以下、本発明の実施形態に係る流量調整弁について、図面を参照しながら具体的に説明する。
[第1実施形態]
<止水栓の構成>
図1は、本発明の第1実施形態(以下、「本実施形態」と称す。)に係る流量調整弁が内部に設けられた止水栓10の正面図である。また、図2は、図1に示す止水栓10の概観展開図である。
図1に示すように、止水栓10は、図示しない給水源から給水される給水管に接続されており、当該給水管から流入する水の止水栓10より先への流出を止めたり、その流出の流量調整をしたりするためのものである。
止水栓10は、ハンドル12と、止水栓本体14と、を備える。
上記の他、図2に示すように、止水栓10は、第1取付リング16と、第2取付リング18と、本実施形態に係る流量調整弁100と、を備える。
回転操作部材としてのハンドル12は、止水栓10の使用者が把持して回転するものである。このハンドル12の回転により、止水栓10から流出する水の流量調整が行われる。ハンドル12は、把持部12Aと、取付部12Bと、を備える。
把持部12Aは、使用者が把持可能な大きさで棒状に形成されている。この把持部12Aは、取付部12Bの外周面から例えば略水平方向に張り出している。なお、把持部12Aと取付部12Bとは別体として形成されているが、一体的に形成されてもよい。
取付部12Bは、円筒状に形成されている。取付部12Bの一端部には、外側に向かって、螺子穴12Cと、蓋用開口12Dとが設けられている。螺子穴12Cは、蓋用開口12Dよりも小さく、取付部12Bの他端部まで貫通している。螺子穴12Cには、蓋用開口12D側から、ハンドル12と流量調整弁100(の摘み214)とを固定するための螺子12Eが挿入される。この挿入された螺子12Eを覆い隠すように、蓋用開口12Dには、蓋12Fが嵌め込まれる。
図3は、図2に示すハンドル12を、取付部12Bの他端部側から見たときの概観図である。
図3に示すように、取付部12Bの他端部には、第1開口12Hが設けられている。
第1開口12Hよりも図3紙面奥側には、円状面12Gが設けられている。円状面12Gの中心部からは、図3紙面手前側に向かって円筒部12Iが突出している。
円筒部12Iは、図3紙面手前側から見たとき略円弧状(より具体的には略C字形状)の第1突起部12Jと、当該第1突起部12Jの両端を繋いで全体で円を描くような略円弧状の第2突起部12Kと、を備える。第2突起部12Kは、第1突起部12Jよりも突出長さが小さく、図3紙面奥側にある。円筒部12Iの先端面中心部には、第2開口12Lが設けられ、その図3紙面奥側にさらに、上述した螺子穴12Cが設けられている。
図2に戻って、上記の第1開口12Hからは、取付部12B内部に向かって第1取付リング16が挿入されて嵌め込まれ、当該第1取付リング16内に第2取付リング18が嵌め込まれる。その後、止水栓本体14に形成された嵌合凸部14Aの先端面に開口している挿入口14Bに、流量調整弁100が挿入される。そして、取付部12Bの開口12Gからさらに、流量調整弁100の摘み214が挿入されて第2開口12Lに嵌め込まれ、嵌合凸部14Aが第2取付リング18に挿入されて嵌め込まれる。さらにまた、蓋12F側の螺子穴12Cから螺子12Eが挿入されて摘み214にねじ込まれる。この結果、図4に示すように、取付部12Bは、止水栓本体14に対して回転自在に取り付けられている。
図4は、図1に示す止水栓10のA−A矢視断面図である。なお、図4ではハッチングの記載を省略している。
図1及び図4に示すように、止水栓本体14は、第1管14Cと、第2管14Dと、を備えている。
第1管14Cは、例えば略鉛直方向に延びている。第1管14Cの一端部には、給水源から給水される給水管に接続されている。図4に示すように、第1管14Cの一端面には、第1流入口20が形成されて当該第1流入口20を介して給水管から水が流入する。この第1流入口20には、第1管14Cの内部に形成された第1流路22と連通している。
