JP2017130376A - 光ファイバケーブル構造、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】テンションメンバの周囲に光ファイバ線と導電線を配置する光ファイバケーブル構造、及びその製造方法において、テンションメンバの抗張力線を、ノンメタリックのロープ状の繊維部材で構成しつつも、テンションメンバの被覆層に気泡が発生してしまい、光ファイバ線と導電線とを、テンションメンバの周囲に適切に配置できなくなるという問題を解消する光ファイバケーブル構造、及びその製造方法を提供する。【解決手段】中心に位置するテンションメンバ1は、乾燥アラミドロープ2Aからなる抗張力線2Aと、その外周の樹脂組成物3からなる被覆層3とから構成される。このうち、乾燥アラミドロープ2Aからなる抗張力線2Aは、真空引き乾燥されており、乾燥アラミドロープ2A内には水分が除去された状態となっている。このため、被覆層3の表面に気泡が発生せず、テンションメンバ1の周囲に、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを、適切に花びら状に配置することができる。【選択図】図3
Description
この発明は、ケーブル用抗張力体(以下、テンションメンバともいう)を内部に備える光ファイバケーブル構造、及びその製造方法に関する。
従来から、光ファイバケーブルには、ケーブルの張力性等を高めるために、いわゆる「テンションメンバ」と呼ばれるケーブル用抗張力体を、ケーブル内部に設けることが知られている。このテンションメンバには、様々なタイプのものがあるが、内部に設けられる抗張力線と、その抗張力線を被覆する被覆層と、で構成されるものも知られている。
このうち、抗張力線では、強度が必要であるため、従来、鋼線等の金属材料が用いられていた。
例えば、下記特許文献1には、抗張力線を鋼捻線で構成したテンションメンバが開示されている。この特許文献のテンションメンバは、抗張力線を鋼撚線で構成しつつ、被覆層を発泡プラスチックで構成している。そして、そのテンションメンバの周囲に、複数本の光ファイバ線を花びら状に配置することで、光ファイバケーブルを構成している。
ところで、近年、光ファイバケーブルにも、様々な機能が求められるようになり、光信号だけではなく、同時に電力や電気信号等を送るニーズも高まっている。すなわち、従来、光ファイバケーブルと別に設定されていた導電線も、光ファイバケーブル内に設定することで、1本のケーブルで、光信号と電力等を同時に送受信するニーズが高まっているのである。
このニーズに対応するためには、光ファイバケーブル内に、光ファイバ線と導電線を設ける必要があるが、光ファイバケーブル内に導電線を設定した場合には、前述のテンションメンバとの関係で新たな問題が生じる。
それは、テンションメンバの抗張力線が金属材料であると、導電線も金属であるため、光ファイバケーブルの単位長さあたりの重量が増加するという問題である。このように光ファイバケーブルの単位長さあたりの重量が大きくなると、空中などで架線した際に、光ファイバケーブルが揺動すると、光ファイバケーブルに大きな負荷が掛かり、最悪の場合、光ファイバケーブルが破損するという虞もある。
このため、光ファイバ線と導電線をそれぞれ設定する光ファイバケーブルにおいては、軽量で、且つ、従来と同等の負荷に耐えうる抗張力線を用いることが考えられる。すなわち、非金属(ノンメタリック)材料で、抗張力線を構成することが考えられる。
このノンメタリックのものとして、例えば、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維材料が知られており、この繊維材料を熱硬化性樹脂組成物に含浸させることで、ノンメタリックのテンションメンバを構成するもの(繊維強化プラスチック、Fiber Reinforced Plastics, FRP等)も知られている。また、こうした繊維材料を用いた抗張力線では、強度を高めるために、複数の糸状部材を撚り合わせることでロープ状に構成することも考えられる。
しかしながら、このように繊維材料をロープ状に構成したものを抗張力線とした場合には、また別の新たな問題が生じる。
それは、テンションメンバの被覆層を、押出し被覆等の技術を使って形成すると、被覆層の表面に気泡が発生してしまうという問題である。そして、このように被覆層の表面に気泡が発生すると、例えば、テンションメンバの周囲に位置する光ファイバ線と導電線とを、撚り合わせること(光ファイバケーブルの横断面で説明すると、テンションメンバの周囲に等間隔で花びら状に配置すること)が困難となり、所望する光ファイバケーブルの特性(外観上の問題(外観、寸法)、機械的特性(屈曲特性、曲げ径)、伝送特性等)を、得られないという問題が生じる。
そこで、本発明は、テンションメンバの周囲に光ファイバ線と導電線を配置する光ファイバケーブル構造、及びその製造方法において、テンションメンバの抗張力線を、ノンメタリックのロープ状の繊維部材で構成しつつも、テンションメンバの被覆層に気泡が発生してしまい、光ファイバ線と導電線とを、テンションメンバの周囲に適切に配置できなくなるという問題を解消する光ファイバケーブル構造、及びその製造方法を提供することを目的とする。
この発明の光ファイバケーブル構造は、テンションメンバ内の抗張力線を、複数の糸状部材を撚り合わせたロープ状の繊維部材で構成することで、抗張力線を軽量化しつつ、その繊維部材を、大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量を小さくした乾燥繊維部材とすることで、被覆加工の際の被覆層での気泡の発生を防ぐようにしたものである。
具体的には、第1の発明は、ケーブル内部中心にテンションメンバを配置して、該テンションメンバの周囲に光ファイバ線を配置する光ファイバケーブル構造であって、前記テンションメンバの周囲には、前記光ファイバ線と共に導電線を配置して、前記テンションメンバは、抗張力線と該抗張力線を被覆する被覆層とで構成されており、前記抗張力線は、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材で構成されており、該繊維部材は、大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量が小さい乾燥繊維部材で構成されていることを特徴とする光ファイバケーブル構造である。
