本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る給与前払システム1の構成ブロック図である。同図に示すように、給与前払システム1は、銀行10に備えられる給与前払コンピュータ12及び銀行決済システム14と、労働者の雇用者である少なくとも1の企業20に備えられる承認用コンピュータ22及び労働データ入力コンピュータ24と、少なくとも1の労働者コンピュータ30と、を含んで構成される。さらに給与前払コンピュータ12、承認用コンピュータ22、労働データ入力コンピュータ24及び労働者コンピュータ30は通信ネットワーク40に接続され、給与前払コンピュータ12及び銀行決済システム14は通信ネットワーク42に接続される。
給与前払コンピュータ12には、従来公知の1台又は複数台のサーバ用コンピュータを使用することができる。以下では簡単のために1台のサーバ用コンピュータを使用するものと仮定して説明を進める。銀行決済システム14は、各銀行内や銀行間において使用される決済システムであり、銀行口座への振込処理や銀行口座からの引落処理も行う。また、承認用コンピュータ22、労働データ入力コンピュータ24及び労働者コンピュータ30には、従来公知のパーソナルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話等の通信ネットワーク40に接続可能で、かつ表示機能及び入力機能を備えた機器を使用することができる。
また、通信ネットワーク40にはインターネットを使用することができ、通信ネットワーク40に接続されるコンピュータ相互間で送受信されるデータを伝送する。一方、通信ネットワーク42は銀行内又は銀行間に閉じたネットワークを使用することが望ましい。決済システムにインターネットから入れないようにすることがセキュリティ上好ましいからである。
給与前払コンピュータ12は、図2に示すように、CPU50、RAM52、入出力部54、ハードディスク56、外部記憶媒体58、データベース60、通信部62を含んで構成される。そして、CPU50、RAM52及び入出力部54はバス53を介して相互に接続され、さらに入出力部54は、ハードディスク56、外部記憶媒体58、データベース60及び通信部62と接続される。CPU50は、マイクロプロセッサを含んで構成されるものであり、RAM52、ハードディスク56又は外部記憶媒体58に記憶されるオペレーティングシステムやその他のプログラムを読み出し、実行することにより、該コンピュータの各部を制御する。RAM52は、CPU50のワークメモリとして働き、ハードディスク56や外部記憶媒体58から読み込まれたデータを記憶する。また、CPU50において実行される各種処理に関わるプログラムやパラメータを保持している。
入出力部54は、以下に説明する各部と、バス53とのインターフェイス及びCPU50とのインターフェイスをとることにより、CPU50と、各部との間でデータの送受信ができるようにしている。ハードディスク56は給与前払コンピュータ12において使用される各種プログラムやデータを記憶している。外部記憶媒体58には、例えばCD−ROM、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RW、フレキシブルディスク等の記憶媒体を使用することができる。そして外部記憶媒体58には、例えば本発明に係るプログラムを記憶しておき、CPU50が該プログラムを読み出してRAM52に展開することにより、該プログラムを実行することができる。通信部62は、給与前払コンピュータ12が接続される通信ネットワーク40又は通信ネットワーク42から送信されるデータを受信してCPU50に出力する処理を行うと共に、CPU50から入力されるデータを通信ネットワーク40又は通信ネットワーク42に送信する処理を行う。また、CPU50及び通信部62は通信のインターフェイスとしてのHTTPによる通信を可能にしている。すなわち、給与前払コンピュータ12はWEBサーバとしての機能を有している。
承認用コンピュータ22、労働データ入力コンピュータ24及び労働者コンピュータ30は、図3に示すように、CPU70、RAM72、入出力部74、ハードディスク76、外部記憶媒体78、表示部80、入力部82、通信部84を含んでそれぞれ構成される。なお、これらのコンピュータのうち、複数のコンピュータが1台のコンピュータに含められていてもよい。そして、CPU70、RAM72及び入出力部74はバス73を介して相互に接続され、さらに入出力部74は、ハードディスク76、外部記憶媒体78、表示部80、入力部82、通信部90と接続される。CPU70は、マイクロプロセッサを含んで構成されるものであり、RAM72、ハードディスク76又は外部記憶媒体78に記憶されるオペレーティングシステムやその他のプログラムを読み出し、実行することにより、該コンピュータの各部を制御する。RAM72は、CPU70のワークメモリとして働き、ハードディスク76や外部記憶媒体78から読み込まれたデータを記憶する。また、CPU70において実行される各種処理に関わるプログラムやパラメータを保持している。
入出力部74は、以下に説明する各部と、バス73とのインターフェイス及びCPU70とのインターフェイスをとることにより、CPU70と、各部との間でデータの送受信ができるようにしている。ハードディスク76は各コンピュータにおいて使用される各種プログラムやデータを記憶している。外部記憶媒体78には、例えばCD−ROM、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RW、フレキシブルディスク等の記憶媒体を使用することができる。そして外部記憶媒体78には、例えば本発明に係るプログラムを記憶しておき、CPU70が該プログラムを読み出してRAM72に展開することにより、該プログラムを実行することができる。表示部80は、該コンピュータのユーザとのヒューマンマシンインターフェイスのひとつとして使用され、例えばディスプレイ等の表示デバイスを備えており、CPU70からの指示に従って該表示デバイスに文字や画像を表示することにより、ユーザに情報を伝達する。入力部82も該コンピュータのユーザとのヒューマンマシンインターフェイスのひとつとして使用され、例えばキーボードやマウス等の入力デバイスを備えており、ユーザは該入力デバイスを使用して、CPU70に対してデータを入力することができる。通信部90は、各コンピュータが接続される通信ネットワーク40から送信されるデータを受信してCPU70に出力する処理を行うと共に、CPU70から入力されるデータを通信ネットワーク40に送信する処理を行う。
次に、本実施の形態に係る給与前払システム1における処理について、図4に示す給与前払コンピュータ12の機能ブロック図を参照しながら説明する。