第1流路22内では、第1流入口20から流入する水が矢印B方向に向かって流れる。第1流路22において水の流れ方向先端部となる第1管14Cの内壁には、例えば円形の第1流出口24が設けられている。第1流出口24は、第1流路22と連通し、当該第1流路22の径よりも口径が小さく設定されている。この第1流出口24の先となる第1管14Cの他端部内部には、後述する本実施形態に係る流量調整弁100の配置空間26が形成されている。
この配置空間26がある第1管14Cの他端部の周壁には、第2流出口28が形成されている。第2流出口28は、流量調整弁100により第1流出口24と連通又は非連通となる。
この第2流出口28を取り囲む第1管14Cの外周面からは、第2管14Dが斜め下方に張り出している。第2管14Dの外径は、例えば第1管14Cの外径よりも小さく設定されている。
第2管14Dの内部には、第1流路22及び第2流出口28と連通する第2流路30が形成されている。第2流路30内では、第2流出口28から流入した水が矢印C方向に向かって流れる。第2流路30において水の流れ方向先端部となる第2管14Dの張り出し方向先端面には、第3流出口32が設けられている。第3流出口32は、外部に露出してもよいし、他の流路に連通してもよい。
第2流出口28及び第3流出口32から出る水の流量は、同量であるが、これらの流量は、配置空間26に配置された流量調整弁100によって調整される。
<流量調整弁100の構成>
次に、流量調整弁100の構成について説明する。
図5は、図4に示す流量調整弁100を任意の方向から見た概観斜視図である。図6は、図5に示す流量調整弁100を反対側から見た概観斜視図である。図7は、図5及び図6に示す流量調整弁100を軸方向外側から見たときの概観図(例えば平面図)である。図8は、図2に示す流量調整弁100の概観展開図である。図9は、図6に示す流量調整弁100のD−D矢視断面図である。なお、図9ではハッチングの記載を省略している。
図5〜図7に示すように、この流量調整弁100は、例えば略円筒形状に形成されている。この流量調整弁100は、水が流れる流路、例えば図4中の第1流路22と連通する配置空間26に設けられ、配置空間26内を流れる流体の流量を調整するものである。
図8に示すように、流量調整弁100は、ケーシング110と、シール部材140と、押え部材160と、止め輪180と、弁体200と、金属板300と、を主に備えている。
ケーシング110は、弁体200のケーシング及びガイド部材である。また、ケーシング110は、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂製である。ケーシング110の形状は、例えば略円筒状である。
ケーシング110の一端面112には、その内部に弁体200を挿入する円形の挿入口114が設けられている。挿入口114の口径は、ケーシング110の内径と略同一である。
図9に示すように、ケーシング110の他端面116には、挿入口114から挿入した弁体200の一部(摘み214等)が他端部を貫通して外部に露出するための円形の貫通口118が設けられている。この貫通口118は、他端面116の中心部に配置されている。貫通口118の口径は、弁体200全体が貫通口118を貫通しないように、ケーシング110の内径よりも小さくされている。
また、他端面116には、貫通口118の周囲において、図7に示すように、第1面部116Aと、第2面部116Bと、が設けられている。
第1面部116Aの形状は、ケーシング110の軸O(図9参照)方向外側から見たときに例えば略C字形状である。第1面部116Aは、図示しない肉抜き穴を除いて平らに形成されている。この第1面部116Aには、後述する止め輪180が配置される。
第1面部116Aの互いに向き合う一端と他端の間には、これら一端と他端を繋ぐ第2面部116Bが第1面部116Aから軸O方向外側に真っ直ぐに突出している。
第2面部116Bの形状は、軸O方向外側から見たときに、例えば略扇形状である。第2面部116Bは、肉抜き穴116Cを除いて平らに形成されている。また、第2面部116Bは、周方向の両側面において、略C字形状の止め輪180の両先端と当接可能とされている。この結果、ケーシング110内に挿入される弁体200の回転に伴ってケーシング110が軸O方向に対して時計方向又は反時計方向に回転しようとしても、第2面部116Bが止め輪180に当接するため、ケーシング110と止め輪180との相対回転が規制される。
