JP2020163584A - サンドイッチ成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】剛性、軽量性を保持したまま、積層体内部に発生する気泡空隙、いわゆるボイドによる表面外観不良を抑制し、良外観性に優れた良外観の表面状態を保持できる薄肉の繊維強化プラスチック積層体の製造方法を提供する。【解決手段】コア層と接するように、熱硬化性樹脂組成物(A1)を含浸したプリプレグ(A)と、前記熱硬化性樹脂組成物(A1)の大気圧雰囲気下100℃の条件における90%硬化に至るまでの硬化時間より長い熱硬化性樹脂組成物(B1)を含浸したプリプレグ(B)とを積層し、前記プリプレグ(A)が硬化度15%以上の硬化状態に至り、前記プリプレグ(B)は硬化度15%未満の流動状態を維持させる予備加熱工程と、前記プリプレグ(A)および前記プリプレグ(B)がともに硬化度70%以上の硬化状態となるまで所定時間加熱加圧する加熱加圧工程を有するサンドイッチ成形体の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、軽量かつ高剛性で厚みが薄いサンドイッチ成形体の製造方法に関するものであって、電子機器用筺体部材や医療機器用部材などに好適なサンドイッチ成形体の製造方法に関する。
近年、電子機器や医療機器には軽量、高剛性で、厚みが薄いCFRP(arbon iber einforce lastic)製の成形体が提案されている。
CFRP成形体は、自重および荷重に対する撓みの低減や、衝撃に対して、必要な剛性、強度を確保するのに有効であり、パソコン等の電子機器や医療機器の中には作業者が直接持ち運び取り扱うものがあり、軽量であることが求められている。
また、最近では、持ち運びに便利な薄型、軽量で高剛性を図った電子機器用筺体部材や、X線透過性を高めて、X線診断画像の鮮鋭化や人体へのX線被爆量低減を図るための医療機器用部材として、表皮材で芯材を挟んだ構造、いわゆるサンドイッチ積層体構造において、表皮材をCFRPで構成し、芯材を低密度の発泡体で構成したパネルが検討されている。
上記いずれのパネル構造の場合でも、パネルの面内で均一なX線透過性分布を得るため、パネルの断面形状は均一な厚みを備えた平板構造を用いるが、表皮材をCFRPで構成し、芯材を低密度の樹脂発泡体で構成したサンドイッチ構造のパネルにおいて、表面欠陥の少ない良外観のパネルが求められている。
特許文献1(特開2015−193119号公報)においては、独立発泡セルを有する樹脂発泡体から構成される芯材に、強化繊維とマトリックス樹脂からなる表皮材が積層された繊維強化プラスチック積層体において、独立発泡セルの長径と短径の比率で表される平均扁平率(短径/長径)及び前記独立発泡セルの平均短径を特定する構成が記載され、これにより剛性、軽量性を保持したまま、構造体内部に発生する気泡空隙、いわゆる気泡ボイドの発生による表面外観不良を抑制し、意匠性に優れた良外観の表面状態を保持できる効果が開示されている。
また、特許文献2(特開平5−318642号公報)においては、プラスチック発泡体をコア材とし、該コア材の周囲にエポキシ樹脂組成物を配置し、更にその外側に強化繊維プリプレグを配置し、全体を金型に入れて加熱硬化する方法が記載され、これにより、各材料間の接着性がよく、また発泡材料層中のボイドが少ないため、軽量でかつ十分な強度を有し、また、成形時に金型に強く密着するため、良好な表面を有する効果が開示されている。
また、特許文献3(特開2012−71591号公報)においては、芯材の少なくとも一側の面の繊維補強材の表面には表面材を積層し、前記繊維補強材は、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸して硬化したものからなり、前記表面材は、多孔性シートに熱硬化性樹脂が含浸し、かつ熱硬化性樹脂が前記多孔性シート表面に付着して硬化したものからなり、前記芯材と前記繊維補強材と前記表面材が、前記熱硬化性樹脂発泡体に含浸した前記熱硬化性樹脂と前記炭素繊維織物に含浸した前記熱硬化性樹脂と前記多孔性シートに含浸した前記熱硬化性樹脂の硬化により一体化された繊維強化成形体が記載され、繊維強化成形体の表面が平滑な樹脂層となり、そのため、表面材の表面に塗装を施した場合、前記炭素繊維織物の段差の影響を抑えることができると共に、前記段差部分にエアが残って塗膜表面にピンホールを生じるおそれを無くすことができ、良好な塗装外観が得られる効果が開示されている。
また、特許文献4(特開平5−286046号公報)においては、液状熱硬化性樹脂を含浸した強化繊維とともに、液状熱硬化性樹脂が常温では透過し得ない材質からなるシートを、前記強化繊維を包み込むように配設しつつ硬化金型内に送り込み、前記シートの上に熱硬化性樹脂を供給し、前記シートからなる中間層を介して表面層を形成する構成が記載され、中間層形成材料の表面に供給された表面層を形成する樹脂は、該中間層に遮られて成形品本体形成材料に浸透することがなく、表面層は樹脂リッチな状態を維持したまま硬化し、且つ中間層の存在とあいまって、成形品本体の表面に浮き出る強化繊維の凹凸を隠蔽することができる効果が開示されている。
また、特許文献5(特開2016−150561号公報)においては、芯材部と、該芯材部を覆う表層部とを備えた複合構造を有し、前記芯材部が樹脂発泡体で、前記表層部が繊維と樹脂とを含む繊維強化樹脂材で形成されている繊維強化複合体であって、前記表層部と前記芯材部との間に前記表層部に内側から接する中層部がさらに備えられ、該中層部が前記芯材部よりも硬質である繊維強化複合体が記載され、表層部の撓みを前記中層部によって抑制させ得、従って、表層部の薄肉化や表層部の繊維密度の低減を図ることができ、軽量性と強度とに優れた効果が開示されている。
特開2015−193119号公報 特開平5−318642号公報 特開2012−71591号公報 特開平5−286046号公報 特開2016−150561号公報
