JP6350167B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと、該半導体モジュールのパワー端子に溶接された一対の直流バスバーとを備える電力変換装置に関する。
例えば直流電力と交流電力との間で電力変換を行う電力変換装置として、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと、該半導体モジュールのパワー端子に溶接された一対の直流バスバーとを備えるものがある(下記特許文献1参照)。直流バスバーは、半導体モジュールと直流電源とを電気的に接続するために設けられている。
上記電力変換装置は、複数の上記パワー端子を備える。パワー端子は、第1列と第2列との二列に配列されている。各列のパワー端子は、該パワー端子の厚さ方向に並んでいる。また、第1列と第2列とは、パワー端子の突出方向と上記厚さ方向との双方に直交する幅方向において、互いに隣り合っている。
上記一対の直流バスバーは、それぞれ異なる列に属するパワー端子に溶接されている。また、上記電力変換装置では、一対の直流バスバーを上記突出方向に重ね合わせ、これらの間隔をなるべく狭くしてある。これにより、直流バスバーに寄生するインダクタンスを低減している。直流バスバー間の間隔が狭いほど、インダクタンスを低減することが可能となる。
また、直流バスバーは、板状本体部と、該板状本体部から上記突出方向に突出した折曲部とを備える(図18〜図20参照)。この折曲部をパワー端子に重ね合わせ、これら折曲部とパワー端子の端面を溶接してある。これにより、直流バスバーとパワー端子とを接続している。
特許第4935883号公報
しかしながら、上記電力変換装置は、上記一対の直流バスバーに寄生するインダクタンスを充分に低減しにくいという問題がある。すなわち、上記折曲部を形成する場合、一方の直流バスバーに比較的大きな切欠部や穴部を形成し、他方の直流バスバーの折曲部およびこれに溶接されたパワー端子を、上記一方の直流バスバーの切欠部等に挿通させる必要がある。このようにしないと、折曲部が邪魔になって、一対の直流バスバーを互いに接近させることができなくなる。しかし、大きな切欠部や穴部を形成すると、直流バスバー同士が上記突出方向に重なり合う面積が低減するため、インダクタンスを十分に低減しにくくなる。したがって、半導体モジュールに加わるサージを低減しにくくなるという問題が生じる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、直流バスバーに寄生するインダクタンスをより低減できる電力変換装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、直流電力と交流電力との間で電力変換を行う電力変換装置であって、
半導体素子を内蔵した本体部と、該本体部から突出した板状のパワー端子とを備える半導体モジュールと、
上記パワー端子に溶接され、直流電源と上記半導体素子との間の電流経路をなすと共に、それぞれ板状に形成された一対の直流バスバーと
該一対の直流バスバーに接続し、上記半導体モジュールに加わる直流電圧を平滑化するコンデンサとを備え、
複数の上記半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する複数の冷却管とを積層して積層体を構成してあり、
複数の上記パワー端子が、該パワー端子の厚さ方向に配列した第1列と第2列とに並べられており、上記第1列と上記第2列とは、上記パワー端子の突出方向と上記厚さ方向との双方に直交する幅方向に隣り合っており、
上記一対の直流バスバーは、上記幅方向における上記直流バスバーの端部である溶接側端部にて、それぞれ異なる列に属する上記パワー端子に溶接され、上記一対の直流バスバーは、上記突出方向に互いに重なり合うように配されており、
上記パワー端子は屈曲しておらず、上記直流バスバーと上記パワー端子とは、該パワー端子の先端面を上記直流バスバーの主面に当接させた状態で、レーザ溶接によって互いに溶接されており、
上記コンデンサは、上記突出方向において上記積層体に隣り合う位置に配され、上記一対の直流バスバーは、上記突出方向において上記コンデンサと上記積層体との間に介在していることを特徴とする電力変換装置にある。
上記電力変換装置においては、直流バスバーとパワー端子とを、パワー端子の先端面を上記直流バスバーの主面に当接させた状態で、互いに溶接してある。
そのため、従来のように、直流バスバーに折曲部を形成する必要がなくなり、この折曲部を、溶接されたパワー端子と共に挿通させるための上記切欠部や穴部を、他方の直流バスバーに形成する必要がなくなる。したがって、一対の直流バスバーが上記突出方向に重なり合う面積を増やすことができ、直流バスバーに寄生するインダクタンスを低減することができる。そのため、半導体モジュールに加わるサージを低減することができる。