図4に示すように、給与前払コンピュータ12は機能的には、労働データ入力部100、給与計算部102、通知部104、リクエスト処理部106、承認処理部108、振込テーブル作成部110を含んで構成され、さらにデータベース60において、時給単価テーブルT10、ユーザテーブルT12、企業テーブルT14、リクエストテーブルT16、振込1テーブルT18、振込2テーブルT19、作業時間テーブルT20を記憶している。
また、労働データ入力部100は労働データ入力コンピュータ24と、通知部104及びリクエスト処理部106は労働者コンピュータ30と、承認処理部108は承認用コンピュータ22と、それぞれ接続されている。
まず、労働者が雇用者に対し給与の前払いを申し込み、雇用者が該申し込みに対して承認を与えるまでの処理について説明する。
労働データ入力部100は、労働データ入力コンピュータ24からの労働データの入力を受け付ける。具体的には、例えば労働データ入力コンピュータ24において雇用者が労働データの入力をする場合には、まず雇用者が労働データ入力コンピュータ24のブラウザを立ち上げて、労働データ入力部100にアクセスする、すなわち労働データ入力部100に割り当てられたURLにアクセスすると、まずログイン画面が表示される。ログイン画面の例を図24に示す。同図に示すように、URLの「id=?」の部分が企業に割り当てられた番号となっており、雇用者は、該URLに対応する企業ID及び該企業IDに対応するパスワードを入力する。そして労働データ入力部100は、該URLと企業IDを対応付けて記憶するテーブル(不図示)及び該企業IDとパスワードを対応付けて記憶するテーブル(不図示)を有しており、該URLに対応した企業IDが入力されているか否か、及び該企業コードに対応したパスワードが入力されているか否かを判断する。そして労働データ入力部100が該URLに対応した企業IDが入力され、かつ該企業コードに対応したパスワードが入力されていると判断する場合に、雇用者は労働データ入力部100へのログインが可能となる。そしてこのとき、労働データ入力部100は、該労働データ入力コンピュータ24が入力した企業IDに対応する企業コードを取得する。すなわち、労働データ入力部10は、企業IDと企業コードとを対応付けて記憶するテーブル(不図示)を有し、企業IDから企業コードを取得することができるようになっている。
なお、労働データ入力コンピュータ24が企業ごとに設置されている場合には、企業コードは該労働データ入力コンピュータ24のアドレス情報から取得することとしてもよい。
ログインに成功すると、労働データ入力コンピュータ24の表示部80に、図5に示す実績入力準備画面が表示される。そして、入力の対象となる労働データについて、従業員が労働を提供した日、該従業員の従業員コード、該従業員の氏名を、それぞれ対象年月日、従業員コード、従業員氏名として入力する。
なお、実績入力準備画面には確定/未確定を選択する確定/未確定表示フラグも設けられる。後述するように、労働データを入力する場合に該労働データを確定させるか否かを選択することができ、ここで雇用者により「確定」が選択されると、後に説明する情報入力画面において確定した労働データが表示され、「未確定」が選択されると、同じく情報入力画面において未確定の労働データが表示される。
そして雇用者が送信ボタンを押下する。送信ボタンが押下されると、対象年月日、従業員コード、従業員氏名及び確定/未確定表示フラグの各データが、労働データ入力コンピュータ24から労働データ入力部100に送信される。
このようにして各データを取得した労働データ入力部100は、時給単価テーブルT10において、企業コードに基づいて「時給単価区分」を取得する。すなわち、企業コードと対応付けて時給単価テーブルT10に記憶される「時給単価区分」を取得する。
図6は、時給単価テーブルT10の例である。企業コードに対応付けて、時給単価区分1から10までの10種類の「時給単価区分」が記憶されている。ただし、同図では、時給単価区分7から10までは「予備」となっており、実際のデータは記憶されていない。このように予備を設けておくことにより、時給単価区分の増減や企業ごとの時給単価区分の数の違いにも柔軟に対応することができる。もちろん、実際のデータが記憶されていない場合に「予備」を記憶するのではなく、単に何も記憶しない(「NULL」を記憶する)こととしてもよい。そして労働データ入力部100は、各データを送信した労働データ入力コンピュータ24の設置される企業の企業コードと対応付けて記憶される「時給単価区分」を取得する。
さらに、労働データ入力部100は、ユーザテーブルT12において、実績入力準備画面において入力された従業員コードに基づいて名前漢字若しくは名前カナを取得することとしてもよい。すなわち従業員コードと対応してユーザテーブルT12に記憶される名前漢字若しくは名前カナを取得することとしてもよい。図7はユーザテーブルT12の例である。ユーザテーブルT12においては、企業コードに対応付けて従業員コードが記憶され、さらに従業員コードに対応する名前漢字及び名前カナが記憶されている。そして、取得される名前漢字若しくは名前カナが実績入力準備画面において入力された従業員氏名と一致するか否かを判断することとしてもよい。そして、一致しない場合には次に説明する実績入力画面を表示せず、労働データ入力コンピュータ24に対し所定のエラー通知を行うこととしてもよい。
次に、労働データ入力部100は、図8に示すような実績入力画面を労働データ入力コンピュータ24の表示部80に表示する。実績入力画面では、実績入力準備画面において対象年月日が入力された場合には、該対象年月日を作業日として表示する。一方、対象年月日が入力されない場合には、前払いの基礎となる労働データを入力すべき期間内(給与の支払の締日が月末の場合には、1日から現在までの期間)における全ての労働データを表示する。なお実際の処理としては、当月の労働データを全て表示することとしてもよい。
また、実績入力準備画面において従業員コードが入力された場合には、該従業員コードに基づいてユーザテーブルT12から取得される名前漢字又は実績入力準備画面において入力された従業員氏名を氏名として表示する。従業員コードが入力されない場合には労働データ入力部100により取得される企業コードと対応付けて記憶される従業員コードにより示される従業員全てについての実績入力画面を表示する。
さらに、実績入力準備画面において従業員氏名が入力された場合には、該従業員氏名とユーザテーブルT12に記憶される名前漢字若しくは名前カナが一致する従業員についての実績入力画面を表示することとしてもよい。
また、実績入力準備画面において選択される確定/未確定表示フラグが「確定」の場合には確定した労働データが表示され、「未確定」の場合には、未確定の労働データが表示される。確定しているか否かについては、企業コード、従業員コード及び作業日ごとに、作業時間テーブルT20に対応付けて記憶される。なお、該確定されているか否かを示す情報は作業時間テーブルT20に記憶されることとしてもよい。
