JP6357865B2 - シールリング - Google Patents

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Description

本発明は、軸とハウジングとの間の環状隙間を封止する樹脂製のシールリングに関する。
従来、油圧等を用いる機器において、相対的に移動する軸とハウジングとの間の環状隙間を封止するために、樹脂製のシールリングが用いられている。合口部を有するシールリングを軸の環状溝に装着させる方法としては、図14に示されるように、シールリングを弾性的に径方向外側へ拡げた状態(以下、径方向外側へ拡げることを「拡張」ともいう)で軸の一端から環状溝までスライドさせる方法がある。以下、従来例に係るシールリングを軸の環状溝に装着させる方法について、図14と図15を用いて詳しく説明する。図14は、従来例に係るシールリングが軸の環状溝に装着されるときの手順を模式的に示す図であり、図15は、従来例に係るシールリングが拡張された状態で軸の外周面に接触しているときの状態を示す模式的な部分側面図である。なお、両図においては、シールリングの合口部の構成は、説明のために簡略化されているが、合口部の端部における径方向内側に軸の外周面に対して線接触する端縁等が形成されているシールリングであれば、同様の状態が生じ得る。
図14に示されるように、合口部910を有するシールリング900が、拡張された状態で軸300の中心軸線Cに沿った方向へ移動されることによって軸300の環状溝310に装着される場合には、過度の拡張による塑性変形や破損を防ぐために、最低限拡張された状態で行われることがある。この場合には、図15に示されるように、合口部910によって分断された一方の端部911の内周側の端縁911aが外周面301に対して線接触する。なお、合口部910によって分断された他方の端部912の内周側の端縁912aも外周面301に対して線接触する。図14に示されるように、このような状態において外力F1、F2が入力されると、シールリング900は、両端縁911a、912aのそれぞれに摩擦力M1、M2を受けながら、軸300上を図中の矢印方向に移動する。なお、外力F1、F2は、通常、シールリング900を安定的にスライドさせるために、合口部910によって分断されたシールリング900の外周面の一方側と他方側にある入力点P1、P2(好ましくは、合口部910から周方向の各側に約90度の位置にある、合口部910に関して周方向に対称な2点)に入力される。シールリング900は、このようにして作用する外力F1、F2と摩擦力M1、M2により、概ね、端縁911aと入力点P1との間の部分、及び、端縁912aと入力点P2との間の部分において、軸方向(スライド方向の反対方向)に弾性的に変形する(以下、このような変形を「軸方向の変形」などという)。ここで、シールリング900においては、シールリング900の復元力による押圧力が、外周面301に対して線接触している両端縁911a、912aに集中するため、軸方向の変形が大きくなる傾向にあった。そのため、場合によっては、変形方向に折れるようにして破損することがあった。
ところで、軸に形成された環状溝に装着されるシールリングでは、一般に、外周面と側面(軸方向の端面)がシール面となる。そのため、射出成形によって製造される樹脂製のシールリングでは、金型のゲートはシールリングの内周側に設けられる。これにより、ゲート内で固化した樹脂の部分(ゲート部)が除去された後に残るゲート跡は、寸法精度が相対的に要求されないシールリングの内周面に形成されることになるため、ゲート部を除去する加工が容易になる。ここで、合口部が射出成形によって成形されるシールリングにおいて、合口部の成形品質を向上させるために、合口部が形成された端部の近傍にゲート部が形成されるシールリングが知られている(特許文献1参照)。ここで、ゲート跡にお
いては、ゲート部が除去されたときに形成された微小な凹凸や樹脂内に含まれる充填剤の配向などによって、応力集中や強度低下が生じやすい。そのため、特許文献1に開示されたようなシールリングでは、上述の装着方法で軸の環状溝に装着されるときに、ゲート跡を起点として破損することがあった。
特許第3500932号公報
本発明の目的は、軸の外周に設けられた環状溝に装着されることによって、軸とハウジングとの間の環状隙間を封止するシールリングにおいて、環状溝に装着されるときに、内周面の一部が軸の外周面に摺動されながら軸の外周面上をスライドされたとしても、破損が生じにくいシールリングを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明のシールリングは、
射出成形によって成形されるシールリングであって、
軸の外周に設けられた環状溝に装着され、前記軸とハウジングとの間の環状隙間を封止する樹脂製のシールリングであって、周方向の1箇所に分断された合口部を有し、径方向外側に弾性的に拡げられた状態で、内周面の一部が前記軸の外周面に摺動されながら前記軸の中心軸線に沿った方向にスライドされることで前記環状溝に装着されるシールリングにおいて、
