JP6359420B2 - 間接的な印刷用途のためのインクジェットインク - Google Patents

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Description

本明細書には、間接的な印刷用途のための水性インクであって、水と;共溶媒と;着色剤と;ポリマー粒子の水性分散物を含むポリマーラテックスとを含み、このポリマーラテックスは、軟化温度が60℃から105℃未満であり、ガラス転移温度が45℃〜100℃である、水性インクが開示されている。
ある種の間接的な印刷機において、圧電インクジェット印刷ヘッドを使用し、中間体転写材料層にインクを塗布する。インクを、剥離剤の形態であってもよく、後の転写のために、印刷した画像を保持することができる液体層(例えば、油)の上に置いてもよい。転写ドラムと基材とを、典型的には加圧ローラーまたは加圧ドラムの助けを借りつつ接触させることによって、中間体画像を転写する。例示的な間接的な印刷装置10を図1に示す。この装置では、印刷ヘッド11は、マーキング材料(例えば、インク液滴)を中間体転写材料の層12に向かわせ、画像26を作成する。この転写材料層12は、中間転写体14(示されているのは、回転ドラムまたは回転ローラーである)によって運ばれる。基材28に接触させる前にインク画像の温度を制御するために、任意要素の加熱部19を与えてもよい。
基材28は、中間転写体14と転写ローラーまたは加圧ローラー22との間を運ばれる。任意要素の加熱部20および21は、基材28をあらかじめ加熱し、画像を受け入れやすくするために提供されてもよい。転写ローラー22を加熱するために、任意要素の加熱部24が与えられてもよい。基材が、回転ローラー14と22の間を運ばれるにつれて、画像26が、画像26’として基材の上に転写される。画像26’が適切に広がり、平らになり、基材28に付着するように、2つのローラーの間に適切な圧力が維持される。印刷ヘッド11から新しいインク画像26を受け入れる前に、中間転写体14に残った任意のインクを除去するのに役立つように、任意要素のストリッパ25が与えられてもよい。
次いで、2工程の印刷プロセスは、インクジェット印刷ヘッドを用い、中間受け入れ部材(例えば、ドラム、ベルトなど)の上にインクを画像状の態様になるように塗布することを含んでいてもよい。このインクは、中間受け入れ部材を濡らし、その上に広がり、一時的な画像を形成する。次いで、一時的な画像を形成するインクは、例えば、部分的または完全な乾燥、熱または光による硬化、ゲル化などの特性の変化を受けてもよく、得られた一時的な画像を、最終的な画像受け入れ基材に転写してもよい。
既知のインク組成物およびプロセスが、これらの意図した目的に適しているとはいうものの、特定の特徴を有する改良されたインク組成物が依然として必要である。吐出サブシステムおよび転写サブシステムを含む異なる印刷サブシステムに適合性であり、高速で高品質の印刷を可能にするインク(特に、間接的な印刷システムのためのインク)が依然として必要である。さらに必要なのは、濡らし、転写する両方のサブシステムにおいて十分に可能であり、機能を発揮する間接的な印刷インクである。さらに必要なのは、許容範囲の転写特徴も示しつつ、許容範囲の濡れ特徴を示す間接的な印刷インクである。
間接的な印刷用途のための水性インクであって、水と;共溶媒と;着色剤と;ポリマー粒子の水性分散物を含むポリマーラテックスとを含み、このポリマーラテックスは、軟化温度が約60℃から約105℃未満であり、ガラス転移温度が約45℃〜約100℃である、水性インクが記載されている。
さらに、水と;共溶媒と;着色剤と;ポリマー粒子の水性分散物を含むポリマーラテックスとを含み、ポリマーラテックスは、軟化温度が約60℃から約105℃未満であり、ガラス転移温度が約45℃〜約100℃である水性インクをインクジェット印刷装置に組み込むことと;インクを画像状のパターンになるように中間転写体の上に放出させることと;この画像を加熱し、溶媒を部分的または完全に除去することと;画像状のパターンのインクを中間転写体から最終的な記録基材に転写することとを含む、プロセスも記載されている。
図1は、間接的な印刷装置またはオフセット印刷装置の概略図である。 図2は、ブランケットに吐出された、アモルファスポリエステルインク(左側)およびアモルファスポリエステルと結晶性ポリエステルの組み合わせを含む本開示のインク(右側)の光学顕微鏡画像の図である。 図3は、転写を示す、図1のブランケットから接着テープに転写されたアモルファスポリエステルインク(左側)およびアモルファスポリエステルと結晶性ポリエステルの組み合わせを含む本開示のインク(右側)の光学顕微鏡画像の図である。 図4は、転写後、アモルファスポリエステルインク(左側)の場合、ある程度残留インクが残っていることを示すが、アモルファスポリエステルと結晶性ポリエステルの組み合わせを含む本開示のインク(右側)では、ブランケットにインクが残っていない、図2のブランケットの光学顕微鏡画像の図である。
水と;共溶媒と;着色剤と;ポリマー粒子の水性分散物を含むポリマーラテックスとを含み、このポリマーラテックスは、軟化温度が60℃から105℃未満であり、ガラス転移温度が45℃〜100℃である、間接的な印刷用途のためのインク組成物が提供される。
本発明の実施形態は、間接的な印刷用途のための水性インクを含み、この水性インクは、ある種のアモルファス性のラテックス粒子と、結晶性の性質をもつある種のラテックス粒子とを含み、アモルファスラテックス粒子は、本明細書に記載されるようなガラス転移温度を有し、結晶性ラテックス粒子は、本明細書に記載されるような融点を有する。また、水性インク組成物は、アモルファスラテックス粒子と結晶性ラテックス粒子とを含むコンポジットラテックス粒子のブレンドを含んでいてもよい。インク組成物は、ガラス転移温度が45℃〜100℃であるアモルファスポリエステルラテックス粒子と、融点が50℃〜90℃である結晶性ポリエステルラテックス粒子とを含む。いくつかの実施形態では、インク組成物は、コンポジットラテックス粒子を含み、コンポジットラテックス粒子は、ガラス転移温度が45℃〜100℃であるアモルファスポリエステルと、融点が50℃〜90℃である結晶性ポリエステルとを含む。特に、第1のモノマーが水性分散物中の第2のモノマーに拡散し、次いで、重合する自己乳化プロセス、アモルファスポリエステルまたは結晶性ポリエステルのいずれかをコアまたはシェルに選択することができるコア−シェル粒子の調製を含む分散重合といった2工程乳化重合プロセスを用い、コンポジットラテックス粒子を調製することができる。
