JP6359115B2 - 光ファイバケーブルの設計方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバケーブルの設計方法に関し、特に、難燃性を有する光ファイバケーブルの設計方法に関するものである。
光ファイバケーブル(以下、「ケーブル」とも称する)は、例えば、ケーブル中心に設けられたケーブル用抗張力体(テンションメンバ)と、そのケーブル用抗張力体の周囲に設けられた複数の光ファイバ心線と、ケーブル外被として設けられたシース層とを備えている。
例えば、特許文献1には、ケーブルを構成する材料に難燃材料を用いることにより、ケーブルの難燃化を図る手法が開示されている。
特開2008−197644号公報
ところで、例えば、高度な難燃性が求められる光ファイバケーブルでは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1202の垂直トレイ燃焼試験(以下、「垂直トレイ燃焼試験」とも称する)に適合する難燃性が要求される。しかしながら、光ファイバケーブルを構成する構成部材に使用されている可燃材料を難燃材料に全て置き換えると、ケーブルが高コストとなるので、製品としての魅力が低下してしまう。ここで、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験に適合させるために、光ファイバケーブルを構成する構成部材に使用されている可燃材料を難燃材料に隅雲に置き換えて、光ファイバケーブルを製作し、その製作した光ファイバケーブルをIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験で合否判断することは、場当たり的になってしまうので、非効率である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブルの効率的な設計方法と、垂直トレイ燃焼試験に適合する可及的に低コストの光ファイバケーブルとを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、構成部材の寸法、比重及び燃焼熱、並びにIEEE1202の規格に基づいて算出した1燃焼試験当たりの総燃焼熱量と、垂直トレイ燃焼試験を行ってシース層が燃焼したシース燃焼距離との相関関係を近似する近似線を求め、その近似線において、予め設定した目標シース燃焼距離に対応する目標総燃焼熱量を導出し、その目標総燃焼熱量を超えないように、構成部材を選定するようにしたものである。
具体的に本発明に係る光ファイバケーブルの設計方法は、ケーブル中心に設けられたテンションメンバと、上記テンションメンバの周囲に設けられた複数の光ファイバ心線と、上記テンションメンバの側面に上記複数の光ファイバ心線を介して設けられた押え巻きと、上記押え巻きの外周にケーブル外被として設けられたシース層とを構成部材として備えた光ファイバケーブルをIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験の難燃性試験規格に適合させるための設計方法であって、少なくとも2種類の上記光ファイバケーブルを試験体として準備する試験体準備工程と、上記少なくとも2種類の試験体に使用された各構成部材の寸法、比重及び燃焼熱に基づいて、該各構成部材の単位長さ当たりの燃焼熱量を算出し、該算出した燃焼熱量の総和により、上記各試験体の単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出するケーブル燃焼熱量算出工程と、上記ケーブル燃焼熱量にIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験の難燃性試験規格で規定されたケーブル本数を乗じて各試験体の1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を算出する総燃焼熱量算出工程と、上記少なくとも2種類の試験体に対してIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行い、該各試験体において、上記シース層が燃焼したシース燃焼距離を測定する燃焼試験工程と、上記総燃焼熱量と上記シース燃焼距離との相関関係を近似する近似線を求める相関近似工程と、上記近似線において、予め設定した目標シース燃焼距離に対応する目標総燃焼熱量を導出する目標総燃焼熱量導出工程と、上記目標総燃焼熱量を超えないように、上記テンションメンバ、各光ファイバ心線、押え巻き及びシース層の各構成部材を選定する構成部材選定工程とを備えることを特徴とする。
上記の方法によれば、試験体準備工程では、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行う試験体として、少なくとも2種類の光ファイバケーブルを準備する。ここで、光ファイバケーブルは、ケーブル中心に設けられたテンションメンバと、そのテンションメンバの周囲に設けられた複数の光ファイバ心線と、そのテンションメンバの側面に複数の光ファイバ心線を介して設けられた押え巻きと、その押え巻きの外周にケーブル外被として設けられたシース層とを備えている。そして、ケーブル燃焼熱量算出工程では、まず、試験体に使用された各構成部材の寸法、比重及び燃焼熱に基づいて、各構成部材の単位長さ当たりの燃焼熱量を算出する。すなわち、それぞれの試験体において、各構成部材の寸法及び比重により各構成部材の単位長さ当たりの重量を算出し、その重量に対応する構成部材の燃焼熱を乗じて各構成部材の単位長さ当たりの燃焼熱量を算出する。その後、それらの算出した燃焼熱量の総和により、各試験体の単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出する。さらに、総燃焼熱量算出工程では、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量にIEEE1202で規定されたケーブル本数を乗じて各試験体の1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を算出する。そして、燃焼試験工程では、上述したように準備し、総燃焼熱量を算出した各試験体に対して、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行い、各試験体において、シース層が燃焼したシース燃焼距離を測定する。ここで、本発明者らは、IEEE1202の規格(垂直トレイ燃焼試験でトレイに設置するケーブル本数)を考慮して算出した1燃焼試験当たりの総燃焼熱量と、実際の垂直トレイ燃焼試験で測定したシース燃焼距離との間には、後述する図10に示すように、正の相関関係があることを見出した。そのため、相関近似工程では、総燃焼熱量とシース燃焼距離との相関関係を近似する近似線を求め、目標総燃焼熱量導出工程では、その近似線において、予め設定した目標シース燃焼距離に対応する目標総燃焼熱量を導出する。そして、構成部材選定工程では、目標総燃焼熱量を超えないように、テンションメンバ、各光ファイバ心線、押え巻き及びシース層の各構成部材を選定することにより、垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブルを設計することができる。これにより、光ファイバケーブルを設計する際には、総燃焼熱量を指標にすることができるので、可燃材料を難燃材料に場当たり的に置き換えることなく、垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブルを効率的に設計することができる。
上記ケーブル燃焼熱量算出工程では、上記各構成部材を該各構成部材の酸素指数を基準として可燃材料と難燃材料とに区分し、該可燃材料と区分した構成材料だけの単位長さ当たりの燃焼熱量を算出し、該算出した燃焼熱量の総和により、上記ケーブル燃焼熱量を算出してもよい。
上記の方法によれば、ケーブル燃焼熱量算出工程では、それぞれの試験体において、各構成部材をその酸素指数を基準として可燃材料と難燃材料とに区分し、可燃材料と区分した構成材料だけの単位長さ当たりの燃焼熱量を算出し、その算出した燃焼熱量の総和により、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出するので、ケーブル燃焼熱量の算出を単純化させることができる。
上記構成部材選定工程では、上記総燃焼熱量が上記目標総燃焼熱量を超えた試験体において、該試験体に使用された各構成部材のうち、上記可燃材料として区分したものの少なくとも一部を難燃材料に変更して、上記総燃焼熱量を小さくしてもよい。
上記の方法によれば、構成部材選定工程では、総燃焼熱量が目標総燃焼熱量を超えた試験体において、使用された各構成部材のうち、可燃材料として区分したものの少なくとも一部を難燃材料に変更することにより、総燃焼熱量を具体的に小さくすることができる。
また、本発明は、テンションメンバを構成する被覆層の一部、光ファイバコードを構成するコード層の一部、及びケーブル外被のシース層の一部を難燃性樹脂により形成するようにしたものである
上記試験体準備工程において、上記試験体として準備した上記少なくとも2種類の光ファイバケーブルを構成する上記光ファイバ心線の本数は、揃っていなくてもよい。
本発明によれば、構成部材の寸法、比重及び燃焼熱、並びにIEEE1202の規格に基づいて算出した1燃焼試験当たりの総燃焼熱量と、垂直トレイ燃焼試験を行ってシース層が燃焼したシース燃焼距離との相関関係を近似する近似線を求め、その近似線において、予め設定した目標シース燃焼距離に対応する目標総燃焼熱量を導出し、その目標総燃焼熱量を超えないように、構成部材を選定するので、可燃材料を難燃材料に場当たり的に置き換えることなく、垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブルを効率的に設計し、可及的に低コストで提供することができる。