前記合口部によって分断された前記内周面の一方側と他方側のそれぞれに、前記軸の外
周面の半径以上の曲率半径を有する、周方向に延びる摺動面が部分的に形成され
かつ、前記合口部によって分断された一方側の端部と他方側の端部のそれぞれに、前記合口部に近付くにつれてより径方向外側に窪む先細り部を備え、前記摺動面は、前記先細り部に形成されると共に、
前記先細り部は、前記摺動面より前記合口部側に、前記合口部に近付くにつれて前記摺動面より径方向外側に窪む先端部を備えており、射出成形時のゲート跡が、前記先端部の径方向内側の面に形成されることを特徴とする。
本発明によれば、シールリングが径方向外側に弾性的に拡げられた状態(拡張された状態)で、軸の外周面上をスライドされるときには、摺動面が軸の外周面上を摺動する。ここで、摺動面の曲率半径が軸の外周面の半径と等しい場合には、摺動面は軸の外周面に対して面接触する。これにより、シールリングの復元力によって生じる軸の外周面に対する押圧力は、摺動面内で分散されるため、シールリングのスライド時に当該摺動面に作用する摩擦力も分散される。したがって、合口部の端部における径方向内側の端縁が軸の外周面に対して線接触する場合に比べて、スライド時における端部の軸方向変形が抑制される。また、摺動面の曲率半径が軸の外周面の半径より大きい場合には、摺動面の全体が軸の外周面に対して面接触しないものの、摺動面における若干の弾性変形を考慮すれば、摺動面の一部は軸の外周面に対して面接触すると考えられる。したがって、この場合においても、合口部の端部における径方向内側の端縁が軸の外周面に対して線接触する場合に比べて、スライド時における端部の軸方向変形が抑制される。以上より、本発明によれば、スライド時における端部の軸方向変形が抑制されるため、環状溝への装着時におけるシールリングの破損が抑制される。
また、本発明においては、先端部の径方向内側の面は、摺動面よりも更に径方向外側に窪んでいることにより、摺動面が軸の外周面上を摺動しているときであっても軸の外周面には接触しないため、摩擦力は作用しない。また、当該先端部の径方向内側の面は、摩擦力が作用する摺動面と、シールリングのスライド時において外力が通常入力される入力点(上述の入力点P1やP2)との間に位置しないため、スライド時に作用するシールリングの軸方向変形を生じさせる応力が小さくなる。ゆえに、この構成によれば、摩擦力が作用せず、また、作用する応力が小さい面にゲート跡が形成されるため、環状溝への装着時におけるゲート跡を起点としたシールリングの破損を抑制することが可能になる。
本発明によれば、軸の外周に設けられた環状溝に装着されることによって、軸とハウジングとの間の環状隙間を封止するシールリングにおいて、環状溝に装着されるときに、内周面の一部が軸の外周面に摺動されながら軸の外周面上をスライドされたとしても、破損が生じにくいシールリングを提供することができる。
本発明の実施例1に係るシールリングの側面図である。 本発明の実施例1に係るシールリングを外周面側から見た図である。 本発明の実施例1に係るシールリングの部分側面図である。 本発明の実施例1に係るシールリングの軸の外周面への接触状態を示す部分側面図である。 本発明の実施例1に係るシールリングが軸の外周面上でスライドされるときの状態を示す図である。 本発明の実施例1に係るシールリングの使用時の状態を示す模式的断面図である。 本発明の実施例2に係るシールリングの軸の外周面への接触状態を示す部分側面図である。 本発明の実施例3に係るシールリングの側面図である。 本発明の実施例3に係るシールリングの部分側面図である。 本発明の実施例3に係るシールリングの軸の外周面への接触状態を示す部分側面図である。 本発明の実施例4に係るシールリングの軸の外周面への接触状態を示す部分側面図である。 本発明の変形例に係るシールリングの軸の外周面への接触状態を示す部分側面図である。 本発明の実施例5に係るシールリングの部分側面図である。 従来例に係るシールリングの軸の環状溝への装着手順を示す模式図である。 従来例に係るシールリングの軸の外周面への接触状態を示す部分側面図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、本実施例に係るシールリングは、自動車用の油圧機器の他、各種装置に設けられた油圧機器に好適に用いられる。
[実施例1]
図1から図5を参照して、本発明の実施例1に係るシールリングについて説明する。本実施例に係るシールリング100は、軸300の外周に設けられた環状溝310に装着され、相対的に移動(相対的な回転や相対的な往復移動を含む)する軸300とハウジング400との間の環状隙間を封止する。
<シールリングの構成>