さらに労働データ入力部100は、時給単価テーブルT10において企業コードに基づいて取得した時給単価区分を表示する。この場合において、「予備」でない部分のみを表形式にて表示することとしてもよい。図8においては、「予備」の部分を「未使用」として表示している。このように時給単価区分を表示部80に表示することにより、雇用者は、時給単価区分ごとに従業員の労働時間を入力することができる。例えば図8においては、従業員である田中一郎は、2004年6月8日に時給単価区分平日昼間の労働を7時間30分、時給単価区分平日夜間の労働を2時間行ったということを示す労働データが入力されている。このようにして、雇用者は表示されている従業員についての時給単価区分ごとの労働時間を入力する。また、入力した労働データを確定させるか否かについて、確定フラグを入力できるようにしている。
そして送信ボタンを押下する。送信ボタンが押下されると、作業日、従業員コード、時給単価区分ごとの労働時間の各データである労働データが、労働データ入力コンピュータ24から労働データ入力部100に送信される。ここで、確定フラグが「確定」と入力される場合には、送信ボタンを押下して労働データが送信されると、該労働データは確定され、修正等できなくなるとともに、後述するリクエストテーブルT16の実績欄に該労働データが反映されるようになる。
なお、図7に示すように、ユーザテーブルT12において従業員コードに対応付けて時給単価区分ごとの時給単価が記憶される。該時給単価は、労働あたりの給与の単価を示す給与基礎データとして使用される。そして労働データ入力部100は、実績入力準備画面において入力された従業員コードに対応付けて記憶されている該「時給単価」を取得することができる。労働データ入力部100は、このようにして取得する「時給単価」を、時給単価テーブルT10に記憶される企業コードごとの「時給単価区分」に代えて、実績入力画面に表示することとしてもよい。なおユーザテーブルT12において記憶される時給単価区分ごとの時給単価は、例えば各企業に設置されるコンピュータからデータベース60にアクセスすることにより、更新することができるようになっている。そして更新された場合には、後述する給与計算部102において、更新後の時給単価区分ごとの時給単価により日給データが算出されることとなる。
また、労働データ入力部100は、ユーザテーブルT12において、該従業員コードに対応付けて時給単価が記憶されている時給単価区分のみを実績入力画面に表示することとしてもよい。このようにすれば、企業として保持する時給単価区分であっても、該従業員には適用されない時給単価区分を表示しないこととすることができ、雇用者が誤ってそのような時給単価区分に労働時間を入力することを防止することができる。
そして、労働データ入力部100は労働データを受信し、これらを作業時間テーブルT20に書き込む。すなわち労働データ入力部100は従業員に対応付けて該従業員の日ごとの労働の実績を示す労働データを記憶する。図9は作業時間テーブルT20の例である。図9に示すように、作業時間テーブルT20においては、企業コードごと、かつ従業員コードごと、かつ作業日ごとの労働データが記憶されている。すなわち、企業コード及び従業員コード及び作業日に対応付けて、該従業員コードにより特定される従業員の労働データである「時給単価ごとの労働時間」が記憶される。「時給単価ごとの労働時間」は図9においては、「時給単価nにおける労働時間」(n=1,2,・・・,10)として表示されている。なお、該「時給単価ごとの労働時間」は分単位で記憶され、以下に説明する給与計算部102において、分単位での給与計算ができるようになっている。
そして労働データ入力部100は、労働データ入力コンピュータ24から入力された企業コード及び従業員コードを給与計算部102に出力する。
給与計算部102は、ユーザテーブルT12を参照し、企業コード及び従業員コードに基づいて「時給単価」を取得する。そして、作業時間テーブルT20の「時給単価ごとの労働時間」に「時給単価」を乗算する(より正確には単位を揃えるためにさらに60で除算する)ことにより日ごとの「時給単価ごとの給与」である日給データを算出する給与算出手段として機能し、作業時間テーブルT20に書き込むことにより、該日給データを記憶する。「時給単価ごとの給与」は図9においては、「時給単価nの給与」(n=1,2,・・・,10)として表示されている。
次に、リクエスト処理部106は、労働者コンピュータ30からの前払リクエストを受け付ける。すなわち、労働者は労働者コンピュータ30において給与の前払いを受けたい旨を入力し、該前払いを受けたい旨は前払リクエストとしてリクエスト処理部106に送信される。具体的には、例えばまず労働者は労働者コンピュータ30においてブラウザを立ち上げ、リクエスト処理部106に割り当てられたURLにアクセスする。該URLは労働者ごとにリクエスト処理部106において異なるランダムに生成されたURLを割り当ることとしてもよく、この場合には、ユーザテーブルT12において、「URL用ランダムID」として労働者ごとのURLを記憶する。このようにすれば、他人が該労働者専用URLにアクセスできる可能性を小さくすることができ、不正アクセスに対するセキュリティを高めることができる。
リクエスト処理部106は、労働者コンピュータ30の表示部80に図11に例示する認証画面を表示する。そして労働者は企業コード、従業員コード及びパスワードを入力し、送信ボタンを押下する。送信ボタンが押下されると、労働者が入力した企業コード、従業員コード及びパスワードは労働者コンピュータ30からリクエスト処理部106に対し送信される。
そしてリクエスト処理部106は、受信した個人特定データである企業コード及び従業員コードをユーザテーブルT12において検索する。そして、受信した企業コード、従業員コード及びパスワードの組み合わせがユーザテーブルT12に存在しないと判断される場合には、労働者コンピュータ30に対しエラーを通知する。等しい場合には、次に説明する処理を進める。
まずリクエスト処理部106は、リクエストテーブルT16から後述するリクエスト入力画面に表示するためのデータを読み出す。図10はリクエストテーブルT16の例である。リクエストテーブルT16は、リクエスト処理部106において新たなリクエストが受け付けられるごとに、リクエスト処理部106により新たなカラムが作成されるテーブルであり、同図に示すように、企業コード及び従業員コードごとに、企業コード及び従業員コードに対応付けて「時給単価ごとの給与総額」を記憶している。「時給単価ごとの給与総額」は図10においては、「時給単価nの給与総額」(n=1,2,・・・,10)として表示されている。該総額は所定期間における給与の総額であり、所定期間としては、例えば月の初めから現在までの期間とすることができる。そして、作業時間テーブルT20に記憶される「時給単価ごとの給与」を時給単価ごとに合算し、該「時給単価ごとの給与総額」に時給単価ごとに記憶する。このようにして、前払金の原資となる日給データの合計データとしての給与総額を計算している。さらにリクエスト処理部106は、作業時間テーブルT20に記憶される「時給単価ごとの給与」を全時給単価について合算し、リクエストテーブルT16に記憶されている「実績」に記憶する。このようにしてリクエストテーブルT16は、「時給単価ごとの給与総額」及び「実績」の両方に、前払いの基礎となる労働データを入力すべき期間内の日給データの合計を記憶する。このようにすることにより、リクエストテーブルT16を参照することにより、「実績」だけでなく「実績」の時給単価ごとの内訳が得られるようになる。そしてさらに給与計算部102は、「実績」から同一月内のリクエスト金額であって、対応して記憶される承認フラグが「1」、すなわち承認済となっている「リクエスト金額」を減算して得られる金額を「残高」として記憶させる。
