以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下の説明では、図1の右上方、左下方、右下方、左上方、上方、及び下方を、それぞれ、印刷装置1の後方、前方、右方、左方、上方、及び下方と定義する。
図1〜図3を参照し、印刷装置1の構造を説明する。印刷装置1は、長尺筒状の印刷媒体であるチューブ9及び帯状の印刷媒体であるテープ(図示略)に文字、記号等のキャラクタを印刷し、且つ印刷後のチューブ9及びテープを切断可能な装置である。
図1に示すように、印刷装置1は、本体ケース11及びカバー12を含む筐体10を備える。本体ケース11は、左右方向に長い直方体状の箱状部材である。本体ケース11は、上方に開口したケース部112と、ケース部112の上側に設けられる装着カバー111(図2参照)とを含む。カバー12は、本体ケース11の上側に配置された板状部材である。カバー12の後端部は、本体ケース11の後端部上側で回転可能に支持される。カバー12は、本体ケース11に対して閉じられた閉位置(図1参照)と、本体ケース11に対して開かれた開位置(図2参照)とに、後端部を中心に回転可能である。ロック機構13は、本体ケース11の前端部上側に設けられる。ロック機構13は、閉位置にあるカバー12の前端部を係止して、カバー12の開放を規制する。以下の説明では、カバー12が閉位置にある状態を基準として、各部材を説明する。
閉位置にあるカバー12は、装着カバー111の上面である装着面11A(図2参照)を覆う。ユーザは、カバー12を開く場合、ロック機構13を操作してカバー12の係止を解除し、カバー12をロック機構13から上側に回動させる。カバー12が本体ケース11に対して開かれた場合、装着面11Aは上方に露出する(図2参照)。
筐体10の側面には、操作部17、テープ排出口14、チューブ挿入口15、チューブ排出口16(図2参照)、及びハンドル部18が設けられる。操作部17は、電源ボタン及びスタートボタンを含む複数の操作ボタンである。操作部17は、本体ケース11の前面の右側上部に設けられる。テープ排出口14は、テープを筐体10の外部に排出するための開口である。テープ排出口14は、上下方向に長い矩形状であり、筐体10の前面の右上部に設けられる。
チューブ挿入口15は、チューブ9(図3参照)を筐体10の内部に案内するための開口である。チューブ挿入口15は、上下方向に若干長い矩形状であり、本体ケース11の右面の後側上部に設けられる。
チューブ挿入口15には、チューブ挿入口15の開口を塞ぐためのスポンジ状のクリーナ15Aが設けられる。クリーナ15Aには、右側面視正六角形の対角線状の3本の切れ目が形成される。3本の切れ目の内の切れ目15Bは上下方向に延び、切れ目15Bの上端はクリーナ15Aの上端に達する。チューブ9は、後述のチューブ搬送溝40内に装着される場合、切れ目15Bの上端から下方に挿入される。チューブ9は、3本の切れ目の交点が、チューブ9の断面の中心と略一致する姿勢で、クリーナ15Aに保持される。クリーナ15Aは、印刷装置1の外部から供給されるチューブ9の姿勢を安定させる。クリーナ15Aは、印刷面となるチューブ9の表面に付着した埃を拭き取る。
チューブ排出口16は、チューブ9を筐体10の外部に排出するための開口である。チューブ排出口16は、上下方向に若干長い矩形状であり、本体ケース11の左面の後側上部に設けられる。チューブ排出口16は、チューブ挿入口15よりも若干前側にある。ハンドル部18は、ユーザが印刷装置1を持ち運ぶときに保持する部材である。ハンドル部18は、筐体10の左面及び右面に架設され、且つ本体ケース11の上側を経由して前後両側に回転可能である。
図1及び図2に示すように、カバー12には、窓部121,122が設けられる。窓部121、122は、光透過性を有する部材で平面視矩形状に形成される。窓部121は、カバー12が閉位置にある場合に、後述のテープ装着部20に対応する位置(つまり、平面視でカバー12の右部)に設けられる。窓部122は、カバー12が閉位置にある場合に、後述のリボン装着部30に対応する位置(つまり、平面視でカバー12の左部)に設けられる。ユーザは、窓部121を介して後述のテープ装着部20に装着されたテープカセット80を確認できる。ユーザは、窓部122を介して後述のリボン装着部30に装着されたリボンカセット90を確認できる。
本体ケース11の内部には、制御基板(図示略)及び電源部(図示略)等が設けられる。制御基板は、CPU、ROM、RAM等が設けられた基板であり、印刷装置1の各種動作を制御する。例えば制御基板は、チューブ印刷部60の印刷動作、チューブ切断機構100の切断動作を制御する。印刷動作は、チューブ9にキャラクタの印刷を行う動作である。切断動作は、印刷後のチューブ9の切断を行う動作である。本例の制御基板は、本体ケース11の内部における右後部に設けられ、且つ上下方向及び左右方向に延びる。電源部は、本体ケース11内に装着された電池(図示略)に接続され、又はコードを介して外部電源(図示略)に接続され、印刷装置1に電源を供給する。本例の電源部は、制御基板の前側に設けられる。
図2及び図3に示すように、印刷装置1は、テープ印刷部50、テープ切断機構(図示略)、チューブ印刷部60、第一押圧部材41(図2参照)、第二押圧部材46(図2参照)、チューブ切断機構100、切断領域保護部500等を備える。テープ印刷部50は、テープカセット80に収納されたテープ(図示略)に印刷を行う部位である。テープ印刷部50は、装着面11Aに設けられる。テープ印刷部50は、テープ装着部20、印刷ヘッド52(図3参照)、テープ駆動軸55(図3参照)等を備える。
テープ装着部20は、テープカセット80を着脱可能な部位である。テープカセット80は、テープ(図示略)及びインクリボン(図示略)を収容可能な平面視で矩形状の箱状体である。テープカセット80は、例えば、ラミネートタイプのテープカセットである。テープ装着部20は、平面視でテープカセット80と略対応する開口形状で形成された、上方に開口する凹部である。本例のテープ装着部20は、装着面11Aの右部、且つ後述のチューブ搬送溝40の前側に設けられる。
印刷ヘッド52及びテープ駆動軸55は、テープ装着部20の底面から上方に向けてそれぞれ立設される。印刷ヘッド52は、テープ装着部20の右部に設けられた、発熱体(図示略)を備えるサーマルヘッドである。テープ駆動軸55は、テープ装着部20の右前部に設けられた、平面視で時計回り方向に回転可能な軸部である。テープ駆動軸55は、テープ装着部20に装着されたテープカセット80に挿入される。この状態で、テープ駆動軸55は、回転することによってテープを搬送する。
テープ切断機構は、印刷後のテープを切断する機構である。テープ切断機構は、テープを切断するカッター(図示略)、カッターを駆動する駆動モータ(図示略)等を備える。カッターは、テープ排出口14の近傍に設けられる。駆動モータは、本体ケース11の内部に設けられる。印刷後のテープは、テープ切断機構によって切断された後、テープ排出口14から筐体10の外部へと排出される。
チューブ印刷部60は、チューブ9に印刷を行う部位である。チューブ印刷部60は、装着面11Aに設けられる。チューブ印刷部60は、リボン装着部30、チューブ搬送溝40、印刷ヘッド61、リボン巻取軸63、搬送ローラ65〜69等を備える。
リボン装着部30は、リボンカセット90を着脱可能な部位である。リボンカセット90は、インクリボン(図示略)を収容可能な平面視で矩形状の箱状体である。リボン装着部30は、平面視でリボンカセット90と略対応する開口形状で形成された、上方に開口する凹部である。本例のリボン装着部30は、装着面11Aの左部、且つ後述のチューブ搬送溝40の前側に設けられる。
チューブ搬送溝40は、チューブ9を着脱可能な溝部である。チューブ搬送溝40は、チューブ挿入口15からチューブ排出口16まで延び、且つ上方に開口する。チューブ排出口16は、チューブ挿入口15よりも若干前側にあるため、チューブ搬送溝40は、若干左前側に傾いて略左右方向に延びる。チューブ挿入口15からチューブ排出口16に向けてチューブ搬送溝40が延びる方向を、搬送方向という。搬送方向は、左右方向及び前後方向と平行であり、上下方向と直交する。
図3に示すように、チューブ搬送溝40は、基準面401と側面402,403とを含む。基準面401は、チューブ搬送溝40の底面を形成し、搬送方向に沿って延びる。側面402は、基準面401の後端部において、搬送方向上流側の端部から搬送方向下流側の端部までの部位から上方に延びる。側面403は、基準面401の前端部において、搬送方向上流側の端部からリボン装着部30の右後端部に接続する部位まで延び、且つ、リボン装着部30の左後端部に接続する部位から搬送方向下流側の端部まで延びる。つまり、チューブ搬送溝40とリボン装着部30とが交差する部位(つまり、リボン装着部30の後部)は、互いに空間的に繋がっている。