特許文献1の構成は、表皮材の中に含浸されているマトリックス樹脂が芯材内に漏れ出して浸入することによるマトリックス樹脂が脱落して気泡ボイドが発生することを抑えるため、独立発泡セルの平均扁平率及び発泡セルの平均短径を規定し、この一定の楕円形状を形成するために、圧搾して芯材の板厚を一定量減少させてセルの形状を一定の楕円形状とする手段を取っている。つまり、芯材の改良からのアプローチによる気泡ボイド対策を講じているが、一部のマトリックス樹脂は芯材のセルの壁を破って芯材内に漏れ出す場合もあり、マトリックス樹脂の芯材内への漏れ出しをより一層低減することについて改善の余地があった。
また、特許文献2の構成は、ボイドを低減することを目的として、シート状のエポシキ樹脂組成物が発泡することにより内圧が発生し、コア材を圧縮すると同時に強化繊維層を金型に押し付けることを主構成としたものであり、この構成では表皮材のマトリクス樹脂のコア発泡体への浸入を抑制して気泡ボイドの発生による表面外観不良の改善には不十分であった。
また、特許文献3の構成は、芯材と繊維補強材と表面材が、熱硬化性樹脂発泡体に含浸した熱硬化性樹脂と炭素繊維織物に含浸した熱硬化性樹脂と多孔性シートに含浸した熱硬化性樹脂の硬化により一体化された構成であり、表面材が積層された表面では、繊維補強材を構成する炭素繊維織物の織り目の隙間部分等で生じる段差が、前記多孔性シートに含浸し、さらには多孔性シートの表面に染み出した熱硬化性樹脂で埋めることにより表面平滑性を発現させることが主構成であり、発泡性樹脂で構成した芯材の空隙に、繊維補強材に含浸した熱硬化性樹脂が浸入することにより生じるいわゆる気泡ボイドの発生による表面外観不良の課題に対する示唆はなされていない。
また、特許文献4の構成は、液状熱硬化性樹脂が常温では透過し得ない材質からなるシートとして開示されている熱可塑性樹脂製フイルムもしくはシートでは強化繊維が含まれていないため、成形品の強度・剛性が低下する懸念があり、また、シートとして開示されている強化繊維に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させ、或る程度ゲル化させたプリプレグシートでは、あらかじめシートを硬化させる工程を設ける必要があり、取り扱いの煩雑さや工程上のコスト増につながる課題があった。
また、特許文献5の構成は、中層部は、前記芯材部を構成する樹脂発泡体の表面に積層された非発泡樹脂層とする構成であり、強化繊維が含まれていないため、成形品の強度・剛性が低下する課題があった。また、高剛性、軽量化を主要観点とした発明であり、成形体内部に発生する気泡、いわゆる気泡ボイドの発生による表面外観不良に対する改善対策に関する示唆はなされていない。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、軽量、高剛性の電子機器筺体用や、X線透過性に優れた医療機器用部材に使用する繊維強化プラスチック成形体であり、剛性、軽量性を保持したまま、成形体内部に発生する気泡空隙、いわゆる気泡ボイドの発生による表面外観不良を抑制し、意匠性に優れた良外観の表面状態を保持できる薄肉のサンドイッチ成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために種々検討を行った結果、本発明は以下の手段を採用するものである。すなわち、
(1)コア層の両表面を連続繊維と熱硬化性樹脂とから構成されるスキン層で挟んだサンドイッチ構造前駆体を加熱加圧により一体化するサンドイッチ成形体の製造方法であって、
以下の[1]〜[3]の工程を少なくとも有することを特徴とするサンドイッチ成形体の製造方法。
[1]前記スキン層を構成するプリプレグとして、熱硬化性樹脂組成物(A1)を含浸したプリプレグ(A)と、前記熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化時間(大気圧雰囲気下100℃の条件における90%硬化に至るまでの所要時間)より長い硬化時間を有する熱硬化性樹脂組成物(B1)を含浸したプリプレグ(B)とを、1層又は2層以上の前記プリプレグ(B)/1層又は2層以上の前記プリプレグ(A)/前記コア層/1層又は2層以上の前記プリプレグ(A)/1層又は2層以上の前記プリプレグ(B)の順に積層し、サンドイッチ構造前駆体を形成する積層工程、
[2]予備加熱手段により前記サンドイッチ構造前駆体を所定時間加熱し、前記熱硬化性樹脂組成物(A1)が硬化度15%以上の硬化状態とするとともに、前記熱硬化性樹脂組成物(B1)が硬化度15%未満の流動状態とする予備加熱工程、
[3]加熱加圧手段により、前記熱硬化性樹脂組成物(A1)および前記熱硬化性樹脂組成物(B1)がともに硬化度70%以上の硬化状態となるまで所定時間加熱加圧する加熱加圧工程
(2)前記予備加熱工程において、80〜150℃の温度で加熱する(1)に記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
(3)前記加熱加圧工程において、100〜150℃の温度および0.2〜1.5MPaの圧力で加熱・加圧する(1)または(2)に記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
(4)前記熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化時間が大気圧雰囲気下100℃の条件において5〜60(min)であり、前記熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化時間が大気圧雰囲気下100℃の条件において15〜120(min)である(1)〜(3)のいずれかに記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
(5)前記プレプリグ(A)の肉厚At(mm)に対する前記プレプリグ(B)の肉厚Bt(mm)の比At/Btが1〜10である(1)〜(4)のいずれかに記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
(6)プリプレグ(B)を構成する強化繊維が織物繊維である(1)〜(5)のいずれかに記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
(7)プリプレグ(A)を構成する強化繊維が一方向性繊維である(1)〜(6)のいずれかに記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
