JP2017116860A - 光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブル - Google Patents

光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブル Download PDF

Info

Publication number
JP2017116860A
JP2017116860A JP2015254778A JP2015254778A JP2017116860A JP 2017116860 A JP2017116860 A JP 2017116860A JP 2015254778 A JP2015254778 A JP 2015254778A JP 2015254778 A JP2015254778 A JP 2015254778A JP 2017116860 A JP2017116860 A JP 2017116860A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
fiber
cable
rope
aramid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015254778A
Other languages
English (en)
Inventor
角治 森
Kakuji Mori
角治 森
生西 省吾
Shogo Ikunishi
省吾 生西
近藤 克昭
Katsuaki Kondo
克昭 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Cable Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Cable Industries Ltd
Priority to JP2015254778A priority Critical patent/JP2017116860A/ja
Publication of JP2017116860A publication Critical patent/JP2017116860A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材をテンションメンバにおいて、繊維部材における柔軟性を維持しつつも、被覆層に気泡が発生しないようにして、光ファイバ線の性能を維持することができる光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】アラミドロープ乾燥工程S2では、アラミドロープ準備工程S1で準備したアラミドロープを、真空状態に置いて乾燥させる。具体的には、真空引きを行う装置(例えば、真空加熱機)の内部に、アラミドロープを設置して、その内部において、所定の真空度で真空引きを行い、アラミドロープ2を乾燥させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、ノンメタリックのケーブル用抗張力体(以下、テンションメンバともいう)を内部に備える光ファイバケーブルの製造方法、及びそのノンメタリックのテンションメンバを内部に備えた光ファイバケーブルに関する。
従来から、光ファイバケーブルには、ケーブルの張力性等を高めるために、いわゆる「テンションメンバ」と呼ばれるケーブル用抗張力体を、ケーブル内部に設けることが知られている。このテンションメンバには、様々なタイプのものがあるが、抗張力線だけで、テンションメンバを構成するものも知られている。
こうした抗張力線では、強度が必要であるため、従来、鋼線等の金属材料が一般的に用いられていた。しかし、抗張力線に金属材料が使われていると、雷などで不所望に抗張力線に電流が流れた場合、機器などが故障して、情報のやり取りができなくなる。つまり、光ファイバケーブルの光ファイバ線において情報伝達ができなくなる虞がある。
そこで、近年では、非金属(ノンメタリック)を抗張力線として使ったテンションメンバが注目されて徐々に増えてきている。このノンメタリックとして、例えば、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維材料を用いることが知られており、この繊維材料を熱硬化性樹脂組成物に含浸させることで、ノンメタリックのテンションメンバを構成するもの(繊維強化プラスチック、Fiber Reinforced Plastics, FRP等)が知られている。
また、こうした繊維材料を用いた抗張力線では、強度を高めるために、複数の糸状部材を撚り合わせることでロープ状に構成することも考えられる。
なお、こうしたロープ状部材に、樹脂組成物等の被覆材を被覆する製造方法として、下記特許文献1に記載された製造方法が知られている。この製造方法は、ロープ状部材の外周だけを樹脂組成物等の被覆材で被覆するのではなく、糸状部材(ストランド糸)の間にも、被覆材を充填できるように、糸状部材を撚り合わせる直前に、被覆材を押出被覆する方法である。この製造方法によると、ロープ内の糸状部材間に「空隙」が無くなるため、ロープの断面形状が所定の円形形状から型崩れしてしまうといった問題を解消することができる。
特開昭61−102493号公報
ところで、光ファイバケーブルにおいては、テンションメンバの抗張力線と、光ファイバ線とを並列配置して、樹脂組成物等の被覆材で一括被覆するものが知られている。この場合の被覆作業においては、一般的な押出被覆等の技術を使って、被覆層を形成していた。
そこで、前述のロープ状に構成した繊維部材を抗張力線としたものにおいても、従来と同様に一般的な押出被覆等の技術を使って、被覆層を形成することが考えられるが、この場合には、従来と同様の光ファイバケーブルを得ることができないことが分かった。具体的には、被覆層に気泡が発生して、同時に被覆される光ファイバ線に対して悪影響を与えるおそれがあるのである。
すなわち、被覆層に気泡が発生することで、光ファイバ線の位置が所望する位置からズレてしまい、光学的特性や機械的特性等に悪影響を生じさせるのである。
この現象の原因を検討してみると、繊維材料をロープ状に構成した場合には、繊維材料内の隙間の水分等が、被覆工程の際に加熱されて水蒸気となり、その水蒸気が被覆層を形成中、被覆層を通過できず気泡として残留したり、また、通過の際に光ファイバ線を移動させるためと考えられる。