インクは、転写印刷工程中に中間受け入れ部材から剥離することができるような刺激によって誘発される特性変化を受けつつ、インクが中間受け入れ部材に濡れ、中間受け入れ部材に一時的な画像を作成することができる間接的な印刷用途に特に有用である。いくつかの実施形態では、インクに対し、中間転写体の上にある間に、部分的または完全な乾燥を行う。
インク組成物は、間接的な印刷システムに特に適しており、吐出サブシステムおよび転写サブシステムを備える異なる印刷サブシステムに適合性であり、高速で高品質の印刷を可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書のインク組成物は、濡らし、転写する両方のサブシステムにおいて十分に可能であり、機能を発揮し、許容範囲の剥離特徴および転写特徴を組み合わせた許容範囲の濡れ特徴を示す。
インク組成物は、間接的な印刷プロセスまたは転写融合印刷プロセスにおいて改良された機能を可能にする、軟化温度およびガラス転移温度の選択した組み合わせを有する。
インク組成物は、軟化温度が40℃から105℃未満、50℃から105℃未満、60℃から105℃未満、または70℃から105℃未満のポリマーラテックスを含む。いくつかの実施形態では、インク組成物は、軟化温度が40℃から100℃未満、50℃から100℃未満、60℃から100℃未満、または70℃から100℃未満のポリマーラテックスを含む。
いくつかの実施形態では、ポリマーラテックスは、軟化温度が40℃から105℃未満、60℃から105℃未満、または70℃から105℃未満のポリエステルを含む。具体的な実施形態では、ポリマーラテックスは、軟化温度が60℃から105℃未満のポリエステルを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーラテックスは、軟化温度が40℃から100℃未満、60℃から100℃未満、または70℃から100℃未満のポリエステルを含む。
いくつかの実施形態では、ポリマーラテックスは、ガラス転移温度が40℃〜150℃、45℃〜100℃、45℃〜90℃、60℃〜120℃、または70℃から110℃未満のアモルファスポリエステルを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーラテックスは、結晶性樹脂も含む。結晶性樹脂(いくつかの実施形態では、結晶性ポリエステル)は、種々の融点を有していてもよく、いくつかの実施形態では、結晶性樹脂は、融点が30℃〜120℃、50℃〜90℃、または60℃から80℃未満であってもよい。
いくつかの実施形態では、水性インクは、ガラス転移温度が45℃〜100℃のアモルファスポリエステルと、融点が50℃〜90℃の結晶性ポリエステルとを含むポリマーラテックスを含む。
いくつかの実施形態では、ポリマーラテックスは、分子量が5,000〜40,000g/モルである。
いくつかの実施形態では、インク組成物は、体積平均粒径が50〜800ナノメートル、50ナノメートルから500ナノメートル未満、または50ナノメートルから300ナノメートル未満のポリマー粒子を含む。
いくつかの実施形態では、インク組成物は、ポリマー粒子の水性分散物を含むポリマーラテックスを含み、このポリマーラテックスは、軟化温度が60℃から105℃未満、または50℃から105℃未満であり、ガラス転移温度が45℃〜90℃である水性配合物に由来する。
いくつかの実施形態では、ポリマーラテックスは、ポリエステルの水性分散物を含む。いくつかの実施形態では、ポリエステルは、米国特許第6,593,049号および米国特許第6,756,176号に記載される材料であってもよい。適切な樹脂は、米国特許第6,830,860号に記載されるようなアモルファスポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の混合物を含むこともできる。
具体的な実施形態では、本明細書のインク組成物は、アモルファスポリエステル、結晶性ポリエステル、またはアモルファスポリエステルと結晶性ポリエステルの混合物を含むポリマーラテックスを含む。
樹脂は、任意要素の触媒存在下、ジオールと二酸を反応させることによって作られるポリエステル樹脂であってもよい。結晶性ポリエステルを作成するために、適切な有機ジオールとしては、2〜36個の炭素原子を含む脂肪族ジオール、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが挙げられる(これらの構造異性体を含む)。
脂肪族ジオールは、任意の適切な量で、いくつかの実施形態では、樹脂の40〜60モル%、または42〜55モル%、または45〜53モル%の量になるように選択されてもよく、第2のジオールは、任意の適切な量で、いくつかの実施形態では、樹脂の0〜10モル%、または樹脂の1〜4モル%の量になるように選択されてもよい。
結晶性樹脂を調製するために選択することができる有機二酸またはジエステル(ビニル二酸またはビニルジエステルを含む)としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、cis,1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、メサコン酸、これらのジエステルまたは酸無水物、またはこれらの混合物および組み合わせが挙げられる。
有機二酸は、任意の適切な量で、いくつかの実施形態では、樹脂の40〜60モル%、または42〜52モル%、または45〜50モル%の量になるように選択されてもよく、第2の二酸は、任意の適切な量で、例えば、樹脂の0〜10モル%の量になるように選択されてもよい。
