<第1実施形態>
本実施形態の充填装置の充填部に配設される充填手段の数は1基であり、搬送経路を搬送される容器を充填工程の作業領域(作業位置)において一旦停止させる間欠搬送を実行し、充填工程の作業領域(作業位置)に供給された容器に対して充填手段の充填ノズルから所望の充填を行う場合を、図1乃至図4を用いて説明する。
本実施形態における充填装置1は、充填に供する容器Bの充填位置への供給と回収を行うべく容器を搬送する搬送部2と、容器Bに充填液を充填する充填ノズル29を有する充填部3と、充填中における充填ノズル29の容器Bに対する姿勢を調整する位置調整部4と、搬送部2、充填部3並びに位置調整部4の駆動制御に関与する制御部5とを備えている。
搬送部2は、上部に開口部を位置させた立位状態の容器Bを1本ずつ整列搬送させる搬送経路を構成する搬送手段2Aとしての2系列の搬送ローラコンベア21と、各容器Bに所望の充填液を充填する充填工程のための作業領域(作業位置)となる充填ステージ22とを備えている。
搬送ローラコンベア21は、容器Bの搬送方向における上流側に位置する一方の搬送ローラコンベア(上流側搬送ローラコンベア)21Aと、容器Bの搬送方向における下流側に位置する他方の搬送ローラコンベア(下流側搬送ローラコンベア)21Bとからなり、各搬送ローラコンベア21A、21Bは、複数個の単体ローラを搬送方向へ配列させ、制御部5により制御される不図示の駆動源(モータ)によりそれぞれの単体ローラを自転(回転)させることで、容器Bを搬送可能とされている。
また、充填ステージ22は、上流側搬送ローラコンベア21Aの搬送経路となる上面と該充填ステージ22の上面とを隣位させて容器Bを移載可能に、上流側搬送ローラコンベア21Aの下流端における一側方にその側辺を位置させて配設されている。そして、充填ステージ22の容器Bの搬送方向における下流側となる一端には、下流側搬送ローラコンベア21Bが、充填ステージ22の上面と下流側搬送ローラコンベア21Bの搬送経路となる上面とを隣位させて容器Bを移載可能に配設されている。上流側搬送ローラコンベア21Aの下流端と下流側搬送ローラコンベア21Bの上流端は、その搬送経路となる上面を同じ高さに位置させている。このように、搬送ローラコンベア21を2系列用意し、上流側搬送ローラコンベア21Aから供給される容器Bを一旦、別に用意された作業位置へ移載することにより、容器搬送の時間を稼ぐことができるので充填作業の効率を高めることができる。
そして、本実施形態において、充填ステージ22上は、容器Bの搬送経路の中間部において所定間隔で間欠搬送される各容器Bを一時停止させ、その間に所望の充填液を充填する充填工程のための作業領域(作業位置)とされている。
充填ステージ22は鉛直方向に延在させて配設されたステージシャフト23の上端にその上面を水平にして固定されている。そして、充填ステージ22はステージシャフト23を駆動系(アクチュエータ)Aで鉛直方向に伸縮させることにより、充填ステージ22の上面を搬送ローラコンベア21A、21Bと隣位させる位置と後述の充填ノズル29との間で昇降自在に配設され、位置調整部4を構成する高さ調整手段4Aとして作用する。なお、本実施形態において、充填ステージ22の上面には、搬送される容器Bを所定位置に導くための平面視L字状の凸状ガイド22Aが形成されており、凸状ガイド22AのL字の角部に容器Bを位置させることで、充填時の位置決めをするようになっている。
また、搬送部2には、搬送ローラコンベア21と充填ステージ22と共に搬送手段を構成する移載手段24が配設されている。本実施形態において、前記移載手段24は、容器Bを搬送ローラコンベア21Aから充填ステージ22へ移載するための第1移載手段24A、充填ステージ22から搬送ローラコンベア21Bへ移載するための第2移載手段24Bとからなり、各移載手段24A、24Bはそれぞれ、不図示の駆動系(アクチュエータ)により水平方向に伸縮自在に配設され、先端部に容器ガイド部25A、25Bが配設された押出シャフト26A、26Bを備えている。
また、充填作業位置となる充填ステージ22の上方には、充填部3を構成し、不図示の給液ポンプから供給される充填液の流量を充填バルブ28により調節可能とされ、下端には充填液の吐出口が形成された直管状の充填ノズル29を備えた充填手段3Aが、充填ノズル29を鉛直方向に延在させた状態で取付け部材30に配設されている。
充填手段3Aを支承する取付け部材30は、位置調整部4を構成する角度調整手段4B及び補正スライド手段4Cを介して該充填装置1の不図示のフレームに配設されている。
補正スライド手段4Cは、スライドベース31と、当該スライドベース31に配設され、充填ステージ22の上方の水平面内において、不図示の駆動系(アクチュエータ)の駆動により、容器Bに対して接離する方向、本実施形態においては、容器Bの搬送方向に対して直交する方向に進退可能とされたスライドシャフト32を備えている。
スライドシャフト32には、取付け部材30を支承し、充填ノズル29をその充填液の吐出方向を任意の方向で、かつ、容器Bの鉛直軸方向に対する所望の角度に傾斜させる角度調整手段4Bが配設されている。角度調整手段4Bは、前記容器Bの搬送方向に延在する水平軸の軸周りに取付け部材30を回動させる不図示の駆動系(アクチュエータ)を有する水平軸揺動部33と、鉛直軸の軸周りに取付け部材30を回動させる不図示の駆動系(アクチュエータ)を有する鉛直軸揺動部34とからなる。なお、水平軸揺動部33および鉛直軸揺動部34の構成は公知の構成を使用することができる。また、鉛直軸揺動部34は省略してもよい。
そして、本実施形態の充填装置1は、制御部5により、搬送部2の搬送手段2Aの上流側搬送ローラコンベア21A、下流側搬送ローラコンベア21B、第1・第2移載手段24A、24Bの各押出シャフト26A、26Bの駆動系(アクチュエータ)の駆動を制御して容器Bを搬送し、また、位置調整部4の高さ調整手段4Aにおけるステージシャフト23の駆動系(アクチュエータ)、角度調整手段4Bにおける水平軸揺動部32、鉛直軸揺動部33の駆動系(アクチュエータ)、並びに、補正スライド手段4Cのスライドシャフト32の駆動系(アクチュエータ)の駆動を制御し、取付け部材30の姿勢を制御し、取付け部材30に配設された充填ノズル29の軸心を容器Bの鉛直軸方向に対して所望の角度に傾斜させ、さらに、充填部3における充填バルブ28の開閉を制御することで、1本ずつの容器Bへの充填を実行するように構成されている。