である。
本発明のサンドイッチ成形体の製造方法によれば、特定の層構造を採用することにより、成形体のスキン層に発生する気泡、いわゆる気泡ボイドによる表面外観不良を抑制し、意匠性に優れた良外観の表面状態を保持できるとともに、薄肉、軽量、高剛性にサンドイッチ成形体を得ることが出来る。
金型への配置前のサンドイッチ成形体の各構成部材の断面図である。 金型へ配置してプレス成型により製造したサンドイッチ成形体の積層状態を模式した断面図である。 本発明に係るサンドイッチ成形体の製造方法の各工程を表したフロー図である。 本発明に係る製造方法により作成したサンドイッチ成形体の断面斜視図である。 従来技術により製造する際のマトリクス樹脂の浸入する状態を表したサンドイッチ成形体の断面図である。
以下、本発明に係るサンドイッチ成形体の製造方法を、図を用いて説明する。なお、本発明は図示された構成になんら限定されるものではない。
本発明に係るサンドイッチ成形体1の製造方法は、概略以下の手順で行う。まず、図1に示すように、コア層2と、コア層2の両表面をサンドイッチするスキン層5を形成するプリプレグ(A)3とプリプレグ(B)4とをあらかじめ準備する。次に、図2に示すように、成形下金型6上に、プリプレグ(A)3がコア層2と接するように、1層又は2層以上のプリプレグ(B)4/1層又は2層以上のプリプレグ(A)3/コア層2/1層又は2層以上のプリプレグ(A)3/1層又は2層以上のプリプレグ(B)4の順に積層した構成のサンドイッチ構造前駆体を載置する。その後、成形上金型7により加熱加圧しながら加熱することにより、サンドイッチ成形体1を作成する。
本発明に係るサンドイッチ成形体の製造方法の詳細を図3のフロー図を用いて説明する。
まず、ステップ[1]8で、熱硬化性樹脂組成物(A1)を含浸したプリプレグ(A)3と熱硬化性樹脂組成物(B1)を含浸したプリプレグ(B)4とを準備する。熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化時間は、熱硬化性樹脂組成物(A1)よりも硬化時間が長いものであることを特徴とする構成である。ここで、本発明で規定する硬化時間とは、大気圧雰囲気下100℃の条件における90%硬化に至るまでの所要時間として定義したものである。
次に、ステップ[2]9で、成形下金型6上にプリプレグ(A)3がコア層2と接するようにして、プリプレグ(B)4/プリプレグ(A)3/コア層2/プリプレグ(A)3/プリプレグ(B)4の順に積層した構成のサンドイッチ構造前駆体を載置する。サンドイッチ構造前駆体の積層構造は、スキン層5(プリプレグ(B)4/プリプレグ(A)3)/コア層2/スキン層5(プリプレグ(A)3/プリプレグ(B)4)となる。プリプレグ(A)3は1層又は2層以上の構成、同様にプリプレグ(B)4も1層又は2層以上の構成である。
ステップ[3]10〜ステップ[7]14までは、予備加熱工程であり、サンドイッチ構造前駆体を所定時間加熱し、プリプレグ(A)3に含浸した熱硬化性樹脂組成物(A1)が硬化度15%以上の硬化状態とするとともに、プリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)が硬化度15%未満の流動状態とする工程である。
ステップ[4]11では、熱硬化性樹脂組成物(A1)が融解するまで加熱し、ステップ[5]12では、熱硬化性樹脂組成物(B1)が融解するまで加熱する。
ステップ[6]13、ステップ[7]14では、加熱を継続し、熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化度が15%以上となるまで加熱する。このとき、熱硬化性樹脂組成物(A1)は流動状態を失い、半硬化状態となっている。一方、このとき熱硬化性樹脂組成物(B1)は、硬化度が15%未満で、流動状態を保持したままである。
ステップ[8]15、ステップ[9]16は、加熱加圧工程であり、加熱加圧手段により、プリプレグ(A)3に含浸した熱硬化性樹脂組成物(A1)およびプリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)がともに硬化度70%以上の硬化状態となるまで所定時間加熱加圧する工程である。
このように、スキン層5として、コア層2側の内層に速硬化性の熱硬化性樹脂組成物(A1)を含浸したプリプレグ(A)3を配し、外層に通常硬化性の熱硬化性樹脂組成物(B1)を含浸したプリプレグ(B)4を積層し、一定時間予熱を行うことで、内層と外層の熱硬化性樹脂組成物の硬化の進行にタイムラグを生じさせる。内層のプリプレグ(A)3に含浸した速硬化性の熱硬化性樹脂組成物(A1)が半硬化し、外層のプリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)は流動状態を維持している状態で、プレスを開始することで、内層のプリプレグ(A)3がブロック層の機能となり、スキン層5の樹脂成分がコア層2に浸入することを抑制でき、スキン層5内での樹脂成分が欠落して陥没状態となることにより生じる空隙であるボイドの発生を防止することができる。また、外層の熱硬化性樹脂組成物(B1)の強化繊維に例えば織物繊維等を使用している場合、その繊維の折り目に沿って樹脂が保持されたまま硬化が進行すると、成形体の表面に繊維の目の沿った凹凸模様が残存してしまい、その状態でプレス成形を行うと、表面には凹凸模様が残ったままの状態となってしまう。しかし、本発明では、外層の熱硬化性樹脂組成物(B1)が流動状態を維持している状態でプレス成形を行うことで、圧力が均一にかかりやすく樹脂が流動しやすい。そのため、成形体の表面に繊維の目の沿った凹凸模様が残存することを抑制することができる。
これに対し、図5に示すコア層2の両面にスキン層5を積層した従来のサンドイッチ構造ではプレス成形工程中に、スキン層5に含浸しているマトリクス樹脂の一部が矢印17で示すようにコア層2内に浸入し、スキン層5内に樹脂が欠落したボイドが生じ、これがスキン層5の表面に一部陥没した状態を作り出すことになる。この陥没が外観上の不良を生じさせる原因となる。