以上のごとく、本発明によれば、直流バスバーに寄生するインダクタンスをより低減できる電力変換装置を提供することができる。
実施例1における、電力変換装置の断面図であって、図2のI-I断面図。 図1のII-II断面図。 図2のIII-III断面図。 実施例1における、電力変換装置の断面図であって、正極バスバーを取り除いたもの。 実施例1における、電力変換装置の断面図であって、正極バスバー、負極バスバー、出力バスバーを取り除いたもの。 実施例1における、電力変換装置の回路図。 実施例1における、電力変換装置の製造方法説明図。 図7に続く図。 実施例2における、電力変換装置の断面図。 実施例3における、電力変換装置の断面図。 実施例3における、電力変換装置の断面図であって、正極バスバーを取り除いたもの。 図10の要部拡大図。 実施例4における、電力変換装置の断面図。 参考例1における、電力変換装置の断面図であって、図15のXIV-XIV断面図。 図14のXV-XV断面図。 実施例における、電力変換装置の断面図。 実施例における、電力変換装置の回路図。 比較例における、電力変換装置の拡大平面図。 図18のXIX-XIX断面図。 図18のXX-XX断面図。
上記電力変換装置は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載するための、車載用電力変換装置とすることができる。
(実施例1)
上記電力変換装置に係る実施例について、図1〜図8を用いて説明する。本例の電力変換装置1は、直流電力と交流電力との間で電力変換を行う。図1〜図3に示すごとく、本例の電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と、一対の直流バスバー3(3a,3b)とを備える。半導体モジュール2は、半導体素子20(図6参照)を内蔵した本体部21と、該本体部21から突出した板状のパワー端子22とを備える。直流バスバー3は、パワー端子22に溶接されている。直流バスバー3は、直流電源80(図6参照)と半導体素子20との間の電流経路をなしている。一対の直流バスバー3a,3bは、それぞれ板状に形成されている。
図5に示すごとく、複数のパワー端子22が、該パワー端子22の厚さ方向(X方向)に配列した第1列11と第2列12との二列に並べられている。第1列11と第2列12とは、パワー端子22の突出方向(Z方向)とX方向との双方に直交する幅方向(Y方向)において互いに隣り合っている。
図1、図2、図4に示すごとく、一対の直流バスバー3a,3bは、Y方向における直流バスバー3の端部である溶接側端部30にて、それぞれ異なる列に属するパワー端子22に溶接されている。また、一対の直流バスバー3a,3bは、Z方向に互いに重なり合うように配されている。
図1、図3に示すごとく、直流バスバー3とパワー端子22とは、パワー端子22の先端面29を直流バスバー3の主面34に当接させた状態で、互いに溶接されている。
本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載するための、車載用電力変換装置である。
図1に示すごとく、一対の直流バスバー3には、Z方向において本体部21から相対的に遠い位置に配された遠方直流バスバー3aと、該遠方直流バスバー3aよりも本体部21に近い位置に配された近方直流バスバー3bとがある。一対の直流バスバー3a,3bは、Y方向において溶接側端部30とは反対側に位置する基端側端部31(31a,31b)が、Z方向に重なり合っている。遠方直流バスバー3aは、第1列11と第2列12とのうち、Y方向において基端側端部31aから遠い位置に配された列(第1列11)に属するパワー端子22aに溶接されている。近方直流バスバー3bは、Y方向において基端側端部31bに近い位置に配された列(第2列12)に属するパワー端子22bに溶接されている。
図1に示すごとく、半導体モジュール2は、直流用のパワー端子22a,22bと、交流用のパワー端子22cとを備える。遠方直流バスバー3aと近方直流バスバー3bは、それぞれパワー端子22a,22bに溶接されている。遠方直流バスバー3aは、直流電源80(図6参照)の正電極801と半導体モジュール2との間の電流経路をなしている。近方直流バスバー3bは、直流電源80の負電極802と半導体モジュール2との間の電流経路をなしている。交流用のパワー端子22cは、交流バスバー60に溶接されている。
図2に示すごとく、本例では、複数の交流バスバー60を、封止部材61によって封止し、一体化してバスバーモジュール6にしてある。
