JP6352842B2 - 車両用フロアスペーサ - Google Patents
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Description
一方、上記水平パッドは、床面の嵩高さの調整や車両床面の平坦性を確保するために設けられるものであり、通常、衝撃吸収性能が要求されることはない。
かかる問題に対し、特許文献1には、金型内のフロアスペーサ部の成形部位と衝撃吸収部の成形部位に、密度及び発泡倍率のうち少なくとも一方が異なる発泡プラスチックをそれぞれ充填し、その後、前記金型を加熱して、金型内に充填された密度及び発泡倍率のうち少なくとも一方が異なる発泡プラスチックを発泡させ、前記フロアスペーサ部と前記衝撃吸収部の密度が異なる前記自動車用フロアスペーサを成形する自動車用フロアスペーサの製造方法が開示されている。
特許文献1の製造方法によれば、衝撃吸収性能が求められる衝撃吸収部のみの密度を高くし、衝撃吸収性能が求められないフロアスペーサ部(水平パッド)の密度を低く成形することで、所定の衝撃吸収性能を備えながら、軽量化されたフロアスペーサを製造できる。
すなわち本発明の車両用フロアスペーサは、以下の構成を有する。
[1]車両への設置時に室内側となる上面が平坦な水平パッドと、前記水平パッドの前方から斜め上方にせり上がる衝撃吸収パッドとが、一体に成形された発泡樹脂製の基体を備える車両用フロアスペーサにおいて、前記衝撃吸収パッドには乗員の踵が乗せられる踵載置部が形成され、前記踵載置部の表面には、前記基体のデュロメータ硬さよりもデュロメータ硬さが高い平板が設けられていることを特徴とする、車両用フロアスペーサ。
[2]前記基体には、上方に臨む凹部が形成され、前記平板は、前記凹部に設けられていることを特徴とする、[1]に記載の車両用フロアスペーサ。
[3]前記平板は、前記衝撃吸収パッドにのみ設けられていることを特徴とする、[1]又[2]に記載の車両用フロアスペーサ。
[4]前記平板には、第一の係合部が形成され、前記基体には、前記第一の係合部と対応する第二の係合部が形成されていることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の車両用フロアスペーサ。
[5]前記平板は、非発泡の樹脂又は金属であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の車両用フロアスペーサ。
本発明の第1の実施形態にかかる車両用フロアスペーサについて図面を参照しながら説明する。
図1の車両用フロアスペーサ1(以下、単に「フロアスペーサ1」という。)は、水平パッド10と、水平パッド10の前方から斜め上方にせり上がる衝撃吸収パッドとが一体に成形された基体30と、該基体30上に設けられた平板とを備える。
図1のフロアスペーサ1において、フットレスト部21及びヒールストッパー部22が衝撃吸収パッドである。
図2に示すように、図1のフロアスペーサ1においてはフットレスト部21に凹部25が形成され、この凹部25に第1の平板51が設けられることで、前記第1の平板51の表面とフットレスト部21の表面が面一とされている。
第1の平板51は、平面視略長方形とされており、その大きさは、フットレスト部21の上面の面積の略半分とされている。
第1の平板51は、フットレスト部21における第1の踵載置部41の表面に設けられている。
第1の踵載置部41は、フロアスペーサ1が車両に敷設された際に、乗員の足の踵が載置される領域である。
図1のフロアスペーサ1においてはヒールストッパー部22に凹部が形成され、この凹部に第2の平板52が設けられることで、前記第2の平板52の表面とヒールストッパー部22の表面が面一とされている。
第2の平板52は、平面視略長方形とされており、その大きさは、ヒールストッパー部22の上面の面積と略同等とされている。
第2の平板52は、第2の踵載置部42の表面に設けられている。
第2の踵載置部42は、フロアスペーサ1が車両に敷設された際に、乗員の足の踵が載置される領域である。
