JP6359794B2 - 自己保持型ビア・プローブ - Google Patents

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Description

本発明は、ロジック・アナライザやオシロスコープで使用されるプローブに関し、特に信頼性の高い接続を実現するプローブに関する。

多数の異なる信号を同時にプローブで取込み、これら信号をロジック・アナライザやオシロスコープに供給する方法を、確実且つ高い信頼性で実現するには、まず、被試験デバイス(DUT)から所望データを取込む必要がある。こうしたプロービングを実現する従来からの選択肢が2つある。第1の選択肢は、ロジック・アナライザやオシロスコープ用のコネクタやランド・パターンをDUTの特定の場所に予め作り込んでおくというものである。なお、ランド・パターン(Land Pattern)とは、一般に、DUTの回路基板上における部品等の電気的接続等に使用される導体パターンである。このコネクタやランド・パターンが、ロジック・アナライザやオシロスコープとのインタフェースとなる。しかし、こうしたトレースが、本来の望ましい位置から、そうした位置とするために遠回りしたものとなるなら、被試験回路に信号損失を与えることになる点で、問題がある。また、このやり方では、回路基板のレイアウト設計の柔軟性が低下すると共に、回路基板の貴重なスペースを奪うことになる。
第2の選択肢は、ロジック・アナライザやオシロスコープのプローブを既存の部品のリード線に装着するものである。しかし、表面実装部品やボール・グリッド・アレイ部品などのような新しい回路基板技術では、ロジック・アナライザやオシロスコープのプローブの装着に利用可能なリード線の数が減少している。こうした技術では、試験に利用可能な全てのポイントを完全に隠してしまおうとさえしており、ロジック・アナライザやオシロスコープのプローブを回路基板に装着するのが不可能になりかねない。
試験ポイントに便利にアクセス可能な利用例として、オシロスコープで最も広く利用されている第3の選択肢が、元々からある、手で持ってプローブを扱う方法である。この方法では、プロービングの間、ユーザの手が塞がってしまい、また、オシロスコープ上のデータに視覚的注意を払いながら、プローブを正しい位置に維持するについては、個人の手先の器用さに依存することになる。この工程では、人が介在することとなるので、接続の確実性や信頼性の面で充分ではない。
特開2005−338088号公報
上述の従来の選択肢が利用できない場合、試験ポイントをプロービングする残された選択肢の1つは、ロジック・アナライザやオシロスコープのプローブをDUT中のビア(via)に装着するものである。しかし、ビアは小さいものなので、試験中、ロジック・アナライザのプローブをビア内に保持するのは難しい。なお、ビアは、回路基板中の異なる層の導体間を垂直に電気的に接続するものである。これは、回路基板の異なる層の対応する位置にある2つ以上のパッドから構成され、これらが基板を貫通する円筒状の穴を介して電気的に接続される。この穴は、電気めっきで導電されるか、又は、導電性のチューブやリベットで占められている。
こうしたことから、被試験デバイス(DUT)のビア中にプローブを保持したいというニーズがある。
本発明は、改善された自己保持型ビア・プローブを提供するものであり、上述した欠点を解決し、上述の従来技術の全てに比較して進歩したものである。
これを実現するため、本発明の好ましい実施形態は、平面部材を有し、平面部材のエッジが被試験デバイスのビアの側壁に係合することで、ポイント電気コンタクトを形成すると共に、平面部材は、ビアに挿入後、平面部材がビアから抜け難いようにしている。平面部材のエッジに、ポイント電気コンタクトを形成すると共に、ビアに挿入後、平面部材をビアから抜け難くするための「さかとげ(Barb)」を設けても良い。ビアに挿入される一端部には、挿入が容易になるように先が細くなったチップを設けても良い。ビアに挿入される一端部に、ビアに挿入後に、平面部材をビアから抜け難くするための別のさかとげを設けても良い。平面部材のエッジに止め部を設けて、平面部材が、この止め部を超えて挿入されないようにしても良い。本発明には他にも特徴があり、それについては以下で説明する。
具体的には、本発明の概念1は、自己保持型ビア・プローブであって、
平面部材を具え、