特に、図1から図3を参照して、シールリング100の構成について説明する。図1は、シールリング100の側面図であり、図2は、シールリング100及びその合口部110を外周面120側から見た図である。また、図3は、合口部110の構成を示す、シールリング100の部分側面図である。シールリング100は、射出成形によって成形される樹脂製のシールリングである。好適な樹脂材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリアミド樹脂等を上げることができる。また、シールリング100の外周面120の周長は、ハウジングの軸孔の内周面の周長より短く構成されている。つまり、シールリング100は、軸孔の内周面に対して締め代を持たないように構成されている。したがって、外力が作用していない状態においては、外周面120はハウジングの軸孔の内周面に接触しない。また、合口部110によって分断された内周面121は、外力が作用していない状態においては、その大部分が概ね円形となるように形成されているが、円形部分の内径は、軸300の環状溝310の底面の直径よりも大きく、且つ、外周面301の直径よりも小さくなるように構成されている。ゆえに、内周面121の一部が外周面301に摺動されながら、シールリング100が外周面301上をスライドされたときには、シールリング100は径方向外側に弾性的に拡げられた(撓んだ)拡張状態になる。
そして、シールリング100は、周方向の1箇所に合口部110が設けられており、この合口部110によって、一方側の第1端部111と他方側の第2端部112とが分断されている。図面に示されるように、合口部110は、外周面側及び両側面側の何れから見ても階段状に分断された、いわゆる特殊ステップカットを採用している。特殊ステップカットは公知技術であるため、その詳細な説明は省略するが、熱膨張収縮によりシールリング100の周長が変化しても安定したシール性能を維持する特性を有する。また、シールリング100においては、特殊ステップカットの形状は射出成形によって成形される。なお、本実施例においては、合口部110の一例として特殊ステップカットが採用されているが、これに限定されず、所望のシール性能が発揮される限りにおいて、ストレートカットやバイアスカット等を採用してもよい。
図3に示されるように、第1端部111の内周側における、端縁111cよりシールリング100の中央部122(外周面120の中心を挟んで合口部110に対向する部分)側には、内周面121の円形部分より径方向内側に突出した第1突出部131が設けられている。同様に、第2端部112の内周側における、端縁112cより中央部122側に
は、内周面121の円形部分より径方向内側に突出した第2突出部132が設けられている。第1突出部131には、端縁111cから周方向に延びる第1摺動面131aが形成されている。この第1摺動面131aは、その曲率半径が外周面301の半径と等しく形成されている。これにより、第1摺動面131aは、シールリング100の拡張時において軸300の外周面301に面接触し得る。そして、第2突出部132にも、端縁112cから周方向に延びる第2摺動面132aが形成されている。この第2摺動面も、その曲率半径が外周面301の半径と等しく形成されている。以上のように、シールリング100においては、合口部110によって分断された内周面121の一方側と他方側のそれぞれに、外周面301の半径と等しい曲率半径を有する、周方向に延びる摺動面が部分的に形成されている。
なお、シールリング100は射出成形によって成形されるが、射出成形用の金型のゲートは、内周面121上における合口部110の近傍、より詳細には、第1突出部131よりも中央部122側と、第2突出部132よりも中央部122側にそれぞれ設けられる。ゆえに、ゲート部が除去された後に残るゲート跡133、134は、図1に示されるように、第1突出部131の近傍と第2突出部132の近傍に形成される。なお、本出願の図面においては、説明のためにゲート跡を大きく図示しているが、実際の製品においては、ゲート跡は小さく形成される。
<シールリング装着時のメカニズム>
特に、図4から図6を参照して、シールリング100が軸300の環状溝310に装着されるときのメカニズムについて説明する。図4は、シールリング100が拡張された状態で外周面301に接触しているときの状態を示す模式的な部分側面図であって、第1摺動面131aが接触しているときの状態を示している。図5は、シールリング100が軸300の外周面301上をスライドされるとき状態を模式的に示す図である。図6は、環状溝310に装着されたシールリング100の使用時(油圧作用時)の状態を示す模式的な断面図である。なお、第2摺動面132aが外周面301に接触しているときの状態は、図4に示される状態と概ね同様であるために説明は省略する。
