JP6359686B2 - ブレーキライニング固定装置、特に鉄道車両のホイール・ブレーキ・ディスクのためのブレーキ・ライニング固定装置 - Google Patents

ブレーキライニング固定装置、特に鉄道車両のホイール・ブレーキ・ディスクのためのブレーキ・ライニング固定装置 Download PDF

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Description

本発明は、ブレーキライニング固定装置、特に、鉄道車両のホイール・ブレーキ・ディスクのための、固定部と閉鎖バーとを備えるブレーキ・ライニング固定装置に関する。
ブレーキ・ライニング固定装置は、とりわけ、鉄道車両のブレーキ・ディスクのために使用される。通常、力は、ブレーキ・リンケージを介してブレーキ・ライニング固定装置に対して加えられ、これにより、鉄道車両のブレーキ・ライニングとブレーキ・ディスクとの間で摩擦係合が行われる。これにより生成された制動力は、鉄道車両の減速をもたらす。
鉄道車両のボギーに対するブレーキ・リンケージの相対運動、および、結果として生じるホイール・ブレーキ・ディスクのブレーキ負荷に起因して、ホイール固定装置とライニング固定装置との間のブレーキ・リンケージにおける衝突が、既知のブレーキ・ライニング固定装置において発生する。動作時の損失からブレーキ・ライニングを保護するために、閉鎖バーが、ブレーキ・ライニング固定装置の固定部に配置される。
特許文献1により、枢動可能なクロスバーが提供される、鉄道車両のためのブレーキ・ライニング固定装置が知られている。枢動可能なクロスバーは、閉鎖位置において、ライニング固定装置内に挿入されたブレーキ・ライニングを固定する。閉鎖位置において、クロスバーは、ライニング固定装置のライニング・ガイド内に挿入されたブレーキ・ライニングの前の遮断位置に位置する。ブレーキ・ライニングの反対側に位置付けられるクロスバーの側方には、偏心デバイスが提供され、この偏心デバイスによって、クロスバーは、ブレーキ・ライニングの方向においてクランプされ得る。
特許文献2は、特に、鉄道車両のための、ブレーキ・リング固定装置を開示している。ブレーキ・ライニング固定装置は、ライニング固定装置を提供する。このライニング固定装置は、その2つの長手方向の側面において、摩擦ライニングを搭載するブレーキ・プレートの案内プロファイルによって覆われる。ライニング固定装置の正面端部のうちの1つには、ボルトが提供される。このボルトは、ライニング固定装置に対して垂直に摺動可能である。ばね張力が与えられ、かつ、ブレーキ・プレートがライニング固定装置上へ摺動されると、ボルトは、この単一のボルトによってブレーキ・プレートがライニング固定装置において移動不能に係止されるように、ブレーキ・プレートにおいて提供される開口を通じて伸長することができる。
従来技術から知られているブレーキ・ライニング固定装置では、ホイール固定装置とライニング固定装置との間のブレーキ・リンケージにおける衝突が、ホイール・ブレーキ・ディスクのブレーキ負荷だけでなく、鉄道車両のボギーに対するブレーキ・リンケージの相対運動にも起因して発生する。さらに、ブレーキ・ライニング固定装置において固定されるブレーキ・ライニングの交換は、複雑であることが多く、特殊な工具の使用、または片手では行うことができないいくつかの工程を必要とする。
欧州特許出願公開第0226816号明細書 国際公開第99/45291号
本発明は、あらゆる特定された動作条件においてホイール外形と衝突しない閉鎖バーを備えるブレーキ・ライニング固定装置であって、特に、ブレーキ・ライニング固定装置の閉鎖バーが、標準的な工具を用いて片手の動作で開放および閉鎖されることを可能にするブレーキ・ライニング固定装置を提供するための目的に基づく。
この目的を達成するために、本発明によれば、特に、鉄道車両のホイール・ブレーキ・ディスクのための、ブレーキ・ライニング固定装置であって、固定部と閉鎖バーとを備え、該ブレーキ・ライニング固定装置は、係止手段を有し、係止手段は、係止手段の長手方向軸の方向へ移動可能であり、閉鎖バーは、閉鎖位置と開放位置との間で軸を中心に枢動可能に固定部に配置されており、閉鎖バーは、係止手段レセプタクルを有し、閉鎖バーの閉鎖位置において、係止手段の長手方向軸の方向へ係止手段を移動させることによって、閉鎖バーが閉鎖位置において係止可能となるように、係止手段の少なくとも一部分が係止手段レセプタクル内に配置され得、閉鎖バーが、係止手段載置面を有し、端面を有する開放位置における係止手段が、該係止手段載置面に載置されることができ、係止手段載置面の面法線が係止手段レセプタクルの中心軸と角度をなすように、係止手段載置面が、係止手段レセプタクルに対して傾斜しており、該角度は、閉鎖位置と開放位置との間の閉鎖バーの回転角度に対応する、ブレーキ・ライニング固定装置が提案される。
本発明に係るブレーキ・ライニング固定装置は、鉄道車両のディスク・ブレーキまたはホイール・ブレーキ・ディスクのために設計され、特に、二部構造のライニング固定装置として設計される。ブレーキ・ライニング固定装置の固定部には、ブレーキ・ライニング、好ましくは、ブレーキ・ライニングのバック・プレートが配置され得る。固定部に配置された閉鎖バーを開放位置から閉鎖位置へ枢動させることによって、ブレーキ・ライニングは、動作中の損失から保護される。この目的のために、好ましくは、ブレーキ・ライニングまたはブレーキ・ライニングのバック・プレートが、閉鎖バーの一領域に載り、特に、閉鎖バーとの確実な接触によって損失から保護されることが提供され得る。有利には、係止手段が提供され、係止手段は、好ましくは、細長い形状を有する。係止手段は、係止手段の長手方向軸の方向へ移動されることができ、閉鎖バーの閉鎖位置においては、閉鎖バーに提供された係止手段レセプタクル内に係止手段の少なくとも一部分が配置され得る。この結果、閉鎖位置から開放位置への閉鎖バーの枢動が、特に、確実な接続によって、防止される。したがって、本発明によれば、閉鎖バーが閉鎖位置において係止され、この目的のために、閉鎖バーが閉鎖位置へ枢動された後、係止手段は、係止手段の長手方向軸に沿って移動されるにすぎない。係止手段および閉鎖バーの係止手段レセプタクルの特殊な設計に起因して、閉鎖バーの開閉のための片手での動作が可能となる。
有利には、ブレーキ・ライニング固定装置の固定部は、ブレーキ・ライニングを受け入れ、制動力をリンケージ、特に、ブレーキ・リンケージを介して軌道輪のホイール・ブレーキ・ディスクまたはディスク・ブレーキへ伝達する機能を果たす。ブレーキ・ライニング固定装置、および、特に、ブレーキ・ライニング固定装置の固定部は、おおよそ細長い設計を有する。閉鎖バーへの接続点は、ブレーキ・ライニング固定装置の固定部の下方部に位置し、ブレーキ・ライニング固定装置の下方領域または固定部は、軌道輪のホイール・ブレーキ・ディスクまたはディスク・ブレーキにおけるブレーキ・ライニング固定装置の配置によって決定される。したがって、ブレーキ・ライニング固定装置が軌道輪に配置される場合、閉鎖バーは、垂直方向に見て、ブレーキ・ライニング固定装置の下方領域または固定部に位置する。