上記構成によれば、ケーブル内部中心にテンションメンバを配置して、その周囲に光ファイバ線と導電線とを配置して、そのテンションメンバの抗張力線を、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材で構成しつつ、その繊維部材は、大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量が小さい乾燥繊維部材で構成している。
このため、ケーブル内部に、導電線とテンションメンバを配置しても、テンションメンバの抗張力線が繊維部材であるため、抗張力線に電流が流れる虞をなくすことができる。また、この繊維部材が、大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量が小さい乾燥繊維部材であるため、テンションメンバの被覆層を押出し被覆等の技術を使って形成しても、被覆層の表面に気泡が発生することはない。
よって、テンションメンバをケーブル内部中心に位置させた状態で、光ファイバ線と導電線とを、そのテンションメンバの周囲に適切に配置することができる。
なお、ここで、繊維部材の材質については、ガラス繊維、炭素繊維の他、有機繊維等が考えられ、特に限定されるものではない。また、撚り合わせ方についても特に限定はないが、ロープ状に撚り合わせることを考えると諸撚りで撚り合わせるのが好ましい。
また、ここで、乾燥繊維部材の保有水分量は、繊維部材の大気圧下での標準の保有水分量より小さければよく、気泡が発生しない程度の保有水分量であれば、特に限定されるものではない。
例えば、アラミド繊維の大気圧下での標準的な保有水分量は、4重量%以上で6重量%以下程度であるが、この乾燥アラミドロープ部材の保有水分量は、0.5重量%以上で1.5重量%以下程度(水分除去条件:80℃×48時間、−76cmHgとなる真空引きした後、速やかに測定)である。
水分量は、カールフィッシャー水分計により、140℃加熱時の発生水分量を測定した値である。そして、測定に使用した機器は、三菱化学アナリテック製CA200型微量水分測定装置、およびVA‐200型水分気化装置を使用した(測定に使用したサンプル量は0.15〜0.20gで、任意の1点を測定、水分量の測定のバラつきは、±0.05重量%程度である)。
また、被覆層の被覆材についても、樹脂に可塑剤や難燃剤等を配合した組成物である樹脂組成物や、ゴムに可塑剤や難燃剤等を配合したゴム組成物、エラストマに難燃剤や可塑剤等を配合したエラストマ組成物であっても良い。
そして、ここで光ファイバ線とは、光ファイバ心線や光ファイバコードなどの総称であり、この光ファイバ線としては、光ファイバ心線や光ファイバコードを適用すればよい。
導電線とは、金属からなる線材の外周に被覆層を被覆したもので、金属からなる線材としては、特に限定されないが、例えば、銅線、銅合金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線等の単線または、複数本を撚り合せた撚線、束ねた束線が適用される。
導電線の外周に設ける被覆材には、公知の材料を適用すれば良い。
第2の発明は、第1の発明において、前記光ファイバ線と前記導電線とは、前記テンションメンバの周囲に交互に配置したことを特徴とする光ファイバケーブル構造である。
上記構成によれば、光ファイバ線と導電線とを、交互に配置しているので、それぞれ剛性や脆弱性の異なる光ファイバ線と導電線を、光ファイバケーブルのケーブル内で周方向において、偏りなく配置することができる。
このため、光ファイバケーブルとして組み上げた状態での耐屈曲性や耐捻回性を、悪化させることなく安定して維持することができる。特に、テンションメンバの抗張力線が乾燥繊維部材で構成され、テンションメンバの被覆層には、気泡が発生しないため、所望にあった外観、外径のテンションメンバの周囲に光ファイバ線と導電線を配置することができ、その結果、所望する光ファイバケーブルの外観、機械的性能を悪化させることもない。
よって、光ファイバケーブル内に、光ファイバ線と導電線という異種の線材を配置したとしても、光ファイバケーブルの耐屈曲性や耐捻回性を安定的に維持することができる。
また、この発明の光ファイバケーブルの製造方法は、光ファイバケーブル内に設定するテンションメンバの製造工程において、被覆材を押出被覆する前に、ロープ状の繊維部材を真空引きすること等により、繊維部材内の隙間に残留している水分等を除去して、被覆加工の際の被覆層の気泡発生を防ぐようにした製造方法である。
具体的には、第3の発明は、ケーブル内部中心にテンションメンバを配置して、該テンションメンバの周囲に光ファイバ線と導電線とを配置する光ファイバケーブルの製造方法であって、前記テンションメンバの製造工程は、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材を準備する部材準備工程と、該部材準備工程で得た前記繊維部材から水分を除去して乾燥繊維部材とする部材水分除去工程と、該部材水分除去工程で得た前記乾燥繊維部材に、被覆材を被覆する部材被覆工程と、を備え、前記テンションメンバの製造工程の後に、製造したテンションメンバの周囲に、前記光ファイバ線と前記導電線とを集合して配置するケーブル集合工程とを備えたことを特徴とする製造方法である。
上記構成によれば、テンションメンバの製造工程が、繊維部材を準備する部材準備工程と、その繊維部材から水分を除去して乾燥繊維部材とする部材水分除去工程と、その乾燥繊維部材に被覆材を被覆する部材被覆工程とを備えることで、乾燥繊維部材を抗張力線とするテンションメンバを製造することができる。そして、その後、ケーブル集合工程で、そのテンションメンバの周囲に光ファイバ線と導電線とを集合配置することで、乾燥繊維部材を抗張力線としたテンションメンバの周囲に、光ファイバ線と導電線とを配置した光ファイバケーブルを製造することができる。