上述のように、第1摺動面131aは、その曲率半径が外周面301の半径と等しく形成されているため、図4に示されるように、第1摺動面131aが外周面301に接触するまでシールリング100が拡張されると、第1摺動面131aは外周面301に対して面接触する。この状態においては、シールリング100を拡張された状態で維持する力は第1摺動面131aに対して作用している。ここで、シールリング100の内周面121の円形部分の直径と外周面301の直径との寸法差がシールリング100の周長に比してごく僅かであることを考慮すると、シールリング100の拡張時においては、第1摺動面131aと中央部122との間の部分は径方向外側にある程度撓むものの、第1摺動面131a自体は概ね変形しないと考えられる。ゆえに、本実施例においては、第1摺動面131aが外周面301の半径と等しい曲率半径を有するため、シールリング100の拡張時において、第1摺動面131aと外周面301との面接触が実現される。なお、第2摺動面132aと外周面301との面接触も同様にして実現される。
そして、図5に示されるように、両摺動面が外周面301に面接触している状態で、外力F1、F2が、入力点P1、P2にそれぞれ入力されると、シールリング100は、両摺動面を外周面301に対して摺動させながら、図中の矢印で示される中心軸線Cに沿った方向にスライドされて、環状溝310に装着される。このとき、第1摺動面131aと第2摺動面132aには、それぞれ摩擦力M1、M2が作用する。そのため、シールリング100は、概ね、第1摺動面131aと入力点P1との間の部分、及び、第2摺動面132aと入力点P2との間の部分において軸方向に変形する。
次に、シールリング100の使用時の状態について簡単に説明する。図6に示されるように、ハウジング400の軸孔内において、環状溝310に装着されたシールリング100を介して差圧が生じると、高圧側(H)から低圧側(L)に向かって作用する流体圧力によって、シールリング100は、環状溝310における低圧側の側壁面とハウジング400の軸孔の内周面に対して密着された状態となる。これにより、相対的に移動する軸300とハウジング400との間の環状隙間が封止される。
<本実施例に係るシールリングの優れた点>
上述のように、シールリング100が軸300に設けられた環状溝310に装着される場合には、第1摺動面131aと第2摺動面132aとが軸300の外周面301に面接触した状態で、外周面301上をスライドされる。これにより、シールリング100の復元力によって生じる外周面301に対する押圧力は、両摺動面内で分散されるため、シールリング100のスライド時に両摺動面に作用する摩擦力も分散される。したがって、スライド時におけるシールリング100の軸方向変形が抑制されるため、環状溝310への装着時におけるシールリング100の破損を抑制することが可能になる。
また、シールリング100においては、軸300の外周面301に接触しやすい両端部のそれぞれに形成された第1突出部131と第2突出部132に、第1摺動面131aと第2摺動面132aが形成されている。これにより、シールリング100のスライド時において、両摺動面を確実に外周面301に対して面接触させることができる。
なお、シールリング100においては、破損の起点となりやすいゲート跡133と134が、第1突出部131の近傍と第2突出部132の近傍に形成されている。ただし、シールリング100においては、スライド時における軸方向変形が抑制されるため、このような位置にゲート跡が形成されていたとしても、ゲート跡を起点としたシールリング100の破損を抑制することが可能になる。
[実施例2]
上記実施例1では、両摺動面が軸の外周面の半径と等しい曲率半径を有するように形成されている。これに対して、実施例2においては、両摺動面が軸の外周面の半径より大きい曲率半径を有するように形成される。以下、図7を用いて、実施例2について説明する。なお、上記実施例1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。また、同一の構成の作用も実質的に同一である。
図7は、実施例2に係るシールリング101が拡張された状態で外周面301に接触しているときの状態を示す模式的な部分側面図である。このシールリング101の第1突出部131には、端縁111cから周方向に延びる、外周面301の半径より若干大きい曲率半径を有する第1摺動面131bが形成されている。これにより、図7に示されるように、第1摺動面131bにおける端縁111cの反対側の一部が外周面301に接触する。ここで、シールリング101は樹脂製であるため、当該接触している一部はある程度の弾性変形によって面接触し得る。これに対し、第1摺動面131bにおける端縁111c側の一部は外周面301から離間する。なお、不図示ではあるが、シールリング101の第2突出部132にも、端縁112cから周方向に延びる、外周面301の半径より若干大きい曲率半径を有する第2摺動面132bが形成されている。この第2摺動面132bも、第1摺動面131bと同様に、図7に示される状態と同様に外周面301に対して接触する。