該平面部材が互いに対抗するエッジ及び互いに対抗する端部を有し、
上記平面部材の一端部が被試験デバイスのビアに挿入されたときに、上記エッジが上記ビアの側壁に係合してポイント電気コンタクトを形成するよう構成され、
上記平面部材の挿入後、上記平面部材が上記ビアから抜け難いように構成されることを特徴としている。
本発明の概念2は、概念1のプローブであって、上記平面部材の上記エッジが上記ビアの上記側壁と係合し、上記ポイント電気コンタクトを形成すると共に、上記平面部材が上記ビアから抜け難いようにする複数のさかとげを有することを特徴としている。
本発明の概念3は、概念1のプローブであって、上記ビアに挿入される上記平面部材の上記一端部が、挿入が容易となるように先が細くなるチップを形成していることを特徴としている。
本発明の概念4は、概念1のプローブであって、上記ビアに挿入される上記平面部材の上記一端部に、上記平面部材の上記エッジから外方向へと上記ビアの直径より長く伸びて、被試験デバイスの主面(例えば、裏面)と係合し、挿入後に上記平面部材が上記ビアから抜け難くするようにする複数のさかとげを有することを特徴としている。
本発明の概念5は、概念1のプローブであって、上記平面部材の上記エッジに、上記平面部材の上記エッジから外方向へと上記ビアの直径より長く伸びて、被試験デバイスの主面(例えば、上面)と係合する複数の止め部を有し、上記平面部材が上記止め部を超えて上記ビアに挿入されないようにすることを特徴としている。
本発明の概念6は、概念1のプローブであって、上記ビアに挿入されない上記平面部材の上記端部を、ケーブルと電気接続を形成するよう構成された非永続性コンタクトで終端させ、上記ビアからの電気信号を上記ケーブルに送るようにすることを特徴としている。
本発明の概念7は、概念6のプローブであって、上記ケーブルがロジック・アナライザ又はオシロスコープに接続されることを特徴としている。
本発明の概念8は、概念1のプローブであって、上記平面部材が、受動型絶縁回路網又はオシロスコープのプローブに装着されるパッドを有することを特徴としている。
本発明の概念9は、概念1のプローブであって、上記平面部材が、上記ビアに挿入される前に、弧形状に曲げられることを特徴としている。
本発明の概念10は、概念9のプローブであって、上記平面部材が、上記ビアに挿入される前に、ツールによって曲げられることを特徴としている。
本発明の概念11は、概念1のプローブであって、上記平面部材が、上記ビアに挿入されるときに、ゆがめることによって正弦曲線形状に曲げられることを特徴としている。
本発明の概念12は、ロジック分析システムであって、
ロジック・アナライザと、
該ロジック・アナライザに一端部が接続されたケーブルと、
該ケーブルの他端部が接続された中間端末と、
該中間端末で上記ケーブルから分離された複数のケーブルより線と、
該ケーブルより線の夫々と接続され、該ケーブルより線並びに信号ビア・プローブ及び接地ビア・プローブとの間に非永続性電気接続部を形成する小型ポッドとを具え、
上記信号ビア・プローブ及び上記接地ビア・プローブの夫々がビア固定部を有し、
該ビア固定部の夫々が平面部材を有し、
該平面部材が互いに対抗するエッジ及び互いに対抗する端部を有し、
上記平面部材の一端部が被試験デバイスのビアに挿入されたときに、上記エッジが上記ビアの側壁に係合してポイント電気コンタクトを形成するよう構成され、
上記平面部材の挿入後、上記平面部材が上記ビアから抜け難いように構成されることを特徴としている。
本発明の概念13は、概念12のシステムであって、上記信号ビア・プローブ及び上記接地ビア・プローブ間の間隔を調整可能なように、上記信号ビア・プローブ及び上記接地ビア・プローブが曲げられることを特徴としている。
本発明の概念14は、概念12のシステムであって、上記平面部材の上記エッジが上記ビアの上記側壁と係合し、上記ポイント電気コンタクトを形成する複数のさかとげを有することを特徴としている。
本発明の概念15は、概念12のシステムであって、上記ビアに挿入される上記平面部材の上記一端部が、先が細くなるチップを形成していることを特徴としている。
本発明の概念16は、概念12のシステムであって、上記ビアに挿入される上記平面部材の上記一端部に、上記平面部材の上記エッジから外方向へと上記ビアの直径より長く伸びて、被試験デバイスの主面(例えば、裏面)と係合し、挿入後に上記平面部材が上記ビアから抜け難くするようにする複数のさかとげを有することを特徴としている。
