JP6356007B2 - ゴム−スチールコード複合体及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

ゴム−スチールコード複合体及びそれを用いたタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、接着性および耐久性を改良し、さらに特異な粒度分布からなるカーボンブラック及び、カーボンブラック凝集防止の薬品を配合したコーティングゴム組成物とそれを用いたスチールコード−ゴム複合体、タイヤ用ゴム組成物及びタイヤに関する。
タイヤは各部ごとに、様々な配合のゴム組成物が用いられる製品である。特に補強性材料である、スチールコードを被覆するゴムは、その界面において剥離しないことが求められる。スチールコード表面に施されたブラスめっき中の銅が加硫の際、硫黄と結合生成することにより、ゴム成分との架橋が行われ、強固に接着がなされる。
スチールコード表面の銅と、被覆ゴム組成物中の硫黄との結合生成を促進するために、触媒として作用するコバルト塩のような遷移金属塩を、ゴム組成物に添加することが従来から行われてきたが、一方でコバルト塩の添加は、ゴム成分の老化原因にもなり、耐久性や強度の向上、さらにコストの面でも不利であった。
コバルト塩の使用を大幅に削減する技術として、ゴム組成物にコバルト塩を添加する方法に替り、コバルト塩のような遷移金属塩溶液で洗浄した、ブラスめっきのスチールコードを用いることが特許文献1によって開示されている。銅−硫黄結合生成が起こる、スチールコード表面に選択的に、遷移金属塩を局在化させることで、その触媒作用を利用しつつも、ゴム成分に与える影響を、低減化できるものである。この技術により、コーティングゴムについても、接着性のみならず、耐久性などの物性の向上を目指す環境が整った。
耐久性を向上させるアプローチのひとつとして、硫黄による架橋だけでは、発熱にさらされ続けた場合に、架橋ポリスルフィド鎖の切断が起こるため、熱的に安定な架橋構造を構築する、耐熱性の高い架橋剤としてビスマレイミドを用いることが特許文献2によって開示されている。
また、発熱にさらされても良いようにする一方で、発熱性そのものを低減化するよう改良するには、カーボンブラックの配合量、カーボンブラック種の変更、及び/又は分散改良剤の適用など、様々なアプローチが考えられる。それら従来技術では、発熱性は改善できるものの、一方で耐久性、特に耐亀裂性の低下が見られ、十分なものではない。この点、カーボンブラックの選択の難しさに由来するものである。
特開2009−91691号公報 特開2003−63205号公報
従来、単一種のカーボンブラックでは改善し難かった、耐亀裂性能、耐久性と共に接着性を向上したスチールコード−ゴム複合体を提供する。
本発明者らは、スチールコードと、特定の粒度分布挙動を示す、カーボンブラックが、ゴム中で良好に分散し、カーボンブラックカップリング剤と併用し、さらに有機酸コバルト塩を低減したゴム組成物を用いることにより、従来にはない耐亀裂性とのバランスを保持しつつ、接着性に優れたゴム−スチールコード複合体を得て、本願発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜()に存する。
(1) スチールコードの表面が、天然ゴム及び/又は合成ゴムからなり、ゴム中に含まれる(A)カーボンブラックが、ΔD80、ΔD10について、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μm、かつΔD10中心値が、0.1μm以上/0.2μm以下であることを満たし、ゴム成分100質量部に対して30〜60質量部含み、(B)ビスマレイミド、(C)アルキリデンヒドラジド、(D)ジスルファン、(E)カルボン酸ヒドラジド、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンからなるカーボンブラックカップリング剤より選ばれた少なくとも1種の化合物、有機酸コバルト塩(H)を0〜5質量部含むゴム組成物にて被服されていることを特徴とするゴムースチールコード複合体。
ここで、ΔD80、ΔD10とはそれぞれJIS K6217−6に準ずるディスク遠心沈降式粒度分布測定により得られた凝集体質量分布曲線における、頻度の高さが最大点の80%、10%のときの分布の幅であり、ΔD10中心値とは前記10%での分布の中心値を示す。
(2) スチールコードの表面が、天然ゴム及び/又は合成ゴムからなり、ゴム中に含まれる(A)カーボンブラックが、ΔD80、ΔD10について、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μm、かつΔD80中心値が、0.03μm以上/0.15μm以下であることを満たし、ゴム成分100質量部に対して30〜60質量部含み、(B)ビスマレイミド、(C)アルキリデンヒドラジド、(D)ジスルファン、(E)カルボン酸ヒドラジド、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンからなるカーボンブラックカップリング剤より選ばれた少なくとも1種の化合物、有機酸コバルト塩(H)を0〜5質量部含むゴム組成物にて被服されていることを特徴とするゴム−スチールコード複合体。
ここで、ΔD80、ΔD10とはそれぞれJIS K6217−6に準ずるディスク遠心沈降式粒度分布測定により得られた凝集体質量分布曲線における、頻度の高さが最大点の80%、10%のときの分布の幅であり、ΔD80中心値とは前記80%での分布の中心値を示す。
(3) 前記スチールコードがコードの周面にブラスめっきを施したスチールコードであって、次いで伸線加工を施したのち、該スチールワイヤの表面を、遷移金属を塩として含む水溶液にて洗浄することによって、表面における、ZnおよびCuを除く遷移金属の濃度が0.01質量%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のゴム−スチールコード複合体。
ここで表面における濃度とはJIS K0167に従い、X線光電子分光法によって測定した表面組成の数値を示す。
(4) 前記有機酸コバルト塩(H)が0部であることを特徴とする(1)〜()のいずれか1つに記載のゴムースチールコード複合体。