係止手段を端面において閉鎖バーの係止手段載置面に載置することによって、閉鎖バーの開放位置における閉鎖バーの自己係止に到達し、それぞれ、閉鎖バーへのトルクは、閉鎖バーの回転軸に関して係止手段によって加えられる。したがって、開放位置から閉鎖位置への閉鎖バーの枢動は、自己係止を解除することによってのみ、到達され得る。閉鎖バーの回転軸は、係止手段の長手方向軸に対してオフセットして配置され、この結果、特に効果的な自己係止が発生し、特に大きいトルクが閉鎖バーに対して加えられる。ここで、係止手段載置面の面法線は、係止手段レセプタクルの中心軸に対して角度を有し、この角度は、閉鎖と開放位置との間での閉鎖バーの回転角度に対応する。これは、閉鎖バーの閉鎖位置において、係止手段の下方部分が係止手段レセプタクル内へ直線的に挿入され得ることを確保する。
閉鎖位置において、係止手段の長手方向軸は、係止手段レセプタクルの中心軸上に位置する。
閉鎖バーが、閉鎖位置と開放位置との間の閉鎖バーの回転角度に対応する枢動角度で、閉鎖位置から開放位置へ枢動されると、閉鎖バーにおいて提供される係止手段載置面も、閉鎖バーと共に枢動角度だけ枢動される。閉鎖バーの開放位置において、係止手段載置面の面法線は、この結果、係止手段の長手方向軸と平行に揃えられる。そのため、開放位置において、回転に起因する幾何学的な係止手段載置面は、特に、ばね荷重をかけられた係止手段、それぞれ、ボルトの端面と平面をなすように揃えられる。係止手段載置面における係止手段の特にばね荷重をかけられた実装に起因して、閉鎖バーは、閉鎖バーに対してトルクを印加することによって、閉鎖バーの開放位置において係止され得、自己係止が発生する。
本発明の有利な実施形態は、従属項において特徴づけられる。
ブレーキ・ライニング固定装置の有利な実施形態において、係止手段はボルトであることが提供される。
したがって、ボルトとして設計された係止手段は、ボルトの長手方向軸の方向へ好都合に移動されることができ、ボルトの長手方向軸の方向への移動によって、閉鎖バーに配置され、かつ、好ましくはブラインド・ホールとして設計される係止手段レセプタクル内に、ボルトの少なくとも一部分が配置され得る。この結果、閉鎖バーが、閉鎖位置において係止される。そのため、係止手段としてボルトを提供することは、特に有利である。なぜなら、ボルトの単純なずれが可能となるためである。また、好ましくは円形の断面を有するボルトは、特に、安定的であり、この結果、ボルトによってもたらされる閉鎖バーの係止は、より大きな力および応力に耐え、したがって、ブレーキ・ライニングは、あらゆる動作条件下で保護される。さらに、ボルトを提供することは、ブレーキ・ライニング固定装置の費用効率の高い構成を可能にする。有利には、ブラインド・ホールが、閉鎖バーにおいて係止手段レセプタクルとして提供される。この場合も、閉鎖バーにおけるブラインド・ホールの単純な実行可能性または単純な配置によって、利点が達成される。また、閉鎖位置における閉鎖バーの確実な係止は、ブラインド・ホール内にボルトを配置することによって提供される。
好ましくは、ブレーキ・ライニング固定装置の固定部および閉鎖バーは、鋳造プロセスまたは鍛造プロセスにおいて作製され、さらに好ましくは、固定部および閉鎖バーは、それぞれの機能を充足するように機械的に加工される。ブレーキ・ライニング固定装置の固定部および閉鎖部については、標準的な材料が使用され得る。標準的な材料であるEN−GJS−400−18LTおよびS355JOは、特に好ましい。
係止手段レセプタクル、またはブラインド・ホールとして形成される係止手段レセプタクルは、閉鎖バーの主要形成プロセス中に予め形成され得る。ただし、係止手段レセプタクルまたはボルトが、閉鎖バー内に孔を設定するなどの機械的処理によって、主要形成プロセス後に引き続いて作製されることも可能である。この場合、ブラインド・ホールは、ブラインド・ボアとも称され得る。
ブレーキ・ライニング固定装置のさらなる好ましい実施形態において、ブレーキ・ライニング固定装置は、ばね手段を有し、係止手段は、ばね手段によってばね荷重をかけられることが提供される。
ばね手段のばね張力によって、係止手段は、閉鎖位置において係止手段レセプタクル内に保持される。これは、発生する力および荷重が理由で、係止手段が動作条件下で係止手段レセプタクルから押し出され得ることを防止する。
係止手段が、ばねとして設計される場合、係止手段は、特に、係止手段の下方部分、特に、ボルトの下方部分に配置されることができ、ボルトの下方部分の周りに、特に、渦巻きばねの形式で、巻き付けられ得る。これにより、ばね手段および係止手段の小型で堅牢な設計がもたらされる。
ブレーキ・ライニング固定装置のさらなる好ましい実施形態において、固定部は、ブレーキ・ライニングを受け入れるための受入ガイドを有することが提供される。
ブレーキ・ライニングまたはブレーキ・ライニングのバック・プレートは、ライニング固定装置またはライニング固定装置の固定部における、好ましくは燕尾形の受入ガイドまたはガイド・トラックを介して案内される。ブレーキ・ライニングは、移動可能な閉鎖バーによる損失から保護される。ブレーキ・ライニングまたはブレーキ・ライニングのバック・プレートを案内するために、ブレーキ・ライニングまたはバック・プレートは、固定部の受入ガイドに対して補完的な案内手段を有する。特に、ブレーキ・ライニングまたはブレーキ・ライニングのバック・プレートは、燕尾形のガイドを有する。ライニング固定装置およびライニング固定装置の固定部の全長は、ライニングまたはライニングのバック・プレートの燕尾形のガイドの取り外された領域が閉鎖バーの固定面によって係止され得るように選ばれる。
ブレーキ・ライニング固定装置のさらなる有利な実施形態は、係止手段レセプタクルが、円錐形状を有することを提供する。
閉鎖バーを閉鎖位置において係止するために、好ましくは、ばね荷重をかけられた係止手段、特に、ボルトは、円錐形の係止手段レセプタクル内へ入り込む。係止手段レセプタクル、特に、ブラインド・ホールの直径は、下方へ向かって円錐状に減少する。係止手段レセプタクルの特定の円錐形の設計は、閉鎖位置における係止手段レセプタクルに配置された係止手段または係止手段の一部分の隙間を低減する。
ブレーキ・ライニング固定装置の好都合な開発例において、閉鎖バーは、閉鎖バーを固定部に接続するための少なくとも1つの接続アームを有し、少なくとも1つの接続アームには、貫通孔が配置され、貫通孔に配置される少なくとも1つの接続手段が提供されることが提供される。