図1に示すごとく、半導体モジュール2の本体部21からは、制御端子23が突出している。この制御端子23に制御回路基板5が接続している。制御回路基板5によって半導体素子20(図6参照)のオンオフ動作を制御している。これにより、パワー端子22a,22bの間に加わる直流電圧を交流電圧に変換し、交流用のパワー端子22cから出力している。そして、得られた交流電力を用いて、交流負荷81(図6参照)を駆動するよう構成されている。
図2に示すごとく、個々の直流バスバー3a,3bは、コンデンサ13に接続するための接続端子37を備える。遠方直流バスバー3aは、近方直流バスバー3bの、接続端子37以外の全ての部位を、Z方向から覆っている。
本例では、レーザビームL(図7、図8参照)を用いて、直流バスバー3a,3b及び交流バスバー60をパワー端子22に溶接している。すなわち、直流バスバー3a,3bの主面34にパワー端子22の先端面29を当接させた状態で、反対側の主面35にレーザビームLを照射する。これにより、直流バスバー3a,3bとパワー端子22とを溶接してある。交流バスバー60も同様である。
図2、図4に示すごとく、直流バスバー3a,3b及び交流バスバー60には、レーザビームLを照射した痕である溶接痕330が残っている。
図5に示すごとく、本例では、複数の半導体モジュール2と複数の冷却管7とを積層して、積層体10を形成してある。X方向において積層体10に隣り合う位置には、加圧部材18(板ばね)が設けられている。この加圧部材18によって、積層体10を、ケース4の壁部41に向けて押圧している。これにより、冷却管7と半導体モジュール2との接触圧を確保しつつ、積層体10をケース4内に固定している。
X方向に隣り合う2つの冷却管7は、Y方向における両端にて、連結管70によって連結されている。また、複数の冷却管7のうち、X方向における一端に位置する端部冷却管7aには、冷媒16を導入するための導入管14と、冷媒16を導出するための導出管15とが取り付けられている。導入管14から冷媒16を導入すると、冷媒16は連結管70を通って全ての冷却管7を流れ、導出管15から導出される。これにより、半導体モジュール2を冷却するようになっている。
また、図3に示すごとく、ケース4にはコンデンサ13が収容されている。本例ではコンデンサ13を、Z方向において積層体10に隣り合う位置に設けてある。コンデンサ13は、コンデンサ素子131と、該コンデンサ素子131を封止するコンデンサ封止部132と、コンデンサ素子131の電極面に取り付けられた接続部材133,134とを備える。図1に示すごとく、接続部材133,134の一部はコンデンサ封止部132から突出し、直流バスバー3の上記接続端子37a,37bに接続している。
次に、本例の電力変換装置1の製造方法について説明する。図7に示すごとく、電力変換装置1を製造する際には、まず、複数の半導体モジュール2と複数の冷却管7とを積層して積層体10を構成し、上記加圧部材18を用いて、積層体10をケース4内に固定する。次いで、近方直流バスバー3bを配置し、パワー端子22bに溶接する。すなわち、パワー端子22bの先端面29を、近方直流バスバー3bの主面34に当接させ、反対側の主面35にレーザビームLを照射する。これにより、近方直流バスバー3bとパワー端子22bとを溶接する。交流バスバー60も同様にして、パワー端子22cに溶接する。
次いで、図8に示すごとく、近方直流バスバー3bを覆うように遠方直流バスバー3aを取り付ける。そして、パワー端子22aの先端面29を遠方直流バスバー3aの主面34に当接させ、反対側の主面35にレーザビームLを照射する。これにより、遠方直流バスバー3aとパワー端子22aとを溶接する。その後、コンデンサ13を取り付ける。以上の工程を行うことにより、電力変換装置1を製造する。
本例の作用効果について説明する。本例においては、直流バスバー3とパワー端子22とを、パワー端子22の先端面39を上記直流バスバー3の主面34に当接させた状態で、互いに溶接してある。
そのため、従来のように、直流バスバーに折曲部を形成する必要がなくなり、この折曲部を、溶接されたパワー端子と共に挿通させるための切欠部や穴部を、他方の直流バスバーに形成する必要がなくなる。したがって、一対の直流バスバー3a,3bがZ方向に重なり合う面積を増やすことができ、直流バスバー3に寄生するインダクタンスを低減することができる。そのため、半導体モジュール2に加わるサージを低減することができる。
すなわち、パワー端子と直流バスバーとを溶接する場合、図18〜図20に示すごとく、直流バスバー93に折曲部99を形成し、この折曲部99とパワー端子922とを重ね合わせ、これらの端面を溶接する方法が一般に採用されている。しかしながら、この場合、遠方直流バスバー93aに比較的大きな切欠部98を形成し、近方直流バスバー93bの折曲部99bを切欠部98に挿通させる必要が生じる。切欠部98を形成しないと、折曲部99bが遠方直流バスバー93aに当接してしまい、遠方直流バスバー93aと近方直流バスバー93bとを接近させることができなくなる。