ポリエステルに由来する結晶性樹脂としては、ポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(プロピレン−アジペート)、ポリ(ブチレン−アジペート)、ポリ(ペンチレン−アジペート)、ポリ(ヘキシレン−アジペート)、ポリ(オクチレン−アジペート)、ポリ(エチレン−サクシネート)、ポリ(プロピレン−サクシネート)、ポリ(ブチレン−サクシネート)、ポリ(ペンチレン−サクシネート)、ポリ(ヘキシレン−サクシネート)、ポリ(オクチレン−サクシネート)、ポリ(エチレン−セバケート)、ポリ(プロピレン−セバケート)、ポリ(ブチレン−セバケート)、ポリ(ペンチレン−セバケート)、ポリ(ヘキシレン−セバケート)、ポリ(オクチレン−セバケート)、ポリ(デシレン−セバケート)、ポリ(デシレン−デカノエート)、ポリ(エチレン−デカノエート)、ポリ(エチレン−ドデカノエート)、ポリ(ノニレン−セバケート)、ポリ(ノニレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−セバケート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−ドデカノエート)、コポリ(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール−デカノエート)−コポリ(ノニレン−デカノエート)、ポリ(オクチレン−アジペート)が挙げられる。
アモルファスポリエステルを調製するために選択される二酸またはジエステルとしては、ジカルボン酸またはジエステル、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、トリメリット酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、cis−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ドデシルコハク酸ジメチル、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせが挙げられる。有機二酸またはジエステルは、任意の適切な量で、例えば、樹脂の40〜60モル%、または樹脂の42〜55モル%、または樹脂の45〜53モル%の量で存在していてもよい。
アモルファスポリエステルを作成するときに使用可能なジオールとしては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)−ビスフェノールA、ビス(2−ヒドロキシプロピル)−ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレン、およびこれら混合物および組み合わせが挙げられる。有機ジオールの量は、任意の適切な量であってもよく、例えば、樹脂の40〜60モル%、例えば、樹脂の42〜55モル%、または樹脂45〜53モル%の量であってもよい。
結晶性ポリエステルまたはアモルファスポリエステルのいずれかのために利用可能な重縮合触媒としては、チタン酸テトラアルキル、ジアルキルスズオキシド(例えば、ジブチルスズオキシド)、テトラアルキルスズ(例えば、ジブチルスズジラウレート)、ジアルキルスズオキシド水酸化物(例えば、酸化ブチルスズ水酸化物)、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、またはこれらの混合物および組み合わせが挙げられる。このような触媒は、ポリエステル樹脂を作成するために用いられる出発物質の二酸またはジエステルを基準として任意の適切な量で、例えば、0.01モル%〜5モル%の量で利用されてもよい。
不飽和アモルファスポリエステル樹脂をポリエステルとして利用してもよい。このような樹脂の例としては、米国特許第6,063,827号に開示されるものが挙げられる。不飽和アモルファスポリエステル樹脂としては、限定されないが、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(1,2−プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(1,2−プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(1,2−プロピレンイタコネート)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
適切なポリエステル樹脂は、アモルファスポリエステル、例えば、以下の式を有するポリ(プロポキシル化ビスフェノールA コ−フマレート)樹脂であってもよく、
Figure 0006359420
式中、mは、5〜1000である。
ラテックス樹脂として利用可能な直鎖プロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂は、Resana S/A Industrias Quimicasから商標名SPARIIで入手可能な樹脂である。利用可能であり、市販される他のプロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂としては、Kao Corporation製のGTUFおよびFPESL−2、Reichhold製のEM181635が挙げられる。
場合により、上に記載されるようなアモルファス樹脂と組み合わせて利用可能な適切な結晶性樹脂は、米国特許公開第2006/0222991号に開示される。適切な結晶性樹脂としては、エチレングリコールと、以下の式のドデカン二酸およびフマル酸コモノマーの混合物とから作られる樹脂を挙げることができ、
Figure 0006359420
式中、bは、5〜2,000であり、dは、5〜2,000である。
上述のようなポリ(プロポキシル化ビスフェノールA コ−フマレート)樹脂を結晶性樹脂と合わせ、ラテックスエマルションを作成してもよい。具体的な実施形態では、インク組成物は、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−テレフタレート コ−フマレート、結晶性ポリエステル、いくつかの実施形態では、ポリ(1,9−ノナンジオール−コ−ドデカン二酸)、またはこれらの混合物を含むポリマーラテックスを含む。
樹脂は、酸基を有していてもよく、酸基は、樹脂の末端に存在していてもよく、例えば、カルボン酸基であってもよい。樹脂を作成するために利用される材料と反応条件を調節することによって、カルボン酸基の数を制御してもよい。
ポリエステル樹脂は、酸価が、2mg KOH/樹脂のg数〜200mg KOH/樹脂のg数、または5mg KOH/樹脂のg数〜50mg KOH/樹脂のg数であってもよい。酸を含む樹脂をテトラヒドロフラン溶液に溶解してもよい。指示薬としてフェノールフタレインを含むKOH/メタノール溶液で滴定することによって、酸価を検出してもよい。次いで、滴定の終点として特定される樹脂上のすべての酸基を中和するのに必要なKOH/メタノールの当量数に基づいて、酸価を計算してもよい。
