《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態について図1から図3を参照して説明する。
図1に示すように、第一本実施形態の料金自動収受機100は、有料道路の料金所等に設置されている。料金自動収受機100は、走行レーン200の側部に設けられたアイランド201上に配置される。ここでは、料金自動収受機100は、走行レーン200とアイランド201との境界Bから建築限界として定められる所定の間隔Cだけ離間した位置に配置されている。そして、走行レーン200上を通行する車両300が料金自動収受機100と対面する位置で境界Bに幅寄せして停車され、当該車両300に搭乗した利用者によって料金自動収受機100が操作されることで、貨幣の収受等の料金収受に関する処理を無人で行うことが可能となっている。料金自動収受機100は、料金自動収受機100の外装である筐体1と、筐体1に設けられて利用者によって操作される利用者操作部2と、筐体1の内部で料金収受に関する処理を行う処理制御部10と、を備えている。
筐体1は、鉛直方向の上下方向に延びる直方状をなしており、走行レーン200の幅方向に面する走行レーン200の側部と平行な面を前面1aとしている。筐体1は、その前面1aが走行レーン200とアイランド201との境界Bから建築限界として法律で定められた所定の間隔Cとして、例えば、250mm以上を離して配置されている。
利用者操作部2は、各口や各ボタンを通じて料金自動収受機100に対して金銭の収受、通行券・領収書のやり取りを利用者が行う際に使用される。利用者操作部2は、筐体1の前面1aに設けられて、走行レーン200上を通行する車両300に搭乗した運転手等の利用者により、料金自動収受機100を利用する際に操作される操作端末である。利用者操作部2は、通行する車両300の車高に応じて利用し易いように筐体1の前面1aの鉛直方向の上段操作部2aと下段操作部2bとに一部を除き同じ構成が設けられている。
上段操作部2a及び下段操作部2bに共通の構成として、利用者操作部2は、料金を表示する料金表示部21と、紙幣が挿入または返却される紙幣挿入口22と、通行券が挿入される通行券挿入口26と、を有している。また、利用者操作部2は、クレジットカード等を挿入するカード挿入口24と、領収書を外方に送り出す領収書発行口25と、異常時等に収受員を呼び出す収受員呼び出しボタン27とを有している。また、利用者操作部2は、硬貨の投入を行う硬貨投入口28と硬貨の受け取りを行う釣銭返却口29とを有している。また、利用者操作部2は、領収書の発行指示を受け付ける操作装置40と、を有している。
なお、本実施形態における紙幣挿入口22は、紙幣を挿入する処理口と返却する処理口とが一体に設けられているが、この構造に限定されるものではない。例えば、紙幣が挿入される紙幣挿入口と紙幣が返却される紙幣返却口とのように、別々の処理口として設けられていてもよい。
さらに、下段操作部2bのみの構成として、利用者が特定の利用者である上肢の不自由な身体障害者である場合に、係員に支援を求めるための入力動作が可能な身障者レバー81と、身体障害者に対する割引が適用される資格を有することを示す証明書を遠隔地の監視員や収受員に提示する証明書カメラ31とを備える。
図2及び図3に示すように、操作装置40は、利用者が手動操作するための手動操作部41と、手動操作部41の前方の物体を検出する検出部42と、手動操作部41が手動操作された場合、または、検出部42が物体を検出した場合に、処理制御部10に信号を送る操作制御部43と、検出部42が利用者の手を検出した場合に報知する報知部44とを有している。
手動操作部41は、手動操作として、利用者によって筐体1の前面1aから奥に押される機械式のボタンである。手動操作部41は、利用者によって押されることにより、後述する操作制御部43に信号を出力する。なお、本実施形態では、手動操作部41は、その一例として領収書発行用のボタンである。
検出部42は、筐体1の前面1aにおいて手動操作部41に対して走行レーン200の車両300の進行方向における手前側に隣接して配置されている。
検出部42とは、手動操作部41の前方の定められた範囲である検出空間42a内に進入して存在する利用者の手等の物体を検出するセンサである。検出部42が検出可能な検出空間42aは、利用者が手動操作部41を手動操作しようとした場合に進入する範囲に合わせて予め定めた範囲である。本実施形態では、検出空間42aは、手動操作部41を利用者が操作しようとした場合に、手動操作部41の前方において、利用者の手などの体の一部が横切るような一定の範囲の領域としている。これにより、検出部42は、手動操作部41を操作しようとする利用者の手を検出することが可能である。検出部42は、検出を開始する前の状態である待機状態から利用者の手を検出可能な状態とするように切り替えられることで、検出空間42a内の物体を検出する。即ち、待機状態においては、検出部42は、物体が検出空間42a内に存在しても検出しない。
操作制御部43は、手動操作部41が押された場合、または、検出部42による検出結果に基づいて手動操作部41を押そうとしていると判断される場合に、所定の処理として処理制御部10に対して料金収受に関する処理を行わせる指示を送る。具体的には、操作制御部43は、時間計測を行うタイマー433と、検出部42によって検出された検出結果とタイマー433よる計測時間に基づいて検出部42による検出時間が予め設定された基準時間以上であるか否かを判定する時間判定部431を有している。操作制御部43は、時間判定部431や手動操作部41からの信号に基づいて、処理制御部10に信号を送って料金収受に関する処理を行うよう指示を行う出力部432を有している。操作制御部43は、利用者によって手動操作され得る状態か否かを判定する判定部434を有している。
なお、本実施形態における操作制御部43が処理制御部10に行わせる料金収受に関する処理とは、領収書の発行処理である。
時間判定部431は、検出部42で物体が検出されると、タイマー433により時間計測を開始し、検出部42で継続して物体が検出されている限り時間計測を継続する。そして、時間判定部431は、計測時間が予め定めた基準時間以上であるか否かを判定する。時間判定部431は、検出時間が基準時間以上であると判定すると、出力部432に対して検出空間42aに利用者の手が基準時間以上留まっていると判定して信号を出力する。なお、本実施形態では、検出部42での検出結果に基づいて時間判定部431がタイマー433により時間計測を行うものとしたがこれに限られない。検出部42が時間計測機能を有していて、連続して検出される時間を時間判定部431に出力し、時間判定部431は当該連続して検出される時間が基準時間以上であるか判定するものとしても良い。
予め設定する基準時間は、利用者が手動操作部41を操作する意思があると判断可能な時間を設定する。具体的には、基準時間は、たまたま異物が検出空間42aを横切った場合等に検出部42が検出してしまうことを防ぐよう一定の長さの時間に設定する。本実施形態における基準時間は、筐体1の前面1aに車両300を停車させて、利用者が手を伸ばして手動操作部41を押すために検出空間42aに進入している時間以上とする。
出力部432は、手動操作部41からの出力された信号、または時間判定部431から出力された信号を受けることで、処理制御部10に領収書の発行処理を行うよう信号を出力して指示を送る。また、出力部432は、報知部44に対しても信号を出力する。