図1は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法に用いる6心の光ファイバケーブルの断面図である。 図2は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法に用いる8心の光ファイバケーブルの断面図である。 図3は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法に用いる12心の光ファイバケーブルの断面図である。 図4は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法を示すフローチャートである。 図5は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法に用いた6心の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図6は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法に用いた8心の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図7は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法に用いた12心の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図8は、IEEE1202で規定されたケーブル外径とケーブル本数との対応表である。 図9は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法で行ったIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験の結果を示す表である。 図10は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法における総燃焼熱量とシース燃焼距離との関係を示すグラフである。 図11は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法で設計した12心の光ファイバケーブルの断面図である。 図12は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法で設計した12心の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図13は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法で設計した12心の光ファイバケーブルの変形例の断面図である。 図14は、実施形態1に係る光ファイバケーブルの設計方法で設計した12心の光ファイバケーブルの変形例の構成部材を示す表である。 図15は、実施形態2に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルの横断面図である。 図16は、実施形態2に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図17は、実施形態2に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルを設計するために用いた比較例1のノンメタリック型の光ファイバケーブルの横断面図である。 図18は、実施形態2に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルを設計するために用いた比較例1のノンメタリック型の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図19は、実施形態2に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルを設計するために用いた比較例2のノンメタリック型の光ファイバケーブルの横断面図である。 図20は、実施形態2に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルを設計するために用いた比較例2のノンメタリック型の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図21は、実施形態3に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルの横断面図である。 図22は、実施形態3に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図23は、実施形態3に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルを設計するために用いた比較例のノンメタリック型の光ファイバケーブルの横断面図である。 図24は、実施形態3に係るノンメタリック型の光ファイバケーブルを設計するために用いた比較例のノンメタリック型の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図25は、実施形態4に係る層型の光ファイバケーブルの断面図である。 図26は、実施形態4に係る層型の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図27は、実施形態4に係る層型の光ファイバケーブルを設計するために用いた比較例の層型の光ファイバケーブルの断面図である。 図28は、実施形態4に係る層型の光ファイバケーブルを設計するために用いた比較例の層型の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図29は、実施形態5に係る層型の光ファイバケーブルの断面図である。 図30は、実施形態5に係る層型の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。 図31は、実施形態6に係る層型の光ファイバケーブルの断面図である。 図32は、実施形態6に係る層型の光ファイバケーブルの構成部材を示す表である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《発明の実施形態1》
図1〜図14は、本発明に係る光ファイバケーブルの設計方法の実施形態1を示している。ここで、図1、図2及び図3は、本実施形態の光ファイバケーブルの設計方法に用いる6心、8心及び12心の光ファイバケーブル20a、20b及び20cをそれぞれ示す断面図である。
6心の光ファイバケーブル20aは、図1に示すように、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ3aと、テンションメンバ3aの周囲に設けられた6本の光ファイバコード6と、テンションメンバ3aの側面に6本の光ファイバコード6を介して設けられた押え巻き7と、押え巻き7の外周にケーブル外被として設けられたシース層9と、押え巻き7及びシース層9の間に設けられ、シース層9を引き裂くための引き裂き紐8とを備えている。
8心の光ファイバケーブル20bは、図2に示すように、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ3aと、テンションメンバ3aの周囲に設けられた8本の光ファイバコード6と、テンションメンバ3aの側面に8本の光ファイバコード6を介して設けられた押え巻き7と、押え巻き7の外周にケーブル外被として設けられたシース層9と、押え巻き7及びシース層9の間に設けられ、シース層9を引き裂くための引き裂き紐8とを備えている。
12心の光ファイバケーブル20cは、図3に示すように、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ3bと、テンションメンバ3bの周囲に設けられた12本の光ファイバコード6と、テンションメンバ3bの側面に12本の光ファイバコード6を介して設けられた押え巻き7と、押え巻き7の外周にケーブル外被として設けられたシース層9と、押え巻き7及びシース層9の間に設けられ、シース層9を引き裂くための引き裂き紐8とを備えている。
テンションメンバ3aは、図1、図2、図5及び図6に示すように、例えば、鋼線等からなる抗張力線1と、抗張力線1の側面を覆うように設けられたポリエチレン樹脂等からなる樹脂製の被覆層2とを備えている。
テンションメンバ3bは、図3及び図7に示すように、例えば、鋼線等からなる抗張力線1と、抗張力線1の側面を覆うように設けられたポリエチレン樹脂等からなる樹脂製で2層構造の第1被覆層2a及び第2被覆層2bとを備えている。
光ファイバコード6は、図1、図2及び図3に示すように、例えば、光ファイバ心線4と、光ファイバ心線4の側面を覆うように設けられたコード層5とを備えている。ここで、光ファイバ心線4は、図5〜図7に示すように、例えば、光を伝搬させるための石英製の光ファイバ(不図示)と、その光ファイバの側面を覆うように設けられたシリコーン樹脂等からなる樹脂製の第1被覆層(不図示)と、その第1被覆層の側面を覆うように設けられたポリアミド樹脂等からなる樹脂製の第2被覆層(不図示)とを備えている。また、コード層5は、図5〜図7に示すように、例えば、光ファイバ心線4の側面に縦添えで配置されたアラミド繊維等からなる補強繊維(不図示)と、その補強繊維を覆うように設けられた難燃性のポリ塩化ビニル樹脂(例えば、酸素指数45〜49%)等からなる樹脂製の被覆層(不図示)とを備えている。なお、各光ファイバコード6は、テンションメンバ3a及び3bの周囲に所定のピッチで螺旋状に配置されている。
押え巻き7は、図5〜図7に示すように、例えば、ポリエステル樹脂等からなる樹脂製の不織布である。
引き裂き紐8は、図5〜図7に示すように、例えば、アラミド繊維等により形成され、押え巻き7に縦添えするように設けられている。
シース層9は、図5〜図7に示すように、例えば、押え巻き7側に設けられたアルミニウム合金等からなる筒状の金属シートと、その金属シートの側面を覆うように設けられた難燃性のポリ塩化ビニル樹脂(例えば、酸素指数45〜49%)等からなる樹脂製の被覆層とを備えている。
次に、本実施形態の光ファイバケーブルの設計方法について説明する。ここで、図4は、本実施形態の光ファイバケーブルの設計方法を示すフローチャートである。また、図5、図6及び図7は、本実施形態の光ファイバケーブルの設計方法に用いた6心、8心及び12心の光ファイバケーブル20a、20b及び20cの構成部材をそれぞれ示す表である。また、図8は、IEEE1202で規定されたケーブル外径とケーブル本数との対応表である。また、図9は、本実施形態の光ファイバケーブルの設計方法で行ったIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験の結果を示す表である。また、図10は、本実施形態の光ファイバケーブルの設計方法における総燃焼熱量とシース燃焼距離との関係を示すグラフである。また、図11は、本実施形態の光ファイバケーブルの設計方法で設計した12心の光ファイバケーブル20dの断面図である。また、図12は、12心の光ファイバケーブル20dの構成部材を示す表である。また、図13は、本実施形態の光ファイバケーブルの設計方法で設計した12心の光ファイバケーブル20eの断面図である。また、図14は、12心の光ファイバケーブル20eの構成部材を示す表である。
本実施形態の光ファイバケーブルの設計方法は、図4に示すように、試験体準備工程、ケーブル燃焼熱量算出工程、総燃焼熱量算出工程、燃焼試験工程、相関近似工程、目標総燃焼熱量導出工程及び構成部材選定工程を備える。
<試験体準備工程>
図5、図6及び図9に示すように、予め設計された少なくとも2種類(本実施形態では、6C(6心)、8C−1(8心)及び8C−2(8心)の3種類)の光ファイバケーブル20a〜20cを試験体として準備する。ここで、図7の12C−1(12心)のデータについては、後述する12心の光ファイバケーブル20d及び20eを設計するために必要な基礎となるデータである。なお、準備する光ファイバケーブルを構成する光ファイバコード6の本数(心線数)は、特に、揃っていなくても構わない。
<ケーブル燃焼熱量算出工程>
まず、試験体に使用された各構成部材の可燃性の有無を判別する。ここで、図5〜図7の各表では、可燃性が有る場合、「1」とし、可燃性が無い場合、「0」としている。そして、光ファイバコード6のコード層5の樹脂分、及びシース層9の樹脂分については、予め、難燃材料(具体的には、難燃性のポリ塩化ビニル樹脂)を採用しているので、可燃性無しの「0」としている。また、光ファイバコード6において、石英、シリコーン樹脂及びアラミド繊維を可燃性無しの「0」とし、ポリアミド樹脂を可燃性有りの「1」としている。また、テンションメンバ3a及び3bにおいて、鋼線を可燃性無しの「0」とし、ポリエチレン樹脂を可燃性有りの「1」としている。また、押え巻き7のポリエステル樹脂を可燃性有りの「1」とし、引き裂き紐8のアラミド繊維を可燃性無しの「0」としている。なお、可燃性の有無の判別基準としては、例えば、酸素指数が27%未満のものを可燃性有りとし、酸素指数が27%以上(好ましくは30%以上)のものを難燃性を有して可燃性無しとしている。