(5) ゴムの25℃におけるJIS K6251に基づく100%伸長引張応力M100が3.0〜6.5MPaであることを特徴とする(1)〜()のいずれか1つに記載のゴム−スチールコード複合体。
(6) カーボンブラックカップリング剤が式(I)で表される(B)ビスマレイミド、式(II)又は(III)で表される(C)アルキリデンヒドラジド、式(IV)で表される(D)ジスルファン、式(V)で表される(E)カルボン酸ヒドラジド、式(VI)で表される(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、式(VII)で表される(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンよりなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする(1)〜()のいずれか1つに記載のゴム−スチールコード複合体。
Figure 0006356007
一般式(I)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、又は炭素数7〜24の2価のアルキル芳香族炭化水素基、x、yはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。
Figure 0006356007
一般式(II)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、炭素数0〜18の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素から任意の位置の水素2つを除いてなる2価の炭化水素基、カルボニル基より選んだ1種である。一般式(III)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族基であり、Rの置換基Xはヒドロキシル基、アミノ基より選ばれる1種、又はRがピリジンジイル基、Xが水素原子であり、R−Xとしてピリジル基をなす。一般式(II)および(III)に共通し、R〜Rは水素及び炭素数1〜18の、直鎖、分岐、環状アルキル基、又は芳香族基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
Figure 0006356007
一般式(IV)中、Rはチオカルバモイル基、またはベンズイミダゾール基やグアニジン基に連なる、炭素数2〜8の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアルキル基、アシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基のいずれかである。チオカルバモイル基は炭素数6〜10の直鎖、分岐、脂環式アルキル基や芳香族置換されたアリールアルキル基のいずれかを有する。ベンズイミダゾール骨格の炭素原子や窒素原子上の水素は、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基のいずれかで置換されていてもよい。グアニジン基は炭素数1〜8の直鎖、分岐、脂環式アルキル基やアリール基のいずれかで置換されていてもよい。
Figure 0006356007
一般式(V)中、Rはベンズイミダゾール基やグアニジン基に連なる、炭素数2〜8の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアルキル基、アシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基のいずれかである。ベンズイミダゾール骨格の炭素原子や窒素原子上の水素は、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基のいずれかで置換されていてもよい。グアニジン基は炭素数1〜8の直鎖、分岐、脂環式アルキル基やアリール基のいずれかで置換されていてもよい。
Figure 0006356007
(7) 前記(B)〜(G)から少なくとも1つが選ばれる、カーボンカップリング剤を0.05〜10質量部含むことを特徴とする(1)〜()の何れか1つに記載のゴム−スチールコード複合体。
(8) 前記(1)〜()のいずれか1つに記載のゴム−スチールコード複合体を用いたタイヤ。
(1)〜(4)によれば、本発明に規定されている、粒度分布を備えたカーボンブラックを、スチールコードコーティングゴム成分中に良好に分散させることができ、その結果、良好にバランスした接着性と耐亀裂性を備えた、ゴム−スチールコード複合体が得られる。
(5)および(6)によれば、スチールコードコーティングゴム成分中の有機酸コバルト塩の配合量を削減又は、使用せずに効果的に接着性の改善が可能であり、(1)の特異な分布挙動を示すカーボンブラックとカーボンブラックカップリング剤で耐亀裂性の改善を、より効果的なものとすることができる。
(7)によれば、(1)〜(6)により得られたスチールコードコーティングゴムに適した強度が示される。
(8)によれば、カーボンブラックカップリング剤において、好ましい化合物が選択できる。さらに(9)によれば、その適切な配合量が示される。
(10)によれば、上記(1)〜(9)で得られた、接着性、耐亀裂性に優れたゴム−スチールコード複合体を用いたタイヤが提供される。
図1は、模式的に表した凝集体質量分布曲線と、カーボンブラックの粒度のパラメータを示したものである。
本発明においては、ゴム組成物に配合される、(A)カーボンブラックが、ディスク遠心沈降式粒度分布測定における、図1で模式的に表される凝集体質量分布曲線においてそれぞれ示されている粒度分布の幅である、ΔD80、ΔD10について、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μm、かつΔD10中心値が、0.1μm以上/0.2μm以下、またはΔD80中心値が、0.03μm以上/0.15μm以下であることを満たすことを特徴とする。
