JP4092163B2 - 自動水栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動水栓に関するものであり、より詳細には電力の供給がなくなった状態でも確実に吐水可能とする自動水栓に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−207498号公報
【特許文献2】
特開平10−26243号公報
従来より、洗面所等に設けられる水栓に人体などの被検知物を検知するセンサ部を取り付け、自動的に吐水および止水ができるようにした、いわゆる自動水栓が知られている。この自動水栓を用いることにより使用者は水栓に触れることなく吐水または止水を行うことができるので衛生的であるが、自動水栓のセンサ部および制御回路は常時作動しているため、待機状態においてもこれらに電力を供給し続ける必要がある。
【0003】
そこで、自動水栓に交流電源からの電力を供給することが考えられるが、停電時における吐水を可能とするために二次電池などの蓄電部を有するものが考えられている。また、近年では省エネルギーを達成するために、吐水する水の流れを用いて電力を発生させる発電機を水栓に備えつけることにより、吐水する度に発電した電力を蓄電することで、別途の電源を必要としない自動水栓が考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記発電機を取り付けた場合においても長時間吐水を行わない状態が続くと発電により蓄電した電力を使い切ってしまい、作動しなくなることが生じていた。そこで、前記特許文献1では発電機に加えて1次電池を供えさせることが考えられている。また、前記特許文献2では定期的に水を強制吐水させるように制御することで、電力を蓄電することが考えられている。
【0005】
ところが、前記特許文献1に示すように1次電池を備えても、使用頻度によっては1次電池に蓄積された電力を使い果たすことも十分に考えられ、何れは1次電池を交換する必要が生じる。また、前記特許文献2に示すように定期的に水を吐水させる場合には、使用者は不本意な吐水を行なうだけでなく、電力を発生させるだけのために水を無駄使いすることは避けられなかった。すなわち、前記特許文献1,2の何れにおいても、地球環境保護上好ましくない事項が残されていた。
【0006】
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的は、電力の供給を完全に絶たれた状態であっても吐水させることができる信頼性の高い自動水栓を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の自動水栓は、被検知物を検知するセンサ部と、通水流路の開閉を制御可能とする電磁弁と、センサ部によって被検知物を検知したとき電磁弁を電気的に制御することで自動的な吐水を行なう制御部と、電気的な電磁弁の制御を行なうことなく吐水を行なう手動吐水操作部と、前記電磁弁の圧力室内を電磁弁の二次側流路に連通させる圧力逃がし流路とを有し、前記手動吐水操作部がこの圧力逃がし流路を開閉するものであることを特徴としている。(請求項1)
【0008】
したがって、前記自動水栓は電力の供給が完全に絶たれた状態であっても手動吐水操作部を操作することで確実に吐水を行うことができる。使用者は自動水栓に手を近づけても吐水しない場合には手動吐水操作部を操作することで、手動水栓と同様に何ら問題なく吐水できる。あるいは、自動水栓であることを認識していない使用者も違和感なく手動吐水操作部を操作することで水を吐水させることができる。
さらに、前記電磁弁の圧力室内を電磁弁の二次側流路に連通させる圧力逃がし流路を有し、前記手動吐水操作部がこの圧力逃がし流路を開閉するものであるので、手動吐水操作部にかかる水圧を小さくして手動吐水操作部による手動操作を軽く行うことができる。とりわけ、手動吐水操作部による吐水操作を押しボタン式とするときに、操作を行いやすくなる。
【0009】
なお、前記手動吐水操作部を自動水栓の本体に連設させることで、手動吐水操作部と吐水口との関係が明確になり、使用者は手動吐水操作部の操作において迷うことがない。しかしながら、本発明は手動吐水操作部の取付け位置を限定するものではなく、自動水栓の本体から離れた位置に取り付けられてもよい。
【0010】
また、前記手動吐水操作部がハンドルの回動によって吐水する流量の調整を行なうバルブである場合には、手動吐水操作によって吐水量を制御することも可能であり、使用者が望む場合には節水を行うこともできる。一方、手動吐水操作部が押操作によって吐水と止水を切り換える操作部である場合には、吐水のための手動操作が容易となる。
【0011】
