以下、図面を参照して、本発明による各実施形態の日射遮蔽装置を説明する。尚、本願明細書中、図1に示す日射遮蔽装置(プリーツスクリーン)の正面図に対して、図示上方及び図示下方を遮蔽材(本例では、スクリーン)の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向をプリーツスクリーンの左側、及び、図示右方向をプリーツスクリーンの右側と定義して説明する。図1の正面図を視認する側を前側とし、日射遮蔽装置(プリーツスクリーン)の前後方向と称するときは、図1の正面図における図示面に対して垂直な方向を云う。
〔第1実施形態〕
(日射遮蔽装置の全体構成)
図1は、本発明による第1実施形態の日射遮蔽装置の概略構成を示す正面図である。図2は、本発明による第1実施形態の日射遮蔽装置の概略構成を示す側面図である。
図1及び図2に示すプリーツスクリーンは、上下方向にジクザグ状に折り曲げ可能としたスクリーンをヘッドボックス1から吊下支持し、そのスクリーンを操作装置3により昇降して採光量を適宜に調節するものである。ヘッドボックス1は、取付ブラケット2を介して取付面に固定される。
本例のプリーツスクリーンでは、スクリーンを異なる生地の上部スクリーン11Uと下部スクリーン11Lとで構成し、上部スクリーン11Uの下端縁と下部スクリーン11Lの上端縁を中間レール7に取着し、中間レール7とボトムレール8をそれぞれ独立した昇降コード15,16で吊下支持している。
スクリーン11U,11Lの各々は、折り目11aを設けた生地の上下両端縁に接合片11bをそれぞれ設け、その接合片11bを他の生地の接合片11bに溶着等の手段により接合して形成されている。
そして、スクリーン11Uの当該接合片に対しては、ヘッドボックス1から垂下される昇降コード15,16が挿通され、昇降コード15の下端は中間レール7に取着される。スクリーン11Lの当該接合片に対しては、昇降コード16が挿通され、昇降コード16の下端はボトムレール8に取着される。
したがって、ボトムレール8を昇降することによりスクリーン11U,11Lを下方へ引き延ばし、或いはスクリーン11U,11Lを上方へ畳み込み可能である。
昇降コード15,16は、例えばヘッドボックス1内でその一側に案内され、そのヘッドボックス1の一端部から操作コード9に接続されている。そして、操作コード9は、例えば無端状のボールチェーンで構成され、操作装置3内にて回転可能に収容されるプーリー10に巻き掛けられる。プーリー10の外周面には、操作コード9のボールチェーンのボール部が嵌まり込む複数の凹部が形成されている。
そして、プーリー10には、複数のギヤからなる伝達ギヤがヘッドボックス1内で連結され、この伝達ギヤが各伝達クラッチに連結されている(図示せず)。したがって、この伝達ギヤによってプーリー10の回転が各伝達クラッチを介して回転駆動軸に伝達されるようになっている。
巻取軸5は、上部スクリーン11U,11Lの各々に対して個別に設けられ、ヘッドボックス1内で並列に配置されている。また、上部スクリーン11U,11Lの各々の巻取軸5も2軸で構成されている。そして、上部スクリーン11Uの回転駆動軸の回転によって、ヘッドボックス1内で回転可能に支持された巻取軸5が回転し、巻取軸5の回転による昇降コード15の巻取り及び巻戻しによって上部スクリーン11Uが昇降される。同様に、下部スクリーン11L用の回転駆動軸の回転によって、ヘッドボックス1内で回転可能に支持された巻取軸5が回転し、巻取軸5の回転による昇降コード16の巻取り及び巻戻しによってスクリーン11Lが昇降される。
左右に配置される各巻取軸5の間には、それぞれ回転駆動軸の回転を制御するストッパー装置4が配置され、ストッパー装置4は、ボトムレール8の引き上げ操作の後に操作コード9 を手放したとき、中間レール7やボトムレール8の自重降下を防止するよう機能する。
また、ストッパー装置4の側方において、上部スクリーン11U及び下部スクリーン11L用のそれぞれの回転駆動軸が、それぞれのガバナー装置6に挿通されている。ガバナー装置6は、回転駆動軸の回転速度を所定値以下に抑制して、中間レール7やボトムレール8の自重降下時の下降速度を所定速度以下に抑制する機能を有する。