第2面部116Bの中央外周からは、ケーシング110の径方向外側に向かって爪部120の側面120Aが突出している。
図5に示すように、爪部120は、側面120A以外の側面も同様に、ケーシング110の外周面122のうち他端面116側の端部から径方向外側に向かって突出している。爪部120の形状は、例えば径方向外側から見たときに挿入口114側に開放した略コ字状である。この爪部120は、図2に示すように、第1管14Cの嵌合凸部14Aに設けられた第1凹部14Eに嵌り込む。これにより、弁体200が回転しても、ケーシング110は爪部120によって回転を規制されるので、同時に回転されることはない。
また図5に戻って、流量調整弁100を止水栓10から取外す場合には、爪部120にマイナスドライバーを引っ掛けて容易に取外すことができる。特に流量調整弁100をコンパクト化した場合、手で摘み214をつまんで止水栓10から流量調整弁100を引っ張り出すことは困難となるため、この爪部120を設けておくことで、流量調整弁100を取り外してメンテナンスをし易くなる。なお、この爪部120は、例えば径方向外側から見たときに口の字形状としてもよいが、図5に示すような略コ字状とした方が好ましい。略コ字状とすることで、取外す方向の部分が肉厚にすることができるので、マイナスドライバーで引っ掛けて取外すときに欠け難くなる。
この爪部120よりも挿入口114側の外周面122には、Oリング124が装着されている。
図9に示すように、Oリング124は、外周面122の全周に形成された溝部126に嵌ることにより装着されている。これにより、止水栓10と流量調整弁100との水密性を保持し、図2に示す挿入口14Bからの漏水を防止することができる。
このOリング124よりも挿入口114側にある外周面122の軸O方向中央部には、周面を内部にまで、すなわち外周面122から内周面128まで貫通する一方の貫通口130が形成されている。一方の貫通口130の形状は、ケーシング110の径方向外側から見たときに例えば略四角形状である。この一方の貫通口130と対向する外周面122には、周面を貫通する第1貫通口としての他方の貫通口132が形成されている。他方の貫通口132の形状も、ケーシング110の径方向外側から見たときに例えば略四角形状である。
この他方の貫通口132の周囲にある外周面122の部分は、外周面122の他の部分に比べて一段窪ませた窪み部134となっている。窪み部134の外周には、さらに窪んだ溝部136が設けられている。このような窪み部134には、他方の貫通口132の一部を覆って取り囲むシール部材140が径方向外側から嵌め込まれている。
図8に示すように、シール部材140は、ケーシング110の外周面122に沿って婉曲した例えば板状のパッキンである。このシール部材140は、板厚方向に貫通する貫通口142を有している。
図9に戻って、貫通口142は、他方の貫通口132よりも小さくされ、当該他方の貫通口132の内側に配置される。この貫通口142の口縁部、すなわちシール部材140の裏板面内周からは、面外方向に向かって第1突起部144が突出している。
第1突起部144は、正面視が四角形状のリング体であり、先端が丸みを帯びている。この第1突起部144は、ケーシング110の他方の貫通口132に嵌ることで、ケーシング110の内周面128よりも内側に突出する。この結果、第1突起部144は、後述する金属板300が他方の貫通口132を塞ぐときに金属板300に当接し、当該金属板300を弁体200に押えることになる。
また、この第1突起部144を取り囲むように、シール部材140の裏板面外周から、面外方向に向かって第2突起部146が突出している。第2突起部146は、正面視が四角形状のリング体であり、第1突起部144よりも突出長さが短い。この第2突起部146は、ケーシング110の溝部136に嵌合されている。この結果、シール部材140がケーシング110から容易に外れない。
また、シール部材140の貫通口142の内周における一部又は全周からは、押え突起部148が貫通口142内側に向かって突出している。
