JP6354361B2 - フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、フィルム、詳しくは、耐熱性材料や高剛性材料として用いられるフィルムに関する。
従来から、電気・電子機器に用いられるプラスチックフィルムとして、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルイミド、ポリサルホンなどに代表される、耐熱性に優れる、いわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックフィルムが広く採用されている。
しかし、近年の電気・電子機器の小型化、薄型化、高性能化に伴い、フィルムには、耐熱性、耐衝撃性、剛性、成形性などの種々の性能において、より高いレベルが要求されている。
そこで、このような要望に応えるため、例えば、種々の特性を有する2種以上のポリマーをブレンドしてなる下記の組成物やフィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特許文献1には、ポリエーテルイミドと液晶ポリマーとからなる組成物が開示されている。特許文献2には、特定のサーモトロピック液晶ポリエステルと、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリアリレンオキサイド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアリレンスルフィド、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物が開示されている。特許文献3には、液晶ポリマーと、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレートおよびポリフェニレンサルファイドから選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂とのブレンド体から形成されるフィルムが開示されている。
特許文献1〜3に開示の組成物やフィルムは、液晶ポリマーを含有することにより、種々の性能の改良を図っている。
特開昭63−215769号公報 特開平01−252657号公報 特開2004−175995号公報 特表2006−519911号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示の組成物からなるフィルムは、耐熱性、耐衝撃性および剛性の全ての性能を満たすフィルムとしては、実用上十分に満足しておらず、より一層の改良が求められている。
具体的には、特許文献1に開示の組成物からなるフィルムは、耐熱性、剛性には優れるものの、耐衝撃性においては実用上より一層の改良が必要である。特許文献2に開示の組成物からなるフィルムは、耐熱性や耐衝撃性に劣り、特許文献3に開示のフィルムは、耐衝撃性に劣る。
ところで、液晶ポリマーを含有するポリマーブレンドとしては、例えば、特許文献4に、芳香族スルホンポリマーに、フルオロカーボンポリマー、および、任意の添加剤としての液晶ポリマーを含有するポリマーブレンドが提案されている。
しかしながら、特許文献4に開示の内容は、フルオロカーボンポリマーの添加によって芳香族スルホンポリマー組成物の溶融粘度を低下させて、成形性を向上させる技術であり、機械物性を向上させる開示はない。実施例では、むしろ液晶ポリマーを添加すると、成形性(溶融粘度)の低下が示されている。
本発明の目的は、良好な剛性および耐熱性とともに、優れた耐衝撃性を備えるフィルム、および、そのフィルムからなるマトリックス材料を提供することにある。
本発明のフィルムは、下記構造式(1)の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、および、液晶ポリマーを含有し、前記ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および前記液晶ポリマーの合計量に対する、前記液晶ポリマーの含有割合が、3質量%以上25質量%以下であることを特徴としている。
Figure 0006354361
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、−O−、−SO−、−S−、または、−C(=O)−を示す。ただし、R〜Rの少なくとも1つは、−SO−を示し、かつ、R〜Rの少なくとも1つは、−O−を示す。Ar〜Ar は、それぞれ独立に、6〜24の炭素原子を有するアリーレン基を示す。aは、0または1を示し、bは、0または1を示す。)
本発明のフィルムでは、前記液晶ポリマーが、芳香族縮合環含有モノマーを含むモノマー成分から得られる全芳香族ポリエステルであることが好適である。
本発明のフィルムでは、JIS K 7196に基づいて測定される軟化温度が、200℃以上であることが好適である。
本発明のフィルムでは、JIS K 7127に基づいて測定される縦方向の引張弾性率が、2800MPa以上であることが好適である。
本発明のマトリックス材料は、繊維強化プラスチックを製造するために用いられ、上記のフィルムからなることを特徴としている。
本発明のフィルムおよびマトリックス材料は、良好な剛性および耐熱性とともに、優れた耐衝撃性を備える。
本発明のフィルムは、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および液晶ポリマーを含有する樹脂組成物からフィルム形状に形成されている。