いくつかの実施形態では、ポリエステルエマルションまたはラテックスは、体積平均粒径が、20ナノメートル(nm)〜1000nm、または20〜800nm、または50〜800nm、または50〜500nm、または50〜300nm、または100〜300ナノメートルである。
体積平均粒径は、製造御者の指示にしたがって操作される測定装置、例えば、光散乱粒径測定器を用いて測定されてもよい。また、体積平均粒径は、製造御者の指示にしたがって操作される測定装置、例えば、Beckman Coulter Multisizer 3によって測定されてもよい。
いくつかの実施形態では、ポリエステルは、以下の式の化合物であり、
Figure 0006359420
式中、Rは、水素またはメチルであり、mは、2〜10であり、nは、2〜10である。
いくつかの実施形態では、ポリマーラテックスは、アモルファスポリエステルと結晶性ポリエステルを両方合わせた重量を基準として、アモルファスポリエステル90%および結晶性ポリエステル10%の重量比で存在する、アモルファスポリマーと結晶性ポリエステルの組み合わせを含む。
ポリマーラテックスは、任意の効果的な量で、例えば、インク組成物の合計重量を基準として、0.1〜25重量%、または1〜20重量%、または3〜20重量%、または2〜14重量%の量で存在していてもよい。
インク組成物は、単に水からなっていてもよく、水と、共溶媒または保水剤と呼ばれる水溶性または水混和性の有機成分、例えば、アルコールおよびアルコール誘導体との混合物を含んでいてもよく、アルコールおよびアルコール誘導体は、例えば、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジアール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、長鎖アルコール、一級脂肪族アルコール、二級脂肪族アルコール、1,2−アルコール、1,3−アルコール、1,5−アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、メトキシル化グリセロール、エトキシル化グリセロールを含む)、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの高級同族体(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3,−プロパンジオール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、3−メトキシブタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,4−ヘプタンジオールを含む)であり;さらに適切なのは、アミド、エーテル、尿素、置換尿素、例えば、チオ尿素、エチレン尿素、アルキル尿素、アルキルチオ尿素、ジアルキル尿素およびジアルキルチオ尿素、カルボン酸およびこれらの塩、例えば、2−メチルペンタン酸、2−エチル−3−プロピルアクリル酸、2−エチル−ヘキサン酸、3−エトキシプロピオン酸エステル、有機スルフィド、有機スルホキシド、スルホン、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、エーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エーテル誘導体、ヒドロキシエーテル、アミノアルコール、ケトン、N−メチルピロリジノン、2−ピロリジノン、シクロヘキシルピロリドン、アミド、スルホキシド、ラクトン、高分子電解質、メチルスルホニルエタノール、イミダゾール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ベタイン、糖類、例えば、1−デオキシ−D−ガラクチトール、マンニトール、イノシトール、置換および非置換のホルムアミド、置換および非置換のアセトアミド、およびこれらの混合物である。いくつかの実施形態では、共溶媒は、エチレングリコール、N−メチルピロリドン、メトキシル化グリセロール、エトキシル化グリセロールおよびこれらの混合物からなる群から選択される。水と、水溶性または水混和性の有機液体との混合物が液体媒剤として選択される場合、水と有機物の比率は、任意の適切な比率であってもよく、いくつかの実施形態では、100:0〜30:70、または97:3〜40:60、または95:5〜60:40であってもよい。液体媒剤の非水性成分は、一般的に、保水剤または共溶媒として働き、沸点は水より高い。インク媒剤の有機成分は、インクの表面張力を変え、インクの粘度を変え、着色剤を溶解または分散させ、および/またはインクの乾燥特徴に影響を与えるのに役立つこともある。
いくつかの実施形態では、共溶媒は、スルホラン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、2−ピロリジノン、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
液体媒剤の合計量は、任意の適切な、例えば、インク組成物の合計重量を基準として75〜97重量%、または80〜95重量%、または85〜95重量%の量で与えられてもよい。
インク組成物は、さらに、顔料、染料、染料分散物、顔料分散物、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせを含む任意の適切な着色剤を含んでいてもよい。
着色剤は、着色剤分散物の形態で与えられてもよい。いくつかの実施形態では、着色剤分散物は、平均粒径が、20〜500ナノメートル(nm)、または20〜400nm、または30〜300nmである。いくつかの実施形態では、着色剤は、染料、顔料、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、場合により、着色剤は、着色剤、任意要素の界面活性剤および任意要素の分散剤を含む分散物である。