好都合には、ブレーキ・ライニング固定装置、および、特に、ブレーキ・ライニングと反対を向いた側にある固定部は、少なくとも1つの、好ましくはいくつかの、リブを有し、このリブは、ブレーキ・ライニング固定装置を補強するように設計される。ライニング固定装置のリブの幾何学的形状は、特に、ディスク・ホイールの内部ホイール外形内への挿入時に衝突しないように設計される。リブは、ブレーキ・リンケージを介してブレーキ・ライニング固定装置、ブレーキ・ライニング、および、ひいては軌道輪のホイール・ブレーキ・ディスクに作用する力を伝達する機能も果たすことができる。
固定部の下方領域に位置する、固定部の下方リブは、好ましくは、閉鎖バーと固定部または固定部のリブとの接続が閉鎖バーの接続アームにより発生し得るように、幾何学的に設計される。この目的のために、閉鎖バーは、好ましくは、少なくとも1つの接続アームを有する。少なくとも1つの接続アームは、固定部、好ましくは、固定部のリブに配置され得る。好都合には、貫通孔が接続アーム内に挿入される。貫通孔は、特に好ましくは、貫通ボア孔として形成される。貫通孔は、固定部または固定部のリブにおける、対応する孔またはボアと揃えられる。閉鎖バーと固定部とを接続するために、接続手段、特に、接続ボルトが提供される。接続手段は、特に好ましくは、閉鎖バーの接続アームの貫通孔に配置され、同時に、固定部の揃えられた孔またはボアに配置される。閉鎖バーと固定部との接続を補強するために、少なくとも1つのヘッド付ドリル・ブッシュが提供され得る。ヘッド付ドリル・ブッシュは、貫通孔に、および/または固定部において揃えられたボアもしくは孔に配置される。特に好ましくは、閉鎖バーは、ライニング固定装置の固定部の下方領域において、リブの拡大部において、1本または2本のピンまたは接続ボルトを介して接続され、回転可能に備え付けられる。
ブレーキ・ライニング固定装置のさらなる好都合な実施形態は、貫通孔を通じて伸びる回転軸を中心に閉鎖バーが枢動可能であることを特徴とする。
特に好ましい実施形態は、閉鎖バーの回転軸が、係止手段の長手方向軸からオフセットして配置されること、長手方向軸と回転軸とが互いに垂直であり、長手方向軸と回転軸とが交差せず、開放位置において、係止手段の長手方向軸と係止手段レセプタクルの中心軸との交点が、回転軸上に位置せず、開放位置において、係止手段の長手方向軸と係止手段レセプタクルの中心軸との交点が、回転軸と係止手段レセプタクルとの間の領域に位置することを提供する。
そのため、好都合には、閉鎖バーは、係止手段の長手方向軸に対して垂直な回転軸の回りに枢動可能に設計される。回転軸は、係止手段の長手方向軸に対してオフセットして配置される。長手方向軸からの回転軸の直交距離、または長手方向軸からの回転軸のずれは、0.5mmから10mm、好ましくは、2mmから4mm、最も好ましくは、3mmとし得る。好ましくは、回転軸が、係止手段の長手方向軸の、ブレーキ・ライニングに配置されたブレーキ・ライニングに面する側に伸びることが提供される。そのため、長手方向軸と回転軸とは、互いにねじれの位置にある(skewed)。閉鎖バーの開放位置において、係止手段の長手方向軸と係止手段レセプタクルの中心軸との交点は、回転軸上に位置しない。これは、特に、ブレーキ・ライニング固定装置の、ブレーキ・ライニングとは反対を向く側の方向における、長手方向軸からの回転軸のねじれの位置にあるずれ(skew displacement)によって達成される。閉鎖バーの開放位置における回転軸の好ましいずれによって、係止手段の長手方向軸と係止手段レセプタクルの中心軸との交点は、回転軸と係止手段レセプタクルとの間の領域に位置する。ここで、係止手段レセプタクルは、好ましくは、ブラインド・ホールとして設計される。したがって、長手方向軸と係止手段レセプタクルの中心軸との交点は、特に好ましくは、回転軸とブラインド・ホールの底部との間の領域に位置する。言い換えれば、閉鎖バーがブレーキ・ライニング固定装置の下方領域に位置するように、ブレーキ・ライニング固定装置がホイール・ブレーキ・ディスクに配置される場合、開放位置において、係止手段の長手方向軸と係止手段レセプタクルの中心軸との交点は、垂直方向に見て、回転軸よりも下側に、かつ、好ましくは、ブラインド・ホールの底部よりも上側に位置する。係止手段レセプタクルの長手方向軸からの回転軸のずれは、有利には、閉鎖バーの開放位置において、特にばね荷重をかけられた係止手段が閉鎖バーに当接することを可能にし、特に、ばね手段によって係止手段に対して加えられる力に起因して、閉鎖バーの回転軸に関して閉鎖バーにトルクを印加することを可能にする。開放位置において、係止手段は、係止手段レセプタクルに配置されない。係止手段レセプタクルと異なる閉鎖バーの領域上への係止手段の力の作用およびそれにより生成されるトルクは、閉鎖バーの自己係止を生じさせ、この結果、閉鎖バーは、自己係止を解除せずに開放位置から閉鎖位置へ枢動されることができない。
ブレーキ・ライニング固定装置のさらなる好ましい実施形態は、開放位置において、係止手段の端面を係止手段載置面に載置すること、および回転軸に対して係止手段の長手方向軸をずらすことによって、閉鎖バーの自己係止が生成されることができ、係止手段が、回転軸に関して閉鎖バーの開放方向において閉鎖バーに作用するトルクを加えることを特徴とする。
閉鎖バーの開放位置において係止手段を係止手段載置面に載置することによって、特に、係止手段の長手方向軸に対する閉鎖バーの回転軸の好ましいずれと連動して、トルクが閉鎖バーに対して印加され、これは、開放位置における閉鎖バーの自己係止を生じさせる。
ブレーキ・ライニング固定装置のさらなる有利な実施形態において、閉鎖バーは、面取り部を有し、開放位置において、面取り部は、固定部の面取り部載置面に載置されることができ、面取り部載置面によって、閉鎖バーの開放位置を超えた過回転が防止され得る。
そのため、開放位置において、過回転からの保護は、固定部と、面取り部を有する閉鎖バーとの幾何学的な設計によって与えられ、面取り部は、閉鎖バーが開放位置を超えて過回転することを防止する。好ましくは、ライニングのスムーズな交換のために、閉鎖バーは、10°から30°、特に好ましくは、15°から20°、特に好ましくは、17°だけ回転され得る。さらに好ましくは、規定された回転角度をサポートし、過回転を防止するために、面取り部は、接続アームに配置され得る。
さらに好ましくは、閉鎖バー載置面は、ブレーキ・ライニング固定装置の固定部の下方領域に配置される。特に好ましくは、閉鎖バー載置面は、閉鎖バーが締結され得る固定部のリブに隣接する。閉鎖バーの閉鎖位置において、閉鎖バーは、固定部の閉鎖バー載置面に載り、この結果、閉鎖バーは、閉鎖位置を超えて回転されることができない。閉鎖バーが、閉鎖位置から開放位置へ枢動されると、閉鎖バーは、閉鎖バー載置面から枢動して離れる。しかしながら、同時に、少なくとも1つの接続アームに配置される、閉鎖バーの面取り部は、面取り部載置面へ向かって移動する。なぜなら、ホイール・ブレーキ・ディスクに配置されたブレーキ・ライニング固定装置における面取り部は、閉鎖バーの回転軸よりも上側に位置するためである。閉鎖バーは、閉鎖バーの面取り部がブレーキ・ライニング固定装置の固定部の面取り部載置面に載るまで、開放位置の方向へ枢動され得る。面取り部載置面は、固定部の閉鎖バー載置面の一部または部分的な領域であってもよい。面取り部の表面は、好ましくは、係止手段の長手方向軸と角度を形成し、この角度は、開放位置と閉鎖位置との間での閉鎖バーの回転角度αに対応する。