フロアスペーサ1は、車種や車両ボディー等からの制約に応じて、その全体形状や大きさ、厚み等が適宜に設定される。
基体30は、水平パッド10と衝撃吸収パッドとが、発泡樹脂により一体に成形されたものである。
基体30は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂ビーズを用い、いわゆるビーズ法により製造された発泡樹脂成形体であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、及びこれらの樹脂を2種以上含む複合樹脂等が挙げられる。
また、発泡樹脂の発泡倍率は5〜60倍が好ましく、10〜40倍がより好ましく、20〜36倍がさらに好ましい。発泡倍率が5倍未満であるとフロアスペーサ1の軽量化を図りにくくなるおそれがある。発泡倍率が60倍を超えると充分な衝撃吸収性能が得られなくなるおそれがある。
基体30のデュロメータ硬さ(HA)は、45〜85が好ましく、65〜80がより好ましい。
基体30のデュロメータ硬さが上記の好ましい範囲であれば、衝撃吸収性能と軽量化とのバランスが図られやすくなる。
なお、本発明におけるデュロメータ硬さは、JIS K6253−3:2012に準拠し、以下のように測定されるものである。
測定サンプルを、23±2℃、RH50±5%で120h保持する。平坦で堅固な面に前記測定サンプルを置く。デュロメータとして高分子計器株式会社製のアスカーゴム硬度計CS型を用い、前記デュロメータの加圧板が測定サンプルの表面に平行に維持され、且つ、押針が測定サンプルの表面に対して直角になるようにデュロメータを保持する。その後、加圧板を測定サンプルに接触させ、5kgfの荷重をかけ、15秒後の数値を読み取る。測定点数は5点とし、その平均値を算出する。そして、前記平均値をデュロメータ硬さとする。
基体30は、厚み方向の10%変位時の圧縮強度が0.08〜0.7MPaであることが好ましい。
基体30の厚み方向の10%変位時の圧縮強度が上記の好ましい範囲であれば、衝撃吸収性能と軽量化とのバランスが図られやすくなる。
なお、本発明における厚み方向の10%変位時の圧縮強度は、JIS K6767:1999に準拠し、測定サンプル(50mm×50mm×25mm)をA&D社製万能試験機を用い、荷重速度10mm/minの条件で荷重を加え、厚み方向に10%変位した時の測定値である。
水平パッド10は、上面が平坦とされており、フロアスペーサ1が車両に敷設された際に車両の床面に平坦性を与える。
水平パッド10の下面の形状は、フロアスペーサ1を敷設する車両の敷設面の構造等に応じて適宜設定される。
水平パッド10の大きさは、車種や車両ボディー等からの制約に応じて適宜設定され、例えば、車両の長さ方向の長さが400〜600mm、車両の幅方向の長さが400〜600mm、厚みが5〜300mmとされる。
図1のフロアスペーサ1において、衝撃吸収パッドは、フットレスト部21及びヒールストッパー部22である。
フットレスト部21の大きさは、車種や車両ボディー等からの制約に応じて適宜設定され、例えば、車両の長さ方向の長さが100〜250mm、車両の幅方向の長さが50〜200mm、厚みが5〜300mmとされる。
ヒールストッパー部22の大きさは、車種や車両ボディー等からの制約に応じて適宜設定され、例えば、車両の長さ方向の長さが100〜250mm、車両の幅方向の長さが50〜200mm、厚みが5〜300mmとされる。
図1のフロアスペーサ1は、第1の踵載置部41の表面に設けられた第1の平板51と、第2の踵載置部42の表面に設けられた第2の平板52とを備える。
図1のフロアスペーサ1において、第1の平板51の大きさは、乗員の足の踵が載置された際の該踵の面積より大きいことが好ましく、例えば70〜150mm×70〜150mmとされる。
第1の平板51の厚みは、平板の材質及びデュロメータ硬さ等に応じて設定され、例えば0.3〜7mmとされる。
第2の平板52の厚みは、平板の材質及びデュロメータ硬さ等に応じて設定され、例えば0.3〜7mmとされる。