ゆえに、シールリング101によれば、シールリング101の復元力によって生じる外周面301に対する押圧力は、両摺動面内における外周面301に対して部分的に面接触している領域内で分散されるため、シールリング101のスライド時に両摺動面に作用す
る摩擦力も当該領域内で分散される。したがって、実施例1と同様に、スライド時における軸方向変形が抑制されるため、環状溝310への装着時におけるシールリング101の破損を抑制することが可能になる。
[実施例3]
上記実施例1及び2では、シールリングの両端部の内周側に突出部が設けられる構成が採用されている。これに対して、実施例3においては、両端部の内周側に、合口部に近付くにつれてより径方向外側に窪む先細り部が設けられ、この先細り部に軸の外周面に接触する摺動面が形成される構成が採用されている。以下、図8から図10を用いて、実施例3について説明する。なお、上記実施例と同一の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。また、同一の構成の作用も実質的に同一である。
図8は、実施例3に係るシールリング200の側面図であり、図9は、シールリング200に設けられた合口部210の構成を示す、シールリング200の部分側面図である。なお、シールリング200とその合口部210を外周面側から見た図は、上述の図2と同様である。シールリング200は、周方向の1箇所に合口部210が設けられており、この合口部210によって、一方側の第1端部211と他方側の第2端部212とが分断されている。合口部210も、上記実施例1に係るシールリング100と同様に特殊ステップカットを採用している。なお、シールリング200の外周面や内周面の構成は、実施例1に係るシールリング100の構成と同様である。
そして、第1端部211の内周側における、端縁211cより中央部222側には、合口部210に近付くにつれてより径方向外側に窪む第1先細り部231が設けられている。同様に、第2端部212の内周側における、端縁212cより中央部222側には、合口部210に近付くにつれてより径方向外側に窪む第2先細り部232が設けられている。なお、両先細り部は、内周面121の円形部分より径方向外側に窪むように設けられている。そして、第1先細り部231には、端縁211cから延びる第1摺動面231aが形成されており、第2先細り部232には、端縁212cから延びる第2摺動面232aが形成されている。両摺動面は、外周面301の半径と等しい曲率半径を有する。
図10は、シールリング200が拡張された状態で外周面301に接触しているときの状態を示す模式的な部分側面図であって、第2摺動面231aが接触しているときの状態を示している。なお、第2摺動面232aが外周面301に接触しているときの状態は、図10に示される状態と概ね同様であるために説明は省略する。シールリング200の第1摺動面231aは、その曲率半径が外周面301の曲率半径と等しくなるように形成されている。そのため、図10に示されるように、シールリング200が拡張されたときには、実施例1と同様に、第1摺動面231aが外周面301に面接触する。また、同様にして、第2摺動面232aも外周面301に面接触する。これにより、実施例1における効果と同様に、シールリング200の復元力によって生じる外周面301に対する押圧力が両摺動面内で分散されるため、シールリング200が軸300の外周面301上を中心軸線Cに沿ってスライドされるときに作用する摩擦力は、両摺動面内で分散される。その結果、スライド時におけるシールリング200の軸方向変形が抑制されるため、環状溝310への装着時におけるシールリング200の破損を抑制することが可能になる。
[実施例4]
上記実施例3では、両摺動面が軸の外周面の半径と等しい曲率半径を有するように形成されている。これに対して、実施例4においては、両摺動面が軸の外周面の半径より大きい曲率半径を有するように形成される。以下、図11を用いて、実施例4について説明する。なお、上記の実施例と同一の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。また、同一の構成の作用も実質的に同一である。
図11は、実施例4に係るシールリング201が拡張された状態で外周面301に接触しているときの状態を示す模式的な部分側面図である。このシールリング201の第1先細り部231には、端縁211cから周方向に延びる、外周面301の半径より若干大きい曲率半径を有する第1摺動面231bが形成されている。図11に示されるように、第1摺動面231bにおける端縁211cの反対側の一部が外周面301に接触したときには、上記の実施例2と同様に、ある程度の弾性変形によって、第1摺動面231bが外周面301に対して部分的に面接触する。なお、不図示ではあるが、シールリング201の第2突出部232にも、端縁212cから周方向に延びる、外周面301の半径より若干大きい曲率半径を有する第2摺動面232bが形成されている。この第2摺動面232bも、第1摺動面231bと同様に、外周面301に対して部分的に面接触する。
