以下に、本願に係る給与受取システムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に掛かる給与受取システム1の構成例を示す図である。なお、本明細書でいう「給与受取」とは、従業者が給与に基づく所定の支払金額を、給与支払日前の任意の時点で受け取ることを意味する。支払金額には、従業者が既に提供した労働の対価、給与に基づく前払金や仮払金も含まれる。図1に示すように、本実施形態に係る給与受取システム1は、給与受取システム1による給与受取サービスを提供する提供者(以下、「ホスト」という)に備えられる給与受取装置10と、給与受取サービスに加入した雇用者である複数の企業に備えられる情報端末としての企業端末20,20,・・・と、各企業の労働者(従業者)である従業員が保有する情報端末としての従業員端末30,30,・・・とを備えて構成される。
上記給与受取装置10、企業端末20、従業員端末30は、通信ネットワーク2を介して互いに接続されている。さらに、給与受取装置10は、通信ネットワーク3を介して、銀行などの給与の振込先の金融機関の振込システム50,50,・・・に接続されている。
通信ネットワーク2には、例えばインターネットを使用することができ、通信ネットワーク2に接続されるPCや携帯端末相互間で送受信されるデータを伝送する。一方、通信ネットワーク3は、セキュリティの関係上、金融機関の振込システム50との専用通信回線や閉じたネットワークを使用することが望ましい。また、企業端末20と給与受取装置10との接続は、インターネットでもよいが、専用通信回線や閉じたネットワークであってもよく、セキュリティを高めることができる。
以下では、ホストがクレジット会社であると想定して給与受取システム1の詳細を説明するが、ホストがクレジット会社に限定されるものではなく、クレジット会社以外の信販会社であってもよい。また、ホストが信販会社に限定されることもなく、例えば、各種銀行、保険会社、証券会社、ノンバンクなどの金融機関であってもよい。
給与受取装置10として、本実施形態では、サーバ用パーソナルコンピュータ(PC)を用いているが、PCに限定されることはなく、汎用大型コンピュータ(メインフレーム)等を用いることもできる。サーバ用PCは、クラウドコンピューティングサービスを利用したものであってもよいし、自社のサーバ用PCであってもよい。また、本実施形態では、給与受取装置10を1台のサーバ用PCで構成しているが、提供する給与受取サービスの規模や使用目的等に応じて、複数台のサーバ用PCで構成してもよい。また、給与受取装置10は、表示部としてのモニタや出力部としてのプリンタなども備え、給与受取システム1の作動時、保守点検時などの各種情報の表示や出力などを行うことができる。
企業端末20、従業員端末30は、モニタやプリンタ、通信機器などを備えた公知のデスクトップ型、ノートブック型、タブレット型のPC等を使用することができる。これらがPCに限定されることはなく、スマートフォン、携帯電話、その他の通信ネットワーク2に接続可能で、画像等の表示機能やデータの入力機能を備えている機器を用いることができる。
次に、図2を用いて給与受取装置10、企業端末20、従業員端末30のハードウェア構成例を説明する。図2(a)に示すように、給与受取装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスク装置やフラッシュメモリ等からなる不揮発性ストレージ14、有線又は無線で通信ネットワーク2,3に接続するための通信I/F15、外部記憶媒体16、データベース17等を主に備えて構成される。これらの構成要素は、バス18によって電気的に接続され、CPU11と各部との間でデータの送受信ができるようになっている。
ROM12や不揮発性ストレージ14には、給与受取装置10において使用される各種プログラムやデータが記憶されている。CPU11はマイクロプロセッサ等からなり、RAM13をワークエリアとして、ROM12や不揮発性ストレージ14からオペレーティングシステムや各種プログラムを読み出して実行することで、給与受取装置10全体の動作を制御する。
外部記憶媒体16としては、例えばCD−ROM、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RW、フレキシブルディスク等の記憶媒体を使用することができる。外部記憶媒体16には、例えば給与受取プログラムを記憶しておき、CPU11が給与受取プログラムを読み出してRAM13に展開することにより、給与受取プログラムを実行する構成とすることができる。
データベース17は、給与受取装置10が使用する各種テーブルを記憶する記憶装置(記憶部)である。データベース17としては、クラウドプロバイダ等で提供される大容量ストレージサービス等を用いることができる。
企業端末20及び従業員端末30がPCである場合、これらは図2(b)に示すように、CPU21、RPM22、RAM23、不揮発性ストレージ24、通信I/F25、外部記憶媒体26、液晶ディスプレイ等からなる表示部27、キーボードやマウス、タッチパネル等からなる入力部28等を備えて構成される。これらの構成要素は、バス29によって電気的に接続され、CPU21と各部との間でデータの送受信ができるようになっている。
CPU21は、マイクロプロセッサ等からなり、RAM23をワークエリアとして、ROM22、不揮発性ストレージ24、外部記憶媒体26に記憶されるオペレーティングシステムやその他のプログラムを読み出し、実行することにより、企業端末20及び従業員端末30の各部を制御する。
企業端末20及び従業員端末30がスマートフォンである場合、これらは、図2(c)に示すように、CPU31、ROM32、RAM33、不揮発性ストレージ34、データ読み出し又は書き込みを行うEEPROM35、被写体を撮像するカメラ36、電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサ37、現在日時情報を出力するRTC(Real Time Clock)38、マイク39、スピーカ40、アンテナ41、基地局との通信や無線LAN通信、Wi−Fi等の近距離無線通信を行う通信I/F42、液晶ディスプレイ等の表示部43、液晶ディスプレイ上に搭載されたタッチパネルや操作ボタン等からなる入力部44等を備えて構成される。これらの構成要素は、バス45によって電気的に接続され、CPU31と各部との間でデータの送受信ができるようになっている。
CPU31は、マイクロプロセッサ等からなり、RAM33をワークエリアとして、ROM32、不揮発性ストレージ34に記憶されるオペレーティングシステムやその他のプログラムを読み出し、実行することにより、企業端末20及び従業員端末30の各部を制御する。
企業端末20及び従業員端末30は、汎用のブラウザ等を用いて通信ネットワーク2経由で給与受取装置10にアクセスすることで、企業端末20及び従業員端末30側での給与受取処理を実行することができる。または、企業端末20及び従業員端末30に、専用の給与受取のアプリケーションプログラム(アプリ)をインストールし、当該アプリを起動することで、企業端末20及び従業員端末30側での給与受取プログラムを実行するようにすることもできる。
次に、本実施形態の給与受取システム1の機能を、図3の機能ブロック図を用いて説明する。以下では、給与受取装置10の機能について主に説明する。
図3に示すように、給与受取装置10は、機能的には、給与受取装置10全体の動作を制御する制御部100と、記憶部としてのデータベース17を備えて構成される。制御部100は、給与パターン更新部101、リクエスト処理部102、申請可能金額算出部103、支払金額算出部104、振込テーブル作成部105、天引きデータテーブル作成部106、通知部107として機能する。また、制御部100は、給与受取システム1全体の動作を管理する管理部としても機能する。