この貫通口142には、当該貫通口142の一部を覆って取り囲む押え部材160が嵌め込まれている。押え部材160が嵌る際、その一部が押え突起部148を越えるので、その押え突起部148により、押え部材160が容易に外れないようになっている。なお、押え部材160をシール部材140から取外す場合は、押え部材160の外周に形成した図示しない凹部にマイナスドライバーを引っ掛けて取外すことができる。
押え部材160は、ケーシング110の外周面122に沿って婉曲した例えば板状の部材である。この押え部材160は、板厚方向に貫通する貫通口162を有している。
貫通口162は、シール部材140の貫通口142よりも小さくされ、当該貫通口142の内側に配置される。この貫通口162の弁体側内周端163には、Rを付けている。これにより、湾曲面として通水を滑らかにするようにしている。
押え部材160を設けることで、通水方向をシール部材140の貫通口142から弁体200内に流れる方向だけでなく、弁体200内からシール部材140の貫通口142に流れる方向の通水においても、流量調整弁100を容易に用いることができる。つまり、押え部材160を用いることで、弁体200の他方の貫通口132に流れる通水使用においても、シール部材140が弁体200から外れることがない。そして、止水時に確実に水密性を保つことができる。上述するように押え部材160を設けることで、他方の貫通口132側のみにシール部材140を側方から取り付けるだけでよいので、部品点数を低減できる。また、コンパクト化が容易になる。
この押え部材160の上方には、止め輪180が設けられている。止め輪180は、弁体200の回転軸210が挿入されてケーシング110に回転軸210を回転自在に保持するものである。
図7に示すように、止め輪180は、ケーシング110の第1面部116Aに配置されている。止め輪180の形状は、第1面部116Aを覆うように、当該第1面部116Aと略同一の形状となっている。すなわち、止め輪180の形状は、軸O方向外側から見たときに略C字形状である。
図8に示すように、止め輪180は、弁体200を挟み込むように、略C字形状の両先端側の内周から中心側に張り出した張り出し部182A及び182Bを有する。同様に、止め輪180は、略C字形状の奥側の内周から、中心側に張り出した張り出し部182Cを有する。
この張り出し部182Cと対向する止め輪180の外周からは、爪部184が張り出している。爪部184の形状は、側面視で略L字状である。この爪部184は、図2に示すように、爪部120と同様、第1管14Cの嵌合凸部14Aに設けられた第2凹部14Fに嵌り込む。これにより、弁体200が回転しても、ケーシング110は爪部184によって回転が規制されるので、同時に回転されることはない。
ここで、止め輪180の外径は、爪部184を除き、ケーシング110の他端面116の外径と略同一である。また、止め輪180の内径は、張り出し部182A〜182Cを除き、ケーシング110の貫通口118の口径と略同一又は当該口径よりも大きい。このように構成することによって、通水によってケーシング110に軸O方向へ飛び出す応力が係った場合に、第二取付リング18と止め輪180との接触によって固定されるために、ケーシング110の破損を抑制するように補強することが出来る。
図8に戻って、止め輪180の一方の面(表面)からは、ストッパー186が回転軸210と嵌合するハンドル12(図2参照)側に突出している。ストッパー186は、止め輪180と一体的に形成されている。すなわち、ストッパー186と止め輪180は、一つの板、例えば金属板で形成されている。
このストッパー186は、ハンドル12の操作角度を規制するためのものである。具体的には、図3に示すように、ストッパー186が弁体200の回転軸210に装着するハンドル12に設けた第2突起部12Kと対向する空間に入り込み、当該第2突起部12Kよりも高い第1突起部12Jに当接することで、ハンドル12の操作角度を規制している。これにより、弁体200の回転角度が間接的に規制されることになる。