このようなプリーツスクリーンでは、中間レール7とボトムレール8とをそれぞれ別個に昇降可能である。そして、中間レール7を上限まで引き上げ、ボトムレール8を下限まで下降させると、例えば遮光性の高い下部スクリーン11Lで外光を遮断することができる。中間レール7及びボトムレール8を下限まで下降させると、例えば透光性のある上部スクリーン11Uで外光を一部採り入れ可能とすることができる。
ボトムレール8を下限まで下降させ、中間レール7を中間位置まで引き上げれば、窓の上部のみから外光を一部採り入れることもできる。また、中間レール7及びボトムレール8を上限まで引き上げると、開放状態となって外光を採り入れることができる。
尚、昇降コード15,16の後方、即ち室外側において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード17が垂下され、中間レール7に取着される。このピッチ保持コード17に等間隔に多数設けられた環状の支持コード17aには、昇降コード15,16が挿通されている。そして、中間レール7を下降させて上部スクリーン11Uを引き伸ばすとき、上部スクリーン11Uの当該接合片が支持コードに支持されて、上部スクリーン11Uの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
図2に示すように、昇降コード15の吊下位置とは異なる位置でヘッドボックス1から昇降コード16が吊下支持され、この昇降コード16は上部スクリーン11Lの当該接合片11bに設けられた挿通孔に挿通され、中間レール7に挿通され、且つ下部スクリーン11Lの当該接合片11bに設けられた挿通孔に挿通される。そして、昇降コード16の下端にボトムレール8が吊下支持されている。
また、昇降コード16の後方、即ち室外側において、中間レール7から垂下されるピッチ保持コード17が、ボトムレール8に取着されている。このピッチ保持コード17に等間隔に多数設けられた環状の支持コード17bには、昇降コード16が挿通されている。そして、ボトムレール8を下降させて下部スクリーン11Lを引き伸ばすとき、この接合片が支持コードに支持されて、下部スクリーン11Lの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
このように、ボトムレール8には、昇降コード16及びピッチ保持コード17が取着され、その内部には、上部スクリーン11Uや下部スクリーン11Lの降下性能に係わるウェイト18が設けられる。
(実施例1の調整装置)
次に、ボトムレール8の下限位置を調整可能とする本発明による実施例1の調整装置20について具体的に説明する。図3は、本実施形態の日射遮蔽装置(プリーツスクリーン)における実施例1の調整装置20の斜視図である。本実施形態に係る調整装置20は、ボトムレール8の下限位置を調整可能とするために、ヘッドボックス1から垂下される昇降コード16を係止するコード保持部材21と、回転操作によって当該コード保持部材21に係止される昇降コード16の長さを調整可能とする回転部材22とを備えている。
ボトムレール8には調整装置20を挿入用に予め定められた挿入部8aが設けられ、調整装置20は、ボトムレール8の挿入部8aへと挿入される。また、図4及び図5を参照して後述するが、本例では、昇降コード16の長さを調整する際の回転部材22の回転操作部71は、ボトムレール8の上部側に設けられる。より具体的には、回転部材22の回転操作部71は、ボトムレール8に昇降コード16を挿通する側に設けられた、ボトムレール8の長尺方向の全体に渡ってスリット状に設けられた開口部8b(図3参照)を経て、コード長さを調整可能とする位置に設けられている。