この対策としては、前述の特許文献1の製造方法のように、糸状部材を撚り合わせる直前に、樹脂組成物を押出被覆することで、繊維部材内の隙間を無くすことも考えられる。しかし、この方法によると、各糸状部材の間に樹脂組成物が存在して、繊維部材のロープとしての柔軟性が失われてしまい、光ファイバケーブルの耐屈曲性や耐捻回性が劣る、という、また別の新たな問題が生じることになる。
そこで、本発明は、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材をテンションメンバとし、該テンションメンバと並列配置した光ファイバ線とを、被覆材によって一括して被覆する光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブルにおいて、繊維部材における柔軟性を維持しつつも、被覆層に気泡がないようにして、光ファイバケーブルの性能を維持することができる光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
この発明の光ファイバケーブルの製造方法は、樹脂組成物等の被覆材を押出被覆する前工程において、ロープ状の繊維部材を真空引きすること等により、繊維部材内の隙間に残留する水分等を除去して、被覆層形成の際の気泡の発生を防ぐようにした製造方法である。
具体的には、第1の発明は、内部に光ファイバ線とテンションメンバとが並列に配置され、被覆材で被覆される光ファイバケーブルの製造方法であって、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材を準備する部材準備工程と、該部材準備工程で得た前記繊維部材から水分を除去して乾燥繊維部材とする部材水分除去工程と、該乾燥繊維部材をテンションメンバとして光ファイバ線と並列に配置して、被覆材を被覆する部材被覆工程と、を備えることを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法である。
上記構成によれば、部材準備工程で、糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材を準備して、その後、部材水分除去工程で、その繊維部材から水分を除去して乾燥繊維部材を得て、さらに、部材被覆工程で、その乾燥繊維部材をテンションメンバとして光ファイバ線と並列状態に配置し、樹脂組成物等の被覆材で一括被覆することで、光ファイバケーブルを製造することになる。
すなわち、繊維部材を樹脂組成物等の被覆材で被覆する前に、部材水分除去工程によって、繊維部材内の隙間に存在する水分を除去して、繊維部材を乾燥する(乾燥繊維部材とする)のである。
このため、繊維部材を複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状に構成したものであっても、乾燥した繊維部材(乾燥繊維部材)内には水分が存在しないことになり、部材被覆工程で、乾燥繊維部材と光ファイバ線を並列状態に配置し、被覆材で一括被覆する際に、被覆層に気泡が発生することはない。
よって、光ファイバ線が被覆層に残留する気泡によって悪影響を受ける虞をなくすことができる。
なお、ここで、繊維部材の材質については、ガラス繊維、炭素繊維の他、有機繊維等が考えられ、特に限定されるものではない。また、撚り合わせ方についても特に限定はないが、ロープ状に撚り合わせることを考えると諸撚りで撚り合わせるのが好ましい。
また、被覆材についても、樹脂に可塑剤や難燃剤等を配合した樹脂組成物や、ゴムに可塑剤や難燃剤等を配合したゴム組成物、又はエラストマに可塑剤や難燃剤等を配合した組成物であっても良い。
そして、ここで光ファイバ線とは、光ファイバ心線や光ファイバコードなどの総称であり、この光ファイバ線としては、光ファイバ心線や光ファイバコードを適用すればよい。
第2の発明は、第1の発明において、前記部材水分除去工程は、繊維部材を真空状態に置いて乾燥を行う部材乾燥工程であることを特徴とする製造方法である。
上記構成によれば、部材水分除去工程が繊維部材を真空状態に置いて乾燥を行う部材乾燥工程であることにより、真空状態を利用して、繊維部材内の隙間に存在する水分を吸い出して、真空中に蒸発させ、繊維部材を乾燥(水分除去)することになる。
これにより、加熱蒸発等の水分除去の方法では、困難な繊維部材の内部の水分除去まで、確実に行うことができる。
よって、繊維部材内部の水分除去を、より確実に行うことができる。
第3の発明は、第2の発明において、前記部材乾燥工程で、前記繊維部材に同時に加熱することを特徴とする製造方法である。
上記構成によれば、部材乾燥工程で、繊維部材を同時に加熱することで、真空引きだけで繊維部材を乾燥するより、さらに水分の除去を早く行うことができる。すなわち、水の沸点温度は真空状態で低下するが、加熱を行う事で、水分の沸騰がより促進されて、繊維部材内の水分をより除去しやすいからである。
よって、部材乾燥工程で、より早く繊維部材内の水分を除去することができるため、部材乾燥工程を新たに設定したことによる製造時間の増加を、できるだけ減少させることができ、製造タクトや製造コストの増加を可及的に抑制できる。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1の発明において、前記部材被覆工程の直前に、前記繊維部材の表面の水分を除去するように該繊維部材を加熱する、部材加熱工程を備えたことを特徴とする製造方法である。
上記構成によれば、部材加熱工程を備えたことで、部材被覆工程の直前においても、さらに繊維部材を加熱することになる。このため、繊維部材表面に付着する水分を確実に除去することができる。
すなわち、部材乾燥工程で乾燥した繊維部材(乾燥繊維部材)であっても、繊維部材の表面については、外気に触れると即座に外気の湿度(湿気)により水分が付着するため、この外気による水分を除去するために、部材加熱工程で加熱するのである。
よって、部材加熱工程を設定することによって、部材乾燥工程で繊維部材の内部の水分を除去した上で、さらに繊維部材の表面に付着しやすい水分を、部材加熱工程で確実に除去するため、部材被覆工程の際に被覆層に気泡が発生してしまうという問題をより確実に防止できる。
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1記載の発明において、前記繊維部材が、アラミド繊維であることを特徴とする製造方法である。
上記構成によれば、繊維部材がアラミド繊維であるため、アラミド繊維の保湿性により存在する糸状部材の内部の水分を、真空状態を利用してより確実に除去することができる。