すなわち、本実施形態においては、制御部5は上流側搬送ローラコンベア21Aを駆動させ、1本ずつの容器Bを所定間隔をあけて間欠的に搬送経路上を搬送させる。なお、上流側搬送ローラコンベア21Aの下流端には、容器Bを定位置において停止させる搬送ガイド35を配設しておくとよい。空の容器Bが搬送ガイド35により案内され、上流側搬送ローラコンベア21Aの下流端に搬送されたところで、制御部5は、第1移載手段24Aの押出シャフト26Aの駆動系(アクチュエータ)を駆動させ、上流側搬送ローラコンベア21Aの幅方向における反充填ステージ側を待機位置とする押出シャフト26Aを上流側搬送ローラコンベア21Aの幅方向へ伸長させる。押出シャフト26Aは、前記待機位置から、上流側搬送ローラコンベア21Aを横切り、空の容器Bを充填ステージ22上のL字状凸状ガイド22Aのコーナーへ向けて押し出して移載させる位置(移載位置)まで伸長する。そして、容器Bが充填ステージ22上に移載されたところで、第1移載手段24Aの押出シャフト26Aを短縮させて元の待機位置へ戻す(図4(A)参照)。
続いて、制御部5は、高さ調整手段4Aとしてのステージシャフト23の駆動系(アクチュエータ)Aを駆動させてステージシャフト23を伸長させ、空の容器Bを載置した充填ステージ22を上方に垂設されている充填ノズル29へ向けて上昇させて、容器Bの開口部へ充填ノズル29を挿入させ、その下端を容器B内の所望の高さに位置させる(図4(B)参照)。また、制御部5は、充填ノズル29の先端が容器Bの開口部から容器B内へ挿入されたら、角度調整手段4Bとしての水平軸揺動部32、鉛直軸揺動部33と、補正スライド手段4Cの不図示の駆動系(アクチュエータ)を駆動させ、スライドベース31の位置や取付け部材30の姿勢を調整することで、該取付け部材30に支承されている充填ノズル29を鉛直方向に対して所望の角度に傾斜させる。この傾斜方向並びに傾斜角度は、充填液を容器Bの内壁に向けて吐出させ、内壁に沿わせて落下させることができる傾斜方向並びに傾斜角度とし、予め設定しておく。そして、充填部3の充填バルブ28の開閉を制御しつつ充填液を充填する。その際、制御部5は、既充填量の増加に合わせてステージシャフト23の駆動系(アクチュエータ)Aを駆動させてステージシャフト23を短縮させ、充填ステージ22と容器Bを下降させることで、常に、充填ノズル29の先端の位置が液面よりも上位に位置するように制御する(図4(C)乃至(F)参照)。充填が完了すると、充填ステージ22を上流側搬送ローラコンベア21Aの下流端や下流側搬送ローラコンベア21Bの上流端と同位の当初位置にまで下降させ、位置させる(図4(G)参照)。また、制御部5は、充填中乃至充填終了後に、補正スライド手段4Cの不図示の駆動系(アクチュエータ)や、角度調整手段4Bとしての水平軸揺動部32、鉛直軸揺動部33を駆動し、取付け部材30の姿勢を徐々に元に戻すことで、該取付け部材30に支承されている充填ノズル29の傾斜を解除する(図4(E)(F)参照)。よって、充填ステージ22が上流側搬送ローラコンベア21Aの下流端や下流側搬送ローラコンベア21Bの上流端と同位の当初位置にまで下降し、位置した時には、充填ノズル29はその軸心を容器Bのほぼ鉛直軸方向に位置させた状態に戻る(図4(G)参照)。
そして、所定量の充填が完了し、充填ステージ22が当初位置に戻ると、制御部5は、第2移載手段24Bの押出シャフト26Bの駆動系(アクチュエータ)を駆動させ、充填ステージ22の容器Bの搬送方向上流側を待機位置とする押出シャフト26Bを下流側へ向けて伸長させる。押出シャフト26Bは、前記待機位置から、充填ステージ22を横切り、充填済みの容器Bを下流側搬送ローラコンベア21Bの上端へ押し出して移載させる位置(移載位置)まで伸長する。そして、充填済みの容器Bを下流側搬送ローラコンベア21Bの上端に移載させたところで、第2移載手段24Bの押出シャフト26Bを収縮させて元の待機位置へ戻す。制御部5は、下流側搬送ローラコンベア21Bを駆動させ、充填済みの1本ずつの容器Bをさらに下流側へ向けて搬送経路上を搬送させる。
1つの容器についての充填の流れと、その充填のための諸々の制御は以上の通りであるが、充填ステージ22への容器Bの搬入と、充填ステージ22からの容器Bの搬出のタイミングに合わせて搬送部2、充填部3、位置調整部4の駆動が制御されればよいので、例えば、上流側搬送ローラコンベア21Aと下流側搬送ローラコンベア21Bとが同時に駆動することがあっても構わない。
このように本実施形態の充填装置1によれば、容器Bの開口部内に充填ノズル29を挿入したあと、充填ノズル29を所定の角度だけ傾斜させることができるので、充填液を容器Bの内壁に沿わせて落下させて充填することも可能となり、充填時の充填液の泡立ちや吹き零し(溢れ出し)を抑止することができる。また、本実施形態の充填装置は、充填液の吐出角度に合わせて充填ノズルを用意する必要が無いので、コストの削減にもなる。
本実施形態の充填装置1は、高さ調整手段4Aと角度調整手段4Bを駆動させて充填ノズル29を揺動させながら、充填ノズル29を容器Bの充填口に挿入し、脱抜することができ、しかも、容器B内における充填ノズル29の吐出口の鉛直方向における高さ位置をも変化させることができるので、充填ノズル29の容器Bの開口部内への挿入と脱抜が容易であり、また、充填ノズル29を所望の角度、例えば、充填液を容器Bの内壁に向けて吐出させ、内壁に沿わせて落下させながら充填を行うための角度や、容器Bの搬送時の遠心力が作用することにより生じる充填液の吹き零れを抑止可能な容器B内の底部上方へ充填液を落下させながら充填を行うための角度に傾斜させ、充填液の充填を行なうことが可能となる。
