JP6357033B2 - プリント回路板 - Google Patents

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Description

本発明は、差動伝送路における符号間干渉によるタイミングジッタを低減する技術に関する。
プリント回路板上では実装された複数の半導体集積回路の端子間を信号配線で接続し、信号伝送を行っている。信号伝送においては、送信する半導体集積回路での波形が、信号配線を通る間に歪むことなく受信する側の半導体集積回路へ送られることが望ましい。そのため、波形歪みの原因となる反射が起こらないように、信号配線の特性インピーダンスが極力均一化していることと、半導体回路の入出力インピーダンスに整合していることが望ましい。
また、近年の電子機器の小型・薄型化の要求により、信号配線層を複数持つ多層プリント配線板が使われるようになり、多層プリント配線板の厚みは大きくしないことが望ましい。従って、各層間の距離は小さくなる一方である。
ここで、一般的に信号配線の特性インピーダンスは、信号配線の幅と、信号配線層及びそれに対向するグラウンドプレーン層間の層間距離とに相関がある。まず、信号配線の幅が小さくなると特性インピーダンスは高くなり、信号配線の幅が大きくなると特性インピーダンスは低くなる。また、層間距離が大きくなると特性インピーダンスは高くなり、層間距離が小さくなると特性インピーダンスは低くなる。すなわち、信号配線の特性インピーダンスを高くするためには、信号配線の幅を小さくし、層間距離を大きくする。
しかし、電子機器の小型・薄型化要求によりプリント回路板の層間距離が小さくなることで、信号配線の特性インピーダンスは低下する傾向にある。これにより、信号配線を製造可能な幅まで小さくしても、回路の入出力インピーダンスに整合できるまで特性インピーダンスを高くすることが困難になってきている。
これを解決する方法として、信号配線層と最隣接するグラウンドプレーン層に置いて、信号配線層と対向する位置の導体を除去し、2層以上離れた層においてグラウンドプレーンを形成する構造が提案されている(特許文献1)。
特開2007−174075号公報
しかしながら、近年の回路動作の高速化によって、特性インピーダンスの整合だけでは信号配線を通過する際の波形歪みを抑えることが困難になり、タイミングジッタが増加する傾向にある。その理由は、表皮効果や誘電損失により信号配線において信号の高周波成分の減衰が生じ、これにより、信号の立ち上がり/立下り時における波形の鈍り、符号間干渉の増大、及び波形歪みの増大が生じるからである。
ここで、タイミングジッタとは、回路の動作周期ごとにおける論理符号1(High)と論理符号0(Low)とを判別するために設けられた閾値電圧を、信号波形が通過する時間ゆらぎのことである。この時間揺らぎについて、受信側の回路で観測される時間揺らぎが、0[秒]であることが望ましい。また、符号間干渉は、過去に送信した信号により発生した反射や鈍りが、現在あるいは未来の信号波形に重畳し、波形に影響を与える現象である。
そこで、本発明の目的は、符号間干渉によるタイミングジッタを低減するプリント回路板を提供することである。
本発明の一実施形態は、内部抵抗値R0及び信号の立ち上がり時間Trを有する送信回路と、内部抵抗値R0を有する受信回路と、送信回路と受信回路とを接続し、差動信号を伝送する差動配線とを具備し、差動配線は、信号の伝搬遅延時間Td2及び差動インピーダンスZdiff2を有するn個の第1の差動配線部と、信号の伝搬遅延時間Td1及び差動インピーダンスZdiff1を有するn個又はn−1個の第2の差動配線部とからなり、第1及び第2の差動配線部は交互に設けられており、伝搬遅延時間Td2は、0.25Tr≦Td2≦0.75Trの範囲にあり、伝搬遅延時間Td1は、0.25Tr≦Td1≦0.75Trの範囲にあり、伝搬遅延時間Td2は、0.8Td1≦Td2≦1.2Td1の範囲にあり、差動インピーダンスZdiff1、Zdiff2及び内部抵抗値R0は、0.9×R0×R0≦Zdiff1×Zdiff2≦1.1×R0×R0、及び、0.7R0≦Zdiff1≦0.8R0の範囲にあることを特徴とする、プリント回路板を提供する。ここで、nは2以上の自然数である。
本発明により、送信側の回路で信号波形の立ち上がり/立下り時の振幅が増加されるため、信号配線における信号の減衰が補正される。これにより、波形歪みを軽減することで、符号間干渉を抑制し、タイミングジッタを低減する。
第1実施形態のプリント回路板の接続図である。 第1実施形態のプリント回路板の斜視図及び上面図である。 第1実施形態のプリント回路板の断面図である。 第1実施形態のメカニズムの説明図である。 第1実施形態のメカニズムの説明図である。 第1実施形態のシミュレーション結果を示す図である。 第1実施形態のシミュレーション結果を示す図である。 第2実施形態のプリント回路板の上面図及び断面図である。 第3実施形態のプリント回路板の上面図及び断面図である。 第4実施形態のプリント回路板の上面図及び断面図である。 第5実施形態のプリント回路板の上面図及び断面図である。 比較例のアイパターンである。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る差動伝送路を備えたプリント回路板100の接続図である。
本実施形態に係るプリント回路板100は、差動信号を出力する送信回路101、差動信号を受信する受信回路102、差動信号の正信号を伝送する配線103及び差動信号の負信号を伝送する配線104を備えている。送信回路101及び受信回路102の内部抵抗(インピーダンス)値はR0であり、送信回路101から出力される信号の立ち上がり時間はTrである。送信回路101から受信回路102に向けて出力される差動信号の差動伝送路としての一対の配線103、104を合わせて差動配線501と称し、言い換えると一対の配線103、104は差動配線501を構成している。
送信回路101及び受信回路102は、差動信号を伝送する差動配線501(即ち、配線103、104)により互いに接続されている。差動配線501は、比較的高い差動インピーダンスZdiff2を有する複数の第1の差動配線部501aと、比較的低い差動インピーダンスZdiff1を有する複数の第2の差動配線部501bとで構成されている。ここで、第2の差動配線部501bの差動インピーダンスZdiff1は、第1の差動配線部501aの差動インピーダンスZdiff2よりも低く、さらに、後述するように送信回路101及び受信回路102の内部抵抗値R0よりも低い。
第1の差動配線部501aは、配線103a及び配線104aで構成され、第2の差動配線部501bは、配線103b及び配線104bで構成されている。また、送信回路101から受信回路102まで、第1の差動配線部501a及び第2の差動配線部501bは、交互に設けられている。なお、以下では差動配線501は連続する配線103、104からなるが、第1の差動配線部501a(配線103a、104a)及び第2の差動配線部501b(103b、104b)が互いに「接続」されているという表現を用いて説明することがある。
差動配線501は、等分されたn個の第1の差動配線部501a1〜501anと、等分されたn個の第2の差動配線部501b1〜501bnとからなり、言い換えると、等分されたn個の配線103a、104a及び配線103b、104bからなる。ここでnは2以上の自然数であり、等分とは互いに概ね等しい(詳細には後述するが±20%範囲内で等しい)信号の伝搬遅延時間を有するということである。
図1では、n個の第1の差動配線部501aには、送信回路101から受信回路102に向かって、順に符号501a1、501a2、・・・501anが付されている。また、n個の第2の差動配線部501bには、送信回路101から受信回路102に向かって、順に符号501b1、501b2、・・・501bnが付されている。例えば、第1の差動配線部501a1は、配線103a1、104a1から構成され、第2の差動配線部501b1は、配線103b1、104b1から構成されている。他の差動配線部501a2〜501an、501b2〜501bnについても同様である。
まず、第1の差動配線部501a1〜501an及び第2の差動配線部501b1〜501bnの信号伝搬遅延時間は、それぞれ同一の値Tdであるとする。また、第1の差動配線部501a1〜501anそれぞれの差動インピーダンスをZdiff2とし、第2の差動配線部501b1〜501bnそれぞれの差動インピーダンスをZdiff1とすると、Zdiff1<R0<Zdiff2の関係となるように値が調整されている。