本発明で用いるポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、その構造単位に芳香核結合、スルホン結合、エーテル結合およびビフェニル結合を含む熱可塑性樹脂であり、具体的には、下記構造式(1)の繰り返し単位を有する芳香族ポリサルホン樹脂である。
Figure 0006354361
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−O−、−SO−、−S−、または、−C(=O)−を示す。ただし、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、−SO−を示し、かつ、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、−O−を示す。
は、好ましくは、−O−または−SO−を示し、より好ましくは、−SO−を示す。
は、好ましくは、−O−または−SO−で示し、より好ましくは、−O−を示す。
は、好ましくは、−O−または−SO−を示す。
は、好ましくは、−O−または−SO−を示し、より好ましくは、−O−を示す。
Ar、ArおよびArのそれぞれは、6〜24の炭素原子を有するアリーレン基を示す。
Ar、ArおよびArのそれぞれの炭素原子数は、例えば、6以上24以下であり、好ましくは、6以上12以下である。
Ar、ArおよびArにおけるアリーレン基は、置換基を有していてもよく、また、置換基を有していなくてもよい。好ましくは、アリーレン基は置換基を有しない。
上記置換基としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、例えば、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基などが挙げられる。
Ar、ArおよびArとしては、それぞれ、好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基などが挙げられ、より好ましくは、フェニレン基が挙げられる。
aは、0または1を示し、好ましくは、1を示す。
bは、0または1を示し、好ましくは、0を示す。
構造式(1)の繰り返し単位数(重合度)は、例えば、1以上100以下の整数である。好ましくは、機械物性確保の点から、20以上50以下の整数である。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、分子構造中に、構造式(1)を備えていればよく、本発明の効果を損なわない範囲で、構造式(1)以外の繰り返し単位を備えることもできる。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂における構造式(1)の繰り返し単位が占める割合は、全繰り返し単位に対して、例えば、50モル%を超過し、好ましくは、60モル%以上、より好ましくは、70モル%以上であり、また、例えば、100モル%以下である。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、180℃以上、好ましくは、190℃以上、より好ましくは、200℃以上であり、また、例えば、300℃以下、好ましくは、280℃以下、より好ましくは、260℃以下である。ガラス転移温度が上記下限以上であると、フィルムが、実用上十分な耐熱性を備える。一方、ガラス転移温度が上記上限以下であると、フィルムの二次加工時において過剰な加熱を不要とすることができる。
ガラス転移温度は、JIS K 7121(2012年)に準じて、加熱速度10℃/分の条件で、示差走査熱量計を用いて測定することにより求めることができる。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、好ましくは、下記構造式(2)の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂が挙げられる。
Figure 0006354361
樹脂組成物(ひいては、フィルム)が構造式(2)の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂を含有することにより、製膜加工性、フィルムの耐熱性、耐衝撃性などの点で良好となる。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、公知の製法により得ることができる。具体的には、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、例えば、米国特許第3,634,355号、米国特許第4,008,203号、米国特許第4,108,837号、米国特許第4,175,175号などの明細書に詳述されている方法により製造することができる。
また、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、市販品を用いることもできる。特に、構造式(2)の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂としては、具体的には、ソルベイアドバンストポリマーズ社製の商品名「レーデルR」シリーズ、BASF社製の商品名「ウルトラゾーンP」シリーズなどが挙げられる。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂は、1種単独で使用してもよく、または2種以上を混合して使用してもよい。