ステップ[6]13において、プリプレグ(A)3に含浸した熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化度が15%未満であると、内層のプリプレグ(A)3がブロック層の機能が果たせない場合がある。また、ステップ[7]14において、プリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化度が15%を超えると、後の加圧工程で熱硬化性樹脂組成物(B1)が流動しにくく、表面に凹凸模様が残る場合があり、表面良外観性が劣化する場合がある。
ステップ[6]13におけるプリプレグ(A)3に含浸した熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化度は、好ましくは、18%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上である。このとき、プリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化度が15%未満であれば特に上限は規定しない。また、ステップ[7]14におけるプリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化度は好ましくは12%未満、より好ましくは10%未満、さらに好ましくは8%未満である。
また、ステップ[8]15、ステップ[9]16での、プリプレグ(A)3に含浸した熱硬化性樹脂組成物(A1)およびプリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化度は好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
また、本発明において、ステップ[1]10の予備加熱工程では80〜150℃の温度で加熱することが好ましい。好ましくは85〜140℃、より好ましくは90〜130℃、さらに好ましくは95〜120℃である。
これにより、熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化度が15%以上となって、流動状態を失い、また、熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化度が15%未満で流動状態を維持することができる。また、予備加熱工程では圧力を作用させないことが好ましい。圧力を作用させると、プリプレグ(A)3に含浸した熱硬化性樹脂組成物(A1)の未硬化の液状の組成物がコア層2に浸入する場合があるため、加熱のみで熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化を進行させることが好ましい。
予備加熱温度が80℃未満であると、熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化度が15%以上への到達が遅く、熱硬化性樹脂組成物(B1)がプリプレグ(A)3やコア層2に浸入することで、空隙が生じてボイドが発生し、表面良外観性が低下する場合がある。予備加熱温度が150℃を超えると、熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化度と熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化度の制御が困難となり、硬化熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化度が15%以上に到達したときに、熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化が早く進行して流動状態を維持できない場合がある。
また、本発明において、ステップ[8]15の加熱加圧工程では、100〜150℃の温度および0.2〜1.5MPaの圧力で加熱・加圧することが好ましい。
好ましくは100〜140℃の温度および0.3〜1.4MPaの圧力、より好ましくは100〜140℃の温度および0.4〜1.3MPaの圧力、さらに好ましくは120〜135℃の温度および0.5〜1.2MPaの圧力である。
これにより、熱硬化性樹脂組成物(A1)及び熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化度が70%に到達するとともに、プリプレグ(B)4に圧力を作用させることにより平滑性を良くし表面良外観性を向上させることができる。
温度が100℃未満であると、熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化の進行が遅れ、表面良外観性が低下する場合がある。温度が150℃を超えると、樹脂の硬化が急激に早まり、成形体の表面に繊維の目の沿った凹凸模様が残存した状態で硬化が進んでしまう場合や、コア層2が熱による軟化により変形し、所望の圧力を付加できず、表面良外観性が低下する場合がある。
圧力が0.2MPa未満であると、プリプレグ(B)4に作用する圧力が小さく、熱硬化性樹脂組成物(B1)の流動しにくくなり、表面良外観性が低下する可能性がある。圧力が1.5MPaを超えると、プリプレグ(B)4に作用する圧力が大きいため、プリプレグ(B)内に樹脂が保持されず、プリプレグ(B)外へと樹脂が漏出し、表面には凹凸模様が残ったままの状態となり、表面良外観性の低下が生じる場合がある。
また、本発明において、熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化時間が5〜60(min)であり、熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化時間が15〜120(min)であることが好ましい。
これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化の進行にタイムラグを生じさせて、内層の速硬化性のプリプレグ(A)3に含浸した熱硬化性樹脂組成物(A1)が半硬化し、外層のプリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)は流動状態を維持している状態の時で、プレスを開始することで、内層のプリプレグ(A)3がブロック層の機能を果たして樹脂の浸入を防ぐことができる。
熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化時間は好ましくは8〜55(min)であり、熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化時間は、好ましくは18〜110(min)である。より好ましくはそれぞれ10〜50(min)、20〜100(min)であり、さらに好ましくはそれぞれ15〜40(min)、30〜90(min)である。
また、本発明において、プリプレグ(B)4を構成する強化繊維が織物繊維であり、プリプレグ(A)3を構成する強化繊維が一方向性繊維であることが好ましい。
図4に本発明の製造方法にて製造したサンドイッチ成形体1の斜視断面図を示し、コア層2の両面にプリプレグ(A)3及びプリプレグ(B)4を積層し、各層は熱硬化性樹脂組成物の硬化により接合される。
図4ではプリプレグ(A)3の強化繊維は一方向性の連続繊維で、プリプレグ(B)4の強化繊維は織物繊維を用いている。
プリプレグ(B)4の強化繊維として織物繊維を用いることにより、サンドイッチ成形体1の表面に織物繊維の形状模様を目立たせて、斬新な表面模様を発現させることができる。織物繊維としては、平織り、綾織、繻子織及び朱子織から選択される少なくとも1つの織物であることが好ましい。
また、プリプレグ(A)3に一方向性の連続繊維を用いることにより、成形体1の剛性を高めることができる。さらに、プリプレグ(A)3に用いる一方向性の連続繊維として、繊維配向角度が45度又は90度異なる連続繊維を2層以上積層した構成とすることにより、成形体1の薄肉・軽量化とともに、一層の剛性・強度を付与することができる。
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維などの高強度、高弾性率繊維などが挙げられる。
高い剛性を保持したまま軽量性を確保するために、弾性率と密度との比である比弾性率が高い炭素繊維を使用することが好ましく、例えばポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、セルロース系、炭化素による気相成長系炭素繊維、黒鉛繊維などを用いることができ、これらを2種類以上併用してもよい。好ましくは、剛性と価格のバランスに優れるPAN系炭素繊維がよい。
プリプレグ(A)3及びプリプレグ(B)4は、高い剛性を確保するため、プリプレグに含まれる強化繊維の引張弾性率は、積層体の剛性の点から好ましくは50〜850GPaの範囲内であるものを使用することが好ましい。強化繊維の引張弾性率が、50GPa未満の場合は、軽量性を保持したまま、必要な高い剛性を確保することができない場合があり、850GPaを超えると、強化繊維の圧縮強度が弱く折れやすいため、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸し、繊維強化樹脂を成形することが困難である。強化繊維の引張弾性率が、前記範囲内であると積層体の更なる剛性向上、強化繊維の製造性向上の点で好ましい。
また、本発明において、プレプリグ(A)3の肉厚At(mm)に対するプレプリグ(B)4の肉厚Bt(mm)の比At/Btが1〜10であることが好ましい。
プレプリグ(A)3の肉厚をプレプリグ(B)4の肉厚よりも厚くすることにより、内層のプリプレグ(A)3のブロック層の機能を十分に果たすことができ、スキン層5からコア層2への樹脂の浸入を防ぐことができる。好ましくは2〜9、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは4〜7である。
At/Btが1未満であると、スキン層5からコア層2への樹脂の浸入を防ぐブロック層の機能が低下する場合がある。At/Btが10を超えると、スキン層の肉厚が厚くなり、サンドイッチ成形体の薄肉化を発現することができない場合がある。
プリプレグ(A)3及びプリプレグ(B)4中の強化繊維は、プリプレグに対して40〜80重量%の範囲内で含まれていることが好ましい。重量含有率が40%未満の場合には、軽量性を保持したまま、必要な高い剛性を確保することができない。その反面、強化繊維の含有率が80%を超える場合には、強化繊維にマトリックス樹脂を均一に含浸することが困難となり、成形した後の繊維強化プラスチック積層体1の強度不足やX線透過性が悪化する場合がある。好ましくは45〜75重量%、より好ましくは50〜70重量%である。
スキン層5に含まれるプリプレグ(A)3に含浸している熱硬化性樹脂組成物(A1)及びプリプレグ(B)4に含浸している熱硬化性樹脂組成物(B1)としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などがある。なかでも好ましくは、エポキシ樹脂の熱硬化性樹脂で熱または光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化して、少なくとも部分的に三次元硬化物を形成する樹脂である。
なお、本発明において好ましい熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂について、エポキシ樹脂とは1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物をいう。
エポキシ樹脂としては、例えば、2官能性エポキシ樹脂ではビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、あるいはこれらを変性したエポキシ樹脂、例えばイソシアネート変性したオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。3官能以上の多官能性エポキシ樹脂としては例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノールのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシフェニルメタン)やメチレンビス(ジグリジジルオキシ)ナフタレンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びこれらを変性したエポキシ樹脂やこれらのエポキシ樹脂の臭素化物である、ブロム化エポキシ樹脂、等が挙げられるが、これらに限定はされるものではない。