第1の平板51の形状と第2の平板52の形状は、同じであってもよいし、異なってもよい。
第1の平板51の大きさと第2の平板52の大きさは、同じであってもよいし、異なってもよい。
第1の平板51の厚みと第2の平板52の厚みは、同じであってもよいし、異なってもよい。
樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ABS樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
金属としては、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、鋼、チタン、亜鉛めっき鋼(SGCC)、炭素鋼等が挙げられる。
第1の平板51は、非発泡の樹脂又は金属からなることが好ましく、ポリプロピレン樹脂の非発泡樹脂、鋼又は亜鉛めっき鋼からなることがより好ましい。
第2の平板52の材質と第1の平板51の材質は、同じであってもよいし、異なってもよい。
第1の平板のデュロメータ硬さ(HB)は、基体30のデュロメータ硬さ(HA)よりも高ければ特に限定されず、例えば、60以上が好ましく、80以上がより好ましく、90以上がさらに好ましく、100(測定限界)であってもよい。
前記第1の平板が、基体30の表面に設けられることで、第1の平板が設けられた領域は、デュロメータ硬さが高められる。
前記第1の平板が設けられた領域のデュロメータ硬さ(HAB)は、例えば90〜100が好ましく、95〜98がより好ましい。
前記デュロメータ硬さ(HAB)が上記の好ましい範囲であれば、衝撃吸収性能が高められやすくなる。
なお、第1の平板が設けられた領域のデュロメータ硬さ(HAB)の測定方法は、基体30のデュロメータ硬さ(HA)の測定方法と同様である。ただし、測定サンプルは、第1の平板が設けられた面を加圧基準面(デュロメータを押し付ける面)とする。
前記デュロメータ硬さ(HAB)と基体30のデュロメータ硬さ(HA)との比(HAB/HA)は、1超であり、1<(HAB/HA)<2.5が好ましく、1.1<(HAB/HA)<1.5がより好ましい。
HAB/HA比が上記範囲であると、フロアスペーサ1の衝撃吸収性能と軽量化とのバランスが図られやすくなる。
第2の平板52が基体30の表面に設けられた際、第2の平板が設けられた領域のデュロメータ硬さと、基体30のデュロメータ硬さとの比は、第1の平板が設けられた領域のデュロメータ硬さと、基体30のデュロメータ硬さとの比と同様である。
第2の平板52のデュロメータ硬さと、第1の平板51のデュロメータ硬さは、同じであってもよいし、異なってもよい。
図1のフロアスペーサ1の製造方法としては、まず、基体30を製造する。
基体30の製造方法としては、上記熱可塑性樹脂に、発泡剤を含浸させて発泡性の熱可塑性樹脂とし、該発泡性の熱可塑性樹脂を加熱水蒸気等で予備発泡して予備発泡粒子を得る。次いで、前記予備発泡粒子を基体30の成形型に充填し加熱成形することで基体30が得られる。
その後、市販の板材等から切り出すこと等で得た平板を、上記基体30の踵載置部の表面に設置することでフロアスペーサ1が製造される。
平板を基体30の踵載置部の表面に設置する際には、必要に応じて、その設置面に接着剤等を塗布してもよいし、両面テープ等により平板を基体30に貼着してもよい。
図1のフロアスペーサ1の使用方法の一例を図3を基にして説明する。
図3は、車両の運転中におけるフロアスペーサ1の使用状況を示している。
図1のフロアスペーサ1は、運転席の足元床面に敷設される。この際、フットレスト部21とヒールストッパー部22との間の空間には、クラッチペダルやブレーキペダル等の車両の操縦装置が配置され、ヒールストッパー部22の前方の空間には、アクセルペダル等の車両の操縦装置が配置される。なお、通常、フロアスペーサ1の上にはフロアカーペットが敷設されておりフロアスペーサ1は視認されないようになっている。