なお、本実施形態においては、位置調整部として補正スライド手段をも設けた場合を説明したが、容器Bの形状や口径等によっては配設を省略することも可能である。また、本実施形態における搬送部2の構成は、本実施形態の構成に限らず、さらにはその配設を省略し、作業者が本実施形態における充填ステージ上に直接、空の容器Bを載せ、充填済みの容器Bを回収するような構成の充填装置1とすることも可能である。また、本実施形態においては、充填ステージ22を昇降可能に形成し、高さ調整手段4Aとして用いることで、充填ノズル29の吐出口と容器Bの相対的位置関係を前記容器Bの鉛直軸方向において変化させたが、充填手段2Aを容器Bに対して鉛直方向に昇降させる構成としてもよい。
さらに、位置調整部4の1つとして、充填時に充填工程のための作業領域における容器Bの搬送経路に沿って充填ノズル29(前記ユニット毎であってもよい)を移動させる搬送方向移動手段を設けてもよい。制御部5により、充填工程の作業領域において、充填ノズル29の位置を容器Bの搬送方向に移動させる制御を実行することで、例えば、容器Bの充填口内における充填ノズル29の搬送方向における位置調整や、搬送される容器Bに追従しながらの充填を実行することが可能になる。
<第2実施形態>
そこで、第2実施形態として、充填工程における容器Bの搬送経路が円弧状に形成されており、充填手段2Aが位置調整部4により容器Bの鉛直方向に昇降自在に配設され、充填ノズル29を円弧状の搬送経路に沿って移動させるように構成された充填装置1を説明する。なお、本発明の充填装置1の基本構成であって、前記第1実施形態と共通する構成部分には、同一の符号を付す。
本実施形態の充填装置1の搬送部2は、図5に示すように、不図示の駆動源による回転力で水平且つ正回転可能に配設された円環状の回転体101を有する搬送手段2Aを備えている。
回転体101は、外周側に位置する下段と内周側に位置する上段とを有する縦断面凸状の2段に形成されており、外周側に位置する下段の上面外周部には、充填のために搬送される容器が載置される容器載置位置が設けられている。そして、本実施形態の充填装置1においては、回転体101の容器載置位置に載置された容器Bの移動軌跡における上流側に位置する容器供給部から下流側に位置する容器回収部までの円弧状の搬送経路を、充填液を容器Bに充填する充填工程のための作業領域とされている。
円環状の回転体101の中心に貫通する軸受穴102には、位置調整部4の搬送方向移動手段4Dを構成する回転軸103が鉛直方向に延在させて挿入されており、回転軸103は駆動源(サーボモータ)M1とオシレートドライブ104とにより正逆回転自在とされている。
回転軸103の回転体101の上段より上方に突出している部分には、容器載置位置に供給された空の容器Bに充填液を充填させる充填手段3Aを支承するとともに、位置調整部4の高さ調整手段4Aを構成する電動スライダ105が配設されている。
電動スライダ105は、回転軸103と並行に配置されるねじ軸106を備えている。ねじ軸106はその上端にカップリング107を介して接続された、駆動源(サーボモータ)M2の駆動により正逆回転自在とされている。駆動源(サーボモータ)M1とカップリング107はブラケット108に搭載され、該ブラケット108は回転軸103の一端(上端)に水平に固定配置された板状の上部回転ステージ109に固定されている。ねじ軸106の下端は玉軸受110に収納され、該玉軸受110は回転軸103の回転体201の近傍に水平に固定配置された板状の下部回転ステージ111に固定されている。
上部回転ステージ109と下部回転ステージ111との間に延在するねじ軸106の部分にはボールリテーナー113を有するナット114が、駆動源(サーボモータ)M1の駆動によって正逆回転するねじ軸106に沿って上下動するように螺合されている。ナット114のブラケット115には水平に配置された板状の移動テーブル117が固定されており、移動テーブル117には回転軸103を挿通させる軸孔118が形成されたガイドブロック120が配設されている。ガイドブロック120は軸孔118の内周面に回転軸103の周面と摺接するベアリング121が配列形成されており、移動テーブル117がナット114と共にねじ軸116を上下動する際に、回転軸103に沿って昇降し、該移動テーブル117を水平に支承するように構成されている。
そして、移動テーブル117の下面には、位置調整部4を構成する角度調整手段4Bおよび補正スライド手段4Cを介して、充填部3を構成する充填手段3Aが吊設されている。
充填手段3Aは不図示の給液ポンプから供給される充填液の流量を充填バルブ28により調節可能とされ、下端に充填液の吐出口が形成された直管状の充填ノズル29を有しており、充填ノズル29を鉛直方向に延在させた状態で取付け部材30に固定されている。
本実施形態において、補正スライド手段4Cは、スライドベース31に配設され、不図示の駆動系(アクチュエータ)の駆動により回転体101の径方向に進退可能とされたスライドシャフト32を備えており、取付け部材30はスライドシャフト32の先端に配設され、充填手段3Aは、直管状の充填ノズル29を鉛直方向に垂下させたときにその吐出口が容器Bの開口部の移動経路上に位置するようにして配設されている。
そして、角度調整手段4Bは、移動テーブル117の下面に水平に固定されたベース板124に連接された第1連接部と、前記スライドベース32に連接された第2連接部との間に配設され、不図示の駆動系(アクチュエータ)により、回転体101の径方向に対して水平面において直交する水平軸軸周りで補正スライド手段4Cとともに充填ノズル29を揺動させる水平軸揺動部33を備えている。