搬送方向と直交するチューブ搬送溝40の開口断面は、チューブ搬送溝40とリボン装着部30とが空間的に繋がる部位を除いて、チューブ9の延伸方向と直交する断面(すなわち、チューブ9の横断面)よりも僅かに大きい。ユーザは、チューブ9がチューブ挿入口15からチューブ排出口16まで延びるように、チューブ9を搬送方向に沿ってチューブ搬送溝40内に装着する。
印刷ヘッド61及びリボン巻取軸63は、リボン装着部30の底面から上方に向けてそれぞれ立設される。印刷ヘッド61は、リボン装着部30の後部に設けられた、発熱体(図示略)を備えるサーマルヘッドである。印刷ヘッド61は、チューブ9に印刷を行う。リボン巻取軸63は、リボンカセット90に設けられたリボン巻取スプール92を回転可能な軸部である。リボン巻取軸63は、リボン巻取スプール92を回転することにより、未使用のインクリボンをリボンカセット90の内部から引き出し、且つ使用済みのインクリボンを巻き取る。
各搬送ローラ65〜69は、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を搬送方向に沿って搬送するためのローラである。搬送ローラ65は、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を挟んで印刷ヘッド61に対向する位置に設けられる。搬送ローラ66は、チューブ搬送溝40の後側、且つ搬送ローラ65の搬送方向上流側に設けられる。搬送ローラ67は、チューブ搬送溝40の後側、且つ搬送ローラ65の搬送方向下流側に設けられる。各搬送ローラ65〜67は、リボン装着部30の底面から上方に向けて立設され、平面視で時計回り方向に回転可能である。
搬送ローラ68は、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を挟んで搬送ローラ66に対向する位置に設けられる。搬送ローラ69は、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を挟んで搬送ローラ67に対向する位置に設けられる。つまり、搬送ローラ65〜69のうち、搬送ローラ66,68が最も搬送方向上流側にあり、搬送ローラ67,69が最も搬送方向下流側にある。搬送ローラ68,69は、それぞれ、リボン装着部30の底面から上方に向けて立設され、平面視で反時計回り方向に回転可能である。本体ケース11の内部には、搬送ローラ65〜69及びリボン巻取軸63を回転駆動する駆動モータ(図示略)が設けられる。
搬送ローラ68,69は、それぞれ、印刷位置と非印刷位置とに変位可能である。印刷位置では、搬送ローラ68,69は、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を挟んで搬送ローラ66,67にそれぞれ近接する。非印刷位置では、搬送ローラ68,69は、それぞれ、印刷位置にある搬送ローラ68,69よりも前側に位置し、搬送ローラ66,67から離隔する。ユーザは、開閉レバー71を操作することによって、搬送ローラ68,69を印刷位置と非印刷位置とに変位させる。開閉レバー71は、装着面11Aの後端部近傍に設けられた、直方体状の部材である。開閉レバー71の右端部は、装着面11Aに軸支される。開閉レバー71は、右端部を軸として、上方に延びる位置と左方に延びる位置との間で、正面視で反時計回り方向及び時計回り方向に回転可能である。開閉レバー71が上方に延びる位置にある場合、搬送ローラ68,69は、それぞれ、非印刷位置にある。開閉レバー71が左方に延びる位置にある場合、搬送ローラ68,69は、それぞれ、印刷位置にある。
印刷ヘッド61には、本体ケース11内に設けられたヘッド駆動モータ(図示略)が連結される。印刷ヘッド61は、ヘッド駆動モータの駆動に伴い、印刷位置と非印刷位置とに変位可能である。印刷ヘッド61が印刷位置にある場合、印刷ヘッド61は、搬送ローラ65との間でチューブ9を挟み込む。印刷ヘッド61が非印刷位置にある場合、印刷ヘッド61は、チューブ搬送溝40よりも前側に配置されて、搬送ローラ65から離隔する。
印刷ヘッド61が非印刷位置にある状態で、リボン装着部30にリボンカセット90が装着されると、リボン巻取軸63はリボン巻取スプール92に挿入される。その後、ヘッド駆動モータの駆動に伴って、印刷ヘッド61が印刷位置まで変位する。印刷ヘッド61は、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9と未使用のインクリボン(図示略)とを重ねて、搬送ローラ65に向けて付勢する。このとき、付勢されるチューブ9は、弾性変形して、インクリボンを介して印刷ヘッド61と面接触する。
図2に示すように、第一押圧部材41及び第二押圧部材46は、カバー12の下面123に設けられる。下面123は、カバー12が閉位置にある場合に、装着面11Aと対向する面である。第一押圧部材41及び第二押圧部材46は、それぞれ、カバー12が開位置にある場合に、チューブ搬送溝40から退避し、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9から離隔する。第一押圧部材41及び第二押圧部材46は、それぞれ、カバー12が閉位置にある場合に、チューブ搬送溝40内に進入し、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を下方に押圧する。
図3に示すように、第一押圧部材41は、カバー12が閉位置にある場合、S1で示す位置に配置される。S1で示す位置は、搬送方向において、チューブ挿入口15と搬送ローラ66との中間位置よりもやや搬送方向下流側の位置であり、且つチューブ搬送溝40内である。第二押圧部材46は、カバー12が閉位置にある場合、S2で示す位置に配置される。S2で示す位置は、搬送方向において、印刷ヘッド61と搬送ローラ67との略中間位置であり、且つチューブ搬送溝40内である。第一押圧部材41及び第二押圧部材46の詳細は後述する。
図2及び図3に示すように、チューブ切断機構100は、印刷後のチューブ9の切断を行う機構である。チューブ切断機構100は、チューブ搬送溝40の左端部近傍に設けられる。切断領域保護部500は、チューブ9がチューブ切断機構100によって切断される領域に異物が入り込むことを抑制するための部位である。切断領域保護部500は、チューブ搬送溝40の左端部近傍に設けられる。チューブ切断機構100及び切断領域保護部500の詳細は後述する。
装着カバー111において、チューブ搬送溝40の左端部近傍には、上下方向に貫通する開口部116が形成される。チューブ切断機構100の一部及び切断領域保護部500の一部は、開口部116から上方に露出する。つまり、チューブ切断機構100及び切断領域保護部500は、装着カバー111の下側から上側に亘って設けられる。
図4〜図6を参照し、第一押圧部材41及び第二押圧部材46の詳細構造を説明する。図4及び図5に示すように、第一押圧部材41は、アーム部43、ローラ45、及び第一付勢部材44を備える。アーム部43は、平面視で搬送方向に延びる矩形状である。アーム部43の搬送方向上流側の端部431(図5参照)は、下面123側において、カバー12の支持部124によって軸部42を中心に回動可能に支持される。軸部42は、搬送方向に対して略直交する方向に延びる。支持部124は、下面123から垂直に延設された部位である。
アーム部43は、端部431とアーム部43の搬送方向下流側の端部432とを結ぶ辺から上方に延びるガイド部433を備える。カバー12は、下面123から略垂直に延設された板状の一対のガイド部125、126(図4参照)を備える。ガイド部125、126は、搬送方向に延びる。ガイド部433は、一対のガイド部125、126の間に配置される。アーム部43は、ガイド部433が一対のガイド部125、126の間でガイドされ、軸部42を中心に回動する。
ローラ45は、端部432に図5の正面視で時計回り方向に回転可能に支持される。ローラ45は、カバー12が開位置にある場合、チューブ搬送溝40から退避する(図2参照)。一方、ローラ45は、カバー12が閉位置にある場合、チューブ搬送溝40内に進入する(図5参照)。ローラ45の軸線方向の長さ(以下、ローラ45の幅)は、チューブ9の径に応じて選定される。ローラ45の幅は、チューブ搬送溝40における搬送方向及び上下方向に直交する方向の長さよりも小さい。これにより、ローラ45は、チューブ搬送溝40内に進入できる。本例では、ローラ45の幅は、印刷可能なチューブ9の最小径よりも大きい。