データベース17には、図4A〜図4Gに示すような企業テーブルT1、給与パターンテーブルT2、従業員テーブルT3、累計データテーブルT4、リクエストテーブルT5、振込テーブルT6、天引きデータテーブルT7が記憶されている。
図4Aは、企業テーブルT1の一例であり、給与受取サービスに加入した企業の各種データが、企業コードごとに記憶されている。企業テーブルT1へのデータの入力は、企業の給与受取サービスへの加入の際に、ホスト側で行う。企業テーブルT1には、企業を識別するための「企業コード」、「企業名(漢字)」、「企業名(カナ)」、給与受取システム1にアクセスするための「ログインID」、「パスワード」、「業種」、「従業員数」、「利用率」、「利用単価」、「想定立替金額」、「立替合計金額」などが記憶されている。なお、企業テーブルT1に設定されるデータが、これらに限定されるものではなく、他のデータを記憶することもできる。また、ここで挙げたデータをすべて設定する必要もない。給与受取システム1の仕様、導入する企業の形態や規模に応じて、必要なデータを適宜設定することができる。以降で説明する他のテーブルT2〜T7についても同様である。
「ログインID」、「パスワード」は、企業端末20から企業が変更することもできるようになっている。変更の指示を受けると、企業テーブルT1が更新される。「立替合計金額」は、各企業の各従業員が既に受取った給与の当月の合計金額が記憶される。
「想定立替金額」は、雇用者ごとの月間の総立替金額(総受取金額)の限度額である。「想定立替金額」は、例えば、「従業員数」、「利用率」及び「利用単価」を用いて下記の計算式によって算出される。
想定立替金額(円) = 従業員数(人)×利用率(%)×利用単価(円)
上記式を用いて、例えば図4Aの「株式会社A」では、従業員数1,000人×利用率20%×利用単価5万円=1,000万円が想定立替金額となる。「利用率」及び「利用単価」は、係数であり、業種、企業の規模や経営状態や実績、ホストでの過去の経験等を考慮して、ホスト側で予め設定しておくことができる。「従業員数」、「利用率」、「利用単価」は、更新できるようにして、「想定立替金額」を再計算して記憶するようにしてもよい。
ホスト側では、計算式によって算出した想定立替金額に対して与信判断を行い、与信判断の結果に応じて最終的な想定立替金額を設定するが、これに限定されるものではない。上記計算式などを用いて予め想定立替金額を算出し、これに対して与信判断した最終的な想定立替金額を、企業テーブルT1に記憶しておくこともできる。この場合、従業員数、利用率、利用単価を記憶する必要はなく、記憶容量を少なくすることができる。給与受取システム1は、給与に基づく所定の支払金額を、任意の時点で従業員が受け取るシステムであるという性質上、給与以上の金額の受取はできない仕組みになっている。しかしながら、一企業内(一雇用者)での給与受取サービスの利用が過剰になるのを抑制するため、想定立替金額(限度額)を設定しているものである。
図4Bは、給与パターンテーブルT2の一例であり、企業コードに対応付けられて、当該企業の雇用区分ごとの各種データが記憶されている。すなわち、本実施形態では、雇用区分ごとに、勤怠サイクル、給与支払日、前払上限率等を設定することができ、これらに基づいて受取日や受取額を、従来よりも自由に設定することができ、より利便性のよい給与受取サービスを提供することができる。
給与パターンテーブルT2へのデータの入力は、基本的には企業の給与受取サービスへの加入の際にホスト側で行うが、雇用者側でも企業端末20から更新できるようになっている。
給与パターンテーブルT2には、「雇用区分コード」、「雇用区分名」、「給与区分」、「月間支払回数」、「日割り計算日数」、「前払上限率」、「振込口座1変更可否」、「振込口座2変更可否」、「振込口座3変更可否」、「勤務期間」、「天引きデータ締日」、「振込手数料1」、「振込手数料2」などが記憶されている。
「雇用区分コード」及び「雇用区分名」、は、雇用者ごとに予め決められた雇用区分を表すコードとその名称である。図4Bの例では、20:正社員、50:契約社員、60:嘱託社員、90:アルバイトが設定されているが、これらに限定されることはなく、更に多くの雇用区分を設定することができる。また、例えば正社員でも、総合職、専門職など、より細分化した雇用区分を設定することもできる。
「給与区分」は、給与の支払い形態を示し、例えば、月給、週給、日給などが設定される。「月間支払回数」は、一か月中の給与の支払い回数を示し、例えば、月給であれば1回(2回の場合もあり)、週給であれば4回などが設定される。「日割り計算日数」は、給与区分が月給時の日割り計算用の日数を示す。「前払上限率」は、給与総額の合計の中から、前払いで受取ることのできる限度の割合を百分率(%)で表したものである。
通常、給与には税金や保険料の控除があり、控除分は給与であっても用途が予め決まっている部分であるので、当該控除分を従業員に現金として支払うことは望ましくない。なお、給与総額から予め控除金額を減算しておいてもよいが、給与は日数の経過とともに増えるものであるため、給与総額の少ない月初めに給与受取申請(以下、「前払い申請」という。)をした場合、給与総額が控除額を下回り、給与の受取が全くできなくなることがある。そこで「前払上限率」を設け、税金や保険料の控除の余力を残しつつ、月初めであっても給与の少なくとも一部を受取ることができるようにしている。
「振込口座1変更可否」、「振込口座2変更可否」、「振込口座3変更可否」は、各振込口座データを従業員が変更できるか否かが設定される。本実施形態では、通常の給与の振込口座(振込口座1)の他に、2つの口座(振込口座2、3)を指定することができる。給与の振込口座である振込口座1を、従業員が勝手に変更できないようにするため、「振込口座1変更可否」には「否」が記憶されている。振込口座2、3については、従業員が自由に設定や変更ができるように「振込口座2変更可否」、「振込口座3変更可否」に「可」としてもよいし、一方のみ「可」としてもよく、企業の事情等に応じて自由に設定することができる。
「天引きデータ締日」には、給与受取の申請の締日が記憶されている。企業側では、給与受取サービスでホストが従業員に支払った支払合計金額を、給与から天引きして振込口座に振り込んでいる。勤怠サイクル締日から給与支払日までの期間が短い場合、支払合計金額を天引きするための雇用者側での処理を容易とするためには、勤怠サイクル締日よりも前に支払合計金額を知ることが望ましい。そのため、本実施形態では、給与パターンテーブルT3に、雇用区分ごとに勤怠サイクル締日よりも数日早い日付を、天引きデータ締日として予め記憶している。給与受取装置10は、この天引きデータ締日に、勤怠サイクル開始日から天引きデータ締日までに支払った従業員ごとの支払合計金額を、雇用者に報告している。
「振込手数料1」、「振込手数料2」は、給与受取装置10が従業員の振込口座に給与を振り込む際の振込手数料が記憶される。本実施形態では、振込手数料の記憶領域を2つ設けているが、これに限定されることはなく、1つのみ設けることもできるし、3つ以上設けることもできる。振込手数料の記憶領域を2以上設けておけば、例えば、振込額に応じて振込手数料を変えることなどができる。
図4Cは、従業員テーブルT3の一例であり、企業ごとに、企業コードに対応付けられて、当該企業に所属する従業員データが予め記憶されている。従業員テーブルT3には、「企業コード」、従業員を識別するための「従業員コード」、従業員が給与受取システム1にアクセスするための「ログインID」及び「パスワード」、従業員の「氏名(漢字)」及び「氏名(カナ)」、「雇用区分」、「振込先1」、「振込先2」、「振込先3」、時給単価ごとの「時給」、「税金区分」、「保険区分」、「メールアドレス」などが記憶されている。従業員テーブルT3へのデータの入力も、基本的にはホスト側で行うが、「ログインID」及び「パスワード」、所定の「振込先」は、従業員が従業員端末30から、変更や登録ができるようになっている。
