JP6344733B2 - ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの駆動力によって駆動輪を回転駆動させて自走する自走式車両に搭載されるブレーキ装置に関する。
従来から、ゴルフ場内を走行するゴルフカートや不整地でも走行することができる四輪バギー車などの自走式車両においては、エンジンの駆動力によって回転駆動する駆動輪を制動するためのブレーキ装置およびエンジンの回転数を減速して駆動輪に伝達する減速機をそれぞれ備えている。例えば、下記特許文献1には、エンジンの駆動力によって回転駆動する車軸と駆動輪が連結された駆動車軸との間にブレーキ装置および減速機を備えた四輪バギー車が開示されている。
特開平11−29013号公報
しかしながら、上記特許文献1に示されたブレーキ装置においては、ブレーキ装置と減速機とが一体的に組み付けられて潤滑油が両者に共用されているため、潤滑油およびこの潤滑油が接触する回転摩擦板および固定摩擦板が過熱状態とならないように常に効果的に冷却されることが求められる。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、潤滑油および潤滑油が接触する回転摩擦板や固定摩擦板を効果的に冷却することができるブレーキ装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、エンジンの駆動力によって駆動輪を回転駆動させて自走する自走式車両のブレーキ装置であって、エンジンの駆動力によって回転駆動する入力軸と、入力軸と一体的に回転駆動する回転摩擦板と、入力軸の軸線方向に摺動可能かつ回転摩擦板に対して回転不能な状態で対向配置される固定摩擦板と、回転摩擦板または固定摩擦板を押圧して回転摩擦板と固定摩擦板とを互いに密着させる押圧体と、入力軸、回転摩擦板、固定摩擦板および押圧体を潤滑油とともに収容するハウジングと、ハウジング内に形成されて押圧体によって押圧される回転摩擦板または固定摩擦板を受け止める受圧部と、入力軸の回転駆動を減速して駆動輪に伝達する減速機とを備え、ハウジングおよび減速機は、潤滑油を循環させるための循環流路をそれぞれ有し、受圧部は、入力軸の周囲に放射状に形成されるとともにこれらの各受圧部間にハウジングの外表面に面した凹状の補助冷却部が形成されており、押圧体は、回転摩擦板および固定摩擦板に対して自走式車両の前進方向後ろ側に配置されていることにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、エンジンの駆動力によって駆動輪を回転駆動させて自走する自走式車両のブレーキ装置であって、エンジンの駆動力によって回転駆動する入力軸と、入力軸と一体的に回転駆動する回転摩擦板と、入力軸の軸線方向に摺動可能かつ回転摩擦板に対して回転不能な状態で対向配置される固定摩擦板と、回転摩擦板または固定摩擦板を押圧して回転摩擦板と固定摩擦板とを互いに密着させる押圧体と、入力軸とともに回転駆動する駆動側歯車および駆動側歯車と噛み合う従動側歯車に連結されて回転駆動する駆動車軸をそれぞれ有して、入力軸の回転駆動を減速して駆動輪に伝達する減速機と、入力軸、回転摩擦板、固定摩擦板、押圧体、駆動側歯車および従動側歯車を潤滑油とともに収容するハウジングと、ハウジング内に形成されて押圧体によって押圧される回転摩擦板または固定摩擦板を受け止める受圧部とを備え、ハウジングおよび減速機は、潤滑油を循環させるための循環流路をそれぞれ有し、受圧部は、入力軸の周囲に放射状に形成されるとともにこれらの各受圧部間にハウジングの外表面に面した凹状の補助冷却部が形成されており、押圧体は、回転摩擦板および固定摩擦板に対して自走式車両の前進方向後ろ側に配置されていることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、ブレーキ装置は、エンジンの駆動力によって回転駆動する回転摩擦板または回転摩擦板に対向配置される固定摩擦板を押圧することにより両者を離隔状態から摩擦接触状態にする押圧体が回転摩擦板および固定摩擦板に対して自走式車両の前進方向後ろ側に配置されているため、回転摩擦板、固定摩擦板および押圧体を収容するハウジングにおける自走式車両の前進方向前側の肉厚を薄くすることができ、潤滑油の外気との熱交換効率を高めて冷却効果を向上させることができる。この場合、ブレーキ装置は、ハウジングにおける自走式車両の前進方向前側の肉厚を薄くできるため、自走式車両の走行時においては、より効果的に潤滑油を冷却することができる。また、ブレーキ装置は、回転摩擦板または固定摩擦板が自走式車両の前進方向前側に押圧されて外気側に変位または外気によって冷却された潤滑油によって効果的に冷却される。これらによって、ブレーキ装置は、潤滑油および潤滑油が接触する回転摩擦板や固定摩擦板などの構成部品を効果的に冷却することができる。