リクエスト処理部106は、労働者コンピュータ30の表示部80に図12に例示するリクエスト入力画面を表示する。この場合において、各表示項目のデータは、リクエスト処理部106がリクエストテーブルT16及び企業テーブルT14を参照することによって読み出し、或いは算出し、リクエスト入力画面に表示する。具体的には、まずリクエストテーブルT16から、例えば今回のリクエスト日の属する月と同一の月に属するリクエスト日と対応付けて記憶される「リクエスト金額」を読み出して、「リクエスト金額」の合計を取得する。すなわち、リクエスト処理部106はリクエスト金額のうち、所定期間におけるリクエスト金額の少なくとも一部の合計を取得するリクエスト金額合計取得手段として機能する。少なくとも一部としては、承認フラグが「1」となっているものを合算することにより、前払実績金額のみの合計を取得することとしてもよい。そして、取得されるリクエスト金額又は前払実績金額の合計が「今月利用した金額」として表示される。
次にリクエスト処理部106は、作業時間テーブルT20に記憶される「時給単価ごとの給与」を全時給単価について合算して「作業実績」を取得し、リクエスト入力画面に表示する。すなわちリクエスト処理部106は、日ごとの給与である日給データの所定期間における合計を取得する給与合計取得手段としても機能する。
さらに、労働者コンピュータ30から受信した企業コードに対応付けて、図13に例示する企業テーブルT14において記憶される「貸出限度」を読み出し、上述の処理により取得される作業実績から「今月利用した金額」を減算して得られる金額に該「貸出限度」を乗算して得られる金額を「利用可能額」としてリクエスト入力画面に表示する。なお、ここで「貸出限度」は時給単価ごとの給与総額の合計の中から前払いすることのできる限度の割合を示す数値であり、例えば百分率にて記憶しておくことができる。給与には通常税金や保険料の控除があり、控除分は給与であっても用途が予め決まっている部分であるので、該控除分を労働者に現金として支払うことは望ましくない。そこで「貸出限度」を設け、税金や保険料の控除分を、リクエスト時点において計算せずに確保しておくこととしている。また、「利用可能額」は、作業実績から「今月利用した金額」を減算して得られる金額に該「貸出限度」を乗算して得られる金額を所定の桁数で切り捨て或いは四捨五入等した金額でもよい。このようにしてリクエスト処理部106は、個人特定データが示す個人の前払可能残高である「利用可能額」を決定する支払可能残高決定手段として機能する。
そして労働者は、労働者コンピュータ30のリクエスト入力画面において、「申し込み希望額」を入力する。この「申し込み希望額」はすなわち前払いのリクエスト金額となる。そして、リクエスト入力画面の送信ボタンを押下する。
リクエスト入力画面の送信ボタンが押下されると、「申し込み希望額」がリクエスト処理部106に対し送信される。そしてリクエスト処理部106は、リクエストテーブルT16に新たなカラムを作成する。この場合において、リクエストテーブルT16の該新たなカラムの「リクエスト金額」には「申し込み希望額」が記憶され、「実績」には上記取得される作業実績、すなわちリクエスト時点での作業実績が記憶される。また、「残高」には「実績」から今回の「リクエスト金額」を減算し、さらに「今月利用した金額」を減算した金額が記憶される。
なお、送信ボタンを押下すると、労働者コンピュータ30が「利用可能額」と「申し込み希望額」とを比較し、「申し込み希望額」が「利用可能額」を上回る場合にはエラー表示をし、送信しないこととしてもよい。すなわち、「申し込み希望額」を受信したリクエスト処理部106は、「利用可能額」と「申し込み希望額」とを比較し、「申し込み希望額」が「利用可能額」を上回るか否かを判断する。そして、「申し込み希望額」が「利用可能額」を上回る場合には、労働者コンピュータ30に対しエラー通知を行う。「申し込み希望額」が「利用可能額」を上回らない場合には、リクエスト金額である該「申し込み希望額」をリクエストテーブルT16に企業コード及び従業員コードと対応付けて記憶するとともに、その時点での日付データを取得し、リクエスト日としてリクエストテーブルT16に該リクエスト金額と対応付けて記憶する。なお、日付だけでなく、リクエストのあった時刻をも記憶することとしてもよい。このようにして、リクエスト処理部106は、「申し込み希望額」と「利用可能額」とに基づいて、前払金額を決定する前払金額決定手段として機能する。この場合において、「申し込み希望額」そのものを前払いするか否かを決定することとしてもよい。また、例えば「利用可能額」の範囲内に減額して決定することとしてもよい。
一方、エラー表示をしない場合には、リクエスト処理部106は、労働者コンピュータ30の表示部80に対し、リクエストを受け付けた旨の画面を表示する。この画面の例を図14に示す。図14においては、「氏名」、「申し込み希望額」、「作業実績」に加え、「残り利用可能額」を表示している。リクエスト処理部106は「利用可能額」から「申し込み希望額」を減算した金額を算出することにより「残り利用可能額」を取得している。
次にリクエスト処理部106は、企業テーブルT14を参照し、認証画面にて入力された企業コードと対応付けて記憶される自動承認フラグを読み出す。そして自動承認フラグが「1」となっている場合、すなわち自動承認することとされている場合には、通知部104に対し、承認する旨を記載した電子メールをリクエストIDに対応する従業員コードに対応付けてユーザテーブルT12に記憶されるメールアドレスに送信するように指示する。通知部104における処理の詳細については後述する。そして、リクエストテーブルT16の承認フラグに「1」を書き込む。すなわち、リクエストテーブルT16において、企業コード、従業員コード、リクエスト金額及びリクエスト日と対応付けて、該リクエストが承認されたことを記憶する。
一方、自動承認フラグが「0」となっている場合、すなわち自動承認しないこととされている場合には、リクエストテーブルT16の承認フラグに「0」を書き込む。すなわち、リクエストテーブルT16において、企業コード、従業員コード、リクエスト金額及びリクエスト日と対応付けて、該リクエストが承認も否認もされていないこと、すなわち未承認であることを記憶する。