熱硬化性樹脂組成物として、エポキシ樹脂の主剤に対し、硬化剤ともに硬化促進剤を配合して硬化時間を調整することが好ましい構成である。
プリプレグ(A)3に含浸している熱硬化性樹脂組成物(A1)及びプリプレグ(B)4に含浸している熱硬化性樹脂組成物(B1)に含まれる硬化剤としては熱硬化性樹脂と反応する少なくとも1つの活性基を有する限りにおいて特に限定又は制限はない。
エポキシ樹脂硬化剤として、例えばアミン系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、またはフェノール系硬化剤などの各種の公知のエポキシ樹脂用の硬化剤が好ましく用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。液状酸無水物系化合物の具体的な例として、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂組成物にはエポキシ樹脂組成物の粘度制御、プリプレグのタック性の制御、プリプレグを加熱硬化する時のエポキシ樹脂の流動性の制御のため、適宜、熱可塑性樹脂を配合することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、芳香族ビニル単量体・シアン化ビニル単量体・ゴム質重合体から選ばれる少なくとも2種類を構成成分とする重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェノキシ樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂を配合する場合の配合量は、エポキシ樹脂の全量を100質量部とした場合、0.5〜20質量部含まれることが好ましい。熱可塑性樹脂の配合量を0.5質量部以上とすることにより、粘弾性の制御や靭性付与といった効果が得られやすくなり、さらに10質量部以下とすることにより、プリプレグのドレープ性や、繊維強化複合材料の難燃性を高いレベルで維持できるようになる。
また、硬化促進剤を添加することにより、樹脂組成物の硬化に要する時間を短縮することができる。その硬化促進剤の例としては三級アミン類とその塩類、ルイス酸錯体、オニウム塩、イミダゾール化合物、尿素化合物、ヒドラジド化合物などが挙げられる。
尿素化合物の例としては、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、又は2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘導体や、1分子中にウレア結合を2個以上有する化合物である、1,1’−4(メチルーm―フェニレン)ビス(3,3―ジメチルウレア)または4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)などが挙げられる。
プリプレグ(A)3に含浸した速硬化性の熱硬化性樹脂組成物(A1)の好ましい処方としては、少なくともエポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤から構成され、エポキシ樹脂を100質量部に対して、硬化剤が0.5〜25重量部、硬化促進剤が1〜25重量部含まれる樹脂組成物であることが好ましい。
硬化剤が0.5重量部未満であると硬化反応が十分に進行しない可能性がある。25重量部を超えると硬化樹脂の機械特性の低下が生じる可能性がある。
硬化促進剤が1重量部未満であると、所望の硬化時間が達成できない場合がある。25重量部を超えると、硬化後の樹脂組成物の耐熱性が低下したり、硬化後の樹脂組成物の保存安定性が悪くなったりする場合がある。
また、プリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)の好ましい処方としては、少なくともエポキシ樹脂及び硬化剤から構成され、エポキシ樹脂を100質量部に対して、硬化剤が1〜25重量部含まれる樹脂組成物であることが好ましい。硬化時間の調整として、さらに、エポキシ樹脂100重量部に対して、硬化促進剤を0.1〜10重量部含ませても構わない。
硬化剤が0.5重量部未満であると硬化反応が十分に進行しない可能性がある。25重量部を超えると硬化樹脂の機械特性の低下が生じる可能性がある。
熱硬化性樹脂組成物(A1)と熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化時間を調整するためには、上記した硬化促進剤の種類、硬化剤の種類や配合量により実現することができる。
また、熱硬化性樹脂組成物(A1)に使用する硬化促進剤として上記した1分子中にウレア結合を2個以上有する化合物を使用し、熱硬化性樹脂組成物(B1)に用いる硬化促進剤としては、上記した尿素誘導体を用いることが好ましい。ウレア結合化合物の方が硬化時間を速くできることができる。
また、コア層2は発泡体又は不連続繊維と熱可塑性樹脂からなる多孔質基材であることが好ましい。発泡体又は多孔質基材からなるコア層2を強化繊維と熱硬化性樹脂からなるスキン層5によりサンドチッチする構成とすることにより、サンドイッチ成形体1の軽量化と高剛性化を実現することができる。図1又は図2では、コア層2として樹脂発泡体を使用した積層構成を例示している。
コア層2に空孔を有する発泡体としては、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂又はポリメタクリルイミド樹脂が好適に使用できる。具体的には、軽量性を確保するためにスキン層より見かけ密度が小さい樹脂を用いることが好ましく、特に、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂又はポリメタクリルイミド樹脂が好ましく使用できる。
また、コア層2に不連続繊維と熱可塑性樹脂とからなるコア層前駆体を加熱することでスプリングバックにより厚さ方向に膨張させて空間を形成させてなる多孔質基材を用いることができる。コア層2を構成する不連続繊維と熱可塑性樹脂とを含有する成形体を熱可塑性樹脂の軟化点または融点以上に加熱及び加圧した後、加圧を解除し、不連続繊維の残留応力解放時に元に戻ろうとする復元力、いわゆるスプリングバックにより膨張させることにより、コア層2内に所望の空間を形成することができる。これにより、サンドイッチ成形体1の軽量化と高い剛性を実現することができる。