この際、第1の踵載置部41の表面に設けられた第1の平板51上に、運転者の左足61の踵61Aが載置され、第2の踵載置部42の表面に設けられた第2の平板52上に、運転者の右足62の踵62Aが載置される。
第1の平板51及び第2の平板52のデュロメータ硬さは、基体30のデュロメータ硬さよりも高くされているため、これらの平板が表面に設けられた領域の衝撃吸収性能が高められている。
また、第1の平板51及び第2の平板52は、それぞれ左足61の踵61A及び右足62の踵62Aよりも広い面積とされている。このため、左足61の踵61A及び右足62の踵62Aからの荷重が、第1の平板51及び第2の平板52により分散されてフロアスペーサ1に加わる。
車両の衝突時においては、衝突の際のフロアスペーサ1からの衝撃力が第1の平板51及び第2の平板52により分散されて乗員の下肢部に加わる。これにより、フロアスペーサ1の衝撃吸収性能が高められ乗員の下肢部の保護がより適切に図られる。
また、フロアスペーサ1の基体30は、水平パッド10と、衝撃吸収パッドとが一体成形される。そのため、フロアスペーサを製造する際に、成形部位ごとに発泡倍率を異なるものとしたり、各成形部位を仕切る仕切り部材が設けられた金型を用いる必要がなく、生産性に優れる。
さらに、平板が基体30の凹部に設けられることで、フロアスペーサ1の一体性がより高められる。また、平板が基体30の凹部に設けられることで、フロアスペーサ1の製造時に平板の位置決めを迅速に行え生産性がより向上する。
本発明の第2の実施形態にかかる車両用フロアスペーサについて図面を参照しながら説明する。
図4の車両用フロアスペーサ2(以下、単に「フロアスペーサ2」という。)は、水平パッド110と、水平パッド110の前方から斜め上方にせり上がる衝撃吸収パッド120とが一体に成形された基体130と、該基体130上に設けられた平板とを備える。
衝撃吸収パッド120は、平面視略長方形とされており、前方左隅部に隅切が形成されている。
衝撃吸収パッド120の上面左側の水平パッド110寄りには、第3の平板151が設けられている。
図4のフロアスペーサ2においては 衝撃吸収パッド120に凹部が形成され、この凹部に第3の平板151が設けられることで、前記第3の平板151の表面と衝撃吸収パッド120の表面が面一とされている。
第3の平板151は、平面視略長方形とされており、その大きさは、車両の長さ方向の長さが衝撃吸収パッド120の車両の長さ方向の長さの略半分であり、車両の幅方向の長さが衝撃吸収パッド120の車両の幅方向の長さの略1/3である。
第3の平板151は、第3の踵載置部141の表面に設けられている。
第3の踵載置部141は、フロアスペーサ2が車両に敷設された際に、乗員の足の踵が載置される領域である。
図4のフロアスペーサ2においては 衝撃吸収パッド120に凹部が形成され、この凹部に第4の平板152が設けられることで、前記第4の平板152の表面と衝撃吸収パッド120の表面が面一とされている。
第4の平板152は、平面視略長方形とされており、その大きさは、車両の長さ方向の長さが衝撃吸収パッド120の車両の長さ方向の長さの略半分であり、車両の幅方向の長さが衝撃吸収パッド120の車両の幅方向の長さの略1/3である。
第4の平板152は、第4の踵載置部142の表面に設けられている。
第4の踵載置部142は、フロアスペーサ2が車両に敷設された際に、乗員の足の踵が載置される領域である。
フロアスペーサ2は、車種や車両ボディー等からの制約に応じて、その全体形状や大きさ、厚み等が適宜に設定される。
基体130は、水平パッド110と衝撃吸収パッド120とが、発泡樹脂により一体に成形されたものである。
基体130の材質は、基体30の材質と同様である。
基体130のデュロメータ硬さ(HC)は、基体30のデュロメータ硬さ(HA)と同様である。
基体130の厚み方向の10%変位時の圧縮強度は、基体30の厚み方向の10%変位時の圧縮強度と同様である。
水平パッド110の形状は、水平パッド10の形状と同様である。
水平パッド110の大きさは、水平パッド10の大きさと同様である。