この光ファイバケーブルによると、ケーブル内部に、光ファイバ線と導電線とを配置しつつも、テンションメンバの抗張力線を繊維部材にしたことで、テンションメンバの抗張力線を軽量化できる。また、この繊維部材が水分を除去した乾燥繊維部材であるため、テンションメンバの被覆層を、押出し被覆等の技術を使って形成しても、被覆層の表面に気泡が発生することはない。
よって、テンションメンバをケーブル内部中心に位置させた状態で、適切に光ファイバ線と導電線とをそのテンションメンバの周囲(外側)に配置することができる。
第4の発明は、第3の発明において、前記部材水分除去工程は、繊維部材を真空状態に置いて乾燥を行う部材乾燥工程であることを特徴とする製造方法である。
上記構成によれば、部材水分除去工程が繊維部材を真空状態に置いて乾燥を行う部材乾燥工程であることにより、真空状態を利用して、繊維部材内の隙間に存在する水分を吸い出して、真空中に蒸発させ、繊維部材を乾燥(水分除去)することになる。
これにより、加熱蒸発等の水分除去の方法では困難な繊維部材の内部の水分除去まで、確実に行うことができる。
よって、繊維部材内部の水分除去を、より確実に行うことができる。
第5の発明は、第4の発明において、前記繊維部材が、アラミド繊維であることを特徴とする製造方法である。
上記構成によれば、繊維部材がアラミド繊維であるため、アラミド繊維の保湿性により存在する糸状部材の内部の水分を、真空状態を利用してより確実に除去することができる。
このため、柔軟性に優れるアラミド繊維であったとしても、糸状部材の内部に存在する水分までも、完全に除去することができ、部材被覆工程で、被覆材を被覆しても被覆層に気泡が発生することを完全に防止できる。
よって、アラミド繊維特有のより高い柔軟性を維持しつつも、被覆層に気泡が発生することがないテンションメンバを製造することができる。
本願発明によれば、ケーブル内部に、導電線とテンションメンバとを配置しても、テンションメンバの抗張力線が繊維部材であるため、軽量化が図れる。また、この繊維部材が、大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量が少ない乾燥繊維部材であるため、テンションメンバの被覆層を押出し被覆等の技術を使って形成しても、被覆層の表面に気泡が発生することもない。
このため、テンションメンバをケーブル内部中心に位置させた状態で、光ファイバ線と導電線とを、そのテンションメンバの周囲に適切に配置することができる。
よって、テンションメンバの周囲に光ファイバ線と導電線を配置する光ファイバケーブル構造、及びその製造方法において、テンションメンバの抗張力線を、ノンメタリックのロープ状の繊維部材で構成しつつも、テンションメンバの被覆層に気泡が発生してしまい、光ファイバ線と導電線とをテンションメンバ周囲に適切に配置できなくなるという問題を解消することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかる光ファイバケーブルの製造工程Wを示したフローチャート図であり、図2は、本実施形態の光ファイバケーブルに用いるテンションメンバの横断面、また図3は、本実施形態の光ファイバケーブルの横断面を、それぞれ示している。図1のフローチャート図にあるように、光ファイバケーブルの製造工程Wは、大別して、テンションメンバ1を製造するテンションメンバ製造工程W1と、各光ファイバ線4a〜4cを製造する光ファイバ線製造工程W2と、各導電線5a〜5cを製造する導電線製造工程W3と、これらテンションメンバ1と光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを集合させて組み合せる光ファイバケーブル完成工程W4とを備えている。
以下、これらの工程について、順に説明する。
(テンションメンバ製造工程W1)
まず、テンションメンバ製造工程W1は、部材準備工程としてのアラミドロープ準備工程S1と、次に、部材水分除去工程又は部材乾燥工程としてのアラミドロープ乾燥工程S2と、その次に、アラミドロープ直前加熱工程S3と、最後に、部材被覆工程としてのアラミドロープ被覆工程S4と、を備えている。
まず、テンションメンバ製造工程W1は、部材準備工程としてのアラミドロープ準備工程S1と、次に、部材水分除去工程又は部材乾燥工程としてのアラミドロープ乾燥工程S2と、その次に、アラミドロープ直前加熱工程S3と、最後に、部材被覆工程としてのアラミドロープ被覆工程S4と、を備えている。
アラミドロープ準備工程S1では、各々独立したアラミド繊維である複数の糸状部材2a〜2dを、ロープ撚り、具体的には諸撚りによって、ロープ状に撚り合すこと、又は、既に市販されているロープ撚りによって撚られてアラミドロープ(例えば、ケプラーロープなど:「ケプラー」はデュポン社の登録商標)を購入して、そのまま用いることによって、アラミドロープ2を準備する。例えば、「ケプラーロープ」として市販されている1670dtex×3×4の太さ約1.7mmのアラミドロープ2を購入して、アラミドロープ2を準備することが考えられる。
こうして準備したアラミドロープ2には、事前に端末処理を行っておく。具体的には、アラミドロープの端末を接着剤で一括被覆するか、又は円筒状の熱収縮チューブで一括固定するか、しておく。こうした端末処理を行っておくことで、後述するアラミドロープ被覆工程S4の際に、アラミドロープ2を押出し装置に投入しやすくなる。
次に、アラミドロープ乾燥工程S2では、前記アラミドロープ準備工程S1で準備したアラミドロープ2を、真空状態に置いて乾燥させる。具体的には、真空引きを行う装置(例えば、真空加熱機)の内部に、アラミドロープ2を位置させて、その内部において、所定の真空度で真空引きを行い、アラミドロープ2を乾燥させる。こうして、乾燥繊維部材としての乾燥アラミドロープ2Aを得る。