このため、柔軟性に優れるアラミド繊維であったとしても、糸状部材の内部に存在する水分までも、完全に除去することができ、部材被覆工程で、被覆材を被覆しても被覆層に気泡が発生することを完全に防止できる。
よって、アラミド繊維特有のより高い柔軟性を維持しつつも、被覆層に気泡が発生することがない光ファイバケーブルを製造することができる。
第6の発明は、内部に光ファイバ線とテンションメンバとが並列に配置されて、被覆材で被覆される光ファイバケーブルであって、前記テンションメンバは、複数の糸状部材が撚り合わされてロープ状とされ、且つ大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量が小さい乾燥繊維部材で構成されたことを特徴とする光ファイバケーブルである。
なお、ここで、乾燥繊維部材の保有水分量は、繊維部材の大気圧下での標準の保有水分量より少なければよく、被覆材を被覆する際に気泡が発生しない程度の保有水分量であれば、特に限定されるものではない。
例えば、具体的に、アラミド繊維の場合には、大気圧下での標準的な保有水分量が4重量%以上で6重量%以下であるが、このアラミド繊維を乾燥させた乾燥アラミドロープの場合には、0.5重量%以上で1.5重量%以下の保有水分量(水分除去条件:80℃×48時間、−76cmHgとなる真空引きをした後に、速やかに測定した値)に設定することが考えられる。
なお、この水分量は、カールフィッシャー水分計により、140℃加熱時の発生水分量を測定した値である。そして、測定機器は、三菱化学アナリテック製CA200型微量水分測定装置、及びVA‐200型を使用した(測定に使用したサンプル量は0.15〜0.20gで、任意の1点を測定、水分量の測定のバラつきは、±0.05重量%程度である)。
上記構成によれば、テンションメンバを、繊維部材の大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量を少なくした乾燥繊維部材で構成していることで、樹脂組成物等の被覆材で被覆する際に、乾燥繊維部材が加熱されたとしても、水蒸気等が発生しないため、被覆層に気泡が残留することはない。
よって、ケーブル内部の光ファイバ線に対して気泡が残留することによる悪影響をなくすことができるため、繊維部材における柔軟性を維持しつつも、被覆層に気泡が残留しないようにして、光ファイバケーブルの性能を維持することができる。
第7の発明は、第6の発明において、内部の中央位置に、前記光ファイバ線が配置されており、該光ファイバ線の両外側位置に二本の前記乾燥繊維部材が並列に配置されていることを特徴とする光ファイバケーブルである。
上記構成によれば、光ファイバ線が中央位置に配置され、乾燥繊維部材が二本、その光ファイバ線の両外側位置に各々並列に配置されることで、例えば、光ファイバケーブルの端末にコネクタを付ける際に、両側位置の乾燥繊維部材を把持して張力をかけても、ケーブル内に気泡が存在しないため、光ファイバケーブルに均等な張力をかけることができる。
すなわち、ケーブル内に気泡が存在すると、光ファイバ線に局部的に歪を与えることになり、光学的に悪影響を与える虞があり、また、光ファイバケーブルの機械的な特性についても悪影響を及ぼす虞があるのである。
よって、ケーブル内部の光ファイバ線と乾燥繊維部材の配置関係を工夫することによって、より気泡の影響をなくして、光ファイバケーブルの光学的な特性と機械的な特性を維持できる。
第8の発明は、第7の発明において、光ファイバ線は、中央位置で互いに並列に配置した二本で構成されており、前記被覆材の外表面には、該二本の光ファイバ線の間に対応する位置に外被引裂き用のノッチ部が形成されていることを特徴とする光ファイバケーブルである。
上記構成によれば、光ファイバケーブルの端末処理(連結コネクタ等を装着するための加工処理)のための外被引裂き用のノッチ部を設けることで、光ファイバケーブルの端末処理を容易に行えるだけでなく、この時の端末処理を、より確実且つ容易に行うことができる。
すなわち、光ファイバ線のケーブル内での位置が安定して直線状になっていないと、ノッチ部と光ファイバ線の位置がズレてしまい、ノッチ部の位置で被覆層を引裂く際に、光ファイバ線が邪魔となって、破断作業がスムーズに行えない可能性がある。しかし、光ファイバ線が気泡の影響を受けないので、光ファイバ線が直線状に位置して、被覆層の引裂き作業を確実且つ容易に行えるのである。
よって、被覆材の外表面に外被引裂き用のノッチ部が形成することで、光ファイバケーブルの端末処理を容易に行うことができるとともに、同時にノッチ部と光ファイバ線との位置ズレが生じないため、確実且つスムーズに、光ファイバケーブルの端末処理を行うことができる。
本願発明によれば、繊維部材を複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状に構成したものであっても、繊維部材(乾燥繊維部材)内には、水分が存在しないため、部材被覆工程で、繊維部材と光ファイバ線を並列状態に配置し、被覆材で被覆する際に、被覆層に気泡が発生することはない。
このため、光ファイバ線が被覆層に残留する気泡によって、悪影響を受ける虞をなくすことができる。
よって、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材をテンションメンバとし、該テンションメンバと並列配置した光ファイバ線とを、被覆材によって一括して被覆する光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブルにおいて、繊維部材における柔軟性を維持しつつも、被覆層に気泡が発生しないようにして、光ファイバ線の性能を維持した光ファイバケーブルを得ることができる。
本発明の実施形態にかかる光ファイバケーブルの製造工程を示すフローチャート図である。 本発明の光ファイバケーブルの詳細横断面図である。 本発明の光ファイバケーブルの全体横断面図である。 本発明の製造方法で製造しなかった場合の光ファイバケーブルの横断面図である。 図4のV−V線断面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかる光ファイバケーブルの製造工程Wを示したフローチャート図であり、図2は、その製造方法で製造した本発明の光ファイバケーブルの詳細横断面図を、また図3は、その光ファイバケーブルの全体横断面図をそれぞれ示している。