衝撃吸収パッド120の大きさは、車種や車両ボディー等からの制約に応じて適宜設定され、例えば、車両の長さ方向の長さが400〜600mm、車両の幅方向の長さが400〜600mm、厚みが5〜300mmとされる。
図4のフロアスペーサ2は、第3の踵載置部141の表面に設けられた第3の平板151と、第4の踵載置部142の表面に設けられた第4の平板152とを備える。
図4のフロアスペーサ2において、第3の平板151の大きさは、乗員の足の踵が載置された際の該踵の面積より大きいことが好ましく、例えば70〜150mm×70〜150mmとされる。
第3の平板151の厚みは、平板の材質及びデュロメータ硬さ等に応じて設定され、例えば0.3〜7mmとされる。
第4の平板152の厚みは、平板の材質及びデュロメータ硬さ等に応じて設定され、例えば0.3〜7mmとされる。
第3の平板151の形状と第4の平板152の形状は、同じであってもよいし、異なってもよい。
第3の平板151の大きさと第4の平板152の大きさは、同じであってもよいし、異なってもよい。
第4の平板152の材質は、第1の平板51の材質と同様である。
第3の平板151の材質と、第4の平板152の材質は、同じであってもよいし、異なってもよい。
第3の平板151のデュロメータ硬さ(HD)は、第1の平板51のデュロメータ硬さ(HB)と同様である。第3の平板が設けられた領域のデュロメータ硬さ(HCD)と、基体130のデュロメータ硬さ(HC)との比(HCD/HC)は、第1の平板51が設けられた領域のデュロメータ硬さと基体30のデュロメータ硬さとの比(HAB/HA)と同様である。
第4の平板152が設けられた領域のデュロメータ硬さと、基体130のデュロメータ硬さとの比は、第1の平板51が設けられた領域のデュロメータ硬さと基体30のデュロメータ硬さとの比(HAB/HA)と同様である。
第4の平板152のデュロメータ硬さと第3の平板151のデュロメータ硬さは、同じであってもよいし、異なってもよい。
図4のフロアスペーサ2の製造方法は、フロアスペーサ1の製造方法と同様である。
図4のフロアスペーサ2の使用方法は、フロアスペーサ2が、助手席の足元に敷設され、第3の平板151に、助手席の乗員の左足の踵が載置され、第4の平板152に、前記乗員の右足の踵が載置されること以外は、フロアスペーサ1の使用方法と同様である。
図4のフロアスペーサ2においても、フロアスペーサ1と同様の効果が得られる。
本発明のフロアスペーサは、上記実施形態1及び実施形態2に限定されない。
例えば、実施形態1及び実施形態2において、平板の形状は略長方形とされたが、これに限定されない。例えば、平板の形状を正方形、菱形、楕円形、真円形、三角形、五角形以上の多角形等としてもよい。
実施形態1及び実施形態2においては、平板が衝撃吸収パッドのみに形成されたが、これに限定されない。平板が衝撃吸収パッドと水平パッドの双方に設けられてもよい。ただし、前述のとおり、通常、水平パッドには衝撃吸収性能が求められないため、平板が衝撃吸収パッドのみに形成され、フロアスペーサの軽量化が図られることが好ましい。
実施形態2においては、第3の踵載置部141及び第4の踵載置部142の表面に、第3の平板151と第4の平板152とがそれぞれ離間して設けられたが、これに限定されない。例えば、第3の踵載置部141及び第4の踵載置部142の表面に、衝撃吸収パッド120の幅方向の長さと同程度の長さの平板が1枚だけ設けられてもよい。ただし、より軽量化が図れる点からは、第3の踵載置部141と第4の踵載置部142の表面に、第3の平板151と第4の平板152がそれぞれ離間して設けられることが好ましい。
実施形態1及び実施形態2においては、平板が基体に設けられた凹部に設けられたが、これに限定されない。例えば、平板を接着剤や両面テープにより凹部が設けられていない基体の表面に貼着してもよい。また、平板に第1の係合部を形成し、基体に前記第1の係合部と対応する第2の係合部を形成してもよい。前記第1の係合部としては、例えば突起等の凸部を一つ又は複数形成したもの等が挙げられ、前記第2の係合部としては、前記凸部に対応する凹部を一つ又は複数形成したもの等が挙げられる。かかる係合部が設けられることでフロアスペーサの一体性がより高められる。