ブレーキ・ライニング固定装置の好都合な開発例において、係止手段レセプタクルの底部には、解除手段案内開口が配置され、解除手段案内開口の中心軸が、係止手段レセプタクルの中心軸に対してオフセットして配置され、閉鎖位置において、係止手段は係止手段レセプタクルから押し出されることができ、この結果、閉鎖位置における閉鎖バーの係止が解除されることができるように、ならびに/または、開放位置において、係止手段が係止手段載置面から遠ざけられることができ、この結果、自己係止および/もしくは閉鎖バーの開放方向において閉鎖バーに対して作用するトルクが解除されることができるように、係止手段が、解除手段案内開口を通じて導かれ得る解除手段により、移動可能であることが提供される。
解除手段案内開口は、好ましくは、ブラインド・ホールまたは係止手段レセプタクルよりも下側に配置され、スクリュードライバなどの工具のためのガイドとしての機能を果たす。したがって、特にばね荷重をかけられたボルトは、直線的に移動され得、同時に、閉鎖バーは、閉鎖位置と開放位置との両方のブロッキングを解除するために、傾斜され得る。解除手段、特に、スクリュードライバは、下側から解除手段案内開口を通じて係止手段レセプタクル内へ挿入され、力が、解除手段を介して係止手段の一部分に対して加えられ得る。係止手段は、閉鎖位置において、係止手段レセプタクル内に配置される。閉鎖バーが閉鎖位置にある場合、ばね荷重をかけられたボルトは、閉鎖バーを開放するためにその長手方向軸においてシフトされ得る。解除手段は、このシフトのために使用され得る。係止手段の移動のために、解除手段は、このように使用され得る。解除手段を用いることによって、係止手段は、係止手段レセプタクルから押し出され得る。係止手段が係止手段レセプタクルから押し出されると、閉鎖バーは、係止手段の長手方向に対して横方向への解除手段または閉鎖バーの傾斜移動によって、開放位置に設定され得る。解除手段が、解除手段案内開口から解除されると、係止手段は、好ましくは、係止手段の端面において、特に、ばね手段のばね力によって、閉鎖バーにおける平坦な係止手段載置面に載置され、これにより生成される自己係止によって、閉鎖バーは、開放位置において保持される。解除手段案内開口は、好ましくは、解除手段のための直線的なガイドを構成する。
閉鎖バーの開放位置において、ブレーキ・ライニングの交換が行われ得る。ばね荷重と、平坦な係止手段載置面および閉鎖バーの回転軸に対する係止手段の長手方向軸の位置とに起因して、自己係止が達成される。2つの構成要素間の、この意図的に生成される抵抗は、外力の印加によってのみ再度解除され得、その後、閉鎖バーが、枢動されて閉鎖位置へ戻る。他方で、意図的な外力の印加は、解除手段を用いて行われ得る。解除手段は、解除手段案内開口を通じて係止手段レセプタクル内へ導入される。好ましくは、閉鎖バーの開放位置において、係止手段が、係止手段の端面の一部においてのみ、係止手段載置面に載り、係止手段の端面の別の部分は、依然として係止手段レセプタクル内へ少なくとも部分的に突出するため、解除手段案内開口を通じて係止手段レセプタクル内へ挿入される解除手段を介して、力が係止手段に対して、特に、係止手段の端面に対して加えられ得る。この結果、係止手段は、閉鎖バーの係止手段載置面から遠ざかる。係止手段を閉鎖バーの係止手段載置面から取り外すことによって、自己係止が解除され、この結果、好ましくは、解除手段の枢動によって、閉鎖バーは、開放位置から閉鎖位置へ枢動され得る。
したがって、閉鎖バーは、好ましくは、ばね荷重をかけられたボルトを介して固定される。係止手段またはボルトは、ブレーキ・レバーとブレーキ・ライニング固定装置との間の接続要素としての機能を同時に果たす。
閉鎖バーが、固定面を有し、閉鎖位置におけるブレーキ・ライニングが、受入ガイドに固着または係止されるように、閉鎖位置において、固定部の受入ガイドに配置されたブレーキ・ライニングが、固定面に載置され得る、ブレーキ・ライニング固定装置のさらなる好ましい実施形態が提供される。
ブレーキ・ライニングのための、特に、ブレーキ・ライニングのバック・プレートのための固定面は、閉鎖バーの、ブレーキ・ライニングと面する側に配置される。好ましくは、固定面は、ブラインド・ホールとして形成される係止手段レセプタクルの底部に対して平行な向きとされる。開放位置において、ブレーキ・ライニングまたはブレーキ・ライニングのバック・プレートが、固定部の受入ガイド内へ挿入されると、閉鎖バーは、パッドが受入ガイド内へ完全に挿入された後に、閉鎖バーの自己係止を解除することによって、開放位置から閉鎖位置へ枢動され得る。閉鎖バーは、ブレーキ・ライニング固定装置がホイール・ブレーキ・ディスクに配置されると、閉鎖バーの固定面が、垂直方向に見て、ブレーキ・ライニングまたはブレーキ・ライニングのバック・プレートの背後に下側から係合し、したがって、ブレーキ・ライニングの落下を阻止するように、設計される。ブレーキ・ライニングまたはブレーキ・ライニングのバック・プレートは、ライニング部の受入ガイドおよび閉鎖バーの固定面によって、閉鎖位置におけるブレーキ・ライニング固定装置において確実に固着または固定される。
閉鎖バーが、受入ガイドに配置されたブレーキ・ライニングのライニング・バックを載置するためのライニング載置面を有する、ブレーキ・ライニング固定装置の有利な開発例が提供される。
閉鎖バーのライニング載置面は、ブレーキ・ライニングのライニング・バックのための載置面を提供する。これによって、取り得るギャップがさらに相殺される。
ライニング載置面は、好ましくは、閉鎖バーの載置面に対して垂直に、かつ、係止手段レセプタクルの中心軸に対して平行に揃えられる。さらに好ましくは、ライニング載置面の面積は、200cmから600cm、好ましくは、300cmから500cm、最も好ましくは、350cmから450cmである。
ブレーキ・ライニング固定装置の特に好ましい実施形態において、係止手段は、凹部を有し、凹部は、係止手段の端面に配置される。