図1のフローチャート図にあるように、光ファイバケーブルの製造工程Wは、大別して、テンションメンバ1を製造するテンションメンバ製造工程W1と、光ファイバ線を製造する光ファイバ線製造工程W2と、これらテンションメンバ1と光ファイバ線を集合させて完成する光ファイバケーブル完成工程W3とを備えている。
以下、これらの工程について、順に説明する。
(テンションメンバ製造工程W1)
まず、テンションメンバ製造工程W1は、部材準備工程としてのアラミドロープ準備工程S1と、部材水分除去工程、又は部材乾燥工程としてのアラミドロープ乾燥工程S2と、部材直前加熱工程としてのアラミドロープ直前加熱工程S3と、を備えている。
アラミドロープ準備工程S1では、各々独立したアラミド繊維である複数の糸状部材2a〜2d(図2参照)を、ロープ撚り、具体的には諸撚りによって、ロープ状に撚り合すこと、又は、既に市販されているロープ撚りによって撚られてアラミドロープ2(例えば、ケプラーロープなど:「ケプラー」はデュポン社の登録商標)を購入してそのまま用いることによって、アラミドロープ2(図2では乾燥状態のアラミドロープ2A:以下、乾燥アラミドロープ2A)を準備する。例えば、「ケプラーロープ」として市販されている1670dtex×3×4の太さ約1.7mmのアラミドロープ2を購入して、アラミドロープ2を準備することが考えられる。なお、アラミドロープ2の繊度(dtex)については、120dtex以上あれば、特に限定されるものではない。
こうして準備したアラミドロープ2には、事前に端末処理を行っておく。具体的には、アラミドロープ2の端末を接着剤で一括被覆するか、又は円筒状の熱収縮チューブで一括固定するか、しておく。こうした端末処理を行っておくことで、後述するケーブル集合被覆工程S5の際に、押出し装置に投入しやすくなる。
次に、アラミドロープ乾燥工程S2では、前記アラミドロープ準備工程S1で準備したアラミドロープ2を、真空状態に置いて乾燥させる。具体的には、真空引きを行う装置(例えば、真空加熱機)の内部に、アラミドロープ2を設置して、その内部において、所定の真空度で真空引きを行い、アラミドロープ2を乾燥させる。こうして、乾燥繊維部材としての乾燥アラミドロープ2Aを得る。この乾燥アラミドロープ2Aが、光ファイバケーブルC1のテンションメンバ1となる。
このアラミドロープ2の乾燥は、アラミドロープ2の内部、具体的には、撚られた各糸状部材(2a〜2d)の「隙間」の空気を脱気すると共に、その内部の水分を真空中に蒸発させて水蒸気として除去することによって行う。さらに、アラミドロープ2は、アラミド繊維で構成されるが、このアラミド繊維の保湿性によって繊維自体が保有する水分についても、真空引きによって除去する。
また、このアラミドロープ乾燥工程S2では、真空引きと同時に、所定の温度で加熱も行う。このように、加熱を行うことで、アラミドロープ2内の水分温度を高めて、水蒸気として蒸発させやすくして、早期に乾燥アラミドロープ2Aを得るのである。
すなわち、水分は、真空下においては大気圧の沸点温度の100℃よりも低い温度で沸騰するが、こうした加熱を行うことで、単に真空引きした場合よりも、早期に水分を水蒸気に変化させて除去できるのである。
このアラミドロープ乾燥工程S2は、例えば、真空引きの真空度は−76cmHg、加熱温度は80℃、工程保持時間は48時間という乾燥条件で行うことが好ましい。もっとも、これは、適切な乾燥条件の一例であって、これに限定されるものではない。
ここでの加熱温度については、50℃以上、120℃以下の範囲であれば良い。この温度範囲は、50℃未満であると、早期に水分を除去しない傾向になり、120℃を超えるとアラミド繊維に熱によるダメージを与える傾向になる。すなわち、加熱により温度を上げることで、前述のように、アラミドロープ2の乾燥時間を短縮することができるものの、あまりに高温になるとアラミド繊維に熱ダメージを与えてしまい、テンションメンバ1としての引張特性を低下させてしまう傾向となるのである。そこで、こうした温度範囲で加熱を行うのがより望ましいのである。
また、工程保持時間についても、5時間乃至100時間の範囲であれば良い。工程保持時間については、一定時間以上、真空状態を保持することで、アラミドロープ2の乾燥を確実に行うことができるものの、必要以上に長くしても、乾燥アラミドロープ2Aの乾燥状態は変化しないため、こうした工程保持時間にするのが望ましいのである。
さらに、真空引きの真空度についても、前述した−76cmHgよりも緩やかな負圧で真空に近づけるようにしても良い。つまり、大気圧よりも小さい圧力(負圧)とし、アラミドロープ2内の水分を除去する程度の真空度を適用すればよい。
なお、本実施形態では、アラミドロープ乾燥工程S2を、個々のアラミドロープ2を、真空引きを行う装置の内部に設置して、真空引きを行うようにしているが、例えば、製造ラインの流れの中で、アラミドロープ2を連続的に真空引きしても良い。こうすることで、製造時間を大幅に短縮でき、且つ大量生産も可能となる。
次に、アラミドロープ直前加熱工程S3では、前記アラミドロープ乾燥工程S2で得た乾燥アラミドロープ2Aを真空空間から取り出した後(後述するケーブル集合被覆工程S5の直前)に、高温の加熱装置(例えば、乾燥ヒータ等)を通して加熱する。これは、乾燥アラミドロープ2A表面に付着した水分を、一気に過熱乾燥させて除去するためである。すなわち、前述したアラミドロープ乾燥工程S2から、後述するケーブル集合被覆工程S5の間に、乾燥アラミドロープ2Aが一旦を外気に触れた場合、乾燥アラミドロープ2A表面に外気の湿度が水分として付着し、その付着した水分が気泡発生の原因となる可能性があるので、この乾燥アラミドロープ2A表面に付着した水分を、加熱装置で加熱することにより、可能な限り水蒸気として蒸発除去するのである。
このアラミドロープ直前加熱工程S3は、例えば、250℃に加熱した加熱装置に、乾燥アラミドロープ2Aを通過させることで行う。なお、この加熱温度についても、乾燥アラミドロープ2A表面の水分を乾燥除去できる温度であれば、どのような温度であっても良い。
なお、このアラミドロープ直前加熱工程S3は、前述の通り、アラミドロープ乾燥工程S2から後述するケーブル集合被覆工程S5に係る時間や環境(湿度等)(例えば、押出し装置にセットするまでの時間や環境(湿度等))によっては、不要としてもよい。
以上のようにして、乾燥アラミドロープ2Aを得ることで、光ファイバケーブルC1のテンションメンバ1を製造することになる。
(光ファイバ線製造工程W2)