さらに、水平パッド及び衝撃吸収パッドにハニカム形状等の形状を形成することも任意である。
本実施例において使用した材料は下記のとおりである。
ポリスチレンとポリエチレンとの複合樹脂(商品名:ピオセラン(登録商標)、品番:POOP−30ELV、積水化成品工業株式会社製)。
(平板)
ポリプロピレン製の平板(商品名:コウベポリシートPP、新神戸電機株式会社製、150mm×150mm×1.5mm、デュロメータ硬さ100(測定限界))。
亜鉛めっき鋼製の平板(JIS規格:SGCC、150mm×150mm×0.8mm、デュロメータ硬さ100(測定限界))。
[比較例1]
水平パッド、フットレスト部及びヒールストッパー部からなる衝撃吸収パッドを、ポリスチレンとポリエチレンとの複合樹脂の予備発泡粒子から一体成形し比較例1のフロアスペーサを得た。前記予備発泡粒子の発泡倍率は30倍とした。
比較例1のフロアスペーサのデュロメータ硬さは68.3であった。
また、比較例1のフロアスペーサの質量は523.5gであった。
金型からの比較例1のフロアスペーサの取数は4個であった。
[比較例2]
予備発泡粒子の発泡倍率を20倍としたこと以外は、比較例1と同様にして比較例2のフロアスペーサを得た。
比較例2のフロアスペーサのデュロメータ硬さは78.3であった。
また、比較例2のフロアスペーサの質量は785.2gであり、比較例1のフロアスペーサの質量の1.5倍であった。
金型からの比較例2のフロアスペーサの取数は4個であった。また、比較例2のフロアスペーサの成形時間は、比較例1のフロアスペーサの成形時間の1.5倍となった。
[比較例3]
金型内のフットレスト部、ヒールストッパー部に相当する空間と、水平パッドに相当する空間とを仕切り部材で仕切った。前記フットレスト部及びヒールストッパー部に相当する空間に、発泡倍率20倍のポリスチレンとポリエチレンとの複合樹脂の予備発泡粒子を充填し、前記水平パッドに相当する空間に、発泡倍率30倍のスチレン改質ポリスチレン系樹脂の予備発泡粒子を充填した。その後、前記仕切り部材を除去し加熱成形して比較例3のフロアスペーサを得た。
比較例3のフロアスペーサの質量は594.2gであり、比較例1のフロアスペーサの質量の1.14倍であった。
また、仕切り部材を設けたことで金型の構造が複雑となり、金型からの比較例3のフロアスペーサの取数は2個となった。さらに、予備発泡粒子の充填や仕切り部材の除去等に時間を要し、かつ発泡倍率が20倍であるフットレスト部及びヒールストッパー部の成形が終了するまで金型からフロアスペーサを取り出すことができなかったため、比較例3のフロアスペーサの成形時間は、比較例1のフロアスペーサの成形時間の2.2倍となった。
比較例1のフロアスペーサと同様にして得たフロアスペーサを基体とし、該基体のフットレスト部及びヒールストッパー部に、ポリプロピレン製の平板を貼り付け、実施例1のフロアスペーサを得た。
ポリプロピレン製の平板が設けられたフットレスト部及びヒールストッパー部の領域のデュロメータ硬さは、98であった。(なお、前記平板を貼り付ける前のフットレスト部及びヒールストッパー部のデュロメータ硬さは、68.3であった。)
実施例1のフロアスペーサの質量は553.5gであり、比較例1のフロアスペーサの1.06倍であった。
金型からの上記基体の取数は4個であった。また、上記平板の貼り付けには殆ど時間を要しないため、実施例1のフロアスペーサの製造時間は、比較例1のフロアスペーサの成形時間とほぼ同等であった。
[実施例2]
基体のフットレスト部及びヒールストッパー部に、亜鉛めっき鋼製の平板を貼り付けたこと以外は実施例1と同様にして実施例2のフロアスペーサを得た。
亜鉛めっき鋼製の平板が設けられたフットレスト部及びヒールストッパー部の領域のデュロメータ硬さは、98であった。(なお、前記平板を貼り付ける前のフットレスト部及びヒールストッパー部のデュロメータ硬さは、68.3であった。)