有利には、凹部または幾何学的凹部、好ましくは、ブラインド・ホールは、解除手段、特に、スクリュードライバまたはねじ回しなどの標準的な工具の自由端を受け入れるように設計される。したがって、解除手段は、閉鎖バーの閉鎖位置および/または開放位置において解除手段案内開口を通じて案内され得る。解除手段の自由端は、係止手段の凹部内へ入り込む。これは、開放位置において閉鎖バーの自己係止を解除するために必要な力、または閉鎖位置において係止手段レセプタクルから係止手段を移動させるために必要な力を係止手段へ伝達するための特に安全な手法を可能にする。さらに、開放位置と閉鎖位置との間での閉鎖バーの枢動中に、閉鎖バーの解除手段案内開口を通じて案内される係止手段の自由端は、係止手段の凹部内に留まり得る。これは、係止手段への同時の無中断の動力伝達と共に、閉鎖バーの案内された枢動を可能にする。特に好ましくは、凹部は、係止手段の端面に配置される。さらに好ましくは、凹部は、係止手段の端面の中心に配置される。ただし、凹部は、係止手段が係止手段レセプタクルに配置される場合には、凹部が閉鎖バーの解除手段案内開口と揃えられるように、係止手段に配置されてもよい。凹部は、ブラインド・ホールまたは円筒状の凹部であってもよい。ただし、コーン形またはドーム形の凹部も考え得る。
本発明が基づく問題に対するさらなる解決策は、ブレーキ・ライニング固定装置においてブレーキ・ライニングを固着するための方法によって提供される。
特に、上述された実施形態のうちの1つに係る、ブレーキ・ライニング固定装置の固定部に配置された閉鎖バーが開放位置にあり、閉鎖バーは係止手段レセプタクルを備え、閉鎖バーが、係止手段載置面を有し、端面を有する開放位置における係止手段が、該係止手段載置面に載置されることができ、係止手段載置面の面法線が係止手段レセプタクルの中心軸と角度をなすように、係止手段載置面が、係止手段レセプタクルに対して傾斜しており、該角度は、閉鎖位置と開放位置との間の閉鎖バーの回転角度に対応するブレーキ・ライニング固定装置におけるブレーキ・ライニングを固着するための、本発明に係る方法において、ブレーキ・ライニングは、ブレーキ・ライニング固定装置の固定部の、特に、燕尾形の受入ガイドに配置され、固定部に配置された閉鎖バーは、開放位置から閉鎖位置へ枢動され、係止手段、特に、ボルトは、係止手段の少なくとも一部分が閉鎖バーの係止手段レセプタクルに配置され、この結果、閉鎖バーが閉鎖位置において係止されるように、係止手段の長手方向軸の方向へずらされることが提供される。

本発明に係る方法によって、あらゆる特定された動作条件においてホイール外形と衝突しない、ブレーキ・ライニングの固定装置が達成される。さらに、本固定装置では、ブレーキ・ライニング固定装置の閉鎖バーが、標準的な工具を用いて片手の動作で開放および閉鎖され得る。
本発明の実施形態は、図面を参照しつつ、下記に説明される。
ブレーキ・ライニング固定装置の上面の平面図である。 閉鎖位置におけるブレーキ・ライニング固定装置の側面図である。 開放位置におけるブレーキ・ライニング固定装置の側面図である。 ブレーキ・ライニング固定装置の上面の平面図である。 ブレーキ・ライニング固定装置の背面の平面図である。 ブレーキ・ライニング固定装置の下部領域の平面図である。 ブレーキ・ライニング固定装置の下部領域の側面図である。 閉鎖バーの側面図である。 ブレーキ・ライニング固定装置の固定部に配置された閉鎖バーの側面図である。 ブレーキ・ライニング固定装置の固定部に対する閉鎖バーの接続の詳細図である。 閉鎖位置における閉鎖バーを示す図である。 開放位置における閉鎖バーを示す図である。 閉鎖バーの上面の平面図である。 閉鎖バーの底面の平面図である。 ボルトとして設計された係止手段の下方部分を示す図である。
図1は、本発明に係るブレーキ・ライニング固定装置100の平面図を示す。ブレーキ・ライニング固定装置100は、固定部10および閉鎖バー11を有する。ブレーキ・ライニング固定装置100が、鉄道車両のホイール・ブレーキ・ディスクに配置される場合、閉鎖バー11は、ブレーキ・ライニング固定装置100の下部領域12に位置付けられる。ブレーキ・ライニング固定装置100は、細長い形状を有し、平面図におけるブレーキ・ライニング固定装置100の中央領域13は、おおよそリング・セグメントの形状を有する。リング・セグメントの形状は、好ましくは、ライニング固定装置が配置され得るホイール・ブレーキ・ディスクのリング・セグメントに対応する。上部領域14において、ブレーキ・ライニング固定装置100は、ほぼ三角形の設計または先の尖った設計を有する。ブレーキ・ライニング固定装置100の上部領域14の上端15は、鈍く形成されている。さらに、ブレーキ・ライニング固定装置100の上部領域14の一方のエッジには、膨出部16が存在する。ブレーキ・ライニング固定装置100の下部領域12は、閉鎖バー11によって形成されており、閉鎖バー11も、ほぼ三角形の形状または先の尖った形状を有する。ホイール・ブレーキ・ディスクと反対を向いた側もしくは面上には、または上面17上には、リブ18が、ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10を補強するために配置される。閉鎖バー11は、固定部10の下部領域12における補強リブ18aにおいて、ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10の2つの接続アーム19を介して枢動可能に配置される。ブレーキ・ライニング固定装置100の幾何学的な外形は、鉄道車輪の内部ホイール外形内へ衝突せずに挿入されるように設計されている。したがって、本実施形態は、あらゆる特定された動作条件において、ブレーキ・ライニング固定装置100に対する損傷、および、ひいては、ブレーキ・システムに対する損傷を防止する。ブレーキ・ライニング固定装置100の下部領域12において、ブレーキ・ライニング固定装置100は、第1のボルト20として形成された係止手段21を有する。第2のボルト22は、垂直方向に見たときに、第1のボルト20の上側に配置される。第1のボルト20および第2のボルト22は、ブレーキ・リンケージのブレーキ・レバーとブレーキ・ライニング固定装置100との間の接続要素としての機能を同時に果たす。
第1のボルト20は、ばね23により、ばね荷重をかけられる。ばね23の巻きは、第1のボルト20の下方部分24の周りに巻かれ、または巻き付けられ、垂直方向に見たときに、第1のボルト20に対して、閉鎖バー11の方向へ下方に予圧を加える。
図2aおよび図2bは、ブレーキ・ライニング固定装置100の側面図を示す。図2aは、閉鎖位置における閉鎖バー11を示す。図2bは、開放位置における閉鎖バー11を示す。ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10は、リブ18により補強される。ブレーキ・ライニング26は、ホイール・ブレーキ・ディスクに面する第1の側面25に取り付けられる。ブレーキ・ライニング固定装置100の下部領域12において、閉鎖バー11は、固定部10に対して枢動可能に備え付けられる。閉鎖バー11は、ブラインド・ホール28として設計される係止手段レセプタクル27を有する。閉鎖位置において、第1のボルト20は、ボルトの下方部分24がブラインド・ホール28に配置される。第1のボルト20の下方部分24は、ばね23の回復力によって、ブラインド・ホール28内でばね荷重をかけられた状態で固定される。閉鎖バー11のブラインド・ホール28内への、第1のボルト20の下方部分24の確実な係合によって、閉鎖バー11は、閉鎖位置において係止される。