上記、粒度分布ΔD80、ΔD10が、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、かつ0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μmを満たすようにするには、ブレンドの場合、大粒度側についてはASTMのコードにおいて、N600〜N800のカーボンブラックと、小粒度側についてN300〜N400のカーボンブラックを、練り中に同時に投入する、事前にカーボンのみをブレンド(プリブレンド)したものを練り中に投入する、大粒度のカーボンを含むゴム組成物と小粒度のカーボンを含むゴム組成物を混練りすることで、配合するが、条件を満たす分布については、大粒度、小粒度の分布が判明している2種のカーボンブラックの、各々の配合比におけるシミュレーションした結果などに従って配合することで得ることができる。
スチールコードコーティングゴムに配合する場合、粒度分布ΔD10が0.2μm以下の粒度分布の場合、接着性には優れるが耐亀裂性は不十分であり、一方ΔD10が0.6μm以上の場合も接着性は十分であるが耐亀裂性が低下する。またΔD80が0.06μm以上の場合も、接着性は満たすが耐亀裂性が低下する。そしてΔD80が0.01μm以下の物を生産するにはコスト面で多大なデメリットがあり、効果が期待できない。
さらに、カーボンブラックが粒度分布ΔD10について0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.5μmを満たすことが好ましく、0.25μm≦粒度分布ΔD10≦0.45μmを満たすことが、特に好ましい。一方、粒度分布ΔD80は0.03μm≦粒度分布ΔD80≦0.05μmを満たすことが好ましい。粒度分布ΔD10、ΔD80の両方については、0.25μm≦粒度分布ΔD10≦0.45μmかつ0.03μm≦粒度分布ΔD80≦0.05μmが好ましい。一般的には大粒径カーボンを単独で用いた際には耐久性が低下する傾向にあるものを、上記粒度分布挙動を満たすことで耐亀裂性と接着性が高度に両立可能なカーボンブラックとなる。
上記、粒度分布挙動を示すカーボンブラックは、図1で表されているように、その凝集体質量分布曲線においては、最頻値を与える、粒度のピークについてはシャープな分布を示すが、裾において、広がりが見られ、いわゆる裾引き、テーリングした分布挙動を示す。そのため、上記のような極端に異なる、ΔD10とΔD80の数値範囲となる。一見して、必ずしも2峰性、或いはそれ以上の多峰性を示している様に見えるとは限らないが、単一成分ではないことが明らかな分布挙動を示す。
また、図1において示されているΔD10中心値が、0.1μm以上/0.2μm以下であることにより、特に耐亀裂性の改善が見られる傾向がある。このΔD10中心値を満たすようにするには、大粒径と小粒径のカーボンブラックが、適宜共存することで、条件を満たすことができる。同様にΔD80中心値が0.03μm以上/0.15μm以下である場合も、耐亀裂性能が好ましい。
通常、上記のような本発明に適した粒度分布挙動を示す(A)カーボンブラックは、ブレンドによって得るのが容易であると考えられるが、場合によっては製造炉での燃焼条件の調整により、単一の工程で得られたものであっても、粒度分布の条件を満たすものであれば、使用することができる。また、幅広い分布を持ったカーボンブラックから、特定の粒度領域を不完全に除くことでも得ることができ、粒度分布の条件を満たせば、本発明に使用することができる。
上記、条件を満たすように混合或いは分別された、もしくは、一工程から製造された本発明に使用するカーボンブラックを、ゴム成分100質量部に対し、20〜110質量部添加することで本発明に使用するゴム組成物が得られる。この場合、粒度分布において、ΔD10、ΔD80の条件を満たすカーボンブラックが、2種のカーボンブラックを混合して成るものである場合、使用においてあらかじめ混合しておくことは必須でなく、上記条件を満たす、混合比配分があらかじめ判明している場合に、2種のカーボンブラックのそれぞれの必要質量部を、ゴム成分100質量部に対し、合計で20〜110質量部となるように、ゴム成分への添加時に、2種のカーボンブラックを個々に同時、或いは、時間差を伴って添加してもよい。又、各々のカーボンブラックをゴム成分に添加し混練したものを、さらに合わせて混練してもよい。
上記とは逆に、分散性を考慮して、あらかじめ2種のカーボンブラックを混合したプリブレンドを、調製して用いる場合には、混合・撹拌等において、乾式、湿式をはじめ種々の方法を用いることができるが、その工程において、特に大粒度成分のストラクチャが破壊され、粒度変化をきたさない程度に、また粒度変化をきたし難い方法を用いて、行うことが好ましい。
上記、粒度分布において、ΔD10、ΔD80の条件を満たす(A)カーボンブラックの添加量は、ゴム成分100質量部に対して、20〜110質量部配合することができ、30〜60質量部が好ましく、40〜60質量部が特に好ましい。
次に本発明におけるゴム組成物は、カーボンブラックカップリング剤として、(B)ビスマレイミド化合物、(C)アルキリデンヒドラジド化合物、(D)ジスルファン化合物、(E)カルボン酸ヒドラジド、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンよりなる群より、選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする。
本発明において、ゴム組成物に配合できる、(B)ビスマレイミド化合物は下記一般式(I)で表される化合物である。
Figure 0006356007

一般式(I)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、又は炭素数7〜24の2価のアルキル芳香族炭化水素基、x、yはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。
本発明に、用いることができる(B)ビスマレイミド化合物としては、N,N′−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N′−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン等を例示でき、ゴム組成物中に、これらを1種以上含むことができる。特にN,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミドが好適に使用できる。