ゆえに、シールリング201によれば、シールリング201の復元力によって生じる外周面301に対する押圧力は、実施例2と同様に、両摺動面内における外周面301に対して部分的に面接触している領域内で分散される。これにより、スライド時における軸方向変形が抑制されるため、環状溝310への装着時におけるシールリング201の破損を抑制することが可能になる。
[変形例]
なお、上記実施例1から4においては、ゲート跡133、134が摺動面の近傍に形成されるように構成されているが、これに替えて、ゲート跡が摺動面に形成されるように構成してもよい。ここで、シールリング100を例にすると、本変形例においては、図12に示されるように、ゲート跡133は、第1摺動面131aに形成される。つまり、本変形例においては、シールリング100の射出成形時において、第1摺動面131aにゲート部が形成されるように金型が設計される。なお、本変形例においては、ゲート跡133の表面の曲率半径を第1摺動面131aの曲率半径と等しくさせる加工が行われる。また、ゲート跡134は、同様に第2摺動面132aに形成される。
本変形例によれば、摩擦力が分散される摺動面に、破損の起点となりやすいゲート跡が形成されるため、環状溝310への装着時におけるゲート跡を起点としたシールリングの破損を効果的に抑制することが可能になる。
[実施例5]
上記実施例3では、シールリングのゲート跡が、摺動面が形成される先細り部の近傍に形成される構成が採用されている。これに対して、実施例5においては、先細り部が、摺動面より合口部側に、合口部に近付くにつれて摺動面より径方向外側に窪む先端部を備えており、射出成形時のゲート跡が、先端部の径方向内側の面に形成される構成が採用されている。以下、図13を用いて、実施例5について説明する。なお、上記実施例3と同一の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。また、同一の構成の作用も実質的に同一である。
図13は、実施例5に係るシールリング202の部分側面図である。図13に示されるように、第1先細り部231における第1摺動面231aよりも合口部210側には、更に径方向外側に窪んだ先端部235が設けられている。そして、先端部235の径方向内側の面である先端内周面235aには、ゲート跡233が形成されている。同様に、第2先細り部232における第2摺動面232aよりも合口部210側には、更に径方向外側に窪んだ先端部236が設けられており、先端部236の先端内周面236aには、ゲート跡234が形成されている。
ここで、以上のように構成されるシールリング202が、図5に示される状態と同様に
、軸300の外周面301上をスライドされたときには、先端内周面235aは、第1摺動面231aよりも更に径方向外側に窪んでいるため、外周面301には接触しない。また、先端内周面235aは、摩擦力が作用する第1摺動面231aと、外力の入力点との間に位置しないため、シールリング202のスライド時に作用する軸方向の応力が小さくなる。つまり、シールリング202においては、摩擦力が作用せず、また、作用する応力が小さい先端内周面235aにゲート跡233が形成される。また、同様の特性を有する先端内周面236aに、ゲート跡234が形成される。したがって、シールリング202によれば、環状溝310への装着時におけるゲート跡を起点としたシールリング202の破損を効果的に抑制することが可能になる。
100、101、200、201、202 シールリング
110、210 合口部
131a、131b、231a、231b 第1摺動面
132a、132b、232a、232b 第2摺動面
133、134、233、234、 ゲート跡

Claims (1)

  1. 射出成形によって成形されるシールリングであって、
    軸の外周に設けられた環状溝に装着され、前記軸とハウジングとの間の環状隙間を封止する樹脂製のシールリングであって、周方向の1箇所に分断された合口部を有し、径方向外側に弾性的に拡げられた状態で、内周面の一部が前記軸の外周面に摺動されながら前記軸の中心軸線に沿った方向にスライドされることで前記環状溝に装着されるシールリングにおいて、
    前記合口部によって分断された前記内周面の一方側と他方側のそれぞれに、前記軸の外周面の半径以上の曲率半径を有する、周方向に延びる摺動面が部分的に形成され
    かつ、前記合口部によって分断された一方側の端部と他方側の端部のそれぞれに、前記合口部に近付くにつれてより径方向外側に窪む先細り部を備え、前記摺動面は、前記先細り部に形成されると共に、
    前記先細り部は、前記摺動面より前記合口部側に、前記合口部に近付くにつれて前記摺動面より径方向外側に窪む先端部を備えており、射出成形時のゲート跡が、前記先端部の径方向内側の面に形成されることを特徴とするシールリング。
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