ブレーキ・ライニング26は、バック・プレート29を有する。閉鎖バー11の閉鎖位置において、バック・プレート29は、固定面30に載り、固定面30によってバック・プレート29の背後で係合することによって、ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10において係留保持される。さらに、図2には、ブレーキ・ライニング載置面31が示されており、ブレーキ・ライニング26が、ライニング・バック面32の一部においてブレーキ・ライニング載置面31に載る。ブレーキ・ライニング載置面31を介して、ブレーキ・ライニング26の取り得るギャップが相殺される。
図3aおよび図3bは、ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10を示す。図3aは、リブ18を備えるブレーキ・ライニング固定装置の上面17を示す。図3bは、ブレーキ・ライニング固定装置100の後面33を示す。ブレーキ・ライニング固定装置100の後面33には、受入ガイド34が、ブレーキ・ライニング26、またはブレーキ・ライニング26のバック・プレート29を受け入れるために位置する。ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10においてブレーキ・ライニング26を固定するために、ブレーキ・ライニング26のバック・プレート29は、燕尾形の案内デバイス(図示せず)を有する。燕尾形の案内デバイスは、ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10の補完的に構成された受入ガイド34内へ挿入され得る。
図4aは、ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10の下部領域12を平面図において示す。図4bは、固定部10の下部領域12を側面図において示す。固定部10の下部領域12は、補強リブ18aを有する。補強リブ18aは、閉鎖バー11を受け入れるように形成される。補強リブ18aには、リブ・ボア35が導入されている。補強リブ18aは、接続リブ36として形成される。接続リブ36の両側には、閉鎖バー載置面46が形成されており、閉鎖位置においては、閉鎖バー11が、閉鎖バー載置面46に載る。
図5は、閉鎖バー11の一実施形態を示す。閉鎖バー11は、ブロック37を有する。閉鎖バー11は、鋳造技法または鍛造技法において製造され得る。また、閉鎖バー11は、機械的に再加工もされ得る。閉鎖バー11のブロック37には、ブラインド・ホール28として形成される係止手段レセプタクル27が配置される。ブラインド・ホール28は、底部38を有し、この底部は、ブラインド・ホール28の中心軸Mに対して垂直に揃えられる。ブラインド・ホール28の底部38には、解除手段案内開口39が位置しており、この解除手段案内開口39を通じて、スクリュードライバなどの標準的な工具が、線形ガイドに案内され得る。解除手段案内開口39は、ブラインド・ホール28の底部38において、ブラインド・ホール28の中心軸Mからオフセットして配置される。ブラインド・ホール28の側壁40においてそれぞれ横方向へオフセットされて、係止手段載置面41が形成される。係止手段載置面41の面法線Fは、ブラインド・ホール28の中心軸Mと角度αを形成し、角度αの値は、開放位置と閉鎖位置との間での閉鎖バー11の回転の角度に対応する。ブレーキ・ライニング26を固定するために、固定面30が、ブロック37に配置される。固定面30は、ブラインド・ホール28の底部38とほぼ平行に揃えられる。ブロック37の固定面30に対してほぼ垂直に、ブレーキ・ライニング載置面31が提供され、ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10に配置されるブレーキ・ライニング26は、ライニング・バック面32においてブレーキ・ライニング載置面31に載置され得る。ブロック37の上側には、閉鎖バー11をブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10と接続するために、少なくとも2つの接続アーム19が、閉鎖バー11に位置する。貫通ボア孔42は、閉鎖バー11の接続アーム19に導入される。閉鎖バー11が、固定部10に配置される場合、閉鎖バー11は、図5に図示されない接続ボルトを用いて貫通ボア孔42およびリブ・ボア35を通じて、固定部10に対して接続され得る。閉鎖バー11は、ブレーキ・ライニング固定装置100の固定部10に対して、貫通ボア孔42を通じて、または揃えられたリブ・ボア35を通じて伸びる回転軸Dを中心に枢動可能である。
閉鎖バー11の接続アーム19には、面取り部43が配置される。面取り部43は、規定された回転角度をサポートし、したがって、閉鎖バー11の過回転を防止する。
図6は、固定部10に配置された閉鎖バー11の側面図を示す。閉鎖バー11は、接続ボルト44を介して固定部10の接続リブ36に対して取り付けられる。接続を補強するために、ヘッド付ドリル・ブッシュ45が、閉鎖バー11の貫通ボア孔42内へ挿入される。図6に示される閉鎖バー11の閉鎖位置において、閉鎖バー11は、固定部10の閉鎖バー載置面46に載っており、閉鎖バー載置面46によって、閉鎖バー11の閉鎖位置からの過回転が防止される。閉鎖バー11の回転軸Dは、第1のボルト20の長手方向軸Lからオフセットして配置される。回転軸Dのずれは、3mmとし得る。
図7は、閉鎖バー11と固定部10との間の接続の詳細図を示す。閉鎖バー11の開放位置が、図7に示されている。閉鎖バー11の開放位置では、面取り部43を有する閉鎖バー11が、固定部10の面取り部載置面47に載る。面取り部載置面47は、固定部10の閉鎖バー載置面46の一部である。閉鎖バー11の面取り部43を、固定部10の面取り部載置面47に載置することによって、閉鎖バー11の開放位置を超えた過回転が防止される。
図8aおよび図8bには、閉鎖バー11の閉鎖位置(図8a)および閉鎖バー11の開放位置(図8b)におけるブレーキ・ライニング固定装置100が示されている。図8aに示される閉鎖バー11の閉鎖位置では、第1のボルト20は、ブラインド・ホール28の中心軸Mと中心を揃えられており、下方部分24がブラインド・ホール28内に配置される。ボルト20は、ばね23によって荷重をかけられており、したがって、ブラインド・ホール28内に固定される。ボルト20とブラインド・ホール28との確実な接続は、閉鎖バー11の閉鎖位置における確実な係止を確保する。ばね荷重をかけられたボルト20の長手方向軸Lは、閉鎖バー11の回転軸Dからオフセットして配置される。