本発明において、ゴム組成物に配合できる、(C)アルキリデンヒドラジド化合物は下記一般式(II)〜(III)で表される化合物である。
Figure 0006356007

一般式(II)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族基、炭素数0〜18の飽和又は不飽和直鎖状炭化水素から、任意の位置の水素2つを除いてなる2価の炭化水素基、カルボニル基より選んだ1種である。一般式(III)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族基であり、Rの置換基Xはヒドロキシル基、アミノ基より選ばれる1種、又はRがピリジンジイル基、Xが水素原子であり、R−Xとしてピリジル基をなす。一般式(II)および(III)に共通し、R〜Rは水素及び炭素数1〜18の、直鎖、分岐、環状アルキル基、又は芳香族基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
本発明に、用いることができる(C)アルキリデンヒドラジド化合物としては、一般式(II)で表されるものとして、N,N′−ジ(1−メチルエチリデン)−イソフタル酸ジヒドラジド、N,N′−ジ(1−メチルエチリデン)−アジピン酸ジヒドラジド、N,N′−ジ(1−メチルプロピリデン)イソフタル酸ジヒドラジド、N,N′−ジ(1−メチルプロピリデン)−アジピン酸ジヒドラジド、N,N′−ジ(1,3−ジメチルプロピリデン)−イソフタル酸ジヒドラジド、N,N′−ジ(1,3−ジメチルプロピリデン)−アジピン酸ジヒドラジド、N,N′−ジ(1−フェニルエチリデン)−イソフタル酸ジヒドラジド、N,N′−ジ(1−フェニルエチリデン)−アジピン酸ジヒドラジドや、テレフタル酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イコサノイックジカルボン酸ジヒドラジド、炭酸ジヒドラジドのアルキリデン誘導体、等が挙げられる。また、一般式(III)で表されるものとしては、3−ヒドロキシ−N−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N−(1,3−ジメチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド等の3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジドのアルキリデン誘導体の他に、サリチル酸ヒドラジド、4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、アントラニル酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジドのアルキリデン誘導体などが挙げられる。また、一般式(III)において、R−Xとしてピリジル基をなす場合として表されるものとしては、N−(1−メチルエチリデン)−イソニコチン酸ヒドラジド、N−(1−メチルプロピリデン)−イソニコチン酸ヒドラジド、N−(1,3−ジメチルプロピリデン)−イソニコチン酸ヒドラジド、N−(1−フェニルエチリデン)−イソニコチン酸ヒドラジド等のイソニコチン酸ヒドラジドのアルキリデン誘導体、等が挙げられる。
本発明に用いることができる(D)ジスルファン化合物とは、2つのつながった硫黄原子を構造に含むものであり、命名法によってはジスルフィドと命名されてもよい化合物である。下記に示す一般式(IV)で表される。
Figure 0006356007

一般式(IV)中、Rはチオカルバモイル基、またはベンズイミダゾール基やグアニジン基に連なる、炭素数2〜8の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアルキル基、アシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基のいずれかである。チオカルバモイル基は炭素数6〜10の直鎖、分岐、脂環式アルキル基や芳香族置換されたアリールアルキル基のいずれかを有する。ベンズイミダゾール骨格の炭素原子や窒素原子上の水素は、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基のいずれかで置換されていてもよい。グアニジン基は炭素数1〜8の直鎖、分岐、脂環式アルキル基やアリール基のいずれかで置換されていてもよい。
一般式(IV)で表されるものとして、Rが置換されたチオカルバモイル基である、テトラ(アルキル)チウラムジスルフィド、テトラ(アリールアルキル)チウラムジスルフィド等が挙げられる。また、Rがベンズイミダゾール基や、炭素数1〜8の直鎖、分岐、脂環式アルキル基やアリール基で置換されたグアニジン基に連なった、炭素数2〜8の直鎖又は分岐のアルキル鎖部分を有するアルキル基、アシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基である、N,N’−ジ−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−ω,ω’−ジスルファンジイルジアルカンアミン、N,N’−ジ−(ベンズイミダゾール−2−イル)−ω,ω’−ジスルファンジイルジアルカンアミド、ビス[ω−(ベンゾイミダゾール−1−イル)−ω−オキソアルキル]ジスルファン、ビス[ω−(2,3−ジフェニルグアニジノ)アルキル]ジスルファンや、前記化合物のベンズイミダゾール上の炭素原子又は窒素原子上の水素原子が炭素数1〜4の直鎖、または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基のいずれかで置換されていてもよい。
本発明に用いることができるカルボン酸ヒドラジド化合物(E)とは下記、一般式(V)で表されるものである。
Figure 0006356007

一般式(V)中、Rはベンズイミダゾール基やグアニジン基に連なる、炭素数2〜8の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアルキル基、アシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基のいずれかである。ベンズイミダゾール骨格の炭素原子や窒素原子上の水素は、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基のいずれかで置換されていてもよい。グアニジン基は炭素数1〜8の直鎖、分岐、脂環式アルキル基やアリール基のいずれかで置換されていてもよい。