上記構成では、比較的大きな切欠部98を形成する必要があるため、近方直流バスバー93bの折曲部99bの周囲において、近方直流バスバー93bと遠方直流バスバー93aとがZ方向に重なる面積が低減する。そのため、直流バスバー93a,93bに寄生するインダクタンスを充分に低減しにくくなる。
これに対して、図1に示すごとく、本例のように、パワー端子22の先端面29を直流バスバー3の主面34に当接させた状態で溶接すれば、直流バスバー3に折曲部99を形成する必要がなくなる。そのため、この折曲部99をパワー端子と共に挿通させるための切欠部98(図18参照)を、直流バスバー93に形成する必要がなくなる。したがって、一対の直流バスバー3a,3bが重なり合う面積を増やすことができ、インダクタンスを低減することが可能になる。
また、本例では、図1に示すごとく、遠方直流バスバー3aを、Y方向において基端側端部31aから遠い位置に配された列(第1列11)に属するパワー端子22aに溶接してある。また、近方直流バスバー3bを、Y方向において基端側端部31bに近い位置に配された列(第2列12)に属するパワー端子22bに溶接してある。
このようにすると、直流バスバー3a,3bに寄生するインダクタンスを、より低減しやすくなる。すなわち、図13に示すごとく、遠方直流バスバー3aを、Y方向において基端側端部31aから近い位置に配された列(第2列12)に属するパワー端子22bに溶接し、近方直流バスバー3bを、Y方向において基端側端部31bから遠い位置に配された列(第1列11)に属するパワー端子22aに溶接することも可能である。しかし、この場合、近方直流バスバー3bに、少なくともパワー端子22bが通ることが可能な大きさの孔部300を形成する必要が生じる。そのため、近方直流バスバー3bと遠方直流バスバー3aとが重なる面積が低減し、インダクタンスが僅かに増加する可能性が考えられる。
しかしながら、図1に示すごとく、本例のように、遠方直流バスバー3aを、Y方向において基端側端部31aから遠い位置に配された列(第1列11)に属するパワー端子22aに溶接し、近方直流バスバー3bを、Y方向において基端側端部31bに近い位置に配された列(第2列12)に属するパワー端子22bに溶接すれば、近方直流バスバー3bに孔部300を形成する必要がなくなる。そのため、直流バスバー3a,3bが重なる面積をより増やすことができ、インダクタンスをより低減することが可能になる。
また、図2に示すごとく、本例では、遠方直流バスバー3aが、近方直流バスバー3bの、接続端子37b以外の全ての部位を、Z方向から覆っている。そのため、遠方直流バスバー3aと近方直流バスバー3bとが重なる面積をより増やすことができ、インダクタンスをより低減することが可能となる。
また、本例では図7、図8に示すごとく、直流バスバー3a,3bとパワー端子22とを、レーザ溶接により溶接してある。
このようにすると、パワー端子22を短くすることができ、パワー端子22に寄生するインダクタンスを低減できる。すなわち、従来から用いられているTIG溶接は、狭い領域にエネルギー(熱)を集中しにくい溶接方法であるため、溶接時に大きな熱を加える必要がある。この熱がパワー端子22を介して半導体モジュール20に伝わると、半導体素子20に熱ストレスが加わるおそれがあるため、TIG溶接を行うときは、パワー端子22のZ方向長さを長くして、パワー端子22を空冷する必要が生じる。そのため、パワー端子22に大きなインダクタンスが寄生しやすくなる。
これに対して、上記レーザ溶接は、狭い領域にエネルギー(熱)を集中できる溶接方法であるため、加える熱量が少なくても、直流バスバーとパワー端子とを溶接することができる。そのため、パワー端子22のZ方向長さを短くしても、溶接時に発生した熱の一部がパワー端子22を介して半導体素子20に伝わる不具合を抑制できる。パワー端子22を短くすれば、パワー端子22に寄生するインダクタンスを低減することが可能になる。そのため、半導体素子20に加わるサージを効果的に抑制することが可能となる。
以上のごとく、本例によれば、直流バスバーに寄生するインダクタンスをより低減できる電力変換装置を提供することができる。
(実施例2)
以下の実施例においては、図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