前記制御部に電力を供給する蓄電部と、吐水する水の流れを用いて蓄電部に充電する電力を発電する発電部とを有する場合(請求項2)には、手動吐水操作部の手動操作によって蓄電部に電力を蓄電できるので、一度の手動操作によって自動水栓を復帰させることができる。なお、前記発電部は吐水する水の流れを用いて発電を行なうものであるから、前記電磁弁による吐水を行った場合にも手動吐水操作部の手動操作によって吐水を行った場合にも水が流れる流路に取付けられるものである。
【0012】
前記蓄電部は二次電池を用いることで比較的大きな電力を蓄電でき、これによって自動水栓に対する電力供給が全く途絶えることをほとんど無くすことが可能である。一方、蓄電部に容量の高いコンデンサを用いた場合には、寿命を無くすことができるので蓄電部のメンテナンスを無くすことができる。
【0013】
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、それによって本発明は限定を受けるものではない。
図1,2は本発明の参考例である自動水栓1の構成を示す図であって、図1はシンク2に自動水栓1を取り付けた状態を側面から見た概略図、図2はこの自動水栓1の一部を切断して示す図である。
【0016】
図1,2において、3は自動水栓1の本体、4は本体3に設けられて使用者の手などの被検知物を検知するセンサ部、5は水道管などに連通する通水流路、6は通水流路5の開閉を制御可能とする電磁弁、7はセンサ部4によって被検知物を検知したときに電磁弁6を電気的に制御することで自動的な吐水を行なう制御部、8は電気的な電磁弁6の制御を行なうことなく吐水を行なう手動吐水操作部、9は前記制御部7に電力を供給する例えばニッカド電池などの二次電池からなる蓄電部(以下、充電電池9という)、10は水栓本体3から吐水する水Wの流れ(通水流路5を流れる水Wの流れ)を用いて充電電池9に電力を発電する発電部である。
【0017】
前記センサ部は水栓本体3の吐水口3a付近に赤外線の発光素子と受光素子とを設け、吐水口3a前における手などの被検知物の有無を発光赤外線の反射量で検知するようにしたものである。
【0018】
前記通水流路5は電磁弁6の一次側の通水流路5aと、電磁弁6の二次側の通水流路5bとからなり、両流路5a,5b間はバイパス流路11によって連通できるように構成している。
【0019】
電磁弁6はダイアフラム弁6aと、弁座6bと、ダイアフラム弁6aを弁座6bに当接させる方向に押圧するコイル6cと、電磁石によってダイヤフラム弁6aと弁座6bの間の当接および離間を操作可能とするソレノイド6dとを有する。また、ダイアフラム弁6aには僅かに連通孔6eを形成して通水流路5a中の水圧を圧力室6f内にかけることにより、電磁弁6に電力を供給していない状態においても水漏れの発生を確実に防ぐようにしている。
【0020】
また、前記手動吐水操作部8は例えばバイパス流路11上に設けられて弁体に例えばセラミックディスクを用いてなる流量調整弁12と、回動によって流量調整弁12を操作することでバイパス流路11を流れる水の流量を制御可能とする操作ハンドル13とを有する。本例の場合、操作ハンドル13の操作によって水栓本体3から吐水する水の流量を制御可能としているが、手動吐水操作部8は吐水状態と止水状態の切換えを行うものであってもよい。
【0021】
P1,P2は前記バイパス流路11の分岐点であり、本例の発電部10は分岐点P1より上流側の通水流路5aに設けられることにより、電磁弁6または流量調整弁12の何れかを用いた通水によって発電可能としている。なお、前記発電部10は二点鎖線に示すように分岐点P2より下流側の通水流路5bに設けても、電磁弁6または流量調整弁12の何れかを用いた通水によって発電できる。
【0022】
発電部10は通水流路5aを流れる水の流れで回転する水車10aと、その回転に伴って回転する例えば交流発電機10bとを有し、この交流発電機10bの回転子は例えば複数極のパーマネントマグネットで、固定子は鉄心の磁気回路とコイルで構成されている。
【0023】
また、本例の場合は手動吐水操作部8によって吐水する水Wの流量を調整可能としているので、制御部7は電磁弁6を動作していない状態で、発電部10の回転や発電部10による発電を検知したときには、センサ部4の動作を停止して消費電力を削減したり、センサ部4が被検知物を検知したとしても電磁弁6を開かないように制御するように構成されている。これによって、使用者は自らの意思によって吐水量を任意に制御することができ、手動吐水操作部8による操作によって節水を行うことも可能となる。
【0024】