判定部434は、利用者の動作情報を取得し、取得した動作情報に基づいて手動操作部41が利用者によって手動操作され得る状態か否かを判定する。本実施形態における判定部434は、利用者の動作情報として、料金収受が開始されたか否かの情報を取得する。具体的には、紙幣挿入口22や硬貨投入口28から金銭が投入された場合やカード挿入口24にクレジットカードが挿入された場合に、それぞれの処理口に設けられた料金収受開始検出部20によって、料金収受が開始されたことが検出されると、判定部434は、その検出結果を信号として取得する。判定部434は、通行券が挿入されたとの検出結果を受けると、検出部42に対して、検出を開始する前の状態である待機状態から利用者の手を検出可能な状態とするように切り替えて、所定の時間にわたって検出可能な状態を維持するよう信号を出力して指示を送る。
報知部44は、検出部42が利用者の手を検出した場合に、検出したことを利用者に報知する。本実施形態における報知部44は、検出部42が利用者の手を検出して操作制御部43によって所定の処理を行う際に、手動操作部41は押されていないが検出部42が検出したことにより、所定の処理が行われることを利用者に報知する。具体的には、報知部44は、時間判定部431によって検出空間42aに利用者の手が基準時間以上留まっていると判定されることで、出力部432から信号が入力される。そして、報知部44は、出力部532から信号が入力されると、領収書の発行処理が行われる旨を利用者に対して音声で知らせる。
処理制御部10は、紙幣や硬貨の収受、釣銭の払出、通行券の読み取り、領収書の発行、係員の呼び出し等の料金自動収受機100における料金収受に関する処理を行っている。本実施形態における処理制御部10は、操作装置40の出力部432からの信号が入力されると、料金自動収受機100内の不図示の装置にて領収書を作成するよう指示を送る。
次に、上記構成の第一実施形態の料金自動収受機100の作用について説明する。
上記のような第一実施形態の操作装置40を備えた料金自動収受機100においては、筐体1の前面1a側の境界Bに幅寄せして停車した車両300の運転手等の利用者により、車両300の車種に応じて筐体1の上段又は下段の通行券挿入口26に通行券が挿入される。通行券が挿入されたとき、料金自動収受機100は、その通行券の磁気情報に基づき車種、通行距離に応じた料金を計算して、料金表示部21に表示する。そして、利用者は、この料金表示部21の料金表示に従って、硬貨投入口28及び紙幣挿入口22に金銭を投入する。料金自動収受機100は、投入された金銭を算出し、この算出結果と先の料金との差額に基づき、釣銭がある場合には、その釣銭を釣銭返却口29及び紙幣挿入口22から返却する。
また、金銭が硬貨投入口28及び紙幣挿入口22に投入されると、料金収受開始検出部20から料金収受が開始されたとの検出結果が判定部434に出力される、判定部434は、検知結果を受けて検出部42に対して信号を出力する。判定部434からの信号を受けて、検出部42は、待機状態から利用者の手を検出可能な状態に切り替わり、検出空間42aに進入して存在する物体の検出を開始する。その後、検出部42は、検出空間42aに存在する物体を所定の時間にわたって検出し続ける。
料金自動収受機100に対して金銭が投入された後に、利用者が領収書の発行を要求し、領収書発行ボタンである手動操作部41を押そうとすると、利用者の手が検出空間42aに進入する。検出部42は、利用者の手を検出空間42aに進入して存在する物体として検出する。そして、利用者の手が検出空間42aに基準時間以上留まると、時間判定部431はタイマー433による計測時間が基準時間以上であるとの判定結果を出力部432に信号として送る。出力部432は、時間判定部431からの判定結果に基づいて、処理制御部10に領収書の発行処理を行うよう信号を出力する。その結果、利用者が手動操作部41を押す前に、領収書発行口25から領収書が利用者に対して発行される。また、出力部432は、報知部44に対して利用者に報知するよう信号を出力する。その結果、報知部44から領収書の発行処理が行われる旨の音声メッセージが流れる。
上記のような操作装置40によれば、検出部42が手動操作部41の前方の検出空間42aに進入して存在する物体を検出することで、手動操作部41に近づいた利用者の手などの一部を物体として検出することができる。そして、操作制御部43は、手動操作部41が押された場合でも、検出部42が利用者の手を検出した場合でも、同じ処理を行うことができる。したがって、操作装置40は、手動操作部41に触れなくとも検出部42によって利用者の手が検出されれば、処理制御部10に対して料金収受に関する処理を行わせる指示を送ることができる。そのため、手動操作部41がボタン等の機械式のスイッチであっても、押すなどの手動操作を必ず行う必要が無くなり、手動操作部41を操作しようとして、近づけるだけで操作装置40を使用できる。これにより、操作装置40の利便性を向上させることができ、利用者の負担を軽減して容易に使用することができる。
また、手動操作部41を手動操作しても使用することもできるため、検出部42のセンサの故障、又はセンサの感度等の性能が低下した場合でも操作装置40の使用性を維持することができる。即ち、検出部42が故障していた場合であっても手動操作部41により操作が可能であるため、安定して使用可能な操作装置40を設置することができる。加えて、逆に機械式のスイッチ等である手動操作部41が故障した場合であっても検出部42により操作が可能であるため、より安定して使用可能な操作装置40を設置することができる。
さらに、操作制御部43は、検出部42による検出空間42aに物体が進入したか否かの検出結果だけでなく、タイマー433によって計測した検出空間42aに物体が連続して存在している計測時間に基づいて、利用者の手が検出空間42aに留まっているか否かを判定することができる。具体的には、操作制御部43は、タイマー433によって計測した計測時間が基準時間以上となったときに時間判定部431が出力部432に信号を送ることで、処理制御部10に対して料金収受に関する処理を行わせる指示を送っている。一方、計測時間が基準時間に満たない場合には、料金収受に関する処理が行われることがない。つまり、利用者が手動操作部41を押そうと手動操作部41の前方に留まっていることを判別できる。そのため、利用者が操作装置40を利用しようとしている状態を効果的に検出することができる。これにより、検出空間42aを異物や利用者の手等が横切った場合に、誤って検出してしまうことを抑制することができる。
さらに、判定部434は、利用者の動作情報として料金収受が開始されたか否かの情報を取得し、この情報に基づいて手動操作部41が利用者によって手動操作され得る状態か否かを判定している。即ち、判定部434は料金収受が開始されたとの情報を取得することで、利用者が明らかに料金自動収受機100を利用している状態であることがわかる。そのため、手動操作部41が利用者によって押される可能性が高い状態であることを容易に判定することができる。そして、この判定結果に基づいて、検出部42を検出可能な状態にすることで、利用者によって手動操作部41が押される可能性が低い状態では検出部42を待機状態とすることができる。これにより、例えば、利用者が手動操作部41の前方にいない状態で、ごみなどの異物が検出空間42aに進入した場合や、料金自動収受機100の管理人が筐体1の前面1aを通過して検出空間42aに進入した場合に、誤って処理制御部10に指示を送って領収書を発行してしまうことを効果的に抑制するこができる。
また、上記のような料金自動収受機100によれば、筐体1の前面1aにおける境界Bに幅寄せして車両300を停止させる際に利用者がうまく筐体1に近づけて停止できずに、利用者の位置が建築限界として定められる例えば250mm以上の所定の間隔Cよりも操作装置40から離れてしまい、手動操作部41に利用者の手が届かない場合がある。そして、利用者が車両300を降りて領収書発行用ボタン等の手動操作部41を操作することで、料金自動収受機100におけるサービスタイムが低下し、渋滞を引き起こす要因となってしまう。