このアラミドロープ2の乾燥は、アラミドロープ2の内部、具体的には、撚られた各糸状部材(2a〜2d)の「隙間」の空気を脱気すると共に、その内部の水分を真空中に蒸発させて水蒸気として除去することによって行う。さらに、アラミドロープ2は、アラミド繊維で構成されるが、このアラミド繊維の保湿性によって繊維自体が保有する水分についても、真空引きによって除去する。
また、このアラミドロープ乾燥工程S2では、真空引きと同時に、所定の温度で加熱も行う。このように、加熱を行うことで、アラミドロープ2内の水分温度を高めて、水蒸気として蒸発させやすくして、アラミドロープ2を早期に乾燥させる。
すなわち、水分は、真空下においては大気圧の沸点温度の100℃よりも低い温度で沸騰するが、こうした加熱を行うことで、単に真空引きした場合よりも、早期に水分を水蒸気に変化させて除去できる。
このアラミドロープ乾燥工程S2は、例えば、真空引きの真空度は−76cmHg、加熱温度は80℃、工程保持時間は48時間という乾燥条件で行うことが考えられる。もっとも、これは、適切な乾燥条件の一例であって、これに限定されるものではない。
ここでの加熱温度については、50℃以上、120℃以下の範囲であれば良い。この温度範囲は、50℃未満であると、早期に水分を除去しない傾向になり、120℃を超えるとアラミド繊維に熱によるダメージを与える傾向になる。すなわち、加熱により温度を上げることで、前述のように、アラミドロープ2の乾燥時間を短縮することができるものの、あまりに高温になるとアラミド繊維に熱ダメージを与えてしまい、テンションメンバ1の抗張力線としての引張特性を低下させてしまう傾向となる。そこで、こうした温度範囲で、加熱を行うのがより望ましい。
また、工程保持時間についても、5時間乃至100時間の範囲であれば良い。工程保持時間については、一定時間以上、真空状態を保持することで、アラミドロープ2の乾燥を確実に行うことができるものの、必要以上に長くしても、乾燥アラミドロープ2Aの乾燥状態は変化しないため、こうした工程保持時間にするのが望ましい。
さらに、真空引きの真空度についても、前述した−76cmHgよりも緩やかな負圧で真空に近づけるようにしても良い。つまり、大気圧よりも小さい圧力(負圧)とし、アラミドロープ2内の水分を除去する程度の真空度を適用すればよい。
なお、本実施形態では、アラミドロープ乾燥工程S2を、個々のアラミドロープ2を、真空引きを行う装置の内部に設置して、真空引きを行うようにしているが、例えば、製造ラインの流れの中で、アラミドロープ2を連続的に真空引きしても良い。こうすることで、製造時間を大幅に短縮でき、且つ大量生産も可能となる。
次に、アラミドロープ直前加熱工程S3では、前記アラミドロープ乾燥工程S2で乾燥したアラミドロープ2を真空空間から取り出した後(後述するアラミドロープ被覆工程S4の直前)に、高温の加熱装置(例えば、乾燥ヒータ等)を通して加熱する。これは、乾燥アラミドロープ2A表面に付着した水分を、一気に加熱乾燥させて除去するためである。すなわち、前述したアラミドロープ乾燥工程S2から、後述するアラミドロープ被覆工程S4の間に、乾燥アラミドロープ2Aが一旦、外気に触れた場合、乾燥アラミドロープ2A表面に外気の湿度が水分として付着し、その付着した水分が気泡発生の原因となる可能性があるので、この乾燥アラミドロープ2A表面に付着した水分を、加熱装置で加熱することで、可能な限り水蒸気として蒸発除去する。
このアラミドロープ直前加熱工程S3は、例えば、250℃に加熱した加熱装置に、乾燥アラミドロープ2Aを通過させることで行う。なお、この加熱温度についても、乾燥アラミドロープ2A表面の水分を瞬時に除去できる温度であれば良い。
なお、このアラミドロープ直前加熱工程S3は、前述の通り、アラミドロープ乾燥工程S2から後述するアラミドロープ被覆工程S4に係る時間や環境(湿度等)(例えば、押出し装置にセットするまでの時間や環境(湿度等))によっては、不要としてもよい。
次に、アラミドロープ被覆工程S4では、樹脂押出し装置によって、乾燥アラミドロープ2Aの外周に、被覆材である樹脂組成物3を押出し被覆することで、被覆ロープ(テンションメンバ1)を製造する。ここで押出しされる樹脂組成物3は、例えば、ポリエチレンや、ポリ塩化ビニルに可塑剤や難燃剤を配合した樹脂組成物である。これらの樹脂組成物の押出し被覆する条件は、公知のものを適用すれば良い。
なお、その他、押出しされる樹脂組成物3としては、ハロゲン元素を含まない材料で構成したノンハロゲン樹脂組成物(例えば、ポリオレフィン(ポリエチレンやエチレン・エチルアクリレート(EEA)等)をベース樹脂に、難燃剤(水酸化マグネシウム、脂肪酸などで表面処理した水酸化マグネシウム等)や、その他配合剤(リン系化合物)からなるノンハロ樹脂組成物)を適用してもよい。
さらに、この樹脂組成物3に変えて、ゴム組成物または、エラストマー組成物を適用しても良い。
こうして、アラミドロープ被覆工程S4を経ると、テンションメンバ製造工程W1が終了する。この製造工程W1で得られるテンションメンバ1が、図2に示すテンションメンバ1である。
図2に示すように、この実施形態の製造方法で作られるテンションメンバ1は、内部に位置する乾燥アラミドロープ2Aからなる抗張力線2Aと、その外周に位置するポリ塩化ビニルに可塑剤や難燃剤を配合した樹脂組成物3からなる被覆層3と、で構成される。
また、樹脂組成物3としては、ハロゲン元素を含まない材料で構成したノンハロゲン樹脂組成物を適用しても良い。例えば、ポリエチレン樹脂に難燃剤として水酸化マグネシウムを配合した樹脂組成物を適用すればよい。さらに、この樹脂組成物3に変えて、ゴム組成物を適用しても良い。
なお、乾燥アラミドロープ2Aからなる抗張力線2Aは、図2に示すように、4つの糸状部材2a、2b、2c、2dを諸撚りで撚り合わせてロープ状として構成している。もっとも、この外周形状20は凹凸形状であり、円形よりも略四角形に近い異形形状となっている。これは、前述のアラミドロープ乾燥工程S2において、アラミドロープ2を真空引きして、アラミドロープ2を完全に乾燥させたからである。