一般式(V)で表される、(E)カルボン酸ヒドラジドは、前記で述べた(C)アルキリデンヒドラジドとは区別しているが、C=N2重結合を有しない。炭素数2〜8の直鎖アルキル鎖部分を有するカルボン酸から誘導され、ヒドラジンの片側の窒素原子にアシル基か結合したカルボン酸アミドであり、特に本願で用いたものはアルキル鎖部分に、直接または窒素原子を介して、5員環部分の炭素又は窒素で結合したベンズイミダゾール基やグアニジン基を有するものを用いる。また、該ベンズイミダゾール基の炭素原子や窒素原子上の水素原子が、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基で置換されていてもよい。具体的な化合物としては2−[(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)アミノ]アセトヒドラジド、2−(2−アミノ−ベンゾイミダゾール−1−イル)アセトヒドラジド等が挙げられる。
Figure 0006356007
上記(B)〜(E)に加え、式(VI)で表される(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、式(VII)で表される(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンもカーボンブラックカップリング剤として、用いることができる。
(B)ビスマレイミド化合物、(C)アルキリデンヒドラジド化合物、(D)ジスルファン化合物、(E)カルボン酸ヒドラジド化合物、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンから少なくとも1つが選択されるカーボンブラックカップリング剤の合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して、0.05〜10質量部であることを特徴とする。0.05質量部以上で効果が現れ、10質量部以下にすることで接着性が良好な範囲で使用できる。0.05〜6質量部で用いるのが好ましく、1〜6質量部がさらに好ましく、1〜2質量部が特に好ましい。これら(B)〜(G)から少なくとも1つが選択されるカーボンブラックカップリング剤は、粒度分布において、ΔD10、ΔD80の条件を満たす(A)カーボンブラックを、ゴム組成物に配合して混練する際に、共に配合することが好ましい。この際に、(A)カーボンブラックを、ゴム組成物に配合する際の方法に合わせて、カーボンブラックカップリング剤も配合タイミングや、一括又は分割配合等を、適宜選んで添加することが好ましい。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム(NR)単独、または、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などから選ばれる合成ゴムを、天然ゴム50〜100質量部及び/または合成ゴム0〜50質量部からなる、ゴム100質量部となるように、適宜配合して用いることができる。天然ゴム80〜100質量部が好ましい。
上記のように配合されたゴム組成物において、25℃におけるJIS K6251に基づく100%伸長引張応力M100は3.0〜6.5MPaである。引張応力がこの範囲にあれば、コーティングゴムとして用いた場合、歪み等が抑えられ、耐亀裂性が使用に適した範囲となる。
次に、上記得られた、スチールコードコーティングゴム用組成物は、ブラスめっきしたスチールコードを被覆するのに用いられるが、スチールコードを構成するスチールワイヤをあらかじめ表面処理することにより、上記ゴム組成物が、その優れた耐亀裂性を損なうことなく、効果を発揮することができる。なお、スチールワイヤをより合わせたものがスチールコードである。
すなわち、ブラスめっきしたスチールコードにおいてブラスめっき表面に存在する銅と、加硫による硫黄の結合生成により、コーティングゴムとスチールコードが強固に接着されるが、実際の工程において、伸線加工に引き続いて、遷移金属塩水溶液で洗浄することにより、[1]接着阻害成分の除去、[2]接着プロモーターの効果的な導入を図ることができる。
[1]接着阻害成分の除去とは、主に伸線加工の際、潤滑剤に含まれるリン酸化合物に極圧高温条件下でさらされることで、リン酸化合物系の被膜が生成し、これが銅−硫黄結合生成を阻害する要因となる。また、ブラスめっき中の亜鉛も酸化されて酸化亜鉛被膜を形成すると接着を阻害する。よって、そのような接着阻害要因を除去することで接着効果の低下が防止できるが、遷移金属の有機酸塩水溶液での洗浄が、接着阻害成分の被膜除去に有効である。
[2]接着プロモーターの効果的な導入とは、遷移金属塩水溶液で洗浄を経たブラスめっきの表面には、遷移金属塩が残留し、この残渣が銅と硫黄の結合生成を促す接着プロモーターとして作用するものである。これは従来、ゴム組成物の方に遷移金属塩、特に典型的なものとしてはコバルト塩を配合することにより、その作用が得られていたものである。
ここでいう、遷移金属とは周期律表、第4周期のスカンジウム:Scから亜鉛:Zn、第5周期のイットリウム:Yからカドミウム:Cd、第6周期のランタン:Laから水銀:Hgまでの金属元素を指す。
典型的にはコバルト塩が有用であり、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、クエン酸コバルト、グルコン酸コバルトおよびアセチルアセトナトコバルトなどから少なくとも1種が選択されるコバルト塩の水溶液を用いることができる。その他遷移金属塩を含む水溶液として、鉄:Feや銀:Agの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩の内、可溶性のものを用いることができる。また、当然ながら、ブラスめっき中に含まれる亜鉛や、さらに加えて接着反応そのものの対象である銅の塩は含まない。
また、上記、遷移金属塩の水溶液のpHは5〜8程度の範囲が好ましい。水溶液がこの範囲を外れると、めっきに悪影響が及びゴムとの接着性が低下する。また、pHを5〜8程度の中性付近にすれば、環境負荷が小さく、製造時の使用者への曝露に対する、安全性や試薬安全性の面からも好ましい。