そして、自動承認しない場合には、雇用者が承認処理を行うために、以下に説明する処理を行う。
承認処理部108は、承認用コンピュータ22からの承認処理要求を受け付ける。具体的には、雇用者が承認用コンピュータ22においてブラウザを立ち上げ、承認処理部108に割り当てられたURLを指定することにより承認処理部108にアクセスすることをもって、承認処理要求とすることができる。そして、労働データ入力部100においても表示した図24に示すログイン画面を、承認用コンピュータ22の表示部80に表示する。そして労働データ入力部100と同様の処理により、ログイン処理を行い、企業コードを取得する。この場合において、労働データ入力コンピュータ24と承認用コンピュータ22とが1のコンピュータに含まれる場合には、一度のログイン画面により労働データ入力部100及び承認処理部108の双方にログインでき、労働データ入力部100及び承認処理部108の双方が企業コードを取得することとしてもよい。また、承認用コンピュータ22も労働データ入力コンピュータ24同様、企業ごとに設置され、承認処理部108は、該承認用コンピュータ22のアドレス情報に基づき、アクセスしてきた承認用コンピュータ22の設置される企業の企業コードも取得することとしてもよい。そして承認処理部108は、リクエストテーブルT16において該企業コードに対応付けられたデータのうち、承認フラグに「0」が記憶されているデータを検索し、該データを読み出す。そして承認処理部108は、読み出したデータを承認用コンピュータ22の表示部80に対して承認要求画面として表示する。図15は該承認要求画面の例である。
図15に示すように、承認処理部108は承認用コンピュータ22の表示部80に対し、「氏名」、「リクエスト日」、「残り利用可能額」、「作業実績」、「申し込み希望額」等の、リクエストを特定するために必要な情報及び承認のために有用な情報を表示する。承認処理部108は、リクエストテーブルT16等のテーブルに記憶されている情報を読み出すことにより、これらの情報を取得する。具体的には、「氏名」はリクエストテーブルT16の「従業員コード」とユーザテーブルT12の「名前漢字」から取得する。また、リクエストテーブルT16の「残高」に企業テーブルT14の「貸出限度」を乗算し、所定の桁数で切り捨てたものからさらに今回の「申し込み希望額」を減算した金額を「残り利用可能額」として取得する。すなわち、リクエストがあった時点での利用可能額から今回の「申し込み希望額」を減算した金額が「残り利用可能額」として表示される。「リクエスト日」、「申し込み希望額」、「作業実績」はそれぞれリクエストテーブルT16の「リクエスト日」、「リクエスト金額」、「実績」そのものである。
なお、「残り利用可能額」に代えて、リクエストがあった時点での利用可能額そのものを表示することとしてもよい。こうすれば、雇用者は利用可能額を確認しつつ、承認を行うことができる。
雇用者は、承認用コンピュータ22の表示部80に表示された上記承認要求画面においてリクエストの内容を確認し、承認するか、未承認のままとするか、否認とするか、を決定する。そして、決定内容を同画面の承認フラグに入力する。なお、未承認の場合には何も入力しないこととしてもよい。また、承認フラグはラジオボタンやチェックボタンとしてもよい。そして送信ボタンを押下する。
送信ボタンが押下されると、承認フラグが承認処理部108に対して送信される。なおこのとき、承認処理部108は画面を表示する際にリクエストごとに一意に付与されてリクエストテーブルT16に記憶されるリクエストIDを承認用コンピュータ22に送信しておき、承認フラグが送信される際にはリクエストIDとともに送信されるとすることにより、承認処理部108は受信した承認フラグがどのリクエストに対応するものかを判断することができる。
そして、承認フラグを受信した承認処理部108は、通知部104に対し、図16の内容を記載した電子メールをリクエストIDに対応する従業員コードに対応付けてユーザテーブルT12に記憶されるメールアドレスに送信するように指示する。電子メールの内容については承認処理部108がリクエストIDに対応付けて「リクエスト日」、「申し込み希望額」を保持しておき、承認処理部108から通知部104に対し出力することとしてもよい。また、併せてリクエストテーブルT16の承認フラグに、承認の場合には「1」、否認の場合には「2」を書き込み、承認結果を記憶させる。
電子メール送信の指示を受けた通知部104は、図16の内容を記載した電子メールをリクエストIDに対応する従業員コードに対応付けてユーザテーブルT12に記憶されるメールアドレスに送信する。このようにして労働者は自らが行った前払リクエストの承認結果を知ることができる。
以上のようにして、労働者は雇用者に対し、給与の前払いを申し込むことができ、雇用者は該申し込みに対して承認を与えることができる。また、各テーブルを企業コードと対応付けて管理することにより、銀行において複数の雇用者による給与前払いを取り扱うことができるので、雇用者は特に新たな設備を構築することなく、また、人件費をかけることもなく、給与の前払いを受け付けることができる。
次に、以上のようにして承認された前払いを支払う際の処理について説明する。
振込テーブル作成部110は、リクエストテーブルT16に承認フラグ「1」となっているリクエストが発生することを監視する。そして、承認フラグが「1」、すなわち承認済みとなっているリクエストについて、振込1テーブルT18及び振込2テーブルT19を作成する。
図17は振込1テーブルT18の例である。該テーブルには、同図に示すように、「振込指定日」、「振込金額」、「仕向」口座情報等が記憶される。「振込指定日」は、振込テーブル作成部110が、リクエストテーブルT16に記憶されるリクエスト日と、同じくリクエストテーブルT16に記憶される企業コードと、企業テーブルT14に記憶される振込日数、及びコンピュータが保持する銀行営業日を記憶するカレンダテーブル(不図示)に基づいて算出する。より具体的には、「リクエスト日」から「営業日」で「振込日数」後の日付を「振込指定日」として算出し、該「振込指定日」をリクエストIDと対応付けて記憶する。
なお、承認が遅れる場合も考えられる。そのような場合のために、リクエストテーブルT16には「承認日」も併せて記憶し、該「承認日」から「営業日」で「振込日数」後の日付を「振込指定日」として算出することとしてもよい。
次に、振込テーブル作成部110は「仕向」口座情報を作成する。「仕向」口座情報とは、引落先の口座情報であり、ここでは前払金の振込元である雇用者の口座に関する口座情報となる。振込テーブル作成部110は、リクエストテーブルT16に記憶される企業コードと、企業テーブルT12に該企業コードと対応付けて記憶される「銀行番号」、「銀行名」、「支店番号」、「支店名」、「預金種別」、「口座番号」、「口座名」に基づいて、それぞれ「仕向銀行番号」、「仕向銀行名」、「仕向支店番号」、「仕向支店名」、「仕向預金種別」、「仕向口座番号」、「仕向口座名」を作成して、振込テーブルT18に記憶させる。