図8及び図9に示すように、ストッパー186の形状は、同心円で同角(鋭角)の大小の円弧(計2つ)とそれら両端を通る2つの半径から囲まれてなる略扇形状とすることが好ましい。これにより回転軸210の回転を規制するのに、ストッパー186の半径方向の面で当接させて、当接面積を大きくとることができるので、確実に回転を規制することができる。
このようなストッパー186で規制される弁体200には、当該ストッパー186が設けられた止め輪180の張り出し部182A〜182Cが嵌る第1外周溝212が形成されている。このように、止め輪180を第1外周溝212に嵌めることで、組み立て後、弁体200が挿入口114から抜け出ないようにしている。この結果、弁体200は、ケーシング110の内部に保持される。なお、このときに止め輪180が第1外周溝212にしっかり嵌まっているので、回転軸210の回転動作と同時に止め輪180が回転する。したがって、弁体200は、ケーシング110に対して回転自在に保持される。
この第1外周溝212は、回転軸210に設けられている。
弁体200は、上記の回転軸210と、弁体本体230と、を備えている。このような弁体200は、一端側が閉じられた筒状であり、図9に示すように、周面を貫通する第2貫通口としての2つの貫通口202A、202Bが形成され、回転されることにより他方の貫通口132及び貫通口202A、202Bの連通量が変化する樹脂製の弁体である。
この弁体200の回転軸210は、弁体本体230と一体形成されている。回転軸210は、少なくとも一端がケーシング110の外部へ突出する。具体的には、回転軸210の先端から第1外周溝212までが外部へ露出する。回転軸210の形状は、例えば一端が閉じられた略円筒状である。回転軸210の外径は、弁体本体230よりも小径である。回転軸210の内径は、内部に螺子12Eが入り込むように、螺子12Eの外径と略同一か若干大きい。なお、回転軸210及び弁体本体230の軸心は、ケーシング110の軸Oと同一である。したがって、以降では、回転軸210及び弁体本体230の軸心も、軸Oと称す。
回転軸210の軸O方向中央部よりも他端側の外周面には、上記の第1外周溝212が設けられている。また、この外周面には、第1外周溝212を挟んで先端側に摘み214と、他端側に第2外周溝216が形成されている。
摘み214は、回転軸210の先端部分であり、例えば回転軸210の一部外周が軸O方向に平らに削ぎ落とされている部分である。摘み214の先端面の中心部には、円形状の開口217が形成されている。この開口217から、螺子穴12Cに挿入した螺子12Eを挿入して、摘み214と螺合することで、摘み214とハンドル12とが固定される。
第2外周溝216は、回転軸210の他端部分にある。第2外周溝216の幅は、第1外周溝212よりも幅が大きい。第2外周溝216の深さは、第1外周溝212の深さと略同一である。第2外周溝216には、Oリング218が装着される。これにより、ケーシング110と回転軸210との水密性を保持しており、貫通口118からの漏水を抑制している。
回転軸210の他端には、弁体本体230と連なっている。
弁体本体230は、略円筒状であって、ケーシング110の内部に保持される。
弁体本体230の一端面は、閉じられている。弁体本体230の他端面には、内部に連通する開口232が設けられている。
図4に示すように、開口232には、止水栓10に設置されたときに、第1流出口24と連通して、第1流路22から水が流入する。
図8及び図9に戻って、弁体本体230の一方向側の周面には、上述した2つの貫通口202A、202Bが形成されている。貫通口202A、202Bの形状は、例えば弁体本体230の径方向外側から見たときに、略凸形状である。これらの貫通口202A、202Bは底辺部分で、互いに軸O方向において対向している。
貫通口202A、202Bに対向する弁体本体230の他方側の周面には、その軸O方向中央部において略円形状の貫通口234が形成されている。
貫通口234を含む弁体本体230の他方側の周面には、凹部236が形成されている。凹部236の形状は、弁体本体230の径方向外側から見たときに、例えば軸O方向に長い略長方形状である。凹部236の底面は、弁体本体230の周面に沿っている。