このような場合に手動操作部41に手が届かずに押すことができなくとも、操作装置40によって、手動操作部41を押した場合と同じ結果を得ることができる。その結果、料金自動収受機100におけるサービスタイムの低下を抑えることができる。これにより、料金自動収受機100の利便性を向上させることができる。
なお、判定部434は本実施形態に限定されるものではなく、手動操作部41が利用者によって手動操作され得る状態か否かが判定できるものであればよい。例えば、人感センサを設置しておき、人感センサが検知した信号に基づいて判定してもよい。
また、報知部44は、音声によって利用者に報知することに限定されるものではなく、利用者に対して検出部によって検出されたことを知らせることができればよい。例えば、赤色灯のような報知ランプやディスプレイに文字を表示するなと視覚的に報知してもよい。また、手動操作部41を点灯可能としておき、検出する前は点滅させておき、検出したと判定された場合には、手動操作部41を継続して点灯させるように切り替える構造としてもよい。
《第二実施形態》
次に、図4及び図5を参照して第二実施形態の料金自動収受機100について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の料金自動収受機100は、検出部として位置検出部52を有する点について、第一実施形態と相違する。
即ち、第二実施形態の料金自動収受機100の操作装置50は、図4に示すように、検出部42に代わって、利用者の手を検出する位置検出部52と、手動操作部41が操作された場合だけでなく位置検出部52が利用者の手を検出した場合にも処理制御部10に信号を送る操作制御部53と、位置検出部52が利用者の手を検出した場合に報知する報知部44とを有している。なお、操作装置50は、第一実施形態と同様の構成として利用者が手動操作するための手動操作部41と、利用者によって手動操作され得る状態か否かを判定する判定部434とを有している。
位置検出部52は、筐体1の前面1aにおいて手動操作部41に対して走行レーン200の車両300の進行方向における手前側に隣接して配置されている。即ち、位置検出部52は、第一実施形態の検出部42と同じ位置に配置されている。位置検出部52は、検出部であって、前方の定められた空間である位置検出空間52aに進入した物体の位置情報を検出する。これにより、位置検出部52は、手動操作部41に対して物体が範囲の外側から内側に向かって近接する方向である走行レーン200の幅方向において、位置検出空間52aの外側から内側に向かって進入した手動操作部41に対する利用者の手などの物体の相対位置を検出可能である。位置検出部52は、たとえば光学式や超音波式の距離センサ、あるいは、異なる位置で物体を検出可能な複数のセンサ群で構成されている。位置検出部52は、検出した物体の手動操作部41に対する相対位置を位置情報として操作制御部53に出力している。
第二実施形態における操作制御部53は、位置検出部52で検出される検出結果に基づいて、処理制御部10に対して料金収受に関する処理を行わせる指示を送る。具体的には、第二実施形態における操作制御部53は、第一実施形態の時間判定部431の代わりに、位置検出部52で検出される位置情報に基づいて、利用者の手等が手動操作部41に徐々に近づいているか否か判定する位置判定部531を有している。また、操作制御部53は、位置判定部531や手動操作部41からの信号に基づいて、処理制御部10に信号を送って料金収受に関する処理を行うよう指示を行う出力部532を有している。
位置判定部531は、位置検出部52で検出される相対位置に基づいて、利用者等の手が時間経過とともに手動操作部41に近接しているか否かを判定する。具体的には、位置判定部531は、利用者の手が手動操作部41に対して近づいていると判定すると、その判定結果を出力部532に信号として出力する。
より具体的には、本実施形態における位置判定部531は、図5に示すフローに基づいて、利用者等の手が時間経過とともに手動操作部41に近接しているか否かを判定している。位置判定部531は、位置検出部52が検出した位置情報を第一相対位置R1として取得する第一取得工程S10と、第一相対位置R1と予め定めた第一判定位置P1とを比較判定する第一位置判定工程S20とを実施する。位置判定部531は、第一位置判定工程S20を実施後に再び位置検出部52が検出した位置情報を第二相対位置R2として取得する第二取得工程S30と、第二相対位置R2と第一相対位置R1よりも手動操作部41に近い第二判定位置P2とを比較判定する第二位置判定工程S40と、を実施する。
第一取得工程S10では、位置判定部531は、位置検出部52が検出した利用者の手と手動操作部41との相対位置である位置情報を第一相対位置R1として取得する。
第一位置判定工程S20では、位置判定部531は、第一取得工程S10で取得した第一相対位置R1が予め定めた第一判定位置P1よりも手動操作部41に対して近いか否かを判定する。位置判定部531は、第一位置判定工程S20で第一判定位置P1よりも第一相対位置R1が近いと判定すると、第二取得工程S30を実施する。逆に、第一位置判定工程S20で第一判定位置P1よりも第一相対位置R1が大きいと判定すると、位置判定部531では、再び第一取得工程S10が実施される。
第一判定位置P1は、位置検出空間52aにおける予め定められた手動操作部41から一定の距離が離れた位置である。例えば、本実施形態のように料金自動収受機100に設けられた手動操作部41の場合、料金自動収受機100が設置される位置は、走行レーン200とアイランド201との境界Bから建築限界として法律で定められた所定の間隔Cである250mm以上離れている。そのため、本実施形態における第一判定位置P1は、誤って走行レーン200を走行する車両300を検出しないよう、手動操作部41から250mm以内に設定する。
第二取得工程S30では、位置判定部531は、第一位置判定工程S20を実施してから所定の時間が経過した後に、再び位置検出部52が取得した相対位置を第二相対位置R2として取得する。ここで、第二取得工程S30における所定の時間とは、第一判定位置P1と第二判定位置P2との間隔により予め定められればよい。即ち、所定の時間とは、本実施形態のように料金自動収受機100の場合では、車両300に搭乗している利用者が車両300から手を伸ばして手動操作部41を押そうとした場合に、第一判定位置P1から第二判定位置P2に達するまでに時間を推定して定める。
第二位置判定工程S40では、位置判定部531は、第二取得工程S30で取得した第二相対位置R2が予め定めた第二判定位置P2よりも手動操作部41に対して近いか否かを判定する。位置判定部531は、第二位置判定工程S40で第二判定位置P2よりも第二相対位置R2が近いと判定すると、出力部532に対して信号を出力する。逆に、第二位置判定工程S40で第二判定位置P2よりも第二相対位置R2が遠いと判定すると、位置判定部531は、再び第一取得工程S10を実施する。
第二判定位置P2は、位置検出空間52aにおける予め定められた手動操作部41から一定の距離が離れた位置であって、第一判定位置P1よりも手動操作部41に近い位置である。第二判定位置P2は、時間経過とともに第一判定位置P1から利用者の手が手動操作部41を押そうと近づいていることが判定できるような位置である。例えば、本実施形態において第二判定位置P2は、第一判定位置P1と手動操作部41との中間の位置とする。
次に、上記構成の第二実施形態の料金自動収受機100の作用について説明する。