よって、位置調整手段4は、角度調整手段4Bと補正スライド手段4Cおよび高さ調整手段4Aが協働し、高さ調整手段4Aにより、充填手段3Aを支承する移動テーブル117の高さを調整しながら、角度調整手段4Bにより、第2連接部に支承されたスライドベース32を有する補正スライド手段4Cとその補正スライド手段4Cのスライドシャフト32の先端に取付け部材30を介して取付けられた充填手段3Aとを一体に、角度調整手段4Bの水平軸周りに回動させて所望の角度に傾斜させ、充填液の吐出方向を容器Bの鉛直方向に対する所望の角度とするとともに、補正スライド手段4Cにより、円弧状に形成された容器Bの搬送経路の径方向に進退させることで容器Bの開口部内における充填ノズル29の芯出しを可能に構成されている。
そして、図5に不図示の制御部は、搬送部2の搬送手段2Aとしての回転体101の駆動を制御するとともに、容器Bの搬送に合わせて、位置調整部4の搬送方向移動手段4Dを構成する回転軸103の駆動源M1、高さ調整手段4Aを構成する電動スライダ105の駆動源(サーボモータ)M2、角度調整手段4Bを構成する水平軸揺動部33の駆動系(アクチュエータ)、および、補正スライド手段4Cのスライドシャフト32の駆動系(アクチュエータ)の駆動と、充填部3の充填バルブ28の開閉を制御し、容器Bの搬送に合わせて充填ノズル29を回転軸103の軸周りで充填工程の作業領域を移動させる間に、その充填手段3A(充填ノズル29)の高さや傾斜角度を調整し、1本ずつの容器への充填を実行する。
具体的には、本実施形態においては、制御部は、搬送部2の不図示の駆動源を駆動して回転体101を正回転させ、容器供給部において容器載置位置に載置された容器Bを、充填工程のための作業領域となる円弧状の搬送経路上を容器回収部まで間欠的に搬送させるように制御する。容器供給部において空の容器Bを容器載置位置に供給する機構並びに、容器回収部において充填済みの容器Bを容器載置位置から回収する機構については、公知の装置等を用いることとする。
また、制御部は、充填工程の作業領域を搬送される容器Bに追従させて充填部3を容器Bの搬送経路上で移動させるべく回転軸103を正回転させ、元の位置へ復帰させるべく逆回転させるように回転の方向と速度を調整するべく、搬送方向移動手段4Dを構成する回転軸103の駆動源M1の駆動を制御すると共に、充填ノズル29の高さ位置を調整するべく電動スライダ105の駆動源(サーボモータ)M2の駆動を制御する。また、回転体101の径方向における充填ノズル29の位置を調整するべくスライドシャフトの駆動系(アクチュエータ)の駆動を制御し、充填ノズル29の容器Bの鉛直方向に対する角度を調整するべく水平軸揺動部33の駆動系(アクチュエータ)の駆動を制御する。
つまり、制御部は、位置調整部4を構成する回転軸103の駆動源M1の駆動については、回転軸103に固定された上部回転ステージ109と下部回転ステージ111に取り付けられた電導スライダ105によって支持された充填手段3Aが充填工程のための作業領域において前記容器供給部から容器回収部まで搬送される容器Bに追従移動し、容器回収部に至った後には、再び前記容器供給部に早戻り(原点復帰)するように正逆回転を制御する。
制御部は、位置調整部4の高さ調整手段4Aを構成する電動スライダ105の駆動源(サーボモータ)M2を駆動させてねじ軸105を正逆回転させて、ねじ軸105に螺合するナット114を上下させ、移動テーブル117をガイドブロック120により回転軸103に沿って昇降させ、充填ノズル29の吐出口と容器Bの相対的位置関係を容器Bの鉛直方向において変化させる。また、位置調整部4の角度調整手段4Bを構成する水平軸揺動部33の駆動系(アクチュエータ)を駆動させ、充填手段3Aの充填ノズル29の傾斜角度を自在に変化させる。
より具体的には、容器Bの搬送経路における容器供給部においては、充填ノズル29を鉛直方向に延在させた充填手段3Aの吐出口を、供給される容器Bの上部開口部の上方に位置させて配置させるように、位置調整部4の高さ調整手段4Aを制御する。そして、容器Bの搬送に合わせ、搬送方向移動手段4Dの回転軸103の駆動源Mを駆動させて充填手段3Aを追従させながら、高さ調整手段4Aの駆動源(サーボモータ)M2を駆動させて充填ノズル29を容器Bの開口部へ挿入させ、その下端の吐出口を容器B内の所望の高さに位置させる。続いて、補正スライド手段4Cおよび角度調整手段4Bの各駆動系(アクチュエータ)を駆動させて、水平軸揺動部33を回動させ、第2連接部に支承された取付け部材30を介して充填手段3Aを水平軸周りに回動させ、充填ノズル29を傾斜させるとともに、回転体101の径方向における充填ノズル29の位置を微調整し、吐出される充填液の吐出方向を容器Bの鉛直方向に対して任意の角度に調整する。なお、本実施形態においては、この時の傾斜方向は回転体101の径方向と並行となる。また、傾斜角度は、充填液を容器Bの内壁に向けて吐出させ、内壁に沿わせて落下させることができる傾斜角度とし、予め設定しておく。
そして、充填部3の充填バルブ28の開閉を制御し、充填液を充填する。その際、制御部は、既充填量の増加に合わせて、位置調整部4の高さ調整手段4A、補正スライド手段4C、角度調整手段4Bを駆動させながら、常に、充填ノズル29の先端の位置が液面よりも上位に位置するように制御する。
そして、制御部は、充填中乃至充填終了後に、角度調整手段4Bの駆動系(アクチュエータ)を駆動させて水平軸揺動部を回動させ、第2連接部に支承された取付け部材30を介して充填手段3Aを水平軸周りに回動させるとともに、補正スライド手段4Cの駆動系(アクチュエータ)を駆動させて充填ノズル29の傾斜を解除する。よって、充填工程の完了時には、充填ノズル29はその軸心を容器Bのほぼ鉛直方向に位置させた状態に戻る。
所定量の充填が完了したら、制御部は、高さ調整手段4Aの電動スライド105の駆動源(サーボモータ)M2を駆動させて充填ノズル29の吐出口を容器Bの上部開口部の上方に位置させ、続いて、回転軸103を駆動させて逆回転させ、充填手段3Aを再び容器供給部へ戻し、原点復帰させる。なお、本実施形態においては、作業効率を考慮し、充填手段3Aの移動速度は、充填時の速度よりも、原点復帰させる時の速度を速くする。
また、充填済みの容器Bは、搬送経路における充填工程の作業領域の最下流にある容器回収部に至ったところで回収する。