なお、洗浄条件は、水溶液の濃度に応じて[1]の接着阻害成分除去に必要な洗浄時間を適宜設定すればよい。例えば酢酸コバルト含有水溶液の場合は、10g/lの濃度で洗浄時間は30〜60秒が好ましい条件となる。
上記した遷移金属塩水溶液による洗浄処理を経たスチールコードは、そのブラスめっきの表面に酸化亜鉛層のような酸化物層やリン酸化合物層がなく、めっき表面に0.01質量%以上の銅及び亜鉛を除く遷移金属塩、典型的なものとしてはコバルト塩が存在する状態となる。ここで、コバルトの定量は、JIS K0167に基づく、X線光電子分光法:X−Ray Photoelectron Spectroscopy、XPSによる表面組成の分析によって得られる値である。当然ながら、コバルト以外の金属でも分析は可能である。
上記した洗浄処理を行うことによって、ゴムとの接着阻害成分がないことに加え、接着プロモーターとして機能するコバルトを有するめっき表面が得られる結果、スチールコードのゴムに対する接着性は大幅に改善される。従って、ゴム側に通常配合する接着プロモーターを省略したとしても、スチールコードとゴムとの接着を確実にはかることができる。一方で、従来からゴム側に配合されてきた接着プロモーターを省略できる。ゴム側の接着プロモーターは、スチールコードの表面で接着反応が起こるので、表面近傍の一部を除き反応には寄与しない。余剰な接着プロモーターがコスト増につながるだけならまだしも、ゴム成分中のジエン系ポリマーの攻撃することにより、主鎖の切断などの要因となるので、削減により、ゴムの耐劣化性及び耐亀裂成長性を向上することも可能である。
なお、めっき表面に20質量%を超えるコバルトが存在すると、接着プロモーターとして機能するよりも、むしろゴムとの接着阻害要因として働いてしまうことから、コバルトを始めとする、遷移金属の濃度は20質量%を上限とする。
ここでいう、めっき表面とは、スチールコードを構成する、ワイヤのフィラメントの半径方向内側に、10nm程度までの深さの表層領域である。概ね、X線光電子分光法による分析において、通常の分析条件で、照射した励起X線が到達し得る深度である。この深度までの組成がある程度数値に反映されるが、表面すなわち深度0nmに近い層に存在している元素ほど数値に大きく反映されるものである。この点において「表面組成の分析値」とは「質量%」の単位を用いて表示されるが、照射X線の到達深度までを、仮に削り取って、その中に含まれる元素の存在割合を意味するというものではない。
また、その他の元素において、その表面におけるリン濃度が2.5質量%以下および亜鉛濃度が15質量%以下であることが好ましい。めっき表面におけるリン濃度が2.5質量%を超えると、接着阻害効果が大きくなり、また同様に、亜鉛濃度が15質量%を超えると、接着阻害効果が大きくなり、いずれの場合もゴム中にコバルト塩を配合しないと十分な接着性能が得られないおそれがある。なお、上記、リン濃度、亜鉛濃度とも、コバルトの分析同様、X線光電子分光法により、表面組成を分析した数値である。
以上のような、スチールコード側での表面処理により、通常はコーティングゴムに特徴的に配合する成分である、(H)コバルト塩を配合しないか、または少量配合に抑えることができる。スチールコードの表面処理をしない場合は、5質量部程度までのコバルト塩を配合し、3質量部以下が好ましく、1質量部以下が特に好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記、ゴム成分と、粒度分布においてΔD10、ΔD80の条件を満たすカーボンブラックに加え、ゴム工業で通常使用されている種々の成分を含むことができる。例えば、種々の成分として、充填剤(例えば、シリカ等の補強性充填剤;並びに炭酸カルシウム及び炭酸カルシウムなどの無機充填剤);加硫促進剤;老化防止剤;酸化亜鉛;ステアリン酸;軟化剤;及びオゾン劣化防止剤等の添加剤を挙げることができる。なお、加硫促進剤として、M:2−メルカプトベンゾチアゾール、DM:ジベンゾチアゾリルジスルフィド、CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド及び、DZ:N,N−ジシクロヘキシル−1,3−ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;TT:テトラメチルチウラムスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;並びにDPG:ジフェニルグアニジン等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができる。なお、チウラム系の加硫促進剤を用いる際に、カーボンカップリング剤として(D)ジスルファン系の促進剤である、チウラムジスルフィド類を用いる際は、その加減について考慮されるべきであるし、グアニジン系のものも同様に、(D)ジスルファン系、(E)カルボン酸ヒドラジド系のものにグアニジン基を含む場合はその加減について考慮されるべきである。
さらに、硫黄をゴム成分100質量部に対して1〜10質量部の範囲で配合することができ、1〜7質量部の範囲が好ましく、2〜4質量部の範囲がより好ましい。
本発明に特徴的な、特異な粒度分布挙動を示す、カーボンブラックを用いたゴム組成物は、上記各成分を、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー等により混練することにより、製造することができ、さらにブラスめっきしたスチールコード、特に好ましくは遷移金属塩水溶液で洗浄することにより表面処理した、スチールコードを被覆して、加硫することで低発熱性と耐亀裂性を両立し、さらに接着性、耐久性に優れたゴム−スチールコード複合体が製造される。
本発明のゴム−スチールコード複合体を用いたタイヤは、その低発熱性、耐亀裂性の特徴を生かして、航空機用タイヤを始めとする重荷重用タイヤに用いることができる。
次に、実施例、比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