液晶ポリマーは、液晶性を有するポリマー(特に、流動性を備えている時に配向性を備えるポリマー)であればよく、好ましくは、全芳香族ポリエステルが挙げられる。
全芳香族ポリエステルを得るためのモノマーとしては、例えば、芳香族縮合環含有モノマー、芳香族単環含有モノマーなどが挙げられる。これらのモノマーは、エステル結合可能なヒドロキシル基および/またはカルボキシル基を複数(特に2つ)備える。
芳香族縮合環含有モノマーとしては、好ましくは、例えば、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのナフタレン系モノマーが挙げられる。
芳香族単環含有モノマーとしては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸などのベンゼン系モノマー、例えば、4,4´−ビフェノールなどのビフェノール系モノマーが挙げられる。
特に好ましくは、全芳香族ポリエステルは、4−ヒドロキシ安息香酸を含むモノマー成分の重合により得られる4−ヒドロキシ安息香酸系ポリエステルが挙げられる。
4−ヒドロキシ安息香酸系全芳香族ポリエステルとしては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸のみからなるモノマー成分の重合により得られる4−ヒドロキシ安息香酸ホモポリマー;例えば、4,4´−ビフェノール、ヒドロキノン、テレフタル酸などの直線型芳香族モノマーと、4−ヒドロキシ安息香酸とを含有するモノマー成分の重合により得られる直線型芳香族ポリエステルポリマー;例えば、イソフタル酸などのベント型芳香族モノマーと、4−ヒドロキシ安息香酸とを含有するモノマー成分の重合により得られるベント型芳香族ポリエステルポリマー;例えば、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのクランクシャフト型芳香族モノマーと、4−ヒドロキシ安息香酸とを含有するモノマー成分の重合により得られるクランクシャフト型芳香族ポリマー;などが挙げられる。
これらの全芳香族ポリエステルは、液晶ポリマーの特性を損なうことなく、低融点化による加工性の向上の点から、ポリエチレンテレフタレートユニットをさらに導入することもできる。
さらには、全芳香族ポリエステルを得るためのモノマー成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外のモノマーを含んでいてもよい。
全芳香族ポリエステルは、好ましくは、芳香族縮合環含有モノマーを含むモノマー成分の重合により得られる全芳香族ポリエステルであり、より好ましくは、芳香族縮合環含有モノマーおよび4−ヒドロキシ安息香酸を含むモノマー成分の重合により得られる全芳香族ポリエステルが挙げられ、最も好ましくは、クランクシャフト型芳香族モノマーと4−ヒドロキシ安息香酸とを含有するモノマー成分の重合により得られるクランクシャフト型芳香族ポリマーが挙げられる。フィルムが、このような全芳香族ポリエステルを含有することにより、耐熱性、加工性などがより一層良好となる。
また、液晶ポリマーが4−ヒドロキシ安息香酸系全芳香族ポリエステルである場合(ホモポリマーは除く)、4−ヒドロキシ安息香酸と、それ以外の芳香族モノマー(例えば、芳香族縮合環含有モノマー)とのモル比(4−ヒドロキシ安息香酸/それ以外の芳香族モノマー)は、例えば、10/90〜90/10、好ましくは、60/40〜90/10である。
液晶ポリマーとしては、市販品を用いることもでき、例えば、住友化学社製の商品名「スミカスーパーLCP」シリーズ、SOLVAY社製の商品名「XYDER」シリーズ、セラニーズ社の商品名「VECTRA」シリーズ、上野製薬社製の商品名「UENOLCP」シリーズなどが挙げられる。
液晶ポリマーは、1種単独で使用してもよく、または2種以上を混合して使用してもよい。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および液晶ポリマーの合計量に対する、液晶ポリマーの含有割合は、3質量%以上、25質量%以下である。好ましくは、5質量%以上であり、また、好ましくは、15質量%以下、より好ましくは、8質量%以下である。液晶ポリマーの含有割合を上記範囲とすることにより、製膜加工性を容易にでき、さらに、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂が本来有する耐熱性および耐衝撃性の低下を抑制しつつ、剛性を向上することができる。すなわち、液晶ポリマーの含有割合が3質量%を下回ると、液晶ポリマーを含有する効果が発揮されない。一方、液晶ポリマーの含有割合が25質量%を上回ると、製膜加工性が低下し、フィルムに成形することが困難となる。また、たとえフィルムに成形した場合においても、フィルムの耐衝撃性などが劣る。
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および液晶ポリマーの合計量に対する、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の含有割合は、例えば、75質量%以上、好ましくは、85質量%以上、より好ましくは、92質量%以上であり、また、例えば、97質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。