第一付勢部材44は、コイル部(図示略)、及びコイル部から径外側に延設された一対の係止部(図示略)を有するねじりバネである。第一付勢部材44の一方の係止部は、アーム部43に固定される。第一付勢部材44の他方の係止部は、カバー12に固定される。第一付勢部材44は、アーム部43を下方(正面視で反時計回り方向)に回転させるように付勢する。これにより、ローラ45は、カバー12が閉位置にある場合に、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を下方に押圧する。
図4及び図6に示すように、第二押圧部材46は、支持部48、押圧部47、及び第二付勢部材49(図6参照)を備える。支持部48は、下面123に設けられた、下方に開口する箱状部材である。押圧部47は、上方に開口し、上下方向に移動可能に支持部48内に挿入される。押圧部47の下端部は、支持部48の開口から下方に突出する。押圧部47の下端部は、ローラ471を図6の正面視で時計回り方向に回転可能に支持する。ローラ471の軸線方向の長さ(以下、ローラ471の幅)は、チューブ9の径に応じて選定される。ローラ471の幅は、チューブ搬送溝40における搬送方向及び上下方向に直交する方向の長さよりも小さい。これにより、ローラ471は、チューブ搬送溝40内に進入できる。本例では、ローラ471の幅は、印刷可能なチューブ9の最小径より大きい。
第二付勢部材49は、支持部48の内部に設けられた、圧縮コイルバネである。第二付勢部材49の上端部は、支持部48の底面に固定される。第二付勢部材49の下端部は、押圧部47の底面に固定される。第二付勢部材49は、押圧部47を下方に付勢する。これにより、ローラ471は、カバー12が閉位置にある場合に、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を下方に押圧する。カバー12が閉位置にある場合において、第二押圧部材46がチューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を押圧する荷重は、第一押圧部材41がチューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9を押圧する荷重よりも小さく設定されている。S1で示す位置は、S2で示す位置よりも搬送方向上流側である。これにより、印刷装置1は、チューブ搬送時のジャムを抑制しつつ、チューブ9を確実に押圧できる。
図8及び図9を参照し、チューブ切断機構100の詳細構造を説明する。チューブ切断機構100は、搬送方向において搬送ローラ67,69とチューブ排出口16との間に設けられる(図3参照)。チューブ切断機構100は、印刷後のチューブ9に対して切断動作を行う機構である。切断動作は、ハーフカット及びフルカットを含む。本例のハーフカットは、周方向の一部を残してチューブ9を切断する動作である。本例のフルカットは、チューブ9を周方向に亘って切断し、2つ以上に切り離す動作である。
図8に示すように、チューブ切断機構100は、保持部材102、カッター移動機構150、受台移動機構160、カッター27、受台180等を備える。保持部材102は、チューブ搬送溝40(図2参照)よりも下側に設けられた、側面視で略矩形状の板状部材である。保持部材102は、保持壁部102Aと固定壁部102Bとを含む。保持壁部102Aは、前後上下方向に延びる側面視で矩形状の板状部材である。保持壁部102Aは、複数の部材を保持する。固定壁部102Bは、保持壁部102Aの上端部から右方に延設される。固定壁部102Bは、前後左右方向に延びる平面視で矩形状の板状部材である。固定壁部102Bは、本体ケース11内部に固定される。
保持壁部102Aの右面の前部には、DCモータ104が固定される。DCモータ104の出力軸は、左右方向に延び、且つ保持壁部102Aを貫通する。DCモータ104は、出力軸を中心に、正方向及び逆方向に回転駆動する。DCモータ104の出力軸の先端部には、モータギヤ104Aが設けられる。
カッター移動機構150は、後述のカッター27を前後方向に移動させる機構である。カッター移動機構150は、回転部材106、リンク部材220、トーションバネ235、支持部材152、ガイド軸278、アーム部材277、及び移動部272を備える。回転部材106は、保持壁部102Aの左面の後部に配置される。回転部材106は、左右方向に延びる軸線(図示略)を中心に回転な部材であり、左右方向に厚さを有する。回転部材106の右部には、歯部106Aが形成される。歯部106Aは、右側面視で円環状に形成され、複数のギヤ(図示略)を介してモータギヤ104Aと連結する。回転部材106は、押圧ピン215Aを備える。押圧ピン215Aは、回転部材106の左面から左方へ突出する円柱体である。
以下、回転部材106の回転方向のうち、左側面視で反時計回り方向(すなわち、矢印B1が向く方向)を、矢印B1方向といい、矢印B1方向とは反対方向(矢印B2が向く方向)を、矢印B2方向という。DCモータ104が正方向に回転駆動する場合、回転部材106は矢印B1方向に回転し、DCモータ104が逆方向に回転駆動する場合、回転部材106は矢印B2方向に回転する。
図8で示す回転部材106は、初期回転位置にある。回転部材106が初期回転位置にある場合、押圧ピン215Aは、回転部材106の回転中心の真上にある回転位置から、矢印B1方向に僅かに変位した回転位置にある。
リンク部材220は、回転部材106の左側、且つ、モータギヤ104Aの後方に設けられる。リンク部材220は、右側面視で略Lの字型の板状部材である。リンク部材220は、左右方向に延びるリンク軸部223を中心に回転可能である。リンク軸部223の右端部は、保持壁部102Aに固定される。以下、リンク軸部223を中心とした左側面視で反時計回り方向(すなわち、矢印B3が向く方向)を、矢印B3方向といい、矢印B3方向とは反対方向(すなわち、矢印B4が向く方向)を、矢印B4方向という。リンク部材220は、リンク軸部223に設けられたバネ220Aによって、矢印B4方向に付勢されている。
リンク部材220は、第一板状部221及び第二板状部222を備える。第一板状部221は、チューブ搬送溝40の下側で略前後方向に延びる板状部である。第二板状部222は、第一板状部221の前端部から、第一板状部221に対して略90°傾斜して上側に延びる板状部である。第二板状部222の上端部は、チューブ搬送溝40よりも前側に配置される。
第一板状部221は、バネ軸部226、係止片225,227を備える。バネ軸部226は、第一板状部221の左面から左方へ突出する。係止片225,227は、いずれも、バネ軸部226よりも後方で、第一板状部221から左方に向けて突出する。係止片225は、第一板状部221の上後端部に設けられる。係止片227は、第一板状部221の下端部のうち、前後方向中心よりも後側の部位に設けられる。第二板状部222は、突出ピン238を備える。突出ピン238は、第二板状部222の上端部から右方に突出する。
トーションバネ235は、弾性変形した状態でバネ軸部226に設けられる。トーションバネ235は、延設部231及び延設部232を備える。延設部231は、係止片225を下側から付勢することによって、係止片225に係止される。延設部232は、係止片227を上側から付勢することによって、係止片227に係止される。
回転部材106が初期回転位置にある場合、リンク部材220がバネ220Aによって付勢されているため、延設部231は下側から押圧ピン215Aに対して接触する。以下、初期回転位置にある回転部材106に対して、延設部231を介して連結するリンク部材220の回転位置を、離隔回転位置(図8参照)という。リンク部材220が離隔回転位置にある場合、突出ピン238は、可動範囲の前端位置に位置する。
支持部材152は、固定壁部102Bの上面に固定された金属製の板状部材である。支持部材152は、下壁部152A、左壁部152B、右壁部152C、前壁部152D、後壁部152Eを含む。下壁部152Aは、チューブ搬送溝40よりも下側に設けられる。下壁部152Aは、前後方向において、チューブ搬送溝40の下側の位置からチューブ搬送溝40よりも前側まで延びる、平面視で矩形状の板状部材である。左壁部152B及び右壁部152Cは、それぞれ、下壁部152Aの左端部及び右端部から上方に立設する、側面視で矩形状の板状部材である。左壁部152B及び右壁部152Cは、いずれも、チューブ搬送溝40よりも前側に設けられる。左壁部152B及び右壁部152Cは、それぞれ、後述の移動部272よりも上方まで延び、且つ互いに略等しい上下位置まで延びる。前壁部152D及び後壁部152Eは、それぞれ、下壁部152Aの前端部及び後端部から上方に立設する、正面視で矩形状の板状部材である。
