JP6357834B2 - 繊維強化プラスチック積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軽量かつ高剛性で厚みが薄い繊維強化プラスチック積層体に関するものであって、電子機器用筺体部材や医療機器用部材などに好適な繊維強化プラスチック積層体パネルに関する。
近年、電子機器や医療機器には軽量、高剛性で、厚みが薄いCFRP(Carbon Fiber Reinforce Plastic)製の構造体が提案されている。
CFRP構造体は、自重および荷重に対する撓みの低減や、衝撃に対して、必要な剛性、強度を確保するのに有効であり、パソコン等の電子機器や医療機器の中には作業者が直接持ち運び取り扱うものがあり、軽量であることが求められている。
また、最近では、持ち運びに便利な薄型、軽量で高剛性を図った電子機器用筺体部材や、X線透過性を高めて、X線診断画像の鮮鋭化や人体へのX線被爆量低減を図るための医療機器用部材として、表皮材で芯材を挟んだ構造、いわゆるサンドイッチ積層体構造において、表皮材をCFRPで構成し、芯材を低密度の発泡体で構成したパネルが検討されている。上記いずれのパネル構造の場合でも、パネルの面内で均一なX線透過性分布を得るため、パネルの断面形状は均一な厚みを備えた平板構造を用いるが、表皮材をCFRPで構成し、芯材を低密度の樹脂発泡体で構成したサンドイッチ構造のパネルにおいて、構造体内部に発生する気泡空隙、いわゆる気泡ボイドの発生により表面外観に不具合を生じる場合がある。
特許文献1(特開2005−313613号公報)においては、サンドイッチパネルにおいて、表皮材の強化繊維の引張弾性率、表皮材中の強化繊維含有率を規定し、芯材に表皮材より見かけ密度が小さい樹脂を使用するとともに、サンドイッチパネルの全体厚みを特定した構成が記載され、表皮材が剛性の高い繊維強化樹脂で構成され、芯材が表皮材よりも見かけ密度の小さい樹脂で構成され、剛性を保時したまま軽量性およびX線透過性に優れた効果が開示されている。また、そのサンドイッチパネルとして、芯材に一定密度のポリプロピレンまたはポリメタクリルイミドの発泡性樹脂を使用し、表皮材と芯材とを積層後、加熱、加圧同時成形するサンドイッチパネルの製造方法も開示されている。
しかし、特許文献1の構成では、表皮材の高剛性と見かけ密度の小さい樹脂で構成された芯材により、剛性を保持したままで軽量性に優れたパネルを得ることができるが、芯材として見かけ密度の小さい発泡性樹脂で構成したときのサンドイッチパネル構造体内部に発生する気泡空隙、いわゆる気泡ボイドの発生による表面外観不良の課題に対する示唆はなされていない。
また、特許文献2(特開2006−35671号公報)においては、熱可塑性樹脂発泡体層、連続炭素繊維を強化繊維とするFRP層、および薄肉のシート状樹脂層が順に配された積層構造で、熱可塑性樹脂発泡体層をFRP層で両面から挟んだサンドイッチ構造が記載され、これにより、曲げ荷重に対して、曲げ応力が大きくなる両外層に曲げ弾性率が高いFRP層を配置し、曲げ応力が零である中立面付近に曲げ弾性率が小さい熱可塑性樹脂発泡体層を配置することによって、同一見かけ密度の下でFRP構造体の曲げ剛性を向上させる高剛性、軽量かつX線透過性が高く、制振性に優れた効果が開示されている。
しかし、特許文献2の構成は、熱可塑性樹脂発泡体層、連続炭素繊維を強化繊維とするFRP層、および薄肉のシート状樹脂層が順に配された積層構造で、薄肉のシート状樹脂層が外部に配された構成であり、制振性に秀でているが、軽量で剛性を保持しながら構造体内部に発生する気泡空隙、いわゆる気泡ボイドの発生による表面外観不良の改善に対する示唆はなされていない。
また、発泡コアを用いたサンドイッチパネルとして、特許文献3(特開2009−274284号公報)、特許文献4(国際公開WO2006/028107号公報)、特許文献5(特開2007−144919号公報)等に開示がなされている。
特許文献3(特開2009−274284号公報)においては、例えば、繊維強化樹脂製サンドイッチパネルにおいて、一定の温度を超えると、成形が困難になり、反りの問題が発生するため、マトリックス樹脂のガラス転移温度が一定温度以下に限定せざるを得ないため、十分な耐熱性を実現できていないという課題背景の下、長繊維強化付加型ポリイミドシートの間に芯材の発泡ポリイミドが挟まれて一体成形されたポリイミド複合材料耐熱性サンドイッチパネル構成が開示されている。これにより、十分な耐熱性を有し、且つ軽量、高強度、断熱性及び成形性等の特性が優れる効果が開示されている。
特許文献4(国際公開WO2006/028107号公報)においては、発泡体の気泡により形成された空隙を有する芯材の両面に、連続した強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化材を配置したサンドイッチ構造体が記載され、軽量性、薄肉性に優れた一体化成形体のサンドイッチ構造体が開示されている。
特許文献5(特開2007−144919号公報)においては、液状のマトリックス樹脂を型内に注入した際に、強化繊維基材のみならず、フォーム材のセル内にまでマトリックス樹脂が注入されてサンドイッチ構造体の重量が重くなる問題を回避するため、フォーム材の両面に配置されたスキン材とからなるサンドイッチ構造体において、フォーム材は表面から少なくとも厚み100μmまでの平均セル径が10μm以下であり、かつ独立気泡率が70%以上のサンドイッチ構造体が開示されている。