このように、本実施形態の充填装置1によっても、容器Bの開口部内に充填ノズル29を挿入したあと、充填ノズル29を所定の角度だけ傾斜させることができるので、充填液を容器Bの内壁に沿わせて落下させて充填することも可能となり、充填時の充填液の泡立ちや吹き零し(溢れ出し)を抑止することができる。
また、本実施形態のように、容器Bの搬送経路が円弧状とされており、容器Bの搬送時に充填液に遠心力が作用するような場合には、特に、充填ノズル29の傾斜角度を、充填液を容器Bの内壁に沿わせて落下させながら充填を行うことができる角度とすることで、充填液の泡立ちや吹き零し(溢れ出し)を抑止する実効がある。
なお、本実施形態は、1基の充填手段3Aが容器の搬送経路に沿って移動する構成を示したが、同一の回転体101の容器載置位置の移動軌跡上に充填工程における搬送経路を複数本設け、単一の回転軸103に、同様に形成された複数の電動スライダ105を固定し、各電動スライダ105の移動テーブル117に充填手段3Aを支承し、各充填工程における搬送経路において対応する充填手段3Aを同期させて駆動させる構成としてもよい。
具体的には、第1の搬送経路における容器供給部を回転体101の11時方向、容器回収部を7時方向に設け、他方の第2の搬送経路における容器供給部を前記一方の搬送経路における容器供給部の位置と回転軸103の軸対称となる5時方向、容器回収部を1時方向に設け、前記回転軸103には、第1の搬送経路において供給搬送される容器に充填を行う充填手段3Aを支承する高さ調整手段4Aとしての電動スライダ105と、第2の搬送経路において供給搬送される容器Bに充填を行う充填手段3Aを支承する高さ調整手段4Aとしての電動スライダ105との2基を固定し、制御部により、各構成の駆動を同期させて行ない、所望の充填工程を実行するように制御することなどが考えられる。
その場合において、第2実施形態のように、各搬送経路においてはそれに対応する単一の充填手段3Aが容器Bへの追従移動と原点復帰とを繰り返すように、回転軸103が正逆回転するように制御してもいいし、第1の搬送経路において充填に供された充填手段3Aは、そのまま第2の搬送経路における充填に供され、第2の搬送経路における充填に供された充填手段3Aはそのまま第1の搬送経路における充填に供されるように、回転軸103が常に正回転(同一方向回転)をするような制御としてもよい。
また、第1実施形態および第2実施形態においては、各充填手段3Aにおける充填ノズル29の配設数は1個であったが、所定間隔で複数本の充填ノズル29を支承し、前記所定間隔で供給される一群の空の容器に対して、同時に充填を行うような制御とすることも可能である。
その場合、第1実施形態のように充填工程中に容器が搬送経路を移動することなく、作業領域が定点となる場合や、一群の空の容器Bが直線状の搬送経路を搬送される場合は、複数の充填手段3Aを同一の取付け部材30に配設し、該取付け部材30自体の位置を調整することで、該取付け部材30に配設された複数本の充填ノズル29の芯出しや傾斜角度の調整を行なうことができる。
<第3実施形態>
ここで、第3実施形態として、複数の充填手段3Aを配設させた取付け部材30を直線状の搬送経路を搬送される一群(複数個)の空の容器Bに追従させ、各充填手段3Aの充填ノズル29の吐出口を所望の角度に指向させて充填液を充填させうる位置調整部4を備えた充填装置1を図6に示す。なお、本発明の充填装置の基本構成であって、前記第1、第2実施形態と共通する構成部分には同一の符号を付す。
本実施形態の充填装置1の搬送部2は、複数個の容器Bを一群として直線状の搬送経路を搬送する、公知の構成の搬送手段2Aを有している。一群の容器Bは搬送経路の上流側の容器供給部において所定間隔に整列させて供給され、充填工程の作業領域を搬送されている間に充填され、その下流側の容器回収部において回収される。
また、本実施形態は、第2実施形態と同様に形成された位置調整部4の高さ調整手段4Aを構成する電動スライダ105が、搬送方向移動手段4Dとしての移動ステージ201に配設されている。移動ステージ201は、容器Bの搬送経路と並行に配設された一対のスライドガイド202に沿って駆動源(モータ)M3の駆動力により往復動自在に配設されており、ステージ本体203の上方にステージ天板204を支柱壁205により水平に支承している。また、ステージ本体203とステージ天板205との間には円柱状のガイド軸206が鉛直に配設されており、電動スライダ105は、ねじ軸106をステージ本体203とステージ天板204との間に回転自在に位置させ、ガイドブロック120の軸孔118にガイド軸206を挿通させて配設されている。
本実施形態において、取付け部材30には、同時に搬送される一群の容器Bの個数に合わせた複数基の充填手段3Aが一群の容器Bの配置に合わせて配設されており、位置調整部4を制御することによって取付け部材30の位置並びに姿勢を調整することで、各充填ノズル29を一群としてその姿勢を変化させるように構成されている。
また、本実施形態の位置調整部4における補正スライド手段4Cは、スライドベース31と、スライドベース31に配設され、不図示の駆動系(アクチュエータ)の駆動により、角度調整手段4Bの水平軸にその水平面において直交する方向、すなわち、容器Bの搬送経路に直交する方向に進退可能とされたスライドシャフト32を有している。そして、本実施形態における取付け部材30は、複数基の充填手段3Aを配置させた状態でスライドシャフト32の先端に配設されており、充填手段3Aは、直管状の充填ノズル29を鉛直方向に垂下させたときにその吐出口が容器Bの開口部の移動経路上に位置するようにして配設されている。
そして、本実施形態において、不図示の制御部は、搬送部2の駆動を制御するとともに、一群の容器Bの搬送に合わせて、位置調整部4の搬送方向移動手段4Dを構成する移動ステージ201の駆動源M3、高さ調整手段4Aを構成する電動スライダ105の駆動源(サーボモータ)M2、水平軸揺動部33の駆動系(アクチュエータ)、および、補正スライド手段4Cの駆動系(アクチュエータ)の駆動と、各充填部3における充填バルブ28の開閉を制御し、一群の容器Bの搬送に合わせて充填手段3Aを充填工程の作業領域を移動させる間に、充填手段3Aの充填ノズル29の高さと傾斜角度を調整し、各充填ノズル29から対応するそれぞれの容器Bへの充填を実行する。