本例は、直流バスバー3の形状を変更した例である。図9に示すごとく、本例では、2本のパワー端子22a,22bのZ方向長さを略同一にしてある。そして、遠方直流バスバー3aを屈曲させ、遠方直流バスバー3aの溶接側端部30aと、近方直流バスバー3bの溶接側端部30bとが、Z方向において略同一の高さ位置に配されるようにしてある。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
(実施例3)
本例は、直流バスバー3の形状を変更した例である。図10〜図12に示すごとく、本例では、個々の直流バスバー3に、複数のスリット32を形成してある。スリット32は、直流バスバー3の、Y方向におけるバスバーモジュール6側の端面39から、Y方向に延出している。個々のスリット32は、Z方向から見たときに、X方向に隣り合う2つのパワー端子22の間に介在している。
このようにすると、直流バスバー3のうち、2つのスリット32に挟まれた部位が、Z方向に撓みやすくなる。そのため、この部位をパワー端子22の先端面29に密着させやすくなり、溶接作業を行いやすくなる。
また、本例では、図10、図11に示すごとく、遠方直流バスバー3aに、複数の貫通孔38を形成してある。そして、近方直流バスバー3bの溶接部33bを、貫通孔38を通してZ方向から個別に視認できるよう構成してある。
このようにすると、電力変換装置1を製造する際に、貫通孔38を通して溶接部33bにレーザビームLを照射し、これによって近方直流バスバー3bとパワー端子22bとを溶接することができる。したがって、実施例1のように、近方直流バスバー3bのみ先に溶接し(図7、図8参照)、その後、遠方直流バスバー3aを取り付けて溶接する必要がなくなり、遠方直流バスバー3aと近方直流バスバー3bとを一度に溶接することが可能になる。そのため、溶接工程を短時間で行うことが可能になる。
なお、本例の貫通孔38は、レーザビームLを通過させる程度の大きさであれば良いため、その面積を小さくすることができる。また、スリット32は、直流バスバー3が撓むことができれば良いため、スリット32のX方向幅は短くてもよい。そのため、スリット32と貫通孔38を形成しても、一対の直流バスバー3a,3bが互いに重なり合う面積が大きく低減することは抑制できる。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
(実施例4)
本例は、直流バスバー3の形状等を変更した例である。図13に示すごとく、本例では、近方直流バスバー3bを、第1列11と第2列12とのうち、基端側端部31bから遠い位置に配した列(第1列11)に属するパワー端子22aに溶接してある。また、遠方直流バスバー3aを、基端側端部31aから近い位置に配した列(第2列12)に属するパワー端子22bに溶接してある。近方直流バスバー3bには、孔部300を形成してある。第2列12に属するパワー端子22bは、孔部300を通り、遠方直流バスバー31aに溶接されている。
本例では、孔部300に、パワー端子22bのみを挿通させており、従来のように折曲部99b(図18、図20参照)とパワー端子922とを両方とも挿通させている訳ではない。そのため、孔部300の開口面積は、比較的小さくすることができる。そのため、孔部300を形成しても、直流バスバー3a,3b同士が重なり合う面積が大きく低減する不具合を抑制できる。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
参考例1
本例は、半導体モジュール2の形状を変更した例である。図14、図15に示すごとく、本例では、1個の半導体モジュール2を用いて電力変換装置1を構成している。本例の半導体モジュール2は、いわゆるIPM(Intelligent Power Module)であり、その内部に複数の半導体素子20と制御回路基板5とが内蔵されている。半導体モジュール2の本体部21からは、複数のパワー端子22が突出している。複数のパワー端子22は、実施例1と同様に、X方向に配列した第1列11と第2列12とに並べられている。第1列11に属するパワー端子22aは、遠方直流バスバー3aに溶接されている。また、第2列12に属するパワー端子22bは、近方直流バスバー3bに溶接されている。
半導体モジュール2は、冷却器75に接触している。この冷却器75を用いて、半導体モジュール2を冷却するよう構成されている。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
(実施例
本例は、図16、図17に示すごとく、フィルタコンデンサ13aと平滑コンデンサ13bとの、2つのコンデンサ13を設けた例である。また、本例の電力変換装置1は、昇圧用のリアクトル17を備える。リアクトル17は、ケース4内に設けられている。