上記のような第二実施形態の操作装置50を備えた料金自動収受機100においては、第一実施形態と同様に、通行券が挿入されると、通行券挿入口26に設けられた不図示のセンサから通行券が挿入されたとの検知結果が判定部434に出力される、判定部434は、検知結果を受けて位置検出部52に対して、待機状態から利用者の手を検出可能な状態とするように切り替えて、検出を開始して予め定めた一定の時間にわたって検出し続ける。
料金自動収受機100に対して通行券を挿入した後に、利用者が領収書の発行を要求して領収書発行ボタンである手動操作部41を押そうとすると、利用者の手が位置検出空間52aに進入する。位置検出部52は、位置検出空間52aに進入した利用者の手と手動操作部41との相対距離を位置情報として検出する。そして、位置検出部52は、検出した位置情報を操作制御部53の位置判定部531に信号として送る。位置判定部531では、第一取得工程S10によって位置検出部52からの位置情報を第一相対位置R1として取得する。取得した第一相対位置R1に基づいて、第一位置判定工程S20では、第一相対位置R1が第一判定位置P1よりも手動操作部41に近いか否かを判定する。第一位置判定工程S20では、第一判定位置P1よりも第一相対位置R1が小さいと判定されると、第二取得工程S30によって、第一位置判定工程S20を実施してから所定の時間が経過した後に、再び位置情報を位置検出部52から第二相対位置R2として取得する。その後、第二位置判定工程S40では、第二相対位置R2が第二判定位置P2よりも手動操作部41に近いか否かを判定する。第二位置判定工程S40によって、第二判定位置P2よりも第二相対位置R2が近いと判定されると、利用者の手が手動操作部41に対して時間経過とともに近づいているとして、位置判定部531は出力部532へ信号を送る。そして、出力部532から処理制御部10に領収書の発行処理を行うよう信号を出力すると共に、報知部44に対して利用者に報知するよう信号を出力する。その結果、報知部44から領収書の発行処理が行われる旨の音声メッセージが流れるとともに、処理制御部10にて領収書発行口25から領収書が利用者に対して発行される。
上記のような操作装置50によれば、位置検出部52は、位置検出空間52aに物体が進入したか否かを検出するだけでなく、物体と手動操作部41との相対位置を検出する。そして、物体が手動操作部41に時間経過とともに近づいているか否かを検出することができる。具体的には、操作制御部53の位置判定部531が、第一判定位置P1と第二判定位置P2との二段階にわたって検出した手動操作部41と利用者の手との相対位置である位置情報を判定することで、利用者の手が手動操作部41に時間経過とともに近づいているか否かを検出することができる。つまり、利用者が手動操作部41を押そうと手動操作部41に向かって手を伸ばしていることを判別できる。そのため、利用者が操作装置50を利用しようとしている状態を効果的に検出することができる。これにより、誤って異物や利用者の手等が位置検出空間52aを横切った場合に、誤って検出してしまうことを抑制することができる。
また、報知部44によって利用者に位置検出部52が利用者の手を検出したことを報知することで、利用者が手動操作部41を押す前に、利用者に対して領収書の発行処理が行われる旨を知らせることができる。したがって、利用者は手動操作部41を押す負担が無くなったことを認識できる。例えば、料金自動収受機100において、車両300に搭乗したまま利用者が手動操作部41を押そうとして、利用者の手が手動操作部41まで届かない場合に、利用者に対して手動操作部41を押す必要が無くなったことを知らせることができる。つまり、利用者はわざわざ車両300を降りて手動操作部41を押しに行く必要がないことを認識できる。これにより、操作装置50の利便性をより向上させることができ、利用者の負担をより軽減して容易に使用することができる。
なお、位置検出部52は、第一位置判定工程S20及び第二位置判定工程S40の二回の工程によって、利用者等の手が手動操作部41に近接しているか否かを判定することに限定されるものではない。即ち、位置検出部52は、物体が時間経過とともに手動操作部41に近接しているか否かを判定できればよい。例えば、三回、四回と多数回にわたって判定しても良く、所定の時間にわたって時間経過とともに連続して手動操作部41と利用者の手との相対位置を検出しながら判定してもよい。
《第三実施形態》
次に、図6及び図7を参照して第三実施形態の料金自動収受機100について説明する。
第三実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第三実施形態の料金自動収受機100は、手動操作部41に対して複数設けられた検出部を有している点について第一実施形態と相違する。
即ち、第三実施形態の料金自動収受機100の操作装置60は、図7に示すように、検出部42の代わりに、手動操作部41の周囲に設けられて利用者の手を検出する第一検出部621と、第一検出部621とは異なる位置に設けられて利用者の手を検出する第二検出部622と、を有している。また、図6に示すように、操作装置60は、手動操作部41が操作された場合、または、第一検出部621及び第二検出部622が利用者の手を検出した場合に、処理制御部10に信号を送る操作制御部63を有している。なお、操作装置60は、第一実施形態と同様の構成の利用者が手動操作するための手動操作部41を有している。
第一検出部621は、筐体1の前面1aにおいて手動操作部41に対して走行レーン200の車両300の進行方向における手前側に隣接して配置されている。即ち、第一検出部621は、第一実施形態における検出部42と同じ位置に配置されている。第一検出部621は、第三実施形態における検出部であって、前方の定められた範囲である第一検出空間621a内に進入した物体を検出する。第一検出部621は、第一検出空間621aに進入した物体を検出した場合に操作制御部63に対して信号を出力する。
第二検出部622は、手動操作部41に対して第一検出部621とは車両300の進行方向の反対側に配置されている。具体的には、第二検出部622は、筐体1の前面1aにおいて手動操作部41に対して走行レーン200の車両300の進行方向における奥側に隣接して配置されている。第二検出部622は、第一検出部621と同じ検出部であって、前方の定められた範囲である第二検出空間622a内に進入した物体を検出する。第二検出空間622aは、第一検出空間621aに対して第一検出部621と第二検出部622との配置されている位置の差だけ走行レーン200の車両300の進行方向にずれて形成される。第二検出部622は、第二検出空間622aに進入した物体を検出した場合に操作制御部63に対して信号を出力する。
第三実施形態における操作制御部63は、第一検出部621及び第二検出部622にて検出される検出結果に基づいて、処理制御部10に対して料金収受に関する処理を行わせる指示を送る。具体的には、第三実施形態における操作制御部63は、図6に示すように、第一実施形態の時間判定部431の代わりに、第一検出部621及び第二検出部622が物体を検出した際の組み合わせのパターンが所定のパターンと一致するか否かを判定するパターン判定部631を有している。また、操作制御部63は、パターン判定部631や手動操作部41からの信号に基づいて、処理制御部10に信号を送って料金収受に関する処理を行うよう指示を行う出力部632を有している。