本発明の概念17は、概念12のシステムであって、上記平面部材の上記エッジに、上記平面部材の上記エッジから外方向へと上記ビアの直径より長く伸びて、被試験デバイスの主面(例えば、上面)と係合する複数の止め部を有し、上記平面部材が上記止め部を超えて上記ビアに挿入されないようにすることを特徴としている。
本発明の概念18は、概念12のシステムであって、上記信号ビア・プローブの上記ビア固定部の上記平面部材が、上記ケーブルより線及び上記信号ビア・プローブ間の上記非永続性電気接続部と、上記ビア固定部との間に受動型絶縁回路網を装着するよう構成されたパッドを有することを特徴としている。
本発明の概念19は、信号プロービング・システムであって、
オシロスコープと、
該オシロスコープに一端部が接続されたケーブルと、
該ケーブルの他端部が接続された差動プローブと、
該差動プローブで上記ケーブルから分離された複数のケーブルと、
該ケーブルが接続されたプローブ導入部と、
該プローブ導入部が接続され、上記プローブ導入部並びに信号ビア・プローブ及び接地ビア・プローブとの間に非永続性電気接続部を形成する抵抗性チップ・クリップ構体とを具え、
上記信号ビア・プローブ及び上記接地ビア・プローブの夫々がビア固定部を有し、
該ビア固定部の夫々が平面部材を有し、
該平面部材が互いに対抗するエッジ及び互いに対抗する端部を有し、
上記平面部材の一端部が被試験デバイスのビアに挿入されたときに、上記エッジが上記ビアの側壁に係合してポイント電気コンタクトを形成するよう構成され、
上記平面部材の挿入後、上記平面部材が上記ビアから抜け難いように構成されることを特徴としている。
本発明の概念20は、概念19のシステムであって、上記信号ビア・プローブ及び上記接地ビア・プローブ間の間隔を調整可能なように、上記信号ビア・プローブ及び上記接地ビア・プローブが曲げられることを特徴としている。
本発明の概念21は、概念19のシステムであって、上記平面部材の上記エッジが上記ビアの上記側壁と係合し、上記ポイント電気コンタクトを形成する複数のさかとげを有することを特徴としている。
本発明の概念22は、概念19のシステムであって、上記ビアに挿入される上記平面部材の上記一端部が、先が細くなるチップを形成していることを特徴としている。
本発明の概念23は、概念19のシステムであって、上記ビアに挿入される上記平面部材の上記一端部に、上記平面部材の上記エッジから外方向へと上記ビアの直径より長く伸びて、被試験デバイスの主面と係合し、挿入後に上記平面部材が上記ビアから抜け難くするようにする複数のさかとげを有することを特徴としている。
本発明の概念24は、概念19のシステムであって、上記平面部材の上記エッジに、上記平面部材の上記エッジから外方向へと上記ビアの直径より長く伸びて、被試験デバイスの主面と係合する複数の止め部を有し、上記平面部材が上記止め部を超えて上記ビアに挿入されないようにすることを特徴としている。
本発明の概念25は、概念19のシステムであって、上記抵抗性チップ・クリップ構体が、自由端のワイヤ部分を有する抵抗器に接続される複数のケーブルを具え、
上記信号ビア・プローブの上記ビア固定部の上記平面部材及び上記接地ビア・プローブの上記ビア固定部の上記平面部材の夫々が、上記抵抗性チップ・クリップ構体の上記ワイヤ部分の上記自由端に装着されるように構成されたパッドを有することを特徴としている。
本発明の更に広く、重要な特徴を以下で説明することで、本発明をより良く理解でき、従来技術に対する進歩もより良く理解できるであろう。
図1は、ロジック・アナライザの斜視図である。 図2は、本発明の原理に従って組み立てられた自己保持型ビア・プローブによって被試験デバイスに装着されたポッドレッドの分解斜視図である。 図3は、オシロスコープの斜視図である。 図4は、本発明の原理に従って組み立てられた自己保持型ビア・プローブの別の実施形態によって被試験デバイスに装着された抵抗性チップ・クリップ構体の分解斜視図である。 図5は、ビアに挿入された自己保持型ビア・プローブのビア固定部の拡大断面図である。 図6Aは、挿入中に弧を描いて曲がっている自己保持型ビア・プローブのビア固定部の拡大断面図である。 図6Bは、挿入中に正弦曲線形状に曲がっている自己保持型ビア・プローブのビア固定部の拡大断面図である。 図7は、ビアに自己保持型ビア・プローブのビア固定部を挿入するツールの分解斜視図である。