図4(a),(b),(c),(d),(e),(f)は本発明による第1実施形態の日射遮蔽装置における実施例1の調整装置20を構成するコード保持部材21を示す図である。図4(a)は、コード保持部材21の斜視図であり、図4(b),(d)は、それぞれ上面図及び下面図である。図4(c),(e),(f)は、それぞれC-C’断面図、B-B’断面図、及びA-A’断面図である。また、図5(a),(b),(c),(d)は本発明による第1実施形態の日射遮蔽装置における実施例1の調整装置20を構成する回転部材22を示す図である。図5(a)は、回転部材22の斜視図であり、図5(b),(c),(d)は、それぞれ上面図、コード長さ未調整時における側面図及び正面図である。
まず、図4を参照して、コード保持部材21について説明する。コード保持部材21は、略コの字形状の断面形状で形成され、その上面において(図4(b)参照)、ボトムレール8の上面に設けられた開口部8bを経て、昇降コード16を挿通するための挿通孔51と、ピッチ保持コード17を挿通するための挿通孔52と、コード長さを調整可能とするための回転操作用孔56とが設けられている。また、その下面において(図4(d)参照)、回転操作用孔56を中心軸とした回転部材受部54が形成されており、この回転部材受部54に回転部材22が配置される。
そして、挿通孔51を介して挿通された昇降コード16は、回転部材受部54に配置される回転部材22を介するA-A’方向に転向され、回転部材受部54に設けられるコード導入路54cを経て、二股状の第1コード保持部55に挟み込まれる。第1コード保持部55に挟みこまれた昇降コード16の端部は結び目が形成されて、一定長以上、長くならないように係止される。
また、挿通孔52を介して挿通されたピッチ保持コード17は、昇降コード16とは反対のA-A’方向に転向され、二股状の第2コード保持部53に挟み込まれる。第2コード保持部53に挟みこまれたピッチ保持コード17の端部は結び目が形成されて、一定長以上、長くならないように係止される。
回転部材22を配置する回転部材受部54の壁面には、複数個所に凹部54bが設けられ(本例では、昇降コード16が通るコード導入路54cを除き、4か所)、このコード導入路54cを対象に(即ち、A-A’を対象軸に)、2箇所の凹部54bの間に突起部54aが設けられている。このような突起部54a及び凹部54bは、回転部材22の操作側フランジ部72の凸部72aと係合して、コード長さの調整と、調整後の状態保持とを実現するようになっている(詳細は後述する)。
まず、図5を参照して、回転部材22について説明する。回転部材22は、回転操作部71と、操作側フランジ部72と、コード巻取部73と、支持側フランジ部74とが一体となって形成されている。
回転操作部71は、二股状に突出した形状を有し、上面から見て、略直線状の操作溝76が形成されている。この操作溝76により、操作者がマイナスドライバー等を用いて回転操作を行なうことができるようになっている。尚、略直線状とする以外に、プラス形状、六角形状など他の形状としてもよい。
操作側フランジ部72は、複数個所に凸部72aが設けられ(本例では、6か所)、この凸部72aを、それぞれ回転部材受部54の壁面の複数個所に形成されている凹部54b及び昇降コード16が通るコード導入路54cに係合させて、回転部材22をコード保持部材21の回転部材受部54に配置することが可能となっている。
コード巻取部73は、昇降コード16を導入する導入溝75が設けられ、回転部材22をコード保持部材21の回転部材受部54に配置した後、挿通孔51を介して挿通された昇降コード16を、回転部材22を介して後、二股状の第1コード保持部55に挟み込むことができるようになっている。
支持側フランジ部74は、昇降コード16をコード巻取部73の導入溝75へと導入させるための開口部を有し、その底面は、略平坦な形状となっている。支持側フランジ部74は、操作側フランジ部72とともに、コード巻取部73によって巻き取られる昇降コード16の横ずれを防止する機能と、その略平坦な形状の底面でボトムレール8へと設置後の状態を安定化させる機能を有する。
次に、図6を参照して、実施例1の調整装置20による調整方法について説明する。図6(a)は実施例1の調整装置20による調整方法を示す説明図であり、図6(b)は、その比較例を示す説明図である。