また、本発明の特徴によれば、ブレーキ装置は、入力軸、回転摩擦板、固定摩擦板および押圧体を潤滑油とともに収容するハウジングが駆動側歯車および従動側歯車を収容して形成されることによってブレーキ装置と減速機とがハウジングによって一体的に形成されているため、ブレーキ装置および減速機をコンパクト化および軽量化することが可能となるとともに潤滑油の冷却効果を向上させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記ブレーキ装置において、ハウジングは、押圧体に面して開口するとともに減速機に連通して潤滑油を流通させる押圧体流路を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、ブレーキ装置は、押圧体に対して開口するとともに減速機に連通して潤滑油を流通させる押圧体流路がハウジングに形成されているため、回転摩擦板、固定摩擦板および押圧体を通過した潤滑油を速やかかつ円滑に減速機側に導くことができ、回転摩擦板、固定摩擦板および押圧体に対する潤滑油の流通性が向上して潤滑油の冷却効果を向上させることができる。
また、これらの場合、前記ブレーキ装置において、ハウジングは、自走式車両の前進方向前側の外表面に沿って潤滑油を冷却する補助冷却部を備えることができる。
これによれば、ブレーキ装置は、ハウジングが自走式車両の前進方向前側の外表面に沿って潤滑油を冷却する補助冷却部を備えているため、潤滑油をより効果的に冷却することができる。この場合、補助冷却部は、潤滑油の流れる方向に抗する壁部などを備えて潤滑油の流れを循環流路よりも妨げて流れ難くすることによって冷却効果を高めることができる。
本発明の一実施形態に係るブレーキ装置を搭載した自走式車両100の全体構成の概略を模式的に示した平面図である。 図1に示した2−2線から見たブレーキ装置200の構成の概略を示す側面断面図である。 図2に示す3−3線から見たブレーキ装置200の構成の概略を示す平面断面図である。 図2に示す4−4線から見たブレーキ装置200の構成の概略を示す左側面断面図である。 図1に示した2−2線から見たブレーキ装置200の構成の概略を示す側面断面図である。 図5に示す6−6線から見たブレーキ装置200の構成の概略を示す平面断面図である。
以下、本発明に係るブレーキ装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るブレーキ装置200を備えた自走式車両100の全体構成の概略を模式的に示す平面図である。また、図2は、図1に示す2−2線から見たブレーキ装置200の構成の概略を示す側面断面図である。また、図3は、図2に示す3−3線から見たブレーキ装置200の構成の概略を示す平面断面図である。また、図4は、図2に示す矢印線4から見たブレーキ装置200の構成の概略を示す正面図である。このブレーキ装置200は、例えば、不整地でも走行することができる四輪バギー車などの自走式車両100に搭載されて自走式車両100を制動するための機械装置である。
まず、ブレーキ装置200が搭載される自走式車両100について簡単に説明しておく。自走式車両100は、人を載せて不整地でも自力で走行可能な車両であり、車台101を備えている。車台101は、自走式車両100の車体を支える部品であり、鋼材を枠状に形成して構成されている。この車台101には、図示しないサスペンション機構を介して前輪102aおよび後輪102bがそれぞれ設けられている。
前輪102aおよび後輪102bは、車台101を路上で移動可能に支持する車輪であり、互いに対向配置された2つの低圧型タイヤ(所謂バルーンタイヤ)でそれぞれ構成されている。これらのうち、前輪102aは、自走式車両100の走行方向を操舵可能な車輪であり、ステアリング機構103を介して運転者が操作するハンドル104が連結されている。