「雇用区分」には、各従業員の雇用区分名(又は雇用区分コードでもよい)が記憶され、給与パターンテーブルT2と対応づけられている。本実施形態では、従業員は、最大3つの振込先口座を登録できるようになっている。また、振込口座には、中央銀行や地方銀行、ネット銀行など、いわゆる銀行と呼ばれるものだけでなく、ゆうちょ銀行の口座も指定することができる。「振込先1」、「振込先2」、「振込先3」には、3つの振込先の金融機関の「金融機関番号」、「支店番号」、「種別」、「口座番号」、「口座名義」といった、振込みに必要なデータが記憶されている。
「振込先1」には、給与の振込先の口座データが予め記憶されている。「振込先1」に関しては、従業員が変更できないようにするため、給与パターンテーブルT2の各雇用区分の振込口座変更可否が「否」となっている。「振込先2」、「振込先3」は、予め所定の振込先を記憶しておいてもよいし、空欄(NULL)としておき、後から登録できるようにしてもよい。この場合、給与パターンテーブルT2の振込口座変更可否を「可」としておくことで、「振込先2」、「振込先3」を従業員が変更したり、新たに登録又は削除したりするのを許可することができる。
「時給」には、従業員ごとの時給単価が記憶されている。この時給単価は、少なくとも1つあればよいが、本実施形態では、複数の時給単価が記憶できるようにしている。例えば、時給単価1には、月給を時給に換算した金額を記憶し、時給単価2、3、4,・・・には残業時、深夜残業時、休日出勤時、・・・の時給単価を記憶することができる。企業ごとに、労働時間帯や業種、職種等に応じた適宜の時給単価を記憶することができる。
「税金区分」と「保険区分」は、税金と保険料をそれぞれ支払金額から控除するか否かのフラグが記憶されている。一般的には、税金や保険料が天引きされて給与が振り込まれるため、前払い金額が多いと、税金や保険料を天引きできなくなる。そのため、支払金額を決める際に、税金や保険料などの控除額を考慮する場合は、従業員テーブルT3に「税金区分」と「保険区分」を設けることが望ましい。この場合、例えば、予めデータベース17に記憶された税金額テーブルや保険料テーブルを参照することで、従業員の税金や保険料を算出することができる。
「メールアドレス」には、従業員の電子メールアドレスが記憶されている。この電子メールアドレスに対して、給与受取の申請が受付けられたときの受付内容(申請番号、振込予定日など)の通知メールが送信される。また、申請が受付けられない場合や、振込みエラーとなった場合にも、この電子メールアドレスに対してエラーの通知メールが送信される。この他にも、申請取消が受付けられたときの通知メールや、お知らせメールなどを送信することもできる。
図4Dは、累計データテーブルT4の一例であり、企業コード及び従業員コードごとに、当該企業コード及び従業員コードに対応付けられて、各従業員の当月の労働時間の累計データが時給単価ごとに記憶されている。この累計データテーブルT4へ入力するデータは、例えば、企業側から毎日の就業時間終了後にバッチデータとして送信されてくるものであってもよい。また、企業側の勤怠システムと連携させ、勤怠システムから給与受取装置10にリアルタイムに送信される勤怠データを、リアルタイムで累計データテーブルT4に記憶させるものであってもよい。
図4Eは、リクエストテーブルT5の一例であり、企業コード及び従業員コードごとに、当該企業コード及び従業員コードに対応付けられて、各従業員からの給与受取の申請(リクエスト)、申請取消の履歴データが記憶される。リクエストテーブルT5には、従業員からの新たなリクエストが受け付けられるたびに、新たなカラムが作成されてリクエストデータが記憶されていく。
リクエストテーブルT5には、「企業コード」及び「従業員コード」に対応して、申請ごとに「申請データ」(カラム)が作成されて記憶される。リクエストテーブルT5には、申請ごとに「申請日」、「申請金額」、「振込金額」、「振込手数料」、「申請番号」、「振込先」、「振込日」、「申請状況フラグ」などが記憶される。
「申請日」には、リクエスト(申請)があった日付が記憶される。「申請金額」には、従業員が申請した希望の金額が記憶される。「振込金額」には、実際に振り込まれる支払金額が記憶される。「振込手数料」には、振込手数料が記憶される。「申請番号」には、申請を識別する番号が自動的に付与されて記憶される。「振込先」には、申請した従業員が指定した振込先が記憶される。「振込日」には、振込予定日が記憶される。「申請状況フラグ」は、振込み状況を識別するためのフラグである。「1」は申請中、すなわち申請を受付けたことを示し、「2」は申請が取消されたことを示す。「3」は振込み中、すなわち金融機関に振込みデータを記載した振込テーブルT6の送信が完了したことを示す。また、「4」は振込エラー又は振込エラーが確定したことを示す。「5」は振込みが完了したことを示す。また、振込み完了後に、振込金額を給与から天引きすることが確定し、ホストが立替えた当該振込金額をホストから雇用者に請求済みのときに「5」を記憶するようにしてもよい。
図4Fは、振込テーブルT6の一例であり、給与の振込みに関するデータが記憶される。振込テーブルT6は、給与受取の申請が受付けられ、金融機関の振込システム50に振込みデータを送信するときに作成される。振込テーブルT6には、振込元の金融機関データ、すなわちホストの口座データが「振込元金融機関番号」、「振込元支店番号」、「振込元預金種別」、「振込元口座番号」、「振込元口座名義」として記憶され、従業員からの指定により従業員テーブルT3から取得した従業員口座データが「振込先金融機関番号」、「振込先支店番号」、「振込先預金種別」、「振込先口座番号」、「振込先口座名義」として記憶されるとともに、「振込金額」と「振込指定日」が記憶される。
図4Gは、天引きデータテーブルT7の一例であり、「企業コード」、「従業員コード」に対応づけられて、各従業員が勤怠サイクルの開始日から、天引きデータ締日までに従業員に支払った金額の合計(「支払合計金額」)が記憶される。
次に、制御部100の各部の機能の概要を説明する。給与パターン更新部101は、企業端末20から入力される給与パターンの変更データを受付け、データベース17の給与パターンテーブルT2を更新する機能を有している。また、給与パターン更新部101は、企業端末20に対して、その表示部27に画像を表示するためのデータを送信する画像生成部としての機能や、ログインIDとパスワードに基づいて、企業端末20からのアクセスを許可するか否かを認証する認証部としての機能も有している。
リクエスト処理部102は、従業員端末30からの給与受取に関する申請(リクエスト)を受け付け、リクエストテーブルT5に記憶する機能を有している。給与受取に関する申請としては、給与受取の申請、取消の申請、利用履歴確認の申請などが挙げられる。
また、リクエスト処理部102は、従業員端末30に対して、その表示部27に画像を表示するためのデータを送信する画像生成部としての機能や、ログインIDとパスワードに基づいて、従業員端末30からのアクセスを許可するか否かを認証する認証部としての機能も有している。
また、リクエスト処理部102は、天引きデータ締日から勤怠サイクル締日まで、給与受取の申請を受付けないように制御する機能も有している。前述したように、本実施形態では、給与振込みの雇用者側での処理を容易とするため、勤怠サイクル締日よりも前の天引きデータ締日に、各従業員の支払合計額を算出し、雇用者に報告している。しかし、天引きデータ締日から勤怠サイクル締日の間に、給与受取の申請があると、当月分の給与からの天引き処理に間に合わず、次月に天引きする必要があるなど、処理が複雑となってしまう。そのため、本実施形態では、天引きデータ締日から勤怠サイクル締日までの間、前払い申請ができないようにリクエスト処理部102が制御している。