つまり、制御部は、位置調整部4の搬送方向移動手段4Dを構成する移動ステージ201については、電動スライダ105を介して支承された充填手段3Aが充填工程のための作業領域において容器供給部から容器回収部まで搬送される一群の容器Bに追従移動し、容器回収部に至った後には、再び前記容器供給部に早戻り(原点復帰)するように正逆方向への移動を制御する。
また、制御部は、位置調整部4の高さ調整手段4Aを構成する駆動源(サーボモータ)M2を駆動させてねじ軸106を正逆回転させて該ねじ軸106に螺合するナット114を上下させ、移動テーブル117をガイドブロック120によりガイド軸206に沿って昇降させ、取付け部材30に配設された複数基の充填手段3Aの各充填ノズル29の吐出口とそれぞれに対応する容器Bとの相対的位置関係を容器Bの鉛直方向において変化させる。また、位置調整部4の角度調整手段4Bを構成する水平軸揺動部33の駆動系(アクチュエータ)を駆動させ、取付け部材30を水平軸周りに回動させることにより、各充填手段3Aの充填ノズル29の傾斜角度を自在に変化させる。
より具体的には、容器Bの搬送経路における容器供給部においては、各充填ノズル29を鉛直方向に延在させた充填手段3Aの吐出口を、供給される各容器Bの上部開口部の上方に位置させて配置させるように、位置調整部4の高さ調整手段4Aを制御する。そして、各容器Bの搬送に合わせて搬送方向移動手段4Dを構成する移動ステージの駆動源(サーボモータ)M3を駆動させて、充填手段3Aを容器Bに追従させながら、高さ調整手段4Aを構成する電動スライダ105の駆動源(サーボモータ)M2を駆動させて、取付け部材30板に支承された各充填ノズル29を一括して各容器Bの開口部へ挿入させ、それぞれの下端の吐出口を各容器B内の所望の高さに位置させる。続いて、補正スライド手段4Cおよび角度調整手段4Bの各駆動系(アクチュエータ)を駆動させて、水平軸揺動部33を回動させ、取付け部材30と共に充填手段3Aを水平軸周りに回動させて各充填ノズル29を傾斜させるとともに、補正スライド手段4Cを駆動させて各充填ノズル29の位置を微調整し、吐出される充填液の吐出方向を各容器Bの鉛直方向に対して任意の角度に調整する。なお、傾斜角度は、充填液を容器Bの内壁に向けて吐出させ、内壁に沿わせて落下させることができる傾斜角度とし、予め設定しておく。
そして、充填部3の充填バルブ28の開閉を制御しつつ充填液を充填する。その際、制御部は、既充填量の増加に合わせて、位置調整部4の高さ調整手段4A、補正スライド手段4C、角度調整手段4Bを駆動させながら取付け部材30とともに充填ノズル29を上昇させ、常に、各充填ノズル29の先端の吐出口の位置が液面よりも上位に位置するように制御するとよい。
そして、制御部は、充填中乃至充填終了後に、角度調整手段4Bの駆動系(アクチュエータ)を駆動させて水平軸揺動部33を回動させるとともに補正スライド手段4Cの駆動系(アクチュエータ)を駆動させて、充填手段3Aを水平軸周りに回動させるとともに各充填ノズル29の傾斜を解除する。よって、充填工程の完了時には、充填ノズル29はその軸心を容器Bのほぼ鉛直方向に位置させた状態に戻る。
所定量の充填が完了したら、制御部は、高さ調整手段4Aを駆動させて各充填ノズル29の吐出口を容器Bの上部開口部の上方に位置させ、続いて、搬送方向移動手段4Dの駆動源M3を駆動させて移動ステージ201を逆方向に移動させ、各充填手段3Aを再び容器供給部へ戻し、原点復帰させる。なお、本実施形態においても、作業効率を考慮し、充填手段3Aの移動速度は、充填時の速度よりも、原点復帰させる時の速度を速くするとよい。
また、充填済みの容器Bは、搬送経路における充填工程の作業領域の最下流にある容器回収部に至ったところで回収する。
このように本実施形態の充填装置1によれば、各容器Bの開口部内に各充填ノズル29を挿入したあと、各充填ノズル29を所定の角度だけ傾斜させることができるので、充填液を容器Bの内壁に沿わせて落下させて充填することも可能となり、充填時の充填液の泡立ちや吹き零し(溢れ出し)を抑止することができる。また、充填作業を一度に複数の容器に対して行うことができるので、作業効率も頗る向上する。
第3実施形態は、直線状の搬送経路を搬送される一群(複数個)の容器Bに同時に充填する場合の充填装置1の一例であったが、容器Bの搬送経路が円弧状である場合には、複数の充填手段3Aを単一のスライドベース31の円弧状とされた容器Bの搬送経路と同じ曲率の仮想円弧上に一群の容器Bの整列間隔に合わせて配設し、回転軸103を正逆回転させて、スライドベース31ごと搬送するとともに、位置調整部4の高さ調整手段4Aにより昇降させるようにする。
その場合、位置調整部4の高さ調整手段4Aおよび搬送方向移動手段4Dは、スライドベース31の位置を調整することで、配設された複数基の充填手段3Aの位置を調整する。また、角度調整手段4Bおよび補正スライド手段4Cはそれぞれの充填手段3A毎にスライドベース31に配設し、制御部は、充填手段3A毎の角度調整手段4B、補正スライド手段4Cの駆動を制御するようにして、各充填ノズル29の芯出し等の細かな位置調整をするように構成する。そして、この場合における各充填手段3Aに対応する補正スライド手段4Cのスライドシャフト32は、容器Bの円弧状の搬送経路の径方向すなわち、回転体101の径方向に、駆動系(アクチュエータ)の駆動により進退可能に配設することが肝要である。
<第4実施形態>