また、車台101には、エンジン105、動力伝達ユニット106およびブレーキ装置200が支持されている。エンジン105は、燃料を燃焼させることにより回転駆動力を発生させる機械装置であり、レシプロエンジンによって構成されている。このエンジン105における図示しないクランク軸には、動力伝達ユニット106が連結されている。動力伝達ユニット106は、エンジン105から出力される回転駆動力を伝達または遮断するとともに同エンジン105の回転数を変速する機械装置群であり、図示しないクラッチ装置および変速装置によって構成されている。この動力伝達ユニット106は、後輪102b側、すなわち、自走式車両100の後方に向かって出力軸106aが延びており、この出力軸106aにユニバーサルジョイント107および推進軸108を介してブレーキ装置200が連結されている。この場合、これらのユニバーサルジョイント107および推進軸108は、筒状に形成されたカバー109内に収容されている。
なお、この自走式車両100における車台101には、エンジン105、動力伝達ユニット106およびブレーキ装置200の上方に燃料タンク(図示せず)および運転者が跨いで着座するシート(図示せず)がそれぞれ設けられるとともに、動力伝達ユニット106の下方に運転者が足を掛けるためのステップ(図示せず)などが設けられているが、これらについては本発明に直接関わらないため説明を省略する。
(ブレーキ装置200の構成)
ブレーキ装置200は、入力軸201を備えている。入力軸201は、動力伝達ユニット106を介して伝達されるエンジン105の駆動力によって回転駆動する鋼製の軸状部品であり、ハウジング205およびリダクションケース224にそれぞれ回転自在な状態で支持されている。この入力軸201は、一方の端部側にスプラインが形成されており前記推進軸108に連結されるとともに回転摩擦板202が入力軸201の軸線方向に沿ってスライド変位可能な状態で噛合っている。一方、入力軸201の他方の端部には減速機220の一部を構成する駆動側歯車221が形成されている。
回転摩擦板202は、常に入力軸201と一体的に回転駆動する部品であり、鋼板を環状の円板体に形成して構成されている。この回転摩擦板202は、入力軸201に軸線方向に沿ってスプライン嵌合した状態で複数枚保持されている。本実施形態においては、回転摩擦板202は、入力軸201に4つ保持されている。これら4つの回転摩擦板202には、それぞれ対向した状態で固定摩擦板203が配置されている。
固定摩擦板203は、回転摩擦板202に対して離隔した状態から押し付けられることによって回転摩擦板202の回転を制動するための部品であり、鋼板を環状の円板体に形成して構成されている。より具体的には、固定摩擦板203は、環状の板面に図示しない摩擦材が貼り付けられているとともに、外周部に径方向外側に向かって放射状に張り出した状態で平面視で方形状の突起203aが形成されて構成されている。
この固定摩擦板203は、各回転摩擦板202に隣接配置されるとともに、突起203aがハウジング205の嵌合溝206に嵌合することによって入力軸201の軸線方向に沿ってスライド変位可能かつ回転摩擦板202に対して相対回転不能な状態でハウジング205に保持されている。本実施形態においては、固定摩擦板203は、ハウジング205に4つ保持されている。これら4つの固定摩擦板203のうちの外側に配置された2つの固定摩擦板203間には、これら2つの固定摩擦板203を互いに離隔する方向に押圧するためのレリーズスプリング204aがピン204bに保持された状態で設けられている。
ハウジング205は、入力軸201、回転摩擦板202、固定摩擦板203および後述する押圧体210を潤滑油215とともに収容してブレーキ装置200の外表面を構成する金属製の筒状部品であり、主として、ハウジング本体205aと蓋体205bとを備えている。これらのうち、ハウジング本体205aは、入力軸201が貫通するとともに回転摩擦板202、固定摩擦板203および押圧体210の各外側を覆うことができる筒状に形成されている。一方、蓋体205bは、入力軸201が連結された推進軸108の端部が貫通するとともに、ハウジング本体205aの一方(図示左側)の端部を覆う筒状に形成されている。このハウジング205の内部には、ハウジング本体205aの内周部における径方向外側の周壁部の一部に固定摩擦板203の突起203aが嵌合する嵌合溝206がハウジング205の軸方向に延びて形成されている。
また、このハウジング本体205aの内周部におけるリダクションケース224側の側壁部207は、中央部がリダクションケース224の内部に連通した状態で入力軸201を回転自在に支持するとともに、この中央部の外側部分に押圧体210および作動軸211をそれぞれ回動自在に支持している。より具体的には、このハウジング本体205aにおける側壁部207は、その一部が固定摩擦板203側にリング状に突出して形成されており、この突出した部分に周方向に沿って深さが次第に深くなる3つのハウジング側カム溝208が形成されている。そして、これら3のハウジング側カム溝208には、それぞれ鋼球209が嵌り込んでおり、この鋼球209を介して押圧体210が押し付けられている。