しかし、いずれの構成も、耐熱性、高剛性、軽量化を主要観点とした発明であり、軽量、薄肉でさらに構造体内部に発生する気泡、いわゆる気泡ボイドの発生による表面外観不良に対する改善対策に関する示唆はなされていない。
特開2005−313613号公報 特開2006−35671号公報 特開2009−274284号公報 国際公開WO2006/028107号公報 特開2007−144919号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、軽量、高剛性の電子機器筺体用や、X線透過性に優れた医療機器用部材に使用する繊維強化プラスチック積層体であり、剛性、軽量性を保持したまま、構造体内部に発生する気泡空隙、いわゆる気泡ボイドの発生による表面外観不良を抑制し、意匠性に優れた良外観の表面状態を保持できる薄肉の繊維強化プラスチック積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために種々検討を行った結果、本発明者は、以下に示す繊維強化プラスチック積層体及びその製造方法を見いだすに至った。
(1)少なくとも、独立発泡セルを有する樹脂発泡体から構成される芯材に、強化繊維とマトリックス樹脂からなる表皮材が積層された繊維強化プラスチック積層体であって、
前記繊維強化プラスチック積層体の積層方向断面において、前記独立発泡セルの長径と短径の比率で表される平均扁平率(短径/長径)が0.25〜0.9であり、かつ前記独立発泡セルの平均短径が25〜250μmであるとともに、表皮材を構成するマトリックス樹脂の芯材への最大進入長が130〜450μmであることを特徴とする繊維強化プラスチック積層体。
(2)前記独立発泡セルの平均セル面積が0.001〜0.06mmである(1)に記載の繊維強化プラスチック積層体。
(3)前記繊維強化プラスチック積層体の積層方向における表皮材中のマトリックス樹脂の芯材への平均進入長が50〜180μmである(1)または(2)に記載の繊維強化プラスチック積層体。
4)芯材の両面に表皮材が積層され、前記表皮材のいずれか一方の板厚が、他方の表皮材の板厚の2〜5倍の厚さである(1)〜()のいずれかに記載の繊維強化プラスチック積層体。
)板厚の薄い表皮材の少なくとも1層に一方向繊維強化プラスチック層を配し、板厚の厚い表皮材は積層構造を備え、少なくとも1層に織物繊維強化プラスチック層を配した、()に記載の繊維強化プラスチック積層体。
)織物繊維強化プラスチックは、表皮材の最外層に配した()に記載の繊維強化プラスチック積層体。
)(1)〜()いずれかに記載の繊維強化プラスチック積層体の製造方法であって、
少なくとも、前記芯材の両面に前記表皮材を積層して成形型に配置する工程、及び、
前記成形型を型締めして加熱・加圧し、前記芯材を圧搾するとともに、前記表皮材の強化繊維に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させる工程を有し、
前記芯材の圧搾において、前記芯材の板厚の減少率が23〜70%の範囲であることを特徴とする繊維強化プラスチック積層体の製造方法。
本発明の繊維強化プラスチック積層体及びその製造方法によれば、芯材の特性を規定することにより、積層体の表皮材に発生する気泡、いわゆる気泡ボイドによる表面外観不良を抑制し、意匠性に優れた良外観の表面状態を保持できるとともに、薄肉、軽量、高剛性に優れた繊維強化プラスチック積層体を得ることが出来る。
本実施形態に係る繊維強化プラスチック積層体の積層方向断面における模式断面図である。 作製した繊維強化プラスチック積層体の断面撮影図である。 芯材への平均進入長を算出した断面の構造模型図である。 実施例1において使用した芯材前駆体の断面撮影図である。 実施例1において生成された繊維強化プラスチック積層体の断面撮影図である。 実施例5において使用した芯材前駆体の断面撮影図である。 実施例5において生成された繊維強化プラスチック積層体の断面撮影図である。 比較例1において生成された繊維強化プラスチック積層体の断面撮影図である。 本実施形態における、平均扁平率と単位面積当たりの表面の陥没箇所である不良箇所数との関係を示した特性図である。 本実施形態における空隙セルの短径と単位面積当たりの表面の陥没箇所である不良箇所数との関係を示した特性図である。 本実施形態における平均セル面積と単位面積当たりの表面の陥没箇所である不良箇所数との関係を示した特性図である。 本実施形態における芯材板厚の減少率と単位面積当たりの表面の陥没箇所である不良箇所数との関係を示した特性図である。
以下、本発明に係る繊維強化プラスチック積層体を、図を用いて説明する。なお、本発明は図示された構成になんら限定されるものではない。
本発明に係る構成は、少なくとも独立発泡セルを有する樹脂発泡体から構成される芯材に、強化繊維とマトリックス樹脂から構成される表皮材が積層された繊維強化プラスチック積層体であって、繊維強化プラスチック積層体の積層方向の断面において、独立発泡セルの長径と短径の比率で表される平均扁平率(短径/長径)が0.25〜0.9であり、かつ独立発泡セルの平均短径が25〜250μmであるとともに、表皮材を構成するマトリックス樹脂の芯材への最大進入長が130〜450μmであることを特徴としている。