図2A(a)は本実施形態に係るプリント回路板100の斜視図であり、図2A(b)はプリント回路板100の上面図である。また、図2B(a)はプリント回路板100のA−A線断面図であり、図2B(b)はプリント回路板100のB−B線断面図であり、図2B(c)はプリント回路板100のC−C線断面図である。
図2A及び図2Bに示すように、プリント回路板100は、配線103、104の隣接層としての第1グラウンド導体105と、第1グラウンド導体105の更に下層にある隣接層としての第2グラウンド導体106とを備えている。また、プリント回路板100は、第1絶縁層107と、第2絶縁層108と、第1グラウンド導体105に設けられたスリット109と、プリント回路板の表面を覆うレジスト111とを備えている。なお、図2A(a)では、見易くするためにレジスト111は図示されていない。
図2A及び図2Bでは、説明を簡単にするためにn=3の場合を示している。つまり、高い差動インピーダンスZdiff2を有する第1の差動配線部501a(配線103a、104a)と、低い差動インピーダンスZdiff1を有する第2の差動配線部501b(配線103b、104b)とが、3つ交互に設けられている。なお、本発明は、n=3の場合に限定されるものではない。
図2A(b)及び図2B(a)に示すように、第1の差動配線部501a1〜501a3の位置に対応する第1グラウンド導体105には、スリット109が設けられている。そのため、第1の差動配線部501a1〜501a3の基準となるグラウンドは、第1グラウンド導体105ではなく第2グラウンド導体106となる。一方、第2の差動配線部501b1〜501b3の基準となるグラウンドは第1グラウンド導体105である。
図2B(a)に示すように、第1の差動配線部501a1〜501a3と第2グラウンド導体106との間の距離は、第2の差動配線部501b1〜501b3と第1グラウンド導体105との間の距離よりも長い。そのため、第1の差動配線部501a1〜501a3の差動インピーダンスZdiff2は、第2の差動配線部501b1〜501b3の差動インピーダンスZdiff1よりも高くなる。
ここで、プリント回路板100の第1及び第2の差動配線部501a、501bの差動インピーダンスの値が異なることを、一例を用いて示す。第1及び第2の差動配線部501a、501bにおける差動インピーダンスの計算は、Cadence社のAllegro製品を用いてプリント回路板100の下記寸法を有する断面形状から計算した。
パラメータとして図2B(b)に示すように、差動信号の正信号を伝送する配線103の幅W103を90[μm]、厚さt103を35[μm]とし、差動信号の負信号を伝送する配線104の幅W104を90[μm]、厚さt104を35[μm]とした。配線103と配線104との間の間隔Wを250[μm]とし、レジスト111の厚さt111を60[μm]、比誘電率を3.0とした。第1グラウンド導体105の厚さt105を35[μm]とし、第2グラウンド導体106の厚さt106を35[μm]とした。また、第1絶縁層107の厚さt107を40[μm]、比誘電率を4.3とし、第2絶縁層108の厚さt108を175[μm]、比誘電率を4.3とした。
まず、図2B(b)のB−B線断面図に示す、配線103a2、104a2で構成された第1の差動配線部501a2の差動インピーダンスZdiff2は約143[Ω]であった。また、図2B(c)のC−C線断面図に示す、配線103b2、104b2で構成された第2の差動配線部501b2の差動インピーダンスZdiff1は約70[Ω]であった。なお、この例における信号の伝搬遅延時間Tdは、約6[ps/mm]であった。
この様に、第1グラウンド導体105に等間隔にスリット109を形成することにより、差動インピーダンスの高い部分と低い部分(即ち、第1の差動配線部501aと第2の差動配線部501b)を、同じ断面形状から作成することが出来る。
<符号間干渉のメカニズム>
次に、符号間干渉のメカニズムについて説明する。伝送速度が1Gbpsを超えると、伝送路での表皮効果や誘電損失によって信号の高周波成分が減衰し、波形が鈍る。そのため、信号周期に対する波形の立ち上がり時間の占める割合が大きくなる。
まず、論理符号の「1」と「0」が周期的に切り替わる場合の伝送波形の振る舞いについて説明する。送信回路から出力された信号波形は、伝送路における高周波成分の減衰によって受信端で鈍りが生じる。この信号の立ち上がり時間よりも、デジタル信号の符号切り替え時間が短い場合は、信号電圧が十分に立ち上がり切る前に、符号の切り替わりが開始する。
次に、論理符号の「1」または「0」が連続する場合、例えば、「0」「1」「1」「1」「0」のように、「0」から「1」へ切り替わった後に、「1」が複数回連続し、「0」へ切り替わる場合の伝送波形の振る舞いについて説明する。この場合、「0」から切り替わった直後の最初の「1」の周期には波形が立ち上がり切らないが、「1」が2つ目、3つ目と続くにつれて、信号がほぼ飽和電圧まで立ち上がる。よって、飽和電圧に近い電圧から、「0」へ符号の切り替わりが開始する。ここでの飽和電圧とは、送信回路の出力波形が立ち上がり切った状態の電圧を指す。
このように、符号の切り替え前に同一符号が連続していた時としていない時では、符号が切り替わる時の電圧が異なる。また、符号が切り替わった後、同一符号の連続する長さによって到達する電圧が異なるため、各符号の周期において到達する電圧が過去の符号の状態によって異なる。
この状態の信号波形をアイパターン表示すると、図10に示すように、信号振幅は幅801,802を持って表示される。符号変化の開始電圧が異なると、回路の時間マージンが低下する。その理由は、符号間干渉によって符号変化の開始電圧が異なると、信号が同じ立ち上がり時間をかけて変化しても、符号を判定する閾値電圧を通過する時刻(タイミング)が異なるからである。この状態の信号波形をアイパターン表示すると、図10に示すように、閾値電圧を通過する時間に幅(即ちタイミングジッタ)800が観測される。
即ち、タイミングジッタ800の大きさは、回路動作の安定性を示す尺度であり、タイミングジッタ800が小さいことは、回路動作の安定化を示している。そして、信号振幅の幅801,802を小さくすることによってタイミングジッタを低減することができる。
<符号間干渉の低減原理>
本実施形態に係る符号間干渉を低減するための原理を説明する。符号間干渉の原因は信号の高周波成分の減衰であるため、本実施形態は、送信端において高周波成分を多く含む信号波形の立ち上がり部の振幅を高め、伝送路で減衰する高周波成分を補正するものである。
送信端において立ち上がり部の振幅を高める方法として、本実施形態では、伝送路の特性インピーダンスの不整合によって発生する反射波を活用する。具体的には、送受信回路101、102の内部抵抗値R0よりも高い差動インピーダンスZdiff2を有する第1の差動配線部501aと、R0よりも低い差動インピーダンスZdiff1を有する第2の差動配線部501bとを交互に設ける。また、n等分した第1の差動配線部501a1〜501anと第2の差動配線部501b1〜501bnにおける信号の伝搬遅延時間Tdをそれぞれ0.5Trに設定する。ここで、Trは、送信回路101から出力される信号の立ち上がり時間である。
そして、R0、Zdiff1、Zdiff2の関係を式(1)のように設定する。
diff1×Zdiff2=R0×R0 ・・・式(1)
回路の整合条件を考えたとき、R0=Zdiff1=Zdiff2であることが望ましいが、本実施形態では反射波を活用して立ち上がり時の振幅を高くするために式(1)の条件とする。この条件とする理由を次に説明する。
送信回路101と差動伝送路である第1の差動配線部501aとを接続した場合の、その接続点の反射係数Γ2は式(2)のようになる。
Γ2=(Zdiff2−R0)/(Zdiff2+R0) ・・・式(2)
このとき、Zdiff2>R0であるため、Γ2>0である。Γ2>0であるため、送信端接続点では正の反射波が発生する。この反射波を打ち消すためには、振幅が同じで符号が反転した反射波を重ね合わせれば良い。そこで送信回路の内部抵抗値R0よりも、特性インピーダンスが低い差動配線を以下の条件で設けることで実現する。
ここで、送信回路101と信号の伝送路である第1の差動配線部501aとを接続した場合を考える。すると、その接続点の反射係数Γ1は式(3)のようになる。
Γ1=(Zdiff1−R0)/(Zdiff1+R0) ・・・式(3)
このとき、Zdiff1<R0であるため、Γ1<0となる。ここへ、Γ1=−Γ2の条件を加味し、式を整理すると、式(1)の関係が導出される。