押圧体210は、固定摩擦板203を押圧して固定摩擦板203と回転摩擦板202とを互いに密着させて入力軸201に制動力を作用させるための金属製の部品であり、固定摩擦板203よりも大きな外径の円筒状に形成されている。この押圧体210のリング状の端面部には、前記ハウジング側カム溝208に対向する位置に同ハウジンング側カム溝208に周方向に対称な形状の押圧体側カム溝210aが形成されている。また、押圧体210の外周部の一部には、径方向外側に張り出した状態で従動片210bが形成されている。
作動軸211は、蓋体205bを貫通した状態でハウジング205の軸方向に延びる金属製の棒体であり、一方(図示右側)の端部がハウジング本体205aの側壁部207に回動自在に嵌合しているとともに他方の端部(図示左側)が蓋体205bの側壁部212に回動自在に支持されている。この作動軸211には、ハウジング本体205aに支持された一方(図示右側)の端部側に径方向外側に向かって張り出して前記従動片210bに引っ掛かる作動片211aが一体的に設けられるとともに、他方(図示左側)の端部に作動レバー213が連結されている。作動レバー213は、この自走式車両100の運転者によって操作される図示しないブレーキレバーに図示しないワイヤなどを介して連結されており、運転者によるブレーキレバーの操作によって作動軸211を回動させるための部品である(図4において二点鎖線参照)。
したがって、押圧体210は、運転者のブレーキ操作によって作動レバー213、作動軸211、作動片211aおよび従動片210bを介してハウジン本体206aに対して相対的に回動する。この場合、押圧体210は、押圧体側カム溝210aとハウジング側カム溝208とが鋼球209を介してそれぞれ深さが浅い側を対向させるように相対変位することによって固定摩擦板203側に変位して固定摩擦板203を押圧する。
また、このハウジング205の内部には、入力軸201の上方および下方にそれぞれリダクションケース224に連通した状態で循環流路214が形成されている。循環流路214は、ハウジング205およびリダクションケース224に収容した潤滑油215をハウジング205およびリダクションケース224の内部で循環させるための空洞部であり、ハウジング本体205aおよび蓋体205bの各内部における最も外側に外表面に沿って形成されている。
潤滑油215は、ハウジング205内およびリダクションケース224内を冷却するとともに粉塵などの異物を除去して各部品を円滑に作動させるための油である。この潤滑油215は、固定摩擦板203および後述する従動側歯車222の各下部を浸漬させる量で入力軸201より下方の循環流路214に所定量だけ溜まっている。また、この循環流路214が形成された蓋体205bの側壁部212には、固定摩擦板203が押圧される部分である受圧部212aに隣接して補助冷却部216が形成されている。補助冷却部216は、循環流路214内を流れる潤滑油215の一部を冷却する部分であり、蓋体205b内おいて放射状に形成された受圧部212aの間に外表面に面して凹状に形成されている。
そして、このハウジング205は、ハウジング本体205aにおける一方の端部に蓋体205bおよびカバー109がボルトによって連結されるとともに、他方の端部にリダクションケース224がボルトによって連結されている。この場合、ハウジング本体205aに対して蓋体205bおよびリダクションケース224はそれぞれ液密的に連結されている。
減速機220は、入力軸201の回転する減速して伝達する機械装置であり、主として、駆動側歯車221、従動側歯車222、駆動車軸223およびリダクションケース224を備えている。これらのうち、駆動側歯車221は、入力軸201における後端部に形成された傘歯車(「ベベルギア」ともいう)であり、入力軸201の回転駆動力を従動側歯車222に伝達する。従動側歯車222は、駆動側歯車221に噛み合って回転駆動力を減速しつつ駆動車軸223に伝達する傘歯車(「ベベルギア」ともいう)である。
駆動車軸223は、駆動側歯車221および従動側歯車222によって減速された回転駆動力を後輪102bに伝達する軸体である。この駆動車軸223は、両端部に後輪102bが取り付けられた状態でリダクションケース224に回転自在に保持されている。