パターン判定部631は、第一検出部621及び第二検出部622のうち、物体として利用者の手等を検出した検出部のパターンが所定のパターンであるか否かを判定する。具体的には、本実施形態におけるパターン判定部631では、第一検出部621及び第二検出部622が同時に物体を検出したとのパターンを予め所定のパターンとして定めておく。つまり、本実施形態におけるパターン判定部631は、第一検出部621または第二検出部622にいずれか一方のみが物体を検出しただけの場合には、所定のパターンではないと判定する。パターン判定部631は、この所定のパターンと検出した検出部のパターンとが一致したと判定した場合に、その判定結果を出力部632に対して信号として出力する。
予め定められる所定のパターンは、手動操作部41を押そうとした場合の利用者の手の移動経路に対応して設定される。
次に、上記構成の第三実施形態の料金自動収受機100の作用について説明する。
上記のような第三実施形態の操作装置60を備えた料金自動収受機100においては、利用者が領収書の発行を要求して領収書発行ボタンである手動操作部41を押そうとすると、利用者の手が第一検出部621の第一検出空間621a又は第二検出部622の第二検出空間622aに進入する。例えば、走行レーン200の車両300の進行方向の手前側から利用者が手を伸ばして手動操作部41を押そうとした場合、利用者の手は手動操作部41に向かう途中で第一検出部621の第一検出空間621aに進入する。第一検出部621は、第一検出空間621aに進入した利用者の手を検出して、パターン判定部631に信号を送る。パターン判定部631は、第一検出部621からの入力のみでは、所定のパターンと一致しないため、出力部632へは信号を送らない。
その後、利用者の手は、さらに手動操作部41に近づくことで、第一検出空間621aから外れることなく、第二検出部622の第二検出空間622aにも進入する。第二検出部622は、第二検出空間622aに進入した利用者の手を検出して、パターン判定部631に信号を送る。即ち、パターン判定部631は、第一検出部621から入力を受けたままの状態で、第二検出部622からの入力を受ける。これにより、第一検出部621及び第二検出部622が同時に物体を検出したこととなり、物体を検出した検出部のパターンが所定のパターンと一致する。そして、パターン判定部631は、判定結果を出力部632へ信号として送る。出力部632は、パターン判定部631からの判定結果に基づいて、処理制御部10に領収書の発行処理を行うよう信号を出力する。その結果、領収書発行口25から領収書が利用者に対して発行される。また、出力部632は、報知部44に対して利用者に報知するよう信号を出力する。その結果、報知部44から領収書の発行処理が行われる旨の音声メッセージが流れる。
上記のような操作装置60によれば、第一検出部621と第二検出部622との二つの検出部が設けられていることで、手動操作部41の前方に第一検出空間621aと第二検出空間622aとの二つの異なる範囲の検出空間42aを設けることができる。そのため、第一検出空間621aと第二検出空間622aとの二つの異なる範囲へ物体がどのように進入するかを検出することで、利用者の手等がどのように手動操作部41に近づいているかを検出することができる。さらに、手動操作部41を押そうとした場合に利用者の手がどのように動くかに応じて予め定められた所定のパターンと、実際に第一検出部621及び第二検出部622が利用者の手を検出した時の検出部の組み合わせのパターンとを比較することで、利用者が手動操作部41を押そうとしているか否かを判定することができる。つまり、利用者の手等が手動操作部41を押そうとする動きをしていることを判別できる。そのため、利用者が操作装置60を利用しようとしている状態を効果的に検出することができる。これにより、誤って異物や利用者の手等が横切った場合に、誤って検出してしまうことを抑制することができる。
なお、複数の検出部は、第一検出部621と第二検出部622との二つであることに限定されるものではなく、使用される操作装置60に応じて適宜設定されればよい。即ち、検出部は三つや四つ配置してもよい。
さらに、複数の検出部の配置される位置は本実施形態に限定されるものではない。例え検出部が二つであっても、本実施形態のように手動操作部41を挟んで走行レーン200の車両300の進行方向に沿って並んで配置されていることに限定されるものではなく、使用される操作装置60に応じて適宜設定されればよい。例えば、複数の検出部は、鉛直方向並んで配置されていてもよく、手動操作部41の一方側に偏って配置されていてもよい。
また、パターン判定部631で判定する所定のパターンとは同時に検出した場合に限られるものではない。所定のパターンは、使用される操作装置60の手動操作部41の押す、引く等の手動操作の種類に応じて適宜設定されればよい。例えば、所定のパターンとして、検出する順序を定めてもよい。例えば、本実施形態では、同時ではなく、第一検出部621が検出した後に、第二検出部622が検出する場合のように複数の検出部が順に検出したパターンを所定にパターンとしてもよい。さらに、車両300の停車位置が筐体1から遠く、手動操作部41まで車両300内から手が届かせることができなかった利用者や上肢の不自由な身体障害者のように腕を自由に動かすことが難しい利用者を想定し、利用者が意識的に手を左右や上下に振ることで手動操作部41を操作しようとしていることを検出可能なパターンを所定パターンとしてもよい。具体的には、第一検出部621が検出した後に、第一検出部621及び第二検出部622が両方検出し、さらに第二検出部622が検出して、また第一検出部621及び第二検出部622が両方検出するというような順序を繰り返すパターンを所定のパターンとしてもよい。
《第四実施形態》
次に、図8及び図9を参照して第四実施形態の料金自動収受機100について説明する。
第四実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第四実施形態の料金自動収受機100は、車両300が所定のエリアAに進入したか否かに応じて検出部が物体の検出を開始する点について第二実施形態と相違する。
即ち、第四実施形態の料金自動収受機100は、図8に示すように、有料道路の出口料金所おいて通行する車両300に搭乗する利用者から料金を収受する料金収受システム400に設けられる。
料金収受システム400は、出口料金所内の所定のエリアAに進入する車両300を検知する進入検知部401と、出口料金所内の所定のエリアAから発進した車両300の車両情報を取得する発進検知部402と、出口料金所内の所定のエリアAからの車両300の発進を抑制する発進制御機403と、車両300に搭乗した利用者によって操作されることで料金収受に関する処理を行う料金自動収受機100と、を備えている。本実施形態おける所定のエリアAとは、出口料金所における走行レーン200の一定の区画のことである。
進入検知部401は、出口料金所の所定のエリアAに進入した車両300を検知し、料金自動収受機100の操作装置70の操作制御部73に検知結果を信号として出力する。本実施形態における進入検知部401は、車両検知器として、例えば、出口料金所の所定のエリアAに進入した車両300の台数を検知する車両分離器401aを有している。
車両分離器401aは、光センサにより車両300の一台ごとを分離して検知する装置である。本実施形態における車両分離器401aは、出口料金所の走行レーン200における料金自動収受機100よりも入口側(図8における車両300の進行方向手前側)の側部に設けられている。そして、車両分離器401aは、出口料金所の走行レーン200に進入した車両300が光センサを遮ることで車両300が通過したかを検知し、出口料金所内の所定のエリアAに車両300が進入したことを検知する。車両分離器401aは、検知結果を操作制御部73の車両進入判定部74に信号として出力する。