本実施形態では、送信回路101から受信回路102まで、第1及び第2の差動配線部501a、501bを交互に設けているため、送信回路101から出力した信号の反射波は後々に送信端510に戻ってくる。このとき、R0を基準インピーダンス値として、Γ1=−Γ2の関係がある。そのため、第1の差動配線部501a1から第2の差動配線部501b1に伝搬し、接続点511で発生した反射波と、第2の差動配線部501b1から第1の差動配線部501a2に伝搬し、接続点512で発生した反射波とは、振幅が同じであり、かつその符号が反転した関係となっている。すなわち、第1の差動配線部501aと第2の差動配線部501bとの間の接続点(接続点511や接続点512)で発生する反射波は、接続点510へ到達した時に、互いに打ち消す関係となっている。よって、本実施形態の伝送路を巨視的にみたときに整合条件は保たれている。
次に、n等分した第1の差動配線部501a1〜501anと第2の差動配線部501b1〜501bnにおける信号の伝搬遅延時間Tdをそれぞれ0.5Trに設定した場合の送信端510における振幅の遷移について説明する。
時刻0〜Trの間の振幅の遷移について説明する。時刻0に送信回路101から信号を出力して波形が立ち上がり始めると、第1の差動配線部501a1を信号が伝搬し、時刻0.5Trに第1の差動配線部501a1と第2の差動配線部501b1との間の接続点511で反射波が発生する。したがって、送信端510には時刻Trに接続点511で発生した反射波が戻ってくる。この反射波が送信端510に戻って来るまでは、次に説明する振幅まで波形が遷移する。
整合条件時の送信端510における出力電圧をV0とすると、本実施形態では送信端510の反射係数はΓ2であるため、時刻Trにおいて、送信端510から送信される(送信端510を透過する)信号の電圧(振幅)V01は、式(4)となるように遷移する。
V01=V0×(1+Γ2) ・・・式(4)
このとき、Γ2>0のため、V01は、V0よりも高くなっている。
送信端510における送信回路101の内部抵抗R0と、第1の差動配線501aの特性インピーダンスZdiff2とのインピーダンス不整合が、送信端510において高周波成分を多く含む信号波形の立ち上がり部の振幅を高める。その結果、伝送路で減衰する高周波成分を補正する効果につながる。ここで、具体的な値を用いてその点について説明する。
一例として、R0=100とし、式(1)を満たす条件として、Zdiff1=70、Zdiff2=143とすると、Γ1=−0.177、Γ2=0.177であり、時刻Trにおいて、送信端510の信号の振幅は、V01=1.177×V0となる。
次に、時刻Tr〜2Trの間の送信端510における信号の振幅の遷移について説明する。まず、時刻Trに送信端510から伝送された信号は、時刻1.5Trに、接続点511で反射するが、そのときの反射係数は式(5)である。
Γ3=(Zdiff1−Zdiff2)/(Zdiff1+Zdiff2) ・・・式(5)
前述したようにZdiff1<Zdiff2であるため、接続点511の反射係数Γ3は負(Γ3<0)となる。
そのため、時刻1.5Trに接続点511に到着した信号は、接続点511で負の反射波を発生し、その振幅は式(6)となる。
Vr511=V01×Γ3 ・・・(6)
式(6)で示す振幅Vr511の反射波が、時刻2Trに送信端510に戻ってきて、送信端510においてこの反射波の反射波も発生して信号の振幅に加算されるため、時刻2Trには送信端510における振幅V02は、式(7)となるように遷移する。
V02=V01+Vr511+Vr511×(−Γ2)
=V01+V01×Γ3×(1−Γ2)
=V01×(1+Γ3×(1−Γ2))
=V0×(1+Γ2)×(1+Γ3×(1−Γ2)) ・・・式(7)
なお、接続点511で発生した反射波は第1の差動配線部501aから送信回路101に伝送されているため、送信端510において当該反射波に対する反射係数は−Γ2となる。
ここで具体的な値を代入する。Zdiff1=70、Zdiff2=143とすると、Γ3=−0.342となり、V02=0.844×V0となる。このように、V02は、V01よりもV0に近い値になる。すなわち、反射を活用しながらもV0へ向かって収束していくことになる。
そして、時刻2Tr〜3Trでの送信端510における信号の振幅の遷移について説明する。まず、時刻Trに送信端510から伝搬する信号は、時刻2Trに第2の差動配線部501b1と第1の差動配線部501a2との間の接続点512に到着し反射する。そのときの反射係数は、式(5)の符号が反転したものであるため、−Γ3である。なお、Γ3<0のため、−Γ3>0である。
そのため、時刻2Trに接続点512に到着した信号は、接続点512で正の反射波を発生し、その振幅は式(8)となる。
Vr512=V01×(1+Γ3)×(−Γ3) ・・・式(8)
また、振幅Vr512を持つ反射波が送信端510に戻ってくる前に、接続点511を通過するため、そこでの透過係数(1−Γ3)を乗じた振幅を持つ反射波が、時刻3Trに送信端510に到着する。また、接続点512で発生した反射波は、送信端510において反射係数−Γ2で反射波が発生する。なお、時刻1.5Trに接続点511で発生した反射波は、時刻2Trに送信端510で反射波(振幅:Vr511×(−Γ2))を発生させ、それが再度時刻2.5Trに接続点511で反射を発生して、時刻3Trに送信端510に戻り反射波を発生する。これらを加算すると、時刻3Trに、送信端510における信号の振幅は、式(9)のようになる。
V03=V02+Vr512×(1−Γ3)×(1−Γ2)
+Vr511×(−Γ2)×(Γ3)×(1−Γ2) ・・・式(9)
ここで、具体的な値として、Γ1=−0.177、Γ2=0.177、Γ3=−0.342とすると、V03=1.117×V0となる。このようにV03は、V02よりもV0に近い値になる。すなわち、反射を活用しながらもV0に向かって収束している。以降も同様に反射が繰り返され、送信端510における信号の振幅は、V0に収束していくことになる。送信端510の電圧の遷移の様子を図3A(a)に示す。
これまで、Td=0.5Trに一致した場合における信号波形の振る舞いを説明してきた。続いて、Td=0.5Trに一致しない場合における信号波形の振る舞いを説明する。
まず、第1及び第2の差動配線部501a、501bにおける信号の伝搬遅延時間Tdが、0.5Trよりも小さい場合、送信端510から出力された信号は、信号が立ち上がり切る前に送信端510に反射が戻ってきてしまい、振幅を高める効果が小さくなることがある。図3A(b)に送信端510における信号の振幅(電圧)遷移の様子を示す。
一方、第1及び第2の差動配線部501a、501bにおける信号の伝搬遅延時間が、0.5Trよりも大きい場合、振幅を高くする効果は0.5Trの場合と同様であるが、送信端510に反射波が戻って来るまでの時間が長くなる。そのため、反射波の収束が遅くなり、波形乱れの副作用が発生することがある。図3A(c)に送信端510における信号の振幅(電圧)遷移の様子を示す。
よって、第1及び第2の差動配線部501a、501bにおける信号の伝搬遅延時間を0.5Trとすると振幅を高める効果を持ちながらも収束性を保つことができる。
ここで、送受信回路に対して単にインピーダンス整合された従来の伝送路と、本実施形態に係る伝送路の波形の様子を比較するシミュレーションを行った。シミュレーションの条件として、本実施形態に係る伝送路のパラメータは前述のとおりであり、従来の伝送路の差動インピーダンスを送受信回路の内部抵抗R0=100[Ω]と同じ値とした。
両伝送路において、送信端510から「0」、「1」、「0」、「0」の信号を出力し、受信端590に届いた波形を図3B(a)に示し、送信端510から「0」、「1」、「1」、「0」の信号を出力し、受信端590に届いた波形を図3B(b)に示す。グラフ中で、上側が送信端510における波形であり、下側が受信端590における波形である。
図3B(a)に示すように、「0」、「1」、「0」、「0」の信号を送信したとき、従来の伝送路では送信端における波形は矩形波531となり、その後伝送路を伝搬することで波形が鈍り、受信端では波形533のような形状となってしまう。とくに、「0」から「1」に切り替わった直後は波形が立ち上がり切らずに、立ち下がり始めている。一方、本実施形態の伝送路では送信端510における波形530は反射波を活用して振幅を高めており、その波形が受信端590では、波形532のような形状となる。本実施形態では、信号は伝送路で減衰しながらも、受信端590において、従来の伝送路の波形533よりも振幅が高く、ほぼ立ち上がり切った状態から立ち下り始めている。