また、リクエスト処理部102は、各金融機関の営業日カレンダーを記憶しておき、このカレンダーに応じて、前払い申請ができる期間(以下、「前払い申請OK期間」という。)と、できない期間(以下、「前払い申請NG期間」という。)とを決定している。図10に、前払い申請OK期間とNG期間とを説明するための説明図を示す。この図10の例では、当該従業員の雇用区分に対する勤怠サイクルが16日(from:勤怠サイクル開始)〜翌月15日(to:勤怠サイクル締日)となっている。また、雇用者で天引きデータを必要とする期限が翌月11日であることから、給与パターンテーブルT2の天引きデータ締日は、期限前日の10日が設定されている。より詳細には本実施形態では、10日の午前11時を期限とし、11時までの給与受取の申請は受付けるが、11時以降の申請は受付けないようにしている。11時は、バッチ処理によって天引きデータテーブルT7が作成される時間である。
ここで、図10に示すように、天引きデータ締日の10日が日曜であった場合、その直前の営業日の8日を、天引きデータ締日としている。したがって、この月は勤怠サイクル開始の16日から8日の11時までが前払い申請OK期間となり、8日の11時から勤怠サイクル締日の15日までは、前払い申請NG期間となる。次回の10日は平日であるので、次月は16日から10日の11時までが、前払い申請OK期間となり、10日の11時以降から15日までが前払い申請NG期間となる。
申請可能金額算出部103は、従業員が給与受取(前払い)を申請できる申請可能金額を算出する機能を有している。申請可能金額算出部103は、従業員テーブルT3の時給単価及び累計データテーブルT4の労働時間に基づいて、現在までの労働に対する対価を算出する。申請可能金額算出部103は、算出した現在までの労働に対する対価に、給与パターンテーブルT2から取得した「前払上限率」を乗算し、得られた金額からリクエストテーブルT5から取得した支払済み金額の合計金額を減算し、申請可能金額を算出する。
支払金額算出部104は、申請可能金額算出部103で算出した申請可能金額と、従業員が申請した申請金額と、企業テーブルT1の立替合計金額及び想定立替金額(限度額)とに基づいて、支払金額(振込金額)を算出する。すなわち、申請金額が申請可能金額以下であって、申請金額と立替合計金額との合計が想定立替金額(限度額)以下である場合は、申請金額を支払金額とする。これに対して、申請金額が申請可能金額を超過した場合は、申請金額から超過金額を減算した金額を支払金額とする。また、支払金額算出部104は、この支払金額に応じた手数料を、支払金額から減算し、最終的な支払金額とする。また、申請金額と立替合計金額との合計が想定立替金額(限度額)を超過する場合は、アラート表示(警告)する。
振込テーブル作成部105は、振込先口座や振込金額を指定して、金融機関の振込システム50に送信する振込テーブルT6を作成する機能を有している。なお、本実施形態では、振込先口座としてゆうちょ銀行の口座も指定することができる。銀行の場合は、支店番号が3桁で、口座番号が7桁(全銀形式)であるため、銀行口座を指定された場合は、そのまま従業員テーブルT3の「振込先1」、「振込先2」、「振込先3」に記憶している。
これに対して、ゆうちょ銀行は、支点番号が5桁で口座番号が8桁(記号番号形式)になっている。そのため、全銀形式で振込手続きを行う場合、ゆうちょ銀行の支店番号と口座番号とを全銀形式の番号体系に変換する必要がある。企業によっては、ゆうちょ銀行の支店番号と口座番号とを記号番号形式のまま保持している場合と、全銀形式の番号体系に変換して保持している場合と、記号番号形式ではあるが、全銀形式の支店番号3桁、口座番号8桁に対応させて、一部の数字を切り捨てて保持している場合とがある。
本実施形態の給与受取システム1では、企業が保有している形式のままで従業員テーブルT3の振込口座にデータを記憶できるようにしている。そして、振込テーブル作成部105に記憶された振込口座データの形式に応じて、適宜変換して振込テーブルT6を作成するものとしている。したがって、雇用者側で変換などの手間を行う必要がなく、雇用者側の利便性を向上させることができる。
具体的には、振込テーブル作成部105は、ゆうちょ銀行の口座番号の記号番号形式の場合と一部の数字を切り捨てている場合は、全銀形式に変換して、振込テーブルT6を作成する。一方、全銀形式の場合は、変換することなく振込テーブルT6を作成する。
天引きデータテーブル作成部106は、給与パターンテーブルT2の天引きデータ締日に応じて、各雇用者の従業員ごとに、給与受取の合計金額(天引き額)を算出し、雇用者ごとの天引きデータテーブルT7を作成する機能を有している。この天引きデータテーブルT7は、天引きデータ締日にホストから各雇用者に提供される。
なお、天引きデータテーブルT7は、バッチファイルとして提供してもよいし、容量が小さい場合は電子メールに添付して提供してもよい。また、雇用者が企業端末20から給与受取装置10にアクセスすることで、天引きデータテーブルT7の閲覧、印刷、ダウンロードなどを行うことができるようにしてもよい。また、企業の勤怠システムと連携させて提供してもよい。
通知部107は、リクエスト処理部102などからの指示に応じて、従業員端末30に、電子メールを送信する機能を有している。電子メールの内容としては、給与受取の申請の受付け通知、振込みエラー通知などが挙げられる。通知部107は、企業コード及び従業員コードに対応して、従業員テーブルT3から従業員の電子メールアドレスを取得し、通知内容に応じた電子メールを作成して送信する。
以下、上述のような構成の本実施形態に係る給与受取システム1によって実行される給与受取処理(給与受取方法、給与受取サービス)の流れの一例について、図面を参照しながら説明する。給与受取処理は、給与パターンデータ更新処理、給与受取の申請処理、利用履歴の確認処理、給与受取申請の取消処理、振込み処理、天引きデータテーブル作成処理などの処理を含んでいる。
まず、企業側で給与パターンデータを更新する際の給与パターンデータ更新処理について、図5Aのシーケンス図及び図6の画面例を参照しながら説明する。まず、ステップS100において、雇用者は企業端末20のブラウザ又はアプリを立ち上げて、給与受取装置10にアクセスする。例えば、企業端末20で、給与受取装置10に割り当てられたURLを直接に又はアプリで指定することで、給与受取装置10にアクセスする。
企業端末20からのアクセスは、給与パターン更新部101に通知される。この通知を受信した給与パターン更新部101は、企業端末20に対してログイン画面の表示に必要なデータを送信して、図6(a)に示すようなログイン画面60を表示部27に表示させる(ステップS101)。このログイン画面60で、雇用者はログインIDとパスワードを入力することができる(ステップS102)。なお、ログインIDは、予め決められた任意のものであってもよいし、電子メールアドレスや、企業コードなどであってもよい。
ログイン画面60から入力されたログインIDとパスワードは、給与パターン更新部101に送信される。給与パターン更新部101は、入力されたログインIDとパスワードの組み合わせが、企業テーブルT1に存在するか否かを判定する(ステップS103)。存在しないと判定した場合は(ステップS103の判定がNO)、企業端末20に対してエラーを通知する。このエラー通知を受信すると、企業端末20は、ステップS102に戻り、雇用者に対してログイン処理を再度行わせることができる。
ステップS103で、存在すると判定した場合は、ログインが成功したとして次のステップS104に進む。このステップS104では、給与パターン変更部101が、企業コードをキーとして給与パターンテーブルT2から当該雇用者の給与パターンデータを読み出す。そして、給与パターン変更初期画面61を表示するためのデータを企業端末20に送信し、図6(b)に示すような給与パターン変更初期画面61を表示部27に表示させる。
給与パターン変更初期画面61には、「雇用区分コード」、「雇用区分名」、「給与区分」の一覧が表示される。雇用者は、変更したい雇用区分の「詳細」をマウス等で押下して選択することで、選択された雇用区分が給与パターン変更部101に送信される(ステップS105)。例えば、図6(b)の例では、「正社員」が選択された。
