転体303は、本発明の可動体の一例に該当する。
なお、本実施形態における装飾部材305は、本発明の障害物の一例に該当する。
なお、本実施形態における演出表示装置40は、本発明の表示装置の一例に該当する。
なお、上記実施形態における左レール部材110に設けられた、モータ113、モータギア114と、従動ギア115、ラックギア118、および、右レール部材130に設けられた、モータ133、モータギア134、従動ギア135、ラックギア138は、本発明の移動機構を構成する。