まず、図6(a)を参照するに、本発明の理解を高めるために、長さ調整の対象とする昇降コード16について図示して説明するが、実施例1の調整装置20では、ボトムレール8へと設置する前に、まず、昇降コード16をコード保持部材21の挿通孔51を介して挿通させ、続いて、回転部材受部54に設けられるコード導入路54cと合致する方向に、回転部材受部54に配置される回転部材22の導入溝75の向きを合わせて、回転部材22をコード保持部材21に配置する。続いて、挿通孔51を介して挿通された昇降コード16を回転部材22の導入溝75を介して、二股状の第1コード保持部55に挟み込み、昇降コード16の端部に結び目を形成する。この状態を仮組みと称することとするが、この仮組み状態で、ボトムレール8の側部から、調整装置20をボトムレール8へとスライドさせて挿入する。このように仮組み状態でボトムレール8へと挿入された調整装置20は、ボトムレール8の調整装置20用の挿入部8aの底面が、コード保持部材21に対する回転部材22の抜け止めとなる。このため、コード保持部材21や回転部材22に対して、抜け止め用の爪部等の嵌合手段を設ける必要が無くなり、小型化が可能となる。
即ち、図6(b)に示す比較例を参照するに、これは特許文献2の技法に基づくものであるが、この場合の調整装置520として、コード保持部材21に相当する保持部材522と、回転部材22に相当する回転部材521から構成される。回転部材521は、横型ボトムレール8の底面側から設置するよう構成されているため、保持部材522に対して確実に保持できる爪部521aが必要となり、調整装置520の全体の大きさ(特に、高さ)が大きくなる。調整装置全体のサイズの大型化は、ボトムレール8が大型化して意匠性を損ねる問題が生じるおそれ、或いはボトムレール8内に設置されるウェイト18の設置空間を制限してしまい、遮蔽材の下降不良等の問題を生じさせうるため好ましくない。即ち、調整装置全体のサイズの小型化は、日射遮蔽装置の性能を向上させる上で重要な要素である点に留意する。
再び、図6(a)を参照して、実施例1の調整装置20の調整方法について説明する。前述したように、実施例1の調整装置20は、回転部材22の操作側フランジ部72は、複数個所に凸部72aが設けられ(本例では、6か所)、この凸部72aを、それぞれ回転部材受部54の壁面の複数個所に形成されている凹部54b及び昇降コード16が通るコード導入路54cに係合させて、回転部材22をコード保持部材21の回転部材受部54に配置することが可能となっている。
そして、ボトムレール8内に設置された調整装置20は、ボトムレール8の開口部8bを経て、マイナスドライバー等で回転操作部71の操作溝76を利用して、回転部材22を回転させることができる。凸部72aは、回転部材受部54の凹部54bと係合しているため、回転部材22を回転させると、係合していた凸部72aと凹部54bが外れ、隣の凸部72aと凹部54bに係合が移動する。これにより、操作者にとって「クリック感」が得られる。また、クリック感の回数によって、その程度(何回)回転させたかが分かるようになっている。回転部材22は、日射遮蔽装置に対して、少なくとも2か所以上設けられるとすると、回転させた量を操作者が把握することが重要となる。そして、係合していた凸部72aと凹部54bが外れ、隣の凸部72aと凹部54bに係合が移動すると、昇降コード16がその回転量に相当する長さで、回転部材22のコード巻取部73に巻き取られるため、コード長さの調整が容易に可能となる。更に、凸部72aと凹部54bが係合した状態では、凹部54bの間に設けられた突起部54aにより、コード長さの調整後の状態が保持される。したがって、このような回転部材受部54の突起部54a及び凹部54bは、回転部材22の操作側フランジ部72の凸部72aと所定の回転角度毎に係合して、コード長さの調整と、調整後の状態保持とを実現可能としている。
以上のように、本実施例の調整装置20によれば、その大型化を避けることができ、本実施例の調整装置20を備える日射遮蔽装置の性能を向上させることが可能となる。
(実施例2の調整装置)