図1は、本実施形態に係る繊維強化プラスチック積層体1の積層方向断面における模式断面図である。繊維強化プラスチック積層体1は、樹脂発泡体から構成される芯材2の上下面に表皮材3,4を積層した積層体構成を有する。図2は、実際に製造した繊維強化プラスチック積層体1の断面撮影図の一例を示したものであり、芯材2において周囲よりもやや濃い黒で見えている箇所が独立発泡セル5である。
独立発泡セル5が集まった芯材2の発泡樹脂としては、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂などがある。具体的には、軽量性およびX線透過性を確保するために表皮材3、4より見かけ密度が小さい樹脂を用いることが好ましく、特にポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂が好ましく使用できる。
本発明において独立発泡セル5とは、内部に気泡が存在するが、気泡同士が繋がっておらず壁で仕切られている独立気泡型のことをいう。本発明では、表皮材3、4に発生する気泡ボイドと区別するため、独立発泡セルと称する。独立発泡セル5が集まった芯材2は一般的に合成樹脂中に気相を細かく分散させ発泡させることで成形される。合成樹脂を発泡させる気相を得る方法は主に、化学反応を利用する方法(化学反応ガス活用法)、沸点が低い溶剤を用いる方法(低沸点溶剤活用法)、空気を混入させる方法(機械的混入法)、含ませた溶剤を除去する過程で空隙を作る方法(溶剤除去法)などがある。
表皮材3、4の強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維などの高強度、高弾性率繊維などが挙げられるが、これらから上記強度、弾性率を有するものを単独で用いても良い。中でも高い剛性を保持したまま軽量性を確保するために、弾性率と密度との比である比弾性率が高い炭素繊維を使用することが好ましく、例えばポリアクリロニトリル(PAN系)、ピッチ系、セルロース系、炭化水素による気相成長系炭素繊維、黒鉛繊維などを用いることができ、これらを2種類以上併用してもよい。好ましくは、剛性と価格のバランスに優れるPAN系炭素繊維がよい。
表皮材3、4は、高い剛性を確保するため、その強化繊維の引張弾性率は、積層体の剛性の点から好ましくは200〜850GPaの範囲内であるものが使用できる。強化繊維の引張弾性率が、200GPaよりも小さい場合は、軽量性を保持したまま、必要な高い剛性を確保することができない場合があり、850GPaよりも大きい場合は、強化繊維の圧縮強度が弱く折れやすいため、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸し、繊維強化樹脂を成形することが困難である。強化繊維の引張弾性率が、前記範囲内であると積層体の更なる剛性向上、強化繊維の製造性向上の点で好ましい。
表皮材3、4のマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができる。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ナイロン樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などがある。好ましくは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で熱または光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化して、少なくとも部分的に三次元硬化物を形成する樹脂であるが、特に限定されない。
さらに、マトリックス樹脂のガラス転移温度は80〜250℃の範囲内であることが好ましく、100〜250℃であることがより好ましい。繊維強化プラスチック積層体1は、成形後80℃前後で加熱処理することもあるため、マトリックス樹脂のガラス転移温度が80℃未満であると加熱処理中に繊維強化プラスチック積層体1の剛性が低下し、変形や反りが発生する問題が起きるからである。また、250℃を超えると、成形温度が高くなるため、成形が困難になり、反りの問題の発生やコストアップの問題が起きることが懸念される。
上述のとおり、独立発泡セル5を有する芯材2に、強化繊維とマトリックス樹脂から構成される表皮材3、4を積層させた繊維強化プラスチック積層体1とすることで、軽量化と強度の保持の両立を図ることができる。ここで、繊維強化プラスチック積層体1表面に生ずる外観不良は、繊維強化プラスチック積層体1の内部に発生する気泡、いわゆる気泡ボイドの発生による要因が大きいと考えられる。すなわち、表皮材3、4の中に含浸されているマトリックス樹脂が芯材2内に漏れ出して進入することにより、マトリックス樹脂が脱落して生じた空隙が気泡ボイドとなり、これが表皮材3、4表面に一部陥没した状態を作り出すことになる。この陥没が外観上の不良を生じさせる原因となる。
この点について詳述すると、加熱・加圧成形時の芯材2の圧搾する際、あらかじめ形成された独立発泡セル5を有する芯材2には、復元しようとする反発力が表皮材3、4に作用し、その反発力によって表皮材からのマトリクス樹脂の進入を阻害できると考えられる。