給与パターン受付部101は、選択された雇用区分をキーとして、給与パターンテーブルT2から詳細なデータを取得する。取得したデータを送信することで、図6(c)に示すような給与パターン詳細画面62を表示部27に表示させる(ステップS106)。この給与パターン詳細画面62には、「雇用区分コード」、「雇用区分名」、「月間支払回数」などの給与パターンデータが表示される。雇用者は、給与パターン詳細画面62上で、変更したい項目のデータを入力(更新)する(ステップS107)。
変更された給与パターンデータは、企業端末20から給与パターン更新変更部101に送信される。給与パターン更新部101は、受信した給与パターンデータで給与パターンテーブルT2を更新する(ステップS108)。
なお、給与パターン変更初期画面61に、雇用区分の追加ボタンや削除ボタンを設けて、雇用者が雇用区分の追加や削除が行えるようにしてもよい。具体的には、給与パターン変更初期画面61上で、追加ボタンを押下することで、給与パターン詳細画面62に移動し、雇用者は新たな雇用区分コードと、これに対応する給与パターンデータを入力できるようにする。この入力を受けて、給与パターン更新部101は、追加された雇用区分の給与パターンデータを、給与パターンテーブルT2に追加する。また、給与パターン変更初期画面61上でいずれかの雇用区分を選択し、削除ボタンを押下することで削除指定できるようにする。この指定を受けて、給与パターン更新部101は当該雇用区分の給与パターンデータを給与パターンテーブルT2から削除する。
次に、従業員が給与の受取をリクエスト(申請)する際の給与受取の申請処理の一例を、図5Bのシーケンス図及び図7の画面例を参照しながら説明する。まず、ステップS200において、従業員は従業員端末30のブラウザ又はアプリを立ち上げて、給与受取装置10にアクセスする。例えば、従業員端末30で、給与受取装置10に割り当てられたURLを直接に又はアプリで指定することで、給与受取装置10にアクセスする。
従業員端末30からのアクセスは、リクエスト処理部102に通知される。この通知を受信したリクエスト処理部102は、従業員端末30に対してログイン画面を表示するために必要なデータを送信して、図7(a)のようなログイン画面70を表示部27に表示させる(S201)。このログイン画面60において、従業員はログインIDとパスワードを入力することができる(ステップS202)。ログインIDは、予め決められた任意のものであってもよいし、電子メールアドレスであってもよいし、企業コードと従業員コードの組み合わせなどであってもよい。
また、一度ログインが成功した後は、同じ従業員端末30からの次回アクセス時にはステップS201、S202の処理をスキップして、ログインの認証を行うことなく、ステップS203に進み、給与受取処理を実行してもよい。
また、画面に表示されたメニューバーm1から、パスワードの変更処理を選択できるようにしてもよい。この選択の指示を受け付けると、リクエスト処理部102が、表示部27に図7(b)に示すパスワード変更画面71を表示させる。従業員は、このパスワード変更画面71から新たなパスワードを入力することができる。パスワード変更画面71から入力された新たなパスワードは、リクエスト処理部102によって、有効性のチェックが行われ、有効と判断されたときは従業員テーブルT3に記憶されるが、無効と判断されたときは記憶されない。パスワードの変更又は無効の通知メールが、通知部107によって従業員テーブルT3に記憶された電子メールアドレスに通知される。
ログイン画面70から入力されたログインIDとパスワードは、リクエスト処理部102に送信される。リクエスト処理部102は、入力されたログインIDとパスワードの組み合わせが、従業員テーブルT3に存在するか否かを判定し(ステップS203)、存在しないと判定した場合は(ステップS203の判定がNO)、従業員端末30に対してエラーを通知する。このエラー通知を受信すると、従業員端末30は、ステップS202に戻り、従業員に対してログイン処理を再度行わせることができる。
ステップS203で、存在すると判定した場合は、ログインが成功したとして次のステップS204へ進み、申請日が申請OK期間内か否かを判定する。前払い申請NG期間(ステップS204の判定がNO)の場合は、給与受取の申請ができないため、処理を終了する。このとき、従業員端末30に、給与受取の申請ができない期間である旨のメッセージを表示してもよい。
前払い申請OK期間(ステップS204の判定がYES)の場合は、ステップS205へ進む。このステップS205では、リクエスト処理部102が、図8(a)のように、お知らせなどが表示された申請トップ画面72を、表示部27に表示させる。
この申請トップ画面72では、従業員が申請手続きを行うだけでなく、振込先口座の確認、登録、更新を行うことができる。この場合、従業員が、申請トップ画面72のメニューバーm1において、「振込先口座の確認、登録、更新」を選択する(ステップS206)。この選択を受けて、リクエスト処理部102は、従業員テーブルT3から3つの振込先口座のデータを取得して、表示部27に、図8(b)に示すような振込先口座一覧画面73を表示させる(ステップS207)。このとき、給与パターンテーブルT2の各口座の振込口座変更可否の内容を確認し、可の場合は、当該口座の欄に、削除、変更、登録のアイコンを表示する。
この振込先口座一覧画面73を視認することで、従業員は振込先口座を確認することができる。また、図8(b)の例では、企業指定口座が「振込先1」に表示され、変更不可となっている。また、振込先2、3は従業員が自由に入力でき、振込先2については、既に登録がされた口座の内容が表示され、削除ボタン又は変更ボタンの押下により、削除と変更ができるようになっている。また、振込先3は、未登録であり、登録ボタンの押下により登録ができるようになっている。
振込先口座一覧画面73で削除が選択されたときは、リクエスト処理部102は、従業員テーブルT3から当該振込先のデータを削除する。振込先口座一覧画面73で更新又は登録が選択されたときは、リクエスト処理部102は、適宜の更新・登録画面を表示する。従業員は、この画面から口座の更新や登録を行うことができる。口座の更新、登録が実行された際には、リクエスト処理部102は、従業員テーブルT3の口座を更新する(ステップS208)。
一方、従業員が給与受取を申請する場合、申請トップ画面72で、「申請する」を押下することで、申請の実行指示がリクエスト処理部102に通知される(ステップS209)、これを受付けたリクエスト処理部102の指示により、申請可能金額算出部103が、当該従業員が受取ることのできる申請可能金額を算出する(ステップS210)。具体的には、申請可能金額算出部103は、企業コードと従業員コードに基づいて、従業員テーブルT3及び累計データテーブルT4から当該従業員のデータを取得する。そして、現在までの労働時間を累計した累計データに時給単価を乗算し、現在までの給与金額を算出する。時給単価が複数設定されている場合は、それぞれの乗算結果を合計することによって、現在までの給与金額を算出する。
次に、申請可能金額算出部103は、従業員テーブルT3から取得した雇用区分をキーとして、給与パターンテーブルT2から「前払上限率」を取得する。この「前払上限率」を、上記で算出した現在までの給与金額に乗算して「申請可能金額」を算出する。このとき、乗算後の金額を、所定の桁数(百円単位や千円単位)で切り捨て或いは四捨五入等してもよい。このように「給与金額」に「前払上限率」を乗算することで、「給与金額」全部が「申請可能金額」となることがなく、税金や保険料の控除額まで従業員に支払ってしまうのを抑制することができる。