さらに、振込テーブル作成部110は「委託者番号」及び「委託者氏名」を作成する。これは振込を銀行に委託した者に関するデータであり、ここでは雇用者に関するデータとなる。具体的には、振込テーブル作成部110はリクエストテーブルT16に記憶される企業コードと、企業テーブルT14に記憶される「総合振込委託者番号」に基づいて「委託者番号」を作成し、また振込テーブル作成部110はリクエストテーブルT16に記憶される企業コードと、企業テーブルT14に記憶される企業名に基づいて「委託者氏名」を作成し、それぞれ振込1テーブルT18に記憶させる。
また、振込テーブル作成部110は、リクエストテーブルT16に記憶される「リクエスト金額」を、「振込金額」として振込2テーブルT19に記憶させる。すなわち、「振込金額」は前払金額であり、振込テーブル作成部110が振込1テーブルT18及び振込2テーブルT19を作成しようとするリクエストについてリクエストテーブルT16に記憶されるリクエスト金額が記憶される。
図25は振込2テーブルT19の例である。該テーブルには、同図に示すように、口座情報、「支払金額」等が記憶される。「支払金額」は前払金額であり、振込1テーブルT18に記憶される「振込金額」と同じ金額が記憶される。
また、口座情報は振込先のデータであり、ここでは前払金の振込先である労働者の口座に関するデータとなる。振込テーブル作成部110は、リクエストテーブルT16に記憶される企業コード及び従業員コードと、ユーザテーブルT12に該企業コード及び該従業員コードと対応付けて記憶される「銀行番号」、「銀行名」、「支店番号」、「支店名」、「預金種別」、「口座番号」、「口座名」に基づいて、それぞれ「銀行番号」、「銀行名」、「支店番号」、「支店名」、「預金種別」、「口座番号」、「口座名」を作成して、振込2テーブルT19に記憶させる。
また、振込テーブル作成部110は、振込1テーブルT18及び振込2テーブルT19の作成が終了したリクエストIDについては、承認フラグに「3」を書き込むこととしてもよい。このようにすれば、該リクエストIDが既に振込処理に回されたか否かを、リクエストIDを参照することにより判定可能となり、振込テーブル作成部110がリクエストIDを監視する際に、承認フラグが「1」となっているリクエストについて振込1テーブルT18及び振込2テーブルT19を作成すればよいこととなる。
以上の処理により振込1テーブルT18及び振込2テーブルT19が作成されると、作成フラグに作成が終了したことを示す情報として「1」が記憶される。該作成フラグが「1」になると、振込1テーブルT18及び振込2テーブルT19は、銀行決済システム14に送信される。なお、振込1テーブルT18と振込2テーブルT19とは、両テーブルの組み合わせごとに一意に付与されるユニークIDにより、銀行決済システム14において対応付けられる。そして銀行決済システム14は、従来公知の振込処理により、前払金の支払いを行う。すなわち、振込テーブル作成部110及び銀行決済システム14は前払金支払手段として機能する。このようにして、労働者は給与の前払いを受けることができる。
なお前払金については、銀行が雇用者に貸し出すことにより労働者に振り込むこととしてもよいし、銀行が労働者に振り込む際に、雇用者の口座から同額或いは手数料を加算した額を引き落とすこととしてもよい。すなわち、前払金は一時的に銀行の資金から雇用者に貸し出され、月末に月給に相当する金額を雇用者の口座から引き落とすこととしてもよいし、前払金に相当する金額を前払金の支払いを行うごとに雇用者の口座から引き落とすこととしてもよい。なお、雇用者の口座は振込1テーブルT18に記載されるものを参照することができる。
次に、前払いを実施した場合の給与振込みの処理、すなわち前払いした場合の残余の給与の振込処理について、図18に示す給与前払コンピュータ12の機能ブロック図を参照しながら説明する。なお、ここでは月末締めの月払いで給与を支払うこととして説明するが、「締日」については企業テーブルT14に記憶されている。図13に示すように、「締日」が「31」となっている場合には末日締めであることを示す。また、「日・週・月払い種別」も記憶されている。そして、例えば「日・週・月払い種別」に「月払い」であることを示す「3」が記憶されている場合には、歴月で「締日」の1ヶ月前の日の翌日から、「締日」までの日給データの合算により月給データが計算される。そして該月給データは、後述する処理により、企業データテーブルT14に記憶される「支払日」に労働者の口座への振込処理が行われる。
図18に示すように、給与前払コンピュータ12は、残余給与計算部112をさらに含んで構成される。残余給与計算部112は、作業時間テーブルT20において記憶される日給データの1ヶ月分の合計を算出することにより、月給データを取得する。より詳細には、労働データ入力コンピュータ24により1ヶ月分の労働データが全て入力された場合に、作業時間テーブルにおいて記憶される日給データである「時給単価ごとの給与」の1ヶ月分の合計を算出し、月給データとする。
そして残余給与計算部112は、上記月給データから、控除分を減算する。具体的には、ユーザテーブルT12に記憶される税金区分と保険区分を参照し、それぞれ控除することを示すフラグが記憶されている場合には、税金と保険料を控除する。より具体的には、税金額テーブル(不図示)及び保険料テーブル(不図示)に従って労働者の税金が計算するができる。
さらに残余給与計算部112は、控除後の月給データと、リクエストテーブルT16に記憶されるリクエスト金額のうち前払いされた実績データである前払実績金額、すなわちリクエスト金額であって該リクエスト金額と対応付けて記憶される承認フラグが「1」となっているもの、とに基づいて、残余給与額を決定する。すなわち、控除後の月給データからリクエストテーブルT16に記憶される前払実績金額を減算して得られる金額を残余給与額とすることができる。この場合には、残余給与計算部112は前払実績金額の所定期間内における合計を取得する前払実績金額合計取得手段としても機能する。
そして残余給与計算部112は、企業コード、従業員コードとともに残余給与額を振込テーブル作成部110に出力する。
振込テーブル作成部110は、残余給与計算部112により入力された企業コード、従業員コード及び残余給与額に基づき、振込1テーブルT18及び振込2テーブルT19を作成する。
この場合の振込1テーブルT18は図17で示される。振込テーブル作成部110は「仕向」口座情報を作成する。「仕向」口座情報は、ここでは残余給与の振込元である雇用者の口座に関する口座情報となる。振込テーブル作成部110は、残余給与計算部112により入力された企業コードと、ユーザテーブルT12に該企業コードと対応付けて記憶される「銀行番号」、「銀行名」、「支店番号」、「支店名」、「預金種別」、「口座番号」、「口座名」に基づいて、それぞれ「仕向銀行番号」、「仕向銀行名」、「仕向支店番号」、「仕向支店名」、「仕向預金種別」、「仕向口座番号」、「仕向口座名」を作成して、振込1テーブルT18に記憶させる。