次に、図7乃至図9を参照して、第1実施形態の日射遮蔽装置において、ボトムレール8の下限位置を調整可能とする本発明による実施例2の調整装置20について具体的に説明する。図7(a),(b),(c),(d),(e),(f)は実施例2の調整装置20を構成するコード保持部材21を示す図である。図8(a),(b),(c),(d)は実施例2の調整装置20を構成する回転部材22を示す図である。図9は、実施例2の調整装置20の説明図である。尚、実施例1と同様な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付している。
前述した実施例1の調整装置20は、回転部材22自体で、昇降コード16を“巻き取る”ことにより、コード長さを調整する例を説明したが、実施例2の調整装置20は、回転部材22の回転に伴い、昇降コード16をコード保持部材21の一部(本例では、回転部材受部54の外壁)に“巻き付ける”ことにより、コード長さを調整する例である。
まず、図7を参照して、実施例2の調整装置20におけるコード保持部材21について説明する。実施例2のコード保持部材21は、実施例1とは相違して、回転部材受部54がその外壁で昇降コード16が巻き付けられるよう、曲面形状で立直した外壁部57を有している。尚、本例において、曲面形状で立直した外壁部57は、昇降コード16の巻き取りに適合させるべく中央を凹ませてもよいし、略円筒状に形成してもよい。また、同図において、回転部材受部54の外壁部57を、略円筒状にしつつも、実施例1のような昇降コード16が通るコード導入路54cをA-A’方向に設けているのは、コード長さの調整を要しない用途にも(即ち、回転部材22を不要とする用途にも)、共通のコード保持部材21を利用可能とするためであり、コード長さの調整を必須とする用途であれば、実施例1のような昇降コード16が通るコード導入路54cをA-A’方向に設けず、略円筒状に形成してもよい。つまり、実施例2のコード保持部材21は、回転部材受部54が外壁部57を有する以外の構造は、実施例1と同様とすることができる。
次に、図8を参照して、実施例2の調整装置20における回転部材22について説明する。実施例2の回転部材22は、回転操作部71と、操作側フランジ部72と、支持部73aと、支持側フランジ部74aとが一体となって形成されている。
回転操作部71及び操作側フランジ部72は、実施例1と同様の形状を有する。
支持部73aは、操作側フランジ部72と支持側フランジ部74aとを一体化させるためのものであり、任意の形状とすることができる。
支持側フランジ部74aは、実施例1よりも拡径した形状で構成され、その上面の一部には、昇降コード16を挿通して、コード保持部材21の一部(本例では、回転部材受部54の外壁)に巻き付け可能とする巻付部77が設けられている。そして、巻付部77と支持部73aとの間に、コード保持部材21における回転部材受部54の外壁部57が挿入され、回転部材22がコード保持部材21に配置可能となっている。また、支持側フランジ部74aの底面は、実施例1と同様に、略平坦な形状となっている。
次に、図9を参照して、実施例2の調整装置20の調整方法について説明する。図9は、実施例2の調整装置20による調整方法の説明図である。
図9を参照するに、実施例2の調整装置20は、回転操作部71の回転操作に伴って、回転部材22が回転すると、支持側フランジ部74aも一体となって回転し、併せて巻付部77による回転部材受部54の外壁への巻き付けが行われる。これにより、コード長さを調整することができる。
尚、実施例2の調整装置20においても、実施例1と同様に、仮組み状態で、ボトムレール8の側部から、調整装置20をボトムレール8へとスライドさせて挿入する。このように仮組み状態でボトムレール8へと挿入された調整装置20は、ボトムレール8の挿入部8aの底面が、コード保持部材21に対する回転部材22の抜け止めとなる。このため、コード保持部材21や回転部材22に対して、抜け止め用の爪部等の嵌合手段を設ける必要が無くなり、小型化が可能となる。