本発明においては、独立発泡セル5の平均扁平率(短径/長径)を0.25〜0.9とし、独立発泡セル5の平均短径を25〜250μmとすることが重要である。独立発泡セル5の形状をこの範囲にすることで、表皮材3、4中の気泡ボイドの発生を抑えられ、外観不良を抑制することができる。前述のように、加熱・加圧成形時において発泡体に生じる反発力により、表皮材に圧力がかるとともに、圧搾された独立発泡セル5の壁がマトリックス樹脂の進入障壁となり、表皮材3、4から芯材2へのマトリックス樹脂の進入を抑制できる。
ここで、平均扁平率が小さくても、平均短径が長いと、独立発泡セル5の壁間隔が長くなり、表皮材3、4から芯材2へのマトリックス樹脂の進入が抑えにくくなる場合がある。平均扁平率が0.25未満で、平均短径が250μmを超えると、芯材2から表皮材3、4への圧力も小さく、独立発泡セルの壁間隔が長くなるため、マトリックス樹脂の進入が抑えにくくなり、ボイドの発生数を低減できない場合がある。一方、平均扁平率が0.9を超え、平均短径が25μm未満であると、繊維強化プラスチック積層体1自身の剛性が低下する場合がある。
平均扁平率は、好ましくは0.3〜0.75、より好ましくは0.3〜0.65、さらに好ましくは0.35〜0.45である。また、平均短径は、好ましくは25〜220μm、より好ましくは50〜150μm、さらに好ましくは80〜150μmである。
ここで、平均扁平率は独立発泡セルの短径を長径で除した値で規定される。図1に示すように、扁平化した独立発泡セル5の長径6、扁平化した独立発泡セル5の短径7を、独立発泡セル毎に測定し、同一の独立発泡セルにおける短径を長径で除した値を扁平率とし、一定面積内に存在する独立発泡セル5の個数について平均化したものを平均扁平率とした。具体的には、繊維強化プラスチック積層体1から接合部を含んだ小片を切り出し、エポキシ樹脂に包埋した後、繊維強化プラスチック積層体1の垂直方向断面を研磨した試料を作製する。レーザー顕微鏡(キーエンス(株)製、VHX−1000)を用いて、芯材2を形成する独立発泡セル5を拡大倍率100倍で撮影し、画像計測ツール(キーエンス(株)製、VHX−1000 Software VHXAnalyzer)を用いて、撮影した画像を基に、画像範囲内に見える全ての独立発泡セル5について、長径6と短径7の長さをそれぞれ測定し、その平均値を算出することで、繊維強化プラスチック積層体1の平均扁平率が得られる。また平均短径とは独立発泡セル5の短径7を独立発泡セル毎に測定し一定面積内に存在する独立発泡セル5の個数について平均化したものを平均短径とした。平均長径も同様に求めた。
また、芯材2の独立発泡セル5の平均セル面積が0.001〜0.06mmであることが好ましい。独立発泡セル5の平均セル面積が0.06mmを超えると、隣接する独立発泡セル5間の空隙が大きくなるため、マトリックス樹脂の芯材2への進入長が増大し、気泡ボイドの発生を抑制することが困難になる場合がある。一方、独立発泡セル5の平均セル面積が0.001mm未満の場合、芯材2の材料コストが増大する。また、独立発泡セル5自身の反発力が発揮されにくくなり、繊維強化プラスチック積層体1の強度が低下する場合がある。独立発泡セル5の平均セル面積は好ましくは0.0015〜0.05mm、より好ましくは0.002〜0.04mmである。
ここで、独立発泡セル5の平均セル面積は、各独立発泡セル5から算出した長径6、短径7を元に、平均セル面積=(長径/2)×(短径/2)×円周率の式を用いて、単位面積内に存在する各独立発泡セルの面積を算出し、その平均を取ることにより特定することができる。
また、積層体平面に対して垂直な方向における表皮材3、4を構成するマトリックス樹脂の芯材2への平均進入長が50〜180μmであることが好ましい。
表皮材3、4を構成するマトリックス樹脂の一部の、芯材2への平均進入長を一定範囲に抑えることにより、気泡ボイドの発生を抑えられ、外観不良を抑制する効果が得られる。繊維強化プラスチック積層体1は、後述するように加熱・加圧成形により作製されるが、圧力や加熱温度が高過ぎると、芯材2を構成する独立発泡セル5を突き破って奥深くまでマトリックス樹脂が進入する場合があり、独立発泡セル5の大きさに係らずにボイドの発生が増加してしまう場合がある。表皮材3、4を構成するマトリックス樹脂の芯材2への平均進入長を制御するための因子としては、繊維強化プラスチック積層体1形成時の加圧力、加熱温度、加圧時間が挙げられる。また、芯材2の独立発泡セル5の面積が大きく短径が長い場合には、独立発泡セル5の形状が扁平し、隣接する独立発泡セル5との空隙が大きくなるため、マトリックス樹脂の進入長が大きくなる傾向にある。一方、芯材2の独立発泡セル5の面積が小さく、短径が短い場合には、進入長が小さくなる傾向にある。
平均進入長が180μmを超えると外観不良が目立つ状態となる場合がある。平均進入長が50μm未満であると積層体の接合強度が低下する場合がある。好ましくは60〜160μm、より好ましくは90〜150μmである。
