JP6346808B2 - 文字入力用キーボード - Google Patents

Description

本発明は、ワードプロセッサー、パーソナルコンピューター等に用いられる文字入力用の物理的キーボード及び、タブレット端末等のタッチパネル画面に表示されて入力に用いられる、ソフトウェア・キーボードに関するものである。

英語圏で一般に用いられるパーソナルコンピューター用キーボードは、５列からなる文字キー列の最下段中央に、一般の文字キー数個分の横幅を持つ大型のスペースキーを備えている。また文字キー列の左右の外縁にシフトキー、コントロールキーが配置され、同時打鍵しようとするキーを操作する手とは異なる手の、小指を伸ばして打鍵する設計となっている（図５）。このようなキーの配列は、かつて普及していた機械式タイプライターの設計を引き継いだものである。

日本国内で使用されている日本語用のＪＩＳ（日本工業規格）かな配列キーボードにおいても、スペースキーは一般に文字キー列の最下段中央に位置し、文字キー２個分ないしそれ以上の横幅を与えられている。シフトキー、コントロールキーの個数と配置も、英語用キーボードの個数と配置に準拠している（図６）。

これに対し、実公昭６１−４２１７６及び特公昭６３−４９２６２において、日本語ワードプロセッサー用キーボードとして、いわゆる「親指シフトキーボード」が提唱された。親指シフトキーボードにおいては、両手の人差指から小指までの各指を、文字入力用キーボードの操作上ホームポジションとされる、文字キー配列中段の８個のキーの上に配したとき、左右の親指が受動的に置かれる位置（以下、親指のホームポジションという）に、それぞれ独立のキーを配し、これら２つのキーと文字キーとを同時打鍵することにより、１個の文字キーで３種類のかな文字を入力することを可能としている。

ＱＷＥＲＴＹ（クウォーティー）配列と呼ばれる、一般的な英語入力用キー配列を備えたキーボードにおいて、各指のホームポジションとは、左手小指がＡのキー、左手薬指がＳのキー、 左手中指がＤのキー、左手人差指がＦのキーのキー、 右手人差指がＪのキー、右手中指がＫのキー、右手薬指がＬのキー、右手小指が;のキーである。平均的な大きさの手を持った日本人男性が人差指から小指までの各指をホームポジションに置いたとき、左親指は概ねＶのキーの手前に位置し、右親指は概ねＮのキーの手前に位置する。すなわち本発明でいう親指のホームポジションとは、ＱＷＥＲＴＹ配列キーボード上の文字キーの名称を用いて表現するなら、左親指についてはＶのキーの下端に接する区域に相当し、右親指についてはＮのキーの下端に接する区域に相当する。

親指シフトキーボードにおいては、左右の親指のホームポジションに置かれたキーは、それぞれが文字キー２個分以上の幅を有している。また日本語入力用の親指シフトキーとは別に、各２個のシフトキー、コントロールキーが、英語用キーボードにおける配置と同様に、文字キー列の左右両端に配置されている（図７）。

１９９０年代以降、日本語入力用機器の主流がワードプロセッサーからパーソナルコンピューターに移行すると、「左右親指のホームポジションに独立のキーを配する」という親指シフトキーボードの特徴を取り入れたパーソナルコンピューター用キーボード配列が、数種類考案された。特許第４８９４０３２において「一般に使用されているＪＩＳかな配列キーボードのスペースキーを中央で分割し、その一方をエンター／リターンキーとする文字入力キーボード」が、また特許第５２０９８１２において「左右に２分割したスペースキーの片方に変換機能を、もう一方に無変換機能を持たせたキーボード」が、考案されている。

しかしながら以上のいずれの発明にも、「親指のホームポジションに置かれたキーの幅を制限することにより、その中間にもキーを置くことを可能とし、かつキー幅の制限により、それら３個のキー及びその左右の２個のキーについて、キーへの目視を伴わないキー操作（以下、タッチタイピングという）を容易にする」という発想は見られない。また「文字入力用キーボードで利用されているシフトキー及びコントロールキーの配置を、他のキーとの同時打鍵が容易となるよう、親指でタッチタイピング可能な位置に変更する」という発想も見られない。