また、申請可能金額算出部103は、当月において既に前払い申請があった場合は、支払い済みの金額(既払金額)を上記申請可能金額から減算する。具体的には、リクエストテーブルT5を参照して、申請状況フラグが「1」(申請中)、「3」(振込み中)、又は「5」(振込完了)のものを抽出し、これらの「振込金額」を合計して既払金額を算出し、上記申請可能金額から減算して、最終的な申請可能金額とする。以下に、計算式の一例を挙げる。
申請可能金額(円) = 労働時間累計データ(h) × 時給単価(円) × 前払上限率 − 既払金額(円)
なお、上記申請可能金額の算出手順は、一例であり、これに限定されることはない。算出手順の他の例として、「給与金額」から予め前払い申請があった合計金額を減算し、算出された金額に所定の「前払上限率」を乗算し、この乗算後の金額を申請可能金額とすることもできる。
そして、リクエスト処理部102は、算出された申請可能金額を従業員端末30に送信し、図8(c)に示すように、申請金額入力画面74を表示部27に表示させる(ステップS211)。この申請金額入力画面74には、申請可能金額、金額指定アイコン、申請金額入力欄等が表示される。従業員は、この申請金額入力欄に、希望の申請金額を入力する(ステップS211)。このとき、金額指定アイコンの押下によって、千円単位、5千円単位で金額を入力することもできるし、テンキー等から直接に金額を入力することができる。また、全額ボタンの押下によって、全額をワンタッチ入力することもできる。希望の申請金額を入力して従業員が「次へ」を押下することで、希望の申請金額がリクエスト処理部102に通知される。
この申請金額の入力を受けて、支払金額算出部104が支払金額(振込金額)を算出する(ステップS213)。まず、支払金額算出部104は、申請金額が申請可能金額以下である場合は、申請金額を支払金額とし、申請金額が申請可能金額を超過する場合は、申請可能金額を支払金額とする。これにより、申請金額が申請可能金額を超過していても、申請が受付けられ、従業者は少なくとも申請可能金額分は給与を受取ることができる。
次に、企業テーブルT1から取得した立替合計金額に、支払金額を加算する。この加算した金額が、想定立替金額(限度額)を超過する場合は、企業名等とともに超過した旨を給与受取装置10のモニタ等にアラート表示(警告)する。これにより、ホスト側で所定の企業全体での給与の支払金額が想定立替金額(限度額)に達したことを知ることができる。また、ホストから企業側に限度額に達したことを伝えて注意を促すこともできる。
なお、支払金額の算出の異なる例として、企業テーブルT1から取得した立替合計金額に、支払金額を加算した金額が、想定立替金額(限度額)を超過する場合は、この超過金額を減算した金額を最終的な支払金額とすることもできる。これにより、企業全体での給与の支払金額が過度に多くなるのを抑制することができる。
そして、最終的な支払金額から、支払金額に応じた手数料(給与パターンテーブルT2から取得)を減算し、手数料差引後振込金額を算出する。リクエスト処理部102は、この手数料差引後振込金額を送信し、図8(d)に示すような振込金額確認画面75を、表示部27に表示させる(ステップS214)。
従業員が、この振込金額確認画面75上で「次へ」を押下して、振込金額を確定させると(ステップS215)、リクエスト処理部102は、図8(e)に示すような振込先口座指定画面76を表示部27に表示させる(ステップS216)。従業員は、振込先口座指定画面76のプルダウンリストから、振込先口座を選択し、「次へ」を押下することで、振込先口座が確定する(ステップS217)。なお、振込先口座指定画面76で、「戻る」を押下することで、申請金額入力画面74に戻り、申請金額の再入力を行うこともできる。
この振込先口座の確定を受けて、リクエスト処理部102は、図8(f)に示すような申請内容確認画面77を表示部27に表示させる(ステップS218)この申請内容確認画面77の内容で申請を確定させる場合は、従業員は「確定する」を押下する(ステップS219)。また、申請内容確認画面77上で「戻る」を押下すれば、振込先口座指定画面76に戻ることができる。
「確定する」が押下されると、リクエスト処理部102は、図8(g)に示すように、振込日(予定日)と申請番号が表示された受付完了画面78を表示部27に表示する(ステップS220)。振込日は、申請日、申請時間及び金融機関の振込システム50へ振込データを送信するタイミングに応じて、各営業期間の営業日カレンダーを参照して決定する。例えば、金融機関50に当日振込みを申請できる最終時刻を予め決めておき、最終時刻までに、給与受取の申請があった場合には、申請日を振込日とする。また、最終時刻を超過した場合、申請日が金融機関の休日である場合には、申請日の翌日を振込日とする。さらにこれらの振込日が金融機関の休日である場合は、翌営業日を振込日とする。このように、本実施形態の給与受取システム1では、従業員からの給与受取の申請受付けは、前払い申請NG期間でない限りは、土日や祝祭日など、金融機関の休日でも行って、振込みを予約することができる。
次いで、リクエスト処理部102は、確定した申請に基づいて、リクエストテーブルT5に新たなカラム(レコード)を作成する(ステップS221)。この場合において、リクエストテーブルT5の当該新たなカラムの「申請日」には、申請時点の日付が記憶されるが、天引きデータテーブルT7作成のバッチ処理の都合上、日付だけでなく時刻も記憶することが望ましい。「申請金額」には従業員が入力した申請金額が記憶され、「振込金額」には手数料等を差し引いて確定した最終的な支払金額が記憶される。「振込先」には、従業員に指定された振込口座の名称(「振込先口座1」など)又は識別子が記憶され、「振込日」は、先に決定した振込日の予定日が記憶される。「申請状況フラグ」には、「1」(申請中)が記憶される。リクエスト処理部102は、これらのデータと、企業コード及び従業員コードとを対応付けてリクエストテーブルT5に記憶する。
次にリクエスト処理部102は、通知部107に対し、申請が承認されたことを従業員に通知するための電子メールを送信するように指示する。この指示を受けた通知部107は、申請日、申請番号、振込金額、振込日、承認された旨の内容などを記載した受付完了メールを作成し、従業員テーブルT3から取得した電子メールアドレスに送信する(ステップS222)。この電子メールを確認することで、従業員は自らが行った給料受取の申請が承認されたことを知ることができる。
なお、本実施形態では、給与受取装置10で申請を自動的に承認するようにしているが、他の異なる実施形態として、雇用者が承認処理を行うようにすることもできる。この場合、企業テーブルT1に、雇用者が承認するか否かの承認フラグを記憶しておく。この承認フラグがオンになっているとき、リクエストテーブルT5の作成時に、リクエストテーブルT5にも、承認処理を行う旨を記憶する。すなわちリクエストテーブルT5の承認フラグをオンにする。そして、企業端末20から当該企業のリクエストテーブルT5をアクセスできるようにして、承認するかしないかを入力できるようにする。例えば、雇用者は、申請を承認する場合は承認フラグに「1」を記憶し、承認しない場合は「2」を記憶する。給与受取装置10では、この承認結果を記載した電子メールを従業員に送信するようにしてもよい。
次に、給与受取サービスの利用履歴の確認処理と、給与受取申請の取消処理の一例について、図5Cのシーケンス図及び図9の画面例を参照しながら説明する。
従業員は、給与受取装置10にアクセスした状態で、図9(a)に示す申請トップ画面72において、メニューバーm1によって利用履歴確認を選択する(ステップS250)。この選択を受けて、リクエスト処理部102は、リクエストテーブルT5から、当該従業員の当月のリクエストデータを取得し、振込金額をすべて加算して、今月の利用金額を算出する(ステップS251)。そして、この今月の利用金額と、リクエストテーブルT5のデータを従業員端末30に送信し、その表示部27に図9(b)に示すような利用履歴確認画面79を表示させる(ステップS252)。この利用履歴確認画面79には、今月の利用金額と、過去の申請の履歴データ(例えば、過去1年分、過去2年分など)が表示される。また、申請状況フラグに応じたステータスも表示されるため、従業員は振込みが完了したか、振込みエラーとなったかなどを確認することができる。
