JP6346825B2 - ペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法、および、ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜形成方法 - Google Patents

ペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法、および、ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、ペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法、および、ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜形成方法に関する。
従来より、ペロブスカイト型複合酸化物を製造する様々な手法が提案されている。例えば、固相反応法では、原料となる金属酸化物または金属塩を混合した後、粉砕および混合と、1000℃以上での焼成とが複数回繰り返される。固相反応法では、均一かつ微細な粒度の粉体を得るには、粉砕および分級処理がさらに必要となる。ゾル−ゲル法では、金属の硝酸塩溶液に錯形成剤およびゲル形成剤を加え、脱水することでゲルが作製される。続いて、当該ゲルを例えば900℃で焼成して、得られた粉末をペレット化し、さらに1200℃で焼成することにより、ペロブスカイト型複合酸化物が得られる(特許文献1の背景技術の欄参照)。固相反応法と同様に、均一かつ微細な粒度の粉体を得るには、粉砕および分級処理がさらに必要となる。共沈殿法では、金属硝酸塩や金属酢酸塩の酸性水溶液にアルカリ性の水溶液を加えて沈殿物を濾取し、500℃以上で焼成することにより、ペロブスカイト型複合酸化物が得られる。また、沈殿物の組成分布が不均一化するという共沈殿法の問題を解消するために、アンモニア水やテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の残渣の残らないアルカリ性水溶液を大量に利用する逆均一沈殿法も知られている。
また、水熱合成法によりペロブスカイト型複合酸化物を製造する手法も知られており、例えば、特許文献1では、ペロブスカイト型の結晶構造を有するストロンチウムドープマンガン酸ランタン微粒子の製造方法について開示されている。当該方法では、マンガン塩水溶液と、ランタンおよびストロンチウム金属塩水溶液を混合し、アルカリ水溶液を添加した後、亜臨界ないし超臨界状態の水を媒体として、水熱反応により、ストロンチウムドープマンガン酸ランタン微粒子が合成される。さらに、特許文献2では、水熱合成法によりペロブスカイト型酸化物基板上にペロブスカイト型酸化物膜を形成する手法が開示されている。
特許第5354563号公報 特開平9−315857号公報
ところで、水熱合成法によるペロブスカイト型マンガン酸化物の製造では、アルカリ性水溶液にマンガン塩等を溶解した反応液を耐圧容器内にて加熱する水熱処理が行われるが、当該水熱処理では、高い反応温度および圧力、並びに、長時間の反応が必要となる。したがって、ペロブスカイト型マンガン酸化物を容易に、かつ、効率よく製造する、または、ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜を基材上に容易に、かつ、効率よく形成することが可能な手法が求められている。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ペロブスカイト型マンガン酸化物を容易に、かつ、効率よく製造する、または、ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜を基材上に容易に、かつ、効率よく形成することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、ペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、a)マンガンを含む化合物および他の金属を含む化合物が溶解または分散した水と、アルカリ水溶液とを混合して、反応液を生成する工程と、b)前記反応液に対して酸素溶解処理を行う工程と、c)前記b)工程の後に、密閉状態の容器内にて前記反応液を加熱して水熱処理を行う工程と、d)前記水熱処理後の前記容器内に生成されたペロブスカイト型マンガン酸化物を取り出す工程とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、前記酸素溶解処理後の前記反応液の溶存酸素濃度が、6mg/L以上である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、前記酸素溶解処理が、前記反応液中における酸素を含むガスのバブリングを含む。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、前記c)工程において前記水熱処理を開始する際の密閉状態の前記容器における前記反応液の充填率が、80%よりも大きい。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、前記マンガンを含む化合物が、硝酸マンガン、酢酸マンガンまたは塩化マンガンである。
請求項に記載の発明は、ペロブスカイト型酸化物の基材にペロブスカイト型マンガン酸化物の膜を形成するペロブスカイト型マンガン酸化物の膜形成方法であって、a)マンガンを含む化合物および他の金属を含む化合物が溶解または分散した水と、アルカリ水溶液とを混合して、反応液を生成する工程と、b)前記反応液に対して酸素溶解処理を行う工程と、c)容器内において前記基材を前記反応液に浸漬する工程と、d)前記b)およびc)工程の後に、密閉状態の前記容器内にて前記反応液を加熱して水熱処理を行うことにより、前記基材にペロブスカイト型マンガン酸化物の膜を形成する工程とを備える。
本発明によれば、ペロブスカイト型マンガン酸化物を容易に、かつ、効率よく製造する、または、ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜を基材上に容易に、かつ、効率よく形成することができる。
ペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法の流れを示す図である。 X線回折測定により得られるスペクトルを示す図である。 X線回折測定により得られるスペクトルを示す図である。 X線回折測定により得られるスペクトルを示す図である。 金属空気二次電池の構成を示す図である。 ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜形成方法の流れを示す図である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法の流れを示す図である。まず、マンガンを含む化合物および他の金属を含む化合物を水に溶解し、アルカリ水溶液を混合することにより反応液が生成される(ステップS11)。必要に応じて、反応液に他の物質が含まれてよい。ここで、マンガンを含む化合物として硝酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン等が例示可能である。アルカリ性の反応液中でこれらのマンガン塩は水酸化マンガンに変化し、この水酸化マンガンが水熱反応に関与する。また、他の金属としては、La、Sr、Ce、Ca、Y、Er、Pr、Nd、Sm、Eu、Mg、Ba、Fe、Co、Cu、Ti、Cr、Ni、Nb、Pb、Bi、Sb、Mo等を例示することができる。他の金属を含む化合物として、例えば、これらの金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等の金属化合物が例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。アルカリ水溶液は、例えば水酸化カリウム水溶液、または、水酸化ナトリウム水溶液である。金属化合物水溶液の濃度は特に限定されない。反応液は、マンガンを含む化合物および他の金属を含む化合物を水に分散させることにより生成される懸濁液であってもよい。
反応液が準備されると、当該反応液に対して酸素溶解処理が行われる(ステップS12)。好ましい酸素溶解処理は、反応液中における酸素を含むガスのバブリングである。バブリングは、チューブ等を介して反応液中にガスを放出して、反応液中に当該ガスの多数の気泡を発生させる処理である。酸素溶解処理により、反応液の溶存酸素濃度が、6mg/L(ミリグラム毎リットル)以上となることが好ましい。例えば、反応液の溶存酸素濃度が、6mg/L以上かつ14mg/L以下、より好ましくは、7mg/L以上かつ13mg/L以下の範囲内となるように、酸素溶解処理の条件が調整される。反応液の溶存酸素濃度が6mg/Lを下回るとペロブスカイト構造への転化率が低下する。溶存酸素濃度の上限は、反応液の温度や濃度によって異なるが、実施例に用いた反応液では常温(室温)、常圧(大気圧)で13mg/L程度である。反応液を0℃近くまで冷却することにより、溶存酸素濃度を14mg/L程度まで高めてもよい。高圧にすれば溶存酸素濃度をさらに高めることができるので、後で述べるように反応容器内に高圧の酸素を導入することにより、酸素溶解処理を行うことも可能である。
続いて、反応液が耐圧性を有する反応容器に注がれて貯溜される。このとき、生産性向上の観点では、密閉状態の反応容器における反応液の充填率が、80%(80vol%)よりも大きいことが好ましい。反応液の充填率は、反応容器の容積に対する、充填される反応液の体積の割合である。反応容器内の反応液に対して、比較的低温にて後述の水熱処理が行われるため、反応液の充填率を高くしても、反応容器内が過度に高圧となることはない。
反応容器が密閉された後、反応容器内にて反応液が加熱され、反応容器内が加熱および加圧環境となる。このように、密閉状態の反応容器内にて反応液を加熱することにより水熱処理(水熱合成)が行われる(ステップS13)。水熱処理では、必要に応じて反応容器を揺動させ、反応液が攪拌されてよい。水熱処理における温度(反応温度)は、160℃以上220℃以下であることが好ましく、180℃以上200℃以下であることがより好ましい。水熱処理の時間(反応時間)は、例えば、18時間以上48時間以下であり、生産性向上の観点では、24時間以下であることが好ましい。酸素溶解処理により反応液の溶存酸素濃度が高くなっているため、水熱処理を比較的低温かつ短時間にて行うことが可能である。
水熱処理が完了すると、反応容器内に生成されたペロブスカイト型マンガン酸化物が取り出される(ステップS14)。例えば、反応容器内の物質に対して吸引濾過を行い、残渣を水で洗浄し、乾燥することにより、上記他の金属を含むペロブスカイト型マンガン酸化物の粉体が取得される。
(実施例1)
硝酸ランタン6水和物(12.99g、30.0mmol(ミリモル))、硝酸ストロンチウム(4.23g、20.0mmol)、硝酸マンガン6水和物(5.86g、20.4mmol)、硝酸鉄9水和物(12.37g、30.6mmol)を水(HO)(72mL)に溶解した溶液を、50wt%(重量パーセント)水酸化カリウム水溶液(285g)に滴下にて全量添加し、反応液を生成した。1時間の熟成期間を置き、純度90%の酸素(O)を用いて反応液に対して15分間バブリングを行った。酸素バブリング後(かつ水熱処理前)の反応液の溶存酸素濃度は12.76mg/Lであった。続いて、内側面にテフロン(登録商標)の膜が形成された反応管である反応容器(以下、同様である。)に、充填率90vol%となるまで反応液を注ぎ、反応温度(すなわち、水熱処理に利用する炉の温度)200℃にて20時間の水熱処理を実施した。なお、反応容器における反応液の充填率がこのように高い場合でも、水熱処理中における内部の攪拌は阻害されない。水熱処理の完了後、反応容器を室温へと冷却し、吸引濾過を行った。続いて、洗液が中性を示すまで、残渣を水で洗浄した。洗浄後の残渣を風乾で乾燥することで灰黒色の粉体を得た。
(実施例2)
