JP6342691B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
前記タイヤのサイド部の少なくとも一部における前記インナーライナーの厚みが1.5mm以上であり、前記周方向ベルト層の前記コードのヤング率をY(GPa)、該周方向ベルト層の層数をm、および50mmあたりの該コードの打ち込み本数をnとして、X=Y×m×nと定義するとき、Xが750以上であることを特徴とする。本発明のタイヤによれば、上記下限値以上の厚みのインナーライナーにより、タイヤの騒音を低減可能である。また、本発明のタイヤによれば、インナーライナーの厚みを大きくするので、カーカスラインには影響を及ぼさない。また、本発明のタイヤによれば、Xが750以上である周方向ベルトを有するので、転がり抵抗の増大が抑制される。
ビード部11およびサイドウォール部12とからなるサイド部19の少なくとも一部におけるインナーライナー18の厚みは、1.5mm以上である。なお、インナーライナー18の厚みとは、インナーライナー18の最薄部位における厚みをいう。なお、本実施形態においては、幅方向断面における全域においてインナーライナー18の厚みは、1.5mm以上となっている。また、図1において、インナーライナー18(後述する第1のインナーライナーゴム20および第2のインナーライナーゴム21)の厚みは、明瞭化のために実際よりやや強調してやや厚く描かれている。
周方向ベルト17は、タイヤ周方向沿って延びるコードを有する、少なくとも1層の周方向ベルト層からなる。なお、「コードがタイヤ周方向に沿って延びる」とは、コードがタイヤ周方向に平行である場合およびコードをゴム被覆したストリップを螺旋巻回した際にタイヤ周方向に対してわずかに傾斜している場合(タイヤ周方向に対する傾斜角度5°程度)を含むものとする。周方向ベルト層のコードのヤング率をY(GPa)、周方向ベルト層の層数をm、および50mmあたりの当該コードの打ち込み本数をnとして、X=Y×m×nを定義するとき、Xが750以上である。また、Xが800以上であることが、好ましく、900以上であることが更に好ましい。また、Xが1500以下であることが、好ましい。
インナーライナー18を肉厚化することにより、断面1次の振動モードによるタイヤの振動の減衰効果が向上してゆく。そこで、上記の通り、1.5mm以上の厚みのインナーライナー18を配設することにより、タイヤの騒音の大きな要因である断面1次の振動モードによる振動が抑制され、空気入りタイヤ10の騒音を低減可能である。また、タイヤの構成要素の中で、肉厚化させるのは、カーカス15の内側に配設されるインナーライナー18なので、カーカスラインに影響を与えることを防止可能である。また、インナーライナーは既存のタイヤの部材であるため、部材数を増やすこと無く、騒音を低減することができる。
ところで、現在のタイヤ製品開発においては、要求される空気透過性を満たす範囲内で、インナーライナーに発生するロスを抑制し転がり抵抗を向上すべく、インナーライナーの薄肉化が一般的に求められている。
本発明の検討過程においても、インナーライナーの肉厚化による転がり抵抗の増加が予想された。しかし、本発明の構成においては、周方向ベルト17の周方向の剛性が大きいので、トレッド部13の接地時におけるタイヤ周方向の変形、および、それに伴うタイヤ幅方向の変形(ワイピング変形)が抑制される。したがって、インナーライナーを肉厚化しながらも、インナーライナーのロスの増大に伴うタイヤの変形に起因する転がり抵抗の増大が抑制される。
上記の通り、2.8mm以下の厚みのインナーライナー18を用いることにより、インナーライナー18の重量に上限が設けられ、転がり抵抗の増大を確実に抑制可能である。
なお、上記と同様の観点から、インナーライナー18の厚みは、より好ましくは、1.6mm以上2.4mm以下、更に好ましくは、1.8mm以上2.2mm以下である。
このような構成によれば、インナーライナー18の、断面1次の振動モードによるタイヤの振動の抑制に大きく寄与する部分の厚みのみを、さらに肉厚化するので、インナーライナー18の重量の増加を抑制しながらも、騒音をいっそう低減可能である。