すなわち、アラミドロープ2を乾燥させて、乾燥アラミドロープ2Aとしたことにより、4つの糸状部材2a、2b、2c、2dの間には隙間が全く存在せず、それぞれの糸状部材2a、2b、2c、2dが密着状態となり、各糸状部材2a、2b、2c、2dの間には単に境界線21a、21b、21c、21dが存在するだけとなっているからである。
このように、アラミドロープ2を真空引きで乾燥させた乾燥アラミドロープ2Aの内部には、隙間が存在せず、その隙間に含まる水分も存在しないため、後述するような、アラミドロープ被覆工程S4で、被覆層3に気泡が発生しない。
例えば、アラミド繊維の大気圧下での標準的な保有水分量は、4.2重量%であり、この乾燥アラミドロープ2A、2Aの保有水分量は、1.2重量%程度(水分除去条件:80℃×48時間、−76cmHgとなる真空引きした後、速やかに測定)であった。
水分量は、カールフィッシャー水分計により、140℃加熱時の発生水分量を測定した値である。そして、測定に使用した機器は、三菱化学アナリテック製CA200型微量水分測定装置、およびVA‐200型水分気化装置を使用した(測定に使用したサンプル量は0.15〜0.20gで、任意の1点を測定、水分量の測定のバラつきは、±0.05重量%程度である)。
また、一方、このように、乾燥アラミドロープ2Aからなる抗張力線2Aの外周形状20が、四角形に近い異形形状となっているため、被覆層3との境界線22も、円形でなく四角形に近い異形形状となる。このため、抗張力線2Aと被覆層3との回転方向(周方向)の接合強度が高まり、テンションメンバ1に、捩じり回転方向の荷重が繰り返し作用したとしても、抗張力線2Aと被覆層3との間の剥離を抑えることができる。
よって、抗張力線2Aと被覆層3との密着性を長期に維持できるので、テンションメンバ1としての柔軟性(耐捻回性、耐屈曲性)を高度に維持でき、かつ、このテンションメンバ1を用いた光ファイバコードCでの柔軟性(耐捻回性、耐屈曲性)や、耐久性も高度に維持できる。
(光ファイバ線製造工程W2)
次に、図1に戻って、光ファイバ線製造工程W2について説明する。この光ファイバ線製造工程W2は、公知の光ファイバ線の製造工程S5を備えている。具体的には、例えば、コアの外周にクラッドを形成する工程、そのクラッドの外周に1次被覆層(さらに2次被覆層)を形成する光ファイバ心線製造工程、または、光ファイバ心線の外周にさらに抗張力線を別途沿えて、その外周に2次被覆層を形成する光ファイバコード製造工程等がある。
次に、図1に戻って、光ファイバ線製造工程W2について説明する。この光ファイバ線製造工程W2は、公知の光ファイバ線の製造工程S5を備えている。具体的には、例えば、コアの外周にクラッドを形成する工程、そのクラッドの外周に1次被覆層(さらに2次被覆層)を形成する光ファイバ心線製造工程、または、光ファイバ心線の外周にさらに抗張力線を別途沿えて、その外周に2次被覆層を形成する光ファイバコード製造工程等がある。
なお、1次被覆層には、紫外線硬化樹脂組成物、2次被覆層としては、ポリエステル樹脂組成物、ポリ塩化ビニル樹脂組成物、ノンハロゲン樹脂組成物等が適用される。
この光ファイバ線製造工程W2では、光ファイバ線4a〜4cを複数本、製造しておくことで、次の工程に備えておく。
(導電線製造工程W3)
次に、導電線製造工程W3の一例を説明する。この導電線製造工程W3も、導電線被覆工程S6を備えている。
次に、導電線製造工程W3の一例を説明する。この導電線製造工程W3も、導電線被覆工程S6を備えている。
この導電線被覆工程S6では、線状の銅線等の導体51に対して、樹脂組成物等の絶縁層52を、樹脂組成物押出し装置などによって押出し被覆することで、導電線5a〜5cを製造する。この導電線5a〜5cも複数本、製造しておくことで、次の工程に備えておく。なお、各導電線5a〜5cを識別しやすいように絶縁層に着色を施しても良い。例えば、緑、青、白等を着色して、各導電線5a〜5bを識別できるようにすることが考えられる。
(光ファイバケーブル完成工程W4)
次に、光ファイバケーブル完成工程W4についての一例を説明する。この光ファイバケーブル完成工程W4は、ケーブル集合工程S7と、ケーブルシース工程S8と、完成品検査工程S9と、を備えている。
次に、光ファイバケーブル完成工程W4についての一例を説明する。この光ファイバケーブル完成工程W4は、ケーブル集合工程S7と、ケーブルシース工程S8と、完成品検査工程S9と、を備えている。
ケーブル集合工程S7では、テンションメンバ製造工程W1で製造したテンションメンバ1を中心に配置して、光ファイバ線製造工程W2で製造した光ファイバ線4a〜4cと、導電線製造工程W3で製造した導電線5a〜5cを、そのテンションメンバ1の周囲に複数本、集合させて撚り合わせる。すなわち、テンションメンバ1を中心として、その外周に、花びら状に複数本の光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとを、等間隔で隣り合うように配置した上で、撚り合わせる。また、このテンションメンバ1は、この撚り合せ作業において、必要な張力を確保する程度の抗張力を有するように構成している。
そして、こうして撚り合わされた光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cの集合体に対して、不織布で構成されたラミネートテープ5を縦添え巻にする(または、ラミネートテープ5を特定のピッチで巻回する)。こうして、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとを集合させたものをラミネートテープ6で、ひとまとめにして、次のケーブルシース工程S8に備える。
次に、ケーブルシース工程S8では、このラミネートテープ5で固定した光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとの集合体に、樹脂製のシース層7を被覆する。このシース層7も柔軟性のあるポリ塩化ビニル樹脂組成物を押出し被覆することによって成形する。なお、この樹脂組成物も、ポリ塩化ビニルに可塑剤や難燃剤を配合した樹脂組成物を用いても良い。