図16に示すごとく、フィルタコンデンサ13aは、X方向において積層体10に隣り合う位置に設けられている。また、リアクトル17は、X方向において平滑コンデンサ13bに隣り合う位置に設けられている。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
1 電力変換装置
11 第1列
12 第2列
2 半導体モジュール
20 半導体素子
21 本体部
22 パワー端子
29 先端面
3 直流バスバー
30 溶接側端部
34 主面

Claims (5)

  1. 直流電力と交流電力との間で電力変換を行う電力変換装置(1)であって、
    半導体素子(20)を内蔵した本体部(21)と、該本体部(21)から突出した板状のパワー端子(22)とを備える半導体モジュール(2)と、
    上記パワー端子(22)に溶接され、直流電源と上記半導体素子(20)との間の電流経路をなすと共に、それぞれ板状に形成された一対の直流バスバー(3,3a,3b)と
    該一対の直流バスバー(3,3a,3b)に接続し、上記半導体モジュール(2)に加わる直流電圧を平滑化するコンデンサ(13)とを備え、
    複数の上記半導体モジュール(2)と、該半導体モジュール(2)を冷却する複数の冷却管(7)とを積層して積層体(10)を構成してあり、
    複数の上記パワー端子(22)が、該パワー端子(22)の厚さ方向に配列した第1列(11)と第2列(12)とに並べられており、上記第1列(11)と上記第2列(12)とは、上記パワー端子(22)の突出方向と上記厚さ方向との双方に直交する幅方向に隣り合っており、
    上記一対の直流バスバー(3a,3b)は、上記幅方向における上記直流バスバー(3a,3b)の端部である溶接側端部(30)にて、それぞれ異なる列に属する上記パワー端子(22)に溶接され、上記一対の直流バスバー(3a,3b)は、上記突出方向に互いに重なり合うように配されており、
    上記パワー端子(22)は屈曲しておらず、上記直流バスバー(3)と上記パワー端子(22)とは、該パワー端子(22)の先端面(29)を上記直流バスバー(3)の主面(34)に当接させた状態で、レーザ溶接によって互いに溶接されており、
    上記コンデンサ(13)は、上記突出方向において上記積層体(10)に隣り合う位置に配され、上記一対の直流バスバー(3a,3b)は、上記突出方向において上記コンデンサ(13)と上記積層体(10)との間に介在していることを特徴とする電力変換装置(1)。
  2. 上記一対の直流バスバー(3)には、上記突出方向において上記本体部(21)から相対的に遠い位置に配された遠方直流バスバー(3a)と、該遠方直流バスバー(3a)よりも上記本体部(21)に近い位置に配された近方直流バスバー(3b)とがあり、上記一対の直流バスバー(3a,3b)は、上記幅方向において上記溶接側端部(30)とは反対側に位置する端部である基端側端部(31)が、上記突出方向に重なり合っており、上記遠方直流バスバー(3a)は、上記第1列(11)と上記第2列(12)とのうち上記幅方向において上記基端側端部(31a)から遠い位置に配された列に属する上記パワー端子(22a)に溶接され、上記近方直流バスバー(3b)は、上記幅方向において上記基端側端部(31b)に近い位置に配された列に属する上記パワー端子(22b)に溶接されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置(1)。
  3. 個々の上記直流バスバー(3)は、上記半導体モジュール以外の電子部品に接続するための接続端子(37)を備え、上記遠方直流バスバー(3a)が、上記近方直流バスバー(3b)における上記接続端子(37b)以外の全ての部位を、上記突出方向から覆っていることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置(1)。
  4. 上記遠方直流バスバー(3a)には複数の貫通孔(38)が形成されており、上記近方直流バスバー(3b)における、上記パワー端子(22)に溶接するための部位である溶接部(33b)を、上記貫通孔(38)を通して上記突出方向から個別に視認できるよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置(1)。
  5. 個々の上記直流バスバー(3a,3b)には、上記幅方向における上記パワー端子(22)側の端面(39)から上記幅方向に延出した複数のスリット(32)が形成され、個々の上記スリット(32)は、上記突出方向から見たときに、上記厚さ方向に隣り合う2つの上記パワー端子(22)の間に介在していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置(1)。
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