適切な染料としては、アニオン系染料、カチオン系染料、非イオン系染料、双性イオン性染料が挙げられる。適切な染料としては、Food染料、例えば、Food Black No.1、Food Black No.2、Food Red No. 40、Food Blue No.1、Food Yellow No.7など、FD & C染料、Acid Black染料(No.1、7、9、24、26、48、52、58、60、61、63、92、107、109、118、119、131、140、155、156、172、194)、Acid Red染料(No.1、8、32、35、37、52、57、92、115、119、154、249、254、256)、Acid Blue染料(No.1、7、9、25、40、45、62、78、80、92、102、104、113、117、127、158、175、183、193,209)、Acid Yellow染料(No.3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、73、114、128、151)、Direct Black染料(No.4、14、17、22、27、38、51,112,117,154,168など)、Direct Blue染料(No.1、6,8、14、15,25、71、76、78、80,86,90、106,108,123,163,165、199,226)、Direct Red染料(No.1、2、16、23、24、28、39、62、72、236)、Direct Yellow染料(No.4、11、12、27、28、33、34、39、50、58、86、100、106、107、118、127、132、142、157)、Reactive Dye、例えば、Reactive Red染料(No.4、31、56、180)、Reactive Black染料(No.31)、Reactive Yellow染料(No.37など);アントラキノン染料、モノアゾ染料、ジスアゾ染料、フタロシアニン誘導体(種々のフタロシアニンスルホネート塩を含む)、アザ(18)アヌレン、ホルマザン銅錯体、トリフェノジオキサジン、およびこれらの混合物が挙げられる。
適切な顔料としては、黒色顔料、白色顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料が挙げられる。顔料は、有機粒子または無機粒子であってもよい。適切な無機顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。例えば、酸化チタン、コバルトブルー(CoO−Al)、クロムイエロー(PbCrO)および酸化鉄のような他の無機顔料も適しているだろう。適切な有機顔料としては、ジアゾ顔料およびモノアゾ顔料を含むアゾ顔料、多環状顔料(例えば、フタロシアニン顔料、例えば、フタロシアニンブルーおよびフタロシアニングリーン)、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料およびキノフタロン顔料)、不溶性染料キレート(例えば、塩基性染料型キレートおよび酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アンサントロン顔料、例えば、PR168が挙げられる。フタロシアニンブルーおよびフタロシアニングリーンの例としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、およびこれらの誘導体(Pigment Blue 15、Pigment Green 7およびPigment Green 36)が挙げられる。キナクリドンの例としては、Pigment Orange 48、Pigment Orange 49、Pigment Red 122、Pigment Red 192、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209、Pigment Violet 19およびPigment Violet 42が挙げられる。アントラキノンの例としては、Pigment Red 43、Pigment Red 194、Pigment Red 177、Pigment Red 216およびPigment Red 226が挙げられる。ペリレンの例としては、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 189およびPigment Red 224が挙げられる。チオインジゴイドの例としては、Pigment Red 86、Pigment Red 87、Pigment Red 88、Pigment Red 181、Pigment Red 198、Pigment Violet 36およびPigment Violet 38が挙げられる。ヘテロ環イエローの例としては、Pigment Yellow 1、Pigment Yellow 3、Pigment Yellow 12、Pigment Yellow 13、Pigment Yellow 14、Pigment Yellow 17、Pigment Yellow 65、Pigment Yellow 73、Pigment Yellow 74、Pigment Yellow 90、Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 117、Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 138、Pigment Yellow 150、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 155およびPigment Yellow 213が挙げられる。使用可能な黒色顔料の例としては、カーボンブラック、グラファイト、ガラス状炭素、石炭、およびこれらの組み合わせを含む炭素顔料が挙げられる。適切なカーボンブラック顔料としては、Cabot顔料、例えば、MONARCH 1400、MONARCH 1300、MONARCH 1100、MONARCH 1000、MONARCH 900、MONARCH 880、MONARCH 800、MONARCH 700、CAB−O−JET 200、CAB−O−JET 300、REGAL、BLACK PEARLS、ELFTEX、MOGULおよびVULCAN顔料;Columbian顔料、例えば、RAVEN 5000およびRAVEN 3500;Evonik顔料、例えば、Color Black FW 200、FW 2、FW 2V、FW 1、FW18、FW S160、FW S170、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4、PRINTEX U、PRINTEX 140U、PRINTEX VおよびPRINTEX 140Vが挙げられる。顔料の粒径は、液体媒剤中で粒子の安定なコロイド懸濁物を可能にし、サーマルインクジェットプリンタまたは圧電インクジェットプリンタでインクを用いるときに、インクの経路が詰まるのを防ぐために、できる限り小さいことが望ましい。