リダクションケース224は、駆動車軸223が貫通した状態で駆動側歯車221および従動側歯車222を潤滑油215とともに収容して減速機220の外表面を構成する金属製の空洞の部品であり、主として、ケース本体225およびベアリングホルダ228a,228bを備えている。これらのうち、ケース本体225は、駆動車軸223が貫通した状態で駆動側歯車221および従動側歯車222を潤滑油215とともに収容する円筒部225aを有した筒状に形成されている。
このケース本体225に内部には、円筒部225aの底部に潤滑油215を貯留する貯留部226が形成されるとともに、円筒部225aと前記循環流路214とにそれぞれ連通した状態で循環流路227が形成されている。これにより、ブレーキ装置200のハウジング205および減速機220のリダクションケース224内にそれぞれ貯留された潤滑油215がハウジング205内およびリダクションケース224内を一体的に循環する。
ベアリングホルダ228a,228bは、駆動車軸223をベアリングを介して保持した状態でケース本体225における駆動車軸223の両端部がそれぞれ貫通する2つの開口部を閉塞する円盤状の部品である。このベアリングホルダ228a,228bは、ケース本体225に対してボルトによって取り付けられている。
(ブレーキ装置200の作動)
次に、上記のように構成したブレーキ装置200の作動について説明する。このブレーキ装置200は、前記したように自走式車両100のエンジン105と後輪102bとの間に配置されて自走式車両100の制動に用いられる。
具体的には、ブレーキ装置200は、自走式車両100の走行時においては、エンジン105の回転駆動力を動力伝達ユニット106、ユニバーサルジョイント107、および推進軸108をそれぞれ介して入力軸201に入力するとともに、入力した回転駆動力を駆動側歯車221、従動側歯車222および駆動車軸223をそれぞれ介して減速して後輪102bに出力する。これにより、自走式車両100は、エンジン105の回転駆動力によって自走する。
この自走式車両100の走行時においては、ブレーキ装置200は、入力軸201と一体的に回転駆動する回転摩擦板202の回転駆動によって回転摩擦板202の径方向外側に飛散した潤滑油215の一部が補助冷却部216に導かれる(図2において鎖線矢印参照)。この場合、補助冷却部216は、ハウジング205の外表面に隣接して形成されているため、潤滑油215を効果的に冷却することができる。また、補助冷却部216は、ハウジング205において自走式車両100の前進方向前側の前端部に形成されているため、自走式車両100の走行時に受ける外気の流れによって潤滑油215を効果的に冷却することができる。また、補助冷却部216は、受圧部212aや推進軸108を支持する部分などの壁部によって潤滑油215の流れが循環流路214よりも妨げられて流れ難く構成されているため、より効果的に潤滑油215を冷却することができる。
また、ブレーキ装置200は、減速機220の従動側歯車222が回転駆動することによって貯留部226内に貯留された潤滑油215を飛散させて駆動車軸223の上方に形成された循環流路227に導く(図2において鎖線矢印参照)。駆動車軸223の上方に形成された循環流路227に導かれた潤滑油215は、入力軸201の上方に形成された循環流路214を流れた後、潤滑油215の一部が補助冷却部216に導かれて冷却される。補助冷却部216に導かれた潤滑油215は、ブレーキ装置200内の各部を冷却しながら入力軸201より下方に形成された循環流路214に落下して貯留部226に帰還する。この潤滑油215の減速機220を含むブレーキ装置200内での循環によってブレーキ装置200と外気との熱交換が行なわれる。
一方、自走式車両100の制動時においては、ブレーキ装置200は、運転者のブレーキ操作に応じて押圧体210が固定摩擦板203と回転摩擦板202とを互いに密着させることにより入力軸201の回転駆動の速度を減速させる。これにより、走行する自走式車両100は、減速する。この自走式車両100の減速時においては、循環流路214を含むブレーキ装置200内の潤滑油215は慣性によってブレーキ装置200内における自走式車両100の進行方向側に集まるため、その一部が補助冷却部216に流れ込む。これにより、ブレーキ装置200による制動時においては、潤滑油215の一部が補助冷却部216によって冷却される。