実施例2のフロアスペーサの質量は612.5gであり、比較例1のフロアスペーサの1.17倍であった。
金型からの上記基体の取数は4個であった。また、上記平板の貼り付けには殆ど時間を要しないため、実施例2のフロアスペーサの製造時間は、比較例1のフロアスペーサの成形時間とほぼ同等であった。
[静的圧縮特性の測定]
(測定サンプル)
サンプル1:ポリスチレンとポリエチレンとの複合樹脂を発泡倍率30倍で発泡させた成形体を150mm×150mm×90mmに切り出したもの(比較例1のフロアスペーサを模したもの)。
サンプル2:ポリスチレンとポリエチレンとの複合樹脂を発泡倍率20倍で発泡させた成形体を150mm×150mm×90mmに切り出したもの(比較例2のフロアスペーサを模したもの)。
サンプル3:サンプル1の上面に、ポリプロピレン製の平板を貼り付けたもの(実施例1のフロアスペーサを模したもの)。
サンプル4:サンプル1の上面に、亜鉛めっき鋼製の平板を貼り付けたもの(実施例2のフロアスペーサを模したもの)。
静的圧縮特性の測定は、JIS K6767:1999に準拠し、上記各サンプルをテンシロンメーターに設置し、圧縮速度60mm/minとして測定した。
なお、静的圧縮特性は衝撃吸収性能と相関があり、例えばサンプル1とサンプル2の静的圧縮特性の相違は、サンプル1とサンプル2の衝撃吸収性能の相違に相当するものと評価できる。
測定結果を図5に示す。
10、110 水平パッド
21 フットレスト部
22 ヒールストッパー部
30、130 基体
41 第1の踵載置部
42 第2の踵載置部
51 第1の平板
52 第2の平板
141 第3の踵載置部
142 第4の踵載置部
151 第3の平板
152 第4の平板
Claims (9)
- 車両への設置時に室内側となる上面が平坦な水平パッドと、前記水平パッドの前方から斜め上方にせり上がる衝撃吸収パッドとが、一体に成形された発泡樹脂製の基体を備える車両用フロアスペーサにおいて、
前記水平パッドと前記衝撃吸収パッドとは、同じ発泡倍率であり、
前記衝撃吸収パッドには乗員の踵が載せられる踵載置部が形成され、
前記踵載置部の表面には、前記基体のデュロメータ硬さよりもデュロメータ硬さが高い平板が設けられていることを特徴とする、車両用フロアスペーサ。 - 前記平板のデュロメータ硬さが、60〜100であることを特徴とする請求項1に記載の車両用フロアスペーサ。
- 前記平板が設けられた領域のデュロメータ硬さが90〜100であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用フロアスペーサ。
- 前記基体は、厚み方向の10%変位時の圧縮強度が0.08〜0.7MPaであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用フロアスペーサ。
- 前記基体には、上方に臨む凹部が形成され、
前記平板は、前記凹部に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用フロアスペーサ。 - 前記平板は、前記衝撃吸収パッドにのみ設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用フロアスペーサ。
- 前記平板には、第1の係合部が形成され、
前記基体には、前記第1の係合部と対応する第2の係合部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用フロアスペーサ。 - 前記平板は、非発泡の樹脂又は金属であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用フロアスペーサ。
- 前記平板は、非発泡樹脂であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用フロアスペーサ。
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