酢酸ランタン1.5水和物(4.12g、12.0mmol)、酢酸ストロンチウム0.5水和物(1.72g、8.0mmol)、酢酸マンガン4水和物(2.00g、8.2mmol)、硝酸鉄9水和物(4.95g、12.3mmol)を水(120mL)に溶解した溶液を、40wt%水酸化カリウム水溶液(136g)に滴下にて全量添加し、反応液を生成した。1時間の熟成期間を置き、純度90%の酸素にて反応液に対して15分間バブリングを行った。酸素バブリング後(かつ水熱処理前)の反応液の溶存酸素濃度は12.61mg/Lであった。続いて、反応容器に充填率90vol%となるまで反応液を注ぎ、反応温度190℃にて30時間の水熱処理を実施した。水熱処理の完了後、反応容器を室温へと冷却し、吸引濾過を行った。続いて、洗液が中性を示すまで、残渣を水で洗浄した。洗浄後の残渣を風乾で乾燥することで灰黒色の粉体を得た。
(実施例3)
実施例2において、反応温度を180℃、反応時間(すなわち、水熱処理の時間)を48時間に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行い、灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は12.48mg/Lであった。
(実施例4)
実施例1において、硝酸マンガン6水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、硝酸マンガン6水和物(8.79g、30.6mmol)、硝酸鉄9水和物(8.25g、20.4mmol)に変更し、酸素バブリング時間を5分間、反応時間を18時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.12mg/Lであった。
(実施例5)
実施例2において、酢酸マンガン4水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、酢酸マンガン4水和物(3.00g、12.3mmol)、硝酸鉄9水和物(3.30g、8.2mmol)に変更し、酸素バブリング時間を5分間に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行うことで灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は7.86mg/Lであった。
(実施例6)
実施例5において、反応温度を180℃、反応時間を48時間に変更した以外は、実施例5と同様の操作を行うことで灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.26mg/Lであった。
(実施例7)
実施例1において、硝酸マンガン6水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、硝酸マンガン6水和物(10.25g、35.7mmol)、硝酸鉄9水和物(6.18g、15.3mmol)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は12.32mg/Lであった。
(実施例8)
実施例3において、酢酸マンガン4水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、酢酸マンガン4水和物(3.50g、14.3mmol)、硝酸鉄9水和物(2.47g、6.1mmol)に変更し、酸素バブリング時間を5分間に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行うことで灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.11mg/Lであった。
(実施例9)
実施例1において、硝酸マンガン6水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、硝酸マンガン6水和物(10.98g、38.3mmol)、硝酸鉄9水和物(5.15g、12.8mmol)に変更し、反応温度を190℃、反応時間を36時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は12.16mg/Lであった。
(実施例10)
実施例8において、酢酸マンガン4水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、酢酸マンガン4水和物(3.75g、15.3mmol)、硝酸鉄9水和物(2.06g、5.1mmol)に変更した以外は、実施例8と同様の操作を行うことで灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.08mg/Lであった。
(実施例11)
実施例1において、硝酸マンガン6水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、硝酸マンガン6水和物(11.72g、40.8mmol)、硝酸鉄9水和物(4.12g、10.2mmol)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は12.25mg/Lであった。
(実施例12)
実施例3において、酢酸マンガン4水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、酢酸マンガン4水和物(4.00g、16.3mmol)、硝酸鉄9水和物(1.65g、4.1mmol)に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行うことで灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は12.19mg/Lであった。
(実施例13)
硝酸ランタン6水和物(12.99g、30mmol)、硝酸ストロンチウム(2.72g、12.9mmol)、硝酸コバルト6水和物(2.86g、9.8mmol)、硝酸マンガン6水和物(8.48g、29.5mmol)、硝酸鉄9水和物(1.77g、4.4mmol)を水(90mL)に溶解した溶液を、50wt%水酸化カリウム水溶液(285g)に滴下にて全量添加し、反応液を生成した。1時間の熟成期間を置き、純度90%の酸素にて反応液に対して15分間バブリングを行った。酸素バブリング後(かつ水熱処理前)の反応液の溶存酸素濃度は12.60mg/Lであった。続いて、反応容器に充填率90vol%となるまで反応液を注ぎ、反応温度200℃にて18時間の水熱処理を実施した。水熱処理の完了後、反応容器を室温へと冷却し、吸引濾過を行った。続いて、洗液が中性を示すまで、残渣を水で洗浄した。洗浄後の残渣を風乾で乾燥することで灰黒色の粉体を得た。