発進検知部402は、出口料金所の所定のエリアAから発進した車両300を検知し、料金自動収受機100の操作装置70の操作制御部73に検知結果を信号として出力する。また、発進検知部402は、後述する発進制御機403のゲートを閉じるようタイミングを調整するよう制御している。本実施形態における発進検知部402は、車両検知器として、出口料金所の所定のエリアAから発進した車両300の台数を検知する発進車両分離器402aを有している。
発進車両分離器402aは、車両分離器401aと同じ装置であって、出口料金所の所定のエリアAの出口側において発進制御機403よりも車両300の進行方向の奥側の側部に設けられている。そして、発進車両分離器402aは、発進制御機403を通過して出口料金所の所定のエリアAから出ていく車両300が光センサを遮ることで車両300が通過したかを検知し、出口料金所内の所定のエリアAから車両300が発進したことを検出する。発進車両分離器402aは、検知結果を操作制御部73の車両進入判定部74に信号として出力する。
発進制御機403は、出口料金所の走行レーン200に進入した車両300が、料金の収受を終了するまでゲートを閉めておき、出口料金所の所定のエリアAから車両300を発進させないようゲートの開放及び閉塞を調整する装置である。本実施形態における発進制御機403は、料金所の走行レーン200よりも出口側(図8における車両300の進行方向奥側)の側部に設けられている。発進制御機403は、車両300が料金所で料金を支払って料金の収受を終了していることを示すデータの信号を料金自動収受機100から受信することで、ゲートを開き、車両300に対して発進を許可する。そして、発進制御機403は、発進検知部402からの信号を受けた料金自動収受機100の不図示の制御部からの信号に基づいて、完全に車両300が通行した後にゲートを閉じる。
第四実施形態の料金自動収受機100に設けられた操作装置70は、図9に示すように、第二実施形態における操作制御部53の判定部434の代わりに、進入検知部401及び発進検知部402からの信号に基づいて利用者によって手動操作され得る状態か否かを判定する車両進入判定部74を有している。
車両進入判定部74は、利用者の動作情報として車両300が進入検知部401及び発進検知部402を通過したか否かの情報を取得し、手動操作部41が利用者によって手動操作され得る状態か否かを判定している。本実施形態における車両進入判定部74は、進入検知部401から信号を受けることで車両300が出口料金所の所定のエリアAに進入したか否かを判定する。そして、車両進入判定部74は、発進検知部402からの信号に受けることで、車両300が出口料金所の所定のエリアAから出て行ったか否かを判定する。具体的には、車両進入判定部74は、車両300が出口料金所の所定のエリアAに進入したと判定すると、位置検出部52に対して、待機状態から利用者の手を検出可能な状態とするように切り替えるよう信号を出力して指示を送る。その後、車両進入判定部74は、車両300が出口料金所の所定のエリアAから出て行ったと判定すると、位置検出部52に対して、利用者の手を検出可能な状態から待機状態とするように切り替えるよう信号を出力して指示を送る。
次に、上記構成の第四実施形態の料金自動収受機100の作用について説明する。
上記のような第四実施形態の操作装置70を備えた料金自動収受機100においては、車両分離器401aを通過して、車両300が出口料金所の所定のエリアAに進入すると、進入検知部401にて車両300が進入したことが検知され、車両進入判定部74に信号が出力される。信号が入力されると、車両進入判定部74は、位置検出部52に対して待機状態から利用者の手を検出可能な状態とするように切り替えるよう信号を出力する。そして、位置検出部52は、検出空間42aに進入した物体の検出を開始する。
その後、筐体1の前面1a側に車両300を停車させた利用者により、料金自動収受機100が操作される。利用者が領収書の発行を要求し、領収書発行ボタンである手動操作部41を押そうとすると、利用者の手が位置検出空間52aに進入する。これにより、第二実施形態と同様に、操作装置70が作動し、出力部532から処理制御部10に領収書の発行処理を行うよう信号を出力する。同時に、出力部532から報知部44に対して利用者に報知するよう信号が出力される。その結果、報知部44から領収書の発行処理が行われる旨の音声メッセージが流れるとともに、処理制御部10にて領収書発行口25から領収書が利用者に対して発行される。
利用者が、料金自動収受機100を利用し終わると、料金自動収受機100から発進制御機403に信号が送られる。信号を受けた発進制御機403は、ゲートを開く。その後、利用者によって車両300が発進させられ、発進制御機403を抜けて発進車両分離器402aを通過して出口料金所の所定のエリアAから出ていく。車両300が発進車両分離器402aを通過すると、発進検知部402にて車両300が出て行ったことが検知され、車両進入判定部74に信号が出力される。信号が入力されると、車両進入判定部74は、位置検出部52に対して利用者の手を検出可能な状態から待機状態とするように切り替えるよう信号を出力する。そして、位置検出部52は、位置検出空間52aに進入した物体の検出を終了して待機状態となる。
上記のような料金自動収受機100によれば、車両進入判定部74は、利用者の動作情報として出口料金所の車両分離器401aを車両300が通過したか否かの情報を進入検知部401から取得し、所定のエリアAに車両300が進入したか否かを判定する。そして、車両進入判定部74は、利用者の動作情報として出口料金所の発進車両分離器402aを車両300が通過したか否かの情報を発進検知部402から取得し、所定のエリアAから車両300が発進したか否かを判定する。これらの判定結果から、出口料金所における所定のエリアAに車両300が滞留しているか否かがわかる。そのため、これから利用者が料金自動収受機100を利用する可能性が非常に高い状態であることが判別できる。つまり、手動操作部41が利用者によって押される可能性が高い状態であることを容易に判定することができる。そして、この判定結果に基づいて、位置検出部52を検出可能な状態にすることで、利用者によって手動操作部41が押される可能性が低い状態では位置検出部52を待機状態とすることができる。これにより、例えば、利用者がいない状態でごみなどの異物が位置検出空間52aに進入した場合や、料金自動収受機100の管理人が筐体1の前面1aを通過して位置検出空間52aに進入した場合に、誤って処理制御部10に指示を送って領収書を発行してしまうことを抑制するこができる。
なお、第一実施形態から第四実施形態において手動操作部41は、領収書発行用ボタンに限定されるものではない。即ち、収受員呼び出しボタン27であってもよく、新たに設けられる利用者によって操作される別のスイッチであってもよい。
また、本実施形態の操作装置70は、位置検出部52等の検出部が、所定のエリアA内に車両300が進入していない状態で物体を検出した場合に、警報を発する警報部を有していてもよい。具体的には、警報部は、車両進入判定部74が進入検知部401から信号を受けていない状態で、位置検出部52が物体を検出したと位置判定部531で判定した場合に、警報と遠隔地にいる監視員や収受員等に発して異常を通知する。このような警報部を設けることで、システムの異常等の何らかの異常が発生している状態であることを早期に検出することができる。
《第五実施形態》
次に、図10及び図11を参照して第五実施形態の料金自動収受機100について説明する。