また、実施例2の調整装置20においても、回転部材22の操作側フランジ部72は、複数個所に凸部72aが設けられ(本例では、6か所)、この凸部72aを、それぞれ回転部材受部54の壁面の複数個所に形成されている凹部54b及び昇降コード16が通るコード導入路54cに係合させて、回転部材22をコード保持部材21の回転部材受部54に配置することが可能となっている。
そして、ボトムレール8内に設置された調整装置20は、ボトムレール8の開口部8bを経て、マイナスドライバー等で回転操作部71の操作溝76を利用して、回転部材22を回転させることができる。これにより、実施例1と同様に、操作者にとって「クリック感」が得られる。
以上のように、本実施例の調整装置20によれば、その大型化を避けることができ、本実施例の調整装置20を備える日射遮蔽装置の性能を向上させることが可能となる。
(実施例3の調整装置)
次に、図10を参照して、第1実施形態の日射遮蔽装置において、実施例3の調整装置20について具体的に説明する。図10は、実施例3の調整装置20の説明図である。尚、実施例1と同様な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付している。
前述した実施例1の調整装置20では、回転部材22自体で、昇降コード16を“巻き取る”ことにより、コード長さを調整する例を説明し、前述した実施例2の調整装置20では、回転部材22の回転に伴い、昇降コード16をコード保持部材21の一部(本例では、回転部材受部54の外壁)に“巻き付ける”ことにより、コード長さを調整する例を説明した。実施例3の調整装置20は、“回転搬送”によりコード長さを調整する例である。
実施例3の調整装置20は、回転部材22を、コード保持部材21の基部に回転可能に取着された第1及び第2回転搬送部731,741で構成する。昇降コード16は、第1及び第2回転搬送部731,741間にて搬送可能に挿通される。第1及び第2回転搬送部731,741の各表面形状731a,741aは、回転によって昇降コード11を搬送可能なものであれば特に限定されず、平ギヤやローラーである。尚、昇降コード16を第1及び第2回転搬送部731,732の間に導く形態は特に限定されず、様々な態様が想定されることは勿論である。
尚、実施例3の調整装置20においても、実施例1と同様に、仮組み状態で、調整装置20をボトムレール8へと、ボトムレール8の側部からスライドさせて挿入する。このように仮組み状態でボトムレール8へと挿入された調整装置20は、ボトムレール8の調整装置20用の挿入部8aの底面が、コード保持部材21に対する回転部材22の抜け止めとなる。このため、コード保持部材21や第1及び第2回転搬送部731,741に対して、抜け止め用の爪部等の嵌合手段を設ける必要が無くなり、小型化が可能となる。
また、実施例3の調整装置20においても、第1回転搬送部731の操作側フランジ部には、実施例1,2の凸部72aに相当する凸部721が設けられる。この凸部721を、実施例1,2の凸部72aと同様に機能させることができる。そして、ボトムレール8内に設置された調整装置20は、ボトムレール8の開口部8bを経て、マイナスドライバー等で、実施例1,2の回転操作部71に相当する回転操作部711を利用して、第1回転搬送部731を回転させることができる。これにより、実施例1,2と同様に、操作者にとって「クリック感」が得られる。
次に、図11を参照して、実施例1の調整装置20の更なる変形例を説明する。実施例1の調整装置20は、昇降コード16を“巻き取る”ことによりコード長さを調整するよう構成され、様々な変形例が想定される。例えば、図11(a)に示すように、コード巻取部73の外周面上に、その外周面から突出した巻付部77aを設け、この巻付部77aに昇降コード16を挿通する。これにより、昇降コード16を“巻き取る”ことでコード長さを調整可能となる。また、図11(b)に示すように、コード巻取部73の外周面上に、昇降コード16を挿通可能に穿設した巻付部77bを設け、この巻付部77bに昇降コード16を挿通する。これにより、昇降コード16を“巻き取る”ことでコード長さを調整可能となる。