着色剤は、インク組成物中に任意の効果的な量で、いくつかの実施形態では、インク組成物の合計重量を基準として0.05〜15重量%、または0.1〜10重量%、または1〜5重量%の量で存在していてもよい。
開示されているインクは、さらに、界面活性剤を含んでいてもよい。適切な界面活性剤としては、イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、双性イオン系界面活性剤、およびこれらの混合物が挙げられる。適切な界面活性剤としては、アルキルポリエチレンオキシド、アルキルフェニルポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドブロックコポリマー、アセチレン系ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド(ジ)エステル、ポリエチレンオキシドアミン、プロトン化されたポリエチレンオキシドアミン、プロトン化されたポリエチレンオキシドアミド、ジメチコーンコポリオール、置換アミンオキシド(一級、二級および三級のアミン塩化合物、例えば、ラウリルアミン、ココナツアミン、ステアリルアミン、ロジンアミンの塩酸塩、酢酸塩を含む);四級アンモニウム塩型化合物、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリドなど;ピリジニウム塩型化合物、例えば、セチルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミドなど;非イオン系界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、アセチレンアルコール、アセチレングリコール;および他の界面活性剤、例えば、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、ステアリルジメチルベタイン、およびラウリルジヒドロキシエチルベタイン;フルオロ界面活性剤、およびこれらの混合物が挙げられる。非イオン系界面活性剤のさらなる例としては、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(Rhone−PoulencからIGEPAL CA−210(商標)、IGEPAL CA−520(商標)、IGEPAL CA−720(商標)、IGEPAL CO−890(商標)、IGEPAL CO−720(商標)、IGEPAL CO−290(商標)、IGEPAL CA−21O(商標)、ANTAROX 890(商標)およびANTAROX 897(商標)として入手可能)が挙げられる。適切な非イオン系界面活性剤の他の例としては、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーが挙げられ、SYNPERONIC(商標)PE/F、例えば、SYNPERONIC(商標)PE/F 108として市販されているものが挙げられる。適切なアニオン系界面活性剤の他の例としては、サルフェートおよびスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルサルフェートおよびスルホネート、酸、例えば、Sigma−Aldrichから入手可能なアビエチン酸、第一工業製薬株式会社から入手可能なNEOGEN R(商標)、NEOGEN SC(商標)、これらの組み合わせが挙げられる。適切なアニオン系界面活性剤の他の例としては、Dow Chemical Company製のアルキルジフェニルオキシドジスルホネートDOWFAX(商標)2A1、および/またはTayca Corporation製の分枝鎖ナトリウムドデシルベンゼンスルホネートTAYCA POWER BN2060が挙げられる。通常は正に帯電している適切なカチオン系界面活性剤の他の例としては、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、四級化したポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、MIRAPOL(商標)およびALKAQUAT(商標)(Alkaril Chemical Companyから入手可能)、Kao Chemicalから入手可能なSANIZOL(商標)(ベンザルコニウムクロリド)、およびこれらの混合物が挙げられる。
任意要素の界面活性剤は、任意の効果的な量で、例えば、インク組成物の合計重量を基準として0.01〜5重量%の量で存在していてもよい。ある場合には、界面活性剤を分散剤と呼ぶことを注記しておくべきである。
インク組成物は、さらに、架橋剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、架橋剤は、有機アミン、ジヒドロキシ芳香族化合物、イソシアネート、過酸化物、金属酸化物、およびこれらの混合物であってもよい。架橋によって、インク組成物から作られる画像の物理特性をさらに高めることができる。架橋剤は、任意の効果的な量で、例えば、インク組成物の合計重量を基準として0.1〜20重量%、または5〜15重量%の量で存在していてもよい。
インク組成物は、さらに、殺生物剤、抗真菌剤、pH制御剤、例えば、酸または塩基、リン酸塩、カルボン酸塩、亜硫酸塩、アミン塩、バッファー溶液、捕捉剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸、粘度調整剤、レベリング剤、およびこれらの混合物のような添加剤を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、インク組成物は、低粘度組成物である。「低粘度」という用語は、従来の高粘度インク(例えば、少なくとも1,000センチポイズ(cP)の粘度を有する傾向があるスクリーン印刷インク)と対比して用いられる。いくつかの実施形態では、このインクは、温度30℃での粘度が100cP以下、50cP以下、または20cP以下、または2〜30cPである。インクジェット印刷用途で使用される場合、インク組成物は、一般的に、上述のインクジェット印刷プロセスで使用するのに適切な粘度を有する。サーマルインクジェット印刷用途の場合、室温(すなわち25℃)で、インクの粘度は、少なくとも1センチポイズ、10センチポイズ以下、7センチポイズ以下、または5センチポイズ以下である。圧電インクジェット印刷の場合、吐出温度で、インクの粘度は、少なくとも2センチポイズ、少なくとも3センチポイズ、20センチポイズ以下、15センチポイズ以下、または10センチポイズ以下である。吐出温度は、20〜25℃程度の低い温度であってもよく、70℃程度、50℃程度、40℃程度の高い温度であってもよい。