さらに、振込テーブル作成部110は「委託者番号」及び「委託者氏名」を作成する。ここでは「委託者番号」及び「委託者氏名」は、雇用者に関するデータとなる。具体的には、振込テーブル作成部110はリクエストテーブルT16に記憶される企業コードと、企業テーブルT14に記憶される「給与振込委託者番号」に基づいて「委託者番号」を作成し、また振込テーブル作成部110はリクエストテーブルT16に記憶される企業コードと、企業テーブルT14に記憶される企業名に基づいて「委託者氏名」を作成し、それぞれ振込テーブルT18に記憶させる。このように、通常給与振込の場合には、「委託者番号」として「給与振込委託者番号」が使用され、該「給与振込委託者番号」により振込1テーブルT18が生成されると、振込手数料が通常の総合振込の場合に比べ軽減される。これに対し、上述の前払振込の場合には、「委託者番号」として「総合振込委託者番号」が使用され、該「総合振込委託者番号」により振込1テーブルT18が生成されると、振込手数料は通常の総合振込の場合と同額になる。
また、振込テーブル作成部110は、残余給与計算部112により入力された残余給与額を、「振込金額」として振込1テーブルT18に記憶させる。
また、振込2テーブルT19は図25で示される。口座情報は、ここでは残余給与の振込先である労働者の口座に関するデータとなる。振込テーブル作成部110は、残余給与計算部112により入力された企業コード及び従業員コードと、ユーザテーブルT12に該企業コード及び該従業員コードと対応付けて記憶される「銀行番号」、「銀行名」、「支店番号」、「支店名」、「預金種別」、「口座番号」、「口座名」に基づいて、それぞれ「銀行番号」、「銀行名」、「支店番号」、「支店名」、「預金種別」、「口座番号」、「口座名」を作成して、振込2テーブルT19に記憶させる。
また、「支払金額」は残余給与計算部112により入力された残余給与額が記憶される。すなわち、「振込金額」と同額が記憶される。
このようにして労働者は、前払金を除いた残余の給与を取得することができる。換言すれば、前払いされた給与を差し引いて、規定日における給与振込をすることができるようになる。
以上の処理について、処理シーケンス図を参照しながら、さらに詳細に説明する。
図19は、雇用者が労働データを入力する際の処理を示すシーケンス図である。なお、労働データを入力するのは実際には例えば労働者本人でもよいが、該労働データにより計算される給与に基づいて労働者は前払いを受けることができるため、雇用者が入力された労働データを、入力ごとに承認する仕組みを備えることが望ましい。そしてそのような場合には、作業時間テーブルT20に承認フラグとして、承認されているかいないかに関するデータを記憶させることが望ましい。
まず、雇用者が労働データ入力コンピュータ24から給与前払コンピュータ12に対してアクセスする(S100)。すると給与前払コンピュータ12は実績入力準備画面を労働データ入力コンピュータ24において表示するために必要なデータを送信する(S102)。実績入力準備画面では「対象年月日」、「従業員コード」、「従業員氏名」を入力することができるようになっており、雇用者は労働データ入力コンピュータ24においてこれらのデータを入力する(S104)。そしてこれらのデータは給与前払コンピュータ12に対し送信される。
給与前払コンピュータ12は、まず労働データ入力コンピュータ24の設置される企業の企業コードを取得する(S106)。このデータは、労働データ入力コンピュータ24のログイン情報から取得することができる。そして、該企業コードに基づいて、企業テーブルT14から時給単価区分を取得する(S108)。そして、実績入力画面を表示するために必要なデータを送信する(S110)。すなわち、誰がいつ働いた実績を入力するのかを示す作業日及び従業員氏名と、区分ごとに労働実績を入力させるための時給単価区分とを含むデータを送信する。
そして雇用者は、該実績入力画面において、労働データとして時給単価区分ごとの労働実績を入力する(S112)。なお、この入力においては、雇用者の便宜上、規定の形式で労働データを含めたファイルをアップロードする形態で入力することとしてもよい。そして労働データは作業日及び従業員コードと対応付けて給与前払コンピュータ12に対し送信される。
給与前払コンピュータ12は、受信した労働データを作業時間テーブルT20に記憶する(S114)。このようにして、労働データは給与前払コンピュータ12に記憶される。
次に給与前払コンピュータ12は、企業コード及び受信した従業員コードにより特定される従業員の時給単価を、ユーザテーブルを企業コード及び従業員コードで検索することにより取得する(S116)。そして、該従業員と対応付けて受信された労働データに基づいて、時給単価ごとの給与である日給データを算出する(S118)。そして、該日給データを作業時間テーブルに記憶する(S120)。なお、該日給データは、後にリクエストがあった場合に、当月分が合算されてリクエストテーブルT16の「時給単価ごとの給与総額」に記憶される。このとき、該「時給単価ごとの給与総額」は月初めからの日給の累積となる。
図20は、労働者が前払いを要求する際の処理を示すシーケンス図である。まず、労働者が労働者コンピュータ30から給与前払コンピュータ12に対してアクセスする(S200)。すると給与前払コンピュータ12は認証画面を労働者コンピュータ30において表示するために必要なデータを送信する(S202)。認証画面では「企業コード」、「従業員コード」、「パスワード」を入力することができるようになっており、労働者は労働者コンピュータ30においてこれらのデータを入力する(S204)。そしてこれらのデータは給与前払コンピュータ12に対し送信される。
給与前払コンピュータ12は、受信した企業コード、従業員コード及びパスワードの組み合わせがユーザテーブルT12に存在するか否かを確認し(S206)、存在しなければエラー通知を行う。存在すれば次の処理に進む。
次に給与前払コンピュータ12は、作業時間テーブルT20に記憶される時給単価ごとの給与の所定期間(例えば当月)における合計を作業実績として取得する。また、企業テーブルT14に記憶される「貸出限度」から「利用可能額」を算出することにより該「利用可能額」を取得する。さらにリクエストテーブルT16に記憶される所定期間(例えば当月)内の申し込み希望額のうち、承認済みとなっているものを合計した金額を「今月利用した金額」として取得する(S210)。そしてこれらのデータを含むリクエスト入力画面を表示するためのデータを労働者コンピュータ30に対し送信する(S212)。
リクエスト入力画面では今月利用した金額(前払実績金額)、利用可能額、作業実績を確認しつつ、申し込み希望額を入力できるようになっており、労働者は申し込み希望額を入力する(S214)。そして、該申し込み希望額は給与前払コンピュータ12に対し送信される。