また、自走式車両100の停止時においては、ブレーキ装置200は、入力軸201の回転駆動が停止しているため、回転摩擦板202および駆動側歯車221の回転駆動も停止する。この場合、固定摩擦板203および回転摩擦板202は、補助冷却部216およびハウジング205の側壁を介して外気に面しているため、従来の構造、すなわち、固定摩擦板203および回転摩擦板202が押圧体210およびハウジング205の側壁を介して外気に面する場合に比べて効率的に冷却される。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、ブレーキ装置200は、エンジン105の駆動力によって回転駆動する回転摩擦板202に対向配置される固定摩擦板203を押圧することにより両者を離隔状態から摩擦接触状態にする押圧体210が回転摩擦板202および固定摩擦板203に対して自走式車両100の前進方向後ろ側に配置されているため、回転摩擦板202、固定摩擦板203および押圧体210を収容するハウジング205における自走式車両100の前進方向前側の肉厚を薄くすることができ、潤滑油215の外気との熱交換効率を高めて冷却効果を向上させることができる。この場合、ブレーキ装置200は、ハウジング205における自走式車両100の前進方向前側の肉厚を薄くできるため、自走式車両100の走行時においては、より効果的に潤滑油215を冷却することができる。また、ブレーキ装置200は、回転摩擦板202または固定摩擦板203が自走式車両100の前進方向前側に押圧されて外気側に変位または外気によって冷却された潤滑油215によって効果的に冷却される。これらによって、ブレーキ装置200は、潤滑油215および潤滑油215が接触する回転摩擦板202や固定摩擦板203などの構成部品を効果的に冷却することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付して重複する説明は省略する。
例えば、上記実施形態においては、ブレーキ装置200は、減速機220を含むブレーキ装置200全体の筐体をハウジング205とリダクションケース224とで構成した。より具体的には、ブレーキ装置200全体の筐体をハウジング本体205a、蓋体205b、ケース本体225およびベアリングホルダ228a,228bで構成した。しかし、ブレーキ装置200全体の筐体は、これらの部品を適宜まとめて一部品とすることも可能である。例えば、ハウジング205は、図4および図5にそれぞれ示すように、ハウジング本体205aをケース本体225を含んで一体成形した一部品で構成することができる。これによれば、ハウジング205をコンパクトに構成することがで、潤滑油215の冷却効果を向上させることができるとともに自走式車両100の重量を軽減することができる(図5において鎖線矢印参照)。
また、この場合、ハウジング205には、図6に示すように、押圧体210に対して開口するとともに減速機220の円筒部225aに連通して潤滑油215を流通させる押圧体流路217が形成されている。これによれば、ブレーキ装置200は、回転摩擦板202、固定摩擦板203および押圧体210を通過した潤滑油215が速やかにかつ円滑に減速機220の円筒部225a側に導かれるため、回転摩擦板202、固定摩擦板203および押圧体210に対する潤滑油215の流通性が向上して潤滑油215の冷却効果を向上させることができる。
また、上記実施形態においては、ブレーキ装置200は、押圧体210が固定摩擦板203を押圧して固定摩擦板203と回転摩擦板202とを互いに密着させるように構成した。しかし、ブレーキ装置200は、固定摩擦板203および回転摩擦板202の配置を入れ替えて押圧体210が回転摩擦板202を押圧して回転摩擦板202と固定摩擦板203とを互いに密着させるように構成することもできる。
また、上記実施形態においては、自走式車両100は、ブレーキ装置200をエンジン105よりも自走式車両100の前進方向の後方に配置して後輪102bを駆動するように構成した。すなわち、後輪102bが本発明に係る駆動輪に相当する。しかし、自走式車両100は、ブレーキ装置200をエンジン105よりも自走式車両100の前進方向の前方に配置して前輪102aを駆動するように構成することもできる。
また、上記実施形態においては、ブレーキ装置200は、不整地を走行可能な四輪バギー車からなる自走式車両100に搭載した。しかし、ブレーキ装置200は、エンジン105の駆動力によって駆動輪を回転駆動させて自走する自走式車両100に広く適用できるものである。したがって、ブレーキ装置200は、四輪バギー車以外の自走式車両100、例えば、ゴルフ場内を走行するゴルフカートや耕運機や田植え機などの農業車両などに搭載して使用することができる。