ガイド軸278は、前後方向に延び、前壁部152D、後述の移動部272、及び後壁部152Eの順に貫通する円柱状部材である。ガイド軸278は、前壁部152D及び後壁部152Eによって支持される。
アーム部材277は、ガイド軸278と略平行に延びる部材である。アーム部材277の前端部は、突出ピン238と連結する。アーム部材277の後端部は、後述の移動部272に収容される。
移動部272は、左壁部152Bと右壁部152Cとの間に設けられた、前後方向に開口する箱状部材である。移動部272は、突出ピン238よりも後方で、ガイド軸278によって前後方向に移動可能に支持される。移動部272は、左壁部152B、及び右壁部152Cによって左右方向の移動が規制されるため、前後方向に安定的に移動できる。
図9に示すように、移動部272の後側には、後方及び上方に開口するカッター装着部280が設けられる。カッター装着部280は、後述のカッター27が着脱可能に装着される部位である。カッター装着部280は、移動部272の前後方向の移動に伴って、前後方向に移動する。カッター装着部280は、下壁部280A、前壁部280B、右壁部280C、及び左壁部280Dを含む。下壁部280Aは、平面視で前後方向に長い矩形状の板状部材である。下壁部280Aの上面は、基準面401と略等しい上下位置において、基準面401(図3参照)と平行に延び、且つ移動部272の後端部から後述の受台180の近傍まで延びる。下壁部280Aの上面は、基準面401の一部を形成する。前壁部280Bは、正面視で上下方向に長い矩形状の板状部材である。前壁部280Bは、下壁部280Aの前端部から上方に延びる。右壁部280C及び左壁部280Dは、それぞれ、側面視で上下方向に長い矩形状の板状部材である。右壁部280C及び左壁部280Dは、それぞれ、下壁部280Aの右端部及び左端部における前部から上方に延びる。
図8及び図9に示すように、受台移動機構160は、後述の受台180を左右方向に移動させる機構である。受台移動機構160は、支持部184、移動部186、駆動伝達部(図示略)を備える。支持部184は、下壁部152Aの後端部から後方に延設された、背面視でUの字状の板状部材である。支持部184は、ガイド軸184A,184Bを支持する。ガイド軸184A,184Bは、支持部184の前端部を左右方向に貫通する円柱状の部材である。ガイド軸184Aは、ガイド軸184Bの上方に設けられる。
移動部186は、ガイド軸184A,184Bがそれぞれ左右方向に貫通する箱状部材である。移動部186は、支持部184の右壁部と左壁部との間で、ガイド軸184A,184Bによって左右方向に移動可能に支持される。移動部186は、ガイド軸184A,184Bに設けられたバネ(図示略)によって右方に付勢されている。
駆動伝達部は、DCモータ104の駆動力を伝達する部位である。駆動伝達部がDCモータ104の駆動力を伝達すると、受台移動機構160は、ガイド軸184A,184Bに設けられたバネの付勢力に抗って後述の受台180を左方に移動させる。
図9に示すように、移動部186の前面には、前方にやや突出した受台装着部190が設けられる。受台装着部190は、後述の受台180が着脱可能に装着される部位である。受台装着部190は、上下左右方向に延びる板状部材である。
カッター27と受台180とは、チューブ搬送溝40を挟んで搬送方向及び上下方向に直交する方向(すなわち、前後方向)に対向配置される。カッター27は、略直方体状の部材である。カッター27の左右方向の長さは、右壁部280Cと左壁部280Dとの間の距離よりも小さい。カッター27の前後方向の長さは、右壁部280C及び左壁部280Dのそれぞれの前後方向の長さと略等しい。これにより、カッター27は、カッター装着部280に対して着脱できる。
カッター27は、カッター用取っ手27Aと切断刃275とを備える。カッター用取っ手27Aは、カッター27の上面から上方に突出した、直方体状の部材である。カッター27の下端部からカッター用取っ手27Aの上端部までの長さは、前壁部280B、右壁部280C、及び左壁部280Dのそれぞれの上下方向の長さよりも大きい。
切断刃275は、上下前後方向に延びる板状体であり、カッター27の内側に設けられた取付バネ271によって前方に付勢される。切断刃275の後端部(つまり、チューブ搬送溝40側の端部)には、上下方向に直線状に延びる刃部275Aが形成される。切断刃275は、刃部275Aがカッター27の内部に収納される位置と、刃部275Aがカッター27の外部に露出した位置とに、前後方向に移動可能である。
カッター27は、カッター移動機構150によって搬送方向及び上下方向に直交する方向(すなわち、前後方向)に移動可能である。以下、カッター27の移動経路を、カッター移動経路という。カッター移動経路は、カッター27がチューブ搬送溝40から退避する退避位置と、カッター27がチューブ搬送溝40に進入する進入位置とを含む。突出ピン238が可動範囲の前端位置にある場合、カッター27は退避位置に位置する。一方、突出ピン238が可動範囲の前端位置から後方に移動した場合、カッター27は進入位置に向かって移動する。本例では、カッター移動経路は、上下方向及び搬送方向に直交する。図7に示す実線のカッター27は、退避位置にある。図7に示す二点鎖線のカッター27は、進入位置にある。退避位置にあるカッター27は、チューブ搬送溝40よりも前方に位置する。
切断刃275は、カッター27が退避位置にある場合、取付バネ271の付勢力によってカッター27の内部に収納される。切断刃275は、カッター27が進入位置にある場合、アーム部材277によって押圧されることにより、取付バネ271の付勢力に抗ってカッター27の外部に露出する。切断刃275がカッター27の外部に露出した場合、刃部275Aは後述の受台180に接触可能である。カッター27の進入位置のうち、刃部275Aが受台180に接触し、後方への移動が規制される位置を、切断位置という。図7に示す二点鎖線のカッター27は、切断位置にある。
受台180は、切断動作が行われる場合に、チューブ9が配置される。受台180は、下方及び後方に開口する箱状部材である。受台180は、受台用取っ手180Aを備える。受台用取っ手180Aは、受台180の上面から上方に突出した、直方体状の部材である。受台用取っ手180Aの上端部の上下位置は、カッター用取っ手27Aの上端部の上下位置と略等しい。
受台180の後面には、係合壁部180Bが形成される。係合壁部180Bは、受台180の後面の右端部、上端部、及び左端部から、それぞれ、左方、下方、及び右方に僅かに延びる壁部である。これにより、受台180は、受台装着部190に着脱できる。受台180の前面である接触面181の左部には凹部182が形成される。凹部182は、接触面181の上端部よりも下側から下端部の上側までの部位に設けられる。つまり、凹部182の上下両側は、接触面181である。
受台180は、受台移動機構160によって、ハーフカット位置(図8参照)とフルカット位置(図示略)との間を、搬送方向と平行に移動可能である。ハーフカット位置は、刃部275Aが受台180の左部に対向する時の受台180の左右方向位置である。この場合、カッター27が切断位置に移動すると、刃部275Aの上端部近傍及び下端部近傍がそれぞれ凹部182の上下両側の接触面181に接触する。フルカット位置は、刃部275Aが受台180の左右方向位置である。この場合、カッター27が切断位置に移動すると、刃部275Aの全体が接触面181に接触する。受台180は、受台移動機構160によってハーフカット位置に保持されている。受台移動機構160は、駆動伝達部によってDCモータ104の駆動が伝達された場合に、受台移動機構160のバネ(図示略)の付勢力に抗って、受台180をハーフカット位置からフルカット位置に移動させる。
図7、図10〜図12を参照し、切断領域保護部500の詳細構造を説明する。切断領域保護部500は、搬送方向において搬送ローラ67,69とチューブ排出口16との間に設けられる(図3参照)。切断領域保護部500は、チューブ搬送溝40内のカッター移動経路に異物が入り込むことを抑制するための部位である。
図7、図10〜図12に示すように、切断領域保護部500は、カッターカバー510、支持バネ580、及び搬送溝カバー540を備える。カッターカバー510は、上方からチューブ搬送溝40内のカッター移動経路に異物が入り込むことを抑制するための樹脂製のカバーである。カッターカバー510は、装着カバー111と後述の支持バネ580によって上方位置(図13参照)とカッターカバー510の後端部が上方位置から下方に回動した下方位置(図15参照)とに回動可能に支持される。図7、図10〜図12に示すカッターカバー510は、上方位置にある(図13,図14,図16,図17も同様)。図15に示すカッターカバー510は、下方位置にある(図18も同様)。以下の説明では、上方位置にあるカッターカバー510を基準として、各部材を説明する。