次に、光ファイバ線製造工程W2について説明する。この光ファイバ線製造工程W2は、公知の光ファイバ線の製造工程S4を備えている。具体的には、例えば、コアの外周にクラッドを形成する工程、そのクラッドの外周に1次被覆層を形成する光ファイバ心線製造工程、または、光ファイバ心線の外周にさらに2次被覆層を形成する光ファイバコード製造工程等がある。
なお、1次被覆層には、紫外線硬化樹脂組成物、2次被覆層としては、ポリエステル樹脂組成物、ポリ塩化ビニル樹脂組成物、ノンハロゲン樹脂組成物等が適用される。
この光ファイバ線製造工程W2では、光ファイバ線3を複数本、製造しておくことで、次の工程に備えておく。
(光ファイバケーブル完成工程W3)
次に、光ファイバケーブル完成工程W3について説明する。この光ファイバケーブル完成工程W3は、ケーブル集合被覆工程S5を備えている。
このケーブル集合被覆工程S5では、中央位置に光ファイバ線3,3を二本並列に配置して、その両側の外側位置に乾燥アラミドロープ2A,2A、すなわち、テンションメンバ1,1を二本、それぞれ配置する。こうして、光ファイバ線3,3と乾燥アラミドロープ2A,2Aを集合配置する。そして、この集合配置の位置によって、光ファイバケーブルC1を完成させた際の、二本の光ファイバ線3,3と二本の乾燥アラミドロープ2A,2Aの位置関係が決まる。
そして、樹脂押出し装置によって、この光ファイバ線3,3と乾燥アラミドロープ2A,2Aの外周位置を取り囲むように、被覆材である樹脂組成物6を押出し一括被覆する。これにより、光ファイバケーブルC1を製造する。この時の被覆形状(型形状)は、例えば、図3に示すように、横長の略長方形断面のフラット型形状となっている。
ここで押出しされる樹脂組成物6は、例えば、ポリエチレンや、ポリ塩化ビニルに可塑剤や難燃剤を配合した樹脂組成物である。これらの樹脂組成物6の押出し被覆する条件は、公知のものを適用すれば良い。
なお、その他、押出しされる樹脂組成物6としては、ハロゲン元素を含まない材料で構成したノンハロゲン樹脂組成物(例えば、ポリオレフィン(ポリエチレンやエチレン・エチルアクリレート(EEA)等)をベース樹脂に、難燃剤(水酸化マグネシウム、脂肪酸などで表面処理した水酸化マグネシウム等)や、その他配合剤(リン系化合物)からなるノンハロ樹脂組成物)を適用してもよい。さらに、この樹脂組成物6に変えて、ゴム組成物または、エラストマ組成物を適用しても良い。
こうして樹脂組成物6で、光ファイバ線3,3と乾燥アラミドロープ2A,2Aを被覆することによって、いわゆるフラット型形状の光ファイバケーブルC1を完成させる。
そして、最後の完成品検査工程S6では、こうして完成した光ファイバケーブルC1の外観、構造、光学特性等が適切であるかが検査される。この完成品検査工程S6の検査に合格した光ファイバケーブルC1を、市場に出荷する。
このようにして製造された完成品の一例が、図3の光ファイバケーブルC1である。この光ファイバケーブルC1は、前述したように、いわゆるフラット型形状の光ファイバケーブルC1であり、横長の略長方形断面形状を有する光ファイバケーブルである。
このフラット型形状の光ファイバケーブルC1は、一定の曲げ半径の状態を保ちつつ、特定の方向に往復移動しても、安定して情報伝達等が行える光ファイバケーブルであり、特に電動スライドドアや複写機等のOA機器、さらには、エレベータ等のケーブル等に用いられる。
この光ファイバケーブルC1は、ケーブル中央位置に二本の光ファイバ線3,3を隣接して配置して、その外側であるケーブル外方側の両側位置に、一本ずつ乾燥アラミドロープ2A,2Aからなるテンションメンバ1,1を配置している。そして、それらの周囲には樹脂組成物6からなる被覆層6が位置している。
そして、この被覆層6の外周面の上面6aと下面6bには、略V字形状のノッチ部7,7を形成している。このノッチ部7,7は、被覆層6の押出し成形時に同時に形成される。このノッチ部7,7は、ちょうど二本の光ファイバ線3,3の間に対応する位置(コードC1の中央位置)に形成され、このノッチ部7,7を起点に被覆層6を引裂くことにより、コネクタ装着などの端末処理を容易に行えるようにしている。
また、テンションメンバ1は、前述したように、アラミドロープ乾燥工程S2等を経て得られた乾燥アラミドロープ2Aによって構成されている。この乾燥アラミドロープ2Aは、図2に示すように、4つの糸状部材2a、2b、2c、2dを諸撚りで撚り合わせてロープ状として構成しているが、この外周形状20は凹凸形状であり、円形よりも略四角形に近い異形形状となっている。これは、アラミドロープ乾燥工程S2において、アラミドロープ2を真空引きして、アラミドロープ2を完全に乾燥させたからである。
すなわち、アラミドロープ2を乾燥させたことにより、4つの糸状部材2a、2b、2c、2dの間には隙間が全く存在せず、それぞれの糸状部材2a、2b、2c、2dが密着状態となり、各糸状部材2a、2b、2c、2dの間には単に境界線21a、21b、21c、21dが存在するだけとなっているからである。
このように、アラミドロープ2を真空引きして乾燥アラミドロープ2Aとしたことにより、乾燥アラミドロープ2Aの内部には隙間が存在せず、その隙間に含まる水分も存在しないため、前述したケーブル集合被覆工程において、被覆層6には、気泡が残留しない。
また、このように、乾燥アラミドロープ2Aからなるテンションメンバ1の外周形状20が、四角形に近い異形形状となっているため、被覆層6との境界線22も、円形でなく四角形に近い異形形状となる。このため、テンションメンバ1と被覆層6との回転方向(周方向)の接合強度が高まり、テンションメンバ1に、捩じり回転方向の荷重が繰り返し作用したとしても、テンションメンバ1と被覆層6との間の剥離が生じるようなことがない。
よって、テンションメンバ1と被覆層6との密着性を長期に維持できるので、光ファイバケーブルC1の柔軟性(耐捻回性、耐屈曲性)や、耐久性を高度に維持することができる。
仮に、アラミドロープ2内の水分を除去してない状態で、被覆層6を押出し成形した場合、すなわち、アラミドロープ乾燥工程S2が無い、従来の製造方法の場合には、図4、図5に示すような現象が生じる。
すなわち、図4は、従来の製造方法で製造した光ファイバケーブルの横断面図で、図5は図4のV−V線断面図である。
従来の製造方法で、光ファイバケーブルC10を製造すると、被覆層6の中や表面には、図に示すように、複数の空洞11…や気泡12…が現れる現象が生じる。
これは、樹脂組成物6を押出し被覆する際に、高温の樹脂組成物6によって加熱されたアラミドロープ2内の水分(水蒸気)が、アラミドロープ2内から噴き出して、被覆層6の内部や表面に、空洞11…や気泡12…として、残留するためと考えられる。