第4実施形態では、充填工程の容器Bの搬送経路が円弧状に形成されており、充填部3に配設される充填ノズル29の数は複数本で、それらが、円弧状の搬送経路を間欠搬送される容器Bの配列に合わせて単一の板状のベース板124に設けられており、間欠搬送される複数本の空の容器Bからなる一群の容器に追従しながら、充填工程の作業領域において、同時に所望の充填を行うように構成された充填装置1を説明する。なお、本発明の充填装置の基本構成であって、前記第1乃至第3実施形態と共通する構成部分には同一の符号を付す。
本実施形態における充填装置1も、充填に供する容器Bを搬送する搬送部2と、容器Bに充填液を充填する充填ノズル29を有する充填部3と、充填中における充填ノズル29の容器Bに対する姿勢を調整する位置調整部4と、搬送部2、充填部3並びに位置調整部4の駆動制御に関与する制御部5とを備えている。なお、本実施形態においては、位置調整部4の高さ調整手段4Aおよび搬送方向移動手段4Dとして、第2実施形態の該当構成に代えて、多関節アーム302を備えた公知の構成の作業ロボット301を利用している。
本実施形態の充填装置1は、搬送部2としての搬送ユニット303を有している。搬送ユニット303は、図7に示すように、略円盤状のステージ340と、ステージ340に配設され、ステージ340の中心に鉛直方向に設けられた回転軸341により駆動源M4の駆動力で回転自在に配設された回転板342と、回転板342の上方に支柱343aを以て連接され、回転板342の回転に伴って回転軸341の軸周りに水平回転自在に配設された円環板343と、回転板342の上方に前記円環板343を貫く支柱344aを以て連接され、円環板343の周方向に等間隔をもって複数(本実施形態においては24台)配置され、1本ずつの容器Bの側方に当接して立位を案内する容器ガイド344とを備えている。
搬送ユニット303上における、容器Bの位置を案内する容器ガイド344の回転軌跡、より詳しくは容器ガイド344により保持されて回転軸341の軸周りを移動する容器Bの平面視における円弧状の移動軌跡に搬送経路が形成されており、制御部5は、搬送部2の駆動源(モータ)M4の駆動を制御し、回転板342と一体に前記円環板343および容器ガイド344を回転させることによって、容器ガイド344の回転軌跡における所定箇所に形成された搬入部から搬入された容器を複数本ずつ等間隔に整列させた状態で搬出部まで搬送する。そして、本実施形態においては、搬入部から搬出部までの円弧状の搬送経路の一部が充填液を容器に充填する充填工程のための作業領域とされている。
本実施形態においては、図8に示すように、充填工程の作業領域として、搬送経路上における容器ガイド344の6個分の間欠停止位置が確保されており、該充填工程の作業領域内における上流側から1乃至4個分の間欠停止位置を各充填ノズル29を対応する4個の空の容器Bに挿入する充填初期位置(図8(A)参照)、上流側から3個乃至6個分の間欠停止位置を各充填ノズル29を充填済みの4個の容器Bから抜出する充填終了位置(図8(B)参照)とされている。
なお、前記搬送経路には、充填工程のための作業領域以外に、例えば、容器Bに中栓を施すための領域、外蓋を施すための領域、充填量や施蓋状態を検査するための領域などを設けることも可能である(図8には、「任意領域」と記す。)。
また、充填の作業位置近傍には、充填部を構成し、不図示の給液ポンプから供給される充填液の流量を充填バルブ28により調節可能とされ、下端に充填液の吐出口が形成された直管状の複数本の充填ノズル29を備えた充填手段3Aが、搬送経路上に整列する対応する各容器Bの開口部の上方に各充填ノズル29の軸心を容器Bのほぼ鉛直方向に位置させた状態で垂設されている。
本実施形態において、複数基の充填手段3Aは、作業ロボット301の多関節アーム302に略水平に支持される単一の扇面板状のベース板124に、搬送される容器Bの配列に合わせて設けられている。つまり、本実施形態においては、充填工程の搬送経路は円弧状に形成されており、容器Bはこの搬送経路に沿って搬送されるため、複数基(本実施形態においては4基)の充填手段3Aの各充填ノズル29は、前記搬送経路と同じ曲率の円弧上に配列されている。
そして、本実施形態の充填装置1は、制御部5により駆動制御される多関節アーム302の先端にベース板124を水平に支承可能とされた作業ロボット301が、円環板343の中央孔部分に配置されている。
作業ロボット301の多関節アーム302は、ベース板124に配設された複数基の充填手段3Aの各充填ノズル29の吐出口とそれらに対応する各容器Bの相対的位置関係を前記各容器Bの鉛直方向において変化させる位置調整部4としての高さ調整手段4A、並びに、充填ノズル29を容器Bの搬送経路に沿って移動させる搬送方向移動手段4Dとして動作可能とされている。すなわち、本実施形態における作業ロボット301は、公知の6軸ロボットからなり、その多関節アーム302は、手首に相当する部位を上下に動かす軸、手首に相当する部位を回転させる軸、肘に相当する部分を上下に動かす軸、肘に相当する部分を回転させる軸、腕全体に相当する部分を前後に動かす軸、並びに、腕全体に相当する部分を鉛直軸周りに回転させる軸の6軸(関節)を有して構成され、不図示の駆動系(アクチュエータ)により各軸周りにアームを回動可能とされている。この作業ロボット301の多関節アーム302の先端にはベース板124が固定されており、ベース板124の下面には、各充填手段3Aに対応するスライドベース31が、位置調整部4を構成する前述の第2実施形態と略同様の構成の角度調整手段4Bを介して支承されている。
なお、角度調整手段4Bは、ベース板124の下面に連接された第1連接部と前記スライドベース31に連接された第2連接部との間に配設され、不図示の駆動系(アクチュエータ)により、円弧状の搬送経路の径方向に対して水平面において直交する水平軸軸周りで充填ノズル29を揺動させる水平軸揺動部33を備えている。
そして、各スライドベース31にはそれぞれ、補正スライド手段4Cを構成し、不図示の駆動系(アクチュエータ)の駆動によって、円弧状とされた容器Bの搬送経路における径方向に進退可能とされたスライドシャフト32を備えており、各充填手段3Aは、直管状の充填ノズル29を鉛直方向に垂下させたときにその吐出口が容器Bの開口部の移動経路上に位置するようにして、それぞれのスライドシャフト32の先端に取付け部材30を介して配設されている。