ここで、平均進入長とは、積層体平面に対して垂直な方向の断面において、表皮材を構成するマトリックス樹脂の一部が、芯材と表皮材の境界を基準として、芯材側へ進入する距離を平準化した値である。図3に芯材への平均進入長を算出した断面の構造模型図を示す。樹脂の芯材への進入箇所10において、芯材2と表皮材3、4との境界線8、9から樹脂が進入した先端までの距離を、断面撮影図における横幅3470μmあたり100箇所測定し、その平均値を取って、平均進入長とした。
また、マトリックス樹脂の芯材2への最大進入長が130〜450μmであることが重要である。
気泡ボイドの発生により、表皮材3、4の表面に一部陥没した不良箇所においては、その部分のマトリックス樹脂の芯材2への進入が他の部分よりも進行している。平均進入長が小さくても、一部において深く進入している箇所があると、表面外観に大きく陥没した目立つ不良が発生する場合がある。独立発泡セル5が扁平形状でないと、加圧方向における独立発泡セル5の壁間隔が長いままであり、独立発泡セル5の壁がマトリックス樹脂の進入障壁となりにくく、表皮材3、4から芯材2へのマトリックス樹脂の進入を抑制しにくい。マトリックス樹脂の進入状態を一定深さに抑えることで、不均一に存在する気泡ボイドによる外観上不良を抑える効果が得られる。
最大進入長が450μmを超えると、部分的にボイドによる外観上不良が強く目立ちやすくなる傾向にある。最大進入長が130μm未満であると、芯材2と表皮材3、4間の接合強度が低下する場合がある。最大進入長は好ましくは130〜400μm、より好ましくは200〜350μmである。
また、芯材2の両面に表皮材3、4が積層され、表皮材3、4のいずれか一方の板厚が、他方の板厚の2〜5倍の厚さであることが好ましい。
表皮材3、4の厚みを薄くすることで軽量性とX線透過性を確保するとともに、厚い表皮材の板厚を他方の薄い表皮材よりも2〜5倍の厚さとすることで、高い剛性を確保することができる。製品外観として表れる面(例えば上面)を相対的に厚い構成とし、製品外観として表れない面(例えば下面)を相対的に薄い構成とすることが好ましい。より好ましくは2〜4倍、さらに好ましくは2〜3倍である。
また、板厚の薄い方の表皮材に一方向繊維強化プラスチック層を配し、板厚の厚い方の表皮材の少なくとも1層に織物繊維強化プラスチック層を配した構成とすることが好ましい。板厚の薄い方の表皮材は、相対的に薄い構成とすることで剛性が低下する傾向にあるため、一方向強化繊維プラスチック層を配することにより、剛性の低下を補えることができる。また、織物繊維強化プラスチック層は、表皮材3、4の最外層に配した構成とすることが好ましい。表皮材3、4の最外層に織物を配することにより、高剛性を保持するとともに、外観意匠性も向上させることができる。
また、上面と下面を合計した表皮材3、4の板厚は0.5〜1.2mmであることが好ましい。表皮材3、4の板厚が0.5mm未満の場合には高い剛性を確保することができず、1.2mmを超える場合には、高い剛性は保持できるが、軽量性およびX線透過性を確保することができない場合がある。
また、芯材2の両面に配される表皮材3、4の合計板厚が全体板厚の40〜70%の範囲内であることが好ましい。繊維強化プラスチック積層体1の全体板厚が小さいほど軽量性およびX線透過性に優れ、X線機器用部材に用いた際には、低照射量のX線で高コントラストのクリアな画像が得られる。表皮材3、4の板厚が0.5〜1.2mmの範囲内であっても、表皮材3、4の合計板厚が繊維強化プラスチック積層体1の全体板厚の40%未満である場合には、剛性が不十分になる場合があり、70%を超える場合には、高い剛性は保持できるが、軽量性およびX線透過性が不十分な場合がある。
また、繊維強化プラスチック積層体1の全体板厚が1〜3.5mmであることが好ましい。全体板厚が1〜3.5mmの範囲とすることにより、軽量化、剛性及びX線透過性との両立を図ることができる。全体板厚が1mm未満であると剛性が不足する場合がある。また、全体板厚が3.5mmを超えると、軽量化及びX線透過性が低下する場合がある。好ましくは1.2〜2.2mm、より好ましくは1.4〜2mmである。さらに好ましくは1.5〜1.8mmである。
表皮材3、4中の強化繊維としては、表皮材に対して40〜80重量%の範囲内で含まれていることが好ましい。重量含有率が40%未満の場合には、軽量性を保持したまま、必要な高い剛性を確保することができない。その反面、強化繊維の含有率が80%を超える場合には、強化繊維にマトリックス樹脂を均一に含浸することが困難となり、成形した後の繊維強化プラスチック積層体1の強度不足やX線透過性が悪化するなどの品質上の問題が発生する可能性がある。好ましくは45〜75重量%、より好ましくは50〜70重量%である。
また、芯材2の見かけ密度が0.03〜1.4g/cmであることが好ましい。軽量性およびX線透過性を確保するために見かけ密度が小さい樹脂を用いることが好ましい。剛性を保持したまま、軽量性およびX線透過性を確保することができる。密度は好ましくは0.05〜1.0g/cm、より好ましくは0.07〜0.7g/cmの範囲内である。
X線透過性は、構造体材質の分子量および厚みに依存する。分子量および/または厚みが小さい程、一般的にX線透過性は向上する。すなわち繊維強化プラスチック積層体1は、見かけ密度が小さな熱可塑性樹脂発泡体層を備え、かつ全体厚みが小さいほど、X線が透過しやすいため、低照射量で高コントラストのクリアな画像が得られる。