100…自走式車両100、101…車台、102a…前輪、102b…後輪、103…ステアリング機構、104…ハンドル、105…エンジン、106…動力伝達ユニット、106a…出力軸、107…ユニバーサルジョイント、108…推進軸、109…カバー、
200…ブレーキ装置、201…入力軸、202…回転摩擦板、203…固定摩擦板、203a…突起、204a…レリーズスプリング、204b…ピン、205…ハウジング、205a…ハウジング本体、205b…蓋体、206…嵌合溝、207…側壁部、208…ハウジング側カム溝、209…鋼球、210…押圧体、210a…押圧体側カム溝、210b…従動片、211…作動軸、211a…作動片、212…側壁部、212a…受圧部、213…作動レバー、214…循環流路、215…潤滑油、216…補助冷却部、217…押圧体流路、
220…減速機、221…駆動側歯車、222…従動側歯車、223…駆動車軸、224…リダクションケース、225…ケース本体、225a…円筒部、226…貯留部、227…循環流路、228a,228b…ベアリングホルダ。

Claims (3)

  1. エンジンの駆動力によって駆動輪を回転駆動させて自走する自走式車両のブレーキ装置であって、
    前記エンジンの駆動力によって回転駆動する入力軸と、
    前記入力軸と一体的に回転駆動する回転摩擦板と、
    前記入力軸の軸線方向に摺動可能かつ前記回転摩擦板に対して回転不能な状態で対向配置される固定摩擦板と、
    前記回転摩擦板または前記固定摩擦板を押圧して前記回転摩擦板と前記固定摩擦板とを互いに密着させる押圧体と、
    前記入力軸、前記回転摩擦板、前記固定摩擦板および前記押圧体を潤滑油とともに収容するハウジングと、
    前記ハウジング内に形成されて前記押圧体によって押圧される前記回転摩擦板または前記固定摩擦板を受け止める受圧部と、
    前記入力軸の回転駆動を減速して前記駆動輪に伝達する減速機とを備え、
    前記ハウジングおよび前記減速機は、前記潤滑油を循環させるための循環流路をそれぞれ有し、
    前記受圧部は、前記入力軸の周囲に放射状に形成されるとともにこれらの各受圧部間に前記ハウジングの外表面に面した凹状の補助冷却部が形成されており、
    前記押圧体は、前記回転摩擦板および前記固定摩擦板に対して前記自走式車両の前進方向後ろ側に配置されていることを特徴とするブレーキ装置。
  2. エンジンの駆動力によって駆動輪を回転駆動させて自走する自走式車両のブレーキ装置であって、
    前記エンジンの駆動力によって回転駆動する入力軸と、
    前記入力軸と一体的に回転駆動する回転摩擦板と、
    前記入力軸の軸線方向に摺動可能かつ前記回転摩擦板に対して回転不能な状態で対向配置される固定摩擦板と、
    前記回転摩擦板または前記固定摩擦板を押圧して前記回転摩擦板と前記固定摩擦板とを互いに密着させる押圧体と、
    前記入力軸とともに回転駆動する駆動側歯車および前記駆動側歯車と噛み合う従動側歯車に連結されて回転駆動する駆動車軸をそれぞれ有して、前記入力軸の回転駆動を減速して前記駆動輪に伝達する減速機と、
    前記入力軸、前記回転摩擦板、前記固定摩擦板、前記押圧体、前記駆動側歯車および前記従動側歯車を潤滑油とともに収容するハウジングと、
    前記ハウジング内に形成されて前記押圧体によって押圧される前記回転摩擦板または前記固定摩擦板を受け止める受圧部とを備え、
    前記ハウジングおよび前記減速機は、前記潤滑油を循環させるための循環流路をそれぞれ有し、
    前記受圧部は、前記入力軸の周囲に放射状に形成されるとともにこれらの各受圧部間に前記ハウジングの外表面に面した凹状の補助冷却部が形成されており、
    前記押圧体は、前記回転摩擦板および前記固定摩擦板に対して前記自走式車両の前進方向後ろ側に配置されていることを特徴とするブレーキ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載したブレーキ装置において、
    前記ハウジングは、
    前記押圧体に面して開口するとともに前記減速機に連通して前記潤滑油を流通させる押圧体流路を備えることを特徴とするブレーキ装置。
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