給与前払コンピュータ12は、受信した申し込み希望額が、算出しておいた利用可能額を上回るか否かを判断し(S216)、上回る場合にはエラー通知を行う。上回っていない場合には、該申し込み希望額を、企業コード及び従業員コードと対応付けてリクエストテーブルT16に新たなカラムを作成した上で記憶する(S218)とともに、リクエストを受け付けた旨の画面を表示する。そして、企業テーブルT14において、受信した企業コードが示す企業が自動承認を許可しているか否かを確認し(S220)、自動承認されていれば、リクエストテーブルの承認フラグに「1」を記憶し、すなわち承認であることを記憶し(S222)、労働者のメールアドレスに対し、承認された旨の通知を行う(S226)。この場合の通知には、従業員コードと対応付けてユーザテーブルT12に記憶されるメールアドレスに電子メールとして送信することとしてもよい。一方、自動承認を許可していなければ、リクエストテーブルの承認フラグに「0」を記憶し(S224)、図21に示す処理を行う。
図21は、自動承認しない場合に雇用者が労働者の前払リクエストに対し承認を与えるための処理の処理フローである。まず、雇用者が承認用コンピュータ22から給与前払コンピュータ12に対しアクセスする(S300)。すると給与前払コンピュータ12は該承認用コンピュータ22の設置される企業の企業コードを取得し(S302)、リクエストテーブルT16において該企業コードに対応付けて記憶され、かつ承認フラグに「0」が記憶されているリクエスト、すなわち未承認のリクエストを検索する。そして、該リクエストを集めて、図15に示すような承認要求画面を承認用コンピュータ22の表示部80に表示するためのデータを承認用コンピュータ22に対して送信する(S306)。この際、リクエストIDも併せて承認用コンピュータ22に送信する。
そして該承認要求画面において雇用者はリクエストごとに承認或いは否認を入力し、該結果がリクエストIDとともに給与前払コンピュータ12に対し送信する(S308)。そして給与前払コンピュータ12は、該結果が承認であればリクエストテーブルの該リクエストIDに対応する承認フラグに「1」を記憶し、すなわち「承認」であることを記憶し、該結果が否認であればリクエストテーブルの該リクエストIDに対応する承認フラグに「2」を記憶し、すなわち「否認」であることを記憶し、承認も否認も入力されていない場合、すなわち未承認である場合には、未承認であることを示す承認フラグ「0」を記憶する(S310)。なお、元々承認フラグは「0」であるので、未承認の場合には承認フラグ「0」を記憶せず、そのまま何もしないこととしてもよい。そして、「承認」「否認」の場合には、結果を労働者に通知する(S311,S312)。この場合の通知にも、従業員コードと対応付けてユーザテーブルT12に記憶されるメールアドレスに電子メールとして送信することとしてもよい。
さらに図22は、承認された前払リクエストについて、労働者の口座に対し振込処理を行う際の処理フロー図である。
まず給与前払コンピュータ12は、リクエストテーブルT16の承認フラグに「1」を記憶させる処理(S222)に続けて、該リクエストについての振込テーブルとして振込1テーブルT18及び振込2テーブルT19を作成する(S402)。そして該振込テーブルを銀行決済システム14に送信することにより、銀行決済システム14は前払金額を労働者の口座に振込むことができるようになる。さらに、該振込テーブルを銀行決済システム14に送信するのに併せ、リクエストテーブルの該リクエストに対応する承認フラグに「3」を書き込むこととしてもよい(S406)。すなわち、振込処理に供されたことをリクエストテーブルT16に記憶することとしてもよい。
また、図23は、本給与前払システム1を導入している企業の従業員に対し、月締の給与を振り込む処理を行う際の処理フロー図である。
給与前払コンピュータ12は、例えば所定の締日を過ぎたことを検出した場合に、所定日までの労働データが全て入力されたか否かを確認する(S500)。そして全ての労働データが入力されていれば、月給データを作成する(S502)。月給データは日給データの所定期間内の合計であり、具体的には、作業時間テーブルT20の時給単価ごとの給与の所定期間内における合計であるとすることができる。
そして、該月給データから、控除分を控除する(S504)。すなわち、月給データは控除前の月給であり、税法等の定めにより、実際に支払われるべき給与は税金や保険料を控除した額としなければならない場合がある。そこでそのような場合には、これらを控除する処理を行う。
さらに、本給与前払システム1では給与が前払いされている場合がある。そこで、前払いされた金額を控除後の月給データからさらに減算して得られる金額を最終的に残余給与(S508)として労働者の口座への振込処理を行う。具体的には、リクエストテーブルT16に記憶されている当月分のリクエスト金額を取得して合算することにより、前払いされた金額として取得することができる。
そして給与前払コンピュータ12は、残余給与の振込テーブルとして振込1テーブルT18及び振込2テーブルT19を作成し、銀行決済システム14に対し送信する(S510)。これにより、銀行決済システム14は前払金額を労働者の口座に振込むことができるようになる(S512)。
以上説明したように、日給データを管理することができるようにしたことにより、労働者は所定の給与支払日の前の任意のタイミングで、その任意のタイミングまでの労働の対価の範囲内で、給与の支払を受けることができるようになる。
また、働いた対価以上の金額の前払いを実施すると、給料の範疇で精算が実施できないという問題があるが、前払いは給料の範囲内でなされるため、働いた対価以上の金額の前払いを実施するということが生じない。さらに、給与の前払いを行うと、労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない旨を規定する労働基準法第17条に抵触するおそれもあったが、本発明による前払いでは、既に労働を提供した範囲内での前払いであり、該前払いの対価としての労働を条件とするものではないことが明白となるため、該規定に違反せずに前貸を行うことができる。
1 給与前払システム、10 銀行、12 給与前払コンピュータ、14 銀行決済システム、20 企業、22 承認用コンピュータ、24 労働データ入力コンピュータ、30 労働者コンピュータ、40,42 通信ネットワーク、50,70 CPU、52,72 RAM、53,73 バス、54,74 入出力部、56,76 ハードディスク、58,78 外部記憶媒体、60 データベース、62,90 通信部、80 表示部、82 入力部、100 労働データ入力部、102 給与計算部、104 通知部、106 リクエスト処理部、108 承認処理部、110 振込テーブル作成部、112 残余給与計算部。