次に、本発明に係る繊維強化プラスチック積層体の製造方法について説明する。
本発明は、少なくとも独立発泡セル5を有する発泡体から構成される芯材2の両面に強化繊維と熱硬化性マトリックス樹脂からなる表皮材3、4を積層させる製造方法であり、予め一定の大きさの独立発泡セル5が形成された樹脂発泡体からなる芯材2の両面に、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させた表皮材3、4で挟み、プレス成形により加圧・加熱して芯材2を圧搾するとともに、マトリックス樹脂を硬化して表皮材3、4を形成するとともに芯材2と表皮材3、4とを一体積層化させて繊維強化プラスチック積層体1を形成するものである。
より具体的には、熱硬化性樹脂のマトリックス樹脂を、強化繊維に含浸されたプリプレグを表皮材前駆体として準備する。また、芯材前駆体として一定の大きさの独立発泡セル5を有した熱可塑性樹脂発泡体を準備する。芯材前駆体の両側を表皮材前駆体で挟み込んだ構造体を形成し、この構造体をプレス成形により加熱し、0.3〜10MPaの圧力を付与して加圧圧搾することにより、表皮材の熱硬化性樹脂が硬化して、芯材2と表皮材3、4が一体化した繊維強化プラスチック積層体1を形成することが出来る。
本発明においては、芯材2の圧搾において、芯材2の板厚の減少率が23〜70%の範囲であることが重要である。芯材2の板厚の減少率が23%未満であると、芯材2の独立発泡セル5の平均扁平率が小さくなりにくく、芯材2から表皮材3、4への圧力も小さく、独立発泡セル5の壁間隔が長くなるため、マトリックス樹脂の進入が抑えにくく、気泡ボイドの発生数を低減できない場合がある。一方、芯材2の板厚の減少率が70%を超えると、繊維強化プラスチック積層体1の強度が低下する場合がある。芯材2の板厚の減少率は、好ましくは35〜65%、より好ましくは45〜55%の範囲である。
さらに、圧搾作用を確実にして、所定の扁平率を確保するために、プレス成形時にキャビティーの空間制御を行うことが好ましい。空間制御の方法としては、スペーサーを使用することができる。また、圧力をかける前に予熱を一定時間かけることも、圧力調整の精度が向上でき、好ましい態様である。
繊維強化プラスチック積層体1は、表皮材前駆体と芯材前駆体とを積層後、ホットプレス装置および/またはオートクレーブ装置などを用いて、加熱、加圧同時成形することにより製造されることが好ましい。同時成形することで低コストの繊維強化プラスチック積層体1を提供することができる。
また、電子機器用筺体や医療機器用部材として、繊維強化プラスチック積層体の外周部に筐体の一部を構成する枠材と接合することができる。例えば、アウトサート射出成形により、繊維強化プラスチック積層体の外周に、熱可塑樹脂のボスリブ部やヒンジ部を有する枠材としての部材を形成することが出来る。
以下、実施例によって、本発明の一体化成形体およびその製造方法について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
(実施例1)
繊維強化プラスチック積層体を以下の条件にて製造した。
まず、表皮材の前駆体として、引張弾性率が230GPaの織物炭素繊維とガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、目付が198g/m、炭素繊維含有率が56重量%のプリプレグA、
引張弾性率が230GPaの一方向炭素繊維とガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、目付が100g/m、炭素繊維含有率が63重量%のプリプレグB、及び、
引張弾性率が370GPaの一方向炭素繊維とガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、目付が116g/m、炭素繊維含有率が67重量%のプリプレグC、をそれぞれ準備した。
また、芯材の前駆体として、ポリメタクリルイミド発泡体(密度0.11g/cm、厚み1.5mm、独立発泡セルの平均長径が287μm、平均短径が260μm、平均セル面積が0.059mm)を準備した。図4に、実施例1において使用した芯材前駆体の断面撮影図を示す。
上面表皮材3として、最表層にプリプレグAを1層、その下にプリプレグBを4層積層して板厚0.62mmとした上面表皮材前駆体を準備し、下面表皮材4としてプリプレグCを2層積層して板厚0.22mmとした下面表皮材前駆体を準備し、これらを芯材前駆体の両面に積層して、金型内において、130℃で予熱時間1.5分保持し、面圧1.5MPaで加圧しながら130℃で60分間保持することで繊維強化プラスチック積層体を得た。
図5に作製された繊維強化プラスチック積層体の断面撮影図を示す。図5において、上面の膜厚の厚い方の上面表皮材3には、最外層に織物繊維強化プラスチックを配し、その下には一方向繊維強化プラスチックを配置した構成である。また下面の膜厚の薄い方の下面表皮材4には、一方向繊維強化プラスチックを配置した構成である。
得られた積層体1の全体厚みは1.17mm、上面表皮材の厚みは0.52mm、下面表皮材の厚みは0.17mm、上面表皮材板厚は下面表皮材板厚の3.04倍であった。また積層体全体の厚みに対する上面と下面表皮材の厚みは58.8%であった。