樹脂組成物(ひいては、フィルム)における、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および液晶ポリマーの合計量の含有割合は、例えば、90質量%以上、好ましくは、95質量%以上、より好ましくは、99質量%以上であり、また、例えば、100質量%以下である。
なお、樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および液晶ポリマー以外の樹脂、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などの各種熱可塑性エラストマーを含有することができる。また、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、染料などの添加剤を含有するもできる。
ただし、樹脂組成物は、好ましくは、フルオロカーボンポリマーなどのフッ素樹脂を実質的に含有しない。
これにより、フィルムの加工時および燃焼時などにおいて、フッ素ガスの発生を防止して、作業性および安全性の向上を図ることができる。
フッ素樹脂を実質的に含有しないとは、樹脂組成物中におけるフッ素樹脂の含有割合が、例えば、1.0質量%未満、好ましくは、0.1質量以下である。
樹脂組成物は、上記成分(ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、液晶ポリマー、および、必要に応じて添加される添加剤)を上記の割合でドライブレンドなどによって混合することにより調製される。
本発明のフィルムは、樹脂組成物からフィルム形状(シート形状)に成形することにより製造される。
フィルムの製造方法においては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を、無延伸シートまたは延伸シートとして製造することができる。本発明のフィルムは、二次加工性の観点から、好ましくは、無延伸シートとして製造される。
無延伸シートは、例えば、樹脂組成物を溶融混合する工程、溶融混合された樹脂組成物を押出成形する工程、および、成形された樹脂組成物を冷却する工程により得られる。
溶融混合には、単軸押出機、二軸押出機などの公知の混合機を用いることができる。
樹脂組成物の溶融温度は、樹脂の種類、混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜決定されるが、例えば、360℃以上、好ましくは、380℃以上であり、また、例えば、420℃以下、好ましくは、400℃以下である。
押出成形は、例えば、Tダイなどの金型を用いて、樹脂組成物を押出成形する。
押出成形された樹脂組成物を冷却するには、例えば、冷却されたキャストロールなどの冷却機に、樹脂組成物を接触させ、急冷する。これにより、樹脂組成物が固化され、無延伸シートが得られる。
冷却温度は、溶融温度よりも低温であれば限定されないが、例えば、300℃以下、好ましくは、250℃以下であり、また、例えば、100℃以上、好ましくは、150℃以上である。
なお、無延伸シートとは、シートの強度を高める目的で、積極的に延伸しないシートであるが、ここでは、押出成形時に延伸ロールによって2倍未満に延伸されたシートも無延伸シートに含むものとする。
このようにして得られる本発明のフィルムの縦方向(MD方向、金型からの樹脂組成物の押出方向)における引張弾性率は、例えば、2,800MPa以上、好ましくは、3,000MPa以上、より好ましくは、3,500MPa以上であり、また、例えば、8,000MPa以下である。
本発明のフィルムの引張弾性率が上記下限以上であると、フィルムを薄肉化した場合においても取扱いが容易であり、また、電子機器内部などに実装した場合においても形状安定性が優れる。
本発明のフィルムの引張弾性率は、JIS K 7127(1999年)に基づいて測定される。
フィルムの厚さが0.1mmとした場合における−20℃での破壊エネルギーは、例えば、30kgf・mm以上、好ましくは、50kgf・mm以上、より好ましくは、100kgf・mm以上である。
破壊エネルギーが上記下限以上であると、フィルムの加工時や使用時における破損を抑制できる。また、フィルムを薄肉化できるため、省スペース化および省資源化が可能となる。
破壊エネルギーは、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本発明のフィルムの軟化温度は、例えば、180℃以上、好ましくは、190℃以上、より好ましくは、200℃以上である。
本発明のフィルムの軟化温度が上記下限以上であると、熱変形が抑制されるため、耐熱性および耐久性に優れる。
本発明のフィルムの軟化温度は、JIS K 7196(2012年)に基づいて測定される。
本発明のフィルムは、剛性、耐衝撃性および耐熱性が要求される種々の分野に好適に用いられる。具体的には、電気・電子機器に搭載するフィルム、繊維強化プラスチックのマトリックス材料などに用いることができる。
電気・電子機器に搭載するフィルムとして使用する場合、モーター用絶縁フィルム、マイクロモーター用スラストワッシャー、TABスペーサーテープ、コンデンサー、トランス、プリント基板などの用途などが好適に挙げられる。