続いて、試験体に使用された各構成部材の寸法、比重及び燃焼熱に基づいて、各構成部材の単位長さ当たりの燃焼熱量を算出する。具体的には、各構成部材(の構成要素)の寸法及び比重により各構成部材の構成要素の単位長さ当たりの重量を算出する(図5〜図7の重量(g/m)の欄参照)。
その後、その算出された重量に対応する構成部材(の構成要素)の燃焼熱を乗じて各構成部材の単位長さ当たりの燃焼熱量を算出する(図5〜図7の燃焼熱(kcal/kg)及び燃焼熱量(kcal/m)の欄参照)。
さらに、算出した燃焼熱量の総和により、各試験体の単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出する(図5〜図7の燃焼熱量(kcal/m)の欄の参照)。ここで、本ケーブル燃焼熱量算出工程では、上述したように、各構成部材(の構成要素)を可燃材料と難燃材料とに区分し(図5〜図7の可燃性の欄の参照)、可燃材料と区分した構成材料だけの単位長さ当たりの燃焼熱量を算出し、その算出した燃焼熱量の総和により、ケーブル燃焼熱量を単純化して算出する。なお、具体的に算出された各試験体の単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量は、図5〜図7に示すように、6C(6心)が60.9kcal/mであり、8C−1(8心)及び8C−2(8心)で109.2kcal/mであり、12C−1(12心)で312.5kcal/mである。
<総燃焼熱量算出工程>
ケーブル燃焼熱量にIEEE1202で規定されたケーブル本数(図8参照)を乗じて各試験体の1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を算出する(図9の総燃焼熱量の欄参照)。ここで、8心の光ファイバケーブルについては、そのケーブル外径の設計値が、図6に示すように、12.2mmであり、IEEE1202の規定では、図8に示すように、13mmのケーブル外径を境に垂直トレイ燃焼試験で使用するケーブル本数が異なるので、図9に示すように、仕上外径が12.5mmのもの(8C−1)と、仕上外径が13.0mmのもの(8C−2)との2種類を準備し、それぞれについて総燃焼熱量を算出している。なお、ケーブル外径によって、ケーブルの試験本数が異なるのは、「トレイ」という敷設空間に制限があるためである。
<燃焼試験工程>
総燃焼熱量を算出した試験体を、垂直に設置された梯子状のトレイに所定の本数分だけ敷設し、トレイの下方から規定のリボンバーナにより20分間燃焼させることにより、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行い、各試験体において、シース層9が燃焼したシース燃焼距離を測定した(図9のシース燃焼距離の欄参照)。ここで、シース燃焼距離には、発泡や溶融等のシース層9の表面の変形した部分も含まれる。
<相関近似工程>
図10に示すように、縦軸をシース燃焼距離とし、横軸を総燃焼熱量とし、算出した総燃焼熱量、及び測定したシース燃焼距離をプロットし、総燃焼熱量とシース燃焼距離との相関関係を近似する近似曲線を求める。ここで、図10では、近似曲線aがシース燃焼距離の平均値のものであり、近似曲線bがシース燃焼距離の最大値のものである。
<目標総燃焼熱量導出工程>
図10に示すように、最大値の近似曲線bにおいて、予め設定した目標シース燃焼距離(本実施形態では、例えば、設計ライン140cm)に対応する目標総燃焼熱量(例えば、2000kcal/m)を導出する。
<構成部材選定工程>
目標総燃焼熱量を超えないように、テンションメンバ3a及び3b、光ファイバ心線4を含む光ファイバコード6、押え巻き7及びシース層9の各構成部材(の構成要素)を選定する。ここで、試験体の総燃焼熱量が目標総燃焼熱量を超えた場合には、その試験体に使用された各構成部材(の構成要素)のうち、可燃材料として区分したものの少なくとも一部を難燃材料に変更したり、例えば、シース層9の厚さを数mm程度厚くすることにより、ケーブル本体の外径を容易に大きくしたりして、総燃焼熱量を小さくしてもよい。
具体的に、12心の光ファイバケーブル20c(12C−1)は、図9に示すように、総燃焼熱量が2813kcal/mであり、目標総燃焼熱量(例えば、2000kcal/m)を超えているので、図7に示すように、燃焼熱量比68.6%を占めるテンションメンバ3bを構成する外側の第2被覆層2bの材料変更を行うことが有効である。すなわち、可燃材料の第2被覆層2bを難燃材料の第2被覆層2c(図11参照)に変更することにより、12心の光ファイバケーブル20d(12C−2)は、ケーブル燃焼熱量が98.1kcal/m(図12参照)になり、総燃焼熱量が883kcal/m(図9参照)になり、目標総燃焼熱量(例えば、2000kcal/m)を大幅に下回ることになる。以下に、この内容で設計された光ファイバケーブル20d及び20eの構造について説明する。
光ファイバケーブル20dは、図11に示すように、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ3cと、テンションメンバ3cの周囲に設けられた12本の光ファイバコード6と、テンションメンバ3cの側面に12本の光ファイバコード6を介して設けられた押え巻き7と、押え巻き7の外周にケーブル外被として設けられたシース層9と、押え巻き7及びシース層9の間に設けられ、シース層9を引き裂くための引き裂き紐8とを備えている。なお、光ファイバケーブル20dにおいて、上述した光ファイバケーブル20a〜20cと同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
テンションメンバ3cは、図11及び図12に示すように、例えば、鋼線等からなる抗張力線1と、その抗張力線1の側面を覆うように設けられた樹脂製の被覆層2とを備えている。
被覆層2は、図11及び図12に示すように、抗張力線1側に設けられたポリエチレン樹脂等からなる第1被覆層2aと、第1被覆層2aの側面を覆うように設けられた難燃性のポリエチレン樹脂等からなる第2被覆層2cとを備えている。
第2被覆層2cは、例えば、ポリエチレン樹脂に水酸化マグネシウム等の難燃剤の粉末を添加して形成されている。なお、第2被覆層2cを形成する難燃性のポリエチレン樹脂の酸素指数は、27%以上、好ましくは30%以上(例えば、32%)である。また、第1被覆層2aの酸素指数は、第2被覆層2cの酸素指数よりも小さく、例えば、17〜18%である。また、第1被覆層2aの厚さを1とすると、第2被覆層2cの厚さは、例えば、0.4〜4.4であればよい。ここで、第1被覆層2aの厚さを1として、第2被覆層2cの厚さが0.4よりも小さくなると、第2被覆層2cが第1被覆層2aの側面を被覆することが困難となる傾向があり、また、第1被覆層2aの厚さを1として、その第2被覆層2cの厚さが4.4よりも大きくなっても、難燃性の効果が頭打ちになる傾向がある。
第2被覆層2cの側面は、テンションメンバ3cと各光ファイバコード6との間の摩擦を低減して、光ファイバケーブル20がスムーズに曲がるように、滑らかに形成されていることが好ましい。
光ファイバケーブル20dは、テンションメンバ3cの周囲に設けられた各光ファイバコード6の光ファイバ心線4内で光をそれぞれ伝搬するように構成されている。
光ファイバケーブル20dを製造する際には、まず、抗張力線1の側面に、ポリエチレン樹脂組成物を押出成形して第1被覆層2aを形成した後に、その側面に難燃性のポリエチレン樹脂組成物を押出成形して第2被覆層2cを形成することにより、テンションメンバ3cを作製する。続いて、テンションメンバ3cの周囲に公知の方法で作製された12本の光ファイバコード6を所定のピッチで互いに並行に延びるように螺旋状に巻回させ、その周囲に押え巻き7を螺旋状に巻く。さらに、押え巻き7の外周面に、引き裂き紐8を縦添えした状態でアルミニウム合金シートを縦添えで筒状に貼り付けた後に、難燃性のポリ塩化ビニル樹脂組成物を押出成形して、シース層9を形成する。なお、アルミニウム合金シートの一方の表面には、接着剤が塗布されている。ここで、押え巻き7の外周面にアルミニウム合金シートを貼り付ける際には、アルミニウム合金シートの両端を1mm以上5mm以下で重ねて接着することにより、アルミニウム合金シートが筒状に保持されるので、ケーブルの外径方向の気密性が確保され、燃焼時のケーブル内部からの燃焼ガスの透過を遮断でき、ケーブルの難燃性を維持することができる。なお、アルミニウム合金シートの両端の重ね合わせは、ケーブルの外径方向の気密性が確保される範囲で難燃性が維持でき、そういう効果を得ることができるのであれば、上述した範囲を特に限定するものでない。
ところで、鋼線からなる抗張力線1の側面に、直接、水酸化マグネシウムの粉末が添加された難燃性のポリエチレン樹脂組成物を押出成形して第2被覆層を形成する場合、鋼線と第2被覆層との密着性が低くなってしまう。しかしながら、抗張力線1と第2被覆層2cとの間に、密着性のよい可燃性のポリエチレン樹脂からなる第1被覆層2aを介在させることにより、大幅に製造工程や製造条件を大幅に変更することなく、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験の難燃性試験規格に適合する難燃化を図ることができると共に、鋼線と被覆層との間の密着性を確保することができる。
ここで、光ファイバケーブル20d(12C−2)の垂直トレイ燃焼試験におけるシース燃焼距離は、図9に示すように、100cm程度であったので、設計ラインの140cmをかなり下回った。また、光ファイバケーブル20d(12C−2)について、図10に示すように、算出した総燃焼熱量、及び測定したシース燃焼距離をプロットすると、近似曲線a及びbの付近に位置するので、本実施形態の光ファイバケーブル20dの設計方法の有効性が実証された。
また、光ファイバケーブル20eは、図13に示すように、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ3cと、テンションメンバ3cの周囲に設けられた12本の光ファイバコード6aと、テンションメンバ3cの側面に12本の光ファイバコード6aを介して設けられた押え巻き7と、押え巻き7の外周にケーブル外被として設けられたシース層9aと、押え巻き7及びシース層9aの間に設けられ、シース層9aを引き裂くための引き裂き紐8とを備えている。なお、光ファイバケーブル20eにおいて、上述した光ファイバケーブル20a〜20dと同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
光ファイバコード6aは、図13に示すように、例えば、光ファイバ心線4と、光ファイバ心線4の側面を覆うように設けられたコード層5aとを備えている。ここで、コード層5aは、図14に示すように、例えば、光ファイバ心線4の側面に縦添えで配置されたアラミド繊維等からなる補強繊維(不図示)と、その補強繊維を覆うように設けられた難燃性のポリエチレン樹脂(例えば、酸素指数27%以上、好ましくは30%以上(例えば、32%))等からなるハロゲン元素を含まない樹脂製の被覆層(不図示)とを備えている。なお、各光ファイバコード6aは、テンションメンバ3cの周囲に所定のピッチで螺旋状に配置されている。