(実施例14)
酢酸ランタン6水和物(4.11g、12.0mmol)、酢酸ストロンチウム(1.10g、5.1mmol)、酢酸コバルト6水和物(0.98g、3.9mmol)、酢酸マンガン6水和物(2.89g、11.8mmol)、硝酸鉄9水和物(0.71g、1.8mmol)を水(135mL)に溶解した溶液を、50wt%水酸化カリウム水溶液(285g)に滴下にて全量添加し、反応液を生成した。1時間の熟成期間を置き、純度90%の酸素にて反応液に対して15分間バブリングを行った。酸素バブリング後(かつ水熱処理前)の反応液の溶存酸素濃度は12.55mg/Lであった。続いて、反応容器に充填率90vol%となるまで反応液を注ぎ、反応温度190℃にて32時間の水熱処理を実施した。水熱処理の完了後、反応容器を室温へと冷却し、吸引濾過を行った。続いて、洗液が中性を示すまで、残渣を水で洗浄した。洗浄後の残渣を風乾で乾燥することで灰黒色の粉体を得た。
(実施例15)
実施例14において反応温度を180℃、反応時間を48時間、酸素バブリング時間を5分間に変更した以外は、実施例14と同様の操作を行い、灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.19mg/Lであった。
(実施例16)
実施例15において、酢酸コバルト6水和物、酢酸マンガン6水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、酢酸コバルト6水和物(0.87g、3.5mmol)、酢酸マンガン6水和物(2.57g、10.5mmol)、硝酸鉄9水和物(1.41g、3.5mmol)に変更した以外は、実施例15と同様の操作を行い、灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.15mg/Lであった。
(実施例17)
実施例15において、酢酸コバルト6水和物、酢酸マンガン6水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、酢酸コバルト6水和物(0.76g、3.1mmol)、酢酸マンガン6水和物(2.25g、9.2mmol)、硝酸鉄9水和物(2.12g、5.3mmol)に変更した以外は、実施例15と同様の操作を行い、灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.03mg/Lであった。
(実施例18)
実施例15において、酢酸コバルト6水和物、酢酸マンガン6水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、酢酸コバルト6水和物(0.65g、2.6mmol)、酢酸マンガン6水和物(1.93g、7.9mmol)、硝酸鉄9水和物(2.83g、7.0mmol)に変更した以外は、実施例15と同様の操作を行い、灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.21mg/Lであった。
(実施例19)
実施例15において、酢酸コバルト6水和物、酢酸マンガン6水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、酢酸コバルト6水和物(0.54g、2.2mmol)、酢酸マンガン6水和物(1.61g、6.6mmol)、硝酸鉄9水和物(3.53g、8.7mmol)に変更した以外は、実施例15と同様の操作を行い、灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.19mg/Lであった。
(実施例20)
実施例15において、酢酸コバルト6水和物、酢酸マンガン6水和物、硝酸鉄9水和物の使用量を、酢酸コバルト6水和物(0.44g、1.8mmol)、酢酸マンガン6水和物(1.29g、5.2mmol)、硝酸鉄9水和物(4.24g、10.5mmol)に変更した以外は、実施例15と同様の操作を行い、灰黒色の粉体を得た。酸素バブリング後、水熱処理前の反応液の溶存酸素濃度は8.22mg/Lであった。
(比較例1)
硝酸ランタン6水和物(12.99g、30mmol)、硝酸ストロンチウム(4.23g、20mmol)、硝酸マンガン6水和物(5.74g、20mmol)、硝酸鉄9水和物(12.12g、30mmol)を水(72mL)に溶解した溶液を、50wt%水酸化カリウム水溶液(285g)に滴下にて全量添加し、反応液を生成した。1時間の熟成期間を置き、反応容器に充填率30vol%となるまで反応液を注ぎ、反応温度200℃にて24時間の水熱処理を実施した。水熱処理前の酸素バブリングは省略しており、水熱処理直前の反応液の溶存酸素濃度は、4.08mg/Lであった。水熱処理の完了後、反応容器を室温へと冷却し、吸引濾過を行った。続いて、洗液が中性を示すまで、残渣を水で洗浄した。洗浄後の残渣を風乾で乾燥することでそれぞれ茶褐色の粉体を得た。
(比較例2)
比較例1において、反応容器における反応液の充填率を60vol%、反応時間を72時間に変更した以外は、比較例1と同様の操作を行い、灰茶色の粉体を得た。水熱処理直前の反応液の溶存酸素濃度は、4.12mg/Lであった。
(比較例3)
酢酸ランタン1.5水和物(2.06g、6mmol)、酢酸ストロンチウム0.5水和物(0.86g、4mmol)、酢酸マンガン4水和物(0.98g、4mmol)、硝酸鉄9水和物(2.42g、6mmol)を水(60mL)に溶解した溶液を、40wt%水酸化カリウム水溶液(67g)に滴下にて全量添加し、反応液を生成した。1時間の熟成期間を置き、反応容器に充填率25vol%となるまで反応液を注ぎ、反応温度200℃にて72時間の水熱処理を実施した。水熱処理前の酸素バブリングは省略しており、水熱処理直前の反応液の溶存酸素濃度は、3.98mg/Lであった。水熱処理の完了後、反応容器を室温へと冷却し、吸引濾過を行った。続いて、洗液が中性を示すまで、残渣を水で洗浄した。洗浄後の残渣を風乾で乾燥することで灰黒色の粉体を得た。
