JP6351780B1 - フェライト系ステンレス鋼およびスペーサ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一実施形態におけるフェライト系ステンレス鋼が含有する成分の組成は、以下のとおりである。なお、以下に示す各成分以外は、鉄(Fe)、または不可避的に混入する少量の不純物である。
Crはフェライト系ステンレス鋼に必須の元素であり、耐食性を確保するためにCr濃度は10質量%以上とする。ただし、Crを多量に含有すると、ステンレス鋼が過度に硬質化するため、Cr濃度は20質量%以下とする。
Nbは、高温領域において、固溶または析出強化によりフェライト系ステンレス鋼の強度を向上させる元素である。したがって、熱間鍛造時におけるフェライト系ステンレス鋼の変形抵抗を小さくするためには、Nbの含有量はできるだけ少ないほうがよく、本実施形態では、0.05質量%未満である。
Mnは、フェライト系ステンレス鋼におけるスケールの密着性を向上させる元素である。そのため、本発明の一態様におけるフェライト系ステンレス鋼では、Mnの含有量ができるだけ少ないほうがよく、0.60質量%以下であることが好ましい。
Tiは、CまたはNと反応することにより、フェライト系ステンレス鋼を900〜1000℃においてフェライト系単相にすることができる元素である。また、Tiは、Nbと異なり高温でのフェライト系ステンレス鋼の強度向上にはほとんど寄与しない。一方で過剰なTiの添加は、ステンレス鋼の表面性状に悪影響を及ぼし、製造性を損なう。本発明の一態様におけるフェライト系ステンレス鋼では、0.05〜0.50質量%のTiを含有することが好ましい。
Bは、フェライト系ステンレス鋼を使用して製造された成形品の二次加工性を向上させる元素である。そのため、フェライト系ステンレス鋼がBを0.0002質量%以上含有することが好ましい。ただし、Bを過剰に含有させると、Bの化合物が介在物(不純物)となってしまうため、Bの含有量は、0.01質量%以下であることが好ましい。
Cは、α−γ変態点温度を上昇させる。よって高温域までの再結晶温度を確保するためには必要な元素である。ただし、過度に含有すると炭化物量が増加し、耐食性が劣化するため、Cの含有量は、0.08質量%以下であることが好ましい。
Siは、製鋼時の脱酸剤として有効な元素である。ただし、Siを多量に含有すると固溶強化によりステンレス鋼が過度に硬質化する。したがって、Siの含有量は、0.8質量%以下であることが好ましい。
Pは、その含有量に応じて熱間加工性を低下させる。そのため、Pの含有量、0.04質量%以下であることが好ましい。
フェライト系ステンレス鋼においてSの含有量が多いと、該鋼中に存在する、MnSを主体とするA系の介在物が多くなる。そのため、Sの含有量は、0.03質量%以下であることが好ましい。
Niは、高温域におけるオーステナイト相の割合を増加させるため、熱間圧延時の加工性向上に有効である。しかし、過度に含有するとα−γ変態点温度が低下し、十分な再結晶温度を確保できなくなる。また、Niは、高価な元素でもある。そのため、Niの含有量は、0.5質量%以下であることが好ましい。
Nを過剰に添加すると他の元素と窒化物を形成して硬質化を招く。そのため、Nの含有量は、0.05質量%以下であることが好ましい。
本発明の一態様におけるフェライト系ステンレス鋼は、上記以外の元素として、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、およびREM(希土類金属)のうちの一種または二種以上をさらに含んでいてもよい。
本発明において対象とするフェライト系ステンレス鋼は、上記以外の元素として、モリブデン(Mo)、銅(Cu)などの元素を必要に応じて含んでいてよい。また、フェライト系ステンレス鋼におけるMoおよびCuの含有量として、以下のようなものが好ましい。
次に、本発明の一態様のフェライト系ステンレス鋼の主たる特徴について、ハードディスクドライブが備えるスペーサを製造する例を用いて説明する。なお、本発明のフェライト系ステンレス鋼を用いて、ハードディスクドライブが備えるスペーサ以外の成形品を製造することもできる。特に、本発明のフェライト系ステンレス鋼は、比較的小さく(例えば、直径50mm以下、または高さ20mm以下)、かつ、高い寸法精度を求められる成形品を製造するための鋼板として好適である。