本実施形態の空気入りタイヤ10は、断面幅SWおよび外径ODが、上記関係を有する、狭幅大径のタイヤなので、トレッド部13の接地時におけるタイヤ幅方向の変形が抑制され、また偏心変形が抑制される。したがって、通常のサイズのタイヤに比べて、断面幅SWおよび外径ODが上記の関係を有する、狭幅大径のサイズのタイヤでは、タイヤの変形に起因する転がり抵抗の増大が抑制される。このため、通常のサイズのタイヤに比べて、断面幅SWおよび外径ODが上記の関係を有する、狭幅大径のサイズのタイヤでは、インナーライナーを肉厚化しながらもインナーライナーのロスの増大に伴う転がり抵抗の増大が、いっそう抑制される。
また、本実施形態では、インナーライナー18を構成するゴム組成物の−40℃における動的貯蔵弾性率E´が、500MPa以上8000MPa以下である。このような構成によれば、低温におけるインナーライナー18の割れを防止しながら十分なタイヤの成型性を得ることが可能である。
また、本実施形態では、インナーライナー18を構成するゴム組成物の損失正接(tanδ)は0.1以上0.3以下である。このような構成によれば、弾性率の維持および損失増大を抑制可能である。
比較例1、2および実施例1のタイヤをリムサイズ6.5J−15のリムに組付け、また、比較例3から5および実施例2から6のタイヤをリムサイズ5.5J−19のリムに組付け、それぞれ内圧300kPaを付与した後、走行試験用ドラム上で荷重4.28kNを与えて、時速40km、60km、80km、100kmで回転させて車内でノイズ(騒音)レベルを測定し、これら測定値の平均を算出した。比較例1、2および実施例1の結果を表1に、比較例1を基準とした騒音の変化量(dB)で示した。また、比較例3から5および実施例2から6の結果を表2に、比較例3を基準とした騒音の変化量(dB)で示した。いずれも値が小さいほど良好である。
比較例1、2および実施例1のタイヤをリムサイズ6.5J−15のリムに組付け、また、比較例3から5および実施例2から6のタイヤをリムサイズ5.5J−19のリムに組付け、それぞれ内圧300kPaを付与した後、直径1.7mの鉄板表面を持つドラム試験機(速度:80km/h)を用いて、車軸の転がり抵抗力を求めた。この転がり抵抗の測定はISO18164に準拠し、スムースドラム、フォース式にて実施したものである。比較例1、2および実施例1の結果を表1に、比較例1の値を100とする指数にて示した。また、比較例3から5および実施例2から6の結果を、比較例1の結果とともに、表2に、比較例3の値を100とする指数にて示した。いずれも値が小さいほど良好である。
表2に示すように、比較例4では、比較例3に比べて転がり抵抗性能が向上するものの、騒音性能が向上されない。また、比較例5では、比較例3に比べて騒音性能が向上するものの、転がり抵抗性能が低下する。一方で、実施例2から6は、比較例3に比べて、騒音性能が向上しながら、転がり抵抗性能は同等に維持または向上する。
以上の結果から、本発明の空気入りタイヤによれば、騒音を低減しながら、転がり抵抗の増大を抑制し得ることが分かる。
11 ビード部
12 サイドウォール部
13 トレッド部
14 ビードコア
15 カーカス
16 傾斜ベルト
17 周方向ベルト
18 インナーライナー
19 サイド部
20 第1のインナーライナーゴム
21 第2のインナーライナーゴム
Claims (3)
- 1対のビード部間に跨るカーカスと、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されるとともにタイヤ周方向に沿って延びるコードを有する少なくとも1層の周方向ベルト層からなる周方向ベルトと、前記カーカスの内側に配設されるインナーライナーと、を備える空気入りタイヤであって、
前記タイヤのサイド部の少なくとも一部における前記インナーライナーの厚みが1.5mm以上であり、
前記周方向ベルト層の前記コードのヤング率をY(GPa)、該周方向ベルト層の層数をm、および50mmあたりの該コードの打ち込み本数をnとして、X=Y×m×nと定義するとき、Xが750以上である、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記インナーライナーの厚みが2.8mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイド部の少なくとも一部における、前記インナーライナーの厚みは、他の部分の厚みより大きい、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
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