(比較例4)
比較例3において、反応容器における反応液の充填率を55vol%に変更した以外は、比較例3と同様の操作を行い、茶褐色の粉体を得た。水熱処理直前の反応液の溶存酸素濃度は、4.07mg/Lであった。
表1は、上記実施例および比較例の条件を示す。
Figure 0006346825
図2および図3は、比較例3および4で得られた粉体に対するX線回折(XRD:X-ray Diffraction)測定により得られるスペクトルを示す図である。図2では、比較例3において目的とするペロブスカイト構造(ここでは、(La0.6Sr0.40.98Mn0.4Fe0.6)を示す複数のピークが明確に現れており、(La0.6Sr0.40.98Mn0.4Fe0.6が高い転化率にて得られていることが判る。これに対し、図3では、他の物質(未反応の物質)の存在を示す多くのピークが出現しており、比較例4では、(La0.6Sr0.40.98Mn0.4Fe0.6への転化率が低いといえる。比較例3および4では、反応容器における反応液の充填率のみが異なるため、転化率の上記相違は反応液の充填率に依存する。すなわち、比較例の手法では、目的構造を高い転化率にて製造するには、反応容器における反応液の充填率を低くする必要がある。これは、溶解している基質によって反応液中の溶存酸素が脱気されるのに対し、反応液の充填率を低くすることにより、反応容器内にて多くの酸素(空気中の酸素)が確保されるためであると考えられる。
実際には、比較例1および2で得られた粉体においても、図3と同様のスペクトルが得られており、転化率が低いことが確認されている。特に、比較例1では、充填率を30%に下げているにもかかわらず、水熱処理の反応時間が短いため、高い転化率が得られない。したがって、酸素溶解処理を省略した比較例では、目的構造を高い転化率にて製造するには、水熱処理の際に反応液の充填率を低くし、かつ、反応時間を長くする必要があり、生産性の低下を伴ってしまう。
図4は、実施例3で得られた粉体に対するX線回折測定により得られるスペクトルを示す図である。表1に示すように、実施例3では、比較例3および4と比較して、水熱処理の際の反応容器における反応液の充填率が高く、反応温度が低く、さらに、反応時間が短い。しかしながら、実施例3では、目的とするペロブスカイト構造である(La0.6Sr0.40.98Mn0.4Fe0.6が高い転化率にて得られていることが、図4より判る。実際には、実施例1および2、並びに、実施例4ないし20にて製造される粉体においても、図4と同様のスペクトルが得られ、高い転化率が実現されている。したがって、酸素溶解処理を伴う実施例では、比較例と比較して、短い反応時間(例えば、1/3以下の反応時間)、かつ、高い充填率にて水熱処理を行って、ペロブスカイト型マンガン酸化物を効率よく(高い生産性にて)製造することが可能であるといえる。
表2は、実施例3、6、8、10、12、15、17および19にて得られた粉体の粒度分布を示す。表2の列見出しにおいて、「d10」、「d50」、「d90」は、粒度(粒子径)の累積分布において累積相対度数10%、50%、90%にそれぞれ対応する粒度を示す。表2から、上記実施例により均一な粒度の粉体が得られることが判る。他の実施例にて製造される粉体の粒度分布も、表2中の上記実施例の粒度分布と同様である。
Figure 0006346825
上記実施例に示したように、反応液に対して酸素溶解処理を行って反応液中の溶存酸素を補填し、その後、密閉状態の容器内にて当該反応液を加熱して水熱処理を行うことにより、均一な粒度のペロブスカイト型マンガン酸化物の粉体を容易に、かつ、効率よく製造することが実現される。上記手法では、水熱処理を開始する際の密閉状態の反応容器における反応液の充填率が80%よりも大きい場合でも、高い転化率にてペロブスカイト型マンガン酸化物の粉体を製造することができ、その結果、ペロブスカイト型マンガン酸化物の大量生産が可能となる。なお、固相反応法、ゾル−ゲル法、共沈殿法等における、高価な原料が必要、焼成前に煩雑な前処理が必要、複数回の高温焼成が必要、粉体の粒度が不均一等の問題も、上記手法では生じない。
反応液に対して酸素溶解処理を行う上記手法では、化学式(A1−x)(C1−yMn)O[0≦x≦1,0<y≦1]で表され、例えば、AおよびBのそれぞれが、La、Sr、Ce、Ca、Y、Er、Pr、Nd、Sm、Eu、Mg、Baから選ばれる元素であり、CがFe、Co、Cu、Ti、Cr、Ni、Nb、Pb、Bi、Sb、Moから選ばれる少なくとも一種以上の遷移金属であるペロブスカイト型マンガン酸化物が製造可能である。
図5は、上記手法にて製造されたペロブスカイト型マンガン酸化物を利用する金属空気二次電池1の構成を示す図である。金属空気二次電池1は亜鉛イオンを利用するため、以下、「亜鉛空気二次電池」と呼ぶ。金属空気二次電池は、他の金属イオンを利用してもよい。亜鉛空気二次電池1の本体11は中心軸J1を中心とする略円柱状であり、図5では、中心軸J1を含む面における本体11の断面を示す。亜鉛空気二次電池1は、正極2、負極3、電解質層4および電解液40を備える。
負極3(金属極とも呼ばれる。)は、中心軸J1を中心とするコイル状の部材である。本実施の形態における負極3は、断面が略円形の線状の部材を中心軸J1を中心として螺旋状に巻いた形状を有する。負極3は、導電性材料にて形成されるコイル状の基材31、および、基材31の表面に形成される析出金属層32を備える。中心軸J1方向における負極3の端部には負極集電端子33が接続される。
基材31を形成する材料として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)等の金属、または、いずれかの金属を含む合金が例示される。本実施の形態では、基材31は銅にて形成される。集電体を兼ねる基材31の導電率を高くするという観点では、基材31は銅または銅合金を含むことが好ましい。基材31の本体が銅にて形成される場合、当該本体の表面にニッケル等の他の金属の保護膜が形成されることが好ましい。この場合、基材31の表面は、当該保護膜の表面となる。例えば、保護膜の厚さは、1〜20μm(マイクロメートル)であり、保護膜は、めっきにて形成される。析出金属層32は、亜鉛(Zn)の電解析出により形成される。析出金属層32は、亜鉛を含む合金の電解析出にて形成されてもよい。