本発明による自己保持型ビア・プローブの好ましい実施形態を、以下では参照符号10で示すことにする。なお、以下の種々の図面では、対応するものには同じ符号をつけて説明する。
図1は、ロジック・アナライザ200の斜視図を示す。具体的には、ロジック・アナライザ200は、リボン型同軸ケーブル210を介して中間端末212に接続される。個々の同軸ケーブルより線213が中間端末から現れ、それぞれは小型ポッド(podlet)214で終端される。小型ポッド214のそれぞれには、開口216があり、ここで自己保持型ビア・プローブ10を受ける。
図2は、自己保持型ビア・プローブ10(信号ビア・プローブ38と接地ビア・プローブ40)によって被試験デバイス(DUT)に装着された図1の小型ポッド214の分解斜視図を示す。具体的には、小型ポッドは、一方の側に、図1の中間端末212を介してロジック・アナライザ200へとつながる同軸ケーブルより線213の端部を収容している。小型ポッド内では、同軸ケーブルより線の中心導体220が金属コンタクト222に取り付けられる。そして、この金属コンタクトは、信号ビア・プローブ38の後端部のプローブ・チップ34と共に、非永続的な(劣化したら交換する)スナップ式コンタクトを構成する。この金属コンタクトは、ユーザがオプションでプローブ・チップを簡単に交換して修理できるようにするために存在している。同軸ケーブルより線をグラウンドにシールドするサーブ(serve)218(編組とも呼ばれる)は、接地半田ストラップ224に終端される。また、このストラップ224は、非永続的なスナップ式コンタクトを介して、接地ビア・プローブ40の後端部32のプローブ・チップ36に結合される。これは、DUTのグランドに取り付けられる。
信号ビア・プローブ38及び接地ビア・プローブ40は、両方とも固定部(anchor:アンカー)48を含み、これは、自己保持型ビア・プローブ10がDUT100のビア114内に係合され、保持されることを可能にする。信号ビア・プローブ38は、固定部の本体14の直ぐ近くにあるパッド26を含む。このパッドによって、受動型絶縁回路網28を装着できる。この受動型絶縁回路網は、直列に配置される。受動型絶縁回路網は、自己保持型ビア・プローブの負荷をDUTから絶縁するように働く。典型的には、この受動型絶縁回路網は、チップ抵抗器と、高周波数特性を良くするために、チップ抵抗器と並列なオプションのコンデンサとから構成される。
後端部30及び32の利点は、これらがグラウンド近くに装着するための柔軟性を提供する手段として機能することである。ロジック・アナライザのプローブの多くが、グラウンドと信号パッド間の間隔が固定であることを必要するプローブ・チップを利用しているが、この固定距離でグランドを見つけるのが困難なことも多い。これら後端部があれば、接地ビア・プローブ40を折り曲げて、信号ビア・プローブ38でプロービングされる領域に隣接する位置にある任意の接地ビアへと接地ビア・プローブ40が向かうようにすることが可能になる。
図3は、オシロスコープ300の斜視図を示す。具体的には、オシロスコープ300は、ケーブル310によって、差動プローブ312に接続される。2つのケーブル314は、差動プローブから現れ、プローブ導入部(probe lead:プローブ・リード)318で終端される。抵抗性チップ・クリップ構体316は、コネクタ326によって、プローブ導入部318に着脱可能に接続される。2つのケーブル320が、コネクタから伸びている。ケーブル320の夫々には、抵抗器322がワイヤ部分324で取り付けられる。
図4は、自己保持型ビア・プローブ400(信号ビア・プローブ438と、DUTのグラウンドに取り付けられた接地ビア・プローブ440)によって、被試験デバイス(DUT)100に装着された図3のチップ・クリップ構体316の斜視図である。具体的には、信号ビア・プローブ及び接地ビア・プローブは、両方ともビア固定部(アンカー)48を含み、これは、自己保持型ビア・プローブ400がDUT100のビア114内に係合され、保持されることを可能にする。信号ビア・プローブ及び接地ビア・プローブは、両方とも、それらの固定部の本体14の直ぐ近くにパッド26も有している。チップ・クリップ構体のワイヤ部分324は、パッド26に装着され、図3のプローブ導入部318へと戻るケーブル320と、その後に続くオシロスコープ300との間の電気的な接続を形成する。この実施形態では、ワイヤ部分がパッドに半田付けされ、ワイヤ部分とパッド間の半永久的なコンタクトを形成する。しかし、これらワイヤ部分において、信号ビア・プローブ及び接地ビア・プローブから半田を除き、信号ビア・プローブ及び接地ビア・プローブを簡単に交換できるようにして、ユーザが他のものを選択したり、修理できるようにしても良い。