図8bに示される開放位置に閉鎖バー11を枢動させることは、下記のように行われる。ブラインド・ホール28の底部38における解除手段案内開口39を通じて、スクリュードライバなどの標準的な工具が導入され得る。スクリュードライバを用いることで、力が、ばね荷重をかけられたボルト20に対して加えられ得、この結果、ばね荷重をかけられたボルト20は、長手方向軸Lの方向へずらされ得る。ずれの方向は、X1と表記された矢印によって示される。ばね荷重をかけられたボルト20の下方部分24が、ブラインド・ホール28から押し出されると、閉鎖バー11がもはやボルト20によって係止されないため、スクリュードライバまたは解除手段を枢動させることによって、閉鎖バー11は、閉鎖位置から開放位置へ枢動方向Vに枢動され得る。閉鎖バー11が開放位置にある場合、解除手段またはスクリュードライバは、解除手段案内開口39の外へ引き出される。ボルト20のばね荷重に起因して、ボルト20は、閉鎖バー11の方向へ下方に再度移動し、端面48が閉鎖バー11の係止手段載置面41に載る。ばね荷重をかけられたボルト20の長手方向軸Lに対する、閉鎖バー11の回転軸Dのずれに起因して、ばね荷重をかけられたボルト20は、回転軸Dに対して係止手段載置面41を介して閉鎖バー11にトルクを加える。これによって、閉鎖バー11の自己係止が得られ、この結果、閉鎖バー11は、自己係止を解除せずに閉鎖位置へ枢動して戻ることができない。自己係止によって、閉鎖バー11は、このようにして開放位置へのねじれから保護される。開放位置において、ブレーキ・ライニング26は、X2と印を付けられた矢印の方向へブレーキ・ライニング26を取り外すことによって交換され得、もしくは固定部10から取り外され得、または、新たなブレーキ・ライニング26が、固定部10内へ挿入され得る。自己係止を解除する場合、スクリュードライバは、解除手段案内開口39内へ挿入され得、ばね23のばね張力に対抗する力が、ばね荷重をかけられたボルト20に対して加えられ得る。これによって、ばね荷重をかけられたボルト20は、ボルト20の長手方向軸Lに沿ってX1の方向へ移動され、この結果、ボルト20の端面48が、係止手段載置面41から離れる。この結果、閉鎖バーには、もはや係止手段載置面41を介してトルクが加えられなくなるため、解除手段案内開口39に配置されたスクリュードライバを枢動させることによって、閉鎖バー11は開放位置から閉鎖位置へ枢動され得る。
自己係止を生じさせるトルクが閉鎖バー11に対して開放位置の方向へ作用することを確実にするために、ボルト20の長手方向軸Lに対して閉鎖バー11の回転軸Dは、ボルト20の長手方向軸Lの、ブレーキ・ライニング26と反対を向く側に回転軸が位置するように、配置される。言い換えれば、閉鎖バー11の開放位置において、ブラインド・ホール28の中心軸Mとばね荷重をかけられたボルト20の長手方向軸Lとの交点Sは、回転軸Dよりも下側に、または回転軸Dとブラインド・ホール28の底部との間に位置する。下側という用語は、本文脈において、ブレーキ・ライニング固定装置100がホイール・ブレーキ・ディスクに配置される場合に、閉鎖バー11がブレーキ・ライニング固定装置100の下部領域12に位置するという意味で理解されるべきである。開放位置において、ブラインド・ホール28の中心軸Mとボルト20の長手方向軸Lとの交点Sは、したがって、垂直に見て、回転軸Dよりも下側に配置される。
図9aおよび図9bは、閉鎖バー11の上面および底面を示す。図9bは、ブレーキ・ライニング26のバック・プレート29の固定面30およびブレーキ・ライニング載置面31を示す。
図10は、第1のボルト20として形成された係止手段21の下方部分24を示す。第1のボルト20の端面48には、幾何学的凹部49が配置される。幾何学的凹部49は、解除手段の自由端を受け入れるように構成される。解除手段は、例えば、スクリュードライバなどの標準的な工具である。凹部49は、ブラインド・ホール50の形状を有する。例示される実施形態において、凹部49は、ボルト20の長手方向軸Lと中心を揃えられる。ただし、凹部は、ボルト20の長手方向軸Lに対してオフセットして配置されてもよい。
100 ブレーキ・ライニング固定装置
10 固定部
11 閉鎖バー
12 下部領域
13 中央領域
14 上部領域
15 上端
16 膨出部
17 上面
18 リブ
18a 補強リブ
19 接続アーム
20 第1のボルト
21 係止手段
22 第2のボルト
23 羽根
24 下方部分
25 第1の側面
26 ブレーキ・ライニング
27 係止手段レセプタクル
28 ブラインド・ホール
29 バック・プレート
30 固定面
31 ブレーキ・ライニング載置面
32 ライニング・バック面
33 後面
34 受入ガイド
35 リブ・ボア
36 接続リブ
37 ブロック
38 底部
39 解除手段案内開口
40 側壁
41 係止手段載置面
42 貫通ボア孔
43 面取り部
44 接続ボルト
45 ヘッド付ドリル・ブッシュ
46 閉鎖バー載置面
47 面取り部載置面
48 端面
49 凹部
50 ブラインド・ホール
L 長手方向軸
M 中心軸
F 面法線
D 回転軸
X1 ずれ方向
X2 ブレーキ・ライニング取り外し方向
V 枢動方向
S 長手方向軸と回転軸との交点

Claims (15)

  1. 道車両のホイール・ブレーキ・ディスクのための、ブレーキ・ライニング固定装置(100)であって、固定部(10)と閉鎖バー(11)とを備え、該ブレーキ・ライニング固定装置は、係止手段(21)を有し、該係止手段(21)は、前記係止手段(21)の長手方向軸(L)の方向へずらされることができ、前記閉鎖バー(11)は、前記固定部(10)に配置されており、閉鎖位置と開放位置との間で軸を中心に枢動可能であり、前記閉鎖バー(11)は、係止手段レセプタクル(27)を有し、前記閉鎖バー(11)の前記閉鎖位置において、前記係止手段(21)の前記長手方向軸(L)の方向へ前記係止手段(21)を移動させることによって、前記閉鎖バー(11)が前記閉鎖位置において係止され得るように、前記係止手段(21)の少なくとも一部分(24)が前記係止手段レセプタクル(27)内に配置され得、前記閉鎖バー(11)が、係止手段載置面(41)を有し、端面(48)を有する前記開放位置における前記係止手段(21)が、該係止手段載置面(41)に載置されることができ、前記係止手段載置面(41)の面法線(F)が前記係止手段レセプタクル(27)の中心軸(M)と角度(α)をなすように、前記係止手段載置面(41)が、前記係止手段レセプタクル(27)に対して傾斜しており、該角度(α)は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間の前記閉鎖バー(11)の回転角度に対応するブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  2. 前記係止手段(21)が、ボルト(20)である、請求項1に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  3. 