実公昭６１−４２１７６ 特公昭６３−４９２６２ 特許第４８９４０３２ 特許第５２０９８１２

パーソナルコンピューター用キーボードによる入力作業の効率性の観点からは、他のキーとの同時打鍵が操作の基本となるシフトキー、コントロールキーは本来、親指のホームポジションないしそれに隣接する位置に置かれることが望ましい。なぜなら親指が、親指のホームポジションないしそれに隣接する位置でシフトキーあるいはコントロールキーを押していたとしても、それによって人差指から小指までの各指がホームポジションから外れることはなく、シフトキーあるいはコントロールキーとの同時打鍵によって、人差指から小指までの各指の運指が大きな制約を受けることはないからである。

しかしながら、現状では市販のほぼすべてのパーソナルコンピューター用キーボードにおいて、シフトキー、コントロールキーは、左右小指を本来のホームポジションから移動させて打鍵しなければならない位置に配置されている。このような配置をとっている結果、左右両側にシフトキー、コントロールキーを各１個ずつ配置する必要が生じるとともに、シフトキー、コントロールキーと他の指との同時打鍵に困難が伴うこととなり、入力作業の効率の低下を招いている。本発明は、このような不合理なキー配置により、パーソナルコンピューター等の入力作業の効率が低下しているという課題を解決しようとするものである。

本発明では、上の課題を解決するために、既存のパーソナルコンピューターの文字入力用キーボードにおいて必要以上に大きな面積を占めているスペースキーの横幅を、他の文字キーの横幅の１倍から１・５倍の長さに制限し、これを左右いずれかの親指のホームポジションに配置する。これと対になる親指のホームポジションには、同じく他の文字キーの横幅の１倍から１・５倍の横幅を備えたシフトキーを配置する。２つのキーの横幅を制限することによって生じた、左右の親指のホームポジションの間の空間に、コントロールキーを配置する。両親指のホームポジションの外側に隣接する位置にも、それぞれキーを配置する。

上のキー配置により、文字入力用キーボードの両手親指のホームポジション及びその中間と左右外側に位置する合計５個のキーを、目視に頼ることなく親指で容易に操作することが可能となる。

シフトキー、コントロールキーが、ホームポジションを崩すことなく親指で打鍵可能な位置に配置されたことにより、シフトキー、コントロールキーと他のキーを同時に打鍵する際の操作性が向上する。

シフトキー、コントロールキーが親指で打鍵可能な位置に配置されたことにより、既存の文字入力用キーボードで文字キー配列の左右に置かれていたシフトキー、コントロールキーの一部または全部を省略することが可能となり、同じ位置に、通常はより離れた位置に置かれているエスケープ（取消）キー、デリート（削除）キー等の機能キーを配置することで、キーボード全体の操作性が向上する。

親指のホームポジション周辺のキーの数が増えたことにより、マイクロソフト社のＭＳ−ＩＭＥ（登録商標）、グーグル社のＧｏｏｇｌｅ（登録商標）日本語入力、ジャストシステム社のＡＴＯＫ（登録商標）等の日本語インプット・メソッド・エディタを用いて、ホームポジションから遠い位置にありながら日本語入力において多用される方向キー、確定キーなどの機能を、親指のホームポジション周辺に配置されたキーに割り当てることが可能となり、日本語入力作業の効率が向上する。

シフトキーの操作性が向上したことにより、これまで日本語入力の際にあまり利用されていなかった、シフトキーとの同時打鍵による文字キーの利用が容易になり、日本語入力作業の効率が向上する（図３）。

本発明は「親指のホームポジションに独立のキーを置く」という形態的な特徴から、キーリマップソフト（文字キー配列の変更をソフトウェア的に実現するアプリケーション）を用いた、仮想的な親指シフトキーボードの実現にも適している（図４）。

本発明の実施形態を示す平面図である。（実施例１） 本発明の実施形態を示す平面図である。（実施例２） 本発明の実施形態を示す平面図である。（実施例３） 本発明の実施形態を示す平面図である。（実施例４） パーソナルコンピューター用英語キーボードの典型的なキー配置を示す平面図である。 パーソナルコンピューター用日本語キーボードの典型的なキー配置を示す平面図である。 特許出願公告昭６３−４９２６２（親指シフトキーボード）の実施形態を示す平面図である。

図１、図２、図３、図４に、本発明の実施例を示す。いずれの実施例でも、親指のホームポジションの１つにはスペースキー、１つにはシフトキー、２つの親指のホームポジションの間にはコントロールキーが配置されている。本発明において、これら３個のキーの横幅は、文字キーの幅の１倍から１・５倍までを想定している。これら３個のキーの縦方向の長さ、及び親指のホームポジション外側のキーの形状に関しては、本発明の請求の範囲とはしない。