スチールコードコーティングゴムとして天然ゴム及び/又は合成ゴムからなるポリマー100質量部に対して、表1および表2に示した、様々なΔD10、ΔD80の条件を満たすカーボンブラックやカーボンブラックカップリング剤でゴム組成物を処方し、145℃、90分の条件で加硫して、コーティング用ゴムのサンプルを作成した。また、ブラスめっきのスチールコードに上記、処方したゴム組成物をコーティングしたもの、さらに場合によっては、有機酸コバルト水溶液で表面処理した、ブラスめっきのスチールコードをコーティングしたものを、145℃、90分の条件で加硫して、ゴム−スチールコード複合体を作成した。得られた各々のコーティング用ゴム組成物、およびゴム−スチールコード複合体について発熱性、耐久性について下記評価方法にて評価した。
[弾性率の評価]
上記で作成した、加硫したコーティングゴム用組成物のサンプルを、JIS K6251に基づき、100%伸長引張応力M100を測定した。
[耐亀裂性の評価]
上記で作成した、加硫したコーティングゴム用組成物のサンプルを、引張試験装置(インストロン社製)を使用し、JIS K6252に従い、トラウザ形で引き裂き強度を測定した。実施例1〜15と比較例1〜10は比較例1の値を100とする指数で表したものであり、数値が大きいほど良好である。
[接着性の評価]
上記で作成した、加硫したゴム−スチールコード複合体のサンプルについて、コーティングゴムを引きはがし、FIB−TEMを用いCuおよびSの元素比の定量化により、接着性を評価した。実施例1〜15と比較例1〜10は比較例1の値を100とする指数で表したものであり、数値が大きいほど良好である。
Figure 0006356007
SBR:スチレン−ブタジエンゴム
カーボンブラックカップリング剤
化合物a:N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミド、三井化学(株)製
化合物b:3−ヒドロキシ−N−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド
化合物c:3−ヒドロキシ−N−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド
化合物d:N,N’−ジ(1−メチルエチリデン)−イソフタル酸ジヒドラジド
化合物e:N−(1−メチルエチリデン)−イソニコチン酸ヒドラジド
化合物f:N,N’−ジ−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2,2’−ジスルファンジイルエタンアミン
化合物g:N,N’−ジ−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−3,3’−ジスルファンジイルジプロパンアミド
化合物h:ビス[3−(2−アミノ−ベンゾイミダゾール−1−イル)−3−オキソプロピル]ジスルファン
共通成分の内訳と各々の配合部数、合計で16質量部
ステアリン酸:1質量部
酸化亜鉛:7質量部
老化防止剤:大内新興化学工業製、ノクラック6C、1質量部
加硫促進剤:大内新興化学工業製、ノクセラーDZ、1質量部
N,N−ジシクロヘキシル−1,3−ベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド
硫黄:6質量部
(A)カーボンブラック
・実施例は旭カーボン社製のASTM規格において、N660とN330に相当するカーボンブラック2種をブレンドして作成。
表1において、天然ゴムを用い(A)カーボンブラックがΔD10、ΔD80の条件を満たさず、カーボンブラックカップリング剤を用いない比較例1と2では接着性と耐亀裂性の両立が難しい。(A)カーボンブラックが条件を満たしても、カーボンブラックカップリング剤を用いない比較例3やカーボンブラックカップリング剤を少量用いた比較例4では、同様か又は、改善はみられるものの有効なものではない。カーボンブラックがΔD10、ΔD80の分布幅、ΔD10中心値の条件を満たし、カーボンブラックカップリング剤である(B)マレイミドを添加した実施例1〜4では、接着性、耐亀裂性の向上効果が認められる。さらにカーボンブラックカップリング剤を変えながら検討した、実施例5〜14などもバランスの良い改善傾向がみられる。特にブラスめっきのスチールコードを遷移金属塩水溶液で表面処理した、実施例5や12〜14が好ましい結果を与えている。
本発明を利用すれば、異なる粒度の成分からなる、接着性と耐亀裂性の改善効果に優れた、カーボンブラックが得られ、さらに、(B)〜(G)から少なくとも1つが選択されるカーボンブラックカップリング剤を併用することで、耐亀裂性良好なゴム組成物、およびブラスめっきのスチールコード、特にコバルトを始めとする、遷移金属塩水溶液で表面処理したスチールコードと共に用いて、接着性や耐久性にも優れたゴム−スチールコード複合体が得られる。

Claims (8)

  1. スチールコードの表面が、天然ゴム及び/又は合成ゴムからなり、ゴム中に含まれる(A)カーボンブラックが、ΔD80、ΔD10について、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μm、かつΔD10中心値が、0.1μm以上/0.2μm以下であることを満たし、ゴム成分100質量部に対して30〜60質量部含み、(B)ビスマレイミド、(C)アルキリデンヒドラジド、(D)ジスルファン、(E)カルボン酸ヒドラジド、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンからなるカーボンブラックカップリング剤より選ばれた少なくとも1種の化合物、有機酸コバルト塩(H)を0〜5質量部含むゴム組成物にて被服されていることを特徴とするゴム−スチールコード複合体。
    ここで、ΔD80、ΔD10とはそれぞれJIS K6217−6に準ずるディスク遠心沈降式粒度分布測定により得られた凝集体質量分布曲線における、頻度の高さが最大点の80%、10%のときの分布の幅であり、ΔD10中心値とは前記10%での分布の中心値を示す。