本例に示す自動水栓1は、充電電池9に電力が蓄えられている状態では、センサ部4が常に被検知物の有無を判断し、このセンサ部4が被検知物を検出したときに制御部7は電磁弁6を開くことで自動的な吐水を行うことができ、センサ部4が被検知物を検出しなくなると止水できる。また、吐水に伴って通水流路5aに流れる水の流れを利用して発電部10が発電を行い、これを充電電池9に蓄電するので、止水後にセンサ部4が次の被検知物の検出を行って、制御部7が電磁弁6を再び開くための電力を充電電池9に蓄えることができる。
【0025】
一方、使用者が本自動水栓1を一般的な水栓であると認識している場合や、使用者が水からの望む任意の流量で吐水を行いたい場合には、使用者は水栓本体3の近くに配置された操作ハンドル13を回動して、手動操作によって吐水を行うことができる。そして、この手動操作によって発電部10が発電する電力も充電電池9に蓄えられる。
【0026】
さらに、本自動水栓1が充電電池9に蓄えられた電力を使い果たしており、自動水栓としての機能を失っているときに、使用者が被検知物を水栓本体3の吐水口3a付近に近づけた場合には、吐水を行うことはできないが、使用者は水栓本体3の近傍に設けられた操作ハンドル13を見ることで、直観的にこれを手動操作して吐水を行うことが可能となる。そして、この手動操作によって発電部10が発電する電力が充電電池9に蓄えられることにより、自動水栓1に自動水栓としての機能を復帰させることができる。
【0027】
本例では蓄電部に充電電池9を用いた例を示しているが、電気二重層コンデンサなどの大容量のコンデンサを用いて電力を蓄積することも可能である。これによって蓄電部9の寿命を無くすことができる。
【0028】
本例では、操作ハンドル13(手動吐水操作部8)が水栓本体3の近傍に取り付けられているので、この操作ハンドル13と水栓本体3との関係が明瞭になると共に、水栓本体3のデザインをシンプルにすることができる。
【0029】
図3は手動吐水操作部8を水栓本体3と一体的に設けた本発明の実施例を示す図である。図3において、図1,2と同じ符号を付した部分は同一または同等の部分であるから、その詳細な説明を省略する。
【0030】
図3において、20は水栓本体3の台部分を構成する流路ブロックであり、この流路ブロック20内に形成された一方の流路21は前記圧力室6fに連通し、他方の流路22は電磁弁6の二次側を構成する通水流路5bに連通する。すなわち、前記流路21,22は電磁弁6の圧力室6f(図1および後述の図4を参照)内を電磁弁6の二次側流路5bに連通させる圧力逃がし流路として機能する。その他の構成は図1,2と同様である。
【0031】
本例のように構成することにより、使用者は水栓本体3と操作ハンドル13との関係をより明確に認識できるだけでなく、操作ハンドル13を取り付けるための別途の孔をシンク2に開設する必要がなく、それだけ取付けを容易とすることができる。
【0032】
また、前記手動吐水操作部8がこの圧力逃がし流路21,22を開閉することにより、電気的な電磁弁の制御を行なうことなく電磁弁6のダイアフラム弁6aを操作して電磁弁6を用いた吐水および止水を行うことができる。つまり、前記蓄電部9に蓄えられた電力を使い切った状態であっても、操作ハンドル13を回動することにより弁12を開栓でき、電磁弁6を介して水を吐水することができる。
【0033】
さらに、手動吐水操作部8を用いた吐水を行った場合においても、発電部10が回動して発電を行なって、これが蓄電部9に蓄えられるので、自動水栓1はその機能を復帰することができる。
【0034】
本例のように圧力逃がし流路21,22を形成した場合には、弁12の操作によって圧力逃がし流路21,22に流れる水の流量は極く僅かであるから、操作ハンドル13の操作が極めて軽くなって、その操作性が良くなる。
【0035】
図4は図3に示した自動水栓1のさらなる変形例を示す図である。図4において、図1〜3と同じ符号を付した部分は同一または同等の部分である。25は圧力室6fを吐水口3aの近傍の通水流路5bに連通させる圧力逃がし流路、26は押し操作によって圧力逃がし流路25を連通させる開閉弁、27はこの開閉弁26を吐水および止水操作するためのハンドルである。
【0036】
すなわち、本例の手動吐水操作部8は圧力逃がし流路25に設けられた開閉弁26とそのハンドル27である。ハンドル27は例えばノック式とすることで、使用者がハンドル27を1回押し操作することによって吐水し、再びハンドル27を押し操作することにより止水できる。
【0037】
すなわち、自動水栓1が蓄電部9の電力を使い果たした状態であっても、使用者がハンドル27を押し操作することで確実に吐水を行うことができ、また、吐水に伴って通水流路5aに流れる水の流れを用いて発電部10が発電することにより、自動水栓1はその機能を回復することができる。また、ハンドル27が水栓本体3の先端部に形成されており、かつ、ハンドル27の操作には大きな力は必要ではなく、その操作が簡単であるから操作性に優れている。