アルファベット、かな、数字の文字キーの配列は、本発明の請求の範囲ではない。機能キーの配列についても、左右親指のホームポジションとその中間の３個のキーに関わらない部分は、本発明の請求の範囲ではない。

図１はパーソナルコンピューター用の日本語キーボードにおける実施例である。左親指のホームポジションにシフトキーを、右親指のホームポジションにスペースキーを、その中間にコントロールキーを置き、既存のキーボードにおいて文字キー列の左右外縁に置かれるコントロールキー２個及び左外縁に置かれるシフトキー１個を省略した例となっている。左親指のホームポジションの外側に隣接するキーは無変換キー、右親指のホームポジションの外側に隣接するキーは変換キーとなっている。左右親指のホームポジション及びその中間に位置する３個のキーの幅は、文字キーの幅の１倍程度となっている。

図２はパーソナルコンピューター用の英語キーボードにおける実施例である。右親指のホームポジションにシフトキーを、左親指のホームポジションにスペースキーを、その中間にコントロールキーを置き、既存のキーボードにおいて文字キー列の左右外縁に置かれるコントロールキー２個及び右外縁に置かれるシフトキー１個を省略した例となっている。左親指のホームポジションの外側に隣接するキーはアルトキー、右親指のホームポジションの外側に隣接するキーはメニューキーとなっている。左右親指のホームポジション及びその中間に位置する３個のキーの幅は、文字キーの幅の１・３倍程度となっている。

図３はパーソナルコンピューター用の日本語キーボードにおいて本発明を実施した上で、インターネット上で有償もしくは無償にて提供されているキーリマップソフトを利用し、日本語入力の効率を向上させた例である。各キー内の下段にそのキーの単独打鍵によって入力される文字及び記号が、各キー内の上段にシフトキーとの同時打鍵によって入力される文字及び記号が図示されている。日本語入力を、一般的なＱＷＥＲＴＹ配列を備えたキーボードを用いてローマ字入力によって行う場合、数字や長音記号、カギカッコの入力は、文字キー列最上段に置かれたキーを使用するため、打鍵に困難が伴う。実施例３ではキーリマップソフトの機能を用いて、シフトキーと文字キーの同時打鍵によって入力される文字及び記号を定義することにより、数字、長音記号、カギカッコ等を容易に入力できる設定となっている。

図４は、パーソナルコンピューター用の日本語キーボードにおいて本発明を実施した上で、キーリマップソフトを用いて文字キーの配列を変更し、仮想的な親指シフトキーボードを実現した例である。各キー内の上段中央にそのキーの単独打鍵によって入力される文字及び記号が、各キー内の下段左側に左親指のホームポジション上にあるシフトキーとの同時打鍵によって入力される文字及び記号が、各キー内の下段右側に右親指のホームポジション上にあるスペースキーとの同時打鍵によって入力される文字及び記号が、それぞれ図示されている。文字及び記号の配列は、本発明の発明者の考案によるものである。

本発明実施によって製造される文字入力用キーボードは、既存のパーソナルコンピューター用キーボードを使用した経験があれば、いかなる練習も学習も必要とすることなく、直ちにその利便性を享受できる種類のものである。本発明は物理的キーボードに適用できるのみならず、タッチパネルを備えたタブレット型コンピューター等で入力に用いられる、ソフトウェア・キーボードにも適用可能である。本発明は日本語入力作業の効率を向上させるだけでなく、使用言語に関わりなく、すべてのパーソナルコンピューター用キーボードの操作性を向上させるものであり、産業上の利用可能性はきわめて高い。

Claims (1)

1. 演算装置を備えた電子機器への文字信号入力に用いられる、スペースキー、シフトキー、コントロールキーを備えた物理的キーボードおよび、タッチパネル画面上に表示され、演算装置を備えた電子機器への文字信号入力に用いられる、スペースキー、シフトキー、コントロールキーを備えたソフトウェア・キーボードにおいて、左右の人差指、中指、薬指、小指の８指を、文字入力用キーボードの操作上ホームポジションと通称される、文字キー配列中段の８個のキーの上に置いたとき、左右の親指が受動的に位置する地点をそれぞれの親指のホームポジションと規定し、左右親指のホームポジション２地点、及びその中間の計３地点に、横幅が他の文字キーの横幅の１倍から１・５倍のキーを配置し、両手親指のホームポジションの１つにシフトキー、１つにスペースキー、２つの親指のホームポジションの中間に１つのコントロールキーを配置した、文字入力用キーボード。

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