JP6356007B2 - ゴム−スチールコード複合体及びそれを用いたタイヤ - Google Patents
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Description
(1) スチールコードの表面が、天然ゴム及び/又は合成ゴムからなり、ゴム中に含まれる(A)カーボンブラックが、ΔD80、ΔD10について、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μm、かつΔD10中心値が、0.1μm以上/0.2μm以下であることを満たし、ゴム成分100質量部に対して30〜60質量部含み、(B)ビスマレイミド、(C)アルキリデンヒドラジド、(D)ジスルファン、(E)カルボン酸ヒドラジド、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンからなるカーボンブラックカップリング剤より選ばれた少なくとも1種の化合物、有機酸コバルト塩(H)を0〜5質量部含むゴム組成物にて被服されていることを特徴とするゴムースチールコード複合体。
ここで、ΔD80、ΔD10とはそれぞれJIS K6217−6に準ずるディスク遠心沈降式粒度分布測定により得られた凝集体質量分布曲線における、頻度の高さが最大点の80%、10%のときの分布の幅であり、ΔD10中心値とは前記10%での分布の中心値を示す。
(2) スチールコードの表面が、天然ゴム及び/又は合成ゴムからなり、ゴム中に含まれる(A)カーボンブラックが、ΔD80、ΔD10について、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μm、かつΔD80中心値が、0.03μm以上/0.15μm以下であることを満たし、ゴム成分100質量部に対して30〜60質量部含み、(B)ビスマレイミド、(C)アルキリデンヒドラジド、(D)ジスルファン、(E)カルボン酸ヒドラジド、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンからなるカーボンブラックカップリング剤より選ばれた少なくとも1種の化合物、有機酸コバルト塩(H)を0〜5質量部含むゴム組成物にて被服されていることを特徴とするゴム−スチールコード複合体。
ここで、ΔD80、ΔD10とはそれぞれJIS K6217−6に準ずるディスク遠心沈降式粒度分布測定により得られた凝集体質量分布曲線における、頻度の高さが最大点の80%、10%のときの分布の幅であり、ΔD80中心値とは前記80%での分布の中心値を示す。
(3) 前記スチールコードがコードの周面にブラスめっきを施したスチールコードであって、次いで伸線加工を施したのち、該スチールワイヤの表面を、遷移金属を塩として含む水溶液にて洗浄することによって、表面における、ZnおよびCuを除く遷移金属の濃度が0.01質量%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のゴム−スチールコード複合体。
ここで表面における濃度とはJIS K0167に従い、X線光電子分光法によって測定した表面組成の数値を示す。
(4) 前記有機酸コバルト塩(H)が0部であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載のゴムースチールコード複合体。
(5) ゴムの25℃におけるJIS K6251に基づく100%伸長引張応力M100が3.0〜6.5MPaであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載のゴム−スチールコード複合体。
(6) カーボンブラックカップリング剤が式(I)で表される(B)ビスマレイミド、式(II)又は(III)で表される(C)アルキリデンヒドラジド、式(IV)で表される(D)ジスルファン、式(V)で表される(E)カルボン酸ヒドラジド、式(VI)で表される(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、式(VII)で表される(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンよりなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載のゴム−スチールコード複合体。
(8) 前記(1)〜(7)のいずれか1つに記載のゴム−スチールコード複合体を用いたタイヤ。
(5)および(6)によれば、スチールコードコーティングゴム成分中の有機酸コバルト塩の配合量を削減又は、使用せずに効果的に接着性の改善が可能であり、(1)の特異な分布挙動を示すカーボンブラックとカーボンブラックカップリング剤で耐亀裂性の改善を、より効果的なものとすることができる。
(7)によれば、(1)〜(6)により得られたスチールコードコーティングゴムに適した強度が示される。
(8)によれば、カーボンブラックカップリング剤において、好ましい化合物が選択できる。さらに(9)によれば、その適切な配合量が示される。
(10)によれば、上記(1)〜(9)で得られた、接着性、耐亀裂性に優れたゴム−スチールコード複合体を用いたタイヤが提供される。
一般式(I)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、又は炭素数7〜24の2価のアルキル芳香族炭化水素基、x、yはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。