【0038】
なお、開閉弁23が自閉機構を組み込んだ構成としてもよい。これによって、ハンドル27は吐水を開始するときのみに操作するように構成することも可能である。すなわち、ハンドル27の押し操作によって吐水される水に流れを用いて発電した電力を用いて自動水栓1が復帰でき、センサ部4が被検知物の検知を開始することで、止水は電磁弁6を電気的に制御して行なうことも可能である。この場合、使用者がハンドル27を再び操作することなく立ち去ったとしても、自動水栓1は止水できるので、無駄な水の浪費を防ぐことができる。
【0039】
前記手動吐水操作部8は水栓本体3に一体的に形成することで、操作性をさらに向上しているが、手動吐水操作部8のハンドル27が押し操作によって吐水を行なうものであることに限定されるものではない。すなわち、図5に示す実施例のように回動式のハンドル30を圧力逃がし流路25(または水栓本体3内に形成したバイパス流路11)の開閉操作を行なうように設けることも可能である。
【0040】
図6は本発明の別実施例を示す図であって、図1〜5と同じ符号を付した部分は同一または同等の部分である。
図6において、6’は前記電磁弁6の構成からソレノイド6dを取り除いた開閉弁である。35はこの開閉弁6’の圧力室6fを開閉弁6’の下流側の通水流路5bに連通させる圧力逃がし流路、36はこの圧力逃がし流路を前記弁12を介してバイパスするようにして圧力室6fを開閉弁6’の下流側の通水流路5bに連通させる圧力逃がし流路、37は圧力逃がし流路35上に設けられた電磁弁である。
【0041】
本例の自動水栓1においては、制御部7からの信号によって電磁弁37が開弁すると、圧力室6f内の圧力が圧力逃がし流路35および電磁弁37を介して通水流路5bに逃がされることにより開閉弁6’が開弁し、制御部7からの信号によって電磁弁37が閉弁すると圧力室6f内の圧力が上昇して開閉弁6’が閉弁する。すなわち電磁弁37の電気的な開閉操作によって開閉弁6’を開閉することができる。
【0042】
また、使用者がハンドル13を操作することで弁12を手動によって開閉すると、これに伴って開閉弁6’を開閉することができる。つまり、電磁弁37または弁12の両方によって自動水栓1を吐水および止水制御することができる。さらに、圧力逃がし流路35,36に流れる水の流量は極く僅かであるから、電磁弁37を開閉駆動するために必要な電力を小さくでき、蓄電部9の消費を必要最小限に抑えることができ、一回の吐水で自動水栓として動作する時間を長くすることができる。
【0043】
なお、本例に示すハンドル13は回動によって弁12を開閉するものである例を示しているが、このハンドル13は押しボタン操作によて吐水または止水を制御するものであってもよい。同様にハンドル13の取付け位置も任意に選択可能であることは既に詳述した通りである。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動水栓は、簡単な構成でありながら自動水栓の電源供給が絶たれた場合にも確実な吐水を行うことができると共に、合理的で効果的な節水を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例である自動水栓の全体構成を示す図である。
【図2】 前記自動水栓を一部切断して示す正面図である。
【図3】 本発明の実施例の自動水栓を一部切断して示す正面図である。
【図4】 本発明の別の実施例の自動水栓の全体構成を示す図である。
【図5】 本発明のまた別の実施例の自動水栓の一部を示す側面図である。
【図6】 本発明のさらに別の実施例の自動水栓の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
1…自動水栓、4…センサ部、5…通水流路、6…電磁弁、6f…圧力室、7…制御部
、8…手動吐水操作部、9…蓄電部、10…発電部、11,36…バイパス流路、21,
22,25,35,36…圧力逃がし流路、W…水。
Claims (2)
- 被検知物を検知するセンサ部と、
通水流路の開閉を制御可能とする電磁弁と、
センサ部によって被検知物を検知したとき電磁弁を電気的に制御することで自動的な吐水を行なう制御部と、
電気的な電磁弁の制御を行なうことなく吐水を行なう手動吐水操作部と、
前記電磁弁の圧力室内を電磁弁の二次側流路に連通させる圧力逃がし流路とを有し、
前記手動吐水操作部がこの圧力逃がし流路を開閉するものである
ことを特徴とする自動水栓。 - 前記制御部に電力を供給する蓄電部と、
吐水する水の流れを用いて蓄電部に充電する電力を発電する発電部とを有する請求項1に記載の自動水栓。
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