シース層9aは、図14に示すように、例えば、押え巻き7側に設けられたアルミニウム合金等からなる筒状の金属シートと、その金属シートの側面を覆うように設けられた難燃性のポリエチレン樹脂(例えば、酸素指数27%以上、好ましくは30%以上(例えば、32%))等からなるハロゲン元素を含まない樹脂製の被覆層とを備えている。
光ファイバケーブル20eは、テンションメンバ3cの周囲に設けられた各光ファイバコード6aの光ファイバ心線4内で光をそれぞれ伝搬するように構成されている。
光ファイバケーブル20eを製造する際には、まず、抗張力線1の側面に、ポリエチレン樹脂組成物を押出成形して第1被覆層2aを形成した後に、その側面に難燃性のポリエチレン樹脂組成物を押出成形して第2被覆層2cを形成することにより、テンションメンバ3cを作製する。続いて、テンションメンバ3cの周囲に公知の方法で作製された12本の光ファイバコード6aを所定のピッチで互いに並行に延びるように螺旋状に巻回させ、その周囲に押え巻き7を螺旋状に巻く。さらに、押え巻き7の外周面に、引き裂き紐8を縦添えした状態でアルミニウム合金シートを縦添えで筒状に貼り付けた後に、難燃性のポリエチレン樹脂組成物を押出成形して、シース層9aを形成する。なお、アルミニウム合金シートの一方の表面には、接着剤が塗布されている。ここで、押え巻き7の外周面にアルミニウム合金シートを貼り付ける際には、アルミニウム合金シートの両端を1mm以上5mm以下で重ねて接着することにより、アルミニウム合金シートが筒状に保持されるので、ケーブルの外径方向の気密性が確保され、燃焼時のケーブル内部からの燃焼ガスの透過を遮断でき、ケーブルの難燃性を維持することができる。なお、アルミニウム合金シートの両端の重ね合わせは、ケーブルの外径方向の気密性が確保される範囲で難燃性が維持でき、そういう効果を得ることができるのであれば、上述した範囲を特に限定するものでない。
ここで、光ファイバケーブル20eの垂直トレイ燃焼試験におけるシース燃焼距離は、105cm程度であったので、設計ラインの140cmをかなり下回った。また、光ファイバケーブル20eについて、算出した総燃焼熱量(883kcal/m(=98.1(図14参照)×9))、及び測定したシース燃焼距離(105cm)は、近似曲線a及びbの付近に位置するので、本実施形態の光ファイバケーブル20eの設計方法の有効性が実証された。
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル20d及び20eの設計方法によれば、試験体準備工程では、垂直トレイ燃焼試験を行う試験体として、少なくとも2種類の光ファイバケーブル20a及び20bを準備する。ここで、光ファイバケーブル20a及び20bは、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ3aと、テンションメンバ3aの周囲に設けられた複数の光ファイバコード6と、テンションメンバ3aの側面に複数の光ファイバコード6を介して設けられた押え巻き7と、押え巻き7の外周にケーブル外被として設けられたシース層9とを備えている。そして、ケーブル燃焼熱量算出工程では、それぞれの試験体において、各構成部材の寸法及び比重により各構成部材の単位長さ当たりの重量を算出し、その重量に対応する構成部材の燃焼熱を乗じて各構成部材の単位長さ当たりの燃焼熱量を算出し、それらの算出した燃焼熱量の総和により、各試験体の単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出する。さらに、総燃焼熱量算出工程では、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量にIEEE1202で規定されたケーブル本数を乗じて各試験体の1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を算出する。そして、燃焼試験工程では、上述したように準備し、総燃焼熱量を算出した各試験体に対して、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行い、各試験体において、シース層9が燃焼したシース燃焼距離を測定する。ここで、IEEE1202の規格(垂直トレイ燃焼試験でトレイに設置するケーブル本数)を考慮して算出した1燃焼試験当たりの総燃焼熱量と、実際のIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験で測定したシース燃焼距離との間には、図10に示すように、正の相関関係がある。そのため、相関近似工程では、総燃焼熱量とシース燃焼距離との相関関係を近似する近似曲線a及びbを求め、目標総燃焼熱量導出工程では、近似曲線bにおいて、予め設定した目標シース燃焼距離に対応する目標総燃焼熱量を導出する。そして、構成部材選定工程では、目標総燃焼熱量を超えないように、テンションメンバ3a(3b)、各光ファイバコード6、押え巻き7及びシース層9の各構成部材を選定することにより、垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブル20d及び20eを設計することができる。これにより、光ファイバケーブル20d及び20eを設計する際には、総燃焼熱量を指標にすることができるので、可燃材料を難燃材料に場当たり的に置き換えることなく、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブル20d及び20eを効率的に設計することができる。また、目標総燃焼熱量を超えないようにケーブルを設計するに当たり、安全率を予め設定しておき、それを乗じて設計してもよい。
また、本実施形態の光ファイバケーブル20d及び20eの設計方法によれば、ケーブル燃焼熱量算出工程では、それぞれの試験体において、各構成部材を可燃材料と難燃材料とに区分し、可燃材料と区分した構成材料だけの単位長さ当たりの燃焼熱量を算出し、その算出した燃焼熱量の総和により、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出するので、ケーブル燃焼熱量の算出を単純化させることができる。
また、本実施形態の光ファイバケーブル20d(20e)によれば、複数の光ファイバコード6(6a)が周囲に設けられたテンションメンバ3cは、抗張力線1と、その抗張力線1を被覆するように設けられた樹脂製の被覆層2とを備えている。また、各光ファイバコード6(6a)は、光ファイバ心線4と、その光ファイバ心線4を被覆するように設けられたコード層5(5a)とを備えている。そして、被覆層2の一部、コード層5(5a)の一部及びシース層9(9a)の一部は、難燃性樹脂により形成されているので、樹脂製の被覆層2において、その全部を難燃性樹脂により形成する場合よりも、ケーブルを低コストで提供することができる。ここで、被覆層2における難燃性樹脂により形成される部分の比率が高いほど、総燃焼熱量が低くなるため、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験におけるシース燃焼距離が短くなるので、その光ファイバケーブルは、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験に適合し易くなる。そのため、目標とするシース燃焼距離に合わせて、被覆層2における難燃性樹脂により形成される部分の比率を可及的に低く設定することにより、垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブルを可及的に低コストで得ることができる。したがって、垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブル20d及び20eを可及的に低コストで提供することができる。また、光ファイバケーブル20d及び20eを構成する構成部材に使用されている可燃材料を難燃材料に全て置き換えるわけではないので、ケーブルの製造工程や製造条件等を大幅に変更することなく、垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブル20d及び20eを可及的に低コストで提供することができる。
また、本実施形態の光ファイバケーブル20d(20e)によれば、テンションメンバ3cの周囲に12本の光ファイバコード6(6a)が設けられているので、例えば、テンションメンバ3aの周囲に6本や8本の光ファイバコードが設けられる場合よりも、テンションメンバ3cの外径が大きくなる。ここで、テンションメンバ3cの外径を大きくするには、抗張力線1の直径を大きくすることが考えられる。しかしながら、抗張力線1の直径が大きくなると、光ファイバケーブル自体が曲げ難くなるので、抗張力線1の直径を変えずに、抗張力線1を被覆する被覆層2の厚さを厚くすることが好適である。そして、被覆層2の厚さを厚くすると、可燃材料の量が増えることになるので、この可燃材料を難燃材料に置き換えることが考えられる。しかしながら、被覆層2の全てを難燃材料により形成すると、抗張力線1との密着性が著しく低下することが分かった。そこで、抗張力線1と被覆層2との間に接着層を設けたりする新たな工程を追加する等の抗張力線との密着性を向上させる種々の検討を行ったところ、抗張力線1の側面に抗張力線1との密着性のよい第1被覆層2aを押出成形により形成した後に、その第1被覆層2aの側面に第2被覆層2cを押出成形により形成する製造工程とすることにより、ケーブルの製造工程を大幅に変更することなく、第1被覆層2a及び第2被覆層2cからなる被覆層2と抗張力線1との密着性を確保すると共に、十分な難燃効果を得ることができることが分かった。
また、本実施形態の光ファイバケーブル20d(20e)によれば、抗張力線1が鋼線であり、第1被覆層2aがポリエチレン樹脂製であり、第2被覆層2cが難燃性ポリエチレン樹脂製であるので、互いに密着性が低い鋼線の抗張力線1と難燃性ポリエチレン樹脂製の第2被覆層2cとの間に、鋼線の抗張力線1及び難燃性ポリエチレン樹脂製の第2被覆層2cの双方との密着性が高いポリエチレン樹脂製の第1被覆層2aが介在する。そのため、第1被覆層2a及び第2被覆層2cからなる被覆層2と、抗張力線1との密着性を確保することができる。さらに、コード層5(5a)の一部及びシース層9(9a)の一部は、難燃性ポリ塩化ビニル樹脂製(難燃性ポリエチレン樹脂製)であるので、第1被覆層2a及び第2被覆層2cからなる被覆層2と抗張力線1との密着性を確保して、垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブル20d(20e)を可及的に低コストで提供することができる。
《発明の実施形態2》
図15は、本実施形態のノンメタリック型の光ファイバケーブル30aの横断面図である。また、図16は、光ファイバケーブル30aの構成部材を示す表である。
上記実施形態1では、(メタリックの)コード型の光ファイバケーブル20d及び20e並びにそれらの設計方法を例示したが、本実施形態では、ノンメタリックのコード型の光ファイバケーブル30a及びその設計方法を例示する。
光ファイバケーブル30aは、図15に示すように、ケーブル中心から順に設けられたテンションメンバ13a、12本の光ファイバコード16、押え巻き17、引き裂き紐18及びシース層19を備えている。