一般式(II)中、RAは炭素数6〜30の2価の芳香族基、炭素数0〜18の飽和又は不飽和直鎖状炭化水素から、任意の位置の水素2つを除いてなる2価の炭化水素基、カルボニル基より選んだ1種である。一般式(III)中、RBは炭素数6〜30の2価の芳香族基であり、RBの置換基Xはヒドロキシル基、アミノ基より選ばれる1種、又はRBがピリジンジイル基、Xが水素原子であり、RB−Xとしてピリジル基をなす。一般式(II)および(III)に共通し、R1〜R4は水素及び炭素数1〜18の、直鎖、分岐、環状アルキル基、又は芳香族基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
一般式(IV)中、RDはチオカルバモイル基、またはベンズイミダゾール基やグアニジン基に連なる、炭素数2〜8の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアルキル基、アシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基のいずれかである。チオカルバモイル基は炭素数6〜10の直鎖、分岐、脂環式アルキル基や芳香族置換されたアリールアルキル基のいずれかを有する。ベンズイミダゾール骨格の炭素原子や窒素原子上の水素は、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基のいずれかで置換されていてもよい。グアニジン基は炭素数1〜8の直鎖、分岐、脂環式アルキル基やアリール基のいずれかで置換されていてもよい。
一般式(V)中、REはベンズイミダゾール基やグアニジン基に連なる、炭素数2〜8の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアルキル基、アシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基のいずれかである。ベンズイミダゾール骨格の炭素原子や窒素原子上の水素は、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基のいずれかで置換されていてもよい。グアニジン基は炭素数1〜8の直鎖、分岐、脂環式アルキル基やアリール基のいずれかで置換されていてもよい。
典型的にはコバルト塩が有用であり、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、クエン酸コバルト、グルコン酸コバルトおよびアセチルアセトナトコバルトなどから少なくとも1種が選択されるコバルト塩の水溶液を用いることができる。その他遷移金属塩を含む水溶液として、鉄:Feや銀:Agの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩の内、可溶性のものを用いることができる。また、当然ながら、ブラスめっき中に含まれる亜鉛や、さらに加えて接着反応そのものの対象である銅の塩は含まない。
また、上記、遷移金属塩の水溶液のpHは5〜8程度の範囲が好ましい。水溶液がこの範囲を外れると、めっきに悪影響が及びゴムとの接着性が低下する。また、pHを5〜8程度の中性付近にすれば、環境負荷が小さく、製造時の使用者への曝露に対する、安全性や試薬安全性の面からも好ましい。
なお、洗浄条件は、水溶液の濃度に応じて[1]の接着阻害成分除去に必要な洗浄時間を適宜設定すればよい。例えば酢酸コバルト含有水溶液の場合は、10g/lの濃度で洗浄時間は30〜60秒が好ましい条件となる。
上記した洗浄処理を行うことによって、ゴムとの接着阻害成分がないことに加え、接着プロモーターとして機能するコバルトを有するめっき表面が得られる結果、スチールコードのゴムに対する接着性は大幅に改善される。従って、ゴム側に通常配合する接着プロモーターを省略したとしても、スチールコードとゴムとの接着を確実にはかることができる。一方で、従来からゴム側に配合されてきた接着プロモーターを省略できる。ゴム側の接着プロモーターは、スチールコードの表面で接着反応が起こるので、表面近傍の一部を除き反応には寄与しない。余剰な接着プロモーターがコスト増につながるだけならまだしも、ゴム成分中のジエン系ポリマーの攻撃することにより、主鎖の切断などの要因となるので、削減により、ゴムの耐劣化性及び耐亀裂成長性を向上することも可能である。
なお、めっき表面に20質量%を超えるコバルトが存在すると、接着プロモーターとして機能するよりも、むしろゴムとの接着阻害要因として働いてしまうことから、コバルトを始めとする、遷移金属の濃度は20質量%を上限とする。
上記で作成した、加硫したコーティングゴム用組成物のサンプルを、JIS K6251に基づき、100%伸長引張応力M100を測定した。
上記で作成した、加硫したコーティングゴム用組成物のサンプルを、引張試験装置(インストロン社製)を使用し、JIS K6252に従い、トラウザ形で引き裂き強度を測定した。実施例1〜15と比較例1〜10は比較例1の値を100とする指数で表したものであり、数値が大きいほど良好である。
上記で作成した、加硫したゴム−スチールコード複合体のサンプルについて、コーティングゴムを引きはがし、FIB−TEMを用いCuおよびSの元素比の定量化により、接着性を評価した。実施例1〜15と比較例1〜10は比較例1の値を100とする指数で表したものであり、数値が大きいほど良好である。
カーボンブラックカップリング剤
化合物a:N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミド、三井化学(株)製
化合物b:3−ヒドロキシ−N−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド
化合物c:3−ヒドロキシ−N−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド
化合物d:N,N’−ジ(1−メチルエチリデン)−イソフタル酸ジヒドラジド