また、図3B(b)に示すように、「0」、「1」、「1」、「0」の信号を送信したとき、従来の伝送路では送信端における波形は矩形波535となり、その後伝送路を伝搬することで波形が鈍り、受信端では波形537のような形状となってしまう。とくに、「0」から「1」に切り替わった直後は波形が立ち上がり切らずに、2つめの「1」の期間に波形が立ち上がり切り、次の「0」では立ち上がり切った電位から立ち下がり始めている。一方、本実施形態の伝送路では送信端510における波形534は反射波を活用して振幅を高めており、その波形が受信端590では、波形536のような形状となる。本実施形態では、信号は伝送路で減衰しながらも、受信端590における電圧は、1つ目の「1」の期間にほぼ立ち上がり切り、2つめの「1」の期間でもほぼ同じ電圧に保たれ、「0」に切り替わったとき、立ち上がり切った電圧から立ち下り始めている。
以上より、従来の伝送路では、「0」、「1」、「0」、「0」の信号を出力した場合と「0」、「1」、「1」、「0」の信号を出力した場合とで、受信端において「1」から「0」へ切り替わる時の電圧が異なり、タイミングジッタが大きくなってしまう。一方、本実施形態の伝送路では、「0」、「1」、「0」、「0」の信号を出力した場合と「0」、「1」、「1」、「0」の信号を出力した場合とで、受信端において「1」から「0」へ切り替わる時の電圧がほぼ等しくなり、タイミングジッタを小さくできる。
このように、本実施形態は、プリント回路板だけでタイミングジッタを低減することができる。また、半導体回路にタイミングジッタ低減対策を加えたものと組み合わせることにより、さらにタイミングジッタの低減効果を得ることができる。
<シミュレーション例1>
第1実施形態のタイミングジッタの低減効果をコンピュータシミュレーション(シノプシス社製HSPICE(登録商標)製品)を用いて示す。シミュレーションに用いた各部のパラメータを以下に示す。
送信回路101のパラメータについて、整合条件時の送信回路の差動振幅V0を±0.4[V]、送信回路101の内部抵抗R0を100[Ω]、送信回路101の出力信号立ち上がり時間(立ち下がり時間)Trを50[ps]とした。また、動作周波数を5[Gbps](最小パルス幅200[ps])とし、送信回路101の正信号、負信号のそれぞれの寄生容量を2[pF]とした。
受信回路102のパラメータについて、内部抵抗(差動終端抵抗)を100[Ω]とし、受信回路102の正信号、負信号のそれぞれの寄生容量を2[pF]とした。
差動配線のパラメータとして、R0よりも低い差動インピーダンスZdiff1を有する第2の差動配線部を12個とし、第2の差動配線部501b1〜501b12の長さをそれぞれ4.17[mm]、差動インピーダンスZdiff1を70[Ω]とした。R0よりも高い差動インピーダンスZdiff2を有する第1の差動配線部も12個とし、第1の差動配線部501a1〜501a12の長さをそれぞれ4.17[mm]、差動インピーダンスZdiff2を143[Ω]とした。
なお、第1の差動配線部501a1〜501a12及び第2の差動配線部501b1〜501b12はそれぞれ交互に接続され、送信側から順に501a1、501b1、501a2、501b2、…501a12、501b12となるように構成している。第2の差動配線部501b1〜501b12と第1の差動配線部501a1〜501a12までの総配線長は、4.17[mm]×24≒100[mm]となる。
本実施形態では単位長さあたりの信号の伝搬遅延時間を6[ps/mm]である。そのため、第1及び第2の差動配線部501a1〜501a12、501b1〜501b12の長さをそれぞれ4.17[mm]とした。これにより、第1及び第2の差動配線部501a1〜501a12、501b1〜501b12それぞれにおける信号の伝搬遅延時間は25[ps]となる。よって、第1及び第2の差動配線部501a1〜501a12、501b1〜501b12の各々は、送信回路101の立ち上がり時間Tr(=50[ps])の0.5倍の伝搬遅延時間を持つこととなる。
また、Zdiff1×Zdiff2≒10000であり、整合インピーダンスR0=100[Ω]との関係が式(1)を満たす。
図4(a)に第1実施形態における受信端590での波形(アイパターン)を示す。タイミングジッタは、受信端590の振幅が0[V]となったときの時間幅600(図4(a))のことであり、時間幅600は、約22[ps]であった。
他方、図10(a)に、比較例として、送信回路101から受信回路102へ、配線長が100[mm]であり差動インピーダンスが100[Ω]である信号配線を接続した場合の受信端波形(アイパターン)を示す。ここで、該比較例において送信回路101及び受信回路102の内部抵抗R0=100[Ω]であり、該信号配線とインピーダンス整合している。このときの時間幅800(即ち、タイミングジッタ)は、約40[ps]であった。
以上のシミュレーション結果からも分かるように、本実施形態のプリント回路板は、伝送路の反射の活用により送信端の振幅を高めることで、受信端における伝送路の減衰を補正し、タイミングジッタを低減することができる。
ここで、第1及び第2の差動配線部501a、501bそれぞれにおける信号の伝搬遅延時間Tdは、厳格に0.5Trでなくても良い。前述のとおり理想的にはTd=0.5Trであるのだが、Tdの大きさには許容範囲がある。この点について説明する。
第1及び第2の差動配線部501a1〜501a12、501b1〜501b12の伝搬遅延時間Tdを調整した場合の、タイミングジッタの値601を図4(b)に示す。縦軸はタイミングジッタの大きさ[ps]であり、横軸はTd[×50ps]である。
Td=0.25Tr(12.5[ps])でタイミングジッタ601は22[ps]となり、Td=0.5Tr(25[ps])でタイミングジッタ601は22[ps]となった。また、Td=0.75Tr(37.5[ps])でタイミングジッタ601は25[ps]となった。つまり、図10の比較例のタイミングジッタ800(=40[ps])よりも、30[%]以上、タイミングジッタが低減した。以上より、Td=0.25Tr〜0.75Trまでは、タイミングジッタの低減効果が高かった。
また、式(1)Zdiff1×Zdiff2=R0×R0に示す条件の範囲について説明する。本シミュレーション例では、Zdiff1=70[Ω]、Zdiff2=143[Ω]としているが、式(1)の条件を満たし、タイミングジッタ低減に適したZdiff1とZdiff2の組合せにも許容範囲がある。
図4(b)のタイミングジッタ601はZdiff1×Zdiff2=70[Ω]×143[Ω]の場合に得られた値であり、タイミングジッタ602はZdiff1×Zdiff2=80[Ω]×125[Ω]の場合に得られた値である。また、タイミングジッタ603はZdiff1×Zdiff2=85[Ω]×118[Ω]の場合に得られた値であり、タイミングジッタ604はZdiff1×Zdiff2=65[Ω]×152[Ω]の場合に得られた値である。いずれの場合もZdiff1×Zdiff2=R0×R0≒10000である。
この中でタイミングジッタ601については、前述のとおりTdが0.25Tr〜0.75Trまでの範囲でタイミングジッタの低減効果が高かった。また、Zdiff1×Zdiff2=80[Ω]×125[Ω]の場合におけるタイミングジッタ602についても、Td=0.25Trのときタイミングジッタ602の値は36[ps]であった。さらに、Td=0.75Trのときタイミングジッタ602の値は34[ps]であった。そのため、図10の比較例のタイミングジッタ800(=40[ps])よりも、タイミングジッタが10[%]以上低減した。
よって、Tdが0.25Tr〜0.75Trの範囲において、Zdiff1×Zdiff2=R0×R0を満たし、かつ低い方の差動インピーダンスZdiff1が内部抵抗R0の0.7倍〜0.8倍の範囲でタイミングジッタの低減効果があることがわかった。
<シミュレーション例2>
前述のシミュレーション例1では、式(1)Zdiff1×Zdiff2=R0×R0を満たす範囲でタイミングジッタ低減の効果を示した。ここでは、Zdiff1×Zdiff2=R0×R0±10%の範囲(即ち、0.9×R0×R0≦Zdiff1×Zdiff2≦1.1×R0×R0)でのタイミングジッタの低減効果について考える。
図4(c)にZdiff1×Zdiff2=R0×R0−10%=9000の条件(R0=100[Ω])における、Tdとタイミングジッタとの関係を示す。
タイミングジッタ605は、Zdiff1=70[Ω]、Zdiff2=129[Ω]の場合の値であり、Zdiff1×Zdiff2≒9000である。このとき、Td=0.25Trのタイミングジッタ605は24[ps]となり、Td=0.75Trのタイミングジッタ605は27[ps]となり、比較例のタイミングジッタ800(=40[ps])に比べタイミングジッタが10[%]以上低減した。