実施例1〜10、および比較例1のフェライト系ステンレス鋼を用いて作製した試験片に対して、圧縮変形抵抗試験を行った。図2は、本実施例における圧縮変形抵抗測定試験を説明するものであり、(a)は、実施例1〜10、または比較例1のフェライト系ステンレス鋼を用いて作製した試験片の形状を示す斜視図であり、(b)は圧縮変形抵抗測定試験の様子を示す側面図である。まず、図2の(a)に示すように、それぞれのフェライト系ステンレス鋼から内径5mm、外径10mm、および高さ7.5mmのリング形状の試験片を切削により作製した。
実施例1〜10、および比較例1のフェライト系ステンレス鋼に対して、スケール除去性試験を行った。スケール除去性試験では、まず、実施例1〜10、および比較例1のフェライト系ステンレス鋼から5cm角の試験片を作製した。次に、作製したそれぞれの試験片を、大気雰囲気、900℃で1時間加熱した。これにより、それぞれの試験片の表面にスケールを形成させた。次に、スケールを形成させたそれぞれの試験片にたいして、5秒間ショットブラスト処理を行い、スケールの除去を行った。スケール除去性試験では、ショットブラスト処理後のそれぞれの試験片の表面を目視で確認することにより、それぞれの試験片にスケールが残存しているか否かについて確認した。
実施例2、6および比較例1のフェライト系ステンレス鋼を用いて作製した試験片に対して、残留応力測定試験を行った。それぞれの試験片は、上記圧縮変形抵抗測定試験において作製した試験片と同様に作製した。ただし、それぞれの試験片の内径を25mm、外径を30mmとした。
12 スペーサ
Claims (11)
- 熱間鍛造して成形品を製造するために使用されるフェライト系ステンレス鋼であって、
Crの含有量が10〜20質量%、
Cの含有量が0.08質量%以下、
Siの含有量が0.8質量%以下、
Mnの含有量が0.89質量%以下、
Pの含有量が0.04質量%以下、
Sの含有量が0.03質量%以下、
Niの含有量が0.5質量%以下、
Nの含有量が0.05質量%以下、
Nbの含有量が0.05質量%未満であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼。 - 熱間鍛造して成形品を製造するために使用されるフェライト系ステンレス鋼であって、
Crの含有量が10〜20質量%であり、
0.08質量%以下のCと、
0.11質量%以上0.7質量%以下のSiと、
0.12質量%以上0.89質量%以下のMnと、
0.04質量%以下のPと、
0.03質量%以下のSと、
0.5質量%以下のNiと、
0.05質量%以下のNと、を含有し、かつ
Nbの含有量が0.05質量%未満であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼。 - Mnの含有量が0.60質量%以下である請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 0.05〜0.50質量%のTiを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 0.0002〜0.01質量%のBを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- V、Al、Zr、およびREMのうちの一種または二種以上の元素を、合計で0.50質量%以下含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 1.5質量%以下のMo、および3質量%以下のCuのいずれか1つ以上を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 熱間鍛造してリング形状を有する熱間鍛造成形品を製造するために使用される請求項1〜7のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 前記熱間鍛造成形品は、ハードディスクドライブが備えるスペーサである請求項8に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- ハードディスクドライブが備えるスペーサであって、
請求項9に記載のフェライト系ステンレス鋼を熱間鍛造して成形されたスペーサ。 - 前記スペーサはリング形状を有しており、
前記スペーサの径方向に対して垂直な軸方向における残留応力の絶対値が75MPa以下である請求項10に記載のスペーサ。
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