負極3の周囲には、円筒状のセパレータ41が設けられ、セパレータ41の周囲には、円筒状の正極2(空気極とも呼ばれる。)が設けられる。すなわち、セパレータ41の内側面は負極3に対向し、セパレータ41の外側面は正極2の内側面に対向する。負極3、セパレータ41および正極2は、中心軸J1を中心とする同心状に設けられ、中心軸J1に沿って見た場合に、負極3の外縁と正極2との間の距離は、中心軸J1を中心とする周方向の全周に亘って一定である。すなわち、亜鉛空気二次電池1における負極3および正極2の間では、全周に亘って、等電位面の間隔が一定である。等電位面に粗密がないため、充放電時の電流分布は周方向において一定となる。なお、全周に亘る電流分布がおよそ均一となるのであるならば、正極2の形状は、例えば、頂点が6個以上の正多角形の筒状であってもよい。
セパレータ41は、セラミックにて形成される多孔質の筒状支持体であるセパレータ本体411、および、セパレータ本体411において負極3と対向する内側面上に形成された多孔膜412を有する。セパレータ本体411は、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)およびハフニア(HfO)等の機械的強度および絶縁性が高いセラミックにて形成される。本実施の形態では、セパレータ本体411は一体成形されたセラミックの焼結体であり、セラミックのみにて構成される。セパレータ本体411は、これらのセラミックの混合体や積層体であってもよい。円筒状のセパレータ本体411の肉厚は、例えば0.2〜4ミリメートル(mm)である。
セパレータ本体411の平均細孔径は、電池反応を阻害しない程度の保液性、イオン導電性、通気性が確保される範囲内であればよい。セパレータ本体411の平均細孔径は15μm以下であることが好ましい。
多孔膜412は、セラミックにて形成され、本実施の形態では、多孔膜412は、セパレータ本体411と同様にセラミックの焼結体である。具体的には、多孔膜412(積層膜の場合は、当該積層膜の各膜)は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアおよびハフニア等の機械的強度および絶縁性が高いセラミックのうちの少なくとも1つのセラミックを含むことが好ましい。より好ましくは、多孔膜412は、セラミックのみから構成される。
多孔膜412は、セパレータ本体411の平均細孔径よりも小さい平均細孔径を有する。具体的には、多孔膜412の平均細孔径は、0.01μm以上かつ2μm以下である。好ましくは、多孔膜412は、複数の膜が積層された積層膜である。安定性の観点では、表面のセラミック膜の形成にジルコニアが用いられることが好ましい。亜鉛空気二次電池1では、筒状のセパレータ本体411において、負極3と対向する面の全周に亘って多孔膜412が形成される。
筒状の正極2の内側(中心軸J1側)の空間には、水系の電解液40が充填される。電解液40は、正極2および負極3との間に介在し、両極に接する。負極3のおよそ全体は電解液40中に浸漬される。多孔質部材であるセパレータ41の細孔にも電解液40が充填される。以下の説明では、中心軸J1に沿って見た場合における負極3と正極2との間の空間を「電解質層4」という。すなわち、電解質層4は、負極3と正極2との間に位置する空間である。本実施の形態では、電解質層4はセパレータ41を含む。電解液40は、アルカリ水溶液であり、好ましくは、水酸化カリウム(苛性カリ、KOH)水溶液、または、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ、NaOH)水溶液を含む。また、電解液40は、亜鉛イオンまたは亜鉛を含むイオンを含む。すなわち、電解液40に含まれる亜鉛イオンは、様々な態様で存在してよく、亜鉛(すなわち、亜鉛原子)を含むイオンと捉えられてもよい。例えば、テトラヒドロキシ亜鉛イオンとして存在してもよい。
正極2は、多孔質の正極導電層21を備える。筒状の正極導電層21の外側面には正極触媒層22が形成される。正極触媒層22には正極触媒が担持される。正極触媒層22の周囲には、例えば、ニッケル等の金属のメッシュシートが巻かれて集電層23が形成され、中心軸J1方向における集電層23の端部には正極集電端子24が接続される。集電層23は正極導電層21の外側面にも部分的に接する。なお、正極導電層21の外側面の一部のみに接するインターコネクタが集電層23として設けられてもよい。
集電層23の外側面(メッシュ状の集電層23にて覆われていない正極触媒層22の外側面の部位を含む。)には、撥水性を有する材料(例えば、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン))による多孔質の層が撥液層29として形成される。
充電時における酸化による劣化を防止するという観点では、正極導電層21は、導電性カーボンを含まないことが好ましく、本実施の形態では、正極導電層21は、導電性を有する多孔質のペロブスカイト型酸化物(例えば、LSCF(LaSrCoFeO))にて主に形成される多孔質の薄い導電膜である。
また、正極触媒層22は、上記手法にて製造されたペロブスカイト型マンガン酸化物(例えば、LaSrMnFeOまたはLaSr(CoMn)FeO))の粉体を、例えばスラリーコート法および焼成により、正極導電層21上に担持させた部位を含む。当該部位は、ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜と捉えることも可能である。亜鉛空気二次電池1では、原則として、多孔質の正極触媒層22近傍において空気と電解液40との界面が形成される。