第五実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第五実施形態の料金自動収受機100は、手動操作部41として特定利用者用レバーを用いている点及び手動操作部41に対して複数設けられた検出部を有している点について、第一実施形態と相違する。
即ち、第五実施形態の料金自動収受機100の操作装置80は、領収書発行用の機械式のボタンの代わりに、係員に支援を求めるための入力動作が可能な特定利用者用レバーを有している。具体的には、操作装置80は、図10に示すように、特定の利用者が手動操作するための特定利用者用レバーとしての身障者レバー81と、身障者レバー81の鉛直方向上方に配置される上部検出部821と、身障者レバー81に対して上部検出部821とは反対側の鉛直方向下方に配置される下部検出部822と、身障者レバー81を入力動作した場合、または、第一検出部621及び第二検出部622が利用者の手を検出した場合に、処理制御部10に信号を送る操作制御部83とを有している。
身障者レバー81は、利用者操作部2の下段操作部2bに配置され、車両300に搭乗している特定の利用者が料金自動収受機100を使用する際に係員を呼び出すための突出部である。身障者レバー81は、棒状をなしており、前面1aから垂直に突出している。具体的には、身障者レバー81は、前面1aから垂直に円柱状をなして延びるレバー本体部81aと、レバー本体部81aの筐体1から突出している側の端部に設けられる球状のレバー先端部81bとを有している。身障者レバー81は、鉛直方向に沿って上方から下方に向けてレバー先端部81bを移動させて、レバー本体部81aを傾けることで入力動作がなされて、操作制御部83に信号を出力される。
上部検出部821は、筐体1の前面1aにおいて身障者レバー81に対して鉛直方向上方に隣接して配置されている。上部検出部821は、前方の定められた範囲である上部検出空間821a内に進入して存在する利用者の手等の物体を検出するセンサを有する検出部である。上部検出部821は、上部検出空間821aに進入した物体を検出した場合に操作制御部83に対して信号を出力する。
下部検出部822は、身障者レバー81に対して上部検出部821とは鉛直方向の反対側に配置されている。具体的には、下部検出部822は、筐体1の前面1aにおいて身障者レバー81の鉛直方向下方に隣接して配置されている。下部検出部822は、上部検出部821と同じ検出部であり、前方の定められた範囲である下部検出空間822a内に進入して存在する利用者の手等の物体を検出する。なお、下部検出空間822aは、上部検出空間821aに対して上部検出部821と下部検出部822との配置されている位置の差だけ鉛直方向にずれて形成される。下部検出部822は、下部検出空間822aに進入した利用者の手等を検出した場合に操作制御部83に対して信号を出力する。
第五実施形態における操作制御部83は、上部検出部821及び下部検出部822にて検出される検出結果に基づいて、処理制御部10に対して料金収受に関する処理として係員に支援を求めるよう指示を送る。具体的には、第五実施形態における操作制御部83は、図11に示すように、上部検出部821及び下部検出部822のうち、物体を検出した検出部のパターンが所定のパターンである規定パターンと一致するか否かを判定する上下パターン判定部831と、上下パターン判定部831や身障者レバー81から信号に基づいて、処理制御部10に信号を送って係員に支援を求めるよう指示を行う出力部832を有している。
上下パターン判定部831は、上部検出部821及び下部検出部822のうち、物体として利用者の手等を検出した検出部のパターンが規定パターンであるか否かを判定する。上下パターン判定部831では、上部検出部821及び下部検出部822が身障者レバー81の入力動作に沿って順に検知するパターンを規定パターンとして定めておく。
即ち、本実施形態における規定パターンは、身障者レバー81に入力動作がなされる際の鉛直方向上方から下方に向かう動きに沿って、手を上から下に振り降ろす動きに対応して定められている。具体的には、本実施形態における規定パターンは、身障者レバー81の入力動作に沿って上部検出部821が検出した後に下部検出部822が検出するパターンとして予め定められる。上下パターン判定部831は、この規定パターンと検出した検出部のパターンとが一致したと判定した場合に、その判定結果を出力部832に対して信号として出力する。
出力部832は、身障者レバー81に入力動作をして出力された信号、または上下パターン判定部831が規定パターンと一致していると判定して出力された信号が入力される。出力部832は、これらの信号を受けることで、処理制御部10に対して係員に支援を求めるための処理を行うよう信号を出力して指示を送る。
第五実施形態における処理制御部10は、操作装置80の出力部832からの信号が入力されると、料金自動収受機100から離れた位置に待機している料金収受員等の係員を呼び出す処理を行う。
次に、上記構成の第五実施形態の料金自動収受機100の作用について説明する。
上記のような第五実施形態の操作装置80を備えた料金自動収受機100においては、車両300に搭乗している利用者が、特定の利用者である上肢の不自由な身体障害者である場合、利用者は、係員を呼び出すために身障者レバー81を手動操作しようとする。利用者は、筐体1の前面1aにおいて身障者レバー81を鉛直方向に沿って上方から下方に向かって押そうと手を上げる。利用者の手が身障者レバー81の前方で上がると、上部検出部821の上部検出空間821aにその手が進入する。そのため、上部検出部821は、上部検出空間821aに進入した利用者の手を検出して、上下パターン判定部831に検出結果を信号として送る。この時、上下パターン判定部831は、上部検出部821から信号の入力のみでは、規定パターンと一致ないため、出力部832へは信号を送らない。
その後、身障者レバー81を押すために利用者が手を下すと、その手は下部検出部822の下部検出空間822aに進入する。そのため、下部検出部822が、下部検出空間822aに進入した利用者の手を検出して、上下パターン判定部831に検出結果を信号として送る。上下パターン判定部831は、上部検出部821から入力を受けた後に、下部検出部822からの入力を受けることで、物体を検出した上部検出部821及び下部検出部822のパターンが、規定パターンと一致していると判定する。そして、上下パターン判定部831は、判定結果を出力部832へ信号として送る。出力部832は、上下パターン判定部831からの判定結果に基づいて、処理制御部10に係員を呼び出す処理を行うよう信号を出力する。その結果、身障者レバー81を利用者が操作した場合や、身障者レバー81に対して空振りをしてしまい触れることができない場合でも、係員が呼び出される。そして、呼び出された係員は、利用者が料金自動収受機100を利用するための補助等の支援をする。
上記のような料金自動収受機100によれば、利用者が、身障者レバー81を使用する場合に、身障者レバー81を直接手動操作するだけでなく、上部検出部821及び下部検出部822に手などが検出されるだけでも、係員を呼び出すことができる。筐体1の前面1a側に停車した車両300に搭乗している利用者が特定の利用者である上肢の不自由な身体障害者である場合、小さなボタンを的確に押したり、通行券挿入口26に通行券が挿入したりすることが困難であるために身障者レバー81を操作して、料金収受員等の係員を呼び出して支援を求めようとする。ところが、利用者によっては、この身障者レバー81の操作も難しく身障者レバー81を操作する際に、車両300から手を伸ばして鉛直方向に沿って手を振っても、うまく身障者レバー81を押すことができず空振りするなどして操作できない場合がある。このような場合であっても、上部検出部821及び下部検出部822によって検出された検出結果が規定パターンと一致すれば、係員を呼び出して支援を求めることができる。これにより、料金自動収受機100の利便性を向上させることができる。