この凹部236には、金属板300が径方向外側から挿入されて嵌め込まれる。
金属板300、弁体本体230の周面の一部(凹部236)に設けられ、弁体200と共に回転され、弁体200が第1貫通口(他方の貫通口132)及び第2貫通口(貫通口202A、202B)が連通する回転位置から回転されたときに第1貫通口を塞ぐものである。この際、金属板300は、シール部材140の第1突起部144によって、弁体本体230に押えられる。
金属板300の形状は、弁体本体230の径方向外側から見たときに、例えば軸O方向に長い略長方形状である。金属板300は、凹部236の底面に沿うように湾曲している。金属板300の厚みは、例えば凹部236の深さと略同一である。金属板300の材料は、ある程度の強度と水道水に対する耐食性を備えた金属であればどのようなものであってもよく、例えば各種のステンレス鋼や、黄銅などの各種銅合金などを好適に用いることが可能である。なお、金属板300の耐圧強度は、例えば弁体本体230の一端面の耐圧強度よりも低く設定されている。
金属板300の全周端部は、ケーシング110と弁体本体230との間に挟まれている。
<作用>
次に、本実施形態に係る流量調整弁100の作用について説明する。
図10A及び図10Bは、図4に示す止水栓10の部分拡大図であって、本実施形態に係る流量調整弁100の作用を説明する図である。
上記で説明した構成の流量調整弁100を他方の貫通口132が第2流出口28と重なるように配置されたとき、他端側にある開口232から弁体200の内部に水Wが流入して、図示しないものの、互いに連通している他方の貫通口132及び貫通口202A、202Bを介して第2流出口28に流れ出る。そして、図10Aに示すように、弁体200が他方の貫通口132と貫通口202A、202Bとが連通する回転位置から回転されると、金属板300が共に回転して他方の貫通口132を塞ぎ、シール部材140が金属板300を弁体200に押える。この結果、金属板300は弁体200の内部に流れる水Wを受け止め、第2流出口28への水Wの流出が止められる。
この状態、すなわち流量調整弁100の止水状態において、弁体200の内部に流れる水Wが凍結した場合、水Wの体積が増えて金属板300により圧力が掛かる。図10Bに示すように、金属板300に通常の止水状態よりも高い一定以上の圧力が掛かると流出口側に変形して、シール部材140により押えられていた部分がシール部材140から剥がれる。これにより、シール部材140と弁体200との間に弁体200の内部と連通する隙間Vが形成され、氷が溶けた後、弁体200の内部の水Wが当該隙間Vを介して他方の貫通口132から第2流出口28に流れ出る。
以上のように上記構成によれば、止水状態において水Wが凍結した場合でも、氷が溶けた後に第2流出口28以外の場所から漏水することを抑制できる。なお、上記構成では、他方の貫通口132が第2流出口28側となるように流量調整弁100が配置された場合を想定したが、例えば他方の貫通口132が第1流出口24側となるように流量調整弁100が配置されてもよい。
また、図9に示すように、金属板300が弁体200の凹部236に挿入されているため、金属板300を弁体200の軸方向に固定することができる。さらに、金属板300の少なくとも端部が、弁体200が回転してもケーシング110と弁体200との間に挟まれているため、金属板300を弁体200の径方向にも固定することができる。したがって、スナップフィットやネジなどを用いることなく、簡単に金属板300を保持することができる。さらに、樹脂で構成された弁体200と金属板300をスナップフィットなどで固定しようとすると弁体200が削れる恐れがあるが、上記構成ではこの問題も回避することができる。
また、弁体200が樹脂で構成されると、弁体200の他端側の開口232の形状を容易に複雑にして整流作用をもたせることができ(例えばヒレ形状等)、絞り時の音を低減できる。また、弁体200が樹脂で構成されると、弁体200が金属で構成される場合に比べて、製造コストが抑制され得る。
また、弁体200は、弁体本体230と回転軸210とが一体形成されているので、回転軸210も弁体本体230と共に同時に製造されるため、製造コストが抑制される。