  2. スチールコードの表面が、天然ゴム及び/又は合成ゴムからなり、ゴム中に含まれる(A)カーボンブラックが、ΔD80、ΔD10について、0.01μm≦粒度分布ΔD80≦0.06μm、0.2μm≦粒度分布ΔD10≦0.6μm、かつΔD80中心値が、0.03μm以上/0.15μm以下であることを満たし、ゴム成分100質量部に対して30〜60質量部含み、(B)ビスマレイミド、(C)アルキリデンヒドラジド、(D)ジスルファン、(E)カルボン酸ヒドラジド、(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンからなるカーボンブラックカップリング剤より選ばれた少なくとも1種の化合物、有機酸コバルト塩(H)を0〜5部含むゴム組成物にて被服されていることを特徴とするゴム−スチールコード複合体。
    ここで、ΔD80、ΔD10とはそれぞれJIS K6217−6に準ずるディスク遠心沈降式粒度分布測定により得られた凝集体質量分布曲線における、頻度の高さが最大点の80%、10%のときの分布の幅であり、ΔD80中心値とは前記80%での分布の中心値を示す。
  3. 前記スチールコードがコードの周面にブラスめっきを施したスチールコードであって、次いで伸線加工を施したのち、該スチールワイヤの表面を、遷移金属を塩として含む水溶液にて洗浄することによって、表面における、ZnおよびCuを除く遷移金属の濃度が0.01質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム−スチールコード複合体。
    ここで表面における濃度とはJIS K0167に従い、X線光電子分光法によって測定した表面組成の数値を示す。
  4. 前記有機酸コバルト塩(H)が0部であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム−スチールコード複合体。
  5. ゴムの25℃におけるJIS K6251に基づく100%伸長引張応力M100が3.0〜6.5MPaであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム−スチールコード複合体。
  6. カーボンブラックカップリング剤が式(I)で表される(B)ビスマレイミド、式(II)又は(III)で表される(C)アルキリデンヒドラジド、式(IV)で表される(D)ジスルファン、式(V)で表される(E)カルボン酸ヒドラジド、式(VI)で表される(F)N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ジアミノヘキサン、式(VII)で表される(G)5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリンよりなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム−スチールコード複合体。
    Figure 0006356007
    一般式(I)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、又は炭素数7〜24の2価のアルキル芳香族炭化水素基、x、yはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。
    Figure 0006356007
    一般式(II)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、炭素数0〜18の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素から任意の位置の水素2つを除いてなる2価の炭化水素基、カルボニル基より選んだ1種である。一般式(III)中、Rは炭素数6〜30の2価の芳香族基であり、Rの置換基Xはヒドロキシル基、アミノ基より選ばれる1種、又はRがピリジンジイル基、Xが水素原子であり、R−Xとしてピリジル基をなす。一般式(II)および(III)に共通し、R〜Rは水素及び炭素数1〜18の、直鎖、分岐、環状アルキル基、又は芳香族基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
    Figure 0006356007
    一般式(IV)中、Rはチオカルバモイル基、またはベンズイミダゾール基やグアニジン基に連なる、炭素数2〜8の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアルキル基、アシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基のいずれかである。チオカルバモイル基は炭素数6〜10の直鎖、分岐、脂環式アルキル基や芳香族置換されたアリールアルキル基のいずれかを有する。ベンズイミダゾール骨格の炭素原子や窒素原子上の水素は、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基のいずれかで置換されていてもよい。グアニジン基は炭素数1〜8の直鎖、分岐、脂環式アルキル基やアリール基のいずれかで置換されていてもよい。
    Figure 0006356007
    一般式(V)中、Rはベンズイミダゾール基やグアニジン基に連なる、炭素数2〜8の直鎖又は分岐のアルキル鎖を有するアルキル基、アシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基のいずれかである。ベンズイミダゾール骨格の炭素原子や窒素原子上の水素は、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基やハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基のいずれかで置換されていてもよい。グアニジン基は炭素数1〜8の直鎖、分岐、脂環式アルキル基やアリール基のいずれかで置換されていてもよい。
    Figure 0006356007
  7. 前記(B)〜(G)から少なくとも1つが選ばれる、カーボンカップリング剤を0.05〜10質量部含むことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のゴム−スチールコード複合体。
  8. 前記請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム−スチールコード複合体を用いたタイヤ。
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