繊維強化プラスチックのマトリックス材料として使用する場合、マトリックス材料が含浸される繊維としては、公知または市販のものが挙げられ、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ポリマー繊維(アラミド繊維、ポリエチレン繊維など)、金属繊維(アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維など)などが挙げられる。好ましくは、炭素繊維が挙げられる。
繊維強化プラスチックは、例えば、繊維ペーパーなどの繊維が一方向に配向した繊維フィルムと、本発明のフィルムとを熱プレスすることにより製造することができる。
本発明のフィルムを用いて繊維強化プラスチックを製造すると、フィルムを形成する樹脂組成物が、繊維フィルムの内部に効率的にかつ均一に含浸することができるため、剛性、耐衝撃性および耐熱性に優れた繊維強化プラスチックを得ることができる。
また、本発明のフィルムは、繊維強化プラスチック以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層を積層してなる多層フィルムとすることもできる。多層化の方法については、公知の方法、例えば、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネートなどの方法を用いることができる。
なお、一般的に「フィルム」とは、長さおよび幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K 6900(1994年))。他方、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。以下に示す実施例の数値は、上記の実施形態において記載される数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
(実施例1)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂(下記)および液晶ポリマー(下記)を95:5の質量割合でドライブレンドして、樹脂組成物を得た。
次いで、樹脂組成物を、40mmφ単軸押出機を用いて380℃で混練した後、Tダイより押出成形した。続いて、押出成形された樹脂組成物(フィルム形状)を約200℃のキャスティングロールにて急冷することにより、厚み0.1mmの実施例1のフィルムを製造した。
・ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂:商品名「ウルトラゾーンP3010N」、上記構造式(2)の樹脂、Tg:220℃、BASF社製
・液晶ポリマー:商品名「Vectra A950」、4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ヒドロキシナフトエ酸との重合物(4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ヒドロキシナフトエ酸=73モル%/27モル%)、セラニーズ社製
(実施例2)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および液晶ポリマーの混合質量比を90:10とした以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2のフィルムを製造した。
(実施例3)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および液晶ポリマーの混合質量比を80:20とした以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3のフィルムを製造した。
(比較例1)
液晶ポリマーを用いずに、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂を単独で用いた以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1のフィルムを製造した。
(比較例2)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および液晶ポリマーの混合質量比を70:30とした以外は、実施例1と同様の方法により、フィルムの製造を試みたが、製膜できなかった。
(比較例3)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の代わりに、ポリエーテルイミド樹脂(商品名「Ultem1000−1000」、SABIC社製)を用い、ポリエーテルイミド樹脂および液晶ポリマーを80:20の質量割合でドライブレンドした以外は、実施例1と同様の方法により、比較例3のフィルムを製造した。
(比較例4)
ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の代わりに、ビフェニル骨格を有しないポリエーテルサルホン樹脂(商品名「スミカエクセル4100G」、住友化学社製)を用い、ポリエーテルサルホン樹脂および液晶ポリマーを80:20の質量割合でドライブレンドした以外は、実施例1と同様の方法により、比較例4のフィルムを製造した。
(比較例5)
ビフェニル骨格を有しないポリエーテルサルホン樹脂を単独で用い、実施例1と同様にして、比較例5のフィルムを製造した。
[評価方法]