また、図11(c)に示すように、回転部材22の回転軸上に昇降コード16を挿通させ、コード巻取部73の外周面上の一部に設けた貫通孔よりなる巻付部77cを介して、昇降コード16をコード巻取部73の内側から外側へと挿通する。この場合にコード長さを調整するには、昇降コード16を破線で示す図示Aのように弛みを持たせて、回転操作部71から突き出る昇降コード16を避けつつ回転操作部71を回転操作して昇降コード16を“巻き取る”ことでコード長さを調整可能となる。尚、図11において、コード巻取部73を、図5に示すような窪んだ形状となるような断面径で形成することや、複数の断面径で巻き取りを誘導するよう形成することも可能である。また、図12に示すように、操作溝76と導入溝75とを一連の溝形態とすることができる。この場合、操作溝76と導入溝75の溝幅やその形状は同じでもよいし異なるものとしてもよいが、例えば、図12に示すように 、操作溝76と導入溝75に関する溝幅を異なるものとした場合(例えば、図12で図示する操作溝76と導入溝75に関する溝幅d1,d2(d2>d1))、回転操作時に、マイナスドライバー等の先端が入りにくいようにして、昇降コード11を痛めるおそれを防止させることができる。
以上のように、各実施例の調整装置20によれば、その大型化を避けることができ、本実施例の調整装置20を備える日射遮蔽装置の性能を向上させることが可能となる。
〔第2実施形態〕
次に、図13及び図14を参照して、本発明による第2実施形態の日射遮蔽装置(たくし上げカーテン)について説明する。図13は、本発明による第2実施形態の日射遮蔽装置の概略構成を示す正面図である。図14は、本発明による第2実施形態の日射遮蔽装置の概略構成を示す側面図である。
図13及び図14に示す、たくし上げカーテンは、ヘッドボックス101の前面から生地102が吊下支持されている。生地102の上端は、例えば面ファスナーでヘッドボックス101の前面に取着されている。
生地102には、複数本の棒状のサポート部材103が水平方向に等間隔に挿通されて生地102の平面性が確保されている。また、生地102の下端部には、ボトムレール104が挿通されている。
ヘッドボックス101から複数本の昇降コード105が垂下されるとともに、その昇降コード105の上端部はヘッドボックス101内に回転可能に支持された巻取軸106に巻着されている。
巻取軸106には駆動軸107が相対回転不能に挿通されている。そして、駆動軸107を介して巻取軸106が回転されると、昇降コード105が巻取軸106に巻き取られ、或いは巻取軸106から巻戻される。
ヘッドボックス101の一端にはギヤボックス108が取着されるとともに、そのギヤボックス108の出力軸に前記駆動軸7の端部が嵌着されている。また、ギヤボックス108の入力軸にはプーリー109が嵌着され、そのプーリー109に操作コード110が掛装されている。
そして、操作コード110を操作してプーリー109を回転させることにより、ギヤボックス108及び駆動軸107を介して巻取軸106が回転されるようになっている。昇降コード105の垂下位置において、生地102の背面には複数のガイド部材112が上下方向に等間隔に縫着されている。ヘッドボックス101から垂下される昇降コード105はガイド部材112に挿通されるとともに、その昇降コード105の下端にはコードキャッチ111が取着されている。そして、コードキャッチ111が生地102の下端部に取着された取付リング121に取着されている。
従って、昇降コード105が巻取軸106に巻き取られると、コードキャッチ111が引き上げられてコードキャッチ111のフック部より下方に吊下支持される生地102及びボトムレール104が引き上げられるとともに、コードキャッチ111のコード受け部でガイド部材112が順次押し上げられて、生地102が順次たくし上げられる。また、昇降コード105が巻取軸106から巻戻されると、生地102の下端部が下降して、たくし上げられた生地102がヘッドボックス101から吊下支持される状態に復帰する。