いくつかの実施形態では、インク組成物は、温度30℃での粘度が2〜20センチポイズである。
インク組成物は、間接的な印刷用途に適した濡れ特性および剥離特性を与えるように選択された表面張力特徴を有する。いくつかの実施形態では、インク組成物は、圧電インクジェット印刷ヘッドで使用するのに適した表面張力、粘度および粒径を与えるように選択される。
いくつかの実施形態では、本発明のインク組成物は、表面張力が15〜50ダイン/センチメートル、または18〜38ダイン/センチメートル、または20〜35ダイン/センチメートルである。
インク組成物は、任意の適切なプロセスによって、例えば、成分を混合し、所望な場合、加熱し、濾過し、その後に、この混合物に任意の望ましいさらなる添加剤を加え、室温で中程度に振り混ぜつつ、均質な混合物が得られるまで(いくつかの実施形態では、5分〜10分)混合することによって調製することができる。インク調製プロセス中に任意要素のインク添加剤を他のインク成分と混合してもよく、この混合は、任意の望ましい手順によって、例えば、すべての成分を混合し、所望な場合、加熱し、濾過することによって行う。
いくつかの実施形態では、インクは、以下のように調製される。(1)場合により界面活性剤で安定化されたポリマーラテックスの調製;(2)場合により界面活性剤で安定化された着色剤の分散物の調製;(3)ポリマーラテックスと着色剤分散物とを混合する;(4)場合により、混合物を濾過する;(5)他の要素、例えば、水、共溶媒および任意要素の添加剤の添加;および(6)場合により、組成物を濾過する。
さらに、本明細書に開示するようなインク組成物を画像状のパターンになるように基材に塗布することを含むプロセスも開示される。
インク組成物をインクジェット印刷装置に組み込むことと、インク液滴を画像状のパターンになるように基材に放出することを伴うプロセスに、このインク組成物を使用してもよい。いくつかの実施形態では、印刷装置は、ノズル内のインクが、画像状のパターンになるように選択的に加熱されることによって、インクの液滴が画像状のパターンになるように放出されるサーマルインクジェットプロセスを使用する。いくつかの実施形態では、印刷装置は、インク液滴を音響ビームによって画像状のパターンになるように放出する音響インクジェットプロセスを使用する。いくつかの実施形態では、印刷装置は、圧電インクジェットプロセスを使用し、この場合、インク液滴が、圧電振動要素の振動によって画像状のパターンになるように放出する。
いくつかの実施形態では、プロセスは、本明細書に開示するように調製されたインクをインクジェット印刷装置に組み込むことと、インク液滴を画像状のパターンになるように中間転写体に放出することと、この画像を加熱し、溶媒を部分的または完全に除去することと、画像状のパターンのインクを中間転写体から最終的な記録基材に転写することとを含む。いくつかの実施形態では、中間転写体を、最終的な記録シートより高く、印刷装置内のインクの温度より低い温度まで加熱する。ある具体的な実施形態では、印刷装置は、インク液滴が、圧電振動要素の振動によって画像状のパターンになるように放出される圧電印刷プロセスを使用する。
普通紙、例えば、XEROX(登録商標)4024紙、XEROX(登録商標)Image Series紙、Courtland 4024 DP紙、罫線付きノート紙、ボンド紙、シリカでコーティングされた紙、例えば、Sharp Companyシリカコーティング紙、JuJo紙、HAMMERMILL LASERPRINT(登録商標)紙、透明材料、布地、繊維製品、プラスチック、ポリマー膜、無機基板(例えば、金属および木材)などの任意の適切な基材または記録シートを最終的な記録シートとして使用することができる。
(実施例1)
アモルファスポリエステル分散物。190グラムのポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−テレフタレート コ−フマレートポリエステル樹脂を1リットルケトルに秤量して入れる。100グラムのメチルエチルケトン(MEK)および40グラムのイソプロパノール(IPA)を別個に秤量し、ビーカーの中で混合する。樹脂の入った上述の1リットルケトルに溶媒を注ぐ。ガスケット、凝集器および2個のゴムストッパで覆われたケトルを、樹脂が「柔らかく」なるまで、48℃に設定した水浴に1時間入れる。アンカーブレードインペラをケトルに設置し、毎分約150回転(rpm)で回転を開始させる。3時間後、すべての樹脂が溶解したとき、ゴムストッパから、使い捨てピペットを用いて8.69グラムの10%NHOHを混合物に滴下する。この混合物を10分間攪拌する。600グラムの脱イオン水(DIW)を、ゴムストッパからポンプによってケトルに加える。ポンプの速度を4.44グラム/分に設定し、最初の400グラムを90分間で加える。最後の200グラムは、ポンプを6.7グラム/分に設定し、30分間で加える。この装置を分解し、混合物をガラス皿に注ぎ、換気フードに一晩置き、溶媒が蒸発してしまうまで、磁気攪拌棒によって攪拌する。NiComp Particle Analyzerによって測定した粒径は、170ナノメートルであった。
(実施例2)
結晶性ポリエステル分散物。結晶性ポリエステル分散物を実施例1のように調製したが、ただし、アモルファスポリエステルの代わりにポリ(1,9−ノナンジオール−コ−ドデカン二酸)(結晶性ポリエステル)を使用した。
(実施例3)
表1に示す成分を含むインクを以下のように調製した。50ミリリットルの褐色ガラスバイアルに界面活性剤およびカーボンブラック分散物を加え、混合物を、磁気攪拌棒を用いて200RPMで攪拌しつつ、水(ラテックスビーカーを洗うために20%)をゆっくりと加えた。ラテックスのpHを別個に6.8に調節し、ラテックス残渣を洗浄するために、次いで、20%の水をバイアルにゆっくりと加えた。次いで、2000RPMで5分間かけてインクを均質化した。
(実施例4)