また、ハロゲン元素を含まない樹脂組成物(例えば、ポリエチレンに水酸化マグネシウム(難燃剤)を配合したノンハロ難燃樹脂組成物)をシース層7として適用しても良い。
こうしてシース層7によって、最外周を被覆することで、光ファイバケーブルC1は完成する。
最後の完成品検査工程S8では、こうして完成した光ファイバケーブルC1の外観、構造、光学特性等が適切であるかが検査される。この完成品検査工程S8の検査に合格した光ファイバケーブルC1だけを、市場に出荷する。
この完成品の一例が、図3の光ファイバケーブルC1である。この光ファイバケーブルC1は、光ファイバ3心、導電線3心タイプのケーブルで、中心にテンションメンバ1を配置して、その周囲に光ファイバ線4a〜4cと、導電線5a〜5cと、を交互に6本、花びら状に配置している。そして、その外周にラミネートテープ6が巻かれて、さらにその外周にシース層7が位置して、このシース層7で被覆している。
中心に位置するテンションメンバ1は、前述したように、乾燥アラミドロープ2Aからなる抗張力線2Aと、その外周の樹脂組成物3からなる被覆層3とから構成される。このうち、乾燥アラミドロープ2Aからなる抗張力線2Aは、前述のように、真空引き乾燥されており、乾燥アラミドロープ2A内には水分が除去された状態となっている。
仮に、乾燥アラミドロープ2A内の水分を除去してない状態で、被覆層3を押出し成形した場合、すなわち、アラミドロープ乾燥工程S2を行わない従来の製造方法の場合には、図4に示すような現象が生じる。
図4は、従来の製造方法で、アラミドロープ2外周に樹脂組成物の被覆層103を形成した状態の外観側面図であるが、この図に示すように、被覆層103の表面に複数の気泡104、104、104が発生(残留)して、テンションメンバ1として使用できない現象が生じる。
これは、樹脂組成物を押出し被覆する際に、高温の樹脂組成物によって加熱されたアラミドロープ2内の水分(水蒸気)が、アラミドロープ2内から噴き出して、被覆層3の形成時に、被覆層3の内部及び表面に気泡として現れ、残留したと考えられる。
こうした現象に対して、本実施形態の製造方法では、アラミドロープ乾燥工程S2を設定して、アラミドロープ2内の水分を除去しているため、こうした気泡が現れる現象は生じない。
すなわち、アラミドロープ乾燥工程S2を設定したことで、アラミドロープ2内の隙間に存在する水分を真空中に蒸発させて、アラミドロープ2を乾燥させた乾燥アラミドロープ2Aとしているため、アラミドロープ被覆工程S4で樹脂組成物3を被覆する際に、被覆層3に気泡104が発生(残留)することがない。
このように、被覆層3の表面に気泡104が発生(残留)しないため、テンションメンバ1の周囲には、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを、適切に花びら状に配置することができる。すなわち、仮に、気泡104が発生(残留)した状態で、テンションメンバ101の周囲に光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを配置すると、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを、適切に配置することが困難になり、光ファイバケーブルとしての所望の特性が得られない。
このことを、図5を使って説明する。図3で示した光ファイバケーブルC1と同様に、ケーブルの中心にテンションメンバ101を配置して、その周囲に光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとを、交互に配置して、光ファイバ3心、導電線3心タイプの光ファイバケーブルC101を構成する。
このとき、テンションメンバ101の被覆層の表面に気泡104が発生(残留)していると、ケーブル内の光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cが、適切な位置(二点鎖線)から、実線で示すような位置や形状に変形して存在することになり、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとを、等間隔に位置させることや、円形の断面形状を維持することなどが、困難となる。
このように、テンションメンバ101の被覆層の表面に、気泡104が発生すると、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを、光ファイバケーブルC101中で適切に配置することが困難となることで、光ファイバケーブルC101の耐屈曲性や耐捻回性を悪化させることなり、機械的特性を悪化させることになるのである。
これに対して、本実施形態では、アラミドロープ乾燥工程S2を設定して、テンションメンバ1の抗張力線2Aを、乾燥アラミドロープ2Aで構成したため、テンションメンバ1の被覆層3を、押出し被覆等の技術を使って形成しても、被覆層3の表面には気泡104は発生(残留)しない。
よって、テンションメンバ1をケーブル内部中心に位置させた状態で、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとを、そのテンションメンバ1の周囲に適切に配置することができる。
したがって、テンションメンバ1の周囲に光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを配置する光ファイバケーブル構造において、テンションメンバ1の抗張力線2Aを、ノンメタリックのアラミドロープ2で構成しても、テンションメンバ1の被覆層3に気泡104が発生することがなく、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとを、テンションメンバ1の周囲に適切に配置できなくなるという問題を解消できる。
また、本実施形態では、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cが、テンションメンバ1の周囲に等間隔で花びら状に交互に配置されている。