テンションメンバ13aは、図15に示すように、ケーブル中心に設けられている。また、テンションメンバ13aは、図15に示すように、抗張力線11と、抗張力線11を被覆する、すなわち、抗張力線11の側面を覆うように設けられた被覆層12とを備えている。ここで、抗張力線11は、図16に示すように、例えば、FRP(fiber reinforced plastics)により形成されている。また、被覆層12は、図15に示すように、抗張力線11側に設けられた第1被覆層12aと、第1被覆層12aの側面を覆うように設けられた第2被覆層12bとを備えている。
第1被覆層12a及び第2被覆層12bは、図16に示すように、例えば、ポリエチレン樹脂に水酸化マグネシウム等の難燃剤の粉末が添加された難燃性ポリエチレン樹脂等からなるハロゲン元素を含まない難燃性樹脂により形成されている。また、第1被覆層12a及び第2被覆層12bの酸素指数は、27%以上、好ましくは30%以上(例えば、32%)である。さらに、第2被覆層12bの側面は、テンションメンバ13aと光ファイバコード16との間の摩擦を低減して、光ファイバケーブル30aがスムーズに曲がるように、滑らかに形成されている。
12本の光ファイバコード16は、図15に示すように、テンションメンバ13aの周囲に設けられている。ここで、各光ファイバコード16は、図15に示すように、光ファイバ心線14と、光ファイバ心線14の側面を覆うように設けられたコード層15とを備えている。また、各光ファイバコード16は、テンションメンバ13aの周囲に所定のピッチで螺旋状に配置されている。
光ファイバ心線14は、図16に示すように、例えば、光を伝搬させるための石英製の光ファイバ(不図示)と、その光ファイバの側面を覆うように設けられたシリコーン樹脂からなる第1被覆層(不図示)と、その第1被覆層の側面を覆うように設けられたポリアミド樹脂からなる第2被覆層(不図示)とを備えている。
コード層15は、図16に示すように、例えば、光ファイバ心線14の側面に縦添えで配置されたアラミド繊維からなる補強繊維(不図示)と、その補強繊維の側面を覆うように設けられた難燃性のポリ塩化ビニル樹脂(例えば、酸素指数45〜49%)からなる被覆層(不図示)とを備えている。なお、本実施形態では、コード層15の被覆層として、難燃性のポリ塩化ビニル樹脂製の被覆層を例示したが、コード層15の被覆層は、ポリエチレン樹脂等のハロゲン元素を含まない樹脂に、ハロゲン元素を含まない難燃剤(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、リン化合物等)を配合してなるノンハロゲン難燃性樹脂製であってもよい。
押え巻き17は、図15に示すように、テンションメンバ13aの側面に12本の光ファイバコード16を介して設けられている。ここで、押え巻き17は、図16に示すように、例えば、ポリエステル樹脂からなる不織布である。
引き裂き紐18は、シース層19を引き裂くために、図15に示すように、押え巻き17及びシース層19の間で押え巻き17に縦添えするように設けられている。ここで、引き裂き紐18は、図16に示すように、例えば、アラミド繊維により形成されている。
シース層19は、図15に示すように、押え巻き17の外周にケーブル外被として設けられている。ここで、シース層19は、図16に示すように、例えば、難燃性のポリ塩化ビニル樹脂(例えば、酸素指数45〜49%)により形成されている。なお、本実施形態では、難燃性のポリ塩化ビニル樹脂製のシース層19を例示したが、シース層19は、ポリエチレン樹脂等のハロゲン元素を含まない樹脂に、ハロゲン元素を含まない難燃剤(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、リン化合物等)を配合してなるノンハロゲン難燃性樹脂製であってもよい。
上記構成の光ファイバケーブル30aは、テンションメンバ13aの周囲に設けられた各光ファイバコード16の光ファイバ心線14内で光をそれぞれ伝搬するようになっている。なお、上述した光ファイバケーブル30aを構成する構成部材の材質等は、一例であり、これらに限定するものではない。
光ファイバケーブル30aを製造する際には、まず、抗張力線11の側面に難燃性のポリエチレン樹脂組成物を押出成形して第1被覆層12aを形成し、続いて、第1被覆層12aの側面に難燃性のポリエチレン樹脂組成物を押出成形して第2被覆層12bを形成することにより、テンションメンバ13aを作製する。さらに、テンションメンバ13aの周囲に公知の方法で作製された12本の光ファイバコード16を所定のピッチで互いに並行に延びるように螺旋状に巻回させ、その周囲に押え巻き17を螺旋状に巻く。最後に、押え巻き17の外周面に引き裂き紐18を縦添えした状態で難燃性のポリ塩化ビニル樹脂組成物を押出成形して、シース層19を形成する。
次に、本実施形態の光ファイバケーブル30aを設計する方法について説明する。ここで、ノンメタリック(のコード)型の光ファイバケーブル30aは、ケーブルのタイプが異なるものの、上記実施形態1で説明した(メタリックの)コード型の光ファイバケーブルの設計方法を利用して設計することができる。
〜ノンメタリック型の光ファイバケーブルの設計方法〜
図17は、ノンメタリック型の光ファイバケーブル30aを設計するために用いた比較例1のノンメタリック型の光ファイバケーブル130aの横断面図である。また、図18は、光ファイバケーブル130aの構成部材を示す表である。また、図19は、光ファイバケーブル30aを設計するために用いた比較例2のノンメタリック型の光ファイバケーブル130bの横断面図である。また、図20は、光ファイバケーブル130bの構成部材を示す表である。なお、光ファイバケーブル130a及び130bにおいて、上述した光ファイバケーブル30aと同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。ここで、光ファイバケーブル30aの構成部材を示す図16、光ファイバケーブル130a及び130bの構成部材を示す図18及び図20、後述する実施形態3の光ファイバケーブル30bの構成部材を示す図22、実施形態3の比較例の光ファイバケーブル130cの構成部材を示す図24、実施形態4の光ファイバケーブル40aの構成部材を示す図26、実施形態4の比較例の光ファイバケーブル140の構成部材を示す図28、実施形態5の光ファイバケーブル40bの構成部材を示す図30、並びに実施形態6の光ファイバケーブル40cの構成部材を示す図32の各表において、可燃性の有無の判別基準は、上述したコード型の光ファイバケーブル20a〜20eにおける可燃性の有無の判別基準と同じである。
光ファイバケーブル130aは、図17に示すように、ケーブル中心から順に設けられたテンションメンバ113a、12本の光ファイバコード16、押え巻き17、引き裂き紐18及びシース層19を備えている。
テンションメンバ113aは、図17に示すように、ケーブル中心に設けられている。また、テンションメンバ113aは、図17に示すように、抗張力線11と、抗張力線11の側面を覆うように設けられた被覆層112aとを備えている。ここで、被覆層112aは、図17に示すように、抗張力線11側に設けられた第1被覆層62aと、第1被覆層62aの側面を覆うように設けられた第2被覆層62bとを備えている。
第1被覆層62a及び第2被覆層62bは、図18に示すように、例えば、ポリエチレン樹脂により形成されている。
上記構成の光ファイバケーブル130aについて、上述したコード型の光ファイバケーブルの設計方法と同様に、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出すると、図18に示すように、328.9kcal/mとなり、さらに、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を算出すると、2960kcal/m(=328.9×9)となる。なお、光ファイバケーブル130aについて、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行ったところ、シース燃焼距離は、170cm程度で合格ライン(150cm)を超えていた。ここで、光ファイバケーブル130aでは、シース燃焼距離がIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験で規定された合格ラインを超えるので、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を小さくする必要がある。
光ファイバケーブル130bは、図19に示すように、ケーブル中心から順に設けられたテンションメンバ113b、12本の光ファイバコード16、押え巻き17、引き裂き紐18及びシース層19を備えている。
テンションメンバ113bは、図19に示すように、ケーブル中心に設けられている。また、テンションメンバ113bは、図19に示すように、抗張力線11と、抗張力線11の側面を覆うように設けられた被覆層112bとを備えている。ここで、被覆層112bは、図19に示すように、抗張力線11側に設けられた第1被覆層62aと、第1被覆層62aの側面を覆うように設けられた第2被覆層12bとを備えている。
上記構成の光ファイバケーブル130bについて、上述したコード型の光ファイバケーブルの設計方法と同様に、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出すると、図20に示すように、155.2kcal/mとなり、さらに、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を算出すると、1397kcal/m(=155.2×9)となる。ここで、光ファイバケーブル130bでは、シース燃焼距離がIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験で規定された合格ライン及び設計ライン(140cm)を超える可能性が高いので、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量をさらに小さくする必要がある。
そこで、本実施形態の光ファイバケーブル30aでは、図15及び図16に示すように、被覆層12を構成する第1被覆層12a及び第2被覆層12bを難燃性ポリエチレン樹脂により形成することにより、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を917kcal/m(=101.9×9)とすることができる。ここで、光ファイバケーブル30aについて、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行ったところ、シース燃焼距離は、111cm程度(=(108+110+116)/3)であったので、設計ライン(140cm)を大幅に下回った。
以上のようにして、本実施形態の光ファイバケーブル30aを設計することができる。