化合物e:N−(1−メチルエチリデン)−イソニコチン酸ヒドラジド
化合物f:N,N’−ジ−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2,2’−ジスルファンジイルエタンアミン
化合物g:N,N’−ジ−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−3,3’−ジスルファンジイルジプロパンアミド
化合物h:ビス[3−(2−アミノ−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−オキソプロピル]ジスルファン
ステアリン酸:1質量部
酸化亜鉛:7質量部
老化防止剤:大内新興化学工業製、ノクラック6C、1質量部
加硫促進剤:大内新興化学工業製、ノクセラーDZ、1質量部
N,N−ジシクロヘキシル−1,3−ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド
硫黄:6質量部
・実施例は旭カーボン社製のASTM規格において、N660とN330に相当するカーボンブラック2種をブレンドして作成。
Claims (8)
- スチールコードの表面が、天然ゴム及び/又は合成ゴムからなり、ゴム中に含まれる(A)カーボンブラックが、ΔD80、ΔD10について、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μm、かつΔD10中心値が、0.1μm以上/0.2μm以下であることを満たし、ゴム成分100質量部に対して30〜60質量部含み、(B)ビスマレイミド、(C)アルキリデンヒドラジド、(D)ジスルファン、(E)カルボン酸ヒドラジド、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンからなるカーボンブラックカップリング剤より選ばれた少なくとも1種の化合物、有機酸コバルト塩(H)を0〜5質量部含むゴム組成物にて被服されていることを特徴とするゴム−スチールコード複合体。
ここで、ΔD80、ΔD10とはそれぞれJIS K6217−6に準ずるディスク遠心沈降式粒度分布測定により得られた凝集体質量分布曲線における、頻度の高さが最大点の80%、10%のときの分布の幅であり、ΔD10中心値とは前記10%での分布の中心値を示す。 - スチールコードの表面が、天然ゴム及び/又は合成ゴムからなり、ゴム中に含まれる(A)カーボンブラックが、ΔD80、ΔD10について、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μm、かつΔD80中心値が、0.03μm以上/0.15μm以下であることを満たし、ゴム成分100質量部に対して30〜60質量部含み、(B)ビスマレイミド、(C)アルキリデンヒドラジド、(D)ジスルファン、(E)カルボン酸ヒドラジド、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンからなるカーボンブラックカップリング剤より選ばれた少なくとも1種の化合物、有機酸コバルト塩(H)を0〜5部含むゴム組成物にて被服されていることを特徴とするゴム−スチールコード複合体。
ここで、ΔD80、ΔD10とはそれぞれJIS K6217−6に準ずるディスク遠心沈降式粒度分布測定により得られた凝集体質量分布曲線における、頻度の高さが最大点の80%、10%のときの分布の幅であり、ΔD80中心値とは前記80%での分布の中心値を示す。 - 前記スチールコードがコードの周面にブラスめっきを施したスチールコードであって、次いで伸線加工を施したのち、該スチールワイヤの表面を、遷移金属を塩として含む水溶液にて洗浄することによって、表面における、ZnおよびCuを除く遷移金属の濃度が0.01質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム−スチールコード複合体。
ここで表面における濃度とはJIS K0167に従い、X線光電子分光法によって測定した表面組成の数値を示す。 - 前記有機酸コバルト塩(H)が0部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム−スチールコード複合体。
- ゴムの25℃におけるJIS K6251に基づく100%伸長引張応力M100が3.0〜6.5MPaであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム−スチールコード複合体。
- カーボンブラックカップリング剤が式(I)で表される(B)ビスマレイミド、式(II)又は(III)で表される(C)アルキリデンヒドラジド、式(IV)で表される(D)ジスルファン、式(V)で表される(E)カルボン酸ヒドラジド、式(VI)で表される(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、式(VII)で表される(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンよりなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム−スチールコード複合体。
- 前記(B)〜(G)から少なくとも1つが選ばれる、カーボンカップリング剤を0.05〜10質量部含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のゴム−スチールコード複合体。
- 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム−スチールコード複合体を用いたタイヤ。
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