このように、光ファイバケーブルC11の被覆層6の表面に気泡12…が残存すると、まず、光ファイバケーブルC10の表面の見映えが悪く、寸法も外れるので、外観不良になる。
また、被覆層6の内部に空洞11…ができると、被覆層6内部の光ファイバ線3が空洞に押されて、ケーブル中央から左右方向にズレる(図4参照)。この空洞11…ができる場所や大きさは全く予測できないため、図5に示すように、二本の光ファイバ線3,3は、伸びる方向(図面では横方向)に対して左右方向(図面では上下方向)に蛇行するように位置することになる。
このため、被覆層6を押出し被覆した後には、光ファイバ線3,3は、通常の状態でも蛇行して位置するため、常時屈曲した状態となり、常時負荷が掛かった状態となり、光学的な特性が低下する虞がある。
また、図5で、二点鎖線で示すケーブル中央位置で左右方向に延びる線Xは、ノッチ部7,7が形成された位置を示しているが、このように二本の光ファイバ線3,3が蛇行すると、ノッチ部7,7の位置(X)と光ファイバ線3,3の位置とで左右方向に位置ズレが生じる。
このように、光ファイバ線3,3とノッチ部7,7とで位置ズレが生じると、ノッチ部7,7を起点にして被覆層6を引裂く際に、光ファイバ線3,3が邪魔になり、引裂くことが困難になるという問題も生じる。
以上のような問題に対して、本実施形態の製造方法では、アラミドロープ乾燥工程S2を設定して、アラミドロープ2内の水分を除去した乾燥アラミドロープ2Aをテンションメンバ1と構成したため、こうした問題が生じない。
すなわち、本実施形態では、ケーブル内部に光ファイバ線3,3とテンションメンバ1,1とを並列に配置して、樹脂組成物6で被覆する光ファイバケーブルC1の製造方法において、アラミドロープ2から水分を除去して乾燥アラミドロープ2Aとするアラミドロープ乾燥工程S2を備えている。
このため、複数の糸状部材2a、2b、2c、2dを撚り合わせてロープ状に構成したアラミドロープ2で、テンションメンバ1を構成しても、乾燥アラミドロープ2A内には水分が存在しないため、ケーブル集合被覆工程S5で、樹脂組成物6で被覆したとしても、被覆層6内には気泡11が残留することはない。
よって、被覆層6内に残留する気泡11によって、光ファイバ線3,3が悪影響を受ける虞をなくすことができる。
したがって、アラミドロープ2をテンションメンバ1とし、このテンションメンバ1と並列配置した光ファイバ線3とを、樹脂組成物6によって一括被覆する光ファイバケーブルC1の製造方法において、アラミドロープ2の柔軟性を維持しつつも、光ファイバ線3の性能を維持することができる。
また、本実施形態では、アラミドロープ乾燥工程S2は、アラミドロープ2を真空状態に置いて、乾燥を行う真空引きでの乾燥工程である。
この構成により、真空状態を利用して、アラミドロープ2内の隙間に存在する水分を吸い出して、真空中に蒸発させ、アラミドロープ2を乾燥(水分除去)することになる。
これにより、加熱蒸発等の水分除去の方法では、困難な繊維部材の内部の水分除去まで、確実に行うことができる。
よって、アラミドロープ2内部の水分除去まで、より確実に行うことができる。
また、本実施形態では、アラミドロープ乾燥工程S2でアラミドロープ2を同時に加熱するようにしている。
この構成により、真空引きでだけで乾燥するより、さらに水分の除去を短時間で行うことができる。
よって、アラミドロープ乾燥工程S2を、新たに設定したことによる製造時間の増加をできるだけ減少させることができ、製造タクトや製造コストの増加を可及的に抑制できる。
また、この実施形態では、ケーブル集合被覆工程S5の直前に、乾燥アラミドロープ2A表面の水分を除去するように乾燥アラミドロープ2Aを加熱するアラミドロープ直前加熱工程S3を備えている。
この構成により、ケーブル集合被覆工程S5の直前においても、さらに乾燥アラミドロープ2Aを加熱するため、乾燥アラミドロープ2Aの表面に付着する水分を確実に除去することができる。
よって、さらに乾燥アラミドロープ2Aの表面に付着しやすい水分を確実に除去することができるため、ケーブル集合被覆工程S5の際に、被覆層6に気泡が発生して残留するという問題を、より確実に防止できる。
また、この実施形態では、テンションメンバ1を、アラミド繊維で構成されるアラミドロープ2で構成している。
この構成により、アラミド繊維の保湿性により存在する糸状部材2a、2b、2c、2dの内部の水分を、真空状態を利用してより確実に除去することができる。
このため、柔軟性に優れるアラミド繊維でテンションメンバ1を構成したとしても、繊維内部に存在する水分まで、除去できるため、被覆層6に空洞11や気泡12が発生することを防止できる。
よって、アラミド繊維特有のより高い柔軟性を維持しつつも、被覆層6に空洞11や気泡12が発生して残存しない光ファイバケーブルC1を製造することができる。
さらに、この実施形態は、ケーブル内部に光ファイバ線3,3とテンションメンバ1,1とを並列に配置して、被覆層6で被覆する光ファイバケーブルC1であって、このテンションメンバ1,1を、大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量を小さくした乾燥アラミドロープ2A,2Aで構成している。
例えば、アラミド繊維の大気圧下での標準的な保有水分量は、4.2重量%であるが、この乾燥アラミドロープ2A、2Aの保有水分量は、1.2重量%(水分除去条件:80℃×48時間、−76cmHgとなる真空引きした後、速やかに測定)に設定している。
水分量は、カールフィッシャー水分計により、140℃加熱時の発生水分量を測定した値である。そして、測定に使用した機器は、三菱化学アナリテック製CA200型微量水分測定装置、およびVA‐200型水分気化装置を使用した(測定に使用したサンプル量は0.15〜0.20gで、任意の1点を測定、水分量のバラつきは、±0.05%程度)。
この構成により、樹脂組成物6で被覆する際に、乾燥アラミドロープ2Aが加熱されても、ほぼ水蒸気等は発生しないため、被覆層6に空洞11や気泡12が残留することはない。
よって、光ファイバ線3,3に対して空洞11や気泡12が残留することによる悪影響をなくすことができるため、アラミドロープ2の柔軟性を維持しつつも、光ファイバ線3の性能を維持した光ファイバケーブルC1を得ることができる。
また、この実施形態では、ケーブル内部の中央位置に、光ファイバ線3,3が配置されて、二本の乾燥アラミドロープ2A,2Aがその光ファイバ線3,3の両外側位置に各々並列に配置されている。