これにより、それぞれ剛性や脆弱性の異なる光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを、光ファイバケーブルC1のケーブル内で所望する位置に配置することができる。
このため、光ファイバケーブルC1として組み上げた状態で、耐屈曲性や耐捻回性を、悪化させることなく安定して維持することができる。特に、テンションメンバ1の抗張力線2Aが、乾燥アラミドロープ2Aで構成され、テンションメンバ1の被覆層3には気泡104が発生していないため、テンションメンバ1の周囲に位置する光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとの間の等間隔に、位置ずれが生じず、光ファイバケーブルC1の機械的性能を悪化させることもない。
よって、光ファイバケーブルC1内に、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cという異種の線材を配置したとしても、光ファイバケーブルC1の耐屈曲性や耐捻回性を安定的に維持することができる。
また、本実施形態の製造方法では、テンションメンバ1の製造工程W1が、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状としたアラミドロープ2を準備するアラミドロープ準備工程S1と、このアラミドロープ準備工程S1で得たアラミドロープ2から水分を除去して乾燥アラミドロープ2Aを得るアラミドロープ乾燥工程S2と、そのアラミドロープ乾燥工程S2で得た乾燥アラミドロープ2Aに、樹脂組成物3を被覆するアラミドロープ被覆工程S4と、を備え、このテンションメンバ1の製造工程W1の後に、テンションメンバ1の周囲に、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとを集合配置するケーブル集合工程S7を、備えた製造方法としている。
これにより、テンションメンバ1の製造工程W1において、乾燥アラミドロープ2Aを抗張力線2Aとするテンションメンバ1を製造することができる。そして、その後、ケーブル集合工程S7で、そのテンションメンバ1の周囲に光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとを集合配置することで、乾燥アラミドロープ2Aを抗張力線2Aとしたテンションメンバ1の周囲に、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを、所望する位置に配置した光ファイバケーブルC1を製造することができる。
このため、ケーブル内部に、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを配置しつつも、テンションメンバ1の抗張力線2Aを、乾燥アラミドロープ2Aにしたことで、ケーブル全体としての軽量化を図ることができる。
よって、テンションメンバ1の周囲に光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを配置する光ファイバケーブルC1の製造方法において、テンションメンバ1の抗張力線2Aを、従来の金属製の抗張力線より軽量のアラミドロープ2で構成しつつも、テンションメンバ1の表面に被覆層3に気泡104が発生することがなく、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cとを、テンションメンバ1の周囲に適切に配置できなくなるという問題を解消できる。
また、この実施形態の製造方法では、水分除去を、アラミドロープ2を真空状態に置いて乾燥を行うアラミドロープ乾燥工程S2で行うようにしている。
すなわち、アラミドロープ乾燥工程S2では、真空状態を利用して、アラミドロープ2内の隙間に存在する水分を吸い出して、真空中に蒸発させ、アラミドロープ2を乾燥(水分除去)することになる。
これにより、加熱蒸発等の水分除去の方法では、困難なアラミドロープ2内部の水分除去まで、確実に行うことができる。
よって、アラミドロープ2の水分除去を、より確実に行うことができる。
また、本実施形態の製造方法では、アラミド繊維のアラミドロープ2で、テンションメンバ1の抗張力線2Aを構成するようにしている。
これにより、アラミド繊維の保湿性により存在する糸状部材の内部の水分を、真空状態を利用してより確実に除去することができる。
このため、軽量で柔軟性に優れるアラミド繊維のアラミドロープ2であったとしても、糸状部材の内部に存在する水分までも、完全に除去することができ、アラミドロープ被覆工程S4で、樹脂組成物3を被覆しても被覆層3に気泡が発生することを完全に防止できる。
よって、アラミド繊維特有のより高い柔軟性を維持しつつも、被覆層3内に気泡が発生することがないテンションメンバ1を製造することができる。
次に、図6を使って、その他の実施形態の光ファイバケーブルC2の完成品の一例を、説明する。
この光ファイバケーブルC2は、4本の光ファイバ線4a〜4dと、4本の導電線5a〜5dで構成される、光ファイバ4心、導電線4心タイプの複合型ケーブルである。この光ファイバケーブルC2も、ケーブル内部中心にテンションメンバ1を配置して、その周囲に4本の光ファイバ線4a〜4dと、4本の導電線5a〜5dとを、交互に花びら状に配置している。そして、その外周にはラミネートテープ6が巻かれて、さらに、その外周にはシース層7を位置させて、このシース層7によって全体を被覆している。
この実施形態においても、テンションメンバ1の抗張力線2Aは、乾燥アラミドロープ2Aで構成されているため、テンションメンバ1の表面には気泡が存在していない。
よって、この実施形態の光ファイバケーブルC2でも、光ファイバ線4a〜4dと導電線5a〜5dは、それぞれの間隔を適切に等間隔に維持することができ、光ファイバケーブルC2の耐屈曲性や耐捻回性の機械的特性を、悪化させることなく安定して維持することができる。