表2に示す成分を含むインクを以下のように調製した。50ミリリットル褐色ガラスバイアルに、界面活性剤およびカーボンブラック分散物を加え、混合物を、磁気攪拌棒を用いて200RPMで攪拌しつつ、水(ラテックスビーカーを洗うために20%)をゆっくりと加えた。ラテックスのpHを別個に6.8に調節し、ラテックス残渣を洗浄するために、次いで、20%の水をバイアルにゆっくりと加えた。次いで、2000RPMで5分間かけてインクを均質化した。
Figure 0006359420
Figure 0006359420
実施例3および実施例4のインクは、吐出に適した粘度を有することがわかった。すなわち、Malvern Zetasizerを用いて決定すると、30℃の吐出温度で10センチポイズ未満、顔料の粒径は、150ナノメートル未満。
表面張力データを表3に示し、以下のように得た。実施例3および実施例4のインクをKruss GmbHから入手可能なK−100 Surface TensiometerにWilhelmyプレートを取り付け、室温27℃で測定した。表面張力データは、1秒〜60秒の間に得た20個のデータの平均によって決定した。
Figure 0006359420
インクを、それぞれフッ素化シリコーンブランケット材料に別個に吐出し、乾燥させ、次いで、接着剤テープを用いて剥がした(転写した)。図2は、Dimatix Printer(DMP 2800、Fujifilm USA)を用いてフッ素化シリコーンブランケットにインクが吐出された、実施例3のアモルファスポリエステルインク(左側)および実施例4のアモルファスポリエステルおよび結晶性ポリエステル(右側)の光学顕微鏡画像の写真を示す。図3は、インクがブランケットから剥がされた後の、接着剤テープ上の実施例3のインク(左側)および実施例4のインク(右側)の光学顕微鏡画像の写真を示す。図4は、実施例3(左側)および実施例4(右側)を転写した後のブランケットの光学顕微鏡画像の写真を示す。アモルファスポリエステルラテックスのみを含む実施例3のインクは、ブランケットから完全に剥離せず、一方、アモルファスポリエステルおよび結晶性ポリエステルの混合物を含む実施例4のインクは、軟化温度が95℃であり、ガラス転移温度が59℃であり、ブランケットの上にインクが残っていないことが示された。対照的に、実施例3のインクは、軟化温度が105℃である。

Claims (15)

  1. 間接的な印刷の用途のための水性インクであって、
    水と;
    共溶媒と;
    着色剤と;
    ポリマー粒子の水性分散物を含むポリマーラテックスとを含み、
    このポリマーラテックスは、軟化温度が60℃から105℃未満であり、ガラス転移温度が45℃〜100℃であり、
    前記ポリマーラテックスは、アモルファスポリエステルラテックスと結晶性ポリエステルラテックスの組み合わせを含み、
    前記アモルファスポリエステルラテックスは、ガラス転移温度が45℃〜100℃であり、前記結晶性ポリエステルラテックスは、融点が50℃〜90℃である、水性インク。
  2. 前記ポリマー粒子は、体積平均粒径が、50ナノメートルから300ナノメートル未満である、請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記水性インクは、コンポジットラテックス粒子を含み、前記コンポジットラテックス粒子は、ガラス転移温度が45℃〜100℃であるアモルファスポリエステルと、融点が50℃〜90℃である結晶性ポリエステルとを含む、請求項1に記載の水性インク。
  4. 前記ポリマーラテックスは、アモルファスポリエステルと結晶性ポリエステルの組み合わせを含み、前記結晶性ポリエステルは、前記アモルファスポリエステルおよび前記結晶性ポリエステルの両方を合計した重量を基準として5重量%〜50重量%の量で存在する、請求項1に記載の水性インク。
  5. 前記ポリマーラテックスは、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−テレフタレート コ−フマレート、ポリ(1,9−ノナンジオール−コ−ドデカン二酸)、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の水性インク。
  6. 前記ポリマーラテックスは、軟化温度が60℃から105℃未満のポリエステルを含む、請求項1に記載の水性インク。
  7. 前記ポリマーラテックスは、分子量が5,000〜40,000g/モルである、請求項1に記載の水性インク。
  8. 表面張力が1〜50ダイン/センチメートルである、請求項1に記載の水性インク。
  9. 〜40℃の噴射温度での粘度が2〜20センチポイズである、請求項1に記載の水性インク。
  10. 前記共溶媒は、スルホラン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、2−ピロリジノン、グリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の水性インク。
  11. 水と;共溶媒と;着色剤と;ポリマー粒子の水性分散物を含むポリマーラテックスとを含み、前記ポリマーラテックスは、軟化温度が60℃から105℃未満であり、ガラス転移温度が45℃〜100℃であり、前記ポリマーラテックスは、アモルファスポリエステルラテックスと結晶性ポリエステルラテックスの組み合わせを含み、前記アモルファスポリエステルラテックスは、ガラス転移温度が45℃〜100℃であり、前記結晶性ポリエステルラテックスは、融点が50℃〜90℃である、水性インクをインクジェット印刷装置に組み込むことと;
    インク液滴を画像状のパターンになるように中間転写体の上に放出させることと;
    この画像を加熱し、溶媒を部分的または完全に除去することと;
    前記画像状のパターンのインクを前記中間転写体から最終的な記録基材に転写することとを含む、プロセス。
  12. 前記ポリマー粒子は、体積平均粒径が、50ナノメートルから300ナノメートル未満である、請求項11に記載のプロセス。
  13. 前記ポリマーラテックスは、分子量が5,000〜40,000g/モルである、請求項11に記載のプロセス。
  14. 前記インクは、表面張力が15〜50ダイン/センチメートルである、請求項11に記載のプロセス。
  15. 前記インクは、30℃での粘度が2〜20センチポイズである、請求項11に記載のプロセス。
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