この履歴データの中から、例えば申請状況が「振込中」など、振込みが完了していない所定の給与受取の申請を取消すことができる。この取消しを行うため、従業員が利用履歴確認画面79中の「申し込みを取り消す」を押下すると、申請の取消指示がリクエスト処理部102に送信される(ステップS253)。
この申請の取消指示を受けて、リクエスト処理部102は、図9(c)に示すような申請取消確認画面80を表示部27に表示させる(ステップS254)。従業員は、この申請取消確認画面80の内容を確認し、取消を確定させる場合は、「申請取消」を押下して、取消を確定させる(ステップS255)。この指示を受けて、リクエスト処理部102は、図9(d)に示すような取消受付完了画面81を表示する(ステップS256)。従業員は、この取消受付完了画面81を視認することで、申請が取消されたことを確認することができる。なお、申請取消は、利用履歴確認画面79を表示することでも確認することができる。また、通知部107に指示して申請取消の受付けメールを送信してもよい。
また、リクエスト処理部102は、振込テーブルT6から当該申請の振込データを削除し(ステップS257)、リクエストテーブルT5の「申請状況フラグ」に「2」(取消)を書込む(ステップS258)。これにより、申請の取消しが確定する。
次に、承認された給与受取の申請に従って、従業員の口座に対して振込みを行う際の振込み処理の一例について、図5Dのシーケンス図を参照しながら説明する。なお、金融機関の振込システム50の動作は、各金融機関によって異なり、それぞれの仕様に応じた動作が行われる。
まず振込テーブル作成部105は、リクエストテーブルT5を参照して、図4Fに示す振込テーブルT6を作成する(ステップS300)。このとき、自動認証の場合は、支払いが完了していないすべての申請について、振込テーブルT6を作成するが、雇用者での承認を行う場合は、承認フラグが「1」、つまり承認済みとなっている申請について、振込テーブルT6を作成する。
振込テーブルT6の「振込元金融機関番号」、「振込元支店番号」、「振込元預金種別」、「振込元口座番号」、「振込元口座名義」には、本実施形態では、ホストの口座に関するデータを記憶する。「振込先金融機関番号」、「振込先支店番号」、「振込先預金種別」、「振込先口座番号」、「振込先口座名義」には、リクエストテーブルT5の企業コード及び従業員コード並びに振込先に基づいて、従業員テーブルT3から取得した、当該従業員の振込先データを記憶する。また、「振込金額」及び「振込指定日」には、リクエストテーブルT5の振込金額と振込指定日をそれぞれ記憶する。
作成された振込テーブルT6は、所定のタイミングで振込先の金融機関の振込システム50に送信される。この送信が完了すると、振込テーブル作成部105は、リクエストテーブルT5の申請状況フラグに「3」(振込中)を書込む(ステップS302)。振込テーブルT6を受信した振込システム50では、公知の振込処理により、指定された振込日と口座に従って、指定された振込金額を振込む(ステップS303)。
また、振込テーブル作成部105は、振込みが成功したか否かを監視する機能も備えている。すなわち、振込テーブルT6の送信後に、振込テーブル作成部105は、所定時間ごとに金融機関の振込システム50にアクセスして、振込ステータスを確認する(ステップS304)。
振込システム50は、リクエスト処理部102に対して振込ステータスを送信する(ステップS305)。この振込ステータスを受信すると、リクエスト処理部102は、エラーがあるレコードがあるか判定する(ステップS306)。エラーがあると判定されたレコードに対応する申請に関しては、リクエストテーブルT5の申請状況フラグに「4」(振込エラー)を書込む(ステップS307)。
次いで、リクエスト処理部102は、通知部107に対し、振込みエラーとなったこと従業員に通知するための電子メールを送信するように指示する。この指示を受けた通知部107は、振込みエラーとなった旨を記載した電子メールを作成し、従業員コードの電子メールアドレスに送信する(ステップS308)。この電子メールを確認することで、従業員は給与の振込みがエラーとなったことを知ることができる。より詳細な情報を知りたいときは、従業員は、利用履歴確認画面79を確認すればよい。なお、電子メールにエラーとなった申請の申請日、申請番号、振込金額などを記載するようにしてもよく、従業員が利用履歴確認画面79を確認しなくても、詳細を知ることができる。一方、エラーのないレコードに対応する申請については、申請状況フラグに「5」(振込完了)を書込む(ステップS309)。
以上の処理により、従業員は給与の前払いを受けることができる。また、ホストが立替えて従業員の口座に給与を振込むので、雇用者は給与支払日前に従業員に対して給与を支払う必要がない。そのため、雇用者の口座にまとまった金額を確保しておく必要もないし、残高不足等による振込みエラーなども回避できる。
次に、天引きデータテーブルT7の作成処理の流れの一例について、図5Eのシーケンス図及び図10の説明図を参照しながら説明する。給与受取装置10において、天引きデータテーブル作成部106は、給与パターンテーブルT2から「勤務期間」(勤怠サイクル)と、「天引きデータ締日」を取得し、各金融機関の営業日カレンダーに基づいて、当月の天引きデータ締日を決定する(ステップS400)。つまり、天引きデータ締日が金融機関の休日であれば、その前の金融機関営業日を天引きデータ締日とする。
天引きデータ締日の午前11時になると、バッチ処理によって、天引きデータテーブル作成部106が、天引きデータテーブルT7の作成を開始する。まず、リクエストテーブルT5から、企業コード及び従業員ごとに、リクエストデータを取得する(ステップS401)。そして、申請状況フラグが「5」(振込完了)のリクエストデータを検出し、従業員ごとに振込金額と振込手数料とを合計し、支払合計金額を算出し、天引きデータテーブルT7を作成する(ステップS402)。このとき、エラーや取消以外のもの、つまり申請状況フラグが「1」(申請中)、「3」(振込中)の振込み予定のリクエストデータの振込金額と振込手数料を支払合計金額に加算してもよい。天引きデータテーブルT7は、各雇用者に提供される。
雇用者は、各従業員の給与計算をするときに、税金や保険料などとともに、天引きデータテーブルT7に基づいて各従業員の給与から支払金額の合計金額を減算する(ステップS403)。減算後の金額を給与支払日に所定の振込み口座へ振り込んで給与の支払を行う(ステップS404)。これにより、従業員は残りの給与を受取ることができる。また、雇用者は、各従業員の給与から減算した金額、すなわちホストが立替えた立替金額と給与受取システム1の使用料を、ホストの口座に振り込んで、ホストへの支払いを行う(S405)。雇用者は、給与から差し引いた金額をホストに支払えばよいので、雇用者に負債などが発生することがない。ホストへの支払いは、振込みに限定されることはなく、自動引き落としなどでもよい。
以上、本実施形態の給与受取システム1によれば、従業者の給与の少なくとも一部を、雇用者に代わってホストが立て替えて支払うので、雇用者は給与支払日前に従業者に対して給与を支払う必要がなく、雇用者の負債となることもない。そのため、雇用者の口座にまとまった金額を確保しておく必要がなく、雇用者の負担を軽減することができる。
また、従業員の一日の労働時間の累計データと、予め設定された給与単価に基づいて従業者の申請可能金額を算出し、雇用者ごとに設定された月間の想定立替金額(限度額)、算出された申請可能金額及び申請金額に基づいて、支払金額を算出している。そのため、雇用者が日給データを算出する手間などを省くことができる。また、申請金額が申請可能金額よりも多い場合でも、従業者は申請可能金額を超えない範囲で給与を受取ることができるとともに、過大な受取りを抑制することができる。また、雇用者ごとに限度額が設定されおり、この限度額を超えた場合は、アラート表示(警告)することで、雇用者全体での給与の受取金額が過度になるのを防ぐことができる。