また、電子機器用筺体や医療機器用部材として、サンドイッチ成形体1の外周部に筐体等の一部を構成する枠材と接合することができる。例えば、アウトサート射出成形により、サンドイッチ成形体1の外周に、熱可塑樹脂のボスリブ部やヒンジ部を有する枠材としての部材を形成することが出来る。
以下、実施例によって、本発明のサンドイッチ成形体1の製造方法について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
(材料処方1)
・プリプレグ(A)またはプリプレグ(B)
(1)“トレカ”(登録商標)プリプレグ(東レ株式会社製商品名「P3452S−25」)
(2)“トレカ”(登録商標)プリプレグ(東レ株式会社製商品名「P3252S−25」)
(3)“トレカ”(登録商標)プリプレグ(東レ株式会社製商品名「F6343B−05P」)
(材料処方2)
・コア層2
(1)硬質ポリウレタン樹脂発泡体(日清紡ケミカル株式会社製、商品名「エアライトフォームFL100H」(登録商標))
(2)ポリメタクリルイミド硬質発泡体(ダイセル・エボニック株式会社製商品名「ロハセルIG」(登録商標))
(評価方法)
(1)硬化度の測定方法は、熱硬化性樹脂に高周波電界を印加して測定される複素誘電率から計算されるイオン粘度の時間変化を求めたとき、以下の式で求める。
硬化度 ={Log(σt)−Log(σMIN)}/{Log(σMAX)−Log(σMIN)}×100 ・・・(A)
硬化度:(単位:%)
σt:時間tにおけるイオン粘度(単位:Ω・cm)
σMIN:イオン粘度の最小値(単位:Ω・cm)
σMAX:イオン粘度の最大値(単位:Ω・cm)
ここで、イオン粘度の最大値σMAXは、実質的にイオン粘度の上昇が見られなくなった時点でのイオン粘度とし、150分経過後もイオン粘度が上昇している場合には、150分時のイオン粘度をσMAXとみなした。
(2)不良箇所の測定方法は、表面の陥没箇所である不良箇所の大きさを測定した。不良箇所の大きさは、意匠面上に存在する織物の経糸と緯糸が交差する隙間に連続して生じた陥没距離を測定し、300mm×300mm四方の中で最も長い陥没距離(mm)を測定した。実使用上問題ないレベルとして、不良箇所の大きさは、2mm以下である。
(3)曲げ弾性率
JIS K 7074−1988 炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準じて、幅15mm、長さ100mmの短冊状試験片を最外層の炭素繊維方向が長手方向になるよう切りだし、半径5mmの丸型圧子を用い、試験速度5mm /minおよび支点間距離80mmで3点曲げ試験を行い、曲げ弾性率を測定した。実使用上問題ないレベルは、曲げ弾性率50GPa以上である。
(実施例1)
プリプレグ(A)3として、材料処方1で示したプリプレグ商品名P3452S−25(引張弾性率が230GPaの一方向炭素繊維と熱硬化性樹脂組成物(A1)で構成され、目付が373g/m、炭素繊維含有率が67重量%、熱硬化性樹脂組成物(A1)の大気圧雰囲気下100℃の条件における90%硬化に至るまでの硬化時間が45min)を繊維配向角度が0度、90度、0度及び90度の7層積層した構成のプリプレグと、プリプレグ(B)4として、材料処方1で示したプリプレグ商品名F6343B−05P(引張弾性率が230GPaの織物炭素繊維と熱硬化性樹脂組成物(B1)で構成され、目付が403g/m、炭素繊維含有率が56重量%、大気圧雰囲気下100℃の条件における90%硬化に至るまでの硬化時間が65min)を2層積層した構成のプリプレグを準備した。また、コア層2として、ポリメタクリルイミド硬質発泡体(商品名ロハセルIG)を準備した。
表1に、プリプレグ(A)3の肉厚At(mm)、プリプレグ(B)4の肉厚Bt(mm)、その肉厚の比率At/Bt、コア層2の肉厚、予備加熱工程、加熱加圧工程の条件、作成した成形体の表面の陥没箇所である不良箇所の大きさ及び曲げ弾性率を示す。
まず、コア層2、プリプレグ(A)3及びプリプレグ(B)4を準備し、図2に示すように、成形下金型6上に、プリプレグ(A)3がコア層2と接するように、スキン層5(プリプレグ(B)4/プリプレグ(A)3)/コア層2/スキン層5(プリプレグ(A)3/プリプレグ(B)4)の順に積層したサンドイッチ構造前駆体を載置した。
次に、予備加熱工程として、表1に記載した条件でサンドイッチ構造前駆体を所定時間加熱することで、プリプレグ(A)3に含浸した熱硬化性樹脂組成物(A1)は半硬化状態となり流動状態を失い、また、プリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)は、流動状態を保持したままであった。表1にそれぞれの硬化度を示す。この工程は図3のステップ[3]10〜ステップ[7]14の工程である。
次に、加熱加圧工程として、図2に示す成形上金型7により、表1に示す条件で加圧しながら加熱を続け、プリプレグ(A)3に含浸した熱硬化性樹脂組成物(A1)及びプリプレグ(B)4に含浸した熱硬化性樹脂組成物(B1)は表1に示す硬化度に至った。この工程は図3のステップ[8]15〜ステップ[9]16の工程である。
表面の不良箇所の大きさは実使用上問題ないレベルであり、また、曲げ弾性率は実使用上問題ない値であった。得られたサンドイッチ成形体は、不良個所が少なく、またX線透過性に優れ、高剛性で軽量であり、表面良外観性に優れたサンドイッチ成形体1が得られた。
(実施例2)
加熱加圧工程の加熱温度の条件を変えた以外は実施例1と同様の条件で実施例2のサンドイッチ成形体を作成した。
得られたサンドイッチ成形体は、不良個所が少なく、またX線透過性に優れ、高剛性で軽量であり、表面良外観性に優れた成形体が得られた。
(実施例3)
加熱加圧工程の加圧圧力の条件を変えた以外は実施例1と同様の条件で実施例3のサンドイッチ成形体を作成した。
得られたサンドイッチ成形体は、不良個所が少なく、またX線透過性に優れ、高剛性で軽量であり、表面良外観性に優れた成形体が得られた。