また、タイミングジッタ606は、Zdiff1=80[Ω]、Zdiff2=113[Ω]の場合の値であり、Zdiff1×Zdiff2≒9000である。このとき、Td=0.25Trのタイミングジッタ606は31[ps]となり、Td=0.75Trのタイミングジッタ606は33[ps]となり、比較例のタイミングジッタ800(=40[ps])に比べタイミングジッタが10[%]以上低減した。
図4(d)にZdiff1×Zdiff2=R0×R0+10%=11000の条件(R0=100[Ω])における、Tdとタイミングジッタとの関係を示す。
タイミングジッタ607は、Zdiff1=70[Ω]、Zdiff2=157[Ω]の場合の値であり、Zdiff1×Zdiff2≒11000である。このとき、Td=0.25Trのタイミングジッタ607は24[ps]となり、Td=0.75Trのタイミングジッタ607は31[ps]となり、比較例のタイミングジッタ800(=40[ps])に比べタイミングジッタが10[%]以上低減した。
また、タイミングジッタ608は、Zdiff1=80[Ω]、Zdiff2=137[Ω]の場合の値であり、Zdiff1×Zdiff2≒11000である。このとき、Td=0.25Trのタイミングジッタ608は31[ps]となり、Td=0.75Trのタイミングジッタ608は34[ps]となり、比較例のタイミングジッタ800(=40[ps])に比べタイミングジッタが10[%]以上低減した。
よって、Zdiff1×Zdiff2=R0×R0±10%の範囲において、Tdが0.25Tr〜0.75Trの範囲で、低い方の差動インピーダンスZdiff1が内部抵抗R0の0.7倍〜0.8倍の範囲で、タイミングジッタの低減効果がある。
<シミュレーション例3>
シミュレーション例1、2では、第1及び第2の差動配線部501b、501aの伝搬遅延時間がそれぞれ等しくTd(=0.5Tr)の条件での、タイミングジッタ低減効果を示した。シミュレーション例3では、第2の差動配線部501bが伝搬遅延時間Td1を有し、第1の差動配線部501aが伝搬遅延時間Td2を有するとしたときのタイミングジッタの低減効果を図5(a)〜(f)に示す。
図5(a)はZdiff1×Zdiff2=70[Ω]×143[Ω]≒10000の条件である。タイミングジッタ610の値は、図4(b)のタイミングジッタ601の場合と同じ条件下で、Td1=Td+20[%](即ちTd1=1.2Td)及びTd2=Td−20[%](即ちTd2=0.8Td)としたときの結果である。また、タイミングジッタ611の値は、図4(b)のタイミングジッタ601の場合と同じ条件下で、Td1=Td−20[%](即ちTd1=0.8Td)及びTd2=Td+20[%](即ちTd2=1.2Td)としたときの結果である。タイミングジッタ610、611の値は、図10に示す比較例のタイミングジッタ800の値40[ps]よりも10%以上低減した。
図5(b)はZdiff1×Zdiff2=70[Ω]×129[Ω]≒9000の条件である。タイミングジッタ612の値は、図4(c)のタイミングジッタ605の場合と同じ条件下で、Td1=Td+20[%](即ちTd1=1.2Td)及びTd2=Td−20[%](即ちTd2=0.8Td)としたときの結果である。また、タイミングジッタ613の値は、図4(c)のタイミングジッタ605の場合と同じ条件下で、Td1=Td−20[%](即ちTd1=0.8Td)及びTd2=Td+20[%](即ちTd2=1.2Td)としたときの結果である。タイミングジッタ612、613の値は、図10に示す比較例のタイミングジッタ800の値40[ps]よりも10%以上低減した。
図5(c)はZdiff1×Zdiff2=70[Ω]×157[Ω]≒11000の条件である。タイミングジッタ614の値は、図4(d)のタイミングジッタ607の場合と同じ条件下で、Td1=Td+20[%](即ちTd1=1.2Td)及びTd2=Td−20[%](即ちTd2=0.8Td)としたときの結果である。また、タイミングジッタ615の値は、図4(d)のタイミングジッタ607の場合と同じ条件下で、Td1=Td−20[%](即ちTd1=0.8Td)及びTd2=Td+20[%](即ちTd2=1.2Td)としたときの値である。タイミングジッタ614、615の値は、図10に示す比較例のタイミングジッタ800の値40[ps]よりも10%以上低減した。
図5(d)はZdiff1×Zdiff2=80[Ω]×125[Ω]≒10000の条件である。タイミングジッタ616の値は、図4(b)のタイミングジッタ602の場合と同じ条件下で、Td1=Td+20[%](即ちTd1=1.2Td)及びTd2=Td−20[%](即ちTd2=0.8Td)としたときの結果である。また、タイミングジッタ617の値は、図4(b)のタイミングジッタ602の場合と同じ条件下で、Td1=Td−20[%](即ちTd1=0.8Td)及びTd2=Td+20[%](即ちTd2=1.2Td)としたときの値である。タイミングジッタ616、617の値は、図10に示す比較例のタイミングジッタ800の値40[ps]よりも10%以上低減した。
図5(e)はZdiff1×Zdiff2=80[Ω]×113[Ω]≒9000の条件である。タイミングジッタ618の値は、図4(c)のタイミングジッタ606の場合と同じ条件下で、Td1=Td+20[%](即ちTd1=1.2Td)及びTd2=Td−20[%](即ちTd2=0.8Td)としたときの結果である。また、タイミングジッタ619の値は、図4(c)のタイミングジッタ606の場合と同じ条件下で、Td1=Td−20[%](即ちTd1=0.8Td)及びTd2=Td+20[%](即ちTd2=1.2Td)としたときの結果である。タイミングジッタ618、619の値は、図10に示す比較例のタイミングジッタ800の値40[ps]よりも10%以上低減した。
図5(f)はZdiff1×Zdiff2=80[Ω]×137[Ω]≒11000の条件である。タイミングジッタ620の値は、図4(d)のタイミングジッタ608の場合と同じ条件下で、Td1=Td+20[%](即ちTd1=1.2Td)及びTd2=Td−20[%](即ちTd2=0.8Td)としたときの結果である。また、タイミングジッタ621の値は、図4(d)のタイミングジッタ608の場合と同じ条件下で、Td1=Td−20[%](即ちTd1=0.8Td)及びTd2=Td+20[%](即ちTd2=1.2Td)としたときの結果である。タイミングジッタ620、621の値は、図10に示す比較例のタイミングジッタ800の値40[ps]よりも10%以上低減した。
よって、Zdiff1×Zdiff2=R0×R0±10%の範囲で、Td1、Td2が0.25〜0.75×Trの範囲、かつ、低い方の差動インピーダンスZdiff1が内部抵抗R0の0.7倍〜0.8倍の範囲で、タイミングジッタの低減効果がある。このとき、Td2=Td1±20[%]である。
言い換えると、R0、Zdiff1及びZdiff2が、0.9×R0×R0≦Zdiff1×Zdiff2≦1.1×R0×R0の範囲、及び0.7R0≦Zdiff1≦0.8R0の範囲にあること。さらに、Tr、Td1及びTd2が、0.25Tr≦Td1≦0.75Tr、0.25Tr≦Td2≦0.75Tr、0.8Td1≦Td2≦1.2Td1の範囲にあることにより、所望のタイミングジッタの低減効果が得られる。
<シミュレーション例4>
シミュレーション例1〜3では、送信回路101から差動配線を第1の差動配線部501a及び第2の差動配線部501bの順で差動インピーダンスが高い配線、低い配線の順序で交互に接続している。しかし、送信回路101から第2の差動配線部501b及び第1の差動配線部501aの順で、差動インピーダンスが低い配線、高い配線の順序で交互に接続しても良い。接続順序が異なることで、送信端510における信号の振幅の遷移が若干異なるが、いずれにせよ送信端510における信号の振幅を高める効果は得られる。
また、伝送路全体を巨視的に捉えると、差動インピーダンスが高い配線と低い配線を交互に接続した構造であるため、順序を入れ替えたとしても、シミュレーション例1〜3の場合と比べて受信端590で観測されるタイミングジッタの値に変化はほとんどない。
例えば、図1に示す接続図において、第1の差動配線部501aと第2の差動配線部501bの順序を入れ替え、即ち、送信回路101から501b1、501a1、501b2、…501a12と並べて接続する。この構成において、図4(b)のタイミングジッタ601の場合と同じ条件下でタイミングジッタの値を測定したところ、タイミングジッタは21[ps]であった。