各実施例のフィルムおよび各比較例のフィルムを以下の方法により評価した。ここで、Tダイから樹脂組成物(フィルム)が押し出されてくる流れ方向を縦方向、その直交方向を横方向とする。
(1)引張弾性率(剛性)
各実施例のフィルムおよび各比較例のフィルムをそれぞれ、長さ(縦方向)400mm×幅(横方向)10mmに切断して、試験片(厚み0.1mm)を作製した。
万能材料試験機(商品名「MODEL205」、インテスコ社製)を用いて、JIS K 7127(1999年)に基づき、試験片の縦方向における引張弾性率を測定した。測定条件は、雰囲気温度23℃、引張速度5mm/minとした。
結果を表1に示す。なお、試験片の縦方向の引張弾性率が2800MPa以上のフィルムを合格と評価した。
(2)破壊エネルギー(耐衝撃性)
各実施例のフィルムおよび各比較例のフィルムをそれぞれ、縦方向100mm×横方向100mmに切断して、試験片(厚み0.1mm)を作製した。
ハイドロショット高速衝撃試験器(商品名「HTM−1型」、島津製作所社製)を用いて、試験片をクランプで固定し、次いで、温度−20℃の条件で、試験片中央に直径が1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で落として衝撃を与えた。これにより、試験片が破壊するときの破壊エネルギー(kgf・mm)を測定した。
結果を表1に示す。なお、破壊エネルギーが30kgf・mm以上のフィルムを合格と評価した。
(3)軟化温度(耐熱性)
各実施例のフィルムおよび各比較例のフィルムをそれぞれ、縦方向5mm×横方向5mmに切断して、試験片(厚み0.1mm)を作製した。
JIS K 7196(2012年)に基づき、試験片に対して、TMAによる軟化温度を測定した。
具体的には、TMA(熱機械分析装置、商品名「TMA120C」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、雰囲気温度23℃、相対湿度50%、圧子への圧力0.5N、昇温速度5℃/分の条件にてTMA曲線を測定した。TMA曲線において、圧子が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点を針侵入温度とし、この値から軟化温度を算出した。
結果を表1に示す。なお、軟化温度が200℃以上のフィルムを合格と評価した。
Figure 0006354361
なお、表の各成分中の数値は、特段の記載がない場合には、質量部数を示す。
[考察]
表1から明らかなように、各実施例のフィルムは、引張弾性率(剛性)、破壊エネルギー(耐衝撃性)および軟化温度(耐熱性)のすべてにおいて、良好であった。一方、液晶ポリマーを含有しない比較例1のフィルムは、引張弾性率が劣っていた。また、液晶ポリマーを過度に含有する比較例2のフィルムは、製膜加工性に劣り、フィルムに成形することができなかった。
また、ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂の代わりに、ポリエーテルイミド樹脂や、ビフェニル骨格を有しないポリエーテルサルホン樹脂を含有する比較例3〜4のフィルムは、破壊エネルギーが劣っていた。
さらには、比較例4および比較例5からみると、ビフェニル骨格を有しないポリエーテルサルホン樹脂に液晶ポリマーを含有すると、破壊エネルギーの値が顕著に低下した。すなわち、液晶ポリマーを含有するポリエーテルサルホン樹脂からなる比較例4のフィルムの破壊エネルギーの値は、液晶ポリマーを含有しないポリエーテルサルホン樹脂からなる比較例5のフィルムの破壊エネルギーの10%程度に低下した。一方、本発明では、実施例3および比較例1からみて、実施例3の破壊エネルギーの値は、比較例1の破壊エネルギーの値の30%程度に留まっているため、破壊エネルギーの低下の割合が、抑制されていることが分かる。さらには、実施例1においては、破壊エネルギーおよび引張弾性率ともに、比較例1よりも向上していることが分かる。

Claims (5)

  1. 下記構造式()の繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルサルホン樹脂、および、液晶ポリマーを含有し、
    前記ポリビフェニルエーテルサルホン樹脂および前記液晶ポリマーの合計量に対する、前記液晶ポリマーの含有割合が、3質量%以上25質量%以下であることを特徴とする、フィルム。
    Figure 0006354361
  2. 前記液晶ポリマーが、芳香族縮合環含有モノマーを含むモノマー成分から得られる全芳香族ポリエステルであることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. JIS K 7196に基づいて測定される軟化温度が、200℃以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のフィルム。
  4. JIS K 7127に基づいて測定される縦方向の引張弾性率が、2800MPa以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
  5. 繊維強化プラスチックを製造するために用いられ、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルムからなることを特徴とする、マトリックス材料。
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