このように構成された第2実施形態の日射遮蔽装置(たくし上げカーテン)においても、コードキャッチ111内に、前述した第1実施形態の日射遮蔽装置における各実施例の調整装置20を適用することができる。この場合、昇降コード105は、調整装置20を構成するコード保持部材21において、例えば、図7(d)のA-A’方向に沿って挿通され、回転部材22を介して、回転部材受部54に設けられるコード導入路54cを経て、二股状の第1コード保持部55に挟み込み、仮組み状態とする。
そして、この仮組み状態で、調整装置20をコードキャッチ111へと挿入する。このように仮組み状態でコードキャッチ111へと挿入された調整装置20は、コードキャッチ111の調整装置20用の挿入部の面が、コード保持部材21に対する回転部材22の抜け止めとなる。このため、コード保持部材21や回転部材22に対して、抜け止め用の爪部等の嵌合手段を設ける必要が無くなり、小型化が可能となる。
そして、コードキャッチ111にて、マイナスドライバー等で回転操作部71の操作溝76を利用可能な操作孔を設けておくことにより、回転部材22を回転させることができる。
以上のように、第2実施形態の日射遮蔽装置(たくし上げカーテン)においても、第1実施形態で説明した各実施例の調整装置20を適用することができ、その大型化を避けることができ、本実施例の調整装置20を備える日射遮蔽装置の性能を向上させることが可能となる。
したがって、本発明に係る日射遮蔽装置によれば、コード長さを調整する調整装置の大型化を避けることができ、このような調整装置を備える日射遮蔽装置の性能を向上させることが可能となる。
また、従来型の調整装置では、既存の縦型ボトムレールに適用する際にはボトムレールの許容されるスペースが小さく設置が困難であり、仮に設置できるスペースがあったとしても、内部に設置されるウェイト等の部品の存在で穴加工ができないため、実質的に設置が困難であったが、本発明に係る日射遮蔽装置によれば、既存の縦型ボトムレールに既に設けられている開口部を利用することができるので穴加工も不要となり、設置に関する問題が生じない。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述の各実施形態では、特定の形態のボトムレール8やコードキャッチ111について説明したが、調整装置20を挿入する面が抜け止めとして機能する形態であれば、任意の形態とすることができる。
また、ボトムレール8の開口部8bとして、長尺な例を説明したが、1以上の丸孔又は長孔とすることができる。
また、調整装置20に関して、略コの字状のコード保持部材21を例に説明したが、円筒状などの他の形状とすることができる。
また、上述の実施形態に関して、調整装置20を挿入する対象として、ボトムレール及びコードキャッチを例に説明したが、調整装置20によりコード長さの調整を要する用途であれば、任意の枠体に適用できる。ただし、この枠体は、長さ調整の対象とするコードを挿通可能に開口した内部空間を有するコード保持部材21と、コード保持部材21に対して配置される、当該長さ調整用の回転操作部71を有する回転部材22とを備える調整装置20としたとき、回転部材22が当該調整装置20を設置する枠体の面で支持されることにより、コード保持部材21に対する回転部材22の配置が抜け止めされるよう構成されているものとする。
尚、操作溝76の形状は、“−”に限らず、“+”や“六角”でもよい旨を説明したが、“−”とした場合には、操作溝76と導入溝75が同一方向に位置しているように回転部材22を形成するのが好適である。これにより、操作者が、どれぐらいの回転量が加わっているかを視認することが可能となる。また、図12に示すような、操作溝76と導入溝75とを一連の溝形態とする場合、操作溝76と導入溝75の溝幅やその形状は同じでもよいし異なるものとしてもよいが、回転操作時に、昇降コード11を痛めるおそれを軽減させることが可能な形態であれば任意の形状とすることができる。
また、各実施例として、“巻き取り”、“巻き付け”、或いは“回転搬送”によりコード長さを調整する形態として、特定の形状を例に説明したが、これらの“巻き取り”、“巻き付け”、或いは“回転搬送”によりコード長さを調整するための他の形状を有するように構成することができることは勿論である。