図5に示すように、中心軸J1方向において負極3、電解質層4および正極2の両端面(図5中の上端面および下端面)には、円板状の閉塞部材51が固定される。各閉塞部材51の中央には貫通孔511が設けられる。亜鉛空気二次電池1では、撥液層29および閉塞部材51により、本体11内の電解液40が貫通孔511以外から外部へと漏出することが防止される。
一方の閉塞部材51の貫通孔511には供給管61の一端が接続され、供給管61の他端は供給回収部6に接続される。他方の閉塞部材51の貫通孔511には回収管62の一端が接続され、回収管62の他端は供給回収部6に接続される。供給回収部6は電解液の貯溜タンクやポンプを有し、本体11内の電解液40を、制御部(図示省略)から指示される流量(単位時間当たりの体積)にて貯溜タンクに回収するとともに、貯溜タンク内の電解液を同じ流量にて本体11に供給する。すなわち、本体11と供給回収部6の貯溜タンクとの間にて電解液を循環させることが可能である。供給回収部6にはフィルタが設けられており、電解液の循環時には、電解液に含まれる不要物が当該フィルタにて取り除かれる。
本実施の形態における亜鉛空気二次電池1では、本体11の中心軸J1は鉛直方向(重力方向)に平行であり、回収管62に接続される貫通孔511が、供給管61に接続される貫通孔511よりも鉛直方向上方に位置する。また、供給管61および回収管62には供給バルブおよび回収バルブ(図示省略)が設けられる。本動作例における通常動作では、一定の流速にて電解液の循環が行われる。なお、供給バルブおよび回収バルブは、供給回収部6の一部と捉えることができる。電解液は、上側の貫通孔511から供給され、下側の貫通孔511から回収されてもよい。亜鉛空気二次電池1の中心軸J1は必ずしも鉛直方向に平行である必要はなく、例えば中心軸J1が水平方向に平行となるように、亜鉛空気二次電池1が配置されてもよい。
図5の亜鉛空気二次電池1において放電が行われる際には、負極集電端子33と正極集電端子24とが、例えば、照明器具等の負荷を介して電気的に接続される。負極3が有する亜鉛は酸化されて亜鉛イオンが生成され、電子は負極集電端子33、および、正極集電端子24を介して正極2に供給される。多孔質の正極2では、撥液層29を透過した空気中の酸素が、負極3から供給された電子により還元され、水酸化物イオンとして電解液中に溶出する。正極2では、正極触媒により酸素の還元反応が促進される。
一方、亜鉛空気二次電池1において充電が行われる際には、負極集電端子33と正極集電端子24との間に電圧が付与され、正極2に対して水酸化物イオンから電子が供給されるとともに酸素が発生する。負極3では、集電層23および正極集電端子24を介して負極集電端子33に供給される電子により金属イオンが還元されて亜鉛が析出する。
このとき、コイル状の負極3では、角部がないため、電界集中が起こりにくい。すなわち、電流密度に大きな偏りが生じない。また、負極3が、電解液40に均一に接触する。その結果、亜鉛が樹枝状に析出するデンドライトや、ひげ状(針状)に析出するウィスカーの生成および成長が大きく抑制される。実際には、負極3の表面のほぼ全体において緻密な亜鉛が均一に析出し、析出金属層32が形成される。正極2では、正極触媒層22に含まれる正極触媒により酸素の発生が促進される。
既述のように、亜鉛空気二次電池1では、供給回収部6による電解液の循環が行われており、上方の貫通孔511(以下、「上貫通孔511」とも呼ぶ。)近傍における電解液40は、上貫通孔511から回収される。また、下方の貫通孔511(以下、「下貫通孔511」とも呼ぶ。)から本体11内に供給された電解液40の一部は、コイル状の負極3の隙間(すなわち、図5に示す負極3の断面において、縦方向に互いに離れた円形の部位の間)を介して電解質層4(のセパレータ41)にも拡散する。これにより、亜鉛空気二次電池1において放電または充電を行いつつ、電解質層4に含まれる電解液40が、供給回収部6の貯溜タンク内の電解液に置換される。
亜鉛空気二次電池1では、上貫通孔511からの所定量の電解液の回収、および、下貫通孔511からの同量の電解液の供給を順に行う動作が繰り返されてもよい。これにより、放電または充電を行いつつ、本体11内の電解液40が、供給回収部6の貯溜タンク内の電解液に置換される。また、電解液の置換を間欠的に行うことも可能である。例えば、電解液を所定時間だけ循環させた後、供給バルブおよび回収バルブを閉じて、新たな電解液の拡散が平衡状態となるまで、電解液の回収および供給が停止される。これにより、放電または充電を行いつつ、本体11内の電解液40の交換、または、劣化した電解液と新たな電解液との混合が行われる。もちろん、放電または充電を停止して、本体11内の電解液40の交換が行われてもよい。
亜鉛空気二次電池1の構造は、好ましい一例であって様々に変形されてよい。例えば、ガス拡散電極が用いられる場合に、正極触媒層22がガス拡散電極の内側面に設けられてもよい。亜鉛空気二次電池1では、必ずしも電解液を循環させる必要はない。負極は、コイル形状には限定されず、例えば、管状や平板状であってもよい。さらには、正極が負極の内側に位置してもよく。正極の形状も管状には限定されない。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るペロブスカイト型マンガン酸化物の膜形成方法の流れを示す図である。本実施の形態では、図5の亜鉛空気二次電池1の正極導電層21上に正極触媒層22、または、その一部としてペロブスカイト型マンガン酸化物の膜を形成する手法について述べる。正極導電層21は、セパレータ本体411である多孔質セラミック部材(例えば、アルミナの管状部材)の外周面に、ペロブスカイト型酸化物(例えば、LSCF)の粒子を含むスラリーを塗布し、乾燥および焼成を行うことにより形成される。正極導電層21が、ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜の形成における基材となるため、以下、単に「基材」と呼ぶ。なお、正極導電層21とセパレータ本体411との間には、必要に応じて、酸化セリウム(CeO)を含む薄い反応防止層等が形成されてもよい。
ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜形成におけるステップS21,S22の処理は、図1のステップS11,S12と同様である。すなわち、マンガンを含む化合物および他の金属を含む化合物が溶解または分散した水を含む反応液が生成され(ステップS21)、当該反応液に対して酸素溶解処理が行われる(ステップS22)。
続いて、反応液が反応容器に貯溜され、反応容器内において基材が反応液に浸漬される(ステップS23)。このとき、基材において正極触媒層22の膜を形成する必要がない領域には、適宜マスクが施される。そして、図1のステップS13と同様に、密閉状態の反応容器内にて反応液を加熱することにより水熱処理(水熱合成)が行われる(ステップS24)。これにより、基材上にペロブスカイト型マンガン酸化物の膜が形成される。水熱処理が完了すると、反応容器が開放されて、基材が取り出される。
以上のように、反応容器内において、酸素溶解処理後の反応液に、ペロブスカイト型酸化物の基材を浸漬し、その後、密閉状態の反応容器内にて当該反応液を加熱して水熱処理を行うことにより、ペロブスカイト型マンガン酸化物の膜を基材上に容易に、かつ、効率よく形成することができる。なお、反応容器内において基材が反応液に浸漬された後、水熱処理が開始される前に、反応液に対して酸素溶解処理が行われてもよい。基材上におけるペロブスカイト型マンガン酸化物の膜の形成は、基材におけるペロブスカイト型マンガン酸化物の担持(または成長)と捉えられてもよい。
上記のペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法、および、膜形成方法は様々に変形が可能である。
反応液や水熱合成の条件は、必要に応じて様々に変更されてよい。上記実施例では、アルカリ水溶液を混合した反応液に対して酸素溶解処理が行われるが、アルカリ水溶液と、金属化合物の水溶液との混合前に、一方の水溶液に、酸素溶解処理が行われてもよい。この場合も、実質的に反応液に対する酸素溶解処理と捉えることが可能である。
図1のステップS12および図6のステップS22では、反応液中にて酸素ガスのバブリングを行うことにより、酸素溶解処理を容易に行うことができるが、酸素溶解処理として、他の処理が単独で、または、追加的に行われてもよい。例えば、水熱処理前に反応容器内に高圧の酸素を導入するか、反応液中にて高圧の酸素ガスのバブリングを行うことにより、酸素溶解処理が行われてもよい。
図1のステップS13および図6のステップS24における水熱処理中に、反応液の加熱を停止し、反応液を冷却した後、反応液に対して酸素溶解処理を追加的に行ってもよい。この場合、追加の酸素溶解処理が完了後、反応容器を密閉して、水熱処理が再開される。水熱処理中に追加的な酸素溶解処理を行うことなく、水熱処理を短時間にて完了させる場合には、アルカリ水溶液と混合される金属化合物水溶液の濃度は、0.5M(モル毎リットル)以下であることが好ましい(例えば、0.001M以上)。
また、水熱処理中に、反応液の加熱を停止し、反応容器内に反応液を追加してもよい。これにより、ペロブスカイト型マンガン酸化物の製造量を増大することができる。
ペロブスカイト型マンガン酸化物の粉体や、基材上に形成されたペロブスカイト型マンガン酸化物の膜は、様々な用途に利用することができる。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1 金属空気二次電池
2 正極
3 負極
21 正極導電層
22 正極触媒層
40 電解液
S11〜S14,S21〜S24 ステップ

Claims (6)

  1. ペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、
    a)マンガンを含む化合物および他の金属を含む化合物が溶解または分散した水と、アルカリ水溶液とを混合して、反応液を生成する工程と、
    b)前記反応液に対して酸素溶解処理を行う工程と、
    c)前記b)工程の後に、密閉状態の容器内にて前記反応液を加熱して水熱処理を行う工程と、
    d)前記水熱処理後の前記容器内に生成されたペロブスカイト型マンガン酸化物を取り出す工程と、
    を備えることを特徴とするペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法。
  2. 請求項1に記載のペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、
    前記酸素溶解処理後の前記反応液の溶存酸素濃度が、6mg/L以上であることを特徴とするペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、
    前記酸素溶解処理が、前記反応液中における酸素を含むガスのバブリングを含むことを特徴とするペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、
    前記c)工程において前記水熱処理を開始する際の密閉状態の前記容器における前記反応液の充填率が、80%よりも大きいことを特徴とするペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法であって、
    前記マンガンを含む化合物が、硝酸マンガン、酢酸マンガンまたは塩化マンガンであることを特徴とするペロブスカイト型マンガン酸化物の製造方法。
  6. ペロブスカイト型酸化物の基材にペロブスカイト型マンガン酸化物の膜を形成するペロブスカイト型マンガン酸化物の膜形成方法であって、
    a)マンガンを含む化合物および他の金属を含む化合物が溶解または分散した水と、アルカリ水溶液とを混合して、反応液を生成する工程と、
    b)前記反応液に対して酸素溶解処理を行う工程と、
    c)容器内において前記基材を前記反応液に浸漬する工程と、
    d)前記b)およびc)工程の後に、密閉状態の前記容器内にて前記反応液を加熱して水熱処理を行うことにより、前記基材にペロブスカイト型マンガン酸化物の膜を形成する工程と、
    を備えることを特徴とするペロブスカイト型マンガン酸化物の膜形成方法。
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