積層体中の独立発泡セルの平均短径は82μm、平均長径は276μm、平均扁平率は0.30、独立発泡セルの平均セル面積は0.018mm、積層体中の芯材の板厚は0.48mm、芯材への表皮材を構成するマトリックス樹脂の平均進入長171μm、最大進入長は436μm、芯材の厚さの減少率は67.7%であった。
また、JIS K 7074(1988)炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準じて、幅15mm、長さ100mmの短冊状試験片を最外層の炭素繊維方向が長手方向になるよう切りだし、半径5mmの丸型圧子を用い、試験速度5mm/minおよび支点間距離80mmで3点曲げ試験を行った。その結果、0°方向の曲げ弾性率は44.1GPa、90°方向の曲げ弾性率は39.2GPaであった。表面の陥没箇所である不良箇所数は7個(300cmあたり)で、高剛性で軽量であり、表面外観性に優れた積層体が得られた。
(実施例2)
上面表皮材前駆体、下面表皮材前駆体及び芯材の前駆体は実施例1と同様のものを使用した。
上面表皮材3として、最表層にプリプレグAを1層、その下にプリプレグBを4層積層して板厚0.62mmとした上面表皮材前駆体を準備し、下面表皮材4としてプリプレグCを2層積層して板厚0.22mmとした下面表皮材前駆体を準備し、これらを芯材前駆体の両面に積層して、金型内に、130℃で予熱時間1.5分保持し、面圧1.0MPaで加圧しながら130℃で60分間保持することで繊維強化プラスチック積層体を得た。
(実施例3)
上面表皮材前駆体、下面表皮材前駆体及び芯材の前駆体は実施例1と同様のものを使用した。
上面表皮材3として、最表層にプリプレグAを1層、その下にプリプレグBを4層積層して板厚0.62mmとした上面表皮材前駆体を準備し、下面表皮材4としてプリプレグCを2層積層して板厚0.22mmとした下面表皮材前駆体を準備し、これらを芯材前駆体の両面に積層して、金型内に、130℃で予熱時間1.5分保持し、面圧0.85MPaで加圧しながら130℃で60分間保持することで繊維強化プラスチック積層体を得た。
(実施例4)
上面表皮材前駆体、下面表皮材前駆体及び芯材の前駆体は実施例1と同様のものを使用した。
上面表皮材3として、最表層にプリプレグAを1層、その下にプリプレグBを4層積層して板厚0.62mmとした上面表皮材前駆体を準備し、下面表皮材4としてプリプレグCを2層積層して板厚0.22mmとした下面表皮材前駆体を準備し、これらを芯材前駆体の両面に積層して、金型内に、130℃で予熱時間1.5分保持し、面圧0.8MPaで加圧しながら130℃で60分間保持することで繊維強化プラスチック積層体を得た。
(実施例5)
上面表皮材前駆体及び下面表皮材前駆体は実施例1と同様のものを使用した。
芯材の前駆体として、ポリメタクリルイミド発泡体(密度0.11g/cm、厚み1.5mm、独立発泡セルの平均長径が49μm、平均短径が47μm、平均セル面積が0.002mm)を準備した。図6に、実施例5において使用した芯材前駆体の断面撮影図を示す。
上面表皮材3として、最表層にプリプレグAを1層、その下にプリプレグBを4層積層して板厚0.62mmとした上面表皮材前駆体を準備し、下面表皮材4としてプリプレグCを2層積層して板厚0.22mmとした下面表皮材前駆体を準備し、これらを芯材前駆体の両面に積層して、金型内に、130℃で予熱時間2分保持し、面圧1.8MPaで加圧しながら130℃で60分間保持することで繊維強化プラスチック積層体を得た。図7に生成された繊維強化プラスチック積層体の断面撮影図を示す。
得られた積層体の全体厚みは1.68mm、上面表皮材の厚みは0.55mm、下面表皮材の厚みは0.20mm、上面表皮材板厚は下面表皮材板厚の2.83倍であった。また積層体全体の厚みに対する上面と下面表皮材の厚みは44.5%であった。
積層体中の独立発泡セルの平均短径は29μm、平均長径は47μm、平均扁平率は0.62、独立発泡セルの平均セル面積は0.001mm、積層体中の芯材の板厚は0.93mm、芯材への表皮材を構成するマトリクス樹脂の平均進入長は52μm、最大進入長は132μm、芯材の厚さの減少率は38.0%であった。
0°方向の曲げ弾性率は43.1GPa、90°方向の曲げ弾性率は37.9GPaで、表面の陥没箇所である不良箇所数は4個(300cmあたり)で、高剛性で軽量であり、表面外観性に優れた積層体が得られた。
(比較例1)
上面表皮材前駆体及び下面表皮材前駆体実施例1と同様のものを使用した。
また、芯材の前駆体として、ポリメタクリルイミド発泡体(密度0.11g/cm、厚み1.5mm、独立発泡セルの平均長径が305μm、平均短径が301μm、平均セル面積が0.072mm)を準備した。
上面表皮材3として、最表層にプリプレグAを1層、その下にプリプレグBを4層積層して板厚0.62mmとした上面表皮材前駆体を準備し、下面表皮材4としてプリプレグCを2層積層して板厚0.22mmとした下面表皮材前駆体を準備し、これらを芯材前駆体の両面に積層して、金型内に、130℃で予熱時間1.5分保持し、面圧0.5MPaで加圧しながら130℃で60分間保持することで繊維強化プラスチック積層体を得た。図8に生成された繊維強化プラスチック積層体の断面撮影図を示す。平均扁平率が大きく、独立発泡セルの平均短径も長く、表面の陥没箇所である不良箇所数が増加した。