また、本実施形態の給与受取システム1による給与受取方法は、従業者から申請金額を含む給与受取の申請を受け付ける工程と、従業者の労働時間の累計データ、給与単価及び既に支払った金額に基づいて従業者の給与受取の申請可能金額を算出する工程と、雇用者ごとに設定された限度額、申請可能金額及び申請金額に基づいて、支払金額を算出する工程と、支払金額を従業者の口座に振り込むための振込みデータを作成する工程と、を有している。
また、本実施形態の給与受取システム1で実行されるプログラムは、コンピュータを、従業者から申請金額を含む給与受取の申請を受け付ける手段と、従業者の労働時間の累計データ、給与単価及び既に支払った金額に基づいて従業者の給与受取の申請可能金額を算出する手段と、雇用者ごとに設定された限度額、申請可能金額及び申請金額に基づいて、支払金額を算出する手段と、支払金額を従業者の口座に振り込むための振込みデータを作成する手段として機能させるためのプログラムである。
したがって、従業者が給与に基づく所定の支払金額を、必要なときに手軽に受け取ることができ、しかも雇用者側の金銭的、作業的な負担を低減して、より使い勝手のよい給与受取システム1、給与受取方法、及びプログラムを提供することができる。
また、申請可能金額算出部103は、従業者の雇用区分に応じて設定された勤怠サイクルの開始日から給与受取の申請日までの労働時間の累計データに雇用区分に応じて設定された給与単価を乗算し、得られた金額に雇用区分に応じて設定された前払上限率を乗算し、得られた金額から既に支払った金額を減算して申請可能金額を算出している。この構成により、従業者の過度な給与の受取りを抑制して、例えば、税金や保険料などの控除額を天引きできる金額を確保しておくことができる。
また、本実施形態では、支払金額算出部104は、申請金額が申請可能金額以下である場合は、当該申請金額を支払金額とし、申請金額が申請可能金額を超過する場合は、申請可能金額を支払金額としている。この構成により、従業者は少なくとも申請可能金額分は給与を受取ることができる。さらに、支払金額と、従業者が所属する雇用者全体で既に利用した合計金額との加算額が、想定立替金額(限度額)を超過する場合は、アラート表示(警告)している。よって、当該雇用者全体での給与の受取金額が想定立替金額(限度額)に達したことを知ることができる。
また、想定立替金額(限度額)は、雇用者の従業者数に、所定の利用率と、所定の利用単価とを乗算した金額としている。そのため、雇用者ごとに、その業種、企業の規模や経営状態や実績に応じて、さらにはホストでの過去の経験等を考慮して、利用率や利用単価を自由に設定することができ、利便性を向上させることができる。
また、振込データテーブル作成部105は、複数の口座データの中から、従業者に指定された口座データを振込テーブルT6に設定している。そのため、従業者は、給与支払口座だけでなく、受取った給与の使用目的などに応じて、所望の口座へ振込みを指定することができる。その結果、例えば、給与支払口座から他の口座へ振り替える手間や、振替手数料が発生することなどを防ぐことができる。
また、リクエスト処理部102は、従業者からの利用履歴の表示申請に応じて、申請金額、申請日、振込日を含む申請データを従業員端末30の表示部27に表示して従業者に提示するとともに、従業者から給与受取の取消申請を受け付けるように構成されている。そして、振込テーブル作成部105は、申請取消がされていない給与受取の申請に対して、振込テーブルT6を作成するように構成されている。そのため、従業者は、給与受取の履歴を自由に閲覧して、前払いを申請するか否かを決めたり、今後の家計プランの参考にしたりすることができる。また、申請を取消すことで、給与の受取り過ぎなどを防止することもできる。
また、天引きデータテーブル作成部106が、従業者の勤怠サイクル開始から、勤怠サイクル締日よりも所定日数前の天引きデータ締日までに振り込まれた申請金額の合計金額を算出している。この合計金額は、速やかに雇用者に提供される。そのため、雇用者が、給与から天引きするための各従業者の給与受取の総額を、給与計算の前に知ることができ、給与計算に係る処理を円滑かつ迅速に行うことができる。
また、リクエスト処理部102は、天引きデータ締日から勤怠サイクル締日までの間は、従業者の給与受取の申請を受付けないようにしている。これにより、申請金額の合計金額を給与から天引きして給与計算を完了した後に、天引きすべき金額が発生することがなく、振込給与の再計算の手間や、次月に持ち越して天引きする手間などを省き、雇用者の負担をより軽減することができる。
以上、本発明の実施形態を図面により詳述してきたが、上記各実施形態は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施形態の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、ホストが給与を立て替えて従業員に支払っている。すなわち、ホストの口座から従業員の口座に給与を振込んでいる。しかし、ホストによる立替えに限定されることはなく、雇用者の口座から従業員の口座に振込むシステムとすることもできる。この場合、企業テーブルT1に、雇用者の引き落とし口座を記憶しておき、振込テーブルT6を作成するときに、「振込元」に雇用者の口座に関するデータを記憶する。これにより、ホストが雇用者に立替金額の支払いを請求したり、立替金額を雇用者の口座から引き落としたりする手間を省くことができる。
また、他の異なる実施形態として、従業者から申請金額を含む給与受取の申請を受け付ける申請処理部と、従業者の労働時間の累計データ、前記従業者の雇用区分に応じて設定された給与単価及び既に支払った金額に基づいて従業者の給与受取の申請可能金額を算出する申請可能金額算出部と、申請可能金額及び前記申請金額に基づいて、支払金額を算出する支払金額算出部と、支払金額及び従業者の口座データを含む振込みデータを作成する振込データ作成部と、を備えた給与前払システムとすることもできる。
このような給与受取システムでは、従業者が給与に基づく所定の支払金額を、必要なときに手軽に受け取ることができ、しかも雇用者側の金銭的、作業的な負担を低減して、より使い勝手のよい給与受取システムを提供することができる。さらに、雇用区分に応じて、給与単価などを設定できるため多様な雇用形態を有する雇用者の要求に応じた給与受取システムを提供することができる。この給与受取システムの場合、従業者が前払いで受取る金額を、ホストが立て替えて支払い、後に雇用者に請求する態様とすることもできるし、雇用者の口座から直接に引き落とす態様とすることもでき、振込元は問わない。
さらに異なる実施形態の給与受取システムとして、従業者から申請金額を含む給与受取の申請を受け付ける申請処理部と、従業者の労働時間の累計データ、従業者の雇用区分に応じて設定された給与単価及び既に支払った金額に基づいて従業者の給与受取の申請可能金額を算出する申請可能金額算出部と、雇用者ごとに設定された限度額、申請可能金額及び申請金額に基づいて、支払金額を算出する支払金額算出部と、支払金額及び従業者の口座データを含む振込みデータを作成する振込データ作成部と、を備え、従業者の給与の少なくとも一部を、雇用者に代わって立て替えて支払うものであってもよい。
このような給与受取システムでは、従業者が給与に基づく所定の支払金額を、必要なときに手軽に受け取ることができ、しかも雇用者側の金銭的、作業的な負担を低減して、より使い勝手のよい給与受取システムを提供することができる。さらに、雇用区分に応じて、給与単価などを設定できるため多様な雇用形態を有する雇用者の要求に応じることができるとともに、雇用者の口座にまとまった金額を確保しておく必要がなく、雇用者の負担を軽減することができる。