特に、この実施形態では、光ファイバ線4a〜4dが4本、導電線5a〜5dが4本と、合計8本の線材が、テンションメンバ1の周囲を花びら状に取り囲んで位置していることで、合計6本の前述の実施形態の光ファイバケーブルC1よりも、光ファイバ線4a〜4dと導電線5a〜5dという、異種の線材を配置した際の周方向の機械的特性の偏在を、少なくすることができる。
なお、さらに光ファイバ線を5本と、導電線を5本という、合計10本の線材で、光ファイバケーブルを構成するようにしても良い。この場合はより機械的特性の偏在が周方向で少なくなるので、さらに望ましい。
以上、光ファイバ3心、導電線3心タイプの光ファイバケーブルC1と、光ファイバ4心、導電線4心タイプの光ファイバケーブルC2の構造、及び製造方法で、本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。当然、これ以外の心数の光ファイバケーブル構造や、製造方法で、実施しても良い。
また、これらの実施形態では、光ファイバ線4a〜4cと導電線5a〜5cを交互に配置するように構成しているが、必ずしも、交互でなくても良い。例えば、光ファイバ線が2本に対して導電線が1本という順番で配置したり、また逆に、光ファイバ線が1本に対して導電線が2本という順番で配置しても良い。
また、テンションメンバ1の被覆層3の樹脂組成物3についても、繊維部材の抗張力線2Aを押出し被覆するものであれば、特に限定されるものではない。
さらに、抗張力線2Aについても、繊維状の糸状部材を撚り合わせてロープ状に構成するものであれば、特に、アラミドロープ2に限定されるものでもない。例えば、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維等、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状に構成する繊維部材であれば、繊維部材の内部に隙間ができるため、本発明の効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明にかかる光ファイバケーブル構造、及びその製造方法は、例えば、テンションメンバの抗張力線を、ノンメタリックのロープ状の繊維部材で構成しつつも、そのテンションメンバの周囲に、光ファイバ線と導電線とをテンションメンバ周囲に適切に配置する光ファイバケーブル構造、及びその製造方法において有用である。
W…光ファイバケーブルの製造工程
W1…テンションメンバ製造工程
S1…アラミドロープ準備工程(部材準備工程)
S2…アラミドロープ乾燥工程(部材水分除去工程、部材乾燥工程)
S4…アラミドロープ被覆工程(部材被覆工程)
C1、C2…光ファイバケーブル
1…テンションメンバ
2A…抗張力線(乾燥アラミドロープ)
2a、2b、2c、2d…糸状部材(アラミド繊維)
3…被覆層(樹脂組成物、被覆材)
4a、4b、4c…光ファイバ線
5a、5b、5c…導電線
W1…テンションメンバ製造工程
S1…アラミドロープ準備工程(部材準備工程)
S2…アラミドロープ乾燥工程(部材水分除去工程、部材乾燥工程)
S4…アラミドロープ被覆工程(部材被覆工程)
C1、C2…光ファイバケーブル
1…テンションメンバ
2A…抗張力線(乾燥アラミドロープ)
2a、2b、2c、2d…糸状部材(アラミド繊維)
3…被覆層(樹脂組成物、被覆材)
4a、4b、4c…光ファイバ線
5a、5b、5c…導電線
Claims (5)
- ケーブル内部中心にテンションメンバを配置して、該テンションメンバの周囲に光ファイバ線を配置する光ファイバケーブル構造であって、
前記テンションメンバの周囲には、前記光ファイバ線と共に導電線を配置して、
前記テンションメンバは、抗張力線と該抗張力線を被覆する被覆層とで構成されており、
前記抗張力線は、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材で構成されており、該繊維部材は、大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量が小さい乾燥繊維部材で構成されていることを特徴とする光ファイバケーブル構造。 - 請求項1記載の光ファイバケーブル構造において、
前記光ファイバ線と前記導電線とは、前記テンションメンバの周囲に交互に配置したことを特徴とする光ファイバケーブル構造。 - ケーブル内部中心にテンションメンバを配置して、該テンションメンバの周囲に光ファイバ線と導電線とを配置する光ファイバケーブルの製造方法であって、
前記テンションメンバの製造工程は、
複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材を準備する部材準備工程と、
該部材準備工程で得た前記繊維部材から水分を除去して乾燥繊維部材とする部材水分除去工程と、
該部材水分除去工程で得た前記乾燥繊維部材に、被覆材を被覆する部材被覆工程と、を備え、
前記テンションメンバの製造工程の後に、製造したテンションメンバの周囲に、前記光ファイバ線と前記導電線とを集合して配置するケーブル集合工程とを備えたことを特徴とする製造方法。 - 請求項3記載の光ファイバケーブルの製造方法において、
前記部材水分除去工程は、繊維部材を真空状態に置いて乾燥を行う部材乾燥工程であることを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。 - 請求項4記載の光ファイバケーブルの製造方法において、
前記繊維部材が、アラミド繊維であることを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。
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-
2016
- 2016-01-21 JP JP2016009545A patent/JP2017130376A/ja active Pending
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