ケーブル320の利点は、これらがグラウンドの直ぐ近くに装着するための柔軟性を提供する手段として機能することである。結果として、信号ビア・プローブ438及び接地ビア・プローブ440の後端部430及び436は、信号ビア・プローブ38及び接地ビア・プローブ40の後端部30及び32に比較して、短く切り詰められている。多くのオシロスコープのプローブは、グラウンドと信号パッド間の間隔が固定であることを必要とするプローブ・チップを利用しているが、この固定距離でグランドを見つけるのが困難なことも多い。ケーブル320であれば、信号ビア・プローブ438によってプロービングしようとする領域に隣接する位置にある任意の接地ビアへと接地ビア・プローブ440を向けられるように、曲げることができる。
図5は、ビア114に挿入されたビア固定部48の拡大断面図を示す。具体的には、ビア固定部は、平面部材であり、ビアに挿入しやすいように、先が細くなるアローヘッド(arrowhead:矢じり)型チップ12を有している。チップ12の後方にあるさかとげ(Barb:かかり)16は、一度、ビア固定部48が完全に挿入され、チップ12がDUT100を通って突き出ると、DUT100の底面(第2主面)112側で係合することによって、抜け出難くくなるように作用する。ビア固定部48のエッジ24に沿ったさかとげ18及び20は、末端が尖った点となっており、これがビア114の側壁116と係合してポイント電気コンタクトを形成する。ビア固定部の本体14の物理的な止め部22は、DUT100の上面(第1主面)110側で係合することによって、ビア固定部48がビア114に深く入り過ぎるのを防止し、ビア固定部が完全に挿入されたときに、その感触をユーザに与える。
図6Aは、挿入中に弧を描いて曲がっているビア固定部の拡大断面図を示す。図6Bは、挿入中に正弦曲線形状に曲がっているビア固定部の拡大断面図を示す。具体的には、弧を描く(ビア固定部がビアに挿入中に僅かに曲がり、前面44が凹面となり、背面46が凸面となる)か、又は、正弦曲線形状(ビア固定部がゆがんでビアに挿入された結果)のどちらかに、ビア固定部の材料が曲げられる。挿入後のビア固定部の部材の屈曲によって、さかとげ18及び20(さかとげ18だけ図示している)はビアの側壁に対して押しつけられる。どちらの状況であっても、これらさかとげは、ビア固定部及びビア側壁間に確実で信頼性の高い電気的接続を確立するのに充分な力がかかった状態で、側壁と接触する。
しかし、ビア固定部は、DUTにダメージを与えたり、破損させようとするものではない。この薄いシート状金属のビア固定部は、ビア側壁の銅めっき118と電気的に接続するのに充分なだけの力を提供するものである。接触時の力は、自己保持型ビア・プローブ10の挿入時又は使用時に、銅めっきで仕上げた表面を突き破るには弱過ぎるものである。
ビア固定部は、ビアから取り除くことも可能ではあるが、ビアからチップ12を引き抜くには、さかとげ16を変形させないといけないので、固定部を再利用するのはやや難しい。しかし、製造コストが低いので、自己保持型ビア・プローブ10を消耗品としても、経済的に充分実現可能である。
図7は、ビア114にビア固定部48を挿入するツール500の分解斜視図を示す。具体的には、挿入ツール500は、ビア固定部48をビアに挿入するのを補助し、ビア固定部48のチップ12がゆがむのを防止する。この挿入ツール500は、ビア固定部48がビア114に挿入されるときに、ゆがめようとする力に対して断面が耐えられるように、ビア固定部を(ビア固定部の弾性の限界内で)わずかに変形させる。ツール500には、雄型部512と、雌型部510とがある。雌型部510には、弧形状のくぼみ516と、くぼみ516内の2つの突起部(ボス又はハンドル)514とがあり、突起部514が止め部22の位置42で接触することによって、ビア固定部48を雌型部510のくぼみ516内に位置決めする。続いて、雄型部512と雌型部510とでビア固定部48を挟み込み、ビア固定部48を締めつけて、図6Aに示すように、弧形状にビア固定部48をわずかに曲げる。