この構成により、もし仮に、乾燥アラミドロープ2Aから水蒸気等が発生して空洞11や気泡12が残留することがあっても、光ファイバ線3,3よりもケーブルの外側位置に乾燥アラミドロープ2A,2Aが位置しているため、空洞11や気泡12の影響が、光ファイバ線3,3に生じにくくなる。
すなわち、気泡が残留しないので、光ファイバケーブルの機械的な特性や、光学的な特性が低下することなく、また、外観不良による歩留まりの低下を抑制することができるのである。
また、この実施形態では、光ファイバ線3,3は、中央位置で並列に延びる二本で構成されており、被覆層6の外表面6a,6bには、この二本の光ファイバ線3,3の間に対応する位置に外被引裂き用のノッチ部7,7が形成されている。
この構成により、光ファイバケーブルC1の端末処理を、より確実且つ容易に行うことができる。
すなわち、光ファイバ線3,3が直線状に安定しているため、ノッチ部7,7と光ファイバ線3,3の位置ズレが生じないため、ノッチ部7,7を起点に被覆層6,6を引裂く際に、光ファイバ線3,3が邪魔になることなく、被覆層6の引裂き作業を、確実且つ容易に行えるのである。
よって、被覆材6の外表面6a,6bに外被引裂き用のノッチ部7,7を形成することで、光ファイバケーブルC1の端末処理を容易に行うことができ、同時にノッチ部7,7と光ファイバ線3,3との位置ズレも生じないため、確実且つスムーズに、光ファイバケーブルC1の端末処理を行うことができる。
以上、2心タイプのフラット型形状の光ファイバケーブルC1で、本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、1心タイプのフラット型形状の光ファイバケーブル(1本の光ファイバ線と1本のテンションメンバで構成される光ファイバケーブル)などの製造方法や構造で実施しても良い。すなわち、光ファイバ線3とテンションメンバ1を並列に配置して一括して被覆する被覆工程で製造される光ファイバケーブルC1であれば、どのような構造であっても良い。
また、被覆層6の樹脂組成物についても、押出し被覆するものであれば、特に限定されるものではない。
さらに、テンションメンバ1についても、繊維状の糸状部材を撚り合わせてロープ状に構成するものであれば、特に、アラミドロープ2に限定されるものでもない。例えば、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維等、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状に構成する繊維部材であれば、繊維部材の内部に隙間ができるため、本発明の効果を得ることができる。
以上説明したように、本発明は、例えば、複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状に構成する繊維部材をテンションメンバとして使用し、光ファイバ線を一括して被覆する光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブルにおいて有用である。
W…光ファイバケーブルの製造工程
W1…テンションメンバ製造工程
W2…光ファイバ線製造工程
W3…光ファイバケーブル完成工程
S1…アラミドロープ準備工程(部材準備工程)
S2…アラミドロープ乾燥工程(部材水分除去工程、部材乾燥工程)
S3…アラミドロープ直前加熱工程(部材直前加熱工程)
S5…ケーブル集合被覆工程(部材被覆工程)
C1…光ファイバケーブル
1…テンションメンバ
2…アラミドロープ
2A…乾燥アラミドロープ
2a、2b、2c、2d…糸状部材(アラミド繊維)
3…光ファイバ線
6…被覆層(樹脂組成物、被覆材)
7…ノッチ部

Claims (8)

  1. 内部に光ファイバ線とテンションメンバとが並列に配置され、被覆材で被覆される光ファイバケーブルの製造方法であって、
    複数の糸状部材を撚り合わせてロープ状とした繊維部材を準備する部材準備工程と、
    該部材準備工程で得た前記繊維部材から水分を除去して乾燥繊維部材とする部材水分除去工程と、
    該乾燥繊維部材をテンションメンバとして光ファイバ線と並列に配置して、被覆材を被覆する部材被覆工程と、
    を備えることを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。
  2. 前記部材水分除去工程は、繊維部材を真空状態に置いて乾燥を行う部材乾燥工程である
    ことを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブルの製造方法。
  3. 前記部材乾燥工程で、前記繊維部材に同時に加熱する
    ことを特徴とする請求項2記載の光ファイバケーブルの製造方法。
  4. 前記部材被覆工程の直前に、前記繊維部材の表面の水分を除去するように該繊維部材を加熱する、部材加熱工程を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1記載の光ファイバケーブルの製造方法。
  5. 前記繊維部材が、アラミド繊維である
    ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1記載の光ファイバケーブルの製造方法。
  6. 内部に光ファイバ線とテンションメンバとが並列に配置されて、被覆材で被覆される光ファイバケーブルであって、
    前記テンションメンバは、複数の糸状部材が撚り合わされてロープ状とされ、且つ大気圧下での標準の保有水分量よりも保有水分量が小さい乾燥繊維部材で構成された
    ことを特徴とする光ファイバケーブル。
  7. 内部の中央位置に、前記光ファイバ線が配置されており、該光ファイバ線の両外側位置に二本の前記乾燥繊維部材が並列に配置されている
    ことを特徴とする請求項6記載の光ファイバケーブル。
  8. 前記光ファイバ線は、中央位置で互いに並列に配置した二本で構成されており、前記被覆材の外表面には、該二本の光ファイバ線の間に対応する位置に外被引裂き用のノッチ部が形成されている
    ことを特徴とする請求項7記載の光ファイバケーブル。