また、上部検出部821及び下部検出部822による検出結果のパターンが規定パターンと一致した場合のみ、処理制御部10に指示を送ることで、利用者が身障者レバー81に入力動作をしようとしているか否かを判定することができる。つまり、利用者の手等が身障者レバー81を押そうとする動きをしていることを判別できる。そのため、利用者が操作装置80を利用しようとしている状態を効果的に検出することができる。これにより、誤って異物や利用者の手等が横切った場合に、誤って検出してしまうことを抑制することができる。
《第六実施形態》
次に、図12及び図13を参照して第六実施形態の料金自動収受機100について説明する。
第六実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第六実施形態の料金自動収受機100は、特定利用者用スイッチ90を有する点について、第五実施形態と相違する。
即ち、第六実施形態の料金自動収受機100は、図12に示すように、特定の利用者である上肢の不自由な身体障害者が、係員に支援を求めるための入力動作が可能な特定利用者用スイッチ90を有している。
特定利用者用スイッチ90は、第五実施形態における身障者レバー81の代わりに、特定利用者用スイッチ90の入力動作を行う範囲を表示する表示部91を有している。特定利用者用スイッチ90は、表示部91の前方において利用者が手を鉛直方向の上下に振ることで入力動作がなされて、操作制御部93に信号を出力される。
なお、特定利用者用スイッチ90は、第五実施形態に操作装置80と同様の構成として、上部検出部821、下部検出部822、上下パターン判定部931と出力部932とを有する操作制御部93とを備えている。
表示部91は、矩形状をなす表示板である。表示部91は、筐体1の前面1aにおいて走行レーン200に表示面を向けて固定されている。表示部91は、表示面に利用者が入力動作を行う範囲や入力動作の動きを表示している。本実施形態における表示部91は、第五実施形態において身障者レバー81が配置されている位置に配置される。表示面には、例えば、「表示面の前で矢印方向に手を振ってください」等の文字を表示する。
第六実施形態における上下パターン判定部931は、上部検出部821及び下部検出部822のうち、利用者の手等を検出した検出部のパターンが第二規定パターンであるか否かを判定する。
第二規定パターンは、第五実施形態の規定パターンと異なり、上部検出部821及び下部検出部822が特定利用者用スイッチ90の入力動作に沿って順に検知するパターンである。即ち、第二規定パターンは、鉛直方向上方から下方に向かった後に再び上方に向かうような手を上下に振る動きに対応して定められている。具体的には、第二規定パターンは、上部検出部821が検出した後に下部検出部822が検出し、さらにその後、上部検出部821がもう一度検出するパターンとして予め定められる。
次に、上記構成の第六実施形態の料金自動収受機100の作用について説明する。
上記のような第六実施形態の特定利用者用スイッチ90を備えた料金自動収受機100においては、車両300に搭乗している利用者が特定の利用者である上肢の不自由な身体障害者である場合、利用者は、係員を呼び出すために特定利用者用スイッチ90に対して入力動作をしようとする。利用者は、表示面の表示に従って、表示部91の前面において鉛直方向に沿って手を鉛直方向の上下に振る。利用者が手を振り、利用者の手が表示部91の前方で上がると、上部検出部821の上部検出空間821aにその手が進入する。そのため、上部検出部821は、上部検出空間821aに進入した利用者の手を検知して、上下パターン判定部931に検知結果を信号として送る。この時、上下パターン判定部931は、上部検出部821から信号の入力のみでは、第二規定パターンと一致しないため、出力部932へは信号を送らない。
その後、利用者の手が下がってくると、その手は下部検出部822の下部検出空間822aに進入する。そのため、下部検出部822が、下部検出空間822aに進入した利用者の手を検出して、上下パターン判定部931に検出結果を信号として送る。上下パターン判定部931は、上部検出部821から入力を一度受けた状態で、下部検出部822からの入力を受けても、まだ第二規定パターンと一致しないため、出力部932へは信号を送らない。
さらにその後、利用者の手が再び上がると、その手は上部検出部821の上部検出空間821aに進入する。そのため、上部検出部821が、上部検出空間821aに進入した利用者の手を検知して、上下パターン判定部931に検知結果を信号として送る。上下パターン判定部931は、上部検出部821、下部検出部822の順で一度ずつ入力を受けた状態で、上部検出部821からの入力を受けることで、物体を検出した検出部のパターンが、第二規定パターンと一致していると判定して出力部932へ信号を送られる。そして、出力部932は、上下パターン判定部931からの判定結果に基づいて、処理制御部10に係員を呼び出す処理を行うよう信号を出力する。その結果、表示部91の前で利用者が手を振るだけで、係員が呼び出される。そして、呼び出された係員は、利用者が料金自動収受機100を利用するための補助等の支援をする。
上記のような料金自動収受機100によれば、利用者が、上肢の不自由な身体障害者のように特定の利用者であり、係員を呼び出したい場合に、直接ボタンやレバー等を触れて手動操作することなく、係員を呼び出すことができる。即ち、単純な動きなどを行って、上部検出部821及び下部検出部822に検出されるだけで係員に支援を求めることができる。これにより、容易に係員に支援を求めることができ、料金自動収受機100の利便性を向上させることができる。
また、身障者レバー81は、筐体1の前面1a側に停車した車両300に搭乗している利用者が特定の利用者である上肢の不自由な身体障害者である場合、小さなボタンを的確に押したり、通行券挿入口26に通行券が挿入したりすることが困難であるために突出させて入力動作を容易にして、料金収受員等の係員を呼び出して支援を求める装置である。したがって、この身障者レバー81は、筐体1から走行レーン200に向かって突出しているため、車両300と接触する恐れがある。ところが、筐体1に前面1aから突出させることなく、表示部91の前面において利用者が所定の動作を行うことで容易に係員に支援を求めることができる。これにより、筐体の前面1aから走行レーン200に向かって突出させることなく、利用者が係員に支援を求める装置を容易に設けることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、各実施形態における検出部、手動操作部41、判定部434等の組み合わせは本実施形態に限定されるものはなく、操作装置40が使用される状況に応じて適宜変更されれば良い。たとえば、手動操作部41として身障者レバー81を用いた場合に、検出部として検出部42や位置検出部52を用いてもよい。さらに、判定部434として、車両進入判定部74を用いてもよい。
また、検出部は超音波センサに限定されるものではなく、その他公知のセンサを用いることができる。検出部としては、例えば、静電容量式のセンサや光センサ等を用いることができる。また、画像処理を行うことで、カメラ等を検出部42や位置検出部52として用いることもできる。
さらに、本実施形態において各検出部が検出する物体を利用者の手としたが、これに限定されるものではない。即ち、各検出部が検出する範囲に進入した物体であればよく、例えば、手動操作部41を操作させるために棒等の工具であってもよい。