自己保持型ビア・プローブの現在の実施形態を詳細に説明してきたが、本発明の原理と思想の範囲内に入るように、種々の変形が可能なことが理解できるであろう。従って、上述したものに関しても、当業者であれば、大きさ、形状、形態、機能、動作、組み立て方法、使用に関して種々のものを含め、本発明の各部分を最適なサイズ関係で実現でき、また、図面や明細書に示したものと等価なものも本発明に含まれると理解できよう。例えば、ビア固定部のサイズを変更しても、それに適した長さ及び直径の仕様を有するビアを見つけることが可能であろう。
最後に、図では、本発明によるビア固定部が回路基板に完全に挿入されるものを示したが、これに代えて、ビア固定部をビアに通して完全には挿入しないで、取れないように裏面で引っかけるようにしても良い。更には、他の実施形態として、ビアの側壁に摩擦力でビア固定部を保持するようにしても良い。これは、被試験デバイスの全層を完全には貫通せず、ビアの反対端部に部品が装着されるブラインド・ビアの場合に有効であろう。この他の実施形態におけるビア固定部の保持方法では、上述の実施形態ほどにはビア固定部を強く保持できないが、それでも試験中にビア固定部を適切な位置に保持するには充分な力が得られるであろう。
従って、上述した内容は、本発明の原理を例示的に説明したものに過ぎない。当業者であれば、多数の変形及び変更を容易に考えつくのであるから、本発明は、上述の説明及び図面に限定されるものではなく、本発明の原理に従って、適切に変更したものや等価なものも本発明に含まれるものである。
10 自己保持型ビア・プローブ
12 アローヘッド型チップ
14 固定部の本体
16 さかとげ
18 さかとげ
20 さかとげ
22 止め部
28 受動型絶縁回路網
30 信号ビア・プローブ38の後端部
32 接地ビア・プローブ40の後端部
34 プローブ・チップ
36 プローブ・チップ
38 信号ビア・プローブ
40 接地ビア・プローブ
44 ビア固定部48の前面
46 ビア固定部48の背面
48 固定部
100 DUT(被試験デバイス)
110 DUTの上面(第1主面)
112 DUTの底面(第2主面)
114 ビア
116 ビア114の側壁
118 銅めっき
200 ロジック・アナライザ
210 リボン型同軸ケーブル
212 中間端末
213 同軸ケーブルより線
214 小型ポッド
216 小型ポッドの開口
300 オシロスコープ
310 ケーブル
312 差動プローブ
314 ケーブル
316 抵抗性チップ・クリップ構体
318 プローブ導入部
320 ケーブル
324 ワイヤ部分
326 コネクタ
430 信号ビア・プローブ438の後端部
436 接地ビア・プローブ440の後端部
438 信号ビア・プローブ
440 接地ビア・プローブ
500 挿入ツール
510 雌型部
512 雄型部
514 突起部
516 くぼみ

Claims (3)

  1. 被測定デバイスの回路基板中の異なる層の導体間を電気的に接続する導電性の側壁を有するビアに挿入される自己保持型ビア・プローブであって、
    湾曲可能な平面部材を具え、
    該平面部材が互いに対抗するエッジ及び互いに対抗する端部を有し、
    上記平面部材の一端部が上記被試験デバイスの上記ビアに挿入されたときに、上記エッジが上記ビアの上記側壁に係合することによって上記平面部材が湾曲し、湾曲した上記平面部材が、上記エッジを上記ビアの上記側壁に押しつけることによって、ポイント電気コンタクトを形成するとに上記平面部材上記ビア内に保持する自己保持型ビア・プローブ。
  2. 上記平面部材の上記エッジが、上記ビアの上記側壁と係合し、上記ポイント電気コンタクトを形成する第1さかとげを有する請求項1の自己保持型ビア・プローブ。
  3. 上記平面部材の上記一端部が、第2さかとげを有し、
    上記回路基板の第1主面側から上記ビアに挿入された上記平面部材の上記一端部が、上記ビアを通過して上記回路基板の第2主面側に現れると、上記第2さかとげが上記回路基板の上記第2主面と係合すると共に上記ポイント電気コンタクトを形成する請求項1又は2の自己保持型ビア・プローブ。
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