以上より、差動インピーダンスが高い配線と低い配線の順序を入れ替えても、タイミングジッタの低減効果が得られる。
<シミュレーション例5>
シミュレーション例1〜4では、送信端510から受信端590までの全ての配線が、回路の内部抵抗(R0)よりも高い又は低いインピーダンス(Zdiff1、Zdiff2)の配線で構成されていた。しかし、送信回路101や受信回路102のプリント配線板の接続端子のサイズの影響により、送信端510や受信端590の近傍では、高い又は低いインピーダンスの配線を構成できない場合がある。
ここで、図1の接続図において、送信回路101と第1の差動配線部501a1との間及び第2の差動配線部501b12と受信回路102との間に差動インピーダンス100[Ω]の差動配線を設けた構成についてタイミングジッタをシミュレーションした。
差動インピーダンス100[Ω]の差動配線が1[mm](送信回路101側も受信回路102側も1[mm])の場合、タイミングジッタは27[ps]であった。また、当該差動配線が2[mm](送信回路101側も受信回路102側も2[mm])の場合、タイミングジッタは35[ps]であった。そのため、差動インピーダンス100[Ω]の差動配線は長くなるとタイミングジッタが大きくなるが、立ち上り時間に対して十分に短い範囲では、タイミングジッタの低減効果は得られている。本例において長さ2[mm]は、12.5[ps]の伝搬遅延時間にあたる。
以上より、送信回路101及び受信回路102の近傍に差動インピーダンス100[Ω]の差動配線を設けていても、当該差動配線における信号の伝搬遅延時間が0.25Tr以下であれば、タイミングジッタの低減効果は得られる。
なお、高いインピーダンスを有する配線と低いインピーダンスを有する配線とが伝送路の一部として構成されていても、タイミングジッタの低減効果は得られる。つまり、第1及び第2の差動配線部501a1、501b1以外の配線を、差動インピーダンス100[Ω]の配線で構成した場合のタイミングジッタは、32[ps]であった。またこのとき、送信回路101と第1の差動配線部501a1との間に、長さ2[mm]の差動インピーダンス100[Ω]の配線が配置された場合のタイミングジッタは、28[ps]であった。
<シミュレーション例6>
シミュレーション例1〜3では、第1の差動配線部501aの個数と第2の作動配線部501bの個数を同数の例を示したが、同数である必要はなく、その差が1個以内の差であれば問題ない。例えば、送信回路101と第1の差動配線部501aが接続され、その後、第2の差動配線部501b、第1の差動配線部501aと交互に接続され、最後に受信回路102と第1の差動配線501aが接続されていても良い。
例えば、送信回路101から第1の作動配線部501a1、第2の作動配線部501b1、第1の作動配線部501a2、…第2の作動配線部501b11、第1の作動配線部501a12と並べて、受信回路102へ接続する。第1の差動配線部501aの数が12個、第2の差動配線部501bの数が11個の構成(配線長:4.17mm×23≒96mm)において、図4(b)のタイミングジッタ601の場合と同じ条件下でタイミングジッタの値を測定したところ、タイミングジッタは23[ps]であった。なお、差動インピーダンス100[Ω]の配線のみで、同一の配線長(≒96mm)を構成した場合、タイミングジッタは40[ps]であった。
<実機による検証方法>
実際のプリント配線板において、伝送路の特性インピーダンス(差動インピーダンス)を測定するためには、一般的にTDR(Time Domain Reflectometry)オシロスコープを使用する。送信端510から、正信号と負信号で位相反転した振幅Vin、立ち上がり/立ち下り時間35psのステップパルスをプローブを介して入力する。特性インピーダンスの不整合点があると、そこで信号が反射し、信号を入力したプローブに信号が戻って来るため、プローブで観測される信号には反射電圧が加算されている。この観測された電圧から伝送路の特性インピーダンスを算出できる。観測点の電圧をVrとし、パルス信号の出力インピーダンスを50[Ω]とするとき、伝送路の正信号、負信号の特性インピーダンスZは式(10)のように計算できる。
Z=(1+(Vr−Vin)/Vin)/(1−(Vr−Vin)/Vin)×50・・・式(10)
また、差動インピーダンスZdiffは、差動信号の正信号を伝送する配線の特性インピーダンスと負信号を伝送する配線の特性インピーダンスとの和で求められ、それぞれをZp、Znとすると、式(11)になる。
diff=Zp+Zn ・・・式(11)
またこのときに、オシロスコープで観測される反射波と反射波の時間間隔の0.5倍が、特性インピーダンスの不整合が発生する2点間を接続する信号配線の信号の伝搬遅延時間である。
タイミングジッタを測定するためには、一般的にオシロスコープを使用する。まず受信端590における差動電圧(正信号と負信号の電位差)の波形を、差動プローブを用いて測定する。次に測定した波形を、最小パルス幅毎に区切って重ね書きする。このとき、波形が差動電圧0[V]を通過する時間の最大値と最小値の差がタイミングジッタとなる。
送信回路の立ち上がり(立ち下り)時間を測定するためには、一般的にオシロスコープを使用する。まず送信端510における差動電圧(正信号と負信号との電位差)の波形を、差動プローブを用いて測定する。このとき、インピーダンスの整合条件で得られる差動電圧の振幅の20[%]〜80[%]の範囲の電圧変化に要する時間を測定する。例えば、インピーダンス整合時の差動電圧振幅が±400[mV]の場合、±240[mV]の電圧変化に要する時間を測定する。このときの時間をTrsとすると、本実施形態で規定している立ち上がり時間Trは、式(12)になる。
Tr=Trs/0.6 ・・・式(12)
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るプリント回路板について図6を用いて説明する。図6(a)は第2実施形態に係るプリント回路板150の上面図であり、図6(b)はプリント回路板150のA−A線断面図である。また、図6(c)はプリント回路板150のB−B線断面図であり、図6(d)はプリント回路板150のC−C線断面図である。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
本実施形態に係るプリント回路板150は、第1実施形態のように第1グラウンド導体105にスリット109を設けるのではなく、低い差動インピーダンスを有する配線部上のレジスト111上にさらに第3グラウンド導体110を設けた構成を有する。そして、本実施形態は、低い差動インピーダンスを有する配線部の基準となるグラウンドが、少なくとも2つのグラウンド導体としている構成をとる。
図6では、高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分と、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分とが、3つ交互に配置された構成が示されている。図6に示すように、高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aは、基準となるグラウンドが第1グラウンド導体105となる。一方、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bは、基準となるグラウンドが第1グラウンド導体105と第3グラウンド導体110とであり、そのため低い差動インピーダンスを有する。なお、本実施形態では、配線103a、104aに相当する第1の差動配線部は、マイクロストリップライン構造で形成され、配線103b、104bに相当する第2の差動配線部は、ストリップライン構造で形成されているといえる。
第3グラウンド導体110は、プリント回路板100の表面(レジスト111上)に金属材料(例えば銅テープ等)を貼り、それをグラウンドと接続することにより構成してもよい。また、プリント回路板150が多層基板であり、差動信号の正信号を伝送する配線103と差動信号の負信号を伝送する配線104とが当該多層のうち内部の層に形成されている場合、当該層の上下近傍の層をグラウンド導体とすることでも実現可能である。