また、使用者が過剰な力を掛けてハンドル12を回転しても、ケーシング110とは別体の止め輪180に使用者によるハンドル12の回転角度を規制するストッパー186が設けられているため、当該過剰な力は止め輪180に作用してケーシングには直接作用しない。したがって、過剰な力によるケーシング110の破壊が抑制される。さらに、万が一、ストッパー186が破壊されるような過剰な力が作用した場合にも、止め輪180が破壊されるだけで済み、ケーシング110の破壊による漏水が抑制される。
また、止め輪180とストッパー186が一つの金属板で形成されているため、部品点数が少なく、止め輪180とストッパー186が同時に製造されるため、製造コストが抑制される。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る流量調整弁について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
図11は、第2実施形態に係る流量調整弁の概観展開図である。
図11に示すように、第2実施形態においては、第1実施形態における止め輪180に代えて、止め輪181と、止め輪181と別体の補強部材183とを備えている。止め輪181の形状は軸O方向外側から見たときに略C字形状をしているが、補強部材183は軸O方向外側から見たときに略O字のドーナッツ形状となっている。補強部材183は、ケーシング110の端面を補強している。
補強部材183は、その外周の、それぞれ対向する位置に爪部185A及び185Bを備えている。第1管14Cの嵌合凸部14aに設けられた嵌合凹部14Eに爪部185Aが、嵌合凹部14Fに爪部185Bが、爪部120と共に、夫々嵌り込む。二箇所で嵌合しているため、弁体200が回転しても、ケーシング110の回転をしっかりと規制することが可能となる。
補強部材183は、その表面に板厚を貫通する係止孔189を備えており、この係止孔189に対して、ケーシング110の他端面116に設けられた係止突起111が挿入されることによって、ケーシング110に対して位置決めが行われる。また、補強部材183は、その中心部に貫通口187を有しており、この貫通口187に回転軸210が挿入され、その状態で回転軸210に対して、止め輪181が装着されることによって流量調整弁100が組み立てられる。
補強部材183と止め輪181と、を別体に形成したことによって、補強部材183は略ドーナッツ形状とすることが可能となり、補強部材183自身の強度を向上させることが可能となった。また、係止爪185Aと185Bを対向する位置に設けることが可能となり、補強部材183に回転する力が係った場合であっても、2箇所で分散して受けることが出来るようになった。このことにより、ハンドル12が限界位置まで操作され、ストッパー186に過剰な力が作用した場合であっても、ケーシング110が破壊される恐れを低減することができるようになった。
[変形例]
以上、本願の開示する技術の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものではない。
例えば、弁体200の内部には、開口232から水Wが流入する場合を説明したが、開口232が塞がれていて、弁体200の周面に開口を設けて当該開口から水Wが流入するようにしてもよい。また、当該開口だけなく開口232からも水Wが流入するようにしてもよい。
弁体200は、樹脂で構成される場合を説明したが、金属や他の材料で構成されてもよい。ただし、製造コストや製造容易性等の観点から、弁体200は、樹脂で構成される方が好ましい。
また、金属板300は、長方形状である場合を説明したが、正方形状や丸形状、三角形状等であってもよい。また、貫通口234は省略することができる。また、凹部236も省略することができる。凹部236を省略した場合、金属板300を弁体本体230に接着剤等で張り合わせてもよい。
また、止め輪180は、金属で構成される場合を説明したが、樹脂等他の材料で構成されてもよい。
前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。