図10〜図12に示すように、カッターカバー510は、第一カバー部511、第二カバー部520、及び第三カバー部530を備える。第一カバー部511は、平面視で前後方向を長手方向とした矩形状の板状部材である。第一カバー部511の前端部近傍には、左端部から右端部まで下方に凹む凹部512が形成される。凹部512には、装着カバー111の下面である支持面11Bから下方に突出した支持部113が挿入される(図10参照)。支持部113は、支持面11Bのうち、カッター27の前方に設けられる(図7参照)。凹部512と支持部113の下端部との接触点を通る軸線を、回動軸線R1(図7,図13参照)という。回動軸線R1は、退避位置にあるカッター27よりも前方の位置で、左右方向に延びる。つまり、カッター27が進入位置から退避位置に向かう方向(すなわち、前方向)において、チューブ搬送溝40、退避位置、回動軸線R1の順に並ぶ。カッターカバー510は、回動軸線R1を中心に上方位置と下方位置との間で回動可能である。
第一カバー部511の右後角部及び左後角部には、それぞれ、支持面11Bから下方に僅かに突出した一対の凸部117(図7,図13参照)が接触可能である。一対の凸部117は、支持面11Bのうち、カッター27の前方であって、開口部116の近傍に設けられる。一対の凸部117と第一カバー部511とのそれぞれの接触点を通る線を、支持線R2(図7,図13参照)という。支持線R2は、回動軸線R1よりも後方において、回動軸線R1と平行に延びる。
第一カバー部511には、前後方向に長い長孔状の貫通孔513が形成される。貫通孔513は、第一カバー部511と後述の接触壁部550のそれぞれの後端部近傍を上下方向に貫通する。貫通孔513には、支持面11Bから下方に突出した突出部114(図7,図10参照)が挿入される。突出部114は、支持面11Bのうち、カッター27よりも前方であって、支持部113よりも後方に設けられる(図7参照)。貫通孔513の左右方向の長さと、突出部114の左右方向の長さとは、互いに略等しい。これにより、突出部114は貫通孔513に挿入し、カッターカバー510の左右方向の移動を規制できる。第一カバー部511の前端部には、後方に凹む凹部514が形成される。凹部514は、平面視で略矩形状である。第一カバー部511の右前角部及び左前角部には、それぞれ、上方に突出した一対の凸部515が設けられる。
第一カバー部511の下面には、下方に延びる接触壁部550(図10,図13参照)が設けられる。接触壁部550は、第一カバー部511の下面の左右方向中央において、凹部512の後側から第一カバー部511の前端部まで延びる。
第二カバー部520は、第一カバー部511の後端部から後方に延設された、下方に開口する箱状部材である。第二カバー部520の前壁部521(図11参照)の下端部は、第一カバー部511の前端部に接続する。第二カバー部520の右壁部522は、右壁部152C(図8参照)の上側において、第一カバー部511の前端部よりも下方まで延びる。第二カバー部520の上壁部523は、平面視で矩形状であり、且つ前後方向中央がやや下方に凹んだ湾曲状に、前後方向に延びる。
上壁部523には、平面視で矩形状に上下方向に貫通した開口部524が形成される。開口部524は、上壁部523に沿って、前後方向中央がやや下方に凹んだ湾曲状に、前後方向に延びる。
図7に示すように、開口部524の前後方向の長さは、カッター27の前後方向の長さよりも大きい。開口部524の左右方向の長さは、カッター27の左右方向の長さよりも大きい。すなわち、カッター27は、開口部524の内部を上下方向に通過可能である。開口部524は、退避位置にあるカッター27を上方に露出させる。第二カバー部520のうち、開口部524よりも後側の部位は、カッター用取っ手27A及び受台用取っ手180Aのそれぞれの上端部のいずれよりも上方、且つ退避位置にあるカッター27と受台180との間に位置する。すなわち、第二カバー部520のうち、開口部524よりも後側の部位は、チューブ搬送溝40内のカッター移動経路を上方から覆う。
図11及び図12に示すように、第三カバー部530は、平面視で矩形状の板状部材である。第三カバー部530は、第二カバー部520の左端部のうち、チューブ搬送溝40の上方に位置する部位に接続される。第三カバー部530の前後方向の長さは、チューブ搬送溝40の前後方向の長さよりもやや小さい。第三カバー部530は、一対の延出部531,532を備える。一対の延出部531,532は、それぞれ、第三カバー部530の前端部及び後端部から下方に延出する。一対の延出部531,532は、それぞれ、正面視で矩形状である。一対の延出部531,532の右端部近傍には、それぞれ、一対の貫通孔530A,530Bが形成される。一対の貫通孔530A,530Bは、それぞれ、一対の延出部531,532を前後方向に、正面視で円形状に貫通する。
支持バネ580は、カッターカバー510を上方に付勢し、上方位置に保持するためのバネである。支持バネ580は、第一カバー部511の下側に設けられる。支持バネ580の左右方向の長さは、第一カバー部511の左右方向の長さよりもやや小さい。支持バネ580は、平面部581と傾斜面部582とを備える。平面部581は、平面視で略矩形状の部位である。平面部581の前端部には、後方に凹む凹部583が形成される。凹部583には、支持面11Bから下方に突出した突出部115(図10参照)が挿入される。突出部115は、支持面11Bのうち、支持部113の前側に設けられる(図7参照)。突出部115の左右方向の長さと凹部583の左右方向の長さとは、互いに略等しい。これにより、突出部115は凹部583に挿入し、支持バネ580の左右方向の移動を規制できる。平面部581の後端部近傍には、上下方向に貫通した貫通孔584(図11参照)が形成される。
傾斜面部582は、平面部581の後端部から、後方に対して上方に傾斜する向きに延びる部位である。傾斜面部582の後端部は、僅かに下方に延びる。傾斜面部582は、接触壁部550の下端部のうち、貫通孔513の前側に接触する。
支持バネ580は、ネジ590が下方から貫通孔584、凹部514の順に挿入されて、装着カバー111に締め込まれることによって装着カバー111に固定される。これにより、支持バネ580は、ネジ590を軸として上下方向に弾性変形可能である。支持バネ580は、傾斜面部582が下方に弾性変形し、且つ接触壁部550に接触した状態でネジ590によって固定される。これにより、支持バネ580は、カッターカバー510を上方に付勢できる。支持バネ580と接触壁部550との接触点を通る線を、付勢線R3(図7,図13参照)という。付勢線R3は、平面視で回動軸線R1と支持線R2との間で、回動軸線R1及び支持線R2と平行に延びる。
搬送溝カバー540は、チューブ排出口16(すなわち、搬送方向下流側)からチューブ搬送溝40内のカッター移動経路に異物が入り込むことを抑制するための樹脂製のカバーである。搬送溝カバー540は、第三カバー部530の下側に設けられる。搬送溝カバー540は、カッターカバー510によって待機位置を含む範囲を回動可能に支持される。待機位置は、搬送溝カバー540の上端部である規制端部700が支持面11Bに接触した時の搬送溝カバー540の位置である。図7、図10、図11、及び図12に示す搬送溝カバー540は、待機位置にある(図16も同様)。以下の説明では、搬送溝カバー540が待機位置にある状態を基準として、各部材を説明する。
図11に示すように、搬送溝カバー540は、アーム部541とローラ545を備える。アーム部541は、一対の延出部531,532によって回動可能に支持される。アーム部541は、傾斜壁部542、一対の側壁部543A,543B、一対の支持壁部544A,544Bを含む。傾斜壁部542は、正面視で矩形状であり、且つ下方に対して左方(すなわち、搬送方向下流側)に傾斜する向きに延びる板状部材である。傾斜壁部542の搬送方向上流側を向く面である傾斜面542Aは、下方に対して搬送方向下流側に延びる。傾斜壁部542の上端部は、規制端部700である。一対の側壁部543A,543Bは、それぞれ、傾斜壁部542の前後両端部から後方に延び、前後方向に互いに対向する板状部材である。一対の側壁部543A,543Bの前端部は、それぞれ、傾斜壁部542と略平行に形成される。