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル30aによれば、12本の光ファイバコード16が周囲に設けられたテンションメンバ13aは、FRP製の抗張力線11と、抗張力線11を被覆するように設けられた被覆層12とを備えているので、ノンメタリック型の光ファイバケーブル30aが具体的に構成される。ここで、各光ファイバコード16は、光ファイバ心線14と、光ファイバ心線14を被覆するように設けられたコード層15とを備えている。そして、上記の構成の光ファイバケーブル30aでは、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験に適合させるために、光ファイバコード16のコード層15の一部、テンションメンバ13aの被覆層12、及びシース層19が難燃性樹脂により形成されている。そのため、ノンメタリック型の光ファイバケーブル30aを構成する構成部材に使用されている可燃材料を難燃材料に全て置き換える場合よりも、ケーブルを低コストで提供することができる。ここで、この低コストの光ファイバケーブル30aを提供するには、コード層15の一部、被覆層12及びシース層19に使用されている材料を変更するだけでよいので、ケーブルの製造工程や製造条件等を大幅に変更する必要がない。したがって、垂直トレイ燃焼試験に適合するノンメタリック型の光ファイバケーブル30aを可及的に低コストで提供することができる。
また、本実施形態の光ファイバケーブル30aによれば、テンションメンバ13aの周囲に12本の光ファイバコード16が設けられているので、後述する実施形態3のテンションメンバ13cの周囲に8本の光ファイバコード16が設けられた場合(8心の光ファイバケーブル)よりも、テンションメンバ13aの外径が大きくなる。ここで、テンションメンバ13aの外径を大きくするには、抗張力線11の直径を大きくすることが考えられる。しかしながら、抗張力線11の直径が大きくなると、ケーブル自体が曲げ難くなるので、抗張力線11の直径を変えずに、抗張力線11を被覆する被覆層12の厚さを厚くすることが好適である。そして、テンションメンバ13aの被覆層12は、抗張力線側に設けられた第1被覆層12aと、第1被覆層12aを被覆するように設けられた第2被覆層12bとを備えている。そのため、抗張力線1を第1被覆層12aだけで被覆したテンションメンバ13cを8心の光ファイバケーブル30bに用い、テンションメンバ13cの第1被覆層12aを第2被覆層12bで被覆したテンションメンバ13aをその周囲に12本の光ファイバコード16が設けられる12心の光ファイバケーブル30aに用いることにより、ケーブルを構成する構成部材の共用化を図ることができる。
また、本実施形態の光ファイバケーブル30aによれば、第1被覆層12a及び第2被覆層12bが難燃性ポリエチレン樹脂製であるので、FRP製の抗張力線11と第1被覆層12a及び第2被覆層12bからなる被覆層12との接着性を確保して、ノンメタリック型の光ファイバケーブル30aの難燃性を向上させることができる。
《発明の実施形態3》
図21は、本実施形態のノンメタリック型の光ファイバケーブル30bの横断面図である。また、図22は、光ファイバケーブル30bの構成部材を示す表である。なお、本実施形態において、図15及び図16と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記実施形態2では、ノンメタリック型の12心の光ファイバケーブル30aを例示したが、本実施形態では、ノンメタリック型の8心の光ファイバケーブル30bを例示する。
光ファイバケーブル30bは、図21に示すように、ケーブル中心から順に設けられたテンションメンバ13c、8本の光ファイバコード16、押え巻き17、引き裂き紐18及びシース層19を備えている。
テンションメンバ13cは、図21に示すように、ケーブル中心に設けられている。また、テンションメンバ13cは、図21に示すように、抗張力線11と、抗張力線11の側面を覆うように設けられた被覆層12cとを備えている。ここで、被覆層12cは、図22に示すように、例えば、ポリエチレン樹脂に水酸化マグネシウム等の難燃剤の粉末が添加された難燃性ポリエチレン樹脂等からなるハロゲン元素を含まない難燃性樹脂により形成されている。また、被覆層12cの酸素指数は、27%以上、好ましくは30%以上(例えば、32%)である。さらに、被覆層12cの側面は、テンションメンバ13cと光ファイバコード16との間の摩擦を低減して、光ファイバケーブル30bがスムーズに曲がるように、滑らかに形成されている。
8本の光ファイバコード16は、図21に示すように、テンションメンバ13cの周囲に設けられている。ここで、各光ファイバコード16は、テンションメンバ13cの周囲に所定のピッチで螺旋状に配置されている。
なお、本実施形態では、難燃性のポリ塩化ビニル樹脂製のシース層19を例示したが、シース層19は、ポリエチレン樹脂等のハロゲン元素を含まない樹脂に、ハロゲン元素を含まない難燃剤(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、リン化合物等)を配合してなるノンハロゲン難燃性樹脂製であってもよい。
上記構成の光ファイバケーブル30bは、テンションメンバ13cの周囲に設けられた各光ファイバコード16の光ファイバ心線14内で光をそれぞれ伝搬するようになっている。なお、上述した光ファイバケーブル30bを構成する構成部材の材質等は、一例であり、これらに限定するものではない。
光ファイバケーブル30bを製造する際には、まず、抗張力線11の側面に難燃性のポリエチレン樹脂組成物を押出成形して被覆層12cを形成することにより、テンションメンバ13cを作製する。さらに、テンションメンバ13cの周囲に公知の方法で作製された8本の光ファイバコード16を所定のピッチで互いに並行に延びるように螺旋状に巻回させ、その周囲に押え巻き17を螺旋状に巻く。最後に、押え巻き17の外周面に引き裂き紐18を縦添えした状態で難燃性のポリ塩化ビニル樹脂組成物を押出成形して、シース層19を形成する。
次に、本実施形態の光ファイバケーブル30bを設計する方法について説明する。ここで、図23は、光ファイバケーブル30bを設計するために用いた比較例のノンメタリック型の光ファイバケーブル130cの横断面図である。また、図24は、光ファイバケーブル130cの構成部材を示す表である。なお、光ファイバケーブル130cにおいて、上述した光ファイバケーブル30a及び30bと同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
光ファイバケーブル130cは、図23に示すように、ケーブル中心から順に設けられたテンションメンバ113c、8本の光ファイバコード16、押え巻き17、引き裂き紐18及びシース層19を備えている。
テンションメンバ113cは、図23に示すように、ケーブル中心に設けられている。また、テンションメンバ113cは、図23に示すように、抗張力線11と、抗張力線11の側面を覆うように設けられた被覆層112cとを備えている。
被覆層112cは、図24に示すように、例えば、ポリエチレン樹脂により形成されている。
上記構成の光ファイバケーブル130cについて、上述したコード型の光ファイバケーブルの設計方法と同様に、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出すると、図24に示すように、183.6kcal/mとなり、さらに、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を算出すると、2020kcal/m(=183.6×11)となる。なお、光ファイバケーブル130cについて、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行ったところ、シース燃焼距離は、150cm程度で合格ライン(150cm)と同等であった。ここで、光ファイバケーブル130cでは、シース燃焼距離がIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験で規定された合格ライン程度であるので、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を小さくする必要がある。
そこで、本実施形態の光ファイバケーブル30bでは、図21及び図22に示すように、被覆層12cを難燃性ポリエチレン樹脂により形成することにより、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を913kcal/m(=83.0×11)とすることができる。ここで、光ファイバケーブル30bについて、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行ったところ、シース燃焼距離は、123cm程度(=(120+121+129)/3)であったので、設計ライン(140cm)をかなり下回った。
以上のようにして、本実施形態の光ファイバケーブル30bを設計することができる。
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル30bによれば、8本の光ファイバコード16が周囲に設けられたテンションメンバ13cは、FRP製の抗張力線11と、抗張力線11を被覆するように設けられた被覆層12cとを備えているので、ノンメタリック型の光ファイバケーブル30bが具体的に構成される。ここで、各光ファイバコード16は、光ファイバ心線14と、光ファイバ心線14を被覆するように設けられたコード層15とを備えている。そして、上記の構成の光ファイバケーブル30bでは、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験に適合させるために、光ファイバコード16のコード層15の一部、テンションメンバ13cの被覆層12c、及びシース層19が難燃性樹脂により形成されている。そのため、ノンメタリック型の光ファイバケーブル30bを構成する構成部材に使用されている可燃材料を難燃材料に全て置き換える場合よりも、ケーブルを低コストで提供することができる。ここで、この低コストの光ファイバケーブル30bを提供するには、コード層15の一部、被覆層12c及びシース層19に使用されている材料を変更するだけでよいので、ケーブルの製造工程や製造条件等を大幅に変更する必要がない。したがって、垂直トレイ燃焼試験に適合するノンメタリック型の光ファイバケーブル30bを可及的に低コストで提供することができる。
また、本実施形態の光ファイバケーブル30bによれば、被覆層12cが難燃性ポリエチレン樹脂製であるので、FRP製の抗張力線11と被覆層12cとの接着性を確保して、ノンメタリック型の光ファイバケーブル30bの難燃性を向上させることができる。
《発明の実施形態4》
図25は、本実施形態の層型の光ファイバケーブル40aの断面図である。また、図26は、光ファイバケーブル40aの構成部材を示す表である。
上記実施形態1では、コード型の光ファイバケーブル20d及び20e並びにそれらの設計方法を例示したが、本実施形態では、層型の光ファイバケーブル40a及びその設計方法を例示する。
光ファイバケーブル40aは、図25に示すように、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ23aと、テンションメンバ23aの周囲に設けられた12本の光ファイバ心線24と、12本の光ファイバ心線24の集合体の周囲に設けられた緩衝層25aと、緩衝層25aの周囲に設けられた押え巻き27aと、押え巻き27aの周囲にケーブル外被として設けられたシース層29aと、押え巻き27a及びシース層29aの間に設けられ、シース層29aを引き裂くための引き裂き紐28とを備えている。