前記ブレーキ・ライニング固定装置が、ばね手段を有し、前記係止手段(21)が、該ばね手段によってばね荷重をかけられる、請求項1または2に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  4. 前記固定部(10)が、ブレーキ・ライニング(26)を受け入れるための受入ガイド(34)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  5. 前記係止手段レセプタクル(27)が、円錐形状を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  6. 前記閉鎖バー(11)が、前記閉鎖バー(11)を前記固定部(10)に接続するための少なくとも1つの接続アーム(19)を有し、該少なくとも1つの接続アーム(19)には、貫通孔が配置され、該貫通孔に配置される少なくとも1つの接続手段が提供される、請求項1から5のいずれか一項に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  7. 前記閉鎖バー(11)が、前記貫通孔を通じて伸びる回転軸(D)を中心に枢動可能である、請求項6に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  8. 前記閉鎖バー(11)の前記回転軸(D)が、前記係止手段(21)の前記長手方向軸(L)からオフセットして配置され、前記長手方向軸(L)と前記回転軸(D)とが互いに垂直であり、前記長手方向軸(L)と前記回転軸(D)とが交差せず、前記開放位置において、前記係止手段(21)の前記長手方向軸(L)と前記係止手段レセプタクル(27)の前記中心軸(M)との交点(S)が、前記回転軸(D)上に位置せず、前記開放位置において、前記係止手段(21)の前記長手方向軸(L)と前記係止手段レセプタクル(27)の該中心軸(M)との該交点(S)が、前記回転軸(D)と前記係止手段レセプタクル(27)との間の領域に位置する、請求項7に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  9. 前記開放位置において、前記係止手段(21)の前記端面(48)を前記係止手段載置面(41)に載置すること、および前記回転軸(D)に対して前記係止手段(21)の前記長手方向軸(L)をずらすことによって、前記閉鎖バー(11)の自己係止が達成されることができ、前記係止手段(21)が、前記回転軸(D)に対する前記閉鎖バー(11)の開放方向において前記閉鎖バー(11)に作用するトルクを加える、請求項8に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  10. 前記閉鎖バー(11)が、面取り部(43)を有し、前記開放位置において、該面取り部(43)が、前記固定部(10)の面取り部載置面(47)に載置されることができ、該面取り部載置面(47)は、前記閉鎖バー(11)の前記開放位置を超えた過回転を防止することができる、請求項1からのいずれか一項に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  11. 前記係止手段レセプタクル(27)の底部(38)には、解除手段案内開口(39)が配置され、該解除手段案内開口(39)の中心軸(Z)が、前記係止手段レセプタクル(27)の前記中心軸(M)に対してオフセットして配置され、前記閉鎖位置において、前記係止手段(21)は前記係止手段レセプタクル(27)から押し出されることができ、この結果、前記閉鎖位置における前記閉鎖バー(11)の係止が解除されることができるように、ならびに/または、前記開放位置において、前記係止手段(21)が前記係止手段載置面(41)から遠ざけられることができ、この結果、前記自己係止および/もしくは前記閉鎖バー(11)の前記開放方向において前記閉鎖バー(11)に作用するトルクが解除されることができるように、前記係止手段(21)が、前記解除手段案内開口(39)を通じて案内され得る解除手段によって、ずらされ得る、請求項1から10のいずれか一項に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  12. 前記閉鎖バー(11)が、固定面(30)を有し、前記閉鎖位置における前記ブレーキ・ライニング(26)が、前記受入ガイド(34)に固着または係止されるように、前記閉鎖位置において、前記固定部(10)の前記受入ガイド(34)に配置されたブレーキ・ライニング(26)が、前記固定面(30)に載置され得る、請求項4から11のいずれか一項に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  13. 前記閉鎖バー(11)が、前記受入ガイド(34)に配置されたブレーキ・ライニング(26)のライニング・バック面(32)を載置するためのブレーキ・ライニング載置面(31)を有する、請求項4から12のいずれか一項に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  14. 前記係止手段(21)が、凹部(49)を有し、該凹部が、前記係止手段(21)の端面(48)に配置される、請求項1から13のいずれか一項に記載のブレーキ・ライニング固定装置(100)。
  15. ブレーキ・ライニング固定装置(100)の固定部(10)に配置された閉鎖バー(11)が開放位置にあり、前記閉鎖バー(11)は係止手段レセプタクル(27)を備え、前記閉鎖バー(11)が、係止手段載置面(41)を有し、端面(48)を有する前記開放位置における係止手段(21)が、該係止手段載置面(41)に載置されることができ、前記係止手段載置面(41)の面法線(F)が前記係止手段レセプタクル(27)の前記中心軸(M)と角度(α)をなすように、前記係止手段載置面(41)が、前記係止手段レセプタクル(27)に対して傾斜しており、該角度(α)は、前記閉鎖位置と前記開放位置との間の前記閉鎖バー(11)の回転角度に対応するブレーキ・ライニング固定装置(100)におけるブレーキ・ライニング(26)を固着するための方法であって、ブレーキ・ライニング(26)は、該ブレーキ・ライニング固定装置(100)の前記固定部(10)の受入ガイド(34)に配置され、前記閉鎖バー(11)は、前記開放位置から前記閉鎖位置へ枢動され、係止手段(21)は、該係止手段(21)の少なくとも一部分が該閉鎖バー(11)の前記係止手段レセプタクル(27)に配置され、この結果、前記閉鎖バー(11)が前記閉鎖位置において係止されるように、前記係止手段(21)の長手方向軸(L)の方向へずらされる、方法。
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