そして、本実施形態の充填装置においては、制御部5は、搬送部2の駆動源M4を駆動させ、複数本(本実施形態においては4本)の容器Bを所定間隔をあけて整列させた状態で円弧状の搬送経路上を搬送させる。そして、充填工程の作業領域の上流側となる充填初期位置に4本の空の容器Bが供給された段階で、制御部5は、高さ調整手段4Aおよび搬送方向移動手段4Dとしての作業ロボット301の駆動を制御し、アーム302を下降させ、充填工程の作業領域内における充填初期位置においてベース板124を降下させ、支承する各充填手段3Aの充填ノズル29のそれぞれを、対応する容器Bの開口部に挿入し、容器B内の所望の高さに位置させる(図9参照)。また、制御部5は、各充填ノズル29の先端が容器Bの開口部から容器内へ挿入された段階で、各充填手段3A毎に配設された角度調整手段4Bの駆動を個別に制御し、取付け部材30の姿勢を調整することで、該取付け部材30に支承されているそれぞれの充填ノズル29を各容器Bの鉛直方向に対して傾斜させる(図10参照)。充填ノズル29を開口部内で容器Bの鉛直軸方向に対して傾斜させる際に、制御部5は、各補正スライド手段4Cのスライドシャフト32の駆動系(アクチュエータ)の駆動を個別に制御し、各容器Bに対するそれぞれの充填ノズル29の位置を、容器Bの搬送経路に対する径方向において進退させ、個別に微調整する(図11参照)。
また、制御部5は、搬送方向移動手段4Dとしての作業ロボット301の多関節アーム302の駆動を制御し、搬送経路を搬送される容器Bに追従させて、ベース板124を円弧状に充填完了位置まで移動させるとともに、高さ調整手段4Aとしての作業ロボット301の多関節アーム302の駆動を制御し、既充填量に合わせて充填ノズル32の挿入深さを調整するようにベース板124を上昇させつつ、充填部4の充填バルブ28の開閉を制御して充填液を充填する。その際、制御部5は、充填終了間際乃至充填終了後に、角度調整手段4B、補正スライド手段4Cの駆動を制御し、充填ノズル29の傾斜を解除する。そして、充填完了後には、前記充填完了位置において充填ノズル29を容器Bの開口部から抜き取るように、高さ調整手段4Aとしての作業ロボット301を駆動させてベース板124を上昇させ、再び、前記充填初期位置にまで戻るように、搬送方向移動手段4Dとしての作業ロボット301の駆動を制御する。このとき、容器Bは回転板342を介して伝達される駆動源M4の駆動力を以て、さらに下流側へ向かって搬送経路上を搬送される。そして、充填初期位置における容器Bの上方へ再び位置した各充填手段3Aは、充填初期位置に4本の空の容器Bが供給されるのを待って、再び、充填液の充填に供される。
このように、本実施形態の充填装置によれば、位置調整部4の高さ調整手段4A並びに搬送方向移動手段4Dとして動作可能な作業ロボット301と、各充填ノズル29の微妙な位置調整を実行するための角度調整手段4Bとしての水平軸揺動部33、補正スライド手段4Cのスライドシャフト32の駆動を制御することにより、容器Bの小さな開口部内に充填ノズル29を挿入したり、開口部内の位置を調整したり、充填ノズル29を所定の角度だけ傾斜させることができるので、充填液を容器の内壁に沿わせて落下させて充填することも可能となり、充填時の充填液の泡立ちや吹き零し(溢れ出し)を抑止することができる。
また、搬送経路上に円弧状に整列する容器Bに合わせて充填ノズル29の位置調整をしようとしても、ベース板124自体の位置調整によれば、該ベース板124に支承されている全ての充填ノズル29が一同に同方向へ移動することとなるため、個別の容器に対する微妙な位置調整はなかなか困難な場合も多いが、本実施形態のように、各充填ノズル29に対応させて円弧状の搬送方向の径方向へ進退可能に配設した補正スライド手段4Cを設け、各スライドシャフト32の駆動系(アクチュエータ)の駆動を個別に制御することにより、各充填ノズル29の微妙な位置調整を実行することができる。作業ロボット301やスライドシャフト32の駆動タイミングや移動方向や移動量等は、予め設定しておき、その設定内容に合わせて制御部5で駆動を制御することで、容器の形状や充填液等に変更があっても、基本的には充填装置のパーツ等の組み替えを要せず、駆動を制御するデータの設定変更のみで対応することができる。
また、本実施形態の充填装置1においても、容器Bの開口部内への充填ノズル29の挿入と脱抜が容易であり、また、充填ノズル29を所望の角度、例えば、充填液を容器Bの内壁に向けて吐出させ、内壁に沿わせて落下させながら充填を行うための角度や、容器Bの搬送時の遠心力が作用することにより生じる充填液の吹き零れを抑止可能な容器内底部上方へ充填液を落下させながら充填を行うための角度に傾斜させ、充填液の充填を行なうことが可能となる。
そして、円弧状(円形状)の搬送経路を搬送される容器Bに充填を行う本実施形態の充填装置1においては、充填ノズル29から吐出される充填液や既に容器Bに充填された充填液に対して遠心力が作用したり、容器搬送の開始時や停止時など、容器Bの搬送に急激な速度変化が生じる場合であっても、適宜、充填ノズル29の傾斜角度や液面に対する高さ等を調整する制御を実行することで、液体の舞い上がりによる発泡や、充填口からの溢れ出しを確実に防止することが可能となる。
なお、本実施形態においては、6軸の作業ロボット301を位置調整部4のうちの高さ調整手段4A並びに搬送方向移動手段4Dとして用いたが、作業ロボット301にいずれの機能を持たせるかについては本実施形態の限りで無い。例えば、本実施形態の充填装置1においては、搬送される容器Bに追従しながら充填を行うこととしたが、充填領域において一時停止している間に充填を完了させる制御とすることもでき、その場合には、作業ロボット7の搬送方向移動手段4Dとしての制御を省略することも可能である。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。