テンションメンバ23aは、図25及び図26に示すように、例えば、鋼線等からなる抗張力線21と、抗張力線21の側面を覆うように設けられたポリエチレン樹脂等からなる樹脂製の被覆層22とを備えている。ここで、被覆層22の側面は、テンションメンバ23aと各光ファイバ心線24との間の摩擦を低減して、光ファイバケーブル40aがスムーズに曲がるように、滑らかに形成されていることが好ましい。
光ファイバ心線24は、図26に示すように、例えば、光を伝搬させるための石英製の光ファイバ(不図示)と、その光ファイバの側面を覆うように設けられたシリコーン樹脂等からなる樹脂製の第1被覆層(不図示)と、その第1被覆層の側面を覆うように設けられたポリアミド樹脂等からなる樹脂製の第2被覆層(不図示)とを備えている。なお、光ファイバ心線24の第1被覆層は、図26に示すように、相対的に高比重(1.08g/cm)の内側のシリコーン層と、相対的に低比重(1.05g/cm)の外側のシリコーン層とを備えている。ここで、各光ファイバ心線24は、テンションメンバ23aの周囲に所定のピッチで螺旋状に配置されている。
緩衝層25aは、図26に示すように、例えば、ポリプロピレン樹脂等からなる樹脂製の撚り糸により構成されている。
押え巻き27aは、図26に示すように、例えば、ポリエステル樹脂等からなる樹脂製の不織布である。
引き裂き紐28は、図26に示すように、例えば、アラミド繊維等により形成され、押え巻き27aに縦添えするように設けられている。
シース層29aは、図26に示すように、例えば、押え巻き27a側に設けられたアルミニウム合金等からなる筒状の金属シート(不図示)と、その金属シートの側面を覆うように設けられた難燃性のポリ塩化ビニル樹脂(例えば、酸素指数45〜49%)等からなる樹脂製の被覆層(不図示)とを備えている。ここで、シース層29aの厚さは、ケーブル外径が13mm以上になるように設定されている。なお、本実施形態では、難燃性のポリ塩化ビニル樹脂製のシース層29aを例示したが、シース層29aは、ポリエチレン樹脂等のハロゲン元素を含まない樹脂に、ハロゲン元素を含まない難燃剤(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、リン化合物等)を配合してなるノンハロゲン難燃性樹脂製であってもよい。
上記構成の光ファイバケーブル40aは、テンションメンバ23aの周囲に設けられた各光ファイバ心線24内で光をそれぞれ伝搬するようになっている。
光ファイバケーブル40aを製造する際には、まず、抗張力線21の側面に、ポリエチレン樹脂組成物を押出成形して被覆層22を形成することにより、テンションメンバ23aを作製する。続いて、テンションメンバ23aの周囲に公知の方法で作製された12本の光ファイバ心線24を所定のピッチで互いに並行に延びるように螺旋状に巻回させ、その周囲にポリプロピレン樹脂製の撚り糸を螺旋状に巻いて緩衝層25aを形成した後に、緩衝層25aの周囲にポリエステル樹脂製の不織布を螺旋状に巻いて押え巻き27aを形成する。さらに、押え巻き27aの外周面に、引き裂き紐28を縦添えした状態でアルミニウム合金シートを縦添えで筒状に貼り付けた後に、難燃性のポリ塩化ビニル樹脂組成物を押出成形して、シース層29aを形成する。なお、アルミニウム合金シートの一方の表面には、接着剤が塗布されている。ここで、押え巻き27aの外周面にアルミニウム合金シートを貼り付ける際には、アルミニウム合金シートの両端を1mm以上5mm以下で重ねて接着することにより、アルミニウム合金シートが筒状に保持されるので、ケーブルの外径方向の気密性が確保され、燃焼時のケーブル内部からの燃焼ガスの透過を遮断でき、ケーブルの難燃性を維持することができる。なお、アルミニウム合金シートの両端の重ね合わせは、ケーブルの外径方向の気密性が確保される範囲で難燃性が維持でき、そういう効果を得ることができるのであれば、上述した範囲を特に限定するものでない。
次に、本実施形態の光ファイバケーブル40aを設計する方法について説明する。ここで、層型の光ファイバケーブル40aは、ケーブルのタイプが異なるものの、上記実施形態1で説明したコード型の光ファイバケーブルの設計方法を利用して設計することができる。
〜層型の光ファイバケーブルの設計方法〜
図27は、層型の光ファイバケーブル40aを設計するために用いた比較例の層型の光ファイバケーブル140の断面図である。また、図28は、光ファイバケーブル140の構成部材を示す表である。なお、光ファイバケーブル140において、上述した光ファイバケーブル40aと同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
光ファイバケーブル140は、図27に示すように、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ23aと、テンションメンバ23aの周囲に設けられた12本の光ファイバ心線24と、12本の光ファイバ心線24の集合体の周囲に設けられた緩衝層25aと、緩衝層25aの周囲に設けられた押え巻き27aと、押え巻き27aの周囲にケーブル外被として設けられたシース層29bと、押え巻き27a及びシース層29bの間に設けられ、シース層29bを引き裂くための引き裂き紐28とを備えている。
シース層29bは、図28に示すように、例えば、押え巻き27a側に設けられたアルミニウム合金等からなる筒状の金属シート(不図示)と、その金属シートの側面を覆うように設けられた難燃性のポリ塩化ビニル樹脂(例えば、酸素指数45〜49%)等からなる樹脂製の被覆層(不図示)とを備えている。
上記構成の光ファイバケーブル140について、上述したコード型の光ファイバケーブルの設計方法と同様に、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出すると、図28に示すように、168.0kcal/mとなり、さらに、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を算出すると、3528kcal/m(=168.0×21)となる。ここで、光ファイバケーブル140について、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行ったところ、シース燃焼距離は、150cm程度で合格ライン(150cm)と同程度であった。
光ファイバケーブル140では、シース燃焼距離がIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験で規定された合格ラインを超える可能性が高いので、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を小さくする必要がある。そこで、本実施形態の光ファイバケーブル40aでは、図26に示すように、シース層19aを構成する樹脂製の被覆層の厚さを(シース層19bの1.95mmから)3mmに厚く形成して、ケーブル外径を(光ファイバケーブル140の11.0mmから)13.1mmに大きくすることにより、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を1848kcal/m(=168.0×11)とすることができる。
以上のようにして、本実施形態の光ファイバケーブル40aを設計することができる。
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル40aによれば、光ファイバケーブル40aは、ケーブル中心から順に設けられたテンションメンバ23a、12本の光ファイバ心線24、緩衝層25a、押え巻き27a及びシース層29aを備え、層型の構成になっている。そして、光ファイバケーブル40aのケーブル外径は、13mm以上になっているので、IEEE1202に規定されたケーブル外径とケーブル本数との対応表により、1回の垂直トレイ燃焼試験で使用するケーブル本数が光ファイバケーブル140の21本から11本になる。そのため、垂直トレイ燃焼試験の際にトレイに敷設する光ファイバケーブル40aの本数が少なくなって、トレイに敷設される可燃物の重量を減らすことができる。これにより、垂直トレイ燃焼試験において、光ファイバケーブル40aのシース層29aが燃焼する距離を短くすることができるので、光ファイバケーブル40aが垂直トレイ燃焼試験に適合し易くなる。ここで、シース層29aの厚さは、ケーブル外径が13mm以上になるように設定されている。これにより、光ファイバケーブル40aを製造する際に、ケーブル外被のシース層29aを厚く形成するだけで、ケーブル外径が13mm以上になるので、垂直トレイ燃焼試験に適合する層型の光ファイバケーブル40aを可及的に低コストで提供することができる。
《発明の実施形態5》
図29は、本実施形態の層型の光ファイバケーブル40bの断面図である。また、図30は、光ファイバケーブル40bの構成部材を示す表である。なお、以下の各実施形態において、図25〜図28と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記実施形態4では、垂直トレイ燃焼試験に適合させるために、相対的に厚く形成されたシース層29aを備えた光ファイバケーブル40aを例示したが、本実施形態では、シース層29aだけでなく、難燃材料からなる緩衝層25bも備えた光ファイバケーブル40bを例示する。
光ファイバケーブル40bは、図29に示すように、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ23aと、テンションメンバ23aの周囲に設けられた12本の光ファイバ心線24と、12本の光ファイバ心線24の集合体の周囲に設けられた緩衝層25bと、緩衝層25bの周囲に設けられた押え巻き27aと、押え巻き27aの周囲にケーブル外被として設けられたシース層29aと、押え巻き27a及びシース層29aの間に設けられ、シース層29aを引き裂くための引き裂き紐28とを備えている。
緩衝層25bは、図30に示すように、例えば、難燃性のポリプロピレン樹脂等のハロゲン元素を含まない難燃性樹脂からなる樹脂製の撚り糸により構成されている。なお、緩衝層25bを形成する難燃性のポリプロピレン樹脂の酸素指数は、27%以上である。
上記構成の光ファイバケーブル40bは、上記実施形態4で説明した光ファイバケーブル40aを製造する方法において、緩衝層25aを形成するためのポリプロピレン樹脂製の撚り糸を難燃性のポリプロピレン樹脂製の撚り糸に変更することにより、製造することができる。
本実施形態の光ファイバケーブル40bでは、図30に示すように、難燃材料からなる緩衝層25bを用いることにより、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量が94.0kcal/mとなり、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を1034kcal/m(=94.0×11)とすることができる。
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル40bによれば、上記実施形態4の光ファイバケーブル40aと同様に、ケーブル外径が13mm以上になるようにシース層29aの厚さが設定されているので、垂直トレイ燃焼試験に適合する層型の光ファイバケーブル40bを可及的に低コストで提供することができる。
また、本実施形態の光ファイバケーブル40bによれば、緩衝層25bが難燃性樹脂により形成されているので、層型の光ファイバケーブル40bの難燃性を向上させることができる。
《発明の実施形態6》
図31は、本実施形態の層型の光ファイバケーブル40cの断面図である。また、図32は、光ファイバケーブル40cの構成部材を示す表である。