(実施例4)
加熱加圧工程の加熱温度の条件を変えた以外は実施例3と同様の条件で実施例4のサンドイッチ成形体を作成した。
得られたサンドイッチ成形体は、不良個所が少なく、またX線透過性に優れ、高剛性で軽量であり、表面良外観性に優れた成形体が得られた。
(実施例5)
予備加熱工程の加熱温度と硬化時間の条件を変えた以外は実施例4と同様の条件で実施例5のサンドイッチ成形体を作成した。
得られたサンドイッチ成形体は、不良個所が少なく、またX線透過性に優れ、高剛性で軽量であり、表面良外観性に優れた成形体が得られた。
(実施例6)
予備加熱工程の加熱温度と硬化時間の条件を変えた以外は実施例5と同様の条件で実施例6のサンドイッチ成形体を作成した。
得られたサンドイッチ成形体は、不良個所が少なく、またX線透過性に優れ、高剛性で軽量であり、表面良外観性に優れた成形体が得られた。
(比較例1)
予備加熱工程の加熱時間の条件を変えた以外、実施例1と同様の条件で比較例1のサンドイッチ成形体を作成した。
熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化度が低い段階で、加圧を行ったため、プリプレグ(A)3からのコア層2への樹脂の浸入やプリプレグ(B)内に樹脂が保持されず、プリプレグ(B)外へ樹脂が漏出し、表面には凹凸模様が残ったままの状態となり、凹凸模様の不良箇所が多く見られ、表面良外観性に欠陥があり実使用上問題のあるレベルであった。
(比較例2)
加熱加圧工程の加熱時間と硬化時間の条件を変えた以外、実施例1と同様の条件で比較例2のサンドイッチ成形体を作成した。
加熱加圧工程での加熱温度と加圧圧力が低いため、成形体の表面に繊維の目の沿った凹凸模様が残存した状態で、プリプレグ(B)外へ樹脂が漏出し、凹凸模様の不良箇所が多く見られ、表面外観性に欠陥があり実使用上問題のあるレベルであった。
(比較例3)
予備加熱工程の加熱時間と硬化時間の条件を変えた以外、実施例1と同様の条件で比較例3のサンドイッチ成形体を作成した。
熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化が進行しすぎた段階で、加圧を行ったため、成形体の表面に繊維の目の沿った凹凸模様が残存した状態で硬化が進み、表面には凹凸模様が残ったままの状態となっており、凹凸模様の不良箇所が多く見られ、表面外観性に欠陥があり実使用上問題のあるレベルであった。
1 サンドイッチ成形体
2 コア層
3 プリプレグ(A)
4 プリプレグ(B)
5 スキン層
6 成形下金型
7 成形上金型
8 ステップ[1]
9 ステップ[2]
10 ステップ[3]
11 ステップ[4]
12 ステップ[5]
13 ステップ[6]
14 ステップ[7]
15 ステップ[8]
16 ステップ[9]
17 コア層内への樹脂成分の浸入方向

Claims (7)

  1. コア層の両表面を連続繊維と熱硬化性樹脂とから構成されるスキン層で挟んだサンドイッチ構造前駆体を加熱加圧により一体化するサンドイッチ成形体の製造方法であって、
    以下の[1]〜[3]の工程を少なくとも有することを特徴とするサンドイッチ成形体の製造方法。
    [1]前記スキン層を構成するプリプレグとして、熱硬化性樹脂組成物(A1)を含浸したプリプレグ(A)と、前記熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化時間(大気圧雰囲気下100℃の条件における90%硬化に至るまでの所要時間)より長い硬化時間を有する熱硬化性樹脂組成物(B1)を含浸したプリプレグ(B)とを、1層又は2層以上の前記プリプレグ(B)/1層又は2層以上の前記プリプレグ(A)/前記コア層/1層又は2層以上の前記プリプレグ(A)/1層又は2層以上の前記プリプレグ(B)の順に積層し、サンドイッチ構造前駆体を形成する積層工程、
    [2]予備加熱手段により前記サンドイッチ構造前駆体を所定時間加熱し、前記熱硬化性樹脂組成物(A1)が硬化度15%以上の硬化状態とするとともに、前記熱硬化性樹脂組成物(B1)が硬化度15%未満の流動状態とする予備加熱工程、
    [3]加熱加圧手段により、前記熱硬化性樹脂組成物(A1)および前記熱硬化性樹脂組成物(B1)がともに硬化度70%以上の硬化状態となるまで所定時間加熱加圧する加熱加圧工程
  2. 前記予備加熱工程において、80〜150℃の温度で加熱する請求項1に記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
  3. 前記加熱加圧工程において、100〜150℃の温度および0.2〜1.5MPaの圧力で加熱・加圧する請求項1または2に記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
  4. 前記熱硬化性樹脂組成物(A1)の硬化時間が大気圧雰囲気下100℃の条件において5〜60(min)であり、前記熱硬化性樹脂組成物(B1)の硬化時間が大気圧雰囲気下100℃の条件において15〜120(min)である請求項1〜3のいずれかに記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
  5. 前記プレプリグ(A)の肉厚At(mm)に対する前記プレプリグ(B)の肉厚Bt(mm)の比At/Btが1〜10である請求項1〜4のいずれかに記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
  6. プリプレグ(B)を構成する強化繊維が織物繊維である請求項1〜5のいずれかに記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
  7. プリプレグ(A)を構成する強化繊維が一方向性繊維である請求項1〜6のいずれかに記載のサンドイッチ成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113954466A (zh) * 2021-11-04 2022-01-21 成都鲁晨新材料科技有限公司 一种夹层结构复合材料、制备方法及应用

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