JP2015254778A 2015-12-25 2015-12-25 光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブル Pending JP2017116860A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015254778A JP2017116860A (ja) 2015-12-25 2015-12-25 光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015254778A JP2017116860A (ja) 2015-12-25 2015-12-25 光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017116860A true JP2017116860A (ja) 2017-06-29

Family

ID=59231753

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015254778A Pending JP2017116860A (ja) 2015-12-25 2015-12-25 光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017116860A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7155617B2 (ja) 2018-06-04 2022-10-19 住友電気工業株式会社 光ファイバケーブル

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62136615A (ja) * 1985-12-11 1987-06-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 光フアイバテ−プ心線およびその製造方法
JP2004347869A (ja) * 2003-05-22 2004-12-09 Tatsuta Electric Wire & Cable Co Ltd 光ファイバケーブル
JP2005091616A (ja) * 2003-09-16 2005-04-07 Fujikura Ltd 光ファイバケーブルおよびその製造方法
US20100109174A1 (en) * 2008-11-05 2010-05-06 George Cornelius Abernathy Method for drop cable having an oval cavity

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62136615A (ja) * 1985-12-11 1987-06-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 光フアイバテ−プ心線およびその製造方法
JP2004347869A (ja) * 2003-05-22 2004-12-09 Tatsuta Electric Wire & Cable Co Ltd 光ファイバケーブル
JP2005091616A (ja) * 2003-09-16 2005-04-07 Fujikura Ltd 光ファイバケーブルおよびその製造方法
US20100109174A1 (en) * 2008-11-05 2010-05-06 George Cornelius Abernathy Method for drop cable having an oval cavity

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7155617B2 (ja) 2018-06-04 2022-10-19 住友電気工業株式会社 光ファイバケーブル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3596511B2 (ja) 光ファイバケーブル
CN109477944B (zh) 耐燃光纤线缆
JP6380166B2 (ja) モールド加工電線
US10416403B2 (en) Optical fiber cable
JP2013258104A (ja) 耐油・耐屈曲シース付きケーブル及びそれを用いたケーブルハーネス並びに耐油・耐屈曲シース付きケーブルの製造方法
JP2012146591A (ja) 多心ケーブル及びその製造方法
KR200477214Y1 (ko) 다심 케이블
JP2017116860A (ja) 光ファイバケーブルの製造方法、及び光ファイバケーブル
US20170004907A1 (en) Multi-core cable
US10258765B2 (en) Cable and medical hollow tube
JP2017068050A (ja) 光ファイバケーブルに用いるテンションメンバの製造方法、及びその製造方法を一部に備える光ファイバケーブルの製造方法
JP2017130376A (ja) 光ファイバケーブル構造、及びその製造方法
CN206411302U (zh) 一种低烟无卤阻燃野外光缆
JP2017068051A (ja) 光ファイバケーブルに用いるテンションメンバ構造及びそのテンションメンバを用いた光ファイバケーブル構造
CN108475564A (zh) 复合电缆
JP2005345805A (ja) 光ファイバコード
JP4134758B2 (ja) メタル光複合ケーブル
JP2014126671A (ja) 光ファイバケーブル及びワイヤハーネス
KR20160150001A (ko) 가동부 배선용 플랫 케이블
JP6605293B2 (ja) 緊張材および歪計測用光ファイバーケーブルの端末処理方法
JP2015045727A (ja) 光ファイバケーブル及びその製造方法
US20240353639A1 (en) Optical fiber cable and method for manufacturing optical fiber cable
JP2013186218A (ja) 光ファイバケーブル及びその製造方法
JP5014460B2 (ja) 光ファイバケーブル
CN114397739B (zh) 集束型光缆及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180302

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190219

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190723