一対の側壁部543A,543Bは、それぞれ、外側に突出した一対の突起部54A,54Bを備える。一対の突起部54A,54Bは、それぞれ、一対の側壁部543A,543Bの上後端部近傍に設けられた、円柱状の部材である。一対の突起部54A,54Bの径は、それぞれ、一対の貫通孔530A,530Bの径と略等しい。一対の突起部54A,54Bの中心と規制端部700との間の上下方向の距離は、それぞれ、一対の貫通孔530A,530Bの中心と第三カバー部530の下面との間の上下方向の距離よりも小さい。つまり、一対の側壁部543A,543Bのうち、一対の突起部54A,54Bの近傍の端部は、第三カバー部530の下面と接触しない。一対の突起部54A,54Bは、それぞれ、一対の貫通孔530A,530Bに挿入される。これにより、アーム部541は、一対の延出部531,532によって回動可能に支持される。
アーム部541の回動中心を通る軸線(つまり、一対の突起部54A,54Bのそれぞれの中心を通る線)を、軸線Pという。軸線Pは、搬送方向及び上下方向に直交する方向(すなわち、前後方向)に延びる。軸線Pは、チューブ搬送溝40よりも上方に位置する。
一対の支持壁部544A,544Bは、それぞれ、一対の側壁部543A,543Bの下端部からさらに下方に延出した板状部材である。一対の側壁部543A,543Bには、一対の貫通孔541A,541Bが形成される。一対の貫通孔541A,541Bは、それぞれ、一対の側壁部543A,543Bを前後方向に、正面視で円形状に貫通する。
ローラ545は、一対の支持壁部544A,544Bによって回転可能に支持される。ローラ545は、前後方向に延びる円柱状の部材である。ローラ545の前後方向の長さは、チューブ搬送溝40及びチューブ排出口16の前後方向の距離よりもやや小さい。ローラ545の半径は、ローラ545の中心から一対の支持壁部544A,544Bの右端部までの距離よりも大きい。すなわち、ローラ545の外周縁部は、一対の支持壁部544A,544Bよりも右方に露出する。
ローラ545は、外側に突出した一対の突起部545A,545B(図7参照)を備える。一対の突起部545A,545Bは、それぞれ、ローラ545の前後両面の中心に設けられた、円柱状の部材である。一対の突起部545A,545Bの径は、それぞれ、一対の貫通孔541A,541Bの径と略等しい。一対の突起部545A,545Bは、それぞれ、一対の貫通孔541A,541Bに挿入される。これにより、ローラ545は、アーム部541の下端部に回転可能に支持される。ローラ545の回転中心を通る軸線(つまり、一対の貫通孔541A,541Bのそれぞれの中心を通る線)を、軸線Qという。軸線Qは、軸線Pよりも搬送方向下流側、且つ下方において、軸線Pと平行に延びる。本例では、搬送溝カバー540が待機位置にある場合、軸線Pを通り下方に延びる線に対する軸線Pから軸線Qまで延びる線の角度は、約20°である。
上記構成を有する搬送溝カバー540は、側面視で、図16〜図18に重心Gで示す位置に重心を有する。つまり、搬送溝カバー540が待機位置にある場合、重心Gは軸線Pよりも搬送方向下流側にある。これにより、搬送溝カバー540は、規制端部700が第二カバー部520の下面に接触した位置(すなわち、待機位置)に保持される。搬送溝カバー540は、規制端部700が第二カバー部520の下面に接触することによって、待機位置よりもカッター移動経路に接近する方向への回動が規制される。
図13、図15を参照し、カッターカバー510の回動態様を説明する。カッターカバー510は、装着カバー111と支持バネ580とによって回動可能に支持される。カッターカバー510は、付勢線R3において上方に付勢され、且つ付勢線R3の前後両側に位置する回動軸線R1と支持線R2とによって上方への移動が規制されることにより、上方位置に保持される。カッターカバー510は、回動軸線R1、支持線R2、及び付勢線R3の三点で支持されることにより、安定的に上方位置に保持される。
カッターカバー510の後端部は、下方に押下されることにより、回動軸線R1を中心に下方に回動する。カッターカバー510の後端部は、右壁部522の下端部が右壁部152Cの上端部に接触するまで、若しくは一対の凸部515が支持面11Bに接触するまで、回動軸線R1を中心に下方に回動できる。一対の凸部515が支持面11Bに接触する点を通る点を、規制線R4(図15参照)という。下方位置は、右壁部522の下端部が右壁部152Cの上端部に接触した時、若しくは一対の凸部515が支持面11Bに接触した時のカッターカバー510の位置である(図15参照)。
図13に示すように、カッターカバー510が上方位置にある場合、第二カバー部520のうち開口部524よりも前側の部位(つまり、カッターカバー510のうち、チューブ搬送溝40内のカッター移動経路を上方から覆う部位)は、カッター用取っ手27A及び受台用取っ手180Aのそれぞれの上端部よりも上方にある。
一方、図15に示すように、カッターカバー510は、矢印Yの向く方向に押下された場合、上方位置から下方位置に回動する。カッターカバー510が下方位置にある場合、開口部524はカッター用取っ手27Aの上端部よりも下方にある。すなわち、カッターカバー510が下方位置にある場合、カッター用取っ手27Aは開口部524に下方から進入する。さらに、カッターカバー510が下方位置にある場合、第二カバー部520のうち開口部524よりも前側の部位は、受台用取っ手180Aの上端部よりも下方にある。この場合、開口部524は、水平方向と略平行に延びる。カッターカバー510が下方位置にある場合、カッター27は退避位置から進入位置に向けて移動すると、カッター用取っ手27Aが開口部524の後端部と干渉する。つまり、カッターカバー510が下方位置にある場合、カッター27は進入位置に移動できない。
カッターカバー510は、矢印Yの向く方向に押下されて下方位置にある場合、押下されている点、回動軸線R1、付勢線R3、規制線R4の4点によって下方位置に保持される。これにより、ユーザは、カッターカバー510を矢印Yの向く方向に押下するだけで容易に下方位置に保持できる。
図16〜図18を参照し、搬送溝カバー540の回動態様を説明する。搬送溝カバー540は、軸線Pを中心に回動可能である。搬送溝カバー540は、待機位置から、一対の側壁部543A,543Bの左端部が第三カバー部530の下面に接触するまで回動できる。つまり、搬送溝カバー540の回動範囲は、待機位置を含み、待機位置よりもカッター移動経路から離隔する方向に限定される。
図16に示すように、搬送溝カバー540は、重心Gが軸線Pよりも搬送方向下流側にあるため、規制端部700が第二カバー部520の下面に接触することによって待機位置に保持されている。搬送溝カバー540が待機位置にある場合、ローラ545は、カッター移動経路よりも搬送方向下流側において、チューブ搬送溝40内に進入する。
図17に示すように、チューブ9が搬送ローラ65〜69(図3参照)によってチューブ搬送溝40内を搬送方向に沿って搬送された場合、チューブ9の搬送方向下流側の端部は、待機位置にある搬送溝カバー540のローラ545又は傾斜面542Aに接触する。アーム部541は、軸線Pを中心にカッター移動経路から離隔する方向に回動する。チューブ9は、一対の支持壁部544A,544Bから露出したローラ545と接触しながら搬送される。この場合、ローラ545は、正面視で時計回り方向に回転する。ローラ545は、チューブ9に対して上方から接触しながら回転することにより、チューブ9を筐体10の外部へと案内する。
図18に示すように、カッターカバー510は、矢印Yの向く方向に押下された場合、上方位置から下方位置に回動する。搬送溝カバー540では、カッターカバー510が上方位置から下方位置に回動するに伴い、ローラ545がチューブ搬送溝40に接触する。軸線Qが軸線Pよりも搬送方向下流側にあるため、搬送溝カバー540は、待機位置から、軸線Pを中心にカッター移動経路から離隔する方向に回動する。
図2を参照し、印刷装置1のチューブ印刷部60による印刷動作を説明する。チューブ印刷部60は、本体ケース11の内部に設けられた制御基板(図示略)の制御に従って、以下の印刷動作を実行する。チューブ印刷部60の駆動モータ(図示略)は、搬送ローラ65〜69及びリボン巻取軸63を回転させる。搬送ローラ65〜69の回転に伴って、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9は、搬送方向下流側に搬送される。このとき、チューブ搬送溝40内に装着されたチューブ9は、第一押圧部材41及び第二押圧部材46によって押圧される。そのため、チューブ9は基準面401に沿って搬送される。チューブ9が搬送方向に沿って搬送されると、筐体10の外部にある印刷前のチューブ9は、チューブ挿入口15を介して、本体ケース11の右面から、チューブ搬送溝40内に引き込まれる。リボン巻取軸63の回転に伴ってリボン巻取スプール92が回転することで、インクリボンがリボンカセット90の内部に収納されたリボンロール(図示略)から引き出される。