次に、本実施形態における差動インピーダンスの値の一例を示す。図6(c)に示すB−B線断面図は、高い差動インピーダンスを有する配線103a2、104a2の部分を表している。配線103の幅W103を60[μm]、厚さt103を35[μm]とし、配線104の幅W104を60[μm]、厚さt104を35[μm]とする。また、配線103と配線104との間の間隔Wを200[μm]とし、レジスト111の厚さt111を60[μm]、比誘電率を3.0とする。また、第1グラウンド導体105の厚さt105を35[μm]とし、第1絶縁層107の厚さt107を200[μm]、比誘電率を4.3とする。このとき、配線103a、104aの部分の差動インピーダンスは約143[Ω]となる。
図6(d)のC−C線断面図は、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分を表している。図に示すように第3グラウンド導体110がレジスト111上に配置されており、その厚さt110を35[μm]とする。その他の寸法は前述と同じであるとき、配線103b、104bの部分の差動インピーダンスは約70[Ω]となる。この様にして、本実施形態では、配線103、104中に差動インピーダンスの高い部分と低い部分を、第3グラウンド導体110の有無により、同じ断面形状から作成することが出来る。そして、本実施形態に係るプリント回路板150は、第1実施形態と同様にタイミングジッタの低減効果を実現することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るプリント回路板について図7を用いて説明する。図7(a)は第3実施形態に係るプリント回路板160の上面図であり、図7(b)はプリント回路板160のA−A線断面図である。また、図7(c)はプリント回路板160のB−B線断面図であり、図7(d)はプリント回路板160のC−C線断面図である。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
本実施形態のプリント回路板160では、第1実施形態のようにスリット109を設けたり、第2実施形態のように第3グラウンド導体110を設けたりするのではなく、配線103、104の幅及び間隔を調整することで差動インピーダンスを調整している。
図7では、高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分と、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分とが、3つ交互に配置された構成が示されている。本実施形態では、第1及び第2実施形態と異なり、差動信号の正信号を伝送する配線103と差動信号の負信号を伝送する配線104の配線幅を変えることにより、差動インピーダンスを調整している。すなわち、高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分の配線幅は比較的細く、且つ、配線103a、104a間の間隔は広い。一方、配線103a、104aの部分に比べて、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分の配線幅は比較的太く、且つ、配線103b、104b間の間隔は狭い。
次に、本実施形態における差動インピーダンスの値の一例を示す。図7(c)に示すB−B線断面図は、高い差動インピーダンスを有する配線103a2、104a2の部分を表している。配線103の幅W103aを60[μm]、厚さt103を35[μm]とし、配線104の幅W104aを60[μm]、厚さt104を35[μm]とし、配線103aと配線104aとの間の間隔Wを200[μm]とする。また、レジスト111の厚さt111を60[μm]、比誘電率を3.0とする。また、第1グラウンド導体105の厚さt105を35[μm]とする。また、第1絶縁層107の厚さt107を200[μm]、比誘電率を4.3とする。この時、差動インピーダンスは約143[Ω]である。
図7(d)のC−C線断面図は、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分を表している。配線103の幅W103bを250[μm]、厚さt103を35[μm]とし、配線104の幅W104bを250[μm]、厚さt104を35[μm]とし、配線103bと配線104bとの間の間隔Wを75[μm]とする。その他は前述と同じである時、差動インピーダンスは約70[Ω]である。
この様に、本実施形態では、差動信号の正信号を伝送する配線103及び差動信号の負信号を伝送する配線104それぞれの配線幅及び配線間隔を調整することにより、差動インピーダンスの高い部分と低い部分を実現している。そして、本実施形態に係るプリント回路板160では、配線103、104の幅及び間隔を調整することにより差動インピーダンスの値を容易に調整することができ、第1及び第2実施形態と同様にタイミングジッタの低減効果が実現される。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るプリント回路板170について図8を用いて説明する。図8(a)は第4実施形態に係るプリント回路板170の上面図であり、図8(b)はプリント回路板170のA−A線断面図である。また、図8(c)はプリント回路板170のB−B線断面図であり、図8(d)はプリント回路板170のC−C線断面図である。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
本実施形態に係るプリント回路板170では、第3実施形態のように配線103、104の幅及び間隔の両方を調整するのではなく、配線103、104の幅を一定にしつつ配線103、104の間隔を調整することで差動インピーダンスを調整している。
図8では、高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分と、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分とが、3つ交互に配置された構成が示されている。本実施形態では、第1乃至第3実施形態と異なり、差動信号の正信号を伝送する配線103と差動信号の負信号を伝送する配線104との間の間隔のみを変えている。高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分は、配線幅は同じであるが配線間隔は比較的広い。一方、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分は、配線103a、104aと比べて、配線幅は同じであるが、配線103b,104b間の間隔は狭い。
次に、本実施形態における差動インピーダンスの値の一例を示す。図8(c)のB−B線断面図は、高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分を表している。配線103a、104aの部分において、配線103aの幅W103を200[μm]、厚さt103を35[μm]とし、配線104aの幅W104を200[μm]、厚さt104を35[μm]とする。また、配線103a、104a間の間隔Wを700[μm]とする。また、レジスト111の厚さt111を60[μm]、比誘電率を3.0とし、第1グラウンド導体105の厚さt105を35[μm]とする。また、第1絶縁層107の厚さt107を300[μm]、比誘電率を4.3とする。このとき、配線103a、104aの部分における差動インピーダンスは約143[Ω]である。
図8(d)のC−C線断面図は、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分を表している。配線103b、104bの部分において、配線103bの幅W103を200[μm]、厚さt103を35[μm]とし、配線104bの幅W104を200[μm]、厚さt104を35[μm]とする。また、配線103b、104b間の間隔Wを55[μm]とする。その他は前述と同様であるとき、配線103b、104bの部分における差動インピーダンスは約70[Ω]である。
この様に、本実施形態では、差動信号の正信号を伝送する配線103と差動信号の負信号を伝送する配線104との間の間隔を調整することにより、差動インピーダンスの高い部分と低い部分を実現している。そして、本実施形態に係るプリント回路板170では、配線103、104の間隔を調整することにより差動インピーダンスの値を容易に調整することができ、第1乃至第3実施形態と同様にタイミングジッタの低減効果が実現される。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係るプリント回路板180について図9を用いて説明する。図9(a)は第5実施形態に係るプリント回路板の上面図であり、図9(b)はプリント回路板180のA−A線断面図である。また、図9(c)はプリント回路板180のB−B線断面図であり、図9(d)はプリント回路板180のC−C線断面図である。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