次に、実施例及び比較例の積層体の特性を表1に示す。列の上段から、積層体の上面表皮材板厚、積層体の下面表皮材板厚、上面/下面表皮材板厚(下面表皮材板厚に対する上面表皮材板厚の倍率)、表皮材板厚の合計、積層体全体の板厚、表皮材板厚/全体板厚(積層体全体の板厚に対する表皮材板厚の比率)、独立発泡セルの平均短径、独立発泡セルの平均長径、独立発泡セルの平均扁平率(短径/長径)、独立発泡セルの平均セル面積、積層体の芯材板厚、マトリックス樹脂の独立発泡セルへの平均進入長、マトリックス樹脂の独立発泡セルへの最大進入長、成形前後での芯材板厚の減少率、積層体の比重、積層体の0°及び90°における曲げ弾性率、積層体300cm当たりの不良箇所数を示す。表面の陥没箇所である不良箇所数(0.1mm以上/個)が25個以下程度であれば実使用上耐えられるレベルである。実施例では平均扁平率が小さく、独立発泡セルの平均短径が短く、表面の陥没箇所である不良箇所数は25個以下であった。またX線透過性に優れ、高剛性で軽量であり、表面外観性に優れた積層体が得られた。
図9に、平均扁平率と積層体300cm当たりの表面の陥没箇所である不良箇所数との関係を示す。平均扁平率が小さい程、表面の陥没箇所である不良箇所数は少ない傾向にあることが分かる。
図10に、独立発泡セルの平均短径と積層体300cm当たりの表面の陥没箇所である不良箇所数との関係を示す。独立発泡セルの平均短径が小さい程、表面の陥没箇所である不良箇所数は少ない傾向にあることが分かる。
図11に、独立発泡セルの平均セル面積と積層体の300cm当たりの表面の陥没箇所である不良箇所数との関係を示す。平均セル面積が小さい程、表面の陥没箇所である不良箇所数は少ない傾向にあることが分かる。
図12に、芯材板厚の減少率と積層体の300cm当たりの表面の陥没箇所である不良箇所数との関係を示す。芯材板厚の減少率が大きい程、表面の陥没箇所である不良箇所数は少ない傾向にあることが分かる。
本発明に係る繊維強化プラスチック積層体は、軽量で力学特性が要求される分野における各種製品に適用することができる。例えば、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラ、PDA、ポータブルMD、プラズマディスプレーなどの電気または電子機器の部品、部材および筐体、電話、ファクシミリなどに代表される家庭または事務製品部品の部材および筐体、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などの光学機器、精密機械関連部品の部材および筐体、X線医療機器用途などが挙げられ、特に軽量と高剛性の要求が強い部材や筐体に好適に使用される。
1 繊維強化プラスチック積層体
2 芯材
3 上面の表皮材
4 下面の表皮材
5 独立発泡セル
6 扁平化した独立発泡セルの長径
7 扁平化した独立発泡セルの短径
8 上面表皮材と芯材との境界面
9 下面表皮材と芯材との境界面
10 樹脂の芯材への進入箇所

Claims (7)

  1. 少なくとも、独立発泡セルを有する樹脂発泡体から構成される芯材に、強化繊維とマトリックス樹脂からなる表皮材が積層された繊維強化プラスチック積層体であって、
    前記繊維強化プラスチック積層体の積層方向断面において、前記独立発泡セルの長径と短径の比率で表される平均扁平率(短径/長径)が0.25〜0.9であり、かつ前記独立発泡セルの平均短径が25〜250μmであるとともに、表皮材を構成するマトリックス樹脂の芯材への最大進入長が130〜450μmであることを特徴とする繊維強化プラスチック積層体。
  2. 前記独立発泡セルの平均セル面積が0.001〜0.06mmである請求項1に記載の繊維強化プラスチック積層体。
  3. 前記繊維強化プラスチック積層体の積層方向における表皮材中のマトリックス樹脂の芯材への平均進入長が50〜180μmである請求項1または2に記載の繊維強化プラスチック積層体。
  4. 材の両面に表皮材が積層され、前記表皮材のいずれか一方の板厚が、他方の表皮材の板厚の2〜5倍の厚さである請求項1〜のいずれかに記載の繊維強化プラスチック積層体。
  5. 板厚の薄い表皮材の少なくとも1層に一方向繊維強化プラスチック層を配し、板厚の厚い表皮材は積層構造を備え、少なくとも1層に織物繊維強化プラスチック層を配した、請求項に記載の繊維強化プラスチック積層体。
  6. 織物繊維強化プラスチックは、表皮材の最外層に配した請求項に記載の繊維強化プラスチック積層体。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の繊維強化プラスチック積層体の製造方法であって、
    少なくとも、前記芯材の両面に前記表皮材を積層して成形型に配置する工程、及び、
    前記成形型を型締めして加熱・加圧し、前記芯材を圧搾するとともに、前記表皮材の強化繊維に含浸した熱硬化性樹脂を硬化させる工程を有し、
    前記芯材の圧搾において、前記芯材の板厚の減少率が23〜70%の範囲であることを特徴とする繊維強化プラスチック積層体の製造方法。
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