印刷ヘッド61は、引き出されたインクリボンを使用して、搬送されるチューブ9にキャラクタを印刷する。本例の印刷ヘッド61は、その後側を経由するチューブ9の前面にキャラクタを正像印刷する。従ってチューブ9の前面が、チューブ9の印刷面である。使用済みのインクリボンは、リボン巻取スプール92に巻き取られる。印刷後のチューブ9は、搬送ローラ65〜69によって搬送方向下流側に搬送される。
図8、図13、図14を参照し、印刷装置1のチューブ切断機構100による切断動作を説明する。フルカット動作とハーフカット動作とは、カッター27が切断位置に移動する場合に、受台移動機構160によって受台180の位置がハーフカット位置からフルカット位置に移動するか否かの点で互いに異なる。印刷装置1は、フルカット動作とハーフカット動作とをDCモータ104の回転方向によって制御する。ハーフカット動作及びフルカット動作におけるカッター移動経路は、互いに等しい。そのため、以下では切断動作の一態様であるハーフカット動作を説明し、フルカット動作の説明は省略する。
切断動作は、カッターカバー510が上方位置にある場合に行われる。カッターカバー510が下方位置にある場合、カッター27が退避位置から進入位置に向けて移動すると、カッター用取っ手27Aが開口部524の後端部と干渉する。これにより、カッターカバー510が下方位置にある場合、カッター27の進入位置への移動が規制されるためである。一方、カッターカバー510が上方位置にある場合、第二カバー部520のうち開口部524よりも前側の部位(つまり、カッターカバー510のうちカッター移動経路を上方から覆う部位)は、カッター用取っ手27Aの上端部よりも上方にある。これにより、カッター27は、カッターカバー510と干渉することなく、退避位置と切断位置との間をカッター移動経路に沿って移動できる。
図8及び図13に示すように、動作前のチューブ切断機構100は、初期状態にある。チューブ切断機構100が初期状態にある場合、回転部材106は初期回転位置にあり、リンク部材220は離隔回転位置にあり、カッター27は退避位置にある。制御基板(図示略)のCPU(図示略)の駆動制御に従って、DCモータ104は正方向に回転駆動する。DCモータ104が正方向に回転駆動すると、回転部材106は、矢印B1方向に回転する。回転部材106の矢印B1方向への回転に伴って、押圧ピン215Aは、延設部231を左側面視で反時計回りに押圧する。リンク部材220は、矢印B3方向に回転し、突出ピン238は、アーム部材277を後方へ移動させる。アーム部材277と移動部272は、可動範囲の前端位置から後方へ移動し、カッター27は、退避位置からカッター移動経路に沿って進入位置に向かって後方へ移動する。
図14に示すように、進入位置に移動したカッター27は、切断刃275と受台180との間で、チューブ9を挟み込む。チューブ9は押しつぶされて変形し、周方向の一部が凹部182に進入する。DCモータ104が継続して正方向に回転駆動することで、刃部275Aはチューブ9を切り裂きながら後方へ移動する。カッター27は、切断位置まで移動する。ハーフカット動作がなされる場合、カッター27が切断位置まで移動すると、刃部275Aの上端部近傍及び下端部近傍がそれぞれ凹部182の上下両側の接触面181に接触する。カッター27が切断位置まで移動することで、チューブ9は、凹部182に進入した部位を残して、ハーフカットされる。
カッター27が切断位置まで移動した後、DCモータ104は、回転駆動する方向を、正方向から逆方向に切り替える。回転部材106は、矢印B2方向に回転する。回転部材106は初期回転位置まで戻ると、カッター27はカッター移動経路に沿って退避位置まで戻る。チューブ切断機構100は、初期状態に戻り、ハーフカット動作を終了する。チューブ9は、チューブ切断機構100によって切断された後、チューブ搬送溝40の左端部及びチューブ排出口16を経由して、筐体10の外部に排出される。
図9及び図15を参照し、カッター27及び受台180の交換作業について説明する。印刷装置1では、切断動作が繰り返し行われることにより、切断刃275及び接触面181が消耗する。このため、ユーザは、例えば切断刃275及び接触面181が消耗した場合には、それぞれ、カッター27及び受台180の交換作業を行う。
ユーザは、カッター27をカッター装着部280から取り外す場合、印刷装置1の電源を切った状態(すなわち、チューブ切断機構100が初期状態にある状態)で、カッターカバー510の後端部を矢印Yの向く方向に押下する。この場合、カッターカバー510は、上方位置から下方位置に回動し、カッター用取っ手27Aが開口部524から上方に突出する。開口部524は、水平方向と略平行になる。ユーザは、カッター用取っ手27Aを持って、カッター装着部280に装着されたカッター27を、開口部524を介して上方に取り外す。ユーザは、カッターカバー510の矢印Yの向く方向への押下を解除する。カッターカバー510は、支持バネ580の付勢力によって下方位置から上方位置まで回動して戻る。
ユーザは、カッター27を取り付ける場合、印刷装置1の電源を切った状態で、カッターカバー510の後端部を矢印Yの向く方向に押下する。この場合、カッターカバー510は、上方位置から下方位置に回動する。開口部524は、カッター装着部280にカッター27が装着されている場合のカッター用取っ手27Aの上端部よりも下方に位置において、水平方向と略平行になる。ユーザは、カッター用取っ手27Aを持って、カッター27を、開口部524を介して上方からカッター装着部280に取り付ける。ユーザは、カッターカバー510の矢印Yの向く方向への押下を解除する。カッターカバー510は、支持バネ580の付勢力によって下方位置から上方位置まで回動して戻る。
ユーザは、受台180を受台装着部190から取り外す場合、印刷装置1の電源を切った状態で、カッターカバー510の後端部を矢印Yの向く方向に押下する。この場合、カッターカバー510は、上方位置から下方位置に回動し、受台用取っ手180Aが第二カバー部520のうち開口部524よりも前側の部位よりも上方に突出する。ユーザは、受台用取っ手180Aを持って、受台装着部190に装着された受台180を上方に取り外す。ユーザは、カッターカバー510の矢印Yの向く方向への押下を解除する。カッターカバー510は、支持バネ580の付勢力によって下方位置から上方位置まで回動して戻る。
ユーザは、受台180を受台装着部190に取り付ける場合、印刷装置1の電源を切った状態で、カッターカバー510の後端部を矢印Yの向く方向に押下する。この場合、カッターカバー510は、上方位置から下方位置に回動する。第二カバー部520のうち開口部524よりも前側の部位は、受台装着部190に受台180が装着されている場合の受台用取っ手180Aの上端部よりも下方に位置する。ユーザは、受台用取っ手180Aを持って、受台180を上方から受台装着部190に取り付ける。ユーザは、カッターカバー510の矢印Yの向く方向への押下を解除する。カッターカバー510は、支持バネ580の付勢力によって下方位置から上方位置まで回動して戻る。
以上説明したように、上記実施形態によれば、カッターカバー510は、チューブ搬送溝40内のカッター移動経路を上方から覆う。これにより、印刷装置1は、チューブ搬送溝40内のカッター移動経路に上方から異物が入り込むことを抑制できる。さらに、カッターカバー510は、退避位置にあるカッターを上方に露出させる開口部524を有する。カッター27は、上方に突出するカッター用取っ手27Aを有する。支持バネ580は、カッターカバー510を、上方位置と下方位置とに回動可能に支持する。ユーザは、カッター27を交換する場合、カッターカバー510の後端部を矢印Yの向く方向に押下し、下方位置に回動させる。これにより、ユーザはカッター用取っ手27Aを持ちやすくなる。ユーザは、カッターのカッター用取っ手27Aを持ち、上方に開口するカッター装着部280に対して、開口部524を介してカッター27を着脱する。ユーザはカッター27を容易に交換できる。従って、印刷装置1はカッター27の交換の容易性を担保しつつ、チューブ搬送溝40内のカッター移動経路に異物が入り込むことを抑制できる。
カッターカバー510は支持バネ580によって上方位置に保持されている。ユーザは、カッター27を交換する場合にカッターカバー510を上方位置から下方位置に回動させる。これにより、ユーザはカッター27を容易に交換できる。また、上方位置にあるカッターカバー510のうち、チューブ搬送溝40内のカッター移動経路を上方から覆う部位は、カッター用取っ手27Aの上端部よりも上方にある。そのため、カッターカバー510が上方位置にある状態では、カッター27がチューブ搬送溝40内をカッター移動経路に沿って移動しても、カッター27とカッターカバー510とは互いに干渉しない。従って、印刷装置1は、カッターがチューブ搬送溝40内をカッター移動経路に沿って移動した場合に、カッター27とカッターカバー510とが互いに干渉しないようにできる。