本実施形態に係るプリント回路板180は、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分に相当する第1絶縁層107中に、比誘電率が比較的高い第3絶縁層113をさらに設けた構成である。
図9では、高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分と、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分とが、3つ交互に配置された構成が示されている。本実施形態では、第1乃至第4実施形態と異なり、差動信号の正信号を伝送する配線103及び差動信号の負信号を伝送する配線104と、第1グラウンド導体105との間に位置する絶縁層の比誘電率を変えている。
高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分は、配線幅及び配線間隔は同じで、第1絶縁層107の比誘電率は第1乃至第4実施形態と同じである。一方、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分は、配線103a、104aの部分に比べて配線幅及び配線間隔は同じであるが、第3絶縁層113の比誘電率が第1絶縁層107のものより高い。
次に、本実施形態における差動インピーダンスの値の一例を示す。図9(c)のB−B線断面図は、高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分を表している。配線103aの幅W103を60[μm]、厚さt103を35[μm]とし、配線104bの幅W104を60[μm]、厚さt104を35[μm]とし、配線103a、104a間の間隔Wを200[μm]とする。また、レジスト111の厚さt111を60[μm]、比誘電率を3.0とし、第1グラウンド導体105の厚さt105を35[μm]とする。また、第1絶縁層107の厚さt107を200[μm]、比誘電率を4.3とする。このとき、高い差動インピーダンスを有する配線103a、104aの部分の差動インピーダンスは約143[Ω]である。
図9(d)のC−C線断面図は、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分を表している。配線103bの幅W103を60[μm]、厚さt103を35[μm]とし、配線104の幅W104を60[μm]、厚さt104を35[μm]とし、配線103、104間の間隔Wを200[μm]とする。また、第3絶縁層113の厚さt113を200[μm]、比誘電率を28とする。その他は前述と同じであるとき、低い差動インピーダンスを有する配線103b、104bの部分の差動インピーダンスは約70[Ω]である。第3絶縁層113に用いる比誘電率の高い材料としては、キャパシタ内蔵基板用高誘電率絶縁シート等が挙げられる。
この様に、差動インピーダンスの高い部分と低い部分を、差動信号の正信号を伝送する配線103及び差動信号の負信号を伝送する配線104と、第1グラウンド導体105との間に位置する絶縁層の比誘電率を調整することにより、実現している。そして、本実施形態では、配線103、104及び第1グラウンド導体105間にある絶縁層の比誘電率を調整することにより差動インピーダンスの値を容易に調整することができる、第1乃至第4実施形態と同様にタイミングジッタの低減効果が実現される。
(その他の実施形態)
第1乃至第5の実施形態に係る構成を適宜組合せて、送信回路と受信回路との間の伝送路(配線103、104)中に差動インピーダンスの高い部分と低い部分を交互に設ける構成としてもよい。例えば、第1の差動配線部501a(配線103a、104a)に対応する第1グラウンド導体105にスリット109を設け、第2の差動配線部501b(配線103b、104b)に対応する第1絶縁層107に第3絶縁層113を設けるようにしてもよい。また、第1の差動配線部501aの配線幅を狭くし配線間隔を広くした上でスリット109を設け、第2の差動配線部501bの配線幅を広くし配線間隔を狭くした上で、スリット111上に第3グラウンド導体110を設けるようにしてもよい。
以上、説明してきたように、差動インピーダンスの高い部分、低い部分をプリント回路板上で実現する方法は複数存在する。第1乃至第5実施形態ではその一例を説明してきたが、これらに限定されるわけではない。例えば、差動信号配線と同一層にガードグラウンドを配置して、差動インピーダンスを調整することも、一つの方法である。ガードグラウンドを近付けることで差動インピーダンスは低下し、遠ざけることで差動インピーダンスは上昇する。上述したそれぞれを組み合わせることにより、差動インピーダンスの高い部分、低い部分を実現することができ、また、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有するものにより可能である。
100、150、160、170、180 プリント回路板
101 送信回路
102 受信回路
103 差動信号の正信号を伝送する配線
104 差動信号の負信号を伝送する配線
501 差動配線
501a 第1の差動配線部
501b 第2の差動配線部
105 第1グラウンド導体
106 第2グラウンド導体
107 第1絶縁層
108 第2絶縁層
109 第1グラウンド導体に設けられたスリット
110 第3グラウンド導体
113 第3絶縁層
510 送信端
511、512 接続点
590 受信端

Claims (7)

  1. 内部抵抗値R0及び信号の立ち上がり時間Trを有する送信回路と、
    内部抵抗値R0を有する受信回路と、
    前記送信回路と前記受信回路とを接続し、差動信号を伝送する差動配線とを具備し、
    前記差動配線は、信号の伝搬遅延時間Td2及び差動インピーダンスZdiff2を有するn個の第1の差動配線部と、信号の伝搬遅延時間Td1及び差動インピーダンスZdiff1を有するn個またはn−1個の第2の差動配線部とからなり、
    前記第1及び第2の差動配線部は交互に設けられており、
    前記伝搬遅延時間Td2は、0.25Tr≦Td2≦0.75Trの範囲にあり、
    前記伝搬遅延時間Td1は、0.25Tr≦Td1≦0.75Trの範囲にあり、
    前記伝搬遅延時間Td2は、0.8Td1≦Td2≦1.2Td1の範囲にあり、
    前記差動インピーダンスZdiff1、Zdiff2及び前記内部抵抗値R0は、0.9×R0×R0≦Zdiff1×Zdiff2≦1.1×R0×R0、及び、0.7R0≦Zdiff1≦0.8R0の範囲にあることを特徴とする、プリント回路板。ここで、nは2以上の自然数である。
  2. 前記第1の差動配線部と該第1の差動配線部の基準となるグラウンド導体の距離は、前記第2の差動配線部と該第2の差動配線部の基準となるグラウンド導体の距離よりも長いことを特徴とする、請求項1に記載のプリント回路板。
  3. 前記第1の差動配線部は、マイクロストリップライン構造であり、前記第2の差動配線部は、ストリップライン構造であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプリント回路板。
  4. 前記第1の差動配線部の配線の幅は、前記第2の差動配線部の配線の幅よりも細いことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント回路板。
  5. 前記第1の差動配線部の配線間の間隔は、前記第2の差動配線部の配線間の間隔よりも広いことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント回路板。
  6. 前記第1の差動配線部とその基準となるグラウンド導体との間に位置する絶縁層の比誘電率は、前記第2の差動配線部とその基準となるグラウンド導体との間に位置する絶縁層の比誘電率よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のプリント回路板。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプリント回路板を備えた電子機器。
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