上記実施形態5では、垂直トレイ燃焼試験に適合させるために、相対的に厚く形成されたシース層29aと、難燃材料からなる緩衝層25bとを備えた光ファイバケーブル40bを例示したが、本実施形態では、シース層29a及び緩衝層25bだけでなく、難燃材料からなる第2被覆層22bと、難燃材料からなる押え巻き27bとも備えた光ファイバケーブル40cを例示する。
光ファイバケーブル40cは、図31に示すように、ケーブル中心に設けられたテンションメンバ23bと、テンションメンバ23bの周囲に設けられた12本の光ファイバ心線24と、12本の光ファイバ心線24の集合体の周囲に設けられた緩衝層25bと、緩衝層25bの周囲に設けられた押え巻き27bと、押え巻き27bの周囲にケーブル外被として設けられたシース層29aと、押え巻き27b及びシース層29aの間に設けられ、シース層29aを引き裂くための引き裂き紐28とを備えている。
テンションメンバ23bは、図31に示すように、鋼線等からなる抗張力線21と、抗張力線21の側面を覆うように設けられた樹脂製の被覆層22とを備えている。
被覆層22は、図31及び図32に示すように、抗張力線21側に設けられたポリエチレン樹脂等からなる第1被覆層22aと、第1被覆層22aの側面を覆うように設けられた難燃性のポリエチレン樹脂等のハロゲン元素を含まない難燃性樹脂からなる第2被覆層22bとを備えている。
第2被覆層22bは、例えば、ポリエチレン樹脂に水酸化マグネシウム等の難燃剤の粉末を添加して形成されている。なお、第2被覆層22bを形成する難燃性のポリエチレン樹脂の酸素指数は、27%以上である。また、第1被覆層22aの酸素指数は、第2被覆層22bの酸素指数よりも小さく、例えば、17〜18%である。
第2被覆層22bの側面は、テンションメンバ23bと各光ファイバ心線24との間の摩擦を低減して、光ファイバケーブル40cがスムーズに曲がるように、滑らかに形成されていることが好ましい。
押え巻き27bは、図32に示すように、例えば、難燃性のポリエステル樹脂等のハロゲン元素を含まない難燃性樹脂からなる樹脂製の不織布である。なお、押え巻き27bを形成する難燃性のポリエステル樹脂の酸素指数は、27%以上である。
上記構成の光ファイバケーブル40cは、上記実施形態4で説明した光ファイバケーブル40aを製造する方法において、抗張力線21の側面に、ポリエチレン樹脂組成物を押出成形して第1被覆層22aを形成した後に、その側面に難燃性のポリエチレン樹脂組成物を押出成形して第2被覆層22bを形成することにより、テンションメンバ23bを作製し、緩衝層25aを形成するためのポリプロピレン樹脂製の撚り糸を難燃性のポリプロピレン樹脂製の撚り糸に変更し、押え巻き27aを形成するためのポリエステル樹脂製の不織布を難燃性のポリエステル樹脂製の不織布に変更することにより、製造することができる。
本実施形態の光ファイバケーブル40cは、図32に示すように、難燃材料からなる緩衝層25b、第2被覆層22b及び押え巻き27bを用いることにより、単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量が62.1kcal/mとなり、1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を683kcal/m(=62.1×11)とすることができる。
以上説明したように、本実施形態の光ファイバケーブル40cによれば、上記実施形態4及び5の光ファイバケーブル40a及び40bと同様に、ケーブル外径が13mm以上になるようにシース層29aの厚さが設定されているので、垂直トレイ燃焼試験に適合する層型の光ファイバケーブル40cを可及的に低コストで提供することができる。
また、本実施形態の光ファイバケーブル40cによれば、上記実施形態5の光ファイバケーブル40bと同様に、緩衝層25bが難燃性樹脂により形成されているので、層型の光ファイバケーブル40cの難燃性を向上させることができる。
また、本実施形態の光ファイバケーブル40cによれば、テンションメンバ23bの周囲に12本の光ファイバ心線24が設けられているので、例えば、テンションメンバの周囲に6本や8本の光ファイバ心線が設けられる場合よりも、テンションメンバ23bの外径が大きくなる。ここで、テンションメンバ23bの外径を大きくするには、抗張力線21の直径を大きくすることが考えられる。しかしながら、抗張力線21の直径が大きくなると、光ファイバケーブル自体が曲げ難くなるので、抗張力線21の直径を変えずに、抗張力線21を被覆する被覆層22の厚さを厚くすることが好適である。そして、被覆層22の厚さを厚くすると、可燃材料の量が増えることになるので、この可燃材料を難燃材料に置き換えることが考えられる。しかしながら、被覆層22の全てを難燃材料により形成すると、抗張力線21との密着性が著しく低下することが分かった。そこで、抗張力線21と被覆層22との間に接着層を設けたりする新たな工程を追加する等の抗張力線21との密着性を向上させる種々の検討を行ったところ、抗張力線21の側面に抗張力線21との密着性のよい第1被覆層22aを形成した後に、第1被覆層22aの側面に第2被覆層22bを形成する製造工程とすることにより、ケーブルの製造工程を大幅に変更することなく、第1被覆層22a及び第2被覆層22bからなる被覆層22と抗張力線21との密着性を確保すると共に、十分な難燃効果を得ることができることが分かった。
また、本実施形態の光ファイバケーブル40cによれば、抗張力線21が鋼線であり、第1被覆層22aがポリエチレン樹脂製であり、第2被覆層22bが難燃性ポリエチレン樹脂製であるので、互いに密着性が低い鋼線の抗張力線21と難燃性ポリエチレン樹脂製の第2被覆層22bとの間に、鋼線の抗張力線21及び難燃性ポリエチレン樹脂製の第2被覆層22bの双方との密着性が高いポリエチレン樹脂製の第1被覆層22aが介在する。そのため、第1被覆層22a及び第2被覆層22bからなる被覆層22と、抗張力線21との密着性を確保することができる。
また、本実施形態の光ファイバケーブル40cによれば、押え巻き27bが難燃性樹脂により形成されているので、層型の光ファイバケーブル40cの難燃性をいっそう向上させることができる。
《その他の実施形態》
なお、上記各実施形態では、6心、8心及び12心の光ファイバケーブルを例示したが、本発明は、例えば、4心、10心、24心、32心等の他の心線数の光ファイバケーブルにも適用することができる。
また、上記各実施形態では、8本及び12本の光ファイバコード又は光ファイバ心線を備えて設計された8心及び12心の光ファイバケーブルを例示したが、8本及び12本の光ファイバコード又は光ファイバ心線のうち、何本かの光ファイバコード又は光ファイバ心線をダミーとしてもよい。
また、上記各実施形態では、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブルを例示したが、本発明は、IEEE1202の垂直トレイ燃焼試験以外の他の規定に適合する光ファイバケーブルにも適用することができる。
また、上記各実施形態では、押え巻きを備えた光ファイバケーブルを例示したが、本発明は、押え巻きが省略された光ファイバケーブルにも適用することができる。
また、上記各実施形態では、ケーブル外被のシース層の色に言及していないが、光ファイバケーブルの表面のシース層は、構成する樹脂に顔料を配合して、所定の色に着色されていてもよい。
以上説明したように、本発明は、IEEE1202等の垂直トレイ燃焼試験に適合する光ファイバケーブルを効率的に設計することができるので、例えば、原子力発電所向けの光ファイバケーブルについて有用である。
1,11,21 抗張力線
2,12,12c,22 被覆層
2a,12a,22a 第1被覆層
2c,12b,22b 第2被覆層
3a〜3c,13a,13c,23a,23b テンションメンバ
4,14,24 光ファイバ心線
5,5a,15 コード層
6,6a,16 光ファイバコード
7,17,27a,27b 押え巻き
9,9a,19,29a,29b シース層
20a〜20e,30a,30b,40a〜40c 光ファイバケーブル
25a,25b 緩衝層

Claims (4)

  1. ケーブル中心に設けられたテンションメンバと、
    上記テンションメンバの周囲に設けられた複数の光ファイバ心線と、
    上記テンションメンバの側面に上記複数の光ファイバ心線を介して設けられた押え巻きと、
    上記押え巻きの外周にケーブル外被として設けられたシース層とを構成部材として備えた光ファイバケーブルをIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験の難燃性試験規格に適合させるための設計方法であって、
    少なくとも2種類の上記光ファイバケーブルを試験体として準備する試験体準備工程と、
    上記少なくとも2種類の試験体に使用された各構成部材の寸法、比重及び燃焼熱に基づいて、該各構成部材の単位長さ当たりの燃焼熱量を算出し、該算出した燃焼熱量の総和により、上記各試験体の単位長さ当たりのケーブル燃焼熱量を算出するケーブル燃焼熱量算出工程と、
    上記ケーブル燃焼熱量にIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験の難燃性試験規格で規定されたケーブル本数を乗じて各試験体の1燃焼試験当たりの総燃焼熱量を算出する総燃焼熱量算出工程と、
    上記少なくとも2種類の試験体に対してIEEE1202の垂直トレイ燃焼試験を行い、該各試験体において、上記シース層が燃焼したシース燃焼距離を測定する燃焼試験工程と、
    上記総燃焼熱量と上記シース燃焼距離との相関関係を近似する近似線を求める相関近似工程と、
    上記近似線において、予め設定した目標シース燃焼距離に対応する目標総燃焼熱量を導出する目標総燃焼熱量導出工程と、
    上記目標総燃焼熱量を超えないように、上記テンションメンバ、各光ファイバ心線、押え巻き及びシース層の各構成部材を選定する構成部材選定工程とを備えることを特徴とする光ファイバケーブルの設計方法。
  2. 請求項1に記載された光ファイバケーブルの設計方法において、
    上記ケーブル燃焼熱量算出工程では、上記各構成部材を該各構成部材の酸素指数を基準として可燃材料と難燃材料とに区分し、該可燃材料と区分した構成材料だけの単位長さ当たりの燃焼熱量を算出し、該算出した燃焼熱量の総和により、上記ケーブル燃焼熱量を算出することを特徴とする光ファイバケーブルの設計方法。
  3. 請求項2に記載された光ファイバケーブルの設計方法において、
    上記構成部材選定工程では、上記総燃焼熱量が上記目標総燃焼熱量を超えた試験体において、該試験体に使用された各構成部材のうち、上記可燃材料として区分したものの少なくとも一部を難燃材料に変更して、上記総燃焼熱量を小さくすることを特徴とする光ファイバケーブルの設計方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1つに記載された光ファイバケーブルの設計方法において、
    上記試験体準備工程において、上記試験体として準備した上記少なくとも2種類の光ファイバケーブルを構成する上記光ファイバ心線の本数は、揃っていないことを特徴とする光ファイバケーブルの設計方法。
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