下方位置にあるカッターカバー510のうち、チューブ搬送溝40内のカッター移動経路を上方から覆う部位は、カッター用取っ手27Aの上方の端部よりも下方にある。つまり、退避位置にあるカッター27のカッター用取っ手27Aは、開口部524から上方に突出する。そのため、ユーザはカッター用取っ手27Aを容易に持つことができる。従って、印刷装置1は、カッター27を容易に交換できる。また、カッターカバー510が下方位置にある時に、カッター27がチューブ搬送溝40内に侵入するのを規制できる。
印刷装置1は、受台用取っ手180Aを有する受台180を備える。これにより、印刷装置1は、カッターを退避位置から進入位置に移動することで、チューブ9をカッター27と受台180との間で挟み込んで切断できる。受台180は、受台装着部190に対して上方から着脱可能である。下方位置にあるカッターカバー510のうち、チューブ搬送溝40内のカッター移動経路を上方から覆う部位は、受台用取っ手180Aの上端部よりも下方にある。そのため、ユーザは受台用取っ手180Aを容易に持つことができる。従って、印刷装置1は受台180を容易に交換できる。
カッターカバー510は、搬送方向に延びる回動軸線R1を中心として、上方位置と下方位置とに回動可能である。進入位置から退避位置へ向かう方向において、チューブ搬送溝40、退避位置、回動軸線R1の順に並ぶ。これにより、カッターカバー510におけるチューブ搬送溝40を覆う部位を下方に押下すると、退避位置にあるカッター27は開口部524に接近する。従って、印刷装置1は、容易にカッター27を交換できる。
印刷装置1は、アーム部541とローラ545とを有する搬送溝カバー540を備える。アーム部541は、カッターカバー510によって、前後方向に延びる軸線Qを中心に回動可能に支持される。搬送溝カバー540は、カッター移動経路よりも搬送方向下流側にある待機位置を含む範囲を回動可能である。ローラ545は、搬送溝カバー540が待機位置にある場合、カッター移動経路よりも搬送方向下流側において、チューブ搬送溝40内に進入する。搬送溝カバー540は、規制端部700によって待機位置よりもカッター移動経路に接近する方向への回動が規制されている。従って、印刷装置1は搬送方向下流側からチューブ搬送溝40内のカッター移動経路に異物が入り込むことを抑制できる。
カッターカバー510が上方位置から下方位置に回動した場合、搬送溝カバー540は、ローラ545がチューブ搬送溝40に接触することにより、搬送方向下流側に移動する。従って、印刷装置1はカッターカバー510を上方位置から下方位置に容易に移動できるため、カッターを容易に交換できる。
印刷装置1は、軸線Qを中心に回転するローラ545と、軸線Pを中心に回動するアーム部541とを有する。軸線Qと軸線Pとは、互いに平行に延びる。軸線Qは軸線Pよりも搬送方向下流側にある。そのため、カッターカバー510が上方位置から下方位置に移動した場合、ローラ545はチューブ搬送溝40に接触することにより、搬送方向下流側に移動する。つまり、カッターカバー510が上方位置から下方位置に移動した場合、アーム部541はカッター移動経路から離隔する方向に容易に回動できる。従って、印刷装置1はカッターカバー510を上方位置から下方位置に容易に移動できるため、カッターを容易に交換できる。
アーム部541は、傾斜面542Aを備える。傾斜面542Aは、搬送溝カバー540が待機位置にある場合に、搬送方向上流側を向き、且つ下方に対して搬送方向下流側に傾斜する方向に延びる。各搬送ローラ65〜69によって搬送されたチューブ9が接触すると、アーム部541はカッター移動経路から離隔する方向に容易に回動できる。
印刷装置1は、チューブ搬送溝40内にあるチューブ9を下方に押圧する第二押圧部材46を備える。印刷ヘッド61は、カッター移動経路よりも搬送方向上流側に設けられる。第二押圧部材46は、チューブ搬送溝40内のうち、印刷ヘッド61とカッター移動経路との間に設けられる。これにより、印刷後のチューブ9は、第二押圧部材46によってチューブ搬送溝40に押圧されながらカッター移動経路に搬送される。従って、印刷装置1は、印刷後のチューブ9をチューブ搬送溝40に沿って搬送できるため、チューブ切断機構100によって適切に切断できる。
カッターカバー510は、右壁部522の下端部が右壁部152Cの上端部に接触するまで、若しくは一対の凸部515が支持面11Bに接触するまで、回動軸線R1を中心に下方に回動する。従って、右壁部152C及び一対の凸部515は、カッターカバー510が下方に押下された場合に、カッター27等の部材に衝突することを抑制できる。さらに、印刷装置1は、ユーザがカッターカバー510を押下しすぎることを抑制できる。
開口部524は、カッターカバー510が下方位置にある場合、水平方向と略平行になる。これにより、ユーザは、カッター27の交換作業をしやすい。従って、印刷装置1は、カッター27を容易に交換できる。
上記実施形態において、搬送ローラ65〜69が本発明の「搬送手段」に相当する。チューブ9が本発明の「印刷媒体」に相当する。印刷ヘッド61が本発明の「印刷手段」に相当する。印刷装置1の上方向が本発明の「第一方向」に相当する。チューブ搬送溝40が本発明の「媒体搬送溝」に相当する。開口部524が本発明の「開口部」に相当する。印刷装置1の下方向が本発明の「第二方向」に相当する。上方位置が本発明の「第一位置」に相当する。下方位置が本発明の「第二位置」に相当する。装着カバー111及び支持バネ580が本発明の「支持部材」に相当する。支持バネ580が本発明の「バネ部材」に相当する。回動軸線R1が本発明の「回動支点」に相当する。印刷装置1の前方向又は後方向が「第三方向」に相当する。一対の突起部54A,54Bが本発明の「回動軸」に相当する。ローラ545が本発明の「カバー部」及び「ローラ」に相当する。規制端部700及び第二カバー部520が本発明の「規制部」に相当する。一対の突起部545A,545Bが本発明の「回転軸」に相当する。軸線Qが本発明の「回転軸の軸線」に相当する。軸線Pが本発明の「回動軸の軸線」に相当する。傾斜面542Aが本発明の「面」に相当する。第二押圧部材46が本発明の「押圧部材」に相当する。アーム部541が本発明の「アーム部」に相当する。
本発明に係る印刷装置1は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、テープ印刷部50及びテープ切断機構は備えなくてもよい。カッターカバー510は、樹脂製に限定されない。搬送溝カバー540は、樹脂製に限定されない。支持部材152は、金属製に限定されない。
搬送溝カバー540は、ローラ545の代わりに、例えばブラシ、スポンジ、ゴム等の弾性部材を備えてもよい。この場合、印刷装置1は、搬送方向下流側からチューブ搬送溝40内のカッター移動経路に異物が入り込むことを抑制しつつ、印刷後のチューブ9を、汚れを落としながら筐体10の外部に排出できる。
支持バネ580は、例えば圧縮コイルバネ等であってもよい。この場合、圧縮された圧縮コイルバネの一端を装着カバー111に固定し、他端をカッターカバー510に固定すればよい。これにより、圧縮コイルバネはカッターカバー510を上方に付勢し、上方位置に保持できる。
印刷ヘッド61は、ヘッド駆動モータの駆動に伴い、印刷位置と非印刷位置とに変位可能であるが、印刷ヘッド61の位置は変位しなくてもよい。この場合、搬送ローラ65が印刷位置と非印刷位置とに変位可能であればよい。搬送ローラ65が印刷位置にある場合、搬送ローラ65は、印刷ヘッド61との間でチューブ9を挟み込む。搬送ローラ65が非印刷位置にある場合、搬送ローラ65は、チューブ搬送溝40よりも後側に配置されて、印刷ヘッド61から離隔する。
印刷装置1は、DCモータ104を備えなくてもよい。この場合、カッター移動機構150は、カッター27を手動によって退避位置と進入位置とに移動させてもよい。
印刷装置1は、受台180を備えなくてもよい。受台180と同等の機能を有する部材は、リボンカセット90に設けられてもよい。この場合、カッター27は、リボンカセット90に設けられた受台180と同等の機能を有する部材に対向して配置されてもよい。
第二押圧部材46は、カバー12に設けられるが、チューブ搬送溝40の上端部近傍に設けられてもよい。
カッターカバー510は、上方位置と下方位置とに回動可能に支持されるが、上下動可能に支持されてもよい。例えば、一端が第一カバー部511の上面に固定され、他端が装着カバー111に固定されたバネ部材を備えることによって実現できる。この場合、カッターカバー510は、上下方向に移動することにより、上方位置と下方位置との間を移動できる。